JP6088163B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システムの起動制御に関する。
近年、水素(燃料ガス)と、酸素を含む空気(酸化剤ガス)とが供給されることで発電する燃料電池システムの開発が進められ、燃料電池車などの電力源として期待されている。なお、水素は水素タンクなどからアノードに供給され、空気はコンプレッサ(圧縮機)からカソードに供給される。
ところで、コンプレッサの特性上、起動時の低回転速度領域でサージが生じやすいという問題がある。ここで、サージとは、圧縮機が下流側(吐出側)の圧力に抗するための十分な圧力ヘッドをつくり出すことができず、気流の流れが不安定になる現象を意味している。
サージが生じた状態でコンプレッサを使用し続けると、空気の流量制御が不安定になるだけでなく、コンプレッサの耐久性を損ない、寿命を短くしてしまう。したがって、コンプレッサのサージを抑制するための技術が必要となる。
例えば、特許文献1には、燃料電池に接続される空気供給配管内の圧力変化率が所定値よりも大きい場合、コンプレッサでサージが発生したと判定する技術について記載されている。なお、前記判定をした場合、ECU(Electric Control Unit)は、燃料電池への出力要求に関わらずコンプレッサの回転速度を低下させる。
また、特許文献1には、燃料電池に接続される空気供給配管内の圧力及び流量を検出し、これらの検出値に基づいてコンプレッサでサージが発生する回転速度を予測する技術について記載されている。なお、出力要求に応じた回転速度でコンプレッサを駆動するとサージが発生すると予測した場合、ECUは、燃料電池への出力要求に関わらずコンプレッサの回転速度をサージが発生しない回転速度に修正する。
特開2009−76243号公報
特許文献1に記載の技術では、コンプレッサでのサージを実際に検出した場合、その動作点をサージ領域(吸入流量と圧力比との関係においてサージが発生する領域)から脱出させるように制御する。しかしながら、これは既にコンプレッサの動作点がサージ領域に入ってしまった後の対応であり、サージ領域での運転によりコンプレッサに不具合が生じる可能性がある。
また、特許文献1に記載の技術では、コンプレッサでのサージ発生が予測される場合には、動作点がサージ領域に入らないようにコンプレッサの回転速度などを制御する。しかしながら、サージの発生はコンプレッサの圧力や流量の応答性にも依存するため、正確に予測することは困難である。
さらに、特許文献1に記載の技術では、コンプレッサにおいてサージの発生を検出又は予測した場合、燃料電池への出力要求に関わらずコンプレッサの回転速度を制御(低下)させる。このように燃料電池への出力要求を無視した制御を行うと、燃料電池側で不具合(単セルの劣化など)が生じる可能性がある。
そこで、本発明は、スムーズに起動できる燃料電池システムの提供を課題とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る燃料電池システムは、燃料ガス流路に燃料ガスが供給され、酸化剤ガス流路に酸化剤ガスが供給されて発電する燃料電池と、前記酸化剤ガス流路に向かう酸化剤ガスが通流する酸化剤ガス供給流路と、前記酸化剤ガス流路から排出される酸化剤オフガスが通流する酸化剤オフガス排出流路と、前記酸化剤ガス供給流路に設けられ、前記酸化剤ガス流路に向けて酸化剤ガスを供給する圧縮機と、一端が前記圧縮機よりも下流側の前記酸化剤ガス供給流路に接続され、他端が前記酸化剤オフガス排出流路に接続されるか又は系外と連通する通流抵抗低減流路と、前記通流抵抗低減流路に設けられる通流可否切替手段と、制御手段と、前記圧縮機よりも上流側の前記酸化剤ガス供給流路の圧力を検出する圧力検出手段と、を備え、前記制御手段は、燃料電池システムの起動時、前記圧力検出手段によって検出される圧力が所定値未満である場合、前記通流可否切替手段を通流可能状態にして前記圧縮機を起動させ、前記通流抵抗低減流路に酸化剤ガスを送出する通流抵抗低減制御を実行した後、前記圧縮機を駆動させつつ前記通流可否切替手段を通流不可状態とし、前記酸化剤ガス供給流路を介して前記酸化剤ガス流路に酸化剤ガスを供給することを特徴とする。
かかる構成によれば、制御手段は、燃料電池システムの起動時、通流可否切替手段を通流可能状態にして圧縮機を起動させ、通流抵抗低減流路に酸化剤ガスを送出する通流抵抗低減制御を実行する。ここで、通流抵抗低減流路は、一端が圧縮機よりも下流側の酸化剤ガス供給流路に接続され、他端が酸化剤オフガス排出流路に接続されるか又は系外と連通している。したがって、圧縮機から吐出された酸化剤ガスは、圧力損失が大きい酸化剤ガス流路を通流することなく、圧力損失が小さい通流抵抗低減流路を通流し、系外に排出される。したがって、圧縮機の下流側の圧力が低い状態で起動できるため、起動時における低回転速度領域でのサージ発生を未然に回避できる。
また、前記通流抵抗低減制御を実行した後、制御手段は、圧縮機を駆動させつつ通流可否切替手段を通流不可状態とし、酸化剤ガス供給流路を介して酸化剤ガス流路に酸化剤ガスを供給する。このように、通流抵抗低減制御でサージを回避しつつ圧縮機を起動した後、圧縮機の駆動を継続しながら酸化剤ガス流路に酸化剤ガスを供給することで、燃料電池システムの起動をスムーズに実行できる。
かかる構成によれば、圧力検出手段は圧縮機よりも上流側の酸化剤ガス供給流路の圧力を検出する、つまり、圧縮機の吸入側に連通する系外の大気圧を検出する。圧力検出手段によって検出される大気圧が所定値未満である場合、圧縮機の吸入側の圧力が低くなるため、圧力比が大きくなってサージが起こる可能性が高くなる。この場合、制御手段は、通流抵抗低減制御を実行した後、酸化剤ガス流路に酸化剤ガスを供給することによってサージの発生を未然に回避できる。
また、前記燃料電池システムにおいて、前記制御手段は、前記通流抵抗低減制御を開始してから所定時間が経過した後、前記圧縮機を駆動させつつ前記通流可否切替手段を通流不可状態とし、前記酸化剤ガス供給流路を介して前記酸化剤ガス流路に酸化剤ガスを供給することが好ましい。
かかる構成によれば、通流抵抗低減制御を開始してから所定時間が経過し、圧縮機を安定して制御できるようになってから、酸化剤ガス流路への酸化剤ガスの供給を開始する。したがって、サージの発生を未然に回避し、圧縮機を安定して起動できる。
また、前記燃料電池システムにおいて、前記制御手段は、前記燃料電池システムを起動する際、前記燃料ガス流路への燃料ガスの供給に関わる機器の起動制御と、前記通流抵抗低減制御とを並行して実行することが好ましい。
かかる構成によれば、燃料ガス流路への燃料ガスの供給に関わる機器の起動制御と、通流抵抗低減制御とを並行して実行することで、燃料電池システムの起動に要する時間を短縮し、利便性を向上できる。
本発明によれば、スムーズに起動する燃料電池システムを提供できる。
本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。 燃料電池システムの動作の流れを示すフローチャートである。 燃料電池システムの起動時のタイムチャートであり、(a)はスタックバイパス弁の開閉状態、(b)は入口封止弁及び出口封止弁の開閉状態、(c)はコンプレッサの流量を示している。 燃料電池システムの構成図であり、太い実線矢印は本実施形態の通流抵抗低減制御の実行時における空気の流れを示し、破線は通流抵抗低減制御を実行しない場合の比較例における空気の流れを示している。 コンプレッサの吸入流量と圧力比との関係を示す特性図である。 コンプレッサの回転速度指令値及び実回転速度の時間的変化を示すグラフである。 通流抵抗低減制御を行わない場合の比較例における起動時のタイムチャートであり、(a)はスタックバイパス弁の開閉状態、(b)は入口封止弁及び出口封止弁の開閉状態、(c)はコンプレッサの流量を示している。 本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。 本発明の第3実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。
本発明の各実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
以下、燃料電池システムが燃料電池車に搭載される場合について説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、船舶、航空機などの移動体、家庭用や業務用の定置式のものにも適用できる。
≪第1実施形態≫
<燃料電池システムの構成>
図1に示す燃料電池システム1は、燃料電池10と、燃料電池10のカソードに対して酸素を含む空気(酸化剤ガス)を供給するカソード系と、燃料電池10のアノードに対して水素(燃料ガス)を供給するアノード系と、燃料電池10の発電電力を消費する電力消費系と、これらを制御するECU51と、を備えている。
(1.燃料電池)
燃料電池10は、固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)であり、膜/電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を一対の導電性のセパレータ(図示せず)で挟持してなる単セル(図示せず)を複数積層して構成されている。
燃料電池10の各セパレータには、それぞれの膜/電極接合体の全面に水素又は酸素を供給するための溝及び貫通孔が形成されており、これらの溝及び貫通孔がカソード流路11(酸化剤ガス流路)、アノード流路12(燃料ガス流路)として機能している。したがって、燃料電池10のカソード流路11及びアノード流路12では、ガスが通流した場合に比較的大きな圧力損失(以下、圧損と記す)が生じる。
また、セパレータには、燃料電池10を冷却するための冷媒(例えば、エチレングリコールを含む水)を通流させる冷媒流路(図示せず)が形成されている。
燃料電池10では、アノード流路12を介して水素が供給されると、以下に示す(式1)の電極反応が起こり、カソード流路11を介して酸素を含む空気が供給されると、以下に示す(式2)の電極反応が起こり、各単セルで電位差(Open Circuit Voltage:OCV)が発生する。
2H→4H+4e・・・(式1)
+4H+4e→2HO・・・(式2)
(2.カソード系)
カソード系は、コンプレッサ21と、加湿器22と、入口封止弁23と、出口封止弁24と、背圧弁25と、スタックバイパス弁26と、希釈器27と、を備えている。
コンプレッサ21(圧縮機)は、例えばモータターボ型の圧縮機であり、吸入側が配管a1を介して系外(車外)と連通し、吐出側が配管a2を介して加湿器22に接続されている。コンプレッサ21は、酸化剤ガス供給流路に設けられ、ECU51からの指令に従って内部の羽根車(図示せず)を回転させることによって系外から空気を吸引・圧縮し、カソード流路11に供給するものである。
なお、「酸化剤ガス供給流路」は、配管a1〜a4を含んで構成され、カソード流路11の流入口に接続されている。
また、コンプレッサ21が有する羽根車(図示せず)の回転軸にはモータ21aが設置され、ECU51からの指令に応じた回転速度で駆動する。
加湿器22は、カソード流路11に向かう空気を加湿するものであり、配管a3を介して入口封止弁23に接続されている。加湿器22は、配管a2を介して流入する低湿潤の空気(酸化剤ガス)と、配管a6を介して流入する高湿潤の酸化剤オフガスとの間で、中空糸膜(図示せず)を介した水分交換を行う。
なお、加湿器22も、ガスが通流した場合の圧損が比較的大きい。
入口封止弁23は、例えば電磁作動式の開閉弁であり、配管a4を介してカソード流路11の流入口に接続されている。すなわち、入口封止弁23は、酸化剤ガス供給流路に設けられ、閉状態において酸化剤ガス供給側の配管a4を締め切る機能を有している。
出口封止弁24は、例えば電磁作動式の開閉弁であり、配管a5を介してカソード流路11の流出口に接続されている。すなわち、出口封止弁24は、酸化剤オフガス排出流路に設けられ、閉状態において酸化剤オフガス排出側の配管a5を締め切る機能を有している。
ここで、「酸化剤オフガス排出流路」は、配管a5〜a8,b7を含んで構成され、カソード流路11の流出口に接続されている。なお、出口封止弁24の下流側は、配管a6を介して加湿器22に接続されている。
入口封止弁23及び出口封止弁24は、燃料電池システム1のソーク時において単セルが劣化することを抑制するため、系外からの空気がカソード流路11に流入しないように閉弁される。
背圧弁25は、その開度を調整することによって燃料電池10のカソード流路11を通流する空気の流量及び圧力(背圧)を調整するものであり、上流側は配管a7を介して加湿器22に接続され、下流側は配管a8を介して希釈器27に接続されている。
スタックバイパス弁26(通流可否切替手段)は、例えば、電磁式の開閉弁であり、通流抵抗低減流路に設けられている。
ここで、「通流抵抗低減流路」は、配管a9,a10を含んで構成され、一端がコンプレッサ21よりも下流側の酸化剤ガス供給流路(配管a2)に接続され、他端が酸化剤オフガス排出流路(配管a8)に接続されている。つまり、通流抵抗低減流路は、コンプレッサ21から送出される酸化剤ガスが、燃料電池10をバイパスして希釈器27に流入するように設けられている。
なお、スタックバイパス弁26は、後記する通流抵抗低減制御を実行する際に開弁される。
希釈器27は、配管a8を介して背圧弁25に接続され、配管b6を介してパージ弁34に接続されている。希釈器27は、パージ弁34が開いた場合に配管b6を介して流入する燃料オフガスを、配管a8を介して流入する酸化剤オフガスで希釈し、配管b7を介して系外に排出する機能を有している。
(2.アノード系)
アノード系は、水素タンク31と、遮断弁32と、エゼクタ33と、パージ弁34と、を備えている。
水素タンク31は、配管b1を介して遮断弁32に接続され、高純度の水素が高圧で圧縮充填されている。
遮断弁32は、配管b2を介してエゼクタ33に接続され、ECU51からの指令によって開かれると、水素タンク31からの水素が燃料ガス供給流路を介して燃料電池10のアノード流路12に供給されるようになっている。
なお、「燃料ガス供給流路」は、配管b1〜b3を含んで構成される。
エゼクタ33は、配管b3を介してアノード流路12の流入口に接続され、水素タンク31から供給される水素をノズル(図示せず)から噴射することによって、ノズルの周囲に負圧を発生させるものである。これによって、アノード流路12の流出口から流出する燃料オフガス(未反応の水素を含む)が、配管b4を介して吸引される。
パージ弁34は、配管b4から分岐する配管b5に接続され、配管b6を介して希釈器27に接続されている。パージ弁34は、ECU51からの指令に従って開弁することにより、アノード側に蓄積した不純物(窒素、水分など)を希釈器27に排出する機能を有している。
<電力消費系>
電力消費系は、VCU41と、PDU42と、走行モータ43と、を備えている。
VCU41(Voltage Control Unit)は、ECU51からの指令に従って燃料電池10の発電電力やバッテリ(図示せず)の充放電を制御するものであり、DC/DCチョッパ、DC/DCコンバータなどの電子回路が内蔵されている。なお、図1では、VCU41と燃料電池10との間に設けられるコンタクタや、燃料電池10の出力電流・出力電圧を検出する出力検出器の図示を省略している。
PDU42(Power Drive Unit)は、インバータ回路などで構成され、燃料電池10やバッテリ(図示せず)から供給される直流電力を三相交流電力に変換し、走行モータ43を含む負荷に供給するものである。ちなみに、PDU42は、減速時に発生する回生電力を直流電力に変換し、バッテリ(図示せず)に充電する機能も果たす。
走行モータ43は、例えば、永久磁石同期式の三相交流モータであり、PDU42によって変換された3相交流電力で燃料電池車の駆動輪を回転駆動させる。
<制御系>
ECU51(Electric Control Unit:制御手段)は、CPU、RAM、ROM、各種インタフェースなどの電子回路を備えて構成され、その内部に記憶したプログラムに従って各種機能を発揮する。
ECU51には、各センサ類からの検出信号や、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量を示す信号などが入力される。そして、ECU51は、入力される各信号に応じて各弁の開閉、各ポンプの駆動、VCU41の動作などを制御する。
<その他>
IG61(Ignition Switch)は、燃料電池システム1が搭載される燃料電池車の起動スイッチであり、運転席周りに配置されている。そして、IG61は、そのON/OFF信号をECU51に出力するようになっている。
また、系外(車外)の大気圧を検出する大気圧センサ(圧力検出手段:図示せず)が、例えばコンプレッサ21よりも上流側の配管a1に設置されている。
<燃料電池システムの動作>
次に、図2のフローチャートと、図3のタイムチャートとを参照しつつ、システム起動時における燃料電池システム1の動作について説明する。ちなみに、図2の「START」において、IG61はOFFであり、燃料電池システム1はソーク状態(長時間停止状態)であるものとする。
ステップS101においてIG61からON信号が入力されると、ECU51は初期チェックを実行する。ここで、「初期チェック」とは、ECU51のROMに書き込まれているプログラムや、センサ類から入力される圧力や温度などをCPUに読み込み、これらの情報に基づいて異常を検知したり、燃料電池システム1の起動準備を行ったりすることを意味している。
ちなみに、この時点において走行モータ43は、燃料電池10と電気的に接続されていない。また、スタックバイパス弁26は閉弁され(図3(a)の時刻t〜t)、入口封止弁23及び出口封止弁24は閉弁され(図3(b)の時刻t〜t)、コンプレッサ21は停止している(図3(c)の時刻t〜t)。
次に、ステップS102においてECU51は、大気圧センサ(図示せず)から入力される大気圧Patmが所定値P1未満であるか否かを判定する。なお、所定値P1は予め設定された値(例えば、1atm以下の値)であり、ECU51の記憶手段(図示せず)に格納されている。
大気圧Patmが所定値P1未満である場合(S102→Yes)、ECU51の処理はステップS104に進む。なお、大気圧Patm(つまり、コンプレッサ21の吸入側の圧力)が低い場合、コンプレッサ21の圧力比が大きくなってサージが発生しやすい。この場合、ECU51は、後記するステップS104〜S106において通流抵抗低減制御を実行し、コンプレッサ21の吐出側にかかる圧力を小さくしてサージの発生を未然に回避する。なお、通流抵抗低減制御については、後記する。
また、大気圧Patmが所定値P1以上である場合(S102→No)、ECU51の処理はステップS103に進む。
ステップS103においてECU51は、起動予定時間Δtが所定値Δt1よりも長いか否かを判定する。ここで、「起動予定時間Δt」とは、後記する通流抵抗低減制御を行わない場合に、IG61がONになってから燃料電池システム1の起動が完了するまでの予測時間であり、ソーク時間やステップS101,S102の検出結果に基づいて算出される。また、所定値Δt1は予め設定され、ECU51の記憶手段(図示せず)に格納されている。
起動予定時間Δtが所定値Δt1よりも長い場合(S103→Yes)、ECU51の処理はステップS104に進む。一方、起動予定時間Δtが所定値Δt1以下である場合(S103→No)、ECU51の処理はステップS111に進む。
つまり、ステップS102及びS103の条件のうち少なくとも一つが成立している場合、ECU51の処理はS104に進む。
ステップS104においてECU51は、スタックバイパス弁26を開弁し、通流可能状態にする(図3(a)の時刻t)。次に、ステップS105においてECU51は、コンプレッサ21に起動指令信号(つまり、回転速度指令値)を出力する(図3(c)の時刻t)。なお、ECU51からコンプレッサ21に出力される回転速度指令値は、時間的に一定である必要はなく、例えば所定の目標回転速度に向けて徐々に上昇するようにしてもよい(図6の実線を参照)。
ECU51から回転速度指令値が入力されると、コンプレッサ21のモータ21aが駆動し始め、実回転速度が徐々に上昇する(図3(c)の時刻t〜t)。
ちなみに、このとき、入口封止弁23及び出口封止弁24は閉弁されている(図3(b)の時刻t〜t)。したがって、コンプレッサ21が起動すると、図4の太線矢印で示すように、系外(車外)から配管a1を介して取り込まれた空気は、コンプレッサ21によって吸引・圧縮され、配管a2、通流抵抗低減流路(配管a9,a10)、及び配管a8を介して希釈器27に流入する。さらに、希釈器27に流入した空気は、配管b7を介して系外に排出される。
なお、図4に示すように、通流抵抗低減流路は、圧損(通流抵抗)が大きいカソード流路11や加湿器22をバイパスするように設けられている。したがって、図4の点線矢印で示すように、カソード流路11に空気を圧入する場合と比較して、コンプレッサ21の吐出側にかかる圧力が非常に小さくなる。
その結果、起動時の低回転速度領域においてコンプレッサ21の圧力比(吸入側圧力に対する吐出側圧力の比)を小さくできるため、サージの発生を未然に回避できる。
再び、図2に戻って説明を続ける。ステップS106においてECU51は、コンプレッサ21の起動が完了したか否かを判定する。ここで、「コンプレッサ21の起動が完了した」とは、ECU51からの起動指令を受けたコンプレッサ21が、前記起動指令に対応する回転速度で正常に駆動すること(つまり、要求出力に応じて制御可能になること)を意味している。
コンプレッサ21の起動が完了したか否かは、例えば、コンプレッサ21の回転速度が目標回転速度Q(図3(c)参照)に達したか否かによって判定できる。
コンプレッサ21の起動が完了した場合(S106→Yes)、ECU51の処理はステップS107に進む。一方、コンプレッサ21の起動が完了していない場合(S106→No)、ECU51の処理はステップS106の処理を繰り返す。
このように、スタックバイパス弁26を開弁し、通流可能状態にしてからコンプレッサ21を起動し、通流抵抗低減流路(配管a9,a10)に空気を送出する制御(図2のS104〜S106)を、以下では「通流抵抗低減制御」と記す。
S106においてコンプレッサ21の起動が完了すると(図3(c)の時刻t)、ステップS107においてECU51は、カソード流路11に空気を供給できるか否かを判定する。当該判定は、例えば、アノード流路12に水素が供給され、アノード系の起動準備処理が終了したか否かによって判定できる。なお、アノード系の起動準備については、後記する。また、前記した通流抵抗低減制御を実行した後も、コンプレッサ21は所定回転速度で駆動し続けている。
カソード流路11に空気を供給できる状態である場合(S107→Yes)、ECU51の処理はステップS108に進む。一方、カソード流路11に空気を供給できる状態でない場合(S107→No)、ECU51の処理はステップS107の処理を繰り返す。
ステップS108においてECU51は、入口封止弁23及び出口封止弁24を開弁する(図3(b)の時刻t)。次に、ステップS109においてECU51は、ステップS108の処理を実行してから所定時間Δt2が経過したか否かを判定する。ちなみに、所定時間Δt2は予め設定された時間であり、図3に示す時刻t〜tの時間に相当する。
このように、スタックバイパス弁26、入口封止弁23、及び出口封止弁24の全てが開弁状態となる時間を設けることで、図3の太線矢印の流路、及び破線矢印の流路のうち少なくとも一方の流路に空気を通流させる。これは、スタックバイパス弁26、入口封止弁23、及び出口封止弁24の全てが一時的に閉弁状態になり、コンプレッサ21に過負荷がかかることを防止するためである。
所定時間Δt2が経過した場合(S109→Yes)、ECU51の処理はステップS110に進む。一方、所定時間Δt2が経過していない場合(S109→No)、ECU51はステップS109の処理を繰り返す。
次に、ステップS110においてECU51は、スタックバイパス弁26を閉弁して通流不可状態とし(図3(a)の時刻t)、ステップS114に進む。
また、ステップS102において大気圧Patmが所定値P1以上であり(S102→No)、ステップS103において起動予定時間Δtが所定値Δt1以下である場合(S103→No)、ECU51の処理は、ステップS111に進む。
ステップS111においてECU51は、カソード流路11に空気を供給できるか否かを判定する。当該判定は、前記したステップS107と同様である。カソード流路11に空気を供給できる状態である場合(S111→Yes)、ECU51の処理はステップS112に進む。一方、カソード流路11に空気を供給できる状態でない場合(S111→No)、ECU51はステップS111の処理を繰り返す。
次に、ステップS112においてECU51は、入口封止弁23及び出口封止弁24を開弁する。そして、ステップS113においてECU51は、コンプレッサ21に起動指令信号を出力した後、ステップS114の処理に進む。この場合、コンプレッサ21から吐出された空気は、図4に示す破線矢印の流路を通流し、系外に排出される。
このように、ステップS102及びS103の条件のいずれも成立しない場合、ECU51は前記した通流抵抗低減制御を実行せず、スタックバイパス弁26を閉状態のままにする。
ステップS114においてECU51は、カソード側の起動準備を実行する(図3の時刻t〜t)。カソード側の起動準備では、例えば、燃料電池10の酸化剤ガス供給流路(配管a4)の圧力や酸素濃度に基づき、カソード流路11に酸素が行き渡ったか否かなどを判定する。
次に、ステップS115においてECU51は、燃料電池10の開放セル電圧(OCV)が所定値V1よりも高いか否かを判定する。なお、開放セル電圧は、燃料電池10とVCU41との間に介在する出力検出器(図示せず)によって検出され、ECU51に入力される。また、所定値V1は予め設定された値である。
開放セル電圧が所定値V1よりも高い場合(S115→Yes)、ECU51の処理はステップS116に進む。一方、開放セル電圧が所定値V1以下である場合(S115→No)、ECU51はステップS115の処理を繰り返す。
次に、ステップS116においてECU51は、コンタクタ(図示せず)をオンに切り替え、走行モータ43などの負荷と燃料電池10とを電気的に接続する。これによって、燃料電池10で発電が開始され、その発電電力が負荷やバッテリ(図示せず)に供給される。
このようにして、システム起動処理が完了する(図3の時刻t)。なお、「システム起動処理が完了した」とは、アノード系、カソード系、冷媒系、及び電力消費系の準備が整い、要求出力に応じて燃料電池車を走行できる状態になることを意味している。
つまり、システム起動処理(図3の時刻t〜t)は、図2のステップS102〜S115の処理のほか、アノード系、冷媒系、電力消費系などの起動処理も含んでいる。
例えば、図2に示すように、ECU51は、ステップS102〜S115の処理と並行して、アノード系などのシステム起動処理も実行する。つまり、ECU51は、燃料電池システム1を起動する際、アノード流路12への燃料ガスの供給に関わる機器の起動制御と、通流抵抗低減制御とを並行して実行する。
ここで「燃料ガスの供給に関わる機器」とは、例えば、遮断弁32、パージ弁34、遮断弁32とエゼクタ33との間に設置されるインジェクタ(図示せず)、水素の循環をアシストする水素ポンプ(図示せず)、それらを制御するドライバ(図示せず)などである。
ちなみに、アノード系のシステム起動処理を行う場合、ECU51は、遮断弁32を開弁してアノード流路12に水素を供給し、併せてパージ弁34を開弁してアノード流路12の空気を希釈器27にパージする。
<効果>
図5は、コンプレッサの吸入流量と圧力比との関係を示す特性図である。図5に示す特性図の横軸はコンプレッサ21の吸入流量であり、縦軸はコンプレッサ21の圧力比である。また、図5の左上に示す斜線領域はサージが発生する領域(サージ領域)であり、図5の右下に示す領域はサージが発生しない領域(正常領域)である。
なお、コンプレッサ21が停止している初期状態では吸入流量がゼロであり、圧力比は1.0である(図3の時刻t〜tに対応)。
また、図5の実線矢印は、前記した通流抵抗低減制御を実行する本実施形態での動作点の変化を示している。また、破線矢印は、通流抵抗低減制御を実行しない(つまり、スタックバイパス弁26を閉弁し、各封止弁を開弁した状態でコンプレッサ21を起動する)、比較例での動作点の変化を示している。
図5の比較例の場合にコンプレッサ21を起動すると、図4の破線矢印に示すように、系外(車外)から配管a1を介して流入した空気は、コンプレッサ21によって吸引・圧縮され、配管a2〜a4を介してカソード流路11に流入する。そして、カソード流路11から流出した空気は、配管a5〜a8,b7を介して系外に排出される。
この場合、コンプレッサ21の下流側の流路に加湿器22及びカソード流路11が存在するため圧損が大きく、前記下流側の圧力が高くなる。そうすると、コンプレッサ21の圧力比が大きくなるため、図5の破線矢印に示すように、コンプレッサ21の吸入流量0〜Qの範囲において動作点がサージ領域に入ってしまう。
これに対して本実施形態では、図4の実線矢印に示すように、加湿器22及びカソード流路11をバイパスする通流抵抗低減流路(配管a9,a10)を空気が通流するため、比較例と比べて圧損が非常に小さくなる。そうすると、コンプレッサ21の下流側の圧力の低くなり、コンプレッサ21の圧力比が小さくなる。その結果、図5の実線矢印に示すように、動作点がサージ領域に入ることなく「起動目標条件」(つまり、目標回転速度)に到達する。
このように本実施形態では、コンプレッサ21の回転速度が小さい起動時でのサージを未然に回避し、燃料電池システム1を安定して起動できる。その結果、コンプレッサ21の故障を防止し、耐久性を向上させることができる。
また、燃料電池システム1の起動時、大気圧Patmが所定値P1よりも低くサージが発生する可能性が高い場合(S102→Yes)、圧損が低い通流抵抗低減流路(配管a9,a10)を介してコンプレッサ21からの空気を送出する。これによって、例えば、燃料電池車が高所に停車している場合でも、通流抵抗低減制御を実行することでサージの発生を未然に防止し、コンプレッサ21をスムーズに起動できる。
図6は、コンプレッサの回転速度指令値及び実回転速度の時間的変化を示すグラフである。図6の横軸は、ECU51からコンプレッサ21に起動指令を出力した時刻からの経過時間であり、縦軸はコンプレッサ21の回転速度である。なお、図6に示す例では、エアベアリング式のモータターボ型コンプレッサを使用している。また、実線のグラフはECU51から入力される回転速度指令値であり、破線のグラフと一点鎖線のグラフはコンプレッサ21の実回転速度である(実験を2回行った)。
図6に示すように、コンプレッサ21の特性上、所定時間Δtの応答遅れがあり、ECU51からの起動指令が入力されてから目標回転速度Qに達するまで(つまり、ECU51による制御が有効になるまで)に所定時間Δtを要する。例えば、エアベアリング式のコンプレッサを用いると、エアベアリングが浮く所定回転速度となるまでに数secの時間を要する。
ここで、図7に示す比較例のように、スタックバイパス弁26を閉弁し、入口封止弁23及び出口封止弁24を開弁した状態でコンプレッサ21を起動すると、次のような事態が生じる。
すなわち、カソード流路11に空気を供給する前に、まずアノード流路12に水素を充満させる必要があるため、アノード側の起動(図7の時刻t11〜t12)とカソード側の起動(時刻t14〜t15)とを並行して行うことができない。また、前記したように、コンプレッサ21の起動には所定時間を要する(時刻t13〜t14)。
つまり、図7に示す比較例では、IG61からON信号が入力されてから、システム全体の起動が完了するまでの時間(時刻t10〜t15)が非常に長くなる。
これに対して、本実施形態では、図3に示すように、コンプレッサ21の起動(図3の時刻t〜t)と、アノード系などのシステム起動処理(時刻t〜t)とを並行して実行できる。これは、コンプレッサ21を起動させる際、カソード流路11をバイパスする通流抵抗低減流路(配管a9,a10:図4参照)を介して空気を送出するためである。
また、カソード流路11に空気を供給できる状態において(図3の時刻t)、既にコンプレッサ21の起動が完了している(図3の時刻t)。したがって、前記状態になった直後に大流量(図3の目標流量Q)の空気をカソード流路11に供給し、カソード系の起動がスムーズに進む。
このように本実施形態では、アノード系などのシステム起動処理を実行しつつコンプレッサ21を起動できるため、システム起動処理に要する時間を大幅に短縮できる。その結果、ユーザがIG61をONしてから走行可能となるまでの時間を短縮し、利便性を向上できる。
ちなみに、前記した効果は、燃料電池車のソーク時間が長く、システム起動に長時間を要する場合や(図2のS103→Yes)、エアベアリング式のコンプレッサのように起動に所定時間を要する場合において特に顕著となる。
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、第1実施形態と比較してエキスパンダ28が設けられ、通流抵抗低減流路(配管a10,a11)がエキスパンダ28の下流側に接続されている点が異なるが、その他の点は第1実施形態と同様である。したがって、当該異なる部分について説明し、重複した説明を省略する。
図8に示すように、エキスパンダ28は、その内部に羽根車(タービンブレード)を備え、配管a7を通流するカソードオフガスの流体エネルギによって前記羽根車を回転させる。これによって、カソードオフガスの流体エネルギは、エキスパンダ28の前記羽根車の回転エネルギに変換される。
また、エキスパンダ28の羽根車は、コンプレッサ21の羽根車(図示せず)と、伝達軸21bを介して連結されている。ちなみに、伝達軸にはクラッチ(図示せず)が設けられ、当該クラッチは、ECU51によってON(連結)/OFF(非連結)制御される。
エキスパンダ28の下流側は、配管a8、背圧弁25、及び配管a9を介して希釈器27に接続されている。また、通流抵抗低減流路を構成する配管a11の一端はスタックバイパス弁26(通流可否切替手段)に接続され、他端は配管a9に接続されている。
なお、第2実施形態に係る燃料電池システム1Aの動作は、第1実施形態と同様であるから説明を省略する。
コンプレッサ21の起動時にECU51はスタックバイパス弁26を開弁して通流可能状態とし、入口封止弁23及び出口封止弁24を閉弁する。そうすると、コンプレッサ21から吐出された空気は、配管a2、通流抵抗低減流路(配管a10,a11)、及び配管a9を介して希釈器27に流入し、配管b7を介して系外に排出される。
そして、コンプレッサ21の起動が完了し、入口封止弁23及び出口封止弁24が開弁され、スタックバイパス弁26が閉弁される(通流不可状態になる)と、コンプレッサ21から吐出された空気は、配管a2〜a4を介してカソード流路11に供給される。
さらにカソード流路11から流出したカソードオフガスは、配管a5〜a7を介してエキスパンダ28に流入し、前記羽根車を回転させる。当該回転エネルギは、伝達軸21b及びクラッチ(図示せず)を介してコンプレッサ21に供給される。
<効果>
本実施形態に係る燃料電池システム1Aによれば、コンプレッサ21の起動時においてサージが生じることを未然に回避するとともに、システム起動処理に要する時間を短縮できる。
また、本実施形態では、酸化剤オフガスの流体エネルギをエキスパンダ28の羽根車の回転エネルギに変換し、コンプレッサ21に伝達する。したがって、コンプレッサ21の駆動がエキスパンダ28によってアシストされるため、燃料電池システム1A全体でのエネルギ効率を向上させることができる。
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、第1実施形態と比較して、アノード流路12を掃気するための掃気ガス導入流路(配管c1,c2)が設けられ、コンプレッサ21の起動時に空気を送出する通流抵抗低減流路(配管c1,c3,c4)が設けられている点が異なるが、その他の点は第1実施形態と同様である。したがって、当該異なる部分について説明し、重複した説明を省略する。
図9に示す燃料電池システム1Bは、配管c1,c2を含む掃気ガス導入流路を備えている。配管c1の一端はコンプレッサ21よりも下流側の配管a2に接続され、他端は掃気ガス導入弁29に接続されている。また、配管c2の一端は掃気ガス導入弁29に接続され、他端はエゼクタ33よりも下流側の配管b3に接続されている。
また、燃料電池システム1Bは、配管c1,c3,c4を含む通流抵抗低減流路を備えている。配管c3の一端は配管c1に接続され、他端は二方弁30(通流可否切替手段)に接続されている。また、配管c4の一端は二方弁30に接続され、他端は系外と連通している。
アノード流路12を掃気する際、ECU51は掃気ガス導入弁29を開弁し、二方弁30を閉弁し、パージ弁34を開弁する。そうすると、コンプレッサ21の駆動によって配管a1から取り込まれた空気は、配管c1,c2,b3、アノード流路12、配管b4〜b6を介して希釈器27に流入し、配管b7を介して系外に排出される。
また、燃料電池システム1Bの起動時においてECU51は、入口封止弁23、出口封止弁24、掃気ガス導入弁29を閉弁し、二方弁30(通流可否切替手段)を開弁して通流可能状態にしてから、コンプレッサ21のモータ21aに起動指令信号を出力する。
そうすると、コンプレッサ21のモータ21aが駆動し始めることで配管a1を介して空気が取り込まれ、配管c1,c3,c4を含む通流抵抗低減流路を介して系外に排出される(通流抵抗低減制御)。
コンプレッサ21を起動する際、その下流側は配管c4を介して系外に連通しているため、圧損が非常に小さい。したがって、コンプレッサ21の低回転速度領域における圧力比を小さくすることで、サージの発生を未然に回避できる。
なお、コンプレッサ21が起動した後は、入口封止弁23及び出口封止弁24を開弁し、二方弁30を閉弁して通流不可状態にする。これによって、コンプレッサ21の駆動により吐出された空気は、配管a2〜a4を介してカソード流路11に供給される。そして、カソード流路11から流出した空気は、配管a5〜a8,b7を介して系外に排出される。
<効果>
本実施形態に係る燃料電池システム1Bによれば、コンプレッサ21の起動時においてサージが生じることを未然に回避するとともに、システム起動処理に要する時間を短縮できる。また、アノード流路12を掃気することで、生成水の凍結やフラッディングを防止できる。
≪変形例≫
以上、本発明に係る燃料電池システムについて前記各実施形態により説明したが、本発明の実施態様はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、前記各実施形態では、コンプレッサ21としてエアベアリング式のモータターボ型コンプレッサを用いた例を示したが、これに限らない。その他、転がり軸受などを備えたコンプレッサなどにも適用できる。
また、第1実施形態では、通流抵抗低減流路の一端(配管a10:図1参照)と酸化剤オフガス排出流路(配管a8)との接続箇所よりも上流側に背圧弁25を設ける場合について説明したが、これに限らない。すなわち、通流抵抗低減流路の一端と酸化剤オフガス排出流路との接続箇所よりも下流側に背圧弁25を設け、背圧弁25の開度を制御することでコンプレッサ21の圧力比を調整(徐々に増加)してもよい。
また、第2実施形態では、通流抵抗低減流路の一端(配管a11:図8参照)と酸化剤オフガス排出流路(配管a9)との接続箇所よりも上流側にエキスパンダ28を設ける場合について説明したが、これに限らない。すなわち、通流抵抗低減流路の一端と酸化剤オフガス排出流路との接続箇所よりも下流側に、エキスパンダ28を設けてもよい。
また、前記各実施形態では、大気圧Patmが所定値P1未満である条件(図2のS102)、及び、起動予定時間Δtが所定値Δt1よりも長いという条件(図2のS103)のうち少なくとも一つが成立している場合、通流抵抗低減制御を実行する場合について説明したが、これに限らない。例えば、燃料電池システム1(1A,1B)の起動時における条件に関わらず、システム起動するたびに通流抵抗低減制御を実行することとしてもよい。
また、前記各実施形態では、コンプレッサ21が所定の目標回転速度に達したと判定した場合、ECU51が通流抵抗低減制御を終了する場合について説明したが、これに限らない。例えば、通流抵抗低減制御を開始してから所定時間Δtが経過したら、ECU51は、コンプレッサ21を駆動させつつスタックバイパス弁26を閉弁し、酸化剤ガス供給流路を介してカソード流路11に空気を供給することとしてもよい。
この場合において、前記所定時間Δtは予め設定された値であり、コンプレッサ21の応答遅れを考慮して定められる。つまり、所定時間Δtは、ECU51から起動指令が入力された後、コンプレッサ21が所定の目標回転速度に到達すると見込まれる時間(+所定の余裕時間)である。
また、通流可否切替手段として、各実施形態ではスタックバイパス弁26(図1、図8参照)や二方弁30(図9参照)を示したが、通流抵抗低減流路と酸化剤ガス供給流路との接続部に、三方弁を通流可否切替手段として設けてもよい。この場合、三方弁を切り替えることで、コンプレッサ21から送出される酸化剤ガスを通流抵抗低減流路に流す状態(通流可能状態)と、流さない状態(通流不可状態)とのいずれかに、強制的に選択することができる。
1,1A,1B 燃料電池システム
10 燃料電池
11 カソード流路(酸化剤ガス流路)
12 アノード流路(燃料ガス流路)
21 コンプレッサ(圧縮機)
21a モータ
26 スタックバイパス弁(通流可否切替手段)
28 エキスパンダ
29 掃気ガス導入弁
30 二方弁(通流可否切替手段)
32 遮断弁(機器)
43 走行モータ
51 ECU(制御手段)
a1,a2,a3,a4 配管(酸化剤ガス供給流路)
a5,a6,a7,a8 配管(酸化剤オフガス排出流路)
a9,a10 配管(通流抵抗低減流路)

Claims (3)

  1. 燃料ガス流路に燃料ガスが供給され、酸化剤ガス流路に酸化剤ガスが供給されて発電する燃料電池と、
    前記酸化剤ガス流路に向かう酸化剤ガスが通流する酸化剤ガス供給流路と、
    前記酸化剤ガス流路から排出される酸化剤オフガスが通流する酸化剤オフガス排出流路と、
    前記酸化剤ガス供給流路に設けられ、前記酸化剤ガス流路に向けて酸化剤ガスを供給する圧縮機と、
    一端が前記圧縮機よりも下流側の前記酸化剤ガス供給流路に接続され、他端が前記酸化剤オフガス排出流路に接続されるか又は系外と連通する通流抵抗低減流路と、
    前記通流抵抗低減流路に設けられる通流可否切替手段と、
    制御手段と
    前記圧縮機よりも上流側の前記酸化剤ガス供給流路の圧力を検出する圧力検出手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、燃料電池システムの起動時、
    前記圧力検出手段によって検出される圧力が所定値未満である場合、前記通流可否切替手段を通流可能状態にして前記圧縮機を起動させ、前記通流抵抗低減流路に酸化剤ガスを送出する通流抵抗低減制御を実行した後、
    前記圧縮機を駆動させつつ前記通流可否切替手段を通流不可状態とし、前記酸化剤ガス供給流路を介して前記酸化剤ガス流路に酸化剤ガスを供給すること
    を特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記制御手段は、
    前記通流抵抗低減制御を開始してから所定時間が経過した後、前記圧縮機を駆動させつつ前記通流可否切替手段を通流不可状態とし、前記酸化剤ガス供給流路を介して前記酸化剤ガス流路に酸化剤ガスを供給すること
    を特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記制御手段は、
    前記燃料電池システムを起動する際、前記燃料ガス流路への燃料ガスの供給に関わる機器の起動制御と、前記通流抵抗低減制御とを並行して実行すること
    を特徴とする請求項1又は請求項に記載の燃料電池システム。
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