JP6075625B2 - シリコン用鋳造装置およびシリコンの鋳造方法 - Google Patents

シリコン用鋳造装置およびシリコンの鋳造方法 Download PDF

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本発明は、シリコンのインゴットを作製するために用いられるシリコン用鋳造装置およびシリコンの鋳造方法に関する。
従来から太陽電池素子を構成する半導体基板の一つとして多結晶シリコン基板が用いられている。多結晶シリコン基板は一般にキャスティング法と呼ばれる方法で製造される。このキャスティング法は、離型材を塗布したシリカなどから成る鋳型内に高温で加熱溶融させたシリコン融液を供給し鋳型底部から一方向凝固させたり、シリコン原料を鋳型内に入れて一旦溶融した後、鋳型底部から一方向凝固させたりして、インゴットを作製する方法である(例えば、下記の特許文献1を参照)。
キャスティング法によって作製されたインゴットは、その端部を除去した後に所望の大きさに切断してブロックにする。そして、このブロックを所望の厚みにスライスして、太陽電池素子を作製するための多結晶シリコン基板を得る。
特開2005−132671号公報
上記キャスティング方法によって得られた多結晶シリコンのインゴットは、例えば図6(直方体状のインゴット20の斜視図)および図7(a)(図6の切断面αで切断した際の断面図)に示すように、インゴット20の上部周縁部20aおよび角部20bにおいて顕著な肩だれが生じやすく、インゴット20の中央部の高さH1と外縁の高さH2とに差が生じやすい。特に、鋳型の内壁にコーナー部がある場合は、高さH1とコーナー部に対応する部位の高さH2との差が大きくなる。このため、同一サイズの多結晶シリコン基板を得るためのインゴットの利用領域が減少するので、得られる多結晶シリコン基板の枚数が減少する。
前記した高さH1と高さH2との差が大きくなる原因としては、鋳型の開口における中央部に比べ鋳型の内壁面の方が冷えやすい傾向にあり、この傾向は特に鋳型の内壁にコーナー部がある場合はコーナー部において顕著になることから、シリコン融液の上部側が凝固する際に鋳型の内壁面近傍のシリコン融液が中央部側のシリコン融液よりもかなり前に凝固するからである。さらに、シリコンは凝固する際に膨張する性質を有しているので、図6(a)に示すように、インゴット20における高さH1と高さH2との差が顕著になりやすい。
このため、例えば鋳型の外周部に加熱手段を設けて加熱することによって、鋳型の内壁面近傍のシリコン融液がすぐに凝固してしまうのを抑制することができるが、鋳型の外周部から加熱することによって、シリコン融液の凝固時間が長くなるので、生産性が悪くなる虞があった。また、この場合、加熱手段の温度条件を細かく制御する必要があることから、装置コストが高くなり、生産性が悪くなる虞があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、生産性が高くインゴットの中央部と外縁との高さの差を低減することのできる、シリコン用鋳造装置およびシリコンの鋳造方法
を提供することを主たる目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一形態に係るシリコン用鋳造装置は、複数の内壁面を有するとともにこれら複数の内壁面で囲まれた上部に開口を有する鋳型と、該鋳型の外周部に配置された断熱部材と、該断熱部材の上に配置され、前記開口の周縁部に配置された、隣り合う前記内壁面同士の間の稜線部へ輻射熱を放射するための1以上の熱輻射体と、前記開口の上方に配置された、前記熱輻射体に熱を放射可能な加熱手段と、を備えている。
また、本発明の一形態に係るシリコンの鋳造方法は、上記シリコン用鋳造装置を準備する工程と、前記鋳型内にシリコンの融液が入っている状態にする工程と、前記熱輻射体に外部からの熱を吸収させて前記稜線部に位置している前記融液の表面に前記熱輻射体からの輻射熱を与えながら、前記融液を凝固させる工程とを有する。
上記のシリコン用鋳造装置およびシリコンの鋳造方法によれば、シリコン融液の上部側が凝固する際に鋳型の内壁面近傍に位置するシリコン融液が鋳型の中央部に位置するシリコン融液よりもかなり前に凝固することを低減することができて、作製できたインゴットにおいて、鋳型の内壁面近傍と中央部とに位置する部位のインゴットの高さの差を小さくすることができる。
本発明の一実施形態に係るシリコン用鋳造装置の一例を模式的に示す断面図である。 図1における鋳型部分を模式的に示す斜視図である。 (a)〜(d)は、それぞれ本発明の一実施形態に係るシリコン用鋳造装置に用いられる熱輻射体の一例の一部を示す斜視図である。 (a),(b)は、それぞれ図2に示す鋳型部分の変形例を模式的に示す斜視図である。 本発明の他の実施形態に係るシリコン用鋳造装置に用いられる熱輻射体の一例を示す一部拡大模式図である。 直方体状のインゴットを模式的に説明する斜視図である。 (a),(b)はそれぞれ図6における切断面(インゴットの上面における対角線上を切断する場合の切断面)αの断面図である。
以下に、本発明の実施形態に係るシリコン用鋳造装置およびシリコンの鋳造方法について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面は模式的に示したものであるので、図面における各構成の形状、寸法比および位置関係等は適宜変更しうる。
<シリコン用鋳造装置>
シリコン用鋳造装置の基本的な構成は、図2に示すように、複数の内壁面2aを有するとともにこれら複数の内壁面2aで囲まれた上部に開口2bを有する鋳型2と、開口2bの周縁部に配置された、隣り合う内壁面2a同士の間の稜線部(コーナー部)2cへ輻射熱を放射するための1以上の熱輻射体8とを備えている。なお、熱輻射体8は鋳型2の上端から突出させて、ある程度の高さを有していることが鋳型2に対して輻射熱を好適に供給できるので望ましい。
次に、シリコン用鋳造装置の具体的構成例について説明する。図1に示すシリコン用鋳造装置Aは、坩堝1、鋳型2、坩堝加熱手段3、離型材層4、鋳型加熱手段5、冷却手段6、断熱部材7および熱輻射体8を備えている。なお、図1,2では、シリコン融液10が鋳型2内に入っている様子を示している。
坩堝1は、溶融部1a、保持部1bおよび注湯口1cを有する。溶融部1aは、上部に開口1dを有しており、この開口1dに投入されたシリコン材料と、ドーパント源となる例えばホウ素を内部に保持して、これらを加熱溶融することによって溶融混合物であるシリコン融液を入れるものであって、鋳型2内に注湯するものである。溶融部1aの材質としては、例えば、高純度の石英等が用いられる。また、溶融部1aはグラファイト等からなる保持部1bで保持される。溶融部1aの上方および周囲には坩堝加熱手段3が配置されている。坩堝加熱手段3としては、抵抗加熱式のヒータまたは誘導加熱式のコイル等を用いることができる。溶融部1aの底部にはシリコン融液を注湯させる注湯口1cが設けられており、注湯口1cから鋳型2内にシリコン融液が注湯される。なお、この注湯口1c部分を塞いで、溶融部1aの上縁部にシリコン融液を鋳型2内へ注湯しやすく加工した注湯部を設けて、溶融部1aを傾ける等して前記注湯部から鋳型2内にシリコン融液を注湯するように構成してもよい。
上述したように、図2に示す鋳型2は、複数の内壁面2aを有するとともに、これら複数の内壁面2aで囲まれた上部に開口2bを有し、開口2bの周縁部に配置された、隣り合う内壁面2a同士の間の稜線部2cつまりコーナー部を有している。例えば、鋳型2は底面と4つの内壁面2a(側面)とから形成されて、開口2bの形状は平面視して矩形状(正方形状を含む)をしている。
鋳型2は、坩堝1内で形成したシリコン融液を、開口2bによって受けるとともに、その内部においてこのシリコン融液10を保持しつつ、下方から上方へ向けて一方向凝固させる役割を有する。この鋳型2は、例えば、黒鉛などのカーボン材、石英または溶融シリカ等から成る。
また、鋳型2の底面を含む内側表面には離型材層4が厚み0.1〜2.0mm程度に被覆されている。この離型材層4は、窒化珪素をポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、またはメチルセルロースなどの有機バインダーと溶剤とから構成される溶液中に混合・攪拌してスラリーとし、このスラリーを鋳型2の内側表面に塗布する方法などを採用することができる。
鋳型2の上方には、抵抗加熱式のヒータまたは誘導加熱式のコイル等からなる鋳型加熱手段5を配置している。これによって、鋳型2内に注湯されたシリコン融液10を適度に加熱して、シリコン融液10の表面を適度に加熱することで、下方から上方に向けた温度勾配をより正確に制御することができる。
また、鋳型2の下方には、注湯されたシリコン融液10を下方から抜熱して冷却・固化するための金属板等から成る冷却手段6を設置している。冷却手段6は、中空の金属板等の内部に水またはガスを循環させる等の構造のものを用いることができる。また、冷却手段6は、鋳型2の底部に非接触の状態で近づけたり、接触させることで、シリコン融液10が下方から冷却されるようにすることができる。
さらに、鋳型2の外周部には、鋳型2の側面からの抜熱を抑制するために断熱部材7を設けても良い。断熱部材7は耐熱性、断熱性等を考慮してカーボンフェルト等の材質が好ましい。
なお、上述した構成要素は、真空容器(不図示)内に配置して、不活性ガス等の還元雰囲気下でシリコン融液10の形成、凝固等を行うようにすることが、不純物の混入および酸化を抑制する点で望ましい。
そして、鋳型2の開口2bにおける周縁部には、鋳型2の内壁面2aの近傍に位置するシリコン融液10の上部へ輻射熱を放射するための1以上の熱輻射体8を配置している。上記構成を備えることによって、シリコン融液10の上部側が凝固する際に鋳型2の内壁面2a近傍に位置するシリコン融液10が、鋳型2の中央部2dに位置するシリコン融液10よりもかなり前に凝固することを低減することができる。また、図6に示すように、インゴット20の上部周縁部20aにおける肩だれが生じることがなく、インゴット20における鋳型2の内壁面2a近傍と中央部2dとに対応する部位の高さの差を小さくすることができる。また、特に図7(b)に示すように、インゴット20の角部20bにおける顕著な肩だれが生じることがなく、インゴット20の中央部における高さH1とインゴット20の角部20bにおける高さH2との差を小さくすることができる。
また、鋳型2の内壁面2a近傍に位置するシリコン融液10の上部のみに輻射熱がより多く供給されることから、シリコン融液10の凝固時間が長くなることを低減することができる。
また、鋳型2の開口2bの上方に鋳型加熱手段5が配置されることによって、鋳型加熱手段5が熱輻射体8に向けて熱が放射される。シリコン融液10の上部を凝固させずにシリコン融液10を下方から凝固させるために、鋳型加熱手段5はシリコン融液10の上部を凝固させる時までシリコン融液10の上部を加熱し続けている。そのため、鋳型2の開口2bの周縁部に配置された熱輻射体8は鋳型加熱手段5によって十分に加熱されて、熱輻射体8はシリコン融液10に対して十分な輻射熱を供給することができる。
なお、鋳型加熱手段5は内部が中空のドーナツ状形状であってもよく、このような形状にすることによって、坩堝1から鋳型2にシリコン融液を注湯しやすくすることができる。また、鋳型2の稜線部2cの直上に鋳型加熱手段5を設置する必要はないので、鋳型加熱手段5を小型にすることができて、生産性を向上しつつ、鋳型2の稜線部2cと中央部2dとに位置するインゴット20の高さの差、つまりインゴットの角部20bにおける高さH2と中央部における高さH1との差を小さくすることができる。
熱輻射体8に用いられる材料としては、熱輻射率が0.7以上であり、融点が1400℃以上の材質を用いることが好ましい。上記材質を使用することによって鋳型2の内壁面2a近傍へ輻射熱を効率よく放射することができて、また、熱輻射体8の劣化を低減することができる。このような材料としては、例えば、炭素繊維強化炭素材料(C/Cコンポジット)、炭素(C)、酸化マグネシウム(MgO)、炭化シリコン(SiC)、窒化ホウ素(BN)、炭化ホウ素(BC)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、ホウ化ジルコニウム(ZrB)、炭化タングステン(WC)、珪化モリブデン(特に、MoSi、MoSiまたはMoSiで表されるもの)、ムライト(3Al−2SiO)、スピネル(特にAl−26%MgO)、アルミナ−チタニア(特に、Al−2.5%TiO、Al−13%TiO、Al−20%TiOまたはAl−40%TiO)などから選択される1種以上の材料が挙げられる。これら材料の内、特に好適な材料は炭素繊維強化炭素材料(C/Cコンポジット)であり、これを用いることによって、鋳型2の内壁面2a近傍へ輻射熱を効率よく放射することができて、熱輻射体8の劣化を低減することができる。
熱輻射体8の形状としては、図3(a)〜(d)に示すように種々のものを用いることができる。なお、図3(a)〜(d)には、鋳型2の開口2bにおける一辺に配置される
部位の一部または全体を図示したものである。
図2に示すように、熱輻射体8は鋳型2の開口2bの周縁部全領域に鋳型2の上面よりも高くなるような形状にしてもよい。鋳型2の上面を基準とした熱輻射体8の高さは10〜40mm程度、厚みは3〜15mm程度であればよい。
図3(a)においては、熱輻射体8の高さh1が一定である。一方、図3(b)〜(d)のそれぞれに示すように、鋳型2の開口2bにおける周縁部の位置によって熱輻射体8の高さが異なるようにしてもよい。鋳型2の開口2bの一辺を見たときに、辺の中央に位置する熱輻射体8の高さh1よりも隣り合う内壁面2a同士の間の稜線部2cに対応する部位(辺の端部に位置する部位)の熱輻射体8の高さh1を高くすることが好ましい。このとき、図3(b),(c)に示すように、熱輻射体8の形状は鋳型2の開口2bの辺の端から中央に向かって階段状に高さが低くなるように形成されていてもよい。ここで、図3(b)に示す熱輻射体8の中央部の高さh2は、鋳型2の上面を基準とした高さが10mm未満であっても構わない。
また、図3(d)に示すように、熱輻射体8の形状は鋳型2の開口2bの辺の端から中央に向かって連続的に高さが低くなるように形成されていてもよい。
上記の構成によれば、鋳型2の内壁面2aの中でもより冷えやすく、またインゴットの高さがより低くなる可能性の高い稜線部2cに輻射熱をより多く供給できることから、鋳型2の稜線部2cと中央部2dとに位置するインゴットの高さの差を小さくすることができる。また、熱輻射体8の高さが一定な形態と比べて必要以上にシリコン融液10に放射される輻射熱を減らすことができるため、シリコン融液10の凝固時間を低減することができる。
また、図4(a),(b)に示すように、熱輻射体8は鋳型2の開口2bにおける周縁部の一部領域のみに鋳型2の上面よりも高くなるような形状のものを採用してもよい。
特に図4(a)に示すように、鋳型2の開口2bの一辺を見たときに、辺の中央に熱輻射体8を設けずに、稜線部2cに対応する辺の端の部位のみに熱輻射体8を設けることが好ましい。これにより、鋳型2の内壁面2aの中でもより冷えやすく、またインゴットの高さがより低くなる可能性の高い稜線部2cに輻射熱をより多く供給できることから、稜線部2cと中央部2dとに位置するインゴットの高さの差を小さくすることができる。また、鋳型2の開口2bにおける周縁部全領域に熱輻射体8を設けた形態と比べて必要以上にシリコン融液10に放射される輻射熱を減らすことができるため、シリコン融液10の凝固時間を低減することができる。
また、熱輻射体8はリング状に一体で形成されてもよい。この場合、熱輻射体8の取り扱いが容易となり、熱輻射体8を簡単に設置することができる。
また、熱輻射体8は一体ではなく複数の構成部材に分割して形成してもよい。この場合、熱輻射体8が劣化した場合でも劣化した構成部材のみ交換すればよいため、熱輻射体8の使用頻度を多くすることができて、生産性を向上させることができる。例えば、鋳型2の開口2bが矩形状の場合、各辺に該当する4つの熱輻射体8を配置してもよい。
この場合、例えば図5に示すように、各熱輻射体8の一方の端部には、上側が凹部形状となる上切り込み8aを設けて、他方の端部には下側に凹部形状となる下切り込み8bを設けることによって、隣接する熱輻射体8同士を図示のように、上切り込み8aと下切り込み8bとを互いに嵌合させて組み合わせることができる。このため各熱輻射体8の厚み
を薄くしても熱輻射体8同士が支え合うことによって、鋳型2に対してこれら熱輻射体8を安定して配置することができて、熱輻射体8の部材コストを低減することができる。
また、熱輻射体8が鋳型2の開口2bにおける周縁部の一部領域のみに鋳型2の上面よりも高くなるような形状の場合においても、図4(b)に示すように、鋳型2の上面よりも低くなるような領域を設けることによって、上記構造を採用することができる。
また、図1に示すように、熱輻射体8は鋳型2に接触しないように配置されることが好ましい。上記構成とすることによって冷却手段6で冷却されている鋳型2によって熱輻射体8の温度が低下することを軽減できて、鋳型2の内壁面2a近傍へ輻射熱を効率よく放射することができる。熱輻射体8と鋳型2との距離は3〜15mm程度設ければよい。
また、鋳型2の外周部に配置された断熱部材7の上に熱輻射体8が配置されることが好ましい。上記構成とすることによって、熱輻射体8の温度が低下することを軽減できて、鋳型2の内壁面2a近傍へ輻射熱を効率よく放射することができる。断熱部材7の上面の高さは、鋳型2の上面の高さと同じでもよく、鋳型2の上面の高さよりも若干低くても構わない。また、熱輻射体8が配置される領域の断熱部材7に凹部を設けて、その凹部に熱輻射体8を配置することによって熱輻射体8を安定して配置することができる。
また、上記説明においては、図2に示すように、熱輻射体8の放射面8cは鋳型2の内壁面2aに対して平行に設けられているが、これに限定する必要はなく、熱輻射体8の放射面8cが鋳型2内部に向けて傾けた形状であっても構わない。上記構造とすることによって、シリコン融液10と鋳型2の内壁面2aとの界面付近に効率よく輻射熱を放射することができて、鋳型2の内壁面2a近傍と中央部2dとに位置するインゴットの高さの差を小さくすることができる。
また、熱輻射体8の表面形状は、特に限定されないが、粗面状であることが好ましい。なぜなら、熱輻射体8の表面を粗面状とすることによって、熱輻射体8に入射される熱の吸収率を向上させることができ、輻射熱をより多く供給できることから、鋳型2の内壁面2a近傍と中央部2dとに位置するインゴットの高さの差を小さくすることができる。
<シリコンの鋳造方法>
本実施形態のシリコンの鋳造方法は、図1,2に示すように、複数の内壁面2aを有し、且つこれら複数の内壁面2aで囲まれた上部に開口2bを有する鋳型2と、開口2bの周縁部に配置された、隣り合う内壁面同士の間の稜線部2cへ輻射熱を放射するための1以上の熱輻射体8とを備えているシリコン用鋳造装置Aを準備する工程と、鋳型2内にシリコン融液10が入っている状態にする工程と、熱輻射体8に外部からの熱を吸収させて稜線部2cに位置しているシリコン融液10の表面に熱輻射体8からの輻射熱を与えながら、融液を凝固させる工程とを備えている。
以下に、図1に示すシリコン用鋳造装置Aを用いて、シリコンの鋳造方法について説明する。
まず、シリコン融液を準備する工程として、坩堝1の内部に所定量のシリコン材料とドーパント源とを保持する。なお、ドーパント源はp型シリコンを作製する場合にはホウ素を使用し、n型シリコンを作製する場合にはリンを使用する。そして、坩堝加熱手段3によって、シリコン材料とドーパント源とを溶融して、溶融混合物つまりドーパント源を含有したシリコン融液を形成する。
次に、鋳型2内にシリコン融液10が入っている状態にする工程として、所定の温度に
調整したシリコン融液を、予め加熱されていた鋳型2に注湯する。なお、鋳型2は9〜12kPaに減圧したアルゴン(Ar)雰囲気中に置かれ、シリコンの融点と同程度か若干低い温度、例えば、融点を数十〜数百℃程度下回る温度となるまで加熱されていればよい。例えば、坩堝1および鋳型2は所定領域に移動させて、坩堝1から鋳型2にシリコン融液を注湯すればよい。
次に、鋳型2内のシリコン融液10を凝固させる工程について説明する。この凝固工程は、シリコン融液10を鋳型加熱手段5によって上部から加熱しつつ、冷却手段6によって下方から冷却する。これにより、鋳型2の底部から上部にかけて正の温度勾配を付けて、底部から上部への一方向に向かって、順次、シリコン融液10を凝固させることができる。このとき、鋳型2の開口2bの周縁部に配置された熱輻射体8は鋳型2の予熱時から鋳型加熱手段5によって加熱されているため、熱輻射体8は外部からの熱を吸収することになる。そして、鋳型2の内壁面2aの近傍に位置しているシリコン融液10の表面に熱輻射体8からの輻射熱を与えながらシリコン融液10を凝固させる。
上記方法によって、シリコン融液10の上部側が凝固する際に鋳型2の内壁面2a近傍に位置するシリコン融液10が鋳型2の中央部2dに位置するシリコン融液10よりもかなり前に凝固することを低減することができて、鋳型2の内壁面2a近傍と中央部2dとに位置するインゴットの高さの差を小さくすることができる。また、鋳型2の内壁面2a近傍に位置するシリコン融液10の上部のみに輻射熱がより多く供給されることから、シリコン融液10の凝固時間が長くなることを低減することができる。
また、鋳型2の特に稜線部2cに位置しているシリコン融液10の表面に熱輻射体8からの輻射熱を与えながら、シリコン融液10を凝固させることによって、鋳型2の内壁面2aの中でもより冷えやすく、またシリコンインゴットの高さがより低くなる可能性の高い稜線部2cに輻射熱をより多く供給できることから、稜線部2cと中央部2dとに位置するインゴットの高さの差を小さくすることができる。
このような凝固工程を経て、シリコン融液10が完全に凝固し、冷却することで図7(b)に示すようなインゴット20が作製できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で多くの修正および変更を加えることが出来る。
例えば、上記説明においては坩堝1内でシリコン融液を形成したが、鋳型2内にシリコン材料を入れて加熱溶融するようにしてシリコン融液10を形成しても構わない。
また、鋳型2の側部からの凝固を低減させて、一方向凝固性を高めるために、鋳型2の外周部にヒータを設けても構わない。このような場合においても、鋳型2の周縁部2cに熱輻射体8を配置したことによって、シリコン融液10の上部側が凝固する際に外周部に設けたヒータをOFFにすることができるため、多結晶シリコンインゴット作製に必要な電力量を削減でき、生産性を向上することができる。
以下に、より具体的な実施例について説明する。なお、図1,2,3,7を参照するものとする。
まず、石英からなる坩堝1に150kgのシリコン材料とホウ素からなるドーパント源とを投入し、坩堝加熱手段3によって、シリコン材料とドーパント源とを溶融し、シリコン融液を形成した。
次に、底面と4つの内壁面2aとから形成され、上部の開口2bの形状が四角形の形を有している黒鉛製の鋳型2と、鋳型2の外周部にカーボンフェルトからなる断熱部材7と、断熱部材7の上に炭素繊維強化炭素材料(C/Cコンポジット)からなる熱輻射体8とを鋳型2の開口2bを囲うように設けて、鋳型加熱手段5によって鋳型2を約1000℃に加熱した。このとき、鋳型2と同様に熱輻射体8も加熱した。そして、加熱された鋳型2に坩堝1からシリコン融液を注湯して、鋳型2内のシリコン融液10の表面が凝固しないように鋳型加熱手段5で加熱しながら、冷却手段によってシリコン融液10を下方から上方に向けて一方向凝固させた。
このようにして、試料1〜試料3の多結晶シリコンのインゴット20を作製した。各試料の製法における相違は、熱輻射体8の有無または形状における相違であり、具体的には以下の通りとした。
試料1の場合は、熱輻射体8を設けずにインゴット20を作製した。
試料2の場合は、鋳型2の開口2bにおける一辺に設けられる形状が、図3(a)に示すような高さh1が一定の熱輻射体8を使用して、インゴット20を作製した。熱輻射体8は鋳型2の上面よりも高く、熱輻射体8の高さh1は40mmとし、鋳型2の上面を基準とした高さを30mmとした。また、熱輻射体8の厚みdは10mmとし、熱輻射体8と鋳型2との距離は5mmとした。
試料3の場合は、鋳型2の開口2bにおける一辺に設けられる形状が、図3(b)に示す段差を有する熱輻射体8を使用して、インゴット20を作製した。熱輻射体8は、鋳型2の開口2bにおける一辺を見たときに、中央に位置する部分は鋳型2の上面と同じ高さであり、熱輻射体8の高さh2は10mmとした。また、端に位置する部分は鋳型2の上面よりも高く、熱輻射体8の高さh1は40mmとし、鋳型2の上面を基準とした高さを30mmとした。また、鋳型2の上面よりも高い部分の幅は鋳型2の稜線部2cから200mmとした。また、熱輻射体8の厚みdは10mmとし、熱輻射体8と鋳型2との距離は5mmとした。
試料1〜試料3のそれぞれについて10回インゴット20を作製して、インゴット20の底部から最も低い位置にある頭部までの高さ(図7に示すH2)を測定して10回の平均値を求めるとともに、試料1と試料2との差、および試料1と試料3との差を評価した。
また、試料1〜試料3のそれぞれについて凝固するまでにかかった凝固時間も測定して、10回の平均値を求めるとともに、試料1と試料2との差、および試料1と試料3との差を評価した。
試料2および試料3(図7(b)のインゴット20)は、いすれも試料1(図7(a)のインゴット20)と比較して、インゴット20の底部から最も低い位置にある頭部までの高さ(図7に示すH2)が10mm高いことが確認された。
また、試料2は、試料1と比較して凝固時間が20分長くなったが、試料3では、試料1と比較して凝固時間が同等であることが確認された。
1 :坩堝
1a :溶融部
1b :保持部
1c :注湯口
1d :開口
2 :鋳型
2a :内壁面
2b :開口
2c :稜線部
2d :中央部
3 :坩堝加熱手段
4 :離型材層
5 :鋳型加熱手段
6 :冷却手段
7 :断熱部材
8 :熱輻射体
8a :上切り込み
8b :下切り込み
10 :シリコン融液
20 :インゴット
20a:上部周縁部
20b:角部
A :シリコン用鋳造装置

Claims (5)

  1. 複数の内壁面を有するとともにこれら複数の内壁面で囲まれた上部に開口を有する鋳型と、
    該鋳型の外周部に配置された断熱部材と、
    該断熱部材の上に配置され、前記開口の周縁部に配置された、隣り合う前記内壁面同士の間の稜線部へ輻射熱を放射するための1以上の熱輻射体と、
    前記開口の上方に配置された、前記熱輻射体に熱を放射可能な加熱手段と、を備えているシリコン用鋳造装置。
  2. 前記熱輻射体は、互いに隣接する複数からなり、前記熱輻射体の一方の端部には上側が凹部形状となる上切り込みを有し、他方の端部には下側に凹部形状となる下切り込みを有し、隣接する前記熱輻射体同士の前記上切り込みと前記下切り込みとを組み合わせている請求項1に記載のシリコン用鋳造装置。
  3. 前記熱輻射体は、熱輻射率が0.7以上であり、且つ融点が1400℃以上の材質からなる請求項1または2に記載のシリコン用鋳造装置。
  4. 前記熱輻射体は前記開口の辺の端から中央に向かって階段状にまたは連続的に高さが低くなっている形状を有する請求項1乃至3に記載のシリコン用鋳造装置。
  5. 請求項1に記載のシリコン用鋳造装置を準備する工程と、
    前記鋳型内にシリコンの融液が入っている状態にする工程と、
    前記熱輻射体に外部からの熱を吸収させて前記稜線部に位置している前記融液の表面に前記熱輻射体からの輻射熱を与えながら、前記融液を凝固させる工程と
    を有するシリコンの鋳造方法。
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