JP6074615B2 - 太陽光発電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、受光面を斜め上に向けて並べた複数枚の太陽電池モジュールで発電する太陽光発電装置に関する。
従来、屋上等の被設置面に固定的に取り付けられる基礎と、その基礎の上に取り付けられる鉄骨枠製の架台と、その架台の上部に形成された傾斜部と、その傾斜部に受光面を上に向けて並べられた太陽電池モジュールと、を備えた太陽光発電装置がある(特許文献1参照)。
特開2004−140256号公報
従来の太陽光発電装置の架台は、上記のように鉄骨枠で形成されていたため、鉄の製造から加工に至るまで多くのエネルギーを消費し且つ環境に負荷を与えている。したがって、太陽光発電による発電メリット、すなわち環境負荷の低減や二酸化炭素の排出量の抑制、というメリットが、その穴埋めのために費やされる(相殺される)、という問題があった。
また、鉄骨枠で形成された架台は、海岸部に設置した場合に塩害により短期間で腐食するおそれがあり、さらには大型にした場合、むき出しの鉄骨が周囲の環境に馴染みにくい、という問題もある。
本発明は上記に鑑みなされたもので、その目的は、太陽光発電による発電メリットを当初から享受することができ、しかも塩害に強く且つ周囲の環境に馴染み易い太陽光発電装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため本発明は、
設置場所に固定的に取り付けられる基礎と、
その基礎の上に取り付けられる骨組み構造の架台と、
その架台の上部に形成されるモジュール台と、
そのモジュール台に受光面を上に向けて配設される複数枚の太陽電池モジュールと、を備えた太陽光発電装置において、
前記架台の少なくとも前記モジュール台より下側を木材で形成すると共に架台と前記基礎との間に土台パッキンを介在させて両者の間に高さ方向の隙間を形成し、さらに前記土台パッキンを平面視で前記架台より小さくして架台の底面と土台パッキンの側面でアンダーカットの段部が形成されるようになし、
前記架台上部のモジュール台は、簀の子状の傾斜部材で形成され、
その簀の子状の傾斜部材は、傾斜状に並べられた簀の子構成材の夫々に笠部材を装着したものであり、
さらに前記笠部材は、
前記簀の子構成材の上面を覆う上面板と、
その上面板の両側縁から下向きに垂下し且つ簀の子構成材の側面との間に通気用の空間を設けた側垂板と、を備えたものである太陽光発電装置を提供する。
また、請求項に記載したように、前記土台パッキンは、前記基礎の上面に接合するか又は前記基礎の上面に凹部を設けてその凹部に下半部を嵌合させて固定したものである請求項1記載の太陽光発電装置を提供する。
また、請求項に記載したように、前記架台を構成する木材は、間伐材である請求項1又は2に記載の太陽光発電装置を提供する。
第1に、基礎の上に取り付けられる骨組み構造の架台を木材で形成したことにより、製造から加工に至るまでの消費エネルギーが鉄骨枠との比較において僅かで済み且つ環境に殆ど負荷を掛けないため、太陽光発電による発電メリットが当初から最大限享受できる。ちなみに架台を鉄骨枠とした場合には、製造から加工に至るまでに要した消費エネルギーや環境負荷を、太陽光発電による発電メリットで相殺して考える必要がある。
第2に、骨組み構造の架台を木材で形成したことにより、塩害に強く且つ周囲の環境にも馴染み易いため大型にしても殆ど抵抗がない。
第3に、架台と基礎との間に土台パッキンを介在させて両者の間に隙間を設けたことにより、基礎側から架台側に水分が沁み込むおそれがなく、また、架台の底面と土台パッキンの側面でアンダーカットの段部が形成されるようにしたため、架台を伝って流れ落ちる雨水の水切れが良い。よって木製の架台であっても雨水等による影響を受けにくい。
また、架台上部のモジュール台を簀の子状の傾斜部材としたことにより、構成要素が少ないため短い工期で設置可能であり、また、簀の子構成材の夫々に笠部材を装着したことにより雨が降っても簀の子構成材が濡れにくく、しかも仮に雨に濡れても笠部材と簀の子構成材の側面との間に設けた通気用の空間によって素早く水が切れるため、長期間湿気に晒されるおそれも殆どない。
また、請求項のように土台パッキンを基礎の上面に固定した場合には、温度や湿度の変化によって架台が伸縮したり或は地震等の強い揺れを受けても、基礎に対して土台パッキンの位置がずれにくい。
また、請求項のように架台を構成する木材を、山の手入れで必然的に発生する間伐材とすることにより、山の健全化を通じて環境改善に貢献し、国産材の需要を喚起して林業の活性化にも貢献し得る。特に、原発事故以降の電力事情により太陽光発電装置の需要が飛躍的に高まっており、太陽光発電と林業とをリンクさせ得る本発明の効果は、極めて大きい。
太陽光発電装置の斜視図である。 太陽光発電装置の側面図である。 基礎を示す斜視図である。 基礎の上に架台の一部を組み上げた状態を示す斜視図である。 基礎の上に架台を組み上げた状態を示す斜視図である。 架台の上部にモジュール台を設置した状態を示す斜視図である。 (a)(b)は、基礎の縦断面図である。 実施形態2を示すもので、架台の上部に簀の子状の傾斜部材のモジュール台を設置した状態を示す斜視図である。 架台の要部を拡大して示す斜視図である。
[実施形態1]
以下に本発明の実施形態1を図面を参照しつつ説明する。
実施形態1の太陽光発電装置1は、設置場所となる地面Gに固定的に取り付けられる基礎2,2…と、その基礎2の上に取り付けられる骨組み構造の架台3と、その架台3の上部に形成されるモジュール台4と、そのモジュール台4に受光面5aを上に向けて配設される複数枚(実施形態1では40枚)の太陽電池モジュール5,5…と、から概略構成される。なお、太陽光発電装置1は、説明の便宜上、モジュール台4の傾斜下端側を前、反対側を後とする。
[基礎]
基礎2,2…は、図3に示したように複数列(実施形態1では前列と後列の間に2列で合計4列)に並べられており、強度上の要所に断面逆さT字状のものが配置され、それ以外の場所に断面台形状のものが配置されている。実施形態1の太陽光発電装置1は、海岸部の強風に耐え得るように設計されたものであり、風の弱い山間部では全ての基礎2,2…を断面台形状にしてもよい。基礎2,2…はコンクリート製であり、高さの半分程度が地中に埋められている。なお、基礎2,2…の上面には後述する土台パッキン6,6…が予め(工場生産する場合には工場内で)装着されている。
[架台]
架台3は、図4に示したように、基礎2,2…の前列と後列に横設される角材状の下横材3a,3aと、後列の下横材3aと断面台形状の基礎2,2…の上に立設される複数本の支柱材3b,3b…と、その支柱材3bの頂部に横設される角材状の3本の上横材3c,3c,3cと、前後に並ぶ支柱材3b同士を連結する補強斜材3dと、後列の上横材3cから前列の下横材3aに傾斜状に掛け渡した角材状の台受け材3eと、から構成される骨組み構造である。
なお、傾斜状の台受け材3eは、図5に示したように複数本が横方向に等間隔に並べられていて全体として簀の子状になっている。
また、架台3を構成する下横材3aと、支柱材3bと、上横材3cと、補強斜材3dと、台受け材3eの全部又は一部を防腐剤を加圧注入した木材(具体的には間伐材)で形成してもよい。
架台3を構成する下横材3aと地面に固定された基礎2とは、前記土台パッキン6を介して基礎2に植設したアンカーボルト(図示せず))で連結され、また、支柱材3bと断面台形の基礎2とは、図7(a),(b)に示したように土台パッキン6を介して基礎2に植設した羽子板状のボルト7で連結され、また、下横材3aと支柱材3bとは、図示しないが支柱材3bに突設したホゾと下横材3aに穿ったホゾ孔との嵌め合い並びに適宜な連結金具により連結される。
土台パッキン6は、プラスチック、セラミック、金属、ゴムなどで形成された板状物であり、基礎2の上面に予め固定されている。この土台パッキン6を基礎2の上面に固定する手段は、接着剤で接着するか或は図7(a),(b)に示したように基礎2の上面に凹部2aを設けてその凹部2aに土台パッキン6の下半部を嵌合させればよい。なお、基礎2の凹部2aに嵌合させた土台パッキン6は接着を要しないが、接着してももちろんよい。
土台パッキン6は、対応する下横材3aや支柱材3bより平面視で小さくしてそれらの底面と土台パッキン6の側面でアンダーカットの段部8(図7(a),(b)参照)が形成されるようになっている。
[モジュール台]
モジュール台4は、架台3の台受け材3e,3e…の上面全体に張設した面状の木製傾斜部材4aで形成されており、その木製傾斜部材4aの上面に薄い鋼板4bを張設して防水性を高めたものである。
[太陽電池モジュール]
太陽電池モジュール5は、周知のように受光面5aで太陽光を受けて発電するものであり、規格化された直方体形状のものが市販されており、裏側を伝う配線で各太陽電池モジュール5同士が電気的に接続されるようになっている。この太陽電池モジュール5は、図1に示したように前記モジュール台4の上面全域に縦横に並べられ、図2の拡大図に示したように鉤部9aを有する取付金具9で4箇所程度が止められている。太陽電池モジュール5とモジュール台4の間には、図2の拡大図に示したようにゴムやプラスチック製のスペーサー10が介装されており、そのスペーサー10によって両者の間に適宜な隙間が設けられている。
本発明の太陽光発電装置1は以上のとおりであり、架台3が木材で形成されている。したがって、製造から加工に至るまでの消費エネルギーが鉄骨枠との比較においてごく僅かで済み且つ環境に殆ど負荷を掛けないため、太陽光発電による発電メリットが発電当初から最大限に享受できる。もちろん木材が間伐材であれば、製造に殆どエネルギーを要しないからそのメリットは最大になる。
また、木材で形成された架台3は塩害に強いため、海岸部において長期間の使用が可能である。
また、架台3が木製であることにより周囲の環境に馴染み易く大型にしても違和感がない。
さらに架台3と基礎2との間に土台パッキン6を介在させて隙間を設けたことにより基礎2側から架台3側に水分が沁み込むおそれがなく、また、架台3の底面と土台パッキン6の側面でアンダーカットの段部8が形成されるようにしたため、架台3側から流れ落ちる雨水の水切れが良く、しかもその段部8で支柱材3bの底面(小口)が外気に触れるため乾燥しやすい。
[実施形態2]
実施形態1では架台3上部のモジュール台4を面状の傾斜部材4aとしたが、実施形態2はモジュール台4を簀の子状の傾斜部材にしたものである。具体的には、図8に示したように、図5の台受け材3eを簀の子構成材4c,4c…としてその簀の子構成材4c,4c…に太陽電池モジュール5を前記と同様の取付金具9で取り付けるのである。
なお、好ましくは図8に示したように簀の子構成材4cの夫々に笠部材4dを装着するとよい。この笠部材4dは、薄い鋼板製であって、簀の子構成材4cの上面全体を覆う上面板40dと、その上面板40dの両側縁から下向きの裾広がりの状態に垂下させて簀の子構成材4cの側面との間に通気用の空間41dを設けた側垂板42dと、を備えたものであり、簀の子構成材4cが雨水に濡れないように防護すると共に仮に濡れても通気用の空間41dで素早く乾き得るようになっている。
この笠部材4dは、簀の子構成材4cの他、架台3の上横材3c,3c,3cにも被せるとさらによい。
実施形態2のモジュール台4は以上のような構成であり、実施形態1の木製傾斜部材4aがないため、工期の短縮とコストの削減が可能である。
以上、本発明を実施形態1,2について説明したが、もちろん本発明は上記実施形態1,2に限定されるものではない。
例えば、実施形態1,2では上横材3cや下横材3aの横向きの小口が外部に露出しているが、これらの各小口毎に図9に示したように小口覆い板11を装着するようにしてもよい。そうすることにより、小口からの雨水のしみ込みを防止することができる。また、小口覆い板11を各小口単位に分けて装着することにより、小口覆い板11が劣化又は損傷した場合の交換が無駄なく低コストに行える。なお、図9において符合11aは、小口覆い板11の下辺から下向きに突設した下垂凸部であり、この下垂凸部11aに雨水を集中させて水切れを良くするものである。
また、実施形態2では簀の子構成材4cを木材で形成したが、この簀の子構成材4cをメッキ加工を施したC型鋼で形成するようにしてもよい。
また、太陽電池モジュール5の枚数は自由に選定可能であり、さらに架台3の骨組み構造も同様である。
1 …太陽光発電装置
2 …基礎
2a…凹部
3 …架台
4 …モジュール台
4a…傾斜部材
4c…簀の子構成材
4d…笠部材
40d…上面板
41d…空間
42d…側垂板
5 …太陽電池モジュール
5a…受光面
6 …土台パッキン
8 …段部

Claims (3)

  1. 設置場所に固定的に取り付けられる基礎と、
    その基礎の上に取り付けられる骨組み構造の架台と、
    その架台の上部に形成されるモジュール台と、
    そのモジュール台に受光面を上に向けて配設される複数枚の太陽電池モジュールと、を備えた太陽光発電装置において、
    前記架台の少なくとも前記モジュール台より下側を木材で形成すると共に架台と前記基礎との間に土台パッキンを介在させて両者の間に高さ方向の隙間を形成し、さらに前記土台パッキンを平面視で前記架台より小さくして架台の底面と土台パッキンの側面でアンダーカットの段部が形成されるようになし、
    前記架台上部のモジュール台は、簀の子状の傾斜部材で形成され、
    その簀の子状の傾斜部材は、傾斜状に並べられた簀の子構成材の夫々に笠部材を装着したものであり、
    さらに前記笠部材は、
    前記簀の子構成材の上面を覆う上面板と、
    その上面板の両側縁から下向きに垂下し且つ簀の子構成材の側面との間に通気用の空間を設けた側垂板と、を備えたものであることを特徴とする太陽光発電装置。
  2. 前記土台パッキンは、前記基礎の上面に接合するか又は前記基礎の上面に凹部を設けてその凹部に下半部を嵌合させて固定したものであることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
  3. 前記架台を構成する木材は、間伐材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽光発電装置。
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