JP6079947B1 - 離型シートおよび樹脂皮革 - Google Patents

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Abstract

基材と、上記基材上に、曲面を有する単位レンズが複数配置されてなるレンズ部を表面に備える離型層と、を有する離型シートを提供する。

Description

本開示は、離型シートおよび樹脂皮革に関する。特に、テカリが抑制された高光沢感を示し、観察領域に応じて光沢感の変化による意匠性を発現する樹脂皮革を簡便に製造することが可能な離型シート、および上述の意匠性を発現する樹脂皮革に関する。
合成皮革等の樹脂皮革は、表面に剥離性を持つ離型シート上に、原料となる樹脂組成物を塗工して硬化した後に、上記離型シートを剥離することで製造することができ、樹脂組成物により形成される表皮層により、天然皮革に似た質感や色あい等を有する。
近年では、樹脂皮革に対して光学的な意匠性が求められており、この様な樹脂皮革を製造するために、離型シートに様々な工夫が検討されている。例えば、特許文献1および2では、表面にホログラム状の微細凹凸形状を有する離型シートが提案されており、このような離型シートを用いて製造される合成皮革は、表皮層に付されたホログラム状の微細凹凸形状により、観察する角度に応じて虹色の光沢を出すことが可能である。
なお、本明細書内において、樹脂皮革とは、樹脂により形成された天然皮革を疑似した皮革であり、合成皮革および人工皮革の総称とする。
特開平4−361671号公報 特開2010−253779号公報
特許文献1および2で開示される技術は、樹脂皮革に対して光沢色の変化による意匠性の向上を可能とするが、一方で、光沢色の変化によらず、観察領域に応じて光沢度の高低の変化(光沢感の変化)により意匠性を発現する樹脂皮革、具体的には、ある観察角度の範囲内(観察領域とする。)では、樹脂皮革本来の色を呈しつつ高光沢感を帯びて視認されるが、それ以外の観察領域ではそのような光沢感が視認されないといった意匠性を発現する樹脂皮革の要求がある。また、光沢感を高めようとすると、表面が強く光ることで眩しく感じるといったテカリも生じることとなり、樹脂皮革本来の光沢とは異なる光沢感を発現してしまう。このため、樹脂皮革の意匠性として、テカリが抑えられた高光沢感の要求もあり、これらの意匠性を有する樹脂皮革を製造可能な離型シートが求められる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、テカリが抑制された高光沢感を示し、観察領域に応じて光沢感の変化による意匠性を発現する樹脂皮革を簡便に製造することが可能な離型シート、および、テカリが抑制された高光沢感を示し、観察領域に応じて光沢感の変化による意匠性の発現が可能な樹脂皮革を提供することを主目的とする。
上述の意匠性を備える樹脂皮革を実現すべく、本発明者が鋭意検討を行った結果、曲面状の単位レンズを複数表面に備える離型シートを用いることで、得られる樹脂皮革は、その表面に賦型される、単位レンズの反転形状である複数の単位レンズ形状により、樹脂皮革表面にて生じる反射光の鏡面反射成分および拡散反射成分の散乱強度の分布(以下、反射光の散乱分布と称する場合がある。)を調整することが可能であることを見出した。そして、反射光の散乱分布を調整することにより、樹脂皮革は、観察領域に応じて光沢感の変化を生じさせること、およびテカリが抑えられた高光沢感の発現が可能であることを知見した。本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明の一実施形態は、基材と、上記基材上に、曲面を有する単位レンズが複数配置されてなるレンズ部を表面に備える離型層と、を有する離型シートを提供する。
本発明の一実施形態は、曲面を有する単位レンズを複数備えるレンズ部を表面に有し、上記単位レンズの曲率半径が、15μm以上150μm以下である離型シートを提供する。
本発明の一実施形態は、支持層と、上記支持層上に、曲面を有する単位レンズ形状が複数配置されてなるレンズ形状部を表面に備える樹脂表皮層と、を有する樹脂皮革を提供する。
本発明の一実施形態は、曲面を有する単位レンズ形状を複数備えるレンズ形状部を表面に有し、上記単位レンズ形状の曲率半径が、15μm以上150μm以下である樹脂皮革を提供する。
本発明の一実施形態に係る離型シートは、テカリが抑制された高光沢感を示し、観察領域に応じて光沢感の変化による意匠性を発現する樹脂皮革を簡便に製造することができるという効果を奏する。
また、本発明の一実施形態に係る樹脂皮革は、表面に備わる複数の単位レンズ形状により、テカリが抑制された高光沢感を示し、観察領域に応じて光沢感の変化による意匠性を発現することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る離型シートの一例を示す概略斜視図および断面図である。 本発明の一実施形態に係る離型シートの他の例を示す概略斜視図および断面図である。 反射面の形状による散乱光強度分布を説明する説明図である。 拡散角の定義を説明する説明図である。 単位レンズの断面形状を説明する説明図である。 本発明の一実施形態に係る離型シートの他の例を示す概略斜視図および断面図である。 散乱光強度分布曲線における散乱光強度が20%のときの散乱角と散乱光強度が80%のときの散乱角との差を説明する説明図である。 本発明の一実施形態に係る離型シートの他の例を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂皮革の一例を示す概略斜視図および断面図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂皮革の他の例を示す概略斜視図および断面図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂皮革の使用例を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
なお、以下において具体的な値を挙げる場合、その値は本実施形態が奏する効果を過度に損なわない程度に、製造に起因する誤差等を含んで理解される。また、「垂直」といった程度を示す語句も、上記と同様に本実施形態が奏する効果を過度に損なわない程度に、製造に起因する誤差等を含んで理解される。
A.離型シート
本発明の一実施形態に係る離型シート(以下、本実施形態に係る離型シートという場合がある。)は、基材と、上記基材上に、曲面を有する単位レンズが複数配置されてなるレンズ部を表面に備える離型層と、を有する。
本実施形態に係る離型シートについて、図を参照して説明する。図1(a)および図2(a)は本実施形態に係る離型シートの一例および他の例を示す概略斜視図であり、図1(b)および図2(b)は図1(a)および図2(a)のX−X線断面図である。離型シート10は、基材1と、基材1上に配置され、曲面を有する単位レンズ3aが複数配置されて成るレンズ部3を表面に備える離型層2と、を有する。
図1は、単位レンズ3aが離型層2表面から突出した凸曲面形状である例を示す。図2は、単位レンズ3aが離型層2表面から凹んだ凹曲面形状である例を示す。図1および図2は、レンズ部3がマイクロレンズアレイ形状を有している。
本実施形態に係る離型シートによれば、離型層表面に、曲面を有する単位レンズが複数配置されて成るレンズ部を有することから、所望の単位レンズ形状が複数配置されて成るレンズ形状部を表面に備える樹脂皮革を簡便に製造することができる。そして、本実施形態に係る離型シートにより得られる樹脂皮革は、上記レンズ形状部を備えることにより、樹脂皮革表面で生じる反射光の散乱分布が調整されるため、テカリが抑制された高光沢感を示し、観察領域に応じて光沢感の変化による意匠性を発現することができる。
ここで、本実施形態に係る離型シートが上述の構成を有することにより、得られる樹脂皮革が上述の意匠性を発現することが可能となる理由について、以下に説明する。
樹脂皮革に光が当たると、樹脂皮革の表面においては、入射角と同じ角度で反射する光成分(鏡面反射成分)と、ランダムな方向に反射して広範囲に拡散する光成分(拡散反射成分)とが生じる。
樹脂皮革の光沢度を高めるためには、一般的には、表面を平滑面にして鏡面反射成分の割合を大きくする手法が採用される。しかし、この手法では、樹脂皮革表面にて生じる反射光のうち鏡面反射成分が直接、観察者の目に入るため、樹脂皮革は、表面が強く光ることによるテカリも生じることとなり、樹脂皮革本来の光沢とは異なる光沢感を発現する。また、このとき、鏡面反射が起こる方向は、狭い角度領域内に限定されるため、樹脂皮革の光沢感の視認が可能となる観察領域も限られてしまう。
一方、樹脂皮革の表面に対してシボ加工、ブラスト、めっき等による表面処理を行いランダムな微細凹凸形状を付すと、樹脂皮革の表面にて生じる反射光のうち拡散反射成分の割合が増加するため、テカリの発生を抑えることができる。このとき、拡散反射は広範囲で起こるため、樹脂皮革の光沢感の視認が可能となる観察領域は、平滑面のときよりも広域となる。
しかし、拡散反射成分の割合が大きくなると、光沢度が低下し、また、拡散反射成分と鏡面反射成分との混合により、樹脂皮革は白みを帯びて視認される。
このような光沢感の違い、および高光沢感の視認が可能な領域の広狭は、樹脂皮革に所望の角度から入射した光の散乱光強度の異方性、および拡散角の大きさに起因すると推量される。
ここで、散乱光強度の異方性は、散乱角に対する散乱光強度分布の勾配の程度で説明することができる。また、拡散角は、散乱角に対する散乱光強度分布から定義することができる。拡散角は、図3で示すように、散乱角(θ)をX軸、散乱光強度(L)をY軸にとる散乱光強度分布曲線Px、Pyにおいて、散乱光強度Lが最大散乱光強度Lmaxの2分の1となる2つの散乱角θ1(Px)、θ1(Py)およびθ2(Px)、θ2(Py)の差(θ−θ)である半値幅FWHM(Px)、FWHM(Py)で定義される。例えば最大散乱光強度Lmaxの2分の1になる散乱角(θ)がθ=−10°からθ=+10°の範囲内であれば、拡散角は20°となる。なお、散乱光強度の測定方法の詳細については後述する。
平滑面にて生じる反射光は、鏡面反射成分が多いことから、図4(a)で示すように、散乱光強度分布曲線Pが急峻な勾配を有しており、散乱光強度の異方性が小さい。またこのとき、最大散乱光強度Lmaxの2分の1となる散乱角θの範囲が小さいため、算出される拡散角FWHMも小さくなる。一方、ランダムな微細凹凸形状面にて生じる反射光は、拡散反射成分が多いことから、図4(b)で示すように、散乱光強度分布曲線Pの勾配がなだらかであり、散乱光強度の異方性が大きい。またこのとき、最大散乱光強度Lmaxの2分の1となる散乱角θの範囲が大きいため、算出される拡散角FWHMは大きくなる。
つまり、散乱光強度分布曲線の勾配が急なほど、散乱光強度の異方性が小さくなり、樹脂皮革の光沢感が高くなる。一方、拡散角の範囲が広いほど、樹脂皮革の光沢感を視認可能となる観察領域を広域とすることができる。
本実施形態に係る離型シートにより得られる樹脂皮革は、上記離型シートの表面に備わる複数の曲面を有する単位レンズおよびその集合体であるレンズ部が転写されることで、曲面を有する複数の単位レンズ形状、およびその集合体であるレンズ形状部を表面に備えることとなる。そして樹脂皮革のレンズ形状部で生じる反射光は、平滑面による光学特性と微細凹凸形状面による光学特性との双方の特長を備えた散乱分布を示すことができる。
すなわち、レンズ形状部において生じる反射光は、図4(c)で示すように、散乱光強度分布曲線Pが急峻な勾配を有しており、散乱光強度の異方性が小さいが、最大散乱光強度Lmaxの2分の1となる散乱角θの範囲が大きいため、算出される拡散角FWHMは大きくなる。
このため、本実施形態に係る離型シートにより得られる樹脂皮革は、光沢感を視認可能となる観察領域が広域となる。また、上記樹脂皮革は、上記観察領域が拡散角の範囲内にあるときはテカリが抑えられた高光沢感を発現し、一方で、上記観察領域が拡散角の範囲から外れると、光沢感が急激に低下する。
このように、本実施形態に係る離型シートにより得られる樹脂皮革は、表面のレンズ形状部により反射光の散乱分布が調整されるため、テカリが抑制された光沢感を示し、観察領域に応じて光沢感の変化による意匠性を発現することができるのである。
本実施形態に係る離型シートは、離型層の表面に備わる複数の単位レンズの曲面形状、単位レンズの配置態様、およびその集合体であるレンズ部を設計することで、得られる樹脂皮革が所望の散乱分布を示すことを可能とする。
なお、本実施形態に係る離型シートを用いて得られる樹脂皮革が示す散乱分布については、後述する「B.樹脂皮革」の項で説明する。
本明細書内において、散乱光強度および散乱光強度分布曲線は、以下の方法により測定および描画することができる。散乱光強度は、三次元変角分光測色システム(GCMS−13型、株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて、対象面に対して入射角0°(すなわち、鉛直方向)の光を入射して、受光角度を−60°〜60°の範囲内、変角間隔1°の条件で、それぞれの散乱角に対する散乱光強度を測定することができる。そして、散乱角をX軸、散乱光強度をY軸にとり、各散乱角に対する散乱光強度の値をプロットすることで、散乱光強度分布曲線を描画することができる。
拡散角は、得られた散乱光強度分布曲線から、散乱光強度が最大散乱光強度の2分の1となる散乱角の差である半値幅を算出することで求められる。
本実施形態に係る離型シートにおいては、レンズ部を構成する複数の単位レンズが、上記離型層の表面に対して凸形状である場合、すなわち図1で示した様に、上記離型層の表面から上記基材側とは反対側に突出した凸形状である場合、得られる樹脂皮革は、表面に対して内側に凹んだ凹形状の単位レンズ形状を有することとなる。一方、レンズ部を構成する複数の単位レンズが、上記離型層の表面に対して凹形状である場合、すなわち図2で示した様に、上記離型層の表面から上記基材側に凹んだ形状である場合、得られる樹脂皮革は、表面から突出した凸形状の単位レンズ形状を有することとなる。
本実施形態に係る離型シートにおける単位レンズが凹形状であっても凸形状であっても、得られる樹脂皮革において、単位レンズ形状の凹凸の向きおよび焦点の位置、すなわち各単位レンズ形状の焦点が樹脂皮革の内部もしくは外部に位置するか、が異なるだけであり、どちらの場合であっても単位レンズ形状の曲面を利用して、上述した原理に基づいた反射光の散乱分布の調整が可能であり、得られる樹脂皮革において、テカリが抑制された高光沢感の発現および観察領域に応じた光沢感の変化を生じることができる。
以下、本実施形態に係る離型シートの各構成について説明する。
1.離型層
本実施形態に係る離型シートにおける離型層は、上記基材上に形成(配置)され、曲面を有する単位レンズが複数配置されてなるレンズ部を表面に備える。
以下、離型層の表面のうち、レンズ部を備える面を「(離型層の)レンズ部形成面」と称して説明する場合がある。
(1)レンズ部
上記離型層におけるレンズ部は、曲面を有する単位レンズが複数配置されてなる。
単位レンズは、表面に曲面を有すればよく、離型層のレンズ部形成面に対して凸形状であってもよく凹形状であってもよい。単位レンズが離型層のレンズ部形成面に対して凸形状である場合、単位レンズの焦点は上記離型層または上記基材の内部に位置することとなる。一方、単位レンズが離型層のレンズ部形成面に対して凹形状である場合、単位レンズの焦点は離型シートの離型層側の外側に位置することとなる。
中でも本実施形態においては、上記単位レンズが、上記離型層の表面に対して凸形状であることが好ましい。すなわち、単位レンズの焦点が上記離型層または上記基材の内部に位置することが好ましい。単位レンズが離型層の表面から外側に突出した凸形状を有することとなり、本実施形態に係る離型シートにより製造される樹脂皮革は、その表面に凹形状の単位レンズ形状が賦型されることになる。このため、得られる樹脂皮革は、その表面に賦型されたレンズ形状部により所望の意匠性を発現することが可能となるだけでなく、凸形状の単位レンズ形状が賦型される場合と比較して材料量の低減を図ることが可能となるからである。
上記単位レンズとしては、球面レンズであってもよく、非球面レンズであってもよい。
このような単位レンズとして、具体的には、マイクロレンズ、シリンドリカルレンズ、フレネルレンズ、トーリックレンズ等が挙げられる。
単位レンズの平面視形状は、特に限定されず、単位レンズの種類に応じて適宜設計される。例えば、円形、長方形や正方形等の四角形、多角形、三角形等が挙げられる。
また、単位レンズの厚さ方向の断面形状(以下、単に断面形状とする。)は、図5(a)で例示するように、単位レンズ3aの中心軸Yに対して対称形であってもよく、図5(b)で例示するように、単位レンズ3aの中心軸Yに対して非対称形であってもよく、本実施形態に係る離型シートにより得られる樹脂皮革に要求される意匠性に応じて適宜設計することができる。
例えば、複数の単位レンズの断面形状が全て対称形状であれば、得られる樹脂皮革において、各単位レンズ形状により発現される反射光の散乱分布も対称性を有することができる。すなわち、得られる樹脂皮革において、レンズ形状部により生じる反射光の散乱分布が対称となるため、単位レンズ形状の中心軸に対して対称関係にある2方向から視認すると同じ光沢感を示す。
一方、複数の単位レンズの断面形状が非対称形状であれば、得られる樹脂皮革において、各単位レンズ形状により発現される反射光の散乱分布も非対称性を有することができる。すなわち、得られる樹脂皮革において、レンズ形状部により生じる反射光の散乱分布が非対称となるため、レンズ形状の中心軸に対して対称関係にある2方向から視認すると、一方においては高光沢感を示すのに対し、他方においては低光沢感を示すことで、発現される意匠性を異ならせることができる。
なお、単位レンズの断面形状とは、単位レンズを幅方向から見た形状をいい、単位レンズの中心軸とは、単位レンズの幅の真ん中(図5中のO)を通る軸をいう。樹脂皮革におけるレンズ形状の中心軸についても同様に、レンズ形状の幅の真ん中を通る軸をいう。
単位レンズの幅としては、本実施形態に係る離型シートにより得られる樹脂皮革の表面において、反射光の散乱分布の調整が可能な大きさであればよく、例えば300μm以下が好ましく、中でも100μm以下、特に80μm以下であることが好ましい。また、上記幅は30μm以上であることが好ましい。単位レンズの幅が上記範囲よりも大きいと、本実施形態に係る離型シートにより得られる樹脂皮革の表面に備わる単位レンズ形状が目視されやすくなり、上記樹脂皮革の意匠性が損なわれる場合がある。一方、単位レンズの幅が上記範囲よりも小さいと、単位レンズおよびそれにより形成される樹脂皮革表面の単位レンズ形状による機能がほとんど変わらないにも関わらず、製造の難易度が上がる場合がある。
単位レンズの幅とは、図1(b)および図2(b)に例示するように、単位レンズの根元部分の幅Wをいう。例えば、マイクロレンズのように、単位レンズの平面視形状が円形である場合には、単位レンズの幅とは、円形の直径を指す。また、シリンドリカルレンズのように、単位レンズの平面視形状が四角形である場合には、単位レンズの幅は単位レンズの短手方向の長さを指す。
単位レンズの根元部分とは、隣接する単位レンズが間隔を設けずに配置される場合は、一方の単位レンズの輪郭から他方の単位レンズの輪郭に切り替わる部分をいい、隣接する単位レンズが間隔をおいて配置される場合は、平坦面から単位レンズの輪郭に切り替わる部分をいう。上記根元部分は、図1(b)および図2(b)においてCで示す部分である。隣り合う単位レンズ間の間隔が平坦でなく曲面になっている場合等は、単位レンズが延在する方向に垂直な断面における単位レンズの根元付近の外形線の変曲点を単位レンズの根元とすることができる。
単位レンズの厚さとしては、本実施形態に係る離型シートにより得られる樹脂皮革の表面において反射光の散乱分布の調整が可能な大きさであればよく、単位レンズの幅や形状等に応じて適宜調整される。
具体的には、単位レンズの厚さが、10μm〜150μmの範囲内であることが好ましく、さらに、15μm〜150μmの範囲内であることが好ましく、中でも15μm〜40μmの範囲内であることが好ましい。単位レンズの厚さが上記範囲よりも大きいと、離型シートの離型層の厚さよりも大きくなるため転写ができなくなる場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、単位レンズおよびそれにより形成される樹脂皮革表面の単位レンズ形状による機能がほとんど変わらないにも関わらず、製造の難易度が上がる場合がある。
ここで、単位レンズ厚さとは、凸形状の単位レンズであれば、根元部分から最頂部までの長さをいい、凹形状の単位レンズであれば、根元部分から最底部までの長さをいい、図1(b)および図2(b)においてDで示す部分である。
単位レンズは、本実施形態に係る離型シートにより得られる樹脂皮革において反射光の散乱分布の調整が可能な曲面を有していればよく、単位レンズの形状等に応じて適宜設定することができる。単位レンズが曲面を有するとは、単位レンズの曲率半径が15μm〜150μmの範囲内(15μm以上150μm以下)であればよく、中でも15μm〜40μmの範囲内(15μm以上40μm以下)であることが好ましい。単位レンズの断面形状が非対称形状であれば、もっとも曲率が小さくなる部分での曲率半径が上記の範囲内であることが好ましい。
上記単位レンズの表面は、少なくとも一部に上述の曲率半径を示す曲面を有していればよく、上記表面の一部に平坦面を含んでいてもよい。
上記の単位レンズの幅、厚さ、曲率半径は、レーザー顕微鏡、AFM、SEM等によって断面プロファイルを取得することで計測することができる。例えば、レーザー顕微鏡(OLYMPUS社製 OLS4000)を用いて、撮影モードのレーザー顕微鏡観察によって高さデータを取得し、測定モードで断面プロファイルを表示してカーソルを合わせることで、単位レンズの幅、厚さ、曲率半径を算出することができる。
レンズ部は、複数の単位レンズが配置されてなる。
上記レンズ部において、配置される複数の単位レンズは、すべてが同一形状および同一寸法であってもよく、形状や寸法が異なる複数種類の単位レンズが混在して配置されていてもよい。
また、形状や寸法が異なる複数種類の単位レンズが混在して配置される場合、異なる種類の単位レンズが一定の規則性を持って配置されてもよいし、規則性が無く配置されてもよい。
配置される複数の単位レンズは、全てが厚さ方向の断面形状が対称形を有していてもよく、一部に断面形状が非対称形を有する単位レンズが含まれていてもよい。
配置される単位レンズの個数等については、本実施形態に係る離型シートにより得られる樹脂皮革の用途や意匠性に応じて適宜選択することができる。
上記レンズ部において、複数の単位レンズの全てが離型層のレンズ部形成面に対して凸形状であってもよく、複数の単位レンズの全てが離型層のレンズ部形成面に対して凹形状であってもよい。中でも本実施形態においては、複数の単位レンズの全てが離型層のレンズ部形成面に対して凸形状であることが好ましい。すなわち、複数の上記単位レンズの焦点が、上記離型層または上記基材の内部に位置することが好ましい。その理由については、既に述べた通りである。
上記レンズ部において、複数の単位レンズは、隣接する単位レンズ同士の根元同士が接するようにして間隔を設けずに配置されていてもよく、隣接する単位レンズ同士が所望の間隔をおいて配置されていてもよく、上述の単位レンズの寸法、形成方法、本実施形態に係る離型シートにより得られる樹脂皮革に要求される意匠性等に応じて適宜選択することができる。通常は、複数の単位レンズは間隔を置かずに配置されることが好ましい。
隣接する単位レンズ同士が間隔をおいて配置される場合、上記間隔としては、単位レンズの幅および配置ピッチを満たす範囲内で適宜設定される。
単位レンズの配置ピッチとしては、本実施形態に係る離型シートにより得られる樹脂皮革の表面において反射光の散乱分布の調整が可能であればよく、中でも上記樹脂皮革の単位レンズ形状が目視されにくい大きさであることが好ましい。例えば、上記配置ピッチが単位レンズ幅の1倍以上5倍以下が好ましく、中でも1倍以上2倍以下、特に1倍が好ましい。配置ピッチが上記範囲よりも大きいと、離型層の表面上に平坦部分が多くなるため、得られる樹脂皮革の光学特性が低下する場合がある。また配置ピッチを上記範囲よりも小さくすることは、設計上困難である。
単位レンズの配置ピッチとは、図1(b)および図2(b)においてPで示す部分である。隣接する単位レンズ同士が間隔を設けずに配置される場合、単位レンズの配置ピッチは単位レンズの幅と同等となる。
上記レンズ部における複数の単位レンズの配置態様としては、本実施形態に係る離型シートにより得られる樹脂皮革の表面において、反射光の散乱分布の調整が可能な配置態様であれば特に限定されず、単位レンズの形状等に応じて1次元配列または2次元配列を適宜設計することができる。
ここで、1次元配列とは、例えば、図6(a)および(b)で例示するように、離型層2のレンズ部形成面において複数の単位レンズ3a(シリンドリカルレンズ)が1次元方向に配列された配置態様をいう。このような配置態様からなるレンズ部は、レンチキュラーレンズと呼ばれる。なお、図6(a)は本実施形態に係る離型シートの他の例を示す概略斜視図であり、図6(b)は図6(a)のX−X線断面図である。
一方、2次元配列とは、例えば、図1および図2で例示したように、離型層2のレンズ部形成面において複数の単位レンズ3a(マイクロレンズ)が2次元方向(レンズ部形成面の縦横方向)に配列された配置態様をいう。このような配置態様からなるレンズ部は、マイクロレンズアレイと呼ばれる。また、2次元配列として、単位レンズとして、シリンドリカルレンズを2次元方向にパターン状に配列してもよい。
単位レンズの2次元配列態様としては、特に限定されず、例えば、図1および図2で例示したような正方格子配列であってもよく、千鳥状配列、六方稠密配列等としてもよい。
なお、単位レンズの配置ピッチが異なっていてもよく、異なるピッチが一定の規則性を持っていてもよいし、規則性が無くてもよい。
(2)離型層
上記離型層は、通常、樹脂により形成される。上記樹脂としては、所望の単位レンズを賦型することができ、また、本実施形態に係る離型シートを用いた樹脂皮革の製造に際し、樹脂皮革を容易に剥離可能な樹脂であればよく、例えば、熱可塑性樹脂、硬化樹脂が挙げられる。硬化樹脂とは、熱硬化性樹脂を加熱して硬化した樹脂(熱硬化樹脂)、または電離放射線硬化樹脂を電離放射線の照射により硬化した樹脂(電離放射線硬化樹脂)をいう。また、電離放射線硬化樹脂としては、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂を挙げることができる。
ここで、「電離放射線」とは、電磁波または荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有する放射線をいい、例えば、紫外線や電子線の他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線が挙げられる。中でも紫外線、電子線が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;シリコーン樹脂;ポリビニルアルコール;特開2015−27811号公報等に開示される共重合体等の、従来公知の樹脂を用いることができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル、メラミン、エポキシ、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン系アクリレート等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、エステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
中でも、上記樹脂が熱可塑性樹脂であることが好ましく、ポリプロピレンであることがより好ましい。離型層表面に所望の単位レンズを精度よく付すことができ、また、本実施形態に係る離型シートを用いて樹脂皮革を製造する際に、樹脂皮革からの剥離性が良好となるからである。
離型層は透明であってもよく、半透明や不透明であってもよい。また、上記離型層は着色されていてもよい。
離型層の厚さとしては、所望の形状の単位レンズ、およびその集合体であるレンズ部を表面に備えることが可能な厚さであればよく、例えば1μm〜200μmの範囲内、中でも20μm〜50μmの範囲内が好ましい。離型層の厚さが上記範囲よりも大きいと、離型層の形成に用いられる材料量およびその費用、ならびに離型シート全体の製造コストが増大する場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、所望の形状の単位レンズおよびその集合体であるレンズ部を備えることができない場合がある。なお、離型層の厚さとは、図1(b)および図2(b)においてTで示す部分である。
また、離型層のレンズ部形成面には、剥離層を有していても良い。樹脂皮革の製造に際し剥離性を上げることができるからである。剥離層の材料としては、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂が挙げられ、これらの樹脂を離型層のレンズ部形成面に塗布し乾燥させて形成することができる。
剥離層の厚さとしては、離型層のレンズ部形成面の形状を損なわない厚さであればよく、例えば0.1μm〜3μm程度が好ましい。上記範囲以下の場合、剥離力が不十分になる可能性があり、一方、上記範囲以上の場合、形状の乖離が大きくなるからである。
また、剥離層を設けることにかえて、離型層に離型剤を含有させてもよい。離型剤としては、従来公知の材料が挙げられ、例えば、特開2015−039847号公報に開示される離型剤を用いることができる。
離型層は、上記レンズ部(レンズ部形成面)に鉛直方向(入射角0°)から光を入射したときの散乱角に対する散乱光強度分布曲線において、散乱光強度が20%のときの散乱角と散乱光強度が80%のときの散乱角との差の絶対値S(80−20)が4°以上15°以下であることが好ましく、中でもS(80−20)が4°以上8°以下であることがより好ましい。
(80−20)値が上記範囲内にあることで、散乱光強度分布曲線が急峻な勾配を有し、反射光の散乱光強度の異方性が小さくなる。このため、本実施形態に係る離型シートを用いて得られる樹脂皮革においても、散乱光強度分布曲線が同様の勾配を示し、散乱光強度の異方性が小さくなる。これにより、上記樹脂皮革が所望の意匠性を発現することが可能となる。
上記離型層のS(80−20)値が上記範囲よりも大きいと、散乱光強度分布曲線の勾配がなだらかとなり、散乱光強度の異方性が大きくなる。このため、本実施形態に係る離型シートを用いて得られる樹脂皮革についても同様に、散乱光強度の異方性が大きくなり、拡散反射による影響が大きくなることから、高光沢な意匠性の発現が困難となる。一方、上記離型層のS(80−20)が上記範囲よりも小さいと、所望の形状のレンズ部を賦型することが困難となる。
なお、図7は、散乱光強度分布曲線における散乱光強度が20%のときの散乱角と散乱光強度が80%のときの散乱角との差を説明する説明図である。
また、上記離型層は、レンズ部(レンズ部形成面)での光の拡散角が5°よりも大きく90°以下であることが好ましく、中でも10°以上60°以下であることが好ましい。拡散角が上記範囲を超えると、拡散反射による影響が大きくなり、一方、拡散角が上記範囲よりも下回ると、鏡面反射による影響が大きくなるため、本実施形態に係る離型シートを用いて得られる樹脂皮革が所望の意匠性を発現しにくくなる。レンズ部(レンズ部形成面)での光の拡散角とは、すなわちレンズ部(レンズ部形成面)に鉛直方向(入射角0°)から光を入射させたときの拡散角である。
2.基材
本実施形態に係る離型シートにおける基材は、離型層を支持する。
上記基材としては、離型層の形成が可能であれば特に限定されず、一般に樹脂皮革製造用の離型シートや工程紙に用いられる従来公知の材質の基材が挙げられる。具体的には、不織布、織布、あるいはこれらの積層体等が挙げられる。クラフト紙、上質紙、キャストコート紙等の紙、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、各種ナイロン等のポリアミド、ポリプロピレン等の樹脂フィルム、合成紙、金属箔、織布、不織布などを使用することができる。これらは単独、または適宜積層して使用することができる。
中でも本実施形態に係る離型シートを用いて樹脂皮革を製造する際に、熱劣化を生じにくく、離型層との密着性が高いことから、上記基材としては紙が好ましい。
また、上記基材が樹脂フィルムである場合、樹脂フィルムに用いられる樹脂は、上述した離型層を形成する樹脂と同じであってもよい。この場合、基材と離型層とが一体であってもよい。
上記基材の厚さについては特に限定されず、基材の材質等に応じて適宜設定することができるが、例えば50μm〜200μmの範囲内で設定することが好ましい。
上記基材の離型層側の面は、離型層との密着性を向上させる目的で、コロナ放電処理、オゾン処理などの易接着性処理やプライマーコート等の表面処理が施されていてもよい。
3.任意の層
本実施形態に係る離型シートは、少なくとも表面にレンズ部が形成された離型層および基材を有するが、必要に応じて任意の層を有していてもよい。
例えば、基材表面が平滑でない場合は、離型層を均一に形成可能とするために、基材と離型層との間に平滑性向上層を有していてもよい。平滑性向上層としては、例えば特開2002−086622号公報等に開示される組成からなる平滑性向上層や、クレーコート層等が挙げられる。
また、基材と離型層との間に密着層を有していてもよい。基材と離型層との密着性を向上させることができるからである。プライマー層の材料としては、例えば、フッ素系コーティング剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
4.その他
本実施形態に係る離型シートは、離型層および基材が一体であってもよい。離型層および基材が一体であるとは、図8(a)、(b)で例示するように、離型層2および基材1が同一材料で形成された単層5であることをいう。上記単層を構成する材料としては、「1.離型層」の項で説明した材料が挙げられる。
離型層および基材が一体である離型シートにおけるレンズ部等については、既に説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
5.光学特性
本実施形態に係る離型シートは、表面に備える単位レンズおよびその集合体であるレンズ部により、レンズ部形成面にて反射した光の散乱分布が調整される。
本実施形態に係る離型シートは、レンズ部形成面でのS(80−20)および光の拡散角が、上述の「1.離型層」の項で説明したS(80−20)および光の拡散角を示すことが好ましい。その理由については、上述の「1.離型層」の項で説明したため、省略する。
6.本実施形態に係る離型シートの他の態様
本実施形態に係る離型シートの他の態様は、曲面を有する単位レンズを複数備えるレンズ部を表面に有し、上記単位レンズの曲率半径が、15μm以上150μm以下である。
本実施形態に係る離型シートは、表面に有するレンズ部が、所定の範囲内に曲率半径を有する単位レンズを複数備えてなることから、上述したS(80−20)および比較の拡散角をそれぞれ所定の範囲内とすることができる。これにより、本実施形態に係る離型シートにより得られる樹脂皮革は、表面で生じる反射光の散乱分布が調整されるため、テカリが抑制された高光沢感を示し、観察領域に応じて光沢感の変化による意匠性を発現することができる。
上記他の態様の離型シートの詳細については、既に説明した通りである。
7.離型シートの製造方法
本実施形態に係る離型シートの製造方法は、基材の一方の表面上に形成された離型層の表面に、所望の形状の複数の単位レンズおよびその集合体であるレンズ部を付すことが可能な方法であれば特に限定されず、離型層の形成に用いられる材料に応じて適宜選択することができる。
例えば、離型層形成用組成物に含まれる樹脂が電離放射線硬化樹脂であれば、基材の一方の表面に離型層形成用組成物を塗布後、塗布層に所望の単位レンズの形状に相当する凹部または凸部が形成された転写版を押し当てて電離放射線を照射して硬化することで、表面にレンズ部を備える離型層を形成することができる。
一方、離型層形成用組成物に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂であれば、基材表面に離型層形成用組成物である樹脂を押出ラミネートしながら、所望の単位レンズの形状に相当する凹部または凸部が形成された転写版を押し当てることで、表面にレンズ部を備える離型層を形成する方法を用いることができる。また、基材の一方の表面に、離型層形成用組成物を塗布後、塗布層に所望の単位レンズの形状に相当する凹部または凸部が形成された転写版で加熱押圧することで表面にレンズ部を備える離型層を形成する方法等を用いることができる。
8.用途
本実施形態に係る離型シートは、合成皮革や人工皮革等の樹脂皮革の製造における工程剥離紙として好適に用いることができるが、これに限定されない。本実施形態に係る離型シートは樹脂皮革製造用の離型シートとしての用途以外に、例えば、ゴムシート、カーボンシート、その他樹脂シートやフィルムの製造型として用いることができる。
B.樹脂皮革
本発明の一実施形態に係る樹脂皮革(以下、本実施形態に係る樹脂皮革とする場合がある。)は、支持層と、上記支持層上に、曲面を有する単位レンズ形状が複数配置されてなるレンズ形状部を表面に備える樹脂表皮層と、を有する。
本実施形態に係る樹脂皮革について、図を参照して説明する。図9(a)および図10(a)は本実施形態に係る樹脂皮革の一例および他の例を示す概略斜視図であり、図9(b)および図10(b)は図9(a)および図10(a)のX−X線断面図である。樹脂皮革20は、支持層11と、支持層11上に配置され、曲面を有する単位レンズ形状13aが複数配置されて成るレンズ形状部13を表面に備える樹脂表皮層12と、を有する。
図9は、単位レンズ形状13aが樹脂皮革層12表面から突出した凸曲面形状である例を示す。図10は、単位レンズ形状13aが樹脂皮革層12表面から凹んだ凹曲面形状である例を示す。図9および図10は、レンズ形状部13がマイクロレンズアレイ形状を有している。
本実施形態に係る樹脂皮革によれば、樹脂皮革の樹脂表皮層表面に、曲面を有する単位レンズ形状が複数配置されて成るレンズ形状部を備えており、上記レンズ形状部により反射光の散乱分布が調整されることから、テカリが抑制された高光沢感を示し、観察領域に応じて光沢感の変化による意匠性を発現することができる。
以下、本実施形態に係る樹脂皮革について、構成ごとに説明する。
1.樹脂表皮層
本実施形態に係る樹脂皮革における樹脂表皮層は、上記支持層上に形成(配置)され、曲面を有する単位レンズ形状が複数配置されてなるレンズ形状部を表面に備える。
上記樹脂表皮層は、樹脂皮革の表皮として天然皮革に似た質感や色あいを有する。
樹脂表皮層における単位レンズ形状およびレンズ形状部については、「A.離型シート」の項で説明した離型層が備える単位レンズおよびレンズ部と同様であるため、ここでの説明は省略する。
中でも、本実施形態においては、図10で例示するように、複数の上記単位レンズ形状は、上記樹脂表皮層の表面に対して凹形状であることが好ましい。複数の単位レンズ形状を凹形状とすることで、レンズ形状部により所望の意匠性を発現するとともに、凸形状の単位レンズ形状を備える場合と比較して樹脂表皮層に用いられる材料量の低減を図ることができるからである。
樹脂表皮層に用いられる樹脂としては、一般的な合成皮革や人工皮革の製造に用いられる剛性樹脂を適用することができ、例えばナイロン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上記樹脂表皮層は、可塑剤、安定剤、着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。
樹脂表皮層の厚さとしては、所望の単位レンズ形状およびその集合体であるレンズ形状部を備えることが可能な厚さであればよく、特に限定されず、用途等に応じて適宜設計することができる。
2.支持層
本実施形態に係る樹脂皮革における支持層は、樹脂表皮層を支持する。
支持層としては、木綿、麻、羊毛などの天然繊維、レーヨン、アセテートなどの再生または半合成繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィンなどの合成繊維の繊維からなる織布、不織布、網布、紙、ポリエステルやポリオレフィンの樹脂フィルム、金属板、金属箔、ガラス板、ガラス織布等、一般に、合成皮革や人工皮革に用いられる材料から、樹脂皮革の種類や用途に応じて適宜選択することができる。
支持層の厚さとしては、樹脂表皮層を支持可能な厚さであれば特に限定されない。
3.その他
本実施形態に係る樹脂皮革は、表面に備えるレンズ形状部により、反射光の散乱光強度の異方性や拡散角の大きさ等の反射光の散乱分布が調整されるため、テカリが抑制された高光沢感を示し、観察領域に応じて光沢感の変化による意匠性を発現することができる。
本実施形態に係る樹脂皮革は、樹脂表皮層および支持層が一体であってもよい。樹脂表皮層および支持層が一体であるとは、離型層および基材が同一材料で形成された単層であることをいう。上記単層を構成する材料としては、「1.樹脂表皮層」の項で説明した材料が挙げられる。
樹脂表皮層および支持層が一体である樹脂皮革におけるレンズ形状部等については、既に説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本実施形態に係る樹脂皮革は、レンズ形状部にて生じる反射光の散乱光強度の異方性が小さいことが好ましい。「散乱光強度の異方性が小さい」とは、すなわち「散乱光強度分布曲線が急峻な勾配を有する」ことを意味する。
具体的には、樹脂皮革のレンズ形状部(レンズ形状部を備える面)に鉛直方向(入射角0°)から光を入射したときの散乱角に対する散乱光強度分布曲線において、散乱光強度が20%のときの散乱角と散乱光強度が80%のときの散乱角との差の絶対値S(80−20)が4°以上15°以下であることが好ましく、中でもS(80−20)が4°以上8°以下であることがより好ましい。S(80−20)値が大きいほど、散乱光強度分布曲線の勾配がなだらかとなり、散乱光強度の異方性が大きくなるため、拡散反射による影響が大きくなる。よって、樹脂皮革は光沢度が低下し、白みを帯びた色となり、高光沢な意匠性の発現が困難となる。一方、S(80−20)が上記範囲よりも小さいと、樹脂皮革表面に所望の形状のレンズ形状部を有することが困難となる。
また、本実施形態に係る樹脂皮革は、所望の観察領域において高光沢性を示すことができる。樹脂皮革の高光沢性を視認可能な観察領域とは、「樹脂皮革のレンズ形状部での拡散角の範囲内」であることを意味する。
具体的には、上記樹脂皮革のレンズ形状部(レンズ形状部を備える面)での光の拡散角が5°よりも大きく90°以下であることが好ましく、中でも10°以上60°以下であることが好ましい。樹脂皮革のレンズ形状部での拡散角が上記範囲を超えると、拡散反射による影響が大きくなり高光沢感が得られにくい場合がある。一方、拡散角が上記範囲よりも下回ると、鏡面反射による影響が大きくなり、高光沢感よりもテカリが視認されやすくなる場合がある。レンズ形状部での光の拡散角とは、すなわちレンズ形状部に鉛直方向(入射角0°)から光を入射させたときの拡散角である。
観察者は上記の拡散角に相当する観察角度の領域内において、樹脂皮革の高光沢感を視認することができる。
4.本実施形態に係る樹脂皮革の他の態様
本実施形態に係る樹脂皮革の他の態様は、曲面を有する単位レンズ形状を複数備えるレンズ形状部を表面に有し、上記単位レンズ形状の曲率半径が、15μm以上150μm以下である。
本実施形態に係る樹脂皮革は、表面に有するレンズ形状部が、所定の範囲内に曲率半径を有する単位レンズ形状を複数備えてなることから、上述したS(80−20)および比較の拡散角をそれぞれ所定の範囲内とすることができる。これにより、本実施形態に係る樹脂皮革は、表面で生じる反射光の散乱分布が調整されるため、テカリが抑制された高光沢感を示し、観察領域に応じて光沢感の変化による意匠性を発現することができる。
上記他の態様の樹脂皮革の詳細については、既に説明した通りである。
5.樹脂皮革の製造方法
本実施形態に係る樹脂皮革の製造方法としては、「A.離型シート」の項で説明した離型シートを用い、樹脂皮革の樹脂表皮層表面に所望の単位レンズ形状およびその集合体であるレンズ形状部を形成可能な方法であれば特に限定されず、離型シートを用いた従来公知の合成皮革または人工皮革の製造方法を用いることができる。樹脂皮革の製造方法は、乾式法であってもよく、湿式法であってもよい。
例えば、乾式法により樹脂皮革を製造する場合、「A.離型シート」の項で説明した離型シートの離型層表面に、樹脂表皮層形成用組成物を塗布し乾燥して樹脂表皮層を形成し、上記樹脂表皮層上に接着層を介して支持層を積層させて乾燥および熟成後、離型シートを剥離することで、樹脂皮革を製造することができる。上記接着層としては、樹脂皮革の製造に用いられる従来公知の組成を用いることができる。
樹脂表皮層形成用組成物としては、所望の樹脂表皮層を形成可能であればよく、樹脂皮革の種類に応じて適宜選択される。
例えば、樹脂皮革がポリウレタンレザーの場合であれば、樹脂表皮層形成用組成物として、ポリウレタンおよび任意の添加剤を含み、固形分が20質量%〜50質量%程度のポリウレタンペースト等が用いられる。また、樹脂皮革がポリ塩化ビニルレザーの場合であれば、樹脂表皮層形成用組成物として、ポリ塩化ビニルおよび任意の添加剤を含むゾル等が用いられる。
樹脂表皮層形成用組成物の塗布方法としては、樹脂表皮層形成用組成物の組成に応じて既知の方法を用いることができる。
6.用途
本実施形態に係る樹脂皮革は、一般に合成皮革が用いられる用途に用いることができる。また、天然皮革の代替品として用いることも可能である。具体的な用途としては、衣料、鞄、靴、財布、スマートフォンカバー表皮材、インテリア資材、インスツルメントパネル材、カーシート表皮材、ステアリングホイール表皮材等の車両用内装材や自動二輪車のシート材等が挙げられる。図11(a)および(b)、ならびに図11(c)および(d)はそれぞれ本実施形態の樹脂皮革を用いた鞄50およびインスツルメントパネル材60の一例を示す模式図である。図11(b)、(d)はそれぞれ図11(a)、(c)のY−Y線断面図に相当する。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1〜10および比較例1〜2]
1.転写版の準備
以下の方法により、実施例1〜10で使用する転写版、および比較例1〜2で使用する転写版を作製した。
(実施例1〜10で使用する転写版1〜10)
銅めっきしたシリンダー(径:100mmφ、幅300mm)表面に、機械切削により表1に示す実施例1の単位レンズの形状の反転形状に相当するパターンを形成した後、表面をクロムめっき処理して転写版1を得た。実施例2〜10で使用する転写版2〜10についても同様の方法で得た。
実施例ごとに、ロールエンボス装置に転写版を取り付けた。
(比較例1〜2で使用する転写版11〜12)
銅めっきしたシリンダー(径:100mmφ、幅300mm)表面をクロムめっき処理した後、処理面を表2に示す比較例1の表面粗さとなるようにサンドブラストにより粗面化して転写版11を得た。比較例2で使用する転写版12についても同様の方法で得た。
比較例ごとに、ロールエンボス装置に転写版を取り付けた。
2.離型シートの製造
紙基材(厚さ150μm)の一方の面上に、厚さが50μmとなるようにポリプロピレンを塗布して離型層を形成し、下記の条件で上記離型層に転写版1を加熱押圧してパターンを転写して、実施例1の離型シート(原反幅300mm)を得た。実施例2〜10、および比較例1〜2についても同様の方法で離型シートを得た。
(転写条件)
・シリンダー温度:120℃
・押圧力:150kgf/cm
・搬送速度:5m/min
得られた離型シートの離型層表面の形状および詳細について、表1および表2に示す。実施例1〜10で得られた離型シートは、離型層表面にレンズ部として、シリンドリカルレンズ(単位レンズ)の集合体であるレンチキュラーレンズを備えていた。また、比較例1〜2で得られた離型シートは、離型層表面が所定の表面粗さを有するブラスト粗面であった。
3.樹脂皮革(合成皮革)の製造
実施例1〜10および比較例1〜2により得られた各離型シートを用い、各離型シートの離型層上に、樹脂表皮層形成用組成物として下記の組成からなる合成皮革の表皮層用ポリウレタン組成物をバーコート法で塗布し、100℃〜120℃の範囲内で2分間、加熱乾燥させた。その後、塗布層上に接着剤を用いて基布(支持層)を貼り合せ、乾燥、熟成後、離型シートを剥離して合成皮革を得た。
(樹脂表皮層形成用組成物)
・ポリウレタン(レザミンNE−8811 大日精化工業(株)製) … 100重量部
・着色剤(セイカセブンNET−5794ブラック 大日精化工業(株)製) … 15重量部
・トルエン … 25重量部
・イソプロピルアルコール(IPA) … 25重量部
4.評価
実施例1〜10および比較例1〜2で得られた離型シートを用いて得た合成皮革について、以下の評価を行った。各評価結果を表1および表2に示す。
(1)ポリウレタン使用量
実施例1の離型シートを用いて得た合成皮革のポリウレタン量(着色剤を含む)を1としたときの、実施例2〜10および比較例1〜2の離型シートを用いて得た合成皮革のポリウレタン量(着色剤を含む)を、重量比として計測した。
(2)拡散角およびS(80−20)
実施例1〜10および比較例1〜2で得られた離型シートを用いて得た合成皮革について、散乱光強度の測定を行い、得られた散乱光強度分布曲線から、拡散角およびS(80−20)値を算出した。散乱光強度は、三次元変角分光測色システム(GCMS−13型、株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて、樹脂皮革のレンズ形状部を備える面に対して鉛直方向(入射角0°)の光を入射して、受光角度を−60°〜60°の範囲内、変角間隔1°の条件で、散乱角ごとの強度を測定した。また、散乱光強度分布曲線は、散乱角をX軸、散乱光強度をY軸にとり、各散乱角に対する散乱光強度をプロットして描画した。
(3)単位レンズ形状の視認性
実施例1〜10の離型シートを用いて得た合成皮革から100mm角のサンプルを切り出し、上記サンプルを机の上に置き、500mm上方位置から単位レンズ形状の識別を行った。
また、比較例1〜2の離型シートを用いて得た合成皮革から100mm角のサンプルを切り出し、上記サンプルを机の上に置き、500mm上方位置からブラスト粗面の凹凸形状の識別を行った。
試験環境は、照度400ルクス(明るいオフィス相当)とした。被験者10名(20代から60代まで)から視認できる人数をカウントし、下記判定とした。
◎◎:0名(全く見えない)
◎:1〜2名(ほとんど見えない)
〇:3〜7名(わずかに見える)
△:8名以上(見える)
Figure 0006079947
Figure 0006079947
(4)外観評価
「(3)単位レンズ形状の視認性」で用いた各サンプルを机の上に置き、照度400ルクス(明るいオフィス相当)環境下でサンプルの外観を確認した。被験者10名(20代から60代まで)のうち、光沢感が高いと感じた人数が7名以上の場合を、サンプルの「光沢感が高い(高光沢感)」とした。テカリ感は、被験者10名(20代から60代まで)のうち、テカリ感が強いと感じた人数が7名以上の場合を、サンプルの「テカリ感がある」とした。
上記外観評価の結果、実施例1〜10の離型シートは、曲面を有する単位レンズが複数配置されて成るレンズ部を表面に備えていることから、上記離型シートを用いて得た合成皮革は、テカリが抑制された高光沢感が感じられ、観察領域に応じた光沢感の変化による意匠性の発現が確認された。一方、比較例1〜2の離型シートは、曲面を有する単位レンズ、およびその集合体であるレンズ部を有しておらず、上記離型シートを用いて得た合成皮革は、高光沢度が感じられず白みを帯びた色を呈し、また、観察領域に応じた光沢感の変化による意匠性の発現が確認されなかった。
比較例1〜2の離型シートにより得た合成皮革は、S(80−20)値が所望の範囲(4°以上15°以下)内にないことからも、上述の視認結果となることが示唆された。
また、上記外観評価の結果から、実施例1〜10の離型シートを用いて得た合成皮革のうち、実施例7および8の離型シートを用いて得た合成皮革は、光沢感が高いが、他の実施例よりもテカリ感があると感じられた。実施例1〜6および実施例9〜10の離型シートにより得た合成皮革は、拡散角が所望の範囲内(5°より大きく90°以下)にあることから、拡散角が所望の範囲内にない実施例7〜8の離型シートにより得た合成皮革と比較して、より高いテカリ抑制効果が得られることが示唆された。
さらに、実施例4〜6、実施例8および実施例10では、離型シートの単位レンズを離型層のレンズ部形成面に対して凸形状としたことから、実施例1〜3、実施例7および実施例9と比較して、合成皮革の製造に用いたポリウレタン量を低減することができた。
1 … 基材
2 … 離型層
3 … レンズ部
3a … 単位レンズ
10 … 離型シート
11 … 支持層
12 … 樹脂表皮層
13 … レンズ形状部
13a … 単位レンズ形状
20 … 樹脂皮革

Claims (15)

  1. 基材と、
    前記基材上に、曲面を有する単位レンズが複数配置されてなるレンズ部を表面に備える離型層と、
    を有し、
    前記離型層は、前記レンズ部に鉛直方向から光を入射させたときの散乱角に対する散乱強度分布曲線における、散乱光強度が20%のときの散乱角と散乱光強度が80%のときの散乱角との差が4°以上15°以下である離型シート。
  2. 複数の前記単位レンズが、前記離型層の表面に対して凸形状である請求項1に記載の離型シート。
  3. 前記単位レンズの幅が、30μm以上300μm以下である請求項1または請求項2に記載の離型シート。
  4. 前記離型層が、熱可塑性樹脂を含む請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の離型シート。
  5. 前記離型層が、ポリプロピレンを含む請求項1からから請求項4までのいずれかの請求項に記載の離型シート。
  6. 前記レンズ部に鉛直方向から光を入射させたときの拡散角が、5°より大きく90°以下である請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の離型シート。
  7. 曲面を有する単位レンズを複数備えるレンズ部を表面に有し、前記単位レンズの曲率半径が、15μm以上150μm以下であり、
    前記レンズ部に鉛直方向から光を入射させたときの散乱角に対する散乱強度分布曲線における、散乱光強度が20%のときの散乱角と散乱光強度が80%のときの散乱角との差の絶対値が4°以上15°以下である離型シート。
  8. 前記レンズ部に鉛直方向から光を入射させたときの拡散角が、5°より大きく90°以下である請求項7に記載の離型シート。
  9. 支持層と、前記支持層上に、曲面を有する単位レンズ形状が複数配置されてなるレンズ形状部を表面に備える樹脂表皮層と、を有し、
    前記樹脂表皮層は、前記レンズ形状部に鉛直方向から光を入射させたときの散乱角に対する散乱強度分布曲線における、散乱光強度が20%のときの散乱角と散乱光強度が80%のときの散乱角との差が4°以上15°以下である樹脂皮革。
  10. 複数の前記単位レンズ形状は、前記樹脂表皮層の表面に対して凹形状である請求項9に記載の樹脂皮革。
  11. 前記樹脂表皮層がナイロン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルのうち、少なくとも1つを含む請求項9または請求項10に記載の樹脂皮革。
  12. 前記レンズ形状部に鉛直方向から光を入射させたときの拡散角が、5°より大きく90°以下である請求項9から請求項11までのいずれかの請求項に記載の樹脂皮革。
  13. 曲面を有する単位レンズ形状を複数備えるレンズ形状部を表面に有し、前記単位レンズ形状の曲率半径が、15μm以上150μm以下であり、
    前記レンズ形状部に鉛直方向から光を入射させたときの散乱角に対する散乱強度分布曲線における、散乱光強度が20%のときの散乱角と散乱光強度が80%のときの散乱角との差が4°以上15°以下である樹脂皮革。
  14. 曲面を有する単位レンズ形状を複数備えるレンズ形状部を表面に有し、前記単位レンズ形状の幅が、30μm以上300μm以下である請求項13に記載の樹脂皮革。
  15. 前記レンズ形状部に鉛直方向から光を入射したときの拡散角が、5°より大きく90°以下である請求項13または請求項14に記載の樹脂皮革。
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