JP6086387B2 - カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の芳香環が連結しπ電子共役系を保持してなる環状化合物をテンプレートに用いて、カーボンナノチューブ(CNT)を製造する方法に関する。
従来、炭素原子を含むナノ構造体としては、2次元のグラフェンシートを筒状に巻いた構造を有するカーボンナノチューブが知られている。
カーボンナノチューブは、高い導電性、高い機械的強度、優れた弾性、耐熱性、軽さ等の性質を有していることから、化学分野、電子工学分野、生命科学分野等の様々な分野への応用が期待されている。
カーボンナノチューブの製造方法としては、例えば、アーク放電法、レーザー・ファネス法及び化学気相成長法(CVD法)等が知られている。しかし、これらの製造方法では、チューブの径や長さの制御が困難であり、様々な径と長さを有するカーボンナノチューブの混合物でしか得られないという問題がある。カーボンナノチューブは上記の用途に用いる場合その物性が均質であることが望まれるため、所望の化学構造を有するカーボンナノチューブを選択的に製造する方法が強く求められている。
近年、カーボンナノチューブの最小の構成単位である、シクロパラフェニレン化合物の研究が報告されている。
例えば、非特許文献1には、1,4−ジヨードベンゼン及びベンゾキノンを原料に用いて、9、12又は18個のベンゼン環が連なった輪状構造を有するシクロパラフェニレン化合物を混合物として製造する方法が記載されている。
非特許文献2及び3には、1,4−シクロヘキサンジオンと1,4−ジヨードベンゼンとを用いて、規則的にベンゼン環が12個連なった輪状構造を有するシクロパラフェニレン化合物を製造する方法が記載されている。
非特許文献4には、正方形のビフェニレン白金錯体を臭素で還元的脱離して規則的にベンゼン環が8個連なった輪状構造を有するシクロパラフェニレン化合物を製造する方法が記載されている。
上記非特許文献に開示されているシクロパラフェニレン化合物は、複数のフェニレン基が単結合で連結した輪状の化学構造を有し、アームチェア型の単層カーボンナノチューブ(CNT)の最小の構成単位として興味深い物性を有している。
Jasti, R. et al., J. Am. Chem. Soc., 2008, 130(52), 17646 Itami, K. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2009, 48, 6112 Itami, K. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2010, 49, 10202 Yamago, S. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2009, 49, 757
本発明は、所望の径を有するカーボンナノチューブ(以下、「CNT」と表記する)を選択的に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、複数の芳香族環が連結しπ電子共役系を保持してなる環状化合物をテンプレートに用いて、これをエタノール等の炭素源と共に加熱処理することにより、当該テンプレートの輪の径が保持された単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)が製造できることを見出した。
典型的なテンプレートとして、2価の芳香族炭化水素基が連結してなる環状化合物が挙げられる。これを「カーボンナノリング」と表記する。カーボンナノリングの具体例としては、アームチェア型単層カーボンナノチューブの最短骨格である「シクロパラフェニレン化合物」(非特許文献1〜4を参照)、当該シクロパラフェニレン化合物の少なくとも1個のフェニレン基が2価の縮合多環芳香族炭化水素基(例えば、2,6−ナフチレン基等)で置換された「修飾シクロパラフェニレン化合物」等が挙げられる。
本発明のCNTの製造方法によれば、上記テンプレート(環状化合物)を用いてこれに炭素源を作用させることにより、環状化合物の中心軸方向にグラフェンシートを成長させて、当該環状化合物の直径の大きさをほぼ保持したカーボンナノチューブ(CNT)を選択的に製造することができる。そのため、本発明方法は、直径がほぼ一定のCNTを選択的に製造し得る極めて画期的な製造方法である。例えば、図1に、n個のパラフェニレンが連結したシクロパラフェニレン化合物([n]CPP)に炭素源を反応させてアームチェア型単層カーボンナノチューブが形成される模式図を示す。
かかる知見に基づきさらに研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記のカーボンナノチューブ(CNT)の製造方法及びカーボンナノチューブ(CNT)を提供する。
項1.複数の芳香族環が連結してなる環状化合物に炭素源を反応させることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
項2.前記反応が、気体状の炭素源を供給して減圧下で加熱して反応させる、項1に記載の製造方法。
項3.前記複数の芳香族環が連結してなる環状化合物が、複数の2価の芳香族炭化水素基が連結してなる環状化合物(カーボンナノリング)である、項1又は2に記載の製造方法。
項4.前記複数の2価の芳香族炭化水素基が連結してなる環状化合物(カーボンナノリング)が、シクロパラフェニレン化合物、又は当該シクロパラフェニレン化合物の少なくとも1個のフェニレン基が2価の縮合多環芳香族炭化水素基で置換された修飾シクロパラフェニレン化合物である、項3に記載の製造方法。
項5.前記複数の2価の芳香族炭化水素基が連結してなる環状化合物(カーボンナノリング)が、一般式(1):
Figure 0006086387
(式中、aは6以上の整数を示す。)
で表されるシクロパラフェニレン化合物、又は、当該一般式(1)で表されるシクロパラフェニレン化合物の少なくとも1個のフェニレン基が、一般式(2):
Figure 0006086387
(式中、bは1以上の整数を示す。)
で表される基で置換された修飾シクロパラフェニレン化合物である、項4に記載の製造方法。
項6.前記シクロパラフェニレン化合物が、一般式(1)におけるaが6〜100の整数である化合物である、項5に記載の製造方法。
項7.前記複数の2価の芳香族炭化水素基が連結してなる環状化合物(カーボンナノリング)が、一般式(1)で表されるシクロパラフェニレン化合物である、項5又は6に記載の製造方法。
項8.前記複数の2価の芳香族炭化水素基が連結してなる環状化合物(カーボンナノリング)が、一般式(3):
Figure 0006086387
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基;Rは同じか又は異なり、それぞれフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基;mは同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数;nは同じか又は異なり、それぞれ1以上の整数を示す。)
で表される環状化合物、一般式(4):
Figure 0006086387
(式中、dは1以上の整数を示す。)
で表される環状化合物、又は一般式(13):
Figure 0006086387
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基基;lは10、11又は13である。)
で示される環状化合物である、項3に記載の製造方法。
項9.前記炭素源が、炭化水素化合物、アルコール化合物、エーテル化合物及びエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
項10.前記反応が、気体状の炭素源を供給しながら、10−4〜10Paの圧力下で400〜1200℃で加熱処理して反応させる、項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
項11.複数の芳香族環が連結してなる環状化合物に炭素源を反応させることにより得られたカーボンナノチューブ。
項12.前記反応が、気体状の炭素源を供給して減圧下で加熱して反応させる、項11に記載のカーボンナノチューブ。
項13.単層カーボンナノチューブである、項11又は12に記載のカーボンナノチューブ。
本発明の製造方法によれば、複数の芳香族環が連結しπ電子共役系を保持してなる環状化合物をテンプレートに用いることにより、当該テンプレートの輪の径が保持された単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)が製造できる。
テンプレートとして、例えば、シクロパラフェニレン化合物、修飾シクロパラフェニレン化合物等の複数の2価の芳香族炭化水素基が連結してなる環状化合物(カーボンナノリング)を用いることができる。これらのテンプレートは種々のものを選択することができ、公知の方法及び本明細書に記載の方法に基づき容易に製造することができる。
本発明の製造方法を用いれば、このテンプレートの構造に由来して、アームチェア型、キラル型等の種々のCNTを製造することができる。例えば、シクロパラフェニレン化合物をテンプレートとすれば、一定の直径を有するアームチェア型CNTを選択的に製造することができる。また、修飾シクロパラフェニレン化合物をテンプレートとすれば、一定の直径を有するキラル型CNTを選択的に製造することができる。
本発明の製造方法では、従来のCNTの製造方法で必須である触媒を用いる必要がないため、反応終了後に得られたCNTと触媒の分離作業が不要となる。そして、従来の方法では使用した触媒等に起因する不純物が多数存在するが、本発明の方法では純度の高いCNTを製造することが出来る。また、本発明の製造方法では、比較的低温の加熱処理で実施することができるため、製造装置の制約がなく安価に製造することができる。
このように、本発明の方法は、所望の直径を有するCNTを選択的かつ効率的に製造することができる画期的な方法である。
n個のパラフェニレンが連結したシクロパラフェニレン化合物([n]CPP)からアームチェア型単層CNTが形成される模式図を示す。 実施例1で得られたCNTの透過型電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られたCNTの透過型電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られたCNTの透過型電子顕微鏡で測定した直径の分布を示すグラフである。 実施例1で得られたCNTのラマン分光法によるレーザーの励起波長とラマンスペクトルの関係を示す。 実施例2で得られたCNTのラマン分光法によるレーザーの励起波長とラマンスペクトルの関係を示す。
本発明のCNTの製造方法は、複数の芳香族環が連結してなる環状化合物を炭素源と反応させることを特徴とする。
1.複数の芳香族環が連結してなる環状化合物(テンプレート)
本発明のCNTの製造方法において、複数の芳香族環が連結してなる環状化合物を製造原料として用いることができる。換言すれば、当該環状化合物を、CNTの鋳型(テンプレート)として用いることができる。
複数の芳香族環が連結してなる環状化合物とは、複数の芳香族環がπ電子共役系を保持して輪状に連結した化合物を意味する。芳香族環が連結してなる環状化合物として、例えば、複数の2価の芳香族炭化水素基が連結してなる環状化合物(カーボンナノリング)等が挙げられる。
複数の2価の芳香族炭化水素基が連結してなる環状化合物(カーボンナノリング)としては、例えば、シクロパラフェニレン化合物、当該シクロパラフェニレン化合物の少なくとも1個のフェニレン基が2価の縮合多環芳香族炭化水素基で置換された修飾シクロパラフェニレン化合物等が挙げられる。
シクロパラフェニレン化合物としては、6個以上のフェニレン基を有するシクロパラフェニレン化合物が挙げられる。具体的には、一般式(1):
Figure 0006086387
(式中、aは6以上の整数を示す。)
で表される化合物が挙げられる。aは好ましくは6〜100、より好ましくは8〜50、さらに好ましくは8〜30、さらに好ましくは9〜20の整数、特に好ましくは10〜18である。具体的には、aは6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20等が挙げられ、特に9、10、11、12、13、14、15、16、17、18等が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物におけるリングの直径は、aが9〜12の場合には1.2〜1.7nm程度であり、aが13〜16の場合には1.8〜2.4nm程度であり、また、aが13〜18の場合には1.8〜2.5nm程度である。
本発明のCNTの製造方法では、出発物質である環状化合物の径がCNTの直径にほぼ転写されるため、ほぼ均一な径を有するCNTを製造することができる。
また、修飾シクロパラフェニレン化合物は、上記シクロパラフェニレン化合物の少なくとも1個(好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜2個、特に好ましくは1個)のフェニレン基が2価の縮合多環芳香族炭化水素基で置換された化合物である。
2価の縮合多環芳香族炭化水素基としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ペンタセン、ヘキサセン、ペリレン等の2個以上(2〜7個、さらに2〜4個、特に2個)のベンゼン環が縮合した炭化水素から2個の水素原子を除いて得られる2価の基が挙げられる。縮合多環芳香族炭化水素基の2つの結合手の位置は、修飾シクロパラフェニレン化合物がリングを形成し得るものであれば特に限定はない。
2価の縮合多環芳香族炭化水素基として、好ましくは、一般式(2):
Figure 0006086387
(式中、bは1以上の整数を示す。)
で表される基が挙げられる。bは好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1又は2の整数であり、特に好ましくは1である。
複数の2価の芳香族炭化水素基が連結してなる環状化合物(カーボンナノリング)の具体例としては、例えば、一般式(3):
Figure 0006086387
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基;Rは同じか又は異なり、それぞれフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基;mは同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数;nは同じか又は異なり、それぞれ1以上の整数を示す。)
で表される環状化合物、又は、一般式(4):
Figure 0006086387
(式中、dは1以上の整数を示す。)
で表される環状化合物、一般式(13):
Figure 0006086387
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基基;lは10、11又は13である。)
で示される環状化合物等が挙げられる。
一般式(3)において、R及びRで示されるフェニレン基としては、それぞれ同一でも異なっていてもよいが、1,4−フェニレン基が好ましい。
一般式(3)において、R及びRで示される2価の縮合多環芳香族炭化水素基としては、それぞれ同一でも異なっていてもよいが、上述した2個以上(2〜7個、さらに2〜4個、特に2個)のベンゼン環が縮合した炭化水素から2個の水素原子を除いて得られる2価の基が挙げられる。具体的には、上述したとおりであり、好ましくは上記一般式(2)で表される基が挙げられる。
一般式(3)において、mとしては、それぞれ同一でも異なっていてもよいが、0以上の整数である。好ましくは10以下の整数、より好ましくは5以下の整数、さらに好ましくは3以下の整数、特に好ましくは1又は2である。mが2以上の場合、複数のRが直接結合する構成を有する。この場合、直接結合しているRは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(3)において、nとしては、それぞれ同一でも異なっていてもよいが、1以上の整数である。好ましくは10以下の整数、より好ましくは5以下の整数、さらに好ましくは3以下の整数、特に好ましくは1又は2である。nが2以上の場合、複数のRが直接結合する構成を有する。この場合、直接結合しているRは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(3)において、R及びRの少なくとも1つが2価の縮合多環芳香族炭化水素基(特に、一般式(2)で表される基)の場合、キラルなカーボンナノリングになり得る。さらに、このカーボンナノリングを、後述する本発明の製造方法のテンプレートとして用いることにより、このカーボンナノリングに由来する直径をほぼ保持したキラルなCNTを製造することができる。
一般式(4)において、dは好ましくは1〜3の整数、より好ましくは1又は2を示す。
一般式(13)において、Rで示されるフェニレン基及び2価の縮合多環芳香族炭化水素基としては、具体的には、一般式(3)におけるR及びRとして説明したものと同様である。また、好ましい具体例も同様である。また、lは10、11又は13である。
つまり、化合物(13)としては、具体的には、
Figure 0006086387
である。
2.炭素源
本発明の製造方法で用いる炭素源としては、種々の炭素又は炭素含有化合物を用いることができ、上記のテンプレート(環状化合物)から、その輪の中心軸方向にCNTのグラフェンシートを成長させることができるものであれば特に限定はない。例えば、炭素、炭化水素化合物、アルコール化合物、エーテル化合物、エステル化合物等が挙げられる。これらの1種又はその2種以上を用いることができる。
炭化水素化合物としては、例えば、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物等が挙げられる。
飽和の脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、C1〜100(好ましくはC1〜10、より好ましくはC1〜4)の直鎖状、分岐状又は環状のアルカンが挙げられる。具体例として、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられる。
不飽和の脂肪族炭化水素化合としては、例えば、二重結合を1〜3個有する、C2〜100(好ましくはC2〜10、より好ましくはC2〜6)の直鎖状、分岐状又は環状のアルケンが挙げられる。具体例として、エチレン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、ブタジエン等が挙げられ、好ましくはエチレンである。或いは、三重結合を1〜3個有する、C2〜100(好ましくはC2〜10、より好ましくはC2〜4)の直鎖状又は分岐状のアルキンが挙げられる。具体例として、アセチレン、プロピン等が挙げられ、好ましくはアセチレンである。
芳香族炭化水素化合物としては、例えば、単環又は多環の芳香族炭化水素が挙げられ、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、クメン、エチルベンゼン、フェナントレン、アントラセン等が挙げられる。
アルコール化合物としては、例えば、C1〜50(好ましくはC1〜10、より好ましくはC1〜4)の直鎖状、分岐状又は環状のモノ若しくはポリアルコールが挙げられる。具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、エチレングリコール等が挙げられる。好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール等である。
エーテル化合物としては、例えば、C2〜50(好ましくはC2〜10、より好ましくはC2〜4)の直鎖状、分岐状又は環状のエーテルが挙げられる。具体例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
エステル化合物としては、例えば、式:R−C(=O)O−R(式中、Rは水素原子又はC1〜10のアルキル基を示す。RはC1〜10のアルキル基を示す。)で表される化合物が挙げられる。R及びRで示されるC1〜10アルキル基としては、同一又は異なって、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。具体例としては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等が挙げられる。
本発明の製造方法を考慮すると、上記のうち減圧下で気体になり得る炭素源が好ましく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のC1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のモノアルコール;メタン、エタン等のC1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルカン;エチレン等のC2〜4のアルケン;アセチレン等のC2〜4のアルキン等が好ましい。
3.CNTの製法
本発明のCNTの製造方法は、上記の複数の芳香族環が連結してなる環状化合物(テンプレート)を炭素源と反応させることを特徴とする。具体的には、気体状の炭素源を供給して減圧下で加熱することが好ましい。本発明の製造方法は、例えば、該環状化合物をテンプレートとして用いて、炭素源の存在下に化学気相成長(CVD)法により実施することができる。典型的には、適当な担体上にテンプレートを配置して、該テンプレートに、減圧及び加熱条件下、炭素源を含む原料ガスを用いて化学気相成長(CVD)させることによりCNTを製造することができる。本発明の製造方法では、従来のCVD法で用いられる触媒(金属触媒等)を使用すること無く、テンプレートからグラフェンシートを拡張させて(π電子共役系を広げて)CNTを製造することができる(例えば、図1を参照)。得られるCNTは単層CNT(SWCNTs)である。
テンプレートを配置する担体としては、テンプレートを担持できてCNTを製造する過程で悪影響を与えない材質であれば特に限定はなく、例えば、シリカ、アルミナ、マグネシア、セリア、多孔性ゼオライト、メソポーラスシリカ等が挙げられる。担体の形状も特に限定はなく、粉末状、粒子状、平板状等の種々の形状のものが例示される。
また、担体として基板を用いてもよい。基板としては、例えば、サファイア単結晶基板、シリコン基板、石英ガラス基板、多孔性シリコン基板、多孔性アルミナ基板等が挙げられ、好ましくはサファイア単結晶基板である。基板上にテンプレートを配置する方法は特に限定はなく、例えばテンプレートを適当な溶媒に溶解した溶液を基板上にコーティングすることにより配置することができる。
溶媒としては、テンプレートを溶解し得るものであれば特に限定はなく、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル等)等が挙げられる。テンプレートを含む溶液の濃度は、テンプレートの溶解性、基板のサイズ等により適宜変更可能である。通常、基板上にテンプレート分子が重ならずに単一分子の状態で配置できるように低濃度であることが好ましい。例えば、0.00001〜0.01重量%、好ましくは0.0001〜0.005重量%が挙げられる。
テンプレートを含む溶液を基板上にコーティングする方法は特に限定はなく、例えば、スピンコート、スプレイコート、ディップコート等が挙げられ、好ましくはスピンコートである。スピンコートを用いた場合、その回転数は例えば1000〜10000rpm程度、回転時間は10〜30秒程度である。その後、乾燥して溶媒を除いてテンプレートを基板に配置することができる。
テンプレートを配置した担体を反応器に移し炭素源を用いたCVD法に供することが好ましい。通常、当該担体を設置した反応器を真空引きし、炭素源を含む気体を供給した後又は供給しつつ、適当な温度及び圧力下で実施する。反応は、温度、圧力、炭素源の供給量が安定させて実施することが好ましい。
反応の雰囲気ガスは、反応条件下においてテンプレートやCNTと反応せず不活性であれば特に限定はなく、例えば、ヘリウム、アルゴン、水素、窒素、ネオン、クリプトン等、又はこれらの混合気体が挙げられる。特に、ヘリウム、アルゴン等が好ましい。
炭素源の供給は、通常、炭素源を気体状にしたものを供給することが出来る。炭素源の供給量は特に限定はなく、気体状の炭素源の場合は、通常5〜2000mL/分であればよい。或いは、気体状の炭素源と上記の雰囲気ガスで希釈した混合気体を供給してもよい。
反応器内の圧力は、通常、減圧下(大気圧以下)が好ましく、例えば、10−4〜10Pa程度、好ましくは10−3〜10Pa程度、より好ましくは10〜10Pa程度である。
反応器内の温度は、通常、400〜1200℃、好ましくは450〜700℃、より好ましくは450〜500℃である。反応時間は、例えば、5〜30分、好ましくは10〜15分である。
得られたCNTの構造は、ラマン分光法及び透過型電子顕微鏡(TEM)観察により評価することが出来る。
また、TEMにおいて、単層カーボンナノチューブのTEM像から、CNTの直径、単層CNTがバンドルを形成していることや、単層カーボンナノチューブの壁面に欠陥の有無等を確認することができる。例えば、実施例1で[12]シクロパラフェニレンから製造したCNTについて、透過型電子顕微鏡により測定したCNTの直径分布の結果を図4に示す。
ラマン分光法において、1枚のグラフェンシートを継ぎ目なく円筒状に巻いたものは、ブリージングモードと呼ばれる振動モードが出現する。この振動モードの振動数はチューブの直径に反比例することが知られているので、ラマン散乱によりブリージングモードの振動数を測定すると、CNTの直径の分布を知ることができる。
また、ラマン分光法において、CNT固有のラマンバンドであるGバンドのスペクトル強度と、アモルファスカーボン由来のDバンドのスペクトルの強度の比(G/D比)を、合成後の単層カーボンナノチューブの純度を表す指標(不純物の混入度合いを表す尺度)とすることができる。
また、ラマン分光法において、用いるレーザーの波長により検出されるCNTが異なるため、異なる波長のレーザーを用いてCNTの物性評価を行うことが出来る。本発明の方法で得られるCNTは、例えば、レーザーの励起波長が514nm及び488nmでは半導体のCNTが検出され、励起波長が633nmでは金属のCNTが検出される。
本発明の製造方法は、テンプレートの環状化合物の直径をほぼ忠実に再現したCNTを製造することができる。そのため、従来の一般的なCVD法で製造されるCNTと比べて直径の分布が極めて小さいという特徴を有している。例えば、実施例1において、12個のフェニレン基が連結した[12]シクロパラフェニレン(リングの直径1.65nm)をテンプレートに用いた場合、得られたCNTの直径は1.4〜1.6nmであり、[12]CPPのそれとほぼ一致している(図4)。よって、本発明の製造方法は、テンプレートによる直径を制御したCNTの製造方法として有用である。
また、本発明の製造方法は、触媒や高温を必要とせず、比較的低い温和な条件で実施することができる。これは、出発物質としてテンプレートを用いているため、触媒や高温を用いなくても、より温和な条件でグラフェンシートが形成(π共役系が成長)できるためと考えられる。
また、本発明の製造方法では、金属触媒等の触媒を用いる必要がないため、得られたCNTには触媒に由来する不純物を含まない。そのため、面倒な精製工程を経ずに高純度のCNTを得ることができる。しかも、触媒の金属微粒子を含まないため、得られたCNTをデバイス、トランジスタ、集積回路、メモリ、センサー、配線等の用途に問題無く使用できる。
4.テンプレートの製造
本発明の製造方法におけるテンプレートとして用いる複数の芳香族環が連結してなる環状化合物は、例えば以下の様にして製造することができる。
シクロパラフェニレン化合物(特に、一般式(1)で表される化合物)は、例えば、非特許文献1〜4に記載された方法に従い又はこれに準じて製造することができる。また、カーボンナノリング(シクロパラフェニレン化合物及び/又は修飾シクロパラフェニレン化合物)は、例えば、反応式1〜3で示す製造方法により製造することもできる。
<反応式1>
Figure 0006086387
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は水酸基の保護基;Rは同じか又は異なり、それぞれフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基;Rは同じか又は異なり、それぞれフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基;m’は同じか又は異なり、それぞれ1以上の整数;nは同じか又は異なり、それぞれ1以上の整数;Xは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子;Yは同じか又は異なり、それぞれ一般式(9):
Figure 0006086387
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又はC1〜10のアルキル基であり、Rは互いに結合して隣接する−O−B−O−とともに環を形成してもよい。)
で示される基を示す。)
は水素原子又は水酸基の保護基である。水酸基の保護基としては、例えば、アルコキシアルキル基(例えば、メトキシメチル基(−CH−O−CH、以下、「−MOM」と表記する場合がある)等)、アルカノイル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基等)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等)、テトラヒドロピラニル基(THP)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基等)などが挙げられ、好ましくはアルコキシアルキル基、特にメトキシメチル基である。
及びRは前述したとおりである。
m’は、好ましくは1〜30の整数、より好ましくは1〜20の整数、さらに好ましくは1〜10の整数、特に好ましくは1〜2の整数を示す。
nは前述したとおりである。
Xで示されるハロゲン原子は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。臭素原子及びヨウ素原子が好ましく、特に臭素原子が好ましい。
Yで示される一般式(9)に示される1価の基(以下、「ボロン酸又はそのエステル基」と表記する)において、Rで示されるアルキル基としては、好ましくはC1〜8であり、より好ましくはC1〜5のアルキル基であり、直鎖状又は分岐状のいずれでもよい。また、Rがアルキル基である場合には、それぞれのアルキル基を構成する炭素原子が、互いに結合してホウ素原子及び2個の酸素原子とともに環を形成してもよい。この場合、Yとしては、例えば、下記式(9a)〜(9c):
Figure 0006086387
で示される基とすることができる。化合物(6)におけるYが、上記式(9a)〜(9c)で示される基であると、化合物(5)と化合物(6)の反応をより効率的に進行させることができる。
化合物(5)及び(6):
化合物(5)及び(6)は、非特許文献3、本願明細書の合成例1〜5等に従い又はこれらに準じて合成できる。
化合物(7a)の合成:
化合物(5)と化合物(6)とを反応させることにより、化合物(7a)を製造することができる。化合物(5)と化合物(6)との反応は、鈴木・宮浦カップリング反応を用いることができる。鈴木・宮浦カップリング反応は、炭素−炭素結合の反応であり、ハロゲン化アリール化合物と有機ホウ素化合物とをカップリングさせる反応である。化合物(5)はハロゲン原子を有するハロゲン化アリール化合物であり、上記化合物(6)はボロン酸又はそのエステル基を有する有機ホウ素化合物である。
上記反応における化合物(6)の使用量は、化合物(5)1モルに対して、好ましくは0.01〜0.5モル、より好ましくは0.05〜0.4モル、更に好ましくは0.08〜0.2モルである。
上記反応においては、通常、パラジウム系触媒が用いられる。このパラジウム系触媒としては、例えば、Pd(PPh(Phはフェニル基)、PdCl(PPh(Phはフェニル基)、Pd(OAc)(Acはアセチル基)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(Pd(dba))、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ビス(トリt−ブチルホスフィノ)パラジウム(0)、及び(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)等が挙げられる。本工程では、Pd(PPh、Pd(dba)等が好ましい。
パラジウム系触媒の使用量は、収率の観点から、原料の上記化合物(5)1モルに対して、通常、0.0001〜0.1モル、好ましくは0.0005〜0.02モル、より好ましくは0.001〜0.01モルである。
上記反応において、必要に応じて、上記パラジウム系触媒の中心元素であるパラジウム原子に配位し得る、リン配位子を使用することができる。このリン配位子としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス[2−(ジフェニルホスフィノ)エチル]ホスフィン、ビス(2−メトキシフェニル)フェニルホスフィン、2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、トリ−t−ブチルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ビス(2−ジフェニルホスフィノエチル)フェニルホスフィン、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル(S−Phos)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリ−イソプロピル−1,1’−ビフェニル(X−Phos)、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル(DPEPhos)等が挙げられる。本工程では、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリ−イソプロピル−1,1’−ビフェニル(X−Phos)等が好ましい。
リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の上記化合物(5)1モルに対して、通常、0.001〜1.0モル、好ましくは0.01〜0.8モル、より好ましくは0.05〜0.3モルである。
上記反応においては、上記パラジウム系触媒に加えて、塩基(ホウ素原子の活性化剤)を添加することが好ましい。この塩基は、鈴木・宮浦カップリング反応において、ホウ素原子上にアート錯体を形成し得る化合物であれば特に限定はされない。具体的には、例えば、フッ化カリウム、フッ化セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち、フッ化セシウム、炭酸セシウム及びリン酸カリウムが好適である。この塩基の使用量は、原料の化合物(5)1モルに対して、通常、0.01〜10モル、好ましくは0.1〜5.0モル、より好ましくは0.5〜1.0モルである。
上記カップリング反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル等の環状エーテル類;塩化メチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、本発明では、テトラヒドロフラン等が好ましい。
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。
反応後、必要に応じて、精製工程を備えることができる。この精製工程において、溶媒(溶剤)除去、洗浄、クロマト分離等といった一般的な後処理に供することができる。
上記の製法によれば、化合物(6)におけるRのnの数を適宜選択することにより、化合物(7a)の芳香環の数、即ち、分子の長さを自由に且つ正確に設計することができる。
化合物(8)の合成:
この反応は、化合物(7a)と、ボロン酸又はそのエステル基(−B(OR;Rは前記に同じ)を有するホウ素化合物(以下、単に「ホウ素化合物」と言うこともある。)とから、化合物(8)を形成する工程である。
この反応においては、化合物(7a)に含まれるハロゲン原子Xが、ホウ素化合物に含まれるボロン酸又はそのエステル基Yに置換される。その結果、ホウ素化合物由来のボロン酸又はそのエステル基Yを有する化合物(8)が形成される。この化合物(8)を形成する反応は、ボリル化反応である。
上記反応に使用されるホウ素化合物としては、具体的には、2−フェニル−1,3,2−ジオキサボリナン、(4,4,5,5)−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ[1,3,2−ジオキサボロラン](ビスピナコラートジボロン)、5,5,5’,5’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラヒドロ−2,2’−ビ[4H−1,3,2−ジオキサボリン]、1,1,2,2−テトラヒドロキシ−1,2−ジボラエタン等が挙げられる。
上記反応におけるホウ素化合物の使用量は、化合物(7a)1モルに対して、好ましくは1〜10モルであり、より好ましくは1.5〜7モルであり、さらに好ましくは2〜5モルである。
上記反応は、通常、触媒の存在下で行われ、好ましくはパラジウム系触媒が使用される。このパラジウム系触媒としては、上記カップリング反応の説明において示されたパラジウム系触媒を使用することができる。特に、Pd(dba)、Pd(PPh等が好ましい。
パラジウム系触媒を用いる場合、その使用量は、収率の観点から、原料の化合物(7a)1モルに対して、通常、0.001〜1モル、好ましくは0.005〜0.1モル、より好ましくは0.01〜0.05モルである。
本反応において、触媒とともにリン配位子を用いることができる。このリン配位子も、カップリング反応の説明で示されたものを使用することができる。特に、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリ−イソプロピル−1,1’−ビフェニル(X−Phos)等が好ましい。
リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の化合物(7a)1モルに対して、通常、0.01〜1.0モル、好ましくは0.05〜0.5モル、より好ましくは0.08〜0.2モルである。
また、本反応において、必要に応じて、塩基を使用してもよい。使用される塩基は、上記カップリング反応の説明において示された塩基を使用することができる。この塩基の使用量は、原料の化合物(7a)1モルに対して、通常、0.1〜5.0モル程度、好ましくは0.5〜1.0モルである。
本反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、上記カップリング反応の説明で示されたものを使用することができる。
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。尚、空気雰囲気とすることもできる。
なお、ホウ素化合物が環状のボロン酸エステル基を有する化合物である場合には、該ボロン酸エステル基を有する化合物(8)を製造してから加水分解し、ボロン酸基に変換してもよい。
化合物(7b)の合成:
この工程は、化合物(8)と化合物(10)から、化合物(7b)を形成する工程である。
この工程においては、化合物(8)に含まれるボロン酸又はそのエステル基Yが、−[Rm’−Xに置換される。これによりカーボンナノリングの大きさを適宜調節することができる。
化合物(10)の使用量は、化合物(8)1モルに対して、好ましくは0.1〜10モルであり、より好ましくは0.5〜5モルであり、さらに好ましくは0.8〜2モルである。
この反応は、通常、触媒の存在下で行われ、好ましくはパラジウム系触媒が使用される。このパラジウム系触媒としては、上記カップリング反応の説明において示されたパラジウム系触媒を使用することができる。特に、(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)、Pd(dba)、Pd(PPh等が好ましい。
パラジウム系触媒を用いる場合、その使用量は、収率の観点から、原料の化合物(8)1モルに対して、通常、0.001〜1モル、好ましくは0.005〜0.2モル、より好ましくは0.01〜0.1モルである。
触媒とともにリン配位子を用いることができる。このリン配位子も、カップリング反応の説明で示されたものを使用することができる。特に、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリ−イソプロピル−1,1’−ビフェニル(X−Phos)等が好ましい。
リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の化合物(8)1モルに対して、通常、0.01〜1.0モル、好ましくは0.05〜0.5モル、より好ましくは0.08〜0.2モルである。
本反応において、必要に応じて、塩基を使用してもよい。使用される塩基は、上記カップリング反応の説明において示された塩基を使用することができる。好ましい塩基は、炭酸ナトリウム、リン酸カリウム等である。この塩基の使用量は、原料の化合物(8)1モルに対して、通常、0.1〜5.0モル程度、好ましくは0.5〜1.0モルである。
本反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、上記カップリング反応の説明で示されたものを使用することができる。本工程では、トルエン、1,4−ジオキサン、水、これらの混合溶媒等が好ましい。
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。尚、空気雰囲気とすることもできる。
<反応式2>
Figure 0006086387
(式中、R、R、R、m、n、X及びYは前記に同じ。)
化合物(7)及び(8)から化合物(11)の合成:
この工程は、化合物(7)と化合物(8)から、化合物(11)を形成する工程である。ここで、化合物(7)は上記化合物(7a)と化合物(7b)を併せた化合物である。
化合物(11)は、化合物(7)と化合物(8)をカップリング反応させて、輪状の化合物を形成するカップリング工程を経ることにより得られる。化合物(7)と化合物(8)は共にU字型形状を有するため効率的に化合物(11)を得ることが出来る。
上記カップリング反応において化合物(8)の使用量は、化合物(7)1モルに対して、好ましくは0.8〜3.0モルであり、より好ましくは1.0〜2.0モルであり、更に好ましくは1.2〜1.8モルである。
この反応は、通常、触媒の存在下で行われ、好ましくはパラジウム系触媒が使用される。このパラジウム系触媒としては、上記カップリング反応の説明において示されたパラジウム系触媒を使用することができる。特に、Pd(dba)、Pd(PPh等が好ましい。
パラジウム系触媒を用いる場合、その使用量は、収率の観点から、原料の化合物(7)1モルに対して、通常、0.001〜1モル、好ましくは0.005〜0.1モル、より好ましくは0.01〜0.05モルである。
触媒とともにリン配位子を用いることができる。このリン配位子も、カップリング反応の説明で示されたものを使用することができる。特に、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリ−イソプロピル−1,1’−ビフェニル(X−Phos)等が好ましい。
リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の化合物(7)1モルに対して、通常、0.01〜1.0モル、好ましくは0.05〜0.5モル、より好ましくは0.08〜0.2モルである。
本反応において、必要に応じて、塩基を使用してもよい。使用される塩基は、上記カップリング反応の説明において示された塩基を使用することができる。好ましい塩基は、フッ化セシウム、炭酸セシウム及びリン酸カリウム等である。この塩基の使用量は、原料の化合物(7)1モルに対して、通常、0.1〜5.0モル程度、好ましくは0.5〜1.0モルである。
本反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、上記カップリング反応の説明で示されたものを使用することができる。本反応では、テトラヒドロフラン等が好ましい。
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。尚、空気雰囲気とすることもできる。
化合物(11)から環状化合物(3)の合成:
環状化合物(3)は、化合物(11)が有するシクロヘキサン環部をベンゼン環に変換(芳香環化)することにより得られる。
本反応は、例えば、一般的な酸化反応を施せばよい。その具体例としては、例えば、酸の存在下、化合物(11)を加熱する(酸処理する)方法の他、酸素存在下(空気雰囲気、酸素雰囲気等)加熱する方法、キノン類、金属酸化剤等と反応させる方法等も挙げられる。これにより、通常、脱水素反応等が適用され、化合物(11)が有するシクロヘキサン環部を、ベンゼン環に化学変化(芳香環化)させて、環状化合物(3)を合成することができる。即ち、変換前の輪状の化合物が有する、シクロヘキサン環部におけるORも脱離され、且つ脱水素反応も進行して、環状化合物(3)が得られる。
上記酸処理を行う場合、その具体的な方法等は特に限定されないが、例えば、以下の方法等が好ましい。
(A)化合物(11)と酸とを溶媒に溶解させた後、得られた溶液を加熱して反応させる方法。
(B)化合物(11)を溶媒に溶解させた後、得られた溶液と酸とを混合して得られた混合物を加熱して反応させる方法。
なお、上記反応を行う場合、無溶媒による酸処理とすることもできる。
酸は、特に限定されないが、触媒等に使用される強酸が好ましい。例えば、硫酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、タングストリン酸、タングストケイ酸、モリブドリン酸、モリブドケイ酸、三フッ化ホウ素エチラート、四塩化スズ等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸の使用量は製造条件等により異なるが、上記(A)の方法の場合、化合物(11)1モルに対して、0.01〜100モルが好ましく、0.5〜50モル当量がより好ましく、1〜20モルがより好ましい。
また、上記(B)の方法の場合、酸の使用量は、化合物(11)1モルに対して、0.01〜100モルが好ましく、0.5〜50モルがより好ましく、1〜20モル当量がより好ましい。
酸処理の反応に用いられる溶媒は、非極性溶媒であっても極性溶媒であってもよい。例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のアルカン類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチレン等のハロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ペンタメチルベンゼン等のベンゼン類;クロルベンゼン、ブロムベンゼン等のハロベンゼン類;ジエチルエーテル、アニソール等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。上記溶媒は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶媒を用いる場合において、原材料から環状化合物(3)に至るまでの反応中間体が、使用した1の溶媒に対して低い溶解性となることがあり、この場合、他の溶媒を、予め、又は反応の途中から、添加しておいてもよい。
溶媒を使用する場合のその使用量は、製造条件等により適宜選択されるが、化合物(11)100質量部に対して、100〜100000質量部が好ましく、1000〜10000質量部がより好ましい。
上記(A)〜(B)の方法における加熱温度は、通常、50℃以上であり、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは100℃以上であり、更に好ましくは120℃以上である。溶媒を用いる場合は、上記溶媒の沸点温度以下の範囲から選択される。
加熱手段としては、オイルバス、アルミブロック恒温槽、ヒートガン、バーナー、マイクロ波の照射等が挙げられる。マイクロ波を照射する場合には、マイクロ波反応に使用される公知のマイクロ波反応装置を用いることができる。加熱の際には還流冷却を併用してもよい。
反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。
反応後に、必要に応じて、精製工程を備えることができる。即ち、溶媒(溶剤)除去(溶媒を使用した場合)、洗浄、クロマト分離等といった一般的な後処理に供することができる。得られる環状化合物(3)は、通常、アモルファス(非結晶)であるので、公知の再結晶法を利用して結晶化させることができる。結晶化物においては、再結晶操作において用いた有機溶媒が、分子を構成する輪の内部に包含されることがある。
なお、上記反応式において、m及びnの数を適宜調節することにより、2価の芳香族環が14個以上連なった環状化合物を得ることができる。例えば、mが共に0であり、nが1である化合物の場合、2価の芳香族環が14個連なった環状化合物を得ることができる。また、mが1及び0であり、nが1である化合物の場合、2価の芳香族環が15個連なった環状化合物を得ることができる。さらに、mが共に1であり、nが1である化合物の場合、2価の芳香族環が16個連なった環状化合物を得ることができる。
<反応式3>
Figure 0006086387
(式中、dは1以上の整数を示す。R及びXは前記に同じ。)
化合物(12)の合成:
この反応では、複数の化合物(5)が、結合(ホモカップリング)して輪状の化合物(12)が形成される。化合物(5)は2つのハロゲン原子を持っており、ニッケル化合物を用いることにより、そのハロゲン原子が結合している炭素原子同士、即ち、1の化合物(5)におけるハロゲン原子に結合している炭素原子と、他の化合物(5)におけるハロゲン原子に結合している炭素原子と、を結合させることができる。それにより、連続的に、化合物(5)同士のカップリング反応を進め、炭素原子同士を結合させ、輪状の化合物(12)を得ることができる。
化合物(5)は、1位及び4位の2箇所でベンゼン環と結合しており、このベンゼン環が、それぞれアキシアル、エクアトリアルの配置にあることにより、L字型の構造を有する化合物とすることができる。化合物(5)として、L字型構造等の構造を有する化合物を用いることにより、輪状構造を有する化合物(12)の形成を容易にすることができる。
本反応においては、通常、ニッケル化合物が用いられる。このニッケル化合物としては特に限定されないが、0価のNiの塩又は2価のNiの塩が好ましい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの錯体は、試薬として投入するもの及び反応中で生成するものの両方を意味する。
上記0価のNiの塩としては、特に制限されないが、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジカルボニル、ニッケルカルボニル等が挙げられる。
また、上記2価のNiの塩としては、酢酸ニッケル(II)、トリフルオロ酢酸ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、ニッケル(II)アセチルアセトナート、過塩素酸ニッケル(II)、クエン酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、シクロヘキサン酪酸ニッケル(II)、安息香酸ニッケル(II)、ステアリン酸ニッケル(II)、ステアリン酸ニッケル(II)、スルファミンニッケル(II)、炭酸ニッケル(II)、チオシアン酸ニッケル(II)、トリフルオロメタンスルホン酸ニッケル(II)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(II)、ビス(4−ジエチルアミノジチオベンジル)ニッケル(II)、シアン化ニッケル(II)、フッ化ニッケル(II)、ホウ化ニッケル(II)、ホウ酸ニッケル(II)、次亜リン酸ニッケル(II)、硫酸アンモニウムニッケル(II)、水酸化ニッケル(II)、シクロペンタジエニルニッケル(II)、及びこれらの水和物、並びにこれらの混合物等が挙げられる。
0価のNiの塩及び2価のNiの塩としては、配位子を事前に配位させた化合物を使用してもよい。
ニッケル化合物の使用量は、原料の上記化合物(5)1モルに対して、通常、試薬として投入するニッケル化合物の量が0.01〜50モル、好ましくは0.1〜10モル、より好ましくは0.5〜5モルであり、特に好ましくは1〜3モルである。
本反応において、ニッケル化合物とともに、ニッケル(ニッケル原子)に配位し得る配位子を用いることができる。この配位子としては、例えば、カルボン酸系、アミド系、ホスフィン系、オキシム系、スルホン酸系、1,3−ジケトン系、シッフ塩基系、オキサゾリン系、ジアミン系、一酸化炭素、カルベン系の配位子等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記配位子における配位原子は窒素原子、リン原子、酸素原子、硫黄原子等であり、これらの配位子には配位原子を1箇所のみ有する単座配位子と2箇所以上を有する多座配位子がある。また、一酸化炭素、カルベン系に関しては、炭素原子を配位原子とする配位子である。
単座の配位子としては、トリフェニルホスフィン、トリメトキシホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ(i−プロピル)ホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリ(n−ブチル)ホスフィン、トリ(イソプロポキシ)ホスフィン、トリ(シクロペンチル)ホスフィン、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン、トリ(オルト−トルイル)ホスフィン、トリ(メシチル)ホスフィン、トリ(フェノキシ)ホスフィン、トリ−(2−フリル)ホスフィン、ビス(p−スルホナートフェニル)フェニルホスフィンカリウム、ジ(tert−ブチル)メチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、トリエチルアミン、ピリジン等が挙げられる。
二座の配位子としては、2,2’−ビピリジル、4,4’−(tert−ブチル)ビピリジル、フェナントロリン、2,2’−ビピリミジル、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、2−(ジメチルアミノ)エタノール、テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、2−アミノメチルピリジン、又は(NE)−N−(ピリジン−2−イルメチリデン)アニリン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(tert−ブチル)フェロセン、ジフェニルホスフィノメタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,2−ビス(ジペンタフルオロフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、1,3−(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,5−シクロオクタジエン、BINAP、BIPHEMP、PROPHOS、DIOP、DEGUPHOS、DIPAMP、DuPHOS、NORPHOS、PNNP、SKEWPHOS、BPPFA、SEGPHOS、CHIRAPHOS、JOSIPHOS等、及びこれらの混合物が挙げられる。また、BINAPとしては、BINAPの誘導体も含まれ、上記BIPHEMPとしては、BIPHEMPの誘導体も含まれる。
配位子を使用する場合、その使用量は、原料の化合物(5)1モルに対して、通常、0.01〜50モル、好ましくは0.1〜10モル、より好ましくは0.5〜5モルであり、特に好ましくは1〜3モルである。
上記反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等)、脂肪族ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、エステル類(酢酸エチル、プロピオン酸エチル等)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセタミド(DMA)、N−メチルピロリドン(1−メチル−2−ピロリジノン)(NMP)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル等)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記反応における溶媒量は、原料の上記化合物(5)100質量部に対して、通常、1〜1000質量部、好ましくは5〜200質量部、より好ましくは10〜100質量部である。
上記反応における反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。
化合物(4)の合成:
化合物(12)から化合物(4)への変換は、前記<反応式2>の化合物(11)から化合物(3)に変換する方法と同様にして実施することが出来る。
なお、上記反応式において、例えば、dが1である化合物の場合、2価の芳香族環が9個連なった環状化合物を得ることができる。また、dが2である化合物の場合、2価の芳香族環が12個連なった環状化合物を得ることができる。
上記説明した方法により、9個、12個、又は14個以上の2価の芳香族環が連なった環状化合物を得ることができる。それ以外にも、化合物(13)として、一般式(13):
Figure 0006086387
(式中、Rは同じか又は異なり、それぞれフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基基;lは10、11又は13である。)
で示される環状化合物を合成することも可能である。
この方法では、以下に示す原料を用いて、以下に示す方法1、方法2等を採用することにより、様々な数の2価の芳香族環が連なった環状化合物が得られる。なお、この方法は、上記した反応式1〜3を用いる方法を包含する方法である。
<原料>
ここでは、原料として、一般式(I):
Figure 0006086387
(式中、Rは前記に同じ;Y’は同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子、又はボロン酸又はそのエステル基である。)
で示される化合物、及び
一般式(II):
Figure 0006086387
(式中、Y’は前記に同じである。)
で示される化合物
よりなる群から選ばれる1種の化合物、又は2種以上の化合物を反応させて得られる化合物を原料として用いる。
より好ましくは、化合物(5)、一般式(Ib):
Figure 0006086387
(式中、R及びYは前記に同じである。)
で示される化合物、化合物(10)、及び化合物(6)
よりなる群から選ばれる1種の化合物、又は2種以上の化合物を反応させて得られる化合物を用いて、環状化合物を製造することができる種々様々な化合物の組合せ及び反応を用いることで、環状化合物を得ることができる。
なお、上記したように、反応式1〜3を用いる方法はこの一例である。
ハロゲン原子(Y’で表記)としては特に限定されない。具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。本発明においては、臭素原子及びヨウ素原子が好ましく、特に臭素原子が好ましい。また、Y’(Y’がハロゲン原子の場合)は同一であっても異なっていてもよい。
ボロン酸又はそのエステル基(Y又はY’で表記)としては、上記説明した通りである。
化合物(Ib)は、化合物(5)の両末端のハロゲン原子を、例えばホウ素化合物を用いたボリル化反応によりボロン酸若しくはそのエステル基に変換することで得られる。
上記ホウ素化合物としては、上記説明したものが挙げられる。
ホウ素化合物の使用量は、化合物(5)1モルに対して1〜10モルが好ましく、1.5〜7モルがより好ましい。
反応は、通常、触媒の存在下で行われ、好ましくはパラジウム系触媒が使用される。このパラジウム系触媒としては、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。本工程では、Pd(dba)、Pd(PPh、(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)等が好ましい。
本工程でパラジウム系触媒を用いる場合、その使用量は、収率の観点から、原料の化合物(5)1モルに対して、通常、0.001〜1モルが好ましく、0.005〜0.1モルがより好ましい。
また、必要に応じて、上記パラジウム系触媒の中心元素であるパラジウム原子に配位し得る、リン配位子を触媒とともに用いることができる。このリン配位子としては、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。本工程では、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリ−イソプロピル−1,1’−ビフェニル(X−Phos)等が好ましい。
リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の化合物(5)1モルに対して、通常、0.01〜1.0モルが好ましく、0.05〜0.5モルがより好ましい。
また、上記パラジウム系触媒に加えて、必要に応じて、塩基(ホウ素原子の活性化剤)を使用することもできる。塩基としては、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。これらのうち、好ましくは、酢酸カリウム等である。この塩基の使用量は、原料の化合物(5)1モルに対して、通常、0.1〜5.0モル程度が好ましく、0.5〜1.0モルがより好ましい。
また、反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。これらのうち、本工程では、ジメチルスルホキシド等が好ましい。
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。尚、空気雰囲気とすることもできる。
なお、ホウ素化合物が環状のボロン酸エステル基を有する化合物である場合には、該ボロン酸エステル基を有する化合物を製造してから加水分解し、ボロン酸基に変換してもよい。
原料として用いる化合物のうち、化合物(I)、化合物(II)の2種以上の化合物を反応させて得られる化合物は、例えば、一般式(14):
Figure 0006086387
(式中、R及びY’は前記に同じである。)
で示される化合物、
一般式(15):
Figure 0006086387
(式中、R、R、Y’及びnは前記に同じである。)
で示される化合物、化合物(7a)、化合物(8)、一般式(16):
Figure 0006086387
(式中、RはR又はRと同じ;m1はn又はm’と同じ;Y’は前記に同じである。)
で示される化合物等が挙げられる。
化合物(14)
化合物(14)は、例えば、化合物(I)を用いた反応により得ることができる。より具体的には、化合物(5)と、化合物(Ib)を用いて、化合物(5)の末端のハロゲン原子と、化合物(Ib)化合物の末端のボロン酸又はそのエステル基とを反応させて、三量体化することで、化合物(14)が得られる。
Figure 0006086387
(式中、R、X、Y及びY’は前記に同じである。)
この反応では、シクロヘキサン環の屈曲部を利用して、C字型の鎖状化合物として、化合物(14)を得ることができる。
化合物(5)と、化合物(Ib)との反応は、鈴木・宮浦カップリング反応を用いることができる。
化合物(5)と、化合物(Ib)との使用量は、目的とする化合物(14)によって適宜調整することが好ましい。
より詳細には、化合物(14)の両末端をハロゲン原子とする場合には化合物(5)を過剰量とすることが好ましい。具体的には、化合物(Ib)の使用量は、化合物(5)1モルに対して、0.05〜0.2モルが好ましく、0.075〜0.15モルがより好ましい。
また、化合物(14)の両末端をボロン酸又はそのエステル基とする場合には化合物(Ib)を過剰量とすることが好ましい。具体的には、化合物(Ib)の使用量は、化合物(5)1モルに対して、5〜20モルが好ましく、7〜15モルがより好ましい。
上記の反応は、通常、触媒の存在下で行われ、好ましくはパラジウム系触媒が使用される。このパラジウム系触媒としては、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。本工程では、Pd(PPh、Pd(dba)等が好ましい。
パラジウム系触媒を用いる場合、その使用量は、収率の観点から、原料の化合物(5)と、化合物(Ib)のうち少ないほうの化合物1モルに対して、通常、0.001〜1モルが好ましく、0.005〜0.5モルがより好ましい。
また、必要に応じて、上記パラジウム系触媒の中心元素であるパラジウム原子に配位し得る、リン配位子を触媒とともに用いることができる。このリン配位子としては、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。本工程では、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリ−イソプロピル−1,1’−ビフェニル(X−Phos)等が好ましい。
リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の化合物(5)と、化合物(Ib)のうち少ないほうの化合物1モルに対して、通常、0.01〜1.0モルが好ましく、0.05〜0.5モルがより好ましい。
また、上記パラジウム系触媒に加えて、必要に応じて、塩基(ホウ素原子の活性化剤)を使用することもできる。この塩基は、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。これらのうち、好ましくは、フッ化セシウム、炭酸セシウム、炭酸銀、リン酸カリウム等である。この塩基の使用量は、原料の化合物(5)と、化合物(Ib)のうち少ないほうの化合物1モルに対して、通常、0.1〜5.0モル程度が好ましく、0.5〜4.0モルがより好ましい。
また、反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。これらのうち、本工程では、環状エーテル類(テトラヒドロフラン等)が好ましい。
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。空気雰囲気とすることもできる。
化合物(15)
化合物(15)は、上記のように反応式(1)に従って化合物(7a)を得た後、さらに化合物(7a)の末端のハロゲン原子と、化合物(Ib)の末端のボロン酸又はそのエステル基を反応させることで得られる。
Figure 0006086387
(式中、R、R、X、Y、Y’及びnは前記に同じである。)
また、化合物(8)の末端のボロン酸又はそのエステル基と、化合物(5)の末端のハロゲン原子を反応させることによっても得られる。
Figure 0006086387
(式中、R、R、X、Y、Y’及びnは前記に同じである。)
この反応では、シクロヘキサン環の屈曲部を利用して、C字型の鎖状化合物として、化合物(15)を得ることができる。
上記反応は、鈴木・宮浦カップリング反応を用いることが好ましい。
ここでは、化合物(Ib)又は化合物(5)を過剰量とすることが好ましい。具体的には、化合物(Ib)の使用量は、化合物(7a)1モルに対して、5〜20モルが好ましく、7〜15モルがより好ましい。また、化合物(5)の使用量は、化合物(8)1モルに対して、5〜20モルが好ましく、7〜15モルがより好ましい。
ここでは、通常、パラジウム系触媒が用いられる。このパラジウム系触媒としては、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。これらのうち、Pd(PPh等が好ましい。
上記パラジウム系触媒の使用量は、収率の観点から、原料の化合物(7a)又は化合物(8)1モルに対して、通常、0.001〜1モルが好ましく、0.005〜0.5モルがより好ましい。
また、必要に応じて、上記パラジウム系触媒の中心元素であるパラジウム原子に配位し得る、リン配位子を使用することができる。このリン配位子としては、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。これらのうち、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリ−イソプロピル−1,1’−ビフェニル(X−Phos)等が好ましい。
上記リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の化合物(7a)又は化合物(8)1モルに対して、通常、0.001〜1.0モルが好ましく、0.01〜0.8モルがより好ましい。
上記パラジウム系触媒に加えて、塩基(ホウ素原子の活性化剤)を添加することが好ましい。この塩基は、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。好ましくは、炭酸ナトリウム、炭酸銀等である。この塩基(上記活性化剤)の使用量は、原料の化合物(7a)又は化合物(8)1モルに対して、通常、0.01〜10モルが好ましく、0.1〜5.0モルがより好ましい。
反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。これらのうち、本工程では、芳香族炭化水素類(トルエン等)が好ましい。また、水を含む系であってもよい。
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。
化合物(16)
化合物(16)は、例えば、化合物(I)及び化合物(II)を用いた反応により得ることができる。より具体的には、化合物(5)又は化合物(10)の末端のハロゲン原子と、化合物(6)又は化合物(Ib)の末端のボロン酸又はそのエステル基とを反応させて得られる。
Figure 0006086387
(式中、R、R、R、R、X、Y、Y’、n、m’及びm1は前記に同じである。)
この反応では、シクロヘキサン環の屈曲部を利用して、L字型の鎖状化合物として、化合物(16)を得ることができる。
上記反応は、鈴木・宮浦カップリング反応を用いることが好ましい。
ここでは、化合物(6)又は化合物(10)を過剰量とすることが好ましい。具体的には、化合物(6)の使用量は、化合物(5)1モルに対して、5〜20モルが好ましく、7〜15モルがより好ましい。また、化合物(10)の使用量は、化合物(Ib)1モルに対して、5〜20モルが好ましく、7〜15モルがより好ましい。
ここでは、通常、パラジウム系触媒が用いられる。このパラジウム系触媒としては、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。これらのうち、Pd(PPh等が好ましい。
上記パラジウム系触媒の使用量は、収率の観点から、原料の化合物(5)又は化合物(Ib)1モルに対して、通常、0.0001〜0.5モルが好ましく、0.0005〜0.2モルがより好ましい。
また、必要に応じて、上記パラジウム系触媒の中心元素であるパラジウム原子に配位し得る、リン配位子を使用することができる。このリン配位子としては、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。これらのうち、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリ−イソプロピル−1,1’−ビフェニル(X−Phos)等が好ましい。
上記リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の化合物(5)又は化合物(Ib)1モルに対して、通常、0.001〜1.0モルが好ましく、0.01〜0.8モルがより好ましい。
上記パラジウム系触媒に加えて、塩基(ホウ素原子の活性化剤)を添加することが好ましい。この塩基は、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。好ましくは、炭酸銀等である。この塩基(上記活性化剤)の使用量は、原料の化合物(5)又は化合物(Ib)1モルに対して、通常、0.01〜10モルが好ましく、0.1〜5.0モルがより好ましい。
反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。これらのうち、本発明では、環状エーテル類(テトラヒドロフラン等)が好ましい。
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。
<方法1>
9〜13個(特に9個、11個又は13個)の芳香族環が連なった環状化合物は、例えば、
一般式(III):
X−R−X
(式中、Rは、3〜4個の一般式(17):
Figure 0006086387
(式中、Rは前記に同じである。)
で示される構造単位と、6個以上(特に6〜9個)のフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基と、からなる2価の基;Xは前記に同じである。]
で示される鎖状化合物の末端原子同士(特にハロゲン原子同士)を、分子内閉環反応により反応させて輪状の化合物を得る工程
を備える。
ここでは、化合物(III)を、分子内閉環反応により輪状の化合物を得る。なお、化合物(III)は、上記説明した原料を用いて反応させることにより得られる。
化合物(III)は、上記説明した化合物のなかでも、化合物(14)、及び化合物(15)のうち両末端がハロゲン原子である化合物を包含する概念である。そのため、化合物(III)のうち、他の化合物についても、化合物(14)、及び化合物(15)のうち両末端がハロゲン原子である化合物と同様の方法により得ることができる。
ここでは、化合物(III)の末端原子同士が結合して輪状の化合物が形成される。化合物(III)は、2つのハロゲン原子を有しており、ニッケル化合物を用いることにより、そのハロゲン原子同士を結合させ、分子内閉環反応を起こさせることができる。
この工程において、化合物(III)が有する環の数がそのまま環状化合物(特にカーボンナノリング)が有する環の数となる。このことから、化合物(III)を好適に選択することにより、連結する芳香族環の個数を自在に設計することができ、所望の数の芳香族環が連なった環状化合物を、短工程で効率良く製造することができる。
分子内閉環反応においては、ニッケル化合物が用いられる。このニッケル化合物としては、上記反応式3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。
上記ニッケル化合物の使用量は、使用する原料によって異なるが、通常、原料の化合物(III)1モルに対して、通常、試薬として投入するニッケル化合物の量が0.01〜50モル、好ましくは0.1〜10モルである。
ニッケル化合物とともに、ニッケル(ニッケル原子)に配位し得る配位子を用いることができる。この配位子としては、上記反応式3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。
上記配位子を使用する場合、その使用量は、化合物(III)1モルに対して、通常、0.01〜50モル、好ましくは0.1〜10モルである。
反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、上記反応式3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。これらのうち、本工程では、環状エーテル類(テトラヒドロフラン等)が好ましい。
反応溶媒を使用する場合、原料の濃度は種々調整することが好ましいが、原料の濃度を高くしすぎないことが好ましい。具体的には、化合物(III)の濃度は、0.1〜5mmol/Lが好ましく、0.2〜3mol/Lがより好ましい。
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。
これにより、輪状の化合物が得られる。原料として、化合物(14)のうち両末端がハロゲン原子である化合物を使用した場合には、一般式(12b):
Figure 0006086387
(式中、Rは前記に同じである。)
で示される化合物が得られる。
また、原料として、化合物(15)のうち両末端がハロゲン原子で、Rが1,4−フェニレン基、nが1である化合物を使用した場合には、一般式(18):
Figure 0006086387
(式中、Rは前記に同じである。)
で示される化合物が得られる。
また、同様の方法により、一般式(19):
Figure 0006086387
(式中、Rは前記に同じである。)
で示される化合物等も得られる。
<方法2>
10〜13個(特に10個)の芳香族環が連なった環状化合物は、例えば、
一般式(IV−1):
Y’−R10a−Y’
(式中、R10aは、3個の一般式(17)で示される構造単位と、6個以上(特に6〜9個)のフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基と、からなる2価の基;Y’は前記に同じである。)
で示される化合物と、
一般式(IV−2):
Y’−R10b−Y’
(式中、R10bは、1個以上(特に1〜4個)のフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基からなる2価の基;Y’は前記に同じである。)
で示される化合物とを反応させて輪状の化合物を得る工程か、
一般式(V−1):
Y’−R11a−Y’
[式中、R11aは、2個の一般式(17)で示される構造単位と、4個以上(特に4〜8個)のフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基と、からなる2価の基;Y’は前記に同じである。]
で示される化合物と、
一般式(V−2):
Y’−R11b−Y’
[式中、R11bは、1個の一般式(17)で示される構造単位と、2個以上(特に2〜6個)のフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基と、からなる2価の基;Y’は前記に同じである。]
で示される化合物とを反応させて輪状の化合物を得る工程
を備える。
つまり、上記化合物(IV−1)と化合物(IV−2)との反応、又は化合物(V−1)と化合物(V−2)との反応により、輪状の化合物を得る。
化合物(IV−1)は、化合物(14)を包含し、化合物(IV−2)は、化合物(II)、化合物(6)、化合物(10)等を包含する。
このことから、化合物(IV−1)と化合物(IV−2)との反応、具体的には、例えば、以下の反応:
Figure 0006086387
(式中、R及びY’は前記に同じである。)
により輪状の化合物が得られる。
また、化合物(V−1)は、化合物(8)を包含し、化合物(V−2)は、化合物(I)、化合物(Ib)、化合物(5)、化合物(16)等を包含する。
このことから、化合物(V−1)と化合物(V−2)との反応、具体的には、例えば、以下の反応:
Figure 0006086387
(式中、R、R、X、Y及びnは前記に同じである。)
により輪状の化合物が得られる。
このように、シクロヘキサン環の角度を利用して明らかに略長方形又は略正三角形の形状の輪状の化合物を合成できないようないびつな形状の輪状の化合物が得られると考えられる組合せであっても採用できる。これにより、様々な環の数を有する環状化合物の合成が可能となる。
ここでは、上記の反応のみに限られず、様々な化合物(IV−1)と化合物(IV−2)の組合せ、化合物(V−1)と化合物(V−2)の組合せが採用し得る。
上記反応は、鈴木−宮浦カップリング反応を用いることが好ましい。つまり、化合物(IV−1)と化合物(IV−2)の片方の化合物の両末端をハロゲン原子、もう片方の化合物の両末端をボロン酸又はそのエステル基とすることが好ましい。また、化合物(V−1)と化合物(V−2)の片方の化合物の両末端をハロゲン原子、もう片方の化合物の両末端をボロン酸又はそのエステル基とすることが好ましい。
化合物(IV−2)の使用量は、化合物(IV−1)1モルに対して、0.01〜5.0モルが好ましく、0.05〜3.0モルがより好ましい。同様に、化合物(V−2)の使用量は、化合物(V−1)1モルに対して、0.01〜5.0モルが好ましく、0.05〜3.0モルがより好ましい。
ここでは、通常、パラジウム系触媒が用いられる。このパラジウム系触媒としては、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。これらのうち、Pd(OAc)(Acはアセチル基)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ビス(トリt−ブチルホスフィノ)パラジウム(0)等が好ましい。
上記パラジウム系触媒の使用量は、収率の観点から、原料の化合物(IV−1)又は化合物(V−1)1モルに対して、通常、0.0001〜1.0モルが好ましく、0.0005〜0.5モルがより好ましい。
また、必要に応じて、上記パラジウム系触媒の中心元素であるパラジウム原子に配位し得る、リン配位子を使用することができる。このリン配位子としては、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。これらのうち、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリ−イソプロピル−1,1’−ビフェニル(X−Phos)等が好ましい。
上記リン配位子を使用する場合、その使用量は、収率の観点から、原料の化合物(IV−1)又は化合物(V−1)1モルに対して、通常、0.001〜1.0モルが好ましく、0.01〜0.8モルがより好ましい。
上記パラジウム系触媒に加えて、塩基(ホウ素原子の活性化剤)を添加することが好ましい。この塩基は、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。好ましくは、水酸化ナトリウム、リン酸カリウム等である。この塩基(上記活性化剤)の使用量は、原料の化合物(IV−1)又は化合物(V−1)1モルに対して、通常、0.01〜10モルが好ましく、0.1〜5.0モルがより好ましい。
反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、上記反応式1〜3を用いる方法にて説明したものが挙げられる。これらのうち、本工程では、環状エーテル類(ジオキサン等)が好ましい。また、水を含む系としてもよい。
反応溶媒を使用する場合、原料の濃度は種々調整することが好ましいが、原料の濃度を高くしすぎないことが好ましい。例えば、化合物(14)と化合物(II)とを反応させる場合には、化合物(14)の濃度は、0.1〜5mmol/Lが好ましく、0.2〜3mol/Lがより好ましい。また、同様に、化合物(8)と化合物(5)とを反応させる場合には、化合物(8)の濃度は、0.1〜5mmol/Lが好ましく、0.2〜3mol/Lがより好ましい。
反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。
このようにして得られる輪状の化合物は、3〜4個の一般式(17):
Figure 0006086387
(式中、Rは前記に同じである。)
で示される構造単位と、
6〜9個のフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基と、
からなり、且つ、
一般式(17)で示される構造単位とフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基とを合計で10、11又は13個有する、輪状の化合物である。
<シクロヘキサン環のベンゼン化>
上記のようにして輪状の化合物を得た後、シクロヘキサン環部をベンゼン環に変換することにより、環状化合物が得られる。
その方法は、前記<反応式2>の化合物(11)から化合物(3)に変換する方法と同様にして実施することができる。
なお、環の数が10、11又は13個の輪状の化合物を用いてシクロヘキサン環部をベンゼン環に変換すれば、10、11又は13個の芳香族環が連なった環状化合物が得られる。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
薄層クロマトグラフィー(TLC)には、E. Merckシリカゲル60 F254プレコートプレート(0.25 mm厚)を用いた。クロマトグラムは、UVランプ(254 nm)を用いて分析した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(FCC)は、E. Merckシリカゲル60 F254(230〜400メッシュ)を用いて行った。分取薄層クロマトグラフィー(PTLC)には、Wakogel B5-Fシリカコートプレート(0.75 mm厚)を作製して用いた。リサイクル分取ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)には、JAI LC-9204型(分取カラムJAIGEL-1H/JAIGEL-2H、クロロホルム)を用いて行った。質量スペクトルは、Waters Micromass LCT Premier(エレクトロスプレーイオン化飛行時間質量スペクトル分析、ESI-TOFMS)、JEOL JMS700(高速原子衝撃質量分析装置、FAB-MS)Bruker Daltonics Ultraflex III TOF/TOF(MALDI-TOF-MS)を用いて得た。元素分析は、Yanako MT-6を用いて行った。融点は、MPA100型OptiMelt融点測定装置を用いて行った。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL GSX-270(1H 270MHz, 13C 67.5MHz)分光計、JEOL JNM-ECS400(1H 400MHz, 13C 100MHz)、JEOL JNM-ECA-600(1H 600MHz, 13C 150MHz)分光計を用いて、CDCl3又はDMSO-d6中で行った。1H NMRについての化学シフトは、テトラメチルシラン(δ0.00 ppm)、CHCl3(δ7.26 ppm)、又はCDCl2(δ5.32 ppm)と比較してppmで表した。13C NMRについての化学シフトは、CDCl3(δ77.0 ppm)と比較してppmで表した。
合成例1:化合物(5a)の製造
内容積1 Lの丸底フラスコに、塩化リチウム1.68 g(33 mmol)と、セリウム(III)トリクロリド・七水和物14.4 g(0.33 mol)とを入れ、このフラスコをオイルバスに浸し、真空下、90℃で、2時間加熱し乾燥させた。得られた反応剤混合物を粉末状に砕いた後、その粉末状の反応剤混合物を再びフラスコに入れた。更に、フラスコをオイルバスに浸し、真空下、90℃で、1時間加熱した。このフラスコに攪拌子を入れ、フラスコを再びオイルバスに浸し、攪拌しながら、真空下、150℃で、3時間加熱した。フラスコ内の内容物が冷めないうちに、アルゴンガスをフラスコ内に充填した。ここに乾燥テトラヒドロフラン(THF)200 mLを入れて懸濁させ、生じた懸濁液を、室温(約23℃、以下同様)で、8時間程度攪拌した。この懸濁液に、1,4-シクロヘキサンジオン1.68 g(15 mmol)のTHF溶液15 mLをキャニュラを用いて入れて、室温で、2時間攪拌した後、-78℃に冷却して、懸濁液Aを得た。
上記とは別の内容積1 Lの丸底フラスコに、1,4-ジブロモベンゼン10.7 g(45 mmol)及び乾燥THF90 mLを入れた。ここにn-ブチルリチウムのヘキサン溶液29.5 mL(1.57 M、45 mmol)を、-78℃の温度条件下で、徐々に滴下した(添加速度4.5 cm3/分)。滴下終了後、-78℃で、30分間、攪拌し、得られた溶液を、上記の懸濁液Aにキャニュラを用いて入れて、混合物を得た。
そして、この混合物を-78℃で、1時間攪拌した後、次いで、室温で2時間攪拌した。その後、混合物に飽和NH4Cl水溶液50 mLを加え、反応を停止させた。生成物をセライトでろ過し、得られたろ液をエバポレーターで濃縮した。そして、得られた残渣(濃縮物)に酢酸エチルを添加して粗生成物を抽出し、無水Na2SO4により乾燥を行い、酢酸エチル溶液を得た。その溶液をエバポレーターで濃縮し、残渣(濃縮物)をクロロホルムにより再結晶することで、白色固体物質5.32 gを得た。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR、13C NMR)及び質量分析によって、この白色固体物質を解析した結果、下記式(5a):
Figure 0006086387
で示される化合物であった。この化合物の収率は83%であった。
1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ1.71 (s, 2H), d 2.07 (s, 8H), 7.34 (d, J = 8.6 Hz, 4H), 7.47 (d, J = 8.6 Hz, 4H); 13C NMR (67.5 MHz, CDCl3) δ33.2 (CH2), 72.3 (4°), 121.5 (4°), 127.2 (CH), 131.6 (CH), 144.6 (4°); HRMS (FAB, negative) m/z calcd for C18H17Br2O2[M-H]: 422.9595, found 422.9576; mp : 177.7-178.7℃.
合成例2:化合物(5a)の水酸基のMOM保護の形成
攪拌子を入れた200 mL丸底フラスコに、上記の合成例1により得られた化合物(5a)4.69 g(11 mmol)と、乾燥ジクロロメタン(CH2Cl2)44 mLと、ジイソプロピルエチルアミン7.7 mL(44 mmol)とを入れて、フラスコを氷浴に浸した。そして、フラスコ内の混合物を0℃で30分間攪拌した後、クロロメチルメチルエーテル3.5 mL(46 mmol)を入れた。次いで、その混合物を、撹拌しながら、室温で18時間反応させた後に、飽和NH4Cl水溶液20 mLを加え、反応を停止させた。生成物をCH2Cl2(20 mL×3)で抽出し、抽出後の有機層を無水Na2SO4で乾燥し溶液を得た。その溶液をエバポレーターで濃縮し、残渣(濃縮物)をシリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2)で精製し、無色固体物質5.48 gを得た。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR、13C NMR)及び質量分析によって、この無色固体物質を解析した結果、下記式(5b):
Figure 0006086387
で示される化合物であった。この化合物の収率は97%であった。
1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ1.71 (s, 2H), 2.07 (s, 8H), 7.34 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.47 (d, J = 9 Hz, 4H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ33.0 (CH2), 56.2 (CH3), 77.9 (4°), 92.3 (CH2), 121.8 (4°), 128.7 (CH), 131.6 (CH), 141.6 (br, 4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C22H26Br2O4Na [M+Na]+: 535.0096, found 535.0103. mp : 107.1-108.9℃.
合成例3:化合物(6a)(1,4-Benzenediboronic acid neopentyl glycol ester)の製造
攪拌子を入れた50 mL丸底フラスコにp-フェニレンビスボロン酸(1,4-Benzenediylbisboranic acid)125 mg(0.75 mmol、1当量)、ネオペンチルグルコール250 mg(2.4 mmol、3当量)、p-トルエンスルホン酸50 mg及び乾燥ベンゼン(benzene)10 mLを収容した。その後、その混合物を、70℃で、12時間還流し反応させた。フラスコ内の混合物(反応物)を室温まで冷却した後に、目的の生成物をCH2Cl2で抽出した。抽出後の有機層を飽和NaHCO3水溶液で洗浄した後に、溶媒を減圧留去し、生成物226.9 mgを得た。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR)及び質量分析によって、この生成物を解析した結果、下記式(6a):
Figure 0006086387
に示される化合物であった。この化合物の収率は99%であった。
1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ 1.02 (s, 12H), 3.77 (s, 8H), 7.78 (s, 4H); LRMS (EI) m/z calcd for C16H24Br2O4[M]+: 302.1861, found 302.
合成例4:化合物(6b)(4,4'-Biphenyldiboronic acid neopentyl glycol ester)の製造
適当な原料化合物を用いて合成例3と同様にして化合物(6b):
Figure 0006086387
を得た。この化合物は市販されている。
合成例5:ボロン酸又はそのエステル基を有する化合物(6c)の製造
攪拌子を入れた20 mL丸底フラスコに、2,6-ジブロモナフタレン115.4 mg(0.40 mmol)、ビス(ネオペンチルグリコール)ジボロン273.3 mg(1.2 mmol)、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)10.3 mg(13μmol)、及び酢酸カリウム(KOAc)244.8 mg(2.5 mmol)を入れ、アルゴンガスをフラスコ内に充填した。そこに、乾燥ジメチルスルホキシド2 mLを導入し、混合物とした後に、混合物を撹拌しながら、80℃で21時間反応させた。次いで、フラスコ内の混合物(反応物)を室温に冷却し、混合物(反応液)をシリカゲルでろ過した。得られたろ液からエバポレーターで溶媒を減圧留去した後に、残渣(濃縮物)をヘキサンで再結晶し、白色固体物質47.8mgを得た。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR)及び質量分析によって、この白色固体物質を解析した結果、下記式(6c):
Figure 0006086387
で示される化合物であった。この化合物の収率は31%であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.06 (s, 12H), 3.83 (s, 8H), 7.83 (s, 4H), 8.33 (s, 2H). LRMS (EI) m/z calcd for C20H26B2O4[M]+: 352, found 352.
合成例6:化合物(7a−1)の製造(その1)
攪拌子を入れた200 mL丸底フラスコに、フッ化セシウム(Cesium fluoride)400 mg(2.6 mmol)、合成例2で得られた化合物(5b)2.07 g(4 mmol)、合成例3で得られた化合物(6a)151.2 mg(0.5 mmol)、及び[Pd(PPh3)4]30.1 mg(0.026 mmol)を入れ、アルゴンガスをフラスコ内に充填した。そこに、乾燥THF60 mLを導入し、混合物とした後に、この混合物を撹拌しながら、65℃で26時間反応させた。次いで、フラスコ内の混合物(反応液)を室温に冷却し、その混合物(反応液)をセライトでろ過した。得られたろ液からエバポレーターで溶媒を減圧留去した後に、残渣(濃縮物)をシリカゲルクロマトグラフィー(hexane/EtOAc)で精製し、白色固体物質319.9 mgを得た。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR、13C NMR)及び質量分析によって、この白色固体物質を解析した結果、下記式(7a−1):
Figure 0006086387
で示される化合物であった。この化合物の収率は68%であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.11 (brs, 8H), 2.30−2.40 (brm, 8H), 3.42 (s, 6H), 3.43 (s, 6H), 4.44 (s, 4H), 4.48 (s, 4H), 7.33 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.45 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.51 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.60 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.65 (s, 4H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 33.0 (CH2), 56.0 (CH3), 77.9 (4), 78.1 (4), 92.2 (CH2), 92.3 (CH2), 121.7 (4), 126.9 (CH), 127.4 (CH), 128.7 (4), 131.5 (CH), 139.5 (4), 139.8 (4); HRMS (FAB) m/z calcd for C50H56Br2O8Na [M+Na]+: 965.2240, found 965.2195; mp : 184.7-186.4℃.
合成例7:化合物(7a−2)の製造
攪拌子を入れた50 mL丸底フラスコにフッ化セシウム(Cesium fluoride)165 mg(1.1 mmol)、合成例2で得られた化合物(5b)521.3 mg(1 mmol)、上記の化合物(6b)75.5 mg(0.2 mmol)、及び[Pd(PPh3)4]6.8 mg(6μmol)を入れ、アルゴンガスをフラスコ内に充填した。そこに、乾燥THF60 mLを導入し、混合物とした後に、この混合物を撹拌しながら、65℃で26時間反応させた。次いで、フラスコ内の混合物(反応液)を室温に冷却し、混合物(反応液)をセライトでろ過した。得られたろ液をエバポレーターで溶媒を減圧留去した後に、残渣(濃縮物)をシリカゲルクロマトグラフィー(hexane/EtOAc)で精製し、白色固体物質126.5 mgを得た。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR、13C NMR)及び質量分析によって、この白色固体物質を解析した結果、下記式(7a−2):
Figure 0006086387
で示される化合物であった。この化合物の収率は62%であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.11 (brs, 8H), 2.34−2.37 (brm, 8H), 3.41 (s, 6H), 3.43 (s, 6H), 4.44 (s, 4H), 4.48 (s, 4H), 7.33 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.45 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.51 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.60 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.65 (s, 4H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 33.0 (CH2), 56.0 (CH3), 77.2 (4°), 77.9 (4°), 78.1 (4°), 92.2 (CH2), 92.3 (CH2), 121.7 (4), 126.9 (CH), 127.4 (CH), 128.7 (4°), 131.5 (CH), 139.5 (4°), 139.8 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C56H60Br2O8Na [M+Na]+: 1041.2553, found 1041.2532.
合成例8:化合物(7a−3)の製造(その1)
攪拌子を入れた50 mL丸底フラスコにフッ化セシウム80.2 mg(0.53 mmol)、合成例2で得られた化合物(5b)349.7 mg(0.68 mmol)、合成例5で得られた化合物(6c)32.0 mg(84μmol)、及び[Pd(PPh3)4]4.7 mg(4μmol)を入れ、アルゴンガスをフラスコ内に充填した。そこに、乾燥THF60 mLを導入し、混合物とした後に、この混合物を撹拌しながら、60℃で24時間反応させた。次いで、フラスコ内の混合物(反応液)を室温に冷却し、混合物(反応液)をセライトでろ過した。得られたろ液をエバポレーターで溶媒を減圧留去した後に、残渣(濃縮物)をシリカゲルクロマトグラフィー(hexane/EtOAc)で精製し、白色固体物質66.1 mgを得た。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR)及び質量分析によって、この白色固体物質を解析した結果、下記式(7a−3):
Figure 0006086387
で示される化合物であった。この化合物の収率は79%であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.13 (brs, 8H), 2.36 (brs, 8H), 3.42 (s, 6H), 3.44 (s, 6H), 4.44 (s, 4H), 4.50 (s, 4H), 7.33 (d, J = 8.3 Hz, 4H), 7.45 (d, J = 8.5 Hz, 4H), 7.54 (d, J = 8.3 Hz, 4H) 7.71 (d, J = 8.3 Hz, 4H), 7.74 (d, J = 8.6 Hz, 4H), 7.94 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 8.03 (s, 2H). LRMS (FAB) m/z calcd for C54H58Br2O8 [M]+: 994.2478, found 994.
合成例9:化合物(8a)(ボリル化反応物)の製造
攪拌子を入れた50 mL丸底フラスコに、合成例6、又は後述の合成例26で得られた化合物(7a−1)285.4 mg(0.30 mmol)、[Pd2(dba)3]6.0 mg(6.6μmol)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリ-イソプロピル-1,1'-ビフェニル(以下、「X−Phos」ともいう)13.3 mg(28μmol)、ビスピナコレートジボロン227.5 mg(0.9 mmol)、及び酢酸カリウム(KOAc)180.1 mg(1.8 mmol)を入れ、アルゴンガスをフラスコ内に充填した。そこに、乾燥ジオキサン(1,4-dioxane)15 mLを導入し、混合物とした。この混合物を撹拌しながら、90℃で5時間反応させた。フラスコ内の混合物(反応液)を室温に冷却し、混合物(反応液)をシリカゲルでろ過した。得られたろ液をエバポレーターで溶媒を減圧留去した後に、残渣(濃縮物)をゲル浸透クロマトグラフィー(クロロホルム)で精製し、白色固体物質271.7 mgを得た。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR、13C NMR)及び質量分析によって、この白色固体物質を解析した結果、下記式(8a):
Figure 0006086387
で示される化合物であった。この化合物の収率は87%であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.32 (s, 24H) 2.14 (brs, 8H), 2.36 (brs, 8H), 3.41 (s, 6H), 3.43 (s, 6H), 4.43 (s, 4H), 4.48 (s, 4H), 7.46 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.49 (d, J = 9 Hz, 2H), 7.45 (δ, J = 9 Hz, 4H), 7.51 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.60 (d, J = 8.5 Hz, 4H), 7.65 (s, 4H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 24.9 (CH3), 33.0 (CH2), 56.0 (CH3), 78.2 (4), 78.3 (4), 83.8 (4), 92.2 (CH2), 92.3 (CH2), 126.2 (4), 126.9 (CH), 127.4 (CH), 134.8 (4), 134.9 (CH), 139.5 (4), 139.7 (4); HRMS (FAB) m/z calcd for C62H80B2O12Na [M+Na]+: 1061.5753, found 1061.5719; mp : 225.1-226.6 ℃.
合成例10:化合物(8b)(ボリル化反応物)の製造
撹拌子を入れた50 mL丸型フラスコに、合成例7で得られた化合物(7a−2)137 mg(134μmol)、[Pd2(dba)3]2.8 mg(3.1μmol)、ビスピナコレートジボロン106 mg(419μmol)、及び酢酸カリウム(KOAc)75.7 mg(771μmol)を入れ、アルゴンガスをフラスコ内に充填した。そこに、乾燥ジオキサン(1,4-dioxane)5 mLを導入し、混合物とした。この混合物を撹拌しながら、90℃で5時間反応させた。フラスコ内の混合物(反応液)を室温に冷却し、混合物(反応液)をシリカゲルでろ過した(EtOAc)。得られたろ液をエバポレーターで溶媒を減圧留去した後に、残渣(濃縮物)をゲル浸透クロマトグラフィーで精製し、白色固体物質119 mgを得た。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR、13C NMR)及び質量分析によって、この白色固体物質を解析した結果、下記式(8b):
Figure 0006086387
で示される化合物であった。この化合物の収率は87%であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.32 (s, 24H) 2.15 (brs, 8H), 2.37 (brs, 8H), 3.41 (s, 6H), 3.44 (s, 6H), 4.43 (s, 4H), 4.49 (s, 4H), 7.47 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.50 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.60 (δ, J = 9 Hz, 4H), 7.70 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.60 (d, J = 8.5 Hz, 4H), 7.78 (d, J = 8 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ24.9 (CH3), 33.0 (CH2), 33.1 (CH2) 56.1 (CH3), 77.1 (4), 78.3 (4), 78.4 (4), 83.9 (4), 92.3 (CH2), 126.3 (CH), 127.0 (CH), 127.4 (CH), 127.5 (CH), 134.9 (CH), 139.6 (4), 139.7 (4), 139.8 (4); HRMS (FAB) m/z calcd for C56H60Br2O8Na [M+Na]+: 1041.2553, found 1041.2532.
合成例11:有機環14個の輪状の化合物(11a)の製造
攪拌子を入れた50 mL丸底フラスコに、合成例6で得られた化合物(7a−1)19.7 mg(21μmol)、合成例9で得られた化合物(8a)29.1 mg(28μmol)、[Pd(OAc)2]0.9 mg(4.0μmol)、及びX−Phos2.0 mg(4.2μmol)を入れ、アルゴンガスをフラスコ内に充填した。乾燥させた1,4-ジオキサン10 mLと、10 Mの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液18 mL(0.18 mmol)を導入し、混合物とした。この混合物を撹拌しながら、80℃で24時間反応させた。その後、フラスコ内の混合物(反応液)を室温に冷却し、混合物(反応液)をシリカゲルでろ過した。得られたろ液をエバポレーターで溶媒を減圧留去した後に、残渣(濃縮物)をシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl3/EtOAc=1/1)で精製し、白色固体物質を得た(14.6 mg)。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR)及び質量分析によって、この白色固体物質を解析した結果、下記式(11a):
Figure 0006086387
で示される、フェニレン基及びシクロヘキシレン誘導体基が14個連続的に結合してなる輪状の化合物であった。この輪状の化合物の収率は45%であった。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 2.18 (brs, 16H), 2.39 (brs, 16H), 3.42 (s, 12H), 3.43 (s, 12H), 4.46 (s, 8H), 4.48 (s, 8H), 7.57 (m, 40H). LRMS (FAB) m/z calcd for C100H112O16 [M]+: 1569.7984, found 1570.
合成例12:ベンゼン環14個を含むシクロパラフェニレンからなるカーボンナノリング(3a)の製造(その1)
攪拌子を入れた2 mLガラスバイアルに、合成例11により得られた輪状の化合物(11a)9.1 mg(5.0μmol)、0.1 Mのp-トルエンスルホン酸水溶液50μL(5.0μmol)、及び、乾燥m-キシレン1 mLを入れ、混合物とした。このバイアルをマイクロ波反応装置(Initiator Synthesis System, Biotage社製)に入れ、撹拌しながら、150℃で30分間反応させた。次いで、バイアル内の混合物(反応液)を室温に冷却し、混合物(反応液)をシリカゲルでろ過した。得られたろ液をエバポレーターで溶媒を減圧留去した後に、残渣(濃縮物)をシリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2/hexane)で精製し、白色固体物質を得た(1.1 mg)。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR)及び質量分析によって、この白色固体物質を解析した結果、下記式(3a):
Figure 0006086387
で示される、ベンゼン環14個からなる[14]シクロパラフェニレン(アモルファス)であった。そして、[14]シクロパラフェニレンの収率は20%であった。
1H NMR (600 MHz CDCl3) δ7.65 (s, 56H). MS (MALDI-TOF) m/z calcd for C84H56 [M]+: 1064.4382, found 1064.424.
合成例13:ベンゼン環14個を含むシクロパラフェニレンからなるカーボンナノリング(3a)の製造(その2)
撹拌子を入れた20 mLシュレンク管に、合成例11で得られた輪状の化合物(11a)7.9 mg(5.0μmol)、硫酸水素ナトリウム一水和物15.4 mg(11.3μmol)、乾燥m-キシレン1 mL、及び、乾燥させたジメチルスルホキシド(DMSO)1 mLを入れ、混合物とした。この混合物を撹拌しながら、150℃で48時間反応させた。次いで、シュレンク管内の混合物(反応液)を室温まで冷却し、混合物(反応液)をCHCl3で抽出した。抽出後の有機層をNa2SO4で乾燥した後に、減圧下、溶媒留去して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(CH2Cl2/hexane)で精製し、白色固体物質を得た(2.0 mg)。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR、13C NMR)及び質量分析)によって、この白色固体物質を解析した結果、上記式(3a)で示される、ベンゼン環14個からなる[14]シクロパラフェニレン(アモルファス)であった。この[14]シクロパラフェニレンの収率は37%であった。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.65 (s, 56H); 13C NMR (98.5 MHz, CDCl3) δ 127.4 (CH), 138.8 (4); HRMS (MALDI-TOF) m/z calcd for C84H56 [M]+: 1064.4382, found 1064.438.
合成例14:有機環15個の輪状化合物(11b)の製造
攪拌子を入れた50 mL丸底フラスコに、合成例7で得られた化合物(7a−2)20.0 mg(20μmol)、合成例9で得られた化合物(8a)285.4 mg(29μmol)、[Pd(OAc)2]1.0 mg(4.4μmol)、及びX−Phos2.2 mg(4.6μmol)を入れ、アルゴンガスをフラスコ内に充填した。乾燥1,4-ジオキサン20 mLと、10 MのNaOH水溶液19 mL(0.19 mmol)を導入し、混合物とした。この混合物を撹拌しながら、80℃で24時間反応させた。その後、フラスコ内の混合物(反応液)を室温に冷却し、混合物(反応液)をシリカゲルでろ過した。得られたろ液をエバポレーターで溶媒を減圧留去した後に、残渣(濃縮物)をシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl3/EtOAc=1/1)で精製し、白色固体物質を得た(10.4 mg)。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR)及び質量分析によって、この白色固体物質を解析した結果、下記式(11b):
Figure 0006086387
に示される、フェニレン基及びシクロヘキシレン誘導体基が15個連続的に結合してなる輪状の化合物であった。この輪状化合物の収率は32%であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.18 (brs, 16H), 2.39 (brs, 16H), 3.44 (m, 24H), 4.48 (m, 16H), 7.57 (m, 44H). HRMS (FAB) m/z calcd for C106H116O16[M]+: 1645.8297, found 1646.
合成例15:ベンゼン環15個を含むシクロパラフェニレンからなるカーボンナノリング(3b)の製造(その1)
攪拌子を入れた2 mLガラスバイアルに、合成例14で得られた輪状の化合物(11b)9.8 mg(6.0μmol)、0.1 Mのp-トルエンスルホン酸水溶液120μL(12μmol)、及び乾燥m-キシレン1 mLを入れ、混合物とした。この混合物を入れたバイアルを、上記合成例12と同様にマイクロ波反応装置に入れ、撹拌しながら、150℃で30分間反応させた。次いで、バイアル内の混合物(反応液)を室温に冷却し、混合物(反応液)をシリカゲルでろ過した。得られたろ液をエバポレーターで溶媒を減圧留去した後に、残渣(濃縮物)をシリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2/hexane)で精製し、白色固体物質を得た(0.5 mg)。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR)及び質量分析によって、この白色固体物質を解析した結果、下記式(3b):
Figure 0006086387
で示される、ベンゼン環15個からなる[15]シクロパラフェニレン(アモルファス)であった。この[15]シクロパラフェニレンの収率は7%であった。
1H NMR (400 MHz CDCl3) δ 7.67 (s, 60H). MS (MALDI-TOF) m/z calcd for C90H60 [M]+: 1140.4695, found 1140.513.
合成例16:ベンゼン環15個を含むシクロパラフェニレンからなるカーボンナノリング(3b)の製造(その2)
撹拌子を入れた20 mLシュレンク管に、合成例14で得られた輪状の化合物(11b)7.4 mg(4.5μmol)、硫酸水素ナトリウム一水和物14.7 mg(10.6μmol)、乾燥m-キシレン1 mL、及び、乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)1 mLを入れ、混合物とした。この混合物を撹拌しながら、150℃で48時間反応させた。次いで、シュレンク管内の混合物(反応液)を室温まで冷却し、混合物(反応液)をCHCl3で抽出した。抽出後の有機層をNa2SO4で乾燥した後に、減圧下、溶媒留去して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(CH2Cl2/hexane)で精製し、白色固体物質を得た(2.2 mg)。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR、13C NMR)及び質量分析によって、この白色固体物質を解析した結果、上記式(3b)で示される、ベンゼン環15個からなる[15]シクロパラフェニレン(アモルファス)であった。この[15]シクロパラフェニレンの収率は43%であった。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.67 (s, 60H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 127.3 (CH), 138.8 (4); HRMS (MALDI-TOF) m/z calcd for C90H60 [M]+: 1140.4695, found 1140.469.
合成例17:有機環16個の輪状化合物(11c)の製造
撹拌子を入れた50 mL丸型フラスコに、合成例7で得られた化合物(7a−2)42.8 mg(38.0μmol)、合成例10で得られた化合物(8b)26.7 mg(26.2μmol)[Pd(OAc)2]1.3 mg(5.7μmol)、及びX−Phos6.9 mg(14.4μmol)を入れ、アルゴンガスをフラスコ内に充填した。乾燥1,4-ジオキサン13.5 mLと、10 MのNaOH水溶液27.0μL(270μmol)を導入し、混合物とした後に、混合物を撹拌しながら、80℃で24時間反応させた。その後、フラスコ内の混合物(反応液)を室温まで冷却し、混合物(反応液)をシリカゲルでろ過した(EtOAc)。得られたろ液をエバポレーターで溶媒を減圧留去した後に、残渣(濃縮物)をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(CHCl3:EtOAc=1:1)で精製し、白色固体物質を得た(15.5 mg)。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR、13C NMR)及び質量分析によって、この白色固体物質を解析した結果、下記式(11c):
Figure 0006086387
で示される、フェニレン基及びシクロヘキシレン誘導体基が16個連続的に結合してなる輪状の化合物であった。この輪状化合物の収率は32%であった。
1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ 2.19 (brs, 16H), 2.40 (brs, 16H), 3.43 (s, 12H), 3.45 (s, 12H), 4.48 (s, 8H), 4.50 (s, 8H), 7.50−7.70 (m, 48H); 13C NMR (98.5 MHz, CDCl3) δ 33.1 (CH2), 56.1 (CH3), 78.2 (4), 92.3 (CH2), 126.9 (CH), 127.4 (CH), 127.5 (CH), 139.6 (CH), 139.8 (4); HRMS (FAB) m/z calcd for C112H120O16Na [M+Na]+: 1743.8474, found 1743.8496.
合成例18:ベンゼン環16個を含むシクロパラフェニレンからなるカーボンナノリング(3c)の製造
撹拌子を入れた20 mLシュレンク管に、合成例17で得られた輪状化合物(11c)12.5 mg(7.26μmol)、硫酸水素ナトリウム一水和物20.0 mg(145μmol)、乾燥m-キシレン1.2 mL、及び、乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)1.2 mLを入れ、混合物とした。この混合物を撹拌しながら、160℃で48時間反応させた。次いで、シュレンク管内の混合物(反応液)を室温まで冷却し、混合物(反応液)をCHCl3で抽出した。抽出後の有機層をNa2SO4で乾燥した後に、減圧下、溶媒留去して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(CH2Cl2/hexane)で精製し、白色固体物質を得た(2.5 mg)。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR、13C NMR)及び質量分析によって、この白色固体物質を解析した結果、下記式(3c):
Figure 0006086387
で示される、ベンゼン環16個からなる[16]シクロパラフェニレン(アモルファス)であった。この[16]シクロパラフェニレンの収率は28%であった。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.68 (s, 64H); 13C NMR (98.5 MHz, CDCl3) δ 127.3 (CH), 138.9 (4); HRMS (MALDI-TOF) m/z calcd for C96H64 [M]+: 1216.5008, found 121.
合成例19:ナフチレン環を含む有機環14個の輪状化合物(11d)の製造(その1)
攪拌子を入れた50 mL丸底フラスコに、合成例8で得られた化合物(7a−3)20.0 mg(20μmol)、合成例9で得られた化合物(8a)29.4 mg(28μmol)、[Pd(OAc)2]0.9 mg(4.0μmol)、及びX−Phos2.0 mg(4.2μmol)を入れ、アルゴンガスをフラスコ内に充填した。乾燥1,4-ジオキサン10 mLと、10 Mの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液10μL(0.10 mmol)を導入し、混合物とした後に、混合物を撹拌しながら、80℃で24時間反応させた。その後、フラスコ内の混合物(反応液)を室温に冷却し、混合物(反応液)をシリカゲルでろ過した。得られたろ液をエバポレーターで溶媒を減圧留去した後に、残渣(濃縮物)をシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl3/EtOAc=1/1)で精製し、白色固体物質を得た(4.0 mg)。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR)及び質量分析によって、この白色固体物質を解析した結果、下記式(11d):
Figure 0006086387
で示される、フェニレン基、ナフチレン基及びシクロヘキシレン基誘導体を含む有機環が14個連続的に結合してなる輪状化合物であった。この輪状化合物の収率は12%であった。
1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ 2.14 (brs, 16H), 2.38 (brs, 16H), 3.43 (m, 24H), 4.48 (m, 16H), 7.60 (m, 38H), 7.91 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 8.01 (s, 2H). LRMS (FAB) m/z calcd for C104H114O16[M]+: 1619.8140, found 1620.
合成例20:化合物(7a−3)の製造(その2)
攪拌子を入れた100 mL丸底フラスコに合成例2で得られた化合物(5b)を2.49 g(4.84 mmol)、合成例5で得られた化合物(6c)を190 mg(500μmol)、Pd(PPh3)4を15.0 mg(13.0μmol)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)を268 mg(2.53 mmol)、臭化テトラn-ブチルアンモニウム(n-Bu4NBr)を555 mg(499μmol)、乾燥THFを20 mL、アルゴンガスをバブリングした水を5 mL入れた。混合物を撹拌しながら、60℃で24時間反応させた。次いで、フラスコ内の混合物(反応液)を室温に冷却し、混合物(反応液)を減圧下でろ過した。残渣(濃縮物)をEtOAcで抽出し、Na2SO4で乾燥し、減圧下でろ過した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=8:1〜2:1)で精製し、白色固体物質359 mgを得た。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR及び13C NMR)及び質量分析によって、この白色固体物質を解析した結果、下記式(7a−3):
Figure 0006086387
で示される化合物であった。この化合物の収率は72%であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.12 (brs, 8H), 2.27-2.48 (brm, 8H), 3.42 (s, 6H), 3.44 (s, 6H), 4.44 (s, 4H), 4.50 (s, 4H), 7.33 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.45 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.55 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.70 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.75 (dd, J = 8 Hz, 1 Hz, 4H), 7.94 (d, J = 8 Hz, 2H), 8.04 (d, J = 1 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 33.0 (CH2), 56.1 (CH3), 77.2 (4°), 77.9 (4°), 78.1 (4°), 92.2 (CH2), 92.3 (CH2), 121.7 (4°), 126.9 (CH), 127.4 (CH), 128.7 (4°), 131.5 (CH), 139.5 (4°), 139.8 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C54H58Br2O8Na [M+Na]+: 1015.2396, found 1015.2394; mp: 193.6-194.4℃.
合成例21:ナフチレン環を含む有機環14個の輪状化合物(11d)の製造(その2)
攪拌子を入れた50 mLシュレンク管に、合成例20で得られた化合物(7a−3)を40.1 mg(40.3μmol)、合成例9で得られた化合物(8a)を50.2 mg(48.3μmol)、Pd2(dba)3を3.6 mg(3.9μmol)、X−Phosを3.7 mg(7.8μmol)、K3PO4を85.0 mg(400μmol)入れた。その後、フラスコを脱気し、アルゴンガスで3回充填した。このフラスコにアルゴンガスをバブリングした1,4-ジオキサン20 mL及びアルゴンをバブリングした水80μLをアルゴン気流下で添加した。80℃で24時間攪拌した後、シリカゲル層を通過させて溶媒を除去した(EtOAc)。その後、減圧下に減圧下に溶媒留去して粗生成物を得た。粗生成物をゲル浸透クロマトグラフィー及び分取薄層クロマトグラフィー(CHCl3/EtOAc=1:1)で精製し、白色固体物質22.6 mgを得た。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR及び13C NMR)及び質量分析によって、この白色固体物質を解析した結果、下記式(11d):
Figure 0006086387
で示される輪状化合物であった。この輪状化合物の収率は35%であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.80-2.66 (brm, 32H), 3.42 (s, 6H), 3.44 (s, 18H), 4.45 (s, 4H), 4.46 (s, 4H), 4.49 (s, 4H), 4.53 (s, 4H), 7.40-7.66 (m, 32H), 7.69 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.73 (d, J = 9 Hz, 2H), 7.92 (d, J = 9 Hz, 2H), 8.02 (s, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 33.0 (CH2), 55.9 (CH3), 56.1(CH3), 77.94 (4°), 78.00 (4°), 78.1 (4°), 78.2 (4°), 92.1 (CH2), 92.2 (CH2), 125.4 (CH), 125.8 (CH), 126.8 (CH), 127.2 (CH), 127.3 (CH), 128.3 (CH), 128.7 (CH), 137.9 (4°), 139.4 (4°) 139.5 (4°), 139.6 (4°) 139.7 (4°), 140.1 (4°) 141.6 (br, 4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C104H114O16Na [M+Na]+: 1641.8005, found 1641.8009; mp: 235.0-240.0℃(dec.).
合成例22:ナフチレン環を含む有機環14個からなるカーボンナノリング(3d)の製造
攪拌子及び冷却器を入れた20 mLシュレンク管に、合成例19又は21で得られた輪状化合物(11d)16.2 mg(10.0μmol)、硫酸水素ナトリウム一水和物(NaHSO4・H2O)27.2 mg(197μmol)、乾燥DMSO1 mL及びm-キシレン2.0 mLを入れた。空気雰囲気下で攪拌しながら混合物を150℃で24時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、シリカゲル層を通過させて溶媒を除去した(CHCl3)。その後、減圧下に溶媒留去して粗生成物を得た。粗生成物を薄層クロマトグラフィー(CH2Cl2/hexane)で精製し、淡黄色固体物質を得た(2.8 mg)。そして、核磁気共鳴分析(1H NMR及び13C NMR)及び質量分析によって、この淡黄色固体物質を解析した結果、下記式(3d):
Figure 0006086387
で示される、ナフチレン環を含む有機環14個からなるカーボンナノリングであった。このカーボンナノリングの収率は25%であった。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.657 (brs, 44H), 7.670 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.74 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.77 (d, J = 9 Hz, 2H), 7.87 (d, J = 9 Hz, 2H), 8.01 (s, 2H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 125.5 (CH), 125.7 (CH), 127.3 (CH), 127.4 (CH), 127.5 (CH), 127.6 (CH), 128.7 (CH), 133.1 (4°), 137.3 (4°), 138.7 (4°), 138.78 (4°), 138.82 (4°), 138.84 (4°), 138.9 (4°), 139.1 (4°); HRMS (MALDI-TOF) m/z calcd for C84H56 [M]+: 1114.4543, found 1114.4539.
合成例23:[9]シクロパラフェニレン及び[12]シクロパラフェニレンの製造
(1)輪状の化合物(12a)及び(12b−1)の製造
200 mLの攪拌機つきの、ガラスの丸底フラスコに、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0価)452 mg(1.64 mmol)、合成例2で得られた化合物(5b)423 mg(823μmol)、2,2'-ビピリジル257 mg(1.65 mmol)を収容した。ここに、THF166 mLをシリンジで添加した。次いで、混合物を還流下に24時間攪拌した。室温まで冷却した後、シリカゲル層を通過させ、EtOAc/CHCl3の混合溶媒で洗浄した。その後、減圧下に、溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)で精製し、下記式(12a):
Figure 0006086387
で表される環化四量体(68.1 mg)と、下記式(12b−1):
Figure 0006086387
で表される環化三量体(95.5 mg)を得た。収率は、それぞれ、環化四量体が23%、環化三量体が32%であった。これらの物質については、1H NMR及び13C NMRによって解析した。
環化四量体(12a):
1H NMR (400 MHz CDCl3) δ 2.16 (brs, 16H), 2.37 (brs, 16H), 3.42 (s, 16H), 4.45 (s, 16H), 7.50 (s, 32H).
環化三量体(12b−1):
1H NMR (600 MHz, 50 ℃, CDCl3) δ 2.07 (brs, 12H), 2.28-2.34 (m, 12H), 3.43 (s, 18H), 4.58 (s, 12H), 7.40 (d, J = 8 Hz, 12H), 7.46 (d, J = 8 Hz, 12H); 13C NMR (150 MHz, 50 ℃, CDCl3) δ 33.3 (CH2), 55.9 (CH3), 78.1 (4°), 92.4 (CH2), 126.8 (CH), 127.3 (CH), 139.4 (4°), 141.2 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C66H78NaO12[M・Na]+: 1085.5391, found: 1085.538; mp : 182.3-187.0℃.
(2)[9]シクロパラフェニレン(4b)の製造
20 mLの攪拌機及び冷却器つきシュレンク管に、上記式(12b−1)で表される環化三量体、又は後述の合成例30で得られた化合物(12b−1)26.6 mg(25μmol)、硫酸水素ナトリウム・一水和物69.1 mg(400μmol)、乾燥ジメチルスルホキシド1.5 mL及び乾燥m-キシレン5 mLを収容し、攪拌しながら150℃で48時間加熱した。室温まで冷却した後、混合物(反応液)をCHCl3で抽出した。抽出後、Na2SO4で乾燥した後に、減圧下、溶媒留去して粗生成物を得た。その後、TLC(CH2Cl2/ヘキサン)により、黄色固体4.2 mgを単離した。そして、1H NMR及び13C NMRによって、この物質を解析した結果、下記式(4b):
Figure 0006086387
で表される、9個のp−フェニレン基からなる[9]シクロパラフェニレン(アモルファス)であった。収率は24%であった。
[9]シクロパラフェニレン(アモルファス)と、THFとを反応容器に収容し、飽和溶液とした。次いで、この反応容器を開口した状態で、ペンタンの蒸気中に静置(10℃、24時間)することにより、[9]シクロパラフェニレンの結晶を得た。結晶のX線構造解析より、[9]シクロパラフェニレン結晶の輪の中に、THFが包接されていた。[9]シクロパラフェニレン結晶は、隣り合うものどうしで、5度〜45度の角度を維持しつつ、これらが規則的に配列しており、結晶の配列により、多数の輪からなる筒状を形成していた。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.52 (s, 36H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 127.3 (CH), 137.9 (4°); HRMS (MALDI-TOF) m/z calcd for C54H36[M・]+: 684.2817, found: 684.2834.
(3)[12]シクロパラフェニレン(4a)の製造
上記(1)で得られた化合物(12a)を、上記(2)と同様に処理して、下記式(4a):
Figure 0006086387
で表される、12個のp−フェニレン基からなる[12]シクロパラフェニレン([12]CPP)を得た。
1H NMR (400 MHz CDCl3) δ 7.61 (s, 48H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 127.33, 138.52.
合成例24:化合物(Ib−1)の製造
Figure 0006086387
攪拌子を入れた50 mlシュレンク管に、上記の合成例2により得られた化合物(5b)518 mg(1.0 mmol)、ビス(ピナコレート)ジボロン(bis(pinacolate)diboron)636 mg(2.5 mmol)、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリド−ジクロロメタン錯体(PdCl2(dppf)・CH2Cl2)23.2 mg(30μmol)、酢酸カリウム(KOAc)624 mg(6.35 mmol)、及び乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)20 mLを入れた。シュレンク管を攪拌しながら80℃で17時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却した後に、水でクエンチした。生成物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥し、減圧下に濃縮した。粗生成物をリサイクル分取ゲル浸透クロマトグラフィー(クロロホルム)で精製し、白色固体の目的化合物390 mgを得た(収率64%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ1.33 (s, 24H), 2.09 (br, 4H), 2.31 (br, 4H), 3.40 (s, 6H), 4.41 (s, 4H), 7.43 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.76 (d, J = 8 Hz, 4H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ24.9 (CH3), 32.9 (CH2), 56.0 (CH3), 78.3 (4°), 83.8 (4°), 92.2 (CH2), 126.2 (CH), 128.1 (4°), 134.8 (CH); HRMS (FAB) m/z calcd for C34H50B2NaO8[M・Na]+: 631.3584, found 631.3605.
なお、両末端臭素原子の化合物(5b)ではなく、両末端ヨウ素原子の化合物を用いて同様の条件(ただし、ビス(ピナコレート)ジボロンを2.7 mmol、PdCl2(dppf)・CH2Cl2を32μmol、KOAcを9.0 mmolとした)で同様の反応を行ったところ、収率を83%まで向上させることが可能であった。
合成例25:化合物(14−1)の製造
Figure 0006086387
攪拌子を入れた200 ml丸底ガラスフラスコに、上記の合成例2により得られた化合物(5b)5.58 g(10.9 mmol)、上記の合成例24により得られた化合物(Ib−1)608 mg(1.00 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)114 mg(98.2μmol)、炭酸銀(Ag2CO3)983 mg(3.57 mmol)及び乾燥THF100 mLを入れた。得られた混合物を撹拌しながら、還流下に38時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却した後に、水でクエンチした。生成物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥し、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=5/1〜1/1)で精製し、無色固体の目的化合物789 mgを得た(収率65%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ2.11(brs, 12H), 2.28-2.43 (m, 12H), 3.40 (s, 6H), 3.42 (s, 6H), 3.43 (s, 6H), 4.43 (s, 4H), 4.46 (s, 4H), 4.48 (s, 4H), 7.31 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.43 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.47-7.57 (m, 16H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ32.8 (CH2), 55.9 (CH3), 77.8 (4°), 77.9 (4°), 78.0 (4°), 92.0 (CH2), 92.1 (CH2), 121.5 (4°), 126.8 (CH), 126.8 (CH), 127.2 (CH), 128.6 (CH), 131.4 (CH), 139.4 (4°), 139.5 (4°), 141.5 (br, 4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C66H78Br2NaO12[M・Na]+: 1243.3752, found: 1243.3760.
なお、反応条件を60℃24時間とし、他は同様に行ったところ、収率は59%であった。
合成例26:化合物(7a−1)の製造(その2)
Figure 0006086387
攪拌子を入れた200 ml丸底フラスコに、フッ化セシウム(Cesium fluoride)400 mg(2.6 mmol)、合成例2で得られた化合物(5b)2.07 g(4 mmol)、化合物(6d)(1,4-ベンゼンジボロン酸ビス(ピナコール)エステル、1,4-benzenediboronic acid bis(pinacol) ester)151.2 mg(0.5 mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)30.1 mg(0.026 mmol)を入れ、アルゴンガスをフラスコ内に充填した。そこに、乾燥THF60 mlを導入し、混合物とした後に、この混合物を撹拌しながら、65℃で26時間反応させた。次いで、フラスコ内の混合物(反応液)を室温に冷却し、その混合物(反応液)をセライトでろ過した。得られたろ液からエバポレーターで溶媒を減圧留去した後に、残渣(濃縮物)をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)で精製し、白色固体の目的化合物319.9 mgを得た(収率68%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ2.11 (brs, 8H), 2.30−2.40 (brm, 8H), 3.42 (s, 6H), 3.43 (s, 6H), 4.44 (s, 4H), 4.48 (s, 4H), 7.33 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.45 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.51 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.60 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.65 (s, 4H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ33.0 (CH2), 56.0 (CH3), 77.9 (4°), 78.1 (4°), 92.2 (CH2), 92.3 (CH2), 121.7 (4°), 126.9 (CH), 127.4 (CH), 128.7 (4°), 131.5 (CH), 139.5 (4°), 139.8 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C50H56Br2O8Na [M+Na]+: 965.2240, found 965.2195; mp : 184.7-186.4℃.
合成例27:化合物(16a)の製造
Figure 0006086387
攪拌子を入れた100 mlフラスコに、合成例2で得られた化合物(5b)366 mg(712μmol)、化合物(6d)(1,4-ベンゼンジボロン酸ビス(ピナコール)エステル、1,4-benzenediboronic acid bis(pinacol) ester)1.99 g(6.03 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)70.6 mg(61.1μmol)、炭酸銀(Ag2CO3)284 mg(1.03 mmol)、及び乾燥THF30 mLを入れた。この混合物を撹拌しながら、65℃で24時間反応させ、混合物を水でクエンチした。生成物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥し、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ EtOAc = 10/1-5/1)で精製し、無色固体の目的化合物290 mgを得た(収率54%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ1.35 (s, 24H), 2.17 (br, 4H), 2.38 (br, 4H), 3.44 (s, 6H), 4.48 (s, 4H), 7.52 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.58 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.58 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.86 (d, J = 8 Hz, 4H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ24.9 (CH3), 33.1 (CH2), 56.0 (CH3), 78.2 (4°), 83.8 (4°), 92.3 (CH2), 126.3 (CH), 127.1 (CH), 127.3 (br, CH), 135.3 (CH), 140.1 (4°), 143.2 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C34H50B2NaO8 [M・Na]+: 783.4210, found 783.4240.
合成例28:化合物(21)の製造
Figure 0006086387
攪拌子を入れた100 mlフラスコに、合成例27で得られた化合物(16a)155 mg(204μmol)、合成例2で得られた化合物(5b)1.22 g(2.37 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)25.4 mg(22.0 mmol)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)107 mg(1.01 mmol)、乾燥トルエン12 mL、及び乾燥酢酸エチル(EtOAc)3 mLを入れた。この混合物を撹拌しながら、70℃で24時間反応させた。室温まで冷却後、混合物を減圧下に濃縮した。生成物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、Na2SO4で乾燥し、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ EtOAc = 6/1〜1/1)で精製し、無色固体の目的化合物239 mgを得た(収率44%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ2.10 (br, 12H), 2.27-2.49 (m, 12H), 3.41 (s, 6H), 3.43 (s, 6H), 3.45 (s, 6H), 4.43 (s, 4H), 4.47 (s, 4H), 4.50 (s, 4H), 7.32 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.44 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.50 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.54 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.59 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.60 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.64 (s, 8H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 33.0 (CH2), 56.0 (CH3), 77.9 (4°), 78.1 (4°), 78.2 (4°), 92.2 (CH2), 92.3 (CH2), 121.7 (4°), 126.9 (CH), 126.9 (CH), 127.4 (CH), 127.4 (CH), 128.7 (CH), 131.5 (CH), 139.4 (4°), 139.5 (4°), 139.7 (4°), 139.8 (4°), 141.6 (br, 4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C76H86Br2NaO8[M・Na]+: 1395.4378, found 1395.4364.
合成例29:化合物(15a)の製造
Figure 0006086387
攪拌子を入れた50 ml丸底ガラスフラスコに、上記の合成例9により得られた化合物(8a)102 mg(98.2μmol)、上記の合成例2により得られた化合物(5b)500 mg(972μmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)11.1 mg(9.60μmol)、炭酸銀(Ag3CO3)108 mg(355μmol)、及び乾燥THF10mLを入れた。その後、得られた混合物を撹拌しながら、60℃で19時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却した後に、水でクエンチした。その後、酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥し、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ EtOAc = 3/1〜2/3)で精製し、無色固体の目的化合物93.9 mgを得た(収率58%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ2.15 (br, 16H), 2.27-2.42 (m, 16H), 3.40 (s, 6H), 3.41 (s, 6H), 3.43 (s, 6H), 3.44 (s, 6H), 4.43 (s, 4H), 4.45 (s, 4H), 4.47 (s, 4H), 4.49 (s, 4H), 7.31 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.43 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.45-7.56 (m, 20H), 7.59 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.63 (s, 4H); HRMS (FAB) m/z calcd for C94H108Br2NaO16[M・Na]+: 1673.5896, found 1673.5862.
合成例30:輪状の化合物(12b−1)の製造(その2)
Figure 0006086387
攪拌子を入れた50 ml丸底ガラスフラスコに、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(Ni(cod)2)14.5 mg(52.7μmol)、上記の合成例25により得られた化合物(14−1)30.6 mg(25.0μmol)、及び2,2'-ビピリジル(2,2'-bipyridyl)7.82 mg(50.1μmol)を入れた。その後、乾燥THFを15.5 mL添加した。得られた混合物を撹拌しながら、還流下に24時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却した後に、シリカゲルでろ過し、酢酸エチル(EtOAc)で洗浄し、その後減圧下に溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ EtOAc)で精製し、無色固体の目的化合物12.2 mgを得た(収率46%)。
合成例31:輪状の化合物(20a−1)の製造(その1)
Figure 0006086387
攪拌子を入れた50 ml丸底ガラスフラスコに、上記の合成例2により得られた化合物(5b)21.0 mg(40.9μmol)、上記の合成例9により得られた化合物(8a)49.4 mg(47.6μmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(Pd2(dba)3)3.8 mg(8.0μmol)、リン酸カリウム(K3PO4)84.9 mg(405μmol)、1,4-ジオキサン20mL及び水80μLを入れた。その後、得られた混合物を撹拌しながら、80℃で24時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却した後に、シリカゲル層でろ過し、酢酸エチル(EtOAc)で洗浄し、その後減圧下に溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)、及び分取薄層クロマトグラフィー(CHCl3/EtOAc = 1/1)で精製し、無色固体の目的化合物9.3 mgを得た(収率20%)。
1H NMR (600 MHz, CD2Cl2, 35℃) δ 1.67 (s, 4H), 1.93-2.53 (m, 20H), 2.31 (br, 4H), 3.36 (s, 6H), 3.37 (s, 6H), 3.45 (s, 6H), 4.48 (s, 4H), 4.55 (s, 4H), 4.58 (s, 4H), 7.29 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.40-7.47 (m, 12H), 7.60 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.66 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.68 (s, 4H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3, 50℃) δ32.8 (CH2), 33.2 (CH2), 34.0 (CH2), 55.5 (CH3), 55.9 (CH3), 56.2 (CH3), 77.9 (4°), 78.3 (4°), 78.4 (4°), 92.2 (CH2), 92.3 (CH2), 92.6 (CH2), 126.6 (CH), 126.8 (CH), 126.8 (CH), 127.2 (CH), 127.3 (CH), 128.3 (CH), 139.3 (4°), 139.3 (4°), 139.5 (4°), 139.5 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C34H50B2NaO8 [M・Na]+: 631.3584, found 631.3605.
合成例32:化合物(20a−1)の製造(その2)
Figure 0006086387
攪拌子を入れた50 mlシュレンク管に、上記の合成例25により得られた化合物(14−1)29.5 mg(24.1μmol)、化合物(6d)(1,4-ベンゼンジボロン酸ビス(ピナコール)エステル、1,4-benzenediboronic acid bis(pinacol) ester)11.1 mg(33.6μmol)、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)2)2.15 mg(9.58μmol)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル(X-Phos)4.57 mg(9.59μmol)、10 M NaOH水溶液20.0 mL(200μmol)及び1,4-ジオキサン20mLを入れた。その後、得られた混合物を撹拌しながら、80℃で17時間反応させた。さらに水を添加し、酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥し、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)、及び分取薄層クロマトグラフィー(CHCl3/EtOAc = 1/1)で精製し、無色固体の目的化合物5.04 mgを得た(収率18%)。
1H NMR (600 MHz, CD2Cl2, 35℃) δ 1.67 (s, 4H), 1.93-2.53 (m, 20H), 2.31 (br, 4H), 3.36 (s, 6H), 3.37 (s, 6H), 3.45 (s, 6H), 4.48 (s, 4H), 4.55 (s, 4H), 4.58 (s, 4H), 7.29 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.40-7.47 (m, 12H), 7.60 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.66 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.68 (s, 4H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3, 50℃) δ32.8 (CH2), 33.2 (CH2), 34.0 (CH2), 55.5 (CH3), 55.9 (CH3), 56.2 (CH3), 77.9 (4°), 78.3 (4°), 78.4 (4°), 92.2 (CH2), 92.3 (CH2), 92.6 (CH2), 126.6 (CH), 126.8 (CH), 126.8 (CH), 127.2 (CH), 127.3 (CH), 128.3 (CH), 139.3 (4°), 139.3 (4°), 139.5 (4°), 139.5 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C34H50B2NaO8 [M・Na]+: 631.3584, found 631.3605.
合成例33:化合物(19a)の製造
Figure 0006086387
攪拌子を入れた20 ml J-Youngシュレンク管に、上記の合成例28により得られた化合物(21)70.0 mg(50.9μmol)、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(Ni(cod)2)48.2 mg(17.5μmol)、2,2'-ビピリジル(2,2'-bipyridyl)27.1 mg(17.3μmol)、及び乾燥1,4-ジオキサン2 mLを入れた。その後、得られた混合物を撹拌しながら、80℃で24時間反応させた。室温まで冷却後、混合物を減圧下に濃縮した。生成物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、Na2SO4で乾燥し、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/EtOAc = 2/1)で精製し、無色固体の目的化合物26.1 mgを得た(収率42%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3, 50℃) δ 1.86 (br, 4H), 2.08 (br, 4H), 2.21-2.47 (m, 16H), 3.39 (s, 6H), 3.44 (s, 6H), 3.44 (s, 6H), 4.52 (s, 4H), 4.54 (s, 4H), 4.62 (s, 4H), 7.35 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.42 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.44 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.54 (d, J = 8 Hz, 8H), 7.56-7.62 (m, 16H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3, 50℃) δ 32.8 (CH2), 33.4 (CH2), 33.7 (CH2), 55.7 (CH3), 55.8 (CH3), 56.2 (CH3), 77.9 (4), 78.0 (4), 78.3 (4), 92.2 (CH2), 92.4 (CH2), 92.5 (CH2), 126.8 (CH), 126.8 (CH), 126.8 (CH), 126.9 (CH), 127.2 (CH), 127.3 (CH), 127.5 (CH), 127.9 (CH), 139.2 (4°), 139.3 (4°), 139.4 (4°), 139.5 (4°), 139.6 (4°); HRMS (FAB) m/z calcd for C76H86NaO8 [M・Na]+: 1237.6011, found 1237.6014.
合成例34:化合物(18a)の製造
Figure 0006086387
攪拌子を入れた50 ml丸底ガラスフラスコに、上記の合成例29により得られた化合物(15a)41.3 mg(25.0μmol)、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(Ni(cod)2)13.8 mg(50.2μmol)、及び2,2'-ビピリジル(2,2'-bipyridyl)を入れた。乾燥THF12.5 mLを添加した後、得られた混合物を撹拌しながら、還流下に24時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却した後、シリカゲルでろ過し、酢酸エチル(EtOAc)で洗浄し、その後減圧下に溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)で精製し、無色固体の目的化合物19.0 mgを得た(収率51%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3, 50℃) δ 1.90-2.46 (m, 32H), 3.38 (s, 6H), 3.40 (s, 6H), 3.40 (s, 6H), 3.45 (s, 6H), 4.40 (s, 4H), 4.42 (s, 4H), 4.50 (s, 4H), 4.52 (s, 4H), 7.42 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.45-7.52 (m, 20H), 7.55 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.59 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.63 (s, 4H); HRMS (FAB) m/z calcd for C94H108NaO8[M・Na]+: 1515.7535, found 1515.7530.
合成例35:[10]シクロパラフェニレン(13a)の製造
Figure 0006086387
20 mLの攪拌機及び冷却器つきシュレンク管に、上記の合成例31又は32により得られた化合物(20a−1)9.3 mg(8.2μmol)、硫酸水素ナトリウム・一水和物(NaHSO4・H2O)28 mg(20μmol)、乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)1.5 mL及び乾燥m−キシレン(m-xylene)5 mLを入れ、攪拌しながら150℃で72時間加熱した。室温まで冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液でクエンチし、溶媒として酢酸エチル(EtOAc)を用いてセライトでろ過し、酢酸エチル(EtOAc)で抽出した。さらに、有機相をNa2SO4で乾燥した後に、減圧下に濃縮した。その後、TLC(ヘキサン/CH2Cl2=1/1)により、黄色固体の目的化合物1.5 mgを得た(収率24%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.56 (s, 40H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 127.4 (CH), 138.2 (4°); HRMS (MALDI) m/z calcd for C60H40 [M・]+: 760.3125, found: 760.3153.
合成例36:[11]シクロパラフェニレン(13b)の製造
Figure 0006086387
20 mLの攪拌機及び冷却器つきシュレンク管に、上記の合成例33により得られた化合物(19a)20.7 mg(17.0μmol)、硫酸水素ナトリウム・一水和物(NaHSO4・H2O)51.6 mg(37.4μmol)、o−クロラニル(o-chloranil)20.7 mg(84.2μmol)、乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)1.5 mL及び乾燥m−キシレン(m-xylene)4 mLを入れた。攪拌しながら150℃で48時間加熱した。室温まで冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液でクエンチし、溶媒として酢酸エチル(EtOAc)を用いてセライトでろ過した。生成物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出した。さらに、有機相をNa2SO4で乾燥した後に、減圧下に濃縮した。その後、TLC(ヘキサン/CH2Cl2=1/1)により、黄色固体の目的化合物4.6 mgを得た(収率32%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.58 (s, 44H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 127.3 (CH), 138.4 (4°); HRMS (MALDI) m/z calcd for C66H44 [M・]+: 836.3438, found: 836.3437。
合成例37:[13]シクロパラフェニレン(13c)の製造
Figure 0006086387
20 mLの攪拌機及び冷却器つきシュレンク管に、上記の合成例34により得られた化合物(18a)4.0 mg(2.7μmol)、硫酸水素ナトリウム・一水和物(NaHSO4・H2O)7.4 mg(54μmol)、o−クロラニル(o-chloranil)3.3 mg(13μmol)、乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)1.5 mL及び乾燥m−キシレン(m-xylene)4 mLを入れた。攪拌しながら150℃で48時間加熱した。室温まで冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液でクエンチし、溶媒として酢酸エチル(EtOAc)を用いてセライトでろ過した。生成物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥した後に、減圧下に濃縮した。その後、TLC(ヘキサン/CH2Cl2=1/1)により、黄色固体の目的化合物9.3 mgを得た(収率20%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.64 (s, 52H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 127.4 (CH), 138.7 (4°); HRMS (MALDI) m/z calcd for C78H52 [M・]+: 988.4064, found: 988.4086.
実施例1([12]シクロパラフェニレン→CNT)
サファイア単結晶基板(C面)上に、合成例23(3)で得られた[12]シクロパラフェニレン([12]CPP)(4a)のトルエン溶液(0.001wt%)をスピンコートにて塗布した。スピンコートの条件は、回転数が4000rpm、回転時間は60secであった。
作成した[12]CPPを塗布したサファイア単結晶基板を、石英製の反応管の端部に設置したのち、反応管内の真空引きを行った(最終到達圧力は0.01 torr程度(1.33 Pa程度))。続いて、反応管にエタノールを供給(圧力 7 torr(933.25Pa))するとともに、電気炉で中央部を500℃まで加熱した。温度とエタノールの供給量が安定するまで待ったのち、[12]CPPを塗布したサファイア基板を反応管の中央部へ素早く移動させて、化学気相成長(CVD)によるナノチューブの成長を開始した。反応開始から15分後、サファイア単結晶基板を500℃の反応管中央部から室温の端部へと移動させることで、ナノチューブの成長を終了させた。
カーボンナノチューブの生成及び構造は、透過型電子顕微鏡(transmission electron microscope; TEM)観察及びラマン分光法によって評価した。なお、透過型電子顕微鏡はJEOL社製 JEM-2100F/HRを用い、ラマン分光器はHoriba Jobin Yvon社製 LabRAM HR-800を用いた。
透過型電子顕微鏡の観察結果を図2及び図3に示す。これらの図より得られたCNTの直径を測定したところ、直径がほぼ均一なCNTが得られていることが確認された(図4)。図4より、原料の[12]シクロパラフェニレンに由来して、直径が1.5〜1.6nmのCNTが選択的に生成していることが確認された。
ラマン分光法によりCNTの物性を測定した。ラマン分光法では、励起に用いるレーザーの励起波長によって検出されるCNTが異なる。図5に、励起波長が488nm、514nm及び633nmのレーザーを用いてCNTを評価した結果を示す。合成したCNTの直径は1.6nm程度であり、励起波長が488nm及び514nmの場合には半導体性CNTが検出され、励起波長が633nmの場合には金属性CNTが検出された。図5より、励起波長に488および633nmを用いた場合にCNTに特有のラマンバンドが観測された。つまり、今回得られたCNTは半導体性及び金属性の両方の特性が混在している性質を有していることが確認された。
実施例2([9]シクロパラフェニレン→CNT)
サファイア単結晶基板(C面)上に、合成例23(2)で得られた[9]シクロパラフェニレン([9]CPP)(4b)のトルエン溶液(0.001wt%)を スピンコートにて塗布した。スピンコートの条件は、回転数が4000rpm、回転時間は60secであった。
作成した[9]CPPを塗布したサファイア単結晶基板を、石英製の反応管の端部に設置したのち、反応管内の真空引きを行った(最終到達圧力は 0.01 torr程度(1.33 Pa程度))。続いて、反応管にエタノールを供給(圧力 7 torr(933.25Pa))するとともに、電気炉で中央部を500℃まで加熱した。温度とエタノールの供給量が安定するまで待ったのち、[9]CPPを塗布したサファイア基板を反応管の中央部へ素早く移動させて、化学気相成長(CVD)によるナノチューブの成長を開始した。 反応開始から15分後、サファイア単結晶基板を500℃の反応管中央部から室温の端部へと移動させることで、ナノチューブの成長を終了させた。
カーボンナノチューブの生成およびその構造はラマン分光法によって評価した。なお、ラマン分光器はHoriba Jobin Yvon社製 LabRAM HR-800を用いた。
ラマン分光法によりCNTの物性を測定した。図6に、励起波長が488nm、514nm及び 633nmのレーザーを用いてCNTを評価した結果を示す。直径が1.0nmから1.2nm程度のCNTであり、励起波長が488nm及び 514nmの場合には半導体性CNTが検出され、励起波長が633nmの場合には金属性CNTが検出された。図6より、励起波長に488、 514、633nmを用いた場合にCNTに特有のラマンバンドが観測された。
実施例3([14]シクロパラフェニレン→CNT)
合成例12又は13で得られた[14]シクロパラフェニレン(3a)を実施例1と同様に処理したCNT。
実施例4([15]シクロパラフェニレン→CNT)
合成例15又は16で得られた[15]シクロパラフェニレン(3b)を実施例1と同様に処理したCNT。
実施例5([16]シクロパラフェニレン→CNT)
合成例18で得られた[16]シクロパラフェニレン(3c)を実施例1と同様に処理したCNT。
実施例6(1個のナフチレンを含む[14]シクロパラフェニレン→CNT)
合成例22で得られた化合物(3d)を実施例1と同様に処理したCNT。
実施例7([10]シクロパラフェニレン→CNT)
合成例35で得られた[10]シクロパラフェニレン(13a)を実施例1と同様に処理したCNT。
実施例8([11]シクロパラフェニレン→CNT)
合成例36で得られた[11]シクロパラフェニレン(13b)を実施例1と同様に処理したCNT。
実施例9([13]シクロパラフェニレン→CNT)
合成例37で得られた[13]シクロパラフェニレン(13c)を実施例1と同様に処理したCNT。

Claims (8)

  1. 複数の芳香族環が連結してなる環状化合物に炭素源を反応させることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法であって、前記反応が、触媒を使用することなく、気体状の炭素源を供給しながら、10−4〜10Paの圧力下で400〜1200℃で加熱処理して化学気相成長させる、製造方法。
  2. 前記複数の芳香族環が連結してなる環状化合物が、複数の2価の芳香族炭化水素基が連結してなる環状化合物(カーボンナノリング)である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記複数の2価の芳香族炭化水素基が連結してなる環状化合物(カーボンナノリング)が、シクロパラフェニレン化合物、又は当該シクロパラフェニレン化合物の少なくとも1個のフェニレン基が2価の縮合多環芳香族炭化水素基で置換された修飾シクロパラフェニレン化合物である、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記複数の2価の芳香族炭化水素基が連結してなる環状化合物(カーボンナノリング)が、一般式(1):
    Figure 0006086387
    (式中、aは6以上の整数を示す。)
    で表されるシクロパラフェニレン化合物、又は、当該一般式(1)で表されるシクロパラフェニレン化合物の少なくとも1個のフェニレン基が、一般式(2):
    Figure 0006086387
    (式中、bは1以上の整数を示す。)
    で表される基で置換された修飾シクロパラフェニレン化合物である、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記シクロパラフェニレン化合物が、一般式(1)におけるaが6〜100の整数である化合物である、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記複数の2価の芳香族炭化水素基が連結してなる環状化合物(カーボンナノリング)が、一般式(1)で表されるシクロパラフェニレン化合物である、請求項4又は5に記載の製造方法。
  7. 前記複数の2価の芳香族炭化水素基が連結してなる環状化合物(カーボンナノリング)が、一般式(3):
    Figure 0006086387
    (式中、Rは同じか又は異なり、それぞれフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基;Rは同じか又は異なり、それぞれフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基;mは同じか又は異なり、それぞれ0以上の整数;nは同じか又は異なり、それぞれ1以上の整数を示す。)
    で表される環状化合物、一般式(4):
    Figure 0006086387
    (式中、dは1以上の整数を示す。)
    で表される環状化合物、又は一般式(13):
    Figure 0006086387
    [式中、Rは同じか又は異なり、それぞれフェニレン基又は2価の縮合多環芳香族炭化水素基;lは10、11又は13である。]
    で示される環状化合物である、請求項2に記載の製造方法。
  8. 前記炭素源が、炭化水素化合物、アルコール化合物、エーテル化合物及びエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
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