[第1の実施の形態]
以下、各図面を参照して本実施の形態の一例について説明する。
まず、本実施の形態の放射線検出素子を用いた放射線画像撮影システムの概略構成について説明する。図1は、本実施の形態の放射線画像撮影システムの一例の概略構成図である。
放射線画像撮影システム200は、放射線(例えばエックス線(X線)等)を被検体206に照射する放射線照射装置204と、放射線照射装置204から照射され、被検体206を透過した放射線を検出する放射線検出素子10を備えた放射線画像撮影装置100と、放射線画像の撮影を指示すると共に、放射線画像撮影装置100から放射画像を取得する制御装置202と、を備えている。制御装置202の制御に基づいたタイミングで、放射線照射装置204から照射され撮影位置に位置している被検体206を透過することで画像情報を担持した放射線は放射線画像撮影装置100に照射される。
次に、本実施の形態の放射線画像撮影装置100の概略構成について説明する。図2は、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100の全体構成の一例を示す構成図である。本実施の形態では、X線等の放射線を一旦光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出素子10に本発明を適用した場合について説明する。本実施の形態では、放射線画像撮影装置100は、間接変換方式の放射線検出素子10を備えている。
放射線検出素子10には、光を受けて電荷を発生し、発生した電荷を蓄積するセンサ部103と、センサ部103に蓄積された電荷を読み出すためのスイッチング素子であるTFTスイッチ4と、を含んで構成される画素20が複数、マトリックス状に配置されている。本実施の形態では、波長変換素子であるシンチレータ(図4、図6参照)によって放射線から変換された光が照射されることにより、センサ部103では、電荷が発生する。
画素20は、一方向(図2の横方向、以下「行方向」ともいう)及び当該行方向に対する交差方向(図2の縦方向、以下「列方向」ともいう)にマトリクス状に複数配置されている。図2では、画素20の配列を簡略化して示しているが、例えば、画素20は行方向及び列方向に1024×1024個配置されている。
本実施の形態では、複数の画素20のうち、放射線画像取得用の画素(画像取得用画素)20Aと放射線検知用の画素(放射線検知用画素)20Bとが予め定められている。図2では、放射線検知用画素20Bを破線で囲んで示している。画像取得用画素20Aは、検出した放射線に応じた画像(放射線画像)を取得するために用いられる画素である。画像取得用画素20Aは、センサ部103及びTFTスイッチ4を備えている。画像取得用画素20Aのセンサ部103は、一端がTFTスイッチ4を介して信号配線3に接続されている。
一方、放射線検知用画素20Bは、放射線を検知するために用いられる画素であり、本実施の形態では、放射線の照射開始を検出するために用いられる。本実施の形態の放射線検知用画素20Bは、センサ部103、センサ部103から信号配線3に電荷を出力する制御用のTFTとして機能するTFTスイッチ4、及び放射線の検知用としてフォトトランジスタとして機能する検知用TFT60を備えている。放射線検知用画素20Bのセンサ部103は、画像取得用画素20Aのセンサ部103と同様に、一端がTFTスイッチ4を介して信号配線3に接続されている。検知用TFT60は、一端が信号配線3に接続されており、他端が共通電極配線25に接続されている。また、検知用TFT60には、ゲート端子が配置されていない(詳細後述)。また、検知用TFT60が直接、信号配線3に接続されていることから、放射線検知用画素20Bは、電荷の蓄積期間であっても、検知用TFT60のリーク電流(リーク電流に基づく電荷)を出力する画素である(詳細後述)。
また、放射線検出素子10には、基板1(図4、図6参照)上に、TFTスイッチ4をオン/オフするための複数の走査配線101と、上記センサ部103に蓄積された電荷を読み出すための複数の信号配線3と、が互いに交差して設けられている。本実施の形態では、各画素列に対応させて信号配線3が1本ずつ設けられ、交差方向の各画素列に対応させて走査配線101が1本ずつ設けられている。例えば、画素20が行方向及び列方向に1024×1024個配置されている場合、信号配線3及び走査配線101は各々行数及び列数と同じ本数である1024本ずつ設けられている。
さらに、放射線検出素子10には、各信号配線3と並列に共通電極配線25が設けられている。共通電極配線25は、並列に接続されて並列配線を構成しており、並列配線の一端が所定のバイアス電圧を供給する電源110に接続されている。センサ部103は共通電極配線25に接続されており、共通電極配線25を介して電源110からバイアス電圧が印加されている。また、検知用TFT60は共通電極配線25に接続されており、共通電極配線25を介して電源110からバイアス電圧が印加されている。
走査配線101には、各TFTスイッチ4をスイッチングするためのスキャン信号が通電される。このようにスキャン信号が各走査配線101に流れることによって、各TFTスイッチ4がスイッチングされる。
信号配線3には、各画素20のTFTスイッチ4のスイッチング状態に応じて、各画素20に蓄積された電荷に応じた電気信号が流れる。より具体的には、各信号配線3には、当該信号配線3に接続された画素20の何れかのTFTスイッチ4がONされることにより蓄積された電荷量に応じた電気信号が流れる。
各信号配線3には、各信号配線3に流れ出した電気信号を検出する信号検出回路105が接続されている。なお、ここで電気信号の「検出」とは、電気信号をサンプリングすることを表している。
また、各走査配線101には、各走査配線101にTFTスイッチ4をオン/オフするためのスキャン信号を出力するスキャン信号制御回路104が接続されている。図2では、信号検出回路105及びスキャン信号制御回路104を1つに簡略化して示しているが、例えば、信号検出回路105及びスキャン信号制御回路104を複数設けて所定本(例えば、256本)毎に信号配線3または走査配線101を接続してもよい。例えば、信号配線3及び走査配線101が1024本ずつ設けられている場合、スキャン信号制御回路104を4個設けて256本ずつ走査配線101を接続し、信号検出回路105も4個設けて256本ずつ信号配線3を接続してもよい。
信号検出回路105は、各信号配線3毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路50(図8参照)を内蔵している。信号検出回路105では、各信号配線3より入力される電気信号を増幅回路50により増幅し、ADC(Analog-to-Digital Converter:アナログ・デジタル変換器)54によりアナログ信号をデジタル信号へ変換する(詳細後述)。
この信号検出回路105及びスキャン信号制御回路104には、信号検出回路105において変換されたデジタル信号の画像データに対してノイズ除去やゲイン補正等の所定の処理を施して照射された放射線が示す放射線画像を生成する制御部106が接続されている。また制御部106は、信号検出回路105に対して信号検出のタイミングを示す制御信号を出力し、スキャン信号制御回路104に対してスキャン信号の出力のタイミングを示す制御信号を出力する。
本実施の形態の制御部106は、マイクロコンピュータによって構成されており、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部を備えている。制御部106は、記録媒体であるROMに記憶されたプログラムをCPUで実行することにより、放射線画像の撮影のための制御を行う。
図3〜図6を参照して、画像取得用画素20A及び放射線検知用画素20Bについてさらに詳細に説明する。図3には、本実施形態に係る画像取得用画素20Aの構造を示す平面図が示されており、図4には、図3の画像取得用画素20AのA−A線断面図が示されている。また、図5には、本実施形態に係る放射線検知用画素20Bの構造を示す平面図が示されており、図6には、図5の放射線検知用画素20BのB−B線断面図が示されている。
本実施の形態の画素20は、1画素内にセンサ部103を備えている。本実施の形態のセンサ部103では、それぞれ下部電極11、半導体層21、及び上部電極22を含んで構成されている。
図3に示すように、本実施の形態の画像取得用画素20Aは、センサ部103及びTFTスイッチ4を備えている。センサ部103は、TFTスイッチ4のオン/オフにより半導体層21において発生し蓄積された電荷が信号配線3に読み出される。
図4に示すように、放射線検出素子10の画像取得用画素20Aは、無アルカリガラス等からなる絶縁性の基板1上に、走査配線101(図3参照)及びゲート電極2が形成されており、走査配線101とゲート電極2は接続されている(図3参照)。この走査配線101及びゲート電極2が形成された配線層(以下、この配線層を「第1信号配線層」ともいう)は、Al若しくはCu、またはAl若しくはCuを主体とした積層膜を用いて形成されているが、これらに限定されるものではない。
この第1信号配線層上には、一面に絶縁膜15が形成されており、ゲート電極2上に位置する部位がTFTスイッチ4におけるゲート絶縁膜として作用する。この絶縁膜15は、例えば、SiNX等からなっており、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)成膜により形成される。
絶縁膜15上のゲート電極2上には、半導体活性層8が島状に形成されている。この半導体活性層8は、TFTスイッチ4のチャネル部であり、例えば、アモルファスシリコン膜からなる。
これらの上層には、ソース電極9及びドレイン電極13が形成されている。このソース電極9及びドレイン電極13が形成された配線層には、ソース電極9及びドレイン電極13とともに、信号配線3が形成されている。ソース電極9は信号配線3に接続されている(図3参照)。ソース電極9、ドレイン電極13、及び信号配線3が形成された配線層(以下、この配線層を「第2信号配線層」ともいう)は、Al若しくはCu、またはAl若しくはCuを主体とした積層膜を用いて形成されるが、これらに限定されるものではない。当該ソース電極9及びドレイン電極13と半導体活性層8との間には不純物添加アモルファスシリコン等による不純物添加半導体層(図示省略)が形成されている。これらによりスイッチング用のTFTスイッチ4が構成される。なお、TFTスイッチ4は後述する下部電極11により収集、蓄積される電荷の極性によってソース電極9とドレイン電極13が逆となる。
これら第2信号配線層を覆い、基板1上の画素20が設けられた領域のほぼ全面(ほぼ全領域)には、TFTスイッチ4や信号配線3及び接続配線32を保護するために、TFT保護膜層30が形成されている。このTFT保護膜層30は、例えば、SiNX等からなっており、例えば、CVD成膜により形成される。
このTFT保護膜層30上には、塗布型の層間絶縁膜12が形成されている。この層間絶縁膜12は、低誘電率(比誘電率εr=2〜4)の感光性の有機材料(例えば、ポジ型感光性アクリル系樹脂:メタクリル酸とグリシジルメタクリレートとの共重合体からなるベースポリマーに、ナフトキノンジアジド系ポジ型感光剤を混合した材料等)により1〜4μmの膜厚で形成されている。また、TFT保護膜層30上には、コンタクト68によりドレイン電極13と接続されるコンタクト67が形成されている。
本実施の形態に係る放射線検出素子10では、この層間絶縁膜12によって層間絶縁膜12上層と下層に配置される金属間の容量を低く抑えている。また、一般的にこのような材料は平坦化膜としての機能も有しており、下層の段差が平坦化される効果も有する。本実施の形態に係る放射線検出素子10のセンサ部103では、この層間絶縁膜12及びTFT保護膜層30のドレイン電極13と接続されたコンタクト67と対向する位置にコンタクトホール17が形成されている。
層間絶縁膜12上には、コンタクトホール17を埋めつつ、画素領域を覆うようにセンサ部103の下部電極11が形成されており、この下部電極11は、TFTスイッチ4のドレイン電極13と接続されている。
この下部電極11、後述する半導体層21が1μm前後と厚い場合には導電性があれば材料に制限がほとんどない。このため、Al系材料、ITOなど導電性の金属を用いて形成すれば問題ない。一方、半導体層21の膜厚が薄い場合(0.2〜0.5μm前後)、半導体層21で光が吸収が十分でないため、TFTスイッチ4への光照射によるリーク電流の増加を防ぐため、遮光性メタルを主体とする合金、若しくは積層膜とすることが好ましい。なお、シンチレータ40から照射された光以外の光が半導体層21に入射されるのを抑制するために、下部電極11は遮光性を有することが好ましい。そのため、本実施の形態では、下部電極11を遮光性を有する電極としている。なお、本実施の形態の下部電極11が本発明の遮光部に対応している。
下部電極11上には、それぞれフォトダイオード(光電変換素子)として機能する半導体層21が形成されている。本実施の形態では、半導体層21として、n+層、i層、p+層(n+アモルファスシリコン、アモルファスシリコン、p+アモルファスシリコン)を積層したPIN構造のフォトダイオードを採用しており、下層からn+層21A、i層21B、p+層21Cを順に積層して形成する。i層21Bは、光が照射されることにより電荷(一対の自由電子と自由正孔)が発生する。n+層21A及びp+層21Cは、コンタクト層として機能し、下部電極11及び後述する上部電極22とi層21Bとを電気的に接続する。
半導体層21上には、上部電極22が形成されている。この上部電極22には、例えば、ITOやIZO(酸化亜鉛インジウム)等の光透過性の高い材料を用いている。
層間絶縁膜12、半導体層21及び上部電極22上には、半導体層21を覆うように、塗布型の層間絶縁膜23が形成されている。
この層間絶縁膜23上には、共通電極配線25がAl若しくはCu、またはAl若しくはCuを主体とした合金あるいは積層膜で形成されている。共通電極配線25は、コンタクト66により、上部電極22に接続されている。また、走査配線101及び共通電極配線25の上部に絶縁膜15を介してコンタクト層70が形成されており、コンタクトホール72を介して共通電極配線25に接続されている。
また、層間絶縁膜23の上部から、コンタクト層70の上部にかけて接続配線76が形成されている。
なお、このように形成された画像取得用画素20A及び後述の放射線検知用画素20Bを備えた放射線検出素子10には、必要に応じてさらに光吸収性の低い絶縁性の材料により保護膜が形成されて、その表面に光吸収性の低い接着樹脂を用いてGOS等からなるシンチレータ40が貼り付けられる。
一方、図5に示すように、本実施の形態の放射線検知用画素20Bは、センサ部103、TFTスイッチ4、及び検知用TFT60を備えている。放射線検知用画素20Bでは、画像取得用画素20Aと同様に、センサ部103の半導体層21において発生し蓄積された電荷は、TFTスイッチ4のオン/オフにより信号配線3に読み出される。このTFTスイッチ4を含んだA−A線断面図は画像取得用画素20Aと同様の構成(図4参照)であるためここでは説明を省略する。
また、本実施の形態の放射線検知用画素20Bの検知用TFT60は、TFTスイッチ4と略同様の構成であるが、ゲート端子が配置されておらず、図6に示すように、絶縁膜15上に、直接、半導体活性層61が形成されており、フォトトランジスタ(フォトセンサ)として機能する。そのため、検知用TFT60の上部領域には、センサ部103(半導体層21及び下部電極11)を形成せずに、半導体活性層61に直接光がシンチレータ40から照射されるように形成されている。検知用TFT60のソース電極62は信号配線3に接続されている。一方、ドレイン電極64は共通電極配線25に接続されており、検知用TFT60には、直接、バイアス電圧(マイナス電圧)が印加される。すなわち、検知用TFT60は、バイアス電圧により、マイナスにクランプされた状態に維持される。
この状態で検知用TFT60の半導体活性層61にシンチレータ40から光が照射されると、検知用TFT60のオフ電流値が高くなり、リーク電流が増加する。リーク電流は、ソース電極62により、信号配線3に通電される。検知用TFT60は、照射された光の光量が多いほど、リーク電流量が多くなる(リーク電流値が高くなる)。すなわち、照射された放射線の線量が多い(エネルギー強度が大きい)ほど、リーク電流が多く流れる。図7に、検知用TFT60のゲート電圧Vg(本実施の形態ではVg=0V)と、リーク電流との関係の具体的一例を示す。図7中に示したAのラインは、照射された放射線量(シンチレータ40により変換された光量)が少なくエネルギー強度が低い場合を示し、Bのラインは、上記Aの場合よりも照射された放射線量(光量)が多くエネルギー強度が高い場合を示し、Cのラインは、上記Bの場合よりも照射された放射線量(光量)が多くエネルギー強度が高い場合を示している。図7に示すように、照射された放射線量(光量)が増加するのに応じて、発生するリーク電流が大きく(電流量が多く)なる。なお、検知用TFT60にゲート電極が設けられている場合(詳細後述)、当該ゲート電極に印加される電圧が高電圧になると発生するリーク電流の電流値が飽和するが、本実施の形態のように、ゲート電極を設けていない場合(Vg=0V)では、照射された放射線量(光量)が増加するのに応じて、発生するリーク電流が大きくなる。
このように照射された放射線量(光量)と、検知用TFT60で発生し、信号配線3に通電されるリーク電流(電荷)とには対応関係があるため、リーク電流の電流値を後述の制御部106でモニタリングすることにより、放射線の照射開始のタイミングを検出することができる(詳細後述)。
次に、本実施の形態の信号検出回路105の概略構成について説明する。図8は、本実施の形態の信号検出回路105の一例の概略構成図である。本実施の形態の信号検出回路105は、増幅回路50、及びADC(アナログ・デジタル変換器)54を備えている。なお、図8では、図示を省略したが増幅回路50は、信号配線3毎に設けられている。すなわち、信号検出回路105は、放射線検出素子10の信号配線3の数と同じ数の、複数の増幅回路50を備えている。
増幅回路50は、チャージアンプ回路で構成されており、オペアンプ等のアンプ52と、アンプ52に並列に接続されたコンデンサCと、アンプ52に並列に接続された電荷リセット用のスイッチSW1と、を備えている。
増幅回路50では、電荷リセット用のスイッチSW1がオフの状態で画素20(画像取得用画素20A及び放射線検知用画素20B)から電荷(電気信号)が読み出され、コンデンサCに読み出された電荷が蓄積され、蓄積される電荷量に応じてアンプ52から出力される電圧値が増加するようになっている。
また、制御部106は、電荷リセット用のスイッチSW1に電荷リセット信号を印加して電荷リセット用のスイッチSW1のオン/オフを制御するようになっている。なお、電荷リセット用のスイッチSW1がオン状態とされると、アンプ52の入力側と出力側とが短絡され、コンデンサCの電荷が放電される。
ADC54は、S/H(サンプルホールド)スイッチSWがオン状態において、増幅回路50から入力されたアナログ信号である電気信号をデジタル信号に変換する機能を有するものである。ADC54は、デジタル信号に変換した電気信号(画像データ)を制御部106に順次出力する。
なお、本実施の形態のADC54には、信号検出回路105に備えられた全ての増幅回路50から出力された電気信号が入力される。すなわち、本実施の形態の信号検出回路105は、増幅回路50(信号配線3)の数にかかわらず、1つのADC54を備えている。
制御部106では、信号検出回路105から出力されたデジタル信号の電気信号(画像データ)に対してノイズ除去やゲイン補正等の所定の処理を施して照射された放射線が示す放射線画像を生成する。
次に、図9を参照して、本実施の形態の放射線画像撮影装置100により放射線画像を撮影する際の動作の流れについて説明する。図9には、放射線画像撮影装置100により放射線画像を撮影する際の動作の流れを示すタイミングチャートを示す。
本実施の形態の放射線画像撮影装置100では、待機状態の後、放射線画像を撮影する撮影モードになると、放射線検知期間に移行し、放射線検知待ち状態となる。本実施の形態では、放射線検知期間では、制御部106がスキャン信号制御回路104を制御して、スキャン信号制御回路104から1ラインずつ順に、所定周期Hで各走査配線101にスキャン信号を出力させ、各走査配線101に接続された各TFTスイッチ4を1ラインずつ順にオン状態にさせて放射線検出素子10の各画素20の各々に蓄積された電荷を取り出すリセット動作を行う。
また、放射線検知期間では、所定周期Hで信号検出回路105により放射線検知用画素20Bが接続された信号配線3(図2の場合、例えば、D6)及び放射線検知用画素20Bが接続されていない信号配線3(図2の場合、例えば、D7)にそれぞれ流れる電気信号をデジタル信号に変換させて放射線の検出を行うサンプリング期間Tcaのサンプリングを繰り返す。信号検出回路105は、D6の信号配線3及びD7の信号配線3を流れる電気信号をそれぞれ増幅回路50により増幅してそれぞれデジタル信号へ変換し、制御部106へ出力する。
なお、本実施の形態では、1フレーム=所定周期H×n(n:1フレームあたりの走査配線101の本数、図2ではn=8)であり、サンプリング期間Tca≦所定周期H=1フレーム/n、としている。
制御部106は、信号検出回路105により変換された、放射線検知用画素20Bが接続されたD6の信号配線3のデジタル信号の値から放射線検知用画素20Bが接続されていないD7の信号配線3のデジタル信号の値を減算し、減算されたデジタル信号の値を予め定めた放射線の照射開始検知用の閾値と比較し、閾値以上となった否かにより放射線が照射されたか否かの検出を行う。
各信号配線3に外乱要因に起因してノイズが発生した場合、D6及びD7の信号配線3には、隣り合っているため略同一のノイズが発生する。また、放射線が照射された場合、D6の信号配線3には、放射線検知用画素20Bからの電気信号も流れる。
このため、D6及びD7の信号配線3を流れる電気信号をデジタル信号に変換し、変換されたD6の信号配線3のデジタル信号の値からD7の信号配線3のデジタル信号の値を減算することにより、ノイズ分の値をキャンセルすることができる。
なお、制御部106による放射線が照射されたか否かの検知は、放射線の照射開始検知用の閾値と比較することに限らず、例えば、検知回数等、予め設定した条件に基づいて検知するようにしてもよい。また、本実施の形態では、ノイズ分の値をキャンセルするために上述のように、放射線検知用画素20Bが接続された信号配線3のデジタル信号から、当該信号配線3に隣接する放射線検知用画素20Bが接続されていない信号配線3のデジタル信号が減算されたデジタル信号を用いているがこれに限らず、例えば、単に放射線検知用画素20Bが接続された信号配線3のデジタル信号を用いるようにしてもよい。
以上説明したように、本実施の形態の放射線検出素子10では、放射線検知用画素20Bが検知用TFT60を有しており、検知用TFT60には、シンチレータ40から直接、放射線から変換された光が照射される。これにより、検知用TFT60の半導体活性層61により、照射された光の光量(強度)に応じてリーク電流が発生し、信号配線3に通電される。従って、当該リーク電流をモニタリングすることにより、放射線を検知でき、放射線の照射開始タイミング等を検出することができる。
また、本実施の形態の放射線検出素子10では、放射線検知用画素20Bにもセンサ部103を備えるように構成している。放射線検知用画素(20B)にセンサ部103を設けずに、放射線を検知する素子(例えば、フォトセンサのみ等)で構成した場合、放射線画像を取得する際に、照射された放射線量に応じて発生した電荷を蓄積することができないため、放射線検知用画素(20B)は、欠陥画素となり、点欠陥が生じることになる。このような場合、周辺の画像取得用画素(20A)の情報(画像データ)により補正を行っていた。このような点欠陥が多い場合、放射線画像の品質の低下を招く恐れがあるため、点欠陥の原因となる放射線検知用画素(20B)を配置する数や位置等に制限があった。
一方、本実施の形態の放射線検知用画素20Bでは、放射線画像を取得する際に、センサ部103では、照射された放射線に応じて発生した電荷を蓄積することができるため、画像データを取得することができ、欠陥画素となるのを防止することができる。なお、放射線検知用画素20Bでは、画像取得用画素20Aよりもセンサ部103(半導体層21)の放射線が照射される領域の面積(図3、図5参照)が小さいが、放射線検知用画素20Bから出力された画像データを制御部106で、照射される領域の面積(面積に応じて発生する電荷の量)に基づいて、ゲイン補正することにより、より点欠陥となるのを防止することができる。これにより、より多くの放射線検知用画素20Bを放射線検出素子10内に配置することができるようになるため、精度よく放射線の照射を検知することができる。
また、本実施の形態の放射線画像撮影装置では、TFTスイッチ4により信号配線3に出力された放射線画像の取得に用いられる電荷と、放射線検知用画素20Bの検知用TFT60により出力された放射線検知用の電荷とを、同一の増幅回路(アンプ52)50を用いて読み出すことができるため、放射線検知用に別途、増幅回路50を設ける必要がない。また、同一の信号配線3を用いることができるため、放射線検知用に別途、特別な信号配線を設ける必要がない。従って、フィルファクタの増加によるS/N比の向上を図ることができる。
また、本実施の形態では、シンチレータ40で放射線から変換された光がセンサ部103の半導体層21及び検知用TFT60の半導体活性層61の両方に入射されるように構成している。例えば、特開2010−56396号公報に記載の従来技術のように異なるシンチレータから光が入射される技術がある。このようにセンサ部103(半導体層21)と検知用TFT60(半導体活性層61)とで、異なるシンチレータから光が入射された場合、照射された放射線に対するセンサ部103(半導体層21)の感度と、検知用TFT60(半導体活性層61)の感度とが異なることになる。このような従来技術の場合、照射された放射線が高エネルギーである場合は、センサ部103と検知用TFT60の感度の差が小さくなるが、照射された放射線が低エネルギーである場合は、センサ部103と検知用TFT60との感度の差が大きくなる。これに対して、本実施の形態の放射線検出素子10では、同一のシンチレータ40から光が入射されることにより、照射された放射線に対するセンサ部103(半導体層21)の感度と、検知用TFT60(半導体活性層61)の感度とのずれ(差)を抑制することができる。
本実施の形態のセンサ部103と検知用TFT60との感度特性(照射された放射線量と発生する電荷量(リーク電流の電荷量)との関係)を図10に示す。ここで、発生する電荷量をQ(Q1、Q2)、照射された放射線量をR、係数をK(K1、K2)とすると、センサ部103の感度特性は、Q1=K1×Rで表され、検知用TFT60の感度特性は、Q2=K2×Rで表される。
図10に示すように、検知用TFT60の感度特性は、シンチレータ40との間に半導体層21が設けられていないため、センサ部103の感度特性よりも低い(同一の放射線量に対して発生する電荷量が少ない)ものの、本実施の形態では、センサ部103と検知用TFT60との感度特性が、相似形を示している(略一致している)ため、照射された放射線のエネルギーが変化しても、センサ部103で発生する電荷量と検知用TFT60で発生するリーク電流による電荷量との比を変化させないようにすることができる。従って、検知用TFT60により、精度よく放射線を検知することができ、放射線の照射開始を検出することができる。なお、センサ部103と検知用TFT60との間で感度特性の差が若干存在する場合であっても、相似しているとみなせる程度の差であり、少なくとも上述の従来の技術において生じる感度特性の差よりも小さいため、問題は生じない。
さらに、下部電極11を遮光性を有する電極としているため、シンチレータ40からの光を効率的にセンサ部103(半導体層21)及び検知用TFT60(半導体活性層61)に入射させることができるため、検知用TFT60により、より精度よく放射線を検知することができ、放射線の照射開始を検出することができる。
なお、放射線検知用画素20Bが設けられている位置及び数は、特に限定されないが、放射線の検知精度や、放射線検出素子10の大きさや仕様等により定められればよい。
また、本実施の形態では、画素20を画像取得用画素20Aと放射線検知用画素20Bとで構成したがこれに限らず、図11に示すように、放射線検知用画素20Bのみで構成するようにしてもよい。このように、全ての画素20を同一構成とした場合、例えば、検査装置により放射線検出素子10の検査を行う場合、画像取得用画素20Aとの形状(パタン)の相違から放射線検知用画素20Bを不良(エラー)と検出してしまうのを防止することができる。従って、検査装置(例えば、光学的検査装置)の制約を回避することができる。また例えば、画像取得用画素20Aの形状(パタン)と放射線検知用画素20Bの形状(パタン)とが大きく異なると、放射線検出素子10の製造に用いるマスクの繰り返しパタンが使用できなくなるため、製造しづらくなる場合があるが、マスクの繰り返しパタンを使用して製造を行うことができるため、製造し易くすることができる。従って、放射線検出素子10の製造上の制約を回避することができる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100は、第1の実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100と略同一の構成及び動作であるため、同一部分は説明を省略する。本実施の形態では、放射線検出素子10の画像取得用画素20Aの構成が異なるため、異なる構成についてここでは説明する。
図12には、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置の全体構成の一例を示す構成図が示されている。また、図13には、本実施形態に係る画像取得用画素20Aの構造の一例を示す平面図が示されている。本実施の形態の画像取得用画素20Aの構成は、放射線検知用画素20Bに類似しており、画像取得用画素20Aに比べてセンサ部103(半導体層21)の一部が矩形状に欠けており、当該欠けた部分に検知用TFT60が設けられている。なお、検知用TFT60のソース電極62は、信号配線3と非接続(断線された状態)に形成されている。すなわち、画像取得用画素20Aは、ソース電極62が信号配線3と非接続の他は、放射線検知用画素20Bと同様の構成の検知用TFT60を備えている。画像取得用画素20Aの検知用TFT60では、放射線検知用画素20Bの検知用TFT60と同様に放射線(シンチレータ40からの光)の照射に応じてリーク電流を発生するが、ソース電極62と信号配線3とが非接続であるため、発生したリーク電流は、信号配線3に通電されない。従って、画像取得用画素20Aからの電荷の出力は、センサ部103で発生した電荷がTFTスイッチ4によって読み出されて信号配線3に出力されるのみなので、放射線検知用の画素としては機能せず、放射線画像の取得の際にのみ出力される。
なお、断線箇所は本実施の形態に限らず、ドレイン電極13の中間であってもよいし、半導体層21付近であってもよいし、放射線検出素子10の製造や検査の制約・仕様等により定めればよく、特に限定されない。
一方、放射線検知用画素20Bは、第1の実施の形態と同様の構成(パタン)であるため、放射線を検知する機能を有し、放射線の照射タイミングの検出等に用いることができる。
このように本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、適切に放射線の検知が行えると共に、画像取得用画素20Aと放射線検知用画素20Bとが類似した構成であるため、上述した、検査装置(例えば、光学的検査装置)の制約や製造上の制約を回避することができる。
なお、AECを行う場合では、所定の位置(所定の位置の画素)に照射された放射線を検知したい場合がある。このような場合、本実施の形態のように構成することにより、所定の位置にのみ放射線検知用画素20Bを配置すると共に、画像取得用画素20Aと放射線検知用画素20Bとを類似した構成(パタン)とすることができるため好ましい。
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。
本実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100は、第1の実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100と略同一の構成及び動作であるため、同一部分は説明を省略する。本実施の形態の放射線検出素子10の放射線検知用画素20Bの検知用TFT60で発生したリーク電流の出力先が、第1の実施の形態の放射線検出素子10の放射線検知用画素20Bの検知用TFT60で発生したリーク電流の出力先と異なるため、異なる構成についてここでは説明する。
本実施の形態の放射線画像撮影装置100(放射線検出素子10)の全体構成の一例の構成図を図14に示す。図14に示すように、本実施の形態の放射線検出素子10では、走査配線101とは別に、走査配線101と並列に放射線検知用画素20Bの検知用TFT60に接続され、検知用TFT60で発生したリーク電流が出力される放射線検知用信号配線122が設けられている。また、本実施の形態では、放射線検知用信号配線122には、放射線の照射量を検出する放射線量検出回路120が接続されている。放射線量検出回路120は、例えば、放射線の照射量を積算することにより放射線の総照射量を検出する。制御部106は、放射線量検出回路120で検出された放射線量に基づいて、放射線の照射開始を検出する。
このように本実施の形態では、画像取得用の電荷が流れる信号配線3と別途に、放射線検知用画素20Bの検知用TFT60から出力された放射線の照射開始の検出用のリーク電流(電荷)が流れる放射線検知用信号配線122を設けたため、電荷が混ざりあってしまうのを防止することができる。これにより、より精度よく、放射線を検知することができると共に、放射線画像の品質を向上させることができる。
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態について説明する。
本実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100は、第1の実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100と略同一の構成及び動作であるため、同一部分は説明を省略する。本実施の形態の放射線検知用画素20Bの構成が、第1の実施の形態の放射線検知用画素20Bの構成と異なるため、異なる構成についてここでは説明する。
本実施の形態の放射線画像撮影装置100(放射線検出素子10)の全体構成の一例の構成図を図15に示す。また、本実施形態に係る放射線検知用画素20Bの構造を示す平面図を図16に示す。
本実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、放射線検知用画素20Bは、検知用TFT60を備えているが、本実施の形態では、検知用TFT60がゲート電極80を有しており、ゲート電極80は、検知用制御配線82に接続されている。
図15、図16に示すように、本実施の形態の放射線検出素子10では、走査配線101とは別に、走査配線101と並列に、放射線検知用画素20Bの検知用TFT60のゲート電極80に接続された検知用制御配線82が設けられている。また、本実施の形態では、検知用制御配線82には、制御部106の制御により、放射線検知用画素20Bの検知用TFT60のゲート電極80に電圧を印加するための検知用スキャン信号を出力する検知用スキャン信号制御回路126が接続されている。
検知用TFT60で発生するリーク電流が非常に大きく、ノイズを大幅に取り込んでしまう場合がある。このような場合、検知用TFT60のゲート電極80にオフ電圧(検知用TFT60のゲートがオフになる電圧、具体的一例として−5V〜−10V)を印加することにより、信号配線3に流れるリーク電流量を低減することができる。本実施の形態では、オフ電圧を常時ゲート電極80に印加することにより、光(放射線)の非照射時のリーク電流を印加していない場合に比べて大幅に低減することができる。具体的一例として、リーク電流の電流値を3桁ほど低減し、fAオーダーまで低減することができる。
このように本実施の形態では、リーク電流量を低減することができるため、これにより、ノイズを低減させることができる。従って、より精度の高い放射線の検知を行うことができる。なお、放射線画像の取得の際に、発生したリーク電流(電荷)とセンサ部103で発生した電荷とが信号配線3に出力されるため、ゲート電極80には、常時、オフ電圧を印加することが好ましい。
なお、本実施の形態では、ゲート電極80に検知用スキャン信号制御回路126から検知用制御配線82によりオフ電圧である検知用スキャン信号を印加する場合について説明したが必ずしもオフ電圧でなくてもよい。ゲート電極80に印加する電圧により、信号配線3に出力されるリーク電流量を調整することができるため、所定の放射線量(光量)が照射された場合に所望のリーク電流量(例えば、放射線の検知感度に合わせて予め定められた電流量)が出力される電圧値を印加するようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態で上述した放射線検知期間における各画素20の各々に蓄積された電荷を取り出すリセット動作のように、制御部106が検知用スキャン信号制御回路126を制御して、検知用スキャン信号制御回路126から1ラインずつ順に、所定周期で各検知用制御配線82に検知用スキャン信号を出力させ、各検知用制御配線82に接続された各検知用TFT60を1ラインずつ順にオン状態にさせて検知用TFT60のリーク電流(電荷)を取り出すリフレッシュ動作を行うことが好ましい。当該リフレッシュ動作は、定期的に、検知用TFT60の性能等に合わせ、例えば、1〜数分間隔で行うことが好ましい。
なお、本実施の形態の放射線検出素子10においても、上述の第2の実施の形態や第3の実施の形態のように構成してもよいことは言うまでもない。
また、本実施の形態の放射線画像撮影装置100の構成を、上述の第2の実施の形態と同様に、放射線検出素子10の全画素20を放射線検知用画素20Bとしてもよいし、第3の実施の形態のように、放射線量検出回路120及び放射線検知用信号配線122を設け、放射線検知用画素20Bの検知用TFT60を信号配線3ではなく、放射線検知用信号配線122に接続させるように構成してもよい。
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態について説明する。
本実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100は、第1の実施の形態の放射線画像撮影システム200及び放射線画像撮影装置100と略同一の構成及び動作であるため、同一部分は説明を省略する。本実施の形態の放射線検知用画素20Bの構成が、第1の実施の形態の放射線検知用画素20Bの構成と異なるため、異なる構成についてここでは説明する。
図17には、本実施形態に係る放射線検知用画素20Bの構造を示す平面図が示されている。図17に示すように、本実施の形態では、2つの放射線検知用画素20Bに対して1つの検知用TFT60が、当該2つの放射線検知用画素20Bの間の走査配線上に設けられている。当該2つの放射線検知用画素20Bは、走査配線101Bを軸として線対称となる構成をしている。ここでは便宜上、図17において、走査配線101Bの上側に記載されている放射線検知用画素20Bを放射線検知用画素20B1とし、下側に記載されている放射線検知用画素20Bを放射線検知用画素20B2として説明する。
検知用TFT60は、2つの放射線検知用画素20B間に設けられた走査配線101Bをゲート電極として、走査配線101B上に、半導体活性層61が形成されており、半導体活性層61上に、ソース電極62及びドレイン電極64が形成されている。ソース電極62は、放射線検知用画素20B1に設けられた接続配線90を介して信号配線3に接続されている。一方、ドレイン電極64は、放射線検知用画素20B2に設けられた接続配線92を介して共通電極配線25に接続されており、電源110からバイアス電圧が印加され、マイナスにクランプされた状態になっている。なお、ソース電極62及びドレイン電極64の配置はこれに限らず、放射線検知用画素20B1側にドレイン電極64を、放射線検知用画素20B2側にソース電極62を配置するようにしてもよい。
なお、このように走査配線101B上に検知用TFT60を設ける場合においても、検知用TFT60(少なくとも半導体活性層61)の上部にセンサ部103(半導体層21)が覆い被さらないように、すなわち、シンチレータ40からの光が直接照射されるように構成することが好ましい。
このように、放射線検知用画素20Bと放射線検知用画素20Bとの間に検知用TFT60を設けることにより、センサ部103(半導体層21)の放射線が照射される領域の面積を減少させることなく、検知用TFT60のリーク電流による放射線の検知を行うことができる。従って、そのため、放射線画像の品質を向上させることができる。また、検知用TFT60のゲート電極に検知用スキャン信号を印加するための走査配線101(101B)の数を、画素20の行毎に設ける場合に比べて減らすことができるため、放射線検出素子10の製造歩留まりを向上させることができる。また、検知用TFT60を放射線検知用画素20Bに対して1つ設ける場合に比べて、信号配線3の容量低下によるノイズを低減させることができる。
なお、検知用TFT60は、2つの放射線検知用画素20B毎に、1つ、必ず設けるようにして、放射線検出素子10の全画素20を放射線検知用画素20Bとしてもよいし、画像取得用画素20Aと混在するようにしてもよい。
また、本実施の形態のように、放射線検知用画素20Bと放射線検知用画素20Bとの間に検知用TFT60を設ける場合、走査配線101Bは、検知用TFT60専用の走査配線(第4の実施の形態の検知用制御配線82に相当)とすることが好ましい。例えば、上述のように画像取得用画素20Aと放射線検知用画素20Bとが混在する放射線検出素子10において、走査配線101BをTFTスイッチ4にスキャン信号を印加するための走査配線101と共通にした場合、制御が複雑になるためである。
また、本実施の形態の放射線画像撮影装置100の構成を、第3の実施の形態のように、放射線量検出回路120及び放射線検知用信号配線122を設け、放射線検知用画素20Bの検知用TFT60を信号配線3ではなく、放射線検知用信号配線122に接続させるように構成してもよい。
また、上記各実施の形態では、放射線画像撮影装置100が放射線検知用画素20Bで検知した放射線に基づいて放射線の照射開始のタイミングを検出する場合について説明したがこれに限らず、放射線照射装置204からの放射線の照射停止のタイミングの検出や、所定量の放射線が照射されたタイミングの検出に適用してもよい。
また、上記各実施の形態では、検知用TFT60のリーク電流により放射線を検知する場合について説明したが検知用TFT60に限らず、シンチレータ40から照射された光に応じてリーク電流量が変化する半導体素子(例えば、その他のフォトトランジスタ等)であってもよい。
また、上記各実施の形態では、間接変換方式の場合について説明したがこれに限らず、放射線を直接、半導体層で電荷に変換して蓄積する直接変換方式の場合に適用してもよい。この場合、直接変換方式におけるセンサ部は、放射線が照射されることにより電荷を発生する。
その他、上記各実施の形態で説明した放射線画像撮影装置100、放射線検出素子10等の構成、動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。
また、上記各実施の形態で説明した放射線は、特に限定されるものではなく、X線やγ線等を適用することができる。