JP6073634B2 - 炭素繊維を用いたシート状製品 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素繊維を用いたシート状製品に関し、特に健康の維持・増進、安眠等に有益な効果をもたらす寝具などの民生用のシート状製品に関する。
炭素繊維などの炭素材料は、生体親和性、耐摩耗性および潤滑性などに優れることから、これまで各種の人工臓器(例えば人工血管、人工歯根材、人工関節、人工骨、人工腱、人工靱帯など)への適用が試みられている。その一方で近年、炭素材料には、微生物増殖促進効果があることが見いだされると共に、炭素材料の生体親和性が他の材料にはない特異なものであるらしいとの議論がなされている。このような特異的な生体親和性の一要因として、炭素材料によって熱や電磁波から変換された超音波の影響があるとの研究が、学術論文に紹介されている。
例えば、非特許文献1では、好炭素バチルス菌(Bacillus carboniphilus)を、栄養を含みかつ増殖を阻害する成分(例えばKCl)を含む寒天固形培地に植え付けたものにつき、炭素の作用と寒天固形培地上のコロニーの増殖の仕方について検討されている。この学術論文によれば「炭素は赤外線等の電磁波の断続波をうけて、これを超音波と思われる物理的シグナルに変えて生物に働きかける」(同文献の第213頁末尾から第214頁)とのことであり、炭素から発せられる超音波が微生物の増殖を促進することが論証されている。また、非特許文献2では「炭素の対生物特殊性」なる視点が提唱され、その応用事例として、炭素繊維を用いた水質浄化が検討されている。より具体的には、炭素繊維を活性汚泥につけ放置すると、大量の汚泥が固着するという現象が観察されており、この現象を利用すれば、効果的な水質浄化も可能であるとのことである。
他方で、炭素繊維や活性炭などの炭素系素材を中綿(中材)として使用する寝具類が提案されており、かかる寝具類では、熱伝導効果、マイナスイオン発生効果、遠赤外線効果、吸着効果等が単独で又は組み合わさって使用者の安眠効果や健康増進効果をもたらすとされている。例えば特許文献1は、使用者を深睡眠へ誘導可能な寝具(具体例は敷蒲団、敷マット)を開示する。特許文献1の寝具(1)は、綿やポリウレタン成形体などからなる基材層(2)と、その基材層の片面全体に配置された黒鉛層(3)と、基材層および黒鉛層の全体を覆う布帛製の表層(4)とを備え、その黒鉛層は、繊維状黒鉛を用いて形成された不織布からなるものであり、その繊維状黒鉛は、例えば炭素繊維を更に2000℃以上で加熱処理して得られるものである(特許文献1の要約参照)。
特開2008−48920号公報
炭素TANSO1998 No.184 第213〜218頁 「炭素の生物作用−炭素の波動から細胞音波へ」 炭素TANSO2000 No.194 第276〜287頁 「炭素繊維の水環境整備技術への展開」
特許文献1の寝具は、黒鉛繊維の作用によって深安眠を誘導するという点では画期的なものであったが、実際の取扱い面においていくつかの欠点を有していた。第1の欠点として、折り畳むことができない(又は許されない)という点があげられる。これは特許文献1の黒鉛層が黒鉛繊維の不織布からなることに起因する本質的な弱点であり、力まかせに無理に折り畳もうとするならば、寝具内の黒鉛層が崩壊してバラバラになってしまい寝具として用をなさなくなってしまう。第2の欠点としては耐久性の低さ(耐用時間の短さ)があげられる。具体的には当該寝具を使い続けると、1年も経たないうちに寝具内の黒鉛層が崩壊してバラバラになる事例が多発した。第3の欠点としては洗濯ができない(許されない)ことがあげられる。つまり1回でも洗濯(例えばドライクリーニング)をしようものなら、寝具内の黒鉛層が完全にバラバラになってしまい、二度と使用できなくなってしまう。人肌に接触することが当然の寝具であるにもかかわらず、洗濯が許されないのは極めて不衛生であり、健康志向の民生用品としては致命的な欠点となっていた。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、炭素繊維が有する健康増進作用その他の人間にとって有益な各種作用の発現を阻害することなく、従来例の欠点(折り畳み不可、低耐久性、洗濯不可など)を解消した「炭素繊維を用いたシート状製品」を提供することにある。
前記課題を解決する本発明は、
中材と、その中材を被包するカバー材とを備えたシート状製品であって、
前記中材は、織布で構成されており、前記織布は、炭素表面が露出した炭素繊維の素線を束ねてなるストランドから織成されると共に、当該織布の縁部には、弾性を有する樹脂が含浸されている、ことを特徴とするシート状製品である。
なお、本発明の追加的な構成要素(発明特定事項)や好ましい実施態様については、後記「発明を実施するための形態」欄で個別に説明する。
本発明によれば、炭素繊維が有する健康増進作用その他の人間にとって有益な各種作用の発現を阻害することなく従来例の欠点を解消して、生活用品としての実用性および汎用性に優れたシート状製品を提供することができる。より具体的には、
(1)サイジング剤等に由来するコーティングを持たないことで炭素表面が露出した炭素繊維の素線を用いているので、炭素繊維が本来的に有する生体親和性、対生物特殊性、及び熱や電磁波の超音波への変換機能等の有益な作用を効率良く発揮させることができる。
(2)従来のように単に炭素繊維素線を用いるだけでは、解れ、折れによって短繊維が飛散し易くなり、中材が弾力を失ってしまういわゆる「へたり」が生じ易くなるところ、本発明では、炭素繊維を束ねたストランドから織成された織布を採用すると共に、一般に炭素繊維の末端が集まっている織布の縁部に弾性を有する樹脂を含浸させたことで、解れ、折れによる短繊維の飛散を防止して、へたりを防止又は抑制することができる。これにより、生活用品としての耐久性を向上させ、耐用期間の長期化を図ることができる。なお、炭素繊維からなる中材を被包するカバーを備えることで、炭素繊維の短繊維が当該シート状製品の外に飛散して人の皮膚等に刺さる事態を防止することができる。
(3)中材として織布を採用したこと、及び、その織布の縁部に適用される樹脂を「弾性を有する樹脂」としたことは、当該シート状製品を折り畳み可能とし、不使用時における収納や保管の利便性を大幅に向上させる。
(4)本発明のシート状製品は洗濯をすることができる。少なくとも一般消費者が通常行なう程度の回数(例えば年に数回)の洗濯に耐え、繰り返し使用することができる。
炭素素材の織布に弾性樹脂を含浸させる工程を示す概略平面図。 縁部に弾性樹脂を含浸させた織布(中材)の概略平面図。 シート状製品の分解斜視図。 シート状製品の拡大断面の概略図。
本発明のシート状製品は、中材と、その中材を被包するカバー材とを備えており、前記中材は、織布で構成されており、前記織布は、炭素表面が露出した炭素繊維の素線を束ねてなるストランドから織成されると共に、当該織布の縁部には、弾性を有する樹脂が含浸されている、ことを特徴とするものである。
本発明のシート状製品を構成する炭素繊維の素線は、炭素素材そのものが表面に露出しており、サイジング剤などのコーティング層を有していないものである。炭素繊維をサイジング剤などのコーティング層が覆っていると、炭素繊維が熱や電磁波エネルギーを変換して発生させる(と考えられている)超音波を減衰させてしまうと考えられるからである。
また炭素素材そのものが表面に露出した炭素繊維は、微生物に対しても親和性が高く、微生物が増殖し易いと推測される。それ故、炭素繊維のシート状製品を清潔に保つには、適宜、殺菌のために洗濯できることが好ましい。この点、本発明のシート状製品では、疎水性である炭素繊維が露出していることから、有機溶剤を用いたドライクリーニングによって炭素繊維の素線を溶剤洗浄して清潔に保つことができる。ちなみにドライクリーニングでは有機溶剤を使うので、微生物に対する殺菌作用も有すると考えられる。ドライクリーニング用の溶剤としては、石油系や塩素系の溶剤があげられる。石油系溶剤としては、工業用ガソリン、塩素系溶剤としては、テトラクロロエチレンが挙げられる。なお、ドライクリーニングの際には、クリーニング対象物が激しい屈曲や摩擦などを受けて炭素繊維が開繊することが危惧されるが、本発明では、中材の縁部に弾性を有する樹脂を含浸させることによるホツレ防止処理を施しているため、ドライクリーニングによって開繊するおそれはほとんどない。
本発明の特徴を次のように整理することができる。
(1)炭素表面が露出した炭素繊維を用いていること。
炭素繊維の表面を露出させることで、熱や電磁波を効率良く超音波に変換することができる。その反面、炭素繊維が素線で存在すると、炭素繊維の折れ、開繊などにより細かな炭素繊維が発生しやすくなり、又、微生物に対して親和性が高く微生物の増殖効果が高いためにクリーニングできることが必要になる、といった難点もあるが、この点については対策が採られている。
(2)中材は、炭素繊維を束ねてなるストランドから織成された織布で構成されていること。
炭素繊維から中材を構成する方法には様々な方法があるが、本発明では、炭素繊維を束ねたストランドを用いた織布を用いている。織布を用いる利点は、炭素繊維の長繊維を用いることができ、炭素繊維の端部が織布の縁に集約されることである。全ての繊維をシート状製品の厚み方向とほぼ直交するように配置することができるので、当該シート状製品の上からの荷重に対し、炭素繊維が大きく曲げられて折れるような事態を回避できる。つまり、織布を用いた結果、繊維飛散を却って少なくすることができる。
(3)織布の縁部には「弾性を有する樹脂」が含浸されていること。
炭素繊維を束ねてなるストランドが織られてなる織布により中材を構成しても、前述するように織布の縁は炭素繊維の端部が集まっており、解れ、折れなどを発生しやすい部位である。本発明では、織布の縁から発生する繊維飛散を防止するために、当該縁部に「弾性を有する樹脂」を含浸させている。この弾性を有する樹脂が繊維の末端を接合しているので、解れ、折れ等を生じにくくなり、繊維飛散を防止することができる。当該「樹脂」は所定の弾性を有することが好ましい。弾性に乏しく硬い樹脂は変形等が加えられると割れ易く、この割れによって新たに炭素繊維の末端が生じて繊維飛散の原因となる。なお、当該「樹脂」の弾性ないし硬さの程度を数値で表すならば、JIS K6249のA法に従った場合の、A30〜A70の範囲にあることが好ましい。JIS K6249のA法による硬さは、数値が低いほど柔らかくなる。JIS K6249のA法による硬さがA30未満であると、弾性が低くなり、粘着力は増加してカバー内でのずれは起こりにくくなるが、クリーニングの際の耐溶剤性が低下する。JIS K6249のA法による硬さは、A70を超えると粘性は減少し、カバーの中でずれやすくなり、さらに折りたたみにくくなる。なお、織布の縁部に「弾性を有する樹脂」を含浸させることの副次的効果として、当該樹脂が滑り止めとなって中材とカバー材との間に適度な摩擦力が生じる点があげられる。当該樹脂の弾性が低くなると、変形しやすくなり、カバー材との間で接触面積を大きくすることができるので、摩擦力を発揮することができる。この適度な摩擦力は中材とカバー材の相互のズレ防止に役立ち、シート状製品の使用感を心地よいものにする。
(4)当該中材を被包するカバー材を具備すること。
本発明では、中材を被包するカバー材を有することで、中材から発生する炭素繊維の短繊維の当該シート状製品外部への飛散を防止することができる。炭素繊維の短繊維が外部に飛散すると、炭素繊維は細く弾性率が高いので、人の皮膚に突き刺さり、かゆみを生じさせる原因となる。カバー材の材質としては、有機繊維、有機フィルム等が好ましいが、特に限定されるものではない。なお、有機繊維のカバー材としては、織布、不織布などが挙げられるが、炭素繊維の突き抜けを防止するために、0.01〜1デニールの繊維を用いた緻密な織布が好ましい。また有機フィルムを利用する場合、微細な孔を有するフィルムが好ましい。0.01デニール以上の繊維を用いた織布は、厚みを確保できるので、通常の使用に耐えうる強度を備えることができる。1デニール以下の繊維を用いた織布は、繊維間の開口を小さくすることができるので、折損した繊維の突抜を防ぐことができる。なお、デニールとは糸の太さを表す単位であり、1デニールは、9000メートルの糸の質量をグラム単位で表したものであり、例えば絹糸の素線である繭糸は2〜4デニールである。
本発明の好ましい実施態様について更に説明する。
前記「弾性を有する樹脂」がシリコーン系樹脂であることは好ましい。シリコーン系樹脂は、ドライクリーニングで使用する石油系溶剤や塩素系溶剤に対し優れた耐性を有するため好適である。具体的なシリコーン系樹脂としては、シリコーン樹脂系、変性シリコーン樹脂系、エポキシ変性シリコーン樹脂系等が挙げられる。これらの中でも、シロキサン結合を持つ変性シリコーン樹脂系は、弾性があり、バランスのよい性能を持ち適している。変性シリコーン樹脂は、メチルジメトキシシリル基を末端に持つポリプロピレンオキシド(変成シリコーン)を主成分とするものである、ことは好ましい。
本発明で使用する炭素繊維は、ピッチ系炭素繊維であることが好ましい。ピッチ系炭素繊維の場合、PAN系又はレーヨン系の炭素繊維よりも、以下に述べる太さ範囲の炭素繊維を得やすいという利点がある。
本発明の炭素繊維の太さは、10〜20μm(マイクロメートル)の範囲であることが好ましい。炭素繊維の太さが10μm未満であると、炭素繊維がカバー材を突き抜けて外部に飛散しやすくなり、人の皮膚に刺さる等の不都合を生じ易くなる。他方、炭素繊維の太さが20μmを超えると、繊維の屈曲性が無くなり折れ易くなって、却って不都合を生じる。炭素繊維の太さを最大20μmに抑制することで、却って曲げ荷重に対してもしなやかで折れ難くなり、細かな短繊維の発生を抑えることができる。炭素繊維は1500〜2600℃の温度で熱処理されたものが好ましい。1500℃未満の温度で熱処理されたものは黒鉛化性が低いので超音波発生機能が低いと考えられる。2600℃を超える温度で熱処理されたものは脆くなり短繊維が発生しやすく耐久性が低下する。
本発明における中材としての織布を簡便に得る方法としては、市販の炭素繊維織布を再加工する方法があげられる。具体的には、第1工程(洗浄処理工程)として、炭素繊維を束ねてなると共にサイジング剤がコーティングされたストランドから織成された織布(市販品)を洗浄処理して前記サイジング剤の大部分を除去する。洗浄処理は、好ましくは超音波洗浄である。第2工程(追加加工工程)として、その洗浄処理後の織布の縁部に前記弾性を有する樹脂を含浸させる。かかる第1及び第2の工程を経て、炭素表面が露出した炭素繊維織布を得ることができる。
本発明のシート状製品の用途は特に限定されないが、例えば寝具として好適に利用することができる。寝具であれば、人体と接する時間が長く、対生物特殊性及び炭素の発する超音波など、炭素繊維の有する生物に対する特徴を効率良く利用することができる。
以下、本発明を寝具の一種である「敷布」に適用した実施例1、及び、比較対象たる比較例1について説明する。
[実施例1]
市販の2000℃処理した炭素繊維織布に対し洗浄処理及び追加加工を施すことで、本発明に準拠する「中材」としての織布を準備した。具体的には以下の手順によった。
先ず、株式会社クレハ製の炭素繊維クロス:B−300(単繊維径14.5μm、平織りタイプ、厚さ約1mm、幅W=1100mm×長さ30メートルのロール巻き仕様)を一旦巻き解くと共に、この巻き解いた炭素繊維クロスを市販の産業用ネット(タキロン株式会社製商品名:トリカルネット)に巻き直した。これは洗浄効率を良くするための予備的措置である。そして、産業用ネットに巻き直した炭素繊維クロスを同ネットごと洗剤溶液に浸漬して超音波洗浄を行なった。洗剤溶液は、約40℃の温水に家庭用中性洗剤を1〜2重量%溶かして得たものである。超音波洗浄に使用する超音波発信機の出力条件は、200V,2.5kHzである。この条件で約2時間超音波洗浄を行い、炭素繊維クロスの繊維表面にコーティングされていたサイジング剤を洗い落とした。洗剤溶液での超音波洗浄の終了後、洗剤無しの温水中で更に超音波水洗を約12時間行い、残存付着するサイジング剤と中性洗剤を繊維表面から完全に洗い流した。その後、産業用ネットから分離した炭素繊維クロスを自然乾燥して炭素繊維クロス(繊維表面に炭素が露出しているもの)を得た。
次に、上記洗浄処理で得た炭素繊維クロスに対し、ホツレ防止のための追加加工を施した。具体的には図1に示すように、炭素繊維クロスを平面展開し、クロス長手方向の両縁部11(図1の上縁部11A及び下縁部11B)、並びに、同クロスを横断する方向(即ち幅Wの方向)に延びる部位12(当該部位は間隔L=750mmごとに連続出現)に対して、変成シリコーン系弾性接着剤(ノザワケミカル株式会社製商品名:ダイアエコピタ、硬化後の硬さはA41(JIS K6249のA法))を塗布し含浸させた。クロス長手方向の両縁部11での接着剤の塗布幅Mは約10mm、クロス横断方向(幅方向)に延びる各部位12での接着剤の塗布幅2Mは約20mmとした。また、その際の塗布手法としては、ヒーター付き塗布ガンで接着剤をクロス所定部位に塗布し、その塗布直後の部位を小型アイロンで追走してクロス内に接着剤を浸透させるという手法を採用した。その後、塗布幅2Mのクロス横断方向の塗布部位12を2等分する中央線を切断線と見立て、当該クロスを間隔L(=750mm)ごとに順次カッティング(切断)した。こうして図2に示すような、縦:L=750mm、横:W=1100mm、厚さ約1mmの長方形状の炭素繊維織布10を得た。図2の炭素繊維織布10では、その4辺に対応する4つの縁部11,12において、いずれも幅M(=約10mm)の変成シリコーン系弾性接着剤の含浸領域が存在する。本実施例1では、この図2の炭素繊維織布10を「中材」とした。
最後に、図3に示すように炭素繊維織布の中材10の上下(表裏)に一対のカバー材20を配置すると共に、上下のカバー材20をその周縁に沿って縫製することにより、カバー材20によって中材10が被包された敷布(図4参照)を完成させた。
なお、ここで使用したカバー材20は、東洋紡績株式会社製商品名:アルファインである。東洋紡アルファインは、0.3デニールのポリエステル製超極細繊維を高密度に織り上げた生地製品であり、多くは防ダニ型高密度布団カバーとして市販されているものである。本実施例1では、東洋紡アルファインの「織り密度の緻密さに基づく防塵性」が炭素繊維屑の飛散防止に有効であるとの観点から、これをカバー材20として採用した。
[比較例1]
比較例1は、中材(10)として炭素繊維不織布を用いた事例である。具体的には、市販の炭素繊維不織布(大阪ガスケミカル株式会社製商品名:ドナカーボLFK205、単繊維径13μm、2000℃処理品)をカッティングして、縦750mm×横1100mm×厚さ約5mmの長方形状の炭素繊維不織布を得た。なお、比較例1では当該不織布に対し、実施例1のような超音波洗浄処理及びホツレ防止の追加加工を施していない。
そして、上記長方形状の炭素繊維不織布を中材(10)として、実施例1と同じカバー材20を用い、実施例1と同様にして中材が被包された敷布を完成させた。
[洗浄耐久性試験]
洗浄耐久性試験として、実施例1及び比較例1の各敷布に対し、一般に行なわれているドライクリーニングを施した。ドライクリーニングの条件は、使用溶剤:塩素系(テトラクロロエチレン)、洗浄温度:55℃、洗浄時間:攪拌洗浄4分、というものである。
ドライクリーニング後に乾燥(溶剤除去)させた敷布の性状を観察したところ、比較例1の敷布では、一枚の不織布であった中材がカバー材の中でバラバラに断裂してしまい、敷布として再使用できない状態になってしまった。これに対し、実施例1の敷布はクリーニング前と変わらぬ性状を維持し、再使用可能であった。また、実際の1年間の使用で比較例1の敷布では内部の炭素繊維不織布が損傷し、多数の亀裂や、ダマが発生していた。実施例1の敷布は1年間の使用でも損傷やダマの発生は認められなかった。
[健康状態の維持改善効果の確認試験]
複数の被験者の協力を得て、毎日の睡眠に実施例1又は比較例1の敷布を用いるという実験を行なった。具体的には、各例の敷布をそれぞれ7名の被験者が所定期間、継続使用すると共に、各被験者につき使用開始直前と所定期間使用後において血液検査を行い、検査項目にどのような変化が見られたかを測定及び評価した。
表1は、実施例1の敷布を用いた被験者グループの検査結果を示す。
表2は、比較例1の敷布を用いた被験者グループの検査結果を示す。
Figure 0006073634
Figure 0006073634
表1及び表2の検査結果を比較すると、どちらの被験者グループにおいても健康状態の維持・改善効果がみられた。つまり実施例1の敷布は、比較例1の敷布と同等の健康状態の維持・改善効果を奏することができた。
10…中材としての炭素繊維織布
11(11A,11B)…中材の縁部
12…中材の縁部
20…カバー材

Claims (6)

  1. 中材と、その中材を被包するカバー材とを備えたシート状製品であって、
    前記中材は、織布で構成されており、
    前記織布は、炭素表面が露出した炭素繊維の素線を束ねてなるストランドから織成されると共に、当該織布の縁部には、弾性を有する樹脂が含浸されている、ことを特徴とするシート状製品。
  2. 前記弾性を有する樹脂は、シリコーン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のシート状製品。
  3. 前記炭素繊維は、ピッチ系炭素繊維であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート状製品。
  4. 前記炭素繊維は、太さが10〜20μmの範囲にある炭素繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシート状製品。
  5. 前記織布は、
    炭素繊維を束ねてなると共にサイジング剤がコーティングされたストランドから織成された織布を洗浄処理して前記サイジング剤の大部分を除去し、その洗浄処理後の織布の縁部に前記弾性を有する樹脂を含浸させるという手順を経て得たものである、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシート状製品。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のシート状製品を用いて構成した寝具。
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