以下、図1〜図13を用いて、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図1及び図2を用いて、本実施形態による作業機械の周囲監視装置が搭載される作業機械の全体構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置が搭載される作業機械の全体構成を示す平面構成図である。図2は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置が搭載される作業機械の全体構成を示す側面構成図である。なお、図1及び図2において、同一符号は同一部分を示している。
ここでは、作業機械の一例はダンプトラックであり、ダンプトラックに本実施形態による作業機械の周囲監視装置が搭載されている。なお、作業機械はダンプトラックには限定されないものであり、所定の作業(運搬や掘削等)を行う任意の作業機械に本実施形態の装置を適用することができる。
図1に示すように、ダンプトラック1は、車体フレーム2と、前輪3(3L,3R)と、後輪4(4L,4R)と、ベッセル5と、カメラ6(6a,6b)と、運転席7と、画像処理装置50と、モニタ61とを備えている。車体フレーム2はダンプトラック1の本体を形成するものであり、車体フレーム2の前方に前輪3、後方に後輪4を設けている。なお,前輪3Rは右方の前輪3であり、前輪3Lは左方の前輪3である。また、後輪4Rは右方の後輪4であり、後輪4Lは左方の後輪4である。ベッセル5は荷台であり、土砂や鉱物等を積載する。ベッセル5は起伏可能に構成されている。
ダンプトラック1には任意の位置に撮像部としてのカメラを設置することができる。
本例では、カメラ6aはダンプトラック1の前方の斜め下方を俯瞰するような前方視野範囲11(図2の破線の範囲)が撮影されるように設置した場合、自車の前方の一部15が視野範囲になる。
また、図2に示すように、カメラ6aは運転席7の前方に取り付けられ、カメラ6bは運転席7の右側方に取り付けられている。そして、カメラ6aはダンプトラック1の前方の斜め下方を俯瞰するような前方視野範囲11(図中の破線の範囲)で、カメラ6bはダンプトラック1の右側方の斜め下方を俯瞰するような右側方視野範囲12(図中の破線の範囲)で行なっている。カメラ6a及びカメラ6bが撮影した映像は画像データとして画像処理装置50に出力される。
運転席7はオペレータが搭乗してダンプトラック1を操作する各種の操作手段が設けられている。例えば,ダンプトラック1を前進または後進させるシフトレバー等が操作手段として設けられている。運転席7には画像処理装置50とモニタ61とが設けられており、カメラ6a及びカメラ6bが撮影することにより生成される画像データは画像処理装置50で所定の画像処理が行なわれる。画像処理が行なわれた画像データはモニタ61に表示される。モニタ61は表示装置であり、基本的にモニタ61にはカメラ6a及びカメラ6bが撮影する映像が表示されている。
ここで、図2においては,前方視野範囲11はダンプトラック1の前方の斜め下方の領域となっている。なお,図2に示した前方視野範囲11は一例であり,作業員,他の作業機械,サービスカー等が視野範囲に含まれることもある。右側方視野範囲12も同様である。
次に、図3を用いて、本実施形態による作業機械の周囲監視装置の構成について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の構成を示すブロック図である。
画像処理装置50は、自車検出部51と、画像入力部54と、基準画像記憶部55と、画像記憶部56と、処理対象領域設定部57と、物体検知部58と、物体接近度判定部59と、表示制御部60とを備えている。自車検出部51は、背景分離部52と、境界設定部53とを備えている。背景分離部52には、境界補正器81からの信号が入力し、境界を補正することができる。
画像入力部54は、カメラ6により撮影されてカメラ画像を入力する。ここで、予め、カメラ設置時等に作業機械の周囲の自車周辺に車両が存在しない画像を画像入力部54から入力して、基準画像記憶部55に基準とする画像として記憶しておく。自車検出部51の背景分離部52は、基準画像記憶部55に記憶した基準画像から作業機械自身(以下、「自車」とする)と背景を分離し、境界設定部53は、背景と自車の境界データを設定する。背景分離部52の処理の詳細は、図4を用いて後述する。境界設定部53の処理の詳細は、図7を用いて後述する。処理対象領域設定部57は、境界設定部53で設定した境界データを用いて処理対象領域を設定する。
次に、画像記憶部56は、処理対象領域設定部57に設定された処理対象領域を用いて、画像入力部54から入力した、監視対象とする作業機械の周囲を撮影している画像を入力して記憶する。物体検知部58は、画像記憶部56の入力画像に対して処理対象領域設定部57の処理対象領域を用いて、車や作業員等の物体を検知する。物体接近度判定部59は、物体検知部58が検知した物体の位置と境界設定部53で設定した境界データの位置から物体の接近度を判定する。
更に、表示制御部60は、境界設定部53で設定した境界データや物体接近度判定部59で判定した接近度に応じて、画像入力部54で入力して記憶した画像記憶部56の画像に物体の接近度を重畳して表示する制御を行って、モニタ61に表示する。これにより、作業機械の運転者は、作業機械の停止時及び移動時でも、作業機械の下に潜る車や作業員等の物体、及び、作業機械の周囲に存在する車や作業員等の物体の接近度をモニタ61で判断することができる。
一方、物体接近度判定部59は、物体検知部58で検知した物体の位置と境界設定部53で設定した境界データの位置から、境界データに接触している場合は、接近度最大とし、境界データから離れるに従って接近度を大、中、小等と判定して、表示制御部60は、接近度の大小に応じた表示制御を行って、モニタ61に表示する。これにより、運転員は、表示装置61の結果を目視等で把握して機械の操作を判断することに加えて、運転を停止し、周囲に存在する物体の内、接近度の高い物体を機械周囲から速やかに他の支障のない場所に移動させる指示等を行うことにより、物体との接触の可能性を低減することができる。
なお、本例は、カメラ6aでそのまま入力された映像の説明であるが、カメラ6a及びカメラ6b等、複数のカメラ映像を合成した俯瞰画像等に適用しても同様であり、自車や自車に準ずる模擬自車と背景シーンが存在している映像ならば何でもよい。
次に、図4〜図6を用いて、本実施形態による作業機械の周囲監視装置における背景分離部52の処理内容について説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置における背景分離部の処理内容を示すフローチャートである。図5及び図6は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置における背景分離部の処理内容の説明図である。
まず、図4のステップS1において、背景分離部52は、基準画像記憶部55に記憶された画像を用いて、平滑化処理を行い、画像のノイズを低減する。次に、ステップS2において、最大値フィルタ等の処理を行い、黒い細い線を除去する。そして、ステップS3において、輪郭を抽出する処理を行う。ステップS4において、ステップS3で抽出した輪郭を所定の閾値で2値化する処理を行い、ステップS5において、ステップS4の2値画像に対して、膨張及び収縮等の整形処理を行う。
一方、ステップS6において、最小値フィルタ等の処理を行い、白い細い線を除去する。次に、ステップS7において、輪郭を抽出する処理を行う。ステップS8において、ステップS7で抽出した輪郭を、所定の閾値で2値化する処理を行い、ステップS9において、ステップS8の2値画像に対して、膨張及び収縮等の整形処理を行う。
次に、ステップS10において、ステップS5で整形処理した画像とステップS9で整形処理した画像の共通領域を抽出する。すなわち、両画像の平均画像を算出する。そして、ステップS11において、Y方向の投影分布の算出を行い、ステップS12において、Y方向の投影分布の最大値を算出する。そして、ステップS13において、ステップS12で算出したY方向の最大値の位置(Y座標)の線を境界候補として算出する。
更に、ステップS14において、基準画像記憶部55で記憶した画像に境界候補位置の線を重畳し、ステップS15において、作業員が、モニタ61に表示した境界候補の良否を確認して境界候補の補正処理の必要性を判定する。
補正処理が必要の場合、ステップS16において、作業員が境界補正処理を行い、ステップS17において補正がOKになるまで、ステップS16で境界補正処理を続ける。ステップS15で補正処理が必要のないと判断した場合、ステップS18において、境界として決定し、境界設定部53へ出力する。
これにより、自車と背景を分離する境界を画像に重畳して表示するため、カメラを上下左右に動かすことにより、自車と背景の境界が入力画像に追随して表示できるため、最適なカメラ設置の支援が可能になる。
次に、図5を用いて、図4に示した処理の具体例について説明する。
図5は、カメラ6aが広角でない場合の入力映像の例であり、自車の前方の一部15が歪まない映像となる。
図5(A)に示すように、図4のステップS11で算出したY投影分布80から、ステップS12で算出した投影分布の最大値を用いて、ステップS13で境界候補を算出し、ステップS14で、境界候補位置として画像に線87を重畳する。なお、本来であれば、ステップS12で算出した投影分布80の最大値の位置は自車15と背景16の境界の位置に一致するものである。しかし、図5(A)に示す例では、投影分布80の最大値の位置は自車15と背景16の境界の位置とはずれている。これは、画像のノイズ等の影響によるものであり、背景画像のノイズ状態によっては、図4のステップS1〜S13の処理により求められる境界の候補が、実際の境界の位置とずれていることがある。このようなズレがあると、自車に接近する物体を認知するための認知性が低下することになる。
このようにズレが生じた場合、カメラを設置する作業員は、モニタ61を見て、自車15と背景16の境界がずれているため、図5(D)に示す境界補正器81を用いて補正する操作を行う。
境界補正器81のうち、下方移動ボタン84の押下と離す動作を繰り返すことで、図5(B)に示すように、1回押下して離してn画素(例えば1画素)ずつ下方へ移動89させて、補正中の境界候補88を確認しながら、自車15と背景16の境界が前方の一部15と一致したところで、確定ボタン86を押して境界として確定し、図5(C)に示すように、境界90として決定する(ステップS18)。
一方、上方で移動する場合は、境界補正器81のうち、上方移動ボタン82を用い、左方へ移動する場合は、左方移動ボタン83を用い、右方へ移動する場合は、右方移動ボタン85を用いる。
なお、上述した自車15と背景16との境界に重畳する境界線90は、運転員に目立つような黄色や赤色等を表示してもよい。
これにより、自車と背景を分離する境界を自動検知する際に、カメラ画像のノイズ等の影響で、境界の位置がずれることがあるが、このような場合でも、境界補正器を用いて、境界の位置を補正できるため、自車に接近する物体を認知するための認知性を向上できるものとなる。
また、カメラを用いた画像処理により、自車と背景を分離する境界を検知して、入力画像に境界を重畳して表示するため、カメラを上下左右に動かしても、自車と背景の境界が入力画像に追随して表示できるため、最適なカメラ設置の支援が可能になる。
なお、境界補正器81は、作業員が操作しやすい場所ならどこでもよいが、例えばハンドル等の近くに置いてもよい。
次に、図6を用いて、図4に示した処理の他の具体例について説明する。
図6は、カメラ6aが広角の場合の入力映像の例であり、自車の前方の一部15が歪む映像となる。
図6の境界補正処理S16の動作のうち、図5にて説明したものと同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
カメラを設置する作業員は、モニタ61を見て、自車15と背景16の境界がずれているため、境界補正器81を用いて、境界を補正する操作を行う。
境界補正器81のうち、まず、下方移動ボタン84の押下と離す動作を繰り返し、図6(B)に示すように、1回押下して離してn画素(例えば1画素)ずつ下方へ移動89させて、自車15の左端位置93と右端位置94が一致したところを、境界候補91とする。
次に、図6(C)に示すように、左端位置92と右端位置93の中央位置94を基軸にして、下方移動ボタン84を押下し続けて(矢印95)自車15の境界と一致するところを確認しながら操作を行い、一致したところで、下方移動ボタン84を離して、確定ボタン86を押して境界として確定させ、図6(D)に示すように、境界97として決定する(ステップS18)。
次に、図7を用いて、本実施形態による作業機械の周囲監視装置における物体検知部58の処理内容について説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置における物体検知部の処理内容を示すフローチャートである。なお、図4と同一ステップ番号は、同様の処理内容を示している。
まず、ステップS50において、物体検知部58は、境界設定部53で設定した境界を、検知対象として入力したカメラ画像を記憶する画像記憶部56に重畳して描画する境界描画処理を行う。
次に、ステップS51において、入力した画像記憶部56の画像の輝度情報等を用いて昼夜判定を行う。ステップS52において、昼間と判定した場合、ステップS53において、昼間用の平滑化パラメータを設定する。一方、ステップS52で昼間でないと判定した場合、ステップS54において、夜間用の平滑化パラメータを設定する。ここで、昼間は明るいため、例えば、ステップS53で設定した昼間用の平滑化パラメータは、ステップS54で設定した夜間用の平滑化パラメータより、平滑化回数を大きくする。
次に、ステップS1で平滑化処理を行い、ステップS2で黒い細い線の除去を行った後、ステップS55において輝度の低い部分を明るくするガンマ補正を行って、ステップS56において、輝度を正規化する。
また、ステップS1で平滑化処理を行い、ステップS6で白い細い線の除去を行った後、ステップS57において輝度の低い部分を明るくするガンマ補正を行って、ステップS58において、輝度を正規化する。
更に、ステップS1で平滑化処理を行った画像に対して、ステップS59において輝度の低い部分を明るくするガンマ補正を行って、ステップS60において、輝度を正規化する。ステップS61において、ステップS60が正規化した画像を用いて、物体の特徴を示すコーナーを検知し、検知したコーナー(コーナー付近でもよい)を抽出して2値画像を作成する。物体が車両の場合は、車両の輪郭の角部がコーナーとして検知される。また、物体が人体である場合は、肩や腕等がコーナーとして検知される。
次に、ステップS62において、ステップS61とステップS5とステップS9で算出した2値画像の共通領域を抽出する。そして、ステップS63において、処理対象領域設定部57で設定した処理対象領域内に所定値以上の面積(画素数)部を物体候補として抽出する。
最後に、ステップS64において、直前に取り込んだ画像と、ステップS63で抽出した物体候補が今回取り込んだ画像においても、同一位置付近に存在するかをチェックする追跡を行う。そして、ステップS65において、所定回数以上追跡できたか否か判定し、所定回数以上追跡できた場合、ステップS66において、物体を検知したと判定して、物体接近度判定部59へ出力する。ステップS65で、追跡が所定回数未満の場合、ステップS51へ戻って処理を行う。所定回数としては、例えば、数回(2回〜5回)である。この処理により、ノイズ等の影響で物体と誤検出した場合でも、その誤検出を回避できる。
次に、図8及び図9を用いて、本実施形態による作業機械の周囲監視装置における物体接近度判定部59の処理内容について説明する。
図8は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置における物体接近度判定部の処理内容を示すフローチャートである。図9は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置における物体接近度判定部の処理内容の説明図である。
ステップS70において、境界設定部53と物体検知部58から、境界と物体の位置関係をチェックする。境界に接触している場合は、ステップS71において接近度が最大と判定し、境界に近い場合は、ステップS72において接近度が大と判定する。また、境界にやや近い場合は、ステップS73において接近度がやや大と判定し、境界からやや遠い場合は、ステップS74において接近度が中程度と判定する。さらに、境界から遠い場合は、ステップS75において注意と判定する。
更に、ステップS76において、ステップS7の場合、自車に潜る物体ありとする。また、ステップS77において、ステップS72とステップ73の場合、自車の近くに物体ありとする。また、ステップS78において、ステップS74とステップ75の場合、自車の遠方に物体ありとする。
ここで、図9を用いて、作業機械の周囲監視装置のモニタ61の表示例について説明する。
例えば、自車15と背景16の境界97に接触している場合、ステップS76が潜る物体80があるとして、図8のステップS71により接近度最大とするため、接近度最大マーク81と文字列の接近度最大82を、モニタ61に表示する。
また、自車15と背景16の境界97からやや近い場合、ステップS77が近くに物体83があるとして、ステップS73により接近度やや大とするため、接近度マーク84と文字列の接近度85を、モニタ61に表示する。
更に、自車15と背景16の境界97から遠い場合、ステップS78が遠方に物体86があるとして、ステップS75により注意とするため、注意マーク87と文字列の注意88を、モニタ61に表示する。
本例は、車や作業員等の物体の検知にカメラを用いた画像処理により、自車の停止時に下に潜る車や作業員等の物体を検知して最も強調表示するため、発進直前に最も接近した状態にある物体が一目瞭然となり、不要な接近を回避することが可能になるとともに、作業効率の向上が実現できる。
また、車や作業員等の物体の検知にカメラを用いて画像処理を行うことにより、作業機械の停止時及び移動時でも、自車の周囲に存在する車や作業員等の物体を検知して強調表示するため、停止時及び移動時に接近した物体が一目瞭然となり、不要な接近を回避することが可能になるとともに、作業効率の向上が実現できる。
次に、図10及び図11を用いて、本実施形態による作業機械の周囲監視装置における表示例について説明する。
図10及び図11は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置における表示例の説明図である。
最初に、図10は、作業機械の周囲監視装置のカメラ6aにずれが発生した場合の表示例を示している。
作業機械の周囲監視装置の境界設定部53で設定した自車15と背景16の境界90は、周囲監視中は、逐次取り込んだカメラ画像に重畳して常時表示するため、時間経過に伴い、振動等でカメラがずれる場合もある。
例えば、カメラが上方にずれる(俯角が小さくなる)と、境界90は、自車15の上方に重畳された状態になる。作業機械の運転員は、作業中にモニタ61を目視で確認すれば、撮影範囲が初期設置から上方にずれたことをリアルタイムに確認でき、カメラの設置を修正することや、カメラの設置者に報知することができる。
これにより、自車と背景を分離する境界を検知して、入力画像に境界を重畳して表示するため、作業機械の振動等でカメラがずれた場合、初期に設置した位置からのカメラずれが一目瞭然となり、撮影範囲が初期設置からずれたことをリアルタイムに確認することが可能になる。
図11は、作業機械の周囲監視装置のカメラ6aにずれが発生した場合を説明する他の例を示している。
例えば、カメラが下方にずれる(俯角が大きくなる)と、境界90は、自車15の下方に重畳された状態になる。作業機械の運転員は、作業中にモニタ61を目視で確認すれば、撮影範囲が初期設置から下方にずれたことをリアルタイムに確認でき、カメラの設置を修正することや、カメラの設置者に報知することができる。
次に、図12及び図13を用いて、本実施形態による作業機械の周囲監視装置が搭載される作業機械の他の全体構成について説明する。
図12は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置が搭載される作業機械の他の例の全体構成を示す平面構成図である。図13は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置が搭載される作業機械の他の例の全体構成を示す側面構成図である。なお、図12及び図13において、同一符号は同一部分を示している。
ここでは、作業機械の一例は油圧ショベルであり、油圧ショベルに本実施形態による作業機械の周囲監視装置が搭載されている。
図12及び図13に示すように、油圧ショベル1Aは、アーム,ブーム,バケットなどからなる作業機100と、下部走行体101,102と、上部旋回体103と、カメラ6(6A,6B,6C,6Dc)と、運転席7と、画像処理装置50と、モニタ61とを備えている。上部旋回体103は、下部走行体101,102の上部に先回可能に保持されている。下部走行体101,102は、上部旋回体103を前後左右方向に走行する。作業機100は、上部旋回体103に取り付けられている。
油圧ショベル1Aには任意の位置に撮像部としてのカメラを設置することができる。本例では、カメラ6Aは油圧ショベル1Aの前方の斜め下方を俯瞰するような前方視野範囲が撮影されるように設置されている。カメラ6B,6Cは、それぞれ油圧ショベル1Aの左右の斜め下方を俯瞰するような左右視野範囲が撮影されるように設置されている。カメラ6Dは油圧ショベル1Aの後方の斜め下方を俯瞰するような後方視野範囲が撮影されるように設置されている。
運転席7には画像処理装置50とモニタ61とが設けられており、カメラ6が撮影することにより生成される画像データは画像処理装置50で所定の画像処理が行なわれる。画像処理が行なわれた画像データはモニタ61に表示される。モニタ61は表示装置であり、基本的にモニタ61にはカメラ6が撮影する映像が表示されている。
以上説明したように、本実施形態によれば、境界の位置を補正することができるため、自車に接近する物体を認知するための認知性を向上できる。
また、車や作業員等の物体の検知にカメラを用いた画像処理により、自車の停止時に下に潜る車や作業員等の物体を検知して最も強調表示するため、発進直前に最も接近した状態にある物体が一目瞭然となり、物体の接近を回避することが可能になるとともに、作業効率の向上が実現できる。
また、作業機械の停止時及び移動時でも、自車の周囲に存在する車や作業員等の物体を検知して強調表示するため、停止時及び移動時に接近した物体が一目瞭然となり、不要な接近を回避することが可能になるとともに、作業効率の向上が実現できる。
更に、自車と背景を分離する境界を検知して、入力画像に境界を重畳して表示するため、カメラを上下左右に動かしても、自車と背景の境界が入力画像に追随して表示できるため、最適なカメラ設置の支援が可能になる。
更に、自車と背景を分離する境界を検知して、入力画像に境界を重畳して表示するため、作業機械の振動等でカメラがずれた場合、初期に設置した位置からのカメラずれが一目瞭然となり、撮影範囲が初期設置からずれたことをリアルタイムに確認することが可能になる。
次に、図14及び図15を用いて、本発明の第2の実施形態による作業機械の周囲監視装置の構成及び動作について説明する。なお、本実施形態による作業機械の周囲監視装置が搭載される作業機械の全体構成は、図1及び図2や図12及び図13に示したものと同様である。
最初に、図14を用いて、本実施形態による作業機械の周囲監視装置の構成について説明する。
図14は、本発明の第2の実施形態による作業機械の周囲監視装置の構成を示すブロック図である。なお、図3と同一符号は同一部分を示している。
画像処理装置50Aは、自車検出部51Aと、画像入力部54と、直前画像記憶部55Aと、画像記憶部56と、処理対象領域設定部57と、物体検知部58と、物体接近度判定部59と、表示制御部60とを備えている。自車検出部51Aは、背景分離部52Aと、境界設定部53と、走行判別部63とを備えている。走行判定部63には、車速センサ82からの車速の信号を用いて作業機械が走行中か否かを判定する。背景分離部52には、走行判定部63からの走行状態と判定した信号が入力すると、そのときの画像を用いて、境界を自動補正することができる。
画像入力部54は、カメラ6により撮影されてカメラ画像を入力する。直前画像記憶部55Aには、直前の画像を記憶されている。例えば、カメラ6により毎秒30フレームの画像を撮影していたとすると、現在の画像を含めて1フレーム分前の画像を直前画像記憶部55Aに記憶される。直前画像記憶部55Aに記憶された画像は、後述するように、他の画像と比較される画像であるため、基準となる画像とも言える。従って、直前画像記憶部55Aは、図3に示した基準画像記憶部55の一種の態様でもある。自車検出部51Aの背景分離部52Aは、走行判定部63により走行状態と判定されると、直前画像記憶部55Aに記憶した画像と、画像入力部54からの現在の画像を比較して、共通している箇所を作業機械自身(以下、「自車」とする)と判定する。すなわち、作業機械の走行状態において、カメラは作業機械に固定されているため、カメラにより撮影された画像の中で自車の部分は複数フレームに同じ画像として捉えられているのに対して、背景の画像は作業機械の走行により刻一刻と変化する。それにより、背景分離部52Aは、自車と背景を分離し、境界設定部53は、背景と自車の境界データを設定する。背景分離部52Aの処理の詳細は、図15を用いて後述する。処理対象領域設定部57は、境界設定部53で設定した境界データを用いて処理対象領域を設定する。
次に、画像記憶部56は、処理対象領域設定部57に設定された処理対象領域を用いて、画像入力部54から入力した、監視対象とする作業機械の周囲を撮影している画像を入力して記憶する。物体検知部58は、画像記憶部56の入力画像に対して処理対象領域設定部57の処理対象領域を用いて、車や作業員等の物体を検知する。物体接近度判定部59は、物体検知部58が検知した物体の位置と境界設定部53で設定した境界データの位置から物体の接近度を判定する。
更に、表示制御部60は、境界設定部53で設定した境界データや物体接近度判定部59で判定した接近度に応じて、画像入力部54で入力して記憶した画像記憶部56の画像に物体の接近度を重畳して表示する制御を行って、モニタ61に表示する。これにより、作業機械の運転者は、作業機械の停止時及び移動時でも、作業機械の下に潜る車や作業員等の物体、及び、作業機械の周囲に存在する車や作業員等の物体の接近度をモニタ61で判断することができる。
一方、物体接近度判定部59は、物体検知部58で検知した物体の位置と境界設定部53で設定した境界データの位置から、境界データに接触している場合は、接近度最大とし、境界データから離れるに従って接近度を大、中、小等と判定して、表示制御部60は、接近度の大小に応じた表示制御を行って、モニタ61に表示する。これにより、運転員は、表示装置61の結果を目視等で把握して機械の操作を判断することに加えて、運転を停止し、周囲に存在する物体の内、接近度の高い物体を機械周囲から速やかに他の支障のない場所に移動させる指示等を行うことにより、物体との接触の可能性を低減することができる。
次に、図15を用いて、本実施形態による作業機械の周囲監視装置における背景分離部52Aの処理内容について説明する。
図15は、本発明の第2の実施形態による作業機械の周囲監視装置における背景分離部の処理内容を示すフローチャートである。
ステップS80において、背景分離部52Aは、走行判定部63からの情報により、車両が走行状態か否かを判定する。走行状態と判定されると、ステップS81において、画像入力部54から入力した現在の画像と、直前画像記憶部55Aに記憶された1フレーム前の画像とに対して、画素毎の差分処理を施す。そして、ステップS82において、2値化処理を施し、ステップS83において、変化のない領域を抽出する。さらに、ステップS84において、ステップS83で抽出された変化のない領域の輪郭を算出する。そして、ステップS84において、変化のない領域の最上部を位置を抽出して、境界候補とする。
更に、ステップS14において、直前画像記憶部55Aで記憶した画像に境界候補位置の線を重畳し、ステップS15において、作業員が、モニタ61に表示した境界候補の良否を確認して境界候補の補正処理の必要性を判定する。
補正処理が必要の場合、ステップS16において、作業員が境界補正処理を行い、ステップS17において補正がOKになるまで、ステップS16で境界補正処理を続ける。ステップS15で補正処理が必要のないと判断した場合、ステップS18において、境界として決定し、境界設定部53へ出力する。
これにより、自車と背景を分離する境界を画像に重畳して表示するため、カメラを上下左右に動かすことにより、自車と背景の境界が入力画像に追随して表示できるため、最適なカメラ設置の支援が可能になる。
以上説明したように、本実施形態によれば、境界の位置を自動的に補正することができるため、自車に接近する物体を認知するための認知性を向上できる。
また、車や作業員等の物体の検知にカメラを用いた画像処理により、自車の停止時に下に潜る車や作業員等の物体を検知して最も強調表示するため、発進直前に最も接近した状態にある物体が一目瞭然となり、物体の接近を回避することが可能になるとともに、作業効率の向上が実現できる。
また、作業機械の停止時及び移動時でも、自車の周囲に存在する車や作業員等の物体を検知して強調表示するため、停止時及び移動時に接近した物体が一目瞭然となり、不要な接近を回避することが可能になるとともに、作業効率の向上が実現できる。
更に、自車と背景を分離する境界を検知して、入力画像に境界を重畳して表示するため、カメラを上下左右に動かしても、自車と背景の境界が入力画像に追随して表示できるため、最適なカメラ設置の支援が可能になる。
更に、自車と背景を分離する境界を検知して、入力画像に境界を重畳して表示するため、作業機械の振動等でカメラがずれた場合、初期に設置した位置からのカメラずれが一目瞭然となり、撮影範囲が初期設置からずれたことをリアルタイムに確認することが可能になる。
次に、図16〜図20を用いて、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第1の変形例の構成及び動作について説明する。
最初に、図16を用いて、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第1の変形例の構成について説明する。
図16は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第1の変形例の構成を示すブロック図である。なお、図3と同一符号は同一部分を示している。
本例は、カメラ6aが広角の場合であって、画像処理装置50Bは、カメラデータ入力部62、自車検出部51Bの背景分離部52B及び境界設定部53と、画像入力部54、基準画像記憶部55、画像記憶部56、処理対象領域設定部57、物体検知部58、物体接近度判定部59、表示制御部60とを備えている。
画像処理装置50Bは、図3に示した画像処理装置50とは、カメラデータ入力部62を備えた点であり、それに伴い、背景分離部52Bの動作が背景分離部52とは異なっている。
画像処理装置50Bのカメラデータ入力部62は、カメラ6aの内部パラメータとして、焦点距離、画像の光軸中心、レンズ歪み係数等を予め取り込んでおく。
次に、カメラ画像を入力する画像入力部54で、予め、カメラ設置時等に作業機械の周囲の自車周辺に車両が存在しない画像を入力して、該入力画像を基準とする基準画像記憶部55を用い、自車検出部51Bの背景分離部52Bが、記憶した基準画像記憶部55の基準画像に対して、カメラデータ入力部62で取り込んだ焦点距離、画像の光軸中心、レンズ歪み係数等の内部パラメータを与えて歪補正を行い、歪補正を行った基準画像記憶部55の基準画像から作業機械自身(以下自車とする)と背景を分離する。背景分離部52Bの動作は、図17を用いて後述する。境界設定部53が背景と自車の境界データを設定すると、処理対象領域設定部57は、境界設定部53で設定した境界データを用いて処理対象領域を設定する。
次に、図17を用いて、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第1の変形例の動作について説明する。
図17は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第1の変形例の動作を示すフローチャートである。なお、図9と同一のステップ番号は、同一処理内容を示している。
カメラ6aが広角の場合、図6に示したに、自車15の画像は、歪んだ画像となる。そこで、ステップS20において、背景分離部52Bは、基準画像記憶部55で記憶した画像に対して、歪補正処理を行う。ステップS20の歪補正処理は、カメラデータ入力部62で入力した、カメラ6aの焦点距離、画像の光軸中心、レンズ歪み係数等の内部パラメータを用いて、歪を補正する処理を行う。カメラ6aの内部パラメータは、予め、カメラ6aで撮影した市松模様や等間隔の水玉模様の映像を処理して算出しておく。
次に、図18を用いて、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第1の変形例の第2の動作について説明する。
図18は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第1の変形例の第2の動作を示すフローチャートである。なお、図10と同一のステップ番号は、同一処理内容を示している。
ステップS20により歪補正処理をした画像を用いて、ステップS21において、背景分離部52Bは、距離データを算出する。距離データの算出は、周知の方法を用いて行われる。そして、ステップS22において、ステップS21の0mにおける位置(カメラ6aの真下)を中央部にして広げた付近の矩形領域を0m付近の領域として設定し、ステップS1がステップS22で設定した領域内に限定して平滑化処理を行う。また、ステップS21の距離データは、カメラデータ入力部62で入力したカメラ6aの設置高さ、俯角、画角等のカメラパラメータを用いてキャリブレーションにより算出する。
次に、図19を用いて、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第1の変形例の第3の動作について説明する。
図19は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第1の変形例の第3の動作を示すフローチャートである。なお、図10と同一のステップ番号は、同一処理内容を示している。
本例は、カメラ6aが広角でない場合であって、図5に示したように自車15は、歪みのない映像となる。そこで、ステップS20の歪補正処理を行う必要がない。ステップS21において、距離データを算出する。ステップS22では、ステップS21の0mにおける位置(カメラ6aの真下)を中央部にして広げた付近の矩形領域を0m付近の領域として設定し、ステップS1がステップ22で設定した領域内に限定して平滑化処理を行う。
次に、図20を用いて、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第1の変形例の第4の動作について説明する。
図20は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第1の変形例の第4の動作を示すフローチャートである。なお、図9と同一のステップ番号は、同一処理内容を示している。
ステップS21において算出した距離データを用いて、ステップS25において、0m位置(カメラ6aの真下)を算出して、ステップS13において、境界候補として算出する。
次に、図21〜図23を用いて、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第2の変形例の構成及び動作について説明する。
最初に、図21を用いて、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第2の変形例の構成について説明する。
図21は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第2の変形例の構成を示すブロック図である。なお、図3と同一符号は同一部分を示している。
画像処理装置50Cは、作業機械データ入力部63、自車検出部51Cの背景分離部52C及び境界設定部53と、画像入力部54、基準画像記憶部55、画像記憶部56、処理対象領域設定部57、物体検知部58、物体接近度判定部59、表示制御部60とを備えている。
作業機械データ入力部63は、作業機械の色、大きさ、形状等のパラメータを予め取り込んでおく。カメラ画像を入力する画像入力部54は、予め、カメラ設置時等に作業機械の周囲の自車周辺に車両が存在しない画像を入力して、基準画像として基準画像記憶部55に記憶している。背景分離部52Cは、記憶した基準画像記憶部55の基準画像に対して、作業機械データ入力部63で取り込んだ作業機械の色、大きさ、形状等のパラメータを用いて、基準画像記憶部55の基準画像から作業機械自身(以下自車とする)の色成分及び形状等を抽出して検出する。そして、境界設定部53は背景と自車の境界データを設定し、処理対象領域設定部57は、境界設定部53で設定した境界データを用いて処理対象領域を設定する。
次に、図22を用いて、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第2の変形例の動作について説明する。
図22は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第2の変形例の動作を示すフローチャートである。なお、図9と同一のステップ番号は、同一処理内容を示している。
ステップS30において、作業機械データ入力部63が予め取り込んだ作業機械の色、大きさ、形状等のパラメータをのうち、作業機械の色として指定された色情報を用いて、ステップS31において、指定した色成分抽出処理を行う。例えば、作業機械のボディの色がオレンジである場合には、色情報として、オレンジを指定する。ステップS32において、指定された色成分が存在するか否かの判定を行う。存在する場合、ステップS33において、指定色成分の抽出を行った後、ステップS34において、色成分は画面の下方か否か判定する。カメラはボディに取り付けられているため、通常、手前側の画像,すなわち、画面の下方がボディになるので、下方と判定できれば、その領域をボディと判定できる。下方の場合は、ステップS7の輪郭抽出処理を行い、下方でない場合は、ステップS35の処理を行う。
ステップS32で指定された色成分が存在しない場合、ステップS35において、色指定の判定を行い、色指定がOKの場合、ステップS31の処理を行う。ステップS35で、色指定がOKでない場合、ステップS30の処理を行う。
次に、図23を用いて、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第2の変形例の他の動作について説明する。
図23は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第2の変形例の他の動作を示すフローチャートである。なお、図9と同一のステップ番号は、同一処理内容を示している。
ステップS36において、ステップS34で色成分が画面の下方と判定した場合、抽出した色領域の上端を算出し、ステップS37において、境界候補1として算出する。
一方、ステップS38において、ステップS25で0mとして算出した位置を、境界候補2として算出する。ステップS39において、ステップS37が算出した境界候補1とステップS38が算出した境界候補2を比較し、ステップS39の比較で、境界候補が一致しない場合、ステップS40において境界候補2を最終候補とし、境界候補が一致した場合、ステップS18で、境界として決定する。
次に、図24を用いて、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第3の変形例の構成及び動作について説明する。
図24は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第3の変形例の構成を示すブロック図である。なお、図3と同一符号は同一部分を示している。
本例はカメラ6aが広角の場合であり、画像処理装置50Dは、カメラデータ入力部62、作業機械データ入力部63、自車検出部51Dの背景分離部52D及び境界設定部53と、画像入力部54、基準画像記憶部55、画像記憶部56、処理対象領域設定部57、物体検知部58、物体接近度判定部59、表示制御部60とを備えている。
カメラデータ入力部62は、カメラ6aの内部パラメータとして、焦点距離、画像の光軸中心、レンズ歪み係数等を予め取り込む。作業機械データ入力部63は、作業機械の色、大きさ、形状等のパラメータを予め取り込む。
カメラ画像を入力する画像入力部54で、予め、カメラ設置時等に作業機械の周囲の自車周辺に車両が存在しない画像を入力して、該入力画像を基準とする基準画像記憶部55に記憶する。自車検出部51Dの背景分離部52Dは、記憶した基準画像記憶部55の基準画像に対して、カメラデータ入力部62で取り込んだ焦点距離、画像の光軸中心、レンズ歪み係数等の内部パラメータを与えて歪補正を行う。さらに、背景分離部52Dは、歪補正を行った基準画像記憶部55の基準画像から、作業機械データ入力部63で取り込んだ作業機械の色、大きさ、形状等のパラメータを用いて、基準画像記憶部55の基準画像から作業機械自身(自車)の色成分及び形状等を抽出して検出する。境界設定部53は背景と自車の境界データを設定し、処理対象領域設定部57は、境界設定部53で設定した境界データを用いて処理対象領域を設定する。
次に、図25を用いて、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第3の変形例の他の動作について説明する。
図25は、本発明の第1の実施形態による作業機械の周囲監視装置の第3の変形例の他の動作を示すフローチャートである。なお、図9と同一のステップ番号は、同一処理内容を示している。
ステップS62で抽出した共通領域に対して、ステップS67において、所定面積以下を除外した面積フィルタ付きラべリングを行い、ステップS63の物体候補の抽出処理を行う。ノイズ成分等は、一般に面積が小さくなっているので、小さい面積(所定面積以下)を除外することで、ノイズが除外され、抽出が容易となる。
以上説明した各変形例においても、境界の位置を自動的に補正することができるため、自車に接近する物体を認知するための認知性を向上できる。
なお、図4、図7、図8、図14、図15、図16、図17、図18、図19、図20、図21、図22、図23、図25のフローチャートで示した処理は、初期設定時に限って行うか、または、一定周期で行ってもよい。