以下、添付図面を参照して、超音波診断装置の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブ1と、モニタ2と、入力装置3と、装置本体10とを有する。
超音波プローブ1は、装置本体10と着脱自在に接続される。超音波プローブ1は、超音波振動子として、電気可逆的変換素子や機械可逆的変換素子を有する。例えば、超音波プローブ1は、複数の圧電振動子を有する。これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体10が有する送受信部11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ1は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ1は、圧電振動子に設けられる整合層や、圧電振動子から後方への超音波の伝搬を防止するバッキング材等を有する。
超音波プローブ1から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
なお、第1の実施形態は、図1に示す超音波プローブ1が、複数の圧電振動子が一列で配置された1次元超音波プローブである場合や、一列に配置された複数の圧電振動子が機械的に揺動される1次元超音波プローブである場合、複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2次元超音波プローブである場合のいずれであっても適用可能である。
入力装置3は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール等を有し、超音波診断装置の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体10に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
例えば、入力装置3が有する終了ボタンやフリーズボタンを操作者が押下すると、超音波の送受信が終了し、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、一時停止状態となる。また、例えば、フリーズボタンを操作者が押下すると、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、リアルタイム表示モードからシネ再生モードに移行する。また、例えば、シネ再生モードに移行後、操作者がトラックボール等を回転させると、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、回転方向に応じて、画像メモリ15(後述)に格納された複数フレーム分の画像データを動画再生する。
モニタ2は、超音波診断装置の操作者が入力装置3を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された各種画像データを表示したりする。
装置本体10は、超音波プローブ1が受信した反射波に基づいて超音波画像データを生成する装置であり、図1に示すように、送受信部11と、信号処理部12と、画像生成部13と、歪み情報処理部14と、画像メモリ15と、内部記憶部16と、制御部17とを有する。
送受信部11は、トリガ発生回路、送信遅延回路及びパルサ回路等を有し、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延回路は、超音波プローブ1から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの送信遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える送信遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。
駆動パルスは、パルサ回路から超音波プローブ1内の圧電振動子まで伝達した後に、圧電振動子において電気信号から機械的振動に変換される。この機械的振動は、生体内部で超音波として送信される。ここで、圧電振動子ごとに異なる送信遅延時間を持った超音波は、収束されて、所定方向に伝搬していく。すなわち、送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える送信遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。
なお、送受信部11は、後述する制御部17の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬時にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
また、送受信部11は、アンプ回路、A/D変換器、加算器等を有し、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換し、受信指向性を決定するのに必要な受信遅延時間をチャンネルごとに与える。加算器は、与えられた受信遅延時間に基づき、反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
このように、送受信部11は、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。なお、送受信部11は、後述する制御部17の制御により、遅延情報、送信周波数、送信駆動電圧、開口素子数等を瞬時に変更可能な機能を有している。また、送受信部11は、1フレームもしくはレートごとに、異なる波形を送信して受信することも可能である。
なお、送受信部11からの出力信号の形態は、RF(Radio Frequency)信号と呼ばれる位相情報が含まれる信号である場合や、包絡線検波処理後の振幅情報である場合等、種々の形態が選択可能である。
信号処理部12は、送受信部11から反射波データを受信し、受信した反射波データに対して各種信号処理を行なう処理部である。信号処理部12は、図1に例示するように、Bモード処理部121と、血流情報処理部122と、組織情報処理部123とを有する。Bモード処理部121は、送受信部11から反射波データを受信し、受信した反射波データに対して対数増幅、包絡線検波処理等を行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
血流情報処理部122は、送受信部11から反射波データを受信し、受信した反射波データを周波数解析することで、走査範囲内にある血流のドプラ効果に基づく運動情報を抽出したデータ(血流ドプラデータ)を生成する。具体的には、血流情報処理部122は、移動体である血流の運動情報として、速度、分散値、パワー値等を、2次元空間又は3次元空間の多点に渡り抽出した血流ドプラデータを生成する。
組織情報処理部123は、送受信部11から反射波データを受信し、受信した反射波データを用いて、移動体としての組織の運動に関する情報を生成する。ここで、組織情報処理部123は、エラストグラフィーを行なうエラストモードが指定された場合に、生体組織の硬さをカラー表示するための歪み情報を反射波データから生成する。具体的には、組織情報処理部123は、被検体P内に送信した超音波の反射波信号(反射波データ)に基づいて、当該被検体P内で圧迫及び開放されている組織の歪みに関する歪み情報を生成する。組織情報処理部123は、時系列に沿って複数の歪み情報を生成する。
なお、エラストモードでは、例えば、体表に当接した超音波プローブ1を操作者が手動で加振することで、組織の圧迫及び開放を行なって、組織を変形させる。また、エラストモードでは、例えば、超音波プローブ1を保持する操作者の微小な手の動きによる組織変形に基づいて、組織情報処理部123が歪み情報を生成する場合もある。
また、歪み情報を生成する方法としては、隣接フレーム間の組織の変位を超音波の受信RF信号の相互相関により検出する方法や、組織の移動速度をドプラ法(組織ドプラ法)により検出する方法、これら2つの方法を組み合わせる方法等が知られている。組織情報処理部123は、歪み情報を演算する方法として様々な方法を行なうことが可能である。
なお、エラストモードでは、超音波プローブ1から送信した高音圧の「Push Pulse」により組織を変形させる方法がある。かかる場合、組織情報処理部123は、組織を伝搬する横波であるせん断波(shear wave)を形成し、更に、せん断波の伝搬速度等に基づいて、歪み情報を生成する。
以下では、操作者が手動で超音波プローブ1を加振することで組織の圧迫及び組織の開放を繰り返して行ない、組織情報処理部123が組織ドプラ法により歪み情報を生成する場合について説明する。ただし、本実施形態は、上記の方法を含む公知の様々な方法により行なわれるエラストグラフフィー全てに適用することができる。
組織情報処理部123は、図1に示すように、速度演算部123aと、歪み分布演算部123bと、歪み比演算部123cとを有する。
速度演算部123aは、送受信部11から反射波データを受信し、受信した反射波データを周波数解析することで、走査範囲内にある組織のドプラ効果に基づく運動情報を抽出したデータ(組織ドプラデータ)を生成する。具体的には、速度演算部123aは、移動体である組織の運動情報として、速度、分散値、パワー値を、2次元空間又は3次元空間の多点に渡り抽出した組織ドプラデータを生成する。組織ドプラモードが設定されている場合、速度演算部123aは、組織ドプラデータを後述する画像生成部13に出力する。また、エラストモードが設定されている場合、速度演算部123aは、組織ドプラデータの速度成分を、速度分布情報として、歪み分布演算部123b等に出力する。
歪み分布演算部123bは、歪み情報として、歪みの空間分布を示す歪み分布を生成する。具体的には、歪み分布演算部123bは、速度分布情報の速度成分を時間積分することで変位を求める。そして、歪み分布演算部123bは、求めた変位を用いて所定の演算(例えば、空間的微分)を行なうことで、組織の局所的な歪み(ストレイン:strain)を求める。そして、歪み分布演算部123bは、求めた組織の局所的な歪みの値をカラーコード化し、対応する位置にマッピングすることで、歪み分布情報を生成する。硬い組織ほど変形しにくいので、硬い組織の歪みの値は小さくなり、軟らかい生体組織の歪みの値は大きくなる。すなわち、歪みの値は、組織の硬さ(弾性率)を示す値となる。
歪み比演算部123cは、別の歪み情報として、空間上の所定の2つの領域内の歪み分布の比により算出した歪み比を生成する。具体的には、歪み比演算部123cは、参照領域(reference region)の歪みの統計値を演算し、標的領域(target region)の歪みの統計値を演算する。統計値は、例えば、領域内の歪みの平均や、最大値、中央値、上位「n」位の歪みの値等である。なお、上位「n」位の歪みの値とは、領域内の各点に割り当てられた歪みの値の中で、大きい値から順に「n」番目の値を意味し、「n」は整数となる。参照領域は、例えば、繊維化が起こっていないと操作者が判断した領域に設定される。また、標的領域は、例えば、操作者が繊維化の程度を判定したい領域に設定される。なお、参照領域及び標的領域については、後述する。そして、歪み比演算部123cは、これら2つの歪みの統計値の比(歪み比)を演算する。ここで、歪み比は、硬いものほど高い値と定義される。このため、歪み比演算部123cは、参照領域内の歪みの統計値(例えば、平均値)を標的領域内の歪みの統計値(例えば、平均値)で割った値を歪み比として算出する。なお、歪み比演算部123cは、参照領域及び標的領域が設定された場合に、歪み比を演算する。
画像生成部13は、信号処理部12が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成部13は、Bモード処理部121が生成したBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像データを生成する。また、画像生成部13は、血流情報処理部122が生成した血流ドプラデータから血流の運動情報を表す速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらの組み合わせ画像としての血流ドプラ画像データを生成する。また、画像生成部13は、組織情報処理部123が有する速度演算部123aが生成した組織ドプラデータから組織の運動情報を表す速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらの組み合わせ画像としての組織ドプラ画像データを生成する。
そして、画像生成部13は、組織情報処理部123が有する歪み分布演算部123bが生成した歪み分布情報から、生体組織の硬さがカラー表示された画像データを生成する。以下では、エラストモードで画像生成部13が生成する画像データを、歪み画像データと記載する。
ここで、画像生成部13は、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用画像としての超音波画像データを生成する。また、画像生成部13は、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。
また、画像生成部13は、画像データを格納する記憶メモリを搭載しており、3次元画像の再構成処理等を行うことが可能である。また、画像生成部13が搭載する記憶メモリから、例えば、診断の後に操作者が検査中に記録された画像を呼び出すことが可能となっている。
また、画像生成部13は、生成した超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディマーク等を合成し、合成画像データをビデオ信号としてモニタ2に出力する。また、画像生成部13は、複数の画像データを重畳した合成画像データを生成することも可能である。すなわち、信号処理部12が生成するデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成部13が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、信号処理部12が生成した各種データは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
歪み情報処理部14は、エラストモード時に組織情報処理部123が生成した歪み情報を処理するための処理部である。歪み情報処理部14は、図1に例示するように、指標演算部141と、リファレンス情報生成部142とを有する。なお、第1の実施形態に係る歪み情報処理部14が行なう処理については、後に詳述する。
画像メモリ15は、画像生成部13が生成した画像データを記憶するメモリである。例えば、画像メモリ15は、フリーズボタンが押下された直前の複数フレームに対応する超音波画像データ群を保存する。超音波診断装置は、この画像メモリ15に記憶されている画像を連続表示(シネ表示)することで、超音波動画像を表示することも可能である。また、画像メモリ15は、生データを記憶することも可能である。画像メモリ15が記憶する生データは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成部13を経由して表示用の超音波画像データとなる。
なお、本実施形態に係る画像メモリ15は、歪み情報処理部14の出力結果も記憶するが、この点については、後に詳述する。
内部記憶部16は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディマーク等の各種データを記憶する。また、内部記憶部16は、必要に応じて、画像メモリ15が記憶する画像データの保管等にも使用される。なお、内部記憶部16が記憶するデータは、図示しないインターフェース回路を経由して、外部の周辺装置へ転送することができる。
制御部17は、超音波診断装置における処理全体を制御する。具体的には、制御部17は、入力装置3を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部16から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信部11、信号処理部12、画像生成部13及び歪み情報処理部14の処理を制御する。また、制御部17は、画像メモリ15が記憶する超音波画像データ等をモニタ2にて表示するように制御する。
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、エラストグラフィーを行なう。
ここで、従来では、組織情報処理部123が生成した歪み情報(歪み分布情報)が適切であるか否かを判断するために、超音波診断装置は、以下で説明するリファレンス情報を生成し、モニタ2に表示していた。リファレンス情報は、例えば、モニタ2にリアルタイムで表示されている歪み画像データの表示フレーム内での組織の平均移動速度を縦軸とし、経過時間を横軸とする波形である。平均移動速度(組織平均移動速度)は、歪み情報の生成時における組織に対する圧迫又は開放の状態に関する指標となる。また、歪み画像データの表示フレームとは、歪み画像データを生成するために行なわれた走査範囲の中で、実際に歪み分布をモニタ2に表示している領域である。
従来では、例えば、図1に示す指標演算部141は、速度演算部123aが出力した速度分布情報から、モニタ2に表示されている歪み画像データの範囲内で、平均移動速度をリアルタイムで演算する。そして、従来では、例えば、図1に示すリファレンス情報生成部142は、平均移動速度を時間軸に沿ってプロットすることで波形となるリファレンス情報をリアルタイムで生成する。そして、従来では、制御部17の制御により、モニタ2は、リファレンス情報をリアルタイムで表示する。
そして、従来では、操作者は、リアルタイムで表示されているリファレンス情報を参照し、例えば、適切な圧迫又は開放が行なわれたと判断した時点で、フリーズボタンを押下する。これにより、操作者は、画面を静止状態とする。フリーズボタンが押下されると、制御部17の制御により、画像メモリ15は、シネ再生を行なうために、フリーズボタンを押下した瞬間から所定の過去期間の複数フレームの画像フレームを、他のデータで上書きされないように記憶する。そして、操作者は、画像メモリ15に記憶された複数フレームの歪み画像データを動画再生し、動画を参照する。これにより、操作者は、診断に適切であると思われる歪み画像データを選択する。
しかし、上記のリファレンス情報を参照しても、操作者は、どの時間のフレームが適切な歪み分布情報が描出されたフレームであるかを判断することが困難であった。これについて、図2、図3A、図3B、図3C及び図4を用いて説明する。図2、図3A、図3B、図3C及び図4は、従来技術の課題を説明するための図である。
図2は、リファレンス情報が表示される表示画面の従来例である。図2に示す一例では、画面全体100の中に、Bモード・歪み分布情報重畳表示領域110とBモード表示領域120とが並列して配置される。また、図2に示す一例では、画面全体100の中で、これら2つの表示領域の下に、リファレンス情報表示領域130が配置され、リファレンス情報表示領域130の下に歪み比表示領域140が配置される。
Bモード表示領域120は、歪み画像データの生成に用いられた反射波データから生成された同一走査範囲のBモード画像データが、その一部の領域に表示される領域である。Bモード・歪み分布情報重畳表示領域110は、歪み画像データが、その一部の領域に表示される領域である。Bモード・歪み分布情報重畳表示領域110の中には、歪み分布表示領域111がある。歪み分布表示領域111は、歪み画像データの歪み分布を表示する領域である。歪み分布表示領域111では、歪み分布情報とともに、所定の透過度で、同一領域のBモード画像データが重畳表示される場合もある。
また、歪み分布表示領域111の中には、上述した歪み比演算部123cが歪み比を演算するための領域が、操作者により設定される。例えば、図2に示す112は、上述した参照領域であり、図2に示す113は、上述した標的領域である。歪み比演算部123cが演算した歪み比は、歪み比表示領域140に表示される。
そして、リファレンス情報表示領域130には、リファレンス情報生成部142が生成したリファレンス情報を表示する領域である。リファレンス情報は、指標演算部141が演算したフレームごとの平均移動速度を時間軸に沿ってプロットした波形となる。
図3Aでは、リアルタイム表示時に、リファレンス情報表示領域130に表示されるリファレンス情報の一例を示している。また、図3Bでは、フリーズボタン押下時に、リファレンス情報表示領域130に表示されるリファレンス情報の一例を示している。また、図3Cでは、フリーズボタン押下後の再生時に、リファレンス情報表示領域130に表示されるリファレンス情報の一例を示している。また、図3A、図3B及び図3Cに示す201は、組織平均移動速度の波形であり、202は、モニタ2に表示される時間軸カーソルを示している。また、図3A、図3B及び図3Cに示す横軸は、各フレームが生成された時点での時間(t)を示す時間軸である。すなわち、図3A、図3B及び図3Cに示す横軸は、各フレームが生成された時相を示す。横軸のスケールや長さは、歪み画像データが生成されるフレームレートと、画像メモリ15においてシネ再生用に割り当てられたメモリ容量とにより決定される。
ここで、図3A、図3B及び図3Cに例示する組織平均移動速度の波形201では、組織平均移動速度である平均速度(V)が正であれば組織が「圧迫」されていることを示し、平均速度(V)が負であれば組織が「開放」されていることを示す。組織平均移動速度の波形201は、各フレームの圧迫開放の適切さ、すなわち、歪み情報の適切さを判断するための指標となる。例えば、組織平均移動速度の絶対値が大きいほど、歪み情報が適切であるとみなすことができる。
リアルタイム表示モード時では、図3Aに示す時間軸カーソル202は、現在のモニタ2に表示されている最新のフレームの時相を示す位置に配置される。リアルタイム表示モード時では、操作者は、時間軸カーソル202を参照することで、リアルタイムで更新される最新の平均速度の値を把握することができる。時間軸カーソル202により、リファレンス情報が更新される。
フリーズボタンが押下されると、時間軸カーソル202は、図3Bに示すように、シネ再生モードに移行した時点のフレーム、すなわち、波形201の右端の位置に移行する。
シネ再生モードでは、制御部17は、例えば、トラックボールの回転に応じて、画像メモリ15から過去時相の歪み画像データ等を読み出し、モニタ2に表示させる。シネ再生モードでは、時間軸カーソル202は、図3Cに示すように、時間軸上において、表示している過去の時相に対応する位置に表示される。
図4は、シネ再生モードでモニタ2に表示される画面の一例を示している。モニタ2の表示画面では、図4に例示するように、歪み分布情報で描出される色に応じた歪みの大きさ(硬さ)を示すカラーバーともに、歪み画像データのフレームの一部が左側に表示され、歪み画像データと同一時相のBモード画像データのフレームの一部が右側に表示される。Bモード画像データの右側には、図4に例示するように、輝度値の大きさを示すグレースケールのバーが表示されている。また、歪み画像データの内部には、参照領域を示す円(図中のRを参照)と、標的領域を示す円(図中のTを参照)とが表示される。また、Bモード画像データの内部にも、参照領域を示す円(図中のRを参照)と、標的領域を示す円(図中のTを参照)とが表示される。なお、図4に示す一例では、Bモード画像データが表示されていない場合を示している。
また、図4に例示するように、モニタ2は、歪み画像データの表示領域及びBモード画像データの表示領域の下に、リファレンス情報である波形を時間軸カーソルとともに表示する。図4に例示する時間軸カーソルは、表示された過去フレームの時相を示している。また、モニタ2は、リファレンス情報の下に、標的領域の平均歪み「Strain T:−0.91%」、及び、参照領域の平均歪み「Strain R:−0.58%」、及び、歪み比「Strain Ratio T:0.64」を表示する。なお、図2及び図4に例示する表示形態は、あくまでも一例である。例えば、参照領域及び標的領域が設定されない場合、制御部17は、歪み比表示領域140を配置しなくても良い。或いは、参照領域及び標的領域が設定されない場合、制御部17は、歪み比表示領域140に文字情報を表示させないように制御しても良い。
しかし、操作者は、図4に例示する画面に表示されているリファレンス情報を参照しても、表示されている時間軸カーソルの位置に対応するフレームが最適であるか否かを一見して判断することができない。
そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、適切な歪みに関する情報を操作者が容易に得るために、以下に説明する処理を行なう。
まず、指標演算部141は、歪み情報の生成時における組織に対する圧迫又は開放の状態に関する指標を演算する。指標演算部141は、指標の演算処理を所定の時間間隔で行なう。一例として、指標演算部141は、一定間隔で歪み情報が生成されるごとに、指標の演算処理を行なう。上記の一定間隔は、例えば、歪み画像データのフレームレートから決定される。或いは、指標演算部141は、予め設定された時間間隔で、指標の演算処理を行なう。例えば、指標演算部141は、1秒おきや、2秒おきに指標の演算処理を行なう。また、例えば、第1の実施形態に係る指標演算部141は、速度演算部123aが演算した速度情報の分布から組織の速度の統計値を、指標として演算する。統計値は、組織速度の平均や、最大値、中央値、上位「n」位の速度の値等である。なお、上位「n」位の速度の値とは、領域内の各点に割り当てられた速度の値の中で、大きい値から順に「n」番目の値を意味し、「n」は整数となる。以下では、指標演算部141が、速度演算部123aが演算した速度情報の分布から組織の速度の平均を、指標として演算する場合について説明する。ここで、第1の実施形態に係る指標演算部141が演算する平均速度は、歪み画像データの中で、実際に歪み分布をモニタ2に表示している領域内の組織の平均速度である。すなわち、第1の実施形態に係る指標演算部141は、指標として、上記した従来方法と同様に、組織平均移動速度を演算する。また、指標の演算対象となる領域は、例えば、繊維化の程度を診断したい組織全体又は組織に一部が含まれる関心領域であり、図2に示す歪み分布表示領域111である。上述した参照領域及び標的領域は、かかる関心領域内に設定される領域である。ただし、本実施形態は、指標として、組織平均速度の他に、関心領域における組織速度の統計値が用いられる場合でも適用可能である。
そして、第1の実施形態に係るリファレンス情報生成部142は、圧迫又は開放の状態に関する指標を時系列に沿った波形から構成される参照情報(リファレンス情報)として生成する。すなわち、第1の実施形態に係るリファレンス情報生成部142は、リファレンス情報として、上記した従来方法と同様に、組織平均移動速度の波形を生成する。なお、本実施形態は、リファレンス情報として、組織の移動最大速度の波形等、他の統計値の波形が生成される場合であっても良い。
ここで、第1の実施形態に係る画像メモリ15は、歪み情報の生成時の時相と、当該歪み情報の生成時における指標とを対応付けて記憶する。具体的には、第1の実施形態に係る画像メモリ15は、更に、歪み情報に基づく画像データを、当該歪み情報の生成時における時相及び指標に対応付けて記憶する。より具体的には、画像メモリ15は、所定の時間間隔で演算された指標を当該指標の演算時に生成された歪み情報に基づく画像データに対応付けて記憶する。第1の実施形態では、画像メモリ15は、時系列に沿って生成された複数の歪み分布情報に基づく複数の歪み画像データそれぞれを記憶する際に、各歪み画像データ生成時における組織の移動速度の統計値として組織平均移動速度も記憶する。なお、第1の実施形態は、リファレンス情報生成部142が組織平均移動速度と当該組織平均移動速度の時間情報(時相)とを対応付けて記憶し、画像メモリ15が、歪み画像データと当該歪み画像データの時間情報(時相)とを対応付けて記憶する場合であっても良い。すなわち、第1の実施形態では、歪み画像データの生成時間での指標の値が特定可能であれば、様々な記憶形態を行なっても良い。
そして、第1の実施形態に係る制御部17は、各時相に対応付けられた指標に基づいて、候補となる時相である候補時相を抽出する。ここで、候補時相は、診断の候補となる時相を示す。また、候補時相は、診断用として操作者に提示される表示用の候補となる画像データ(歪み画像データ)等、歪み情報に関する情報の時相を示す。そして、第1の実施形態に係る制御部17は、候補時相に関する情報、又は、候補時相の歪み情報に関する情報の少なくとも一方をモニタ2に表示するように制御する。例えば、第1の実施形態に係る制御部17は、画像メモリ15が記憶する画像データ群の表示要求を操作者から受け付けた場合に、当該画像データ群を構成する各画像データに対応付けられた指標に基づいて、候補時相の抽出処理を行なう。そして、制御部17は、候補時相の画像データに関する情報、すなわち、表示用の候補となる画像データに関する情報を、モニタ2に表示するように制御する。ここで、制御部17の制御により、画像メモリ15は、シネ再生を行なうために、フリーズボタンが押下された瞬間から所定の過去期間の複数フレームの画像フレームをリファレンス情報とともに、他のデータで上書きされないように記憶する。なお、第1の実施形態では、シネ再生用の各種データが、内部記憶部16や、シネ再生用に別途設置された記憶部に格納される場合であっても良い。
ここで、第1の実施形態に係る制御部17は、各時相に対応付けられた指標に基づいて、複数の候補時相を順位付けして抽出する。換言すると、制御部17は、画像データ群を構成する各画像データに対応付けられた指標に基づいて、表示用の候補となる画像データを順位付けして複数選択する。具体的には、第1の実施形態に係る制御部17は、画像メモリ15が記憶する画像データ群の表示要求を操作者から受け付けた場合に、リファレンス情報に、候補時相を示す情報、すなわち、表示用の候補となる画像データの時相を示す情報を表示するように制御する。候補時相を示す情報(表示用の候補となる画像データの時相を示す情報)については、後に説明する。
すなわち、フリーズボタンが押下されると、第1の実施形態に係る制御部17は、画像メモリ15が記憶する各歪み画像データに対応付けられた組織平均移動速度に基づいて、表示用の候補となる複数の歪み画像データを順位付けして複数選択する。そして、第1の実施形態に係る制御部17は、表示用の候補として選択した複数の歪み画像データそれぞれの時相に対応する複数の時間軸カーソルをリファレンス情報に重畳して表示させる。なお、以下では、制御部17が行なう候補時相の抽出処理を、候補時相の選択処理と記載する場合がある。
以下、図5〜図7を用いて、上述した制御部17の表示制御処理の一例について説明する。図5〜図7は、第1の実施形態に係る制御部による表示制御の一例を示す図である。なお、以下では、リファレンス情報が表示される表示画面が、図2に例示した従来例と同様であるとして説明する。
図5では、フリーズボタン押下時に、モニタ2に表示されるリファレンス情報の一例を示している。第1の実施形態でも、シネ再生モードに移行した時点のフレームの歪み分布情報が表示される。そして、フリーズボタン押下時では、図3の(B)と同様に、時間軸カーソル302は、シネ再生モードに移行した時点のフレーム、すなわち、組織平均移動速度の波形301の右端の位置に移行する(図5を参照)。
そして、第1の実施形態では、例えば、制御部17は、絶対値が大きい上位3つの組織平均移動速度を選択する。一例として、制御部17は、組織平均移動速度が「0」付近となる区間を除いた圧迫区間及び開放期間における組織平均移動速度の波形301のピークを特定する。そして、制御部17は、組織平均移動速度の絶対値の大きさによってフレームに順位をつける。そして、制御部17は、図5に示すように、上位3位となる3つの組織平均移動速度の波形301における位置と、上位3位となる3つの組織平均移動速度の順位と時相とを示す3つのマーカー(マーカー303a、マーカー303b及びマーカー303c)を表示させる。すなわち、制御部17は、参照情報(リファレンス情報)に、表示用の候補となる歪み画像データの時相を示す情報とともに、当該画像データの順位に関する情報を表示するように制御する。換言すると、制御部17は、更に、参照情報(リファレンス情報)に、候補時相を示す情報とともに、候補時相の順位に関する情報を表示するように制御する。
マーカー303aは、絶対値が1位であることを示すマーカーであり、図5に示すように、「1」の文字と波形上の黒丸とで構成される。また、マーカー303bは、絶対値が2位であることを示すマーカーであり、図5に示すように、「2」の文字と波形上の黒丸とで構成される。また、マーカー303cは、絶対値が3位であることを示すマーカーであり、図5に示すように、「3」の文字と波形上の黒丸とで構成される。
なお、上記の選択処理において、制御部17は、組織平均移動速度が「0」付近となる区間を除いた圧迫区間及び開放期間を特定する処理を行なわずに、単純に組織平均移動速度の接待値のみに基づいて順位付けを行なっても良い。また、上記の選択処理において、制御部17は、圧迫区間のみや、開放区間のみに限定して、フレームの順位付けを行なっても良い。また、操作者に提示する候補の数は、例えば、操作者により、任意に変更可能である。
かかる表示制御により、モニタ2は、図6に例示するように、波形上に3つのマーカーを表示する。なお、図6では、図5に例示する黒丸に代わって、時間軸カーソルと同様の線分がマーカーとして用いられている。図4に例示する従来例と比較すると明らかであるように、図6に例示する画面を参照することで、操作者は、候補時相に関する情報を把握して、どの時間のフレームが適切な歪み情報であるかを容易に判断することができる。
そして、第1の実施形態に係る制御部17は、操作者が行なった所定の操作に応じて、複数の候補時相に対応する複数の画像データを、予め設定された順(順位順、又は、時間順)にモニタ2に表示するように制御する。換言すると、制御部17は、操作者が行なった所定の操作に応じて、選択した複数の画像データ(複数の歪み画像データ)を、予め設定された順(順位順、又は、時間順)にモニタ2に表示するように制御する。
すなわち、第1の実施形態では、シネ再生モードでは、操作者が、例えば、トラックボールを回転するに従って、順位が上位のフレームの歪み画像データを、画像メモリ15から呼び出して、モニタ2に表示させる。
設定順が順位順である場合、トラックボールの回転に応じて表示されるフレームは、図5に例示する「マーカー303aの位置に対応するフレーム、マーカー303bの位置に対応するフレーム、マーカー303cの位置に対応するフレーム」の順となる。また、設定順が時間順である場合、トラックボールの回転に応じて表示されるフレームは、図5に例示する「マーカー303aの位置に対応するフレーム、マーカー303cの位置に対応するフレーム、マーカー303bの位置に対応するフレーム」の順となる。なお、回転方向が逆方向となった場合、表示順は、逆の方向となる。
例えば、「マーカー303aの位置に対応するフレーム」を表示すると、モニタ2は、制御部17の制御により、時間軸カーソル302の位置は、マーカー303aの位置に移動する。操作者は、図7に例示するリファレンス情報を参照することで、順位1位の指標が演算された歪み画像データが表示されていることを把握することができる。なお、第1の実施形態では、歪み比は、例えば、リアルタイム表示モードかシネ再生モードかに関わらず、現在表示されているフレームについて再演算されて表示される。
次に、図8を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理の一例について説明する。図8は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理例を説明するためのフローチャートである。
図8に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置の制御部17は、エラストグラフィーのリアルタイム表示モードの開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、リアルタイム表示モードの開始要求を受け付けない場合(ステップS101否定)、制御部17は、リアルタイム表示モードの開始要求を受け付けるまで待機する。
一方、エラストグラフィーのリアルタイム表示モードの開始要求を受け付けた場合(ステップS101肯定)、制御部17は、エラストモードでの処理を開始させる。そして、制御部17は、1フレーム分の反射波データが生成されたか否かを判定する(ステップS102)。ここで、1フレーム分の反射波データが生成されていない場合(ステップS102否定)、制御部17は、1フレーム分の反射波データが生成されるまで待機する。
一方、1フレーム分の反射波データが生成された場合(ステップS102肯定)、制御部17の制御により、速度演算部123aは、速度(速度分布情報)を演算し(ステップS103)、歪み分布演算部123bは、歪み分布(歪み分布情報)を演算する(ステップS104)。また、領域が設定されている場合、歪み比演算部123cは、参照領域と標的領域との歪み比を演算する(ステップS105)。
そして、画像生成部13は、歪み画像データを生成し(ステップS106)、指標演算部141は、指標(本実施形態では、組織の速度の平均)を算出し、リファレンス情報生成部142は、リファレンス情報を生成する(ステップS107)。なお、Bモード画像データの並列表示が行なわれる場合、超音波診断装置は、ステップS103〜ステップS106の処理と並行して、Bモード画像データの生成を行なう。また、本実施形態において、超音波診断装置は、ステップS103〜ステップS106の処理と平行して、表示用に、組織ドプラ画像データの生成を行なっても良い。
そして、制御部17の表示制御により、モニタ2は、設定されたレイアウトで各種データを表示する(ステップS108、図2等を参照)。なお、画像メモリ15は、ステップS108で表示された画像データと指標とを対応付けて記憶する。
そして、制御部17は、動画再生モードへの移行要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS109)。すなわち、制御部17は、フリーズボタンが押下されたか否かを判定する。ここで、動画再生モードへの移行要求を受け付けない場合(ステップS109否定)、制御部17は、ステップS102に戻って、新たな1フレーム分の反射波データが生成されたか否かを判定する。
一方、動画再生モードへの移行要求を受け付けた場合(ステップS109肯定)、制御部17の制御により、モニタ2は、移行要求受け付け時の各種データを表示する(ステップS110)。ここで、ステップS109肯定の場合、制御部17は、所定期間(所定過去期間)の指標と画像データとが、上書きされないように、画像メモリ15内に保存する。
そして、制御部17は、所定期間の指標に基づいて、複数の候補を選択し(ステップS111)、選択した複数の候補の時相を示す情報を、順位とともに、リファレンス情報に表示させる(ステップS112)。
そして、制御部17は、動画再生指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS113)。ここで、動画再生指示を受け付けない場合(ステップS113否定)、制御部17は、動画再生指示を受け付けるまで待機する。
一方、動画再生指示を受け付けた場合(ステップS113肯定)、制御部17の制御により、モニタ2は、複数の候補として選択された歪み画像データそれぞれを、設定順で表示し(ステップS114)、処理を終了する。
上述したように、第1の実施形態では、客観的な指標に基づいて、圧迫開放が適切であると判定される時相の候補を選択し、選択した候補の時相を操作者に表示する。かかる候補時相は、圧迫から開放へ移行する区間や、開放から圧迫へ移行する区間以外の区間の時相であり、開放による応力や圧迫による応力が略最大となる時相となる。候補の時相が提供されることで、操作者は、候補の時相に対応するフレームの歪み画像データを速やかに参照することができる。例えば、候補の時相に対応するフレームや、当該フレームの近傍のフレームを参照することができる。従って、第1の実施形態では、適切な歪みに関する情報を操作者が容易に得ることができる。
また、第1の実施形態では、候補となる時相を、順位付けを行なった上で複数選択し(抽出し)、かかる複数の候補の時相を操作者に表示する。従って、第1の実施形態では、適切な歪み情報が描出されたフレームの選択を、操作者が容易に行なうことができる。
また、第1の実施形態では、複数の候補の時相の各画像データが、操作者が行なう簡単な操作により順次表示される。かかる処理により、第1の実施形態では、適切な歪み情報が描出されたフレームの選択を、操作者が更に容易に行なうことができる。なお、第1の実施形態では、候補時相に関する情報のみを表示させる場合であっても、候補時相の画像データ(歪み画像データ)のみを表示させる場合であっても良い。また、第1の実施形態は、候補時相の歪み情報に関する情報として、候補時相の歪み画像データが表示される場合であっても、候補時相の歪み画像データ及び候補時相の歪み情報に関する値が表示される場合であっても、これら双方が表示される場合であっても良い。候補時相の歪み情報に関する値は、例えば、標的領域の変位の統計値や、標的領域及び参照領域それぞれの変位の統計値である。また、候補時相の歪み情報に関する値は、例えば、標的領域の歪みの統計値や、標的領域及び参照領域それぞれの歪みの統計値である。また、候補時相の歪み情報に関する値は、例えば、標的領域と参照領域との歪み比である。
ここで、第1の実施形態では、指標として、組織の速度(移動速度)の統計値(例えば、平均)を用いる場合について説明した。しかし、第1の実施形態では、指標として、組織の変位の統計値を用いても良い。ここで、組織の変位の統計値とは、関心領域における変位の平均値、最大値、中央値、上位「n」位の変位の値等である。なお、上位「n」位の変位の値とは、領域内の各点に割り当てられた変位の値の中で、大きい値から順に「n」番目の値を意味し、「n」は整数となる。組織の変位は、歪み分布演算部123bが歪みを演算する過程で求めている値であるので、指標演算部141は、例えば、歪み分布表示領域111内の平均変位を演算することが可能である。また、第1の実施形態では、指標として、組織の歪みの統計値を用いても良い。ここで、組織の歪みの統計値とは、関心領域における歪みの平均値、最大値、中央値、上位「n」位の値等である。なお、上位「n」位の歪みの値とは、領域内の各点に割り当てられた歪みの値の中で、大きい値から順に「n」番目の値を意味し、「n」は整数となる。かかる場合、指標演算部141は、歪み分布演算部123bが演算した歪み分布情報から、例えば、歪み分布表示領域111内の平均歪みを演算する。また、第1の実施形態では、指標として、組織の2つの領域内の歪み比の統計値を用いても良い。かかる2つの領域は、例えば、参照領域と標的領域である。ここで、歪み比の統計値とは、参照領域の歪みの平均値と標的領域の歪みの平均値との比、参照領域の歪みの最大値と標的領域の歪みの最大値との比、参照領域の歪みの中央値と標的領域の歪みの中央値との比、参照領域の歪みの上位「n」位の値と標的領域の歪みの上位「n」位の値との比等である。かかる場合、指標演算部141は、歪み比演算部123cが出力したデータを指標としてリファレンス情報生成部142に出力する。
また、第1の実施形態では、組織の統計的な変位、統計的な速度、統計的な歪み、統計的な歪み比を複数の組み合わせで演算し、これら複数の指標を用いて、候補の時相を選択(抽出)しても良い。このように、第1の実施形態では、指標演算部141は、組織の変位の統計値、組織の速度の統計値、組織の歪みの統計値、組織の2つの領域内の歪み比の統計値の少なくとも1つを指標として演算することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、指標の一例として、組織の平均速度を用いる場合について説明したが、第2の実施形態では、組織の歪みの統計値及び分散を指標として用いる場合について、図9A、図9B及び図9Cを用いて説明する。図9A、図9B及び図9Cは、第2の実施形態を説明するための図である。
第2の実施形態に係る超音波診断装置は、図1に示す第1の実施形態に係る超音波診断装置と同様に構成される。ただし、第2の実施形態に係る指標演算部141は、組織の歪みの統計値及び分散を指標として演算する。ここで、組織の歪みの統計値は、第1の実施形態でも説明したように、組織の歪みの平均値、最大値、中央値等である。以下では、これを中心にして説明する。なお、以下で説明する内容以外は、第1の実施形態で説明した内容が第2の実施形態でも適用可能である。以下では、指標演算部141は、組織の歪みの平均及び分散を指標として演算する場合について説明する。
第2の実施形態に係る指標演算部141は、歪み分布演算部123bが演算した歪み分布情報を用いて、歪み分布表示領域111における歪みの平均及び歪みの分散を演算する。そして、指標演算部141は、歪みの平均を分散で割った値を指標として求める。そして、第2の実施形態に係るリファレンス情報生成部142は、かかる指標(平均歪み/分散)を時間軸に沿ってプロットした波形をリファレンス情報として生成する。画像メモリ15は、指標を記憶する。
すなわち、第2の実施形態で用いられる指標は、分散に対する平均値の大小で表され、値が大きいほど平均値に対するばらつきが小さく、圧迫開放が適切に行なわれているとみなすことができる値となる。
図9Aでは、リアルタイム表示時に、図2に示すリファレンス情報表示領域130に表示されるリファレンス情報の一例を示している。また、図9Bでは、フリーズボタン押下時に、リファレンス情報表示領域130に表示されるリファレンス情報の一例を示している。また、図9Cでは、フリーズボタン押下後の再生時に、リファレンス情報表示領域130に表示されるリファレンス情報の一例を示している。また、図9A、図9B及び図9Cに示す401は、指標「平均歪み/分散」の波形であり、402は、モニタ2に表示される時間軸カーソルを示している。また、図9A、図9B及び図9Cに示す横軸は、各フレームが生成された時点での時間(t)を示す時間軸であり、歪み情報の生成時の時相である。横軸の目盛りスケールは、歪み画像データが生成されるフレームレートと、画像メモリ15においてシネ再生用に割り当てられたメモリ容量とにより決定される。
ここで、図9A、図9B及び図9Cに例示する波形401では、「平均歪み/分散」が正であれば組織が「圧迫」されていることを示し、「平均歪み/分散」が負であれば組織が「開放」されていることを示す。波形401では、例えば、「平均歪み/分散」の絶対値が大きいほど、歪み情報が適切であるとみなすことができる。
リアルタイム表示モード時では、図9Aに示す時間軸カーソル402は、現在のモニタ2に表示されている最新のフレームの時相を示す位置に配置される。リアルタイム表示モード時では、時間軸カーソル402により、リファレンス情報が更新される。
フリーズボタンが押下されると、時間軸カーソル402は、図9Bに示すように、シネ再生モードに移行した時点のフレーム、すなわち、波形401の右端の位置に移行する。そして、第2の実施形態では、第1の実施形態と同等に、指標に基づいて、フレームの順位付けが行なわれる。例えば、制御部17は、「平均歪み/分散」の絶対値が大きい上位3つの時相の歪み画像データを表示用の複数の候補として選択する。
これにより、フリーズボタンが押下されると、リファレンス情報表示領域130には、図9Bに示すように、上位3位となる3つの「平均歪み/分散」の順位と時相とを示す3つのマーカー(マーカー403a、マーカー403b及びマーカー403c)が表示される。
マーカー403aは、絶対値が1位であることを示すマーカーであり、図9Bに示すように、「1」の文字と波形上の黒丸とで構成される。また、マーカー403bは、絶対値が2位であることを示すマーカーであり、図9Bに示すように、「2」の文字と波形上の黒丸とで構成される。また、マーカー503cは、絶対値が3位であることを示すマーカーであり、図9Bに示すように、「3」の文字と波形上の黒丸とで構成される。
そして、第2の実施形態でも、シネ再生モードでは、操作者が、例えば、トラックボールを回転するに従って、順位が上位のフレームの歪み画像データを、画像メモリ15から呼び出して、モニタ2に表示させる。
設定順が順位順である場合、トラックボールの回転に応じて表示されるフレームは、図9Bに例示する「マーカー403aの位置に対応するフレーム、マーカー403bの位置に対応するフレーム、マーカー403cの位置に対応するフレーム」の順となる。また、設定順が時間順である場合、トラックボールの回転に応じて表示されるフレームは、図9Bに例示する「マーカー403bの位置に対応するフレーム、マーカー403cの位置に対応するフレーム、マーカー403aの位置に対応するフレーム」の順となる。なお、回転方向が逆方向となった場合、表示順は、逆の方向となる。
かかるシネ再生モードでは、時間軸カーソル402は、図9Cに示すように、時間軸上において、表示している過去の時相に対応する位置に表示される。
なお、第2の実施形態に係る超音波診断装置が行なう処理は、図8を用いて説明した第1の実施形態に係る超音波診断装置が行なう処理において、指標が、例えば、「平均歪み/分散」である以外は同様であるので、説明を省略する。
上述したように、第2の実施形態では、平均値や最大値、中央値等の統計値とともに分散を用いることで、圧迫及び開放の状態をより客観的に判定可能な指標を求めることができる。
なお、第2の実施形態では、指標の一例として、「平均歪み/分散」を用いる場合について説明した。しかし、第2の実施形態では、指標として、組織の変位の平均や最大値、中央値等の統計値及び分散を用いても良い。組織の変位は、歪み分布演算部123bが歪みを演算する過程で求めている値であるので、例えば、指標演算部141は、歪み分布表示領域111内の「平均変位/分散」を演算することが可能である。また、第2の実施形態では、指標として、組織の歪みの平均及び分散を用いても良い。かかる場合、指標演算部141は、歪み分布演算部123bが演算した歪み分布情報から、歪み分布表示領域111内の「平均歪み/分散」を演算する。また、第2の実施形態では、指標として、歪み比の平均や最大値、中央値等の統計値及び分散を用いても良い。かかる2つの領域は、例えば、参照領域と標的領域である。かかる場合、指標演算部141は、歪み比演算部123cが出力したデータから、例えば、「平均歪み比/分散」を演算して、リファレンス情報生成部142に出力する。
また、第2の実施形態では、組織の統計的な変位及び分散、統計的な速度及び分散、統計的な歪み及び分散、統計的な歪み比及び分散を複数の組み合わせで演算し、これら複数の指標を用いて、候補の時相を選択しても良い。このように、第2の実施形態では、指標演算部141は、組織の変位の統計値及び分散、組織の速度の統計値及び分散、組織の歪みの統計値及び分散、組織の2つの領域内の歪み比の統計値及び分散のいずれか1つを指標として演算することができる。
なお、上記の第1の実施形態及び第2の実施形態では、指標に基づいて選択された複数の歪み画像データを、例えば、操作者のトラックボール操作に応じて、モニタ2に順次動画表示する場合について説明した。しかし、第1の実施形態及び第2の実施形態は、操作者からの表示要求を受け付けた場合に、表示用として選択した歪み画像データを含む歪み画像データ群をモニタ2に動画表示するように制御する場合であっても良い。すなわち、制御部17は、操作者からの表示要求を受け付けた場合に、候補時相の歪み画像データを含む歪み画像データ群をモニタ2に動画表示するように制御しても良い。ここで、動画表示される歪み画像データ群は、例えば、指標に基づいて抽出された複数の歪み画像データである。かかる場合、動画表示される順番は、順位順であっても良いし、時間順であっても良い。
また、動画表示される歪み画像データ群は、以下に説明する歪み画像データ群であっても良い。例えば、操作者は、順位と時相とを示す複数のマーカーを参照して、1つのマーカーを指定する。かかる場合、制御部17は、例えば、指定されたマーカーに対応する時相を中心とする所定時間(例えば、5秒間)に一定間隔で生成された歪み画像データ群をモニタ2に動画表示させる。各画像データが動画表示される動画の長さは、例えば、指標が演算された時間間隔に対応する。或いは、制御部17は、例えば、指標に基づいて選択された複数の歪み画像データそれぞれについて、各歪み画像データが生成された時相を中心とする所定時間に生成された歪み画像データ群をモニタ2に動画表示させても良い。候補時相の歪み画像データとともに、当該歪み画像データの前後で生成された歪み画像データ群を動画表示させることで、より適切な歪み画像データが操作者により選択される可能性を向上させることができる。
また、かかる動画表示を行なう場合は、制御部17は、上述したように、候補として選択された各歪み画像データに対応する時相を示すマーカーとして、ライン状のマーカーを表示させる場合に限定されるものではない。例えば、制御部17は、ライン状のマーカーの代わりに、候補として選択された各歪み画像データに対応する時相を含む時間領域を示すマーカー(例えば、矩形のマーカー)を表示させても良い。
また、上記の第1の実施形態及び第2の実施形態では、複数の候補時相を抽出する場合について説明した。しかし、第1の実施形態及び第2の実施形態では、1つの候補を抽出する場合であっても良い。かかる候補は、例えば、上位3つの候補の時相の中で、1位の時相や、フリーズボタン押下時に最も近い時相が選択される。また、上記の第1の実施形態及び第2の実施形態では、操作者の指示を受け付けたことを契機として、候補時相の抽出処理、並びに、順位付け処理を行なう場合について説明した。しかし、第1の実施形態及び第2の実施形態では、新規に歪み情報や歪み画像データの生成と並列して、候補時相の抽出処理、並びに、順位付け処理が行なわれる場合であっても良い。
また、上記の第1の実施形態及び第2の実施形態で用いられる指標は、上述した以外の指標であっても良い。例えば、組織ドプラデータに含まれるドプラ情報の速度、分散、パワーの1つ、又は、複数を組み合わせたものが、指標として用いられる場合であっても良い。また、例えば、受信信号のS/N比を、指標として更に用いる場合であっても良い。また、例えば、過去の検査で、適切な歪み分布が得られた指標の時相を含む局所的な区間の波形を教師データとして記憶しておき、候補を選択する波形の中で、教師データの波形と類似度が高い区間を、候補の時相として選択する場合であっても良い。
また、上記の第1の実施形態及び第2の実施形態において、制御部17は、各時相に対応付けられた指標と当該時相で生成されたBモード画像データから得られる情報に基づいて、複数の候補時相を順位付けして抽出しても良い。Bモード画像データから得られる情報は、例えば、信号雑音比である。かかる場合、制御部17は、例えば、ある時相における関心領域の平均移動速度の絶対値に、当該時相のBモード画像データの関心領域におけるS/N比により定まる係数を乗算した値を用いて、複数の候補時相を順位付けして抽出することができる。例えば、良好なS/N比(値の高いS/N比)が得られた時相は、ノイズが少なく信頼性が高い画像が得られていると判断できるため、高い係数値が設定される。このような係数値の設定処理は、例えば、S/N比の値から係数を算出する関数や、S/N比の値と係数とを対応付けたデーブルを制御部17に予め設定することで、実行される。
或いは、制御部17は、各時相に対応付けられた指標と当該時相で生成された組織ドプラ画像データから得られる情報に基づいて、複数の候補時相を順位付けして抽出しても良い。組織ドプラデータから得られる情報は、例えば、信号雑音比である。ここで、制御部17は、組織ドプラデータとして生成された各サンプル点の組織の分散値を用いる。組織ドプラデータの分散値は、Bモード画像データでのS/N比に対応する値として用いることができる。従って、制御部17は、例えば、ある時相における関心領域の平均移動速度の絶対値に、当該時相の組織ドプラ画像データ(分散画像データ)の関心領域の値(分散値)により定まる係数を乗算した値を用いて、複数の候補時相を順位付けして抽出することができる。例えば、大きな分散値が得られた時相は、ドプラ信号間のばらつきが大きく信頼性の低い画像が得られていると判断できるため、低い係数値が設定される。このような係数値の設定処理は、例えば、分散値から係数を算出する関数や、分散値と係数とを対応付けたデーブルを制御部17に予め設定することで、実行される。
なお、Bモード画像データや組織ドプラ画像データから得られる情報の値は、上記の値に限定されるものではない。例えば、制御部17は、指標と、組織ドプラ画像データ(パワー画像データ)のパワー値とを用いて、複数の候補時相を順位付けして抽出しても良い。この場合、制御部17は、パワー値が大きい時相を優先した順位付けを行なう。例えば、制御部17は、大きな分散値が得られた時相には、高い係数値を設定する。また、制御部17は、指標と、Bモード画像データの平均輝度値とを用いて、複数の候補時相を順位付けして抽出しても良い。この場合、制御部17は、平均輝度値が大きい時相を優先した順位付けを行なう。例えば、制御部17は、大きな平均輝度値が得られた時相には、高い係数値を設定する。
このように、歪み画像データと同じ時相で生成された他の画像データで得られる情報の値を更に用いることで、制御部17は、例えば、平均移動速度の絶対値が大きい値で演算されているが、S/N比が悪い時相を、候補時相として抽出されることを回避できる。すなわち、制御部17は、指標とともに、画像データ(Bモード画像データや組織ドプラ画像データ)から得られる情報の値を用いて、各時相の順位付けを行なうことで、信頼性の低い候補時相が抽出されることを回避することができる。
なお、信頼性の低い候補時相が抽出されることを回避するために、制御部17は、以下の処理を行なっても良い。具体的には、制御部17は、歪み画像データと同じ時相で生成された他の画像データで得られる情報の値が、所定の条件を満たさない時相を除外する。例えば、制御部17は、S/N比が予め設定された閾値を下回る時相や、分散値が予め設定された閾値を上回る時相を除外する。そして、制御部17は、残余の各時相に対応付けられた指標を用いて、複数の候補時相を順位付けして抽出する。これによっても、制御部17は、例えば、平均移動速度の絶対値が大きい値で演算されているが、S/N比が悪い時相を、候補時相として抽出されることを回避できる。
或いは、制御部17は、上記の除外処理と同等な処理として、歪み画像データと同じ時相で生成された他の画像データで得られる情報の値が、所定の条件を満たさない時相については、当該時相の指標に乗算する係数値を「0」としても良い。この場合、例えば、制御部17は、S/N比が予め設定された閾値を下回る時相や、分散値が予め設定された閾値を上回る時相については、当該時相の指標に乗算する係数値を「0」として、複数の候補時相を順位付けして抽出する。
更に、上記の変形例において、制御部17は、各時相に対応付けられた指標と、当該時相で生成されたBモード画像データから得られる情報の値と、当該時相で生成された組織ドプラ画像データから得られる情報の値とに基づいて、複数の候補時相を順位付けして抽出しても良い。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態で説明した画像処理方法は、医用画像データを保管するデータベースから反射波データを取得可能な画像処理装置により行なわれる場合であっても良い。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態の説明において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、組織情報処理部123は、血流情報処理部122に統合される場合であっても良い。また、例えば、歪み比演算部123cは、歪み情報処理部14に設置される場合であっても良い。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態で説明した画像処理方法は、あらかじめ用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理プログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、この画像処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD、USBメモリ及びSDカードメモリ等のFlashメモリ等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって非一時的な記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上、説明したとおり、第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、適切な歪みに関する情報を操作者が容易に得ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。