JP6080011B2 - 鉄製加工物の錆除去方法およびその装置 - Google Patents
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Description
従来、この錆の除去にはサンドブラストや酸洗処理が行われていたが、上記錆は鉄製加工物の表面全体に一様に発生し、穴が加工されている場合には当該穴の内部表面にも発生することから、錆の除去には非常に手間がかかるという問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は特にサーマルデバリング処理に伴なって鉄製加工物の表面全体に一様に発生した錆に対して、手間をかけず容易に除去することを可能にする鉄製加工物の錆除去方法およびその装置を提供するものである。
水素雰囲気中に上記錆の発生した鉄製加工物を搬入して、当該鉄製加工物を表面温度が750℃以上850℃未満の所定温度となるまで加熱し、その後、水素雰囲気中で冷却することを特徴としている。
錆の発生した鉄製加工物を搬送する搬送手段と、上記搬送手段の搬送経路に沿って設けたトンネル状構造体と、トンネル状構造体の内部空間に水素を供給する水素供給手段と、上記トンネル状構造体の内部空間に設定した加熱領域で上記鉄製加工物を加熱する加熱手段と、上記内部空間における上記加熱領域に続いて設定した冷却領域で鉄製加工物を冷却する冷却手段を設け、
上記水素供給手段は上記トンネル状構造体の加熱領域および冷却領域に水素を充満させ、上記加熱領域において上記鉄製加工物を表面温度が750℃以上850℃未満の所定温度となるまで加熱し、上記冷却領域において当該鉄製加工物を冷却することを特徴としている。
すなわち、水素雰囲気中において鉄製加工物を加熱することにより、当該鉄製加工物の表面全体に水素を作用させ還元作用によって錆を除去することができる。
その際、水素が接触する表面全体が一様に還元されるので、例えば、穴などの複雑な形状部分に対しても、容易に錆を除去することができる。
上記鉄製加工物1は炭素を含有する鋳鉄製であり、フライス盤等によって一部の表面が切削加工され、また複数の穴1aが穿設されている。そしてこの鉄製加工物1は上記サーマルデバリング処理によって、切削加工や穴加工によって発生したバリが除去されている。
具体的に説明すると、上記サーマルデバリング処理を行うサーマルデバリング装置は、上記特許文献1に記載されている通り、鉄製加工物1を収容したチャンバに可燃性ガスと酸素との混合ガスを充満させ、この混合ガスを爆発させて上記鉄製加工物1のバリを燃焼させて除去するようになっている。
このようなサーマルデバリング処理を行うと、燃焼によって鉄製加工物1の表面全体が錆に覆われてしまう場合がある。この錆は、大気中で自然に発生する錆のように、部分的で腐食の度合も様々な錆とは異なり、酸素濃度の高い雰囲気中で、酸素が触れる表面全体に一様に発生するという特徴がある。
搬送手段3は、上記鉄製加工物1を載置する部分がネット状の無端状のネットコンベヤであり、鉄製加工物1との接触が極力小さくなるようになっている。
また搬送手段3における鉄製加工物1を搬送する上部走行部分は、鉄製加工物1を斜め上方に搬送する上り傾斜部3aと、この上り傾斜部3aに連続して形成された平坦部3bと、この平坦部3bに連続して形成されて鉄製加工物1を斜め下方に搬送する下り傾斜部3cとから構成されている。
上記搬入口4aおよび搬出口4bの開口部の上縁は、上記搬送手段3の平坦部3bの搬送面よりも下方に位置しており、これによりトンネル状構造体4の内部空間に供給された水素は、空気よりも軽いため開口部より高い平坦部3bに充満するようになっている。
また、上記搬入口4aおよび搬出口4bはそれぞれ開閉扉9、10によって開閉可能となっており、鉄製加工物1の高さに合わせて開閉扉9、10の開放量を調整することで、上記搬入口4aおよび搬出口4bの開口面積を最小限とし、これにより水素の流出および外気の流入を抑えるようになっている。
上記トンネル状構造体4における加熱領域Hの部分は、セラミック等からなる炉心管によって構成されており、その天井部分には上記水素供給手段5から水素を供給する供給管5aが接続されている。
上記加熱領域Hに設けられた加熱手段6は、上記炉心管を加熱するセラミックヒータ6aからなり、炉心管を加熱することで当該加熱領域Hを搬送される鉄製加工物1を加熱するようになっている。
上記加熱領域Hの長さは、上記搬送手段3によって鉄製加工物1が加熱領域Hを通過するまでの間に、当該鉄製加工物1の表面温度が750℃以上850℃未満の所定温度となるまで加熱するために十分な長さを有している。
なお、鉄製加工物1の表面温度が上記所定温度に到達するまでの時間は、鉄製加工物1の大きさや形状等によって異なるため、上記制御手段8によって搬送手段3の搬送速度を調節し、加熱領域Hを通過する間に所定温度に到達させるようになっている。
上記冷却手段7は、平坦部3bに対応するトンネル状構造体4の外周面に沿って配設された冷却水パイプ7cと、当該冷却水パイプ7cに冷却水を循環させる図示しない冷却水供給手段とから構成されている。
上記冷却水パイプ7cに冷却水を循環させることで、当該冷却領域Cに位置するトンネル状構造体4が冷却されて内部空間が冷却され、これにより当該冷却領域Cを搬送される鉄製加工物1を冷却するようになっている。
また、上記トンネル状構造体4における冷却領域Cのうち上記下り傾斜部3cが位置する部分では、水素雰囲気中で自然放熱によってさらに鉄製加工物1を冷却させることが可能となっている。
この場合、サーマルデバリング装置から搬出される鉄製加工物1を搬送手段3に供給する供給手段を設けることで、サーマルデバリング処理が行われた鉄製加工物1を連続的に錆除去装置2によって処理するよう、一連のシステムとして構成することができる。
鉄製加工物1は、上記搬入口4aよりトンネル状構造体4の内部に搬入され、上り傾斜部3aを搬送された後、平坦部3bの位置に形成された加熱領域Hを所定速度で搬送される。
これにより、鉄製加工物1を表面温度が750℃以上850℃未満の所定温度となるまで加熱する。本実施例では、搬送手段3による搬送速度を100mm/minに設定し、セラミックヒータ6aの加熱温度を850℃に設定することで、約40分かけて表面温度が825℃程度に達するよう鉄製加工物1を加熱している。
具体的には、上記冷却領域Cにおいて平坦部3bを移動する間に、鉄製加工物1は、約20分かけて表面温度が400℃程度となるまで冷却される。
その後、下り傾斜部3cを搬送される間にさらに表面温度が冷却されてトンネル状構造体4の搬出口4bより排出される。
また錆が除去された鉄製加工物1は、加熱領域を通過した直後はその表面温度が高い状態を維持しており、そのまま大気に触れると大気中の酸素で再び酸化されるため、当該鉄製加工物1を水素の充満された冷却領域Cにおいて高温酸化の影響が低い500℃以下まで冷却することで、高温酸化による鉄製加工物1の再酸化を防止するようにしている。
図2、図3は本発明による錆除去方法についての比較検証結果を説明する写真であり、図2は錆除去装置2による処理後の鉄製加工物1の写真を示し、図3は鉄製加工物1の内部組成の拡大写真を示している。また本実験で用いた鉄製加工物1は鋳鉄製となっている。
図2においては、上記加熱領域Hにおいて鉄製加工物1をそれぞれ表面温度が700℃(a)、780℃(b)、825℃(c)となるまで加熱し、その後冷却領域Cにおいて冷却を行った場合の外観写真を示している。
図2に示すように鉄製加工物1の外観を目視にて確認したところ、(a)の700℃まで加熱した鉄製加工物1は、表面全体が黒色となっており、還元が不十分であったことが分る。
これに対し、(b)の780℃まで加熱した鉄製加工物1は、やや黒色であるが、表面全体から錆は除去されており、(c)の825℃まで加熱した鉄製加工物1では、錆が十分に除去されており、表面の色もサーマルデバリング処理前のものと比べて遜色はない。また、いずれも加工穴内の錆も除去されていることが確認できた。
図3に示す鉄製加工物1の内部組成を確認したところ、鋳鉄の組成として特徴的な芋虫状や球状の黒鉛について、(a)の780℃まで加熱した鉄製加工物1では、(d)の処理前の鉄製加工物1と比較してほぼ変わりなく残っていることが確認でき、内部組成の変化がほとんどないことが確認できた。これに対して、(b)の825℃まで加熱した鉄製加工物1では芋虫状の黒鉛が細くなっていることが認められる。
さらに、(c)の850℃まで加熱した鉄製加工物1では、(d)の処理前の鉄製加工物1と比較すると、芋虫状、球状とも明らかに黒鉛が減少しており、全体的に黒色に変化して著しい内部組成の変化が認められた。
上記鉄鋼材料の内部組成は、純鉄に微量の炭素が固溶したフェライトと、セメンタイト(鉄と炭素との化合物)およびフェライトが層状に形成されたパーライトと、これらの間に存在する芋虫状や球状をした黒鉛(炭素)とから構成され、特に鋳鉄は強度を有さない黒鉛を多く含有することで、材料に粘りを生じさせている。
上記鉄鋼材料を加熱すると、727℃(A1変態点)においてフェライトはオーステナイトに変態を開始し、911℃(A3変態点)において完全にオーステナイトに変態する。
オーステナイトはフェライトよりも多量の黒鉛を固溶できるため、フェライトがオーステナイトに変態する過程でオーステナイトに固溶して黒鉛が減少する。その後冷却するとオーステナイトは加熱時とは逆のプロセスでフェライトへと変態するが、上記オーステナイトに固溶した黒鉛(炭素)はセメンタイトとして析出するため、フェライトと層をなして、パーライトが増える。
このことは、(c)の850℃まで加熱した場合の写真に現われており、芋虫状や球状の黒鉛が減少し、パーライトが増加したため全体的に黒色に変化している。
このことから、加熱によりフェライトがオーステナイトに変態する過程において、850℃を超えると大きく組成が変化することが判明した。そこで本発明では表面温度の最高到達点を850℃未満と規定した。
一方で、還元度合や外観上の色合では、表面温度が700℃程度では加熱不足であり、800℃近くまで加熱することが効果的であるが、750℃以上であれば外観的にはやや黒色となるが、還元は十分である。
これによれば、外観上の効果を重視する場合は850℃近くの温度を選択すれば良く、内部組成の変化を嫌う場合は750℃まで温度を下げればよい。外観と内部組成の変化の影響を両立させるためには、780℃以上825℃以下の温度範囲での選択が有効である。
3 搬送手段 4 トンネル状構造体
5 水素ガス供給手段 6 加熱手段
7 冷却手段
Claims (4)
- 可燃性ガスと酸素との混合ガスを爆発させて、鉄製加工物のバリを燃焼させるサーマルデバリング処理に伴なって発生した錆を除去する鉄製加工物の錆除去方法において、
水素雰囲気中に上記錆の発生した鉄製加工物を搬入して、当該鉄製加工物を表面温度が750℃以上850℃未満の所定温度となるまで加熱し、その後、水素雰囲気中で冷却することを特徴とする鉄製加工物の錆除去方法。 - 上記水素雰囲気中での冷却において、上記鉄製加工物を表面温度が500℃以下となるまで冷却することを特徴とする請求項1に記載の鉄製加工物の錆除去方法。
- 上記鉄製加工物が鋳鉄製であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の鉄製加工物の錆除去方法。
- 可燃性ガスと酸素との混合ガスを爆発させて、鉄製加工物のバリを燃焼させるサーマルデバリング処理に伴なって発生した錆を除去する鉄製加工物の錆除去装置であって、
錆の発生した鉄製加工物を搬送する搬送手段と、上記搬送手段の搬送経路に沿って設けたトンネル状構造体と、トンネル状構造体の内部空間に水素を供給する水素供給手段と、上記トンネル状構造体の内部空間に設定した加熱領域で上記鉄製加工物を加熱する加熱手段と、上記内部空間における上記加熱領域に続いて設定した冷却領域で鉄製加工物を冷却する冷却手段を設け、
上記水素供給手段は上記トンネル状構造体の加熱領域および冷却領域に水素を充満させ、上記加熱領域において上記鉄製加工物を表面温度が750℃以上850℃未満の所定温度となるまで加熱し、上記冷却領域において当該鉄製加工物を冷却することを特徴とする鉄製加工物の錆除去装置。
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