以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施例において同一の構成については、同一の符号を付し、最初の実施例においてのみ説明し、以後の実施例においてはその構成の説明を省略する。
図1は本発明に係るプリンターの斜視図であり、図2は本発明に係るプリンターの背面斜視図であり、図3は本発明に係るプリンターの用紙搬送経路を示す側断面図であり、図4は本発明に係るプリンターの用紙搬送経路から搬送ユニットを取り外した状態を示す側断面図であり、図5は本発明に係るプリンターの用紙搬送経路において搬送部周辺を示す拡大図であり、図6は図5における搬送部のローラーの位置関係を示す説明図である。
図7(A)、図7(B)は用紙搬送時における用紙の斜行についての説明図であり、図8は用紙搬送時における用紙の斜行において用紙に作用する力の説明図であり、図9は本発明に係る搬送ユニットの斜視図であり、図10(A)は搬送ユニットにおいて用紙搬送経路を開放した状態を示す斜視図であり、図10(B)は搬送ユニットの下方から見た斜視図であり、図11(A)は本発明に係るプリンターにおいて背面カバーを開いた状態において上方から見た斜視図であり、図11(B)は(A)における背面カバーの拡大図である。
図12(A)はプリンターから搬送ユニットを取り外した状態を示す背面斜視図であり、(B)はプリンターに設けられたストッパー部を示す拡大斜視図であり、図13(A)は本発明に係る搬送ユニットへの動力伝達経路を示す説明図であり、図13(B)は(A)における搬送ユニットの拡大図であり、図14(A)は本発明に係るプリンターにおいて背面カバーを開いた状態を示す側断面図であり、図14(B)は搬送ユニットにおける動力伝達経路の動力伝達を切断した状態における搬送ユニットとプリンターのストッパー部との状態を示す側断面図であり、図15は第2の実施例における搬送ユニットが取り付けられたプリンターの側断面図であり、図16は第2の実施例における搬送ユニットを取り外した状態のプリンターの側断面図である。
尚、図3及び図4はプリンター10の用紙搬送経路上に配置されるローラーを図示するために、ほぼ全てのローラーを同一面上に描いているが、その奥行き方向(図3の紙面表裏方向)の位置は必ずしも一致しているとは限らない(一致している場合もある。)。また、各図において示すX−Y−Z座標系はX方向が記録ヘッドの走査方向、Y方向が記録装置の奥行き方向、Z方向がプリンターの高さ方向を示している。尚、各図において−Y方向を装置前面側とし、+Y方向側を装置背面側とする。
■■■プリンターの概要■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
図1及び図2を参照するに、本発明に係るプリンター10が示されている。プリンター10は、装置本体12と、装置本体12の上部に当該装置本体12に対して回動可能に設けられた原稿読取装置14とを備えている。装置本体12は、装置前面側(図1−Y方向側)においてユーザーがプリンター10を操作するための操作パネル部16と、装置前面側に開口した排出口18と、当該排出口18の下方に配置された媒体収容部20とを備えている。
また、装置本体12は、装置背面側(図2+Y方向側)において、装置本体12に対して回動可能に構成された背面カバー22を備えている。尚、図2において、背面カバー22は、装置本体12に対して閉じた状態にある。また、背面カバー22は、後述する回動軸と反対の側である自由端側に背面カバー22に対して回動可能に連結された媒体支持トレイ24を備えている。
次いで、図3を参照して、プリンター10における「媒体」としての用紙Pの搬送経路について説明する。プリンター10は、装置本体12において媒体収容部20と、搬送部26と、記録部28と、排出部30とを備えている。
媒体収容部20は、Z軸方向上方側に位置する上段側トレイ32と、当該上段側トレイ32の下方に位置する下段側トレイ34とを備えている。上段側トレイ32及び下段側トレイ34は、装置本体12に対しそれぞれ装置前方側(図3における−Y方向)から装着及び取り外し可能に構成されている。
尚、上段側トレイ32及び下段側トレイ34にはそれぞれ、複数の用紙Pが収容されている。尚、本実施例では、上段側トレイ32及び下段側トレイ34には異なる種類の用紙が収容されているが、以下特に区別する必要がない場合は「用紙P」という。尚、用紙Pは、媒体の一例である。
上段側トレイ32及び下段側トレイ34のそれぞれ上方には、図示しない駆動源によって回転駆動されるピックアップローラー36、38が設けられている。ピックアップローラー36、38は、それぞれ揺動軸40、42を中心に揺動する揺動部材44、46に設けられている。
操作パネル部16から入力された指令に基づいて上段側トレイ32に収容された用紙Pを搬送経路下流側に給送する際、ピックアップローラー36は上段側トレイ32に収容された用紙Pの最上位のものと接して回転することにより、当該最上位の用紙Pを上段側トレイ32から搬送経路下流側へ送り出す。同様に、下段側トレイ34に収容された用紙Pを搬送経路下流側に給送する際、ピックアップローラー38は下段側トレイ34に収容された用紙Pの最上位のものと接して回転することにより、当該最上位の用紙Pを下段側トレイ34から搬送経路下流側へ送り出す。
また、背面カバー22は、装置本体12に対して閉じられた状態にある際、その内面が用紙Pの搬送経路の一部を構成している。このため、背面カバー22の内側に形成された給送経路部48は、上段側トレイ32及び下段側トレイ34から送り出された用紙Pを搬送部26へ案内する。
搬送部26は、第1ローラー50、第2ローラー52、「第1従動ローラー」としての第1搬送従動ローラー54、「第2従動ローラー」としての第2搬送従動ローラー56、「第3従動ローラー」としての第3搬送従動ローラー58、第4搬送従動ローラー60、第5搬送従動ローラー62及び一対の搬送ローラー64を備えている。搬送ローラー64は、搬送駆動ローラー66と搬送従動ローラー68とを備えている。
ここで、第1ローラー50、第2ローラー52、第1搬送従動ローラー54、第2搬送従動ローラー56及び第3搬送従動ローラー58は、装置本体12に対して着脱可能な搬送ユニット70(図3、図4及び図9参照)を構成している。搬送ユニット70については、後ほど詳説する。尚、本実施例において第1ローラー50及び第2ローラー52は、後述する共通の駆動モーター126により反時計方向に回転駆動させられる。
また、搬送部26については、後ほど詳細に説明する。用紙Pは、搬送部26において搬送経路に沿って第1ローラー50と当接する第5搬送従動ローラー62及び第3搬送従動ローラー58、第2ローラー52と当接する第2搬送従動ローラー56及び第1搬送従動ローラー54を介して搬送ローラー64に搬送される。搬送部26の搬送ローラー64の搬送経路下流側には、記録部28が設けられている。
記録部28は、走査方向(図3におけるX軸方向)に移動可能なキャリッジ72と、キャリッジ72の下部に設けられ、用紙Pにインクを吐出する記録ヘッド74と、記録ヘッド74と対向し、用紙Pを支持するように設けられたプラテン76とを備えている。
さらに、記録部28の搬送経路下流側には、排出部30が設けられている。排出部30には一対の排出ローラー78と、排出ローラー78から排出された用紙Pを載置する排出スタッカー80が装置前方側(−Y方向)に排出口18から突出して設けられている。搬送経路に沿って搬送部26から記録部28へと送られた用紙Pは、その第1面に記録が実行される。記録実行後、用紙Pは排出ローラー78にニップされ、装置前方側に設けられた排出スタッカー80へ排出される。
また、プリンター10において用紙Pの両面に記録を行う場合には、記録部28によって用紙Pの第1面に記録が行われた後、用紙Pは搬送ローラー64及び排出ローラー78の逆送り動作により前記第1面に記録が実行された際に用紙後端となっていた側が先端となってZ軸方向における第2ローラー52の−Z方向側に位置する(後述する搬送ユニット70の下方に位置する)反転経路82へと送られる。反転経路82は、第1ローラー50及び第2ローラー52の下方(図3における−Z方向)に沿って設けられ、媒体収容部20からの用紙Pの搬送経路に合流するように設けられている。
このため、用紙Pは反転経路82から前記搬送経路、第1ローラー50及び第2ローラー52の上方に位置する搬送経路を介して再度記録部28に送られ、第2面の記録が実行される。そして記録実行後、用紙Pは排出ローラー78にニップされ、装置前方側に設けられた排出スタッカー80へ排出される。
■■■第1の実施例■■■■
■■■搬送部のローラー配置■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
次いで、図3〜図6を参照して搬送部26について搬送経路に沿って詳細に説明する。
尚、説明の都合上、第1搬送従動ローラー54ないし第5搬送従動ローラー62及び第1位置Y1ないし第4位置Y4を前後して説明する。
第1ローラー50と第2ローラー52とは、図3及び図5におけるZ軸方向においてオーバーラップする位置に設けられている。このため、Z軸方向における第1ローラー50と第2ローラー52の配置領域の寸法を最小限に抑えることができる。また、第1ローラー50と第2ローラー52とはY軸方向において間隔をおいて配置されている。このため、用紙Pの搬送経路において、搬送経路上流側に第1ローラー50が位置し、搬送経路下流側に第2ローラー52が位置している。また、前記間隔は、プリンター10に対応する用紙Pの搬送経路方向における最小長さよりも小さく設定されている。
さらに、第1ローラー50及び第2ローラー52は、本実施例において同径に設定され、記録部28の記録ヘッド74に対して装置前後方向(図3及び図5におけるY軸方向)において記録ヘッド74の配置領域に対して後方側(+Y方向)に位置し、装置高さ方向(Z軸方向)において記録ヘッド74の配置領域とオーバーラップする位置に設けられている。このため、装置高さ方向(Z軸方向)における記録ヘッド74の配置領域と第1ローラー50及び第2ローラー52の配置領域との重畳を回避して、装置高さ方向(Z軸方向)の寸法増加を抑えることができる。
また、第1ローラー50は、図5に示すようにその外周面を利用して記録ヘッド74側から送られてきた用紙Pの第1面と第2面とを反転させる。さらに、第2ローラー52は、その外周面が第1ローラー50により反転させられる前の用紙Pの搬送経路である反転経路82と第1ローラーにより反転させられた用紙Pの搬送経路である第1ローラー50及び第2ローラー52の上方の搬送経路の双方に面して用紙Pに搬送力を付与している。
続いて、第1ローラー50、及び第2ローラー52に接する従動ローラー(符号54、56、58、60、62)について説明する。以下、符号62、58、56、54、60で示す従動ローラーの順に図5を参照しつつ一通り概説し、その後に、図6を参照しつつ各従動ローラーの位置関係について更に詳しく説明する。
第5搬送従動ローラー62は媒体収容部20からの搬送経路の一部を構成する背面カバー22の給送経路部48において第1ローラー50と当接するように設けられている。第5搬送従動ローラー62は、第1ローラー50との間で用紙Pをニップして従動回転し、用紙Pを搬送経路下流側に位置する第3搬送従動ローラー58に向けて搬送する。
第5搬送従動ローラー62の下流に位置する第3搬送従動ローラー58は、第1ローラー50との間で用紙Pをニップして従動回転し、用紙Pを搬送経路下流側に位置する第2搬送従動ローラー56に向けて搬送する。
第2搬送従動ローラー56は、第2ローラー52との間で用紙Pをニップして従動回転し、用紙Pを搬送経路下流側に位置する第1搬送従動ローラー54へ搬送する。
第1搬送従動ローラー54は、第2ローラー52との間で用紙Pをニップして従動回転し、用紙Pを搬送経路下流側に位置する一対の搬送ローラー64に搬送する。
また、第4搬送従動ローラー60は、図3におけるZ軸方向において第2ローラー52の−Z方向側に位置し、該第2ローラー52と当接する。第4搬送従動ローラー60は、後述する搬送駆動ローラー66及び搬送従動ローラー68から+Y方向に戻されてきた用紙Pを反転経路82下流側に位置する第5搬送従動ローラー62に搬送する。
尚、第1搬送従動ローラー54及び第2ローラー52より搬送経路下流側、かつ記録ヘッド74と対向する領域より搬送経路上流側には、一対の搬送ローラー64を構成する搬送駆動ローラー66及び搬送従動ローラー68が設けられている。搬送駆動ローラー66及び搬送従動ローラー68は、図示しない駆動源により回転駆動させられ、用紙Pを搬送駆動ローラー66と搬送従動ローラー68との間にニップして記録ヘッド74と対向する領域へ搬送する。また、用紙Pに両面記録を実行する際は、第1面の記録実行後、用紙Pを反転経路82下流側に位置する第4搬送従動ローラー60に搬送する。
続いて、各従動ローラーの配置位置について図6を参照しつつ説明する。図6は説明の便宜上、各ローラーを簡略図示し、そして説明に不要な構成要素は図示を省略したものである。
図6において、符号84は、第1ローラー50と第2ローラー52との共通接線である(以下「第1接線84」と言う)。第1接線84が第1ローラー50と接する位置が、符号Y4で示す位置であり(以下「第4位置Y4」と言う)、第1接線84が第2ローラー52と接する位置が、符号Y1で示す位置である(以下「第1位置Y1」と言う)。
また、符号Y2は、第2ローラー52と第1搬送従動ローラー54とが接する位置である(以下「第2位置Y2」と言う)。また、符号88は、第2位置Y2における第2ローラー52と第1搬送従動ローラー54との共通接線である(以下「第3接線88」と言う)。
更に、符号Y3は、搬送駆動ローラー66と搬送従動ローラー68とが接する位置である(以下「第3位置Y3」と言う)。また、符号86は、第3位置Y3における搬送駆動ローラー66と搬送従動ローラー68との共通接線である(以下「第2接線86」と言う)。
以上の様に各位置及び各接線を定義した上で各従動ローラーの位置を説明すると、先ず、第3搬送従動ローラー58は、本実施形態では第4位置Y4に設けられている。また第2搬送従動ローラー56は、本実施形態では第1位置Y1に設けられている。
これにより、以下の作用効果が得られる。即ち、例えば仮に第2搬送従動ローラー56が第1位置Y1より上流側にあると、第1ローラー50と第2ローラー52との間の用紙Pの搬送経路が非ストレート状となり、即ち用紙Pに不要な湾曲が形成されることとなる。しかしながら本実施例における第2搬送従動ローラー56は、用紙Pの搬送方向において第1位置Y1に設けられているので、第1ローラー50と第2ローラー52との間で上記の様な不要な撓みが形成されることを防止できる。従って第2従動ローラー56の位置は、必ずしも第1位置Y1に限られず、第1位置Y1より下流側であっても良い。
同様に、第3搬送従動ローラー58が第4位置Y4より下流側にあると、第1ローラー50と第2ローラー52との間の用紙Pの搬送経路が非ストレート状となり、即ち用紙Pに不要な湾曲が形成される。しかしながら、本実施例における第3搬送従動ローラー58は、用紙Pの搬送経路において第4位置Y4に設けられているので、第1ローラー50と第2ローラー52との間で上記の様な不要な撓みが形成されることを防止できる。従って第3従動ローラー58の位置は、必ずしも第4位置Y4に限られず、第4位置Y4より上流側であっても良い。
次に、第1搬送従動ローラー54は、第2接線86と第2ローラー52の外周の交点である第5位置Y5に対し、第2搬送従動ローラー56の側に設けられている。より具体的には、第1搬送従動ローラー54は、第2接線86と第2ローラー52の外周の交点である第5位置Y5より下側の領域ではなく、上側の領域に設けられている。
ここで、仮に第1搬送従動ローラー54が、第2接線86より上側の領域ではなく、下側の領域に設けられているとすると、用紙Pが第2位置Y2を抜けて搬送駆動ローラー66と搬送従動ローラー68とのニップ位置に向かう際、不自然な湾曲が形成される。しかしながら、第1搬送従動ローラー54は、第2接線86と第2ローラー52の外周の交点である第5位置Y5より下側の領域ではなく、上側の領域に設けられているので、第2位置Y2から搬送駆動ローラー66及び搬送従動ローラー68に向けて、用紙Pを自然な姿勢で無理なく送り出すことができる。
さらに、本実施例において第2接線86と第3接線88とは搬送経路において一致しない。即ち、第3接線88は、図6におけるYZ平面において第2接線86と平行ではなく、第2位置Y2と第3位置Y3との間で第2接線86と所定の角度で交差する構成である。これにより、以下の作用効果が得られる。
即ち、仮に第3接線88が第2接線86と一致する場合、つまり第2位置Y2を抜けた用紙Pが一直線に第3位置Y3に向かう構成であると、用紙Pが第2位置Y2と第3位置Y3とでそれぞれニップされてスキュー取り動作が実行される際に、第1面側が凸となって撓む場合も生じ得るし、第2面側が凸となって撓む場合も生じ得る。つまり、用紙Pのスキュー取り時における撓み形成方向に規則性が得られない。
しかし、本実施例では、第3接線88が第2接線86と一致しないことから、第1搬送従動ローラー54と第2ローラー52とによる用紙Pのニップ位置(第2位置Y2)と、搬送駆動ローラー66及び搬送従動ローラー68とによる用紙Pのニップ位置(第3位置Y3)との間において、媒体に形成される撓みは特定方向(本実施例においては−Z方向)に凸となる様に形成される。
即ち、スキュー取り時における撓み形成方向にばらつきが生じないので、撓みを適切に形成することができ、これにより適切にスキューを除去することができる。また、本実施例では、−Z方向に撓みが形成される。このため、+Z方向に撓むことにより搬送経路近傍の装置本体12の内部構造やその他の部材と干渉する虞をなくすことができる。
尚、本実施例において第2位置Y2から第3位置Y3までの経路長は、プリンター10に対応する用紙Pの搬送経路方向における最小長さよりも短く設定されている。これにより、用紙サイズに拘わらず第2位置Y2と第3位置Y3との間で用紙の受け渡しができる。
また、図5に示す破線状の反転経路において、その経路長は、用紙Pの搬送方向における先端側と後端側とが反転搬送経路上において重ならないように、プリンター10に対応する用紙Pの搬送経路方向における最大長さより長く設定されている。
ここで本実施形態では、第2ローラー52により用紙Pを反転させるための反転経路82の長さを確保しているので、反転経路82の長さを確保するに際して、第1ローラー50の大径化を抑えることができる。また、第2ローラー52が用紙Pの反転前の反転経路及び反転後の搬送経路に搬送力を付与することができることから、ローラーの配置数を減らすことができ、コストアップを抑えることができる。
ここで、再度、用紙Pの搬送経路について説明すると、上段側トレイ32及び下段側トレイ34から送り出された用紙Pは、背面カバー22の給送経路部48に案内され、第1ローラー50と第5搬送従動ローラー62とにニップされる。そして、用紙Pは第1ローラー50の外周面に沿って送られ、第1ローラー50と第3搬送従動ローラー58とにニップされる。そして、用紙Pは搬送経路下流側に送られる。
媒体収容部20(上段側トレイ32及び下段側トレイ34)から給送される用紙Pの給送経路は、第1ローラー50により形成される搬送経路に合流する。このため、第1ローラー50が反転経路とともに非反転経路も構成する。これにより省スペース化と部品点数の削減を図ることができる。
また、媒体支持トレイ24に支持された用紙Pは、媒体支持トレイ24から供給経路部90を介して第1ローラー50により形成される搬送経路において第3搬送従動ローラー58の位置より搬送経路上流側で合流する。そして、媒体支持トレイ24から送られた用紙Pは媒体収容部20から搬送されてきた用紙Pと同じ搬送経路を通って搬送経路下流側に送られる。
さらに、媒体支持トレイ24から供給される用紙Pの供給経路部90が第1ローラー50により形成される搬送経路に合流することから、第1ローラー50が媒体支持トレイ24からの媒体供給経路をも構成することができる。これにより省スペース化と部品点数の削減を図ることができる。
また、図5に示すように、第1ローラー50の下流には第2ローラー52が位置している為、媒体支持トレイ24を介して供給される用紙Pの供給経路の長さ(記録部28に至るまでの経路長)を確保することができる。
このため、媒体支持トレイ24を介してユーザーにより手差しで用紙Pが供給される場合に、ユーザーが推奨セット位置を大きく超えて用紙Pを装置奥深くまで差し入れることを防止でき、さらに用紙Pの先端が記録ヘッド74と対向する位置にまで達することを防止できる。
また、媒体支持トレイ24から供給経路部90を介して供給される用紙Pは、第3搬送従動ローラー58の位置である第4位置Y4よりも搬送経路上流側で合流する。このため、用紙Pは第1ローラー50及び第2ローラー52により形成される搬送経路である反転経路を抜けるまで第1搬送従動ローラー54、第2搬送従動ローラー56及び第3搬送従動ローラー58の複数のローラーでニップされる。このため、媒体支持トレイ24を介して手差しで供給される用紙Pが、装置奥深くの不適切な位置にまで差し入れられることを防止することができる。
次いで、用紙Pは、第2ローラー52と第2搬送従動ローラー56とのニップ点である第1位置Y1においてニップされる。そして用紙Pは搬送経路下流側に送られ、第2ローラー52と第1搬送従動ローラー54とのニップ点である第2位置Y2においてニップされる。
ここで、第1位置Y1に第2搬送従動ローラー56が設けられ、第4位置Y4に第3搬送従動ローラー58が設けられていることから、第1ローラー50と第2ローラー52との間で用紙Pは第1接線84に沿った姿勢となる。このため、用紙Pはストレート状の姿勢となるので無理なく両ローラー間を搬送することができる。
その後、用紙Pは、さらに搬送駆動ローラー66と搬送従動ローラー68との間の第3位置Y3に搬送され、搬送駆動ローラー66と搬送従動ローラー68とにニップされ、搬送経路下流側の記録部28へと送られ、用紙Pの第1面に記録が実行される。記録実行後、用紙Pは排出ローラー78にニップされ、装置前方側に設けられた排出スタッカー80へ排出される。
また、プリンター10において用紙Pの両面に記録を行う場合には、記録部28によって用紙Pの第1面に記録が行われた後、用紙Pは搬送ローラー64及び排出ローラー78の逆送り動作により前記第1面に記録が実行された際に用紙後端となっていた側が先端となってZ軸方向における第2ローラー52の−Z方向側に位置する反転経路82へと送られる。
反転経路82内に送られた用紙Pは、第2ローラー52と第4搬送従動ローラー60とによりニップされ、第1ローラー50の−Z方向側の外周面に送られる。そして用紙Pは、第1ローラー50の外周面に沿って再度第1ローラー50と第5搬送従動ローラー62とにニップされる。このため、用紙Pは湾曲反転させられる。その後、用紙Pは、搬送経路に沿って第1ローラー50、第3搬送従動ローラー58、第2搬送従動ローラー56、第1搬送従動ローラー54、第2ローラー52を介して搬送ローラー64により記録部28に送られる。
このため、前記第2面が記録ヘッド74と対向する。記録部28により前記第2面の記録が行われた用紙Pは、排出ローラー78にニップされ、装置前方側に設けられた排出スタッカー80へ排出される。
■■■斜行を抑制する為の構成■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
次いで、図7(A)、図7(B)及び図8を参照して、用紙Pの斜行について説明する。図7(A)において用紙Pをニップするのが第2ローラー52及び第1搬送従動ローラー54のみの構成において用紙Pが第2ローラー52と第1搬送従動ローラー54とにニップされて第2位置Y2から第3位置Y3まで搬送される際、用紙Pが搬送方向と交差する方向である用紙幅方向(図7(A)においてX軸方向)に傾いて搬送されることがある。尚、この際、第2ローラー52及び搬送駆動ローラー66は図7(A)における反時計周り方向に回転している。
このため、図7(B)に示すように用紙Pの斜行を矯正するために、第2ローラー52を図7(B)における反時計周り方向に回転させつつ、搬送駆動ローラー66を時計方向に回転させるスキュー取り動作が行われる。このため、用紙Pの反力で用紙Pの先端が搬送駆動ローラー66に倣い、傾きが矯正される。
このとき、搬送時の傾きが大きいと、スキュー取り動作により用紙Pにおいて第2位置Y2と第3位置Y3との間に生じる撓みに搬送方向と交差する方向に、図8で示す様に差τ1−τ2が生じる。尚、図8において用紙Pの+X側に生じる撓み量はτ1であり、−X側に生じる撓み量はτ2であり、τ1はτ2よりも大きい。
この状態から用紙Pを搬送すると、用紙Pには図8に示すように用紙Pを搬送経路に沿って搬送する搬送力F1と、撓み差を開放しようとする力F2が作用する。+X側の力F2(撓みτ1)は+X側の力F2(τ2)より大きいので、用紙Pには、第2ローラー52と第1搬送従動ローラー54とのニップ点を回転中心Cとして回転しようする回転力F3が作用する。この様な傾向により、用紙Pは搬送駆動ローラー66と搬送従動ローラー68とによってニップされていても、搬送駆動ローラー66と搬送従動ローラー68の間から下流側に進む用紙Pには、+X側が−X側よりも下流側に多く押し出される傾向が生じ、その結果スキューが生じてしまう。
しかし、本実施例では用紙Pは第1位置Y1より搬送方向下流の第2位置Y2でニップされることに加えて、第2ローラー52と第2搬送従動ローラー56とのニップ位置である第1位置Y1においてニップされていることから、搬送方向と交差する方向である用紙幅方向(図8におけるX軸方向)における用紙Pの動きが規制され、上記回転力F3による用紙Pの回転を規制する。
つまり、用紙Pを反転させる反転経路の出口を形成する第2ローラー52には、第1搬送従動ローラー54に加え、第2搬送従動ローラー56が接することとなる。したがって、少なくとも二つのニップ位置(図8におけるY1及びY2)が形成されるので、反転経路出口での用紙Pの回転が良好に抑えられ、反転経路より下流での用紙Pの送り精度に左右差が生じることを防止できる。
さらに、用紙Pが搬送経路に沿って第1ローラー50及び第2ローラー52により搬送される際、用紙Pは第3搬送従動ローラー58、第2搬送従動ローラー56及び第1搬送従動ローラー54の順にニップされながら搬送されるので、この様に多くのローラーでニップされながら搬送されることで、搬送時の用紙Pの斜行を更に良好に抑制することができる。
■■■搬送ユニットの構成■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
次いで図9、図10(A)及び図10(B)を参照して搬送ユニット70について説明する。搬送ユニット70は、装置本体12に対して着脱可能(図3及び図4参照)に構成されている。尚、搬送ユニット70の装置本体12への着脱方法については後述する。
搬送ユニット70は、ユニット本体92と、カバー部94とを備えている。本実施例においてユニット本体92には、+X方向側の端部に被駆動伝達部96が設けられている。被駆動伝達部96は、第1伝達ギヤ98と、第2ローラー駆動ギヤ100と、第2伝達ギヤ102と、第1ローラー駆動ギヤ104とを備えている。第1伝達ギヤ98は第2ローラー駆動ギヤ100と係合し、当該第2ローラー駆動ギヤ100は第2伝達ギヤ102と係合し、当該第2伝達ギヤ102は第1ローラー駆動ギヤ104と係合している。
また、第2ローラー駆動ギヤ100は、図示しない軸により第2ローラー52と連結されている。また、第1ローラー駆動ギヤ104も、図示しない軸により第1ローラー50と連結されている。
また、搬送ユニット70の被駆動伝達部96は、搬送ユニット70が装置本体12に取り付けられた状態において後述する装置本体12側の駆動伝達部106に接続され、駆動伝達部106から駆動力を受け取る。被駆動伝達部96は、装置本体12側の駆動伝達部106の駆動力により、第1ローラー50及び第2ローラー52を駆動させる。搬送ユニット70に駆動源を設ける必要がなく、搬送ユニット70の重量増加を抑えることができる。
また、本実施例において第1ローラー50及び第2ローラー52は、ユニット本体92の幅方向(図10(A)におけるX軸方向)において中央部に配置されている。このため、第1ローラー50及び第2ローラー52は、用紙Pを搬送する際、用紙搬送方向と交差する方向である用紙幅方向(図10(A)におけるX軸方向)において用紙Pの一部分と接することとなる。
また、第1ローラー50は、ユニット本体92の後端側(図10(A)における+Y方向側)に配置されている。第2ローラー52は、第1ローラー50と−Y方向側に間隔をおいて配置されている。
また、本実施例において第1ローラー50と第2ローラー52とは、同じ径寸法に設定されている。このため、第1ローラー50と第2ローラー52とを共通の部材で構成することができ、低コスト化を図ることができる。また、第1ローラー50と第2ローラー52とは同径であることから、両ローラーの回転数を同じにすることによりローラー外周の周速である用紙搬送速度を容易に等しくできる。また、第1ローラー50と第2ローラー52とを同じ径寸法にすることにより、ユニット本体92と後述するカバー部94との間に形成される搬送経路において搬送される用紙Pを水平に保つことができる。
また、第1ローラー50及び第2ローラー52における用紙搬送速度を等しくできることから第1ローラー50と第2ローラー52との間で用紙Pに引っ張り力を付与することがなく、或いは撓みを与えることがない。その結果、良好に用紙Pを搬送経路に沿って搬送することができる。
また、第1ローラー50及び第2ローラー52は、第1伝達ギヤ98からの駆動力により駆動される。このため、第1ローラー50及び第2ローラー52を駆動する駆動源を共通とすることができる。このため、第1ローラー50及び第2ローラー52の駆動源を別々に設ける必要がないことから、コストアップを抑制することができる。
また、第1ローラー50及び第2ローラー52が装置本体12に対して着脱可能な搬送ユニット70を構成することから、搬送ユニット70を装置本体12から取り外すことで、装置本体12内に設けられた反転経路82が露呈し、用紙Pのジャム(紙詰まり)発生時に詰まった用紙Pを容易に取り除くことができる。
カバー部94は、図9及び図10(A)に示すようにユニット本体92の−Y方向側に設けられた回動軸に取り付けられ、ユニット本体92に対して回動することにより開閉可能に構成されている。具体的には、カバー部94は図7に示すユニット本体92に対して閉じている状態と、図10(A)に示すユニット本体92に対して開いている状態とを取り得る。また、図10(A)に示すようにカバー部94の内面94aには、搬送ユニット70における幅方向(X軸方向)の中央部に第1搬送従動ローラー54、第2搬送従動ローラー56及び第3搬送従動ローラー58が回転自在に設けられている。
第1搬送従動ローラー54、第2搬送従動ローラー56及び第3搬送従動ローラー58は、カバー部94がユニット本体92に対して閉じられた状態にある際、第1ローラー50及び第2ローラー52と図5に示す位置(第1位置Y1、第2位置Y2及び第4位置Y4)で当接するように内面84aに配置されている。
このため、カバー部94がユニット本体92に対して閉じられた状態において第1搬送従動ローラー54、第2搬送従動ローラー56及び第3搬送従動ローラー58は、第1ローラー50及び第2ローラー52とそれぞれ第1位置Y1、第2位置Y2及び第4位置Y4で当接する。また、カバー部94がユニット本体92に対して開放された状態において、第1搬送従動ローラー54、第2搬送従動ローラー56及び第3搬送従動ローラー58は、第1ローラー50及び第2ローラー52からそれぞれ離間する。
このため、本実施例では第1ローラー50、第2ローラー52、第1搬送従動ローラー54、第2搬送従動ローラー56及び第3搬送従動ローラー58が、搬送ユニット70の幅方向である用紙Pの幅方向(図10(A)におけるX軸方向)における中央部に配置されていることから、用紙Pを搬送する際、用紙Pの幅方向(図10(A)におけるX軸方向)における中央領域と接することとなる。
また、カバー部94を開放することにより、搬送ユニット70の内部に詰まった用紙P、例えば小サイズの用紙Pを容易に取り除くことができる。
また、ユニット本体92は、上面92a及び下面92bを備えている。上面92aは、カバー部94がユニット本体92に対して閉じられている際、カバー部94の内面94aと所定の間隔をおいて対向する。上面92aと内面94aとは、カバー部94がユニット本体92に対して閉じられている際、用紙Pの搬送経路の一部を構成する。また、下面92bは、搬送ユニット70が装置本体12に取り付けられた際、装置本体12の支持板108(図3ないし図5参照)との間に反転経路82(図3ないし図5参照)を構成する。
また、第1ローラー50及び第2ローラー52は、ユニット本体92の上面92a及び下面92bから前記搬送経路及び反転経路82へ突出している。また、ユニット本体92の後端側(図9におけるY方向側)はカバー部94が閉じられている状態においても開放され、露出している。
尚、ユニット本体92の後端側(図9におけるY方向側)は、搬送ユニット70が装置本体12に装着され、背面カバー22が装置本体12に対して閉じられた状態にある際、背面カバー22の給送経路部48と対向する。ユニット本体92の後端側と給送経路部48とは、媒体収容部20からの搬送経路の一部及び反転経路82の一部を構成する。
また、第1ローラー50はユニット本体92の後端側から当該後端部と給送経路部48とが形成する搬送経路に突出している。このため、第1ローラー50は、ユニット本体92の上面92a、後端側、下面92bにおいてその外周面が搬送経路及び反転経路に突出しており、第1ローラー50の回転を用紙Pの搬送に用いることができる。
また、ユニット本体92の後端側(図9における+Y方向側)の幅方向(図9におけるX軸方向)における両端部には+Y方向側に突出する把持部110が設けられている。このため、搬送ユニット70を装置本体12に着脱する際の作業性が容易となる。
また、ユニット本体92の下面92bにおいてユニット本体92の幅方向(図10(B)におけるX軸方向)の両端部には、下面92bから図10(B)における−Z方向に突出する突起112(図9及び図10(B)参照)がそれぞれ設けられている。また、ユニット本体92の後端側(図9における+Y方向側)の幅方向(図9におけるX軸方向)における両端部には、被押圧部114がそれぞれ設けられている。尚、突起112及び被押圧部114については、後ほど詳細に説明する。
次いで図11(A)、図11(B)、図12(A)及び図12(B)を参照して背面カバー22及び装置本体12の搬送ユニット70の装着部116(図12(A)参照)について説明する。図11(A)を参照するに、装置本体12に対して背面カバー22が開いた状態にある。このとき、装置本体12において搬送ユニット70が装着されている。このため、背面カバー22及び背面カバー22に設けられた媒体支持トレイ24を装置本体12に対して開放すると、搬送ユニット70の後端側(図9において+Y方向側)及び第1ローラー50の少なくとも一部が装置本体12の外側に露呈された状態となる。
このため、媒体収容部20からの搬送経路の一部及び媒体支持トレイ24からの供給経路の一部が装置本体12の外側に露呈することとなる。また、第1ローラー50の少なくとも一部も露呈していることから、前記搬送経路及び前記供給経路に詰まった用紙Pを露呈させることができ、用紙Pを容易に取り除くことができるため、ジャム処理作業が容易となる。
また、背面カバー22が装置本体12に対して開いた状態にある場合、搬送ユニット70の第1ローラー50と、背面カバー22の内側に設けられた第5搬送従動ローラー62とは離間した状態となる。このため、媒体収容部20から送られた用紙Pが、媒体収容部20からの搬送経路において詰まった際、用紙Pを容易に取り除くことができる。
図11(A)及び図11(B)を参照するに、背面カバー22の内側には、搬送経路の一部を構成する給送経路部48が設けられている。また、図11(A)におけるX軸方向において背面カバー22の両端部には、押圧部118がそれぞれ設けられている。押圧部118は、背面カバー22において当該背面カバー22が装置本体12に対して閉じられた際、搬送ユニット70の被押圧部114と係合する位置に設けられている。
このため、装置本体12に搬送ユニット70が装着されている状態において背面カバー22が装置本体12に対して閉じられると、被押圧部114と押圧部118とが係合する。このため、背面カバー22は、装置本体12に対して閉じた状態において搬送ユニット70と当接することにより閉姿勢が規定される。
したがって、背面カバー22と搬送ユニット70との相対的な位置関係が正確に定まる。このため、背面カバーと搬送ユニット70とで用紙Pの搬送経路を形成する場合には、背面カバー22の給送経路部48と搬送ユニット70の後端側とが適切な間隔で対向することとなり、用紙Pの搬送経路を適切に形成することができる。
次いで図12(A)を参照するに、装置本体12から搬送ユニット70が取り外された状態が示されている。装置本体12には、背面カバー22が開いた状態にある場合、装置背面側(図12(A)において+Y方向側)に向けて露呈する装着部116が設けられている。装着部116には、装置背面側(+Y方向側)から−Y方向側に搬送ユニット70を挿入することにより搬送ユニット70を装着することができる。
このため、搬送ユニット70は、装置本体12に設けられた開閉可能な背面カバー22を開放することにより露呈する装着部116に装着されることから、搬送ユニット70が意図せず脱落することを防止できる。また、搬送ユニット70が、装置本体の外観を構成する部材をその構成要素としない、背面カバー22と搬送ユニット70とは別途に構成されているため、搬送ユニット70を軽量化することができ、当該搬送ユニット70を作業性容易に着脱することができる。また、プリンター10が大型化した場合においても搬送ユニット70の重量増加を抑え、良好な取り扱い性を確保することができる。
また、図12(B)を参照するに装着部116の幅方向(図12(A)及び図12(B)におけるX軸方向)における+X方向側の端部が示されている。反転経路82を構成する装置本体12の支持板108において、前記幅方向の+X方向側の端部には傾斜面120が設けられている。また、図示しないが傾斜面120は、支持板108の−X方向側の端部にも設けられている。傾斜面120は、後述する駆動力切断位置Y6(図14(B)参照)において搬送ユニット70の突起112と係合し、搬送ユニット70を駆動力切断位置Y6に保持する保持手段122を構成する。
次いで、図13(A)、図13(B)、図14(A)及び図14(B)を参照して、搬送ユニットの70の装置本体12に対する着脱方法、動力伝達手段の接続及び切断について説明する。
図13(A)及び図13(B)において、装置本体12の駆動伝達部106は、搬送ユニット70の被駆動伝達部96と接続された状態にある。装置前後方向(図13(A)におけるY軸方向)において駆動伝達部106と被駆動伝達部96とが接続された状態における装置本体12に対する搬送ユニット70の位置を駆動力伝達位置Y6(図13(B)参照)とする。
ここで、駆動伝達部106は、複数の歯車から構成される歯車輪列として構成されている。前記歯車輪列の一端に位置する駆動ギヤ124は駆動モーター126に接続され、他端に位置する第3伝達ギヤ128は、被駆動伝達部96の第1伝達ギヤ98と係合している。ここで、駆動伝達部106は、駆動モーター126の回転方向に関わらずに第3伝達ギヤ128は常に反時計方向に回転するように構成されている。
このため、駆動力伝達位置Y6において駆動伝達部106と被駆動伝達部96とが接続されている場合、駆動モーター126の回転駆動力により第1ローラー駆動ギヤ104及び第2ローラー駆動ギヤ100を介して第1ローラー50及び第2ローラー52が図13(A)及び図13(B)における反時計周り方向に回転駆動させられる。
次いで図14(B)を参照して駆動力切断位置Y7について説明する。尚、装置前後方向(図14(B)におけるY軸方向)において被駆動伝達部96が駆動伝達部106から離間する、駆動力伝達位置Y6に対して搬送ユニット70の引き抜き側の位置を駆動力切断位置Y7(図14(B)参照)とする。
図14(A)において背面カバー22が装置本体12に対して開放されると、搬送ユニット70の被押圧部114と押圧部118との係合状態が解除される。このため、搬送ユニット70は、装置本体12に対するY軸方向における規制が解除される。このため、搬送ユニット70は、装置本体12に対して+Y方向側に変位可能となる。
ここで、搬送ユニット70を、把持部110(図9参照)を把持して+Y方向にスライドさせると、図14(B)に示すようにY軸方向において駆動力伝達位置Y6から駆動力切断位置Y7に移動する。その結果、駆動伝達部106の第3伝達ギヤ128と被駆動伝達部96の第1伝達ギヤ98との係合が解除される。このため、被駆動伝達部96が駆動伝達部106から離間し、駆動モーター126の駆動力が伝達されなくなる。
このため、被駆動伝達部96を構成する第1伝達ギヤ98、第2ローラー駆動ギヤ100、第2伝達ギヤ102及び第1ローラー駆動ギヤ104は、自由回転可能な状態となる。したがって被駆動伝達部96により回転させられる第1ローラー50及び第2ローラー52も自由回転可能な状態となる。
また、このとき、搬送ユニット70の突起112は、搬送ユニット70が駆動力伝達位置Y6から駆動力切断位置Y7にスライドすることにより、支持板108に設けられた傾斜面120と係合する。このため、搬送ユニット70は、当該搬送ユニット70に所定の大きさ以下の引き抜き力が作用する場合、突起112及び傾斜面120により構成される保持手段122によりY軸方向において駆動力切断位置Y7に保持される。
したがって、搬送ユニット70は、装置本体12に装着された状態において被駆動伝達部96が駆動伝達部106に接続する駆動力伝達位置Y6と、被駆動伝達部96が駆動伝達部106から離間する、第1位置に対して搬送ユニット70の引き抜き側の位置である駆動力切断位置Y7との間を変位可能に構成されている。
さらに、搬送ユニット70に所定の大きさ以上の引き抜き力が作用することにより、突起112が傾斜面120を図14(B)における+Z方向に沿って乗り越えて、保持手段122は搬送ユニット70の第2位置Y2における保持を解除することができる。このため、搬送ユニット70は、装置本体12の装着部116から装置本体12の外側へ移動し、装置本体12から取り外された状態(図12(A)参照)となる。
搬送ユニット70に対して所定以上の引き抜き力を与えれば、搬送ユニット70を装着部116から引き抜くことができるので、駆動力切断位置Y7にある搬送ユニット70を完全なロック状態とする構成と比して、搬送ユニット70を引き抜く際の作業性が容易となる。
また、搬送ユニット70を装置本体12に装着する際は、装着部116に図12(B)における+Y方向から挿入する。そして、搬送ユニット70が装置本体12に対して駆動力切断位置Y7に位置する状態において、背面カバー22を装置本体12に対して閉じる。そして、背面カバー22の押圧部118(図11(B)参照)が搬送ユニット70の被押圧部114(図9参照)と係合して、被押圧部114を−Y方向に押圧し、搬送ユニット70を駆動力伝達位置Y6に押し込む。これにより被駆動伝達部96が駆動伝達部106に接続され、駆動モーター126からの駆動力が伝達される。
<<<第1の実施例の変更例>>>
(1)本実施例において、第1ローラー50及び第2ローラー52は、用紙Pの搬送方向と交差する方向である搬送ユニット70のユニット本体92において幅方向中央に一つずつ設ける構成としたが、第1ローラー50及び第2ローラー52の少なくとも一方を前記交差する方向であるユニット本体92の幅方向に沿って複数設ける構成としてもよい。特に第2ローラー52を前記幅方向に複数設ける構成では、用紙Pが用紙Pの幅方向における複数位置で第2ローラー52と接することにより、用紙Pの搬送時の斜行を抑えることができる。
(2)また、第1ローラー50及び第2ローラー52の少なくとも一方を前記交差する方向であるユニット本体92の幅方向に沿って複数設ける構成において、第1ローラー50及び第2ローラー52とそれぞれ当接する第1搬送従動ローラー54、第2搬送従動ローラー56及び第3搬送従動ローラー58も前記幅方向に複数設ける構成としてもよい。この構成では、さらに用紙Pの搬送時における斜行を防止できる。
(3)本実施例において、保持手段122の突起112を搬送ユニット70側に、傾斜面120を装置本体12側に設ける構成としたが、突起112を装置本体12側に、傾斜面120を搬送ユニット70側に設ける構成としてもよい。
(4)本実施例において、第1ローラー50及び第2ローラー52は、その外周面を利用して用紙Pを搬送する構成としたが、第1ローラー50と第2ローラー52との間に無端ベルトを巻回して、第1ローラー50及び第2ローラー52の回転に伴って駆動される当該無端ベルトにより用紙Pを搬送する構成としてもよい。
■■■第2の実施例■■■■
図15及び図16を参照するに、本発明の第2の実施例に係るプリンター130が示されている。プリンター130は、第1搬送従動ローラー54、第2搬送従動ローラー56及び第3搬送従動ローラー58が搬送ユニット132にではなく、装置本体134に設けられている点で第1実施例と異なる。
図15及び図16に示すように、プリンター130は装置本体134に対して搬送ユニット132が着脱可能に構成されている。尚、搬送ユニット132の着脱は、装置本体134に対して背面カバー22を開閉することにより行われる。搬送ユニット132には、第1実施例と同様に第1ローラー50及び第2ローラー52が設けられている。第1ローラー50及び第2ローラー52は、第1の実施例と同様に搬送ユニット132が装置本体134に装着され、装置本体134の駆動伝達部106に搬送ユニット132の被駆動伝達部96が接続された際、装置本体134から駆動力が供給され回転駆動させられる。
装置本体134には、搬送ユニット132が装置本体134に装着された際、第1搬送従動ローラー54、第2搬送従動ローラー56及び第3搬送従動ローラー58がそれぞれ第1ローラー50及び第2ローラー52と当接するように第1搬送従動ローラー54、第2搬送従動ローラー56及び第3搬送従動ローラー58が設けられている。
また、搬送ユニット132の後端側には、被押圧部114(図9参照)が設けられている。一方で背面カバー22の内面側である装置本体134と対向する側には押圧部118(図11(B)参照)が設けられている。
本実施例において、装置本体134に搬送ユニット132が装着され、背面カバー22が閉じられると、被押圧部114と押圧部118とが当接するとともに、押圧部118が被押圧部114を押圧する。そして、搬送ユニット132は、装置本体134に対して駆動力切断位置Y7から装置前方側(図15及び図16における−Y方向側)に移動し、駆動力伝達位置Y6となる。これにより駆動伝達部106に被駆動伝達部96が接続され、用紙Pの搬送が可能となる。
また、装置本体134に搬送ユニット132が装着された状態で、背面カバー22を装置本体134に対して開いた状態とすると、被押圧部114と押圧部118との係合状態が解消される。また、装置本体134には、被押圧部114と押圧部118とが非係合状態にある際、搬送ユニット70を図16における+Y方向に付勢する図示しない付勢手段が設けられている。このため、本実施例では、背面カバー22を装置本体134に対して開放されると搬送ユニット132が図示しない付勢手段により駆動力伝達位置Y6から駆動力切断位置Y7に変位される。
<<<第2の実施例の変形例>>>
(1)第1ローラー50と第2ローラー52とを共通の駆動モーター126により駆動する構成としたが、この構成に代えて、第1ローラー50及び第2ローラー52はそれぞれ独立した駆動モーターにより回転駆動させられる構成としてもよい。
(2)第1ローラー50と第2ローラー52とを同じ径寸法とする構成としたが、この構成に代えて、第1ローラー50及び第2ローラー52の径寸法をそれぞれ異なる径寸法として構成してもよい。
(3)第1ローラー50及び第2ローラー52の2つのローラーを駆動ローラーとして構成したが、この構成に代えて2つ以上の複数のローラーを駆動ローラーとして構成してもよい。
(4)本実施例においても、第1ローラー50及び第2ローラー52の少なくとも一方を前記交差する方向すなわち搬送ユニット132の幅方向に沿って複数設ける構成としてもよい。また、第1搬送従動ローラー54、第2搬送従動ローラー56及び第3搬送従動ローラー58も装置本体134の幅方向に複数設ける構成としてもよい。
その他、上記各実施例では本発明に係る搬送ユニット70、132を記録装置の一例としてのインクジェットプリンターに適用したが、その他液体噴射装置一般に適用することも可能である。
ここで、液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンター、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記インクジェット式記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録媒体に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体を前記被噴射媒体に付着させる装置を含むものである。
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。