JP6085357B1 - 水性着色剤の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】分散性及び着色性が従来のリキッドタイプのものと同等であり、作業性や利便性にも優れた固形状の水性着色剤、あるいは微細化した粉末状の水性着色剤を簡便かつ効率的に得られる製造方法を提供する。【解決手段】顔料、分散剤、水溶性高分子及び水性媒体の混合物を、顔料濃度40〜72質量%、前記水性媒体の含有量3〜50質量%で混練し、前記顔料の粒径10μm以上の凝集粒子を含まない水性着色剤を得る、水性着色剤の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、水性媒体への分散性に優れた固形状の水性着色剤の製造方法に関する。
一般に、水性塗料や水性インキ、抄紙用内添着色剤、コンクリート等の建材等の水性着色分野では、リキッドタイプの水性着色剤が用いられている。このリキッドタイプの水性着色剤は、顔料、分散剤及びその他助剤を水性媒体に溶解・分散させた状態のものである。顔料粒子は二次凝集しているため、粉末のまま水性媒体に添加して用いる場合には、分散加工を施さなければ、分散性や着色性等において安定した性能が得られない。このため、顔料分散体の状態であるリキッドタイプの製品が好適に用いられている。
リキッドタイプの水性着色剤は、例えば、有機顔料やカーボンブラックの場合、顔料濃度は、通常、高々30質量%程度であり、質量の半分以上の60質量%程度は水である。実質的な着色有効成分である顔料の含有量の割に、水性着色剤の質量及び体積が大きいため、固形物と比較して輸送重量が大きくなり、液体輸送としての配慮も必要であり、輸送や梱包のコストも高くなる。
また、リキッドタイプの水性着色剤は、一般に、顔料濃度を高濃度にすると粘度が上昇し、作業性や利便性が低下するだけでなく、高粘度になることによって、リキッドタイプの水性着色剤の一般的な製造機であるサンドグラインダーミルタイプの分散機での製造が困難となる。
さらに、リキッドタイプの水性着色剤は、多量の水性媒体中に分散剤を含むため、起泡しやすく、消泡剤も添加する必要がある。しかしながら、消泡剤の効果は限定的であり、一方で塗料等に用いた際にオイルスポット等のトラブルの原因にもなることから多量に添加することはできない。このため、リキッドタイプの着色剤に用いる分散剤には、起泡性の高いものは使用できない場合が多い。さらにまた、含水分によって腐りやすいため、防腐剤、防菌・防黴剤等も添加しなければならない。
また、水性着色剤の添加使用に伴って、顔料濃度以上の質量の水等の水性媒体を添加しなければならず、このようなリキッドタイプの水性着色剤由来の多量の水性媒体の添加は、好ましくないとされる場合も多い。
このような観点から、リキッドタイプと同等の分散性や着色性等を示し、より水性媒体の含有量が少ない固形状の水性着色剤が求められている。
これに対しては、例えば、特許文献1に、顔料と水溶性樹脂とを2本ロールにより混練し、固形チップとすることが記載されている。
また、特許文献2には、有機顔料、樹脂及び分散剤のニーダーによる混練物に希釈安定化を施して有機顔料分散体を製造することが記載されている。
一方、特許文献3には、微細化された顔料を安定して得る方法として、ソルトミリング法を用いた方法が記載されている。
また、特許文献4には、顔料懸濁液を噴霧乾燥や液体の機械的分離によって、顔料顆粒とすることが記載されている。
特開2000−80299号公報 特開2004−18759号公報 特開2010−106260号公報 特開平5−184901号公報
しかしながら、上記特許文献1の記載においては、混練は2本ロールによる方法に限定されており、しかも、得られた固形チップは、その後、水性媒体中でのディゾルバーやホモジナイザー等の分散機による湿式分散が必要であり、固形チップ自体は、水性媒体への拡散性や分散性が十分とは言えないものである。
また、上記特許文献2における有機顔料分散体は、主としてインクジェットインクの調製用であり、希釈固形分を85〜50%としたペースト状である。
一方、上記特許文献3に開示されているようなソルトミリング法は、二次粒子を解砕するものではなく、一次粒子を磨砕し、超微粒子化するものである。そして、微細化後、無機塩を除去するために、ろ過及び洗浄する工程を要するものであり、このため、微細化された有機顔料は、顔料水ペーストとして得られるものである。
また、上記特許文献4に記載の方法は、一旦リキッドタイプの水性着色剤を作製するものであり、起泡性の高い分散剤は使用困難であり、また、別途、機械的な乾燥手段を要するため、工程が煩雑である。
本発明は、このような状況の下でなされたものであり、分散性及び着色性が従来のリキッドタイプのものと同等であり、作業性や利便性にも優れた固形状の水性着色剤、あるいは微細化した粉末状の水性着色剤を簡便かつ効率的に得られる製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、顔料、分散剤及び水溶性高分子を混練機で混練することにより、分散性及び着色性に優れた、固形状、さらには、粉末状の水性着色剤を得られる製造方法である。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[7]を提供する。
[1]顔料、分散剤、水溶性高分子及び水性媒体の混合物を、顔料濃度40〜72質量%、前記水性媒体の含有量3〜50質量%で混練し、前記顔料の粒径10μm以上の凝集粒子を含まない水性着色剤を得る、水性着色剤の製造方法。
[2]前記混練時に加熱して、混練物を乾燥させ、前記水性媒体の含有量が3質量%以下である粒径1〜10cmの塊状の水性着色剤を得る、上記[1]に記載の水性着色剤の製造方法。
[3]前記塊状の水性着色剤を粉砕し、少なくとも80質量%以上が粒径0.1〜3mmである粉末状の水性着色剤を得る、上記[2]に記載の水性着色剤の製造方法。
[4]前記水溶性高分子が、ポリエチレングリコールである、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の水性着色剤の製造方法。
[5]前記分散剤が、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、及びβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の群のうちから選ばれる少なくともいずれか1種である、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の水性着色剤の製造方法。
[6]前記混練が、ニーダー、エクストルーダー及びロールミルのうちのいずれかを用いて行われる、上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の水性着色剤の製造方法。
[7]前記顔料が有機顔料である、上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の水性着色剤の製造方法。
本発明の製造方法によれば、分散性及び着色性が従来のリキッドタイプのものと同等であり、しかも、リキッドタイプのものよりも作業性や利便性に優れた固形状の水性着色剤、あるいは微細化した粉末状の水性着色剤を簡便かつ効率的に低コストで得ることができる。また、本発明の製造方法によれば、水の使用量を少なくすることができるため、発泡が抑制され、本発明の水性着色剤においては、起泡性の高い分散剤の使用も可能となる。
さらに、本発明の水性着色剤は、水性塗料や水性インキ、抄紙用内添着色剤、コンクリート等の建材等の従来のリキッドタイプのものが用いられていた水性着色分野はもちろん、それ以外にも、運搬や使用上、水性媒体の含有量が少ない状態であることが求められる用途においても、優れた分散性及び着色性を発揮し得るという利点も有している。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の水性着色剤の製造方法は、顔料、分散剤、水溶性高分子及び水性媒体の混合物を、顔料濃度40〜72質量%、前記水性媒体の含有量3〜50質量%で混練し、前記顔料の粒径10μm以上の凝集粒子を含まない水性着色剤を得るものである。
本発明の製造方法により得られる水性着色剤は、固形状であるが、従来のリキッドタイプの水性着色剤中の顔料粒子と同等の粒径分布を有しており、分散性及び着色性も同等である。しかも、リキッドタイプのものよりも作業性や利便性に優れており、さらに、微細化した粉末状として得ることもできる。また、本発明の製造方法によれば、水性着色剤を簡便かつ効率的に量産可能であり、低コストで得ることができるという利点も有している。
なお、本発明の水性着色剤は、塊状や粉末状の固形物のまま添加使用することができることはもちろん、従来のリキッドタイプのように水性媒体に溶解・分散させた状態とした後、添加使用してもよい。
(顔料)
顔料は、着色成分であり、本発明の水性着色剤においては、有機顔料、無機顔料を問わず用いることができる。混練性の観点から、粉末状のものが好適に用いられる。これらは、1種単独で用いても、複数種を併用してもよい。
無機顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、黄鉛、紺青、群青、雲母、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、複合酸化物系等が挙げられる。
有機顔料の具体例としては、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、ペリノン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサジン系、チオインジゴ系、アントラキノン系、キノフタロン系、金属錯体系、ジケトピロロピロール系等が挙げられる。
また、本発明で言う顔料には、充填剤や添加剤と称される固形物のものも含むものとする。具体例としては、シリカ、ポリシロキサン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化亜鉛、粘土系増粘剤、ガラス繊維、炭素繊維、有機樹脂ビーズ等が挙げられる。
混練する混合物中、顔料濃度は40〜72質量%とする。好ましくは52〜71質量%である。顔料濃度が40質量%未満では、リキッドタイプの水性着色剤に比べて高濃度の水性着色剤を得る優位性がなく、十分な着色性を有する固形状の水性着色剤を得ることが難しい。一方、顔料濃度が72質量%を超えると、顔料が多すぎて、分散剤及び水溶性高分子の十分な作用が得られず、顔料の解砕及び分散安定化が困難となる。
(分散剤)
混練によって解砕された顔料の表面が、分散剤で被覆されることにより、顔料粒子の水性媒体中での凝集や沈降を防止する効果が得られ、顔料粒子の安定化が図られる。これにより、水性着色剤使用時の着色性も向上させることができる。
分散剤としては、顔料分散のための公知の分散剤を用いることができる。これらは、上記のような分散剤としての効果を損なわない限り、1種単独で用いても、複数種を併用してもよい。なお、本発明で言う分散剤には、後述する水溶性高分子に相当する高分子分散剤は含まないものとする。
本発明の水性着色剤は、混練により得られるため、リキッドタイプの水性着色剤の製造において液状での分散混合には適さない起泡性の高い分散剤であっても、好適に適用することができる。
分散剤としては、アニオン性分散剤、非イオン性分散剤、カチオン性分散剤又は両性分散剤を用いることができる。
アニオン性分散剤の具体例としては、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリール硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(塩)、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル塩等が挙げられる。
非イオン性分散剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、脂肪酸ジエタノールジアミド、ソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコール類、アセチレングリコール類等が挙げられる。
カチオン性分散剤の具体例としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性分散剤の具体例としては、アルキルベタイン、アミンオキサイド等が挙げられる。
これらのうち、アルキルアリールスルホン酸塩であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、又はナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(塩)であるβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩が好ましい。特に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムは、起泡性が高く、リキッドタイプの水性着色剤においては使用困難であるが、顔料に対する濡れ性が良好であり、本発明の水性着色剤においては好適に用いることができる。
前記分散剤は、混練する混合物中の顔料100質量部に対して5〜80質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜50質量部である。上記範囲内の配合量であれば、顔料の分散安定化を図ることができ、該水性着色剤の着色性が良好となる。
(水溶性高分子)
顔料に分散剤を添加したのみでは、粘性を有するまとまりのある混合物が得られず、混練時に顔料を解砕するためのせん断性が十分に付与されない。これに対して、水溶性高分子は、混練時の結着剤としての役割を担い、前記せん断性の向上に寄与する。また、水性着色剤に適用するものであることから、水溶性である必要がある。これらは、1種単独で用いても、複数種を併用してもよい。
水溶性高分子の具体例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。これらのうち、ポリエチレングリコール又はポリビニルピロリドンが好ましく、中でも、取り扱い性、水溶性等の観点から、重量平均分子量が1000〜20000のポリエチレングリコールがより好ましく、さらに好ましくは4000〜20000のポリエチレングリコールである。
水溶性高分子は、混練する混合物中の顔料100質量部に対して3〜80質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜30質量部である。上記範囲内の配合量であれば、適度な粘度で、顔料を解砕するための適度なせん断性が得られる。
(水性媒体)
混練する混合物が、水溶性高分子により適度な粘性を発現するようにする観点から、該混合物は、水性媒体を含むものとする。
水性媒体としては、水又は水溶性有機溶剤を用いることができる。これらは、1種単独で用いても、複数種を併用してもよい。
水溶性有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコール等が挙げられる。
水性媒体は、入手容易性、作業性、安全性、コスト等の観点から、水が好ましい。
水性媒体の含有量は3〜50質量%とする。好ましくは3〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%である。前記含有量が3質量%未満では、粘性を有するまとまりのある混合物が得られない。一方、前記含有量が50質量%を超えると、粘度が低すぎて、顔料に十分なせん断力が与えられず、顔料の解砕が不十分となる。また、水性媒体が多すぎると、混練時に起泡が生じ、より多くの混練エネルギーが必要となるのみならず、製造機から混合物が溢れ出るおそれがある。また、後工程での加熱において、時間やエネルギーがより多く必要となり、生産効率が低下し、さらに発泡を助長させるおそれがある。
なお、水性媒体は、分散剤が水性媒体に溶解・分散された液状である場合、顔料、分散剤又は水溶性高分子に由来するものも含む。これらの成分に由来する水性媒体で十分に混練可能な粘性が得られる場合には、水性媒体は、別途添加する必要はない。
(その他の添加剤)
本発明の水性着色剤は、固形状であるため、製造過程において、リキッドタイプの水性着色剤の製造の際に通常添加される、消泡剤や防腐剤、防菌・防黴剤等の添加剤を添加する必要はないが、該水性着色剤の使用用途に応じて、使用時の分散性や着色性を妨げない範囲において、これらの添加剤、さらに、pH調整剤や粘度調整剤を適宜添加してもよい。
(混練)
上記のような成分を含む混合物を混練することにより、顔料の二次粒子が一次粒子に解砕される。そして、解砕された顔料粒子の表面が分散剤で被覆された状態となることによって、一次粒子同士の凝集が抑制され、該水性着色剤は使用時に良好な分散性を発揮する。
混練は、混練機を用いて行われる。混練機としては、例えば、ニーダー、エクストルーダー、ロールミル、各種ミキサー等を用いることができる。これらのうち、顔料の二次粒子を解砕し、混合物を均一に混練する観点から、ニーダー、加圧ニーダー、エクストルーダー又はロールミルが好適に用いられる。効率やコストの点から、少量製造の場合にはバッチ式のニーダー又は加圧ニーダーが好ましく、量産する場合には連続式のエクストルーダーが好ましい。
なお、混練時に摩擦やせん断による発熱を生じる場合があるが、均一な混練に支障がない限り、温度調整をする必要はない。水性媒体の著しい揮発等により均一な混練に支障がある場合や作業上の危険のおそれがある場合等は、必要に応じて適宜冷却してもよい。また、混合物の粘度調整の観点から、必要に応じて、適宜加熱してもよい。
(乾燥)
混練時に、前記混合物がある程度均一な状態となった後、加熱して、混練物を乾燥させてもよい。乾燥機は、特に限定されものではなく、加熱する装置を備えていればよい。加熱装置を備えた混練機であれば、混練後、混練機から混練物を取り出すことなく、すぐに乾燥を行うことができるため好ましい。また、加熱時間及び加熱温度を抑える観点から、減圧乾燥してもよい。
乾燥によって得られる混練物中の水性媒体の含有量は、水性着色剤の使用用途に応じて適宜設定されるが、水性媒体の含有量の低下に伴って、前記混練物は、混練機内で複数の塊状に分かれる。粒径が、好ましくは1〜10cm、より好ましくは1〜3cmの塊状であれば、製品の取り扱いや品質管理が容易である。そのためには、前記水性媒体の含有量は3質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以下である。
その際の加熱温度は、混合物の配合組成、特に水性媒体の種類にもよるが、水性媒体の沸点よりも高い温度であることが好ましい。ただし、引火点がある有機溶剤を用いる場合は、それよりも低い温度とし、また、分散剤及び水溶性高分子が熱分解しない温度とする必要がある。また、顔料の種類によっては、熱による変退色を生じるため注意を要する。
(粉砕)
上記のようにして乾燥して得られた塊状の水性着色剤は、水性着色剤の使用用途に応じて、さらに粉砕して、粉末状としてもよい。この粉末は、取り扱い性等の観点から、少なくとも80質量%以上が粒径0.1〜3mmであることが好ましい。
粉砕は、顔料の粉砕に通常用いられる公知の粉砕機を用いて行うことができる。粉砕機の具体例としては、ボールミル、ピンミル、ハンマーミル、ジェットミル、ローラーミル、カッターミル等が挙げられる。
使用時の分散の均一化の観点から、粉砕した後、ふるい分けによって、所望の粒径範囲の粉末のみ選別してもよい。
(凝集粒子)
本発明の水性着色剤は、顔料の凝集粒子を含まないことが好ましく、少なくとも粒径10μm以上の凝集粒子を含まないものである。前記水性着色剤は、顔料粒子の状態が、従来のリキッドタイプの水性着色剤中の顔料粒子と同等の粒径分布を有するものとして得られるため、リキッドタイプの水性着色剤と同等の優れた分散性及び着色性を発揮することができる。
顔料の二次粒子は混練により、満遍なく一次粒子に解砕され、該一次粒子は、その表面が分散剤で被覆されていることにより、凝集が抑制されるものと考えられる。これにより、粒径10μm以上の粗大な凝集粒子を形成することなく、数μmオーダー又はそれ以下の微粒子の状態を保持することができる。
なお、本発明で言う粒径分布は、レーザー回折散乱法により、50%体積粒径基準で測定したものである。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
下記に示す方法により、水性着色剤の各試料を作製した。
(試料1)
フタロシアニン系顔料(C.I.Pigment Blue 15:3;大日精化株式会社製)25.0g(100質量部)と、分散剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水分35%;花王株式会社製「ネオペレックスG−65」)11.5g(分散剤有効成分30質量部)と、水溶性高分子としてポリエチレングリコール6000(日油株式会社製「PEG#6000P」)7.5g(30質量部)とを、卓上ニーダー(ブラベンダー社製「プラストグラフ ニーダータイプ」)に投入し、10分間混練した。
混練当初は、投入材料はボソボソとしたまとまりのない状態だったが、約30秒経過後は、粘性が発現され、全体的に粘土のようにまとまりのある状態となった。また、混練により発熱を生じ、混練終了時は混練物の温度は約20℃から約55℃に上昇した。
混練終了後、卓上ニーダーの付属ヒーターの設定温度を130℃にして、加熱しながらブレードを回転させて乾燥(脱水)した。
卓上ニーダー開口部に近付けた金属板への水滴の付着の有無により、混練物からの水蒸気の発生の有無を確認した。15分後に、水蒸気の発生が確認されなくなったため、乾燥を終了した。
混練物が40℃以下になるまで放冷し、その後、混練物を卓上ニーダーから取り出した。
取り出した混練物をハンマーミルで粉砕し、目開き1mmのふるいのパス品を水性着色剤試料1とした。
(試料2)
試料1の作製において、水溶性高分子としてポリエチレングリコール6000に代えて、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製「PVA−420」)を同量用い、また、混練のための粘度調整のため、水10.0gを追加し、それ以外は試料1と同様にして、水性着色剤試料2を作製した。
(試料3〜18)
試料1の作製において、分散剤及び水溶性高分子を下記表1に示す配合とし、それ以外は試料1,2と同様にして、水性着色剤試料を作製した。
表1に示す分散剤及び水溶性高分子の詳細は、以下のとおりである。
<分散剤>
・「エマルゲンA−60」:ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル;花王株式会社製
・「デモールN」:β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩;花王株式会社製
<水溶性高分子>
・「PEG#10000」:ポリエチレングリコール10000;日油株式会社製
・「PEG#20000」:ポリエチレングリコール20000;日油株式会社製
・「PVA−102」:ポリビニルアルコール;株式会社クラレ製
・「PVP K−30」:ポリビニルピロリドン;株式会社日本触媒製
なお、表1中、分散剤の配合量は、顔料100質量部に対する有効成分(水分を除く)量、水溶性高分子の配合量は、顔料100質量部に対する量で示す。
(試料19)
試料1の作製において、混練機として卓上ニーダーに代えて、実験用3本ロールミル(アシザワ社製)を用い、それ以外は試料1と同様にして、水性着色剤試料を作製した。
(試料20)
フタロシアニン系顔料(C.I.Pigment Blue 15:3;大日精化株式会社製)35.0g(100質量部)と、分散剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;花王株式会社製「ネオペレックスG−65」(水分35%))16.2g(分散剤有効成分10.5質量部)と、エマルジョン型シリコーン消泡剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「TSA732」(有効成分25%))1.0gと、水47.8gとを、実験用サンドミル(メディア:直径1mmのガラスビーズ)を用いて、2時間混合分散し、水性着色剤を得た。この水性着色剤は、顔料濃度35%のリキッドタイプである。
なお、ミル分散時の回転撹拌による発泡が激しく、泡により顔料の混合分散を十分に行うことが困難であった。
(参照試料)
試料1と同じフタロシアニン系顔料を用いたリキッドタイプの水性着色剤(大日精化株式会社製「EP−700 Blue GA」)を下記評価における参照基準とした。
[水性着色剤の評価]
上記の水性着色剤の各試料について、以下のような評価を行った。
(1)分散性
各水性着色剤を顔料分が0.1重量%となるように水で希釈し、レッドデビル社製「ペイントコンディショナー」で10分間撹拌し、約20mlの試料液を調製した。
この試料液をスライドガラス上へ数滴滴下し、カバーガラスで挟み、マイクロスコープ(500倍;株式会社キーエンス製)で観察し、粗大粒子の有無を確認した。
この評価結果を表1に示す。表1においては、○:粒径1μm以上の顔料粒子を確認できない場合、△:粒径10μm以上の顔料粒子は確認されないが、1μm以上の顔料粒子が確認される場合、×:粒径10μm以上の顔料粒子が確認される場合、として示す。
(2)粒度分布
代表例として、試料1及び参照試料について比較測定を行った。
測定装置は、レーザー回折・散乱式粒子系分布測定装置(日機装株式会社「マイクロトラックMT3300II」)を用いて、50%体積平均径を測定した。
(3)着色性
代表例として、試料1,20及び参照試料について塗布展色物を作製し、評価を行った。
展色用白色塗料として二酸化チタン顔料含有水性エマルジョン塗料(大日精化株式会社製「ホワイトベース1000−R」)を用い、この白色塗料40.0gに、各水性着色剤を顔料分が0.2gとなるように添加し、均一になるように遊星式撹拌・脱泡装置(クラボウ社製「マゼルスター」)を用いて撹拌し、試験塗料を調製した。
この試験塗料を、4ミル(約102μm)のドクターブレードにてケント紙に塗布展色し、自然乾燥し、塗布展色物を得た。
この塗布展色物について、目視観察、及び分光測色計(コニカミノルタ株式会社製「CM−3600d」)による色差(ΔE)測定を行った。
Figure 0006085357
分散性評価の結果、試料1〜6,8〜11,13〜19は、粒径10μm以上の粗大な顔料の凝集粒子は観察されず、顔料の分散性が良好であることが認められた。特に、試料1,4〜6,8〜11,13〜15,17,19は、粒径1μm以上の顔料凝集粒子も観察されず、より分散性に優れていると言える。
一方、試料7,12,20は、粒径10μm以上の粗大な顔料の凝集粒子が観察され、顔料の分散性に劣るものであった。
なお、参照試料は、粒径1μm以上の顔料の凝集粒子は観察されなかった。
また、試料1の粒度分布は、50%体積平均径が0.158μmであり、参照試料の粒度分布は、50%体積平均径が0.161μmであった。試料1と従来のリキッドタイプの水性着色剤(参照試料)とは、同等の粒度分布を示し、顔料の分散性には差がないことが確認された。
また、着色性評価の結果、試料1及び参照試料による塗布展色物の色差の測定値ΔEは0.47であったが、目視では色差は認められなかった。
一方、試料20による塗布展色物は、参照試料による塗布展色物との色差の測定値ΔEは1.92であり、目視でも色差が認められた。
このことから、試料1は、従来のリキッドタイプの水性着色剤(参照試料)と同等の着色性が得られると言える。

Claims (6)

  1. 顔料、分散剤、水溶性高分子及び水性媒体の混合物を混練する水性着色剤の製造方法であって、
    前記顔料の濃度は40〜72質量%、前記水性媒体の含有量は3〜50質量%であり、
    前記水性媒体が水であり、
    前記水溶性高分子が、重量平均分子量が4000〜20000のポリエチレングリコールであり、
    前記分散剤が、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、及びβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩の群のうちから選ばれる少なくともいずれか1種であり、
    前記顔料の粒径10μm以上の凝集粒子を含まない水性着色剤を得る、水性着色剤の製造方法。
  2. 前記混練時に加熱して、混練物を乾燥させ、前記水性媒体の含有量が3質量%以下である粒径1〜10cmの塊状の水性着色剤を得る、請求項1に記載の水性着色剤の製造方法。
  3. 前記塊状の水性着色剤を粉砕し、得られた粉末のうちの少なくとも80質量%以上が粒径0.1〜3mmである粉末状の水性着色剤を得る、請求項2に記載の水性着色剤の製造方法。
  4. 前記混練が、ニーダー、エクストルーダー及びロールミルのうちのいずれかを用いて行われる、請求項1〜のいずれか1項に記載の水性着色剤の製造方法。
  5. 前記顔料が有機顔料である、請求項1〜のいずれか1項に記載の水性着色剤の製造方法。
  6. 前記有機顔料が、アゾ系、フタロシアニン系、ペリレン系、ペリノン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサジン系、チオインジゴ系、アントラキノン系、キノフタロン系、金属錯体系、ジケトピロロピロール系である、請求項5に記載の水性着色剤の製造方法。
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