JP6080807B2 - 塗装金属素形材、複合体およびそれらの製造方法 - Google Patents

塗装金属素形材、複合体およびそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、塗装金属素形材、塗装金属素形材と熱可塑性樹脂組成物の成形体とが接合された複合体、およびそれらの製造方法に関する。
金属板やそのプレス成形品、あるいは、鋳造、鍛造、切削、粉末冶金などにより成形されたいわゆる「金属素形材」は自動車をはじめとするあらゆる工業製品を製造する上で欠かせない部材である。これら金属素形材と樹脂組成物の成形体とが接合された複合体は、金属のみからなる部品よりも軽量である一方、樹脂のみからなる部品よりも強度が高く、携帯電話機やパーソナルコンピューターなどの電子機器に使用されている。従来、このような複合体は、金属素形材と樹脂組成物の成形体を嵌合させることにより製造されていた。しかしながら、嵌合による複合体の製造方法は、作業工程数が多く、生産性が低かった。そこで、近年は、インサート成形により金属素形材と樹脂組成物の成形体とを接合して、複合体を製造するのが一般的である。
インサート成形により複合体を製造する場合、金属素形材と樹脂組成物の成形体との密着性を向上させることが重要である。金属素形材と樹脂組成物の成形体との密着性を高める方法としては、例えば、インサート成形を行う前に、金属素形材の表面を粗面化処理することが提案されている(特許文献1〜3参照)。特許文献1〜3の方法では、アルミニウム合金の表面を粗面化処理することで、アルミニウム合金と樹脂組成物の成形体との密着性を向上させている。
特開2006−027018号公報 特開2004−050488号公報 特開2005−342895号公報
特許文献1〜3に記載の複合体では、アンカー効果を利用するために、金属素形材の表面を粗面化している。このように、アンカー効果を目的として微細な凹凸を金属素形材の表面に形成すると、金属素形材と樹脂組成物の成形体との間に微細な隙間が形成されやすい。このため、特許文献1〜3に記載の複合体では、金属素形材と樹脂組成物の成形体との間の密着性が期待されるほどではなく、金属素形材と樹脂組成物の成形体との間から気体または液体が漏洩してしまうおそれがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、塗装金属素形材と熱可塑性樹脂組成物の成形体との間の密着性に優れる複合体およびその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、前記複合体の製造に用いられる塗装金属素形材およびその製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、金属素形材の表面に無機フィラーに作用できる金属化合物からなる接合促進剤を含む有機樹脂層を形成することで、上記課題を解決できることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の塗装金属素形材およびその製造方法に関する。
[1]無機フィラーを含む熱可塑性樹脂組成物の成形体と接合されうる塗装金属素形材であって、金属素形材と、前記金属素形材の上に配置され、厚みが0.2μm以上の有機樹脂層と、を有し、前記有機樹脂層は、前記無機フィラーに作用できる金属化合物からなる接合促進剤を含む、塗装金属素形材。
[2]前記接合促進剤は、Ti、Zr、VおよびMoからなる群から選択される金属の酸化物、水酸化物またはフッ化物あるいはこれらの組み合わせである、[1]に記載の塗装金属素形材。
[3]前記有機樹脂層を構成する有機樹脂は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、これらの共重合体およびこれらの変性物からなる群から選択される1種または2種以上の組み合わせである、[1]または[2]に記載の塗装金属素形材。
[4]無機フィラーを含む熱可塑性樹脂組成物の成形体と接合されうる塗装金属素形材の製造方法であって、金属素形材の上に、有機樹脂と、前記無機フィラーに作用できる金属化合物からなる接合促進剤とを含む塗料を塗布し、乾燥させて、厚みが0.2μm以上の有機樹脂層を形成する工程を含む、塗装金属素形材の製造方法。
[5]前記接合促進剤は、Ti、Zr、VおよびMoからなる群から選択される金属の酸化物、水酸化物またはフッ化物あるいはこれらの組み合わせである、[4]に記載の塗装金属素形材の製造方法。
また、本発明は、以下の複合体およびその製造方法に関する。
[6][1]〜[3]のいずれか一項に記載の塗装金属素形材と、前記塗装金属素形材の表面に接合された、無機フィラーを含む熱可塑性樹脂組成物の成形体と、を有する、複合体。
[7]前記無機フィラーは、ガラス繊維、セラミックス繊維、金属繊維、炭素繊維または高分子高強力繊維である、[6]に記載の複合体。
[8]前記熱可塑性樹脂組成物は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂およびメタアクリル酸系樹脂からなる群から選択される1種または2種以上の有機樹脂を含む、[6]または[7]に記載の複合体。
[9]前記熱可塑性樹脂組成物の成形収縮率は、1.1%以下である、[6]〜[8]のいずれか一項に記載の複合体。
[10]金属素形材と熱可塑性樹脂組成物の成形体とが接合された複合体の製造方法であって、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の塗装金属素形材を準備するステップと、前記塗装金属素形材の表面に加熱された熱可塑性樹脂組成物を接触させて、前記塗装金属素形材の表面に前記熱可塑性樹脂組成物の成形体を接合するステップと、を含み、前記熱可塑性樹脂組成物は、無機フィラーを含む、複合体の製造方法。
本発明によれば、塗装金属素形材と熱可塑性樹脂組成物の成形体との間の密着性に優れる複合体、およびそれに使用される塗装金属素形材を提供することができる。
1.複合体
本発明に係る複合体は、本発明に係る塗装金属素形材と、本発明に係る塗装金属素形材の表面に接合された、無機フィラーを含む熱可塑性樹脂組成物の成形体とを有する。以下、本発明に係る複合体の各構成要素について説明する。
(1)塗装金属素形材
本発明に係る塗装金属素形材は、金属素形材と、金属素形材の表面に配置された有機樹脂層とを有する。塗装金属素形材は、金属素形材と有機樹脂層との間に化成処理皮膜が配置されていてもよい。以下、塗装金属素形材の各構成要素について説明する。
(金属素形材)
塗装基材となる金属素形材の種類は、特に限定されない。金属素形材の例には、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板、Zn−Al−Mg合金めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、ステンレス鋼板(オーステナイト系、マルテンサイト系、フェライト系、フェライト・マルテンサイト二相系を含む)、アルミニウム板、アルミニウム合金板、銅板などの金属板や、そのプレス加工品、あるいは、アルミダイカスト、亜鉛ダイカストなどの鋳造・鍛造物や、切削加工、粉末冶金などにより成形された各種金属部材などが含まれる。金属素形材は、必要に応じて、脱脂、酸洗などの公知の塗装前処理が施されていてもよい。
(化成処理皮膜)
前述のように、塗装金属素形材は、金属素形材と有機樹脂層との間に化成処理皮膜が配置されていてもよい。化成処理皮膜は、金属素形材の表面に配置されており、金属素形材と有機樹脂層の間の密着性および塗装金属素形材の耐食性を向上させる。化成処理皮膜は、金属素形材の表面のうち、少なくとも熱可塑性樹脂組成物の成形体と接合する領域(接合領域)に配置されていればよいが、金属素形材の表面全体に配置されていてもよい。
化成処理皮膜を形成する化成処理の種類は、特に限定されない。化成処理の例には、クロメート処理、クロムフリー処理、リン酸塩処理などが含まれる。化成処理によって形成された化成処理皮膜の付着量は、塗膜密着性および耐食性の向上に有効な範囲内であれば特に限定されない。たとえば、クロメート皮膜の場合、全Cr換算付着量が5〜100mg/mとなるように付着量を調整すればよい。また、クロムフリー皮膜の場合、Ti−Mo複合皮膜では10〜500mg/m、フルオロアシッド系皮膜ではフッ素換算付着量または総金属元素換算付着量が3〜100mg/mの範囲内となるように付着量を調整すればよい。また、リン酸塩皮膜の場合、0.1〜5g/mとなるように付着量を調整すればよい。
(有機樹脂層)
有機樹脂層は、金属素形材(または化成処理皮膜)の表面に配置されている、有機樹脂を主成分とする層である。有機樹脂層は、金属素形材(または化成処理皮膜)の表面のうち、少なくとも熱可塑性樹脂組成物の成形体と接合する領域(接合領域)に配置されている。有機樹脂層は、塗装金属素形材と熱可塑性樹脂組成物の成形体との密着性を向上させる。
本発明に係る塗装金属素形材は、有機樹脂層が後述する接合促進剤を含有することを一つの特徴とする。接合促進剤は、有機樹脂層による密着性向上効果を増強させる。
有機樹脂層は、有機樹脂を含む塗料を金属素形材(または化成処理皮膜)の表面に塗布し、加熱乾燥により、溶媒(水)を蒸発させることで形成される。
有機樹脂層を構成する有機樹脂の種類は、エマルションやアイオノマーなどになりうる水性の有機樹脂であれば特に限定されない。そのような樹脂の例には、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、これらの共重合体、およびこれらの変性物が含まれる。これらの有機樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
接合促進剤は、熱可塑性樹脂に含まれる無機フィラーに作用できる金属化合物である。接合促進剤は、無機フィラーに作用することで、有機樹脂層と熱可塑性樹脂組成物の成形体との接合強度を向上させる。たとえば、接合促進剤は、Ti、Zr、VおよびMoからなる群から選択される金属の酸化物、水酸化物またはフッ化物である。接合強度が向上するメカニズムは、不明であるが、無機フィラーの表面にシランカップリング剤が結合している場合、接合時の加熱によりシランカップリング剤が有機樹脂層中の接合促進剤とカップリングすることで、塗装金属素形材と熱可塑性樹脂組成物の成形体との接合強度が向上すること、などが考えられる。
有機樹脂層中の接合促進剤の量は、接合強度の観点からは、Ti:0.005質量%以上、Zr:0.05質量%以上、Mo:0.005質量%以上、V:0.02質量%以上が好ましい。また、有機樹脂層中の接合促進剤の量は、塗料の保管安定性の観点からは、Ti:0.6質量%未満、Zr:12.0質量%未満、Mo:3.0質量%未満、V:3.0質量%未満が好ましい。
また、塗料には、その他の成分として、防錆剤や、潤滑剤、消泡剤、架橋剤などを添加してもよい。
防錆剤は、本発明に係る塗装金属素形材および本発明に係る複合体の耐食性を向上させる。防錆剤の種類は、特に限定されない。防錆剤の例には、シリカゾル、リン酸化合物、チオール化合物、Cr、Hf、Nb、Ta、W、MgおよびCaからなる群から選択される金属の酸化物、水酸化物またはフッ化物が含まれる。
潤滑剤は、塗装金属素形材の表面におけるカジリの発生を抑制する。潤滑剤の種類は、特に限定されない。潤滑剤の例には、フッ素系やポリエチレン系、スチレン系、ポリプロピレン系などの有機ワックス、二硫化モリブデンやタルクなどの無機潤滑剤が含まれる。塗料中の潤滑剤の配合量は、有機樹脂100質量部に対して1〜20質量部の範囲内が好ましい。潤滑剤が1質量部未満の場合、カジリの発生を十分に抑制することができないおそれがある。一方、潤滑剤が20質量部超の場合、カジリの発生を抑制する効果に著しい向上は認められず、潤滑性が高すぎて取り扱い性が劣るおそれがある。
消泡剤は、塗料の調製時における気泡の発生を抑制する。消泡剤の種類および配合量は、特に限定されない。たとえば、既知のシリコーン系の消泡剤を適量添加すればよい。
架橋剤は、有機樹脂層の強度を向上させる。架橋剤の種類は、特に限定されない。架橋剤の例には、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メラミン系架橋剤、金属塩を有する架橋剤が含まれる。熱可塑性樹脂組成物の成形体を接合するためには、有機樹脂層が再溶融して熱可塑性樹脂組成物と相溶することが必要であるため、架橋剤の配合量は、有機樹脂層の再溶融を妨げない範囲で選択される。
有機樹脂層の厚みは、0.2μm以上であることが好ましい。有機樹脂層の厚みが0.2μm未満の場合、金属素形材の表面を有機樹脂層で均一に被覆することが難しくなる。これに伴い、金属素形材と熱可塑性樹脂組成物の成形体との間に微細な隙間が形成され、接合強度が低下してしまうおそれがある。一方、有機樹脂層の厚みの上限は、特に限定されないが、有機樹脂層の厚みは、10μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましい。有機樹脂層の厚みを10μm超としても、著しい性能向上を期待することができず、却って製造の観点およびコストの観点から不利である。
(非接合領域)
金属素形材の表面全面に熱可塑性樹脂組成物の成形体を接合させる必要が無い場合、金属素形材の表面は、熱可塑性樹脂組成物の成形体が接合される領域(接合領域)と、熱可塑性樹脂組成物の成形体が接合されない領域(非接合領域)とに分けられる。この場合、非接合領域の表面状態は、特に限定されない。たとえば、非接合領域の表面に前述の接合促進剤を含む有機樹脂層が配置されていてもよいし、配置されていなくてもよい。非接合領域の表面に前述の接合促進剤を含む有機樹脂層が配置されていない場合、非接合領域において金属素形材が露出していてもよいし、金属素形材の表面に意匠性や機能などを付加するための皮膜(例えば塗膜)が配置されていてもよい。
たとえば、金属素形材が金属板である場合、金属板の一方の面(接合領域)には前述の接合促進剤を含む有機樹脂層が配置されている。金属板の他方の面(非接合領域)には、意匠性の高い黒色塗膜が配置されていてもよいし、接合促進剤を含まない有機樹脂層(例えばポリエステル系樹脂層)が配置されていてもよい。また、金属板の他方の面(非接合領域)は、露出していてもよい。
(2)熱可塑性樹脂組成物の成形体
熱可塑性樹脂組成物の成形体は、無機フィラーを含み、塗装金属素形材の表面(より正確には、有機樹脂層の表面)に接合されている。熱可塑性樹脂組成物の成形体の形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択されうる。
熱可塑性樹脂組成物に主成分として含まれる有機樹脂の種類は、特に限定されない。たとえば、熱可塑性樹脂組成物に含まれる樹脂の例には、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂およびメタアクリル酸系樹脂が含まれる。これらの有機樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
熱可塑性樹脂組成物は、無機フィラーを含む。熱可塑性樹脂組成物に無機フィラーを配合することで、熱可塑性樹脂組成物の成形体の成形収縮率を低減させるとともに、剛性を向上させることができる。また、熱可塑性樹脂組成物に無機フィラーを配合することで、本発明に係る塗装金属素形材と熱可塑性樹脂組成物の成形体との密着性を向上させることもできる(実施例参照)。
無機フィラーの種類は、特に限定されず、既知の物質を使用することができる。無機フィラーの例には、ガラス繊維、セラミックス繊維、金属繊維、炭素繊維および高分子高強力繊維が含まれる。これらの無機フィラーは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。熱可塑性樹脂組成物におけるフィラーの含有量は、5〜60質量%の範囲内が好ましく、10〜40質量%の範囲内がより好ましい。
無機フィラーは、シランカップリング剤で表面処理されている。これにより、本発明に係る塗装金属素形材と熱可塑性樹脂組成物の成形体との密着性が向上すると考えられる。無機フィラーの表面を処理することで密着性が向上するメカニズムは、特に限定されない。一つのメカニズムとしては、前述のとおり、接合時の加熱によりシランカップリング剤が有機樹脂層中の接合促進剤とカップリングすることで、塗装金属素形材と熱可塑性樹脂組成物の成形体との密着性が向上することが考えられる。
熱可塑性樹脂組成物の成形収縮率は、1.1%以下であることが好ましい。熱可塑性樹脂組成物の成形収縮率は公知の方法で調整可能である。たとえば、熱可塑性樹脂組成物に無機フィラーを添加したり、熱可塑性樹脂組成物中における非結晶性樹脂の割合を増大させたりすることによって、熱可塑性樹脂組成物の成形収縮率を低減させることができる。
以上のように、本発明に係る複合体は、無機フィラーに作用できる金属化合物からなる接合促進剤の効果により、有機樹脂層と熱可塑性樹脂組成物とが強固に接合されているため、塗装金属素形材と熱可塑性樹脂組成物の成形体との密着性に優れている。
本発明に係る複合体の製造方法は、特に限定されない。たとえば、本発明に係る複合体は、次に説明する本発明に係る複合体の製造方法により製造されうる。
2.複合体の製造方法
本発明に係る複合体の製造方法は、(1)本発明に係る塗装金属素形材を準備する第1工程と、(2)塗装金属素形材の表面に加熱された熱可塑性樹脂組成物を接触させて、塗装金属素形材の表面に熱可塑性樹脂組成物の成形体を接合する第2工程と、を有する。以下、各工程について説明する。
(1)第1工程
第1工程では、本発明に係る塗装金属素形材を準備する。前述のとおり、本発明に係る塗装金属素形材は、有機樹脂や所定の接合促進剤などを含む塗料を金属素形材の表面に塗布し、乾燥させて、有機樹脂層を形成することで形成される。有機樹脂層を形成する前に、化成処理皮膜を形成してもよい。
金属素形材の表面に化成処理皮膜を形成する場合、化成処理皮膜は、金属素形材の表面に化成処理液を塗布し、乾燥させることで形成されうる。化成処理液の塗布方法は、特に限定されず、既知の方法から適宜選択すればよい。そのような塗布方法の例には、ロールコート法やカーテンフロー法、スピンコート法、スプレー法、浸漬引き上げ法などが含まれる。化成処理液の乾燥条件は、化成処理液の組成などに応じて適宜設定すればよい。たとえば、化成処理液を塗布した金属素形材を水洗することなく乾燥オーブン内に投入し、到達板温が80〜250℃の範囲内となるように加熱することで、金属素形材の表面に均一な化成処理皮膜を形成することができる。
有機樹脂層は、金属素形材(または化成処理皮膜)の表面に、前述の有機樹脂や接合促進剤などを含む塗料を塗布し、乾燥させることで形成される。塗料の塗布方法は、特に限定されず、既知の方法から適宜選択すればよい。そのような塗布方法の例には、ロールコート法やカーテンフロー法、スピンコート法、スプレー法、浸漬引き上げ法などが含まれる。乾燥方法は、特に限定されず、塗膜中の溶媒(水)を揮散させればよい。乾燥温度は、特に限定されないが、乾燥時の到達板温が250℃以下であって、かつ有機樹脂の融点以上であることが好ましい。到達板温を250℃以下とすることで金属素形材(または化成処理皮膜)の表面に隙間なく密着した有機樹脂層を形成することができる。また、乾燥温度を有機樹脂の融点以上とすることで、エマルションに含まれる有機樹脂の粒子が溶融し、有機樹脂が皮膜状になりやすい。また、乾燥時間も特に限定されない。乾燥温度が低い場合、乾燥時間を長くすることで、金属素形材(または化成処理皮膜)の表面に隙間なく密着した有機樹脂層を形成することができる。一方、乾燥温度が高い場合、乾燥オーブンなどを用いて乾燥時間を短くすることで、有機樹脂の分解を抑制しつつ、金属素形材(または化成処理皮膜)の表面に隙間なく密着した有機樹脂層を形成することができる。
前述のとおり、有機樹脂層は、金属素形材(または化成処理皮膜)の表面のうち、少なくとも熱可塑性樹脂組成物の成形体と接合する領域(接合領域)に形成される。金属素形材(または化成処理皮膜)の表面のうち、熱可塑性樹脂組成物の成形体が接合されない領域(非接合領域)には、接合領域と同じ有機樹脂層が形成されてもよいし、接合領域と異なる有機樹脂層が形成されてもよいし、有機樹脂層が形成されなくてもよい。
(2)第2工程
第2工程では、塗装金属素形材の表面に加熱された熱可塑性樹脂組成物を接触させて、塗装金属素形材の表面に熱可塑性樹脂組成物の成形体を接合する。前述のとおり、熱可塑性樹脂組成物は、無機フィラーを含む。塗装金属素形材は、プレス加工などにより所望の形状に加工されていてもよい。
たとえば、第1工程で準備した本発明に係る塗装金属素形材を射出成形金型の内部に挿入した後、射出成形金型の内部に溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を高圧で射出すればよい。このとき、射出成形金型にガス抜きを設けて、熱可塑性樹脂組成物が円滑に流れるようにすることが好ましい。溶融状態の熱可塑性樹脂組成物は、金属素形材の表面に形成された有機樹脂層と相溶する。このとき、射出成形金型の温度は、熱可塑性樹脂組成物の融点近傍であることが好ましい。また、射出成形により得られた複合体は、成形後にアニール処理をして、成形収縮による内部歪みを解消してもよい。
また、第1工程で準備した本発明に係る塗装金属素形材と、熱可塑性樹脂組成物とを熱圧着プレス機内にセットした後、これらの塗装金属素形材および熱可塑性樹脂組成物に熱および圧力を加えてもよい。このとき、加熱および加圧を、塗装金属素形材および熱可塑性樹脂組成物の全部に対して行ってもよいし、一部に行ってもよい。少なくとも、塗装金属素形材および熱可塑性樹脂組成物の接合面に対して、加熱および加圧を行うことが必要である。加熱および加圧された有機樹脂層の一部と熱可塑性樹脂組成物の一部は、溶融して相溶する。塗装金属素形材および熱可塑性樹脂組成物を加熱する方法および加圧する方法は、特に限定されない。加熱方法の例には、ヒーター加熱、電磁誘導加熱、超音波加熱が含まれる。加圧方法の例には、人力による加圧、バイスなどを用いた加圧が含まれる。
以上の手順により、本発明に係る塗装金属素形材の表面に熱可塑性樹脂組成物の成形体を接合させて、本発明に係る複合体を製造することができる。
以下、本発明について、金属素形材として金属板を用いた場合の実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
1.塗装金属板の作製
(1)金属板
塗装原板として、ステンレス鋼板、溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板、溶融Alめっき鋼板、溶融Znめっき鋼板および電気Znめっき鋼板を準備した。
A.ステンレス鋼板
ステンレス鋼板として、板厚が0.8mmのSUS430、No.4仕上げ材を準備した。
B.溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板
溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板として、片面あたりのめっき付着量が45g/mの溶融Zn−6質量%Al−3質量%Mg合金めっき鋼板を準備した。基材鋼板は、板厚が0.8mmの冷間圧延鋼板(SPCC)である。
C.溶融Alめっき鋼板
溶融Alめっき鋼板として、片面あたりのめっき付着量が45g/mの溶融Al−9質量%Si合金めっき鋼板を準備した。基材鋼板は、板厚が0.8mmの冷間圧延鋼板(SPCC)である。
D.溶融Znめっき鋼板
溶融Znめっき鋼板として、片面あたりのめっき付着量が45g/mの合金化溶融Znめっき鋼板を準備した。基材鋼板は、板厚が0.8mmの冷間圧延鋼板(SPCC)である。
E.電気Znめっき鋼板
電気Znめっき鋼板として、片面あたりのめっき付着量が20g/mの電気Znめっき鋼板を準備した。基材鋼板は、板厚が0.8mmの冷間圧延鋼板(SPCC)である。
(2)塗料の調製
有機樹脂のエマルション、ポリエチレンワックスおよびエポキシ系架橋剤を水に添加して、不揮発成分が20%の有機樹脂塗料を調製した。得られた有機樹脂塗料に、接合促進剤、防錆剤および消泡剤をさらに添加して、26種類の塗料を調製した(表1〜4参照)。
A.有機樹脂のエマルション
有機樹脂のエマルションとして、ウレタン系樹脂のエマルション、ポリプロピレン(PP)系樹脂のエマルションまたはアクリル系樹脂のエマルションを添加した。ウレタン系樹脂のエマルションとしては、市販のポリウレタン樹脂エマルション(アデカボンタイターHUX−232;株式会社ADEKA)を使用した。ポリプロピレン系樹脂のエマルションとしては、市販の酸変性ポリプロピレン樹脂エマルション(ハードレンNZ−1005;東洋紡株式会社)を使用した。アクリル系樹脂のエマルションとしては、市販のアクリル樹脂エマルション(ボンコートCF−6140;DIC株式会社)を使用した。
B.接合促進剤
接合促進剤として、Ti化合物、Zr化合物、V化合物、Mo化合物またはこれらの組み合わせを添加した。Ti化合物としては、(NHTiF(森田化学工業株式会社)を使用した。Zr化合物としては、(NHZrO(CO(第一稀元素化学工業株式会社)を使用した。V化合物としては、V(太陽鋼工株式会社)を使用した。Mo化合物としては、(NHMo24・4HO(キシダ化学株式会社)を使用した。
C.防錆剤
防錆剤として、P化合物、PおよびMgを含む化合物、SiO化合物またはこれらの組み合わせを添加した。P化合物としては、(NHHPO(キシダ化学株式会社)を使用した。PおよびMgを含む化合物としては、MgHPO・3HO(キシダ化学株式会社)を使用した。SiO化合物としては、シリカゾル(スノーテックス−N、日産化学株式会社)を使用した。
D.架橋剤
架橋剤として、市販のエポキシ系架橋剤(HUX−XW3;株式会社ADEKA)を、樹脂合計質量に対して3.0質量%添加した。
E.ポリエチレンワックス
ポリエチレンワックスとして、市販のポリエチレンワックス(E−9015;東邦化学工業株式会社)を、樹脂合計質量に対して3.0質量%添加した。
F.消泡剤
消泡剤として、市販のシリコーン系消泡剤樹脂(KM−73;信越化学工業株式会社)を、樹脂合計質量に対して0.05質量%添加した。
(3)塗料の安定性の評価
調製した26種類の塗料について、保管安定性を評価した。密閉容器に入れた各塗料を40℃恒温槽中で保管し、処理液の状態を観察した。各塗料について、30日以上安定であったものを「○」、30日未満で増粘あるいは固化したものを「×」と評価した。
(4)接合領域への有機樹脂層の形成
塗装原板を液温40℃、pH12のアルカリ脱脂水溶液(SD−270;日本ペイント株式会社)に1分間浸漬して、表面を脱脂した。次いで、脱脂した塗装原板の一方の面(接合領域)に、上記(2)で調製した塗料をロールコータ−で塗布し、到達板温が150℃となるように、熱風乾燥機で乾燥させて、有機樹脂層を形成した。
(5)非接合領域への有機樹脂層の形成
接合領域に有機樹脂層を形成した後、脱脂されている塗装原板の他方の面(非接合領域)に塗料をロールコータ−で塗布し、到達板温が150℃となるように、熱風乾燥機で乾燥させて、有機樹脂層を形成した。塗料としては、上記(2)で調製した塗料、黒色顔料としてカーボンブラックを含むポリエステル系樹脂塗料(黒色塗料)、顔料を含まないポリエステル系樹脂塗料(透明塗料)、または顔料を含まないアクリル系樹脂塗料(透明塗料)を使用した。
表1〜4に、塗装原板の種類、接合領域に形成した有機樹脂層に含まれる有機樹脂、接合促進剤および防錆剤の種類および量、接合領域に形成した有機樹脂層の膜厚、塗料の保管安定性の評価結果、ならびに非接合領域に形成した有機樹脂層の種類および膜厚を示す。No.1で接合領域に塗布された塗料とNo.2で接合領域に塗布された塗料は同一である。なお、(NHTiFは、有機樹脂層中ではTiFの状態で存在していると考えられる。(NHZrO(COは、有機樹脂層中ではZrOの状態で存在していると考えられる。Vは、有機樹脂層中ではVの状態で存在していると考えられる。(NHMo24・4HOは、有機樹脂層中ではMoOまたはMo21の状態で存在していると考えられる。
Figure 0006080807
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Figure 0006080807
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表1〜4に示されるように、塗装金属板No.1〜10,12〜27は金属化合物からなる接合促進剤の含有量が、Ti:0.6質量%未満、Zr:12.0質量%未満、Mo:3.0質量%未満、V:3.0質量%未満であったため、処理液保管安定性が良好であった。一方、塗装金属板No.11は、接合促進剤の含有量がTi:0.6質量%、Zr:12.0質量%、Mo:3.0質量%を超えていたため、処理液保管安定性が劣っていた。
2.複合体の作製と評価
(1)塗装金属板
表1〜4に示される27種類の塗装金属板を作製した。
(2)熱可塑性樹脂組成物
熱可塑性樹脂組成物として、ポリエチレン(PE)系樹脂組成物、ポリプロピレン(PP)系樹脂組成物、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂組成物、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂組成物、ポリアセタール(POM)系樹脂組成物、ポリアミド(PA)系樹脂組成物、ポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂組成物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)系樹脂組成物およびポリカーボネート(PC)系樹脂組成物を準備した。
PE系樹脂組成物としては、ガラス繊維を5質量%含有するニポロンハード1000(成形収縮率:1.1、東ソー株式会社)を使用した。PP系樹脂組成物としては、ガラス繊維を30質量%含有するプライムポリプロR−350G(成形収縮率:0.2、株式会社プライムポリマー)と、ガラス繊維を含有しないノバテックBC06C(成形収縮率:1.3、日本ポリプロ株式会社)を使用した。
PET系樹脂組成物としては、ガラス繊維を35質量%含有するライナイト935(成形収縮率:0.4、デュポン株式会社)を使用した。PBT系樹脂組成物としては、ガラス繊維を40質量%含有するノバデュラン5710F40(成形収縮率:0.3、三菱エンジニエリングプラスチックス株式会社)と、ガラス繊維を含有しないノバデュラン5010R3(成形収縮率:1.5、三菱エンジニエリングプラスチックス株式会社)を使用した。
ポリアセタール(POM)系樹脂組成物は、ガラス繊維を30質量%含有するジュラコンGH−25D(成形収縮率:1.5、ポリプラスチックス株式会社)を使用した。ポリアミド(PA)系樹脂組成物は、ガラス繊維を50質量%含有するアミランCM3511G50(成形収縮率:0.2、東レ株式会社)を使用した。
ポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂組成物は、ガラス繊維を40質量%含有するフォートロン1140T11(成形収縮率:0.3、ポリプラスチックス株式会社)を使用した。アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)系樹脂組成物は、ガラス繊維を20質量%含有するエクセロイCK−10G20(成形収縮率:0.1、テクノポリマー株式会社)を使用した。ポリカーボネート(PC)系樹脂組成物は、ガラス繊維を30質量%含有するユーピロンGSH2030FT(成形収縮率:0.2、三菱エンジニエリングプラスチックス株式会社)を使用した。
なお、各熱可塑性樹脂組成物中のガラス繊維は、シランカップリング剤で表面処理されたものである。
(3)塗装金属板と熱可塑性樹脂組成物の成形体との接合
表5に示される組み合わせで、塗装金属板と熱可塑性樹脂組成物の成形体とを接合して、塗装金属板と熱可塑性樹脂の成形体との複合体を作製した。
射出成形金型に塗装金属板を挿入し、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を射出成形金型内に射出した。射出成形金型内の熱可塑性樹脂組成物を流入させる部分の容積は、幅30mm×長さ100mm×厚さ4mmであり、幅30mm×長さ30mmの領域で塗膜と熱可塑性樹脂組成物とが接触している。熱可塑性樹脂組成物を射出成形金型内に射出した後、冷却固化させて、塗装金属板と熱可塑性樹脂の成形体との複合体を得た。
(4)複合体の接合力の評価
上記(3)で得られた各複合体について、塗装金属板および熱可塑性樹脂組成物の成形体を引っ張り、破断したときの強さ(剥離強度)を測定した。塗装金属板および熱可塑性樹脂組成物の成形体は、接合面と平行でかつ互いに反対向きの方向に、100mm/分の速度で引っ張った。剥離強度が1.0kN未満の場合を「×」、剥離強度が1.0kN以上であって1.5kN未満の場合を「△」、剥離強度が1.5kN以上であって2.0kN未満の場合を「○」、剥離強度が2.0kN以上の場合を「◎」と評価した。各複合体の接合力(剥離強度)の測定結果および評価結果を表5に示す。
Figure 0006080807
有機樹脂層の厚みが0.2μm以上であり、有機樹脂層が無機フィラーに作用できる金属化合物からなる接合促進剤を含み、かつ熱可塑性樹脂組成物が無機フィラーを含む、実施例1〜21に係る複合体では、接合力が1.5kN以上と良好であった。
一方、比較例1〜3に係る複合体は、熱可塑性樹脂組成物中に無機フィラーが含有されていないため、接合力が劣っていた。また、比較例4に係る複合体は、有機樹脂層の膜厚が0.2μm未満であったため、接合力が劣っていた。また、比較例5〜9に係る複合体は、有機樹脂層中に接合促進剤が含有されていないため、接合力が劣っていた。特に、比較例7に係る複合体では、有機樹脂層中に接合促進剤が含有されておらず、かつ熱可塑性樹脂組成物中に無機フィラーが含有されていないため、塗装金属素形材と熱可塑性樹脂組成物の成形体とが接合されなかった。
本発明の塗装金属素形材を含む複合体は、塗装金属素形材と熱可塑性樹脂組成物の成形体との密着性が優れているため、例えば各種電子機器、家庭用電化製品、医療機器、自動車車体、車両搭載用品、建築資材などに好適に用いられる。

Claims (13)

  1. シランカップリング剤で表面処理された無機フィラーを含む熱可塑性樹脂組成物の成形体と接合されうる塗装金属素形材であって、
    金属素形材と、
    前記金属素形材の上に配置され、厚みが0.2μm以上の有機樹脂層と、を有し、
    前記有機樹脂層は、シランカップリング剤とカップリングできる金属化合物からなる接合促進剤を含
    前記有機樹脂層を構成する有機樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、これらの共重合体およびこれらの変性物からなる群から選択される1種または2種以上の組み合わせである、
    塗装金属素形材。
  2. 前記接合促進剤は、Ti、Zr、VおよびMoからなる群から選択される金属の酸化物、水酸化物またはフッ化物あるいはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の塗装金属素形材。
  3. 前記接合促進剤は、Ti、ZrおよびMoからなる群から選択される金属の酸化物、水酸化物またはフッ化物あるいはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の塗装金属素形材。
  4. 前記有機樹脂層の厚みは、3μm以下である、請求項1に記載の塗装金属素形材。
  5. シランカップリング剤で表面処理された無機フィラーを含む熱可塑性樹脂組成物の成形体と接合されうる塗装金属素形材の製造方法であって、
    金属素形材の上に、有機樹脂と、シランカップリング剤とカップリングできる金属化合物からなる接合促進剤とを含む塗料を塗布し、乾燥させて、厚みが0.2μm以上の有機樹脂層を形成する工程を含
    前記有機樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、これらの共重合体およびこれらの変性物からなる群から選択される1種または2種以上の組み合わせである、
    塗装金属素形材の製造方法。
  6. 前記接合促進剤は、Ti、Zr、VおよびMoからなる群から選択される金属の酸化物、水酸化物またはフッ化物あるいはこれらの組み合わせである、請求項に記載の塗装金属素形材の製造方法。
  7. 前記接合促進剤は、Ti、ZrおよびMoからなる群から選択される金属の酸化物、水酸化物またはフッ化物あるいはこれらの組み合わせである、請求項5に記載の塗装金属素形材の製造方法。
  8. 前記有機樹脂層の厚みは、3μm以下である、請求項5に記載の塗装金属素形材の製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の塗装金属素形材と、
    前記塗装金属素形材の表面に接合された、シランカップリング剤で表面処理された無機フィラーを含む熱可塑性樹脂組成物の成形体と、
    を有する、複合体。
  10. 前記無機フィラーは、ガラス繊維、セラミックス繊維、金属繊維、炭素繊維または高分子高強力繊維である、請求項に記載の複合体。
  11. 前記熱可塑性樹脂組成物は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂およびメタアクリル酸系樹脂からなる群から選択される1種または2種以上の有機樹脂を含む、請求項に記載の複合体。
  12. 前記熱可塑性樹脂組成物の成形収縮率は、1.1%以下である、請求項に記載の複合体。
  13. 金属素形材と熱可塑性樹脂組成物の成形体とが接合された複合体の製造方法であって、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の塗装金属素形材を準備するステップと、
    前記塗装金属素形材の表面に加熱された熱可塑性樹脂組成物を接触させて、前記塗装金属素形材の表面に前記熱可塑性樹脂組成物の成形体を接合するステップと、を含み、
    前記熱可塑性樹脂組成物は、シランカップリング剤で表面処理された無機フィラーを含む、
    複合体の製造方法。
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