以下、図面を参照しながら、実施形態に係る超音波診断装置を説明する。なお、一つの実施形態又は変形例に記載した内容は、他の実施形態又は他の変形例にも同様に適用されてもよい。
(実施形態)
図1は、実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図1に例示するように、実施形態に係る超音波診断装置1は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103とを有する。
超音波プローブ101は、例えば、圧電振動子等の複数の素子を有する。これら複数の素子は、装置本体100が有する送受信回路110の送信回路110aから供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ101は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号である受信信号(反射波信号)に変換し、受信信号を装置本体100に出力する。また、超音波プローブ101は、例えば、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ101は、装置本体100と着脱自在に接続される。
超音波プローブ101から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波として超音波プローブ101が有する複数の素子にて受信される。受信される反射波の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。そして、超音波プローブ101は、受信信号を後述する送受信回路110の受信回路110bに出力する。
超音波プローブ101は、装置本体100と着脱可能に設けられる。被検体P内の2次元領域の走査(2次元走査)を行なう場合、操作者は、例えば、複数の圧電振動子が一列で配置された1Dアレイプローブを超音波プローブ101として装置本体100に接続する。1Dアレイプローブの種類としては、リニア型超音波プローブ、コンベックス型超音波プローブ、セクタ型超音波プローブ等が挙げられる。また、被検体P内の3次元領域の走査(3次元走査)を行なう場合、操作者は、例えば、メカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブを超音波プローブ101として装置本体100と接続する。メカニカル4Dプローブは、1Dアレイプローブのように一列で配列された複数の圧電振動子を用いて2次元走査が可能であるとともに、複数の圧電振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで3次元走査が可能である。また、2Dアレイプローブは、マトリックス状に配置された複数の圧電振動子により3次元走査が可能であるとともに、超音波を集束して送信することで2次元走査が可能である。
入力装置102は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等の入力手段により実現される。入力装置102は、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、受け付けた各種設定要求を装置本体100に転送する。
ディスプレイ103は、例えば、超音波診断装置1の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データにより示される超音波画像等を表示したりする。ディスプレイ103は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ等によって実現される。
装置本体100は、超音波プローブ101から送信された受信信号に基づいて超音波画像データを生成する。なお、超音波画像データは、画像データの一例である。装置本体100は、超音波プローブ101から送信された被検体Pの2次元領域に対応する受信信号に基づいて2次元の超音波画像データを生成可能である。また、装置本体100は、超音波プローブ101から送信された被検体Pの3次元領域に対応する受信信号に基づいて3次元の超音波画像データを生成可能である。図1に示すように、装置本体100は、送受信回路110と、バッファメモリ120と、信号処理回路130と、画像生成回路140と、画像メモリ150と、記憶回路160と、制御回路170とを有する。
送受信回路110は、制御回路170による制御を受けて、超音波プローブ101から超音波を送信させるとともに、超音波プローブ101に超音波(超音波の反射波)を受信させる。すなわち、送受信回路110は、超音波プローブ101を介して走査を実行する。なお、走査は、スキャン、超音波スキャン又は超音波走査とも称される。送受信回路110は、送受信部の一例である。送受信回路110は、送信回路110aと受信回路110bとを有する。
送信回路110aは、制御回路170による制御を受けて、超音波プローブ101から超音波を送信させる。送信回路110aは、レートパルサ発生回路と、送信遅延回路と、送信パルサとを有し、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。送信回路110aは、被検体P内の2次元領域を走査する場合、超音波プローブ101から2次元領域を走査するための超音波ビームを送信させる。また、送信回路110aは、被検体P内の3次元領域を走査する場合、超音波プローブ101から3次元領域を走査するための超音波ビームを送信させる。
レートパルサ発生回路は、所定のレート周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)で、送信超音波(送信ビーム)を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。レートパルスが送信遅延回路を経由することで、異なる送信遅延時間を有した状態で送信パルサに電圧が印加される。例えば、送信遅延回路は、超音波プローブ101から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの送信遅延時間を、レートパルサ発生回路により発生される各レートパルスに対して与える。送信パルサは、かかるレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号(駆動パルス)を印加する。なお、送信遅延回路は、各レートパルスに与える送信遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの超音波の送信方向を任意に調整する。
駆動パルスは、送信パルサからケーブルを介して超音波プローブ101内の圧電振動子まで伝達した後に、圧電振動子において電気信号から機械的振動に変換される。この機械的振動によって発生した超音波は、生体内部に送信される。ここで、圧電振動子ごとに異なる送信遅延時間を持った超音波は、集束されて、所定方向に伝搬していく。
なお、送信回路110aは、制御回路170による制御を受けて、所定の走査シーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有する。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間に送信駆動電圧の値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、または、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
超音波プローブ101により送信された超音波の反射波は、超音波プローブ101内部の圧電振動子まで到達した後、圧電振動子において、機械的振動から電気的信号(受信信号)に変換され、受信回路110bに入力される。受信回路110bは、プリアンプと、A/D(Analog to Digital)変換器と、受信遅延回路と、加算器等を有し、超音波プローブ101から送信された受信信号に対して各種処理を行なって受信データ(反射波データ)を生成する。そして、受信回路110bは、生成した受信データをバッファメモリ120に格納する。
プリアンプは、受信信号をチャンネルごとに増幅してゲイン調整(ゲイン補正)を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正された受信信号をA/D変換することでゲイン補正された受信信号をデジタル信号に変換する。受信遅延回路は、デジタル信号に変換された受信信号に対して、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延部によって処理された反射波信号の加算処理を行って受信データ(RF(Radio Frequency)信号)を生成する。そして、加算器は、受信データをバッファメモリ120に格納する。
受信回路110bは、超音波プローブ101から送信された2次元の受信信号から2次元の受信データを生成する。例えば、受信回路110bは、超音波プローブ101から送信された1つのサンプル点に対応する2次元の受信信号から1サンプル分の2次元の受信データを生成する。また、受信回路110bは、超音波プローブ101から送信された3次元の受信信号から3次元の受信データを生成する。また、受信回路110bは、超音波プローブ101から送信された1つのサンプル点に対応する3次元の受信信号から1サンプル分の3次元の受信データを生成する。
例えば、1回の走査において1つの走査線に複数のサンプル点が設定されている場合について説明する。この場合、受信回路110bは、1回の走査において、超音波プローブ101に最も近いサンプル点から、超音波プローブ101から最も遠いサンプル点まで順々に、各サンプル点に対応する1サンプル分の受信データを生成する。そして、受信回路110bは、1サンプル分の受信データを生成する度に、生成した1サンプル分の受信データをバッファメモリ120に格納する。
バッファメモリ120は、送受信回路110により生成された受信データを一時的に記憶するメモリである。例えば、バッファメモリ120は、受信回路110bの制御により、1サンプル分の受信データを所定数記憶することが可能なように構成されている。そして、バッファメモリ120は、1サンプル分の受信データを所定数記憶している状態で、新たに1サンプル分の受信データが受信回路110bにより生成された場合、受信回路110bによる制御を受けて、生成された時間が最も古い1サンプル分の受信データを破棄し、新たに生成された1サンプル分の受信データを記憶する。例えば、バッファメモリ120は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子によって実現される。
信号処理回路130は、バッファメモリ120から受信データを読み出し、読み出した受信データに対して各種の信号処理を施し、各種の信号処理が施された受信データをBモードデータ又はドプラデータとして画像生成回路140に出力する。信号処理回路130は、例えば、プロセッサにより実現される。信号処理回路130は、信号処理部の一例である。
例えば、信号処理回路130は、バッファメモリ120に、新たに1サンプル分の受信データが格納される度に、新たにバッファメモリ120に格納された1サンプル分の受信データを読み出す。そして、信号処理回路130は、読み出した1サンプル分の受信データに対して各種の信号処理を施す。そして、信号処理回路130は、1サンプル分の受信データに対して各種の信号処理を施す度に、各種の信号処理が施された1サンプル分の受信データを1サンプル分のBモードデータ等として画像生成回路140に出力する。以下、信号処理回路130実行する各種の信号処理の一例を説明する。
例えば、信号処理回路130は、バッファメモリ120から読み出した受信データに対して、直交検波し、対数増幅及び包絡線検波処理等を施して、サンプル点ごとの信号強度(振幅強度)が輝度の明るさで表現されるBモードデータを生成する。例えば、信号処理回路130は、生成したBモードデータを画像生成回路140に出力する。
また、信号処理回路130は、高調波成分を映像化するハーモニックイメージングを行うための信号処理を実行する。ハーモニックイメージングとしては、コントラストハーモニックイメージング(CHI:Contrast Harmonic Imaging)や組織ハーモニックイメージング(THI:Tissue Harmonic Imaging)が挙げられる。また、コントラストハーモニックイメージングや組織ハーモニックイメージングでは、スキャン方式として、以下の方式が知られている。例えば、かかるスキャン方式として、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)、パルスサブトラクション法(Pulse Subtraction法)又はパルスインバージョン法(Pulse Inversion法)と呼ばれる位相変調(PM:Phase Modulation)、及び、AMとPMとを組み合わせることで、AMの効果及びPMの効果の双方が得られるAMPM等が知られている。
信号処理回路130は、バッファメモリ120から読み出した受信データを周波数解析することで、ドプラ効果に基づく移動体(血流や組織、造影剤エコー成分等)の運動情報を受信データから抽出し、抽出した運動情報を示すドプラデータを生成する。例えば、信号処理回路130は、移動体の運動情報として、平均速度、平均分散値及び平均パワー値等を多点に渡り抽出し、抽出した移動体の運動情報を示すドプラデータを生成する。信号処理回路130は、生成したドプラデータを画像生成回路140に出力する。
上記の信号処理回路130の機能を用いて、実施形態に係る超音波診断装置1は、カラーフローマッピング(CFM:Color Flow Mapping)法とも呼ばれるカラードプラ法を実行可能である。カラーフローマッピング法では、超音波の送受信が複数の走査線上で複数回行なわれる。そして、カラーフローマッピング法では、同一位置のデータ列に対してMTI(Moving Target Indicator)フィルタを掛けることで、同一位置のデータ列から、静止している組織、或いは、動きの遅い組織に由来する信号(クラッタ信号)を抑制して、血流に由来する信号(血流信号)を抽出する。そして、カラーフローマッピング法では、この血流信号から血流の速度、血流の分散、血流のパワー等の血流情報を推定する。信号処理回路130は、カラーフローマッピング法により推定された血流情報を示すドプラデータを画像生成回路140に出力する。
信号処理回路130は、2次元の受信データ及び3次元の受信データの両方の受信データを処理可能である。
画像生成回路140は、信号処理回路130から出力されたBモードデータ及びドプラデータから超音波画像データを生成する。例えば、画像生成回路140は、信号処理回路130が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、信号処理回路130が生成した2次元のドプラデータから運動情報又は血流情報が映像化された2次元ドプラ画像データを生成する。2次元ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。画像生成回路140は、プロセッサにより実現される。
ここで、画像生成回路140は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(走査コンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。例えば、画像生成回路140は、信号処理回路130から出力されたデータに対して、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成回路140は、走査コンバート以外に種々の画像処理として、例えば、走査コンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成回路140は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
更に、画像生成回路140は、信号処理回路130により生成された3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、信号処理回路130により生成された3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元ドプラ画像データを生成する。すなわち、画像生成回路140は、「3次元のBモード画像データ及び3次元ドプラ画像データ」を「3次元超音波画像データ(ボリュームデータ)」として生成する。そして、画像生成回路140は、ボリュームデータをディスプレイ103にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対して様々なレンダリング処理を行なう。
画像生成回路140が行なうレンダリング処理としては、例えば、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を用いてボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像生成回路140が行なうレンダリング処理としては、例えば、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。画像生成回路140は、画像生成部の一例である。
Bモードデータ及びドプラデータは、走査コンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成回路140が生成するデータは、走査コンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
画像メモリ150は、画像生成回路140により生成された各種の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ150は、信号処理回路130により生成されたデータも記憶する。画像メモリ150が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成回路140を経由して表示用の超音波画像データとなる。例えば、画像メモリ150は、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。
記憶回路160は、走査(超音波の送受信)、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、記憶回路160は、必要に応じて、画像メモリ150が記憶するデータの保管等にも使用される。例えば、記憶回路160は、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。
制御回路170は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、制御回路170は、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路160から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送信回路110、信号処理回路130及び画像生成回路140の処理を制御する。また、制御回路170は、画像メモリ150に記憶された表示用の超音波画像データにより示される超音波画像を表示するようにディスプレイ103を制御する。制御回路170は、表示制御部又は制御部の一例である。制御回路170は、例えば、プロセッサにより実現される。超音波画像は、画像の一例である。
また、制御回路170は、送受信回路110を介して超音波プローブ101を制御することで、超音波走査の制御を行なう。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、若しくは、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、又は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路160に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路160にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、図1における複数の回路(例えば、信号処理回路130、画像生成回路140及び制御回路170)を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。すなわち、信号処理回路130、画像生成回路140及び制御回路170は、プロセッサにより実現される1つの処理回路に統合されてもよい。
以上、実施形態に係る超音波診断装置1の全体構成について説明した。ここで、図2、図3A及び図3Bを参照して、比較例に係る超音波診断装置について説明する。図2、図3A及び図3Bは、比較例に係る超音波診断装置を説明するための図である。
図2において、横軸は、時間を示す。また、「IN」は、超音波診断装置の信号処理回路に入力される1走査分の各受信データの入力タイミングを示す。なお、1走査分の受信データとは、例えば、1回の走査により収集される受信データを指す。また、「OUT」は、超音波診断装置の信号処理回路により各種の信号処理が施されて出力される1走査分の各受信データの出力タイミングを示す。
例えば、図2に示すように、1走査分の受信データb0は、時間T80から時間T81にかけて信号処理回路に入力される。また、信号処理回路は、各種の信号処理が施された受信データb0を、概ね時間T80から時間T81にかけて出力する。すなわち、図2に示す場合には、信号処理回路は、入力された受信データb0に対して各種の信号処理を施し、受信データb0が入力されたタイミングと略同一のタイミングで、信号処理が施された受信データb0を出力する。信号処理回路は、図2に示す他の1走査分の受信データb1,b2,b3に対しても同様の処理を行う。
図3A及び図3Bは、比較例に係る超音波診断装置が、インターリーブスキャンを行う場合を示す。すなわち、超音波診断装置は、同一の走査線に対して、超音波の送受信を行う走査を2回行う。図3Aにおいて、横軸は、時間を示す。また、「IN」は、超音波診断装置の信号処理回路に入力される1走査分の各受信データの入力タイミングを示す。また、「内部メモリ」は、信号処理回路が備える内部メモリに、信号処理回路により各種の信号処理が施された1走査分の各受信データが格納されるタイミングを示す。また、「OUT」は、1走査分ではなく1走査線分の各受信データの出力タイミングを示す。なお、1走査線分の受信データとは、例えば、同一の走査線に対して行われた1回目の走査により収集された受信データ及び2回目の走査により収集された受信データにより構成されるデータを指す。
図3Aに示す1走査分の受信データb0_aは、同一の走査線20(図3B参照)に対して行われた1回目の走査により収集されたデータである。図3Aに示す1走査分の受信データb0_bは、同一の走査線20に対して行われた2回目の走査により収集されたデータである。
例えば、図3Aに示すように、1走査分の受信データb0_aは、時間T90から時間T91にかけて信号処理回路に入力される。ここで、受信データb0_aは、複数の1サンプル分の受信データにより構成される。例えば、受信データb0_aは、複数の1サンプル分の受信データb0_a_0,b0_a_1,・・・b0_a_n(nは2以上の整数)により構成される。また、信号処理回路は、各種の信号処理が施された受信データb0_aを、概ね時間T90から時間T91にかけて内部メモリに格納する。
同様に、1走査分の受信データb0_bは、時間T91から時間T92にかけて信号処理回路に入力される。ここで、受信データb0_bは、複数の1サンプル分の受信データb0_b_0,b0_b_1,・・・b0_b_nにより構成される。また、信号処理回路は、各種の信号処理が施された受信データb0_bを、概ね時間T91から時間T92にかけて内部メモリに格納する。
すなわち、図3Aに示すように、信号処理回路は、入力された受信データb0_a,b0_bに対して各種の信号処理を施す。そして、信号処理回路は、受信データb0_a,b0_bが入力されたタイミングと略同一のタイミングで、信号処理が施された受信データb0_a,b0_bを内部メモリに記憶させる。
ここで、信号処理回路は、受信データb0_bを内部メモリに格納することを開始した時間T91から、時間T91より後の時間T93にかけて、内部メモリに記憶された1回目の走査により収集された1サンプル分の受信データ、及び、2回目の走査により収集された1サンプル分の受信データを交互に読み出す。例えば、信号処理回路は、受信データb0_a_0,b0_b_0,b0_a_1,b0_b_1,・・・b0_a_n,b0_b_nの順で各受信データを読み出す。
そして、信号処理回路は、時間T91から時間T93にかけて、1サンプル分の受信データを読み出す度に、読み出した1サンプル分の受信データを出力する。例えば、信号処理回路は、受信データb0_a_0,b0_b_0,b0_a_1,b0_b_1,b0_a_2,b0_b_2,・・・,b0_a_n,b0_b_nの順で各受信データを出力する。すなわち、図3Aに示すように、信号処理回路は、時間T91から時間T93にかけて、1走査線分の受信データb0_abを出力する。受信データb0_abは、受信データb0_a_0,b0_b_0,b0_a_1,b0_b_1,b0_a_2,b0_b_2,・・・b0_a_n,b0_b_nが、この順で並んだデータである。
上述したように、比較例に係る超音波診断装置は、同一の走査線20に対して、超音波の送受信を行う走査を2回行う。ここで、超音波診断装置は、1回目の走査に用いられる超音波の送信タイミングと、2回目の走査に用いられる超音波の送信タイミングとを、半位相分ずらす。又は、超音波診断装置は、A/D変換器の受信サンプリングクロックを、1回目の走査と2回目の走査とで半位相ずらすことにより、半位相分ずれたサンプリングを行う。
このため、図3Bに示すように、1回目の走査における走査線20上の複数のサンプル点a_0,a_1,・・・,a_nと、2回目の走査における走査線20上の複数のサンプル点b_0,b_1,・・・,b_nとは異なる。具体的には、図3Bに示すように、複数のサンプル点a_0,a_1,・・・,a_nのそれぞれと、複数のサンプル点b_0,b_1,・・・,b_nのそれぞれとは、交互に並んでいる。
受信データb0_a_0,b0_a_1,・・・,b0_a_nのそれぞれは、複数のサンプル点a_0,a_1,・・・,a_nのそれぞれにおけるデータである。また、受信データb0_b_0,b0_b_1,・・・,b0_b_nのそれぞれは、複数のサンプル点b_0,b_1,・・・,b_nのそれぞれにおけるデータである。したがって、図3A及び図3Bに示すように、比較例に係る超音波診断装置は、アップサンプリングを行う。ここで、アップサンプリングとは、例えば、サンプリング周波数が高くなり、サンプル点の間隔が狭くなり、走査範囲におけるサンプル点の密度が高くなることである。
また、図3Aに示すように、信号処理回路は、走査線20とは異なる走査線に対して2回の走査を行うことにより得られた2つの1走査線分の受信データb1_a,b1_bに対しても、受信データb0_a,b0_bに対して行った処理と同様の処理を行う。そして、信号処理回路は、時間T93から時間T95にかけて、1走査線分の受信データb1_abを出力する。
ここで、図2に示す時間T80から時間T81までの期間、時間T81から時間T82までの期間、時間T82から時間T83までの期間、及び、時間T83から時間T84までの期間の各期間は、1つの走査線に対する1回の走査における超音波の送受信に要する時間である。なお、超音波の送受信に要する時間は、単に、超音波の送受信時間とも称される。
また、図3に示す時間T90から時間T91までの期間、時間T91から時間T92までの期間、時間T92から時間T93までの期間、及び、時間T93から時間T94までの期間の各期間も、1つの走査線に対する1回の走査における超音波の送受信に要する時間である。図3に示す各期間は、画像化対象範囲の深さに対応する時間である。
ここで、図2に示す場合では、信号処理回路は、1回の走査における超音波の送受信時間で、1走査線分の受信データ(1本のラスタデータ)を生成して出力する。これに対して、図3Aに示す場合では、信号処理回路は、1回の走査における超音波の送受信時間ではなく、2回の走査における超音波の送受信時間で、1走査線分の受信データを生成して出力する。このため、図3Aに示すインターリーブスキャンを行う超音波診断装置では、図2に示す処理を行う超音波診断装置と比較して、距離分解能が高い超音波画像データが生成されるものの、一方で、フレームレートが低下してしまう。
また、超音波診断装置が、距離分解能が高い超音波画像データを生成するために、受信信号に対して高いサンプリングレートで処理可能な高価なA/D変換器を用いることが考えられる。また、超音波診断装置が、距離分解能が高い超音波画像データを生成するために、1つの走査線に対する走査により得られた受信データに対して複数のA/D変換器を用いることが考えられる。ただし、高価なA/D変換器を用いたり、複数のA/D変換器を用いたりするため、コストや消費電力が大きくなる場合がある。
そこで、本実施形態に係る超音波診断装置1は、コストや消費電力を抑制しつつ、フレームレートの向上を図ることができるように、以下で説明する各種の処理を実行する。
概略を説明すると、実施形態に係る超音波診断装置1は、一部の処理を除いて、図3A及び図3Bを参照して説明したインターリーブスキャンと同様の処理を行う。
例えば、実施形態に係る超音波診断装置1は、1回目の走査に用いられる超音波の送信タイミングと、2回目の走査に用いられる超音波の送信タイミングとを、半位相分ずらす。又は、超音波診断装置1は、A/D変換器の受信サンプリングクロックを、1回目の走査と2回目の走査とで半位相ずらすことにより、半位相分ずれたサンプリングを行う。
また、例えば、実施形態に係る超音波診断装置1は、同一の走査線に対する1回目の走査における超音波の送受信時間を、図3A及び図3Bを参照して説明したインターリーブスキャンと同様に、画像化対象範囲の深さに対応する時間とする。
ただし、実施形態に係る超音波診断装置1は、同一の走査線に対する2回目の走査における超音波の送受信時間を、画像化対象範囲の深さに対応する時間ではなく、画像化対象範囲の深さに対応する時間よりも短い時間とする。例えば、超音波診断装置1は、同一の走査線に対する2回目の走査における超音波送受信時間を、アップサンプリングが必要な深さに対応する時間とする。このようにした理由は、超音波の性質上、深さが深くなるほど高周波成分の減衰が大きくなるので、アップサンプリングの必要性が薄れるからである。
同一の走査線に対する2回目の走査における超音波の送受信時間を、画像化対象範囲の深さに対応する時間よりも短い時間とすることで、フレームレートの向上を図ることができる。また、超音波診断装置1では、1つの走査線に対する走査により得られた受信データに対して、複数のA/D変換器ではなく、1つの安価なA/D変換器を用いて以下に説明する処理を行う。このため、本実施形態に係る超音波診断装置1によれば、コストや消費電力を抑制しつつ、フレームレートの向上を図ることができる。また、アップサンプリングの対象となる近距離の画質を下げることなく、近距離に加えて遠距離も同時に表示する際のフレームレートを向上させることができる。
図4A及び図4Bは、実施形態に係る超音波診断装置1が実行する処理の一例を説明するための図である。超音波診断装置1は、複数の走査線により構成される走査範囲を走査する。ここで、超音波診断装置1は、同一の走査線に対して、超音波の送受信を行う走査を2回行う。図4Aにおいて、横軸は、時間を示す。また、「IN」は、超音波診断装置1の信号処理回路130に入力される1走査分の各受信データの入力タイミングを示す。また、「内部メモリ」は、信号処理回路130が備える内部メモリに、信号処理回路130により各種の信号処理が施された1走査分の各受信データが格納されるタイミングを示す。また、「OUT」は、1走査分ではなく1走査線分の各受信データの出力タイミングを示す。
図4Aに示す2つの1走査分の受信データb0_a,b0_bは、同一の走査線21(図4B参照)に対して2回の走査を行うことにより収集されたデータである。例えば、受信データb0_aは、1回目の走査により収集されたデータである。受信データb0_bは、2回目の走査により収集されたデータである。
例えば、図4Aに示すように、1走査分の受信データb0_aは、時間T10から時間T11にかけて信号処理回路130に入力される。ここで、受信データb0_aは、複数の1サンプル分の受信データにより構成される。例えば、受信データb0_aは、複数の1サンプル分の受信データb0_a_0,b0_a_1,・・・b0_a_n(nは2以上の整数)により構成される。また、信号処理回路130は、各種の信号処理が施された受信データb0_aを、概ね時間T10から時間T11にかけて内部メモリに格納する。
同様に、1走査分の受信データb0_bは、時間T11から時間T12にかけて信号処理回路130に入力される。ここで、受信データb0_bは、複数の1サンプル分の受信データb0_b_0,b0_b_1,・・・b0_b_m(mは0以上かつn未満の整数)により構成される。また、信号処理回路130は、各種の信号処理が施された受信データb0_bを、概ね時間T11から時間T12にかけて内部メモリに格納する。
すなわち、図4Aに示すように、信号処理回路130は、入力された受信データb0_a,b0_bに対して各種の信号処理を施す。そして、信号処理回路130は、受信データb0_a,b0_bが入力されたタイミングと略同一のタイミングで、信号処理が施された受信データb0_a,b0_bを内部メモリに記憶させる。
上述したように、本実施形態に係る超音波診断装置1は、1回目の走査に用いられる超音波の送信タイミングと、2回目の走査に用いられる超音波の送信タイミングとを、半位相分ずらす。又は、超音波診断装置1は、A/D変換器の受信サンプリングクロックを、1回目の走査と2回目の走査とで半位相ずらすことにより、半位相分ずれたサンプリングを行う。
このため、図4Bに示すように、1回目の走査における走査線21上の複数のサンプル点a_0,a_1,・・・,a_nと、2回目の走査における走査線21上の複数のサンプル点b_0,b_1,・・・,b_mとは異なる。また、図4Bに示すように、複数のサンプル点a_0,a_1,・・・,a_nのうち、一部の複数のサンプル点a_0,a_1,・・・,a_mのそれぞれと、複数のサンプル点b_0,b_1,・・・,b_mのそれぞれとは、交互に並んでいる。そして、複数のサンプル点a_0,a_1,・・・,a_nのうち、残りの複数のサンプル点a_m+1,a_m+2,・・・,a_nは、この順で並んでいる。
受信データb0_a_0,b0_a_1,・・・,b0_a_m,b0_a_m+1,b0_a_m+2,・・・,b0_a_n-1,b0_a_nのそれぞれは、図4Bに示す複数のサンプル点a_0,a_1,・・・,a_m,a_m+1,a_m+2,・・・,a_n-1,a_nのそれぞれにおけるデータである。
また、受信データb0_b_0,b0_b_1,・・・,b0_b_mのそれぞれは、図4Bに示す複数のサンプル点b_0,b_1,・・・,b_mのそれぞれにおけるデータである。したがって、図4A及び図4Bに示すように、実施形態に係る超音波診断装置1は、サンプル点b_mに対応する深さまで、アップサンプリングを行う。
本実施形態では、超音波診断装置1の超音波プローブ101、送受信回路110及び制御回路170は、上述したように、同一の走査線21に対して超音波の送受信を行う走査を複数回(2回)行う。そして、超音波プローブ101、送受信回路110及び制御回路170は、走査線21に対して2回行われる走査のうち、1回目の走査により走査線21上の複数のサンプル点a_0,a_1,・・・,a_nにおける複数の受信データb0_a_0,b0_a_1,・・・,b0_a_nを収集する。また、超音波プローブ101、送受信回路110及び制御回路170は、2回目の走査により走査線21上の複数のサンプル点b_0,b_1,・・・,b_mにおける複数の受信データb0_b_0,b0_b_1,・・・,b0_b_mを収集する。
1回目の走査は、走査線21に対して2回行われる走査のうちの一の走査の一例である。また、2回目の走査は、走査線21に対して2回行われる走査のうちの他の走査の一例である。また、サンプル点a_0,a_1,・・・,a_nは、第1の地点の一例である。また、サンプル点b_0,b_1,・・・,b_mは、第2の地点の一例である。また、受信データb0_a_0,b0_a_1,・・・,b0_a_nは、第1の受信データの一例である。また、受信データb0_b_0,b0_b_1,・・・,b0_b_mは、第2の受信データの一例である。また、超音波プローブ101、送受信回路110及び制御回路170は、収集部の一例である。
ここで、信号処理回路130は、受信データb0_bを内部メモリに格納することを開始した時間T11から、時間T11より後の時間T13にかけて、内部メモリに記憶された1回目の走査により収集された1サンプル分の受信データ、及び、2回目の走査により収集された1サンプル分の受信データを所定の規則に従って読み出す。
例えば、信号処理回路130は、超音波プローブ101に最も近いサンプル点a_0から、超音波プローブ101から最も遠いサンプル点a_nまで順々に、各サンプル点に対応する1サンプル分の受信データを内部メモリから読み出す。すなわち、信号処理回路130は、内部メモリに記憶された複数の受信データb0_a_0,b0_a_1,・・・,b0_a_m及び複数の受信データb0_b_0,b0_b_1,・・・,b0_b_mを、走査線21上の複数のサンプル点a_0,a_1,・・・,a_n及び複数のサンプル点b_0,b_1,・・・,b_mのそれぞれの位置に応じて順々に読み出す。より具体的には、信号処理回路130は、複数の受信データb0_a_0,b0_b_0,b0_a_1,b0_b_1,・・・,b0_a_m,b0_b_m,b0_a_m+1,b0_a_m+2,・・・,b0_a_n-1,b0_a_nを、この順で読み出す。
そして、信号処理回路130は、時間T11から時間T13にかけて、1サンプル分の受信データを読み出す度に、読み出した1サンプル分の受信データを出力する。例えば、信号処理回路130は、受信データb0_a_0,b0_b_0,b0_a_1,b0_b_1,・・・,b0_a_m,b0_b_m,b0_a_m+1,b0_a_m+2,・・・,b0_a_n-1,b0_a_nの順で各受信データを出力する。すなわち、図4Aに示すように、信号処理回路130は、時間T11から時間T13にかけて、受信データb0_ab及び受信データb0_aを出力する。このような出力される受信データb0_ab及び受信データb0_aは、1走査分の受信データである。受信データb0_abは、受信データb0_a_0,b0_b_0,b0_a_1,b0_b_1,・・・,b0_a_m,b0_b_mが、この順で並んだデータである。出力される受信データb0_aは、受信データb0_a_m+1,b0_a_m+2,・・・,b0_a_n-1,b0_a_nが、この順で並んだデータである。
このようにして、信号処理回路130は、内部メモリに記憶された複数の受信データb0_a_0~b0_a_n及び複数の受信データb0_b_0~b0_b_mを、走査線21上の複数のサンプル点a_0~a_n及び複数のサンプル点b_0~b_mのそれぞれの位置に応じて並び替える。具体的には、信号処理回路130は、内部メモリに記憶された複数の受信データb0_a_0~b0_a_nのうち、一部の複数のサンプル点a_0~a_mにおける複数の受信データb0_a_0~b0_a_mのそれぞれと、内部メモリに記憶された複数の受信データb0_b_0~b0_b_mのそれぞれとを交互に並べる。更に、信号処理回路130は、内部メモリに記憶された残りの複数の受信データb0_a_m+1~b0_a_nを、この順で並べる。
そして、信号処理回路130は、並び替えられた複数の受信データb0_a_0~b0_a_m及び複数の受信データb0_b_0~b0_b_mを画像生成回路140に出力する。そして、画像生成回路140は、並び替えられた複数の受信データb0_a_0~b0_a_m及び複数の受信データb0_b_0~b0_b_mに基づいて、1走査分の超音波画像データを生成する。なお、並び替えられた複数の受信データb0_a_0~b0_a_m及び複数の受信データb0_b_0~b0_b_mは、1本のラスタデータであり、ラスタデータの途中でサンプリング周波数が異なることになるが、画像生成回路140は、サンプリング周波数に合わせて深さ応答するフィルタ係数などを用いることで、データ処理が可能になる。
信号処理回路130は、走査線21とは異なる走査線に対して2回の走査を行うことにより得られた2つの1走査線分の受信データb1_a,b1_bに対しても、受信データb0_a,b0_bに対して行った処理と同様の処理を行う。そして、信号処理回路130は、時間T13以降に、受信データb1_ab及び受信データb1_aを出力する。受信データb1_ab及び受信データb1_aは、1走査分の受信データに対応する。
ここで、図4Aに示す時間T10から時間T11までの期間、時間T11から時間T12までの期間、時間T12から時間T13までの期間、及び、時間T13から時間T14までの期間の各期間は、1つの走査線に対する1回の走査における超音波の送受信時間である。図4Aに示すように、時間T10から時間T11までの超音波の送受信時間よりも、時間T11から時間T12までの超音波の送受信時間の方が短い。また、時間T12から時間T13までの超音波の送受信時間よりも、時間T13から時間T14までの超音波の送受信時間の方が短い。
このように、超音波プローブ101、送受信回路110及び制御回路170は、同一の走査線に対する1回目の走査における超音波の送受信時間よりも、2回目の走査における超音波の送受信時間が短くなるように、走査線に対して2回の走査を行う。この結果、図4Aに示す1走査分の受信データが出力されるのに要する期間(時間T11から時間T13までの期間)が、図3Aに示す1走査分の受信データが出力されるのに要する期間(時間T91から時間T93までの期間)より短くなる。したがって、本実施形態に係る超音波診断装置1によれば、フレームレートの向上を図ることができる。
ここで、超音波診断装置1が組織ハーモニックイメージングを行う場合について説明する。この場合には、例えば、送受信回路110は、制御回路170による制御を受けて、同一の走査線21に対して、超音波プローブ101に走査を4回行わせる。例えば、送受信回路110は、走査線21に対して上述した2回の走査を行った後に、更に、3回目の走査として、1回目の走査において送信された超音波の位相を反転させた超音波の送受信を超音波プローブ101に行わせる。更に、送受信回路110は、4回目の走査として、2回目の走査において送信された超音波の位相を反転させた超音波の送受信を超音波プローブ101に行わせる。
そして、信号処理回路130は、1回目の走査により収集された受信データb0_a及び2回目の走査により収集された受信データb0_bに対して上述した処理を施して、複数の受信データb0_a_0~b0_a_m及び複数の受信データb0_b_0~b0_b_mを並び替える。以下、並び替えられた後の複数の受信データb0_a_0~b0_a_m及び複数の受信データb0_b_0~b0_b_mを、複数の第3の受信データと呼ぶ。
また、信号処理回路130は、3回目の走査により収集された1走査分の受信データ及び4回目の走査により収集された1走査分の受信データに対して、受信データb0_a及び受信データb0_bに対して施された処理と同様の処理を施す。すなわち、信号処理回路130は、3回目の走査により収集された1走査分の受信データ及び4回目の走査により収集された1走査分の受信データを構成する複数の1サンプル分の受信データを並び替える。以下、並び替えられた後の複数の1サンプル分の受信データを、複数の第4の受信データと呼ぶ。
そして、信号処理回路130は、複数の第3の受信データと複数の第4の受信データとを加算し、加算された複数の第3の受信データと複数の第4の受信データを画像生成回路140に出力する。
なお、同一の走査線に対する2回目の走査における超音波の送受信時間が一定である場合について説明したが、2回目の走査における超音波の送受信時間が各種の情報に基づいて決定されてもよい。そこで、このような場合について、図5及び図6を参照して説明する。
まず、超音波診断装置1が、走査に用いられている超音波プローブ101の種類に応じて、2回目の走査における超音波の送受信時間を決定する場合について説明する。図5及び図6は、実施形態に係る超音波診断装置1が、走査に用いられている超音波プローブ101の種類に応じて、2回目の走査における超音波の送受信時間を決定する処理の一例を説明するための図である。
図5に示す時間T21~T25のそれぞれは、先の図4Aに示す時間T11~T15のそれぞれに対応する。また、図6に示す時間T31~T35のそれぞれも、先の図4Aに示す時間T11~T15のそれぞれに対応する。図5に示す処理は、図4Aに示す処理に加えて、更に走査に用いられる超音波プローブ101の種類に応じて2回目の走査における超音波の送受信時間を決定する処理(決定処理)を含む点が、図5に示す処理と図4Aに示す処理とで異なる。同様に、図6に示す処理は、図4Aに示す処理に加えて、更に決定処理を含む点が、図6に示す処理と図4Aに示す処理とで異なる。このため、以下、決定処理について説明する。
ここで、記憶回路160には、超音波プローブ101の種類を示す超音波プローブIDと、2回目の走査における超音波の送受信時間とが対応付けられて登録されているデータベース(送受信時間データベース)が記憶されている。
例えば、リニア型超音波プローブは、深さが比較的浅い頸動脈を撮像対象部位として走査する場合に用いられたり、整形の分野で、深さが比較的浅い皮膚を撮像対象部位として走査する場合に用いられたりする。そのため、送受信時間データベースには、リニア型超音波プローブを示す超音波プローブIDと、比較的短い送受信時間とが対応付けられて登録されている。
また、例えば、コンベックス型超音波プローブは、深さが比較的深い腹部、胎児や乳腺を撮像対象部位として走査する場合に用いられる。そのため、送受信時間データベースには、コンベックス型超音波プローブを示す超音波プローブIDと、比較的長い送受信時間とが対応付けられて登録されている。
また、例えば、セクタ型超音波プローブは、心臓の動きを観察するために用いられる。そのため、フレームレートが比較的高いことが望まれるので、送受信時間データベースには、セクタ型超音波プローブを示す超音波プローブIDと、比較的短い送受信時間とが対応付けられて登録されている。
制御回路170は、まず、装置本体100に接続されており、かつ、走査に用いられている超音波プローブ101の種類を示す超音波プローブIDを、装置本体100に接続されている超音波プローブ101から取得する。
そして、制御回路170は、送受信時間データベースを参照し、取得した超音波プローブIDに対応する送受信時間を取得する。そして、制御回路170は、取得した送受信時間を、2回目の走査における超音波の送受信時間として決定する。そして、制御回路170は、決定した2回目の走査における超音波の送受信時間を送受信回路110に送信する。そして、送受信回路110は、2回目の走査における超音波の送受信時間が、制御回路170から送信された送受信時間となるように、超音波プローブ101を制御する。これにより、超音波診断装置1は、走査に用いられる超音波プローブ101の種類に応じた適切なフレームレートで、超音波画像データを生成することができる。
例えば、取得された超音波プローブIDがコンベックス型超音波プローブを示す場合について説明する。この場合、超音波診断装置1は、図5に示すように、2回目の走査における超音波の送受信時間を示す時間T22から時間T24までの期間が、比較的長くなる。したがって、図5に示す場合には、超音波診断装置1は、アップサンプリングを比較的深い位置まで行うので、画像対象化範囲の大部分に亘って画質が良好な超音波画像データを生成することができる。
また、取得された超音波プローブIDがリニア型超音波プローブ又はセクタ型超音波プローブを示す場合について説明する。この場合、超音波診断装置1は、図6に示すように、2回目の走査における超音波の送受信時間を示す時間T32から時間T34までの期間が、比較的短くなる。したがって、図6に示す場合には、超音波診断装置1は、フレームレートの大きな向上を図ることができる。
なお、超音波診断装置1は、走査を行う際の走査条件として記憶回路160に記憶された送信フォーカスの深度を取得し、取得した送信フォーカスの深度に応じて、2回目の走査における超音波の送受信時間を決定してもよい。例えば、制御回路170は、送信フォーカスの深度が大きくなるほど、2回目の走査における超音波の送受信時間が長くなるように、2回目の走査における超音波の送受信時間を決定してもよい。制御回路170は、例えば、送信フォーカスの深度よりも所定の深さだけ深い深度までアップサンプリングされるように、2回目の走査における超音波の送受信時間を決定してもよい。
また、超音波診断装置1は、記憶回路160に記憶された検査情報を取得し、取得した検査情報に含まれる検査対象部位に応じて、2回目の走査における超音波の送受信時間を決定してもよい。例えば、制御回路170は、検査対象部位が頸動脈、皮膚又は心臓である場合には、比較的短い送受信時間を、2回目の走査における超音波の送受信時間として決定してもよい。また、制御回路170は、検査対象部位が腹部、胎児又は乳腺である場合には、比較的長い送受信時間を、2回目の走査における超音波の送受信時間として決定してもよい。
図7は、第1の実施形態に係る信号処理回路130の構成の一例を示す図である。図7に示すように、信号処理回路130は、コントローラ30と、内部メモリ31と、内部メモリ32と、マルチプレクサ33とを備える。
図7に示すように、入力データとして1サンプル分の受信データが、次々に、内部メモリ31、内部メモリ32及びマルチプレクサ33に入力される。例えば、信号処理回路130が備えるプロセッサ(図示せず)が、1サンプル分の受信データをバッファメモリ120から取得する度に、取得した1サンプル分の受信データを内部メモリ31、内部メモリ32及びマルチプレクサ33に対して出力する。
また、位相判別信号がコントローラ30に入力される。例えば、プロセッサが取得した1サンプル分の受信データには、同一の走査線に対して行われた1回目の走査における超音波の位相(位相PH1)であるのか、又は、2回目の走査における超音波の位相(位相PH2)であるのかを示す位相情報が付加されている。そこで、プロセッサは、1サンプル分の受信データを取得する度に、1サンプル分の受信データに付加されている位相情報を取得する。そして、プロセッサは、位相情報を取得する度に、取得した位相情報を含む位相判別信号をコントローラ30に出力する。これにより、コントローラ30は、位相判別信号に含まれる位相情報が位相PH1を示す場合には、位相判別信号と同一のタイミングで内部メモリ31が受信した1サンプル分の受信データが、1回目の走査により収集された受信データであると判別できる。また、コントローラ30は、位相情報が位相PH2を示す場合には、位相判別信号と同一のタイミングで内部メモリ32が受信した1サンプル分の受信データが、2回目の走査により収集された受信データであると判別できる。
また、プロセッサは、2回目の走査における超音波の送受信時間に対応するクロックのカウント数「m」を示す閾値信号をコントローラ30に出力する。また、プロセッサは、「0」を示すデータである0データをマルチプレクサ33に出力する。
内部メモリ31は、コントローラ30による制御を受けて、1回目の走査により収集された1サンプル分の受信データを記憶する。例えば、内部メモリ31は、コントローラ30から出力されたライトイネーブル信号(wr_en_A)が入力されると、プロセッサから送信された1サンプル分の受信データを記憶する。
内部メモリ31に記憶された受信データは、コントローラ30により、先入れ先出し方式で読み出される。例えば、コントローラ30は、リードイネーブル信号(rd_en_A)を内部メモリ31に対して出力し、先入れ先出し方式で、内部メモリ31に記憶された受信データ(rdデータ)を読み出す。
内部メモリ32は、コントローラ30による制御を受けて、2回目の走査により収集された1サンプル分の受信データを記憶する。例えば、内部メモリ32は、コントローラ30から出力されたライトイネーブル信号(wr_en_B)が入力されると、プロセッサから送信された1サンプル分の受信データを記憶する。
内部メモリ32に記憶された受信データは、コントローラ30により、先入れ先出し方式で読み出される。例えば、コントローラ30は、リードイネーブル信号(rd_en_B)を内部メモリ32に対して出力し、先入れ先出し方式で、内部メモリ32に記憶された受信データ(rdデータ)を読み出す。
コントローラ30は、内部メモリ31又は内部メモリ32から読み出した受信データ(rdデータ)をインターリーブデータとしてマルチプレクサ33に出力する。コントローラ30の動作の詳細については、後述する。
マルチプレクサ33は、コントローラ30から出力された選択信号(out_select)に基づいて、プロセッサから出力された0データ及び入力データ、並びに、コントローラ30から出力されたインターリーブデータの中から、いずれかのデータを選択する。
例えば、走査に用いられている超音波プローブ101が、そもそもアップサンプリングの必要がないと考えられる低周波に対応する超音波プローブである場合について説明する。この場合には、コントローラ30は、入力データをマルチプレクサ33に選択させるための選択信号をマルチプレクサ33に出力する。そして、マルチプレクサ33は、マルチプレクサ33に入力された入力データを出力データとして画像生成回路140に出力する。すなわち、超音波診断装置1は、先の図2に示すような処理を行う。例えば、信号処理回路130が、カラーフローマッピング法により推定された血流情報を示すドプラ画像の背景として、ドプラ画像に重畳されるBモード画像を示すBモードデータを生成する場合に、コントローラ30は、入力データをマルチプレクサ33に選択させるための選択信号をマルチプレクサ33に出力する。
また、例えば、走査に用いられている超音波プローブ101が、アップサンプリングを行う必要があると考えられる高周波に対応する超音波プローブである場合について説明する。この場合には、コントローラ30は、0データをマルチプレクサ33に選択させるための選択信号又はインターリーブデータをマルチプレクサ33に選択させるための選択信号をマルチプレクサ33に出力する。
図8は、第1の実施形態に係る信号処理回路130の動作の一例を示すタイミングチャートである。図8に示すタイミングチャートは、超音波診断装置1が、アップサンプリングを行う場合のタイミングチャートである。図8において、横軸は、時間を示す。図8は、時間T41において、信号処理回路130への1サンプル分の受信データの入力が開始された場合を示す。
図8に示すように、コントローラ30は、時間T41から時間T47までの期間、0データをマルチプレクサ33に選択させるための選択信号をマルチプレクサ33に対して出力する。これにより、図8に示すように、マルチプレクサ33は、時間T41から時間T47までの期間、0データを出力データとして出力する。
そして、コントローラ30は、時間T47以降、インターリーブデータをマルチプレクサ33に選択させるための選択信号をマルチプレクサ33に対して出力する。
また、コントローラ30は、超音波診断装置1全体の同期をとるためのクロック信号のクロックをカウントする。図8において、「カウンタ」は、クロックのカウント数を示す。
図8に示すように、時間T41から時間T45までの期間、位相判別信号に含まれる位相情報が位相PH1(High)を示す。したがって、コントローラ30は、時間T41から時間T45までの期間、ライトイネーブル信号(wr_en_A)を内部メモリ31に出力する。これにより、内部メモリ31は、時間T41から時間T45にかけて、複数の1サンプル分の受信データb0_a_0~b0_a_nを記憶する。
そして、時間T45から時間T52までの期間、位相判別信号に含まれる位相情報が位相PH2(Low)を示す。したがって、コントローラ30は、時間T45から時間T52までの期間、ライトイネーブル信号(wr_en_B)を内部メモリ32に出力する。これにより、内部メモリ32は、時間T45から時間T52にかけて、複数の1サンプル分の受信データb0_b_0~b0_b_mを記憶する。
また、コントローラ30は、位相情報が示す位相が、位相PH1から位相PH2に切り替わると、クロックのカウント数を「0」にリセットし、再び、クロックのカウントを開始する。例えば、図8に示すように、コントローラ30は、位相情報が示す位相が位相PH1から位相PH2に切り替わった時間T45において、クロックのカウント数を「0」にリセットし、再び、クロックのカウントを開始する。
そして、図8に示すように、コントローラ30は、位相判別信号に含まれる位相情報が位相PH2を示す間、クロックのカウント数に同期して、リードイネーブル信号(rd_en_A)の出力及びリードイネーブル信号(rd_en_B)の出力を交互に切り替える。
例えば、コントローラ30は、クロックのカウント数が「1」、「3」、・・・、「m-1(奇数)」となるタイミングで、内部メモリ31に対してリードイネーブル信号(rd_en_A)を出力して、先入れ先出し方式で、受信データ(rdデータ)を読み出す。そして、コントローラ30は、読み出した受信データを、クロックのカウント数が「2」、「4」、・・・、「m(偶数)」となるタイミングで、インターリーブデータとしてマルチプレクサ33に出力する。これにより、マルチプレクサ33は、クロックのカウント数が「2」、「4」、・・・、「m」となるタイミングで、入力されたインターリーブデータを出力データとして出力する。
また、コントローラ30は、クロックのカウント数が「2」、「4」、・・・、「m」となるタイミングで、内部メモリ32に対してリードイネーブル信号(rd_en_B)を出力して、先入れ先出し方式で、受信データ(rdデータ)を読み出す。そして、コントローラ30は、読み出した受信データを、クロックのカウント数が「3」、「5」、・・・、「m-1」となるタイミングで、インターリーブデータとしてマルチプレクサ33に出力する。これにより、マルチプレクサ33は、クロックのカウント数が「3」、「5」、・・・、「m-1」となるタイミングで、入力されたインターリーブデータを出力データとして出力する。
また、コントローラ30は、クロックのカウント数が「m」に到達すると、次のクロックのカウント数を「0」にリセットし、再び、クロックのカウントを開始する。例えば、図8に示すように、コントローラ30は、クロックのカウント数が「m」に到達し、次のクロックをカウントするタイミングである時間T52において、クロックのカウント数を「0」にリセットし、再び、クロックのカウントを開始する。なお、コントローラ30は、位相情報が示す位相が、位相PH2から位相PH1に切り替わると、クロックのカウント数を「0」にリセットし、再び、クロックのカウントを開始してもよい。
そして、コントローラ30は、時間T52以降は、上述した時間T41から時間T52までの処理と同様の処理を行う。ただし、図8に示すように、コントローラ30は、時間T52以降では、内部メモリ31から読み出されていない残りの受信データを読み出し、クロックのカウント数に同期して、読み出した受信データをマルチプレクサ33から出力させる。
図9は、実施形態に係る信号処理回路が行なう処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。なお、信号処理回路130は、図9に示す処理のバックグラウンドでクロックのカウント数をカウントしている。これに伴い、信号処理回路130は、図9に示す処理のバックグラウンドで、上述したように、クロックのカウント数を「0」にリセットし、再び、クロックのカウントを開始する処理を行っている。
図9に示すように、信号処理回路130は、同一の走査線に対する1回目の走査により収集された1サンプル分の受信データ(第1のデータ)を受信したか否かを判定する(ステップS101)。
第1のデータを受信した場合(ステップS101;Yes)、信号処理回路130は、第1のデータを内部メモリ31に格納し(ステップS102)、ステップS101に戻る。
一方、第1のデータを受信していない場合(ステップS101;No)、信号処理回路130は、同一の走査線に対する2回目の走査により収集された1サンプル分の受信データ(第2のデータ)を受信したか否かを判定する(ステップS103)。
第2のデータを受信した場合(ステップS103;Yes)、信号処理回路130は、第2のデータを内部メモリ32に格納する(ステップS104)。そして、信号処理回路130は、第1のデータと第2のデータとが交互に出力されるように、第1のデータ又は第2のデータを出力する(ステップS105)。
そして、信号処理回路130は、バックグラウンドでカウントしているクロックのカウント数(カウント値)が「m」から「0」に変化したか否かを判定する(ステップS106)。変化していない場合(ステップS106;No)には、信号処理回路130は、ステップS103に戻り、ステップS103以降の各処理を再び実行する。
一方、変化した場合(ステップS106;Yes)には、信号処理回路130は、1走査分の受信データを出力したか否かを判定する(ステップS107)。1走査分の受信データを出力していない場合(ステップS107;No)には、信号処理回路130は、未だ出力されていない第1のデータを内部メモリ31から読み出し、読み出した第1のデータを出力し(ステップS108)、ステップS107に戻る。
1走査分の受信データを出力した場合(ステップS107;Yes)には、信号処理回路130は、処理を終了するタイミングであるか否かを判定する(ステップS109)。例えば、信号処理回路130は、被検体Pの走査により収集された全ての受信データを画像生成回路140に出力した場合には、処理を終了するタイミングであると判定する。一方、そうでない場合には、信号処理回路130は、処理を終了するタイミングでないと判定する。
処理を終了するタイミングでない場合(ステップS109;No)には、信号処理回路130は、ステップS101に戻り、次の走査線に対する走査により収集された第1のデータ及び第2のデータに対して、ステップS101以降の各処理を実行する。一方、処理を終了するタイミングである場合(ステップS109;Yes)には、信号処理回路130は、処理を終了する。
以上、実施形態に係る超音波診断装置1について説明した。実施形態に係る超音波診断装置1によれば、上述したように、実施形態に係る超音波診断装置1によれば、コストや消費電力を抑制しつつ、フレームレートの向上を図ることができる。
なお、上述した実施形態では、超音波診断装置1は、同一の走査線21に対して、超音波の送受信を行う走査を2回行う場合について説明した。しかしながら、超音波診断装置1は、同一の走査線21に対して、走査をN(Nは、3以上の整数)回行ってもよい。この場合、例えば、超音波診断装置1は、各走査に用いられる超音波の送信タイミングを(360/N)度に対応する位相分ずらす。又は、超音波診断装置1は、A/D変換器の受信サンプリングクロックを、各走査で(360/N)度に対応する位相分ずらすことにより、(360/N)度に対応する位相分ずれたサンプリングを行う。
なお、上述した実施形態では、超音波診断装置1が、同一の走査線21に対する1回目の走査における超音波の送受信時間を、画像化対象範囲の深さに対応する時間とする場合について説明した。そして、上述した実施形態では、超音波診断装置1が、2回目の走査における超音波の送受信時間を、アップサンプリングが必要な深さに対応する時間とする場合について説明した。しかしながら、超音波診断装置1は、1回目の走査における超音波の送受信時間を、アップサンプリングが必要な深さに対応する時間としてもよい。そして、超音波診断装置1は、2回目の走査における超音波の送受信時間を、画像化対象範囲の深さに対応する時間としてもよい。
以上述べた少なくとも1つの実施形態又は変形例によれば、コストや消費電力を抑制しつつ、フレームレートの向上を図ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。