JP6078576B2 - 電界放出電子源及び電界放出表示装置 - Google Patents

電界放出電子源及び電界放出表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、電界放出電子源及び電界放出表示装置に関し、特に、電子放出の密度が大きい電界放出電子源及び電界放出表示装置に関する。
電界放出表示装置は、ブラウン管(CRT)表示装置及び液晶表示装置(LCD)と比べて、良好な表示効果、広視野角、低消費電力、小型化などの優れた点を有するので、次世代の表示装置として、中でも特に、カーボンナノチューブを利用した電界放出表示装置(CNT−FED)が現在注目されている。カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube,CNT)は、新型のカーボン材料であり、日本の研究員の飯島澄男によって1991年に発見された(非特許文献1を参照)。カーボンナノチューブは良好な導電性能、良好な化学的安定性、大きなアスペクト比(長さと直径の比)を有し、その先端の面積は理論的に最良の寸法に達するので、先端の面積が小さいほど局部の電界が集中するという理論により、カーボンナノチューブは、現在最良の電界放出表示装置用電子エミッタの一つである。
電界放出電子源は電界放出表示装置の重要素子である。従来の電界放出電子源の製造方法は、基板を提供するステップと、基板の表面に絶縁層を設置するステップと、絶縁層をエッチングして、基板の一部の表面を露出させるステップと、基板に複数の陰極電極を形成するステップと、化学気相成長法によって、複数の陰極電極にカーボンナノチューブを設置して電子エミッタを形成するステップと、含む。
しかし、電界放出電子源及び電界放出表示装置において、前記方法によって設置された電子エミッタとしてのカーボンナノチューブは、陰極電極との接触方式が点接触であるので、電界放出電子源の電子放出効率が大きい場合、強電場によって、カーボンナノチューブが陰極電極から分離され易い。これにより、電界放出電子源の電子放出能力が低下し、及び安定性が悪くなり、使用寿命が短縮される。
Sumio Iijima、"Helical Microtubules of Graphitic Carbon"、Nature、1991年11月7日、第354巻、p.56‐58
従って、前記の課題を解決するために、電子エミッタを有効に固定し、且つ電子放出効率が大きい場合に適用することができる電界放出電子源及び電界放出表示装置を提供することを目的とする。
本発明の電界放出電子源は、カーボンナノチューブ線状構造体と、絶縁層と、少なくとも一つの導電リングと、を含み、前記カーボンナノチューブ線状構造体の表面に前記絶縁層が被覆されており、前記絶縁層に被覆された前記カーボンナノチューブ線状構造体の少なくとも一端には、前記少なくとも一つの導電リングが設置されており、前記絶縁層の一部の表面に前記少なくとも一つの導電リングが被覆されており、前記絶縁層によって、前記カーボンナノチューブ線状構造体は前記少なくとも一つの導電リングと電気絶縁されており、各々の前記導電リングは、中心軸の延伸する方向に相対する二つの表面を有しており、前記少なくとも一つの導電リングの一つの表面及び前記カーボンナノチューブ線状構造体の末端は同じ平面に位置している。
本発明の電界放出電子源アレイは、複数の前記電界放出電子源を含み、複数の前記電界放出電子源は並列に設置されている。
本発明の電界放出表示装置は、陰極電極及び少なくとも一つの電界放出電子源を含む。前記少なくとも一つの電界放出電子源は、中心軸に延伸する方向に相対する第一端及び第二端を有しており、前記少なくとも一つの電界放出電子源の第一端が前記陰極電極と電気的に接続されている。
従来の構造と比べると、本発明の電界放出電子源及び電界放出表示装置において、カーボンナノチューブ線状構造体の表面に、絶縁層が被覆されることによって、カーボンナノチューブ線状構造体は絶縁層に強固に固定される。絶縁層はカーボンナノチューブ線状構造体に対して固定力の作用を与える。これにより、電界放出電子源の電子放出効率が大きい場合であっても、強電場によってカーボンナノチューブが陰極電極から分離されにくく、それにより、電界放出電子源の電子放出能力を高め、電界放出電子源の使用寿命を延長させることができる。
本発明の実施例1に係る電界放出電子源の製造方法の工程図である。 本発明の実施例1における非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例1におけるねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例2に係る電界放出電子源の構造図である。 本発明の実施例3に係る電界放出表示装置の構造図である。 本発明の実施例4に係る電界放出電子源の製造方法の工程図である。 本発明の実施例5に係る電界放出電子源の構造断面図である。 本発明の実施例6に係る電界放出電子源の製造方法の工程図である。 本発明の実施例7に係る電界放出電子源アレイの製造方法の工程図である。 図9の電界放出電子源アレイの製造方法によって得られた電界放出電子源アレイの表面に導電層が被覆された際の構造図である。 本発明の実施例8に係る電界放出表示装置の構造図である。 本発明の実施例9に係る電界放出電子源アレイの製造方法の工程図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。且つ以下の各実施例において、同じ部材は同じ符号で標示する。
(実施例1)
図1を参照し、本発明の実施例1は電界放出電子源10の製造方法を提供する。電界放出電子源10の製造方法は、カーボンナノチューブ線状構造体110を提供するステップ(S10)と、カーボンナノチューブ線状構造体110の表面に絶縁層120を被覆するステップ(S11)と、絶縁層120の表面に複数の導電リング130を間隔をあけて設置し、電界放出電子源の予備体112を形成するステップ(S12)と、電界放出電子源の予備体112を切断して、複数の電界放出電子源10を形成し、形成した各電界放出電子源10の少なくとも一端には、前記少なくとも一つの導電リングが設置されているステップ(S13)と、を含む。
ステップ(S10)において、カーボンナノチューブ線状構造体110は自立構造体であり、且つ柔軟性を有するため、線状の電子エミッタとして用いることができる。カーボンナノチューブ線状構造体110はカーボンナノチューブを含む線状構造体である。カーボンナノチューブ線状構造体110は、少なくとも一つのカーボンナノチューブ、少なくとも一つのカーボンナノチューブワイヤ、少なくとも一つの複合カーボンナノチューブワイヤ或いはその組み合わせを含む。組み合わせの方式は、例えば、カーボンナノチューブワイヤとカーボンナノチューブとの組み合わせ或いはカーボンナノチューブワイヤと複合カーボンナノチューブワイヤとの組み合わせなどである。前記一つのカーボンナノチューブは一つの単層カーボンナノチューブ或いは一つの多層カーボンナノチューブである。カーボンナノチューブワイヤは複数のカーボンナノチューブが平行に配列して形成された線状構造体であるか、或いは複数のカーボンナノチューブをねじることで形成された線状構造体である。複合カーボンナノチューブワイヤは、カーボンナノチューブワイヤと有機材料或いは無機材料とによって形成された線状構造体である。更に、カーボンナノチューブ線状構造体110は少なくとも支持線を含むことができる。該支持線は柔軟性及び可塑性を有し、該支持線は前記カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブワイヤ或いは複合カーボンナノチューブワイヤと平行に緊密に設置され、或いは該支持線は前記カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブワイヤ或いは複合カーボンナノチューブワイヤと共にねじられて設置される。前記支持線は鉄線、アルミニウム線、銅線、金線、モリブデン線或いは銀線などの金属の線でも良く、或いは他の非金属材料でも良い。支持線は機械的支持を提供できるので、カーボンナノチューブ線状構造体110の支持性を保証することができる。支持線の直径及び長さは必要に応じて選択できる。支持線の直径は50μm〜500μmであり、且つカーボンナノチューブ線状構造体110の自立構造性を高めることができる。カーボンナノチューブ線状構造体110の直径は0.5nm〜600μmであるが、好ましくは、カーボンナノチューブ線状構造体110はカーボンナノチューブのみからなり、その直径は0.01μm〜10μmである。
カーボンナノチューブ線状構造体110はカーボンナノチューブワイヤからなることが好ましく、該カーボンナノチューブワイヤは自立構造体である。ここで、自立構造体とは、支持体材を利用せず、カーボンナノチューブワイヤを独立して利用することができるという形態のことである。カーボンナノチューブ線状構造体110は少なくとも一つのカーボンナノチューブワイヤを含む。カーボンナノチューブ線状構造体110が複数のカーボンナノチューブワイヤを含む場合、複数のカーボンナノチューブワイヤは平行に配列して非ねじれカーボンナノチューブ構造体を形成するか、或いは複数のカーボンナノチューブワイヤは相互にねじれて、ねじれカーボンナノチューブ構造体を形成する。カーボンナノチューブワイヤからなるカーボンナノチューブ線状構造体110の直径は0.03μm〜5μmである。本実施例において、カーボンナノチューブ線状構造体110は三つのカーボンナノチューブワイヤからなり、該三つのカーボンナノチューブワイヤは相互に接触し、且つ互いに平行に配列する。カーボンナノチューブ線状構造体110の直径は0.05μmである。
図2及び図3に示したように、カーボンナノチューブワイヤは非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ或いはねじれ状カーボンナノチューブワイヤである。非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、分子間力で接続された複数のカーボンナノチューブからなる。該複数のカーボンナノチューブはカーボンナノチューブワイヤの中心軸に平行に配列されている。即ち、カーボンナノチューブの軸向はカーボンナノチューブワイヤの軸向と基本的に平行する。ねじれ状カーボンナノチューブワイヤも複数のカーボンナノチューブからなる。該複数のカーボンナノチューブの軸向は前記カーボンナノチューブワイヤの軸向に沿って、螺旋状に配列されている。カーボンナノチューブワイヤにおいて、延伸方向には隣接するカーボンナノチューブが分子間力で端と端とが接続されている。カーボンナノチューブワイヤの直径は制限されず、0.5nm〜100μmである。カーボンナノチューブワイヤにおけるカーボンナノチューブは単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ或いは多層カーボンナノチューブの中の何れか一種である。該カーボンナノチューブの直径は5nmより小さく、カーボンナノチューブの長さは10μm〜100μmである。
カーボンナノチューブワイヤの製造方法は、カーボンナノチューブアレイを提供するステップ(S101)と、工具によってカーボンナノチューブアレイを引き出し、配向型カーボンナノチューブ構造体を得るステップ(S102)と、配向型カーボンナノチューブ構造体を処理して、カーボンナノチューブワイヤを形成するステップ(S103)と、を含む。
ステップ(S101)において、カーボンナノチューブアレイは、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes)であることが好ましい。カーボンナノチューブアレイは、単層カーボンナノチューブアレイ、二層カーボンナノチューブアレイ、多層カーボンナノチューブアレイの中の何れか一種或いはその組み合わせである。本実施例において、前記超配列カーボンナノチューブアレイの製造方法は、化学気相堆積法を採用する。該超配列カーボンナノチューブアレイの製造方法は次のステップを含む。
ステップ(a)において、平らな基板を提供する。該基板はp型のシリコン基板、n型のシリコン基板及び酸化層が形成されたシリコン基板のいずれか一種である。本実施例においては、4インチのシリコン基板を選択することが好ましい。ステップ(b)において、前記基板の表面に均一に触媒層を形成する。該触媒層の材料は鉄、コバルト、ニッケル及びこれら2種以上の合金のいずれか一種である。ステップ(c)において、前記触媒層が形成された基板を700℃〜900℃の空気によって30分〜90分間アニーリングする。ステップ(d)において、アニーリングされた基板を反応炉に置き、保護ガスによって500℃〜740℃の温度で加熱した後カーボンを含むガスを導入して、5分〜30分間反応させて、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes)を成長させる。このカーボンナノチューブアレイが成長する高さは200μm〜400μmである。該カーボンナノチューブアレイは互いに平行し、基板に垂直になるように成長する複数のカーボンナノチューブからなる。該カーボンナノチューブは長さが長いため、部分的にカーボンナノチューブが互いに絡み合っている。成長の条件を制御することによって、前記カーボンナノチューブアレイは、例えば、アモルファスカーボン及び残存する触媒である金属粒子などの不純物を含まなくなる。超配列カーボンナノチューブアレイにおけるカーボンナノチューブは、お互いに分子間力によって緊密に接触してアレイを形成する。超配列カーボンナノチューブアレイの面積は基板の面積と基本的に同じである。
本実施例において、前記カーボンを含むガスとしては、例えば、アセチレン、エチレン、メタンなどの活性の炭化水素を選択することができるが、エチレンを選択することが好ましい。また、保護ガスは窒素ガスまたは不活性ガスであるが、アルゴンガスであることが好ましい。
ステップ(S102)において、カーボンナノチューブ構造体の製造方法は次のステップを含む。ステップ(a)において、ピンセットなどの工具を利用して、複数のカーボンナノチューブの端部を持つ。或いは一定の幅を有するテープを利用して複数のカーボンナノチューブの端部を持つ。ステップ(b)において、所定の速度によって前記複数のカーボンナノチューブを引き出して、複数のカーボンナノチューブセグメントからなる連続した配向型カーボンナノチューブ構造体を形成する。
前記複数のカーボンナノチューブを引き出す工程において、複数のカーボンナノチューブがそれぞれ前記基板から脱離されると、分子間力によって前記カーボンナノチューブセグメントは端と端とが接合されて、連続した配向型カーボンナノチューブ構造体が形成される。配向型カーボンナノチューブ構造体において、カーボンナノチューブの配列方向は、カーボンナノチューブを引き出す方向と基本的に平行する。
前記配向型カーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブフィルム或いはカーボンナノチューブワイヤである。カーボンナノチューブフィルム及びカーボンナノチューブワイヤは、好ましくは、カーボンナノチューブのみからなる。複数のカーボンナノチューブセグメントの幅が大きい場合、得た配向型カーボンナノチューブ構造体はカーボンナノチューブフィルムである。複数のカーボンナノチューブセグメントの幅が小さい場合、得た配向型カーボンナノチューブ構造体はカーボンナノチューブワイヤである。
ステップ(S103)において、配向型カーボンナノチューブ構造体が幅の大きいカーボンナノチューブフィルムである場合、カーボンナノチューブワイヤを形成する方法は、以下の三種類の方法がある。第一種では、カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの長手方向に沿って、カーボンナノチューブフィルムを所定の幅で切断し、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成する。第二種では、カーボンナノチューブフィルムを有機溶剤に浸漬させて、カーボンナノチューブフィルムを収縮させて非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成する。第三種では、カーボンナノチューブフィルムを機械加工(例えば、紡糸)してねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成する。具体的には、先ず、カーボンナノチューブフィルムを紡糸装置に固定させる。次に、前記紡糸装置を作動させてカーボンナノチューブフィルムを回転させ、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成する。または、カーボンナノチューブフィルムの一端に設置された引き伸ばす工具を回転する電機に固定して、カーボンナノチューブフィルムをねじり、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成する。
ステップ(S11)において、コーティング法、蒸着法、電子スパッタ法或いはイオン・スパッタ法によって、絶縁層120がカーボンナノチューブ線状構造体110の外表面の全体に形成される。これにより、絶縁層120がカーボンナノチューブ線状構造体110の外表面に被覆される。ここで、絶縁層120がカーボンナノチューブ線状構造体110の外表面の全体に形成されることは、カーボンナノチューブ線状構造体110の両端点を除く外表面の全体に形成されることである。カーボンナノチューブ線状構造体110の表面に被覆されるとは、カーボンナノチューブ線状構造体110の表面の全体に絶縁層120が連続して被覆され、絶縁層120とカーボンナノチューブ線状構造体110の表面とが貼付され、且つ直接に緊密に接触することを指す。絶縁層120の厚さは1μm〜10μmである。絶縁層120がカーボンナノチューブ線状構造体110の表面を被覆した後、カーボンナノチューブ線状構造体110及び絶縁層120が形成する横断面の形状は円形、方形、三角形、矩形などの何れか一種或いは他の形状である。本実施例において、絶縁層120の厚さは3μmである。
絶縁層120を形成する工程において、絶縁材料及びカーボンナノチューブ線状構造体110は、分子間の吸着作用によって緊密に結合される。これにより、カーボンナノチューブ線状構造体110の表面に絶縁層120が貼付され、カーボンナノチューブ線状構造体110は、絶縁層120に強固に固定される。更に、カーボンナノチューブ線状構造体110の表面は複数の間隙を有するので、絶縁層120の絶縁材料の一部が該間隙に浸透することで、絶縁層120とカーボンナノチューブ線状構造体110とは緊密に結合することができる。これにより、カーボンナノチューブ線状構造体110の機械強度を高めることができる。
絶縁層120は電気絶縁に用いられる。絶縁層120の材料は、真空セラミック(主な成分はAl、MgSiOである)、酸化アルミニウム、テフロン(登録商標)、ナノ粘土−高分子複合材料の何れか一種である。ナノ粘土−高分子複合材料におけるナノ粘土は、ナノ程度の層状構造のケイ酸塩鉱物であり、多種水和ケイ酸塩(hydrosilicate)及び一定量の酸化アルミニウム、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物からなる。前記ナノ粘土は耐火性に優れている。該ナノ粘土は、例えば、ナノ−カオリン、ナノ−モンモリロナイトである。高分子材料は、シリコン樹脂、ポリアミド、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)などである。本実施例において、絶縁層120の材料は真空セラミックである。真空セラミックは優れた電気絶縁性を有し、且つ耐火性に優れているので、カーボンナノチューブ線状構造体110に電気絶縁を提供し、カーボンナノチューブ線状構造体110を保護できる。
更に、カーボンナノチューブ線状構造体110の外表面に、絶縁層120が間隔をおいて非連続に被覆されても良く、絶縁層120の表面に導電リング130を形成できることを保証しさえすればよい。
本実施例において、絶縁層120の製造方法は、カーボンナノチューブ線状構造体110の表面に、絶縁材料をコーティングするステップ(S111)と、このコーティングされた絶縁材料を焼結するステップ(S112)と、含む。
ステップ(S112)において、絶縁材料を焼結する工程を通じて、絶縁材料中の気体を排除することができる。これにより、電界放出電子源10が作動する工程において、絶縁材料から気体が発生しないため、カーボンナノチューブ線状構造体110の電界放出能力に影響を与えず、絶縁層120及びカーボンナノチューブ線状構造体110の結合力を高めることができる。
ステップ(S12)において、絶縁層120の表面に複数の導電リング130が間隔をあけて設置される。即ち、複数の導電リング130はカーボンナノチューブ線状構造体110の中心軸の方向に沿って、一定の間隔をあけて設置される。隣接する二つの導電リング130の距離は同じでも良いし、或いは同じでなくても良い。隣接する二つの導電リング130の距離は同じであることが好ましい。これにより、同じ長さの電界放出電子源が形成でき、均一の電界放出を実現することができる。導電リング130はリング状構造体であり、絶縁層120を取り囲んで、絶縁層120の表面に貼付される。また、導電リング130は密封のリング状構造体でも良いし、或いは半密封のリング状構造体でも良い。導電リング130は、自身の中心軸の延伸する方向に、相対する二つの表面を有する。ここで、該二つの表面を第一表面と第二表面と定義する。第一表面及び第二表面は、カーボンナノチューブ線状構造体110の中心軸に垂直である。或いは第一表面及び第二表面は、カーボンナノチューブ線状構造体110の中心軸と特定の角度を成す。
導電リング130の幅は、カーボンナノチューブ線状構造体110の中心軸に沿って延伸する長さを指す。前記幅は1μm〜20μmであり、必要に応じて選択できる。カーボンナノチューブ線状構造体110の表面は導電リング130に均一に被覆される。即ち、各位置における導電リング130の厚さは同じである。導電リング130のこの厚さは導電リング130の外径と内径の差を指す。導電リング130の厚さは1μm〜10μmである。導電リング130の材料は導電性に優れた金属であり、例えば、銅、銀、金など何れか一種或いはそれらの合金である。導電リング130を形成する材料の粒はナノレベルであり、好ましくは、粒の直径は100nmより小さい。これにより、導電リング130が基本的に気体を含まないことを保証し、残留気体が電界放出に影響を与えることを減少させる。本実施例において、導電リング130の第一表面及び第二表面はカーボンナノチューブ線状構造体110の中心軸に垂直であり、導電リング130の材料は銀である。また、導電リング130の幅は4μmであり、その厚さは2μmである。本実施例において、物理気相成長法(PVD)(例えば、真空蒸着法、イオン・スパッタ法)或いは電気化学めっき法(electrochemical plating)によって、導電リング130が形成される。好ましくは、マスク真空蒸着法によって導電リング130が形成される。隣接する二つの導電リング130間の距離は4μm〜20μmであり、例えば、6μm、10μm、15μmなどである。形成しようとする電界放出電子源10の高さによって、隣接する二つの導電リング130間の距離を選択することができる。
ステップ(S13)において、複数の電界放出電子源10を形成する方法は、電界放出電子源の予備体112の両端を固定するステップ(S131)と、電界放出電子源の予備体112を切断し、複数の電界放出電子源10を形成し、導電リング130が電界放出電子源10の少なくとも一端を被覆するステップ(S132)と、を含む。
ステップ(S132)において、導電リング130が電界放出電子源10の少なくとも一端を被覆することを保証しさえすれば、電界放出電子源の予備体112を切断する方式は必要に応じて選択できる。例えば、導電リング130の第一表面及び第二表面が絶縁層120と接触する位置から切断する。或いは、第一表面と第二表面との間の導電リング130の任意位置から切断することもできる。具体的には、例えば、第N番目の導電リング130に対して、第一表面が絶縁層120と接触する位置或いは第一表面と第二表面との間の導電リング130の任意位置から切断する場合、隣り合う第N+1番目の導電リング130に対して、第一表面が絶縁層120と接触する位置、第二表面が絶縁層120と接触する位置、第一表面と第二表面との間の導電リング130の任意位置或いは第N番目の導電リング130と第N+1個の導電リング130との間の電界放出電子源の予備体112の表面から切断できる。第N番目の導電リング130に対して、第二表面が絶縁層120と接触する位置から切断する場合、第N+1個の導電リング130に対して、第一表面と第二表面との間の導電リング130の任意位置或いは第二表面が絶縁層120と接触する位置から切断できる。切断の順序は制限されず、同時に切断しても良く、或いは順番に切断しても良い。
電界放出電子源の予備体112を切断した後平らな断面が形成される。電界放出電子源10の少なくとも一端は導電リング130に被覆される。カーボンナノチューブ線状構造体110におけるカーボンナノチューブはこの平らな断面から露出され、電子放出端とする。電界放出電子源の予備体112を切断する方向は、カーボンナノチューブ線状構造体110の延伸方向と角度αを成す。該角度αは0°〜90°(0°を含まず)である。好ましくは、角度αは90°である。即ち、電界放出電子源の予備体112を切断する方向は、カーボンナノチューブ線状構造体110の延伸方向に垂直である。本実施例において、第一表面と第二表面との間の導電リング130の任意位置から、導電リング130、絶縁層120及びカーボンナノチューブ線状構造体110を切断し、複数の電界放出電子源10を形成する。この時、導電リング130は電界放出電子源10の両端に設置される。電界放出電子源の予備体112は、物理的切断方法、化学的切断方法(例えば、機械切断方法、レーザ切断方法(CO或いはNd:YAGレーザ))によって切断される。本実施例において、電界放出電子源の予備体112は機械切断方法によって切断される。
切断する工程において、電界放出電子源10の構造を形成することを保証するために、電界放出電子源の予備体112の両端を固定する。また、必要に応じて、ステップS131は省略することもできる。
(実施例2)
図4を参照し、本発明の実施例2は電界放出電子源10を提供する。電界放出電子源10は、カーボンナノチューブ線状構造体110と、絶縁層120と、導電リング130と、を含む。カーボンナノチューブ線状構造体110の表面には絶縁層120が被覆される。絶縁層120に被覆されたカーボンナノチューブ線状構造体110の少なくとも一端には、少なくとも一つの導電リング130が設置される。カーボンナノチューブ線状構造体110、絶縁層120及び導電リング130は共軸上に設置される。カーボンナノチューブ線状構造体110は電界放出電子源10の両端から露出する。ここで、該電界放出電子源10の両端から露出されたカーボンナノチューブ線状構造体110の端部を、カーボンナノチューブ線状構造体110の末端と定義する。電界放出電子源10の一端において、カーボンナノチューブ線状構造体110の末端に隣接する導電リング130の表面と、カーボンナノチューブ線状構造体110の末端と、絶縁層120が切断される表面と、は同一の平らな水平面に位置する。
カーボンナノチューブ線状構造体110はカーボンナノチューブを含む線状構造体である。カーボンナノチューブ線状構造体110は、少なくとも一本のカーボンナノチューブ、少なくとも一本のカーボンナノチューブワイヤ、少なくとも一本の複合カーボンナノチューブワイヤを含むか、或いはそれらの組み合わせである。カーボンナノチューブ線状構造体110が複数のカーボンナノチューブを含む場合、複数のカーボンナノチューブが平行に配列して線状構造体を形成するか、或いは相互にねじれて線状構造体を形成する。同様に、カーボンナノチューブ線状構造体110が複数のカーボンナノチューブワイヤを含む場合、複数のカーボンナノチューブワイヤが平行に配列して線状構造体を形成するか、或いは相互にねじれて線状構造体を形成する。同様に、カーボンナノチューブ線状構造体110が複数の複合カーボンナノチューブワイヤを含む場合、カーボンナノチューブワイヤ及びケイ素ナノチューブは平行に配列して線状構造体を形成するか、或いは相互にねじれて線状構造体を形成する。
絶縁層120はカーボンナノチューブ線状構造体110の表面に被覆され、且つカーボンナノチューブ線状構造体110の表面と直接に接触される。更に、カーボンナノチューブ線状構造体110の表面は複数の間隙を有するため、絶縁層120の一部がカーボンナノチューブ線状構造体110表面の該間隙に入り込むことができる。これにより、絶縁層120をカーボンナノチューブ線状構造体110に緊密に結合させ、カーボンナノチューブ線状構造体110の機械強度を高めることができる。絶縁層120の厚さは必要に応じて選択できる。例えば、導電リング130とカーボンナノチューブ線状構造体110の間に印加する電圧によって、絶縁層120の厚さを選択する。これにより、電子放出性能を高めることができる。好ましくは、絶縁層120の厚さは1μm〜10μmである。本実施例において、絶縁層120の厚さは3μmである。カーボンナノチューブ線状構造体110の二つの末端は絶縁層120から露出される。
電界放出電子源10の少なくとも一端には、少なくとも一つの導電リング130が設置される。導電リング130は絶縁層120の表面に設置され、カーボンナノチューブ線状構造体110と絶縁される。導電リング130はリング状構造体であり、中心軸の延伸方向に、相対する二つの表面を有する。導電リング130、絶縁層120及びカーボンナノチューブ線状構造体110は共軸上に設置される。導電リング130は密封したリング構造体でも良く、或いは密封しないリング構造体でも良い。導電リング130とカーボンナノチューブ線状構造体110の間に電圧を印加することによって、カーボンナノチューブ線状構造体110の電子放出を実現する。導電リング130の厚さは制限されず、印加する電圧によって選択できる。二つの導電リング130が電界放出電子源10の両端にそれぞれ設置される場合、一つの導電リング130は陽極電圧を提供し、他の一つの導電リング130は溶接されることによって、電界放出電子源10が外部電路の陰極に固定される。これにより、カーボンナノチューブ線状構造体110は陰極と緊密に接触されて間隙を減少させる。また、電子放出させる工程において発生する熱を減少させて、電界放出電子源10の使用寿命を延長させる。
電界放出電子源10の一端における導電リング130に陽極電圧を印加させ、電界放出電子源10の他の一端における導電リング130に陰極電圧を印加させることによって、導電リング130とカーボンナノチューブ線状構造体110の間に電圧を形成する。該電圧はカーボンナノチューブ線状構造体110におけるカーボンナノチューブを駆動させ、電子を放出させる。本実施例において、導電リング130の厚さは2μmであり、導電リング130とカーボンナノチューブ線状構造体110の間に形成される電圧は3V〜6Vであり、導電リング130とカーボンナノチューブ線状構造体110との間に形成される電場強度は1〜2V/μmである。前記の条件によって、カーボンナノチューブ線状構造体110におけるカーボンナノチューブは電子を放出できると同時に、駆動電圧を下げることができる。これにより、高電圧下におけるパンクチュアなどの不良現象を防止し、電界放出電子源10の使用寿命を延長させることができる。
本発明の電界放出電子源10及びその製造方法は以下の優れた効果を有する。第一に、カーボンナノチューブ線状構造体110が絶縁層120に直接に固定され、且つ絶縁層120と緊密に結合されるので、カーボンナノチューブ線状構造体110が絶縁層120と分離することを防止できる。これにより、電界放出電子源10の電子放出効率が大きい場合、強電場によって、カーボンナノチューブ線状構造体110におけるカーボンナノチューブが陰極電極から分離されにくい。第二に、各電界放出電子源10は独立した電界放出電子ユニットであるので、取り替え、組み立て及び集積化に便利である。第三に、電界放出電子源10の製造方法は、カーボンナノチューブ線状構造体110を容易に絶縁層120で固定することができ、且つ絶縁層120の厚さを制御することによって、電界放出電子源に印加される電圧を制御できる。第四に、電界放出電子源10の製造方法は、一回で複数の電界放出電子源10を形成できるため製造効率が高い。また構造が容易でありコストも低い。
(実施例3)
図5を参照すると、本発明の実施例3は電界放出表示装置12を提供する。電界放出表示装置12は陰極電極150及び電界放出電子源10を含む。電界放出電子源10は中心軸に延伸する方向に、相対する第一端及び第二端を有する。電界放出電子源10の第一端は陰極電極150と電気的に接続される。即ち、電界放出電子源10の第一端に、露出されるカーボンナノチューブ線状構造体110が陰極電極150と電気的に接続される。導電リング130は電界放出電子源10の第二端に設置され、且つ絶縁層120によって、カーボンナノチューブ線状構造体110と絶縁される。導電リング130は電界放出表示装置12のグリッドである。導電リング130と陰極電極150との間に電圧を印加することによって、導電リング130とカーボンナノチューブ線状構造体110の末端の間に電圧が形成され、カーボンナノチューブ線状構造体110の電子放出を実現する。また、陰極電極150がカーボンナノチューブ線状構造体110と電気的に接続されることを保証しさえすれば、陰極電極150の材料及び形状は制限されず、必要に応じて選択できる。
更に、導電リング130は電界放出電子源10の第一端に設置することができる。この時、電界放出電子源10の第一端に設置された導電リング130は、陰極電極150と接触し、電界放出電子源10の第二端に設置された導電リング130と電気的に絶縁される。電界放出電子源10の第一端に設置される導電リング130は、溶接などの方式によって陰極電極150の表面に固定される。これにより、電界放出電子源10は陰極電極150に強固に固定され、カーボンナノチューブ線状構造体110と陰極電極150との接触性に優れる。
(実施例4)
図6を参照すると、本発明の実施例4は電界放出電子源20の製造方法を提供する。電界放出電子源20の製造方法は、カーボンナノチューブ線状構造体110を提供するステップ(S20)と、カーボンナノチューブ線状構造体110の表面に絶縁材料124を被覆するステップ(S21)と、絶縁材料124の表面に複数の導電リング130を間隔をあけて設置するステップ(S22)と、絶縁材料124が被覆され、複数の導電リング130が設置されたカーボンナノチューブ線状構造体110を切断し、複数の電界放出電子源の予備体212を形成するステップ(S23)と、複数の電界放出電子源の予備体212における絶縁材料124を焼結して絶縁層120を形成し、複数の電界放出電子源20を形成するステップ(S24)と、を含む。
本発明の実施例4の電界放出電子源20の製造方法は、実施例1の電界放出電子源10の製造方法と基本的に同じであるが異なる点は、実施例4において、絶縁材料124を焼結して絶縁層120を形成する前に、絶縁材料124を被覆して、複数の導電リング130を設置したカーボンナノチューブ線状構造体を切断して、複数の電界放出電子源の予備体212を形成した後で、電界放出電子源20を焼結することである。
ステップ(S24)において、絶縁材料124は制限されず、必要に応じて選択できる。絶縁材料124は、例えば、真空セラミック、酸化アルミニウム、テフロン(登録商標)、ナノ粘土−高分子複合材料の何れか一種である。絶縁材料124は焼結される工程において収縮するので、絶縁材料124が焼結されると、電界放出電子源20内に形成された絶縁層120は収縮して凹み、カーボンナノチューブ線状構造体110の一部は露出される。これにより、該カーボンナノチューブ線状構造体110の一部は絶縁層120に被覆されない。絶縁層120が電界放出電子源20の内側に凹むスペースの形状は絶縁材料124の収縮率に関係し、電界放出電子源20の切断面から遠いほどそのスペースは小さい。露出されたカーボンナノチューブ線状構造体110の一部の最大の長さは、導電リング130の幅より小さい。これにより、絶縁層120が導電リング130に被覆されることを保証する。
(実施例5)
図7を参照すると、本発明の実施例5は電界放出電子源20を提供する。電界放出電子源20は、カーボンナノチューブ線状構造体110と、絶縁層120と、導電リング130と、を含む。カーボンナノチューブ線状構造体110の表面には、絶縁層120が被覆される。絶縁層120に被覆されたカーボンナノチューブ線状構造体110の少なくとも一端には、少なくとも一つの導電リング130が設置される。カーボンナノチューブ線状構造体110、絶縁層120及び導電リング130は共軸に設置される。カーボンナノチューブ線状構造体110の両端は絶縁層120から露出される。
本発明の実施例5の電界放出電子源20の構造は、実施例2の電界放出電子源10の構造と基本的に同じであるが、次の異なる点がある。導電リング130が設置された電界放出電子源20の端部において、絶縁層120が電界放出電子源20の内部に凹み、スペースが形成される。カーボンナノチューブ線状構造体110の一部は、前記凹んで形成されたスペースに位置し、絶縁層120から露出され、絶縁層120に被覆されていない。前記絶縁層120に被覆されず露出されたカーボンナノチューブ線状構造体110の一部の長さは、導電リング130の幅より小さい。また、カーボンナノチューブ線状構造体110の末端は導電リング130の切断面と同じ平面に位置している。
(実施例6)
図8を参照すると、本発明の実施例6は電界放出電子源30の製造方法を提供する。電界放出電子源30の製造方法は、カーボンナノチューブ線状構造体110を提供するステップ(S30)と、カーボンナノチューブ線状構造体110の表面に絶縁層120を被覆するステップ(S31)と、絶縁層120の表面に複数の導電リング130を間隔をあけて設置するステップ(S32)と、隣接する二つの導電リング130の間において露出された絶縁層120の表面に、絶縁リング122を被覆するステップ(S33)と、複数の導電リング130、絶縁層120及びカーボンナノチューブ線状構造体110を切断し、複数の電界放出電子源30を形成するステップ(S34)と、を含む。
本発明の実施例6の電界放出電子源30の製造方法は、実施例1の電界放出電子源10の製造方法と基本的に同じであるが、次の異なる点がある。電界放出電子源30の製造方法はさらに、隣接する二つの導電リング130の間において露出された絶縁層120の表面に、絶縁リング122を被覆するステップを含むことである。絶縁リング122の製造方法は絶縁層120の製造方法と基本的に同じである。また、絶縁リング122の厚さは導電リング130の厚さと同じである。これにより、電界放出電子源30の外径は同一になる。
電界放出電子源30が絶縁リング122を有することは次の優れた点がある。第一に、複数の電界放出電子源30を並列に設置することができ、電子を放出する際、気体が存在するスペースを減少させ、気体が電子放出に影響を与えることを減少させる。第二に、電界放出電子源30の外径が同一であるため、複数の電界放出電子源30を並列に設置した際、電界放出電子源30が相互に接触する面積を増大させ、電界放出電子源30間の作用力を高め、電界放出電子源30を緊密に結合させることができる。
また、導電リング130の製造工程と絶縁リング122の製造工程とを入れ替えることができる。即ち、先ず、絶縁層120の表面に複数の絶縁リング122を間隔をあけて設置した後に、隣接する二つの絶縁リング122の間において露出された絶縁層120の表面に、導電リング130を被覆する。これにより、絶縁リング122及び絶縁層120は一体成型構造体を形成できるため、製造工程が簡単になり、コストも低くなる。
(実施例7)
図9を参照すると、本発明の実施例7は電界放出電子源アレイ100の製造方法を提供する。電界放出電子源アレイ100の製造方法は、カーボンナノチューブ線状構造体110を提供するステップ(S40)と、カーボンナノチューブ線状構造体110の表面に絶縁層120を被覆するステップ(S41)と、絶縁層120の表面に複数の導電リング130を間隔をあけて設置し、電界放出電子源の予備体312を形成するステップ(S42)と、複数の電界放出電子源の予備体312を並列に設置し、電界放出電子源アレイ予備体101を形成するステップ(S43)と、電界放出電子源アレイ予備体101を切断し、複数の電界放出電子源アレイ100を形成するステップ(S44)と、を含む。
本発明の実施例7の電界放出電子源アレイ100の製造方法は、実施例1の電界放出電子源10の製造方法と基本的に同じであるが、次の異なる点がある。電界放出電子源アレイ100の製造方法において、複数の導電リング130が設置された複数の電界放出電子源の予備体312を並列に設置した後、複数の電界放出電子源の予備体312を同時に切断し、複数の電界放出電子源アレイ100を形成することである。
ステップ(S43)において、並列に設置するとは、複数の電界放出電子源の予備体312を相互に平行して、同じ方向(例えば、該同じ方向はX方向である)に沿って延伸して設置し、且つ各電界放出電子源の予備体312に設置された導電リング130が、隣接する電界放出電子源の予備体312に設置された導電リング130にそれぞれ対応し、同じX座標値を有することを指す。即ち、各電界放出電子源の予備体312における第N番目の導電リング130は同じX座標値を有し、各電界放出電子源の予備体312における第N+1番目の導電リング130は同じX座標値を有する。複数の電界放出電子源の予備体312を並列に設置するので、複数の電界放出電子源の予備体312を同時に切断する際、切断する位置を容易に制御でき、形成された複数の電界放出電子源アレイ100は綺麗に揃っている。電界放出電子源アレイ100において、隣接する電界放出電子源は相互に接触して設置され、且つ同じX座標値を有する導電リング130は相互に電気的に接触して設置される。
複数の電界放出電子源の予備体312は相互間で強い引力を有するので、複数の電界放出電子源の予備体312は緊密に配列される。これにより、電界放出電子源アレイ予備体101を切断する際、複数の電界放出電子源の予備体312は分散しない。これにより、形成された電界放出電子源アレイ100を容易に集積、設置、駆動させることができる。更に、製造工程などの原因で、異なる電界放出電子源の予備体312は、同じX座標を有する導電リング130において、少しの位置ずれを有する可能性があるが、この位置ずれは、電界放出電子源アレイ100の各電界放出電子源10の電界放出に影響を与えない。
ステップ(S44)において、複数の電界放出電子源の予備体312は並列に設置されているので、電界放出電子源アレイ予備体101を切断する位置は、導電リング130の両表面の間であることが好ましい。これにより、形成された電界放出電子源アレイ100の少なくとも一端に導電リング130が設置される。電界放出電子源の予備体312を切断する工程において、切断方向が傾斜する(即ち、切断方向が電界放出電子源の予備体312の中心軸の方向と垂直ではない)と、一部の電界放出電子源の切断された位置に導電リング130が設置されない可能性がある。この場合、形成された一部の電界放出電子源が電子を放出できない或いは電界放出電子源アレイ100が電子を均一に放出できない可能性がある。従って、切断方向は電界放出電子源の予備体312の中心軸に対して垂直とすることが好ましい。しかし、電界放出電子源アレイ100が電子を均一に放出できることを保証しさえすれば、製造工程などの他の原因で、切断方向が電界放出電子源の予備体312の中心軸と垂直でなくても良い。この時、切断方向は電界放出電子源の予備体312の中心軸の方向と特定の角度を成して傾斜する。
電界放出電子源アレイ100の製造方法は次の優れた点がある。第一に、複数の独立した電界放出電子源アレイ100を一度に製造でき、各電界放出電子源アレイ100を独立した電界放出ユニットとして用いることができる。第二に、電界放出電子源アレイ100の電界放出電流は高くなる。第三に、電界放出電子源アレイ100は特定のパターンによって、新しい電界放出電子源アレイを形成でき、電界放出素子を集積することを有利にし、且つ容易に電界放出電子源アレイ100を取り替え、調整及び移動させることができる。第四に、電界放出電子源アレイ100における各カーボンナノチューブ線状構造体110が絶縁層に強固に固定されるので、電界放出電子源アレイ100は強電場力を受けることができる。
電界放出電子源アレイ100は複数の電界放出電子源10を含み、該複数の電界放出電子源10は並列に設置される。並列に設置されるとは、複数の電界放出電子源10が同じ方向に沿って延伸し、且つ該方向における長さが同じであり、各電界放出電子源10の同一端の導電リング130が相互に電気的に接触し、電界放出電子源アレイ100の端部における複数の導電リング130の表面は水平な切断面である。また、電界放出電子源10は、その延伸する方向に、相対する第一端及び第二端を有する。導電リング130は電界放出電子源10の少なくとも一端に設置される。即ち、各電界放出電子源10に設置される全ての導電リング130は電界放出電子源10の第一端に設置されることができ、または、各電界放出電子源10に設置される全ての導電リング130は電界放出電子源10の第二端に設置されることができる。或いは導電リング130は第一端及び第二端に同時に設置されることができる。また、隣接する二つの電界放出電子源10の同一端に設置される導電リング130は相互に電気的に接触される。
図10を参照すると、電界放出電子源アレイ100が形成された後、電界放出電子源アレイ100の一端に導電層140が設置される。電界放出電子源アレイ100の一端における複数の導電リング130は該導電層140に被覆され、且つ該導電層140は電界放出電子源アレイ100の一端における複数の導電リング130と電気的に接続される。電界放出電子源アレイ100における複数の電界放出電子源10が並列して平行に設置されるので、電界放出電子源アレイ100の外郭の複数の導電リング130の一部の表面は露出される。従って、該露出された導電リング130の一部の表面に、導電層140が連続して貼付される。ここで、表面とは、導電リング130の中心軸の方向に、且つ相対する両表面の間の絶縁層120と接触しない表面を指す。導電層140が電界放出電子源アレイ100の一端の外郭における複数の導電リング130と電気的に接続されることによって、導電層140は電界放出電子源アレイ100の同一端の全ての導電リング130と電気的に接続することができる。これにより、導電層140とカーボンナノチューブ線状構造体110との間に電圧を印加することによって、複数の電界放出電子源10が同時に電子を放出し、大きな電界放出電流が形成される。また、大きい効率の電子放出素子に適用される。
(実施例8)
図11を参照すると、本発明の実施例8は電界放出表示装置22を提供する。電界放出表示装置22は、陰極電極150及び電界放出電子源アレイ100を含む。電界放出電子源アレイ100は中心軸に延伸する方向に、相対する第一端及び第二端を有する。電界放出電子源アレイ100の第一端は陰極電極150と電気的に接続される。
本発明の実施例8の電界放出表示装置22の構造は、実施例3の電界放出表示装置12の構造と基本的に同じであるが次の異なる点がある。実施例3の電界放出表示装置12は電界放出電子源10を利用しているが、本実施例8の電界放出表示装置22は電界放出電子源アレイ100を利用していることである。また、電界放出電子源アレイ100の第二端には、導電層140が設置されている。
(実施例9)
図12を参照すると、本発明の実施例9は電界放出電子源200の製造方法を提供する。電界放出電子源200の製造方法は、カーボンナノチューブ線状構造体110を提供するステップ(S50)と、カーボンナノチューブ線状構造体110の表面に絶縁材料124を被覆するステップ(S51)と、絶縁材料124の表面に複数の導電リング130を間隔をあけて設置して、電界放出電子源の予備体412を形成するステップ(S52)と、複数の電界放出電子源の予備体412を並列に設置し、電界放出電子源アレイ予備体201を形成するステップ(S53)と、電界放出電子源アレイ予備体201を切断し、絶縁材料124を焼結して絶縁層120を形成し、複数の電界放出電子源アレイ200を形成するステップ(S54)と、を含む。
本発明の実施例9の電界放出電子源200の製造方法は、実施例4の電界放出電子源20の製造方法と基本的に同じであるが次の異なる点がある。電界放出電子源アレイ200の製造方法において、まず、複数の導電リング130が設置された複数の電界放出電子源の予備体412を並列に設置し、次に、複数の電界放出電子源の予備体412を同時に切断し、最後に、絶縁材料124を焼結して絶縁層120を形成し、複数の電界放出電子源アレイ200を得ることである。各電界放出電子源アレイ200は並列に設置された複数の電界放出電子源20を含む。
10、20、30 電界放出電子源
12、22 電界放出表示装置
100、200 電界放出電子源アレイ
101、201 電界放出電子源アレイ予備体
110 カーボンナノチューブ線状構造体
112、212、312、412 電界放出電子源の予備体
120 絶縁層
122 絶縁リング
124 絶縁材料
130 導電リング
140 導電層
150 陰極電極

Claims (2)

  1. カーボンナノチューブ線状構造体と、絶縁層と、二つの導電リングと、を含む電界放出電子源であって、
    前記カーボンナノチューブ線状構造体の表面に前記絶縁層が被覆されており、
    前記絶縁層に被覆された前記カーボンナノチューブ線状構造体の端には、前記二つの導電リングがそれぞれ設置されており、
    前記絶縁層の一部の表面に前記二つの導電リングが被覆されており、前記絶縁層によって、前記カーボンナノチューブ線状構造体は前記二つの導電リングと電気絶縁されており、
    各々の前記導電リングは、中心軸の延伸する方向に相対する二つの表面を有しており、
    前記二つの導電リングの一つの表面及び前記カーボンナノチューブ線状構造体の末端は同じ平面に位置してり、
    前記絶縁層及び前記カーボンナノチューブ線状構造体は、分子間の吸着作用によって緊密に結合されることを特徴とする電界放出電子源。
  2. 陰極電極及び少なくとも一つの請求項1に記載の電界放出電子源を含む電界放出表示装置であって、
    前記少なくとも一つの電界放出電子源は、中心軸に延伸する方向に相対する第一端及び第二端を有しており、
    前記少なくとも一つの電界放出電子源の第一端が前記陰極電極と電気的に接続されていることを特徴とする電界放出表示装置。
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