以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明による遊技機管理装置を適用した遊技場用システム1の全体構成を示している。遊技場用システム1は、複数のパチンコ遊技機2、各パチンコ遊技機2に対応して設けられている貸出装置3及び呼出ランプ4、図示しない管理室などに設けられている遊技機管理装置5(付与数特定手段、割合特定手段、異常報知手段、通常状態判定手段に相当)などから構成されている。
貸出装置3は、硬貨投入口3aに硬貨が投入された状態、または、固有のIDが記録されたプリペイドカードがカード挿入口3bに挿入されて払出釦3cが押下げられた状態で、特定された有価価値に基づいて遊技価値としてのパチンコ玉(貸玉)を払出口3dからパチンコ遊技機2に払い出す(付与する)。また、貸出装置3は、パチンコ玉の払出(付与)に伴って、売上信号を呼出ランプ4に送信する。貸出装置3の情報表示部3eでは、貸出情報や対応するパチンコ遊技機2に関する各種の遊技情報なども表示可能である。呼出ランプ4は、パチンコ遊技機2及び貸出装置3と遊技機管理装置5との間のデータを中継すると共に、各種の情報を表示装置6に表示する。
遊技機管理装置5は、モニタ7及びキーボード8を有していると共に、LAN9を介して呼出ランプ4に接続されている。遊技機管理装置5は、図示しないマイクロコンピュータを含む制御装置を備えており、各パチンコ遊技機2から出力される各種の遊技信号に基づいて、各パチンコ遊技機2についての大当たり確率や売上げなどの稼動データを遊技機別に集計及び記憶して管理するものである。
図2は、パチンコ遊技機2の正面図である。パチンコ遊技機2は、遊技者によるハンドル装置10の操作に応じて発射装置11からパチンコ玉を遊技領域である盤面12に発射する。盤面12に発射されたパチンコ玉が複数設けられている入賞口に入賞すると、入賞した入賞口に対応する数のパチンコ玉が払い出される(遊技者へ付与される)。盤面12の中央には、液晶表示装置13が設けられており、発射されたパチンコ玉が液晶表示装置13の下方に設けられている始動口14に入賞すると、後述する抽選が行われ、液晶表示装置13に表示されている図柄(特図)が変動する。
液晶表示装置13において所定時間の変動後に停止した図柄が大当たり図柄の場合には、遊技者に有利な特別遊技状態としての大当たり状態が発生し、大入賞口15が所定の終了条件が成立するまで開閉する。本実施形態では、液晶表示装置13には1〜9の数字が3列に表示され、基本的には、その3列に同じ数字が停止表示されたときに大当たり状態が発生する。なお、大入賞口15の左方には常に入賞可能な入賞口である一般入賞口16が配置されている。
パチンコ遊技機2の場合、上記した抽選の起因となるいわゆる保留玉の上限は4個であり、図柄変動中に再度始動口14にパチンコ玉が入賞した場合は上限まで保留し、図柄変動終了後に順次保留した図柄変動を実行する。このとき、液晶表示装置13下部の特図保留表示部17に保留玉数を表示する。また、盤面12の図示右方には、例えば7セグメントLEDなどで構成され、始動口14への入賞に応じて実行される抽選の結果を示す特図表示部18が設けられている。
盤面12の図示左方には、ゲート19、例えばLEDで構成された普図表示部20及び普図保留表示部20aが設けられている。盤面12に発射されたパチンコ玉がゲート19を通過すると、始動口14に対応して設けられている電チュー21を開放するか否かの普図抽選が実行され、その抽選結果が普図表示部20に表示される。この電チュー21は、開放状態では始動口14へのパチンコ玉の流入を促す一方、閉鎖状態では始動口14へのパチンコ玉の流入を阻害する。
また、パチンコ遊技機2は、上記した普図抽選に対する保留玉の上限は2個であり、普図抽選中に再度ゲート19をパチンコ玉が通過した場合は上限まで保留し、普図抽選の終了後に順次保留した普図抽選を実行する。このとき、普図保留表示部20aに普図保留玉数を表示する。また、パチンコ遊技機2には、各種の演出を実行するための装飾ランプ22及びスピーカ23、及び、演出ボタン24が設けられている。
図3は、パチンコ遊技機2の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ遊技機2は主制御回路30(遊技状態制御手段に相当)を備えている。この主制御回路30は、CPU、ROM、RAM、信号を送受信するためのインターフェースからなるI/Oなどを備えたマイクロコンピュータにより構成され、電源回路31から電源が供給されている。主制御回路30は、ゲート通過検出器32、始動入賞検出器33、大入賞検出器34などから入力される信号に基づいて、パチンコ遊技機2全体を制御している。遊技者がハンドル装置10を操作すると、その操作情報が入力された発射制御回路35によって発射装置11が駆動され、盤面12にパチンコ玉が発射される。
盤面12に発射されたパチンコ玉は、盤面12を流下した後、例えばゲート19を通過する。このとき、ゲート通過検出器32は、ゲート19を通過するパチンコ玉を検出し、パチンコ玉がゲート19を通過するごとに信号を主制御回路30に出力する。主制御回路30は、ゲート通過検出器32から信号を受信すると、乱数発生部36で発生した乱数の1つを乱数抽出部37で抽出することにより普図抽選を実行する。この普図抽選において普図当選になると、電チューソレノイド38が駆動され、電チュー21が開放する。また、パチンコ玉のゲート19の通過に応じて、普図表示部20や普図保留表示部20aのLEDを点灯あるいは消灯させる。
普図抽選では、パチンコ遊技機2の遊技状態によって当選確率などが変化する。具体的には、パチンコ遊技機2には後述する通常状態や時短状態などの複数の遊技状態が設けられている。通常状態においては、普図当選となる確率である普図当選確率は1/30に設定されている。また、時短状態においては、普図当選確率は1/1に設定されている。また、特図当選となる確率である特図当選確率は、通常状態及び時短状態においては、1/100に設定され、確変状態においては、1/10に設定されている。さらに、特図当選となった時の確変割合は100%となっている。
普図抽選に要する時間、すなわち普図表示部20において変動表示が行われる普図変動時間は、通常状態では30秒、時短状態では1秒に設定されている。そして、普図抽選において普図当選となった場合には、電チュー21は、通常状態では0.2秒、時短状態では1.5秒×3回の間開放される。つまり、時短状態では、電チュー21の開放時間が長く、その回数も増えるため、始動口14への入賞が通常状態よりも促されることになる。なお、確変状態においては、普図変動時間、普図抽選に当選する確率、及び、電チュー21の開放態様が時短状態と同様になっている。
また、盤面12に発射されたパチンコ玉は、盤面12を流下した後、例えば始動口14に入賞する。始動入賞検出器33は、始動口14に入賞したパチンコ玉を検出し、パチンコ玉が入賞するごとに信号を主制御回路30に出力する。主制御回路30は、始動入賞検出器33から信号を受信すると、乱数発生部36で発生した乱数の1つを乱数抽出部37で抽出することにより特図抽選を実行する。なお、本実施形態では特図抽選と上記した普図抽選とで同じ乱数発生部36及び乱数抽出部37を共用しているが、それぞれ別の乱数発生部36及び乱数抽出部37を設ける構成としてもよい。
主制御回路30は、特図抽選を実行した後、液晶表示装置13に表示されている図柄の変動を開始する。この特図抽選には特別遊技状態である5R大当たり状態(第1特別遊技状態に相当)及び15R大当たり状態(第2特別遊技状態に相当)、またはハズレのいずれかの抽選結果が設定されている。主制御回路30が5R大当たり状態と15R大当たり状態とのいずれかを発生させると、大入賞ソレノイド39が駆動され、大入賞口15の開放状態と閉鎖状態との切替制御が実行される。すなわち、主制御回路30は、大入賞ソレノイド39を駆動することにより、大入賞口15を、盤面12を流下するパチンコ玉が入賞可能な開放状態と開放状態よりもパチンコ玉が入賞し難い閉鎖状態とに切り替える切替制御を実行している。
大入賞口15は、5R大当たり状態では5ラウンド(5R)、15R大当たり状態では15ラウンド(15R)の間、開放状態と閉鎖状態とが切り替えられる(1ラウンドにつき1回、開放状態と閉鎖状態とが切り替えられる)。15R大当たり状態では、5R大当たり状態よりもラウンド数が多く、大当たり状態が開始してから終了するまでの大入賞口15が開放されている期間の合計が5R大当たり状態よりも長く、大当たり状態が開始してから終了するまでに大入賞口15にパチンコ玉が多く入賞し易い。主制御回路30は、特図抽選の結果に応じて、特図表示部18のLEDを点灯あるいは消灯させることにより、特図抽選の結果を表示する。
また、主制御回路30は、上記したようにパチンコ玉がいずれかの入賞口に入賞する(払出条件が成立する)と、副制御回路40や表示制御回路41を制御することにより液晶表示装置13に各種の演出を表示するとともに、払出制御回路42に対し図2に示す払出装置43(付与手段に相当)からのパチンコ玉の払出を指示する。これにより、遊技者にパチンコ玉が払い出される。
払出装置43は、予め定められた払出条件が成立した場合にパチンコ玉を払い出すものであり、具体的には、パチンコ玉が始動口14に入賞した場合には3個のパチンコ玉を払い出し、大入賞口15に入賞した場合には10個のパチンコ玉を払い出し、一般入賞口16に入賞した場合には10個のパチンコ玉を払い出す。本実施形態では、払出条件が成立する成立ペースよりも、払出条件の成立に基づいて払出装置43がパチンコ玉を払い出す払出ペースの方が早くなるように設定されている。
なお、パチンコ遊技機2の払出装置43から払い出されたパチンコ玉は上皿45(図2参照)に流れるが、上皿45のパチンコ玉が一杯になると、主制御回路30は、上皿45が一杯になって玉詰まりが発生したことを検知し、払出処理を中断する。従業員が適切な処置をすることなどにより上皿45の玉詰まりが解消されると、主制御回路30は、払出処理を再開する。すなわち、払出条件の成立に基づいて行われる大当たり状態におけるパチンコ玉の払出が、大当たり状態の終了後に実行されることがある。
ここで、パチンコ遊技機2に設けられている遊技状態について説明する。パチンコ遊技機2には、図4に示すように、通常状態、大当たり状態、確変状態、時短状態の4つの遊技状態が設けられている。これらの遊技状態は、予め定められた条件に従って遷移する。具体的には、パチンコ遊技機2は、例えば、通常状態において大当たり当選した場合は、大当たり状態に遷移する。この大当たり状態には、上述したように5R大当たり状態と15R大当たり状態とがある。
15R大当たり状態(第2特別遊技状態)は、遊技者により使用されるパチンコ玉の使用数が5R大当たり状態(第1特別遊技状態)よりも多くなるものであり、また、大当たり状態の開始から終了までの時間に対応した消化時間が5R大当たり状態よりも長くなるものである。また、15R大当たり状態は、払出装置43から払い出されたパチンコ玉の付与数からパチンコ玉の使用数を差し引いた差玉数(差価値数に相当)が5R大当たり状態よりも多くなる。
通常状態において大当たり当選した場合には、大当たり状態(5R大当たり状態または15R大当たり状態)になる。5R大当たり状態では、5Rが消化されると、確変状態に遷移する一方、再び大当たり当選となった場合には大当たり状態に遷移する。また、15R大当たり状態では、15Rが消化されると、確変状態に遷移する一方、再び大当たり当選となった場合には大当たり状態に遷移する。確変状態において、5回の図柄変動が終了すると、時短状態に遷移する。時短状態で、45回の図柄変動が終了すると、通常状態に遷移する。
図5は、パチンコ遊技機2に設定されている大当たりの種類を示している。パチンコ遊技機2には、5R大当たり状態(第1特別遊技状態)、15R大当たり状態(第2特別遊技状態)の2種類が設定されている。5R大当たり状態においては、ラウンド数が5Rで、出現割合は90%である。また、大当たり状態中のアウト玉数とセーフ玉数の差である差玉数(TY)の期待数が400個である。また、15R大当たり状態においては、ラウンド数が15Rで、出現割合は10%であり、差玉数(TY)の期待数が1200個である。すなわち、大当たりに当選すると、90%の割合で5R大当たり状態が発生し、残り10%の割合で15R大当たり状態が発生する。
主制御回路30は、遊技者による遊技の進行に応じて、盤面12に発射されたパチンコ玉の数であるアウトを特定可能なアウト信号、遊技者に付与したパチンコ玉の数であるセーフを特定可能なセーフ信号、始動口14への入賞に伴って発生する図柄の変動表示の開始(スタート)を特定可能なスタート信号、大当たりを特定可能な大当たり信号、確変状態を特定可能な確変信号、ラウンド中であることを特定可能なラウンド信号などの遊技信号を信号出力部44に出力する。呼出ランプ4は、信号出力部44から出力される遊技信号や遊技機管理装置5等から取得するデータに基づいて各種の遊技データの表示を行っている。
遊技機管理装置5は、図6に示す大当たり開始処理、図7に示す大当たり中処理、図8に示す大当たり終了対応処理、図9に示す通常時処理を実行している。
遊技機管理装置5は、遊技者により遊技が行われて特図抽選において大当たり(5R大当たりまたは15R大当たり)当選になると、図6に示す大当たり開始処理において、信号出力部44からの大当たり信号がONであることの検知を開始し(A1:YES)、大当たり履歴データに新規レコードを追加し、「発生時間」、「スタート回数」、「BO」、「Bサ」を記録すると共に、大当たり状態中の前記セーフ及びアウトの算出処理を開始する(A2)。なお、大当たり信号がONであることの検知の開始時以外は(A1:NO)、リターンする。
ここで、大当たり履歴データの項目について説明する。「発生時間」は、大当たり状態が発生した時刻を示し、「スタート回数」は、前回の大当たり状態の終了後(1回目の大当たり状態に関しては開店)から今回の大当たり状態の発生までのスタート回数を示す。「BO」は、前回の大当たりの終了後(1回目の大当たり状態に関しては開店)から今回の大当たり状態の発生までのアウト玉数を示し、「Bサ」は、前回の大当たり状態の終了後(1回目の大当たり状態に関しては開店)から今回の大当たり状態の発生までのアウト玉数とセーフ玉数との差である通常差玉数を示す。遊技機管理装置5は、上記した大当たり履歴データを各パチンコ遊技機2について区別して集計管理する。
大当たり開始処理が終了し、遊技者が所定数のパチンコ玉を払い出すと、遊技機管理装置5は、図7に示す大当たり中処理において、所定数(例えば200個)のセーフを検知したと判定(特定)すると(B1:YES)、大当たり中出玉率異常を報知済みであるかを判定し(B2)、大当たり中出玉率異常を報知済みでない場合は(B2:NO)、今回の大当たり状態における出玉率(特別割合に相当)を算出する(B3)。なお、セーフが所定数未満のとき(B1:NO)、及び、大当たり中出玉率異常を報知済みであるときは(B2:YES)、リターンする。
ここで、出玉率とは、所定数のセーフ(パチンコ玉の付与数)と、その所定数のセーフを発生させるために遊技者が使用したパチンコ玉の使用数(アウト)との割合を示すものである。具体的には、出玉率は、出玉率〔%〕=セーフ玉数÷アウト玉数×100により求められる。なお、大当たり中処理において、アウトが0の場合は、アウトを10個として出玉率を算出する。
続いて、遊技機管理装置5は、ステップB3において算出した出玉率が正常な値(例えば500%未満の値)かどうかを判定する(B4)。遊技機管理装置5は、出玉率が正常な値である場合は(B4:YES)、リターンし、出玉率が正常な値でない場合(正常な所定範囲に含まれていない場合)は(B4:NO)、大当たり中出玉率異常を報知する(B5)。すなわち、出玉率が500%を超えるときは、アウトに対してセーフが異常に大きな値となっており、このような場合は、遊技者が不正行為によって5R大当たり状態を15R大当たり状態に見せかけて、不正に多量のパチンコ玉を得ているものとみなし、異常を報知するものである。
なお、不正行為には以下のようなものがある。電磁波を発生させることで始動口14や一般入賞口16に玉が入賞していないにも関わらず始動口14や一般入賞口16に玉が入賞したものとパチンコ遊技機に誤検知させる不正行為や、磁石を用いて入賞するよう玉を始動口14や一般入賞口16に誘導する不正行為がある。また、通常のパチンコ玉よりも大きなサイズのパチンコ玉を磁石などで始動口14や一般入賞口16に入れてセンサ部(図示せず)を詰まらせ、その状態で、センサ部に電磁波を発射すると、センサが誤作動を起こして玉が払い出される。このようにして多量の玉を払い出す不正行為がある。
このとき、遊技機管理装置5は、モニタ7に異常である旨を表示してどの遊技機において出玉率が異常な値となったかを知らせると共に、従業員が携帯するインカムなどを通じて音声報知をする。なお、異常報知が実行されているときは、キーボード8の操作により異常表示の解除ができると共に、従業員のリモコン操作によって音声による異常報知を終了することができるようになっている。これら異常報知を行う方法及び異常報知の解除方法は、適宜変更してよい。
このようにして、遊技機管理装置5は、200個のセーフごとに大当たり状態中の出玉率を算出し、不正なパチンコ玉の払出を監視する。なお、本実施形態では、正常な出玉率を500%未満であるとしたが、これに限らず、例えば600%未満としてもよい。
上述のように大当たり中処理を実行した遊技機管理装置5は、大当たり状態が終了すると、大当たり終了対応処理を実行する。
遊技機管理装置5は、図8に示す大当たり終了対応処理において、大当たり信号がONであることの検知を終了したときは(C1:YES)、遅延タイマを起動させ(C2)、大当たり状態中のアウトの算出処理を終了する(C3)。この遅延タイマとは、大当たり状態の終了後に当該大当たりによるパチンコ玉の払出が終了したとみなすことができる所定時間を計時するものである。
続いて、遊技機管理装置5は、大当たり中出玉率異常を報知済みであるかを判定し(C4)、大当たり中出玉率異常を報知済みである場合は(C4:YES)、リターンし、大当たり中出玉率異常を報知済みでない場合は(C4:NO)、今回の大当たり状態における出玉率、すなわち、大当たり状態の開始から終了までを通した出玉率を算出する(C5)。具体的には、大当たり状態が開始してから大当たり状態が終了するまでの期間におけるセーフ及びアウトの各累計(大当たり状態におけるパチンコ玉の払出総数(付与総数)と、大当たり状態において遊技者が使用したパチンコ玉の使用総数との割合)から出玉率を算出する。
遊技機管理装置5は、ステップC5において算出した出玉率が正常な値であるときは(C6:YES)、リターンし、この出玉率が正常な値でないときは(C6:NO)、大当たり中出玉率異常を報知し(C7)、リターンする。このとき、上述の大当たり中処理と同様に、遊技機管理装置5は、モニタ7に異常である旨を表示すると共に、従業員への報知動作を行う。
また、遊技機管理装置5は、大当たり信号ONの検知終了時以外のときは(C1:NO)、遅延タイマ時間の終了時かどうかを判定し(C8)、遅延タイマ時間の終了時以外には(C8:NO)、リターンし、遅延タイマ時間の終了時には(C8:YES)、大当たり状態中のセーフの算出処理を終了し(C9)、今回の大当たり状態における出玉率、すなわち、今回の大当たり状態におけるアウトと、今回の大当たり状態開始から遅延タイマ時間終了までのセーフとの割合を算出し(C10)、大当たり履歴データに表示して記録する(C11)。
なお、出玉率に加え、大当たり状態におけるアウト及びセーフをそれぞれ大当たり履歴データに表示して記録するようにしてもよい。さらに、遅延タイマ時間において始動口14等に玉が入賞して遊技者への玉の払出が発生することも想定できる。このため、大当たり状態が終了してから遅延タイマ時間が終了するまでの期間において発生した玉の入賞に基づく払出分を除外して大当たり状態におけるセーフを算出するようにしてもよい。この場合、遅延タイマ時間や、遅延タイマ時間中のアウトに対して発生するセーフの期待数を予め設定しておき、遅延タイマ時間が終了した場合にその期待数を除外して大当たり状態におけるセーフを算出するようにするとよい。
続いて、遊技機管理装置5は、大当たり中出玉率異常を報知済みであるかを判定し(C12)、大当たり中出玉率異常を報知済みである場合は(C12:YES)、リターンし、大当たり中出玉率異常を報知済みでない場合は(C12:NO)、ステップC10において算出した出玉率が正常な値かどうかを判定する(C6)。この出玉率が正常な値であるときは(C6:YES)、リターンし、正常な値でないときは(C6:NO)、大当たり中出玉率異常を報知し(C7)、リターンする。このときも、遊技機管理装置5は、上述のように報知動作を行う。
以上の大当たり終了対応処理により、遊技機管理装置5は、大当たり状態の終了時点と、遅延タイマ時間の終了時(大当たり状態が終了してから所定期間が経過した時点)における出玉率が正常であるかどうかを判定し、不正なパチンコ玉の払出を監視している。
図9は、遊技機管理装置5による通常時処理を示している。この通常時処理は、大当たり状態ではない通常状態(大当たり状態が終了してから次の大当たり状態が発生するまでの間)において、所定数のアウトが発生するごと(所定期間ごとに相当)に行われる処理である。
遊技機管理装置5は、遊技者がパチンコ玉を設定された数(例えば500個)使用する(設定アウト数が発生する)と(D1:YES)、その設定アウト数に対するパチンコ玉の払出数(付与数)の割合であるベース(出玉率)の値が正常であるかどうかを判定し(D2)、設定アウト数が発生してないときは(D1:NO)、リターンする。本実施形態では、ベースの値が正常であるためのセーフは、確変状態及び時短状態においては600個以下であり、通常状態においては200個以下であるとする。すなわち、正常なベースの値の範囲は、確変状態及び時短状態においては120%以下、通常状態においては40%以下となっている。
遊技機管理装置5は、ベースの値が正常であると判定すると(D2:YES)、リターンし、ベースの値が正常でないと判定すると(D2:NO)、大当たり履歴データに新規レコードを追加し(D3)、遊技状態に対応した余分なセーフ(所定期間におけるパチンコ玉の付与数のうち所定数)を算出し(D4)、余分なセーフを記録する(D5)。本実施形態では、時短状態では500個以上、通常状態では100個以上を余分なセーフであるとする。例えば、時短状態においてセーフが800個のときは、余分なセーフは300個となる。
続いて、遊技機管理装置5は、大当たり中出玉率異常を報知済みであるかを判定する(D6)。大当たり中出玉率異常を報知済みである場合は(D6:YES)、リターンし、大当たり中出玉率異常を報知済みでない場合は(D6:NO)、余分なセーフの合計を前回の大当たりのセーフ(大当たり状態が終了したときのパチンコ玉の付与総数)に加算し(D7)、前回の大当たり状態における出玉率、すなわち、前回の大当たり状態の開始から遅延タイマ時間が終了するまでの出玉率を算出する(D8)。遊技機管理装置5は、ステップD8において算出した出玉率が正常な値である場合は(D9:YES)、リターンし、出玉率が正常な値でない(所定範囲から外れている)場合は(D9:NO)、大当たり中出玉率異常(通常状態異常)を報知し(D10)、リターンする。このときも、上述の大当たり中処理と同様に、遊技機管理装置5は、モニタ7に異常である旨を表示すると共に、従業員への報知動作を行う。
以上の通常時処理により、遊技機管理装置5は、大当たり状態ではない通常状態において、設定アウト数ごとにベースの異常判定を行い、ベースの値が異常である場合、ステップD7〜D10の処理により、大当たり状態が終了した後に発生した余分なセーフを大当たり状態に基づくセーフであったとして、前回の大当たり状態のセーフに加算する。そして、余分なセーフを加算したセーフを用いて出玉率を算出し、大当たり状態において出玉率の異常があったか否かを大当たり状態の終了後に判定している。このようにして、遊技機管理装置5は、パチンコ玉の不正な払出を監視している。
なお、本実施形態では、通常時処理は、所定数のアウトが発生するごとに行われるものとしたが、所定数のセーフが発生するごとに行ってもよい。また、所定の時間が経過するごとに行ってもよい。
このような本実施形態の遊技機管理装置5によれば、次のような効果を奏することができる。
パチンコ玉(遊技価値)の払出数(付与数)が少ない5R大当たり状態(第1特別遊技状態)において、遊技者が不正行為を行って、5R大当たり状態をパチンコ玉の払出数が多い15R大当たり状態(第2特別遊技状態)と見せかけ、不正に多量のパチンコ玉の払出を行おうとすると、遊技機管理装置5が当該大当たり状態における出玉率が異常であることを検知するので、不正行為を監視することができる。
また、大当たり状態の終了時、及び、大当たり状態が終了してから所定期間経過後(遅延タイマ時間の終了時)においても、出玉率の異常判定をするようにしたので、大当たり状態の終了後に早いタイミングで不正行為を発見することができると共に、大当たり状態の終了から所定時間経過後の不正行為も監視することができる。
さらに、大当たり状態ではない通常状態(大当たり状態が終了してから次の大当たり状態が発生するまでの間)において、ベースの異常判定を行うようにしたので、通常状態においても不正行為によるパチンコ玉の払出を監視することができる。例えば、大当たり状態において遊技者が玉詰まりを発生させて、大当たり状態が終了してから不正に多量のパチンコ玉を払い出させようとしても、異常を検知して不正行為を発見することができる。
また、出玉率の異常が検知された場合は、モニタ7にどのパチンコ遊技機2において異常が検知されたかを表示すると共に、従業員に音声報知するようにしたので、不正行為に対して従業員が適切且つ速やかに対処することができる。
また、本実施形態では、出玉率の正常な範囲を1つ設定しておくだけで、5R大当たり状態を15R大当たり状態に見せかけて多量のパチンコ玉の払出を行う不正行為を監視できるので、各大当たり(5R大当たり及び15R大当たり)状態に応じて、正常な払出数(セーフ)及び使用数(アウト)の範囲を複数種類設定しておく必要がなく、簡単な設定で不正行為を発見することができる。
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
大当たり状態のラウンド数を任意に変更してもよい。例えば、4R大当たり状態と8R大当たり状態とが設定されているようにしてもよい。また、設定されている大当たり状態を3種類以上としてもよい。さらには、複数の大当たり状態として、ラウンド数は同じであるが、各ラウンドに大入賞口15が開放する時間が異なる大当たり状態であってもよい。
本実施形態では、遊技機管理装置5は、大当たり中処理において、所定数のセーフが発生するごとに、その所定数のセーフが発生するのに要した期間において遊技者が使用したアウト数に基づいて出玉率を算出するものとしたが、所定数のセーフが発生するごとに、大当たり状態の開始からその所定数のセーフが発生するまでの期間におけるアウト数及びセーフ数の各累計に基づいて出玉率を算出するようにしてもよい。
また、遊技機管理装置5は、通常時処理においてベースの異常を監視するようにしたが、セーフの異常を監視し、セーフ異常が発生した場合は、余分なセーフを大当たり状態中のセーフに加算するようにしてもよい。ここで、セーフ異常とは、アウトがない状態で、所定時間が経過するまでにセーフが所定数以上発生する場合をいう。
また、遊技機管理装置5は、通常時処理において500個のアウトごとにベースの異常を判定するようにしたが、ベースの異常を判定するタイミングは適宜変更してよく、例えば、200個のアウトごとにベースの異常を判定するようにしてもよい。
また、遊技機管理装置5は、通常時処理において所定回数ベースの正常を検知したら、その後にベースの異常が発生したとしても、前回の大当たり状態のセーフに余分なセーフを加算しないものとしてもよい。すなわち、大当たり状態の終了後、所定時間にわたって正常に遊技が進行している場合は、前回の大当たり状態では不正行為が行われていないと判定してもよい。
本実施形態では、主制御回路30により玉詰まりが検知されるが、遊技機管理装置5は、玉詰まりが発生していない場合(パチンコ玉の払出の遅延が発生していない場合)にベースの正常を検知したら、その後にベースの異常が発生したとしても、前回の大当たり状態のセーフに余分なセーフを加算しないものとしてもよい。
本実施形態では、時短状態において500個以上、通常状態において100個以上を余分なセーフであるとしたが、これに限らず、例えば、時短状態において600個以上、通常状態において200個以上を余分なセーフであるとしてもよい。
さらに、本実施形態では、遊技機管理装置5により出玉率の管理を行うものとしたが、呼出ランプ4や中継装置によって出玉率の管理を行ってもよい。
本発明は、大当たり状態が終了した後、100%確変状態が設定されるパチンコ遊技機とは異なるものに適用してもよい。例えば、大当たり状態が終了した後、所定の確率で確変状態が設定されるパチンコ遊技機や、いわゆる2種のパチンコ遊技機に適用してもよい。
また、本発明は、パチンコ遊技機を備えた遊技場用システムに適用したが、スロットマシンを備えた遊技場用システムに適用してもよく、本発明を適用すれば、いわゆるARTなどが発生するスロットマシンにおいて、ARTにより不正にメダルを払い出させる不正行為を監視することが可能となる。スロットマシンにおいては、例えば所定の図柄の組合せが停止することで、特別遊技状態としてのボーナスゲームへの移行やメダルの払出が発生することとなる。
さらに、上記した実施形態では、玉を払い出すことで直接遊技者に遊技価値を付与するものとしたが、クレジットや得点を遊技者に付与し、そのクレジットや得点を使用することで、玉を発射するなどの遊技が進行する遊技機に本発明を適用してもよい。つまり、遊技価値の付与には、遊技価値を直接遊技者に払い出すものが含まれるだけでなく、クレジットなどのようにデータとして間接的に遊技者に付与するものが含まれる。具体例として、封入式のパチンコ遊技機や、完全クレジット式のスロットマシンに本願発明を適用することが可能である。
上記した実施形態における数値は一例であり、適宜の数値を採用すればよい。