JP6082725B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
電子写真の分野においては、電子写真システムの発展に伴い、高画質化及び高速化に対応した静電荷像現像用トナーの開発が求められている。高画質化に対応して、粒径分布が狭く、小粒径のトナーを得る方法として、微細な樹脂粒子等を水性媒体中で凝集、融着させてトナーを得る、凝集融着法(乳化凝集法、凝集合一法)によるトナーの製造が行われている。なかでも低温定着性や耐熱保存性といった熱特性を改善するために、コアシェル構造を有するトナーが提案されている。
また近年、高速化に対応し、トナーのクリーニング性を向上させる観点から、トナー形状を制御したケミカルトナーの製造方法が提案されている。
例えば特許文献1には、樹脂粒子及び離型剤粒子を含む凝集粒子と、エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜100であるポリエチレングリコール部分を有するアニオン性界面活性剤とを含有する水性混合液の25℃におけるpHを2.5〜6.0に調整した後及び/又は調整しながら、該水性混合液中の凝集粒子を融着する工程を有する製造方法により、良好な低温定着性と帯電性とを両立し、トナー飛散も少ない、電子写真用トナーが得られると記載されている。
また、特許文献2には、ヘキサアルキルジシラザンで表面処理された、数平均粒径3〜50nmの疎水性シリカ、ポリエステル樹脂及び界面活性剤を含む混合物に水を添加して転相乳化し、樹脂粒子が水に分散してなる樹脂粒子分散液を得、これを凝集させ凝集粒子を形成し、加熱して融着し、円形度0.960以下の粒子を得る方法で、円形度が低くてクリーニング性に優れ、かつ粗粒の少ないトナー粒子を得ることができる電子写真用トナーの製造方法が記載されている。
特開2012−133233号公報 特開2014−109607号公報
球状の粒子が得やすい凝集融着法によるケミカルトナーの製造方法おいては、粒子表面の形状を制御することは難しく、特にコアシェル型のトナー粒子においては、シェルによる被覆が不十分となりやすいため、コアシェル構造によって改善された諸特性が損なわれやすいという課題がある。そのため、コアシェル構造を維持しながらトナー粒子の表面形状を制御し、トナーのクリーニング性を向上させることのできる技術の開発が求められていた。
本発明は、クリーニング性に優れ、更にドット再現性や帯電均質性にも優れる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、コアシェル構造を有する静電荷像現像用トナーの製造方法において、凝集粒子(1)、及びシェル部分を構成する樹脂の溶解度パラメータが特定の差を有する時、融着工程での温度とpH変化を制御することで、クリーニング性に優れ、更にドット再現性や帯電均質性にも優れる静電荷像現像用トナーを製造できることを見出した。
すなわち、本発明は、
工程1:樹脂粒子(X)を凝集させて、凝集粒子(1)を得る工程
工程2:凝集粒子(1)に、樹脂粒子(Y)を凝集させて、凝集粒子(2)を得る工程
工程3:凝集粒子(2)を融着させて、コアシェル粒子を得る工程
を有する、静電荷像現像用トナーの製造方法において、
前記樹脂粒子(X)を構成する樹脂と樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のFedors法による溶解度パラメータをそれぞれSP(X)、SP(Y)とするとき、溶解度パラメータの差ΔSP(|SP(X)−SP(Y)|)が0.5(cal/cm31/2以上2.0(cal/cm31/2未満であり、
前記工程3は、
樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度より5℃低い温度以上、樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度より20℃高い温度以下で、以下の条件(i)又は(ii)で酸を徐々に添加して、系のpHを少なくとも0.3以上低下させ、酸を全量添加した後の系のpHを4.0以上7.0以下とする、静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
(i)酸を2回以上添加し、かつ、一回の酸添加における系中のpHの変化量が、酸を全量添加した場合のpHの変化量の80%以下である。
(ii)酸を連続添加し、かつ、平均pH変化速度が0.001min−1以上0.1min−1以下である。
本発明によれば、クリーニング性に優れ、更にドット再現性や帯電均質性にも優れる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することができる。
図1は実施例1で得られたトナーのSEM写真である。 図2は比較例1で得られたトナーのSEM写真である。 図3は比較例2で得られたトナーのSEM写真である。 図4は比較例3で得られたトナーのSEM写真である。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、
工程1:樹脂粒子(X)を凝集させて、凝集粒子(1)を得る工程
工程2:凝集粒子(1)に、樹脂粒子(Y)を凝集させて、凝集粒子(2)を得る工程
工程3:凝集粒子(2)を融着させて、コアシェル粒子を得る工程
を有する。
前記樹脂粒子(X)を構成する樹脂と樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のFedors法による溶解度パラメータをそれぞれSP(X)、SP(Y)とするとき、溶解度パラメータの差ΔSP(|SP(X)−SP(Y)|)は、0.5(cal/cm31/2以上2.0(cal/cm31/2未満である。
前記工程3では、樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度より5℃低い温度以上、樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度より20℃高い温度以下で、以下の条件(i)又は(ii)で酸を徐々に添加して、系のpHを少なくとも0.3以上低下させ、酸を全量添加した後の系のpHを4.0以上7.0以下とする。
(i)酸を2回以上添加し、かつ、一回の酸添加における系中のpHの変化量が、酸を全量添加した場合のpHの変化量の80%以下である。
(ii)酸を連続添加し、かつ、平均pH変化速度が0.001min−1以上0.1min−1以下である。
本発明の製造方法で得られる静電荷像現像用トナーが、クリーニング性に優れ、更にドット再現性及び帯電均質性にも優れる理由は定かではないが、次のように考えられる。
本発明の製造方法で得られる静電荷像現像用トナーは、コア部とシェル部のSP値差が0.5以上2.0以下であり、コア部とシェル部との相溶性は高くない。そのため、前記トナー作製時の加熱・融着工程において、コア部とシェル部のポリエステルの相溶化が抑制され、トナーのコアシェル構造が保たれる。
一方、凝集融着法でコアシェルトナー粒子を製造する際、融着時の温度を高くすると、融着がスムーズに進行する半面、粒子が球状化しやすい。逆に、融着時の温度が十分高くない場合は融着不足となりやすく、通常、凝集融着法でトナー形状を制御することは難しい。これに対し、本発明では、「シェルのTg−5℃の温度」以上「シェルのTg+20℃の温度」以下で融着させる際に、酸を分割または連続的に系内に添加する。前記温度範囲で系内のpHを徐々に低下させることで、シェル部の樹脂の熱運動をある程度起こしつつ、樹脂粒子表面のカルボン酸の解離を徐々に低下させることができる。ここで、コアとシェルのSP値差を0.5以上2.0以下とすることで、コアとシェルとが非相溶の関係にあることから、シェル部内での融着が進みやすくなり、粒子の大きさを適度に保ったまま粒子表面を融着でき、その結果、粒子表面が滑らかで適度に凹凸を有するトナーが得られたと考えられる。そのため得られたトナーは感光体からのクリーニング性に優れるとともに、粒子の大きさと表面性のばらつきが小さいことにより、ドット再現性及び帯電均質性において優れた特性を示すものと考えられる。
以上本発明の効果に関するメカニズムは推定であり、これに限定されるものではない。
[樹脂の溶解度パラメータ]
樹脂粒子(X)を構成する樹脂と樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のFedors法による溶解度パラメータをそれぞれSP(X)、SP(Y)とするとき、溶解度パラメータの差ΔSP(|SP(X)−SP(Y)|)は、0.5(cal/cm31/2以上2.0(cal/cm31/2未満である。
ΔSPは、SP(X)、SP(Y)の差の値の絶対値を示す。
ΔSPは、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは0.6(cal/cm31/2以上であり、そして、好ましくは1.8(cal/cm31/2以下、より好ましくは1.5(cal/cm31/2以下、更に好ましくは1.2(cal/cm31/2以下、更に好ましくは1.0(cal/cm31/2以下である。
樹脂粒子が複数種の樹脂を含有する場合、各々の樹脂の溶解度パラメータについて前記のΔSPの条件を満たす。例えば、樹脂粒子(X)が2種の樹脂(XA)と(XB)から構成される場合、SP(XA)及びSP(XB)が、それぞれ、樹脂粒子(Y)を構成する樹脂の溶解度パラメータSP(Y)に対し、前記の関係を満たす。
樹脂粒子が複数種の樹脂を含有する場合、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、同一の樹脂粒子を構成する複数種の樹脂間のSP値差は、好ましくは0.3(cal/cm31/2以下、より好ましくは0.2(cal/cm31/2以下、更に好ましくは0.1(cal/cm31/2以下であり、より更に好ましくは実質的に0(cal/cm31/2である。
上記SP値は、〔Robert F. Fedors, Polymer Engineering and Science,14,147-154(1974)〕に示されたFedors法によって求められる。
[温度]
前記工程3は、樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度より5℃低い温度以上、樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度より20℃高い温度以下でおこなう。
工程3における温度は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度以上、より好ましくは樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度より3℃高い温度以上、更に好ましくは樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度より5℃高い温度以上であり、そして、樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度より、好ましくは18℃高い温度以下、より好ましくは15℃高い温度以下、更に好ましくは12℃高い温度以下である。
樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度の測定方法は、実施例に記載の方法による。
[酸添加]
本発明の製造方法においては、クリーニング性に優れ、更にドット再現性や帯電均質性にも優れるトナーを得る観点から、上記温度において、酸を徐々に添加して少なくとも0.3以上低下させ、酸を全量添加した後の系のpHを4.0以上7.0以下とする。
酸を全量添加した後の系のpHは、上記と同様の観点から、好ましくは4.5以上、より好ましくは5.0以上、更に好ましくは5.5以上、より更に好ましくは5.8以上であり、そして、好ましくは6.8以下、より好ましくは6.6以下、更に好ましくは6.4以下である。
酸添加前の系のpHは、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは6.0以上、より好ましくは6.5以上、更に好ましくは6.7以上、より更に好ましくは6.8以上であり、そして、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8.0以下である。
酸を全量添加した後の系のpHの低下量は、クリーニング性に優れ、更にドット再現性や帯電均質性にも優れるトナーを得る観点から、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.6以上であり、そして、好ましくは8.0以下、より好ましくは6.0以下、更に好ましくは4.0以下、より更に好ましくは2.0以下、より更に好ましくは1.5以下である。
本発明の製造方法では、クリーニング性に優れ、更にドット再現性や帯電均質性にも優れるトナーを得る観点から、以下の条件(i)又は(ii)で酸を添加する。
(i)酸を2回以上添加し、かつ、一回の酸添加における系中のpHの変化量が、酸を全量添加した場合のpHの変化量の80%以下である。
(ii)酸を連続添加し、かつ、平均pH変化速度が0.001min−1以上0.1min−1以下である。
〔条件(i)〕
酸を分割添加する場合、酸の添加回数は、クリーニング性に優れ、更にドット再現性や帯電均質性にも優れるトナーを得る観点から、好ましくは2回以上、より好ましくは3回以上、更に好ましくは5回以上であり、そして、同様の観点及びトナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは10回以下、より好ましくは8回以下、更に好ましくは6回以下である。
一回の酸添加における系中のpHの変化量は、クリーニング性に優れ、更にドット再現性や帯電均質性にも優れるトナーを得る観点から、酸を全量添加した場合のpHの変化量に対して、80%以下であり、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは35%以下であり、そして、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上である。
一回の酸添加から次の酸添加までの時間は、好ましくは10秒以上、より好ましくは30秒以上、更に好ましくは1分以上であり、そして、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは20分以下、より好ましくは15分以下である。
酸添加時のpHの変化速度は、好ましくは0.2min-1以上、より好ましくは0.4min-1以上、更に好ましくは0.6min-1以上であり、そして、好ましくは2.5min-1以下、より好ましくは2.0min-1以下、更に好ましくは1.5min-1以下である。
〔条件(ii)〕
条件(ii)は酸を連続添加する場合である。ここで、「連続添加」とは、添加と添加の間に10秒以上の添加停止時間を設定せず、添加開始から終了までを連続的に行うことを意味する。添加開始から終了まで10秒以上の添加停止時間を設けずに行った場合、連続注入のみならず、連続した滴下も含まれる。
酸を連続添加する場合、平均pH変化速度は、クリーニング性に優れ、更にドット再現性や帯電均質性にも優れるトナーを得る観点から、好ましくは0.001min−1以上、より好ましくは0.005min−1以上、更に好ましくは0.010min−1以上、より更に好ましくは0.015min−1以上であり、そして、好ましくは0.1min−1以下、より好ましくは0.08min−1以下、更に好ましくは0.05min−1以下である。
前記平均pH変化速度は、酸を全量添加した後の系のpH変化量を、酸の添加開始から全量添加するまでの時間(min)で除した値である。
連続添加において、任意の1分間あたりの系の最大pH変化量は、酸を全量添加した場合のpHの変化量に対して、好ましくは80%以下、より好ましくは60%以下、更に好ましくは40%以下、更に好ましくは35%以下であり、そして、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上である。
以下、本発明において使用される各成分や工程の諸条件について詳細に説明する。
[工程1]
凝集粒子(1)は、樹脂粒子(X)を凝集させて得られ、好ましくは、樹脂粒子(X)及びワックス粒子を凝集させて得られる。
〔樹脂粒子(X)〕
樹脂粒子(X)は、本発明の製造方法により得られるトナーのコア部分を構成する樹脂粒子である。
樹脂粒子(X)を構成する樹脂としては、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくはポリエステル系樹脂を含み、より好ましくはポリエステル樹脂からなるセグメントを有する複合樹脂(XA)(以下、単に「複合樹脂(XA)」ともいう。)、及びポリエステル樹脂(XB)から選ばれる1種又は2種を含み、より好ましくは複合樹脂(XA)を含む。
(複合樹脂(XA))
複合樹脂(XA)は、好ましくは、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分と多価カルボン酸成分とを重縮合して得られるポリエステル樹脂からなるセグメント(Xa1)と、スチレン系化合物由来の構成単位を含有するビニル系樹脂セグメント(Xa2)とを有する。
〔ポリエステルセグメント(Xa1)〕
ポリエステルセグメント(Xa1)は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分(以下、「アルコール成分(XA−al)」ともいう)と多価カルボン酸成分(以下、「多価カルボン酸成分(XA−ac)」ともいう)とを重縮合して得られるポリエステル樹脂からなるセグメントである。
≪アルコール成分(XA−al)≫
アルコール成分(XA−al)は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有する。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
アルコール成分(XA−al)中、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上、より更に好ましくは98モル%以上、より更に好ましくは100モル%である。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは1以上、より好ましくは1.2以上、更に好ましくは1.5以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは8以下、より更に好ましくは4以下である。
アルコール成分(XA−al)はビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外の他のアルコールを含有していてもよい。アルコール成分(XA−al)が含み得る他のアルコール成分としては、脂肪族ジオール、芳香族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコール、又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物等が挙げられる。
アルコール成分(XA−al)が含み得る他のアルコールの具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の脂肪族ジオール、ビスフェノールA等の芳香族ジオール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数2以上12以下)付加物、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の3価以上の多価アルコール又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物等が挙げられる。これらのアルコール成分(XA−al)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
≪多価カルボン酸成分(XA−ac)≫
多価カルボン酸成分(XA−ac)としては、ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸、並びにそれらの無水物及びそれらの炭素数1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。中でも、好ましくはジカルボン酸、より好ましくはジカルボン酸と3価以上の多価カルボン酸とを併用する。
ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、及び脂環式ジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、好ましくは芳香族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸、より好ましくは芳香族ジカルボン酸である。
多価カルボン酸成分(XA−ac)には、遊離酸だけでなく、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び各カルボン酸の炭素数1以上3以下のアルキルエステルも含まれる。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられ、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは、イソフタル酸又はテレフタル酸であり、より好ましくはテレフタル酸である。
脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは3以上、より好ましくは4以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましく20以下である。
炭素数2以上30以下の脂肪族カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、アゼライン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等が挙げられ、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、フマル酸、セバシン酸が好ましい。炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸の具体例としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等が挙げられる。
これらの中でも、好ましくは、テレフタル酸、フマル酸、アジピン酸、及びセバシン酸から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはこれらを併用する。
3価以上の多価カルボン酸としては、トナーの耐久性を向上させる観点から、トリメリット酸及びその酸無水物が好ましく、トリメリット酸無水物がより好ましい。また、3価以上の多価カルボン酸を含む場合の含有量は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、多価カルボン酸成分(XA−ac)中、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは15モル%以下である。
これらの多価カルボン酸成分(XA−ac)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルコール成分(XA−al)に対する多価カルボン酸成分(XA−ac)の当量比(COOH基/OH基)は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは0.9以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.1以下である。
複合樹脂(XA)中のポリエステルセグメント(Xa1)の含有量は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは55質量%以上であり、そして、トナーの耐熱保存性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。
〔ビニル系樹脂セグメント(Xa2)〕
ビニル系樹脂セグメント(Xa2)は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、スチレン系化合物由来の構成単位を含有する。
≪スチレン系化合物≫
スチレン系化合物としては、置換又は無置換のスチレンが挙げられる。置換基としては、例えば、炭素数1以上5以下のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、スルホン酸基又はその塩等が挙げられる。
スチレン系化合物としては、好ましくは、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、スチレンスルホン酸又はその塩等から選ばれる1種又は2種以上のスチレン類であり、より好ましくはスチレンを含み、更に好ましくはスチレンのみからなる。
ビニル系樹脂セグメント(Xa2)の由来成分である原料ビニルモノマー中、スチレン系化合物の含有量は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは75質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下、より更に好ましくは85質量%以下である。
≪スチレン系化合物以外のビニルモノマー≫
スチレン系化合物以外のビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1以上24以下)、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル;エチレン、プロピレン、ブタジエン等のオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のハロゲン化ビニリデン;N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1以上22以下)がより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルにおけるアルキル基の炭素数は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは1以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは10以上であり、そして、モノマーの入手容易性の観点から、好ましくは24以下、より好ましくは22以下、更に好ましくは20以下である。
具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸(イソ)プロピル、(メタ)アクリル酸(イソ又はターシャリー)ブチル、(メタ)アクリル酸(イソ)アミル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸(イソ)オクチル、(メタ)アクリル酸(イソ)デシル、(メタ)アクリル酸(イソ)ドデシル、(メタ)アクリル酸(イソ)パルミチル、(メタ)アクリル酸(イソ)ステアリル、(メタ)アクリル酸(イソ)ベヘニル等が挙げられ、アクリル酸2−エチルヘキシル又はメタクリル酸ステアリルが好ましく、メタクリル酸ステアリルがより好ましい。
なお、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを示す。
これらの中でも、モノマーの入手容易性、並びにトナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、スチレン単独又はスチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの併用が好ましく、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの併用がより好ましく、スチレンとアルキル基の炭素数10以上20以下の(メタ)アクリル酸アルキルとの併用が更に好ましい。
ビニル系樹脂セグメント(Xa2)の由来成分である原料ビニルモノマー中、(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
ビニル系樹脂セグメント(Xa2)の由来成分である原料ビニルモノマー中における、スチレン系化合物と(メタ)アクリル酸エステルとの総量は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
≪両反応性モノマー≫
複合樹脂(XA)の原料モノマーとして両反応性モノマーを用いると、当該両反応性モノマーがポリエステルセグメント(Xa1)とビニル系樹脂セグメント(Xa2)との両方と反応することにより、複合樹脂(XA)を製造することができる。すなわち、本発明に用いる複合樹脂(XA)は、両反応性モノマーに由来する構成単位を含むことが好ましく、該両反応性モノマーに由来する構成単位が、前記ビニル系樹脂セグメント(Xa2)と前記ポリエステルセグメント(Xa1)との結合点となることが好ましい。
両反応性モノマーとしては、分子内に、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選ばれる1種以上の官能基を有するビニルモノマーが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、水酸基及びカルボキシ基から選ばれる1種又は2種以上を有するビニルモノマーが好ましく、カルボキシ基を有するビニルモノマーがより好ましい。このカルボキシ基を有するビニルモノマーとしては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられ、中でも、重縮合反応と付加重合反応の双方の反応性の観点から、好ましくアクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種以上、より好ましくはアクリル酸である。
両反応性モノマーの使用量は、構成単位としてスチレン系化合物を含む付加重合体のポリエステル樹脂への分散性並びに付加重合反応及び重縮合反応の反応制御の観点から、ポリエステルセグメント(Xa1)の原料であるアルコール成分(XA−al)全量100モル部に対して、好ましくは1モル部以上、より好ましくは5モル部以上、更に好ましくは10モル部以上、より更に好ましくは13モル部以上であり、そして、好ましくは30モル部以下、より好ましくは25モル部以下、更に好ましくは20モル部以下である。
複合樹脂(XA)中のビニル系樹脂セグメント(Xa2)の含有量は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、そして、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは45質量%以下である。
複合樹脂(XA)中の、ポリエステルセグメント(Xa1)とビニル系樹脂セグメント(Xa2)との総量は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
複合樹脂(XA)の軟化点は、トナーの耐熱保存性、及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上であり、そして、トナーの低温定着性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは110℃以下である。
複合樹脂(XA)のガラス転移温度は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは25℃以上、より好ましくは30℃以上、更に好ましくは33℃以上であり、そして、好ましくは55℃未満、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは45℃以下である。
複合樹脂(XA)の酸価は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点、並びに後述する樹脂粒子(X)の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは35mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下である。
複合樹脂(XA)の軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、実施例に記載の方法によって求められる。
また、複合樹脂(XA)の軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
なお、複合樹脂(XA)を2種以上混合して使用する場合は、その軟化点、ガラス転移温度及び酸価は、各々2種以上の複合樹脂(XA)の混合物として、実施例に記載の方法によって得られた値である。
〔複合樹脂(XA)の製造方法〕
複合樹脂(XA)は、以下の(i)〜(iii)のいずれかの方法により製造することが好ましい。
(i)アルコール成分及び多価カルボン酸成分による重縮合反応の工程(以下、「工程(A)ともいう」)の後に、ビニル系樹脂セグメント(Xa2)の原料モノマー及び必要に応じて両反応性モノマーによる付加重合反応の工程(以下、「工程(B)」ともいう)を行う方法。
(ii)ビニル系樹脂セグメント(Xa2)の原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合反応の工程(B)の後に、ポリエステルセグメント(Xa1)の原料モノマーによる重縮合反応の工程(A)を行う方法。
(iii)アルコール成分及び多価カルボン酸成分による重縮合反応の工程(A)とビニル系樹脂セグメント(Xa2)の原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合反応の工程(B)とを並行して行う方法。
上記(i)〜(iii)の方法は、同一容器内で行うことが好ましい。
以上の中でも、方法(i)が、重縮合反応の反応温度の自由度が高い点から好ましい。なお、方法(i)の工程(A)において、多価カルボン酸成分の一部を重縮合反応に供し、次いで工程(B)を実施した後に、再度反応温度を上昇させ、多価カルボン酸成分の残部を重合系に添加し、工程(A)の重縮合反応及び必要に応じて両反応性モノマーとの反応をさらに進める方法がより好ましい。
重縮合反応において、反応性の観点から、アルコール成分(XA−al)と多価カルボン酸成分(XA−ac)との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上5質量部以下のエステル化触媒、アルコール成分(XA−al)と多価カルボン酸成分(XA−ac)との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上0.5質量部以下のエステル化助触媒等の触媒を用いてもよい。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)等の錫化合物や、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化助触媒としては、ピロガロール、没食子酸、没食子酸エステル等のピロガロール化合物;2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート等のカテキン誘導体等が挙げられ、反応性の観点から、好ましくは没食子酸である。
重縮合反応の温度は、複合樹脂(XA)の生産性の観点から、好ましくは140℃以上、より好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは260℃以下、より好ましくは250℃以下である。
また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させることが好ましい。
付加重合反応の重合開始剤としては、ジブチルパーオキサイド等の過酸化物、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等の公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。
ラジカル重合開始剤の使用量に制限はないが、ビニル系樹脂セグメント(a2)の原料モノマー100質量部に対して、好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
付加重合反応の温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類等によって異なるが、複合樹脂(XA)の生産性の観点から、好ましくは110℃以上、より好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは220℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは180℃以下である。
複合樹脂(XA)の製造には、必要に応じてアルコール成分(XA−al)と多価カルボン酸成分(XA−ac)との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上0.5質量部以下のラジカル重合禁止剤を用いてもよい。ラジカル重合禁止剤としては、4−tert−ブチルカテコール等が挙げられる。
(ポリエステル樹脂(XB))
ポリエステル樹脂(XB)は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分(以下、「アルコール成分(XB−al)」ともいう)と多価カルボン酸成分(以下、「多価カルボン酸成分(XB−ac)」ともいう)とを重縮合して得られるものである。
ポリエステル樹脂(XB)のアルコール成分(XB−al)及び多価カルボン酸成分(XB−ac)としては、前記ポリエステルセグメント(Xa1)の合成に用いたものと同様のものを挙げることができる。
アルコール成分(XB−al)に対する多価カルボン酸成分(XB−ac)の当量比(COOH基/OH基)は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下、更に好ましくは1.05以下である。
ポリエステル樹脂(XB)の軟化点は、トナーの耐熱保存性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは85℃以上であり、そして、トナーの低温定着性および帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは130℃以下、より好ましくは110℃以下、更に好ましくは100℃以下である。
ポリエステル樹脂(XB)のガラス転移温度は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは43℃以上、更に好ましくは45℃以上であり、そして、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは50℃以下である。
ポリエステル樹脂(XB)の酸価は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点、並びに後述する樹脂粒子(Y)の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは35mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは25mgKOH/g以下である。
ポリエステル樹脂(XB)の軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、実施例に記載の方法によって求められる。
また、ポリエステル樹脂(XB)の軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
なお、ポリエステル樹脂(XB)を2種以上混合して使用する場合は、その軟化点、ガラス転移温度及び酸価は、各々2種以上のポリエステル樹脂(XB)の混合物として、実施例に記載の方法によって得られた値である。
〔ポリエステル樹脂(XB)の製造方法〕
ポリエステル樹脂(XB)は、例えば、前記アルコール成分(XB−al)と前記多価カルボン酸成分(XB−ac)とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒、エステル化助触媒、ラジカル重合禁止剤等を用いて重縮合することにより製造することができる。
エステル化触媒、エステル化助触媒、及びラジカル重合禁止剤は、前記ポリエステルセグメント(Xa1)の合成に用いたものと同様のものを挙げることができる。
エステル化触媒の使用量に制限はないが、アルコール成分(XB−al)と多価カルボン酸成分(XB−ac)との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上5質量部以下である。
重縮合反応におけるエステル化助触媒の使用量は、反応性の観点から、アルコール成分(XB−al)と多価カルボン酸成分(XB−ac)との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上0.5質量部以下である。
ラジカル重合禁止剤の使用量は、アルコール成分(XB−al)と多価カルボン酸成分(XB−ac)との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上0.5質量部以下である。
重縮合反応の温度は、ポリエステル樹脂(XB)の生産性の観点から、好ましくは180℃以上、より更に好ましくは200℃以上であり、そして、好ましくは260℃以下、より好ましくは250℃以下である。
また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させることが好ましい。
樹脂粒子(X)に含まれる全樹脂中におけるポリエステル系樹脂の含有量は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
樹脂粒子(X)は、上記以外にトナーに用いられる公知の樹脂、例えば、上記以外のポリエステル、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ、ポリカーボネート、ポリウレタン等を使用することができる。
(任意成分)
樹脂粒子(X)は、必要に応じて、上記樹脂に加えて、ワックス、着色剤、帯電制御剤を含有していてもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤等を含有させてもよい。
(樹脂粒子(X)の製造方法)
樹脂粒子(X)は、樹脂成分と、必要に応じて前記の任意成分とを水性媒体中に分散させ、樹脂粒子(X)の水系分散体として得る方法によって製造することが好ましい。
樹脂粒子(X)の水系分散体を得る方法としては、樹脂等を水性媒体に添加し、分散機等によって分散処理を行う方法、樹脂等に水性媒体を徐々に添加して転相乳化させる方法等が挙げられ、得られるトナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、転相乳化による方法が好ましい。
(水性媒体)
樹脂粒子(X)の製造に用いられる水性媒体としては水を主成分とするものが好ましく、樹脂粒子(X)の水系分散体の分散安定性を向上させる観点、及び環境性の観点から、水性媒体中の水の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。水としては、脱イオン水又は蒸留水が好ましく用いられる。
水と共に水性媒体を構成し得る水以外の成分としては、炭素数1以上5以下のアルキルアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の炭素数3以上5以下のジアルキルケトン;テトラヒドロフラン等の環状エーテル等の水に溶解する有機溶媒が用いられる。これらの中でも、有機溶媒のトナーへの混入を防止する観点から、ポリエステルを溶解しない炭素数1以上5以下のアルキルアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールがより好ましい。
以下、転相乳化による方法について説明する。
〔転相乳化〕
転相乳化法としては、樹脂、及びその他前記の任意成分を有機溶媒に溶解させて得られた溶液に、水性媒体を添加して転相乳化する方法(以下、「方法(1−1)」ともいう)、並びに、樹脂、及びその他前記の任意成分を溶融して混合して得られた樹脂混合物に、水性媒体を添加して転相乳化する方法(以下、「方法(1−2)」ともいう)が挙げられる。均質な樹脂粒子(X)の水系分散体を得る観点から、方法(1−1)が好ましい。
方法(1−1)は、まず、樹脂、及びその他前記の任意成分を有機溶媒に溶解させ、樹脂及びその他の任意成分を含有する混合物の有機溶媒溶液を得、次いで、得られた溶液に水性媒体を添加して転相乳化する方法である。
≪有機溶媒≫
有機溶媒としては、樹脂を溶解し水性媒体への転相を容易にする観点から、溶解性パラメータ(SP値:POLYMER HANDBOOK THIRD EDITION 1989 by John Wiley & Sons,Inc)で表したとき、好ましくは15.0MPa1/2以上、より好ましくは16.0MPa1/2以上、更に好ましくは17.0MPa1/2以上であり、そして、好ましくは26.0MPa1/2以下、より好ましくは24.0MPa1/2以下、更に好ましくは22.0MPa1/2以下である。
具体例としては、次の有機溶媒が挙げられる。なお、次の有機溶媒の名称の右側のカッコ内はSP値であり、単位はMPa1/2である。すなわち、具体例としては、エタノール(26.0)、イソプロパノール(23.5)、及びイソブタノール(21.5)等のアルコール系溶媒;アセトン(20.3)、メチルエチルケトン(19.0)、メチルイソブチルケトン(17.2)、及びジエチルケトン(18.0)等のケトン系溶媒;ジブチルエーテル(16.5)、テトラヒドロフラン(18.6)、及びジオキサン(20.5)等のエーテル系溶媒;酢酸エチル(18.6)、酢酸イソプロピル(17.4)等の酢酸エステル系溶媒が挙げられる。これらの中では、水性媒体添加後の混合液からの除去が容易である観点から、好ましくはケトン系溶媒及び酢酸エステル系溶媒から選ばれる1種以上、より好ましくはメチルエチルケトン、酢酸エチル及び酢酸イソプロピルから選ばれる1種以上、更に好ましくはメチルエチルケトンである。
有機溶媒と樹脂粒子(X)を構成する樹脂との質量比(有機溶媒/樹脂粒子(X)を構成する樹脂)は、樹脂を溶解し水性媒体への転相を容易にする観点、及び樹脂粒子(X)の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.4以上であり、そして、好ましくは4以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1以下である。
方法(1−1)では、中和剤を溶液に添加することが好ましい。中和剤としては、塩基性物質が挙げられる。塩基性物質としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びトリブチルアミン等の含窒素塩基性物質が挙げられ、これらの中でも、樹脂粒子(X)の分散安定性と凝集性を向上させる観点から、好ましくはアルカリ金属の水酸化物、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
中和剤による樹脂の中和度(モル%)は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上であり、そして、好ましくは150モル%以下、より好ましくは120モル%以下、更に好ましくは100モル%以下である。
なお、樹脂の中和度(モル%)は、下記式によって求めることができる。
中和度={[中和剤の添加質量(g)/中和剤の当量]/〔[樹脂の酸価(mgKOH/g)×樹脂の質量(g)]/(56×1000)〕}×100
添加する水性媒体の量は、樹脂粒子(X)の分散安定性を向上させる観点、及び後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点から、樹脂粒子(X)を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは100質量部以上、より好ましくは150質量部以上、更に好ましくは200質量部以上であり、そして、好ましくは900質量部以下、より好ましくは600質量部以下、更に好ましくは400質量部以下である。
また、樹脂粒子(X)の分散安定性を向上させる観点から、水性媒体と前記有機溶媒との質量比(水性媒体/有機溶媒)は、好ましくは20/80以上、より好ましくは50/50以上、更に好ましくは80/20以上であり、そして、好ましくは97/3以下、より好ましくは93/7以下、更に好ましくは90/10以下である。
水性媒体を添加する際の温度は、樹脂粒子(X)の分散安定性を向上させる観点から、樹脂のガラス転移温度以上が好ましい。具体的には、水性媒体を添加する際の温度は、樹脂粒子(X)の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは85℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは75℃以下である。
水性媒体の添加速度は、小粒径の樹脂粒子(X)を得る観点から、転相が終了するまでは、樹脂粒子(X)を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部/分以上、より好ましくは0.5質量部/分以上、更に好ましくは1質量部/分以上、より更に好ましくは3質量部/分以上であり、そして、好ましくは50質量部/分以下、より好ましくは30質量部/分以下、更に好ましくは20質量部/分以下、より更に好ましくは10質量部/分以下である。転相後の水性媒体の添加速度には制限はない。
転相乳化の後に、必要に応じて、転相乳化で得られた分散体から有機溶媒を除去する工程を有していてもよい。
有機溶媒の除去方法は、特に限定されず、任意の方法を用いることができるが、水と溶解しているため蒸留するのが好ましい。また、有機溶媒は、完全に除去されず水系分散体中に残留していてもよい。この場合、有機溶媒の残存量は、水系分散体中、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは実質的に0%である。
蒸留によって有機溶媒の除去を行う場合、撹拌を行いながら、使用する有機溶媒の沸点以上の温度に昇温して留去するのが好ましい。また、樹脂粒子(X)の分散安定性を維持する観点から、減圧下で、その圧力における使用する有機溶媒の沸点以上の温度に昇温して留去するのがより好ましい。なお、減圧した後昇温しても、昇温した後減圧してもよい。樹脂粒子(X)の分散安定性を維持する観点から、温度及び圧力を一定にして留去するのが好ましい。
〔固形分濃度〕
得られる樹脂粒子(X)の水系分散体の固形分濃度は、トナーの生産性を向上させる観点、及び樹脂粒子(X)の水系分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは25質量%以下である。
なお、固形分は樹脂、着色剤、界面活性剤等の不揮発性成分の総量である。
〔樹脂粒子(X)の体積中位粒径(D50)〕
水系分散体中の樹脂粒子(X)の体積中位粒径(D50)は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.10μm以上、更に好ましくは0.12μm以上であり、そして、好ましくは0.80μm以下、より好ましくは0.40μm以下、更に好ましくは0.20μm以下である。ここで、体積中位粒径とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径であり、実施例に記載の方法で求められる。
〔樹脂粒子(X)のCV値〕
また、樹脂粒子(X)の粒径分布の変動係数(CV値)(%)は、樹脂粒子(X)の水系分散体の生産性を向上させる観点から、好ましくは5%以上、より好ましくは15%以上、更に好ましくは20%以上であり、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下である。
なお、CV値は、下記式で表される値である。下記式における体積平均粒径とは、体積基準で測定された粒径にその粒径値を持つ粒子の割合を掛け、それにより得られた値を粒子数で除して得られる粒径であり、実施例に記載の方法で求められる。
CV値(%)=[粒径分布の標準偏差(nm)/体積平均粒径(nm)]×100
〔工程1の条件〕
工程1では、樹脂粒子(X)を凝集させて、凝集粒子(1)を得る。工程1では、樹脂粒子(X)の水系分散体、及び必要に応じて、ワックス粒子分散液、凝集剤、界面活性剤、着色剤等の任意成分を水性媒体中で凝集させて、凝集粒子(1)を得ることができる。
本工程においては、まず、樹脂粒子(X)の水系分散体、及び必要に応じて添加されるワックス粒子分散液、着色剤、界面活性剤等を水性媒体中で混合して、混合分散液を得ることが好ましい。なお、樹脂粒子(X)に着色剤を混合しなかった場合には、本混合分散液中に着色剤を混合することが好ましい。
また、混合分散液には、樹脂粒子(X)以外の樹脂粒子を混合してもよい。
混合の順に制限はなく、いずれかを順に添加してもよいし、同時に添加してもよい。
工程1で用いる水性媒体の好ましい態様は、前記樹脂粒子(X)の水系分散体を得る際に用いられる水性媒体と同様である。
〔ワックス粒子〕
ワックス粒子は、ワックスを水性媒体に分散してワックス粒子の分散液(以下、「ワックス粒子分散液」ともいう)を使用することが好ましい。
(ワックス)
凝集粒子(1)は、トナーの離型性を向上させる観点から、好ましくはワックスを含有する。
ワックスとしては、エステル系ワックス、炭化水素ワックス、シリコーンワックス、脂肪酸アミド等を用いることができる。中でも、トナーの離型性を向上させる観点から、炭化水素ワックスが好ましい。
炭化水素ワックスとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物、石油系ワックス等が挙げられる。これらの中でも、トナーの離型性を向上させる観点から、パラフィンワックスが好ましい。
エステル系ワックスとしては、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等の長鎖アルコールと脂肪酸とからなるエステル;ペンタエリスリトールとベヘン酸等の脂肪酸とからなるエステル;カルナウバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、ミツロウ等の天然ワックスが挙げられ、トナーの離型性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくはカルナウバワックスである。
前記ワックスの融点は、トナーの離型性、耐熱保存性、及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、トナーの離型性及び低温定着性を向上させる観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
ワックスの含有量は、トナーの離型性、クリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点を向上させる観点から、凝集粒子(1)に含まれる樹脂の総量100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
ワックス粒子分散液は、ワックスと水性媒体とを、分散剤の存在下、ワックスの融点以上の温度で、分散機を用いて分散することによって得ることが好ましい。用いる分散機としては、ホモジナイザー、超音波分散機、高圧分散機等が挙げられ、ワックス粒子の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは超音波分散機、高圧分散機である。超音波分散機の市販品としては、超音波ホモジナイザーとして、「US−150T」、「US−300T」、「US−600T」(株式会社日本製作所製)が挙げられ、高圧分散機の市販品としては、高圧湿式微粒化装置「ナノマイザー(登録商標)NM2−L200−D08」(吉田機械興業株式会社製)が挙げられる。
また、前記分散機を使用する前に、ワックス、任意で分散剤、及び水性媒体を、あらかじめホモミキサー、ボールミル等の混合機で予備分散させておくことが好ましい。
本製造で用いる水性媒体の好ましい態様は、前記樹脂粒子(X)の水系分散体を得る際に用いられる水性媒体と同様である。
本発明においては、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、ワックス粒子の水性媒体への分散は、ワックスとオキサゾリン基含有重合体を混合した後、後述する樹脂粒子を混合し、乳化させて、ワックス粒子の分散液を得ることが好ましい。
オキサゾリン基含有重合体を用いることで、混合する樹脂粒子中の反応活性部位、さらに、ワックス中にカルボキシ基などの官能基を含む場合にはこの官能基が、オキサゾリン基と化学的に結合するため、強固にワックス粒子表面に樹脂粒子が付着した粒子とすることができる。
オキサゾリン基含有重合体の数平均分子量は、ワックス及び樹脂との反応性を高める観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは5,000以上であり、また、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは100,000以下である。
オキサゾリン基含有重合体の市販品としては、エポクロス(登録商標)WS−300、WS−500、WS−700等の「エポクロス(登録商標)WSシリーズ」(株式会社日本触媒製、水溶性タイプ、主鎖アクリル)、「Kシリーズ」(株式会社日本触媒製、エマルションタイプ、主鎖スチレン/アクリル)等が挙げられる。
オキサゾリン基含有重合体の使用量は、ワックス及び樹脂との反応性を高め、ワックス粒子の分散安定性を向上させる観点から、ワックス100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上であり、また、ワックス粒子分散液の生産性を向上させる観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下である。
(分散剤)
ワックス粒子の水性媒体への分散は、ワックス粒子の分散安定性を向上させる観点、及び工程1で均一な凝集粒子を得る観点から、分散剤の存在下で行うことが好ましい。分散剤としては、樹脂粒子又は界面活性剤が挙げられる。
ワックス粒子の製造に用いる樹脂粒子は、分散剤として用いることでワックスのピッカリングエマルションを形成する。当該樹脂粒子を構成する樹脂は、酸性基としてカルボキシ基を有する樹脂が好ましく、樹脂の酸価が、カルボキシ基によるものが好ましい。樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ、ポリカーボネート、及びポリウレタンから選ばれる少なくとも1種を含有する。中でも、ポリエステル系樹脂又は塩化ビニル系樹脂が好ましい。ポリエステル系樹脂としては、前述のポリエステル系樹脂等が挙げられる。
ポリビニル系樹脂としては、市販品として、「ビニブラン700」、「ビニブラン701」(日信化学工業株式会社製、塩化ビニル共重合エマルション)などが挙げられる。
ワックス粒子の製造に用いる界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が挙げられ、ワックス粒子の分散安定性を向上させる観点、及びワックス粒子と樹脂粒子の凝集性を向上させる観点から、好ましくはアニオン性界面活性剤である。アニオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム等が挙げられ、好ましくはアルケニルコハク酸ジカリウムである。
ワックス粒子分散液中の分散剤の含有量は、ワックス粒子の分散安定性を向上させる観点、及びトナー作製時のワックス粒子の凝集性を向上させ、遊離を防止する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、そして、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下である。
(固形分濃度)
ワックス粒子分散液の固形分濃度は、トナーの生産性を向上させる観点、及びワックス粒子分散液の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
(ワックス粒子の体積中位粒径(D50))
ワックス粒子の体積中位粒径(D50)は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点、並びに工程1で均一な凝集粒子を得る観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.3μm以上であり、そして、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.8μm以下、更に好ましくは0.6μm以下である。
(ワックス粒子のCV値)
ワックス粒子のCV値は、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは25%以上であり、そして、工程1で均一な凝集粒子を得る観点、及びトナーの帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下、更に好ましくは35%以下である。
ワックス粒子の体積中位粒径及びCV値は、具体的には実施例に記載の方法で求められる。
〔着色剤粒子〕
本混合分散液中に着色剤を混合する場合、着色剤を水性媒体に分散して着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤粒子分散液」ともいう)として得ることが好ましい。
(着色剤)
本発明に用いられる着色剤としては、顔料及び染料が挙げられ、印刷物の画像濃度を向上させる観点から、顔料が好ましい。
顔料としては、シアン顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、黒色顔料が挙げられる。
シアン顔料は、フタロシアニン顔料が好ましく、銅フタロシアニンがより好ましい。イエロー顔料は、モノアゾ顔料、イソインドリン顔料、ベンズイミダゾロン顔料が好ましく、マゼンタ顔料は、キナクリドン顔料、BONAレーキ顔料等の溶性アゾ顔料、ナフトールAS顔料等の不溶性アゾ顔料が好ましい。黒色顔料は、カーボンブラックが好ましい。
染料としては、アクリジン染料、アゾ染料、ベンゾキノン染料、アジン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、フタロシアニン染料、アニリンブラック染料等が挙げられる。着色剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の含有量は、印刷物の画像濃度を向上させる観点から、凝集粒子(1)に含まれる樹脂の総量100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
着色剤粒子分散液は、着色剤と水性媒体とを、界面活性剤等の存在下、分散機を用いて分散することによって得ることが好ましい。用いる分散機としては、ホモジナイザー、超音波分散機等が好ましい。
本製造で用いる水性媒体の好ましい態様は、前記樹脂粒子(X)の水系分散体を得る際に用いられる水性媒体と同様である。
着色剤粒子の水性媒体への分散は、着色剤粒子の分散安定性を向上させる観点から、界面活性剤の存在下で行うことが好ましい。
着色剤粒子の製造に用いる界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が挙げられ、着色剤粒子の分散安定性を向上させる観点、並びに着色剤粒子と樹脂粒子(X)との凝集性を向上させる観点から、好ましくはアニオン性界面活性剤である。アニオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム等が挙げられ、好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
着色剤粒子分散液中の界面活性剤の含有量は、着色剤粒子の分散安定性を向上させる観点、及びトナー作製時の着色剤粒子の凝集性を向上させ、遊離を防止する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、そして、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.5質量%以下である。
着色剤粒子分散液の固形分濃度は、トナーの生産性を向上させる観点、及び着色剤粒子分散液の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
着色剤粒子の体積中位粒径(D50)は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.08μm以上、更に好ましくは0.10μm以上であり、そして、好ましくは0.50μm以下、より好ましくは0.30μm以下、更に好ましくは0.15μm以下である。
(各成分の量)
ワックス粒子を使用する場合、前記混合分散液中のワックス粒子の含有量は、トナーの離型性、クリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、樹脂粒子(X)100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上であり、そして、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
前記混合分散液中に着色剤粒子を混合する場合、着色剤の含有量は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、樹脂粒子(X)100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
工程1の混合温度は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは20℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下である。
次に、混合分散液中の粒子を凝集させて、凝集粒子(1)の分散液を得る。凝集を効率的に行う観点から、凝集剤を添加することが好ましい。
(凝集剤)
凝集剤は、過剰な凝集を防ぎつつ、所望の粒径のトナーを得る観点から、電解質であることが好ましく、塩であることがより好ましい。
凝集剤としては、第四級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤;無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等の無機系凝集剤が挙げられる。凝集性を向上させ均一な凝集粒子を得る観点から、無機系凝集剤が好ましく、無機金属塩、無機アンモニウム塩がより好ましく、無機アンモニウム塩が更に好ましい。
無機系凝集剤のカチオンの価数は、過剰な凝集を防ぎつつ、所望の粒径のトナーを得る観点から、好ましくは5価以下、より好ましくは2価以下、更に好ましくは1価である。
無機系凝集剤の1価のカチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン等が挙げられ、得られるトナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、アンモニウムイオンが好ましい。
無機金属塩としては、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。
無機アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等が挙げられる。
凝集剤としては、硫酸アンモニウムがより好ましい。
凝集剤の使用量は、凝集を制御して所望の粒径を得る観点から、樹脂粒子(X)を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上であり、得られるトナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは50質量部以下、より好ましくは45質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。
凝集剤は、混合分散液に滴下して添加することが好ましい。凝集剤は一時に添加してもよいし、断続的あるいは連続的に添加してもよい。添加時及び添加終了後には、十分な撹拌を行うことが好ましい。
凝集剤は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、水溶液として、滴下することが好ましい。凝集剤の水溶液の濃度は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは6質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下である。
また、凝集を制御して所望の粒径及び粒径分布の凝集粒子を得る観点から、凝集剤の水溶液のpHを7.0以上9.0以下に調整して使用することが好ましい。
凝集剤の滴下時間は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上であり、そして、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは120分以下、より好ましくは30分以下、更に好ましくは10分以下である。
また、凝集剤を滴下する温度は、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは20℃以上であり、そして、好ましくは45℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは35℃以下、より更に好ましくは30℃以下である。
更に、凝集を促進させ、所望の粒径及び粒径分布の凝集粒子を得る観点から、凝集剤を添加した後に分散液の温度を上げることが好ましい。保持する温度としては、得られるトナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは52℃以上であり、そして、好ましくは70℃以下、より好ましくは65℃以下、更に好ましくは60℃以下である。
前記温度範囲にて、凝集粒子の体積中位粒径をモニタリングすることによって、凝集の進行を確認することが好ましい。
得られる凝集粒子(1)の体積中位粒径(D50)は、得られるトナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下である。凝集粒子(1)の体積中位粒径の測定は実施例に記載の方法で求められる。
[工程2]
工程2では、凝集粒子(1)に、樹脂粒子(Y)を凝集させて、凝集粒子(2)を得る。工程2では、好ましくは水性媒体中で凝集させる。工程2で用いる水性媒体の好ましい態様は、前記樹脂粒子(X)の水系分散体を得る際に用いられる水性媒体と同様である。
樹脂粒子(Y)は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくはポリエステル樹脂(YA)を含有する。
(ポリエステル樹脂(YA))
ポリエステル樹脂(YA)は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分(以下、「アルコール成分(YA−al)」ともいう)と多価カルボン酸成分(以下、「多価カルボン酸成分(YA−ac)」ともいう)とを重縮合して得られる。
〔アルコール成分(YA−al)〕
アルコール成分(YA−al)は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有する。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
アルコール成分(YA−al)中、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは60モル%以上、より好ましくは75モル%以上、更に好ましくは85モル%以上、より更に好ましくは95モル%以上、より更に好ましくは100モル%である。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは1以上、より好ましくは1.2以上、更に好ましくは1.5以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは8以下、より更に好ましくは4以下である。
アルコール成分(YA−al)は、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外の他のアルコール成分を含有していてもよい。アルコール成分(YA−al)が含み得る他のアルコールとしては、脂肪族ジオール、芳香族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコール、又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物等が挙げられる。
アルコール成分(YA−al)が含み得る他のアルコールの具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の脂肪族ジオール、ビスフェノールA等の芳香族ジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数2以上12以下)付加物、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の3価以上の多価アルコール又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物等が挙げられる。
これらのアルコール成分(YA−al)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
〔多価カルボン酸成分(YA−ac)〕
多価カルボン酸成分(YA−ac)としては、ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸、並びにそれらの無水物及びそれらの炭素数1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられ、中でも、ジカルボン酸が好ましく、ジカルボン酸と3価以上の多価カルボン酸とを併用することがより好ましい。
ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、及び脂環式ジカルボン酸が挙げられ、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸がより好ましい。
多価カルボン酸成分(YA−ac)には、遊離酸だけでなく、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び各カルボン酸の炭素数1以上3以下のアルキルエステルも含まれる。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられ、トナーの耐熱保存性、クリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点を向上させる観点から、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、炭素数3以上30以下が好ましく、炭素数4以上20以下がより好ましい。
炭素数3以上30以下の脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、アゼライン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等が挙げられ、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸、フマル酸が好ましい。
炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸の、アルキル基又はアルケニル基の炭素数は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは6以上、より好ましくは8以上であり、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。
炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸の具体例としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等が挙げられ、ドデセニルコハク酸及びその無水物から選ばれる1種以上がより好ましい。
多価カルボン酸成分(YA−ac)中、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸、好ましくは炭素数6以上18以下のアルキル基又は炭素数6以上18以下のアルケニル基で置換されたコハク酸の含有量は、好ましくは2モル%以上、より好ましくは3モル%以上、更に好ましくは4モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下、より更に好ましくは15モル%以下である。
3価以上の多価カルボン酸としては、トナーの耐熱保存性、耐久性及び帯電均質性を向上させる観点から、トリメリット酸及びその酸無水物が好ましく、トリメリット酸無水物がより好ましい。また、3価以上の多価カルボン酸を含む場合の含有量は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、多価カルボン酸成分(YA−ac)中、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは15モル%以下である。
これらの多価カルボン酸成分(YA−ac)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルコール成分(YA−al)に対する多価カルボン酸成分(YA−ac)の当量比(COOH基/OH基)は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下、更に好ましくは1.05以下である。
ポリエステル樹脂(YA)の軟化点は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上であり、そして、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
ポリエステル樹脂(YA)のガラス転移温度は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
ポリエステル樹脂(YA)の酸価は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点、並びに後述する樹脂粒子(Y)の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは35mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは25mgKOH/g以下である。
ポリエステル樹脂(YA)の軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、実施例に記載の方法によって求められる。
また、ポリエステル樹脂(YA)の軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
なお、ポリエステル樹脂(YA)を2種以上混合して使用する場合は、その軟化点、ガラス転移温度及び酸価は、各々2種以上のポリエステル樹脂(YA)の混合物として、実施例に記載の方法によって得られた値である。
(ポリエステル樹脂(YA)の製造方法)
ポリエステル樹脂(YA)は、例えば、前記アルコール成分(YA−al)と前記多価カルボン酸成分(YA−ac)とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒、エステル化助触媒、ラジカル重合禁止剤等を用いて重縮合することにより製造することができる。
エステル化触媒、エステル化助触媒、及びラジカル重合禁止剤は、前記ポリエステルセグメント(Xa1)の合成に用いたものと同様のものを挙げることができる。
エステル化触媒の使用量に制限はないが、アルコール成分(YA−al)と多価カルボン酸成分(YA−ac)との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上5質量部以下である。
重縮合反応におけるエステル化助触媒の使用量は、反応性の観点から、アルコール成分(YA−al)と多価カルボン酸成分(YA−ac)との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上0.5質量部以下である。
ラジカル重合禁止剤の使用量は、アルコール成分(YA−al)と多価カルボン酸成分(YA−ac)との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上0.5質量部以下である。
重縮合反応の温度は、ポリエステル樹脂(YA)の生産性の観点から、好ましくは180℃以上、より更に好ましくは200℃以上であり、そして、好ましくは260℃以下、より好ましくは250℃以下である。
また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させることが好ましい。
樹脂粒子(Y)は、ポリエステル樹脂(YA)以外に、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、ポリエステル樹脂(YA)以外のポリエステル、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ、ポリカーボネート、ポリウレタン等を使用することができる。
樹脂粒子(Y)に含まれる全樹脂中におけるポリエステル樹脂(YA)の含有量は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
樹脂粒子(Y)は、必要に応じて、前記着色剤、帯電制御剤を含有させてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤等を含有させてもよい。
本発明のトナーを構成する凝集粒子(1)中の樹脂と樹脂粒子(Y)中の樹脂との質量比(1/Y)は、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、更に好ましくは2.5以上であり、そして、好ましくは9.0以下、より好ましくは7.0以下、更に好ましくは5.0以下、より更に好ましくは4.0以下である。
トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点、並びに低温定着性を向上させる観点から、前記樹脂粒子(X)を構成する樹脂のガラス転移温度TgXが、樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度TgYより小さいことが好ましく、樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度TgYより10℃以上小さいことがより好ましく、樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度TgYより18℃以上小さいことがより好ましい。
(樹脂粒子(Y)の製造方法)
樹脂粒子(Y)は、ポリエステル樹脂(YA)を含有する樹脂成分と、必要に応じて前記の任意成分とを水性媒体中に分散させ、樹脂粒子(YA)の水系分散体として得る方法によって製造することが好ましい。
水系分散体を得る方法は、樹脂粒子(X)の場合と同じく、ポリエステル樹脂(YA)等を水性媒体に添加し、分散機を用いて分散する方法、樹脂等に水性媒体を徐々に添加して転相乳化させる方法等が挙げられ、得られるトナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、転相乳化による方法が好ましい。
転相乳化法としても樹脂粒子(X)の場合と同様に、ポリエステル樹脂(YA)、及びその他前記の任意成分を有機溶媒に溶解させて得られた溶液に、水性媒体を添加して転相乳化する方法が好ましい。使用できる水性媒体及び有機溶媒の好ましい態様も、前記樹脂粒子(X)の製造方法に用いられる水性媒体及び有機溶媒と同様である。
有機溶媒と樹脂粒子(Y)を構成する樹脂との質量比(有機溶媒/樹脂粒子(Y)を構成する樹脂)は、樹脂を溶解し水性媒体への転相を容易にする観点、及び樹脂粒子(Y)の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.4以上であり、そして、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは1以下である。
本製造方法においても中和剤を溶液に添加することが好ましい。中和剤の好ましい態様は、前記樹脂粒子(X)の製造方法に用いられる中和剤と同様である。
中和剤によるポリエステル樹脂(YA)の中和度(モル%)は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上であり、そして、好ましくは150モル%以下、より好ましくは120モル%以下、更に好ましくは100モル%以下である。
添加する水性媒体の量は、樹脂粒子(Y)の分散安定性を向上させる観点から、樹脂粒子(Y)を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは100質量部以上、より好ましくは150質量部以上、更に好ましくは200質量部以上であり、そして、好ましくは900質量部以下、より好ましくは600質量部以下、更に好ましくは400質量部以下である。
また、樹脂粒子(Y)の分散安定性を向上させる観点から、水性媒体と前記有機溶媒との質量比(水性媒体/有機溶媒)は、好ましくは20/80以上、より好ましくは50/50以上、更に好ましくは80/20以上であり、そして、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、更に好ましくは85/15以下である。
水性媒体を添加する際の温度は、樹脂粒子(Y)の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上であり、そして、好ましくは85℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは75℃以下である。
水性媒体の添加速度は、小粒径の樹脂粒子(Y)を得る観点から、転相が終了するまでは、樹脂粒子(Y)を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部/分以上、より好ましくは0.5質量部/分以上、更に好ましくは1質量部/分以上、より更に好ましくは3質量部/分以上であり、そして、好ましくは50質量部/分以下、より好ましくは30質量部/分以下、更に好ましくは20質量部/分以下、より更に好ましくは10質量部/分以下である。転相後の水性媒体の添加速度には制限はない。
転相乳化の後に、必要に応じて、転相乳化で得られた分散体から有機溶媒を除去する工程を有していてもよい。
有機溶媒の除去方法及び水系分散体中の有機溶媒の残存量の好ましい態様は、前記樹脂粒子(X)の製造方法と同様である。
得られる樹脂粒子(Y)の水系分散体の固形分濃度は、トナーの生産性を向上させる観点、及び樹脂粒子(Y)の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。なお、固形分は樹脂、界面活性剤等の不揮発性成分の総量である。
水系分散体中の樹脂粒子(Y)の体積中位粒径(D50)は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.08μm以上、更に好ましくは0.10μm以上であり、そして、好ましくは0.50μm以下、より好ましくは0.40μm以下、更に好ましくは0.30μm以下である。
また、樹脂粒子(Y)の粒径分布の変動係数(CV値)(%)は、樹脂粒子(Y)の水系分散体の生産性を向上させる観点から、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上であり、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下である。
〔工程2の条件〕
工程2では、凝集粒子(1)に、樹脂粒子(Y)を凝集させて、凝集粒子(2)を得る。工程2では、前述した凝集粒子(1)の分散液に、樹脂粒子(Y)の水系分散体を添加することにより、凝集粒子(1)に更に樹脂粒子(Y)を付着させ、凝集粒子(2)の分散液を得ることが好ましい。
凝集粒子(1)の分散液に樹脂粒子(Y)の水系分散体を添加する前に、凝集粒子(1)の分散液に水性媒体を添加して希釈してもよい。また、凝集粒子(1)の分散液に樹脂粒子(Y)の水系分散体を添加するときには、凝集粒子(1)に樹脂粒子(Y)を効率的に付着させるために、前記凝集剤を本工程で用いてもよい。
樹脂粒子(Y)の水系分散体を添加する時の温度は、得られるトナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
樹脂粒子(Y)の水系分散体は、一定の時間をかけて連続的に添加してもよく、一時に添加してもよく、複数回に分割して添加してもよいが、一定の時間をかけて連続的に添加するか、複数回に分割して添加することが好ましい。前記のように添加することで、樹脂粒子(Y)が凝集粒子(1)に選択的に付着しやすくなる。なかでも選択的な付着を促進する観点、及びトナーの生産性を向上させる観点から、一定の時間を掛けて連続的に添加することが好ましい。
連続的に添加する場合の添加速度は、均一な凝集粒子(2)を得る観点、及びトナーの生産性を向上させる観点から、凝集粒子(1)100質量部に対して、好ましくは0.1ml/min以上、より好ましくは0.3ml/min以上であり、そして、好ましくは2.0ml/min以下、より好ましくは1.5ml/min以下、更に好ましくは1.0ml/min以下である。
樹脂粒子(Y)の添加量は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、樹脂粒子(Y)と樹脂粒子(X)との質量比〔(Y)/(X)〕が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上、更に好ましくは0.2以上、より更に好ましくは0.25以上であり、そして、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.4以下になる量である。
(凝集粒子(2)の体積中位粒径及びCV値)
得られる凝集粒子(2)の体積中位粒径(D50)は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下である。
凝集粒子(2)のCV値は、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは12%以上、より好ましくは14%以上、更に好ましくは16%以上であり、そして、高画質の画像を得る観点から、好ましくは30%以下、より好ましくは26%以下、更に好ましくは23%以下である。
樹脂粒子(Y)の全量を添加し、トナーとして適度な粒径に成長したところで凝集を停止させてもよい。
凝集を停止させる方法としては、分散液を冷却する方法、凝集停止剤を添加する方法、分散液を希釈する方法等が挙げられる。不必要な凝集を確実に防止する観点からは、凝集停止剤を添加して凝集を停止させる方法が好ましい。
(凝集停止剤)
凝集停止剤としては、界面活性剤が好ましく、アニオン性界面活性剤がより好ましい。アニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩等のエチレンオキシド鎖を含有するアニオン性界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩等が挙げられ、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくはエチレンオキシド鎖を含有するアニオン性界面活性剤、より好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、更に好ましくはポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、より更に好ましくはポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムである。
凝集停止剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
凝集停止剤の添加量は、不必要な凝集を確実に防止する観点から、樹脂粒子(X)、及び樹脂粒子(Y)の総量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であり、そして、トナーへの残留を低減する観点から、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは7質量部以下である。凝集停止剤は、トナーの生産性を向上させる観点から、水溶液で添加することが好ましい。
凝集停止剤を添加する温度は、トナーの生産性を向上させる観点から、凝集粒子(2)の分散液を保持する温度と同じであることが好ましい。好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
(塩基性物質)
本発明の工程2においては、過剰な凝集を防止する観点から、凝集終了時に、塩基性物質を添加することが好ましい。
塩基性物質としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びトリブチルアミン等の含窒素塩基性物質が挙げられ、これらの中でも、凝集粒子(2)の分散安定性と凝集性を制御する観点から、好ましくはアルカリ金属の水酸化物、より好ましくは水酸化カリウムである。
塩基性物質の添加量は、凝集粒子(2)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、そして、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。
[工程3]
工程3は、凝集粒子(2)を融着させて、コアシェル粒子を得る工程である。
凝集粒子(2)中の、主として物理的にお互いに付着している状態であった各粒子が融着されて一体となり、コアシェル構造のトナー粒子が形成される。
工程3では、好ましくは水性媒体中で融着させる。工程3で用いる水性媒体の好ましい態様は、前記樹脂粒子(X)の水系分散体を得る際に用いられる水性媒体と同様である。
本発明においては工程3において、徐々に酸を添加する。その詳細な条件は前述のとおりである。
添加する酸に制限はなく、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、及び酢酸等が好ましく挙げられるが、添加に対してpH変化が迅速である観点から、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸及び酢酸から選ばれる少なくとも1種、より好ましくは塩酸、硫酸、及び硝酸から選ばれる少なくとも1種、更に好ましくは硫酸である。
酸は、水系溶媒溶液の状態で添加することが好ましい。水系溶媒溶液中の酸の濃度は、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点、及び生産性を向上させる観点、並びに凝集粒子(2)の分散安定性と凝集性を制御する観点から、好ましくは0.001N以上、より好ましくは0.005N以上、更に好ましくは0.001N以上であり、そして、好ましくは5N以下、より好ましくは3N以下、更に好ましくは2N以下である。
工程3で得られるコアシェル粒子の体積中位粒径(D50)は、得られるトナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下である。
なお、工程3で得られるコアシェル粒子の体積中位粒径は、凝集粒子(2)の体積中位粒径と同程度もしくはそれ以下であることが好ましく、凝集粒子(2)の体積中位粒径以下であることがより好ましい。すなわち、本工程3において、凝集粒子同士の凝集、融着が生じないことが好ましい。
したがって、前記コアシェル粒子の体積中位粒径は、好ましくは前記凝集粒子(2)の体積中位粒径に0.5μm加えた大きさ以下であり、より好ましくは前記凝集粒子(2)の体積中位粒径に0.3μm加えた大きさ以下であり、更に好ましくは前記凝集粒子(2)の体積中位粒径に0.1μm加えた大きさ以下であり、より更に好ましくは凝集粒子(2)の体積中位粒径以下である。
[後処理工程]
本発明においては、工程3の後に後処理工程を行ってもよく、単離することによってトナー粒子を得ることが好ましい。
工程3で得られたコアシェル粒子は、水性媒体中に存在するため、まず、固液分離を行うことが好ましい。固液分離には、吸引濾過法等が好ましく用いられる。
固液分離後に洗浄を行うことが好ましい。このとき、添加した界面活性剤も除去することが好ましいため、界面活性剤の曇点以下で水性媒体により洗浄することが好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
次に乾燥を行うことが好ましい。乾燥時の温度は、コアシェル粒子自体の温度が樹脂のガラス転移温度より低くなるようにすることが好ましい。乾燥方法としては、真空低温乾燥法、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等を用いることが好ましい。乾燥後の水分含量は、トナーの帯電性を向上させる観点から、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下に調整する。
(トナー粒子)
乾燥等を行うことによって得られたトナー粒子を静電荷像現像用トナーとしてそのまま用いることもできるが、後述のようにトナー粒子の表面を処理したものを静電荷像現像用トナーとして用いることが好ましい。
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は、トナーの生産性を向上させる観点、高画質の画像を得る観点、並びにトナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下である。
トナー粒子のCV値は、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは12%以上、より好ましくは14%以上、更に好ましくは16%以上であり、そして、高画質の画像を得る観点から、好ましくは30%以下、より好ましくは26%以下、更に好ましくは23%以下である。
トナー粒子の円形度は、トナーの帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは0.940以上、より好ましくは0.945以上、更に好ましくは0.950以上であり、そして、トナーのクリーニング性、ドット再現性及び帯電均質性を向上させる観点から、好ましくは0.990以下、より好ましくは0.985以下、更に好ましくは0.980以下、より更に好ましくは0.975以下、より更に好ましくは0.970以下である。
(外添剤)
前記トナー粒子をトナーとしてそのまま用いることもできるが、流動化剤等を外添剤としてトナー粒子表面に添加処理したものをトナーとして使用することが好ましい。
外添剤としては、疎水性シリカ、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子及びポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等が挙げられ、これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
外添剤を用いてトナー粒子の表面処理を行う場合、外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4.5質量部以下、更に好ましくは4質量部以下である。
本発明により得られる静電荷像現像用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の静電荷像現像用トナーの製造方法を開示する。
<1> 工程1:樹脂粒子(X)を凝集させて、凝集粒子(1)を得る工程
工程2:凝集粒子(1)に、樹脂粒子(Y)を凝集させて、凝集粒子(2)を得る工程
工程3:凝集粒子(2)を融着させて、コアシェル粒子を得る工程
を有する、静電荷像現像用トナーの製造方法において、
前記樹脂粒子(X)を構成する樹脂と樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のFedors法による溶解度パラメータをそれぞれSP(X)、SP(Y)とするとき、溶解度パラメータの差ΔSP(|SP(X)−SP(Y)|)が0.5(cal/cm31/2以上2.0(cal/cm31/2未満であり、
前記工程3は、
樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度より5℃低い温度以上、樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度より20℃高い温度以下で、以下の条件(i)又は(ii)で酸を徐々に添加して、系のpHを少なくとも0.3以上低下させ、酸を全量添加した後の系のpHを4.0以上7.0以下とする、静電荷像現像用トナーの製造方法。
(i)酸を2回以上添加し、かつ、一回の酸添加における系中のpHの変化量が、酸を全量添加した場合のpHの変化量の80%以下である。
(ii)酸を連続添加し、かつ、平均pH変化速度が0.001min−1以上0.1min−1以下である。
<2> 前記溶解度パラメータの差ΔSP(|SP(X)−SP(Y)|)が、好ましくは0.6(cal/cm31/2以上であり、そして、好ましくは1.8(cal/cm31/2以下、より好ましくは1.5(cal/cm31/2以下、更に好ましくは1.2(cal/cm31/2以下、更に好ましくは1.0(cal/cm31/2以下である、上記<1>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<3> 樹脂粒子が複数種の樹脂を含有する場合、同一の樹脂粒子を構成する複数種の樹脂間のSP値差が、好ましくは0.3(cal/cm31/2以下、より好ましくは0.2(cal/cm31/2以下、更に好ましくは0.1(cal/cm31/2以下であり、より更に好ましくは実質的に0(cal/cm31/2である、上記<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<4> 工程3における温度が、好ましくは樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度以上、より好ましくは樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度より3℃高い温度以上、更に好ましくは樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度より5℃高い温度以上であり、そして、樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度より、好ましくは18℃高い温度以下、より好ましくは15℃高い温度以下、更に好ましくは12℃高い温度以下である、上記<1>〜<3>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<5> 酸を全量添加した後の系のpHが、好ましくは4.5以上、より好ましくは5.0以上、更に好ましくは5.5以上、より更に好ましくは5.8以上であり、そして、好ましくは6.8以下、より好ましくは6.6以下、更に好ましくは6.4以下である、上記<1>〜<4>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<6> 酸添加前の系のpHが、好ましくは6.0以上、より好ましくは6.5以上、更に好ましくは6.7以上、より更に好ましくは6.8以上であり、そして、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8.0以下である、上記<1>〜<5>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<7> 酸を全量添加した後の系のpHの低下量が、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.6以上であり、そして、好ましくは8.0以下、より好ましくは6.0以下、更に好ましくは4.0以下、より更に好ましくは2.0以下、より更に好ましくは1.5以下である、上記<1>〜<6>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<8> 前記条件(i)で酸を添加する、上記<1>〜<7>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<9> 酸の添加回数が、好ましくは2回以上、より好ましくは3回以上、更に好ましくは5回以上であり、そして、好ましくは10回以下、より好ましくは8回以下、更に好ましくは6回以下である、上記<8>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<10> 一回の酸添加における系中のpHの変化量が、酸を全量添加した場合のpHの変化量に対して、80%以下であり、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは35%以下であり、そして、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上である、上記<8>又は<9>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<11> 一回の酸添加から次の酸添加までの時間が、好ましくは10秒以上、より好ましくは30秒以上、更に好ましくは1分以上であり、そして、好ましくは20分以下、より好ましくは15分以下である、上記<8>〜<10>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<12> 酸添加時のpHの変化速度が、好ましくは0.2min-1以上、より好ましくは0.4min-1以上、更に好ましくは0.6min-1以上であり、そして、好ましくは2.5min-1以下、より好ましくは2.0min-1以下、更に好ましくは1.5min-1以下である、上記<8>〜<11>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<13> 前記条件(ii)で酸を添加する、上記<1>〜<7>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<14> 平均pH変化速度が、好ましくは0.001min−1以上、より好ましくは0.005min−1以上、更に好ましくは0.010min−1以上、より更に好ましくは0.015min−1以上であり、そして、好ましくは0.1min−1以下、より好ましくは0.08min−1以下、更に好ましくは0.05min−1以下である、上記<13>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<15> 任意の1分間あたりの系の最大pH変化量が、酸を全量添加した場合のpHの変化量に対して、好ましくは80%以下、より好ましくは60%以下、更に好ましくは40%以下、更に好ましくは35%以下であり、そして、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上である、上記<13>又は<14>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<16> 樹脂粒子(X)を構成する樹脂が、好ましくはポリエステル系樹脂を含み、より好ましくはポリエステル樹脂からなるセグメントを有する複合樹脂(XA)(以下、単に「複合樹脂(XA)」ともいう。)、及びポリエステル樹脂(XB)から選ばれる1種又は2種を含み、より好ましくは複合樹脂(XA)を含む、上記<1>〜<15>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<17> 複合樹脂(XA)は、好ましくは、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分と多価カルボン酸成分とを重縮合して得られるポリエステル樹脂からなるセグメント(Xa1)と、スチレン系化合物由来の構成単位を含有するビニル系樹脂セグメント(Xa2)とを有する、上記<16>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<18> ポリエステルセグメント(Xa1)が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分と多価カルボン酸成分とを重縮合して得られるポリエステル樹脂からなるセグメントである、上記<17>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<19> ポリエステルセグメント(Xa1)のアルコール成分(XA−al)が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有する、上記<17>又は<18>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<20> ポリエステルセグメント(Xa1)のアルコール成分(XA−al)中、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量が、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上、より更に好ましくは98モル%以上、より更に好ましくは100モル%である、上記<19>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<21> ポリエステルセグメント(Xa1)の多価カルボン酸成分が、好ましくはジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸、並びにそれらの無水物及びそれらの炭素数1以上3以下のアルキルエステルから選ばれる少なくとも1種、より好ましくはジカルボン酸、更に好ましくはジカルボン酸と3価以上の多価カルボン酸とを併用する、上記<17>〜<20>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<22> ポリエステルセグメント(Xa1)の多価カルボン酸成分が、好ましくは、テレフタル酸、フマル酸、アジピン酸、及びセバシン酸から選ばれる1種又は2種以上である、上記<17>〜<21>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<23> 複合樹脂(XA)中のポリエステルセグメント(Xa1)の含有量が、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは55質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である、上記<17>〜<22>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<24> ビニル系樹脂セグメント(Xa2)が、スチレン系化合物由来の構成単位を含有する、上記<17>〜<23>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<25> スチレン系化合物が、好ましくは、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、スチレンスルホン酸又はその塩等から選ばれる1種又は2種以上のスチレン類であり、より好ましくはスチレンを含み、更に好ましくはスチレンのみからなる、上記<24>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<26> ビニル系樹脂セグメント(Xa2)の由来成分である原料ビニルモノマー中、スチレン系化合物の含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは75質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下、より更に好ましくは85質量%以下である、上記<17>〜<25>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<27> 複合樹脂(XA)の軟化点が、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上であり、そして、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは110℃以下である、上記<17>〜<26>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<28> 複合樹脂(XA)のガラス転移温度が、好ましくは25℃以上、より好ましくは30℃以上、更に好ましくは33℃以上であり、そして、好ましくは55℃未満、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは45℃以下である、上記<17>〜<27>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<29> 複合樹脂(XA)の酸価が、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは35mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下である、上記<17>〜<28>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<30> ポリエステル樹脂(XB)が、好ましくは、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分(XB−al)と多価カルボン酸成分(XB−ac)とを重縮合して得られるものである、上記<16>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<31> ポリエステル樹脂(XB)の軟化点が、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは85℃以上であり、そして、好ましくは130℃以下、より好ましくは110℃以下、更に好ましくは100℃以下である、上記<30>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<32> ポリエステル樹脂(XB)のガラス転移温度が、好ましくは40℃以上、より好ましくは43℃以上、更に好ましくは45℃以上であり、そして、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは50℃以下である、上記<30>又は<31>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<33> ポリエステル樹脂(XB)の酸価が、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは35mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは25mgKOH/g以下である、上記<30>〜<32>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<34> 樹脂粒子(X)の体積中位粒径(D50)が、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.10μm以上、更に好ましくは0.12μm以上であり、そして、好ましくは0.80μm以下、より好ましくは0.40μm以下、更に好ましくは0.20μm以下である、上記<1>〜<33>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<35> 樹脂粒子(X)の粒径分布の変動係数(CV値)が、好ましくは5%以上、より好ましくは15%以上、更に好ましくは20%以上であり、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下である、上記<1>〜<34>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<36> 工程1で、更に、ワックス粒子分散液、凝集剤、界面活性剤、及び着色剤から選ばれる少なくとも1種を水性媒体中で凝集させて、凝集粒子(1)を得る、上記<1>〜<35>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<37> 工程1で、更に、ワックス粒子分散液を水性媒体中で凝集させて、凝集粒子(1)を得る、上記<1>〜<36>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<38> 前記ワックスの融点が、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である、上記<37>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<39> ワックスの含有量が、凝集粒子(1)に含まれる樹脂の総量100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である、上記<37>又は<38>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<40> ワックス粒子の体積中位粒径(D50)が、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.3μm以上であり、そして、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.8μm以下、更に好ましくは0.6μm以下である、上記<37>〜<39>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<41> ワックス粒子のCV値が、好ましくは10%以上、より好ましくは25%以上であり、そして、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下、更に好ましくは35%以下である、上記<37>〜<40>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<42> ワックス粒子を使用する場合、前記混合分散液中のワックス粒子の含有量が、樹脂粒子(X)100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である、上記<1>〜<41>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<43> 工程1の混合温度は、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは20℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下である、上記<1>〜<42>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<44> 工程1において凝集剤を添加する、上記<1>〜<43>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<45> 凝集剤が、好ましくは無機系凝集剤、より好ましくは、無機金属塩、又は無機アンモニウム塩、更に好ましくは無機アンモニウム塩であり、更に好ましくは硫酸アンモニウムである、上記<44>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<46> 凝集剤の使用量が、樹脂粒子(X)を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは45質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である、上記<44>又は<45>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<47> 好ましくは凝集剤を水溶液として、滴下する、上記<44>〜<46>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<48> 凝集剤の水溶液のpHを7.0以上9.0以下に調整して使用する、上記<47>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<49> 工程1で得られる凝集粒子(1)の体積中位粒径(D50)が、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下である、上記<1>〜<48>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<50> 工程2で、好ましくは水性媒体中で凝集させる、上記<1>〜<49>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<51> 樹脂粒子(Y)が、好ましくはポリエステル樹脂(YA)を含有する、上記<1>〜<50>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<52> ポリエステル樹脂(YA)が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分(YA−al)と多価カルボン酸成分(YA−ac)とを重縮合して得られる、上記<51>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<53> アルコール成分(YA−al)が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有する、上記<51>又は<52>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<54> アルコール成分(YA−al)中、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量が、好ましくは60モル%以上、より好ましくは75モル%以上、更に好ましくは85モル%以上、より更に好ましくは95モル%以上、より更に好ましくは100モル%である、上記<51>〜<53>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<55> 多価カルボン酸成分(YA−ac)が、好ましくは、ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸、並びにそれらの無水物及びそれらの炭素数1以上3以下のアルキルエステルから選ばれる少なくとも1種、より好ましくは、ジカルボン酸、更に好ましくは、ジカルボン酸と3価以上の多価カルボン酸とを併用する、上記<51>〜<54>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<56> ポリエステル樹脂(YA)の軟化点が、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上であり、そして、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である、上記<51>〜<55>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<57> ポリエステル樹脂(YA)のガラス転移温度が、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である、上記<51>〜<56>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<58> ポリエステル樹脂(YA)の酸価が、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは35mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは25mgKOH/g以下である、上記<51>〜<57>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<59> 樹脂粒子(Y)に含まれる全樹脂中におけるポリエステル樹脂(YA)の含有量が、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは100質量%である、上記<51>〜<58>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<60> トナーを構成する凝集粒子(1)中の樹脂と樹脂粒子(Y)中の樹脂との質量比(1/Y)が、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、更に好ましくは2.5以上であり、そして、好ましくは9.0以下、より好ましくは7.0以下、更に好ましくは5.0以下、より更に好ましくは4.0以下である、上記<1>〜<59>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<61> 好ましくは前記樹脂粒子(X)を構成する樹脂のガラス転移温度TgXが、樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度TgYより小さい、より好ましくは樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度TgYより10℃以上小さい、更に好ましくは樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度TgYより18℃以上小さい、上記<1>〜<60>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<62> 樹脂粒子(Y)の添加量が、樹脂粒子(Y)と樹脂粒子(X)との質量比〔(Y)/(X)〕が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上、更に好ましくは0.2以上、より更に好ましくは0.25以上であり、そして、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.4以下になる量である、上記<1>〜<61>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<63> 工程2で得られる凝集粒子(2)の体積中位粒径(D50)が、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下である、上記<1>〜<62>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<64> 凝集粒子(2)のCV値が、好ましくは12%以上、より好ましくは14%以上、更に好ましくは16%以上であり、そして、好ましくは30%以下、より好ましくは26%以下、更に好ましくは23%以下である、上記<1>〜<63>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<65> 樹脂粒子(Y)の全量を添加し、トナーとして適度な粒径に成長したところで凝集を停止させる、上記<1>〜<64>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<66> 凝集停止剤が、好ましくは界面活性剤であり、より好ましくはアニオン性界面活性剤である、上記<65>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<67> アニオン性界面活性剤が、好ましくは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩等のエチレンオキシド鎖を含有するアニオン性界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、及びアルキルエーテル硫酸塩から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはエチレンオキシド鎖を含有するアニオン性界面活性剤、更に好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、更に好ましくはポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、より更に好ましくはポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムである、上記<66>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<68> 凝集停止剤の添加量が、樹脂粒子(X)、及び樹脂粒子(Y)の総量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは7質量部以下である、上記<66>又は<67>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<69> 凝集停止剤を添加する温度が、好ましくは凝集粒子(2)の分散液を保持する温度と同じであり、より好ましくは40℃以上、更に好ましくは45℃以上、より更に好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である、上記<66>〜<68>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<70> 工程2において、凝集終了時に、塩基性物質を添加する、上記<1>〜<69>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<71> 塩基性物質が、好ましくは、アルカリ金属の水酸化物、より好ましくは水酸化カリウムである、上記<70>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<72> 塩基性物質の添加量が、凝集粒子(2)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、そして、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である、上記<70>又は<71>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<73> 工程3で、好ましくは水性媒体中で融着させる、上記<1>〜<72>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<74> 工程3において、添加する酸が、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸及び酢酸から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは塩酸、硫酸、及び硝酸から選ばれる少なくとも1種、更に好ましくは硫酸である、上記<73>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<75> 好ましくは酸を水系溶媒溶液の状態で添加する、上記<1>〜<74>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<76> 水系溶媒溶液中の酸の濃度が、好ましくは0.001N以上、より好ましくは0.005N以上、更に好ましくは0.001N以上であり、そして、好ましくは5N以下、より好ましくは3N以下、更に好ましくは2N以下である、上記<75>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<77> 工程3で得られるコアシェル粒子の体積中位粒径(D50)が、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下である、上記<1>〜<76>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<78> 工程3で得られるコアシェル粒子の体積中位粒径が、好ましくは凝集粒子(2)の体積中位粒径と同程度もしくはそれ以下であり、より好ましくは凝集粒子(2)の体積中位粒径以下である、上記<1>〜<77>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<79> 前記コアシェル粒子の体積中位粒径が、好ましくは前記凝集粒子(2)の体積中位粒径に0.5μm加えた大きさ以下であり、より好ましくは前記凝集粒子(2)の体積中位粒径に0.3μm加えた大きさ以下であり、更に好ましくは前記凝集粒子(2)の体積中位粒径に0.1μm加えた大きさ以下であり、より更に好ましくは凝集粒子(2)の体積中位粒径以下である、上記<1>〜<78>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<80> トナー粒子の体積中位粒径(D50)が、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下である、上記<1>〜<79>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<81> トナー粒子のCV値が、好ましくは12%以上、より好ましくは14%以上、更に好ましくは16%以上であり、そして、好ましくは30%以下、より好ましくは26%以下、更に好ましくは23%以下である、上記<1>〜<80>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
<82> トナー粒子の円形度が、好ましくは0.940以上、より好ましくは0.945以上、更に好ましくは0.950以上であり、そして、好ましくは0.990以下、より好ましくは0.985以下、更に好ましくは0.980以下、より更に好ましくは0.975以下、より更に好ましくは0.970以下である、上記<1>〜<81>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
複合樹脂、ポリエステル樹脂、樹脂粒子、トナー等の各性状値については次の方法により測定、評価した。
[複合樹脂、ポリエステル樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定した。但し、測定溶媒をアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
[複合樹脂、ポリエステル樹脂の軟化点、ガラス転移温度]
(1)軟化点
フローテスター「CFT−500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(2)ガラス転移温度
示差走査熱量計「Q100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定した。ピークが観測されるときはそのピークの温度を、ピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度をガラス転移温度とした。
[ワックスの融点]
示差走査熱量計「Q100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定し、吸熱の最大ピーク温度を融点とした。
[樹脂粒子、ワックス粒子の体積中位粒径(D50)及びCV値]
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機「LA−920」(株式会社堀場製作所製)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)及び体積平均粒径を測定した。また、CV値は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
[樹脂粒子分散液、ワックス粒子分散液の固形分濃度]
赤外線水分計「FD−230」(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて、測定試料5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5min/変動幅0.05%)にて、水分(質量%)を測定した。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(質量%)=100−水分(質量%)
[凝集粒子、コアシェル粒子の体積中位粒径(D50)及びCV値]
凝集粒子及びコアシェル粒子の体積中位粒径(D50)は以下の通り測定した。
・測定機:「コールターマルチサイザー(登録商標)III」(ベックマンコールター株式会社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:「マルチサイザー(登録商標)IIIバージョン3.51」(ベックマンコールター株式会社製)
・電解液:「アイソトン(登録商標)II」(ベックマンコールター株式会社製)
・測定条件:試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒径分布から体積中位粒径(D50)及び体積平均粒径を求めた。また、CV値(粒径分布)は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
[工程3のpH]
pHメーター「SevenGo pH meter SG2」(メトラー・トレド社製)を用いて、融着工程中の分散液にpHメーターの電極を浸すことにより、各温度下、撹拌された状態で、pHを測定した。
[トナー粒子の体積中位粒径(D50)及びCV値]
トナー粒子の体積中位粒径は以下の通り測定した。
測定機、アパチャー径、解析ソフト、電解液は、凝集粒子の体積中位粒径と同様のものを用いた。
・分散液:ポリオキシエチレンラウリルエーテル「エマルゲン(登録商標)109P」(花王株式会社製、HLB:13.6)を前記電解液に溶解させ、濃度5重量%の分散液を得た。
・分散条件:前記分散液5mLにトナー測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を作製した。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒径分布から体積中位粒径(D50)及び体積平均粒径を求めた。
また、CV値(%)は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
[トナー粒子の円形度]
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス株式会社製)を用いて、下記条件でトナー粒子の円形度を測定した。
・分散液の調製:トナー粒子の分散液は、5質量%ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン109P)水溶液5mlにトナー粒子50mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させたのち、蒸留水20mlを添加し、さらに超音波分散機にて1分間分散させて調製した。
・測定モード:HPF測定モード
[トナー粒子のBET比表面積]
「Micromeritics FlowSorbIII」(株式会社島津製作所製)を用いて、下記条件で窒素吸着によるBET多点法により、BET比表面積を測定した。
・トナーサンプル量:0.09〜0.11g
・脱気条件:40℃、10分間
・吸着ガス:窒素ガス
[トナーのクリーニング性]
市販のプリンタ「Microline(登録商標)5400」(株式会社沖データ製)を用いて、感光体上にベタ現像トナー(ベタ印刷する際のトナー量を感光体に付着させたもの)を形成し、このベタ現像トナーを転写紙に転写させないでクリーニング装置まで到達させてクリ−ニングし、クリーニングブレードを通過後の感光体表面のスジの数を目視で確認した。スジの数が少ないほど、クリーニング性が良好であることを表す。
[トナーのドット再現性]
上質紙「J紙A4サイズ」(富士ゼロックス株式会社製)に市販のプリンタ「Microline(登録商標)5400」(株式会社沖データ製)を用いて、1200dpiの解像度において、2dots 2spaceのハーフトーン画像を印字した。これを目視により下記の5段階で評価を行った。数字が大きいほどドット周辺のトナーの飛散やドット内の白抜けが少なくドットが明瞭である。
5:ドット周辺に飛散トナーがほとんど確認されずドットが非常に明瞭であり、ドット内の白抜けもない。
4:ドット周辺に飛散トナーがわずかに見られるもののドットは明瞭であり、ドット内の白抜けもない。
3:ドット周辺の飛散トナーが見られドットがやや不明瞭となるものの、ドット内の白抜けは見られない。
2:ドット周辺の飛散トナーが見られドットがやや不明瞭となり、ドット内の白抜けも確認できる。
1:ドット周辺に飛散トナーが目立ちドットが不明瞭であり、ドット内の白抜けも目立つ。
[トナーの帯電量分布]
トナー0.6g及びフェライトキャリア(フェライトコア、シリコーンコート、飽和磁化:71Am/kg)19.4gを50ml容のポリプロピレン製ボトル「PPサンプラボトル広口」(株式会社サンプラテック製)に入れ、ボールミルにて20分撹拌した後、5gを採取し、帯電量測定器「q−test」(エッピング社製)により、下記の測定条件で測定を行った。
Toner Flow(ml/min):160
Electrode Voltage(V):4000
Deposition Time(s):2
median q/dをトナーの帯電量Q/d(fC/10μm)とした。その際、SpecificDensity(比重)は1.2 g/cmとし、Median Diameterはトナーの体積中位粒径(D50)の値を採用した。得られたQ/dが−0.4〜0.4(fC/10μm)の範囲にて直線で結び、帯電量分布のグラフを作成した。
[走査型電子顕微鏡(SEM)写真]
導電テープを貼付したSEM試料台に、得られたトナー粒子を採取し、Pt―パラジウム蒸着を180秒行い、FE―SEM(株式会社日立製作所製S−4800)でトナーの表面観察を行った。
[樹脂の製造]
製造例X1
(樹脂X1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、表1に示すポリエステル樹脂部分の原料モノマーのアルコール成分、酸成分のうちテレフタル酸、エステル化触媒及びエステル化助触媒を入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、5時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて保持した。その後、160℃まで冷却し、160℃に保持した状態で、表1に示すビニル系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及びラジカル重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下した。その後、30分間160℃に保持したのち、200℃まで昇温し、更にフラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて1時間保持した。大気圧に戻した後、180℃に冷却し、ポリエステル樹脂部分の原料モノマーのうちテレフタル酸以外の酸成分及び4−tert−ブチルカテコールを加え、220℃まで10℃/hrで昇温し、その後、10kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、樹脂X1を得た。物性を表1に示す。
製造例X2
(樹脂X2の製造)
窒素導入管、脱水管、攪拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、表1に示すポリエステル樹脂の原料モノマーのアルコール成分、酸成分のうちテレフタル酸、エステル化触媒及びエステル化助触媒を入れ、窒素雰囲気下、混合物を撹拌しながら、230℃に昇温し、230℃で5時間保持した後に、180℃まで冷却した。ポリエステル樹脂の原料モノマーのうちテレフタル酸以外の酸成分を加え、220℃まで10℃/hrで昇温し、その後、10kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、樹脂X2を得た。物性を表1に示す。
製造例X3およびY2
(樹脂X3及びY2の製造)
ポリエステル樹脂の原料モノマー及び量を表1に示すように変更した以外は製造例X2と同様にして、樹脂X3及びY3を得た。物性を表1に示す。
製造例Y1
(樹脂Y1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、表1に示すポリエステル樹脂の原料モノマーのアルコール成分、酸成分のうちテレフタル酸、エステル化触媒及びエステル化助触媒を入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、8時間保持した後に、180℃まで冷却した。ポリエステル樹脂の原料モノマーのうちテレフタル酸以外の酸成分及び4−t−ブチルカテコールを加え、220℃まで10℃/hrで昇温し、その後、10kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、樹脂Y1を得た。物性を表1に示す。
[樹脂粒子の製造]
製造例A1
(樹脂粒子の水系分散体A−1の製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた3L容の容器に、樹脂X1 300g、メチルエチルケトン180gを入れ、73℃にて2時間かけて溶解させた。得られた溶液に、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を、樹脂の酸価に対して中和度60モル%になるように添加して、30分撹拌した。
次いで、73℃に保持したまま、280r/min(周速度88m/min)で撹拌しながら、イオン交換水1000gを60分かけて添加し、転相乳化した。継続して73℃に保持したまま、メチルエチルケトンを減圧下で留去し分散液を得た。その後、280r/min(周速度88m/min)で撹拌を行いながら分散液を30℃に冷却した後、固形分濃度が20質量%になるようにイオン交換水を加えることにより、樹脂粒子の水系分散体A−1を得た。物性を表2に示す。
製造例A2およびA3
(樹脂粒子の水系分散体A−2及びA−3の製造)
樹脂の種類を表2に示すように変更した以外は、製造例A1と同様にして樹脂粒子の水系分散体A−2及びA−3を得た。物性を表2に示す。
製造例B1
(樹脂粒子の水系分散体B−1の製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた3L容の容器に、樹脂Y1 300g、メチルエチルケトン180gを入れ、73℃にて2時間かけて溶解させた。得られた溶液に、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を、樹脂の酸価に対して中和度60モル%になるように添加して、30分撹拌した。
次いで、73℃に保持したまま、280r/分(周速88m/分)で撹拌しながら、イオン交換水900gを60分かけて添加し、転相乳化した。継続して73℃に保持したまま、メチルエチルケトンを減圧下で留去した。その後、280r/min(周速度88m/min)で撹拌を行いながら分散液を30℃に冷却した後、固形分濃度が23質量%になるようにイオン交換水を加えることにより、樹脂粒子の水系分散体B−1を得た。物性を表3に示す。
製造例B2
(樹脂粒子の水系分散体B−2の製造)
樹脂をY2に変更した以外は製造例B1と同様にして樹脂粒子の水系分散体B−2を得た。物性を表4に示す。
[ワックス粒子の製造]
製造例C1
(ワックス粒子分散液C−1の製造)
1L容のビーカーに、脱イオン水225g、カルナウバワックス「カルナウバワックス1号」(株式会社加藤洋行製、融点83℃)5g、及びパラフィンワックス「HNP−9」(日本精蝋株式会社製、融点75℃)45gを添加し、90〜95℃に温度を保持して溶融させて撹拌し、カルナウバワックスとパラフィンワックスとが一体となって溶融した溶融混合物を得た。ついで、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロス(登録商標)WS−700」(株式会社日本触媒製、不揮発分25質量%、数平均分子量20,000)1.7gを添加し、90〜95℃に温度を保持しながら、超音波ホモジナイザー「US−600T」(株式会社日本精機製作所製)を用いて15分間分散処理を行った。ここに塩化ビニル系共重合エマルション「ビニブラン(登録商標)701」(日信化学工業株式会社製、固形分30質量%、酸価46mgKOH/g、ガラス転移温度70℃、平均粒径30nm)9.0gを添加し、超音波ホモジナイザーにて15分間分散処理を行った後に室温まで冷却した。得られた分散物に脱イオン水を加え、固形分濃度を20質量%に調整し、ワックス粒子分散液を得た。得られたワックス粒子分散液の粒径は440nm、CV値は30%であった。
[着色剤分散液の製造]
製造例D1
(着色剤分散液D−1の製造)
1L容のビーカーに、銅フタロシアニン顔料「ECB−301」(大日精化工業株式会社製)116.2g、アニオン性界面活性剤「ネオペレックス(登録商標)G−15」(花王株式会社製、15質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液)154.9g及びイオン交換水340gを混合し、ホモジナイザーを用いて室温下で3時間分散させた後、固形分濃度が24質量%になるようにイオン交換水を加えることにより着色剤分散液D−1を得た。分散液中の着色剤微粒子の体積中位粒径(D50)は0.118μmであった。
[トナーの製造]
実施例1
(トナー1の作製)
(工程1)
脱水管、撹拌装置及び熱電対を装備した内容積3Lの4つ口フラスコに、樹脂粒子の水系分散体A−1 300g、ワックス粒子分散液C−1 28g、着色剤分散液D−1 23g、及び非イオン性界面活性剤「エマルゲン(登録商標)150」(花王株式会社製、ポリオキシエチレン(50mol)ラウリルエーテル)の10質量%水溶液6gを温度25℃下で混合した。次に、該混合物を撹拌しながら、硫酸アンモニウム17gを脱イオン水178gに溶解した水溶液に4.8質量%水酸化カリウム水溶液を添加してpH8.1に調整した溶液を25℃で5分かけて滴下した後、54℃まで2時間かけて昇温し、凝集粒子の体積中位粒径が4.3μmになるまで、54℃で保持し、凝集粒子(1)の分散液を得た。
(工程2)
前記凝集粒子(1)の分散液の温度を54℃に保持しながら、樹脂粒子(Y)の分散液として、樹脂粒子の水系分散体B−1 79gを0.4ml/minの速度で滴下した。続いて、アニオン性界面活性剤「エマール(登録商標)E27C」(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、有効濃度27質量%)12.5g、脱イオン水1200gを混合した水溶液、及び4.8質量%水酸化カリウム水溶液1gを添加し、凝集粒子(2)の分散液を得た。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を、73℃まで1時間かけて昇温して、10分間保持した後、0.2N硫酸水溶液7gを10秒かけて添加した。その後10分おきに同様にして0.2N硫酸水溶液7gを4回添加した。その後、10分間73℃で保持し、表面が融着したコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは6.3であった。
(濾過、洗浄、及び外添工程)
得られたコアシェル粒子の分散液を30℃に冷却して、分散液を吸引濾過で固形分を分離した後、脱イオン水で洗浄し、33℃で乾燥を行って、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子の物性を表4に示す。該トナー粒子100質量部、疎水性シリカ「RY50」(日本アエロジル株式会社製、個数平均粒径;0.04μm)2.5質量部、及び疎水性シリカ「キャボシルTS720」(キャボットジャパン株式会社製、個数平均粒径;0.012μm)1.0質量部をヘンシェルミキサーに入れ、撹拌し、150メッシュのふるいを通過させてトナー1を得た。トナーの評価を表4に示す。得られたトナーの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図1に示す。
実施例2
(トナー2の作製)
実施例1において工程3を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー2を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を73℃まで1時間かけて昇温して、10分間保持した後、0.2N硫酸水溶液9.5gを10秒かけて添加した。その後10分おきに同様にして0.2N硫酸水溶液9.5gを4回添加した。その後、10分間73℃で保持し、表面が融着したコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは6.0であった。
実施例3
(トナー3の作製)
実施例1において工程3を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー3を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を73℃まで1時間かけて昇温して、10分間保持した後、0.2N硫酸水溶液10gを10秒かけて添加した。その後10分おきに同様にして0.2N硫酸水溶液10gを4回添加した。その後、10分間73℃で保持し、表面が融着したコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは5.9であった。
実施例4
(トナー4の作製)
実施例1において工程3を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー4を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を73℃まで1時間かけて昇温して、10分間保持した後、0.2N硫酸水溶液11gを10秒かけて添加した。その後10分おきに同様にして0.2N硫酸水溶液11gを4回添加した。その後、10分間73℃で保持し、表面が融着したコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは5.7であった。
実施例5
(トナー5の作製)
実施例1において工程3を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー5を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を73℃まで1時間かけて昇温して、10分間保持した後、0.2N硫酸水溶液4gを10秒かけて添加した。その後10分おきに同様にして0.2N硫酸水溶液4gを4回添加した。その後、10分間73℃で保持し、表面が融着したコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは6.5であった。
実施例6
(トナー6の作製)
実施例1において工程3を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー6を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を78℃まで1時間かけて昇温して、10分間保持した後、0.2N硫酸水溶液7gを10秒かけて添加した。その後10分おきに同様にして0.2N硫酸水溶液7gを4回添加した。その後、10分間78℃で保持し、表面が融着したコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは6.3であった。
実施例7
(トナー7の作製)
実施例1において工程3を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー7を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を67℃まで1時間かけて昇温して、10分間保持した後、0.2N硫酸水溶液7gを10秒かけて添加した。その後10分おきに同様にして0.2N硫酸水溶液7gを4回添加した。その後、10分間67℃で保持し、表面が融着したコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは6.3であった。
実施例8
(トナー8の作製)
実施例1において工程3を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー8を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を73℃まで1時間かけて昇温して、10分間保持した後、0.2N硫酸水溶液11.7gを10秒かけて添加した。その後10分おきに同様にして0.2N硫酸水溶液11.7gを2回添加した。その後、10分間73℃で保持し、表面が融着したコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは6.3であった。
実施例9
(トナー9の作製)
実施例1において工程3を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー9を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を73℃まで1時間かけて昇温して、10分間保持した後、0.2N硫酸水溶液17.5gを10秒かけて添加した。10分後更に0.2N硫酸水溶液17.5gを10秒かけて添加した。その後、10分間73℃で保持し、表面が融着したコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは6.3であった。
実施例10
(トナー10の作製)
実施例1において工程3を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー10を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を73℃まで1時間かけて昇温して、10分間保持した後、0.2N硫酸水溶液35gを1ml/minの速度で滴下した。その後、10分間73℃で保持し、表面が融着したコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは6.3であった。
実施例11
(トナー11の作製)
実施例1において使用する樹脂粒子分散液をA−2及びB−2に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー11を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。
実施例12
(トナー12の作製)
実施例1において工程3を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー12を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を73℃まで1時間かけて昇温して、10分間保持した後、2N硫酸水溶液0.7gを10秒かけて添加した。その後10分おきに同様にして2N硫酸水溶液0.7gを4回添加した。その後、10分間73℃で保持し、表面が融着したコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは6.3であった。
実施例13
(トナー13の作製)
実施例1において工程3を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー13を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を73℃まで1時間かけて昇温して、10分間保持した後、0.02N硫酸水溶液70gを30秒かけて添加した。その後10分おきに同様にして0.02N硫酸水溶液70gを4回添加した。その後、10分間73℃で保持し、表面が融着したコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは6.3であった。
実施例14
(トナー14の作製)
実施例1において工程3を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー14を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を73℃まで1時間かけて昇温して、10分間保持した後、0.1N酢酸水溶液18gを30秒かけて添加した。その後10分おきに同様にして0.1N酢酸水溶液18gを4回添加した。その後、10分間73℃で保持し、表面が融着したコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは6.3であった。
実施例15
(トナー15の作製)
実施例1において工程3を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー15を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を73℃まで1時間かけて昇温して、5分間保持した後、0.2N硫酸水溶液7gを10秒かけて添加した。その後5分おきに同様にして0.2N硫酸水溶液7gを4回添加した。その後、10分間73℃で保持し、表面が融着したコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは6.3であった。
実施例16
(トナー16の作製)
実施例1において工程3を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー16を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を73℃まで1時間かけて昇温して、2分間保持した後、0.2N硫酸水溶液7gを10秒かけて添加した。その後2分おきに同様にして0.2N硫酸水溶液7gを4回添加した。その後、10分間73℃で保持し、表面が融着したコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは6.3であった。
比較例1
(トナー17の作製)
実施例1において工程3を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー17を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。得られたトナーの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図1に示す。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を73℃まで1時間かけて昇温して、10分間保持した後、0.2N硫酸水溶液35gを一括添加した。その後、10分間73℃で保持し、表面が融着したコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは6.3であった。
比較例2
(トナー18の作製)
実施例1において工程3を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー18を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。得られたトナーの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図1に示す。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を73℃まで1時間かけて昇温して、73℃で1時間保持し、表面が融着したコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは6.8であった。
比較例3
(トナー19の作製)
実施例1において工程3を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー19を得た。トナー粒子の物性及びトナーの評価を表4に示す。得られたトナーの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図1に示す。
(工程3)
凝集粒子(2)の分散液を90℃まで1時間かけて昇温して、90℃で1時間保持し、表面が融着しほぼ球状のコアシェル粒子を得た。工程3終了時のpHは6.8であった。
比較例4
(トナー20の作製)
実施例1において使用する樹脂粒子をA−3及びB−2に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー20を得た。
上記実施例及び比較例のトナー粒子の物性及びトナーの評価を表4〜6に示す。
表4〜6の結果から、実施例のトナーは比較例のトナーに比べて、クリーニング性に優れ、更にドット再現性や帯電均質性にも優れることがわかる。
本発明の製造方法により得られたトナーは、優れた低温定着性と耐熱保存性とを両立し、感光体クリーニング性に優れ、更にドット再現性や帯電特性にも優れるため、電子写真の静電荷像現像のために使用することができる。

Claims (8)

  1. 工程1:樹脂粒子(X)を凝集させて、凝集粒子(1)を得る工程
    工程2:凝集粒子(1)に、樹脂粒子(Y)を凝集させて、凝集粒子(2)を得る工程
    工程3:凝集粒子(2)を融着させて、コアシェル粒子を得る工程
    を有する、静電荷像現像用トナーの製造方法において、
    前記樹脂粒子(X)を構成する樹脂と樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のFedors法による溶解度パラメータをそれぞれSP(X)、SP(Y)とするとき、溶解度パラメータの差ΔSP(|SP(X)−SP(Y)|)が0.5(cal/cm31/2以上2.0(cal/cm31/2未満であり、
    前記工程3は、
    樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度より5℃低い温度以上、樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度より18℃高い温度以下で、以下の条件(i)又は(ii)で酸を徐々に添加して、系のpHを少なくとも0.3以上低下させ、酸を全量添加した後の系のpHを4.0以上7.0以下とする、静電荷像現像用トナーの製造方法。
    (i)酸を2回以上添加し、かつ、一回の酸添加における系中のpHの変化量が、酸を全量添加した場合のpHの変化量の80%以下である。
    (ii)酸を連続添加し、かつ、平均pH変化速度が0.001min−1以上0.1min−1以下である。
  2. 前記工程3において、酸の添加前の系のpHが6.0以上12以下である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記工程3において、酸を全量添加した後の系のpHが、6.8以下である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 前記樹脂粒子(Y)が、ポリエステル樹脂を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 前記工程2において、塩基性物質を添加する、請求項1〜のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  6. 前記樹脂粒子(X)を構成する樹脂のガラス転移温度TgXが、樹脂粒子(Y)を構成する樹脂のガラス転移温度TgYより小さい、請求項1〜のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  7. 前記コアシェル粒子の体積中位粒径が、前記凝集粒子(2)の体積中位粒径に0.5μm加えた大きさ以下である、請求項1〜のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  8. 前記工程2においてエチレンオキシド鎖を含有するアニオン性界面活性剤を添加する、請求項1〜のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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