(第1の実施形態)
まず、本実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1の構成を説明するための図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ11と、入力装置12と、モニタ13と、装置本体100とを有する。
超音波プローブ11は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体100が有する送受信部110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ11は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ11は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材などを有する。なお、超音波プローブ11は、装置本体100と着脱自在に接続される。
超音波プローブ11から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ11が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
ここで、本実施形態に係る超音波プローブ11は、超音波により被検体Pを2次元で走査するとともに、被検体Pを3次元で走査することが可能な超音波プローブであってもよい。具体的には、本実施形態に係る超音波プローブ11は、被検体Pを2次元で走査する複数の超音波振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで、被検体Pを3次元で走査するメカニカルスキャンプローブであってもよい。
或いは、超音波プローブ11は、複数の超音波振動子がマトリックス状に配置されることで、被検体Pを3次元で超音波走査することが可能な2次元超音波プローブであってもよい。なお、2次元超音波プローブは、超音波を集束して送信することで、被検体Pを2次元で走査することも可能である。
入力装置12は、図1に示すように、トラックボール12a、スイッチ12b、ボタン12c、タッチコマンドスクリーン12dなどを有し、後述するインターフェース部180を介して装置本体100と接続される。入力装置12は、超音波診断装置の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。例えば、入力装置12は、超音波画像データの収集時に設定される複数の設定項目のなかから、2以上の設定項目を選択する選択操作を受け付ける。
一例を挙げると、タッチコマンドスクリーン12dは、後述する制御部170によって生成される表示情報を表示するとともに、当該表示情報に含まれる情報に対する選択操作をユーザから受付ける。なお、タッチコマンドスクリーン12dによって表示される表示情報については、後に詳述する。
モニタ13は、超音波診断装置の操作者が入力装置12を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像などを表示したりする。例えば、モニタ13は、後述する制御部170の処理によって生成された表示情報を表示する。なお、モニタ13によって表示される表示情報については、後に詳述する。
装置本体100は、超音波プローブ11が受信した反射波に基づいて超音波画像を生成する装置である。具体的には、本実施形態に係る装置本体100は、超音波プローブ11が受信した3次元の反射波データに基づいて3次元超音波画像(ボリュームデータ)を生成可能な装置である。装置本体100は、図1に示すように、送受信部110と、Bモード処理部120と、ドプラ処理部130と、画像生成部140と、画像メモリ150と、内部記憶部160と、制御部170と、インターフェース部180とを有する。
送受信部110は、トリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路などを有し、超音波プローブ11に駆動信号を供給する。パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、遅延回路は、超音波プローブ11から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ11に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。
なお、送受信部110は、後述する制御部170の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧などを瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、または、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
また、送受信部110は、アンプ回路、A/D変換器、加算器などを有し、超音波プローブ11が受信した反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換し、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、A/D変換器によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
このように、送受信部110は、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。ここで、本実施形態に係る送受信部110は、超音波プローブ11から被検体Pに対して3次元の超音波ビームを送信させ、超音波プローブ11が受信した3次元の反射波信号から3次元の反射波データを生成する。
Bモード処理部120は、送受信部110から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理などを行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
ここで、Bモード処理部120は、検波周波数を変化させることで、映像化する周波数帯域を変えることができる。また、Bモード処理部120は、一つの反射波データに対して、二つの検波周波数による検波処理を並列して行うことができる。
このBモード処理部120の機能を用いることにより、コントラストハーモニックイメージング(CHI:Contrast Harmonic Imaging)において、造影剤が注入された被検体Pの反射波データから、造影剤(微小気泡、バブル)を反射源とする反射波データ(高調波データ又は分周波データ)と、被検体P内の組織を反射源とする反射波データ(基本波データ)とを分離することができる。すなわち、Bモード処理部120は、組織画像を生成するためのBモードデータとともに、造影画像を生成するためのBモードデータを生成することができる。
また、このBモード処理部120の機能を用いることにより、ティッシュハーモニックイメージング(THI:Tissue Harmonic Imaging)において、被検体Pの反射波データから、高調波データ又は分周波データを分離することで、ノイズ成分を除去した組織画像を生成するためのBモードデータを生成することができる。
ドプラ処理部130は、送受信部110から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワーなどの移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
なお、本実施形態に係るBモード処理部120およびドプラ処理部130は、2次元の反射波データおよび3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、本実施形態に係るBモード処理部120は、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成することができる。具体的には、本実施形態に係るBモード処理部120は、通常のBモード撮影時や、コントラストハーモニックイメージング、ティッシュハーモニックイメージングにおいて、3次元のBモードデータを生成することができる。また、本実施形態に係るドプラ処理部130は、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成することができる。
画像生成部140は、Bモード処理部120及びドプラ処理部130が生成したデータから超音波画像を生成する。すなわち、画像生成部140は、Bモード処理部120が生成したBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像を生成する。具体的には、画像生成部140は、Bモード処理部120が生成した3次元のBモードデータから、3次元のBモード画像を生成する。
また、画像生成部140は、ドプラ処理部130が生成したドプラデータから移動体情報を表す平均速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらの組み合わせ画像としてのカラードプラ画像を生成する。具体的には、画像生成部140は、ドプラ処理部130が生成した3次元のドプラデータから、3次元のカラードプラ画像を生成する。
なお、以下では、画像生成部140が生成した3次元のBモード画像及び3次元のカラードプラ画像をまとめて「ボリュームデータ」と記載する。
また、画像生成部140は、生成したボリュームデータをモニタ13や、タッチコマンドスクリーン12dにて表示するための各種画像を生成することができる。具体的には、画像生成部140は、ボリュームデータからレンダリング画像などを生成することができる。なお、画像生成部140は、超音波画像に、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマークなどを合成した合成画像を生成することもできる。
画像メモリ150は、画像生成部140によって生成された画像を記憶するメモリである。また、画像メモリ150は、Bモード処理部120やドプラ処理部130が生成したデータを記憶することも可能である。
内部記憶部160は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見など)や、診断プロトコルや各種ボディーマークなどの各種データを記憶する。また、内部記憶部160は、必要に応じて、画像メモリ150が記憶する画像の保管などにも使用される。また、内部記憶部160は、後述する制御部170によって生成された表示情報を記憶する。 また、内部記憶部160は、超音波画像データの収集時に設定される複数の設定項目について、経時的な超音波画像データから所定の超音波画像データを抽出するための抽出条件をそれぞれ記憶する。なお、抽出条件については後に詳述する。
制御部170は、情報処理装置(計算機)としての機能を実現する制御プロセッサ(CPU:Central Processing Unit)であり、超音波診断装置の処理全体を制御する。具体的には、制御部170は、入力装置12を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部160から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信部110、Bモード処理部120、ドプラ処理部130及び画像生成部140の処理を制御する。また、制御部170は、画像メモリ150が記憶する画像や、内部記憶部160が記憶する各種画像、又は、画像生成部140による処理を行なうためのGUI、画像生成部140の処理結果などをモニタ13や、タッチコマンドスクリーン12dにて表示するように制御する。
インターフェース部180は、入力装置12に対するインターフェースである。入力装置12が受け付けた操作者からの各種設定情報及び各種指示は、インターフェース部180により制御部170に転送される。
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、以下、詳細に説明する制御部170の処理により、画像データを再生したり、保存したりする際の手間を軽減させることができるように構成される。
ここで、従来技術において画像データを再生したり、保存したりする際に手間がかかる場合について説明する。従来に係る超音波診断装置では、例えば、画像データを再生したり、保存したりする場合に、所定の時間や、生体波形範囲、或いは、ユーザに指定された任意の範囲などが再生及び保存の範囲として用いられる。ここで、例えば、ユーザによって任意の範囲が指定される場合には、収集された全画像データの中からユーザが任意の範囲を指定する。
しかしながら、昨今、スキャン時間が長時間化する場合があり、そのような長時間のスキャン範囲の中からユーザが任意の範囲を抽出する場合には、範囲の選択に手間がかかる。そのため、選択される範囲が任意の範囲を含めた広い範囲となってしまう場合がある。かかる場合には、データサイズが大きく、それに伴って、転送時間や応答時間に遅延が発生するなど、データハンドリング的にも影響をうける。
そこで、本実施形態では、以下に詳細に記載する制御部170の制御により、画像データを再生したり、保存したりする際の手間を軽減させることを可能にする。そして、その結果、本実施形態では、データハンドリングを容易にして操作性を向上させることを可能にする。
図2は、第1の実施形態に係る制御部170の構成の一例を示す図である。図2に示すように、第1の実施形態に係る制御部170は、抽出部171と、表示情報生成部172と、表示制御部173とを有し、モニタ13及びタッチコマンドスクリーン12dが接続される。
抽出部171は、経時的な超音波画像データのうち、収集時の設定項目において2以上の設定項目が内部記憶部160によって記憶された抽出条件を満たす期間に対応する超音波画像データを抽出し、入力装置12が選択操作を受け付けた場合に、当該選択操作にて選択された2以上の設定項目が抽出条件を満たす期間に対応する超音波画像データを抽出する。具体的には、抽出部171は、ユーザによる操作に連動したイベント、超音波画像データを収集するモードのモード遷移、超音波画像データの画質パラメータ、超音波画像データの収集条件及び診断情報を含む設定項目において、2以上の設定項目が抽出条件を満たす期間に対応する超音波画像データを抽出する。
ここで、抽出部171によって参照される設定項目ごとの抽出条件について説明する。図3は、第1の実施形態に係る抽出部171によって参照される設定項目ごとの抽出条件の一例を示す図である。例えば、抽出部171は、図3に示すように、分類(大)と、分類(中)と、抽出条件と、除去条件とが対応付けられた設定項目を参照して、経時的な超音波画像データの中から所定の範囲の超音波画像データを抽出する。
ここで、図3に示す「分類(大)」とは、抽出部171によって参照される設定項目を分類する大きなカテゴリーを示し、「分類(中)」とは、「分類(大)」ごとに設定項目を分類する小さなカテゴリーを示す。また、図3に示す「抽出条件」とは、対応する設定項目がどのような状態となった場合に、抽出部171が超音波画像データを抽出するかを示す。また、図3に示す「除去条件」とは、対応する設定項目がどのような状態になった場合に、抽出部171が超音波画像データを抽出する際に、超音波画像データを抽出の対象から除去するかを示す。
例えば、抽出部171は、図3に示すように、「分類(大):イベント、分類(中)ボディーマーク、抽出条件:ON&Abdomen関連」とする設定項目を参照する。かかる情報は、ユーザによる操作に連動した「イベント」である「ボディーマーク」が「ON」され、そのボディーマークが「Abdomen(腹部)」に関連する場合を抽出条件とすることを意味する。同様に、例えば、図3に示すように、ユーザによる操作に連動した「イベント」では、「アノテーション」が「ON」され、そのボディーマークが「Liver(肝臓)」に関連する場合を抽出条件とすることを意味する。
また、同様に、「モード遷移」や、「画質パラメータ」、「収集条件」、「診断条件」及び「その他」などが「分類(大)」として用いられる。そして、それらの分類ごとに、さらに、「分類(中)」が設定され、それぞれの抽出条件や、除去条件が設定される。なお、「モード遷移」には、例えば、図3に示すように、「2D」、「Color」、「Motion」、「Doppler」などが含まれる。また、「画質パラメータ」には、例えば、図3に示すように、「Depth」、「Gain」、「Map」、「Precision」、「DR」などが含まれる。また、「収集条件」には、例えば、図3に示すように、「Frame Rate」、「Scan Range」、「Raw Data」などが含まれる。また、「診断条件」には、例えば、図3に示すように、「Exam Type」などが含まれる。また、「その他」には、例えば、図3に示すように、「Probe」、「位置センサー」、「操作画面」などが含まれる。
ここで、図3に示す設定項目は、あくまでも一例であり、抽出部171によって参照される設定項目は、ユーザによって任意に設定することが可能である。また、これらの設定タイミングもユーザによって任意であり、例えば、超音波プローブ11によってスキャンを開始する前や、スキャンした後、或いは、スキャン後に画像データを保存する前や、画像データを保存した後など、種々のタイミングで設定させることが可能である。
かかる場合には、例えば、図3に示すような、一覧表などをモニタ13や、タッチコマンドスクリーン12dにて表示させ、ユーザが入力装置12を介して、一覧表から設定する項目を選択する。或いは、一覧表にない設定項目を新たに追加させることも可能である。
抽出部171は、上記したタイミングで設定された設定項目を参照して、経時的に収集された超音波画像データの中から、設定項目の抽出条件を満たす期間の超音波画像データを抽出する。ここで、抽出部171は、複数の設定項目において抽出条件が満たされた期間の超音波画像データを抽出する。すなわち、抽出部171は、2つ以上の設定項目が共に満たされた期間に対応する超音波画像データを経時的に収集された超音波画像データの中から抽出する。
図4A及び図4Bは、第1の実施形態に係る抽出部171による超音波画像データの抽出処理の一例を示す図である。ここで、図4Aにおいては、超音波画像データの収集において、「Mode」が「A」であり、かつ、「Color」が「ON」となった期間に対応する超音波画像データを抽出する場合について示す。例えば、抽出部171は、図4Aに示すように、スキャンが開始されてからスキャンが終了するまでの間で、「Mode」が「A」であり、かつ、「Color」が「ON」となった期間20及び期間21に対応する超音波画像データを抽出する。
ここで、抽出部171は、複数の設定項目に含まれる所定の設定項目の状態に基づいて、超音波画像データを抽出する期間から除外するか否かを判定する。具体的には、抽出部171は、複数の設定項目に含まれる所定の設定項目が、所定の超音波画像データを抽出の対象から除去するための除去条件を満たす期間に対応する超音波画像データを抽出の対象から除外する。より具体的には、抽出部171は、図4Aに示すように、2つ以上の設定項目について抽出条件を満たした場合であっても、所定の設定項目が除去条件を満たす場合には、対応する期間の超音波画像データを抽出しないように判定する。
例えば、抽出部171は、図4Bに示すように、超音波画像データの収集において、「Mode」が「A」であり、かつ、「Color」が「ON」となった期間で、「操作画面」が「ON」となった期間の超音波画像データを抽出の対象から除去する。すなわち、抽出部171は、図4Bに示すように、「Mode」が「A」であり、かつ、「Color」が「ON」となった期間20については超音波画像データを抽出する。しかしながら、抽出部171は、「Mode」が「A」であり、かつ、「Color」が「ON」となっているが、さらに「操作画面」が「ON」となった場合に超音波画像データの抽出を停止することで、期間22に対応する超音波画像データのみを抽出する。
例えば、このような除去条件には、上記した「操作画面」が「ON」のように、その設定項目がONとなることで、超音波画像データの収集よりもその他のことにユーザの関心があるような項目が設定される。ここで、操作画面とは、超音波画像データの上に重畳されて表示される各種操作を設定するための画面である。すなわち、かかる画面が「ON」となっている場合には、抽出条件が満たされている場合であってもユーザが所望する画像がスキャンされている可能性が低い。なお、上述した条件は、抽出条件と同様に内部記憶部160に記憶される。すなわち、内部記憶部160は、複数の設定項目に含まれる所定の設定項目について、経時的な超音波画像データに含まれる超音波画像データのうち、所定の超音波画像データを抽出の対象から除外するための除去条件を記憶する。
図2に戻って、表示情報生成部172は、経時的な超音波画像データにおける抽出部171によって抽出された期間の超音波画像データの位置を示す表示情報を生成する。図5A〜図5Cは、第1の実施形態に係る表示情報生成部172によって生成される表示情報の一例を示す図である。
例えば、表示情報生成部172は、図5Aに示すように、経時的な超音波画像データが収集された全体の時間を横軸にとり、抽出部171によって抽出された期間をチャプター範囲とし、当該チャプター範囲に超音波画像データの抽出を示すチャプターを表示した表示情報を生成する。また、例えば、表示情報生成部172は、図5Bに示すように、図5Aに示す表示情報に、経時的な超音波画像データが収集された全体の時間で収集されたフレーム数をさらに付加した表示情報を生成する。これにより、ユーザは、経時的な超音波画像データの全体に対して抽出した超音波画像データがどのあたりに位置するのかを一目で確認することができる。
また、表示情報生成部172は、図5Cに示すように、図5Bに示す表示情報に、抽出条件となった設定項目の情報をさらに付加した表示情報を生成する。例えば、表示情報生成部172は、図5Cに示すように、設定項目の「Mode」及び「Color」の状態を収集期間全体に渡って示した表示情報を生成する。これにより、ユーザは、抽出された超音波画像データがどんな設定項目によって抽出されているかを一目で確認することができる。
図2に戻って、表示制御部173は、表示情報をモニタ13又はタッチコマンドスクリーン12dにて表示するように制御する。また、表示制御部173は、抽出部171によって抽出された期間に対応する超音波画像データをモニタ13又はタッチコマンドスクリーン12dにて表示するように制御する。図6は、第1の実施形態に係る表示制御部173によって表示制御される表示アプリの一例を示す図である。
例えば、表示制御部173は、図6の(A)に示すように、超音波画像を表示する表示アプリに表示情報30を付加してモニタ13又はタッチコマンドスクリーン12dにて表示する。このとき、表示制御部173は、例えば、図6の(A)に示すように、収集された超音波画像データ全体を示す横長の矩形に対してフレーム数「#36010」、チャプター及びチャプター範囲が示された表示情報をモニタ13又はタッチコマンドスクリーン12dにて表示する。
ここで、表示制御部173によってモニタ13又はタッチコマンドスクリーン12dに表示された表示情報に対して入力装置12を介した操作を実行することができる。例えば、図6の(A)に示す表示アプリがモニタ13にて表示されている場合に、ユーザがトラックボール12aや、スイッチ12bなどを操作して表示情報30に対して指定操作を実行すると、表示制御部173は、図6の(B)に示すように、表示情報30を拡大し、超音波画像を縮小するとともに、設定項目の選択領域31を付加して表示することも可能である。
一例を挙げると、表示制御部173は、図6の(B)に示すように、設定項目の一覧の右端にそれぞれチェックボックスを対応づけて付加し、現時点で選択されている設定項目に対応するチェックボックスにチェックを入れた設定項目の一覧を表示アプリに表示させる。ここで、ユーザが、例えば、入力装置12を介して、現時点でチェックが入ったチェックボックスからチェックをはずし、新たに異なるチェックボックスにチェックを入れることで、これまで期間が抽出されていた経時的な超音波画像データに対して異なる設定項目で再度超音波画像データの抽出を実行させることができる。
図7は、第1の実施形態に係る設定項目の変更の一例を説明するための図である。ここで、図7においては、図6の(B)に示すような設定項目の一覧を用いて設定項目が変更された場合の一例を示す。例えば、図6の(B)に示すような設定項目に対してユーザが入力装置12を介して、これまでの設定されていた設定項目「Mode:A、Color:ON」から新たに設定項目「Body Mark:A、Frame Rate:30」に変更されると、抽出部171は、図7の(B)に示すように、「Body Mark」が「A」であり、かつ、「Frame Rate」が「30Hz」となる期間に対応する超音波画像データを抽出する。これ伴って、表示情報生成部172は、抽出された期間に対応する位置にチャプター範囲を示し、さらにチャプターを示した表示情報を生成する。表示制御部173は、表示アプリ上の表示情報を表示情報生成部172によって新たに生成された表示情報に更新する。
このように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波画像とともに表示情報を表示させ、任意のタイミングで設定項目の設定を受け付けて、それに応じて表示情報を変化させることができる。ここで、さらに第1の実施形態に係る超音波診断装置1においては、表示情報のチャプターを選択することで、選択された超音波画像データをモニタ13又はタッチコマンドスクリーン12dに表示させることができる。
図8A及び図8Bは、第1の実施形態に係る表示制御部173による表示制御のもと表示される超音波画像を示す図である。例えば、表示制御部173は、図8Aに示すように、表示情報30に示すチャプターに対して、例えば入力装置12を介して選択操作が実行されると、それに対応する超音波画像を表示アプリに表示させる。一例を挙げると、表示制御部173は、表示情報30に含まれる1番のチャプターが選択されると、それに対応する期間の超音波画像を画像メモリから読み出し、モニタ13又はタッチコマンドスクリーン12dにて表示させる。
ここで、表示制御部173は、例えば、対応するチャプター範囲の超音波画像をCINE再生する。また、表示制御部173は、入力装置12を介して表示情報30のチャプター範囲が指示されると、当該チャプター範囲に含まれるフレームの番号を表示させることも可能である。一例を挙げると、図8Aに示す表示情報の1番に対応するチャプター範囲が矢印などで指示されると、1番のチャプター範囲に含まれるフレームの番号が表示される。
また、図8Aに示すように、表示アプリによって表示された表示情報に対して、入力装置12を介して指定操作が実行されると、制御部170は、指定された超音波画像データを画像メモリ150又は内部記憶部160に保存する。例えば、制御部170は、図8Aの表示情報30の1番に対して指定操作が実行されると、1番に対応するチャプター範囲に含まれる超音波画像データを画像メモリ150又は内部記憶部160に保存する。
また、表示制御部173は、複数の超音波画像をモニタ13やタッチコマンドスクリーン12dにて表示させることも可能である。例えば、表示制御部173は、図8Bに示すように、表示情報30に示される4つのチャプター範囲それぞれに含まれる超音波画像を表示アプリの4つの領域にそれぞれ表示するように制御する。なお、複数の超音波画像を表示させる場合には、図8Bに示すように、抽出された全てのチャプター範囲に含まれる超音波画像を同一画面に一度に表示させるだけでなく、任意に表示させることが可能である。例えば、表示制御部173は、4つのチャプター範囲のうち、ユーザに指定されたチャプター範囲に含まれる超音波画像をそれぞれ表示させるように制御する。
また、図6や、図8A及び図8Bに示す表示アプリはあくまでも一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示情報と、超音波画像とがそれぞれ別々に表示される場合であってもよい。また、表示情報及び超音波画像の表示は、例えば、設定項目の設定タイミングに応じて変化させる場合であってもよい。
次に、図9を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理について説明する。図9は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1による処理の手順を示すフローチャートである。図9に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1においては、リアルタイムの画像である場合に(ステップS101肯定)、抽出部171は、スキャン前に条件を受け付けたか否かを判定する(ステップS102)。
ここで、スキャン前に条件を受け付けたと判定した場合には(ステップS102肯定)、超音波診断装置1は、スキャンを実行して(ステップS103)、抽出部171が、受け付けた条件に応じた範囲(期間)を抽出する(ステップS104)。そして、表示情報生成部172が抽出された範囲を示す表示情報を生成して、表示制御部173が生成された表示情報をモニタ13又はタッチコマンドスクリーン12dにて表示させる(ステップS105)。
そして、スキャンが終了すると(ステップS106)、表示制御部173が抽出した範囲の超音波画像を再生して(ステップS107)、制御部170が抽出した範囲の超音波画像を保存する(ステップS108)。
一方、ステップS102において、スキャン前に条件を受け付けていない場合には(ステップS102否定)、超音波診断装置1は、スキャンを実行する(ステップS109)。そして、スキャン終了(ステップS110)後に、抽出部171が、設定項目の条件を受け付けて(ステップS111)、受け付けた条件に応じた範囲(期間)を抽出する(ステップS112)。
そして、表示情報生成部172が抽出された範囲を示す表示情報を生成して、表示制御部173が生成された表示情報をモニタ13又はタッチコマンドスクリーン12dにて表示させる(ステップS113)。その後、表示制御部173が抽出した範囲の超音波画像を再生して(ステップS107)、制御部170が抽出した範囲の超音波画像を保存する(ステップS108)。
一方、ステップS101において、リアルタイムの画像ではない場合には(ステップS101否定)、抽出部171が、画像を読み込み(ステップS114)、設定項目の条件を受け付けて(ステップS111)、受け付けた条件に応じた範囲(期間)を抽出する(ステップS112)。そして、表示情報生成部172が抽出された範囲を示す表示情報を生成して、表示制御部173が生成された表示情報をモニタ13又はタッチコマンドスクリーン12dにて表示させる(ステップS113)。その後、表示制御部173が抽出した範囲の超音波画像を再生して(ステップS107)、制御部170が抽出した範囲の超音波画像を保存する(ステップS108)。
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理について説明した。上述した例では、リアルタイムの画像であり、スキャン前に条件を受け付けた場合、スキャン中に範囲を抽出する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、スキャンされた超音波画像データを収集した状態で保持し、スキャン終了後、或いは検査終了後に抽出する場合であってもよい。
上述したように、第1の実施形態によれば、超音波プローブ11は、経時的な超音波画像データを収集する。内部記憶部160は、超音波画像データの収集時に設定される複数の設定項目について、経時的な超音波画像データから所定の超音波画像データを抽出するための抽出条件をそれぞれ記憶する。入力装置12は、複数の設定項目のなかから、2以上の設定項目を選択する選択操作を受け付ける。抽出部171は、経時的な超音波画像データのうち、収集時の設定項目において2以上の設定項目が内部記憶部160によって記憶された抽出条件を満たす期間に対応する超音波画像データを抽出し、入力装置12が選択操作を受け付けた場合に、当該選択操作にて選択された2以上の設定項目が抽出条件を満たす期間に対応する超音波画像データを抽出する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、ユーザが所望する条件の超音波画像データを容易に抽出することができ、画像データを再生したり、保存したりする際の手間を軽減させることを可能にする。
その結果、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、最適な範囲で超音波画像データを保存することができ、データハンドリングを容易にして操作性を向上させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、抽出部171は、ユーザによる操作に連動したイベント、超音波画像データを収集するモードのモード遷移、超音波画像データの画質パラメータ、超音波画像データの収集条件及び診断情報を含む設定項目において、2以上設定項目が抽出条件を満たす期間に対応する超音波画像データを抽出する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、種々の設定項目を含めた条件で超音波画像データを抽出する範囲を決定することができ、ユーザの要望に細かく対応することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、内部記憶部160は、複数の設定項目に含まれる所定の設定項目について、経時的な超音波画像データに含まれる超音波画像データのうち、所定の超音波画像データを抽出の対象から除去するための除去条件をさらに記憶する。抽出部171は、複数の設定項目に含まれる所定の設定項目が除外条件を満たす期間に対応する超音波画像データを抽出の対象から除去する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、不要な超音波画像データを容易に除外することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、抽出部171は、超音波プローブ11によって経時的な超音波画像データが収集される前、又は、経時的な超音波画像データが収集された後に入力装置12によって受け付けられた選択操作にて選択された2以上の設定項目が抽出条件を満たす期間に対応する超音波画像データを抽出する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、設定項目を柔軟に変更することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、抽出部171は、超音波プローブ11によって経時的な超音波画像データが収集された後、超音波画像データを記憶する画像メモリ150又は内部記憶部160に記憶される前、又は、画像メモリ150又は内部記憶部160に記憶された後に、入力装置12によって受け付けられた選択操作にて選択された2以上の設定項目が抽出条件を満たす期間に対応する超音波画像データを抽出する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、記憶部に記憶済みの超音波画像データにも適用することができ、データハンドリングを最適化することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、表示情報生成部172は、経時的な超音波画像データにおける抽出部171によって抽出された期間の超音波画像データの位置を示す表示情報を生成する。表示制御部173が、表示情報をモニタ13又はタッチコマンドスクリーン12dにて表示するように制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、ユーザが抽出された超音波画像データについて把握しやすくすることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、表示制御部173は、設定項目の設定画面をモニタ13又はタッチコマンドスクリーン12dに表示するように制御する。入力装置12は、モニタ13又はタッチコマンドスクリーン12dにて表示された設定画面において2以上の設定項目の選択操作を受け付ける。抽出部171は、入力装置12によって受け付けられた選択操作によって選択された2以上の設定項目が抽出条件を満たす期間に対応する超音波画像データを経時的な超音波画像データの中から抽出する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、ユーザが所望する設定項目に迅速かつ容易に対応することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、表示制御部173は、抽出部171によって抽出された期間に対応する超音波画像データをモニタ13又はタッチコマンドスクリーン12dにて表示する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、抽出した超音波画像の確認を容易に実行することを可能にする。
(第2の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上述した第1の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した第1の実施形態では、抽出部171によって抽出されたチャプター範囲すべてについて記憶部に保存する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、抽出部171によって抽出されたチャプター範囲の超音波画像データを一時的にテンポラリに保存して、ユーザが所望する超音波画像データのみをDBに格納する場合であってもよい。
また、画像メモリ150又は内部記憶部160、或いは、DBに格納する際に、抽出された設定項目ごとに格納することで、設定項目をキー情報として検索するようにしてもよい。また、画像メモリ150又は内部記憶部160、或いは、DBに格納する際に、設定項目を設定したタイミングごとに格納することで、設定タイミングをキー情報として検索するようにしてもよい。
また、抽出部171によって抽出されたチャプター範囲に対応する超音波画像データを頭出し再生などで一度再生させることで、ユーザに抽出した超音波画像を一通り確認させることも可能である。かかる場合には、例えば、表示制御部173は、1つのチャプター範囲を3秒ずつ頭出し再生する。
また、入力装置12は、抽出部171によって抽出された範囲を微調整するための操作を受け付けることができる。例えば、入力装置12は、動画の切れ目などを微調整するための操作を受けつける。
また、超音波画像データを保存する際にRAWデータと組み合わせて保存してもよい。例えば、RAWデータと抽出された超音波画像データとを時間で対応付けて保存する場合であってもよい。
また、上述した第1の実施形態における超音波診断装置1の構成はあくまでも一例であり、各部の統合及び分離は適宜行うことができる。例えば、画像生成部140と表示情報生成部172とを統合したりすることが可能である。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態において説明した抽出部171、表示情報生成部172及び表示制御部173の機能は、ソフトウェアによって実現することもできる。例えば、抽出部171、表示情報生成部172及び表示制御部173の機能は、上記の実施形態において抽出部171、表示情報生成部172及び表示制御部173が行うものとして説明した処理の手順を規定した医用情報処理プログラムをコンピュータに実行させることで、実現される。この医用情報処理プログラムは、例えば、ハードディスクや半導体メモリ素子等に記憶され、CPUやMPU等のプロセッサによって読み出されて実行される。また、この医用情報処理プログラムは、CD−ROM(Compact Disc − Read Only Memory)やMO(Magnetic Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記録されて、配布され得る。
以上説明したとおり、第1〜第2の実施形態によれば、本実施形態の超音波診断装置及びデータ処理プログラムは、画像データを再生したり、保存したりする際の手間を軽減させることを可能にする。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。