以下、図面を参照して、実施形態に係る超音波診断装置及びプログラムを説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103と、装置本体100とを有する。超音波プローブ101、入力装置102及びディスプレイ103は、装置本体100と通信可能に接続される。なお、被検体Pは、超音波診断装置1の構成に含まれない。
超音波プローブ101は、超音波の送受信を行う。例えば、超音波プローブ101は、複数の圧電振動子を有する。これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体100が有する送受信回路110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ101が有する複数の圧電振動子は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ101は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ101は、装置本体100と着脱自在に接続される。
超音波プローブ101から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ101が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
なお、第1の実施形態に係る超音波プローブ101は、被検体Pを2次元で走査する1Dアレイプローブであっても、被検体Pを3次元で走査するメカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブであっても適用可能である。
入力装置102は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック、フリーズボタン等の装置に対応する。入力装置102は、超音波診断装置1のユーザからの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
ディスプレイ103は、超音波診断装置1のユーザが入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成されたBモード画像やカラードプラ等を表示したりする。例えば、ディスプレイ103は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
装置本体100は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置である。図1に示す装置本体100により生成される超音波画像データは、2次元の反射波信号に基づいて生成される2次元の超音波画像データであっても、3次元の反射波信号に基づいて生成される3次元の超音波画像データであってもよい。
装置本体100は、図1に例示するように、送受信回路110と、Bモード処理回路120と、ドプラ処理回路130と、処理回路140と、画像メモリ150と、内部記憶回路160とを備える。送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、処理回路140、画像メモリ150及び内部記憶回路160は、互いに通信可能に接続される。
送受信回路110は、処理回路140からの指示に基づいて、超音波プローブ101が行う超音波送受信を制御する。送受信回路110は、送受信部の一例である。例えば、第1の実施形態に係る送受信回路110は、処理回路140からの指示に基づいて、カラードプラ画像生成用の第1の走査条件に従って、被検体Pの第1の走査領域に対する第1の超音波走査を、断続的に実行するように超音波プローブ101が行う超音波送受信を制御する。また、送受信回路110は、処理回路140からの指示に基づいて、Bモード画像(形態画像)生成用の第2の走査条件に従って、被検体Pの第2の走査領域に対する第2の超音波走査を、断続的に実行するように超音波プローブ101が行う超音波送受信を制御する。すなわち、送受信回路110は、超音波プローブ101を介して、カラードプラ画像生成用の第1の走査条件に従って、被検体Pの第1の走査領域に対する第1の超音波走査を、断続的に実行する。また、送受信回路110は、超音波プローブ101を介して、Bモード画像生成用の第2の走査条件に従って、被検体Pの第2の走査領域に対する第2の超音波走査を、断続的に実行する。
送受信回路110は、パルス発生器、送信遅延回路、パルサ等を有し、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定の繰り返し周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)で送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延回路は、超音波プローブ101から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
なお、送受信回路110は、処理回路140からの指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
また、送受信回路110は、アンプ回路、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延回路、加算器、直交検波回路等を有し、超音波プローブ101が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データ(エコーデータ)を生成する。
アンプ回路は、反射波信号をチャンネル毎に増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換する。受信遅延回路は、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な受信遅延時間を与える。加算器は、受信遅延回路により受信遅延時間が与えられた反射波信号の加算処理を行う。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
そして、直交検波回路は、加算器の出力信号をベースバンド帯域の同相信号(I信号、I:In-phase)と直交信号(Q信号、Q:Quadrature-phase)とに変換する。そして、直交検波回路は、I信号及びQ信号(以下、IQ信号と記載する)を反射波データとして、バッファ111に格納する。なお、直交検波回路は、加算器の出力信号を、RF(Radio Frequency)信号に変換した上で、バッファ111に格納してもよい。IQ信号や、RF信号は、位相情報が含まれる信号(受信信号)となる。
ここで、バッファ111は、送受信回路110が生成した反射波データ(IQ信号)を一時的に記憶するバッファである。具体的には、バッファ111は、数フレーム分のIQ信号、又は、数ボリューム分のIQ信号を記憶する。例えば、バッファ111は、FIFO(First-In/First-Out)メモリであり、所定フレーム分のIQ信号を記憶する。そして、例えば、バッファ111は、新たに1フレーム分のIQ信号が送受信回路110にて生成された場合、生成時間が最も古い1フレーム分のIQ信号を破棄して、新たに生成された1フレーム分のI/Q信号を記憶する。なお、バッファ111は、送受信回路110、Bモード処理回路120、及びドプラ処理回路130とそれぞれ通信可能に接続される。
なお、送受信回路110は、1回の超音波ビームの送信により得られる各圧電振動子の反射波信号から複数の受信フォーカスの反射波データを生成することができる。すなわち、送受信回路110は、並列同時受信処理を行うことが可能な回路である。なお、第1の実施形態は、送受信回路110が並列同時受信処理を実行できない場合であっても適用可能である。
Bモード処理回路120及びドプラ処理回路130は、送受信回路110が反射波信号から生成した反射波データに対して、各種の信号処理を行うプロセッサである。Bモード処理回路120は、バッファ111から読み出した反射波データに対して、対数増幅、包絡線検波処理、対数圧縮などを行って、多点の信号強度が輝度の明るさで表現されるBモードデータを生成する。
なお、Bモード処理回路120は、フィルタ処理により、検波周波数を変化させることで、映像化する周波数帯域を変えることができる。このBモード処理回路120のフィルタ処理機能を用いることにより、コントラストハーモニックイメージング(CHI:Contrast Harmonic Imaging)や、ティッシュハーモニックイメージング(THI:Tissue Harmonic Imaging)等のハーモニックイメージングを実行可能である。
また、このBモード処理回路120のフィルタ処理機能を用いることにより、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、ティッシュハーモニックイメージング(THI:Tissue Harmonic Imaging)を実行可能である。
また、CHIやTHIのハーモニックイメージングを行う際、Bモード処理回路120は、上述したフィルタ処理を用いた方法とは異なる方法により、ハーモニック成分を抽出することができる。ハーモニックイメージングでは、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)法や位相変調(PM:Phase Modulation)法、AM法及びPM法を組み合わせたAMPM法と呼ばれる映像法が行われる。AM法、PM法及びAMPM法では、同一の走査線に対して振幅や位相が異なる超音波送信を複数回行う。これにより、送受信回路110は、各走査線で複数の反射波データを生成し出力する。そして、Bモード処理回路120は、各走査線の複数の反射波データを、変調法に応じた加減算処理することで、ハーモニック成分を抽出する。そして、Bモード処理回路120は、ハーモニック成分の反射波データに対して包絡線検波処理等を行って、Bモードデータを生成する。
ドプラ処理回路130は、バッファ111から読み出した反射波データを周波数解析することで、走査範囲内にある移動体のドプラ効果に基づく運動情報を抽出したドプラデータを生成する。具体的には、ドプラ処理回路130は、移動体の運動情報として、平均速度、平均分散値等を、複数のサンプル点それぞれで推定したドプラデータを生成する。ここで、移動体とは、例えば、血流や、心壁等の組織、造影剤である。血流には、例えば、心腔内の血流や、心壁内の血流がある。本実施形態に係るドプラ処理回路130は、血流の運動情報(血流情報)として、血流の平均速度、血流の平均分散値等を、複数のサンプル点それぞれで推定したドプラデータを生成する。
上記のドプラ処理回路130の機能を用いて、本実施形態に係る超音波診断装置1は、カラーフローマッピング法(CFM:Color Flow Mapping)とも呼ばれるカラードプラ法を実行可能である。CFM法では、超音波の送受信が複数の走査線上で複数回行われる。そして、CFM法では、同一位置のデータ列に対してMTI(Moving Target Indicator)フィルタを掛けることで、静止している組織、或いは、動きの遅い組織に由来する信号(クラッタ信号)を抑制して、血流に由来する信号を抽出する。すなわち、CFM法では、MTIフィルタにより、同一位置のデータ列から、動きの遅い組織に由来するクラッタ成分を抑制して、血流に由来する血流成分を抽出する。そして、CFM法では、この血流信号から血流の速度、血流の分散等の血流情報を推定する。後述する処理回路140は、推定結果の分布を、例えば、2次元でカラー表示した超音波画像であるカラードプラ画像を生成する。ドプラ処理回路130は、複数のフレームの同一位置における複数の反射波データのデータ列に対してフレーム方向でフィルタ処理を行って、血流情報を収集する。
MTIフィルタとしては、通常、バタワース型のIIR(Infinite Impulse Response)フィルタや、多項式回帰フィルタ(Polynomial Regression Filter)等、係数が固定されたフィルタが用いられる。一方、本実施形態に係るドプラ処理回路130は、MTIフィルタとして、入力信号に応じて係数を変化させる適応型のMTIフィルタを用いる。具体的には、本実施形態に係るドプラ処理回路130は、適応型のMTIフィルタとして、「Eigenvector Regression Filter」と呼ばれているフィルタを用いる。固有ベクトルを用いた適応型MTIフィルタである「Eigenvector Regression Filter」は、「固有ベクトル型MTIフィルタとも称される。
固有ベクトル型MTIフィルタは、相関行列から固有ベクトルを計算し、計算した固有ベクトルから、クラッタ成分抑制処理に用いる係数を計算する。この方法は、主成分分析や、カルーネン・レーベル変換(Karhunen-Loeve transform)、固有空間法で使われている手法を応用したものである。
固有ベクトル型MTIフィルタを用いる第1の実施形態に係るドプラ処理回路130は、同一位置(同一サンプル点)の連続した反射波データのデータ列から、走査範囲の相関行列を計算する。例えば、ドプラ処理回路130は、相関行列の固有値及び当該固有値に対応する固有ベクトルを計算する。そして、ドプラ処理回路130は、例えば、各固有値の大きさに基づいて各固有ベクトルを並べた行列のランクを低減した行列を、クラッタ成分を抑制するフィルタ行列として計算する。ここで、ドプラ処理回路130は、例えば、予め設定された値、或いは、ユーザが指定した値により、低減される主成分の数、すなわち、ランクカット数の値を決定する。しかし、心臓や血管等、拍動により移動速度が時間により変化する組織が走査範囲内に含まれる場合、ランクカット数の値は、固有値の大きさから適応的に決定されることが好適である。すなわち、ドプラ処理回路130は、相関行列の固有値の大きさに応じて、低減する主成分の数を変更する。本実施形態では、ドプラ処理回路130は、固有値の大きさに応じて、低減するランク数を変更する。
ドプラ処理回路130は、フィルタ行列を用いて、同一位置の連続した反射波データのデータ列から、クラッタ信号が抑制され、血流信号が抽出されたデータ列を生成する。ドプラ処理回路130は、生成したデータを用いた自己相関演算等の演算を行って、血流情報を推定し、推定した血流情報をドプラデータとして出力する。
図2は、第1の実施形態に係るドプラ処理回路の構成の一例を示す図である。図2に例に示すように、ドプラ処理回路130は、MTIフィルタ131と、自己相関演算回路132と、平均速度/分散演算回路133とを有する。
図3は、MTIフィルタが実行するフィルタ処理の一例を説明するための図である。図3の例に示すように、MTIフィルタ131は、第「n」フレームに対するフィルタ出力データ(血流信号)を得るために、同一位置における、第「n」フレームの反射波データ(受信信号)と、過去の3フレーム(第「n−3」フレーム〜第「n−1」フレーム)の反射波データ(受信信号)と、過去の3フレームのフィルタ出力データ(血流信号)とを用いる。これらの反射波データは、後述するが、1フレームの走査範囲(第1の走査領域)を形成する複数の走査線それぞれで、1回ずつ超音波送受信を行なうことで生成された反射波データである。MTIフィルタ131のフィルタ処理により、クラッタ信号が除去された血流信号が高精度で抽出される。例えば、MTIフィルタ131にデータが無限長で連続して入力されるので、フィルタ処理で過渡応答が発生しない。なお、第「n」フレームとは、例えば、超音波診断装置1がユーザから走査開始要求を受け付けて開始された第1の超音波走査において収集されたn番目の反射波データに対応する。
図2に戻り、自己相関演算回路132は、最新フレームの血流信号のIQ信号と、1フレーム前の血流信号のIQ信号との複素共役をとることで自己相関値を算出する。
平均速度/分散演算回路133は、自己相関演算回路132が算出した自己相関値から、平均速度及び分散を算出する。そして、平均速度/分散演算回路133は、平均速度及び分散をドプラデータとして処理回路140に出力する。
なお、ドプラ処理回路130は、更に、パワー演算回路と、パワー加算回路と、対数圧縮回路とを備えてもよい。パワー演算回路は、血流信号のIQ信号の実数部の絶対値の2乗と虚数部の絶対値の2乗とを加算して、パワーを算出する。パワーは、送信超音波の波長より小さい反射体(例えば、血球)による散乱の強さを示す値となる。パワー加算回路は、各点のパワーを任意のフレーム間で加算する。対数圧縮回路は、パワー加算回路の出力を対数圧縮し、対数圧縮したパワー加算器の出力をドプラデータとして出力する。
図1の説明に戻り、処理回路140は、各種の画像を生成する機能や、超音波診断装置1の処理全体を制御する機能を有する。まず、各種の画像を生成する機能について説明する。処理回路140は、第1の超音波走査により収集された反射波データを基に、複数のカラードプラ画像を生成する。また、処理回路140は、第2の超音波走査により収集された反射波データを基に、複数のBモード画像を生成する。なお、処理回路140は、処理部の一例である。また、第1の超音波走査により収集された反射波データは、第1の反射波データ(第1のエコーデータ)の一例である。また、第2の超音波走査により収集された反射波データは、第2の反射波データ(第2のエコーデータ)の一例である。
例えば、処理回路140は、Bモード処理回路120及びドプラ処理回路130が生成したデータから超音波画像を生成する。具体例を挙げて説明すると、処理回路140は、Bモード処理回路120が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元Bモード画像を生成する。また、処理回路140は、ドプラ処理回路130が生成した2次元のドプラデータから血流情報が映像化された2次元ドプラ画像を生成する。2次元ドプラ画像は、速度画像、分散画像、又は、これらを組み合わせた画像である。処理回路140は、ドプラ画像として、血流情報がカラーで表示されるカラードプラ画像データを生成したり、1つの血流情報がグレースケールで表示されるドプラ画像データを生成したりする。
ここで、処理回路140は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、処理回路140は、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、処理回路140は、スキャンコンバート以外に、種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行う。また、処理回路140は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、処理回路140が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。処理回路140は、スキャンコンバート処理前の2次元超音波画像データから、表示用の2次元超音波画像を生成する。
更に、処理回路140は、Bモード処理回路120が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行うことで、3次元Bモード画像を生成する。また、処理回路140は、ドプラ処理回路130が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行うことで、3次元ドプラ画像を生成する。
更に、処理回路140は、ボリュームデータをディスプレイ103にて表示するための各種の2次元画像を生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行う。処理回路140が行うレンダリング処理としては、例えば、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行ってボリュームデータからMPR画像を生成する処理がある。また、処理回路140が行うレンダリング処理としては、例えば、3次元の情報を反映した2次元画像を生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。
次に、超音波診断装置1の処理全体を制御する機能について説明する。例えば、処理回路140は、入力装置102を介してユーザから入力された各種設定要求や、内部記憶回路160から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路110、Bモード処理回路120及びドプラ処理回路130の処理を制御する。また、処理回路140は、画像メモリ150や内部記憶回路160が記憶する表示用の超音波画像を表示するようにディスプレイ103を制御する。
例えば、処理回路140は、送受信回路110を介して超音波プローブ101を制御することで、超音波走査の制御を行う。通常、CFM法では、血流像データであるカラードプラ画像とともに、組織像データであるBモード画像の表示を行う。かかる表示を行うため、処理回路140は、第1の走査領域内の血流情報を取得する第1の超音波走査を超音波プローブ101に実行させる。第1の超音波走査は、例えば、ドプラモードでカラードプラ画像データを収集するための超音波走査である。また、処理回路140は、第1の超音波走査とともに、第2の走査領域内の組織形状の情報を取得する第2の超音波走査を超音波プローブ101に実行させる。第2の超音波走査は、例えば、BモードでBモード画像データを収集するための超音波走査である。
また、処理回路140が実行する上述した各種の処理に対応するプログラムは、コンピュータによって実行可能な形態で内部記憶回路160に記憶されている。処理回路140は、各プログラムを内部記憶回路160から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで上述した各種の処理を実行するプロセッサである。
また、上記の実施形態においては、単一の処理回路140にて、上述した各種の処理が実行されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより対応する処理を実行するものとしても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは内部記憶回路160に保存されたプログラムを読み出し実行することで各種の機能を実現する。なお、内部記憶回路160にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで各種の機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
画像メモリ150は、処理回路140が生成した表示用の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ150は、Bモード処理回路120が生成したBモードデータやドプラ処理回路130が生成したドプラデータを記憶することも可能である。画像メモリ150が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後にユーザが呼び出すことが可能となっており、処理回路140を経由して表示用の超音波画像となる。また、画像メモリ150は、送受信回路110が出力した反射波データを記憶することも可能である。
内部記憶回路160は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、内部記憶回路160は、必要に応じて、処理回路140により生成された超音波画像の保管等にも使用される。また、内部記憶回路160が記憶するデータは、図示しないインターフェースを経由して、外部装置へ転送することができる。また、内部記憶回路160は、外部装置から図示しないインターフェースを経由して転送されたデータを記憶することも可能である。
ここで、例えば、超音波診断装置において、ユーザが、心壁などの動きが激しい組織に対して関心領域を設定し、心壁などの組織の毛細血管の血流が映像化されたカラードプラ画像(心筋灌流画像)を確認しようとする場合について説明する。一心拍において、心壁などの組織の動きが激しい(変動が比較的大きい)時相と、動きが穏やか(変動が比較的小さい)な時相とがある。動きが激しい時相において収集された反射波データのデータ列において、クラッタ成分のスペクトラムは、血流成分のスペクトラムと重なっている場合がある。このため、このような反射波データのデータ列に対してMTIフィルタを掛けた場合には、血流成分とノイズ成分であるクラッタ成分とを分離することが困難であることがある。そのため、動きが激しい時相において収集された反射波データに基づいて生成される心筋灌流画像は、精細な画像ではない場合がある。このような精細ではない心筋灌流画像は、被検体の診断に有用であるとは言い難い。
一方、動きが穏やかな時相において収集された反射波データのデータ列において、クラッタ成分のスペクトラムは、血流成分のスペクトラムと重なっていない可能性が高い。このような反射波データのデータ列に対してMTIフィルタを掛けた場合には、血流成分とクラッタ成分とを分離することができることがある。そのため、動きが穏やかな時相において収集された反射波データに基づいて生成される心筋灌流画像は、精細な画像である可能性が高い。このような精細な心筋灌流画像は、被検体の診断に有用である。
以上のことから、一心拍において生成される複数のカラードプラ画像には、診断に有用なカラードプラ画像と、診断に有用ではないカラードプラ画像とが混在していることとなる。
そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、以下に説明するように、複数のカラードプラ画像のうち、どのカラードプラ画像が診断に有用な画像であるのかを示す診断に有用な情報をユーザに提示する。これにより、複数のカラードプラ画像のうち、どのカラードプラ画像が診断に有用な画像であるのかをユーザに容易に把握させることができる。そのため、ユーザが診断を行う際の利便性を高めることができる。
第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、血流を高速、高分解能、高フレームレートに映像化することにより、通常のドプラ法と比較してクラッタ成分を大幅に抑制した血流情報を得るドプラモード用の超音波走査を第1の超音波走査として実行する。例えば、第1の超音波走査は、複数の走査線で形成される走査範囲での超音波送受信により、同一位置の反射波データを複数フレームにわたって収集可能な走査形態を繰り返すことで、実行される。より具体的には、第1の実施形態で行なわれる第1の超音波走査は、複数の走査線で形成される走査範囲での超音波送受信を各走査線で1回とする走査形態を繰り返すことで、実行される。かかる走査形態は、通常のBモードで行なわれる超音波走査と同じ走査形態であり、フレームレートを向上させるためにCFM法で行なわれている走査形態と同じ走査形態である。
また、超音波診断装置1は、第2の超音波走査として第2の走査領域の超音波走査を、第1の超音波走査の間に実行する。これにより、第1の実施形態では、第1の超音波走査と第2の超音波走査とで走査条件を独立に設定可能となる。
第1の超音波走査及び第2の超音波走査の一例について、図4を用いて説明する。図4は、第1の実施形態に係る第1の超音波走査及び第2の超音波走査の一例を説明するための図である。図4に示す「B」は、Bモード用の送受信条件を用いて超音波走査が行なわれる第2の走査領域を示している。また、図4に示す「D」は、カラードプラモード用の送受信条件を用いて超音波走査が行なわれる第1の走査領域を示している。例えば、図4に示す第1の超音波走査は、一般的なカラードプラ法のように、超音波を同一方向に複数回送信して、複数回反射波を受信するのではなく、各走査線で超音波送受信を1回行なっている。すなわち、処理回路140は、第1の超音波走査として、血流のドプラ画像データを収集する超音波走査を超音波プローブ101に実行させる指示を送受信回路110に送信する。そして、処理回路140は、第1の走査領域を形成する複数の走査線それぞれで取得した反射波データに対してフレーム方向でフィルタ処理を行なう指示をドプラ処理回路130に送信する。第1の実施形態に係る処理回路140は、第1の走査領域を形成する複数の走査線のそれぞれにおいて超音波送受信を1回行なうことで、第1の走査領域を形成する複数の走査線それぞれの受信信号を取得して、フィルタ処理を行なうフレーム方向のデータ列を取得するための超音波走査を、第1の超音波走査として実行させる。すなわち、第1の実施形態に係る処理回路140は、第1の超音波走査として、第1の走査領域を形成する複数の走査線それぞれで1回ずつ超音波送受信を行ない、複数フレーム分の反射波を用いて移動体の運動に関する情報を取得するための超音波走査を実行させる。
図4の例に示すように、処理回路140は、まず、第2の超音波走査として第2の走査領域の超音波走査を超音波プローブ101に実行させる指示を送受信回路110に送信する。これにより、図4の(1)に示すように、第2の超音波走査が実行される。Bモード処理回路120は、第2の超音波走査により得られた1フレーム分の反射波データに基づいて、1フレーム分のBモードデータを生成する。1フレーム分のBモードデータが生成されると、処理回路140は、生成された1フレーム分のBモードデータに基づいてBモード画像を生成する。このように、1回の第2の超音波走査で、1フレーム分のBモード画像が生成される。
次に、処理回路140は、第1の走査領域の第1の超音波走査を超音波プローブ101に実行させる指示を送受信回路110に送信する。これにより、図4の(2)に示すように、第1の超音波走査が実行される。ドプラ処理回路130は、第1の超音波走査により得られた1フレーム分の反射波データに基づいて、1フレーム分のドプラデータを生成する。1フレーム分のドプラデータが生成されると、処理回路140は、生成された1フレーム分のドプラデータに基づいて、ドプラ画像として、血流情報がカラーで表示されるカラードプラ画像を生成したり、1つの血流情報がグレースケールで表示されるドプラ画像を生成したりする。このように、1回の第1の超音波走査で、1フレーム分のドプラ画像が生成される。
そして、処理回路140は、第2の超音波走査として第2の走査領域の超音波走査を超音波プローブ101に実行させる指示を送受信回路110に送信する。これにより、図4の(3)に示すように、第2の超音波走査が実行される。この結果、新たに1フレーム分のBモード画像が生成される。そして、処理回路140は、第1の走査領域の第1の超音波走査を超音波プローブ101に実行させる指示を送受信回路110に送信する。これにより、図4の(4)に示すように、第1の超音波走査が実行される。この結果、新たに1フレーム分のドプラ画像が生成される。
そして、処理回路140は、第2の超音波走査として第2の走査領域の超音波走査を超音波プローブ101に実行させる指示を送受信回路110に送信する。これにより、図4の(5)に示すように、第2の超音波走査が実行される。この結果、新たに1フレーム分のBモード画像が生成される。そして、処理回路140は、第1の走査領域の第1の超音波走査を超音波プローブ101に実行させる指示を送受信回路110に送信する。これにより、図4の(6)に示すように、第1の超音波走査が実行される。この結果、新たに1フレーム分のドプラ画像が生成される。
そして、処理回路140は、第2の超音波走査として第2の走査領域の超音波走査を超音波プローブ101に実行させる指示を送受信回路110に送信する。これにより、図4の(7)に示すように、第2の超音波走査が実行される。この結果、新たに1フレーム分のBモード画像が生成される。そして、処理回路140は、第1の走査領域の第1の超音波走査を超音波プローブ101に実行させる指示を送受信回路110に送信する。これにより、図4の(8)に示すように、第1の超音波走査が実行される。この結果、新たに1フレーム分のドプラ画像が生成される。
ここで、図4の例に示すように、第1の走査領域のある走査線上の点Xは、(2)、(4)、(6)及び(8)の第1の超音波走査で1回ずつ走査される。ドプラ処理回路130は、「D」のフレーム間の同じ位置のデータ列(Xn−3、Xn−2、Xn−1、Xn)に対して、上記のフィルタ処理を行なうことで、点Xの血流の運動情報を出力する。
なお、図4の例では、第2の走査領域が第1の走査領域よりも大きい場合について説明したが、図5の例に示すように、第2の走査領域が第1の走査領域よりも小さくてもよい。なお、図5は、第1の実施形態に係る第1の超音波走査及び第2の超音波走査の他の例を説明するための図である。図5の例において、第2の走査領域が第1の走査領域よりも小さいことについて説明したが、それ以外のことについては、図4の例と同様であるため、説明を省略する。また、第1の走査領域の大きさと第2の走査領域の大きさとが同じであってもよい。
また、上述したように、第1の実施形態では、第1の超音波走査と第2の超音波走査とで走査条件を独立に設定可能である。このように、第1の実施形態では、Bモード用に最適な走査条件を設定し、カラードプラモード用に最適な走査条件を設定することができる。また、例えば、第1の実施形態では、第2超音波走査の走査条件として、PM法等のTHI用に最適な走査条件を設定することができる。従って、第1の実施形態では、同時に表示されるカラードプラ画像(例えば、上述した心筋灌流画像)とBモード画像との画質を向上させることができる。なお、第2の超音波走査の走査条件は、第1の超音波走査の走査条件と、送信する超音波の周波数帯域および受信する超音波の周波数帯域のうち少なくとも一方が異なるようにしてもよい。例えば、第2の超音波走査の操作条件に含まれる送信する超音波の周波数帯域を、第1の超音波走査の操作条件に含まれる送信する超音波の周波数帯域よりも広くするとともに、第2の超音波走査の操作条件に含まれる受信する超音波の周波数帯域を、第1の超音波走査の操作条件に含まれる受信する超音波の周波数帯域よりも広くしてもよい。
また、処理回路140は、Bモード画像を生成するたびに、以下に説明する処理を行う。すなわち、処理回路140は、時間軸方向において、隣接する2枚のBモード画像の輝度分布の時間変化を算出する。
例えば、処理回路140は、隣接する2枚のBモード画像のうち、一方のBモード画像の各画素の輝度と、他方のBモード画像の対応する各画素の輝度との差分を算出する。そして、処理回路140は、画素ごとに算出された輝度の差分の合計を、隣接する2枚のBモード画像の輝度分布の時間変化として算出する。そして、処理回路140は、算出した輝度の差分の合計が、所定の閾値未満であるか否かを判定する。
このようにして、処理回路140は、Bモード画像を生成するたびに、最も新しく生成されたBモード画像と、このBモード画像よりも1つ前に生成されたBモード画像との輝度の差分の合計が所定の閾値未満であるか否かを判定する。
そして、処理回路140は、輝度の差分の合計が所定の閾値未満であると所定の回数以上連続して判定した場合には、連続して輝度の差分の合計が所定の閾値未満であると判定されたBモード画像に対応する時相を、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相として特定する。
図6は、第1の実施形態に係る処理回路が実行する処理の一例を説明するための図である。図6の(1)には、図4の(1)に示す第2の超音波走査により得られた反射波データに基づいて生成されたBモード画像が示されている。図6の(3)には、図4の(3)に示す第2の超音波走査により得られた反射波データに基づいて生成されたBモード画像が示されている。図6の(5)には、図4の(5)に示す第2の超音波走査により得られた反射波データに基づいて生成されたBモード画像が示されている。図6の(7)には、図4の(7)に示す第2の超音波走査により得られた反射波データに基づいて生成されたBモード画像が示されている。
また、図6の(2)には、図4の(2)に示す第1の超音波走査により得られた反射波データに基づいて生成されたカラードプラ画像が示されている。図6の(4)には、図4の(4)に示す第1の超音波走査により得られた反射波データに基づいて生成されたカラードプラ画像が示されている。図6の(6)には、図4の(6)に示す第1の超音波走査により得られた反射波データに基づいて生成されたカラードプラ画像が示されている。図6の(8)には、図4の(8)に示す第1の超音波走査により得られた反射波データに基づいて生成されたカラードプラ画像が示されている。
処理回路140は、図6の(1)に示すBモード画像を生成した段階では、1枚しかBモード画像がないため、上述した隣接する2枚のBモード画像の輝度分布の時間変化を算出する処理を行わない。そして、処理回路140は、図6の(3)に示すBモード画像を生成した場合には、図6の(1)に示すBモード画像の各画素の輝度と、図6の(3)に示すBモード画像の対応する各画素の輝度との差分を算出する。そして、処理回路140は、画素ごとに算出された輝度の差分の合計を、図6の(1)に示すBモード画像及び図6の(3)に示すBモード画像の輝度分布の時間変化として算出する。そして、処理回路140は、算出した輝度の差分の合計が、所定の閾値未満であるか否かを判定する。
そして、処理回路140は、図6の(5)に示すBモード画像を生成した場合には、図6の(3)に示すBモード画像の各画素の輝度と、図6の(5)に示すBモード画像の対応する各画素の輝度との差分を算出する。そして、処理回路140は、画素ごとに算出された輝度の差分の合計を、図6の(3)に示すBモード画像及び図6の(5)に示すBモード画像の輝度分布の時間変化として算出する。そして、処理回路140は、算出した輝度の差分の合計が、所定の閾値未満であるか否かを判定する。
そして、処理回路140は、図6の(7)に示すBモード画像を生成した場合には、図6の(5)に示すBモード画像の各画素の輝度と、図6の(7)に示すBモード画像の対応する各画素の輝度との差分を算出する。そして、処理回路140は、画素ごとに算出された輝度の差分の合計を、図6の(5)に示すBモード画像及び図6の(7)に示すBモード画像の輝度分布の時間変化として算出する。そして、処理回路140は、算出した輝度の差分の合計が、所定の閾値未満であるか否かを判定する。
ここで、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相を特定する際に用いられる上述した所定の回数が3回である場合について説明する。この場合において、処理回路140は、図6の(1)に示すBモード画像及び図6の(3)に示すBモード画像、図6の(3)に示すBモード画像及び図6の(5)に示すBモード画像、及び、図6の(5)に示すBモード画像及び図6の(7)に示すBモード画像において、算出した輝度の差分の合計が、所定の閾値未満であると判定した場合、すなわち、3回連続して輝度の差分の合計が所定の閾値未満であると判定した場合には次の処理を行う。すなわち、処理回路140は、3回連続して輝度の差分の合計が所定の閾値未満であると判定された図6の(1)に示すBモード画像から図6の(7)に示すBモード画像までの範囲の時相を、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相として特定する。なお、図6の(1)に示すBモード画像から図6の(7)に示すBモード画像までの範囲の時相が、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相であると特定された場合には、図6の(2)に示すカラードプラ画像、図6の(4)に示すカラードプラ画像、及び、図6の(6)に示すカラードプラ画像に対応する時相も、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相となる。
ここで、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相とは、例えば、心壁などの組織の動きが穏やかな時相であると考えられる。そのため、処理回路140は、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相を特定することにより、心壁などの組織の動きが穏やかな時相を特定することができる。
そして、以降の処理においても、処理回路140は、輝度の差分の合計が所定の閾値以上であると判定するまで、Bモード画像を生成するたびに同様の処理を行う。そして、処理回路140は、輝度の差分の合計が所定の閾値以上であると判定すると、図6の(1)に示すBモード画像から、最後に輝度の差分の合計が所定の閾値未満であると判定したBモード画像までの範囲の時相を、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相として特定する。
そして、処理回路140は、複数のカラードプラ画像のうち、特定した時相に関するカラードプラ画像と、他のカラードプラ画像を識別する識別情報を生成する。例えば、図6の(2)に示すカラードプラ画像、図6の(4)に示すカラードプラ画像、及び、図6の(6)に示すカラードプラ画像に対応する時相が、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相である場合について説明する。この場合には、処理回路140は、複数のカラードプラ画像のうち、図6の(2)に示すカラードプラ画像、図6の(4)に示すカラードプラ画像、及び、図6の(6)に示すカラードプラ画像と、他のカラードプラ画像とを識別する赤色の枠を示す画像を生成する。そして、処理回路140は、生成した画像が示す赤色の枠が、図6の(2)に示すカラードプラ画像、図6の(4)に示すカラードプラ画像、及び、図6の(6)に示すカラードプラ画像のそれぞれの周囲を取り囲むように、赤色の枠を示す画像を、図6の(2)に示すカラードプラ画像、図6の(4)に示すカラードプラ画像、及び、図6の(6)に示すカラードプラ画像のそれぞれに合成する。したがって、特定した時相に関するカラードプラ画像が表示される際には、赤色の枠を示す画像もカラードプラ画像とともに表示される。
そして、処理回路は、例えば、図7A及び図7Bに示すような表示制御を行なう。図7A及び図7Bは、第1の実施形態に係る表示形態の一例を示す図である。なお、図7Aでは、ディスプレイ103におけるカラードプラ画像とBモード画像との位置関係を模式的に示すための図である。例えば、処理回路140は、リアルタイムで、Bモード画像及びカラードプラ画像を表示するリアルタイム表示モードでは、図7A及び図7Bに示すように、左側にBモード画像の表示を行い、かつ、右側にBモード画像とカラードプラ画像とを重畳させた重畳表示を行うように、ディスプレイ103を制御する。すなわち、処理回路140は、Bモード画像を新たに生成すると、新たに生成したBモード画像で、既に表示されているBモード画像を更新する。また、処理回路140は、カラードプラ画像を新たに生成すると、新たに生成したカラードプラ画像で、既に表示されているカラードプラ画像を更新する。なお、図7A及び図7Bに示す例では、第2の走査領域内に第1の走査領域が設定されている。
例えば、図7Bは、図7Aに示すBモード画像がTHIにより生成されたBモード画像であり、図7Aに示すカラードプラ画像が上述した心筋灌流画像である場合を示している。ここで、図7Bに示す心筋灌流画像は、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相に対応するカラードプラ画像であるため、心筋灌流画像とともに赤色の枠を示す画像20が表示されている。すなわち、心筋灌流画像が強調されてハイライト表示されている。図7Bに示す心筋灌流画像は、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相に対応するカラードプラ画像であるため、心壁に滲み出ている血液の流れをユーザが確認できるような画質の良い画像である。このように、本実施形態に係る超音波診断装置1は、表示されている心筋灌流画像が、診断に有用な心筋灌流画像であることを示す情報として画像20をユーザに対して提示する。これにより、複数の心筋灌流画像のうち、どの心筋灌流画像が診断に有用な画像であるのかをユーザに容易に把握させることができる。そのため、ユーザが診断を行う際の利便性を高めることができる。
なお、図7A及び図7Bに示すBモード画像は、通常のBモード画像であっても良い。また、図7A及び図7Bに示すカラードプラ画像は、心筋灌流画像以外のカラードプラ画像であっても良い。
また、処理回路140は、リアルタイムの表示制御以外にも他の表示制御を行ってもよい。例えば、処理回路140は、リアルタイム表示モードである場合に、ユーザがフリーズボタンを押下すると、リアルタイム表示モードからシネ再生モードに移行する。シネ再生モードでは、処理回路140は、画像メモリ150に記憶されたBモード画像及びカラードプラ画像を取得する。そして、処理回路140は、ユーザによりトラックボールが回転されると、トラックボールの回転方向や回転量等に応じて、Bモード画像及びカラードプラ画像をディスプレイ103において動画再生する。なお、Bモード画像及びカラードプラ画像の表示形態は、例えば、先に図7A及び図7Bを参照して説明したリアルタイム表示モードの表示態様と同様である。そのため、シネ再生モードにおいても、複数のカラードプラ画像のうち、どのカラードプラ画像が診断に有用な画像であるのかをユーザに容易に把握させることができる。そのため、ユーザが診断を行う際の利便性を高めることができる。
ただし、本実施形態では、リアルタイム表示モードとシネ再生モードでは、以下に説明するような違いがある。例えば、リアルタイム表示モードでは、リアルタイムでBモード画像及びカラードプラ画像を表示できるものの、診断に有用な全てのカラードプラ画像について、ユーザに容易に把握させることができない場合がある。これは、処理回路140が、輝度の差分の合計が所定の閾値未満であると所定の回数連続して判定するまで、どのカラードプラ画像が診断に有用な画像であるのかを示す情報(先の例では、赤色の枠を示す画像20)を生成しないからである。例えば、あるカラードプラ画像に対応する時相が、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相であっても、処理回路140が所定の回数以上連続して輝度の差分の合計が所定の閾値未満であると判定していない段階では、このカラードプラ画像に対して赤色の枠を示す画像20が合成されない。そのため、リアルタイム表示モードにおいて、所定の回数以上連続して輝度の差分の合計が所定の閾値未満であると判定されていない段階では、診断に有用なカラードプラ画像であることを示す画像20が合成されずに、診断に有用なカラードプラ画像がそのまま表示されてしまう場合がある。このため、リアルタイム表示モードでは、診断に有用な全てのカラードプラ画像をユーザに容易に把握させることができない場合がある。
一方、シネ再生モードでは、処理回路140が所定の回数以上連続して輝度の差分の合計が所定の閾値未満であると判定した後で、フリーズボタンが押された場合には、フリーズボタンが押された時点で、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相に対応する全てのカラードプラ画像に対して、診断に有用であることを示す情報が生成されている。このため、シネ再生モードでは、診断に有用な全てのカラードプラ画像をユーザに容易に把握させることができる。
次に、図8を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置が実行する超音波走査制御処理の一例について説明する。図8は、第1の実施形態に係る超音波診断装置が実行する超音波走査制御処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図8に示すように、処理回路140は、超音波走査の開始要求(走査開始要求)を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。走査開始要求を受け付けない場合(ステップS101:No)、処理回路140は、再び、ステップS101の判定を行う。
一方、走査開始要求を受け付けた場合(ステップS101:Yes)、処理回路140は、第2の超音波走査を実行させ、Bモード画像を生成する(ステップS102)。そして、処理回路140は、第1の超音波走査を実行させ、カラードプラ画像を生成する。(ステップS103)。そして、処理回路140は、第2の超音波走査を実行させ、Bモード画像を生成する(ステップS104)。
そして、処理回路140は、ステップS102で生成されたBモード画像と、ステップS104で生成されたBモード画像との輝度の差分の合計を算出し、算出した輝度の差分の合計が所定の閾値未満であるか否かを判定する(ステップS105)。輝度の差分の合計が所定の閾値以上である場合(ステップS105:No)には、処理回路140は、後述するステップS109へ進む。
一方、輝度の差分の合計が所定の閾値未満である場合(ステップS105:Yes)には、処理回路140は、所定の回数以上連続して、輝度の差分の合計が所定の閾値未満であると判定したか否かを判定する(ステップS106)。輝度の差分の合計が所定の閾値未満であると連続して判定した回数が所定の回数未満である場合(ステップS106:No)には、処理回路140は、後述するステップS109へ進む。
一方、所定の回数以上連続して、輝度の差分の合計が所定の閾値未満であると判定した場合(ステップS106:Yes)には、処理回路140は、連続して輝度の差分の合計が所定の閾値未満であると判定されたBモード画像に対応する時相を、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相として特定する(ステップS107)。また、ステップS107では、処理回路140は、連続して輝度の差分の合計が所定の閾値未満であると判定されたBモード画像間のカラードプラ画像に対応する時相も、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相として特定する。
そして、処理回路140は、複数のカラードプラ画像のうち、特定した時相に関するカラードプラ画像と、他のカラードプラ画像とを識別する識別情報を生成する(ステップS108)。そして、処理回路140は、超音波走査の終了要求(走査終了要求)を受け付けたか否かを判定する(ステップS109)。走査終了要求を受け付けない場合(ステップS109:No)、処理回路140は、ステップS103に戻る。なお、ステップS109からステップS103に戻った場合には、処理回路140は、ステップS103において、第1の超音波走査を実行させ、カラードプラ画像を生成し、ステップS104において、第2の超音波走査を実行させ、Bモード画像を生成し、ステップS105において、ステップS104で今回生成されたBモード画像と、ステップS104で前回生成されたBモード画像との輝度の差分の合計を算出し、算出した輝度の差分の合計が所定の閾値未満であるか否かを判定する。
一方、走査終了要求を受け付けた場合(ステップS109:Yes)、処理回路140は、超音波走査制御処理を終了する。
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置1について説明した。上述したように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1によれば、ユーザが診断を行う際の利便性を高めることができる。
ここで、第1の実施形態では、処理回路140は、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相を特定することで、心壁などの組織の動きが穏やかな時相を特定する場合について説明した。しかしながら、処理回路140は、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相を特定することで、同様の原理で、超音波プローブ101を操作する検査者の走査時の手のぶれが小さな時相や、被検体Pの呼吸等の動きが小さい時相を特定することもできる。そして、処理回路140は、生成した複数のカラードプラ画像のうち、検査者の走査時の手のぶれが小さい時相に対応するカラードプラ画像と、他のカラードプラ画像とを識別する識別情報を生成してもよい。これにより、生成された複数のカラードプラ画像のうち、検査者の走査時の手のぶれが小さい時相に対応するカラードプラ画像のような診断に有用なカラードプラ画像がどれであるのかを容易にユーザに把握させることができる。また、処理回路140は、生成した複数のカラードプラ画像のうち、被検体Pの呼吸等による動きが小さい時相に対応するカラードプラ画像と、他のカラードプラ画像とを識別する識別情報を生成してもよい。これにより、生成された複数のカラードプラ画像のうち、被検体Pの呼吸等による動きが小さい時相に対応するカラードプラ画像のような診断に有用なカラードプラ画像がどれであるのかを容易にユーザに把握させることができる。
また、第1の実施形態では、送受信回路110が、超音波プローブ101を介して、第1の超音波走査を1回実行するたびに、第2の超音波走査を実行する場合について説明した。しかしながら、送受信回路110は、第1の超音波走査を1回以外の所定の回数実行するたびに、第2の超音波走査を実行してもよい。すなわち、送受信回路110は、第1の超音波走査を少なくとも1回実行するたびに、第2の超音波走査を実行してもよい。
(第1の実施形態の変形例)
また、第1の実施形態では、処理回路140が、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相を特定する例について説明したが、相対的に輝度分布の時間変化が大きい時相を特定してもよい。
例えば、処理回路140は、Bモード画像を生成するたびに、最も新しく生成されたBモード画像と、このBモード画像よりも1つ前に生成されたBモード画像との輝度の差分の合計が所定の閾値以上であるか否かを判定する。そして、処理回路140は、所定の回数以上連続して、輝度の差分の合計が所定の閾値以上であると判定したか否かを判定する。そして、所定の回数以上連続して、輝度の差分の合計が所定の閾値以上であると判定した場合には、処理回路140は、連続して輝度の差分の合計が所定の閾値以上であると判定されたBモード画像に対応する時相を、相対的に輝度分布の時間変化が大きい時相として特定する。そして、処理回路140は、複数のカラードプラ画像のうち、特定した時相に関するカラードプラ画像と、他のカラードプラ画像を識別する識別情報を生成する。例えば、処理回路140は、識別情報としては、例えば、青色の枠を示す画像を生成し、特定した時相に関するカラードプラ画像に青色の枠を示す画像を合成する。
これにより、青色の枠が合成されていないカラードプラ画像を、診断に有用なカラードプラ画像としてユーザに容易に把握させることができる。したがって、第1の実施形態の変形例に係る超音波診断装置によれば、ユーザが診断を行う際の利便性を高めることができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、処理回路140が、識別情報として、赤色の枠を示す画像を生成する場合について説明したが、識別情報は、これに限られない。処理回路140は、識別情報として、診断に有用なカラードプラ画像であることをユーザに容易に把握させるためのインジケータとしてマークを生成してもよい。そこで、このような実施形態を第2の実施形態として説明する。
図9は、第2の実施形態に係る識別情報の一例を説明するための図である。第2の実施形態に係る処理回路140は、識別情報として、上述したマークを生成する。そして、図9の例に示すように、処理回路140は、複数のカラードプラ画像のうち、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相に関連するカラードプラ画像にマーク21を合成し、ユーザによるトラックボールの操作に応じて、マーク21が付与されたカラードプラ画像を含む複数のカラードプラ画像を順々にディスプレイ103に表示させる。これにより、マーク21が付与されたカラードプラ画像を、診断に有用なカラードプラ画像としてユーザに容易に把握させることができる。したがって、第2の実施形態に係る超音波診断装置によれば、ユーザが診断を行う際の利便性を高めることができる。
(第3の実施形態)
また、処理回路140は、識別情報として、診断に有用なカラードプラ画像であることをユーザに知らせるためのグラフィックを生成してもよい。そこで、このような実施形態を第3の実施形態として説明する。
図10は、第3の実施形態に係る識別情報の一例を説明するための図である。図10の例では、複数のカラードプラ画像の中から、ユーザによるトラックボールの操作に応じたカラードプラ画像が表示される場合が示されている。また、図10の例には、ディスプレイ103に表示中のカラードプラ画像が生成された順番を示すバー22が示されている。すなわち、バー22の位置は、ディスプレイ103に表示されるカラードプラ画像が切り替わるたびに、新たに表示されたカラードプラが生成された順番に対応する位置に移動される。
第3の実施形態に係る処理回路140は、相対的に輝度分布の時間変化が小さい時相に関連する複数のカラードプラ画像、すなわち、診断に有用な複数のカラードプラ画像のうち、生成された順番が最も小さいカラードプラ画像がディスプレイ103に表示された場合のバー22の位置(最小順番位置)を特定する。また、処理回路140は、診断に有用な複数のカラードプラ画像のうち、生成された順番が最も大きいカラードプラ画像がディスプレイ103に表示された場合のバー22の位置を特定する(最大順番位置)。そして、処理回路140は、図10の例に示すように、最小順番位置から、最大順番位置までの範囲のグラフィック23を生成する。このグラフィック23は、診断に有用なカラードプラ画像が生成された順番を表す。
したがって、バー22がグラフィック23上に位置する場合には、表示中のカラードプラ画像は、診断に有用なカラードプラ画像となる。そのため、第3の実施形態に係る超音波診断装置によれば、ユーザにバー22がグラフィック23上に位置することを容易に把握させることにより、表示中のカラードプラ画像が、診断に有用なカラードプラ画像であることをユーザに容易に把握させることができる。したがって、第3の実施形態に係る超音波診断装置によれば、ユーザが診断を行う際の利便性を高めることができる。
また、上記の実施形態で説明した超音波走査制御処理は、予め用意された超音波走査制御処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この超音波走査制御処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この超音波走査制御処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、ユーザが診断を行う際の利便性を高めることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。