JP6077164B1 - 共振構造を有する製錬原料ペレット及びこれを用いた製錬原料 - Google Patents
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Abstract
Description
『ヘマタイト又はゲーサイトの少なくともいずれかを含有する製鉄原料を、マイクロ波による加熱を除く加熱方法により150℃以上に予熱する第1工程と、予熱された前記製鉄原料を還元性ガスの雰囲気下で周波数2.45GHzのマイクロ波を照射して加熱、還元する第2工程を有するマイクロ波を利用した製鉄原料の還元方法』である。
しかし、この技術では、マイクロ波が加熱炉内において分散し、ターゲットである原料に集中しないことから、加熱効率が悪いという問題があった。
『(a)鉱石/融剤混合物を形成するために(i)4.0mm以下の最大サイズを有する所定の粒子サイズ分布を有する鉱石と(ii)融剤を混合する工程、
(b)団鉱の品質および製造収率を最適化させるために、混合工程(a)の前にまたは間に、鉱石の水分含量を調節する工程、
(c)前記鉱石/融剤混合物をプレスして生団鉱にする工程、
(d)焼成された団鉱を形成するために、前記生団鉱を硬化させる工程
を含む高炉または他の直接還元炉の原料としての使用に適切な鉄鉱石団鉱を製造する方法』である。
しかし、この技術は、従来の製鉄装置である高炉や直接還元炉に関するもので、原料を火力によって加熱する技術であり、マイクロ波による加熱には適性がない。
しかし、特許文献1又は2には、マイクロ波を加熱源とした製錬において、効率的な加熱を行うために最適化された製錬原料に関する言及は無く、示唆さえもされていない。
1.マイクロ波を加熱源とする製錬の原料となるペレットであって、
金属酸化物と還元剤を均一に混合して団鉱とした基材に、導電性物質を内包させた構成であり、
ペレット内に、導電性部分と誘電性部分とが設けられ、
該ペレットは、少なくとも1つの辺又は1つの円周を有する形状であり、
該ペレットの1辺の長さ又は周囲長が、使用されるマイクロ波の周波数の実効波長の1/4の整数倍に形成された構成であることを特徴とするマイクロ波の共振構造を有する製錬原料ペレット。
ただし、「実効波長=自由空間波長/SQRT(導電性物質の周囲の誘電率)」、「自由空間波長=光速度/使用されるマイクロ波の周波数」である。
ただし、「実効波長=自由空間波長/SQRT(導電性物質の周囲の誘電率)」、「自由空間波長=光速度/使用されるマイクロ波の周波数」である。
該1つの集合体に形成された製錬原料は、少なくとも1つの辺又は1つの円周を有する形状であり、
該1つの集合体に形成された製錬原料の1辺の長さ又は周囲長が、使用されるマイクロ波の周波数の実効波長の1/4の整数倍であることを特徴とする製錬原料。
ただし、「実効波長=自由空間波長/SQRT(導電性物質の周囲の誘電率)」、「自由空間波長=光速度/使用される周波数」である。
このメタマテリアル層が複数個用いられ、これらを層状に配置することで、マイクロ波の反射層が形成されると共に、
この層状に配置されたメタマテリアル層の間に、金属酸化物と還元剤を均一に混合して団鉱にした基材層が配置された構成であり、
前記メタマテリアル層の間に配置された前記基材中で、マイクロ波の共振が生ずることを特徴とする製錬原料。
これらが、棒状に成形された導電性物質の集合体が直線状となるように配置されると共に、
この複数の製錬原料ペレットによる長さが、1/4波長の整数倍とされることで、マイクロ波の共振構造を有することを特徴とする製錬原料。
して照射され、加熱効率の高い製錬原料ペレットを得ることができる。
また、前記1に示す発明によれば、ペレットの1辺の長さ又は周囲長を、使用されるマイクロ波の周波数の実効波長の1/4の整数倍に形成すれば、Q値(マイクロ波吸収能の指標)の高いペレットを得ることができる。この場合のペレットは、基材に対して、導電性物質が均一又は偏在して内包された態様である。
これにより、この製錬原料ペレットにマイクロ波を照射すると、加熱炉内において、マイクロ波が原料ペレットに対して集中して照射され、加熱効率の高い製錬原料ペレットを得ることができる。
即ち、製錬原料ペレットを複数個用いて、1つの集合体(製錬原料)を形成し、この集合体(製錬原料)の1辺の長さ又は周囲長を、使用されるマイクロ波の周波数の実効波長の1/4の整数倍に形成すれば、Q値(マイクロ波吸収能の指標)の高い製錬原料を得ることができる。
これにより、この製錬原料はマイクロ波の共振構造となり、これにマイクロ波を照射すると、加熱炉内において、マイクロ波が製錬原料に対して集中して照射され、加熱効率の高い製錬原料を得ることができる。
前記9の構成を詳述すると、先ず、複数の製錬原料ペレットを、等間隔に並べて配置することで1層のメタマテリアル層を形成する。このメタマテリアル層が複数個用いられ、これらを層状に配置することで、マイクロ波の反射層を形成する。
次に、前記メタマテリアル層の間に、金属酸化物と還元剤を均一に混合した団鉱を挟むように配置する。かかる構成の製錬原料に、マイクロ波を照射すれば、前記メタマテリアル層の間に配置された前記団鉱中で、マイクロ波の共振が生ずることになる。
この構成によって、加熱炉内において、マイクロ波が製錬原料に集中して照射されるので、加熱効率を高めることができる。
この構成によって、加熱炉内において、マイクロ波が製錬原料に集中して照射されるので、加熱効率を高めることができる。
マイクロ波を加熱源とする製錬装置の構成について、図14に例示する。なお、製錬原料ペレット1を加熱する製錬装置は、図14に示される構成に限定されるものではない。
しかし、従来の原料にマイクロ波を照射しても、加熱効率が不十分であるという問題があった。この原因として、本発明者らは、この加熱・還元の際に、加熱室内102においてマイクロ波が分散し、原料109付近にマイクロ波が集中しないという問題があることを見出した。
そこで、本発明者らは、装置の構成ではなく、原料の構成に改良を加え、以下に記載する構成を採用することによって、前記問題を解決した。
製錬原料ペレット1の実施例を表す概略構成図を、図1〜4に示す。
本発明において、マイクロ波のアンテナ(または、単に「アンテナ」。)とは、マイクロ波を共振させる構造をいう。
導電性物質の集合体31が、アンテナ形状となるためには、例えば、図1に示される棒形状、図2に示されるコイル形状、図3に示されるリング形状、図4に示されるスプリットリング形状を挙げることができる。
図5に、上記した均一型の製錬原料ペレット1の実施例を表す概略断面図を示す。この図では、導電性還元剤の粒子32の配置を理解するため、図1等のような円筒形の製錬原料ペレット1を、中央から縦に切った場合の断面図を示す。
図5に示されるように、導電性物質の粒子31が、基材2の中に略等間隔で均一に配されている。
の粒子32が偏在して配される態様を挙げることができる(以下、かかる態様を「偏在型」という。)。この構成によっても、製錬原料ペレット1は、マイクロ波の共振構造を有する。
図6に、上記した偏在型の製錬原料ペレット1の実施例を表す概略断面図を示す。この図では、導電性還元剤の粒子32の配置を理解するため、図1等のような円筒形の製錬原料ペレット1を、中央から縦に切った場合の断面図を示す。
図6に示されるように、導電性物質の粒子31が、基材2の中に不規則に偏在して配されており、粒子の密度が高い箇所と低い箇所とに分かれている。
なお、使用されるマイクロ波の周波数は、電波法の規定の範囲内であって、マイクロ波が照射される加熱炉等において漏れが生じない範囲であればよい。例えば、2.45GHz、5.8GHz又は915MHzを挙げることができる。
なお、使用されるマイクロ波の周波数は、電波法の規定の範囲内であって、マイクロ波が照射される加熱炉等において漏れが生じない範囲であればよい。例えば、2.45GHz、5.8GHz又は915MHzを挙げることができる。
上記電場分布のシミュレーション画像を、図7〜8に示す。図7は、従来の構造の製錬原料ペレットP(金属酸化物と還元剤が均一に混合された団鉱であって、導電性物質の集合体を内包しないもの)についてのシミュレーション結果であり、図8は、本発明に係る
製錬原料ペレット1(金属酸化物と還元剤が均一に混合された団鉱であって、導電性物質の集合体が内包されたもの)についてのシミュレーション結果である。
これらのシミュレーション結果の画像は、淡色の部分ほど電場のエネルギー密度が高く、濃色の部分ほど電場のエネルギー密度が低いことを表わしている。
図7に示されるように、電場のエネルギー密度が高い箇所が、加熱室全体に及んでおり、これにより、マイクロ波が加熱室全体に散逸することがわかった。また、このシミュレーション実験によれば、ペレットPの到達温度は、500〜600℃程度であった。
上述の製錬原料ペレット1についてのシミュレーション実験により、製錬原料4が、マイクロ波の共振構造となることによっても、この製錬原料4にマイクロ波が集中して照射され、加熱効率は高くなることは明らかである。
メタマテリアル構造とするためには、アンテナ形状に成形された導電性物質の集合体31を内包させた製錬原料ペレット1を、等間隔に並べて配置すればよい。
このメタマテリアル層5を層状に重ねて配置すれば、マイクロ波の反射層、即ち、例えば2.45Ghzの反射層を形成することができる。
上記のようにして、メタマテリアル層5と基材層6とが交互に重なり合い、層構造に形成された製錬原料4に、マイクロ波を照射すれば、基材層6においてマイクロ波の共振が生ずることになる。この構成によって、加熱炉内において、マイクロ波が製錬原料4に集中して照射されるので、加熱効率を高めることができる。
例として、導電性物質3の集合体31が、棒形状である場合を示す。なお、本発明に係る製錬原料ペレット1は、以下に記載する製造方法に限定されるものではない。
次に、この穴に導電性物質の粒体を詰める。そして、一度加圧成形された金属酸化物を崩し、これを用いて、導電性物質に蓋をするような要領でこの穴を塞ぐ。このような手順で、製錬原料ペレット1を製造することができる。
なお、上記のように穴に蓋をするのは、導電性物質が露出していると、これが零れるおそれがあるためである。なおまた、一度加圧成形された金属酸化物で蓋をするのは、加圧成形していない金属酸化物では、蓋として保持されず、金属酸化物と導電性物質が共に粒体として零れるおそれがあるためである。
偏在型のペレットは、粒径の異なる金属酸化物、還元剤及び導電性物質の粒子32を混合し、これらの混合物を加圧成形することで製造することができる。ペレット内で、導電性物質の粒子32は不規則に配され、基材2の中に偏在する。
(2)金属酸化物と還元剤を均一に混合して団鉱とした基材2に、多数の導電性物質の粒子32が、均一かつ略等間隔に内包された構成(均一型)
(3)金属酸化物と還元剤と多数の導電性物質の粒子32を混合して、導電性物質3が、不均一かつ不規則に偏在して内包された構成(偏在型)
(1)アンテナ型:Q=1003
(2)均一型 :Q=869
(3)偏在型 :Q=722
える。
2 基材
3 導電性物質
31 導電性物質の集合体
31a 棒形状
31b コイル形状
31c リング形状
31d スプリットリング形状
32 導電性物質の粒子
4 製錬材料
5 メタマテリアル層
6 基材層
P 従来の製錬原料ペレット
101 従来の製錬装置
102 加熱室
103 凝縮室
104 マイクロ波源
105 導波管
106 シールド
107 隔壁
108 蒸気出口
109 原材料
110 原材料載置台
111 原材料容器
112 マイクロ波導入口
V 真空ポンプ
Claims (10)
- マイクロ波を加熱源とする製錬の原料となるペレットであって、
金属酸化物と還元剤を均一に混合して団鉱とした基材に、導電性物質を内包させた構成であり、
ペレット内に、導電性部分と誘電性部分とが設けられ、
該ペレットは、少なくとも1つの辺又は1つの円周を有する形状であり、
該ペレットの1辺の長さ又は周囲長が、使用されるマイクロ波の周波数の実効波長の1/4の整数倍に形成された構成であることを特徴とするマイクロ波の共振構造を有する製錬原料ペレット。
ただし、「実効波長=自由空間波長/SQRT(導電性物質の周囲の誘電率)」、「自由空間波長=光速度/使用されるマイクロ波の周波数」である。 - 導電性物質が、アンテナ形状に成形された集合体であることを特徴とする請求項1に記載の製錬原料ペレット。
- 導電性物質の粒子の間隔が、使用されるマイクロ波の周波数の実効波長の1/10以下に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の製錬原料ペレット。
ただし、「実効波長=自由空間波長/SQRT(導電性物質の周囲の誘電率)」、「自由空間波長=光速度/使用されるマイクロ波の周波数」である。 - 導電性物質の集合体が、棒形状に成形されたことを特徴とする請求項2に記載の製錬原料ペレット。
- 導電性物質の集合体が、コイル形状に成形されたことを特徴とする請求項2に記載の製錬原料ペレット。
- 導電性物質の集合体が、リング形状に成形されたことを特徴とする請求項2に記載の製錬原料ペレット。
- 導電性物質の集合体が、スプリットリング形状に成形されたことを特徴とする請求項2に記載の製錬原料ペレット。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の製錬原料ペレットを複数個用いて、1つの集合体として形成された製錬原料であって、
該1つの集合体に形成された製錬原料は、少なくとも1つの辺又は1つの円周を有する形状であり、
該1つの集合体に形成された製錬原料の1辺の長さ又は周囲長が、使用されるマイクロ波の周波数の実効波長の1/4の整数倍であることを特徴とする製錬原料。
ただし、「実効波長=自由空間波長/SQRT(導電性物質の周囲の誘電率)」、「自由空間波長=光速度/使用される周波数」である。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の製錬原料ペレットが複数個用いられ、これらを等間隔に並べて配置することで1層のメタマテリアル層を形成し、
このメタマテリアル層が複数個用いられ、これらを層状に配置することで、マイクロ波の反射層が形成されると共に、
この層状に配置されたメタマテリアル層の間に、金属酸化物と還元剤を均一に混合して団鉱にした基材層が配置された構成であり、
前記メタマテリアル層の間に配置された前記基材中で、マイクロ波の共振が生ずることを特徴とする製錬原料。 - 請求項4に記載の製錬原料ペレットが複数個用いられ、
これらが、棒状に成形された導電性物質の集合体が直線状となるように配置されると共に、
この複数の製錬原料ペレットによる長さが、1/4波長の整数倍とされることで、マイクロ波の共振構造を有することを特徴とする製錬原料。
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JPN7016002364; 二川佳央: '周期的構造媒質内マイクロ波集中に関する解析-マイクロ波照射による化学反応高速化のメカニズム解析I-' 第3回マイクロ波効果・応用シンポジウム 講演要旨集 , 2003, p68-69, 産業創造研究所 * |
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