JP3999522B2 - 固体撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入射光を撮像する固体撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固体撮像装置は、複数のフォトダイオードを有する受光部と、電荷を蓄積する容量素子を有する信号処理部とを有している。このような固体撮像装置では、各フォトダイオードへの入射光の強度に応じた量の電荷が該フォトダイオードで発生し、その電荷が信号処理部の容量素子に蓄積され、その蓄積された電荷の量に応じた電圧値が信号処理部より出力される。そして、この電圧値に基づいて各フォトダイオードへの入射光の強度が求められて、これにより受光部へ入射する光の像が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の固体撮像装置では、信号処理部の容量素子が蓄積し得る電荷の量に限界がある。このことから、この限界を超える電荷を発生させるような高強度の光がフォトダイオードに入射した場合には、信号処理部より出力される電圧値が飽和してしまい、入射光強度の正確な測定(すなわち正確な撮像)ができない。
【0004】
このような飽和が発生しないようにするには、信号処理部の容量素子の容量値を大きくすればよい。しかし、その場合には、低強度の光がフォトダイオードに入射した場合に、入射光強度の検出感度が低くなる。
【0005】
また、信号処理部が容量値可変の可変容量部を有するものとして、フォトダイオードへの入射光の強度に応じて、該容量値を適切に設定することが考えられる。すなわち、入射光強度が高いときには、容量値を大きく設定することで、信号処理部より出力される電圧値が飽和することを回避することができる。一方、入射光強度が低いときには、容量値を小さく設定することで、入射光強度の検出感度の低下を回避することができる。
【0006】
しかし、信号処理部が可変容量部を有するものである場合であっても、設定された容量値によっては、高強度の光がフォトダイオードに入射した場合には信号処理部より出力される電圧値が飽和することがあり、或いは、低強度の光がフォトダイオードに入射した場合には入射光強度の検出感度が低くなることがある。また、受光部へ入射する光の分布における最大強度と最小強度との比が大きいときには、受光部上の画素によっては、信号処理部より出力される電圧値は飽和することがあり、或いは、入射光強度の検出感度が低くなることがある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、出力飽和および感度低下の双方を回避して高精度の撮像を行うことができる固体撮像装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る固体撮像装置は、(1) 入射光強度に応じた量の電荷を各々発生する複数の撮像用フォトダイオードおよびモニタ用フォトダイオードを有する受光部と、(2) モニタ用フォトダイオードで発生した電荷の量を検出し、その検出結果を表す第1信号を出力する第1信号処理部と、(3) 第1信号処理部より出力される第1信号に基づいて容量値が設定される可変容量部を有し、撮像用フォトダイオードで発生した電荷を可変容量部に蓄積し、その蓄積した電荷の量を表す第2信号を出力する第2信号処理部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この固体撮像装置の受光部は、入射光強度に応じた量の電荷を各々発生する複数の撮像用フォトダイオードおよびモニタ用フォトダイオードを有している。モニタ用フォトダイオードで発生した電荷の量は第1信号処理部により検出され、その検出結果を表す第1信号が第1信号処理部より出力され、この第1信号処理部より出力された第1信号に基づいて第2信号処理部の可変容量部の容量値が設定される。そして、撮像用フォトダイオードで発生した電荷は第2信号処理部の可変容量部に蓄積され、その蓄積された電荷の量を表す第2信号が第2信号処理部より出力される。このように、第2信号処理部の可変容量部の容量値が入射光強度に応じて適切に設定されるので、高強度の光が入射した場合であっても、第2信号処理部より出力される電圧値の飽和が回避され、また、低強度の光が入射した場合であっても、入射光強度の検出感度の低下が回避され得る。
【0010】
本発明に係る固体撮像装置は、複数の撮像用フォトダイオードが1次元配列されたものであってもよいし、また、撮像用フォトダイオードがM行N列(M≧2、N≧2)に2次元配列されていて、2次元配列された撮像用フォトダイオードの各行に対応して第2信号処理部が設けられているのが好適である。さらに、2次元配列された撮像用フォトダイオードの各行に対応してモニタ用フォトダイオードおよび第1信号処理部それぞれが設けられているのも好適である。この場合には、固体撮像装置は、入射した光の2次元像を撮像することができる。また、2次元配列された撮像用フォトダイオードの各行に対応して第2信号処理部が設けられているようにすれば、固体撮像装置を半導体基板上に集積化する上で好適である。
【0011】
本発明に係る固体撮像装置は、撮像用フォトダイオードに対して1対1に対応してモニタ用フォトダイオードが設けられているのが好適であり、或いは、撮像用フォトダイオードに対して多対1に対応してモニタ用フォトダイオードが設けられているのも好適である。前者の場合には、受光部へ入射する光の分布が画素位置に応じて急峻に変化するときであっても、出力飽和および感度低下の双方を回避して高精度の撮像を行うことができる。一方、後者の場合には、受光部の面積を小さくすることができ、或いは、受光部の画素数を多くすることができる。
【0012】
本発明に係る固体撮像装置は、受光部の第(n+1)列のモニタ用フォトダイオードで発生した電荷を第1信号処理部が処理する期間と、受光部の第n列の撮像用フォトダイオードで発生した電荷を第2信号処理部が処理する期間とは、少なくとも一部が重なっているのが好適である。ただし、nは1以上(N−1)以下の各整数である。この場合には、第1信号処理部および第2信号処理部それぞれの処理が並列的に行われる。このような並列処理が行われることにより、受光面上の全ての画素について入射光強度を検出する時間が短縮され、単位時間当たりに撮像することができるフレーム数すなわちフレームレートが向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る固体撮像装置1の全体構成図である。また、図2は、本実施形態に係る固体撮像装置1の一部構成図である。これらの図に示される固体撮像装置1は、受光部10、M個の第1信号処理部201〜20M、M個の第2信号処理部301〜30M、A/D変換部40およびタイミング制御部50を備えている。図2には、受光部10のうちの第m行受光領域11m、ならびに、これに対応する第1信号処理部20mおよび第2信号処理部30mが示されている。ただし、Mは2以上の整数であり、mは1以上M以下の任意の整数である。
【0015】
受光部10は、入射光強度に応じた量の電荷を各々発生するモニタ用フォトダイオードPDAおよび撮像用フォトダイオードPDBの対がM行N列に2次元配列されたものである。以下では、第m行第n列に位置するモニタ用フォトダイオードPDAをPDA,m,nと記し、第m行第n列に位置する撮像用フォトダイオードPDBをPDB,m,nと記す。また、受光部10のうち第m行にあるN対のモニタ用フォトダイオードPDA,m,nおよび撮像用フォトダイオードPDB,m,nを含む受光領域を第m行受光領域11mと呼ぶ。ただし、Nは2以上の整数であり、nは1以上N以下の任意の整数である。
【0016】
各モニタ用フォトダイオードPDA,m,nは、各々に対応して設けられているスイッチSWA,m,nを介して、第1信号処理部20mに接続されている。各スイッチSWA,m,nは、タイミング制御部50から出力される制御信号に基づいて開閉し、閉じているときに、モニタ用フォトダイオードPDA,m,nで発生した電荷を第1信号処理部20mへ送る。各第1信号処理部20mは、モニタ用フォトダイオードPDA,m,nで発生した電荷の量を検出し、その検出結果を表す第1信号を出力する。また、各第1信号処理部20mの出力端子は、各々に対応して設けられているスイッチSWA,mに接続されている。各スイッチSWA,mは、タイミング制御部50から出力される制御信号に基づいて開閉する。
【0017】
各撮像用フォトダイオードPDB,m,nは、各々に対応して設けられているスイッチSWB,m,nを介して、第2信号処理部30mに接続されている。各スイッチSWB,m,nは、タイミング制御部50から出力される制御信号に基づいて開閉し、閉じているときに、撮像用フォトダイオードPDB,m,nで発生した電荷を第2信号処理部30mへ送る。各第2信号処理部30mは、第1信号処理部20mより出力される第1信号に基づいて容量値が設定される可変容量部を有しており、撮像用フォトダイオードPDB,m,nで発生した電荷を該可変容量部に蓄積し、その蓄積した電荷の量を表す第2信号を出力する。また、各第2信号処理部30mの出力端子は、各々に対応して設けられているスイッチSWB,mを介して、A/D変換部40に接続されている。各スイッチSWB,mは、タイミング制御部50から出力される制御信号に基づいて開閉し、閉じているときに、第2信号処理部30mから出力された第2信号をA/D変換部40へ送る。
【0018】
A/D変換部40は、各第1信号処理部20mより出力されスイッチSWA,mを介して到達した第1信号を入力するとともに、各第2信号処理部30mより出力されスイッチSWB,mを介して到達した第2信号を入力する。そして、A/D変換部40は、第2信号の値(アナログ値)をデジタル値に変換し、そのデジタル値の各ビットを第1信号の値に応じてシフトして、そのビットシフトしたデジタル値を出力する。タイミング制御部50は、各スイッチSWA,m,n、各スイッチSWA,m、各スイッチSWB,m,nおよび各スイッチSWB,mそれぞれの開閉動作を制御するとともに、各第1信号処理部20m、各第2信号処理部30mおよびA/D変換部40それぞれの動作を制御する。
【0019】
図3は、本実施形態に係る固体撮像装置1の受光部10における各フォトダイオードの配置の説明図である。この図には、受光部10におけるM×N個の画素のうち、第m行第n列、第m行第(n+1)列、第(m+1)行第n列および第(m+1)行第(n+1)列それぞれの画素が示されている。各画素におけるモニタ用フォトダイオードPDAおよび撮像用フォトダイオードPDBそれぞれについては、光に対して感応する領域の形状の例が具体的に示されている。また、各画素におけるスイッチSWAおよびSWB、各スイッチの開閉を制御する制御信号を伝える制御ラインCLAおよびCLB、ならびに、各フォトダイオードで発生した電荷を伝えるビデオラインVLAおよびVLBそれぞれについては、模式的に示されている。
【0020】
各制御ラインCLA,nは、タイミング制御部50より出力される制御信号を、第n列にあるM個のスイッチSWA,1,n〜SWA,M,nそれぞれへ送るものである。各制御ラインCLB,nは、タイミング制御部50より出力される制御信号を、第n列にあるM個のスイッチSWB,1,n〜SWB,M,nそれぞれへ送るものである。
【0021】
各ビデオラインVLA,mは、第m行にあるN個のスイッチSWA,m,1〜SWA,m,Nそれぞれと接続されており、第m行にあるN個のモニタ用フォトダイオードPDA,m,1〜PDA,m,Nそれぞれで発生した電荷を順次に第1信号処理部20mへ送るものである。各ビデオラインVLB,mは、第m行にあるN個のスイッチSWB,m,1〜SWB,m,Nそれぞれと接続されており、第m行にあるN個の撮像用フォトダイオードPDB,m,1〜PDB,m,Nそれぞれで発生した電荷を順次に第2信号処理部30mへ送るものである。
【0022】
受光部10上の第m行第n列に位置する画素には、1対のモニタ用フォトダイオードPDA,m,nおよび撮像用フォトダイオードPDB,m,nが設けられている。モニタ用フォトダイオードPDA,m,nの感応領域の形状は略矩形であり、撮像用フォトダイオードPDB,m,nの感応領域の形状は略L字形である。そして、両者を併せた全体の形状は略矩形となっている。
【0023】
図4は、本実施形態に係る固体撮像装置1の第1信号処理部20mおよび第2信号処理部30mそれぞれの回路図である。
【0024】
各第1信号処理部20mは、アンプA20、コンデンサC20、スイッチSW20、コンパレータ21〜23および制御部24を有している。アンプA20の入力端子はビデオラインVLA,mに接続されており、アンプA20の入力端子と出力端子との間にコンデンサC20およびスイッチSW20が並列的に設けられている。アンプA20、コンデンサC20およびスイッチSW20は積分回路を構成している。すなわち、この積分回路は、タイミング制御部50より出力される制御信号により制御されてスイッチSW20が開いているときに、ビデオラインVLA,mを経て送られて来た電荷をコンデンサC20に蓄積し、その蓄積した電荷の量に応じた電圧値V20をアンプA20の出力端子より出力する。また、スイッチSW20が閉じることにより、コンデンサC20に蓄積されていた電荷を放電して、アンプA20の出力端子より出力する電圧値を初期化する。
【0025】
各第1信号処理部20m内の3つのコンパレータ21〜23それぞれの非反転入力端子がアンプA20の出力端子に接続されている。コンパレータ21の反転入力端子には一定の参照電圧Vref1が入力している。コンパレータ22の反転入力端子には一定の参照電圧Vref2が入力している。コンパレータ23の反転入力端子には一定の参照電圧Vref3が入力している。コンパレータ21〜23それぞれは、反転入力端子および非反転入力端子それぞれに入力した電圧値を大小比較し、その比較結果を示す論理値を出力端子より出力する。参照電圧Vref1〜Vref3それぞれの値は互いに異なっている。制御部24は、これら3つのコンパレータ21〜23それぞれの出力端子より出力された論理値を入力し、その論理値に応じた第1信号を出力する。
【0026】
各第2信号処理部30mは、アンプA30、コンデンサC30〜C33およびスイッチSW30〜SW33を有している。アンプA30の入力端子はビデオラインVLB,mに接続されている。アンプA30の入力端子と出力端子との間には、コンデンサC30、スイッチSW30、直列接続されたコンデンサC31およびスイッチSW31、直列接続されたコンデンサC32およびスイッチSW32、ならびに、直列接続されたコンデンサC33およびスイッチSW33が並列的に設けられている。スイッチSW31〜SW33それぞれは、第1信号処理部20mより出力される第1信号に基づいて開閉する。すなわち、コンデンサC30〜C33およびスイッチSW31〜SW33は、第1信号処理部20mより出力される第1信号に基づいて容量値が設定される可変容量部を構成している。スイッチSW30は、タイミング制御部50より出力される制御信号により制御されて開閉する。
【0027】
各第2信号処理部30mは積分回路を構成している。すなわち、この積分回路は、スイッチSW30が開いているときに、ビデオラインVLB,mを経て送られて来た電荷を可変容量部に蓄積し、その蓄積した電荷の量に応じた電圧値V30をアンプA30の出力端子より出力する。また、スイッチSW30が閉じることにより、可変容量部に蓄積されていた電荷を放電して、アンプA30の出力端子より出力する電圧値を初期化する。
【0028】
コンデンサC20およびC30〜C33それぞれの容量値、ならびに、参照電圧Vref1〜Vref3それぞれの値は、
【数1】
Figure 0003999522
なる関係式を満たす。ここで、Cは一定値であり、Vsatも一定値である。SAは各モニタ用フォトダイオードPDA,m,nの感応部の面積であり、SBは各撮像用フォトダイオードPDB,m,nの感応部の面積である。
【0029】
また、一定時間にモニタ用フォトダイオードPDA,m,nで発生する電荷の量をQA,m,nとし、該一定時間に撮像用フォトダイオードPDB,m,nで発生する電荷の量をQB,m,nとする。一般にフォトダイオードで発生する電荷の量は感応部の面積に比例するから、モニタ用フォトダイオードPDA,m,nおよび撮像用フォトダイオードPDB,m,nそれぞれに同一強度の光が入射したとすると、
【数2】
Figure 0003999522
なる関係式が成り立つ。
【0030】
各第1信号処理部20mにおいて、モニタ用フォトダイオードPDA,m,nで発生してコンデンサC20に蓄積される電荷の量QA,m,nに応じて、アンプA20の出力端子より出力される電圧値V20は、
【数3】
Figure 0003999522
なる式で表される。
【0031】
そして、この電圧値V20は、3つのコンパレータ21〜23によりレベルが判定されて、
【数4】
Figure 0003999522
の何れの範囲内であるかが判定される。
【0032】
アンプA20より出力される電圧値V20がVsat/8未満(上記(4a)式)であれば、制御部24により、スイッチSW31〜SW33の全てが開かれて、可変容量部の容量値はC(=C30)とされる。このとき、上記(1a)式、(2)式、(3)式および(4a)式より、第2信号処理部30mに入力する電荷の量QB,m,nは、
【数5】
Figure 0003999522
なる範囲にある。したがって、第2信号処理部30mより出力される第2信号の値V30(=QB,m,n/C)は、
【数6】
Figure 0003999522
なる範囲にある。
【0033】
アンプA20より出力される電圧値V20がVsat/8以上Vsat/4未満(上記(4b)式)であれば、制御部24により、スイッチSW31が閉じられスイッチSW32およびSW33が開かれて、可変容量部の容量値は2C(=C30+C31)とされる。このとき、上記(1b)式、(2)式、(3)式および(4b)式より、第2信号処理部30mに入力する電荷の量QB,m,nは、
【数7】
Figure 0003999522
なる範囲にある。したがって、第2信号処理部30mより出力される第2信号の値V30(=QB,m,n/2C)は、
【数8】
Figure 0003999522
なる範囲にある。
【0034】
アンプA20より出力される電圧値V20がVsat/4以上Vsat/2未満(上記(4c)式)であれば、制御部24により、スイッチSW31およびSW32が閉じられスイッチSW33が開かれて、可変容量部の容量値は4C(=C30+C31+C32)とされる。このとき、上記(1c)式、(2)式、(3)式および(4c)式より、第2信号処理部30mに入力する電荷の量QB,m,nは、
【数9】
Figure 0003999522
なる範囲にある。したがって、第2信号処理部30mより出力される第2信号の値V30(=QB,m,n/4C)は、上記(8)式で表される範囲にある。
【0035】
アンプA20より出力される電圧値V20がVsat/2以上(上記(4d)式)であれば、制御部24により、スイッチSW31〜SW33の全てが閉じられて、可変容量部の容量値は8C(=C30+C31+C32+C33)とされる。このとき、上記(1d)式、(2)式、(3)式および(4d)式より、第2信号処理部30mに入力する電荷の量QB,m,nは、
【数10】
Figure 0003999522
なる範囲にある。したがって、第2信号処理部30mより出力される第2信号の値V30(=QB,m,n/8C)は、上記(8)式で表される範囲にある。
【0036】
そして、A/D変換部40は、第2信号処理部30mより出力される第2信号の値V30をデジタル値に変換する。電圧値V20がVsat/8未満(上記(4a)式)であれば、A/D変換部40は、変換したデジタル値をそのまま出力する。電圧値V20がVsat/8以上Vsat/4未満(上記(4b)式)であれば、A/D変換部40は、変換したデジタル値を1ビット分だけ上位にシフトして、そのビットシフトしたデジタル値を出力する。電圧値V20がVsat/4以上Vsat/2未満(上記(4c)式)であれば、A/D変換部40は、変換したデジタル値を2ビット分だけ上位にシフトして、そのビットシフトしたデジタル値を出力する。電圧値V20がVsat/2以上(上記(4d)式)であれば、A/D変換部40は、変換したデジタル値を3ビット分だけ上位にシフトして、そのビットシフトしたデジタル値を出力する。
【0037】
以上のように、受光部10上にM行N列に配列された各画素について、該画素のモニタ用フォトダイオードPDA,m,nで発生した電荷QA,m,nが第1信号処理部20mにより検出される。その検出結果を表す第1信号が第1信号処理部20mより出力され、この第1信号に基づいて第2信号処理部30mの可変容量部の容量値が設定される。そして、該画素の撮像用フォトダイオードPDB,m,nで発生した電荷QB,m,nが第2信号処理部30mの可変容量部に蓄積され、その蓄積された電荷の量を表す第2信号が第2信号処理部30mより出力される。このとき、電荷QA,m,nに応じて(すなわち、電荷QB,m,nに応じて)、第2信号処理部30mの可変容量部の容量値が適切に設定される。
【0038】
したがって、高強度の光が撮像用フォトダイオードPDB,m,nに入射した場合であっても、第2信号処理部30mより出力される電圧値の飽和が回避され、また、低強度の光が撮像用フォトダイオードPDB,m,nに入射した場合であっても、入射光強度の検出感度の低下が回避され得る。さらに、受光部10へ入射する光の分布における最大強度と最小強度との比が大きいときであっても、受光部10上の全ての画素について出力飽和および感度低下の双方が回避され得る。
【0039】
次に、本実施形態に係る固体撮像装置1の動作タイミングについて説明する。図5は、本実施形態に係る固体撮像装置1の動作を説明するタイミングチャートである。この図には、第m行受光領域11mにあるモニタ用フォトダイオードPDA,m,nからビデオラインVLA,mへ出力される電荷量、第1信号処理部20mから出力される第1信号の値、第m行受光領域11mにある撮像用フォトダイオードPDB,m,nからビデオラインVLB,mへ出力される電荷量、第2信号処理部30mから出力される第2信号の値、および、A/D変換部40から出力されるデジタル値、それぞれの出力タイミングが示されている。なお、以下に説明する固体撮像装置1の動作は、タイミング制御部50による制御の下に行われるものである。
【0040】
時刻tn,1以前に、各第1信号処理部20mのスイッチSW20が一旦閉じることにより各第1信号処理部20mの出力が初期化され、その後にスイッチSW20が開く。また、各第2信号処理部30mのスイッチSW30が一旦閉じることにより各第2信号処理部30mの出力が初期化され、その後にスイッチSW30が開く。
【0041】
受光部10の第(n+1)列にあるM個のスイッチSWA,1,n+1〜SWA,M,n+1は、時刻tn,1に閉じ、この時刻tn,1より一定時間経過後の時刻tn,2に開く。また、受光部10の第n列にあるM個のスイッチSWB,1,n〜SWB,M,nは、時刻tn,1に閉じ、時刻tn,2に開く。
【0042】
この時刻tn,1から時刻tn,2までの期間に、受光部10の第(n+1)列にあるモニタ用フォトダイオードSWA,m,n+1で発生した電荷QA,m,n+1は、ビデオラインVLA,mを経て第1信号処理部20mに入力し、コンデンサC20に蓄積される。第1信号処理部20mでは、このコンデンサC20に蓄積された電荷の量に応じた電圧値V20がアンプA20より出力され、その電圧値V20のレベルがコンパレータ21〜23により判定され、その判定結果が制御部24に入力され記憶される。
【0043】
また、この時刻tn,1から時刻tn,2までの期間に、受光部10の第n列にある撮像用フォトダイオードSWB,m,nで発生した電荷QB,m,nは、ビデオラインVLB,mを経て第2信号処理部30mに入力し、可変容量部に蓄積される。なお、可変容量部の容量値は、時刻tn-1,2〜tn,1までの期間に適切に設定されている。第2信号処理部30mでは、この可変容量部に蓄積された電荷の量に応じた電圧値V30がアンプA30より出力される。
【0044】
また、この時刻tn,1から時刻tn,2までの期間に、スイッチSWB,1〜SWB,Mそれぞれが順次に閉じて、第2信号処理部301〜30Mそれぞれより出力された電圧値V30(第n列の各画素に対応するもの)が順次にA/D変換部40に入力する。また、スイッチSWA,1〜SWA,Mそれぞれが順次に閉じて、第1信号処理部201〜20Mそれぞれより出力された第1信号(第n列の各画素に対応するもの)が順次にA/D変換部40に入力する。そして、A/D変換部40において、第2信号処理部301〜30Mそれぞれより出力された電圧値V30はデジタル値に変換され、そのデジタル値は第1信号に基づいて必要に応じてビットシフトされる。そして、第n列のM個の画素それぞれについて、そのビットシフトされたデジタル値がA/D変換部40より出力される。
【0045】
さらに、時刻tn,2から時刻tn+1,1までの期間に、その前の時刻tn,1から時刻tn,2までの期間に第1信号処理部20mの制御部24に記憶されていた判定結果(すなわち、第(n+1)列にあるモニタ用フォトダイオードSWA,m,n+1で発生した電荷QA,m,n+1のレベル)に基づいて、第1信号処理部20mの制御部24より第1信号が出力される。そして、この第1信号に基づいて、第2信号処理部30mの可変容量部の容量値が設定される。その後、時刻tn+1,1から時刻tn+1,2までの期間に、受光部10の第(n+1)列にある撮像用フォトダイオードSWB,m,n+1で発生した電荷QB,m,n+1は、ビデオラインVLB,mを経て第2信号処理部30mに入力して可変容量部に蓄積され、この可変容量部に蓄積された電荷の量に応じた電圧値V30がアンプA30より出力される。
【0046】
以上のように、受光部10の第(n+1)列にあるモニタ用フォトダイオードSWA,m,n+1で発生した電荷QA,m,n+1が第1信号処理部20mにおいて処理されている期間と、受光部10の第n列にある撮像用フォトダイオードSWB,m,nで発生した電荷QB,m,nが第2信号処理部30mにおいて処理されている期間とは、少なくとも一部が互いに重なっている。すなわち、第1信号処理部20mおよび第2信号処理部30mそれぞれの処理が並列的に行われる。このような並列処理が行われることにより、受光面10上のM×N個の画素の全てについて入射光強度を検出する時間が短縮され、単位時間当たりに撮像することができるフレーム数すなわちフレームレートが向上する。
【0047】
次に、本実施形態に係る固体撮像装置1の変形例について説明する。図6は、本実施形態に係る固体撮像装置1の受光部10の変形例を示す図である。この図に示される受光部10は、図2に示されたものと比較すると、第m行第n列に位置するモニタ用フォトダイオードPDA,m,nに対応して4つのFETトランジスタT1A,m,n〜T4A,m,nが設けられている点で相違し、また、ビデオラインVLA,mに接続された定電流源12mが設けられている点で相違している。
【0048】
トランジスタT1A,m,nのソース端子には一定電圧が供給されている。トランジスタT1A,m,nのドレイン端子は、トランジスタT2A,m,nのソース端子と接続されている。トランジスタT2A,m,nのドレイン端子は、モニタ用フォトダイオードPDA,m,nのカソード端子と接続されている。撮像用フォトダイオードPDA,m,nのアノード端子は接地電位とされている。トランジスタT3A,m,nのソース端子には一定電圧が供給されている。トランジスタT3A,m,nのドレイン端子は、トランジスタT4A,m,nのソース端子と接続されている。トランジスタT3A,m,nのゲート端子は、トランジスタT1A,m,nのドレイン端子と接続されている。トランジスタT4A,m,nのドレイン端子は、ビデオラインVLA,mと接続されている。トランジスタT1A,m,n,T2A,m,nおよびT4A,m,nそれぞれのゲート端子には、タイミング制御部50より出力される制御信号が入力する。
【0049】
このように構成される受光部10のモニタ用フォトダイオードPDAは、いわゆるアクティブピクセルタイプのものであり、タイミング制御部50による制御の下に以下のように動作する。トランジスタT2A,m,nおよびT4A,m,nそれぞれのゲート端子に所定電圧が印加されることで、モニタ用フォトダイオードPDA,m,nで発生した電荷の量に応じた電圧値がビデオラインVLA,mへ出力される。また、トランジスタT1A,m,nのゲート端子に所定電圧が印加されることで、ビデオラインVLA,mへの出力が初期化される。このような図6に示される構成を受光部10が有する場合にも、第1信号処理部20m、第2信号処理部30mおよびA/D変換部40それぞれは上記と同様の構成を有し、固体撮像装置1は、同様の動作を行い、同様の効果を奏することができる。
【0050】
図7は、本実施形態に係る固体撮像装置1の受光部10の変形例における各フォトダイオードの配置の説明図である。この図に示される受光部10は、図3に示されたものと比較すると、2行の撮像用フォトダイオードPDBに対して、1行のモニタ用フォトダイオードPDAが設けられている点で相違している。また、これに応じて、ビデオラインVLA,mおよび第1信号処理部20mそれぞれも、2行の撮像用フォトダイオードPDBに対して1つずつ設けられている。すなわち、M×N個の撮像用フォトダイオードPDB,m,nが一定間隔で2次元配列されているのに対して、撮像用フォトダイオードPDB,m,nと撮像用フォトダイオードPDB,m+1,nとの間に1つのモニタ用フォトダイオードPDA,m,nが設けられている。また、第1信号処理部20mから出力された第1信号に基づいて、第2信号処理部30mの可変容量部の容量値が適切に設定されるだけでなく、第2信号処理部30m+1の可変容量部の容量値も適切に設定される。
【0051】
このように受光部10が構成される場合にも、第1信号処理部20m、第2信号処理部30mおよびA/D変換部40それぞれは上記と略同様の構成を有し、固体撮像装置1は、略同様の動作を行い、略同様の効果を奏することができる。ただし、図3および図7それぞれに示されたものを互いに比較すると、図3に示されるように撮像用フォトダイオードPDAに対して1対1に対応してモニタ用フォトダイオードPDBが設けられている場合、受光部10へ入射する光の分布が画素位置に応じて急峻に変化するときであっても、出力飽和および感度低下の双方を回避して高精度の撮像を行うことができる。一方、図7に示されるように撮像用フォトダイオードPDAに対して多対1に対応してモニタ用フォトダイオードPDBが設けられている場合、受光部10の面積を小さくすることができ、或いは、受光部10の画素数を多くすることができる。
【0052】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、第2信号処理部の可変容量部の容量値が入射光強度に応じて適切に設定されるので、高強度の光が入射した場合であっても、第2信号処理部より出力される電圧値の飽和が回避され、また、低強度の光が入射した場合であっても、入射光強度の検出感度の低下が回避され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る固体撮像装置1の全体構成図である。
【図2】本実施形態に係る固体撮像装置1の一部構成図である。
【図3】本実施形態に係る固体撮像装置1の受光部10における各フォトダイオードの配置の説明図である。
【図4】本実施形態に係る固体撮像装置1の第1信号処理部20mおよび第2信号処理部30mそれぞれの回路図である。
【図5】本実施形態に係る固体撮像装置1の動作を説明するタイミングチャートである。
【図6】本実施形態に係る固体撮像装置1の受光部10の変形例を示す図である。
【図7】本実施形態に係る固体撮像装置1の受光部10の変形例における各フォトダイオードの配置の説明図である。
【符号の説明】
1…固体撮像装置、10…受光部、201〜20M…第1信号処理部、301〜30M…第2信号処理部、40…A/D変換部、50…タイミング制御部、PDA,m,n…モニタ用フォトダイオード、PDB,m,n…撮像用フォトダイオード。

Claims (6)

  1. 入射光強度に応じた量の電荷を各々発生する複数の撮像用フォトダイオードおよびモニタ用フォトダイオードを有する受光部と、
    前記モニタ用フォトダイオードで発生した電荷の量を検出し、その検出結果を表す第1信号を出力する第1信号処理部と、
    前記第1信号処理部より出力される前記第1信号に基づいて容量値が設定される可変容量部を有し、前記撮像用フォトダイオードで発生した電荷を前記可変容量部に蓄積し、その蓄積した電荷の量を表す第2信号を出力する第2信号処理部と、
    を備えることを特徴とする固体撮像装置。
  2. 前記撮像用フォトダイオードがM行N列(M≧2、N≧2)に2次元配列されており、
    2次元配列された前記撮像用フォトダイオードの各行に対応して前記第2信号処理部が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
  3. 2次元配列された前記撮像用フォトダイオードの各行に対応して前記モニタ用フォトダイオードおよび前記第1信号処理部それぞれが設けられていることを特徴とする請求項2記載の固体撮像装置。
  4. 前記撮像用フォトダイオードに対して1対1に対応して前記モニタ用フォトダイオードが設けられていることを特徴とする請求項2記載の固体撮像装置。
  5. 前記撮像用フォトダイオードに対して多対1に対応して前記モニタ用フォトダイオードが設けられていることを特徴とする請求項2記載の固体撮像装置。
  6. 前記受光部の第(n+1)列の前記モニタ用フォトダイオードで発生した電荷を前記第1信号処理部が処理する期間と、前記受光部の第n列の前記撮像用フォトダイオードで発生した電荷を前記第2信号処理部が処理する期間とは、少なくとも一部が重なっている、ことを特徴とする請求項2記載の固体撮像装置(ただし、nは1以上(N−1)以下の各整数)。
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