(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る手摺装置取付補助具について図を用いて説明する。
図1は本発明の実施形態1に係る手摺装置取付補助具の斜視図である。図2は本発明の実施形態1に係る手摺装置取付補助具の構成を示す図であり、図2(a)は平面図であり、図2(b)は正面図であり、図2(c)は底面図である。図3は本発明の実施形態1に係る手摺装置取付補助具の動きについて説明する図である。
実施形態1に係る手摺装置取付補助具100は、例えば、階段またはスロープにおいて互いに所定の角度をなした第1壁面301と第2壁面302(後述の図4参照)とのそれぞれに手摺装置320(後述の図5参照)を取り付ける際に用いるものである。なお、手摺装置320は、壁面に直接取り付けられる手摺用ブラケット321と、この手摺用ブラケット321に取り付けられて壁面に対して固定される手摺棒324とを含む(後述の図5参照)。
図1および図2に示すように、実施形態1に係る手摺装置取付補助具100は、第1当接部110、第2当接部120および連結部130を備えている。第1当接部110は、連結部130に対して回動自在となるように連結されている。また、第2当接部120も、連結部130に対して回動自在となるように連結されている。
第1当接部110は、平板状の第1当接片111と平板状の第1連結片114とが互いに略垂直となるように一体的に形成された構成を有する。第1当接片111は第1連結片114に対して下方に伸びるように形成されている。
第1当接片111は第1壁面301に当接させられる第1当接面115を有する。第1当接面115は第1連結片114に対して略垂直である。第1当接片111において、第1連結片114が設置される側の端部に対向する側の端部は、第1壁面301に対して第1手摺取付基準位置306を形成するための第1手摺取付基準位置指示部113である。
第1当接片111と一体である第1連結片114が連結部130と連結されている。第1当接片111と連結部130とは、第1回転軸141を中心として回動自在に連結されている。第1回転軸141は第1当接面115に対して略垂直である。
手摺装置取付補助具100は切欠き部116を有している。この切欠き部116が形成されていることにより、第1当接部110が連結部130に対して回動した場合に、第1当接部110と連結部130とが干渉することが防止される。
第2当接部120は、第1当接部110と左右対称に形成されている。第1当接部110と第2当接部120とは左右一対をなすように構成されている。
第2当接部120は、平板状の第2当接片121と平板状の第2連結片124とが互いに略垂直となるように一体的に形成された構成を有する。第2当接片121は第2連結片124に対して下方に伸びるように形成されている。
第2当接片121は第2壁面302に当接させられる第2当接面125を有する。第2当接面125は第2連結片124に対して略垂直である。また、第2当接面125は第1当接面115に対して略垂直である。第2当接片121において、第2連結片124が設置される側の端部に対向する側の端部は、第2壁面302に対して第2手摺取付基準位置307を形成するための第2手摺取付基準位置指示部123である。
第2当接片121と一体である第2連結片124が連結部130と連結されている。第2連結片124と連結部130とは、第2回転軸142を中心として回動自在に連結されている。第2回転軸142は第2当接面125に対して略垂直である。
手摺装置取付補助具100は切欠き部126を有している。この切欠き部126が形成されていることから、第2当接部120が連結部130に対して回動した場合に、第2当接部120と連結部130とが干渉することが防止される。
連結部130は、第1当接固定片131、第2当接固定片132および固定連結片133を備えている。第1当接固定片131、第2当接固定片132および固定連結片133はそれぞれ平板状であり、これらが一体的に形成されて連結部130が構成されている。第1当接固定片131および第2当接固定片132は、固定連結片133の下方に伸びるように形成されている。第1当接固定片131および固定連結片133は、互いに略垂直となるように配置され、第2当接固定片132および固定連結片133も互いに略垂直となるように配置されている。また、第1当接固定片131および第2当接固定片132も互いに略垂直となるように配置されている。
固定連結片133は、第1当接部110の第1連結片114および第2当接部120の第2連結片124のそれぞれと回動自在に連結されている。なお、上述したように、第1当接部110は第1回転軸141を中心軸として回動し、第2当接部120は第2回転軸142を中心軸として回動する。また、第1回転軸141を延長した線と、第2回転軸142を延長した線とは、略垂直に交わる。
第1当接固定片131は、第1当接面115と略平行で同一平面上にあり、第1壁面301に当接されて固定される第1固定面136を有している。第1固定面136は第1当接面115と略平行であることから、第1回転軸141に対して略垂直である。
また、第2当接固定片132は第2当接面125と略平行で同一平面上にあり、第2壁面302に当接されて固定される第2固定面137を有している。第2固定面137は第2当接面125と略平行であることから、第2回転軸142に対して略垂直である。なお、第1固定面136と第2固定面137とは、略垂直である。
図3は本発明の実施形態1に係る手摺装置取付補助具の動きについて説明する図である。上述したように、連結部130は、第1当接部110および第2当接部120のそれぞれに対して回動自在である。具体的には、図3に示すように、第1当接部110は連結部130に対して第1回転軸141を中心軸として回動する。また、第2当接部120は連結部130第2回転軸142を中心軸として回動する。
次に、手摺装置取付補助具100を使って手摺装置320を第1壁面301および第2壁面302に取り付ける方法について、図を用いて説明する。図4は、本発明の実施形態1に係る手摺装置取付補助具を用いた取付基準位置の形成方法について説明するための図である。図5は手摺用ブラケットおよび手摺棒の構成について説明するための図である。図6は本発明の実施形態1に係る手摺装置取付補助具と手摺装置との関係を説明するための図である。
例えば、図4に示すように、互いに略直交している第1壁面301および第2壁面302に手摺装置320を取り付ける方法について説明する。図5に示すように、手摺装置320は、手摺用ブラケット321と手摺棒324とを含む。なお、図5において右側の図は手摺装置320の正面図であり、左側の図は手摺装置320の側面図である。
図5に示すように、手摺用ブラケット321には、壁面308への設置位置の位置合わせを行うために、壁面308に形成された取付基準位置と合わせるためのブラケット取付位置指示部323である切欠きが形成されている。また、手摺用ブラケット321はネジ322により308に取り付けられて固定される。さらに、手摺用ブラケット321に手摺棒324がネジ等により設置固定される。このように、手摺棒324は手摺用ブラケット321に支持されて壁面308に固定される。
ここで、用いられる手摺棒324および手摺用ブラケット321の寸法に応じて、手摺装置取付補助具100の寸法の一部が決定される。手摺装置取付補助具100の第1当接片111および第2当接片121の縦方向の長さL1が、手摺棒324が手摺用ブラケット321に固定された状態でのブラケット取付位置指示部323の切欠きから手摺棒324の中心位置までの距離と等しい。
また、手摺装置取付補助具100の第1連結片114および第2連結片124の横方向の長さW1が、壁面308に手摺装置320を取り付けた際に壁面308から手摺棒324の中心位置までの距離に等しい。本実施形態で用いた手摺装置320によると、長さL1は66mmとし、長さW1は55mmとした。なお、手摺棒324および手摺用ブラケット321が、本実施形態で用いたものとは異なる場合は、手摺装置取付補助具100の上記箇所の寸法をそれらの寸法に合わせればよい。
手摺装置取付補助具100を用いることにより、作業者は第1壁面301および第2壁面302にブラケット取付位置指示部323を合わすべき第1手摺取付基準位置306および第2手摺取付基準位置307を容易に形成することができる。
手摺装置取付補助具100を用いて、第1手摺取付基準位置306および第2手摺取付基準位置307を容易に形成する方法について説明する。まず、第2壁面302に、第2壁面302に接した階段の傾斜に応じて第2壁面手摺棒中心基準位置305を形成する。第2壁面手摺棒中心基準位置305とは、第2壁面302において好ましい位置に取り付けた後の手摺棒324を、第2壁面302に対して垂直方向から第2壁面302に投影した場合に、手摺棒324の中心位置となる個所を結んだ線である。具体的には、各階段の所定箇所から設定高さ位置の点同士を結ぶことで線を形成する。なお、設定高さは、例えば750mmとすればよい。
第2壁面手摺棒中心基準位置305に手摺装置取付補助具100の第2当接部手摺棒中心基準部122を沿わすとともに、第1固定面136を第1壁面301に当接させ、第2固定面137を第2壁面302に当接させる。これにより、第1当接固定片131および第2当接固定片132の境界である角が、第1壁面301と第2壁面302の境界の角である入隅部303に位置することになる。この状態で連結部130は固定して、第1回転軸141が第1壁面301と交わる個所に第1壁面手摺棒中心基準点310を形成する。なお、第2当接部手摺棒中心基準部122は、第2連結片124の第2壁面302側に接する辺である。
また、第2壁面手摺棒中心基準位置305に第2当接部手摺棒中心基準部122を沿わした状態で、第2壁面302において第2手摺取付基準位置指示部123に沿った位置に点を形成しておく。この点を通り、第2壁面手摺棒中心基準位置305に平行な線を形成することで、第2手摺取付基準位置307が形成される。
次に、第1壁面手摺棒中心基準位置304を形成する。第1壁面手摺棒中心基準位置304とは、第1壁面301において好ましい位置に取り付けた後の手摺棒324を、第1壁面301に対して垂直方向から第1壁面301に投影した場合に、手摺棒324の中心位置となる個所を結んだ線である。まず、第1壁面301において、第1壁面301に形成した第1壁面手摺棒中心基準点310を通り、かつ、各階段の所定箇所から設定高さ位置の点を結ぶ線を形成することにより、第1壁面手摺棒中心基準位置304を形成する。
そして、第1壁面手摺棒中心基準位置304に第1当接部手摺棒中心基準部112を沿わすとともに、第1固定面136を第1壁面301に当接させ、第2固定面137を第2壁面302に当接させる。この状態で、第1壁面301において第1手摺取付基準位置指示部113に沿った位置に点を形成しておく。この点を通り、第1壁面手摺棒中心基準位置304に平行な線を形成することで、第1手摺取付基準位置306が形成される。なお、第1当接部手摺棒中心基準部112は、第1連結片114の第1壁面301に接している辺である。
図6は、本発明の実施形態1に係る手摺装置取付補助具を用いて壁面に取り付けられた手摺装置の構成を示す図である。図6に示すように、第1壁面301に形成された第1手摺取付基準位置306および、第2壁面302に形成された第2手摺取付基準位置307に、ブラケット取付位置指示部323を合わせるようにして各手摺用ブラケット321を第1壁面301および第2壁面302に設置する。そして、ネジ322により各手摺用ブラケット321を第1壁面301および第2壁面302に取り付けて固定する。さらに、第1壁面301および第2壁面302に取り付けられた各手摺用ブラケット321上に手摺棒324を載せてネジにより取り付けて固定する。このようにして、第1壁面301および第2壁面302にそれぞれ取り付けられた各手摺棒324の中心軸は、入隅部303付近においてほぼ交わるように配置されることになる。そこで、これら手摺棒324の端部を連結する連結金具325を容易に取り付けることができる。手摺棒324の端部に連結金具325を取り付けることにより、手摺棒324は外観的にも好ましい。
ここで、図6においては、手摺装置取付補助具100の各位置と手摺装置320との位置関係がわかるように、破線で手摺装置取付補助具100も記載している。第1連結片114において第1壁面301と対向する辺、および、第2連結片124において第2壁面302と対向する辺が、それぞれ手摺棒324の中心軸に沿っている。第1連結片114において第1壁面301と対向する辺と、第2連結片124において第2壁面302と対向する辺とは、手摺装置取付補助具100において交わるように構成されていることから、手摺装置取付補助具100を用いて形成した、第1手摺取付基準位置306および第2手摺取付基準位置307を基準にして取り付けられた手摺装置320の各手摺棒324の中心位置は交わるように配置される。
ここで、第1壁面301および第2壁面302に取り付けられた手摺用ブラケット321に手摺棒324を取り付ける際に、その取付位置によっては、手摺棒324同士が干渉してしまったり、各手摺棒324の端部が離れすぎてしまったりして、連結金具325を取り付けることができないということがある。
そこで、手摺棒324を手摺用ブラケット321の好ましい位置に取り付ける方法について、図を用いて説明する。図7は、本発明の実施形態1に係る手摺棒位置調整補助具の斜視図である。図8は、本発明の実施形態1に係る手摺棒位置調整補助具を用いた作業工程を示す工程図であり、図8(a)〜図8(c)は各工程を示す図である。
図7に示すように、手摺棒位置調整補助具327は、手摺用ブラケット321とパイプ326とを有している。ここで、この手摺用ブラケット321は、最終的には壁面に取り付けて手摺装置320の一部となる。パイプ326はその外径が手摺装置320の一部となる手摺棒324の外径と同じである。また、パイプ326の長さは特に制限はないが、150mm程度である。パイプ326が手摺用ブラケット321にネジ止めされることで、手摺棒位置調整補助具327が構成される。
手摺棒位置調整補助具327の使用方法について説明する。図示はしていないが、第1壁面301および第2壁面302には第1手摺取付基準位置306および第2手摺取付基準位置307を形成しておく。そして、図8(a)に示すように、第1手摺取付基準位置306および第2手摺取付基準位置307を基準として第2壁面302の適当な位置に手摺用ブラケット321を取り付ける。そして、手摺棒位置調整補助具327の手摺用ブラケット321を、第1手摺取付基準位置306に合わせながら第1壁面301の適当な位置に粘着シート等により仮固定する。また、第2壁面302に取り付ける手摺棒324を適当な長さに切断し、その端部に連結金具325を取り付け、手摺用ブラケット321の適当な位置に粘着シート等により仮固定する。仮固定であることから、手摺棒位置調整補助具327および手摺棒324の位置は、変更可能である。これらの位置を変更しながら、これらが好ましい位置に配置されるように位置調整を行う。好ましい位置とは、パイプ326の端部と手摺棒324の端部が連結金具325により連結される位置である。
このような位置に手摺棒位置調整補助具327および手摺棒324を位置決めできたなら、図8(b)に示すように、手摺棒324を手摺用ブラケット321に対してネジ328により固定する。また、手摺棒位置調整補助具327の手摺用ブラケット321をネジ322により第1壁面301に固定する。
そして、図8(c)に示すように、手摺棒位置調整補助具327において手摺用ブラケット321にネジ止めされているパイプ326を、手摺用ブラケット321から取り外す。残った手摺用ブラケット321は、第1壁面301に取り付けられる手摺棒324を支持するために使用する。このようにして、第2壁面302において手摺棒324を好ましい位置に取り付けることができる。
また、第1壁面301については、上記手摺棒位置調整補助具327の一部であった手摺用ブラケット321に加えて、適当な位置に新たに手摺用ブラケット321を設置して、適当な長さに切断した手摺棒324を連結金具325に挿入するとともに手摺用ブラケット321に取り付ければよい。
なお、第2壁面302に対向するように、第1壁面301に連続して他の壁面が存在する場合は(例えば、折り返し階段のような場合)、第1壁面301に取り付ける手摺棒324の長さの調整が困難であるが、手摺棒位置調整補助具327を用いることにより、容易に手摺棒324を好ましい長さに切断することができる。
つまり、手摺棒位置調整補助具327を上記他の壁面に固定することにより、手摺棒位置調整補助具327のパイプ326が上記他の壁面に取り付けられた手摺棒324の位置と想定できる。このため、第2壁面302に取り付けられた手摺棒324と、上記他の壁面に取り付けられる手摺棒324のそれぞれに連結可能な手摺棒324の長さが容易にわかる。このようにして、第1壁面301に取り付ける手摺棒324を、容易に好ましい長さに切断することができる。
以上、本発明の実施形態1について説明した。実施形態1に係る手摺装置取付補助具100および手摺棒位置調整補助具327を用いることにより、熟練者以外の者であっても容易に手摺装置320を壁面に取り付けることができる。そのため、取付作業に係る時間も短く、効率よく作業を行うことができる。
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る手摺装置取付補助具について図を用いて説明する。なお、実施形態1で説明した部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、説明を省略する。図9は本発明の実施形態2に係る手摺装置取付補助具の構成を示す平面図である。図10は本発明の実施形態2に係る手摺装置取付補助具の形状を決めるための作図方法について説明するための図である。
実施形態2に係る手摺装置取付補助具200は、例えば、階段またはスロープにおいて互いに所定の角度をなした第1壁面301と第2壁面302(図4参照)とのそれぞれに手摺装置320(図5参照)を取り付ける際に用いるものである。
図9に示すように、実施形態2に係る手摺装置取付補助具200は、略平行四辺形状の平板である。手摺装置取付補助具200は、直線状の屈曲部202において折れ曲がることが可能である。手摺装置取付補助具200は、屈曲部202を境界として互いに接する第1部材210および第2部材220を備えている。なお、屈曲部202は手摺装置取付補助具200の上方の長辺の中点を通り、当該長辺に対して垂直な線に沿っている。
図9に示した手摺装置取付補助具200において、右上の頂点は第1部材手摺棒中心基準点211であり、右下の頂点は第1手摺取付基準位置指示点212であり、左上の頂点は第2部材手摺棒中心基準点221であり、左下の頂点は第2手摺取付基準位置指示点222である。
図10は、本発明の実施形態2に係る手摺装置取付補助具の形状を決めるための作図方法について説明するための図である。図10を用いて、手摺装置取付補助具200の形状を作図により作成する方法について説明する。
なお、実施形態2に係る手摺装置取付補助具200は、図5に示した手摺用ブラケット321および手摺棒324を壁面に取り付けるためのものとしている。したがって、図10に示されている寸法はこれらの手摺用ブラケット321および手摺棒324に対応している。異なる寸法の手摺用ブラケット321および手摺棒324を用いる場合は、その寸法と合った寸法とすればよい。
まず、手摺装置取付補助具200において、上方の長辺に当る線231を形成する。この線231の長さは、壁面308に手摺装置320を取り付けた際に壁面308から手摺棒324の中心位置までの距離の2倍に等しく(図5参照)、110mmである。なお、上述したように、線231の中点を通り垂直の線の形成位置が屈曲部202に当る。
線231の一方の端点である点236を通り、線231の延長線に対して15度の角度を有する線232を形成する。そしてこの線232から所定距離だけ離れた線233を形成する。同様にして、線231の延長線に対する線232の角度を15度から55度まで変更しながら、複数の線を形成する。なお、この所定距離は、手摺棒324が手摺用ブラケット321に固定された状態でのブラケット取付位置指示部323の切欠きから手摺棒324の中心位置までの距離と等しく、66mmである。
このようにして、複数の線233を形成した場合に、複数の線233が集中している領域240の略中心付近に点238を形成する。なお、線233の形成数は特に決まっているわけでなく、より多く形成することで、領域240を認識しやすいので好ましい。領域240を認識できればよく、線233を一定数以上形成すると、それ以上線233の数を増やしてもあまり意味はない。点238と点236とを結ぶ線を形成することで、手摺装置取付補助具200の一方の短辺に相当する辺が形成される。
また、線231の他方の端点である点237についても、同様に、点237を通り、線231の延長線に対して15度から50度の角度を有する複数の線234を形成する。そしてこの線234から所定距離(66mm)だけ離れた複数の線235を形成する。複数の線235が集中している領域241の略中心付近に点239を形成する。点239と点238を結ぶことで、手摺装置取付補助具200の下方の長辺に相当する辺が形成される。点239と点237を結ぶことで、手摺装置取付補助具200の他方の短辺に相当する辺が形成される。手摺装置取付補助具200はこのようにして作図された平行四辺形と同様の形状を有する平板である。なお、このようにして作図された平行四辺形において、好ましくは、鋭角の角度が57.5度〜58度である。また、鈍角の角度は、180度から鋭角の角度を引いたものであり、好ましくは122度〜122.5度である。ただし、角度がこの範囲以外であっても、上述の作図方法により作成されていればよい。また、上述したように、手摺用ブラケット321や手摺棒324が変更された場合は、それらの寸法によりこの角度も変化することがある。
手摺装置取付補助具200を用いることにより、作業者は第1壁面301および第2壁面302にブラケット取付位置指示部323を合わすべき第1手摺取付基準位置306および第2手摺取付基準位置307を容易に形成することができる。
図を参照しながら、手摺装置取付補助具200を用いて、第1手摺取付基準位置306および第2手摺取付基準位置307を容易に形成する方法について説明する。図11は本発明の実施形態2に係る手摺装置取付補助具を用いた取付基準位置の第1の形成方法について説明するための図である。
まず、第2壁面302に、第2壁面302に接した階段の傾斜に応じて第2壁面手摺棒中心基準位置305を形成する。なお、第2壁面手摺棒中心基準位置305は階段からH1の高さとした。なお、H1は例えば750mmとすればよい。図11に示すように、第2壁面手摺棒中心基準位置305に手摺装置取付補助具200の第2部材手摺棒中心基準点221が重なるようにするとともに、手摺装置取付補助具200を屈曲部202で屈曲させて第2部材220が第2壁面302に、第1部材210が第1壁面301に当接するようにする。つまり、手摺装置取付補助具200が、第1壁面301、入隅部303および第2壁面302に沿うようにする。
この状態で、第2壁面302において第2手摺取付基準位置指示点222の位置に点を形成しておく。この点を通り、第2壁面手摺棒中心基準位置305に平行な線を形成することで、第2手摺取付基準位置307が形成される。
また、第1壁面301において第1部材手摺棒中心基準点211の位置が第1壁面手摺棒中心基準点310である。この第1壁面手摺棒中心基準点310を通り、かつ、第1壁面301に接する各階段の所定箇所からH1の高さの点を結ぶ線を形成することにより、第1壁面手摺棒中心基準位置304が形成される。
また、第1壁面301において第1手摺取付基準位置指示点212の位置に点を形成し、この点を通り、第1壁面手摺棒中心基準位置304に平行な線を形成することで、第1手摺取付基準位置306が形成される。
このように、第1手摺取付基準位置306および第2手摺取付基準位置307が形成されれば、実施形態1と同様にして手摺用ブラケット321を第1壁面301および第2壁面302に取り付け、さらに、手摺用ブラケット321に手摺棒324を取り付ければよい。また、手摺棒324の位置の調整についても、実施形態1と同様にすればよい。これら、手摺用ブラケット321および手摺棒324の取付方法、手摺棒324の位置の調整については、実施形態1で説明しているので、ここでは説明を省略する。
この手摺装置取付補助具200を用いて、直交する2つの壁面に実際に手摺棒を取り付ける作業を行い、手摺棒同士を連結金具により連結して、その施工状態を評価した結果について説明する。この評価は、BL規格を用いた。一方の壁面において手摺棒の傾斜角度を15度とし、他方の壁面において手摺棒の傾斜角度を15度、35度、50度の3種類に変化させて取り付け作業を行ったところ、いずれにおいてもBL規格の基準を満たした。また、一方の壁面において手摺棒の傾斜角度を35度とし、他方の壁面において手摺棒の傾斜角度を15度、35度、50度の3種類に変化させて取り付け作業を行ったところ、いずれにおいてもBL規格の基準を満たした。一方の壁面において手摺棒の傾斜角度を50度とし、他方の壁面において手摺棒の傾斜角度を15度、35度、50度の3種類に変化させて取り付け作業を行ったところ、いずれにおいてもBL規格の基準を満たした。
手摺装置取付補助具200は、互いに所定の角度をなした第1壁面301と第2壁面302とのそれぞれに手摺装置320を取り付ける場合だけでなく、同じ壁面において異なる傾斜角度となるように手摺装置320を取り付ける場合にも用いることができる。この方法について、図を用いて説明する。図12は本発明の実施形態2に係る手摺装置取付補助具を用いた取付基準位置の第2の形成方法について説明するための図である。
図11で示した第2壁面302において、途中で階段の傾斜が変化していて、下方では上方に比べて傾斜が急になっていることとする。上述したように、第2壁面302に、第2壁面手摺棒中心基準位置305および第2手摺取付基準位置307を形成する。その後、第2壁面手摺棒中心基準位置305の角度を変化させる箇所、すなわち、階段の傾斜が変化する箇所に対する第2壁面手摺棒中心基準位置305上の手摺棒中心始点に、手摺装置取付補助具200の第1部材手摺棒中心基準点211を合わせるとともに、手摺装置取付補助具200を第2壁面302に当接させる。
この場合は、手摺装置取付補助具200を屈曲させることなく、平面状のまま第2壁面302に当接させる。手摺装置取付補助具200を第2壁面302に当接させたままで、第1部材手摺棒中心基準点211の位置を変化させることなく、第1部材手摺棒中心基準点211を中心として、手摺装置取付補助具200を回転させることにより、図12に示すように、第1手摺取付基準位置指示点212が第2手摺取付基準位置307上に配置されるようにし、その際の第2壁面302における第1手摺取付基準位置指示点212の位置に手摺取付始点を形成する。
第2壁面302において、第2壁面302に形成した手摺棒中心始点を通り、かつ、傾斜が急な各階段の所定箇所からH1の高さの点を結ぶ線を形成することにより、急な傾斜を有する別の第2壁面手摺棒中心基準位置315を形成する。そして、手摺取付始点を通り、別の第2壁面手摺棒中心基準位置315に平行な線を形成することにより、急な傾斜を有する別の第2手摺取付基準位置317を形成する。
このようにして第2壁面302に形成された別の第2手摺取付基準位置307についても、上述したのと同様にして、手摺用ブラケット321を第2壁面302に取り付け、さらに、手摺用ブラケット321に手摺棒324を取り付ければよい。さらに、隣接する手摺棒324のそれぞれの端部に連結金具を取り付けて、手摺棒324同士を連結すればよい。
図を用いて、互いに垂直に接して入隅部303を形成する第1壁面301および第2壁面302に手摺装置320を取り付ける作業工程の一例を示す。図13は本発明の実施形態2に係る手摺装置取付補助具を用いた手摺装置の取付工程の一例について説明するための工程図であり、図13(a)〜図13(d)は各工程を示す図である。なお、第2壁面302に接する階段は途中で傾斜角度が変化する。
まず、図13(a)に示すように、第1壁面301および第2壁面302において、階段の所定箇所から設定高さであるH1の高さ位置の箇所に印をつける。この各印を基準として、上述したように手摺装置取付補助具200を用いて基準となる各線を形成する。
図13(b)に示すように、第1壁面手摺棒中心基準位置304、第2壁面手摺棒中心基準位置305、別の第2壁面手摺棒中心基準位置315、第1手摺取付基準位置306、第2手摺取付基準位置307および別の第2手摺取付基準位置317を形成する。
図13(c)に示すように、第1手摺取付基準位置306、第2手摺取付基準位置307および別の第2手摺取付基準位置317により位置決めをして、手摺用ブラケット321を第1壁面301および第2壁面302に取り付ける。
図13(d)に示すように、手摺棒324を、長さを調整しながら手摺用ブラケット321に取り付ける。このようにして、手摺装置320を第1壁面301および第2壁面302に取り付けることができる。
図11〜図13を用いて、手摺装置取付補助具200の使用方法について説明したが、これらは階段が昇りながら右に曲がっている場合(以下、右廻りという)の使用方法である。階段が昇りながら左に曲がっている場合(以下、左廻りという)は、手摺装置取付補助具200を裏返して、右廻りの場合と同様にして使用すればよい。すなわち、右廻りの場合は手摺装置取付補助具200の上辺が下辺よりも左寄りの状態として使用していたが、左廻りの場合は手摺装置取付補助具200の上辺が下辺よりも右寄りの状態として使用すればよい。作業手順は、右廻りの場合と同様とすればよい。
以上、本発明の実施形態2について説明した。実施形態2に係る手摺装置取付補助具200等を用いることにより、熟練者以外の者であっても容易に手摺装置320を壁面に取り付けることができる。そのため、取付作業に係る時間も短く、効率よく作業を行うことができる。
以上、手摺装置取付補助具100を用いて第1壁面301および第2壁面302に手摺装置320を取り付ける方法および手摺装置取付補助具200を用いて第1壁面301および第2壁面302に手摺装置320を取り付ける方法について説明した。これらの方法により、手摺用ブラケット321を容易に短時間で壁面の好ましい位置に取り付けることができる。それにより、手摺装置320の取付作業を、容易に、短時間で行うことができる。また、これらの方法により、取り付けられた手摺棒324の外観は好ましい状態である。
なお、実施形態1、2では、階段と接する壁面に取り付ける手摺装置320について説明したが、階段に限らず傾斜を有しているスロープに接する壁面でも同じである。
手摺装置取付補助具100および手摺装置取付補助具200の材質は、ある程度の耐久性を有するものであればよく、樹脂や紙等を用いればよい。また、各部材の厚みは、軽量化の観点からは薄い方が好ましい。しかし、あまり薄すぎると強度が低下する。これらの点に留意して、適宜好ましい材質と好ましい厚さとなるように調整すればよい。