以下、図面を参照して、実施形態に係る超音波診断装置及び制御プログラムを説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置10の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置10は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力装置102と、モニタ103とを有する。
超音波プローブ101は、複数の振動子(例えば、圧電振動子)を有し、これら複数の振動子は、後述する装置本体100が有する送信部110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ101が有する複数の振動子は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ101は、振動子に設けられる整合層と、振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。
超音波プローブ101から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ101が有する複数の振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
なお、第1の実施形態は、図1に示す超音波プローブ101が、複数の圧電振動子が一列で配置された1次元超音波プローブである場合や、一列に配置された複数の圧電振動子が機械的に揺動される1次元超音波プローブである場合、複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2次元超音波プローブである場合のいずれであっても適用可能である。
入力装置102は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置10の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
モニタ103は、超音波診断装置10の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データ等を表示したりする。
装置本体100は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置であり、図1に示すように、送信部110と、受信部120と、信号処理部130と、画像生成部140と、画像メモリ150と、内部記憶部160と、制御部170とを有する。
送信部110は、超音波送信における送信指向性を制御する。例えば、送信部110は、パルス発生器111、送信遅延部112、パルサ113を有し、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。パルス発生器111は、所定のレート周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。レートパルスは、送信遅延部112を通ることで異なる送信遅延時間を有した状態でパルサ113へ電圧を印加する。すなわち、送信遅延部112は、超音波プローブ101から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な振動子ごとの送信遅延時間を、パルス発生器111が発生する各レートパルスに対し与える。パルサ113は、かかるレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号(駆動パルス)を印加する。送信方向或いは送信遅延時間は、後述する内部記憶部160に記憶されており、送信部110は、内部記憶部160を参照して、送信指向性を制御する。
駆動パルスは、パルサ113からケーブルを介して超音波プローブ101内の振動子まで伝達した後に、振動子において電気信号から機械的振動に変換される。この機械的振動は、生体内部で超音波として送信される。振動子ごとに異なる送信遅延時間を持った超音波は、収束されて、所定方向に伝搬していく。送信遅延部112は、各レートパルスに対し与える送信遅延時間を変化させることで、振動子面からの送信方向を任意に調整する。送信部110は、超音波ビームの送信に用いる振動子の数及び位置(送信開口)と、送信開口を構成する各振動子の位置に応じた送信遅延時間とを制御することで、送信指向性を与える。例えば、送信遅延部112は、送信遅延時間をパルス発生器111が発生する各レートパルスに対し与えることで、超音波送信の深さ方向における集束点(送信フォーカス)の位置を制御する。
なお、送信部110は、後述する制御部170の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬時にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
超音波プローブ101が送信した超音波の反射波は、超音波プローブ101内部の振動子まで到達した後、振動子において、機械的振動から電気的信号(反射波信号)に変換され、受信部120に入力される。
受信部120は、超音波受信における受信指向性を制御する。例えば、受信部120は、プリアンプ121、A/D変換部122、受信遅延加算部123を有し、超音波プローブ101が受信した反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。プリアンプ121は、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行なう。A/D変換部122は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換する。受信遅延加算部123は、受信指向性を決定するのに必要な受信遅延時間をチャンネルごとに与え、受信遅延時間が与えられた反射波信号(デジタル信号)を加算して、反射波データを生成する。この加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。受信方向或いは受信遅延時間は、後述する内部記憶部160に記憶されており、受信部120は、内部記憶部160を参照して、受信指向性を制御する。なお、第1の実施形態に係る受信部120は、並列同時受信を行なうことも可能である。
信号処理部130は、受信部120が反射波信号から生成した反射波データに対して各種の信号処理を行う。例えば、信号処理部130は、Bモード処理部131と、ドプラ処理部132とを有する。
Bモード処理部131は、例えば、受信部120から受信した反射波データに対して、対数増幅、包絡線検波処理等を行って、サンプル点ごとの信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
ドプラ処理部132は、例えば、受信部120から受信した反射波データより、移動体のドプラ効果に基づく運動情報を、走査領域内の各サンプル点で抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。具体的には、ドプラ処理部132は、移動体の運動情報として、平均速度、分散値、パワー値等を各サンプル点で抽出したドプラデータを生成する。ここで、移動体とは、例えば、血流や、心壁等の組織、造影剤である。
画像生成部140は、信号処理部130が生成したデータから超音波画像データを生成する。画像生成部140は、信号処理部130が生成したBモードデータから反射波の強度を輝度で表したBモード画像データを生成する。また、画像生成部140は、信号処理部130が生成したドプラデータから移動体情報を表すドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。
ここで、画像生成部140は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成部140は、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成部140は、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行う。また、画像生成部140は、超音波画像データに、付帯情報(種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等)を合成する。
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成部140が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、画像生成部140は、信号処理部130が3次元のデータ(3次元Bモードデータ及び3次元ドプラデータ)を生成した場合、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、ボリュームデータを生成する。そして、画像生成部140は、ボリュームデータに対して、各種レンダリング処理を行なって、表示用の2次元画像データを生成する。
画像メモリ150は、画像生成部140が生成した表示用の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ150は、信号処理部130が生成したデータを記憶することも可能である。画像メモリ150が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成部140を経由して表示用の超音波画像データとなる。
内部記憶部160は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、内部記憶部160は、必要に応じて、画像メモリ150が記憶する画像データの保管等にも使用される。また、内部記憶部160が記憶するデータは、図示しないインタフェース部を介して、外部装置へ転送することができる。
また、内部記憶部160は、送信条件記憶部161を記憶する。送信条件記憶部161については、後述する。
制御部170は、超音波診断装置の処理全体を制御する。具体的には、制御部170は、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部160から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送信部110、受信部120、信号処理部130、画像生成部140の処理を制御する。また、制御部170は、画像メモリ150が記憶する表示用の超音波画像データをモニタ103にて表示するように制御する。
また、制御部170は、受付部171と、決定部172と、送信制御部173とを有する。受付部171、決定部172及び送信制御部173については、後述する。
なお、装置本体100に内蔵される送信部110及び受信部120等は、プロセッサ(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、集積回路等)のハードウェアにより構成されることもあるが、ソフトウェア的にモジュール化されたプログラムにより構成される場合もある。
ここで、第1の実施形態に係る超音波診断装置10は、生体組織の硬さを測定し、測定した硬さの分布を映像化するエラストグラフィーを実行可能な装置である。具体的には、第1の実施形態に係る超音波診断装置10は、音響放射力を与えて生体組織に変位を発生させることで、エラストグラフィーを実行可能な装置である。
すなわち、第1の実施形態に係る送信部110は、音響放射力に基づいて生体組織に変位を発生させるプッシュパルスを超音波プローブ101から送信させる。そして、第1の実施形態に係る送信部110は、プッシュパルスに基づいて発生する所定の走査領域内の生体組織の変位を観測する観測用パルスを超音波プローブ101から送信させる。観測用パルスは、プッシュパルスにより発生したせん断波の伝播速度を、走査領域内の各サンプル点で観測するために送信される。通常、観測用パルスは、走査領域内の各走査線に対して、複数回(例えば、100回)、送信される。受信部120は、走査領域内の各走査線で送信された観測用パルスの反射波信号から、反射波データを生成する。なお、プッシュパルスは、変位発生用超音波の一例である。また、観測用パルスは、観測用超音波の一例である。また、走査領域は、画像化において走査される領域を指し、例えば、関心領域(ROI)に対応する。
続いて、ドプラ処理部132は、各サンプル点における変位の時間変化を観測する。例えば、ドプラ処理部132は、観測用パルスの反射波データの自己相関処理を行う。これにより、ドプラ処理部132は、各走査線の複数のサンプル点それぞれで、運動情報(組織ドプラデータ)を複数時相に渡って生成する。そして、ドプラ処理部132は、各走査線の複数のサンプル点それぞれで得られた複数時相の組織ドプラデータの速度成分を時間積分する。これにより、ドプラ処理部132は、各走査線の複数のサンプル点それぞれの変位を複数時相に渡って算出することで、各サンプル点における変位の時間変化を求める。この変位の時間変化は、例えば、横軸を経過時間とし、縦軸を変位としたプロットとして描出可能である。そして、ドプラ処理部132は、算出した各サンプル点における変位の時間変化を画像メモリ150に格納する。上記の場合、観測用パルスは、組織ドプラ用の送信パルスである。
そして、画像生成部140は、走査領域内の各サンプル点における変位の時間変化から、生体組織の硬さがカラー表示された硬さ画像データを生成する。例えば、画像生成部140は、同一の深さで隣り合うサンプル点における変位の時間変化のプロットの相互相関により、プロットの類似度が最も高くなるずれ量を求めることで、せん断波の到達時間を算出する。そして、画像生成部140は、方位方向における各サンプル点の到達時間の差分と、各サンプル点の位置とから、各サンプル点におけるせん断波の伝搬速度(以下、「せん断速度」と記載する)を算出する。そして、画像生成部140は、せん断速度に応じた画素値(カラーマップ)を走査領域内の各サンプル点に割り当てることで、走査領域の大きさに対応するせん断速度画像データを生成する。ここで、硬い組織ではせん断速度が大きく、軟らかい組織ではせん断速度が小さくなる。つまり、せん断速度の値は、組織の硬さ(弾性率)を示す値となる。すなわち、画像生成部140は、生体組織の硬さを表す硬さ画像データとして、せん断速度画像データを生成する。なお、画像生成部140は、上述したせん断波の到達時間を、各サンプル点で変位が最大となる時間に基づいて算出しても良い。
なお、画像生成部140は、せん断速度から、ヤング率又はせん断弾性率を算出し、算出したヤング率又はせん断弾性率により硬さ画像データを生成しても良い。せん断速度、ヤング率及びせん断弾性率は、いずれも生体組織の硬さを表す物理量として用いることができる。以下では、画像生成部140が、生体組織の硬さを表す物理量としてせん断速度を用いる場合について説明する。
ところで、プッシュパルスを用いたエラストグラフィーによって硬さ画像を生成する場合、超音波診断装置10の操作者は、様々な送信条件を設定することとなる。
図2Aから図2Dは、送信条件について説明するための図である。例えば、図2Aに示すように、エラストグラフィーを行う場合、操作者は、超音波診断装置10の表示モードを、エラストグラフィーを行うための表示モード(例えば、エラストモードと称される)に切り替える。このエラストモードでは、硬さ画像を表示するための処理が実行される場合を除いて、Bモード用パルスが繰り返し送受信されており、Bモード画像20が略リアルタイムでモニタ103に表示されている。例えば、操作者は、このBモード画像20を確認しながら超音波プローブ101を操作し、硬さ画像を表示したい位置(例えば、腫瘍と思われる部位が表示されている位置)で硬さ画像を表示するための関心領域(ROI)30を設定する。そして、操作者が、スキャンを開始するための指示であるスキャン開始指示を入力すると、超音波診断装置10は、ROI30の硬さ画像を生成する。この場合、例えば、図2Bから図2Dに示すように、送信条件が設定される。
図2Bでは、送信条件として、例えば、ROI30の一端に対してプッシュパルスを送信させるか、両端に対してプッシュパルスを送信させるかが設定される場合を説明する。一端に対してプッシュパルスを送信させる場合、超音波診断装置10は、例えば、送信位置40に対してプッシュパルスを送信し、このプッシュパルスによって矢印50の方向に伝播するせん断波を観測する。一方、ROI30の両端に対してプッシュパルスを送信させる場合、超音波診断装置10は、送信位置40に対して送信されたプッシュパルスによるせん断波に加え、送信位置41に対して送信されたプッシュパルスによって矢印51の方向に伝播するせん断波も観測する。そして、超音波診断装置10は、ROI30を双方向に伝播するせん断波のせん断速度をそれぞれ算出し、サンプル点ごとの値を統合することで、より正確なせん断速度を求める。したがって、一般的には、画質を上げる場合には、ROI30の両端に対してプッシュパルスを送信させ、フレームレートを上げる場合には、ROI30の一端に対してプッシュパルスを送信させるのが好ましい。
なお、ROI30の両端に対してプッシュパルスを送信させるのは、例えば、被検体内に硬さが異なる領域が存在する場合に有効である。なぜなら、硬さの異なる領域の境界においてはせん断波が反射を起こして干渉し合うことで、せん断波の観測が困難になるからである。この反射の影響を低減するために、観測するせん断波の方向とは逆方向に伝播するせん断波の成分を除去するフィルタが適用されることも提案されているが、このフィルタでも反射の影響を完全に低減できるとは限らない。このため、双方向に伝播するせん断波をそれぞれ観測することで、せん断波が反射しやすい領域をずらし、それぞれの観測結果を重ね合わせることにより、信頼性の高い硬さ画像が生成される。
また、図2C及び図2Dでは、送信条件として、プッシュパルスの方位方向の間隔が設定される場合を説明する。ここで、プッシュパルスの方位方向の間隔を設定するのは、プッシュパルスの送信によって発生するせん断波が、伝播とともに減衰してしまうからである。このため、複数の送信位置から所定の間隔でプッシュパルスを送信することで、1回のプッシュパルス送信で観測する範囲を狭めることが行われる。例えば、図2Cの例では、3カ所の送信位置40a,40b,40cが設定され、図2Dの例では、5カ所の送信位置40d,40e,40f,40g,40hが設定される。ここで、図2Cの場合には、図2Dの場合よりプッシュパルスの送信回数を減らせるので、フレームレートを上げる場合に適しているものの、例えば、各分割ROI30a,30b,30cの右端においてせん断波が減衰してしまう可能性がある。一方、図2Dの場合には、図2Dの場合より各送信位置の間隔が狭いので、画質を上げる場合に適しているものの、プッシュパルスの送信回数が増加するので、高速な画像化は困難になる。
また、超音波診断装置10は、音響パワー規制を遵守することが求められる。エラストグラフィーに用いられるプッシュパルスは、例えば、Bモード用の送信波形と比較して音響パワーが大きいため、発熱も大きい。この規制の範囲内に発熱を抑えるためには、例えば、プッシュパルス1回当たりの音響パワーを小さくする(すなわち、音圧を低くするか、照射時間を短くする)か、又は単位時間当たりのプッシュパルスの送信回数を減らすこととなる。ここで、送信されるプッシュパルスの音響パワーは、プッシュパルスによって発生する生体組織の変位量と相関しているため、プッシュパルスの音響パワーを小さくすると、観測するのに十分な大きさの変位を生じさせることができず、せん断波が明瞭に観測できなくなってしまう。したがって、高速な画像化を行う場合には、プッシュパルスの送信回数を維持して音響パワーを下げるより、音響パワーを維持したまま送信回数を下げる方が、結果として、画質を上げることができる場合がある。
このように、エラストグラフィーにおいては、観測に十分な大きさの変位を発生させて画像化を行うために、様々な送信条件が設定される。この送信条件は、上述したように、必ずしも一義的に設定されるものではなく、所望の画質やフレームレートに応じて異なるものである。このため、撮影の度に操作者が最適な送信条件を一つ一つ設定するのは困難である。その上、操作者は、例えば、フレームレートを変更したい場合には、フレームレートを変更する度に送信条件を再設定することとなり、手間がかかってしまう。
そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置10は、以下に説明する構成を備えることにより、簡易な操作で高画質な硬さ画像を得ることを可能にする。
第1の実施形態に係る送信条件記憶部161は、送信条件を記憶する。例えば、送信条件記憶部161は、1回の画像化を行うワンショットモード、及び、所定のフレームレートで繰り返し生成する連続スキャンモードに応じて、送信条件を記憶する。
図3は、第1の実施形態に係る送信条件記憶部161に記憶される情報の一例を示す図である。図3に示すように、送信条件記憶部161は、「スキャンモード」と、「プッシュパルス送信方式」と、「プッシュパルス送信間隔」と、「観測用パルス送信間隔」とが対応づけられた情報を記憶する。なお、送信条件記憶部161に記憶される情報は、操作者によって予め登録されても良いし、プリセットされていても良い。
ここで、「スキャンモード」は、スキャンを行うモードを示す情報である。例えば、「スキャンモード」には、エラストモードにおいて、1回の画像化を行う「ワンショットモード」であるか、画像化を繰り返し行う「連続スキャンモード」であるかが登録される。ここで、「連続スキャンモード」は、走査領域を画像化するフレームレートがそれぞれ異なる複数のモードとして登録される。例えば、「連続スキャンモード」としては、「連続スキャンモード(高速)」、「連続スキャンモード(中速)」及び「連続スキャンモード(低速)」が登録される。このうち、「連続スキャンモード(高速)」は、他の連続スキャンモードよりもフレームレートが高いスキャンモードである。また、「連続スキャンモード(低速)」は、他の連続スキャンモードよりもフレームレートが低いスキャンモードである。また、「連続スキャンモード(中速)」は、フレームレートが「連続スキャンモード(高速)」及び「連続スキャンモード(低速)」の中程度に設定されたスキャンモードである。
また、「プッシュパルス送信方式」は、プッシュパルスを送信する送信位置が「片側」であるか「両側」であるかを示す情報である。例えば、プッシュパルス送信方式「片側」は、対応するスキャンモードにおいて、走査領域の一端に対してプッシュパルスを送信させることを示す。また、プッシュパルス送信方式「両側」は、対応するスキャンモードにおいて、走査領域の両端に対してプッシュパルスを送信させることを示す。このプッシュパルス送信方式が「片側」であれば、プッシュパルスによって伝播するせん断波の方向が一方向となり、「両側」であれば、双方向となる。
また、「プッシュパルス送信間隔」は、走査領域に対して送信されるプッシュパルスの方位方向における間隔を示す情報である。例えば、プッシュパルス送信間隔「1cm」は、操作者によって指示されたROI30に対して、プッシュパルスを「1cm」間隔で送信することを表す。
また、「観測用パルス送信間隔」は、走査領域に対して送信される観測用パルスの方位方向における間隔を示す情報である。例えば、観測用パルス送信間隔「1mm」は、操作者によって指示されたROI30に対して、観測用パルスを「1mm」間隔で送信することを表す。
なお、図3はあくまでも一例に過ぎない。例えば、図3では、プッシュパルス送信間隔及び観測用パルス送信間隔を「距離」で示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、プッシュパルス送信間隔及び観測用パルス送信間隔は「角度」で示されても良い。具体例としては、超音波プローブ101がリニアプローブである場合には、プッシュパルス送信間隔及び観測用パルス送信間隔が「距離」で示され、コンベックスプローブである場合には、プッシュパルス送信間隔及び観測用パルス送信間隔が「角度」で示されるのが好ましい。また、例えば、送信条件記憶部161は、送信条件として、上述したプッシュパルス送信方式、プッシュパルス送信間隔、及び観測用パルス送信間隔の全ての項目を記憶していなくても良いし、他の項目を記憶しても良い。また、例えば、プッシュパルス送信方式が「片側」である場合には、走査領域の両端のうち、どちら側(左側又は右側)に送信するかを具体的に記憶しても良い。
受付部171は、各種の指示を受け付け、受け付けた指示を他の処理部に適宜出力する。また、受付部171は、受け付けた指示に応じて、各種設定を行う。
例えば、受付部171は、ROI30を設定する。一例としては、受付部171は、モニタ103にROI設定用GUIを表示させ、ROI設定用GUI上で操作者によるROI30を設定する指示を受け付ける。そして、受付部171は、受け付けた指示に基づいて、ROI30の設定を行う。
また、第1の実施形態に係る受付部171は、スキャンモードを設定する指示を受け付ける。例えば、受付部171は、入力装置102を介して、「連続スキャンモード(高速)」、「連続スキャンモード(中速)」、「連続スキャンモード(低速)」及び「ワンショットモード」をそれぞれ設定する指示のうち、いずれかの指示を操作者から受け付ける。受付部171は、受け付けた指示を決定部172へ出力する。
なお、第1の実施形態では、受付部171が、スキャンモードを設定する指示を受け付ける場合を説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、受付部171は、フレームレートを設定する指示を操作者から受け付けても良い。これは、本実施形態におけるスキャンモード(ワンショットモード、連続スキャンモード)は、実質的にはフレームレートを意味するからである。例えば、「連続スキャンモード(高速)」、「連続スキャンモード(中速)」及び「連続スキャンモード(低速)」は、それぞれ異なるフレームレートが設定されている。一例としては、「連続スキャンモード(高速)」のフレームレートは「1.5fps」であり、「連続スキャンモード(中速)」のフレームレートは「1fps」であり、「連続スキャンモード(低速)」のフレームレートは「0.5fps」である。この場合、受付部171は、所定期間における走査領域に対応する画像の取得回数を設定する指示を受け付けている。
また、「ワンショットモード」においては、休止時間(冷却時間)が設定される。この休止時間は、スキャン(プッシュパルスや観測用パルスの送受)によって上昇した生体組織の温度を冷やすために設定される期間である。一例としては、「ワンショットモード」でスキャンの後、5秒間フリーズ状態となるよう設定されている。これは、「ワンショットモード」のフレームレートが「0.2fps」に設定されているのと同義である。つまり、受付部171は、所定期間(休止時間)における走査領域に対応する画像の取得回数(1回)を設定する指示を受け付けていると言える。
すなわち、第1の実施形態に係る超音波診断装置10において、受付部171は、所定期間における走査領域に対応する画像の取得回数を設定する指示を受け付ける。なお、受付部171がフレームレートを設定する指示を受け付ける場合、送信条件記憶部161は、フレームレートに応じた送信条件を記憶する。例えば、送信条件記憶部161は、フレームレート「1fps」と、プッシュパルス送信方式「片側」と、プッシュパルス送信間隔「1cm」と、観測用パルス送信間隔「1mm」とが対応づけられた情報を記憶する。
第1の実施形態に係る決定部172は、受付部171が受け付けた指示に応じて、送信条件を決定する。例えば、決定部172は、操作者によって入力されたスキャンモードを設定する指示を受付部171から受け付ける。そして、決定部172は、送信条件記憶部161を参照し、受け付けた指示に応じた送信条件を決定する。そして、決定部172は、決定した送信条件を送信制御部173へ出力する。
例えば、決定部172は、「連続スキャンモード(中速)」を設定する指示を受付部171から受け付けた場合には、送信条件記憶部161を参照する。そして、決定部172は、「連続スキャンモード(中速)」に対応づけられたプッシュパルス送信方式「片側」と、プッシュパルス送信間隔「1cm」と、観測用パルス送信間隔「1mm」とを取得する。そして、決定部172は、取得した各項目を、送信条件として決定する。
また、例えば、決定部172は、「ワンショットモード」を設定する指示を受付部171から受け付けた場合には、送信条件記憶部161を参照する。そして、決定部172は、「ワンショットモード」に対応づけられたプッシュパルス送信方式「両側」と、プッシュパルス送信間隔「0.6cm」と、観測用パルス送信間隔「0.5mm」とを取得する。そして、決定部172は、取得した各項目を、送信条件として決定する。
第1の実施形態に係る送信制御部173は、送信条件に基づいて、送信部110の制御を行う。例えば、送信制御部173は、決定された送信条件に基づいて、プッシュパルス及び観測用パルスの印加電圧をそれぞれ算出する。そして、送信制御部173は、算出したプッシュパルス及び観測用パルスの印加電圧、及び、送信条件に基づいて、硬さ画像データ生成処理を行う。
図4A及び図4Bは、第1の実施形態に係る送信制御部173の処理を説明するための図である。図4Aには、「連続スキャンモード(中速)」でROI30の硬さ画像データを生成する場合を例示し、図4Bには、「ワンショットモード」でROI30の硬さ画像データを生成する場合を例示する。なお、図4A及び図4Bにおいては、超音波プローブ101の同時受信本数が4本である場合を説明する。
まず、図4Aを用いて、「連続スキャンモード(中速)」でROI30の硬さ画像データを生成する場合を説明する。この場合、既に、決定部172の処理により、送信条件として、プッシュパルス送信方式「片側」、プッシュパルス送信間隔「1cm」、及び観測用パルス送信間隔「1mm」が決定されている。なお、各分割ROI30a,30b,30cのように、ROI30が方位方向に等分割された領域を、以下、分割ROIと表記する。
ここで、送信制御部173は、決定された送信条件に基づいて、1回の画像化(撮像)を行うために要するプッシュパルス及び観測用パルスの送信回数を算出する。例えば、送信制御部173は、まず、分割ROI30aの観測に要する観測用パルスの送信回数を算出する。この場合、送信制御部173は、観測用パルス送信間隔が「1mm」であり、プッシュパルス送信間隔が「1cm」であるので、分割ROI30aの観測に要する観測用パルスの送信本数(走査線の数)「10本(=1cm/1mm)」を算出する。ここで、例えば、1本の走査線につき観測用パルスを100回送受信する場合には、送信制御部173は、分割ROI30aの観測に要する観測用パルスの送信回数「1000回(=10本×100回)」を算出する。
続いて、送信制御部173は、分割ROI30aの観測に要するプッシュパルスの送信回数を算出する。この場合、送信制御部173は、分割ROI30aの観測に要する観測用パルスの送信本数(走査線の数)が「10本」であり、同時受信本数が4本であるので、分割ROI30aの観測に要するプッシュパルスの送信回数「3回」を算出する。つまり、10本の走査線のうち、1から4番目までの走査線で観測を行うために、1回目のプッシュパルスを送信させ、5から8番目までの走査線で観測を行うために、2回目のプッシュパルスを送信させ、9,10番目の走査線で観測を行うために、3回目のプッシュパルスを送信させることとなる。
続いて、送信制御部173は、分割ROI30b,30cそれぞれの観測に要するプッシュパルス及び観測用パルスの送信回数を算出する。図4Aの例では、分割ROI30b,30cに対するプッシュパルス及び観測用パルスの送信条件は分割ROI30aと同一である。このため、送信制御部173は、分割ROI30b,30cについても同様に、プッシュパルスの送信回数「3回」及び観測用パルスの送信回数「1000回」を算出する。
そして、送信制御部173は、算出した分割ROI30a,30b,30cそれぞれの観測に要するプッシュパルス及び観測用パルスの送信回数を合計する。これにより、送信制御部173は、1回の画像化を行うために要するプッシュパルスの送信回数「9回」及び観測用パルスの送信回数「3000回」を算出する。
このように、送信制御部173は、1回の画像化を行うために要するプッシュパルスの送信回数及び観測用パルスの送信回数を算出する。そして、送信制御部173は、算出したプッシュパルスの送信回数及び観測用パルスの送信回数に基づいて、プッシュパルス及び観測用パルスの印加電圧をそれぞれ算出する。
例えば、送信制御部173は、MI(Mechanical Index)値及びTI(Thermal Index)値に基づいて、プッシュパルス及び観測用パルスの印加電圧をそれぞれ算出する。ここで、内部記憶部160には、例えば、プッシュパルス及び観測用パルスがそれぞれ1回照射された場合のMI値及び発熱量が記憶されている。そして、例えば、TI値が規制値を超えない範囲でプッシュパルス及び観測用パルスを送信する場合、送信制御部173は、プッシュパルス及び観測用パルスがそれぞれ1回照射された場合に発熱する発熱量、算出したプッシュパルスの送信回数及び観測用パルスの送信回数、及びフレームレートに基づいて、単位時間あたりの発熱量(平均発熱量)を算出する。そして、送信制御部173は、この平均発熱量が規制値を超えない範囲内で最も高い電圧を、プッシュパルス及び観測用パルスそれぞれの印加電圧として算出する。
そして、送信制御部173は、算出したプッシュパルス及び観測用パルスの印加電圧を用いて、送信部110にプッシュパルス及び観測用パルスを送信させる。例えば、ROI30を1回画像化するために、まず、送信制御部173は、送信位置40aでプッシュパルスを送信させ、分割ROI30aを矢印50aの方向に伝播するせん断波を観測する(観測用パルスを送受信させる)。次に、送信制御部173は、送信位置40bでプッシュパルスを送信させ、分割ROI30bを矢印50bの方向に伝播するせん断波を観測する。続いて、送信制御部173は、送信位置40cでプッシュパルスを送信させ、分割ROI30cを矢印50cの方向に伝播するせん断波を観測する。これにより、分割ROI30a,30b,30cごとに観測される各サンプル点における変位の時間変化に基づいて、ROI30の硬さ画像データが生成される。
次に、図4Bを用いて、「ワンショットモード」でROI30の硬さ画像データを生成する場合を説明する。この場合、既に、決定部172の処理により、送信条件として、プッシュパルス送信方式「両側」、プッシュパルス送信間隔「0.6cm」、及び観測用パルス送信間隔「0.5mm」が決定されている。
まず、送信制御部173は、決定された送信条件に基づいて、1回の画像化を行うために要するプッシュパルス及び観測用パルスの送信回数を算出する。ここで、送信制御部173は、観測用パルス送信間隔が「0.5mm」であり、プッシュパルス送信間隔が「0.6cm」であるので、ROI30dの観測に要する観測用パルスの送信本数(走査線の数)「12本(=0.6cm/0.5mm)」を算出する。ここで、例えば、1本の走査線につき観測用パルスを100回送受信する場合には、送信制御部173は、分割ROI30dの観測に要する観測用パルスの送信回数「2400回(=12本×100回×2(両側))」を算出する。なお、図4Bにおいて、プッシュパルス送信方式が「両側」であるので、送信回数は2倍の値が算出されている。
続いて、送信制御部173は、分割ROI30dの観測に要するプッシュパルスの送信回数を算出する。この場合、送信制御部173は、プッシュパルス送信方式が「両側」であり、分割ROI30dの観測に要する観測用パルスの送信本数(走査線の数)が「12本」であり、同時受信本数が4本であるので、分割ROI30dの観測に要するプッシュパルスの送信回数「6回」を算出する。
続いて、送信制御部173は、分割ROI30e,30f,30g,30hそれぞれの観測に要するプッシュパルス及び観測用パルスの送信回数を算出する。図4Bの例では、分割ROI30e,30f,30g,30hに対するプッシュパルス及び観測用パルスの送信条件はROI30dと同一である。このため、送信制御部173は、分割ROI30e,30f,30g,30hそれぞれについても同様に、プッシュパルスの送信回数「6回」及び観測用パルスの送信回数「2400回」を算出する。
そして、送信制御部173は、算出した分割ROI30d,30e,30f,30g,30hそれぞれの観測に要するプッシュパルス及び観測用パルスの送信回数を合計する。これにより、送信制御部173は、1回の画像化を行うために要するプッシュパルスの送信回数「30回」及び観測用パルスの送信回数「12000回」を算出する。
このように、送信制御部173は、1回の画像化を行うために要するプッシュパルスの送信回数及び観測用パルスの送信回数を算出する。そして、送信制御部173は、算出したプッシュパルスの送信回数及び観測用パルスの送信回数に基づいて、プッシュパルス及び観測用パルスの印加電圧をそれぞれ算出する。
例えば、送信制御部173は、MI(Mechanical Index)値及びTI(Thermal Index)値に基づいて、プッシュパルス及び観測用パルスの印加電圧をそれぞれ算出する。なお、この処理は、図4Aの場合と同様であるので、説明を省略する。
そして、送信制御部173は、算出したプッシュパルス及び観測用パルスの印加電圧を用いて、送信部110にプッシュパルス及び観測用パルスを送信させる。例えば、ROI30を1回画像化するために、まず、送信制御部173は、送信位置40dでプッシュパルスを送信させ、分割ROI30dを矢印50dの方向に伝播するせん断波を観測する。次に、送信制御部173は、送信位置40eでプッシュパルスを送信させ、分割ROI30eを矢印50eの方向に伝播するせん断波を観測する。続いて、送信制御部173は、送信位置40fでプッシュパルスを送信させ、分割ROI30fを矢印50fの方向に伝播するせん断波を観測する。続いて、送信制御部173は、送信位置40gでプッシュパルスを送信させ、分割ROI30gを矢印50gの方向に伝播するせん断波を観測する。続いて、送信制御部173は、送信位置40hでプッシュパルスを送信させ、分割ROI30hを矢印50hの方向に伝播するせん断波を観測する。そして、送信制御部173は、送信位置40iでプッシュパルスを送信させ、分割ROI30dを矢印50iの方向に伝播するせん断波を観測する。そして、送信制御部173は、送信位置40jでプッシュパルスを送信させ、分割ROI30eを矢印50jの方向に伝播するせん断波を観測する。そして、送信制御部173は、送信位置40kでプッシュパルスを送信させ、分割ROI30fを矢印50kの方向に伝播するせん断波を観測する。そして、送信制御部173は、送信位置40lでプッシュパルスを送信させ、分割ROI30gを矢印50lの方向に伝播するせん断波を観測する。そして、送信制御部173は、送信位置40mでプッシュパルスを送信させ、分割ROI30hを矢印50mの方向に伝播するせん断波を観測する。これにより、分割ROI30d,30e,30f,30g,30hごとに、双方向に伝播するせん断波を観測し、観測される各サンプル点における変位の時間変化に基づいて、ROI30の硬さ画像データが生成される。
このように、送信制御部173は、送信条件に基づいて、送信部110にプッシュパルス及び観測用パルスを送信させる制御を行う。これにより、最終的に、硬さ画像データが生成される。
図5は、第1の実施形態に係る超音波診断装置10の処理手順を示すフローチャートである。なお、図5に例示の処理手順は、操作者によってエラストモードに切り替えられた後の処理手順に対応する。
図5に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置10において、エラストモードに切り替えられると、受付部171は、ROI30を設定する指示を受け付けて、受け付けた指示に応じてROI30を設定する(ステップS101)。
続いて、受付部171は、スキャンモードを設定する指示を受け付ける(ステップS102)。例えば、受付部171は、「連続スキャンモード(高速)」、「連続スキャンモード(中速)」、「連続スキャンモード(低速)」及び「ワンショットモード」をそれぞれ設定する指示のうち、いずれかの指示を操作者から受け付ける。そして、受付部171は、受け付けたスキャンモードを設定する指示を決定部172へ出力する。
そして、受付部171が、スキャン(画像化)を開始するスキャン開始指示を受け付けると(ステップS103肯定)、決定部172は、受付部171が受け付けたスキャンモードに応じて送信条件を決定する(ステップS104)。例えば、決定部172は、操作者によって入力されたスキャンモードを設定する指示を受付部171から受け付ける。そして、決定部172は、送信条件記憶部161を参照し、受け付けた指示に応じた送信条件を決定する。そして、決定部172は、決定した送信条件を送信制御部173へ出力する。なお、決定部172は、受付部171がスキャン開始指示を受け付けるまで(ステップS103否定)、待機状態である。
続いて、送信制御部173は、プッシュパルス及び観測用パルスの印加電圧を算出する(ステップS105)。そして、送信制御部173は、算出したプッシュパルス及び観測用パルスの印加電圧、及び、送信条件に基づいて、硬さ画像データ生成処理を行う(ステップS106)。
ここで、図6を用いて、図5のステップS106の硬さ画像データ生成処理について説明する。図6は、硬さ画像データ生成処理の処理手順を示すフローチャートである。
図6に示すように、送信制御部173は、「n=1」に設定する(ステップS201)。この「n」は、全てのプッシュパルス送信位置でプッシュパルスを送信し、各サンプル点における変位を観測するために設定される、送信対象となるプッシュパルス送信位置の番号を示す。つまり、送信制御部173は、プッシュパルスの送信位置の数「N」に到達するまで、「n」を1ずつインクリメントさせることで、全てのプッシュパルス送信位置でプッシュパルスを送信させ、各サンプル点における変位を観測する。
続いて、送信制御部173の制御により、送信部110は、n番目のプッシュパルス送信位置において、超音波プローブ101から、プッシュパルスを送信させる(ステップS202)。そして、送信部110及び受信部120の制御により、超音波プローブ101は、プッシュパルスに対応する分割ROI内で、観測用パルスの送受信を実行する(ステップS203)。そして、画像生成部140は、分割ROIの各サンプル点で、変位を算出する(ステップS204)。
例えば、図4Aの例では、送信部110は、送信位置40a,40b,40cの順にプッシュパルスを送信させる。そして、各送信位置40a,40b,40cでプッシュパルスが送信されるごとに、超音波プローブ101が各分割ROI30a,30b,30cで観測用パルスの送受信を実行し、画像生成部140が変位を算出する。また、図4Bの例では、送信部110は、送信位置40d,40e,40f,40g,40h,40i,40j,40k,40l,40mの順にプッシュパルスを送信させる。そして、各送信位置40d,40e,40f,40g,40h,40i,40j,40k,40l,40mでプッシュパルスが送信されるごとに、超音波プローブ101が分割ROI30d,30e,30f,30g,30hで観測用パルスの送受信を実行し、画像生成部140が変位を算出する。なお、ここで観測される分割ROI30内の走査線の数が、超音波診断装置10の同時受信本数より多い場合には、全ての走査線で変位を算出するまで、n番目の送信位置におけるプッシュパルス送信を繰り返し行う。つまり、分割ROI30内の走査線の数が「10本」であり、同時受信本数が「4本」である場合には、送信制御部173は、ステップS202からステップS204の処理を3回繰り返し実行させる。
そして、送信制御部173は、「n=N」であるか否かを判定する(ステップS205)。ここで、「n=N」でない場合(ステップS205否定)、送信制御部173は、「n」を1インクリメントし(ステップS206)、ステップS202の処理に移行する。
一方、「n=N」である場合(ステップS205肯定)、送信制御部173は、全てのサンプル点における変位の時間変化に基づいて、硬さ画像データを生成する。
図5の説明に戻り、送信制御部173の制御により、モニタ103は、ROI30の硬さ画像データを表示する(ステップS107)。
ここで、送信制御部173は、指示されたスキャンモードが連続スキャンモードである場合には(ステップS108肯定)、スキャンを終了するスキャン終了指示を受け付けるまで(ステップS109否定)、ステップS106に移行して、硬さ画像データを繰り返し生成する。
一方、スキャン終了指示を受け付けた場合(ステップS109肯定)、送信制御部173は、硬さ画像データの生成を終了する。
また、連続スキャンモードでない場合(ステップS108否定)、つまり、ワンショットモードである場合、送信制御部173は、硬さ画像データの生成を終了する。このとき、送信制御部173は、スキャン終了後から休止期間の間、フリーズ状態(スキャンを開始する処理を受け付けない状態)にさせる。
なお、上記の処理手順はあくまでも一例に過ぎない。例えば、上述したように、受付部171は、スキャンモードを設定する指示を受け付ける処理(ステップS102)と、スキャン開始指示を受け付ける処理(ステップS103)とをそれぞれ個別に行っても良いし、これらの処理を一つの処理として行っても良い。例えば、受付部171は、スキャン開始指示として、ワンショットモードによるスキャンを開始する指示を受け付けたり、連続スキャンモードによるスキャンを開始する指示を受け付けたりすることで、スキャンモードを設定する指示とスキャン開始指示とを一つの指示として受け付けることができる。
また、例えば、超音波診断装置10において、スキャンモードを設定する指示を受け付ける処理(ステップS102)は、ROI30を設定する処理(ステップS101)の前に実行されても良い。
上述してきたように、第1の実施形態に係る超音波診断装置10において、受付部171は、所定期間における走査領域に対応する画像の取得回数を設定する指示を受け付ける。決定部172は、受付部171が受け付けた指示に応じて、送信条件を決定する。送信制御部173は、決定された送信条件に基づいて、送信部110にプッシュパルス及び観測用パルスを送信させる制御を行う。
例えば、超音波診断装置10において、送信条件記憶部161は、スキャンモード、若しくはフレームレートに応じて、最適な送信条件を記憶している。このため、超音波診断装置10は、スキャンモードを設定する指示、若しくはフレームレートを設定する指示を操作者から受け付けて、受け付けた指示に応じて最適な送信条件を決定することができる。これによれば、第1の実施形態に係る超音波診断装置10は、簡易な操作で高画質な硬さ画像を得ることを可能にする。
なお、本実施形態では、受付部171が、入力装置102を介して、「連続スキャンモード(高速)」、「連続スキャンモード(中速)」、「連続スキャンモード(低速)」及び「ワンショットモード」をそれぞれ設定する指示のうち、いずれかの指示を操作者から受け付ける場合について説明したが、走査領域全体に対する走査を1回とした回数そのものを、走査回数を設定する指示としても良い。言い換えると、受付部171は、期間に関わらず、走査領域に対応する画像の取得回数のみを設定する指示を受け付けても良い。
(第1の実施形態の変形例)
また、第1の実施形態に係る超音波診断装置10は、上述した送信条件に加え、プッシュパルスフォーカス点数(プッシュパルス焦点数)を決定しても良い。
図7は、第1の実施形態の変形例に係る送信条件記憶部161に記憶される情報の一例を示す図である。図7に示すように、送信条件記憶部161は、送信条件として、プッシュパルスフォーカス点数を記憶する。このプッシュパルスフォーカス点数は、走査領域に対して送信されるプッシュパルスのフォーカス点の数を示す。
図8は、第1の実施形態の変形例に係る送信条件の一例を示す図である。図8では、図7の送信条件記憶部161において、ワンショットモードが指示された場合を説明する。この場合、例えば、決定部172は、「ワンショットモード」に対応づけられたプッシュパルスフォーカス点数「2」と、プッシュパルス送信間隔「0.6cm」と、観測用パルス送信間隔「0.5mm」とを取得する。
この場合、例えば、図8に示すように、送信制御部173は、ROI30を1回画像化するために、送信位置40dにおいて、分割ROI31aにフォーカスされたプッシュパルスを送信させ、分割ROI31aを矢印51aの方向に伝播するせん断波を観測する。送信制御部173は、送信位置40dにおいて、分割ROI32aにフォーカスされたプッシュパルスを送信させ、分割ROI32aを矢印52aの方向に伝播するせん断波を観測する。送信制御部173は、送信位置40eにおいて、分割ROI31bにフォーカスされたプッシュパルスを送信させ、分割ROI31bを矢印51bの方向に伝播するせん断波を観測する。送信制御部173は、送信位置40eにおいて、分割ROI32bにフォーカスされたプッシュパルスを送信させ、分割ROI32bを矢印52bの方向に伝播するせん断波を観測する。送信制御部173は、送信位置40fにおいて、分割ROI31cにフォーカスされたプッシュパルスを送信させ、分割ROI31cを矢印51cの方向に伝播するせん断波を観測する。送信制御部173は、送信位置40fにおいて、分割ROI32cにフォーカスされたプッシュパルスを送信させ、分割ROI32cを矢印52cの方向に伝播するせん断波を観測する。送信制御部173は、送信位置40gにおいて、分割ROI31dにフォーカスされたプッシュパルスを送信させ、分割ROI31dを矢印51dの方向に伝播するせん断波を観測する。送信制御部173は、送信位置40gにおいて、分割ROI32dにフォーカスされたプッシュパルスを送信させ、分割ROI32dを矢印52dの方向に伝播するせん断波を観測する。送信制御部173は、送信位置40hにおいて、分割ROI31eにフォーカスされたプッシュパルスを送信させ、分割ROI31eを矢印51eの方向に伝播するせん断波を観測する。送信制御部173は、送信位置40hにおいて、分割ROI32eにフォーカスされたプッシュパルスを送信させ、分割ROI32eを矢印52eの方向に伝播するせん断波を観測する。
このように、超音波診断装置10は、フォーカス点が異なるプッシュパルスを分割ROIごとに送信させ、観測される各サンプル点における変位の時間変化に基づいて、ROI30の硬さ画像データを生成することが可能となる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、スキャンモード、若しくはフレームレートを設定する指示に応じて送信条件が決定される場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置10は、超音波プローブ101の動きに応じて送信条件を設定しても良い。
図9は、第2の実施形態に係る超音波診断装置10の構成例を示すブロック図である。第2の実施形態に係る超音波診断装置10は、図1に例示した超音波診断装置10と同様の構成を備え、センサ104及びトランスミッタ105を更に備える点と、内部記憶部160がフレームレート記憶部162を記憶する点とが相違する。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
センサ104及びトランスミッタ105は、超音波プローブ101の位置情報を取得するための装置である。例えば、センサ104は、超音波プローブ101に取り付けられる磁気センサである。また、例えば、トランスミッタ105は、任意の位置に配置され、自装置を中心として外側に向かって磁場を形成する装置である。なお、センサ104及びトランスミッタ105は、検知部の一例である。
センサ104は、トランスミッタ105によって形成された3次元の磁場を検出する。そして、センサ104は、検出した磁場の情報に基づいて、トランスミッタ105を原点とする空間における自装置の位置を算出する。センサ104は、算出した位置と、時刻とに基づいて、超音波プローブ101の加速度を、超音波プローブ101の動きとして算出する。そして、センサ104は、算出した超音波プローブ101の加速度を受付部171へ出力する。
フレームレート記憶部162は、超音波プローブ101の動きに応じたフレームレートを記憶する。なお、フレームレート記憶部162に記憶される情報は、操作者によって予め登録されても良いし、プリセットされていても良い。
図10は、第2の実施形態に係るフレームレート記憶部162に記憶される情報の一例を示す図である。図10に示すように、フレームレート記憶部162は、「超音波プローブの動き」と、「フレームレート」とが対応づけられた情報を記憶する。ここで、「超音波プローブの動き」は、操作者によって走査される超音波プローブ101の動きの速さを表す。また、「フレームレート」は、超音波プローブ101の動きに応じて決定されるフレームレートを表す。
受付部171は、センサ104によって検知された超音波プローブ101の動きを受け付ける。例えば、受付部171は、入力情報として送信部センサ104によって算出された超音波プローブ101の加速度を受け付ける。受付部171は、受け付けた超音波プローブ101の加速度を決定部172へ出力する。
決定部172は、超音波プローブ101の動きに応じて、送信条件を決定する。例えば、決定部172は、受付部171から超音波プローブ101の加速度を受け付けると、受け付けた加速度と、予め設定される閾値とを比較することで、超音波プローブ101の動きが「速い」、「中程度」、「遅い」のうちいずれに該当するかを判定する。
そして、決定部172は、フレームレート記憶部162を参照し、超音波プローブ101の動きに応じたフレームレートを取得する。例えば、決定部172は、超音波プローブ101の動きが「速い」と判定された場合には、フレームレート「1.5fps」を取得する。
続いて、決定部172は、送信条件記憶部161を参照し、フレームレート記憶部162から取得したフレームレートに応じて、送信条件を決定する。この場合、送信条件記憶部161には、フレームレートに応じた送信条件が記憶されている。例えば、送信条件記憶部161には、フレームレート「1.5fps」と、プッシュパルス送信方式「片側」と、プッシュパルス送信間隔「1.5cm」と、観測用パルス送信間隔「1.5mm」とが対応づけられた情報が記憶されている。ここで、決定部172は、フレームレート記憶部162から取得したフレームレート「1.5fps」を取得した場合には、フレームレート「1.5fps」に対応づけられたプッシュパルス送信方式「片側」と、プッシュパルス送信間隔「1.5cm」と、観測用パルス送信間隔「1.5mm」とを取得する。そして、決定部172は、取得した各項目を、送信条件として決定する。
図11は、第2の実施形態に係る超音波診断装置10の処理手順を示すフローチャートである。なお、図11に例示の処理手順は、操作者によってエラストモードに切り替えられた後の処理手順に対応する。
図11に示すように、第2の実施形態に係る超音波診断装置10において、エラストモードに切り替えられると、センサ104及びトランスミッタ105は、超音波プローブ101の動きの検知を開始する(ステップS301)。これにより、受付部171は、超音波プローブ101の動きを受け付ける。
そして、受付部171は、ROI30を設定する指示を受け付けて、受け付けた指示に応じてROI30を設定する(ステップS302)。続いて、受付部171は、スキャンモードを設定する指示を受け付ける(ステップS303)。
そして、受付部171が、スキャンを開始するスキャン開始指示を受け付けると(ステップS303肯定)、決定部172は、受付部171が受け付けた超音波プローブ101の動きに応じて送信条件を決定する(ステップS304)。なお、決定部172は、受付部171がスキャン開始指示を受け付けるまで(ステップS303否定)、待機状態である。
続いて、送信制御部173は、プッシュパルス及び観測用パルスの印加電圧を算出する(ステップS305)。そして、送信制御部173は、算出したプッシュパルス及び観測用パルスの印加電圧、及び、送信条件に基づいて、硬さ画像データ生成処理を行う(ステップS306)。なお、この硬さ画像データ生成処理の説明は、図6の説明と同様であるので省略する。
そして、送信制御部173の制御により、モニタ103は、ROI30の硬さ画像データを表示する(ステップS307)。そして、送信制御部173は、スキャン終了指示を受け付けるまで(ステップS308否定)、ステップS304に移行して、硬さ画像データを繰り返し生成する。
一方、スキャン終了指示を受け付けた場合(ステップS308肯定)、送信制御部173は、硬さ画像データの生成を終了する。
このように、第2の実施形態に係る超音波診断装置10は、超音波プローブ101の動きに応じて送信条件を設定する。これによれば、例えば、超音波診断装置10は、超音波プローブ101が頻繁に動いているときにはフレームレートを上げ、超音波プローブ101が動いていない時にはフレームレートを下げることができる。
(第3の実施形態)
また、例えば、超音波診断装置10は、スキャンの対象となる領域の感度に応じて送信条件を設定しても良い。
図12は、第3の実施形態に係る超音波診断装置10の構成例を示すブロック図である。第3の実施形態に係る超音波診断装置10は、図1に例示した超音波診断装置10と同様の構成を備え、制御部170が測定部174を備える点と、内部記憶部160がフレームレート記憶部162を記憶する点とが相違する。そこで、第3の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
第3の実施形態に係るフレームレート記憶部162は、スキャンの対象となる領域の感度に応じたフレームレートを記憶する。なお、フレームレート記憶部162に記憶される情報は、操作者によって予め登録されても良いし、プリセットされていても良い。
図13は、第3の実施形態に係るフレームレート記憶部162に記憶される情報の一例を示す図である。図13に示すように、フレームレート記憶部162は、「BモードSN比」と、「フレームレート」とが対応づけられた情報を記憶する。ここで、「BモードSN比」は、Bモード画像生成用の超音波の送信時の受信信号強度と、Bモード画像生成用の超音波の未送信時の受信信号強度との差分に対応する。
測定部174は、スキャンの対象となる領域の感度を測定する。例えば、測定部174は、Bモード用の受信信号の反射強度を測定する。
一例としては、測定部174は、BモードにおけるSN比を測定する。具体的には、測定部174は、Bモード画像生成用の超音波の送信を停止させた状態で、超音波プローブ101に受信される受信信号を収集する。そして、測定部174は、Bモード画像生成用の超音波の送信を再開させ、収集した受信信号と、Bモード画像生成用の超音波に対する受信信号との差分を測定する。そして、測定部174は、測定した測定結果を受付部171へ出力する。
受付部171は、Bモード用の受信信号の反射強度を受け付ける。例えば、受付部171は、測定部174によって測定された測定結果を受け付ける。そして、受付部171は、受け付けた測定結果を決定部172へ出力する。
決定部172は、反射強度に応じて、送信条件を決定する。例えば、決定部172は、受付部171から測定結果を受け付けると、受け付けた測定結果と、予め設定される閾値とを比較することで、BモードのSN比が「高」、「中」、「低」のうちいずれに該当するかを判定する。
そして、決定部172は、フレームレート記憶部162を参照し、BモードのSN比に応じたフレームレートを取得する。例えば、決定部172は、BモードのSN比が「高」と判定された場合には、フレームレート「1.5fps」を取得する。
続いて、決定部172は、送信条件記憶部161を参照し、フレームレート記憶部162から取得したフレームレートに応じて、送信条件を決定する。この場合、送信条件記憶部161には、フレームレートに応じた送信条件が記憶されている。例えば、送信条件記憶部161には、フレームレート「1.5fps」と、プッシュパルス送信方式「片側」と、プッシュパルス送信間隔「1.5cm」と、観測用パルス送信間隔「1.5mm」とが対応づけられた情報が記憶されている。ここで、決定部172は、フレームレート記憶部162から取得したフレームレート「1.5fps」を取得した場合には、フレームレート「1.5fps」に対応づけられたプッシュパルス送信方式「片側」と、プッシュパルス送信間隔「1.5cm」と、観測用パルス送信間隔「1.5mm」とを取得する。そして、決定部172は、取得した各項目を、送信条件として決定する。
図14は、第3の実施形態に係る超音波診断装置10の処理手順を示すフローチャートである。なお、図14に例示の処理手順は、操作者によってエラストモードに切り替えられた後の処理手順に対応する。
図14に示すように、第3の実施形態に係る超音波診断装置10において、エラストモードに切り替えられると、受付部171は、ROI30を設定する指示を受け付けて、受け付けた指示に応じてROI30を設定する(ステップS401)。
そして、受付部171が、スキャン開始指示を受け付けると(ステップS402肯定)、測定部174は、BモードにおけるSN比を測定する(ステップS403)。なお、測定部174は、受付部171がスキャン開始指示を受け付けるまで(ステップS402否定)、待機状態である。
そして、決定部172は、測定結果に応じて送信条件を決定する(ステップS404)。そして、送信制御部173は、プッシュパルス及び観測用パルスの印加電圧を算出する(ステップS405)。そして、送信制御部173は、算出したプッシュパルス及び観測用パルスの印加電圧、及び、送信条件に基づいて、硬さ画像データ生成処理を行う(ステップS406)。なお、この硬さ画像データ生成処理の説明は、図6の説明と同様であるので省略する。
そして、送信制御部173の制御により、モニタ103は、ROI30の硬さ画像データを表示する(ステップS407)。そして、送信制御部173は、スキャン終了指示を受け付けるまで(ステップS408否定)、ステップS406に移行して、硬さ画像データを繰り返し生成する。
一方、スキャン終了指示を受け付けた場合(ステップS408肯定)、送信制御部173は、硬さ画像データの生成を終了する。
このように、第3の実施形態に係る超音波診断装置10は、スキャンの対象となる領域の感度に応じて送信条件を設定する。これによれば、例えば、超音波診断装置10は、BモードのSN比が悪い場合には、フレームレートを低くして画質を優先させ、BモードのSN比が良い場合には、フレームレートを上げることができる。
(第3の実施形態の変形例)
なお、第3の実施形態は、BモードのSN比に限らず、例えば、プッシュパルスによる変位量を測定し、測定した変位量に応じて送信条件を決定しても良い。
図15は、第3の実施形態の変形例に係るフレームレート記憶部162に記憶される情報の一例を示す図である。図15に示すように、フレームレート記憶部162は、「変位量」と、「フレームレート」とが対応づけられた情報を記憶する。ここで、「変位量」は、ROI30の中心に送信されたプッシュパルスによる変位量を表す。
第3の実施形態の変形例に係る測定部174は、例えば、プッシュパルスによる変位量を測定する。
一例としては、測定部174は、ROI30の中心にプッシュパルスを送信し、送信した位置でプッシュパルスによる変位を観測する。そして、測定部174は、観測した変位量を受付部171に出力する。
受付部171は、プッシュパルスによる変位量を受け付ける。例えば、受付部171は、測定部174によって測定された変位量を受け付ける。そして、受付部171は、受け付けた変位量を決定部172へ出力する。
決定部172は、プッシュパルスによる変位量に応じて、送信条件を決定する。例えば、決定部172は、受付部171からプッシュパルスによる変位量を受け付けると、フレームレート記憶部162を参照し、受け付けた変位量に対応するフレームレートを取得する。そして、決定部172は、送信条件記憶部161を参照し、フレームレート記憶部162から取得したフレームレートに応じて、送信条件を決定する。
図16は、第3の実施形態の変形例に係る超音波診断装置10の処理手順を示すフローチャートである。なお、図16に例示の処理手順は、操作者によってエラストモードに切り替えられた後の処理手順に対応する。
図16に示すように、第3の実施形態に係る超音波診断装置10において、エラストモードに切り替えられると、受付部171は、ROI30を設定する指示を受け付けて、受け付けた指示に応じてROI30を設定する(ステップS501)。
そして、受付部171が、スキャン開始指示を受け付けると(ステップS502肯定)、測定部174は、プッシュパルスによる変位量を測定する(ステップS503)。なお、測定部174は、受付部171がスキャン開始指示を受け付けるまで(ステップS502否定)、待機状態である。
そして、決定部172は、測定結果に応じて送信条件を決定する(ステップS504)。そして、送信制御部173は、プッシュパルス及び観測用パルスの印加電圧を算出する(ステップS505)。そして、送信制御部173は、算出したプッシュパルス及び観測用パルスの印加電圧、及び、送信条件に基づいて、硬さ画像データ生成処理を行う(ステップS506)。なお、この硬さ画像データ生成処理の説明は、図6の説明と同様であるので省略する。
そして、送信制御部173の制御により、モニタ103は、ROI30の硬さ画像データを表示する(ステップS507)。そして、送信制御部173は、スキャン終了指示を受け付けるまで(ステップS508否定)、ステップS506に移行して、硬さ画像データを繰り返し生成する。
一方、スキャン終了指示を受け付けた場合(ステップS508肯定)、送信制御部173は、硬さ画像データの生成を終了する。
このように、第3の実施形態に係る超音波診断装置10は、スキャンの対象となる領域の感度に応じて送信条件を設定する。これによれば、例えば、超音波診断装置10は、プッシュパルスによる変位が発生しにくい場合には、フレームレートを低くして画質を優先させ、十分に変位が発生する場合には、フレームレートを上げることができる。
なお、上記の第1〜第3の実施形態の説明で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていなくても良い。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、第1〜第3の実施形態で説明した超音波診断装置における各処理は、予め用意された超音波イメージングプログラムを実行することによって実現することができる。この超音波イメージングプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この超音波イメージングプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって非一時的な記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、簡易な操作で高画質な硬さ画像を得ることを可能にする。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。