JP6083346B2 - ウェーハの研磨方法及びウェーハの研磨装置 - Google Patents

ウェーハの研磨方法及びウェーハの研磨装置 Download PDF

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Description

本発明は、ヘイズムラを防止するインデックス方式のウェーハの研磨方法及びウェーハの研磨装置に関する。
シリコンウェーハに代表される半導体ウェーハの研磨には、図6に示すような、研磨布105が貼り付けられた定盤102と、定盤102上に研磨剤106を供給するための研磨剤供給機構103と、研磨するウェーハWを保持するための研磨ヘッド104から構成された研磨装置101が多く用いられている。研磨装置101は研磨ヘッド104でウェーハWを保持し、研磨剤供給機構103から研磨布105上に研磨剤106を供給するとともに、定盤102と研磨ヘッド104をそれぞれ回転させてウェーハWの表面を研磨布105に摺接させることにより研磨を行う。
また、半導体ウェーハの研磨は、研磨布の種類や研磨剤の種類を換えて、多段で行われることが多く、特に最終段で行われる研磨工程を仕上げ研磨やファイナル研磨と呼んでいる。
半導体ウェーハの研磨で用いられる研磨装置は、生産性の面から、一般的にインデックス方式と呼ばれている複数の定盤を持つ研磨装置が使用されていることが多い。インデックス方式の研磨装置を図7に示す。複数の定盤207、208、209を持つ研磨装置201は、研磨ヘッドを回転させるための研磨軸を定盤数よりも多く持つことが多く、このような研磨装置201は、研磨中に各研磨ヘッドにウェーハWのローディング(装着)とアンローディング(剥離)を行うことができるため、生産性を向上させることができる。このような研磨装置201は、中心軸202を起点に各研磨軸を旋回させる方式が用いられている。尚、図7は各研磨軸が旋回移動を開始する前の初期位置にある場合を示している。
また、インデックス方式の研磨装置は、各種配線等の保護のため、研磨ヘッドの旋回移動時の動きは研磨軸によって異なる。
例えば図7に示すような定盤を3つ持つインデックス方式の研磨装置の場合、研磨ヘッド206を取り付ける研磨軸は、4軸×n以上(図7の研磨装置201の場合は4軸)ある。初期位置がローディング/アンローディングステージ205の位置である研磨軸を第1の研磨軸204とした場合、図8に示すように、第1の研磨軸204は、ローディング/アンローディングステージ205の位置を基準として、0度(ローディング/アンローディングステージ205位置)→90度(第1の定盤207位置)→180度(第2の定盤208位置)→270度(第3の定盤209位置)→0度(ローディング/アンローディングステージ205位置)のように第1の研磨ヘッド206が旋回移動しながらウェーハの研磨が行われる。つまり、270度(第3の定盤209位置)の位置で研磨が終了すると、270度逆方向へ旋回しローディング/アンローディングステージ205位置へ戻ってウェーハWの研磨ヘッドからの剥離動作を開始する。剥離動作は、通常ウェーハのエッジ部にノズルから水流を噴射することで行う。剥離したウェーハは、水を満たしたアンローディングステージに落下した後、ロボット等により、水槽や洗浄槽など、次のステップへ搬送される。尚、図8中の第1、2、3、4の研磨軸は、図7中における、第1の研磨軸204、第2の研磨軸210、第3の研磨軸211、第4の研磨軸212をそれぞれ表している。
仕上げ研磨工程が終了したウェーハは、超音波や薬液を用いた洗浄を行った後、KLA−Tencor社製などのパーティクル測定器にてパーティクルとヘイズの検査が行われる。パーティクル測定器は、面内のヘイズの違いをヘイズマップとして出力することが可能である。このヘイズマップは、表面のムラを判定し易くするため、オートスケールで出力されることが多く、ヘイズレベルが小さくなるとムラはより見えやすくなる。
このため、従来では、オートスケールで出力した際に確認されるヘイズムラの顕在化を防止するため、仕上げ研磨剤に含有する親水剤を調整し、研磨後のウェーハ表面の保護膜を強化するなどの対策をとっていた。また、特許文献1には、ウェーハ表面に付着した研磨剤による局所的なエッチングを防止するために、仕上げ研磨終了後、40秒以内に研磨後のウェーハを洗浄槽へ投入する、あるいは、仕上げ研磨終了後のウェーハ表面に対し、霧状にしたシャワーあるいは低圧のシャワーを行い、ウェーハの表面が研磨剤で覆われた状態で洗浄する方法が記載されている。
特開2004−265906号公報
上記したように、例えば図7に示すインデックス方式の研磨装置201を用いてウェーハを研磨した場合、各研磨軸は90度旋回移動する場合と、270度旋回移動する場合があり、次のステップまでの時間がそれぞれの場合で異なる。第1の研磨軸204のウェーハは、第3の定盤209で最後の研磨をされた後、アンローディング位置まで逆方向に270度の旋回移動を行うため、研磨終了後の旋回移動中にウェーハ表面に付着した研磨剤によるエッチング作用を受ける時間が長くなり、他の研磨軸のウェーハに比べて、ヘイズムラが発生しやすい。このヘイズムラの原因は、ウェーハの研磨面に残留する研磨剤の泡である。この泡は、剥離動作によって除去されるが、ウェーハの研磨面の泡がある部分とない部分では、研磨剤の付着状態が異なるため、剥離動作までの間に、研磨剤のエッチングにより、泡のパターンの一部あるいは全体がウェーハの研磨面に残り、ヘイズムラとして観察される。
さらに、各研磨軸は初期位置が異なるため、270度の逆旋回を行うタイミングが異なる。上記したように、第1の研磨軸204は研磨終了後に270度の旋回移動を行うため、研磨終了後のウェーハの表面がエッチングされる。第2の研磨軸210、第3の研磨軸211は研磨終了前の研磨ステップの途中で270度の旋回が行われるため、この旋回移動中にウェーハ表面が研磨剤によりエッチングされてヘイズムラが発生しても、次の研磨ステップでヘイズムラが修正されることが多い。第4の研磨軸212は、研磨開始前に270度の旋回移動を行うため、研磨中断後から研磨再開までの旋回移動は全て90度となり、旋回移動中にエッチングされる時間が短いので、ヘイズムラが発生し難い理想的な動作となる。従って、研磨装置201の機構的に、ヘイズムラは第1の研磨軸204が最も発生し易く、第4の研磨軸212が最も発生し難くなる。
インデックス方式の研磨装置を使用して研磨を行った直径300mmの複数のウェーハの中から、各研磨軸の位置での研磨ヘッドで保持しながら研磨したウェーハのヘイズマップの一例を図9に示す。第1の研磨軸204にて研磨されたウェーハの研磨面は、全体的にムラっぽいことが分かる。第2の研磨軸210と第3の研磨軸211にて研磨されたウェーハの研磨面は、全体的に均一ではあるが、図中の丸で囲んだ部分で一部ムラのようなパターンが見える。第4の研磨軸212にて研磨されたウェーハの研磨面には、このようなムラは見られない。
特に、第1の研磨軸204のウェーハのヘイズムラは、直径450mmの研磨が可能な大型の研磨装置では、更に顕著となり、オートスケールのマップによるヘイズムラ判定では不良となるレベルとなる。これは、研磨装置が大型になるほど、旋回移動時間が長くなり、研磨剤にエッチングされる時間が長くなるためであると考えられる。このヘイズムラの一例を図10に示す。
このように、どの研磨軸で研磨を行うかによって、研磨後のウェーハの研磨面のヘイズマップに違いが発生し、特に第1の研磨軸204で研磨されたウェーハは、他の研磨軸で研磨されたウェーハよりもヘイズムラが潜在的に発生しやすいといった機構上の問題があった。
近年、ウェーハ表面の平滑性の改善要求が高まり、研磨後の洗浄にエッチング力の少ないブラシ洗浄等が導入されたことにより、ヘイズレベルは大きく改善した。これに伴い、インデックス方式の研磨装置で研磨した場合のインデックス方式の研磨装置特有の研磨軸間のヘイズムラが問題となってきた。特に、直径450mmのウェーハの研磨が可能な大型の研磨装置では、図10で示したような第1の研磨軸204で発生するヘイズムラは明らかな異常として認識されるようになった。
また、特許文献1に記載された方法は、仕上げ研磨後のウェーハに対し、洗浄槽投入までの時間管理や、洗浄前に霧状にしたシャワーあるいは低圧のシャワーを用いる方法であるため、図9に示したような、インデックス方式における各研磨軸の旋回移動時間の違いから発生するヘイズムラは防止することができなかった。従って、同一製品であっても、研磨に使用する研磨軸毎に、異なるヘイズパターンが混在するといった問題があった。
本発明は前述のような問題に鑑みてなされたもので、インデックス方式の研磨装置特有の、研磨ステップ途中及び研磨終了後から剥離動作開始までに発生するヘイズムラを、効果的に防止することができる研磨方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によれば、ウェーハを保持するための複数の研磨ヘッドと、前記ウェーハを研磨するための研磨布が貼り付けられた複数の定盤と、前記ウェーハの前記研磨ヘッドへの装着又は前記研磨ヘッドからの剥離を行うためのローディング/アンローディングステージを準備し、前記複数の定盤と前記ローディング/アンローディングステージを同心円上に配列し、前記研磨ヘッドを旋回移動させることによって、前記研磨ヘッドで保持した前記ウェーハの研磨に用いる前記定盤を切り替えながら複数のウェーハを同時に研磨するインデックス方式の研磨方法であって、前記定盤を切り替える際の前記ウェーハの研磨中断後から研磨再開までの時間、及び、前記ウェーハの研磨終了後から前記研磨ヘッドからの剥離動作開始までの時間を15秒以内とすることを特徴とするウェーハの研磨方法を提供する。
このように、研磨中断後から研磨再開までの時間及び研磨終了後から剥離動作開始までの時間を短くすることで、ウェーハの研磨面が研磨剤によりエッチングされる時間を短くすることができる。その結果、ウェーハの研磨面に付着した研磨剤のエッチング作用により研磨剤の泡のパターンの一部あるいは全体がウェーハ研磨面に残ることを防止できるので、ヘイズムラの発生を効果的に防止できる。
また、本発明によれば、ウェーハを保持するための複数の研磨ヘッドと、ウェーハを研磨するための研磨布が貼り付けられた複数の定盤と、前記ウェーハの前記研磨ヘッドへの装着又は前記研磨ヘッドからの剥離を行うためのローディング/アンローディングステージを具備し、前記複数の定盤と前記ローディング/アンローディングステージは同心円上に配列され、前記研磨ヘッドを旋回移動させることによって、前記研磨ヘッドで保持した前記ウェーハの研磨に用いる前記定盤を切り替えながら複数のウェーハを同時に研磨するインデックス方式の研磨装置であって、前記定盤を切り替える際の前記ウェーハの研磨中断後から研磨再開までの時間、及び、前記ウェーハの研磨終了後から前記研磨ヘッドからの剥離動作開始までの時間が15秒以内のものであることを特徴とするウェーハの研磨装置を提供する。
このようなものであれば、研磨中断後から研磨再開までの時間及び研磨終了後から剥離動作開始までの時間を短くすることができ、ウェーハの研磨面が研磨剤によりエッチングされる時間を短くすることができる。その結果、ウェーハの研磨面に付着した研磨剤のエッチング作用により研磨剤の泡のパターンの一部あるいは全体がウェーハの研磨面に残ることを防止できるので、ヘイズムラの発生を効果的に防止できる装置となる。
本発明のインデックス方式の研磨方法及び研磨装置であれば、定盤を切り替える際のウェーハの研磨中断後から研磨再開までの時間及び研磨終了後から剥離動作開始までの時間を15秒以内と短くすることで、ウェーハの研磨面が研磨剤によりエッチングされる時間を短くすることができる。その結果、ウェーハの研磨面におけるヘイズムラの発生を効果的に防止することができる。
本発明のインデックス方式の研磨装置を説明する概略図である。 本発明のインデックス方式の研磨装置の一部を示す概略図である。 本発明の研磨方法における各研磨軸の旋回移動方法の一例を示すフロー図である。 実施例1、2、比較例1、2におけるヘイズムラの発生率を示した図である。 実施例3、4、比較例3、4におけるヘイズムラの発生率を示した図である。 一般的な研磨装置の一例を示す図である。 従来のインデックス方式の研磨装置の一例を示す図である。 従来のインデックス方式の研磨方法の各研磨軸の旋回移動方法の一例を示すフロー図である。 従来のインデックス方式の研磨方法により研磨した直径300mmウェーハのヘイズマップを示した図である。 従来のインデックス方式の研磨方法により第1の研磨軸の位置で研磨した直径450mmウェーハのヘイズマップを示した図である。
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記したように、従来のインデックス方式のウェーハの研磨方法及び研磨装置においては、研磨軸毎に、次のステップ(ウェーハの研磨再開、装着、剥離)開始までの時間がそれぞれ異なり、特に研磨中断後及び研磨終了後に長時間の移動を要する研磨軸においては、ヘイズムラが発生しやすいという問題があった。
そこで、本発明者等はインデックス方式のウェーハの研磨方法及び研磨装置において、エッチング作用によるヘイズムラが発生するまでの時間を求めるために、実験を行った。具体的には、以下の表1、表2の測定1、測定2のように研磨中断から再開までの時間、及び、研磨終了から剥離動作開始までの時間を変化させヘイズムラの発生の有無を確認した。測定対象は最もヘイズムラが発生しやすい第1の研磨軸とした。すなわち、研磨中断から再開までには90度の旋回移動を含み、研磨終了後から剥離動作開始までには270度の旋回移動を含む場合を測定した。尚、ローディング/アンローディングステージでウェーハを装着してから第1の定盤で研磨を開始するまでの時間は、第1の研磨軸では研磨剤によるエッチングが無いため、表1、表2には示していない。
(測定1)
表1に示すように、測定1では、第1の研磨軸が第1の定盤で研磨を中断してから第2の定盤で研磨を再開するまでの時間を平均5.05秒、第2の定盤で研磨を中断してから第3の定盤で研磨を再開するまでの時間を平均5.10秒、第3の定盤で研磨を終了してからローディング/アンローディングステージで剥離動作開始するまでの時間を平均14.70秒として、2回の研磨を行った。この時、第1の研磨軸にて研磨されたウェーハの研磨面には、ヘイズムラが発生していなかった。尚、表1中のLD/ULとは、ローディング/アンローディングステージのことを表す。
Figure 0006083346
(測定2)
表2に示すように、測定2では、第1の研磨軸が第1の定盤で研磨を中断してから第2の定盤で研磨を再開するまでの時間を平均5.47秒、第2の定盤で研磨を中断してから第3の定盤で研磨を再開するまでの時間を平均5.53秒、第3の定盤で研磨を終了してからローディング/アンローディングステージで剥離動作開始するまでの時間を平均16.15秒として、2回の研磨を行った。この時、第1の研磨軸にて研磨されたウェーハの研磨面には、ヘイズムラが発生していた。尚、表2中のLD/ULとは、ローディング/アンローディングステージのことを表す。
Figure 0006083346
上記の測定1、測定2の結果より、ウェーハがエッチング作用を受ける時間が15秒を超えると、ヘイズムラが発生することを本発明者等は知見した。そして、定盤を切り替える際のウェーハの研磨中断後から研磨再開までの時間、及び、ウェーハの研磨終了後から研磨ヘッドからの剥離動作開始までの時間を15秒以内とすることでヘイズムラの発生を効果的に防止できることに想到し、本発明を完成させた。
まず、本発明のインデックス方式の研磨装置について図を参照して説明する。
図1、図2に示すように、本発明の研磨装置1はウェーハWを研磨するための研磨布16が貼り付けられた第1の定盤3、第2の定盤4、第3の定盤5と、ウェーハWの研磨ヘッドへのロード(装着)及びアンロード(剥離)を行うためのローディング/アンローディングステージ2を具備する。これら第1の定盤3、第2の定盤4、第3の定盤5とローディング/アンローディングステージ2は、中心軸14を中心とした同心円上に配列されている。
また、研磨装置1は、ローディング/アンローディングステージ2の上方に、ウェーハWを保持するための第1の研磨ヘッド6を取り付け回転させるための第1の研磨軸10を有している。同様に、第1の定盤3の上方には第4の研磨ヘッド9と第4の研磨軸13、第2の定盤4の上方には第3の研磨ヘッド8と第3の研磨軸12、第3の定盤5の上方には第2の研磨ヘッド7と第2の研磨軸11を有している。
各々の回転軸が同時に中心軸14を起点に旋回することで、各研磨ヘッドが旋回移動し、ウェーハの研磨に用いる定盤を切り替えながら研磨を行うものとなっている。図1に示した各研磨ヘッドと研磨軸の位置は初期位置であり、この後旋回移動を繰り返して定盤を切り替えながらウェーハの研磨、ロード、アンロードを行う。図2に示すように、各定盤の上方には、ウェーハWの研磨を行う際に研磨剤を定盤上に供給するための研磨剤供給機構15が設置されている。
ここで、本発明のインデックス方式の研磨装置は、定盤を切り替える際のウェーハWの研磨中断後から研磨再開までの時間、及び、ウェーハWの研磨終了後から研磨ヘッドからの剥離動作開始までの時間が15秒以内のものである。例えば、予め各研磨軸及び研磨ヘッドの旋回移動速度、研磨ヘッドを定盤上方で上昇又は下降させる際の動作速度、研磨レシピ(ウェーハを研磨布に押し付ける圧力、時間等の研磨加工条件)を、研磨中断後から研磨再開までの時間、及び、研磨終了後から剥離動作開始までの時間が15秒以内となるように設計した研磨装置とすれば良い。
このような研磨装置であれば、研磨中断後から研磨再開までの時間及び研磨終了後から剥離動作開始までの時間を短くすることができ、ウェーハWの研磨面が研磨剤によりエッチングされる時間を短くすることができる。その結果、ウェーハの研磨面に付着した研磨剤のエッチング作用により研磨剤の泡のパターンの一部あるいは全体がウェーハの研磨面に残ることを防止できるので、ヘイズムラの発生を効果的に防止できるものとなる。
また、図1は本発明のインデックス方式の研磨装置の一例であってこれに限定されない。図1の研磨装置は3個の定盤と4個の研磨ヘッドを具備しているが、本発明はこの数に限定されず、これらを複数用いてウェーハを同時に研磨するインデックス方式の研磨装置であれば良い。また、図1に示すような1つの定盤に割り当てる研磨ヘッドを1つではなく、複数具備する研磨装置としても良い。
次に、図1及び図2の研磨装置1を用いた場合の本発明のインデックス方式のウェーハの研磨方法について説明する。
図1及び図3に示すように、最初、ローディング/アンローディングステージ2の位置にある第1の研磨軸10は、第1の研磨ヘッド6にウェーハをロードした後、90度旋回し、第1の定盤3へ移動し、そこで研磨を開始する。次に、第1の定盤3での研磨を中断し、90度旋回し、第2の定盤4へ移動し研磨を再開する。次に、第2の定盤4での研磨を中断し、90度旋回し、第3の定盤5へ移動し第3の定盤5で研磨を再開する。
第3の定盤5でウェーハの研磨が終了すると、270度逆側に旋回し、ローディング/アンローディングステージ2へ移動し、ウェーハをアンロードし、1サイクル終了となる。その他の研磨軸も同時に、同様の旋回移動をすることで各定盤または各定盤とローディング/アンローディングステージ2を切り替えながらウェーハの研磨、ロード、アンロードを行う。
ここで、本発明では各定盤を切り替える際のウェーハWの研磨中断後から研磨再開までの時間、及び、ウェーハの研磨終了後から研磨ヘッドからの剥離動作開始までの時間を15秒以内とする。
このように、研磨中断後から研磨再開までの時間及び研磨終了後から剥離動作開始までの時間を短くすることで、ウェーハの研磨面が研磨剤によりエッチングされる時間を短くすることができる。その結果、ウェーハの研磨面に付着した研磨剤のエッチング作用により研磨剤の泡のパターンの一部あるいは全体がウェーハ研磨面に残ることを防止できるので、ヘイズムラが発生する前に次のステップへ進むことができ、ヘイズムラの発生を効果的に防止できる。
上記研磨方法では、3個の定盤と4個の研磨ヘッドを具備した研磨装置を用いているが、本発明はこの数に限定されず、これらを複数用いてウェーハを同時に研磨するインデックス方式の研磨装置であれば、いずれのものを用いても本発明を実施できる。また、図1に示すような1つの定盤に割り当てる研磨ヘッドを1つではなく、複数としたものを用いても本発明を実施できる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図1、図2に示すような本発明のインデックス方式のウェーハの研磨装置を用いて、本発明のインデックス方式のウェーハの研磨方法に従ってシリコンウェーハを研磨した。研磨対象のウェーハは直径300mmとした。実施例1では、最もヘイズムラが発生しやすい第1の研磨軸を使用して研磨を行ったシリコンウェーハのヘイズムラを、KLA−Tencor社製のパーティクル測定器SP3で測定し、ヘイズマップをオートスケールで出力した後、目視で判定した。
実施例1では、270度の旋回移動を行って、次のステップへ移行する時間を10秒とした。これは、第1の研磨軸においては、ウェーハの研磨終了から剥離動作開始までの時間である。このとき、90度の旋回移動を行って、次のステップへ移行する時間(第1の研磨軸においては、定盤を切り替える際の研磨中断から再開までの時間)は、270度の旋回移動を含む場合と比べ旋回移動時間が短いため、10秒以下となる。
図4は、ヘイズムラの発生率を示すグラフである。図4に示すように、ヘイズムラは発生しなかった。
(実施例2)
270度の旋回移動を行って、次のステップへ移行する時間(第1の研磨軸においては、ウェーハの研磨終了から剥離動作開始までの時間)を15秒としたこと以外、実施例1と同様な条件でウェーハを研磨し、ヘイズムラの有無を確認した。このとき、90度の旋回移動を行って、次のステップへ移行する時間(第1の研磨軸においては、定盤を切り替える際の研磨中断から再開までの時間)は、270度の旋回移動を含む場合と比べ旋回移動時間が短いため、15秒以下となる。
図4に示すように、ヘイズムラは発生しなかった。
(比較例1)
270度の旋回移動を行って、次のステップへ移行する時間(第1の研磨軸においては、ウェーハの研磨終了から剥離動作開始までの時間)を20秒としたこと以外、実施例1と同様な条件でウェーハを研磨し、ヘイズムラの有無を確認した。このとき、90度の旋回移動を行って、次のステップへ移行する時間(第1の研磨軸においては、定盤を切り替える際の研磨中断から再開までの時間)は、270度の旋回移動を含む場合と比べ旋回移動時間が短いため、20秒以下となる。
図4に示すように、ヘイズムラの発生率は10%弱となり、ヘイズムラの発生を防止することはできなかった。
(比較例2)
270度の旋回移動を行って、次のステップへ移行する時間(第1の研磨軸においては、ウェーハの研磨終了から剥離動作開始までの時間)を30秒としたこと以外、実施例1と同様な条件でウェーハを研磨し、ヘイズムラを評価した。このとき、90度の旋回移動を行って、次のステップへ移行する時間(第1の研磨軸においては、定盤を切り替える際の研磨中断から再開までの時間)は、270度の旋回移動を含む場合と比べ旋回移動時間が短いため、30秒以下となる。
図4に示すように、ヘイズムラの発生率は25%となり、ヘイズムラの発生を防止することはできなかった。
(実施例3)
研磨剤によるエッチング力は、研磨剤中に含まれるアルカリ成分の量によって変化する。そこで実施例3では、使用する研磨剤に濃度10%の水酸化カリウム溶液を添加して、研磨剤のエッチング力をより大きくすることで、ヘイズムラがより発生しやすい状態として直径300mmのウェーハを研磨し、ヘイズムラの有無を確認した。
このとき、270度の旋回移動を行って、次のステップへ移行する時間を15秒とした。これは、第1の研磨軸においては、ウェーハの研磨終了から剥離動作開始までの時間である。このとき、90度の旋回移動を行って、次のステップへ移行する時間(第1の研磨軸においては、定盤を切り替える際の研磨中断から再開までの時間)は、270度の旋回移動を含む場合と比べ旋回移動時間が短いため、15秒以下となる。添加した水酸化カリウムの研磨剤中での濃度は0.1%となるように調整した。そして、実施例1と同様な方法で、ヘイズムラの有無を確認した
図5は、ヘイズムラの発生率を示すグラフである。図5に示すように、ヘイズムラは発生しなかった。
(実施例4)
水酸化カリウムの研磨剤中での濃度が0.3%となるように調整したこと以外、実施例3と同様な条件でウェーハを研磨し、ヘイズムラを評価した。
図5に示すように、ヘイズムラは発生しなかった。
(比較例3)
270度の旋回移動を行って、次のステップへ移行する時間(第1の研磨軸においては、ウェーハの研磨終了から剥離動作開始までの時間)を20秒としたこと以外、実施例3と同様な条件でウェーハを研磨し、ヘイズムラを評価した。このとき、90度の旋回移動を行って、次のステップへ移行する時間(第1の研磨軸においては、定盤を切り替える際の研磨中断から再開までの時間)は、270度の旋回移動を含む場合と比べ旋回移動時間が短いため、20秒以下となる。
図5に示すように、ヘイズムラの発生率は13%となった。
(比較例4)
水酸化カリウムの研磨剤中での濃度が0.3%となるように調整したこと以外、比較例3と同様な条件でウェーハを研磨し、ヘイズムラを評価した。
図5に示すように、水酸化カリウムの増加したことにより、ヘイズムラの発生率は31%に増加した。
以上、実施例1、2、比較例1、2の結果から、定盤を切り替える際のウェーハの研磨中断から再開までの時間、及び、研磨終了から剥離動作開始までの時間を15秒以内とすれば、ヘイズムラの発生を効果的に防止できることが分かった。更に、実施例3、4、比較例3、4の結果から、よりエッチング力の強い研磨剤を使用した場合であっても、定盤を切り替える際の研磨中断から再開までの時間、及び、研磨終了から剥離動作開始までの時間を15秒以内とすれば、ヘイズムラの発生を防止できることが分かった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…研磨装置、 2…ローディング/アンローディングステージ、
3…第1の定盤、 4…第2の定盤、 5…第3の定盤、
6…第1の研磨ヘッド、 7…第2の研磨ヘッド、 8…第3の研磨ヘッド、
9…第4の研磨ヘッド、 10…第1の研磨軸、 11…第2の研磨軸、
12…第3の研磨軸、 13…第4の研磨軸、 14…中心軸、
15…研磨剤供給機構、 16…研磨布、 W…ウェーハ。

Claims (2)

  1. ウェーハを保持するための複数の研磨ヘッドと、前記ウェーハを研磨するための研磨布が貼り付けられた複数の定盤と、前記ウェーハの前記研磨ヘッドへの装着又は前記研磨ヘッドからの剥離を行うためのローディング/アンローディングステージと、各定盤の上方に設置され、前記ウェーハの研磨を行う際に水酸化カリウム溶液を含有する研磨剤を前記各定盤上に供給するための複数の研磨剤供給機構とを準備し、前記複数の定盤と前記ローディング/アンローディングステージを同心円上に配列し、前記研磨ヘッドを旋回移動させることによって、前記研磨ヘッドで保持した前記ウェーハの研磨に用いる前記定盤を切り替えながら、前記研磨剤供給機構によって前記水酸化カリウム溶液を含有する研磨剤を前記定盤上に供給しつつ、複数のウェーハを同時に研磨するインデックス方式の研磨方法であって、
    前記定盤を切り替える際の前記ウェーハの研磨中断後から研磨再開までの時間、及び、前記ウェーハの研磨終了後から前記研磨ヘッドからの剥離動作開始までの時間を15秒以内とすることを特徴とするウェーハの研磨方法。
  2. ウェーハを保持するための複数の研磨ヘッドと、前記ウェーハを研磨するための研磨布が貼り付けられた複数の定盤と、前記ウェーハの前記研磨ヘッドへの装着又は前記研磨ヘッドからの剥離を行うためのローディング/アンローディングステージと、各定盤の上方に設置され、前記ウェーハの研磨を行う際に水酸化カリウム溶液を含有する研磨剤を前記各定盤上に供給するための複数の研磨剤供給機構とを具備し、前記複数の定盤と前記ローディング/アンローディングステージは同心円上に配列され、前記研磨ヘッドを旋回移動させることによって、前記研磨ヘッドで保持した前記ウェーハの研磨に用いる前記定盤を切り替えながら、前記研磨剤供給機構によって前記水酸化カリウム溶液を含有する研磨剤を前記定盤上に供給しつつ、複数のウェーハを同時に研磨するインデックス方式の研磨装置であって、
    前記定盤を切り替える際の前記ウェーハの研磨中断後から研磨再開までの時間、及び、前記ウェーハの研磨終了後から前記研磨ヘッドからの剥離動作開始までの時間が15秒以内のものであることを特徴とするウェーハの研磨装置。
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