JP6084076B2 - 多点点火式エンジン - Google Patents

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Description

本発明は、シリンダの内面とピストンの頂部とで囲まれた燃焼室の混合気を点火する複数の点火部が、前記燃焼室の周方向に沿って分散配置された多点点火式エンジンに関する。
かかる多点点火式エンジンは、燃焼室の周方向に沿って分散配置された複数の点火部によって燃焼室の混合気を点火することにより、燃焼安定性の向上を図りしかも燃焼期間の短縮により熱効率の向上を図ることができるものである。
このような多点点火式エンジンの従来例として、複数の点火部を同時に作動させるように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
ちなみに、特許文献1の多点点火式エンジンにおいては、6個の点火部が燃焼室の周方向に沿って分散配置されている。
特開昭57−148020号公報
ところで、エンジンの燃焼技術として、燃費の向上を図る等の目的で、燃焼室の周方向において、燃焼空気に対する燃料の混合割合である燃料濃度に差が存在する状態で燃焼室に混合気を生成して燃焼させる、いわゆる成層燃焼を行う技術がある。
したがって、成層燃焼技術を多点点火式エンジンに採用することが考えられ、そして、成層燃焼技術を多点点火エンジンに採用する際に、従来の多点点火式エンジンと同様に、複数の点火部を同時に作動させるように構成することが考えられる。
しかしながら、成層燃焼技術を採用した多点点火式エンジンにおいて、複数の点火部を同時に作動させると、燃料濃度の高い部分と燃料濃度の低い部分とでは、火炎伝搬速度が異なることに起因して、燃焼室の混合気の全体を良好に燃焼させることができない虞がある。
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、成層燃焼技術を採用して燃費の向上等を図るようにしながら、燃焼室の混合気の全体を良好に燃焼させて、燃焼安定性や熱効率を適切に向上させることができる多点点火式エンジンを提供する点にある。
本発明の多点点火式エンジンは、シリンダの内面とピストンの頂部とで囲まれた燃焼室の混合気を点火する複数の点火部が、前記燃焼室の周方向に沿って分散配置されたものであって、その第1特徴構成は、
前記燃焼室の混合気を生成する混合気生成手段が、前記燃焼室の周方向において、燃焼空気に対する燃料の混合割合である燃料濃度に差が存在する状態で混合気を生成するように構成され、
複数の前記点火部の作動を制御する点火制御手段が、前記燃料濃度が設定値より高い部分とそれよりも前記燃料濃度が低い部分との2段階に前記燃料濃度を区分けして、混合気における前記燃料濃度が低い部分から前記燃料濃度の高い部分に順次点火すべく、複数の前記点火部の点火作動順序を制御するように構成され
前記燃焼室に燃焼空気を導入する吸気ポートが、前記燃焼室にスワール流を生成するスワール吸気ポートとして構成され、
前記混合気生成手段が、燃料噴射部にて前記吸気ポートに燃料を噴射することにより、前記燃焼室の周方向に沿って前記燃料濃度に差が存在する状態で混合気を生成するように構成され、
運転制御手段が、前記吸気ポートから吸入する燃焼空気吸入量及び前記燃料噴射部から噴射する燃料噴射量をエンジン負荷に応じて調節するように構成され、
前記点火制御手段が、前記混合気生成手段の燃焼空気吸入量及び燃料噴射量の調節により変化する前記燃料濃度の分布状態に応じて、複数の前記点火部の点火作動順序を制御するように構成されている点を特徴とする。
すなわち、混合気生成手段が、燃焼室の周方向において、燃焼空気に対する燃料の混合割合である燃料濃度に差が存在する状態で混合気を生成することになる。
そして、点火制御手段が、混合気における燃料濃度が低い部分から燃料濃度の高い部分に順次点火すべく、複数の点火部の点火作動順序を制御することになる。
本発明の第1特徴構成によれば、燃焼室の周方向において、燃焼空気に対する燃料の混合割合である燃料濃度に差が存在する状態で燃焼室に混合気を生成して燃焼させる、いわゆる成層燃焼が行われるから、燃費の向上を図る等の利点を得ることができる。
しかも、燃焼室の混合気における燃料濃度が低い部分から燃料濃度の高い部分に順次点火されることになるから、火炎伝搬速度が低い燃料濃度が低い部分の燃焼の完了と、火炎伝搬速度が高い燃料濃度が高い部分の燃焼の完了とを近づけることができる等により、成層燃焼を行いながらも、燃焼室の混合気の全体を良好に燃焼させて、燃焼安定性や熱効率を適切に向上させることができる。
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、成層燃焼技術を採用して、燃費の向上等を図るようにしながら、燃焼室の混合気の全体を良好に燃焼させて、燃焼安定性や熱効率を適切に向上させることができる多点点火式エンジンを提供できる。
又、本発明の第1特徴構成によれば、スワール吸気ポートとして構成された吸気ポートから、燃焼空気がスワール流を生成する状態で燃焼室に導入され、そして、燃料噴射部から吸気ポートに燃料を噴射することにより、燃焼室の周方向に沿って燃料濃度に差が存在する状態で混合気が生成されることになる。
つまり、燃焼空気を吸気ポートから燃焼室に導入する期間のうちで、設定した適正な燃料噴射タイミングにて燃料噴射部から燃料を噴射すると、スワール流を生成して流動する燃焼空気の流れの一部分に燃料が供給される結果、燃焼室の周方向に沿って燃料濃度に差が存在する状態で混合気が生成されることになる。
そして、吸気ポートの内部圧力は、燃焼室の圧力に較べて低圧であるから、燃料噴射部からの燃料噴出圧を低くできるものとなり、例えば、燃料として、都市ガス等のガス燃料を昇圧して噴射する場合においても、その昇圧する構成の簡素化を図れる等、燃料の噴射のための構成の簡素化を図ることができる。
要するに、本発明の第特徴構成によれば、上記作用効果に加えて、燃料噴射のための構成の簡素化を図ることができる多点点火式エンジンを提供できる。
又、本発明の第1特徴構成によれば、運転制御手段によって、エンジン負荷に応じて、吸気ポートから吸入する燃焼空気吸入量及び燃料噴射部から噴射する燃料噴射量が調節されることになる。つまり、エンジン負荷が大きいほど、燃焼空気吸入量及び燃料噴射量が増大されることになる。
このように、燃焼空気吸入量及び燃料噴射量が調節されると、燃焼室に生成された混合気の燃料濃度の分布状態が変化することになる。つまり、燃焼室に生成された混合気のうちの燃料濃度の高い部分や燃料濃度の低い部分の燃焼室周方向での位置が、燃焼空気吸入量及び燃料噴射量の調節によって変化することになる。
そして、点火制御手段が、燃焼空気吸入量及び燃料噴射量の調節により変化する燃料濃度の分布状態に応じて、複数の点火部の点火作動順序を制御することになるから、燃焼空気吸入量及び燃料噴射量の調節により、燃焼室の混合気の燃料分布状態が変化しても、燃焼室の混合気における燃料濃度が低い部分から燃料濃度の高い部分に順次点火させることができる。
要するに、本発明の第特徴構成によれば、上記作用効果に加えて、燃焼室の混合気の燃料分布状態が変化しても、燃焼室の混合気における燃料濃度が低い部分から燃料濃度の高い部分に順次点火させることができる多点点火式エンジンを提供できる。
本発明の多点点火式エンジンの第特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記燃焼室の混合気の空燃比が、理論空燃比よりも高く設定されている点を特徴とする。
すなわち、燃焼室の混合気の空燃比が理論空燃比よりも高いものであるから、低NOx化を図ることができる等の利点を得ることができる。
そして、燃焼室の混合気の空燃比が理論空燃比よりも高い場合には、混合気における燃料濃度が高い部分と燃料濃度の低い部分との濃度差が大きいため、それらの火炎伝搬速度の差が大きいものとなるが、そのような混合気も良好に燃焼させることができる。
つまり、混合気における燃料濃度が高い部分と燃料濃度の低い部分との火炎伝搬速度の差は大きいものの、燃焼室の混合気における燃料濃度を低い部分から燃料濃度の高い部分に順次点火することにより、燃料濃度が低い部分の燃焼の完了と燃料濃度が高い部分の燃焼の完了とに大きな差がでるのを抑制して、希薄燃料にて成層燃焼を行いながらも、燃焼室の混合気の全体を良好に燃焼させて、燃焼安定性や熱効率を適切に向上させることができる。
要するに、本発明の第特徴構成によれば、希薄燃料にて成層燃焼を行いながらも、燃焼安定性や熱効率を適切に向上させることができる多点点火式エンジンを提供できる。
本発明の多点点火式エンジンの第特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記ピストンの頂部の形状が、平坦状又は円錐台状である点を特徴とする。
すなわち、ピストンの頂部の形状が、平坦状又は円錐台状であるから、ピストンの頂部の形状をバスタブ状に形成する場合に較べて、燃焼室の周方向に沿って分散配置された点火部の点火により生成された火炎を、燃焼室の混合気の全体に適切に伝搬し易いものとなるため、燃焼室の混合気の全体の燃焼期間を短縮して熱効率を的確に向上させることができる。
説明を加えると、ピストンの頂部の形状がバスタブ状の場合には、ピストン頂部の凹部内に存在する混合気に対する火炎伝搬が円滑に行われないものとなって、燃焼室の混合気の全体の燃焼期間を短縮し難いものとなるが、ピストンの頂部の形状が、平坦状又は円錐台状の場合には、燃焼室の混合気の全体に対して火炎伝搬を適切に行って、燃焼室の混合気の燃焼期間を短縮して熱効率を的確に向上させることができるのである。
要するに、本発明の第特徴構成によれば、上記第1又は第2特徴構成による作用効果に加えて、燃焼室の混合気の燃焼期間を短縮して熱効率を的確に向上させることができる多点点火式エンジンを提供できる。
エンジンの構成を示す縦断面図 点火プラグの配置部を示す横断平面図 吸気ポートの形態を示す斜視図 吸気バルブ及び排気バルブのリフト量とクランク角度との関係を示すグラフ 吸気ポートの吸気圧とクランク角度との関係を示すグラフ 混合気の表面部における混合気の濃度分布を示す平面図 燃焼室の各部におけるピストン軸芯方向での混合気の濃度分布を示す図 図6及び図7に示す濃度分布における濃度の大きさを示す説明図 別実施形態のエンジンの構成を示す縦断面図 別実施形態のエンジンの構成を示す縦断面図
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(エンジンの構成)
図1に示すように、エンジンEは、シリンダブロック1とそのシリンダブロック1の上部に連結されたシリンダヘッド2とを有するシリンダ3、及び、そのシリンダ3のシリンダブロック1の内部を摺動自在なピストン4を備え、また、シリンダヘッド2には、吸気バルブ5及び排気バルブ6が装備されている。
尚、図示は省略するが、エンジンEの出力は、ピストン4の往復移動に伴って回転するクランク軸を用いて出力軸の回転動力として取り出すように構成され、また、エンジンEには、出力軸の回転に伴って吸気バルブ5及び排気バルブ6を開閉作動させるカムシャフト機構等が備えられている。
燃焼室7が、ピストン4の頂部とシリンダ3の内面とで囲まれた状態形成されている。
燃焼室7を形成するシリンダ3の内面は、詳しくは、シリンダブロック1の内面とシリンダヘッド2の下面であり、シリンダブロック1には、燃焼室7に連通する吸気ポート8及び排気ポート9が形成され、吸気ポート8には、上述の吸気バルブ5が設けられ、排気ポート9には上述の排気バルブ6が設けられている。
ちなみに、本実施形態においては、ピストン4の頂部には、バスタブ状の凹部4aが形成されている。
吸気ポート8には、燃焼室7への燃焼空気の吸気量を調整するためのスロットルバルブ10、及び、燃焼室7へ燃料を噴射する燃料噴射部としてのインジェクタ11が装備されている。尚、本実施形態は、燃料として、都市ガスやプロパンガス等のガス燃料を用いるように構成されている。
スロットルバルブ10、及び、インジェクタ11の作動は、エンジンEの運転を制御する制御装置Hによって制御されるように構成されている。
制御装置Hには、エンジン負荷設定器12の設定情報及びクランク軸の回転角(以下、クランク角度と呼称)を検出するクランク角検出センサ13の検出情報や、図示は省略するが、出力軸の回転速度、エンジン冷却水の温度等を検出する各種のセンサ類の検出情報が入力されている。
尚、エンジン負荷設定器12は、例えば、エンジンEにて発電機を駆動する場合には、その発電機の発電負荷に応じてクランク軸に作用することになる負荷の大きさを求めて、その求めた負荷を設定する等、駆動対象を駆動した際にエンジンEに作用する負荷の大きさを設定することになる。
そして、制御装置Hは、エンジン負荷設定器12の設定情報に基づいて、エンジン負荷が大きくなるほど、燃焼室7への燃焼空気の吸気量が多くなるように、スロットルバルブ10の開度を調整し、また、エンジン負荷が大きくなるほど、燃焼室7への燃料噴射量が多くなるように、インジェクタ11にて燃料を噴射する燃料噴射時間を調節するように構成されている。
つまり、エンジン負荷とスロットルバルブ10の開度との適正関係を示す情報や、エンジン負荷と燃料噴射時間との適正関係を示す情報等、エンジンEを運転するために必要となる各種情報が、メモリ14に記憶されており、制御装置Hは、メモリ14に記憶された各種情報に基づきながら、スロットルバルブ10の開度やインジェクタ11の燃料噴射時間を調整することになる。
尚、制御装置Hは、スロットルバルブ10の開度やインジェクタ11の燃料噴射時間を調節する際には、エンジン負荷設定器12の設定情報のみならず、出力軸の回転速度や冷却水の温度等の各種の情報に基づいて、スロットルバルブ10の開度やインジェクタ11の燃料噴射時間を定めるものとなるが、説明の簡略化のために、本実施形態においては、単に、エンジン負荷設定器12の設定情報に基づいて、スロットルバルブ10の開度やインジェクタ11の燃料噴射時間が調節されるものとして説明する。
ちなみに、本実施形態においては、制御装置Hが、スロットルバルブ10の開度やインジェクタ11の燃料噴射時間を調節するものであるから、吸気ポート8から吸入する燃焼空気吸入量及びインジェクタ11から噴射する燃料噴射量をエンジン負荷に応じて調節する運転制御手段Haが、制御装置Hにて構成されることになる。
図2に示すように、燃焼室7の混合気を点火する複数の点火手段としての複数の点火プラグ15が、燃焼室7の周方向に沿って分散配置されている。つまり、本実施形態においては、8個の点火プラグ15が、等間隔で並ぶ状態で配置されている。
そして、複数の点火プラグ15の夫々に対して点火駆動装置16が各別に設けられて、制御装置Hが、複数の点火プラグ15の点火駆動装置16の夫々に対して点火指令を指令することにより、複数の点火プラグ15が点火作動するように構成されている。
つまり、制御装置Hが、複数の点火プラグ15の点火作動タイミングを、後述の如く、適正タイミングに各別に調節するように構成されている。
尚、本実施形態においては、制御装置Hが、複数の点火プラグ15の点火作動を制御するものであるから、複数の点火プラグ15の作動を制御する点火制御手段Hbが、制御装置Hにて構成されることになる。
(エンジンの基本動作)
エンジンEの基本的な動作を、吸気バルブ5及び排気バルブ6のリフト量とクランク角度との関係を示す図4に基づいて説明する。
吸気バルブ5が開かれた状態でピストン4が上死点(TDC)から下死点(BDC)に下降することにより、燃焼室7に燃焼空気や燃料が導入される吸気行程が行われる。つまり、吸気行程中における燃料噴射タイミングTn、例えば、クランク角度が−280°ATDCとなるタイミングにて、インジェクタ11から燃料が噴射されて、燃焼空気に加えて燃料が燃焼室7に導入されることになる。
尚、燃料噴射タイミングTnは、−280°ATDCに限定されるものではなく、例えば、クランク角度として前後に60°程度変更することができる。
吸気行程に続いて、吸気バルブ5が閉じられた状態でピストン4が下死点から上死点に上昇することにより、燃焼室7内の燃焼空気と燃料との混合気を圧縮する圧縮行程が行われる。
圧縮行程の後期における点火タイミングTh、例えば、クランク角度が−40°ATDCのタイミングにて、複数の点火プラグ15により、混合気が火花点火される。ちなみに、複数の点火プラグ15は、順次点火作動されることになるが、その詳細は後述する。
尚、点火タイミングThは、−40°ATDCに限定されるものではなく、例えば、クランク角度として前後に20°程度変更することができる。
圧縮行程に続いて、燃焼室7の内部の混合気の燃焼による膨張行程が行われ、次に、排気バルブ6が開かれた状態でピストン4が下死点から上死点に上昇することにより、燃焼室7内の排ガスを排気ポート9に排出する排気行程が行われる。
以上の通り、エンジンEは、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程を順次実行することになる。
ちなみに、図4に示すように、排気バルブ6が排気行程に続く吸気行程の初期に閉じられ、かつ、吸気バルブ5が排気行程の後期から開かれる、いわゆる、バルブオーバーラップを設けて、燃焼室7への充填効率を向上するようになっている。
また、図5は、クランク角と吸気ポート8の吸気圧との関係を示したものであり、スロットルバルブ10を全開にした状態を示す線U1、エンジン負荷が大負荷であるときに応じてスロットルバルブ10が大きめに開かれた状態を示す線U2、エンジン負荷が中負荷であるときに応じてスロットルバルブ10が中くらい開かれた状態を示す線U3、及び、エンジン負荷が小負荷であるときに応じてスロットルバルブ10が小さめに開かれた状態を示す線U4が示されている。
(混合気の生成)
図3に示すように、吸気ポート8が、燃焼室7にスワール流S(図2参照)を発生させるスワール吸気ポートして構成されている。
すなわち、吸気ポート8における燃焼室7に近接する箇所に、渦巻き状部分8aが形成されて、スワール流Sを発生させるように構成されている。
スワール流Sは、燃焼室7の中心軸の周りを一定の旋回方向で旋回する流れであり、本実施形態では、図2において時計回りの方向に沿って旋回する流れである。
そして、上述の如く、吸気行程のうちの燃料噴射タイミングTnにおいて、インジェクタ11から燃料が集中的に噴射されるため、燃焼室7の内部には、燃焼室7の周方向に沿って、換言すれば、スワール流Sの旋回方向に沿って、燃焼空気に対する燃料の混合割合である燃料濃度に差が存在する状態で混合気が生成されるよう構成されている。
つまり、本実施形態においては、混合気生成手段Kが、スロットルバルブ10及びインジェクタ11から構成されることになり、そして、この混合気生成手段Kは、インジェクタ11にて吸気ポート8に燃料を噴射することにより、燃焼室7の周方向において、燃焼空気に対する燃料の混合割合である燃料濃度に差が存在する状態で混合気を生成するように構成されている。
ちなみに、本実施形態においては、吸気ポート8における渦巻き状部分8aに連なる角筒状の流路形成8bの4面の夫々に、インジェクタ11が設けられて、4つのインジェクタ11より、多量の燃料を短時間で噴射できるように構成されている。
また、制御装置Hが、吸気ポート8に導入される燃焼空気に対する燃料の割合を理論空燃比よりも高くするように、スロットルバルブ10の開度やインジェクタ11の燃料噴射時間を調整して、燃焼室7の混合気の空燃比を理論空燃比よりも高くするように構成されている。
したがって、本実施形態のエンジンEは、燃料希薄な混合気を燃焼させる、いわゆる、リーン燃焼を行うように構成されている。
図6及び図7に基づいて、燃焼室7に生成される混合気の濃度分布について説明を加える。ちなみに、燃焼室7に生成される混合気の濃度分布とは、燃焼室7に生成された混合気についての燃焼空気に対する燃料の混合割合である燃料濃度の分布である。
そして、本実施形態においては、図8に示すように、燃料濃度(Air Ratio)を、1400から2400までの間の10段階に変化する燃焼空気量として示すようにしてある。つまり、燃焼空気量が1400〜1500である段階が、最も燃料濃度が高い段階であり、燃料空気量が2300〜2400である段階が、最も燃料濃度が低い段階である。
尚、図6及び図7は、図3の吸気ポート8の形態を示すモデルを作成して、コンピュータ上でのシミュレーションによって求めたものであり、ピストン4は、上述した頂部にバスタブ状の凹部4aを備えるものであるとしてモデル化した。
図6(a)及び図7(a)が、上述した図5における線U2に対応する状態、つまり、エンジン負荷が大負荷であるときに応じてスロットルバルブ10が大きめに開かれた状態を示すものである。
図6(b)及び図7(b)が、上述した図5における線U3に対応する状態、つまり、エンジン負荷が中負荷であるときに応じてスロットルバルブ10が中くらい開かれた状態を示すものである。
図6(c)及び図7(c)が、上述した図5における線U4に対応する状態、つまり、エンジン負荷が小負荷であるときに応じてスロットルバルブ10が小さめに開かれた状態を示すものである。
図6は、混合気の表面部の濃度分布状態を示す平面図であるため、燃焼室7の周辺部において燃料濃度の高い部分を特定し難いものの、図7は、燃焼室7の各部におけるピストン軸芯方向での混合気の濃度を示す図であるため、燃焼室7の周辺部において燃料濃度の高い部分を特定できる。
つまり、円で囲んだ部分Rが、燃料濃度の高い部分である。
図7で示されるシミュレーション結果からは、燃料濃度の高い部分は、スワール流Sの旋回方向に沿って、エンジン負荷が大きいほど吸気ポート8から離れる箇所となることが理解できる。
また、図示は省略するが、燃料濃度の分布状態は、エンジン負荷に応じて、つまり、燃焼室7への燃焼空気吸入量及びインジェクタ11の燃料噴射量によって、顕著に変化するものの、エンジンEの回転速度の変化によっては、燃料濃度の分布状態が大きく変化しないことが、シミュレーション結果から判明している。
(点火制御について)
制御装置H(点火制御手段Hb)が、燃焼室7内の混合気における燃料濃度が低い部分から燃料濃度の高い部分に順に点火すべく、複数の点火プラグ15の点火作動順序を制御するように構成されている。
本実施形態は、燃料濃度が設定値より高い部分とそれよりも燃料濃度が低い部分との2段階に燃料濃度を区分けして、燃料濃度が低い部分に対応する点火プラグ15を、燃料濃度の高い部分に対応する点火プラグ15よりも、設定クランク角度(例えば、10°)だけ早く点火させるように構成されている。
具体的には、クランク角検出センサ13にて上述した点火タイミングThであることが検出されると、先ず、燃料濃度が低い部分に対応する点火プラグ15を点火作動させ、その後、クランク角検出センサ13にて点火タイミングThから設定クランク角度だけクランク軸が回転したことが検出されると、燃料濃度の高い部分に対応する点火プラグ15を点火作動させるように構成されている。
ちなみに、エンジンEが1200回/分で回転している場合において、クランク軸が設定クランク角度(例えば、10°)を回転するのに必要な時間は、1.4msである。
また、制御装置H(点火制御手段Hb)が、混合気生成手段Kの燃焼空気吸入量及び燃料噴射量の調節により変化する燃料濃度の分布状態に応じて、複数の点火プラグ15の点火作動順序を制御するように構成されている。
つまり、図7に示すように、エンジン負荷に応じて、燃料濃度が高い部分が燃焼室7の周方向に沿って変化することになるから、その変化に合わせて、複数の点火プラグ15のうちで先に点火作動させる点火プラグ15と、設定クランク角度だけクランク軸が回転したのちに点火作動させる点火プラグ15とを定めて、複数の点火プラグ15を作動させるように構成されている。
具体的には、上述したメモリ14に、複数の点火プラグ15の点火作動順序とエンジン負荷の関係とを示す情報が記憶されており、制御装置H(点火制御手段Hb)が、メモリ14の記憶情報に基づいて、エンジン負荷に応じた複数の点火プラグ15の点火作動順序を定めて、複数の点火プラグ15の点火作動を制御するように構成されている。
以上の通り、本実施形態によれば、燃焼室7の周方向において、燃焼空気に対する燃料の混合割合である燃料濃度に差が存在する状態で燃焼室7に混合気を生成して燃焼させる、いわゆる成層燃焼が行われるから、燃費の向上を図る等の利点を得ることができる。
また、燃焼室7の混合気における燃料濃度が低い部分から燃料濃度の高い部分に順次点火されることになるから、火炎伝搬速度が低い燃料濃度が低い部分の燃焼の完了と、火炎伝搬速度が高い燃料濃度が高い部分の燃焼の完了とを近づけること等により、成層燃焼を行いながらも、燃焼室の混合気の全体を良好に燃焼させて、燃焼安定性や熱効率を適切に向上させることができる。
〔別実施形態〕
次に、その別実施形態を列記する。
(イ)上記の実施形態においては、頂部にバスタブ状の凹部4aが形成されたピストン4を例示したが、ピストン4としては、図8に示すように、頂部が円錐台状に形成されたものや、図9に示すように平坦状に形成されたもの等、各種の形態のピストン4を使用できる。
)上記実施形態においては、エンジンEが発電機を駆動する場合を例示したが、本発明は、ヒートポンプ回路の圧縮機を駆動するエンジンに適用する等、種々の用途に使用されるエンジンに適用できる。
3 シリンダ
4 ピストン
7 燃焼室
8 吸気ポート
11 燃料噴射部
15 点火部
K 混合気生成手段
Ha 運転制御手段
Hb 点火制御手段
S スワール流

Claims (3)

  1. シリンダの内面とピストンの頂部とで囲まれた燃焼室の混合気を点火する複数の点火部が、前記燃焼室の周方向に沿って分散配置された多点点火式エンジンであって、
    前記燃焼室の混合気を生成する混合気生成手段が、前記燃焼室の周方向において、燃焼空気に対する燃料の混合割合である燃料濃度に差が存在する状態で混合気を生成するように構成され、
    複数の前記点火部の作動を制御する点火制御手段が、前記燃料濃度が設定値より高い部分とそれよりも前記燃料濃度が低い部分との2段階に前記燃料濃度を区分けして、混合気における前記燃料濃度が低い部分から前記燃料濃度の高い部分に順次点火すべく、複数の前記点火部の点火作動順序を制御するように構成され
    前記燃焼室に燃焼空気を導入する吸気ポートが、前記燃焼室にスワール流を生成するスワール吸気ポートとして構成され、
    前記混合気生成手段が、燃料噴射部にて前記吸気ポートに燃料を噴射することにより、前記燃焼室の周方向に沿って前記燃料濃度に差が存在する状態で混合気を生成するように構成され、
    運転制御手段が、前記吸気ポートから吸入する燃焼空気吸入量及び前記燃料噴射部から噴射する燃料噴射量をエンジン負荷に応じて調節するように構成され、
    前記点火制御手段が、前記混合気生成手段の燃焼空気吸入量及び燃料噴射量の調節により変化する前記燃料濃度の分布状態に応じて、複数の前記点火部の点火作動順序を制御するように構成されている多点点火式エンジン。
  2. 前記燃焼室の混合気の空燃比が、理論空燃比よりも高く設定されている請求項1記載の多点点火式エンジン。
  3. 前記ピストンの頂部の形状が、平坦状又は台形状である請求項1又は2記載の多点点火式エンジン。
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