(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1(A)は、本実施形態に係る属性制御装置1の構成例を示す図である。本実施形態に係る属性制御装置1はレーザポインタであって、スクリーン上の任意の位置にレーザビームを照射することが可能であり、操作者はレーザビームがつくるポインタによってスクリーン画面における特定部分を視聴者に示すことができる。本実施形態に係る属性制御装置1(レーザポインタ)は、自らが照射するポインタの色、光量、形状といった属性を変更することが可能である。
本明細書においては、視聴者が同時に表示される他のポインタと区別できるようにするために、属性制御装置1が属性を変更するポインタのことを「第1のポインタ」と呼ぶ。つまり、後述する属性設定処理の対象であるポインタを「第1のポインタ」という。そして、第1のポインタと同時にスクリーンやモニタ上に表示される他のポインタを「第2のポインタ」という。「第2のポインタ」は1つに限らず、複数もあり得る。ここで、本実施形態に係る属性制御装置1はレーザポインタであるため、自らが照射するポインタの属性しか変更することができない。そのため、本実施形態では、属性制御装置1の「第1のポインタ」は自らが照射するポインタであり、例えば時間の経過とともに「第1のポインタ」が変化するようなことはない。一例を挙げると、レーザポインタAおよびレーザポインタBを含む会議システムにおいて、レーザポインタBについては、レーザポインタB自体が照射するポインタが「第1のポインタ」であり、レーザポインタAが照射するポインタが「第2のポインタ」である。以下、再び図1(A)を参照して説明する。
図1(A)に示すように、本実施形態に係る属性制御装置1は、CPU10、通信部20、表示制御部30、メモリ40、電源回路50を含む。
CPU10は、第1のポインタの属性を定める属性情報(以下、「第1のポインタ属性情報」とする)を設定、変更する。本明細書において、属性設定処理とは、主としてCPU10が行う処理であって、1つまたは複数の第2のポインタの属性と異なるように第1のポインタ属性情報を設定する処理の意味で使用されるが、広義にはCPU10が属性情報を設定、変更等する処理の意味で使用される。属性設定処理の詳細については後述する。本実施形態では、第2のポインタは他のレーザポインタ(自己以外のレーザポインタ)によって照射されるポインタである。なお、CPU10は、本発明の制御部に対応する。
通信部20は、他のレーザポインタと通信を行い、第2のポインタの属性を定める属性情報(以下「第2のポインタ属性情報」とする)を受け取る。本実施形態において、通信部20は属性制御装置1以外のレーザポインタとBluetooth(登録商標)による双方向無線通信を行う。無線通信としては、Bluetooth(登録商標)に限らず、他の規格の近距離無線通信(NFC:Near field communication)、無線LAN等を用いることが可能である。また、本実施形態において、通信部20は属性制御装置1が備えるICカード(メモリ・演算装置を具備したカード、不図示)にもアクセスし、第1のポインタ属性情報のユーザー設定値(例えば操作者の希望する属性の設定値)等を受け取ることができる。なお、通信部20とICカードとの間は無線で通信が行われる。
メモリ40は、CPU10の処理に用いる様々なデータを記憶する。例えば、メモリ40はCPU10が設定した第1のポインタ属性情報を記憶してもよいし、通信部20が受け取った第2のポインタ属性情報、ユーザー設定値等を記憶してもよい。また、メモリ40の一部は不揮発性メモリで構成されており、第1のポインタ属性情報のデフォルト値等を記憶していてもよい。なお、メモリ40は本発明の記憶部に対応する。
電源回路50は、電源から電圧を供給する回路であり、CPU10だけでなく他の機能ブロックに電圧を供給している。なお、図1(A)では、CPU10以外への供給経路の図示を省略している。電源回路50は、本実施形態に係る属性制御装置1(レーザポインタ)の筐体に設けられた電源スイッチのオン、オフ状態に応じて電圧の供給、遮断を行う。そして、電源回路50が電圧の供給を開始した場合に、CPU10は属性設定処理を実行してもよい。属性制御装置1の起動時に属性設定処理が実行されることで、起動当初から第2のポインタの属性と異なる第1のポインタを表示することが可能になる。このことは、会議システム等で途中参加する場合、つまり、第2のポインタが既に存在している場合に特に有効である。
表示制御部30は、レーザ出力コントローラ80、波長コントローラ81、照射形状コントローラ82、半導体レーザ84、形状変化機構88を含むレンズ86を含む。表示制御部30は、CPU10からの第1のポインタ属性情報に基づいて第1のポインタを生成して表示する。
レーザ出力コントローラ80、波長コントローラ81、照射形状コントローラ82は、それぞれ第1のポインタ属性情報の少なくとも一部を受け取り、ポインタPaの光量、色、形状を定める。図1(A)の例では、レーザ出力コントローラ80はCPU10から第1のポインタ属性情報の一部である8ビットの値(“00100001”)を受け取り、ポインタPaの光量を“強”とするように半導体レーザ84に指示する。また、波長コントローラ81はCPU10から第1のポインタ属性情報の一部である8ビットの値(“00010001”)を受け取り、ポインタPaの色を“赤”とするように半導体レーザ84に指示する。また、照射形状コントローラ82は、CPU10から第1のポインタ属性情報の一部である8ビットの値(“00110101”)を受け取り、ポインタPaの形状を“リング形”とするように形状変化機構88に指示する。
ここで、半導体レーザ84は、レーザビームを照射する部品であって、レーザ出力コントローラ80、波長コントローラ81からの指示に基づいてレーザビームの強さ、および色を調整できる。よって、照射されたレーザビームで形成されるポインタは、その光量、色といった属性を調整することが可能である。本実施形態に係る属性制御装置1は、ポインタPaの属性の1つである光量について、少なくとも“弱”、“強”を切り替え可能であり、ポインタPaの属性の1つである色は、少なくとも“緑”、“赤” を切り替え可能であるとする。なお、半導体レーザ84は、赤色レーザを緑色レーザに変換する波長変換部(不図示)を含んでいてもよい。
レンズ86は、半導体レーザ84からのレーザビームをスクリーン上に照射させる。レンズ86は、ポインタPaの形状を変化させることが可能な形状変化機構88を含む。形状変化機構88は、例えば複数の屈折片を含んで構成され、照射形状コントローラ82からの指示に応じて屈折片を選択的に組み合わせることが可能である。本実施形態に係る属性制御装置1は、ポインタPaの属性の1つである形状について、少なくとも“リング形”、“円形” を切り替え可能であるとする。
図1(B)は、本実施形態に係る属性制御装置1において、CPU10が図1(A)の場合とは異なる第1のポインタ属性情報を設定して、ポインタPbを表示させた場合を説明する図である。なお、属性制御装置1の構成は図1(A)と同じであり、その構成については説明を省略する。
図1(B)の例では、レーザ出力コントローラ80はCPU10から第1のポインタ属性情報の一部である8ビットの値(“00100101”)を受け取り、ポインタPbの光量を“弱”とするように半導体レーザ84に指示する。また、波長コントローラ81はCPU10から第1のポインタ属性情報の一部である8ビットの値(“00010011”)を受け取り、ポインタPbの色を“緑”とするように半導体レーザ84に指示する。また、照射形状コントローラ82は、CPU10から第1のポインタ属性情報の一部である8ビットの値(“00110001”)を受け取り、ポインタPbの形状を“円形”とするように形状変化機構88に指示する。
図1(A)のポインタPaと図1(B)のポインタPbとでは、属性(光量、色、形状)が異なるため、仮にスクリーン上に同時に表示されたとしても視聴者は明確にポインタPaとポインタPbとを区別することができる。したがって、同じ構成の属性制御装置1(レーザポインタ)を複数の者が同時に使用する場合であっても、その属性が一致しないようにすることで、視聴者はスクリーン上の複数のポインタを区別することができる。しかし、少なくとも一方の操作者(レーザポインタの使用者)が、他の操作者のポインタを視認し、重複しないように自己のポインタの属性を手動で変更する場合、その作業は煩雑であり利便性に問題がある。本実施形態に係る属性制御装置1においては、後述するようにCPU10が、第1のポインタ属性情報を、通信部20が受信した第2のポインタ属性情報と異ならせる属性設定処理を実行するので、煩雑な作業は必要ない。なお、属性として光量、色、形状の少なくとも1つが異なれば、表示されるポインタに視覚的な差異が生じるので、視聴者はそれぞれのポインタを識別することができる。また、形状変化機構88によって、形状だけでなく、大きさが切り替え可能であってもよい。
図2は、本実施形態に係る属性制御装置1を含む会議システム2の構成例を示す図である。この会議システム2を前提に属性設定処理について説明する。図2の例では、それぞれ異なる操作者が操作するレーザポインタA、レーザポインタB、レーザポインタCが同時にスクリーン4に3つのポインタを表示させている。ここで、レーザポインタA、レーザポインタB、レーザポインタCは、いずれも図1の属性制御装置1と同じ構成を有する。しかし、3つのポインタの属性が互いに異なるため、視聴者はスクリーン4の複数のポインタを区別することができる。
図3は、本実施形態に係る属性制御装置1において、CPU10が実行する属性設定処理を説明する図である。図3の縦軸は時間を表し、紙面上方から下方へと時間が経過する。図3の例では、レーザポインタA、レーザポインタB、レーザポインタCの順に電源がオン状態となり、例えばレーザポインタCがレーザビームをスクリーン4に照射したときには、3つのポインタがスクリーン上に同時に照射されることになる。以下に、時間の経過に沿って説明する。
最初にレーザポインタAの電源がオン状態となる。レーザポインタAのCPU10は、周囲のレーザポインタの有無の確認を開始する。図3の例では、レーザポインタAは最初に電源がオン状態となったため、周囲に照射しているレーザポインタは存在しない。周囲に照射しているレーザポインタが存在しないので、レーザポインタAはポインタの属性を優先的に選択することが可能である。図3の例では、レーザポインタAのCPU10は、例えばメモリ40に記憶されているデフォルトの設定に従って、光量を“強”、色を“赤”、形状を“リング形”とする第1のポインタ属性情報(レーザポインタAのポインタ属性情報)を設定する。そして、レーザポインタAの表示制御部30は、第1のポインタ属性情報に基づいてポインタを照射する。周囲に照射しているレーザポインタは存在しないため、レーザポインタAの通信部20は第2のポインタ属性情報を受け取ることはない。そのため、レーザポインタAのCPU10が実行する属性設定処理は、デフォルトの設定に従って第1のポインタ属性情報を設定することである。なお、レーザポインタAの通信部20がICカードにアクセスしてユーザー設定値を受け取った場合には、レーザポインタAのCPU10は、ユーザー設定値に従って第1のポインタ属性情報を設定してもよい。
次に、レーザポインタAの照射中に、レーザポインタBの電源がオン状態となる。レーザポインタBのCPU10は、周囲のレーザポインタの有無の確認を開始する。図3の例では、レーザポインタBは、照射中のレーザポインタAが存在するため、レーザポインタAと重複しないポインタの属性を設定する必要がある。なお、照射中とは連続照射している状態に限るものではなく、断続的な照射も含む。例えば、現在有効とされる属性が設定された(後述する図4(A)参照)レーザポインタが周囲に存在する場合、そのポインタが一時的に照射を停止していても、周囲のレーザポインタが存在すると扱うことが好ましい。レーザポインタBのCPU10は、通信部20を介して、属性情報要求コマンドをレーザポインタAに送信し、属性情報レスポンスを受信する。属性情報レスポンスは、レーザポインタAのポインタの属性情報を含む。レーザポインタBにとって、レーザポインタAのポインタの属性情報が第2のポインタ属性情報に対応し、属性情報レスポンスは、本発明の第2のポインタ属性情報を含む情報に対応する。レーザポインタBのCPU10は、第1のポインタ属性情報(レーザポインタBのポインタの属性情報)を第2のポインタ属性情報と異ならせる属性設定処理を実行する。レーザポインタBのCPU10は、属性設定処理として、第2のポインタ属性情報との重複を除いた上で生成させた乱数に基づいて第1のポインタ属性情報を設定する。図3の例では、レーザポインタBのCPU10は、光量を“弱”、色を“緑”、形状を“円形”とする第1のポインタ属性情報を設定する。そして、レーザポインタBの表示制御部30は、第1のポインタ属性情報に基づいてポインタを照射するので、視聴者はレーザポインタAのポインタと区別することが可能である。このとき、レーザポインタBの操作者がポインタの属性を手動で変更することもなく煩雑な作業は必要ない。
その後、レーザポインタAおよびレーザポインタBの照射中に、レーザポインタCの電源がオン状態となる。レーザポインタCのCPU10は、周囲のレーザポインタの有無の確認を開始する。図3の例では、レーザポインタCは、既に照射しているレーザポインタAおよびレーザポインタBが存在するため、これらと重複しないポインタの属性を設定する必要がある。レーザポインタCのCPU10は、通信部20を介して属性情報要求コマンドをレーザポインタAおよびレーザポインタBに送信し、これらからの属性情報レスポンスを受信する。属性情報レスポンスは、レーザポインタAおよびレーザポインタBのポインタの属性情報を含む。レーザポインタCにとって、レーザポインタAおよびレーザポインタBのポインタの属性情報が第2のポインタ属性情報に対応する。レーザポインタCのCPU10は、第1のポインタ属性情報(レーザポインタCのポインタの属性情報)を第2のポインタ属性情報と異ならせる属性設定処理を実行する。レーザポインタCのCPU10は、属性設定処理として、第2のポインタ属性情報との重複を除いた上で生成させた乱数に基づいて第1のポインタ属性情報を設定する。図3の例では、レーザポインタCのCPU10は、光量を“中”、色を“赤”、形状を“三角形”とする第1のポインタ属性情報を設定する。そして、レーザポインタCの表示制御部30は、第1のポインタ属性情報に基づいてポインタを照射するので、視聴者はレーザポインタA、レーザポインタBのポインタと区別することが可能である。このとき、レーザポインタCの操作者がポインタの属性を手動で変更することもなく煩雑な作業は必要ない。
なお、図3の例ではCPU10が、発生させた乱数に基づいて第1のポインタ属性情報(自己のポインタの属性情報)を変更しているが、必ずしも乱数を発生させる必要はなく、例えば受信した第2のポインタ属性情報の少なくとも一部の属性を変更することで属性設定処理を実行してもよい。また、図3の例ではレーザポインタA、レーザポインタB、レーザポインタCのポインタは、全ての属性(光量、色、形状)において異なっているが、少なくとも1つが異なっていればよい。例えば、レーザポインタA、レーザポインタB、レーザポインタCのポインタについて、光量は“強”、色は“緑”で共通しており、形状だけがそれぞれ“リング形”、“円形”、“三角形”と異なっていてもよい。
以下では、上記の会議システム2のレーザポインタBに注目して、より詳細な説明を行う。図4(A)、図4(B)は本実施形態に係る属性制御装置1の第1および第2のポインタ属性情報を例示する図である。なお、第1および第2のポインタ属性情報をまとめて、以下では単にポインタ属性情報ともいう。図4(A)、図4(B)は、それぞれレーザポインタBのメモリ40に記憶され、管理される第2のポインタ属性情報、第1のポインタ属性情報を表す。属性制御装置1は、CPU10が設定する第1のポインタ属性情報も、通信部20が受け取った第2のポインタ属性情報も、メモリ40に記憶し、共通する形式で管理する。
なお、第1および第2のポインタ属性情報をメモリ40で管理することは、CPU10の効率的な処理を可能にする。例えば、通信部20が外部機器(具体的には他のレーザポインタ)から属性情報要求コマンドを受け取った場合、CPU10はメモリ40に記憶された第1のポインタ属性情報に基づいて、効率的に属性情報レスポンスを送信することができる。また、CPU10は、属性設定処理において、第1のポインタ属性情報と第2のポインタ属性情報の異同の判断をメモリ40内のデータを用いて効率的に実行することができる。
図4(A)は、レーザポインタBのメモリ40に記憶される第2のポインタ属性情報(外部機器であるレーザポインタAのポインタ属性情報)を表す。レーザポインタBは、レーザポインタAからの属性情報レスポンスを受け取り、第2のポインタ属性情報を抽出する。図4(A)のように、ポインタ属性情報は1つの属性について8ビットで表すことができる。図4(A)の表記のうち、bn(n=1、2、…、8)は各ビットを表し、b8はMSB(most significant bit)であり、b1はLSB(least significant bit)である。また、図4(A)の“(1)b”の表記は値が“1”であることを示す。レーザポインタBは、メモリ40を用いて第2のポインタ属性情報を図4(A)のようにテーブル形式で管理することが可能である。
ポインタ属性情報を表す8ビットの値のうち、上位4ビット(b8〜b5)は属性の種類を示す。例えば、上位4ビットが“0001”の場合には、色(ポインタの色、および色のサポート状態)に関するものであることを示す。また、上位4ビットが“0010”、“0011”の場合には、それぞれ光量(ポインタの光量、および光量のサポート状態)、形状(ポインタの形状、および形状のサポート状態)に関するものであることを示す。
ポインタ属性情報を表す8ビットの値のうち、上位4ビット(b8〜b5)に続く3ビット(b4〜b2)はその属性におけるバリエーション(選択肢)を示す。例えば、上位4ビットが“0001”の場合には、続く3ビット(b4〜b2)が“000”、“001”、“010”の場合にそれぞれ“赤”、“緑”、“青”を示す。
そして、下位1ビット(b1)は、その属性が現在有効か否かを示す。例えば、図4(A)の“00010001”は、下位1ビット(b1)が“1”であるため、レーザポインタAのポインタの色について、現在、“赤”が有効な属性となっていることを示す。本実施形態の属性制御装置1では、ポインタの属性は色、光量、形状を含み、レーザビームの照射中はそれぞれの属性についてバリエーションの1つが有効になる。図4(A)の例では、照射中のレーザポインタAのポインタの光量は“強”、形状は“リング形”が現在有効になっている。
なお、属性情報レスポンスに基づいて、一部のバリエーションがサポートされていないことを認識した場合には、そのバリエーションに対応する値をメモリ40のテーブルに書かないことで効率的な管理が可能である。例えば、図4(A)のように、レーザポインタAは“円形”の形状をサポートしていないため、“形状”を表すポインタ属性情報のバリエーションを表すビット(b4〜b2)から“円形”を示す“000”が除かれている。
図4(B)は、レーザポインタBのメモリ40に記憶される、第1のポインタ属性情報(レーザポインタBのポインタ属性情報)を表す。レーザポインタBは、第1のポインタ属性情報についても、第2のポインタ属性情報と同じ形式で管理を行い、CPU10が効率的に属性設定処理を実行することを可能にする。
図4(B)の例では、レーザポインタBのポインタは、色について“赤”をサポートしておらず、また、形状について“リング形”をサポートしていない。そして、未照射であるため、その属性が現在有効か否かを示す最下位1ビット(b1)はいずれも“0”である。この状態から、CPU10は、レーザポインタAのポインタの属性と重ならないように、レーザポインタBのポインタの属性を設定する属性設定処理を実行する。つまり、CPU10が属性設定処理を実行した場合、色、光量、形状について、いずれかのバリエーションの最下位1ビット(b1)が“1”に変化するが、その組み合わせはレーザポインタAの組み合わせと異なる。
図5は、本実施形態に係る属性制御装置1の通信について説明する図である。本実施形態に係る属性制御装置1では、自己のポインタの属性を定める属性情報(第1のポインタ属性情報)も、照射中の他のレーザポインタのポインタの属性を定める属性情報(第2のポインタ属性情報)も、メモリ40で同じテーブル形式で管理される(図4(A)、図4(B)参照)。そのため、通信部20が行う通信においては、現在有効な属性、固有情報等のデータだけを送受信すればよく、データ量を抑えた効率的な通信を実行することができる。なお、図5の例においても、レーザポインタAの照射中に、レーザポインタBが途中から照射を開始するとして説明する。図5の紙面左側には既にレーザビームを照射中のレーザポインタAの処理が記載され、紙面右側にはレーザポインタBの処理が記載されている。
レーザポインタBのCPU10は、通信部20を介して、属性情報要求コマンドをレーザポインタAに送信する。このとき、属性情報要求コマンドは固有のビット列からなるコマンド(例えば“10101010”のような固定8ビット列)であってもよいが、さらにレーザポインタBの固有情報およびレーザポインタBのCPU10が取得したい属性情報を指定するデータの少なくとも一方を付加してもよい。ここで、固有情報として、例えばBDA(Bluetooth Device Address)、MAC(Media Access Control)アドレス、ICカードの固有識別番号であるICCID、IP(Internet Protocol)アドレス等が用いられてもよい。
レーザポインタBから属性情報要求コマンドを受け取ったレーザポインタAのCPU10は、その内容を解釈し、レーザポインタBへ送信する属性情報レスポンスの生成を開始する。ここで、レーザポインタAも、レーザポインタBと同じく、図1の属性制御装置1の構成を有しており、第1のポインタ属性情報(レーザポインタAのポインタの属性を定める情報)を、図4(A)と同じ形式でメモリ40に記憶している。レーザポインタAのCPU10は、最下位1ビット(b1)が“1”である属性(以下、有効属性とする)を抽出して属性情報レスポンスに含める。そして、レーザポインタAのCPU10は、レーザポインタAの通信部20を介して、属性情報レスポンスをレーザポインタBに送信する。
図5のように、属性情報レスポンスは、有効属性の情報だけでなく、正常終了を示すステータスワード“10010000”、送信先を示すレーザポインタBの固有情報を含んでいてもよい。レーザポインタBの固有情報が含まれることで、他のレーザポインタ(例えばレーザポインタC)がレーザポインタB宛ての属性情報レスポンスを誤って自分宛てと解釈してしまうことを回避できる。図5の例では有効属性の情報のうち、“00010001”は色が“赤”であることを、“00100001”は光量が“強”であることを、“00110101”は形状が“リング形”であることを示す。このとき、属性情報レスポンスは、さらにレーザポインタがサポートしていない属性や、レーザポインタAの固有情報を含んでいてもよい。図5では図示を省略しているが、例えば、レーザポインタAのポインタの形状が“リング形”であることを示す“00110101”に続いて、“円形”の形状をサポートしていないことを示すデータ、レーザポインタAの固有情報を示すデータが続いてもよい。
レーザポインタAから属性情報レスポンスを受け取ったレーザポインタBのCPU10は、その内容を解釈し、第1のポインタ属性情報(レーザポインタBのポインタ属性情報)をレーザポインタAのポインタの属性と異ならせる属性設定処理を実行する。属性設定処理の最初のステップとして、レーザポインタBのCPU10は属性情報レスポンスからレーザポインタAの有効属性の情報を抽出する。抽出されるレーザポインタAの有効属性の情報が第2のポインタ属性情報に対応する。そして、属性設定処理の次のステップとして、レーザポインタBのCPU10は、レーザポインタAの有効属性(色は“赤”、光量は“強”、形状は“リング形”の組み合わせ)が第1のポインタ属性情報とならないように除外する。本実施形態では、レーザポインタBのCPU10は、レーザポインタAの有効属性に対応する数値が乱数として生成されないように設定する。そして、属性設定処理の最後のステップとして、レーザポインタBのCPU10は、第1のポインタ属性情報を設定する。本実施形態では、乱数を生成し、生成された乱数に対応した属性に基づいて第1のポインタ属性情報を設定する。なお、別の実施形態として、CPU10は乱数を用いずに、予め決められた順序で属性の組み合わせを指定しておき、順番に使用されていない組み合わせを割り当てることで、第1のポインタ属性情報を設定してもよい。
レーザポインタBのCPU10は、生成された乱数に対応した属性に基づく第1のポインタ属性情報に対応したレーザビームを表示制御部30に照射させる。その結果、スクリーン上に第1のポインタ属性情報に基づく属性を有するポインタが表示される。なお、本実施形態に係る属性制御装置1では、CPU10が乱数を生成するとして説明したが、CPU10とは別に乱数生成器が設けられており、CPU10は乱数生成器から生成された乱数を受け取ってもよい。
図6(A)〜図6(C)は本実施形態に係る属性制御装置1の第1のポインタ属性情報(自己のポインタの属性情報)の変化を例示する図である。第1のポインタ属性情報の変化は、レーザポインタBの図5の応答に対応するものである。具体的には、図6(A)は、レーザポインタBが属性情報レスポンスを受け取る前の第1のポインタ属性情報に対応し、図6(B)は、レーザポインタBが受け取った属性情報レスポンスから第2のポインタ属性情報を抽出した場合の第1のポインタ属性情報に対応する。そして、図6(C)は、第1のポインタ属性情報を設定した場合に対応する。なお、図6(A)〜図6(C)の各欄の記載事項の意味は、図4(A)、図4(B)と同じであり説明を省略する。
図6(A)の状態は、図4(B)と同じであり、その属性が現在有効か否かを示す最下位1ビット(b1)はいずれも“0”である。その後、レーザポインタBが属性情報レスポンスを受け取ると、レーザポインタBのCPU10は、第2のポインタ属性情報から除外すべき属性を把握できる。そして、レーザポインタBのCPU10は、例えば図6(B)のテーブルのように除外すべき属性を設定する。図6(B)の例では、網掛けで表される組み合わせが除外すべき属性(色は“赤”、光量は“強”、形状は“リング形”)である。そして、レーザポインタBのCPU10は、除外すべき属性を考慮して乱数を発生させて、乱数に基づいて第1のポインタ属性情報を設定する。第1のポインタ属性情報の設定とは、具体的にはCPU10がメモリ40において、図6(C)のように最下位1ビット(b1)を“1”にすることである。図6(C)の例では、色は“緑”、光量は“弱”、形状は“円形”とするように第1のポインタ属性情報が設定されている。
以上のように、本実施形態に係る属性制御装置1によれば、CPU10が、外部機器のポインタと属性を異ならせる属性設定処理を自動的に実行する。よって、操作者(例えば、レーザポインタBの操作者)が他の操作者(例えば、レーザポインタAの操作者)のポインタ表示を視認して手動操作するような煩わしさもなく、視聴者が区別できるようにポインタの属性を変更することができる。
なお、本実施形態に係る属性制御装置1の通信としては、それぞれのレーザポインタが他のレーザポインタに対して1対1で通信する手法を例示したが(図3参照)、このような形態に限るものではない。例えば、図3のようにレーザポインタA、Bが照射中にレーザポインタCが照射を開始する場合、レーザポインタCはレーザポインタBにだけ属性情報要求コマンドを送信し、レーザポインタBはメモリ40に記憶された全てのポインタ属性情報(レーザポインタAおよびB)を属性情報レスポンスに含めることが可能である。このとき、属性情報要求コマンドを1つのレーザポインタにだけ送信すればよいので、さらに通信時間の短縮を図ることが可能である。また、新たに照射を開始するレーザポインタCは、属性情報要求コマンドに照射予定のポインタの属性を含めて、ブロードキャスティングの手法で送信してもよい。このとき、レーザポインタA、Bは自己のポインタの属性との異同を判定して、異なる場合には許可データを、同じである場合には拒否データを属性情報レスポンスとしてレーザポインタCに送信してもよい。このとき、属性情報レスポンスのデータ量を減らすことができ、通信時間の短縮を図ることが可能である。
(第2実施形態)
以下、本発明に係る第2実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る属性制御装置1Aは、表示制御部30Aが複数のポインタを同時にプレゼン画面5に表示できるという点で第1実施形態の属性制御装置1と相違する。以下、第1実施形態との共通する部分については説明を省略し、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照して説明する。
図7は、本実施形態に係る属性制御装置1Aを含む会議システム2Aの構成例を示す図である。本実施形態に係る属性制御装置1は、プレゼン画面5の表示装置であって、例えばPC(Personal Computer)、プロジェクター等で実現できる。また、第1実施形態の属性制御装置1を含む会議システム2(図2参照)とは異なり、会議システム2Aはネットワーク7を用いたネットワーク会議システムである。
図7のように、本実施形態に係る属性制御装置1Aは、CPU10、通信部20A、表示制御部30A、メモリ40を含む。なお、属性制御装置1Aは電源回路50を含んでいてもよいが、図7では図示を省略する。属性制御装置1Aが電源回路50を含む場合、電源回路50は、属性制御装置1Aを実現するPC、プロジェクター等の電源スイッチに連動して電圧の供給、遮断を行う。本実施形態に係る属性制御装置1Aが含むCPU10、メモリ40は、第1実施形態に係る属性制御装置1のCPU10、メモリ40と同じであるため説明を省略する。
表示制御部30Aは、第1実施形態に係る属性制御装置1の表示制御部30と異なり、ポインタとしてマウスポインタを表示する。また、表示制御部30Aは、1つまたは複数のマウスポインタを含むプレゼン画面5を表示する。以下では、属性制御装置1Aがプロジェクターであって、表示制御部30Aが表示するプレゼン画面5はスクリーン上に表示されるものとして説明する。なお、属性制御装置1AがPCであるような場合、表示制御部30Aが表示するプレゼン画面5は液晶ディスプレイといったモニタ上に表示され得る。このとき、表示制御部30Aはネットワーク7を介して(表示制御部30Aとネットワーク7との間の経路は不図示)、各操作者が用いるPC1、PC2のモニタ上にプレゼン画面5を表示してもよい。ネットワーク7は、例えばインターネットであるが、イントラネットなどの局所的なネットワークを用いてもよい。
通信部20Aは、第1実施形態に係る属性制御装置1の通信部20と異なり、ネットワーク7を介して操作者Aが用いるPC1、操作者Bが用いるPC2と通信を行う。本実施形態において、通信部20Aはネットワーク7とBluetooth(登録商標)による双方向無線通信を行うが、例えばWiFi(登録商標)等の他の規格の無線通信を行ってもよいし、有線による双方向通信を行ってもよい。本実施形態において、通信部20AはPC1、PC2にアクセスして、それぞれのポインタ属性情報リスト42A、42B、特記事項43A、43B(以下まとめてポインタ属性情報リスト42A、42B等ともいう)を取得する。なお、ポインタ属性情報リスト42A、42B等は、PC1、PC2の一時記憶装置(例えばSDRAM)等に記憶されていてもよいし、PC1、PC2と接続されるメモリカード(例えばUSBメモリカード)等に記憶されていてもよい。また、操作者A、Bはポインタ属性情報リスト42A、42B等の内容を書き換え可能であってもよい。後述するように、ポインタ属性情報リスト42A、42Bのうち優先順位によって選択される一部の組み合わせが、第2のポインタの属性情報となり得る。そのため、ポインタ属性情報リスト42A、42Bは、本発明の「第2のポインタ属性情報を含む情報」に対応する。
本実施形態に係る属性制御装置1Aを含む会議システム2Aにおいて、操作者AはPC1を端末としてマウスポインタを操作して会議に参加し、操作者BはPC2を端末としてマウスポインタを操作して会議に参加する。ここで、操作者A、Bが操作するマウスポインタはPC1、PC2によって直接にスクリーン上に表示されるわけではなく、表示制御部30Aを有する属性制御装置1Aによってプレゼン画面5の一部としてスクリーン上に表示される点で第1実施形態に係る属性制御装置1を含む会議システム2とは異なる。つまり、会議システム2Aでは、複数の操作者がポインタ(マウスポインタ)を操るが、ポインタを表示する属性制御装置1Aは1つである。
そのため、本実施形態に係る属性制御装置1Aは、時分割で第1のポインタ、第2のポインタを使用状態に応じて切り替える。例えば、最初に操作者Aのみが会議に参加する場合には、属性制御装置1Aは、操作者Aの要求(具体的にはポインタ属性情報リスト42A、特記事項43A)を考慮して、操作者Aが操作するマウスポインタを第1のポインタとして属性を設定する。また、その後に操作者Bが会議に途中参加する場合には、属性制御装置1Aは、操作者Bの要求(具体的にはポインタ属性情報リスト42B、特記事項43B)を考慮して、操作者Bが操作するマウスポインタを第1のポインタとして属性を設定する。このとき、操作者Aが操作するマウスポインタは、プレゼン画面5に同時に表示される他のポインタであるため、第2のポインタとして扱われる。
本実施形態に係る属性制御装置1Aを含む会議システムにおいて、属性制御装置1Aの通信部20Aは、個別にポインタ属性情報リスト42A、42B等を区別して取得する。その一方で、属性制御装置1AのCPU10は、各ポインタの属性をメモリ40で統一的に管理した上で、表示制御部30Aによって全てのポインタをプレゼン画面5に表示させる。そのため、第1の実施形態の属性制御装置1よりも柔軟に、各ポインタの属性についての操作者の要求等を反映させることができる。
図8(A)、図8(B)は、それぞれ操作者A、Bが設定したポインタ属性情報リスト42A、42B等を示すものである。操作者Aは、自身が操作するポインタ(PC1と連動するポインタ)の属性として使用してほしい組み合わせを、優先順位を設けて例えば図8(A)のように指定する。図8(A)の例では、操作者Aは、形状を“矢印”、大きさを“中”、色を“赤”とする属性の組み合わせを1番の優先順位(以下、n番の優先順位を優先順位nのように表記する)で指定している。また、操作者Aは、優先順位1の組み合わせから色を“緑”に変更した属性の組み合わせを優先順位2で指定している。そして、操作者Aは、優先順位3、4で、形状を“山を表す漢字の形”、大きさを“大”とする組み合わせを指定している。本実施形態の属性制御装置1において、CPU10は属性設定処理においてポインタ属性情報リスト42Aの優先順位を考慮して、操作者Aが操作するポインタの属性情報を設定する。例えば、属性の競合(第2のポインタ属性情報との一致)がなければ優先順位1の組み合わせを選択し、属性の競合がある場合には優先順位を下げていく。なお、この例では、操作者はポインタの属性として“形状”、“大きさ”、“色”を指定できるものとする。また、図8(A)のように、操作者Aは特記事項43Aを指定していない。
操作者Bは、自身が操作するポインタ(PC2と連動するポインタ)の属性として使用してほしい組み合わせを、優先順位を設けて例えば図8(B)のように指定する。操作者Bは、形状を“十字形”または“アルファベットのAの形”、大きさを“大”または“中”、色を“青”または“緑”で、図8(B)のように組み合わせて優先順位を付している。そして、操作者Bは、赤色を判別し難いため、特記事項43Bとして“赤色は不可”という設定をしている。ここで、特記事項とは、すべてのポインタ(第1のポインタおよび第2のポインタ)の属性についての制約情報である。本実施形態の属性制御装置1AのCPU10は、属性設定処理においてポインタ属性情報リスト42Bの優先順位を考慮して、操作者Bが操作するポインタの属性情報を設定するだけでなく、特記事項に基づいて、全てのポインタの属性について調整を行う。
図9は、それぞれ操作者A、Bが会議システム2Aに参加する場合に属性制御装置1Aが行う処理を表すフローチャートである。また、図10(A)、図10(B)は、図9のフローチャートの処理に対応したポインタ表示の変化の例を説明する図である。図9のフローチャートでは、先に参加する操作者Aが端末として使用するPC1と、途中参加する操作者Bが端末として使用するPC2とを用いた表現をしており、以下では操作者A、操作者BではなくPC1、PC2の言葉を用いて説明する。
最初に、PC1のポインタが、属性設定処理の対象である第1のポインタとなる。属性制御装置1AはPC1のポインタ属性情報リスト42Aおよび特記事項43Aを取得しメモリ40に保持する(ステップS1)。このとき、優先順位1の属性の組み合わせが選択されて、PC1のポインタ属性情報とされる。つまり、メモリ40のテーブルで優先順位1の属性に対応する部分の最下位1ビット(b1)に“1”が設定される(図4(A)参照)。図8(A)の例では、形状を“矢印”、大きさを“中”、色を“赤”とする属性の組み合わせがPC1のポインタ属性情報となり、図10(A)のようにポインタP1aがプレゼン画面5に表示される。
その後、PC2の割り込み待ち(会議への参加待ち)となるが(ステップS2:No)、PC2の割り込みが生じると(ステップS2:Yes)、PC2のポインタが、属性設定処理の対象である第1のポインタとなる。途中参加をしたPC2のポインタの属性は、既に参加しているPC1のポインタの属性と異なるように設定される必要があるからである。そして、PC1のポインタは第2のポインタ(第1のポインタと同時に表示されるポインタ)と扱われる。属性制御装置1AはPC2のポインタ属性情報リスト42Bおよび特記事項43Bを取得しメモリ40に保持する(ステップS3)。そして、優先順位1の属性の組み合わせ(形状を“十字形”、大きさを“大”、色を“青”とする属性の組み合わせ)が選択されて、PC2のポインタ属性情報とされる。
ここで、図8(B)の例とは異なるが、仮に特記事項43Bに何も設定されていないとする(ステップS4:No)。このとき、PC1のポインタ属性情報と、PC2のポインタ属性情報とが比較される(ステップS5)。両者が同じ場合には(ステップS6:Yes)、PC2のポインタ属性情報について優先順位を下げて最設定する(ステップS7)。優先順位を下げての最設定は、例えばメモリ40のテーブルで最下位1ビット(b1)をクリアした後に、優先順位2の属性に対応する部分の最下位1ビット(b1)に“1”を設定することで実現できる(図4(A)参照)。そして、ステップS4に戻るが、特記事項43Bに何も設定されていないので(ステップS4:No)、PC1のポインタ属性情報と、最設定されたPC2のポインタ属性情報とが比較される(ステップS5)。ステップS5の比較の結果、両者が違う場合には(ステップS6:No)、メモリ40で設定されている現在のPC1、PC2のポインタ属性情報に基づいて、プレゼン画面5にPC1、PC2のポインタが表示される(ステップS8)。
ここで、図8(B)の例のように特記事項43Bに設定がある場合には(ステップS4:Yes)、以下に説明するステップS9、ステップS10が実行される。ここで、特記事項は全てのポインタに対する制約情報である。そのため、例えば第2のポインタとして扱われているポインタ(具体的にはPC1のポインタ)についても、特記事項に反しないように修正する必要がある。ここで、属性制御装置1Aでは、すべてのポインタの属性をメモリ40で集中して管理しているので、後から特記事項が追加された場合であっても、メモリ40におけるポインタ属性情報を修正することで、全てのポインタの属性が特記事項を満たすように修正可能である。
属性制御装置1Aは、特記事項がある場合には(ステップS4:Yes)、PC1のポインタ属性情報についても、PC2のポインタ属性情報についても特記事項に違反する属性を使っているかをチェックする(ステップS9)。特記事項に違反する場合には(ステップS9:Yes)、全てのポインタ属性情報が特記事項に違反しなくなるまで(ステップS9:No)、該当するポインタ属性情報について優先順位を下げて最設定する(ステップS10)。図8(B)の例では特記事項43Bとして“赤色は不可”という設定がされている。そのため、優先順位1に従うPC1のポインタ属性情報(色は“赤”)は特記事項を満たさないため、優先順位2に下げてPC1のポインタ属性情報を最設定する必要がある。優先順位2では色を“緑”としているためPC1のポインタ属性情報は特記事項を満たすことになる。なお、全てのポインタ属性情報が特記事項に違反しなくなると(ステップS9:No)、ステップS5に進み、PC2のポインタ属性情報についての属性設定処理が実行される(ステップS5〜ステップS8)。なお、本実施形態では、属性設定処理でPC2のポインタ属性情報が変更された場合(ステップS7)、ステップS4に戻って特記事項を満たすかがチェックされる。つまり、特記事項(本発明の制約情報に対応)に応じた属性設定処理が実行される。
ここで、再び、図8(A)および図8(B)の例を検討する。前記のように、PC1のポインタ属性情報は、特記事項を満たさないため優先順位2に下げる必要があった。そのため、PC1のポインタは、図10(A)のポインタP1a(色は“赤”)から、図10(B)のポインタP1b(色は“緑”)に変更される。そして、優先順位2に従うPC1のポインタ属性情報と優先順位1に従うPC2のポインタ属性情報とは異なっている。よって、PC2のポインタは、図10(B)のポインタP2のように表示される。ポインタP2は形状を“十字形”、大きさを“大”、色を“青”とする。このように、“赤色は不可”という特記事項43Bを満たすように修正されたPC1、PC2のポインタは、図10(B)のポインタP1b、ポインタP2のようにプレゼン画面5に表示される。このとき、全てのポインタについて“赤”色の使用が回避され、視覚弱者に配慮した会議システム2Aの実現が可能である。
以上のように、本実施形態に係る属性制御装置1Aでは、操作者(例えば、PC1の操作者)が他の操作者(例えば、PC2の操作者)のポインタ表示を視認して手動操作するような煩わしさもなく、視聴者が区別できるようにポインタの属性を変更することができることに加えて、特記事項を途中で設定した場合でも、全てのポインタの属性を特記事項に従うように修正することが可能である。したがって、例えば色覚異常を有する視聴者、操作者がポインタを容易に区別できるように配慮した会議システム等を構築することが可能である。また、操作者ごとに好ましい属性の組み合わせを、優先順位を付して指定することが可能であり、操作者の意向に沿ってポインタの属性を定めることができる。なお、図9のフローチャートにおいてPC1が先に参加して、PC2が途中参加したために、PC1が優先的にポインタの属性を使用できる(以下、優先的使用とする)としたが、参加順以外の要素に基づいて優先的使用を定めてもよい。例えば、図9のフローチャートにおいて、CPU10は、視覚弱者が使用するPCを優先的使用が可能なPC1と扱ってもよい。このとき、会議の開始の早い段階から視覚弱者に配慮したポインタ表示が可能になる。また、CPU10は、ポインタ属性情報リストの少なさ(優先順位づけられた候補の組み合わせの少なさ)に基づいて優先的使用を定めてもよい。つまり、CPU10は、図9のフローチャートにおいて、ポインタの属性を変更する余地の少ないPCを優先的使用が可能なPC1と扱ってもよい。このとき、PC間でポインタの属性の競合が生じる可能性を低くすることができる。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。上記実施形態では、ポインタの属性として、色、光量、形状、大きさを例示したが、これらに限らず、点滅の有無や点滅の間隔、時間的な変形の有無や変形の態様等も含まれる。また、第1実施形態のように属性制御装置1がレーザポインタであって複数存在する場合にも、特記事項をICカード等に記憶させることで、例えば色覚異常を有する参加者に配慮した会議システム等を構築することが可能である。このとき、CPU10は通信部20によってICカードに記憶された特記事項を受け取り、特記事項に反する属性を示す乱数を発生させないように制御してもよい。また、例えば各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上記実施形態では、属性制御装置として、レーザポインタ、PC、プロジェクター等を例示したが、これらに限らずタブレット、スマートフォン、携帯電話等を用いることが可能である。また、属性制御装置を含む会議システムにおいて、これらに加えて、ポインタ属性情報を記憶するサーバーを用いられてもよい。例えば、第2実施形態の会議システム2Aにおいて、属性制御装置としてタブレットを用いることも、PCに代えてスマートフォンを端末としてインターネット経由で参加することも可能である。