JP6090336B2 - 車両の振動解析方法及び振動解析装置 - Google Patents

車両の振動解析方法及び振動解析装置 Download PDF

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Description

本発明は、自動車等の車両に於いて発生する振動の解析を行うための振動解析方法又は振動解析装置に係り、より詳細には、路面から車両へ入力される振動の伝達特性を解析するための装置又は方法に係る。
自動車等の車両に於いて、その乗り心地性能は、車両の走行中に路面から車体へ与えられる振動の伝達特性に依存する。そこで、従前より、車両の乗り心地性能の改善を図る目的で路面から車体へ伝達される振動の特性を把握すべく、車体に於いて発生する振動を実測及び解析して、路面から車体へ伝達される振動特性を検出するための振動解析方法又は振動解析装置が種々提案されている。そのような車両の振動解析方法として、例えば、特許文献1に例示されている如く、上下及び/又は左右に振動する台(加振台)の上に車輪が配置されるよう車両を載置し、加振台を振動させた際に車体に生ずる加速度を計測及び解析して、車体の振動特性の検出する方法又は装置が提案されている。また、特許文献2及び非特許文献1に於いては、車両の4輪を、個別に振動させることのできる別々の加振台に載置して、車輪から車体へ振動を与えて車体の振動特性を検出する振動解析方法及び装置が提案されている。この文献に於いては、種々の態様の振動入力(ランダム波入力、前後左右輪同相波入力、逆相波入力など)を4輪に与えた際に車体の各部に於いて計測された加速度変動、(加振台と車輪との間の)接地面に於ける接地荷重変動及び/又はサスペンションストロークに基づいて、伝達関数の周波数特性が取得され、車体の振動特性に於けるサスペンション、車体、シートといった各コンポーネントの影響の寄与がそれぞれ検出可能であることが示されている。
特開2000−88697 特開2009−97973
「ボデー,シート系の乗り心地への寄与解析(Ride comfort analysis considering body and seat system)」、井口他2名、公益社団法人自動車技術会学術講演会前刷集2007年10月no.104-07、p13〜p18、文献番号20075771
図9(A)に模式的に例示されている如き加振台V上に載置された車両に於いて種々の任意の態様にて各輪から個別に車体へ振動変位入力Dを与えて車体に発生する振動Yを計測し、車両の振動特性を検出する振動解析技術によれば、前後左右輪のそれぞれからの振動による振動特性或いは前後輪又は左右輪に於ける種々の振動モード(同相入力、逆相入力)による振動特性の違いを検出することが可能であるので、乗り心地性能改善のための車体の構造等の改良に於いて有利な情報を取得することができる。しかしながら、本発明の発明者による研究によれば、上記の如き加振台上で実行される車両の振動解析の場合、車両を実路上にて走行させて得られる振動状態を必ずしも再現できないことが見出された。例えば、図9(B)〜(F)に例示されている如く、加振台上で車両に対して、前後方向、左右方向、上下方向、ヨー方向、ロール方向、ピッチ方向の振動を与えた場合に得られた振動周波数特性(「加振」)に於いて、実路走行中の車両にて得られた振動周波数特性(「実走行」)からの、図中矢印にて示されている如き、幾分かの「ずれ」が発生することが明らかになった。かかる「ずれ」は、加振台上に於いては、車輪が回転していないために、実路走行中の車両の振動伝達状態が精密に再現できていないことに起因するものと考えられる。
従って、より精密に車体の振動伝達特性を検出するためには、実路上にて車両を走行させて振動計測を行うことが好ましいということとなる。しかしながら、実路上にて走行中の車両に於いて行われている車体の振動特性検出の場合、従前に於いては、或る路面上にて車両を走行させた際に計測された振動から振動の周波数特性を算出するだけであり、振動特性に於ける種々の振動入力による寄与を個別に又は分離して検出することは達成されていない。これは、通常、実路上にて車両を走行させる場合、前輪及び後輪は、ほぼ同一の経路を通過するため、前後輪に独立に振動を与えることが困難であり、従って、検出された振動特性に於いて前輪及び後輪のそれぞれの寄与を簡単に分離することができないことに因っている。
かくして、本発明の主な課題は、車両を実路上にて走行させて計測される振動を用いた振動解析技術であって、種々の振動入力の態様による振動特性を個別に又は分離して検出することのできる構成を提案することである。
本発明によれば、上記の課題は、車両の振動解析方法であって、車両を該車両の進行方向に沿って種々の波長にて高さが変位する路面上にて走行させる過程と、路面上にて走行中の車両の車体の部位に於ける振動特性値を計測する過程と、車体の部位に於ける振動特性値を惹起する少なくとも二つの振動入力値を取得する過程と、車体の部位に於ける振動特性値を目的変数として用い、少なくとも二つの振動入力値を説明変数として用いて、重回帰分析により偏回帰係数として少なくとも二つの振動入力値の各々に対する車体の部位に於ける振動特性値の伝達関数を算出する過程とを含む方法によって達成される。
上記の構成に於いて、「車体の部位に於ける振動特性値」とは、車体の任意の部位に於ける振動特性を表す加速度値等の任意の物理量であってよく、例えば、任意の検出器、例えば、加速度センサによって計測されるばね上加速度値、各輪に於けるばね下加速度値などであってよい。また、「少なくとも二つの振動入力値」とは、車体に伝達されて上記の振動特性値を惹起する任意の振動成分であってよい。典型的には、車両の走行中に於ける各輪の路面変位又はその関数であってよく、或いは、各輪に於けるばね下加速度値などであってもよい(この場合、振動特性値は、振動伝達の下流のばね上加速度値などであってよい。)。実施の形態に於いては、少なくとも二つの振動入力値は、例えば、左右前輪にて同相に変位する路面変位成分と、左右後輪にて同相に変位する路面変位成分と、左右前輪にて逆相に変位する路面変位成分と、左右後輪にて逆相に変位する路面変位成分から成る4つのモードの振動成分を含む振動的に変化する物理量の組であってよい。振動入力値は、直接的に任意のセンサにより計測される値であってもよいが、任意の計測値から算出される値であってもよい。
上記の本発明の車両の振動解析方法に於いては、上記の如く、まず、振動特性が検査されるべき車両が、該車両の進行方向に沿って種々の波長にて高さが変位する路面上にて走行させられる。そうすると、路面変位の波長と車速とにより決定される種々の周波数及び位相の振動が車輪を通じて車体の各部へ伝達されることとなる。そして、そのように車両が走行させられている状態に於いて、時系列に車体の任意の部位に於ける振動特性値の計測と少なくとも二つの振動入力値の取得(路面変位の計測及び/又は演算又はばね下加速度値の計測など)が実行される。ここに於いて、計測又は取得された少なくとも二つの振動入力値と振動特性値とは、説明変数(独立変数)と目的変数(従属変数)との関係にあるので、重回帰分析の理論を用いて、少なくとも二つの振動入力値の各々に対する振動特性値の伝達関数が検出できることとなる。そして、かかる伝達関数は、個々の振動入力値に対応する車体の任意の部位に於ける振動伝達特性を表すので、これらの伝達関数を用いることにより、路面変位やばね下加速度値などの任意の振動入力を与えた場合の車両に於ける振動の周波数特性を、振動入力の種類毎に、検出し或いは把握できることとなる。
なお、上記の本発明の車両の振動解析方法に於いて、好適には、車両を該車両の進行方向に沿って種々の波長にて高さが変位する路面上にて走行させる過程に於いて、車両を異なる車速にて走行させて、振動特性値の計測及び少なくとも二つの振動入力値の取得を実行するようになっていてよい。上記の如く、重回帰分析の理論を用いて、少なくとも二つの振動入力値の各々に対する振動特性値の伝達関数を検出する場合、前輪と後輪に対して、できるだけ多様な組合せの周波数と位相を有する振動が与えられることが好ましい。前輪と後輪に与えられる振動の周波数と位相は、路面の変位の波長と車速と前後輪間距離とに基づいて決定されるので、同一の路面を走行させた場合であっても、車両を異なる車速にて走行させれば、異なる周波数と位相の振動が前輪と後輪に与えられることとなり、伝達関数の精度及び周波数分解能が向上されることとなる。また、車両を走行させる路面についても、前輪と後輪にできるだけ多様な組合せの周波数と位相を有する振動が与えられるように、できるだけ多様な波長と位相との組合せにて路面変位が構成されていることが好ましい。従って、具体的には、車両を走行させる路面は、ランダムに高さが変位する路面又はステップ状に高さが変位する路面であってよい。
上記の如く、少なくとも二つの振動入力値の各々に対する振動特性値の伝達関数が算出されると、かかる伝達関数を用いて、振動入力値の各々によって発生する振動特性値の振動の大きさが算出できることとなる。かくして、上記の本発明の方法は、少なくとも二つの振動入力値のうちの一つと、それに対応する伝達関数とを用いて、少なくとも二つの振動入力値のうちの一つにより惹起される車体の部位に於ける振動特性値の振動の大きさを算出する過程を更に含んでいてよい。かくして得られる振動入力値毎にそれが発生する振動特性値の振動の大きさは、車体の振動特性の改善を行うべく車体の構造の修正等を行う際に有利な情報となる。
また、或る路面を走行した車両に於ける伝達関数が得られると、別の任意の路面にてその車両を走行させた場合の車両に於ける振動特性値を推定することが可能となる(異なる路面での振動特性への換算)。更に、かかる伝達関数を用いると、任意の車速にて走行させた場合の車両に於ける振動特性値を推定することも可能となる(異なる車速での振動特性への換算)。かくして、上記の本発明の方法に於いて、伝達関数を用いて、該伝達関数の算出に用いた車体の部位に於ける振動特性値の計測及び振動入力値の取得を行った際に走行した路面とは異なる路面にて車両を走行させた場合に得られるべき車体の部位に於ける振動特性値を推定する過程及び/又は伝達関数を用いて、該伝達関数の算出に用いた車体の部位に於ける振動特性値の計測及び振動入力値の取得を行った際の車速とは異なる車速にて車両を走行させた場合に得られるべき車体の部位に於ける振動特性値を推定する過程が実行されてよい。
本発明の振動解析方法の上記の一連の態様は、少なくとも二つの振動入力値の各々に対する車体の部位に於ける振動特性値の伝達関数を算出するよう構成された振動解析装置によって達成されてよい。かくして、本発明によれば、車両の振動解析装置であって、車両を該車両の進行方向に沿って種々の波長にて高さが変位する路面上にて走行させる間に於いて車両の車体の部位に於ける振動特性値を計測する振動特性値計測部と、車体の部位に於ける振動特性値を惹起する少なくとも二つの振動入力値を取得する振動入力値取得部と、車体の部位に於ける振動特性値を目的変数として用い、少なくとも二つの振動入力値を説明変数として用いて、重回帰分析により偏回帰係数として少なくとも二つの振動入力値の各々に対する車体の部位に於ける振動特性値の伝達関数を算出する伝達関数算出部とを含む装置が提供される。振動特性値計測部は、例えば、車体の任意の部位に設けられる加速度センサなどであってよい。また、振動入力値取得部は、例えば、車両の下面に設けられた路面変位検出センサ、又は、路面変位検出センサと各輪のばね下に設けられた加速度センサ、或いは、これらのセンサの出力値を用いて振動入力値を適宜算出する演算装置等により構成されてよい。伝達関数算出部は、振動特性値と振動入力値とから重回帰分析により伝達関数を算出できる演算装置であってよい。
総じて、上記の本発明によれば、車両の振動解析に於いて、実路走行中に計測された振動特性値を用いて、車両に於ける振動伝達特性の解析を行うので、車輪は回転された状態での振動特性に関する情報が得られることとなり、加振台を用いた振動解析では良好に再現できなかった状態に於ける振動解析も可能となる。また、本発明によれば、少なくとも二つの振動入力値の各々に対する車体の部位に於ける振動特性値の伝達関数を算出することにより、車両に於ける振動伝達特性に於ける各振動入力値の寄与の大きさを検出できることとなる。そして、かかる構成により、従前、加振台を用いた振動解析に於いてのみ行われていた種々の振動入力の態様を区別して振動特性を把握することも可能となる。即ち、本発明によれば、加振台を用いた振動解析では再現できなかった振動状態に於いて、種々の振動入力の態様に対応する車体の振動特性の検出或いは振動入力の態様による車体の振動特性の違いを検出できることとなる。かくして、本発明に於いて取得可能となった車両に於ける振動特性に関する情報は、乗り心地性能の改善のための車両の改良や種々の走行条件に於ける車両の振動状態の把握に有利に用いられることが期待される。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
図1(A)は、本発明による振動解析を実行するための装置を備えた車両の模式的な側面図であり、図1(B)は、振動解析を実行する装置の構成のブロック図である。 図2(A)、(B)は、本発明による振動解析を実行する際に車両に於いて惹起される振動の周波数について説明する図である。 図3は、本発明による振動解析に於いて、車両が走行させられる路面の形状を説明する模式図である。 図4(A)は、本発明による振動解析に算出された前輪同相入力に対するばね上及びばね下加速度の伝達関数の例のゲインと位相の周波数特性を示している。図4(B)は、本発明による振動解析に算出された後輪同相入力に対するばね上及びばね下加速度の伝達関数の例のゲインと位相の周波数特性を示している。 図5(A)〜(D)は、本発明による振動解析に算出された伝達関数を用いて算出された振動入力モード毎のばね上前後加速度の大きさの周波数特性を示している。「変更後」は、「変更前」の車両に於いて、リアサスペンションの側面視配置が変更された場合の周波数特性である。 図6(A)〜(D)は、本発明による振動解析に算出された伝達関数を用いて算出された振動入力モード毎のばね上左右加速度の大きさの周波数特性を示している。「変更後」は、「変更前」の車両に於いて、フロントサスペンションの背面視配置が変更された場合の周波数特性である。 図7(A)〜(C)は、本発明による振動解析に於いて、或る路面で計測されたデータから算出された伝達関数を用いて別の路面で生ずるべき振動特性(ばね上加速度の大きさ)を算出した例を示している。比較のため、前記の別の路面で実際に計測された振動特性も示されている。 図8(A)〜(C)は、本発明による振動解析に於いて、或る路面で計測されたデータから算出された伝達関数を用いて別の路面で生ずるべき振動特性(ばね上加速度の大きさ)を算出した例を示している。なお、伝達関数の算出に於いて、振動入力値として、路面変位ではなく、ばね下加速度の計測値を用いている。比較のため、前記の別の路面で実際に計測された振動特性も示されている。 図9(A)は、従来の加振台を用いて車両の振動特性を計測する装置の模式図である。図9(B)〜(F)は、それぞれ、加振台を用いて測定された車両の上下加速度、ピッチ角加速度、ロール角加速度、左右加速度及び前後加速度の振動の周波数スペクトル(加振)であり、比較のため、実際に車両を走行させた際に得られた対応する加速度の周波数スペクトル(実走行)も表示されている。図中、矢印は、加振台による振動計測に於ける周波数スペクトルと実走行による振動計測に於ける周波数スペクトルとのずれの大きい領域を示している。
1…車両
2f、2r…車輪
3…車体
10…変位計
12…上下加速度計
14f、r、…ばね下加速度計
16…ばね上加速度計
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。
振動解析装置の構成
本発明による車両の振動解析技術の一つの実施形態では、端的に述べれば、種々の波長にて高さが変位する路面上にて走行中の車両に於いて、路面変位等の車体へ入力される振動を表す値と、加速度値等の車体の任意の部位の振動特性を表す値とが逐次的に計測される。そして、路面変位値及び/又は加速度値(ばね下)から算出される振動入力値と計測された加速度値等の振動特性値とから振動入力値に対する振動特性値(加速度値)の伝達関数が算出され、算出された伝達関数を用いて、振動入力値に対する車体の任意の部位の振動レベル(振動の大きさの周波数特性)の算出、任意の路面条件又は車速条件に於ける振動レベルの推定が為される。
図1(A)を参照して、本発明による振動解析装置に於いては、まず、図示されている如く、走行中の自動車等の車両1のボディフロア、シート、サスペンションタワーなどのばね上の任意の部位の加速度値Yを計測する加速度計16及び/又は車軸等のばね下の任意の部位の加速度値X1〜X4を計測する加速度計14f、rが設けられる(ばね下加速度値は、車輪毎に計測されてよい。)。なお、計測される加速度の方向は、車体の前後、上下、左右、ロール、ヨー、ピッチなど任意の方向であってよい。また、車両1の左右輪の通過経路に於ける路面変位を検出するために、例えば、左右輪の前方の車体部位にレーザー変位計等の車体に対する路面高さ変位D、Dを計測するセンサ10と、そのセンサの計測部位に於ける上下加速度値(左右輪通過位置上下加速度値)A、Aを計測する加速度計12とが設けられる。
そして、計測された加速度値Y、X1〜4、A、A及び/又は路面変位値D、Dは、図示していない演算装置へ入力され、伝達関数の演算に利用される。図1(B)は、演算装置の内部の構成をブロック図の形式にて表した図である。同図を参照して、演算装置に於いては、具体的には、路面変位値D、Dと左右輪通過位置上下加速度値A、Aとは、車速Uと共に路面変位算出部へ与えられる。路面変位算出部では、路面変位に対応して生ずる車両の各輪に於ける振動変位の組、又は、後に説明される如く、左右前輪にて同相に振動する変位(左右前輪同相入力)、左右後輪にて同相に振動する変位(左右後輪同相入力)、左右前輪にて逆相に振動する変位(左右前輪逆相入力)及び左右後輪にて逆相に振動する変位(左右後輪逆相入力)の組など、路面から車輪に与えられ、車体振動を惹起する任意の態様の振動変位が算出される。これらの路面変位に対応した車輪に於ける振動変位は、本発明の一つの態様に於いて、車体に於いて発生する振動を惹起する振動入力値となる。なお、車速Uは、図示していない各輪に設けられた車輪速センサにて計測された車輪速の値から任意の態様にて決定又は算定されてよい。そして、路面変位算出部で算出された振動変位は、ばね下加速度値X1〜X4又はばね上加速度Yと共に、伝達関数算出部へ与えられ、そこに於いて、後に詳細にされる如く、重回帰分析の理論に従って、各振動入力値に対する加速度値の伝達関数が算出される。また更に、算出された伝達関数と振動入力とは、振動レベル算出・換算部へ与えられ、各振動入力により惹起される振動レベルの算出、種々の路面条件又は車速条件に於いて発生する振動レベルの推定演算等が実行される。
なお、演算装置は、任意の形式のコンピュータであってよく、図1(B)に例示された各部は、コンピュータ内のメモリ等の記憶装置に予め記憶されたプログラムに従ったCPU及びその他の要素の処理作動により実現されることは理解されるべきである。
振動解析の原理
本発明に於ける車両の振動解析に於いては、車体の振動が車輪に与えられる路面の複数の変位成分により惹起されるとのモデル、即ち、車体の振動Yが、路面の変位成分Diを入力成分として用いて
Y=a1・D1+a2・D2+a3・D3+a4・D4+… …(1)
により与えられるとの線形モデルが用いられる。[ここで、aiは、入力成分Diに対する振動Yの伝達関数(∂Y/∂Di)である。式(1)は、振動Y及び変位成分Diについての周波数領域に於ける表式である。]従って、式(1)に於ける入力成分Diに対する振動Yの伝達関数(∂Y/∂Di)を決定すれば、任意の路面変位成分に対する車体の振動Yを算出することが可能となる。また、伝達関数が各入力成分に対して決定されれば、車体の振動Yに於ける各振動入力成分の寄与を見積もることが可能となり、車両の乗り心地性能の改善のための対策を考える場合に有利な情報となる。なお、振動Yは、車体の任意の部位の任意の方向の振動であってよく、即ち、ばね上又はばね下の車体の任意の部位に於ける前後、上下、左右、ロール、ヨー、ピッチなど任意の方向の振動であってよく、典型的には、加速度値の単位にて計測されるが、これに限定されないことは理解されるべきである。
上記の式(1)に於ける振動Yの伝達関数(∂Y/∂Di)は、原理的には、種々の入力条件を与えた場合の振動Yを計測し、式(1)の連立方程式を解くことにより算定可能である。例えば、図2を参照して、図2(A)の如く、車速50km/hにて走行した場合、波長λr=3.0mの路面変位成分によって5Hzの振動入力が前後輪に対して同相に与えられ、かかる前後輪同相入力による振動YAが得られ、図2(B)の如く、車速100km/hにて走行した場合、波長λr=6.0mの路面変位成分によって5Hzの振動入力が前後輪に対して逆相に与えられることとなるので、前後輪逆相入力による振動YBが得られることとなる。そうすると、5Hzの振動入力に於いて、振動Yと振動入力D1、D2について二つの関係式:
=(∂Y/∂D1)D1+(∂Y/∂D2)D2 …(2)
=(∂Y/∂D1)D1+(∂Y/∂D2)D2
が得られ、これにより、上記二つの式を、連立方程式として、(∂Y/∂D1)と(∂Y/∂D2)とについて解くことが可能となり、周波数5Hzに於ける伝達関数(∂Y/∂D1)と(∂Y/∂D2)が得られることとなる。即ち、多数の異なる波長の変位の組合せとなる路面に於いて、車両を種々の異なる車速にて走行させて、振動計測を行うことにより、各周波数に於いて複数の振動データ(振動Yと入力成分Diとの組)が取得できることとなり、各振動入力に対する伝達関数が算出されることとなる。
なお、式(1)に於ける路面の変位成分Diの数と種類は、車両の構造によって任意に決定されることは理解されるべきである。典型的な4輪車両の場合、路面の変位成分Diとして想定される成分は、前後左右輪の上下方向の変位の組、或いは、左右前輪同相入力、左右後輪同相入力、左右前輪逆相入力及び左右後輪逆相入力の組であってよい。また、式(1)に於いて未知数となる伝達関数の数は、路面の変位成分Diの数に一致するので、式(2)の如き連立方程式に於ける式の数は、好ましくは、未知数の数、即ち、路面の変位成分Diの数に等しいかそれ以上となる。従って、後述の振動計測処理に於いては、少なくとも路面の変位成分Diの数に等しい数の計測データの組(Y,Di)を得るべく、路面の変位成分Diの数に等しい数かそれ以上の数の互いに異なる計測条件にて車両の走行及び振動計測が実行されることが好ましい。例えば、或る試験用の路面上にて車両を走行させる場合、路面の変位成分Diの数に等しい数かそれ以上の数の互いに異なる車速にて車両を走行させて振動計測が実行されてよい。
振動解析処理過程
上記の振動解析装置を用いて、本発明による振動解析は、下記の如く実行されてよい。
(a)振動計測処理
本発明による振動解析の振動計測処理に於いては、既に触れた如く、実際に道路上にて車両を走行させて路面高さの変位D、Dと車体にて発生する振動の特性を表す加速度値Y、X1〜4(振動特性値)、A、A(振動入力値の算出に利用される加速度値)とが逐次的に計測される。かかる振動計測のための車両の実路走行に於いて、振動の周波数特性をできるだけ広い範囲にて且つ細かく取得するために、車両の走行中にできるだけ多くの異なる周波数の振動が車体へ入力されるべきである。そこで、計測のための道路(試験用コース)は、できるだけ多くの異なる波長にて路面の高さが変位するよう構成されていることが好ましい。具体的には、一つの態様として、図3(A)に示されている如く、路面高さがステップ状に変位する道路が採用されてよい。ステップ状変位は、図示の如く、正弦波にて分解すると、多数の異なる波長の変位の組合せとなるので、その上を車輪が通過すると、多数の異なる周波数の振動が入力されることとなる。また、別の態様として、図3(B)に例示されている如く、多数の異なる波長の変位の組合せから成るランダムに路面高さが変位する道路が採用されてもよい。なお、かかるランダム路の方が、車両が通常走行する路面に近いこととなる。
更に、振動計測のための車両の走行に関して、既に触れた如く、好適には、車両は、種々の異なる車速にて走行させられて、振動計測が実行される。或る試験用コースにて車両を走行させる場合、式(1)に於いて、4つの路面変位成分Diを想定するときには、右輪変位と左輪変位、或いは、左右同相変位と左右逆相変位が独立であるとすると、2つ以上の異なる車速にて車両の走行及び振動の計測が実行される。
なお、振動計測処理に於いて計測された加速度値データ及び路面変位値データは、FFT変換処理により、周波数領域のデータに変換される。以下の演算処理は、周波数sを変数とした計測データのラプラス変換された値にて周波数s毎に実行される。
(b)振動入力値の算出
既に触れた如く、本発明の車両の振動解析では、式(1)の如く、車体の振動Yが、振動入力値として車輪に於ける路面の変位成分Diに起因して発生するとのモデルに基づいて実行される。4輪車両の場合、車輪に於ける路面変位成分Diとしては、前後左右輪の上下方向の変位の組、或いは、左右前輪同相入力、左右後輪同相入力、左右前輪逆相入力及び左右後輪逆相入力の組などであってよい。例えば、左右前輪同相入力D1(s)、左右後輪同相入力D2(s)、左右前輪逆相入力D3(s)及び左右後輪逆相入力D4(s)の組を振動入力値として用いる場合、各入力値は、左右輪の通過位置の車体に対する路面変位値D、D及び左右輪通過位置上下加速度値A、Aの周波数sを変数としたラプラス変換された値と車速Uとを用いて、下記の如く算出される。
Figure 0006090336
ここに於いて、Lf、Lrは、それぞれ、路面の変位の計測位置から前輪軸及び後輪軸までの距離である。式(3)の第一式及び第三式の分子の第一項及び第二項は、それぞれ、左前輪及び右前輪の変位であり、第二式及び第四式の分子の第一項及び第二項は、それぞれ、左後輪及び右後輪の変位である。上記の振動入力値は、計測データ毎に算出されてよい。例えば、或る試験用コースに於いて、車速30km/h、40km/h、50km/h、60km/h、70km/hにて車両の走行と振動計測を行った場合、試行毎に、そこで得られた左右輪の通過位置の車体に対する路面変位値D、D、左右輪通過位置上下加速度値A、A及び車速Uとを用いて、振動入力値D1(s)〜D4(s)が算出される。
(c)伝達関数の算出
かくして、(振動入力値の数以上の)振動特性値Y(s)と振動入力値D1(s)〜D4(s)とデータの組が得られると、重回帰分析の理論に従って、各振動入力値Di(s)に対する振動特性値Y(s)の伝達関数∂Y/∂Di(s)が算出される。具体的には、振動特性値Y(s)と振動入力値Di(s)との関係が式(1)により与えられるモデルに於いて多変数の最小自乗法を用いて、伝達関数は、下記の式により、算出されてよい。
Figure 0006090336
ここで、Σは、実行された計測データ(例えば、車速30km/h、40km/h、50km/h、60km/h、70km/hにて実行された車両の走行と振動計測の計測データ)の和を表している。また、Diは、Diの共役複素数である。式(4)に於いては、周波数s毎に演算が実行され、伝達関数∂Y/∂Di(s)が決定される。
(d)各振動入力値による振動の大きさの算出
かくして、伝達関数∂Y/∂Di(s)が決定されると、各振動入力値Diによる振動Yiの大きさが下記の式により算出される。
Figure 0006090336
上記の式(5)によれば、周波数s毎に、全体の振動Yに於ける各振動入力値Diによる寄与が把握されることとなり、車両の乗り心地性能の改善のための対策を考える場合に有利な情報となる。
(e)異なる路面条件及び/又は異なる車速条件に於ける振動レベルの推定
上記の如く伝達関数が決定されると、任意の路面条件及び/又は車速条件、即ち、振動計測を実行した路面条件又は車速条件とは異なる路面条件及び/又は車速条件に於いて発生されるべき振動レベルY’の大きさの推定が可能となる(異なる路面条件及び/又は車速条件への換算)。具体的には、任意の路面条件及び/又は車速条件に於ける振動レベルY’の大きさは、下記の式により与えられる。
Figure 0006090336
ここで、Lは、前輪軸−後輪軸間距離(ホイールベース)であり、Uは、任意の車速である。Dp’(s)、Do’(s)は、それぞれ、任意の路面に於ける左右輪に同相に入力される路面変位成分及び左右輪に逆相に入力される路面変位成分である。従って、式(6)によれば、任意の路面に於ける変位成分の周波数特性を任意の手法にて取得しておくことにより、その路面に於いて車両が走行した際に発生する振動Yが予測できることとなる。この特徴によれば、車両の走行が想定される路面の変位についての情報があれば、実際に車両を走行しなくても、車両に於いて発生する振動が予測又は推定できるので、かかる想定される路面上での車両の乗り心地性能の改善のための対策を考える場合に有利な情報となる。
(f)振動入力値としてばね下上下加速度値を用いた場合の伝達関数の算出
本発明の振動解析に於いては、振動入力値として、各輪の路面変位成分Diに代えて、各輪のばね下上下加速度値Xiを用いても、上記と同様に振動Yの伝達関数が算出される。即ち、式(1)に対応するモデルとして、
Y=b1・X1+b2・X2+b3・X3+b4・X4 …(7)
を想定すると(biは、ばね下上下加速度値Xiに対する振動Yの伝達関数(∂Y/∂Xi)である。)、各輪のばね下上下加速度値Xi(s)に対する振動Y(s)の伝達関数は、式(4)と同様に、下記の式により与えられる。
Figure 0006090336
また、各ばね下上下加速度値Xiによる振動Yiの大きさは、式(5)と同様に、下記の式により算出される。
Figure 0006090336
従って、上記のばね下上下加速度値を用いた場合の振動Yの伝達関数の算出を行う態様によれば、路面変位成分の計測を行わなくても、各輪のばね下上下加速度値に対する振動Yの寄与の大きさの把握が可能となる。
更に、任意の路面条件及び/又は車速条件に於ける振動レベルY’の大きさは、下記の式により与えられる。
Figure 0006090336
ここで、Dp(s)、Do(s)は、それぞれ、振動計測を行った路面に於ける左右輪に同相に入力される路面変位成分及び左右輪に逆相に入力される路面変位成分である。
実験例
上記に説明した本発明の振動解析の方法に従って、伝達関数の算出、振動レベルの検出等の実験を行い、本発明の有効性を検証した。なお、以下の実験例は、本発明の有効性を例示するものであって、本発明の範囲を限定するものではないことは理解されるべきである。
(a)伝達関数の算出例
図4は、試験用コースに於いて車速30km/h、40km/h、50km/h、60km/h、70km/hにて4輪車両の走行と振動計測を行って得られた路面変位成分に対するばね上上下加速度値の伝達関数とばね下上下加速度値の伝達関数の周波数特性の例を示している。路面変位成分は、式(3)により算出し、伝達関数は、式(4)により算出した。図に於いては、前輪同相入力に対するばね上加速度の伝達関数∂Ys/∂D1、前輪同相入力に対する前輪ばね下加速度の伝達関数∂Yuf/∂D1、後輪同相入力に対するばね上加速度の伝達関数∂Ys/∂D2、後輪同相入力に対する前輪ばね下加速度の伝達関数∂Yuf/∂D2のゲインと位相とがそれぞれ示されている。同図のゲインの周波数特性を参照して理解される如く、ばね上加速度の伝達関数に於いては、ばね上共振周波数にて極大が見られ、ばね下加速度の伝達関数に於いては、ばね下共振周波数にて極大が見られた。伝達関数の極大は、その周波数に於いて、振動伝達が極大となることを示している。この結果は、本発明の振動解析技術によれば、車両のばね上共振、ばね下共振などの共振点の検出ができる安定した伝達関数の検出が可能であることを示唆している。
(b)各振動入力値の車体振動に対する寄与の検出
図5は、本発明の振動解析技術に従って、各路面入力成分に対する車両の前後加速度の伝達関数を算出した後、各路面入力成分による前後加速度の振動の大きさの周波数スペクトルを個別に算出した例を示している。なお、車両の走行と振動の計測は、図4の場合と同様に実行した。路面変位成分は、式(3)により算出し、伝達関数は、式(4)により算出した。また、振動の大きさは、路面入力成分毎に式(5)により算出した。同図に於いて、「変更前」と付された値は、或る試験車両について得られた値であり、「変更後」と付された値は、かかる試験車両に於いてリアサスペンションの側面視に於ける配置を変更した場合に於いて得られた値である。同図の、特に(C)を参照して、図中矢印にて示されている如く、後輪同相入力による振動の大きさの「変更前」と「変更後」周波数スペクトルに於いて、有意な差異が観察された。このことは、リアサスペンションの配置の変更により、後輪同相入力による振動に対する寄与が変化したことを示している。
また、図6は、本発明の振動解析技術に従って、各路面入力成分に対する車両の左右加速度の伝達関数を算出した後、各路面入力成分による左右加速度の振動の大きさの周波数スペクトルを個別に算出した例を示している。車両の走行と振動の計測及び振動の大きさの周波数スペクトルは、図5の場合と同様に行った。同図に於いて、「変更前」と付された値は、或る試験車両について得られた値であり、「変更後」と付された値は、かかる試験車両に於いてフロントサスペンションの背面視に於ける配置を変更した場合に於いて得られた値である。同図の、特に(B)を参照して、図中矢印にて示されている如く、前輪逆相入力による振動の大きさの「変更前」と「変更後」周波数スペクトルに於いて、有意な差異が観察された。このことは、フロントサスペンションの配置の変更により、前輪逆相入力による振動に対する寄与が変化したことを示している。
かくして、図5及び図6の結果は、本発明の振動解析技術によれば、車体振動に於ける各振動入力値の寄与を個別に検出することができ、また、車体の構造の変更による車体振動に於ける各振動入力値の寄与の影響を観察できることを示している。
(c)任意の路面条件及び/又は車速条件に於ける振動レベルの推定
本発明の振動解析技術に従って、或る試験用コースに於いて計測された振動データを用いて算出された各路面変位入力に対する振動の伝達関数を用いて、別の路面条件及び車速条件に於いて車両を走行させた場合に得られるべき振動レベルを算出し、その別の路面条件及び車速条件に於いて車両を実際に走行させた場合に得られた振動レベルと比較した。伝達関数の算出は、試験用コースAに於いて種々の車速での車両走行及び振動計測を行って得られた結果から、式(3)、(4)を用いて算出した。そして、算出された伝達関数を用いて、式(6)を用いて、別の試験用コースBに於いて或る車速Uにて走行させた場合に得られるべき振動レベルを算出した。図7は、本発明の振動解析技術に従って試験用コースAに於ける車両走行及び振動計測から得られた伝達関数を用いて算出された試験用コースBに於いて車速Uにて走行させた場合に得られるべきドライバ席の上下加速度、前後加速度及び左右加速度の振動の周波数スペクトル(「換算結果」)と、試験用コースBに於いて実際に車速Uにて車両を走行させた場合に得られたドライバ席の上下加速度、前後加速度及び左右加速度の振動の周波数スペクトル(「実測結果」)とが示されている。図7を参照して理解される如く、ドライバ席の上下加速度、前後加速度及び左右加速度の振動の周波数スペクトルのいずれの場合も、「換算結果」と「実測結果」とは、良好に一致した。このことは、本発明の振動解析技術により算出された伝達関数を用いて、任意の路面条件及び/又は車速条件に於いて生ずる振動レベルが推定可能であることを示唆している。
(d)ばね下上下加速度値を振動入力値として用いた場合
本発明の振動解析技術に従って、或る試験用コースに於いて車両を走行させた場合のばね下上下加速度値を振動入力値として用いて車体振動の伝達関数を算出し、かかる伝達関数を用いて別の路面条件及び車速条件に於いて車両を走行させた場合に得られるべき振動レベルを算出し、その別の路面条件及び車速条件に於いて車両を走行させた場合に実際に得られた振動レベルと比較した。伝達関数の算出は、試験用コースAに於いて種々の車速での車両走行及び振動計測を行って得られた各輪ばね下上下加速度値とばね上加速度値の結果から式(8)を用いて算出した。そして、算出された伝達関数を用いて、式(10)を用いて、別の試験用コースBに於いて或る車速Uにて走行させた場合に得られるべき振動レベルを算出した。図8は、本発明の振動解析技術に従って試験用コースAに於ける車両走行及び振動計測から得られた伝達関数を用いて算出された試験用コースBに於いて或る車速Uにて走行させた場合に得られるべきドライバ席の上下加速度、前後加速度及び左右加速度の振動の周波数スペクトル(「換算結果」)と、試験用コースBに於いて実際に車速Uにて車両を走行させた場合に得られたドライバ席の上下加速度、前後加速度及び左右加速度の振動の周波数スペクトル(「実測結果」)とが示されている。図8を参照して理解される如く、ドライバ席の上下加速度、前後加速度及び左右加速度の振動の周波数スペクトルのいずれの場合も、「換算結果」と「実測結果」とは、良好に一致した。このことは、本発明の振動解析技術により各輪のばね下上下加速度値を振動入力値として用いて算出された伝達関数によって、任意の路面条件及び/又は車速条件に於いて生ずる振動レベルが推定可能であることを示唆している。
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。

Claims (11)

  1. 車両の振動解析方法であって、
    前記車両を該車両の進行方向に沿って種々の波長にて高さが変位する路面上にて走行させる過程と、
    前記路面上にて走行中の前記車両の車体の部位に於ける振動特性値を計測する過程と、
    前記車体の部位に於ける振動特性値を惹起する少なくとも二つの振動入力値として前記車両の各輪に於ける路面変位若しくはその関数又はばね下加速度値を取得する過程と、
    前記車体の部位に於ける振動特性値を目的変数として用い、前記少なくとも二つの振動入力値を説明変数として用いて、重回帰分析により偏回帰係数として前記少なくとも二つの振動入力値の各々に対する前記車体の部位に於ける振動特性値の伝達関数を算出する過程と
    を含む方法。
  2. 請求項1の方法であって、前記車両を該車両の進行方向に沿って種々の波長にて高さが変位する路面上にて走行させる過程に於いて、異なる車速にて前記車両を走行させる方法。
  3. 請求項1又は2の方法であって、前記少なくとも二つの振動入力値が前記車両の各輪に於ける路面変位の関数であり、前記車体の部位に於ける振動特性値が前記車両のばね上加速度値又はばね下加速度値である方法。
  4. 請求項1又は2の方法であって、前記少なくとも二つの振動入力値が、左右前輪にて同相に変位する路面変位成分と、左右後輪にて同相に変位する路面変位成分と、左右前輪にて逆相に変位する路面変位成分と、左右後輪にて逆相に変位する路面変位成分とを含む方法。
  5. 請求項1又は2の方法であって、前記少なくとも二つの振動入力値が前記車両の各輪に於けるばね下加速度値であり、前記車体の部位に於ける振動特性値が前記車両のばね上加速度である方法。
  6. 請求項1の方法であって、前記少なくとも二つの振動入力値のうちの一つと、それに対応する前記伝達関数とを用いて、前記少なくとも二つの振動入力値のうちの一つにより惹起される前記車体の部位に於ける振動特性値の振動の大きさを算出する過程を更に含む方法。
  7. 請求項1の方法であって、前記伝達関数を用いて、該伝達関数の算出に用いた前記車体の部位に於ける振動特性値の計測及び前記振動入力値の取得を行った際に走行した路面とは異なる路面にて前記車両を走行させた場合に得られるべき前記車体の部位に於ける振動特性値を推定する過程を更に含む方法。
  8. 請求項1の方法であって、前記伝達関数を用いて、該伝達関数の算出に用いた前記車体の部位に於ける振動特性値の計測及び前記振動入力値の取得を行った際の車速とは異なる車速にて前記車両を走行させた場合に得られるべき前記車体の部位に於ける振動特性値を推定する過程を更に含む方法。
  9. 請求項1の方法であって、前記路面がランダムに高さが変位する路面である方法。
  10. 請求項1の方法であって、前記路面がステップ状に高さが変位する路面である方法。
  11. 車両の振動解析装置であって、
    前記車両を該車両の進行方向に沿って種々の波長にて高さが変位する路面上にて走行させる間に於いて前記車両の車体の部位に於ける振動特性値を計測する振動特性値計測部と、
    前記車体の部位に於ける振動特性値を惹起する少なくとも二つの振動入力値として前記車両の各輪に於ける路面変位若しくはその関数又はばね下加速度値を取得する振動入力値取得部と、
    前記車体の部位に於ける振動特性値を目的変数として用い、前記少なくとも二つの振動入力値を説明変数として用いて、重回帰分析により偏回帰係数として前記少なくとも二つの振動入力値の各々に対する前記車体の部位に於ける振動特性値の伝達関数を算出する伝達関数算出部と
    を含む装置。
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