JP6084076B2 - 多点点火式エンジン - Google Patents
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Description
ちなみに、特許文献1の多点点火式エンジンにおいては、6個の点火部が燃焼室の周方向に沿って分散配置されている。
前記燃焼室の混合気を生成する混合気生成手段が、前記燃焼室の周方向において、燃焼空気に対する燃料の混合割合である燃料濃度に差が存在する状態で混合気を生成するように構成され、
複数の前記点火部の作動を制御する点火制御手段が、前記燃料濃度が設定値より高い部分とそれよりも前記燃料濃度が低い部分との2段階に前記燃料濃度を区分けして、混合気における前記燃料濃度が低い部分から前記燃料濃度の高い部分に順次点火すべく、複数の前記点火部の点火作動順序を制御するように構成され、
前記燃焼室に燃焼空気を導入する吸気ポートが、前記燃焼室にスワール流を生成するスワール吸気ポートとして構成され、
前記混合気生成手段が、燃料噴射部にて前記吸気ポートに燃料を噴射することにより、前記燃焼室の周方向に沿って前記燃料濃度に差が存在する状態で混合気を生成するように構成され、
運転制御手段が、前記吸気ポートから吸入する燃焼空気吸入量及び前記燃料噴射部から噴射する燃料噴射量をエンジン負荷に応じて調節するように構成され、
前記点火制御手段が、前記混合気生成手段の燃焼空気吸入量及び燃料噴射量の調節により変化する前記燃料濃度の分布状態に応じて、複数の前記点火部の点火作動順序を制御するように構成されている点を特徴とする。
そして、点火制御手段が、混合気における燃料濃度が低い部分から燃料濃度の高い部分に順次点火すべく、複数の点火部の点火作動順序を制御することになる。
前記燃焼室の混合気の空燃比が、理論空燃比よりも高く設定されている点を特徴とする。
そして、燃焼室の混合気の空燃比が理論空燃比よりも高い場合には、混合気における燃料濃度が高い部分と燃料濃度の低い部分との濃度差が大きいため、それらの火炎伝搬速度の差が大きいものとなるが、そのような混合気も良好に燃焼させることができる。
前記ピストンの頂部の形状が、平坦状又は円錐台状である点を特徴とする。
(エンジンの構成)
図1に示すように、エンジンEは、シリンダブロック1とそのシリンダブロック1の上部に連結されたシリンダヘッド2とを有するシリンダ3、及び、そのシリンダ3のシリンダブロック1の内部を摺動自在なピストン4を備え、また、シリンダヘッド2には、吸気バルブ5及び排気バルブ6が装備されている。
尚、図示は省略するが、エンジンEの出力は、ピストン4の往復移動に伴って回転するクランク軸を用いて出力軸の回転動力として取り出すように構成され、また、エンジンEには、出力軸の回転に伴って吸気バルブ5及び排気バルブ6を開閉作動させるカムシャフト機構等が備えられている。
燃焼室7を形成するシリンダ3の内面は、詳しくは、シリンダブロック1の内面とシリンダヘッド2の下面であり、シリンダブロック1には、燃焼室7に連通する吸気ポート8及び排気ポート9が形成され、吸気ポート8には、上述の吸気バルブ5が設けられ、排気ポート9には上述の排気バルブ6が設けられている。
ちなみに、本実施形態においては、ピストン4の頂部には、バスタブ状の凹部4aが形成されている。
スロットルバルブ10、及び、インジェクタ11の作動は、エンジンEの運転を制御する制御装置Hによって制御されるように構成されている。
尚、エンジン負荷設定器12は、例えば、エンジンEにて発電機を駆動する場合には、その発電機の発電負荷に応じてクランク軸に作用することになる負荷の大きさを求めて、その求めた負荷を設定する等、駆動対象を駆動した際にエンジンEに作用する負荷の大きさを設定することになる。
そして、複数の点火プラグ15の夫々に対して点火駆動装置16が各別に設けられて、制御装置Hが、複数の点火プラグ15の点火駆動装置16の夫々に対して点火指令を指令することにより、複数の点火プラグ15が点火作動するように構成されている。
尚、本実施形態においては、制御装置Hが、複数の点火プラグ15の点火作動を制御するものであるから、複数の点火プラグ15の作動を制御する点火制御手段Hbが、制御装置Hにて構成されることになる。
エンジンEの基本的な動作を、吸気バルブ5及び排気バルブ6のリフト量とクランク角度との関係を示す図4に基づいて説明する。
吸気バルブ5が開かれた状態でピストン4が上死点(TDC)から下死点(BDC)に下降することにより、燃焼室7に燃焼空気や燃料が導入される吸気行程が行われる。つまり、吸気行程中における燃料噴射タイミングTn、例えば、クランク角度が−280°ATDCとなるタイミングにて、インジェクタ11から燃料が噴射されて、燃焼空気に加えて燃料が燃焼室7に導入されることになる。
尚、燃料噴射タイミングTnは、−280°ATDCに限定されるものではなく、例えば、クランク角度として前後に60°程度変更することができる。
圧縮行程の後期における点火タイミングTh、例えば、クランク角度が−40°ATDCのタイミングにて、複数の点火プラグ15により、混合気が火花点火される。ちなみに、複数の点火プラグ15は、順次点火作動されることになるが、その詳細は後述する。
尚、点火タイミングThは、−40°ATDCに限定されるものではなく、例えば、クランク角度として前後に20°程度変更することができる。
ちなみに、図4に示すように、排気バルブ6が排気行程に続く吸気行程の初期に閉じられ、かつ、吸気バルブ5が排気行程の後期から開かれる、いわゆる、バルブオーバーラップを設けて、燃焼室7への充填効率を向上するようになっている。
図3に示すように、吸気ポート8が、燃焼室7にスワール流S(図2参照)を発生させるスワール吸気ポートして構成されている。
すなわち、吸気ポート8における燃焼室7に近接する箇所に、渦巻き状部分8aが形成されて、スワール流Sを発生させるように構成されている。
そして、上述の如く、吸気行程のうちの燃料噴射タイミングTnにおいて、インジェクタ11から燃料が集中的に噴射されるため、燃焼室7の内部には、燃焼室7の周方向に沿って、換言すれば、スワール流Sの旋回方向に沿って、燃焼空気に対する燃料の混合割合である燃料濃度に差が存在する状態で混合気が生成されるよう構成されている。
したがって、本実施形態のエンジンEは、燃料希薄な混合気を燃焼させる、いわゆる、リーン燃焼を行うように構成されている。
そして、本実施形態においては、図8に示すように、燃料濃度(Air Ratio)を、1400から2400までの間の10段階に変化する燃焼空気量として示すようにしてある。つまり、燃焼空気量が1400〜1500である段階が、最も燃料濃度が高い段階であり、燃料空気量が2300〜2400である段階が、最も燃料濃度が低い段階である。
図6(b)及び図7(b)が、上述した図5における線U3に対応する状態、つまり、エンジン負荷が中負荷であるときに応じてスロットルバルブ10が中くらい開かれた状態を示すものである。
図6(c)及び図7(c)が、上述した図5における線U4に対応する状態、つまり、エンジン負荷が小負荷であるときに応じてスロットルバルブ10が小さめに開かれた状態を示すものである。
つまり、円で囲んだ部分Rが、燃料濃度の高い部分である。
また、図示は省略するが、燃料濃度の分布状態は、エンジン負荷に応じて、つまり、燃焼室7への燃焼空気吸入量及びインジェクタ11の燃料噴射量によって、顕著に変化するものの、エンジンEの回転速度の変化によっては、燃料濃度の分布状態が大きく変化しないことが、シミュレーション結果から判明している。
制御装置H(点火制御手段Hb)が、燃焼室7内の混合気における燃料濃度が低い部分から燃料濃度の高い部分に順に点火すべく、複数の点火プラグ15の点火作動順序を制御するように構成されている。
本実施形態は、燃料濃度が設定値より高い部分とそれよりも燃料濃度が低い部分との2段階に燃料濃度を区分けして、燃料濃度が低い部分に対応する点火プラグ15を、燃料濃度の高い部分に対応する点火プラグ15よりも、設定クランク角度(例えば、10°)だけ早く点火させるように構成されている。
つまり、図7に示すように、エンジン負荷に応じて、燃料濃度が高い部分が燃焼室7の周方向に沿って変化することになるから、その変化に合わせて、複数の点火プラグ15のうちで先に点火作動させる点火プラグ15と、設定クランク角度だけクランク軸が回転したのちに点火作動させる点火プラグ15とを定めて、複数の点火プラグ15を作動させるように構成されている。
次に、その別実施形態を列記する。
(イ)上記の実施形態においては、頂部にバスタブ状の凹部4aが形成されたピストン4を例示したが、ピストン4としては、図8に示すように、頂部が円錐台状に形成されたものや、図9に示すように平坦状に形成されたもの等、各種の形態のピストン4を使用できる。
4 ピストン
7 燃焼室
8 吸気ポート
11 燃料噴射部
15 点火部
K 混合気生成手段
Ha 運転制御手段
Hb 点火制御手段
S スワール流
Claims (3)
- シリンダの内面とピストンの頂部とで囲まれた燃焼室の混合気を点火する複数の点火部が、前記燃焼室の周方向に沿って分散配置された多点点火式エンジンであって、
前記燃焼室の混合気を生成する混合気生成手段が、前記燃焼室の周方向において、燃焼空気に対する燃料の混合割合である燃料濃度に差が存在する状態で混合気を生成するように構成され、
複数の前記点火部の作動を制御する点火制御手段が、前記燃料濃度が設定値より高い部分とそれよりも前記燃料濃度が低い部分との2段階に前記燃料濃度を区分けして、混合気における前記燃料濃度が低い部分から前記燃料濃度の高い部分に順次点火すべく、複数の前記点火部の点火作動順序を制御するように構成され、
前記燃焼室に燃焼空気を導入する吸気ポートが、前記燃焼室にスワール流を生成するスワール吸気ポートとして構成され、
前記混合気生成手段が、燃料噴射部にて前記吸気ポートに燃料を噴射することにより、前記燃焼室の周方向に沿って前記燃料濃度に差が存在する状態で混合気を生成するように構成され、
運転制御手段が、前記吸気ポートから吸入する燃焼空気吸入量及び前記燃料噴射部から噴射する燃料噴射量をエンジン負荷に応じて調節するように構成され、
前記点火制御手段が、前記混合気生成手段の燃焼空気吸入量及び燃料噴射量の調節により変化する前記燃料濃度の分布状態に応じて、複数の前記点火部の点火作動順序を制御するように構成されている多点点火式エンジン。 - 前記燃焼室の混合気の空燃比が、理論空燃比よりも高く設定されている請求項1記載の多点点火式エンジン。
- 前記ピストンの頂部の形状が、平坦状又は台形状である請求項1又は2記載の多点点火式エンジン。
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