JP6078102B2 - 排水用ブロックの接続構造 - Google Patents
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Description
本発明は、道路の端などに設置される排水用ブロックを接続する構造に関する。
アスファルトで舗装された道路の端などには、雨水などを流出させるための排水用ブロックが設置されることがある。排水用ブロックは、主に、砂、砂利、水などをセメントで凝固させたコンクリート製であるが、U字状に成形した明渠ブロックのように地上に露出させた状態で設置する場合もあれば、ボックス状に成形した暗渠ブロックのように地中に埋め込んだ状態で設置する場合もある。
排水用ブロックは、直線状に配置することが想定されており、多少の角度を付けることは可能であっても、自由に方向を変更するのは困難である。そのため、コーナー用の排水用ブロックを別途用意して配置するなどの方法が採られる。特許文献1に記載されているように、カーブにおける接続部の水漏れを防止し、流水抵抗を小さくした側溝ブロック及び側溝の発明も公開されている。
しかしながら、特許文献1に記載の発明の場合、円弧状の凹凸が形成されたブロックを別途製造する必要があるため、排水用ブロックに汎用性がなく、製造コストも嵩んでしまう。なお、当該発明は、左右への方向変換は可能であるが、上下方向への傾斜変更、すなわち勾配を変えることはできないため、さらに勾配変更用の排水用ブロックを別途製造する必要が生ずる。
そこで、本発明は、排水用ブロックを組合せ構造にすることにより、コーナーでも勾配のある箇所でも容易に接続することができる排水用ブロックを提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決するために、本発明である排水用ブロックの接続構造は、少なくとも後端側に上底部を欠いて下底部と左右両側部により明渠が形成された前部材と、上下両底部と左右両側部により暗渠が形成され、前端側に上底部が延長された突片が設けられ、前記突片の下面に前記明渠の内幅と同じ外径の軸体が設けられた後部材と、を有し、前記明渠の上に前記突片が載るように前記前部材と前記後部材とを前後に接続したときに、前記明渠に嵌合した前記軸体を軸として前記後部材を回動させることにより、前記明渠から繋げた前記暗渠の角度を横方向に変更する、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記突片より前記明渠が長い場合に蓋部材で前記明渠を覆う、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記突片より前記明渠が長い場合に前記明渠を切削して前記明渠と前記突片の長さを合わせる、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記明渠と前記暗渠との間に、前記明渠の下底部の高さから前記暗渠の下底部の高さの勾配で傾斜を設けた補助部材を介すことにより、前記明渠から繋げた前記暗渠の角度を縦方向に変更する、ことを特徴とする。
さらに、本発明である排水用ブロックの接続方法は、少なくとも後端側に上底部を欠いて下底部と左右両側部により明渠を形成した前部材を作成する工程と、上下両底部と左右両側部により暗渠を形成し、前端側に上底部が延長された突片を設け、前記突片の下面に前記明渠の内幅と同じ外径の軸体を設けた後部材を作成する工程と、前記明渠の上に前記突片が載るように前記前部材と前記後部材とを前後に接続し、前記明渠に嵌合した前記軸体を軸として前記後部材を回動させることにより、前記明渠から繋げた前記暗渠の角度を横方向に変更する工程と、前記明渠と前記暗渠との間に、前記明渠の下底部の高さから前記暗渠の下底部の高さの勾配で傾斜を設けた補助部材を介すことにより、前記明渠から繋げた前記暗渠の角度を縦方向に変更する工程と、前記前部材と前記後部材との間の余分を切削し、又はその隙間にコンクリートを現場打ちする工程と、を有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、前部材と後部材を組み合わせることにより、排水用ブロックの配設方向を自由に変更することが可能であり、コーナーで横方向に曲げたい場合や、縦方向に傾斜を変えたい場合でも、簡単に接続することができる。また、U字型の側溝ブロックと、ボックス型の暗渠ブロックとを接続することも可能なので、地上に露出させたい箇所と、地中に埋設させたい箇所とがあっても、自由に配置することができる。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
まず、本発明である排水用ブロックの設置状態について説明する。図1は、排水用ブロックが設置された状態を示す斜視図である。図2は、排水用ブロックが接続された状態を示す斜視図である。
図1に示すように、排水用ブロック100は、アスファルト等で舗装された道路400の端などに設置される。排水用ブロック100は、地面410に溝を掘って、地中420にブロック材200が埋設される。排水用ブロック100には、ボックス状に形成して地中に埋設される暗渠ブロックや、U字状に形成して地上に露出させる明渠ブロックなどがある。明渠ブロックの場合、空いた上面には蓋部材300が被せられることがある。蓋部材300には、格子状のグレーチングや、コンクリート製の板材などがある。
排水用ブロック100の例として暗渠ブロックで説明する。図2に示すように、排水用ブロック100として使用するブロック材200は、コンクリートブロックであり、予め製造しておくプレキャストコンクリートである。なお、ブロック材200を配置した後に、ブロック同士の隙間などは、コンクリートを現場打ちする等して塞ぐことにより、排水路としてシール性を保持する。
ブロック材200は、前側の前部材210と、後側の後部材220とを連結して延ばしていく。前部材210の一部、特に後端側は、上面の空いた明渠ブロックになっている。後部材220の前端側は、上面が前方に延びており、前部材210の後端側の空いた上面に被せるようにして、前部材210の後側に連結可能である。なお、前部材210の上面と、後部材220の上面の間に空いた間隙230には蓋部材300を載置可能である。
後部材220の後端側が暗渠ブロックである場合、後端側の上面を切削して明渠ブロックにすることにより、前部材210と同じになるので、さらにその後側に別の後部材220を連結することが可能となる。また、同様に、前部材210の前端側が暗渠ブロックの場合、前端側の上面を前方に延長させることにより、後部材220と同じになるので、さらにその前側に別の前部材210を連結することが可能となる。
また、暗渠ブロックとして連結する場合だけでなく、明渠ブロックとして地上に露出した状態で配置されているものを、地中に埋設するために暗渠ブロックに変えて連結したい場合に、本発明における接続構造を利用することができる。なお、矩形状の暗渠ブロックとU字状の明渠ブロックを例としたが、本発明の接続構造を利用できれば、別の形状の組合せにしても良い。
次に、本発明である排水用ブロックの構造について説明する。暗渠ブロックとしてブロック材200を接続する場合の前部材210と後部材220の構造を示す。なお、図において、左側を前側とし、右側を後側とする。
図3(a)は前部材の斜視図であり、図3(b)は後部材の斜視図である。図4(a)は前部材の正面図であり、図4(b)は前部材の平面図であり、図4(c)は前部材の側面図(左右同じなので右のみ)であり、図4(d)は前部材の底面図であり、図4(e)は前部材の背面図である。図5(a)は後部材の正面図であり、図5(b)は後部材の平面図であり、図5(c)は後部材の側面図(左右同じなので右のみ)であり、図5(d)は後部材の底面図であり、図5(e)は後部材の背面図である。
図3(a)に示すように、前部材210の前端側及び中間部分は、任意の溝渠として形成されていれば良いが、上底部211と下底部212と左右両側部213により矩形状の暗渠214が形成されているとする。前部材210の後端側は、下底部212と左右両側部213によりU字状の明渠215を形成する。なお、後端側の上底部211は切削しても良いし、予め上底部211が無い状態で成形しても良い。
図3(b)に示すように、後部材220の後端側及び中間部分は、任意の溝渠として形成されていれば良いが、上底部221と下底部222と左右両側部223により矩形状の暗渠224が形成されているとする。後部材220の前端側には、上底部211を前方に延長した突片225を設ける。突片225は、後部材220の型枠に予め突片225の形状を入れておく等して、一体成形されることが好ましい。
図4に示すように、前部材210は、上面が上底部211、下面が下底部212、左側面及び右側面が側部213によって矩形状に囲まれる。下底部212及び側部213は、前部材210の前端側から後端側までに存在するが、上底部211は、前部材210の前端側から中間部分までに存在する。すなわち、前端側及び中間部分は暗渠214であり、後端側は明渠215である。
前部材210において、各面に囲まれた内部は中空であり、隣接する面は直角に連設される。上底部211と下底部212とは平行であり、暗渠214の高さは一定である。左右の側部213も平行であり、暗渠214又は明渠215の内幅は一定である。なお、前部材210は、コンクリート製なので、水漏れしないように、一体的に成形されることが好ましい。
図5に示すように、後部材220は、上面が上底部221、下面が下底部222、左側面及び右側面が側部223によって矩形状に囲まれる。上底部221、下底部222及び側部223は、後部材220の前端部から後端部までに存在するが、上底部221は、後部材220の前端側から前方に延長された突片225を有する。すなわち、後部材220は、突片225の部分を除き、暗渠224である。
後部材220において、各面に囲まれた内部は中空であり、隣接する面は直角に連設される。上底部221と下底部222とは平行であり、暗渠224の高さは一定である。左右の側部223も平行であり、暗渠224の内幅は一定である。暗渠224の高さ及び内幅は、暗渠214又は明渠215と連結することから同じであることが好ましい。なお、後部材220も、コンクリート製なので、一体的に成形されることが好ましい。
前部材210の後側に後部材220を連結する際、前部材の後端側の明渠215に後部材220の突片225を載せることにより暗渠にする。そのとき、前部材210と後部材220の位置を合わせ、連結後の位置ずれを防止するために、図5に示すように、突片225の下面に軸体226を設ける。軸体226は、前部材210の明渠215の内幅と同じ外径の円盤であり、明渠210の左右の側部213の間に嵌合する。
次に、本発明である排水用ブロックの接続方向について説明する。図6(a)は、排水用ブロックを直線方向に接続した場合の平面図であり、図6(b)は排水用ブロックを斜め方向に接続した場合の平面図であり、図6(c)は直角方向に接続した場合の平面図である。図7は、排水用ブロックを切削加工した場合の斜視図である。図8は、排水用ブロックに補助部材を介す場合の斜視図である。
図6(a)に示すように、直線方向に排水用ブロック100を延ばしていく場合は、前部材210の後側に後部材220を連結すれば良い。排水用ブロック100を設置する場所によっては、方向を変更する必要がある。例えば、図6(b)に示すように、斜め45度の横方向に後部材220を傾ける場合や、図6(c)に示すように、コーナーのような場所では、90度の横方向に後部材220を傾ける場合などがある。
後部材220を横方向に傾ける場合は、前部材210の明渠215に嵌め込んだ後部材220の軸体226を軸として、後部材220を回動させれば良い。後部材220を回動させると、前部材210の暗渠214と、後部材220の暗渠224とが、溝渠として滑らかに連結されない場合があるので、前部材210及び後部材220の一部を切削し、隙間をコンクリートで現場打ちすることにより、滑らかに連結する。
図2に示すように、前部材210と後部材220とを直線方向に連結する場合、前部材210の明渠215の部分より、後部材220の突片225の長さが短いと、間隙230が存在するようになり、蓋部材300で塞ぐ必要が生じる。そのため、図7に示すように、前部材210の明渠215の部分を切削する等して短くし、後部材220の突片225の長さと同じにする。
前部材210の明渠215の部分と、後部材220の突片225の長さを合わせることにより、前部材210と後部材220とが、ぴったりと接合することにより、一つの暗渠と変わらない状態となる。なお、前部材210と後部材220との間の僅かな隙間については、コンクリートを現場打ちすることにより、完全に封止する。なお、短いサイズの暗渠にする場合も、同様の作業で可能である。
さらに、排水用ブロック100を設置する場所によっては、縦方向に傾斜を変更する必要がある。例えば、図8に示すように、下方向に後部材220が下がっていくような場合には、前部材210と後部材220とを滑らかに連結されるように、補助部材240を使用する。なお、上方向に後部材220が上がっていくような場合にも、同様に補助部材240を用いれば良い。
前部材210より後部材220の位置が下がる場合においては、前部材210の暗渠214及び明渠215と、後部材220の暗渠224は、水平な状態で配置されるので、前部材210と後部材220との間に、明渠215の下底部212の高さから暗渠224の下底部222の高さの下り勾配で傾斜を有する補助部材240を介して、上下方向の角度を滑らかに変更する。
前部材210より後部材220の位置が上がる場合、すなわち前部材210の上底部211から下底部212までを深くすることにより、後部材220の位置が上がる場合は、明渠215の下底部212の高さから暗渠224の下底部222の高さの上り勾配で傾斜を有する補助部材240を介して、上下方向の角度を滑らかに変更する。なお、補助部材240を介すことで生じた隙間は、コンクリートを現場打ちすることにより封止する。
このように、前部材210と後部材220を組み合わせることにより、排水用ブロック100の配設方向を自由に変更することが可能であり、コーナーで横方向に曲げたい場合や、縦方向に傾斜を変えたい場合でも、簡単に接続することができる。また、U字型の側溝ブロックと、ボックス型の暗渠ブロックとを接続することも可能であり、地上に露出させたい箇所と、地中に埋設させたい箇所とがあっても、自由に配置することができる。
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。例えば、本発明は、排水用ブロックとして、コンクリートを成形したブロック材を使用したが、コンクリート以外でも、金属や樹脂などを使用しても良い。例えば、金属の場合は折り曲げて矩形状にし、溶接等により接合して暗渠を成形しても良い。
100:排水用ブロック
200:ブロック材
210:前部材
211:上底部
212:下底部
213:側部
214:暗渠
215:明渠
220:後部材
221:上底部
222:下底部
223:側部
224:暗渠
225:突片
226:軸体
230:間隙
240:補助部材
300:蓋部材
400:道路
410:地面
420:地中
200:ブロック材
210:前部材
211:上底部
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213:側部
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220:後部材
221:上底部
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223:側部
224:暗渠
225:突片
226:軸体
230:間隙
240:補助部材
300:蓋部材
400:道路
410:地面
420:地中
Claims (4)
- 少なくとも後端側に上底部を欠いて下底部と左右両側部により明渠が形成された前部材と、
上下両底部と左右両側部により暗渠が形成され、前端側に上底部が延長された突片が設けられ、前記突片の下面に前記明渠の内幅と同じ外径の軸体が設けられた後部材と、を有し、
前記明渠の上に前記突片が載るように前記前部材と前記後部材とを前後に接続したときに、前記明渠に嵌合した前記軸体を軸として前記後部材を回動させることにより、前記明渠から繋げた前記暗渠の角度を横方向に変更し、
前記突片より前記明渠が長い場合に蓋部材で前記明渠を覆う、
ことを特徴とする排水用ブロックの接続構造。 - 少なくとも後端側に上底部を欠いて下底部と左右両側部により明渠が形成された前部材と、
上下両底部と左右両側部により暗渠が形成され、前端側に上底部が延長された突片が設けられ、前記突片の下面に前記明渠の内幅と同じ外径の軸体が設けられた後部材と、を有し、
前記明渠の上に前記突片が載るように前記前部材と前記後部材とを前後に接続したときに、前記明渠に嵌合した前記軸体を軸として前記後部材を回動させることにより、前記明渠から繋げた前記暗渠の角度を横方向に変更し、
前記突片より前記明渠が長い場合に前記明渠を切削して前記明渠と前記突片の長さを合わせる、
ことを特徴とする排水用ブロックの接続構造。 - 前記明渠と前記暗渠との間に、前記明渠の下底部の高さから前記暗渠の下底部の高さの勾配で傾斜を設けた補助部材を介すことにより、前記明渠から繋げた前記暗渠の角度を縦方向に変更する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の排水用ブロックの接続構造。 - 少なくとも後端側に上底部を欠いて下底部と左右両側部により明渠を形成した前部材を作成する工程と、
上下両底部と左右両側部により暗渠を形成し、前端側に上底部が延長された突片を設け、前記突片の下面に前記明渠の内幅と同じ外径の軸体を設けた後部材を作成する工程と、
前記明渠の上に前記突片が載るように前記前部材と前記後部材とを前後に接続し、前記明渠に嵌合した前記軸体を軸として前記後部材を回動させることにより、前記明渠から繋げた前記暗渠の角度を横方向に変更する工程と、
前記明渠と前記暗渠との間に、前記明渠の下底部の高さから前記暗渠の下底部の高さの勾配で傾斜を設けた補助部材を介すことにより、前記明渠から繋げた前記暗渠の角度を縦方向に変更する工程と、
前記前部材と前記後部材との間の余分を切削し、又はその隙間にコンクリートを現場打ちする工程と、を有する、
ことを特徴とする排水用ブロックの接続方法。
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