以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態による自動機の外観図である。図1に表す外観図は、顧客が向き合う側である正面図である。本実施形態による自動機1は、紙幣の入出金が可能なものであり、図1に表すように、表示装置及びタッチパネルを備えた顧客操作部11、カード出入口12、紙幣出入口13、テンキー入力部14、係員キー差込口15、返却口16、ハンドル17、及び顧客センサ18等が設けられている。
顧客操作部11には、顧客に情報を提示するための各種画面、顧客に指示、或いはデータ入力を行わせるための各種画面等が状況に応じて表示される。顧客操作部11に設けられたタッチパネルは、各種指示、或いは各種データ入力に用いることができる。テンキー入力部14も、各種指示、或いは各種データ入力に用いることができる。
カード出入口12は、キャッシュカード、クレジットカード、等の各種カードを挿入するためのものである。このカード出入口12は、挿入されたカード、及び取引内容を印字されたレシートの排出にも用いられる。
紙幣出入口13は、入金対象とする紙幣の投入、及び出金対象とする紙幣の排出に用いられる。この紙幣出入口13には、図2に表すシャッタ13aが配置されており、このシャッタ13aは、入金時、及び出金時、開かれる。
係員キー差込口15は、係員が自動機1を操作する際に用いるキーの差込口である。このキー差込口15に係員がキーを差し込み、例えば回転させる操作を行った場合、顧客操作部11には、詳細は後述する図7に表すような休止情報画面70が表示される。
紙幣出入口13に投入される対象は紙幣のみである。紙幣出入口13に誤って投入された硬貨等は、返却口15から返却される。
ハンドル17は、ドアの開閉のために設けられ、中にはBRU(紙幣リサイクルユニット)3が装備されている。顧客センサ18は、正面側に居る顧客を検出するためのものである。
図2は、本実施形態による自動機を構成するBRU3の断面図である。
図2に表すように、BRU3には、入出金用の紙幣を収納される、複数のカセット21(21−1〜21−3)を装着することができる。BRU3には、他に、鑑別部22、一時保留部23、返却保留部24、取り忘れ回収部25、2つのリジェクトボックス26、27、及びテスト券セット部28が設けられている。紙幣の搬送用に、搬送路31〜33が設けられている。
鑑別部22は、紙幣の状態の確認、及びその紙幣が正常券か否かの確認等を行う鑑別のための装置である。一時保留部23は、紙幣の一時的な収納に用いられる収納部である。返却保留部24は、紙幣出入口13から返却すべき紙幣の収納に用いられる収納部である。取り忘れ回収部25は、紙幣出入口13内に取り残された紙幣の収納に用いられるボックスである。
2つのリジェクトボックス26、27は、鑑別部22による鑑別により、正常券と確認できなかった紙幣、つまり2枚以上、重なって搬送されている紙幣、破損している紙幣、或いは異常券、等の収納に用いられる。テスト券セット部28は、自動機の動作確認用のテスト券の収納に用いられる。
紙幣出入口13、各カセット21、及び一時保留部23には、それぞれ、紙幣を1枚ずつ繰り出すことが可能であり、且つ紙幣の収納に用いることが可能な繰入繰出機構13b、21a、及び23aが設けられている。紙幣出入口13、及び一時保留部23にそれぞれ設けられた繰入繰出機構13b、及び23aは、積み重なった紙幣を下から繰り出すものである。各カセット21に設けられた繰入繰出機構21aは、積み重なった紙幣を上から繰り出すものである。その繰入繰出機構21aによる紙幣の繰り出しを可能にするために、各カセット21には、紙幣が積み重ねられる、上下方向に移動可能なステージ(紙幣の昇降支持台)が設けられている。
搬送路31は、鑑別部22を通り、紙幣出入口13から一時保留部23までの紙幣の搬送を可能にする。搬送路32は、搬送路31を搬送している紙幣を各カセット21に収納可能にし、且つ各カセット21から繰り出された紙幣を搬送路31まで搬送可能にする。搬送路33は、搬送路32を搬送されている紙幣を取り忘れ回収部25、及び2つのリジェクトボックス26、27のうちの何れかに収納可能にする。
上記のような構成のBRU3では、入金時、及び出金時における紙幣の搬送は以下のように行われる。
入金時には、紙幣は紙幣出入口13内に投入される。紙幣出入口13内に投入された紙幣は、繰入繰出機構13bにより1枚ずつ繰り出され、搬送路31に沿って搬送され、鑑別部22による鑑別が行われる。その鑑別の結果、正常券と確認された紙幣は、搬送路31に沿って一時保留部23に搬送され収納される。その鑑別の結果、正常券と確認できなかった紙幣は、搬送路31、及び32に沿って返却保留部24に搬送され収納される。そのようにして、紙幣出入口13から繰り出された紙幣は、一時保留部23、或いは返却保留部24に収納される。
鑑別部22による鑑別では、紙幣の金種の特定が行われる。一時保留部23に収納された紙幣は、金種毎に、その枚数が計数される。自動機1は、紙幣出入口13からの紙幣の繰り出し、及びその搬送が終了した後、金種別に計数した紙幣の枚数から、入金額、つまり紙幣出入口13内に投入された紙幣の総額を顧客操作部11に表示し、顧客に確認させる。
入金額を確認した顧客が入金を指示した場合、一時保留部23内の紙幣は、繰入繰出機構23aにより、1枚ずつ繰り出され、搬送路31、32を介して、同じ金種の紙幣が割り当てられたカセット21に搬送され収納される。返却保留部24に収納させた紙幣は、紙幣入出金口13内に排出させた後、シャッタ13aを開くことで顧客に返却される。
入金額を確認した顧客が入金のキャンセルを指示した場合、一時保留部23内の紙幣は、繰入繰出機構23aにより、1枚ずつ繰り出され、搬送路31、32を介して、返却保留部24に搬送され収納される。その後、返却保留部24内の紙幣を紙幣入出金口13内に排出させ、シャッタ13aを開くことで、紙幣出入口13内に投入された紙幣は全て顧客に返却される。
日本では、現在、4金種の紙幣が使用される。その4金種の紙幣とは、1万円札、5千円札、2千円札、及び千円札である。自動機1には、図2に表すように、最大で3つのカセット21しか装着できない。このことから、鑑別により正常券と確認された紙幣であっても、収納すべきカセット31が存在しない紙幣は、リジェクトボックス26、或いは27に収納される。
出金時には、顧客は顧客操作部11、或いはテンキー入力部14を操作して、所望の出金額を指定する。自動機1は、指定された出金額から、金種別に、繰り出すべき紙幣の枚数を決定する。自動機1は、紙幣を繰り出すカセット21のステージを上昇させて、繰入繰出機能21aによる紙幣の繰り出しを可能にさせ、繰入繰出機構21aに紙幣を繰り出させる。
カセット21から繰り出された紙幣は、搬送路32を介して搬送路31に搬送され、鑑別部22による鑑別が行われる。その鑑別により、正常券と確認された紙幣は、搬送路31に沿って紙幣出入口13に搬送され収納される。正常券と確認されなかった紙幣は、搬送路31、搬送路32、及び搬送路33を介して、リジェクトボックス26、及び27のうちの何れかに搬送され収納される。
自動機1は、指定された出金額分の紙幣を全て紙幣出入口13に収納させた後、シャッタ13aを開かせる。それにより、顧客に、指定された出金額分の紙幣の支払いを行う。
自動機1は、図2に表すように、3つのカセット21を装着可能である。現在の日本では、上記のように、4金種の紙幣が流通している。しかし、4金種の紙幣の流通量には違いがある。4金種の紙幣のなかで特に流通量が多いのは、千円札、及び1万円札である。その2金種の紙幣を扱えれば、顧客の要望の大部分には応じることができる。このことから、本実施形態では、3つのカセット21のうちの1つを、自動機1の管理に使用可能としている。
管理用のカセット21は、装着された自動機1が自動認識可能としても良いが、予め定めた装着位置のカセット21を管理用としても良い。ここでは便宜的に、予め定めた装着位置のカセット21を管理用としていると想定する。その管理用のカセット21は、ここでは図2中「カセット1」と表記のカセット21−1と想定する。他のカセット21と区別するために、カセット21−1は以降「管理カセット21−1」と表記する。
この管理カセット21−1は、具体的には、他のカセット21への紙幣の補充、紙幣の回収、或いは自動精査に用いられる。自動機1では、紙幣の補充、及び紙幣の回収は、以下のようにして行われる。
図3は、紙幣補充時の自動機の動作を説明する図である。この図3は、管理カセット21−1に収納されている紙幣をカセット21−3に補充する場合の自動機1の動作を表している。
紙幣を補充するカセット21が何れであっても、補充される紙幣の鑑別を行う必要がある。補充される紙幣の枚数を計数するには、鑑別を行う必要がある。そのため、管理カセット21−1と他のカセット21の紙幣搬送上の位置関係により、管理カセット21−1の紙幣は直接的に他のカセット21に収納させることができない。このことから、管理カセット21−1から繰り出された紙幣は、図3に矢印で表す搬送経路41に沿って搬送され、一時保留部23に収納される。その搬送経路41上の鑑別部22により不適切と確認された紙幣は、搬送経路41の途中から搬送経路42に沿って搬送され、取り忘れ回収部25、2つのリジェクトボックス26、27のうちの一つに収納される。
一時保留部23に収納された紙幣は、繰入繰出機構23bにより、1枚ずつ繰り出され、図3に矢印で表す搬送経路43に沿って搬送され、鑑別部22による鑑別結果から特定されるカセット21に収納される。その鑑別結果から、不適切と確認された紙幣は、搬送経路43の途中から搬送経路44に沿って搬送され、取り忘れ回収部25、2つのリジェクトボックス26、27のうちの一つに収納される。
一時保留部23に収納可能な枚数は、カセット21に収納可能な枚数より少ない。このことから、一時保留部23に一度に収納できない枚数の紙幣を補充する場合、管理カセット21−1の紙幣の一時保留部23への収納、一時保留部23の紙幣の対応するカセット21への収納、を組とする紙幣の補充が複数回、行われる。
図4は、紙幣回収時の自動機の動作を説明する図である。この図4は、カセット21−3に収納されている紙幣の一部を管理カセット21−1内に回収する場合の自動機1の動作を表している。
紙幣を回収するカセット21が何れであっても、回収される紙幣の鑑別を行う必要がある。その鑑別は、回収された紙幣の枚数を計数するうえでも必要である。しかし、紙幣の回収先が管理カセット21−1であれば、何れのカセット21の紙幣を回収するとしても、管理カセット21−1と他のカセット21の紙幣搬送上の位置関係により、カセット21から繰り出された紙幣は管理カセット21−1に直接的に収納させることができる。このことから、カセット21−3から繰り出された紙幣は、図4に矢印で表す搬送経路45に沿って搬送され、管理カセット21−1に収納される。その搬送経路45上の鑑別部22により不適切と確認された紙幣は、搬送経路45の途中から搬送経路46に沿って搬送され、取り忘れ回収部25、2つのリジェクトボックス26、27のうちの一つに収納される。
図3、及び図4に表すように、紙幣の補充、及び紙幣の回収の何れかによる紙幣の搬送を行う場合、紙幣を繰り出すカセット21だけでなく、紙幣が収納されるカセット21でもステージの移動が行われる。紙幣が収納されるカセット21でのステージの移動は、収納される紙幣がより適切な状態で積み重なるようにするためである。
自動精査は、各カセット21に収納されている紙幣の枚数を計数するための処理である。その自動精査は、管理カセット21−1を用いて行われる。管理カセット21−1は、カセット21から繰り出された紙幣の収納先として用いられる。管理カセット21−1に収納された紙幣は、元のカセット21に戻される。このことから、自動精査を行う場合、自動機1は、カセット21毎に、図4に表すような紙幣の回収時の動作を行った後、図3に表すような紙幣の補充時の動作を行うことになる。
上記のように、本実施形態では、管理カセット21−1と他のカセット21間の紙幣の移動に、必要に応じて一時保留部23を用いている。その一時保留部23から繰り出した紙幣は、管理カセット21−1を含む何れのカセット21に収納させることができる。そのため、管理カセット21−1と他のカセット21の紙幣の搬送上の位置関係に係わらず、紙幣を移動させることができる。また、移動させる紙幣は鑑別部22を通して搬送することから、紙幣の補充、紙幣の回収、及び自動精査の何れを行う場合であっても、自動機1は、鑑別結果を用いて、紙幣の枚数を計数することができる。そのように鑑別部22を用いることができることから、別の鑑別部22を用意するような構成と比較して、製造コストはより抑えることができる。
本実施形態では、カセット21のうちの一つを管理カセット21(21−1)とし、紙幣の一時的な収納に一時保留部23を用いている。そのように、既存の構成要素を別の用途に用いる場合、紙幣の補充、紙幣の回収、或いは自動精査のための特別な仕組みを自動機1に搭載させる必要性を回避しつつ、鑑別部22等の必要な機能を利用することができる。このため、紙幣の補充、紙幣の回収、或いは自動精査のために行うべき紙幣の枚数の計数を自動的に行える自動機1はより低コストで実現させることができる。また、既存の自動機への適用も可能である。カセット21のうちの一つを管理カセット21(21−1)とし、紙幣の一時的な収納に一時保留部23を用いる場合、これらの利点が得られる。
以降は、図3、及び図4に表すような紙幣の搬送を可能にさせる自動機1の構成、及び動作について詳細に説明する。
図5は、本実施形態による自動機の回路構成例を説明する図である。
図5に表すように、自動機1は、ホストコンピュータ(以降「ホスト」と略記)4とネットワークを介して接続され、そのホスト4との通信を行い、顧客に取引サービスを提供する。その自動機1自体は、図1に表す顧客操作部11、及びテンキー入力部14に加えて、制御部51、通信部52、紙幣処理部53、カード処理部54、及びセンサ部55を備えている。
制御部51は、自動機1全体の制御を行う。通信部52は、ホスト4との通信を行うためのインタフェースである。紙幣処理部53は、制御部52からの指示に従って、BRU3全体の制御を行う。カード処理部54は、カード出入口12内に挿入されたカードの搬送、そのカードに記録された情報の読み出し、及びレシートの発行、等を行う。センサ部55には、顧客センサ18、及び係員キー差込口15に差し込まれたキーに対して行われた操作を検出するためのセンサ(以降「操作検出用センサ」と表記)、ドアの開閉を検出するためのセンサ、等が含まれる。
図6は、上記紙幣処理部の回路構成例を説明する図である。図6に表すように、紙幣処理部53は、通信制御部61、システム管理部62、鑑別部22、搬送制御部63、メカ制御部64、搬送制御部63によって制御される制御対象群65、及びメカ制御部64によって制御される制御対象群66を備えている。
通信制御部61は、制御部51との通信を行うためのインタフェースである。システム管理部62は、BRU3全体の制御を行う情報処理装置である。鑑別部22による鑑別結果は、システム管理部62に出力され、処理される。
搬送制御部63は、システム管理部62の指示に従って、制御対象群65を制御するためのインタフェースである。制御対象群65としては、搬送路31〜33上の紙幣を搬送させるうえでの動力源となるモータ、紙幣出入口13、及び一時保留部23の各繰入繰出機構13b、23aの動力源となる各モータ、各搬送路31〜33上に設けられ、紙幣の搬送先を切り換えるための切換爪の位置を切り換えるための複数のソレノイド、紙幣の検出等に用いられる複数のセンサ、等が挙げられる。その複数のセンサにより、搬送路31〜33、紙幣出入口13、一時保留部23に存在する紙幣の検出等を行うことができる。一時保留部23には、紙幣を収納可能な収納スペースを確認するためのセンサも設けられており、そのセンサも複数のセンサに含まれる。
メカ制御部64は、システム管理部62の指示に従って、制御対象群66を制御するためのインタフェースである。制御対象群66は、カセット21に係わるものである。制御対象群66としては、各カセット21のステージを昇降させるための動力源となるモータ、紙幣をカセット21に導くための切換爪の位置を切り換えるための複数のソレノイド、カセット21内の紙幣の検出等に用いられる複数のセンサ、等が挙げられる。管理カセット21−1を含む各カセット21には、それぞれ、紙幣を収納可能な収納スペースを確認するためのセンサも設けられており、それらのセンサも複数のセンサに含まれる。
上記構成において、紙幣の補充、紙幣の回収、及び自動精査に着目して、動作を説明する。
制御部51は、上記操作検出用センサが係員キー差込口15に差し込まれたキーに対して行われた操作を検出した場合、顧客操作部11に、図7に表すような休止情報画面70を表示させる。その休止情報画面70は、係員に提供すべき各種情報を配置した画面である。制御部51は、その休止情報画面70上の「係員処理」ボタン71への操作が顧客操作部11から通知された場合、図8に表すような係員処理画面80を顧客操作部11に表示させる。
係員処理画面80は、係員が所望する処理を自動機1に行わせるための画面である。図8に表すように、係員処理画面80上には、「小計精査」ボタン81、「合計精査」ボタン82、「自動精査」ボタン83、「カセット内枚数」ボタン84、「係員カセット補充」ボタン85、「一部補充」ボタン86、及び「一部回収」ボタン87が配置されている。
「小計精査」ボタン81、及び「合計精査」ボタン82は、自動機1、或いはホスト4がデータとして保持している何れかのカセット21、或いは2つのカセット21に収納されている紙幣の枚数の出力を係員が指示するためのボタンである。「自動精査」ボタン83は、2つのカセット21にそれぞれ収納されている紙幣の枚数の計数を係員が指示するためのボタンである。
「カセット内枚数」ボタン84は、カセット21毎に、その状態、収納対象とする紙幣の金種、或いは収納されている紙幣の枚数等の設定を要求するためのボタンである。カセット21のなかで管理カセットとするものは、このボタン84の操作により設定することができる。
「係員カセット補充」ボタン85は、管理カセット21−1の紙幣を全て、カセット21−2、或いは21−3に補充するのを指示するためのボタンである。「一部補充」ボタン86は、指定された枚数の紙幣の補充を指示するためのボタンである。「一部回収」ボタン87は、指定された枚数の紙幣の回収を指示するためのボタンである。
制御部51は、「一部補充」ボタン86の操作が顧客操作部11から通知された場合、図9に表すような枚数入力画面90を顧客操作部11に新たに表示させる。その枚数入力画面90には、金種毎に、枚数入力ボックス91、及び「入力」ボタン92が配置されると共に、「取消」ボタン93、及び「実行」ボタン94が配置されている。それにより、紙幣を補充しようとする係員は、紙幣を補充すべき金種の枚数入力ボックス91内に紙幣の枚数を入力した後、「実行」ボタン94を操作する。「取消」ボタン93を操作した場合には、係員は、紙幣の補充の指示を取り消すことができる。「入力」ボタン92は、対応する枚数入力ボックス91への数値入力を可能にさせる。
係員が「一部回収」ボタン87を操作した場合にも、制御部51は、図9に表すような枚数入力画面90を顧客操作部11に表示させる。それにより、係員は、金種別に、紙幣の回収枚数を指定することができる。
管理カセット21−1を含む各カセット21には、複数の金種の紙幣を混在させることができる。しかし、ここでは、管理カセット21−1を含む各カセット21には、1金種の紙幣のみ収納されると想定する。その想定から、紙幣の補充、及び紙幣の回収は1金種の紙幣のみを対象に行われることとする。複種類の金種の紙幣を補充する場合、補充対象とする金種の紙幣が収納されている管理カセット21−1を装着して、金種毎に紙幣の補充を行うものとする。管理カセット21−1を含む各カセット21に収納されている、或いは収納すべき紙幣の金種は、例えば金種によって異なる設定(例えば機械的な設定)をカセット21に対して行い、その設定内容をセンサにより検出するようにさせることで、自動機1に自動認識させることができる。
制御部51は、「係員カセット補充」ボタン85が操作されるか、或いは「一時補充」ボタン86への操作により、図9に表すような枚数入力画面90を顧客操作部11に表示させた後、「実行」ボタン94が操作された場合、紙幣処理部53に紙幣の補充を指示する。「実行」ボタン94が操作された場合、制御部51は、枚数入力画面90上で入力された枚数、及び金種を紙幣処理部53に通知する。
紙幣処理部53のシステム管理部62は、制御部51からの紙幣補充の指示を契機に、図10、及び図11にフローチャートを表す補充処理を実行する。ここで、システム管理部62が実行する補充処理について、図10、及び図11を参照して詳細に説明する。
先ず、システム管理部62は、管理カセット21−1からの紙幣の繰り出し、及び繰り出された紙幣をカセット21に収納させるうえでの準備を行い、補充した紙幣の総枚数を計数するための変数kに0を代入する(S11)。
上記準備としては、装着されているカセット21の確認、装着されているカセット21の検査、搬送路31〜33上に残っている紙幣が存在するか否かの確認、シャッタ13aのクローズ、等が行われる。搬送路31〜33上に残っている紙幣が存在するか否か等の確認、シャッタ13aのクローズは、搬送制御部63を介した制御対象群65の制御によって行われる。管理カセット21−1を含む装着されたカセット21の確認、確認されたカセット21の検査、等は、メカ制御部64を介した制御対象群66の制御によって行われる。
次にシステム管理部62は、補充する紙幣の繰出元、及び補充する紙幣の収納先を決定して、決定した繰出元、及び収納先の準備を行い、紙幣の枚数を計数するための変数iに0を代入する(S12)。
最初に決定される繰出元は管理カセット21−1であり、収納先として決定されるカセット21は、管理カセット21−1に収納されている紙幣の金種、或いは係員が枚数入力画面90で枚数を入力した金種によって特定されるカセット21である。決定された繰出元、及び収納先では、繰り出し、或いは収納のために、ステージの上昇が行われる。
次に、システム管理部62は、繰出元に紙幣が存在するか否か判定する(S13)。繰出元に紙幣が存在しない場合、S13の判定はNOとなってS16に移行する。繰出元に紙幣が存在する場合、S13の判定はYESとなってS14に移行する。
S14では、システム管理部62は、紙幣の繰出タイミングとなったか否か判定する。次に紙幣を繰り出すべきタイミングが到来した場合、S14の判定はYESとなってS15に移行する。そのタイミングが到来していない場合、S14の判定はNOとなってS16に移行する。
S15では、システム管理部62は、メカ制御部64、或いは搬送制御部63に指示して、繰出元から紙幣を繰り出させ、変数iの値をインクリメントする。次にシステム管理部62は、現在の収納先が一時保留部23か否か判定する(S16)。現在、一時保留部23が収納先に決定されていた場合、S16の判定はYESとなってS17に移行する。一時保留部23が収納先に決定されていない場合、S16の判定はNOとなって図11のS21に移行する。
一時保留部23に収納可能な紙幣の最大枚数は予め判明しており、システム管理部62は、一時保留部23に収納する紙幣の枚数の上限値(≦最大枚数)をデータとして保持している。S17では、システム管理部62は、変数iの値が上限値と等しいか否か判定する。それらが等しい場合、S17の判定はYESとなり、システム管理部62は、S18で紙幣の繰り出しを停止させた後、図11のS21に移行する。それらが等しくない場合、つまり変数iの値が上限値未満であった場合、S17の判定はNOとなってS19に移行する。
S19では、システム管理部62は、制御部51から指示された紙幣補充は紙幣の補充枚数が指定された一部補充か否か判定する。補充枚数が制御部51から指定されていた場合、S19の判定はYESとなってS20に移行する。その補充枚数が制御部51から指定されていない場合、つまり管理カセット21−1内の紙幣を全て補充する場合、S19の判定はNOとなり、図11のS21に移行する。
S20では、システム管理部62は、指定された補充枚数の紙幣を繰り出したか否か判定する。指定された補充枚数の繰り出しが終了した場合、S20の判定はYESとなって上記S18に移行し、繰り出しを停止させる。指定された補充枚数の繰り出しが終了していない場合、S20の判定はNOとなり、図11のS21に移行する。
図3に表すように、紙幣の補充は、管理カセット21−1→一時保留部23への搬送、一時保留部23→カセット21への搬送、という組合せを、必要に応じて繰り返すことで行われる。後述するように、変数kには、1回の組合せを行う毎に、変数iの値が加算される。そのため、指定された補充枚数が上記上限値以下であれば、その補充枚数は変数iの値と比較され、指定された補充枚数がその上限値を超えていれば、指定された補充枚数は変数kの値と変数iの値の合計値と比較される。
図11のS21では、システム管理部62は、鑑別部22から鑑別結果を取得したか否か判定する。鑑別部22から鑑別結果を新たに入力した場合、S21の判定はYESとなってS22に移行する。鑑別部22から鑑別結果を新たに入力できなかった場合、S21の判定はNOとなってS25に移行する。
S22では、システム管理部62は、鑑別結果が正常券であることを表しているか否か判定する。その鑑別結果が正常券であることを表していた場合、S22の判定はYESとなり、システム管理部62は、紙幣を、現在、決定している収納先に搬送させる(S23)。その後、S25に移行する。鑑別結果が正常券であることを表していない場合、S22の判定はNOとなり、システム管理部62は、紙幣を、リジェクトボックス26、或いは27に搬送させる(S24)。その後、S25に移行する。紙幣の搬送先の切り換えは、搬送制御部63に指示して、ソレノイドの駆動による切換爪の位置の切り換えさせることで行われる。
S25では、システム管理部62は、収納先に紙幣を収納可能な収納スペースが存在するか否か判定する。収納先にその収納スペースが存在しない場合、S25の判定はNOとなって、図10のS18に戻る。それにより、紙幣の繰り出しを停止させる。一方、収納先に収納スペースが存在する場合、S25の判定はYESとなってS26に移行する。収納先に収納スペースが存在するか否かの判定は、収納先がカセット21であればメカ制御部64から入力するセンサの検出結果を用いて行われ、収納先が一時保留部23であれば搬送制御部63から入力するセンサの検出結果を用いて行われる。
管理カセット21−1に、カセット21に収納できない枚数の紙幣が収納されている場合、管理カセット21−1の紙幣を全て補充することができない。その場合、収納先をカセット21としている状況で、S25の判定がNOとなる。それにより、カセット21への過剰な紙幣の補充は回避される。
S26では、システム管理部62は、紙幣の搬送が終了したか否か判定する。紙幣の搬送は、繰り出しが終了し、最後に繰り出された紙幣が収納先に収納することで終了する。繰り出し自体は、繰り出しの停止、或いは繰出元の紙幣が無くなることで終了する。このことから、搬送が終了した場合、搬送路31〜33で紙幣が検出されない状態となる。そのため、紙幣の繰り出しが終了し、且つ紙幣が搬送路31〜33の何れにも検出できない状態となった場合、S26の判定はYESとなってS27に移行する。紙幣の繰り出しが終了していない、或いは搬送路31〜33で紙幣が検出されている状態であった場合、S26の判定はNOとなって図10のS13に戻る。
S27では、システム管理部62は、カセット21が収納先か否か判定する。現在、カセット21が収納先に決定されている場合、S27の判定はYESとなってS28に移行する。現在、収納先として決定されているのが一時保留部23であった場合、S27の判定はNOとなって図10のS12に戻る。それにより、一時保留部23を繰出元、カセット21を収納先とそれぞれ決定しての紙幣の移動が行われる。
S28では、システム管理部62は、変数kに、それまでの値に変数iの値を加算した値を代入する。次にシステム管理部62は、紙幣の補充が完了したか否か判定する(S29)。管理カセット21−1の全ての紙幣をカセット21に収納した、指定された補充枚数の紙幣をカセット21に収納した、或いはカセット21に収納可能なだけの紙幣を収納した場合、S29の判定はYESとなってS30に移行する。それらの何れにも該当しない場合、S29の判定はNOとなって図10のS12に戻る。
S30では、システム管理部62は、通信制御部61を介して、紙幣補充を行った結果を制御部51に送信する。変数iの値、或いは変数kの値と変数iの値の合計値は、実際に補充された紙幣の枚数を表す情報である。その補充枚数は結果として制御部51に送信される。そのような結果を送信した後、補充処理が終了する。
なお、紙幣の搬送には、ジャム等のエラーが発生する可能性がある。また、装着すべきカセット21を係員が装着し忘れることもあり得る。しかし、そのような不具合の発生に対応するための処理は、ここでは重要性が低いとして省いている。
制御部51は、「一部回収」ボタン87への操作により、図9に表すような枚数入力画面90を顧客操作部11に表示させた後、「実行」ボタン94が操作された場合、紙幣処理部53に紙幣の回収を指示する。「実行」ボタン94が操作された場合、制御部51は、枚数入力画面90上で入力された回収枚数、及び金種を紙幣処理部53に通知する。
紙幣処理部53のシステム管理部62は、制御部51からの紙幣回収の指示を契機に、図12にフローチャートを表す回収処理を実行する。ここで、システム管理部62が実行する回収処理について、図12を参照して詳細に説明する。
カセット21と管理カセット21−1の紙幣の搬送上の位置関係から、図4に表すように、カセット21からの紙幣の回収は一時保留部23を介さずに行われる。そのため、上記補充処理とは異なり、繰出元、収納先の変更は行われない。
先ず、システム管理部62は、カセット21からの紙幣の繰り出し、及び管理カセット21−1への紙幣の収納のための準備を行う(S51)。次にシステム管理部62は、回収する紙幣の繰出元(カセット21)、及び回収する紙幣の収納先(管理カセット21−1)を決定して、決定した繰出元、及び収納先の準備を行い、紙幣の枚数を計数するための変数iに0を代入する(S52)。
次に、システム管理部62は、繰出元に紙幣が存在するか否か判定する(S53)。繰出元に紙幣が存在しない場合、S53の判定はNOとなってS56に移行する。繰出元に紙幣が存在する場合、S53の判定はYESとなってS54に移行する。
S54では、システム管理部62は、紙幣の繰出タイミングとなったか否か判定する。次に紙幣を繰り出すべきタイミングが到来した場合、S54の判定はYESとなってS55に移行する。そのタイミングが到来していない場合、S54の判定はNOとなってS56に移行する。
S55では、システム管理部62は、メカ制御部64、或いは搬送制御部63に指示して、繰出元から紙幣を繰り出させ、変数iの値をインクリメントする。次にシステム管理部62は、指定された回収枚数の紙幣を繰り出したか否か判定する(S56)。指定された回収枚数の繰り出しが終了した場合、S56の判定はYESとなってS57に移行する。指定された回収枚数の繰り出しが終了していない場合、S56の判定はNOとなってS58に移行する。
S57では、システム管理部62は、紙幣の繰り出しを停止させる。次にシステム管理部62は、鑑別部22から鑑別結果を取得したか否か判定する(S58)。鑑別部22から鑑別結果を新たに入力した場合、S58の判定はYESとなってS59に移行する。鑑別部22から鑑別結果を新たに入力できなかった場合、S58の判定はNOとなってS62に移行する。
S59では、システム管理部62は、鑑別結果が正常券であることを表しているか否か判定する。その鑑別結果が正常券であることを表していた場合、S59の判定はYESとなり、システム管理部62は、紙幣を、現在、決定している収納先である管理カセット21−1に搬送させる(S60)。その後、S62に移行する。鑑別結果が正常券であることを表していない場合、S59の判定はNOとなり、システム管理部62は、紙幣を、リジェクトボックス26、或いは27に搬送させる(S61)。その後、S62に移行する。紙幣の搬送先の切り換えは、搬送制御部63に指示して、ソレノイドの駆動による切換爪の位置の切り換えさせることで行われる。
S62では、システム管理部62は、収納先に紙幣を収納可能な収納スペースが存在するか否か判定する。収納先にその収納スペースが存在しない場合、S62の判定はNOとなって上記S57に戻る。それにより、紙幣の繰り出しを停止させる。一方、収納先に収納スペースが存在する場合、S62の判定はYESとなってS63に移行する。
S63では、システム管理部62は、紙幣の回収が完了したか否か判定する。指定された回収枚数をカセット21から繰り出した(S56でのYESの判定)、カセット21から回収すべき紙幣がなくなる(S53でのYESの判定)、或いは管理カセット21−1に収納可能なだけの紙幣を収納した(S62でのNOの判定)場合、S63の判定はYESとなってS64に移行する。それらの何れにも該当しない場合、S63の判定はNOとなって上記S53に戻る。
S64では、システム管理部62は、通信制御部61を介して、紙幣回収を行った結果を制御部51に送信する。変数iの値は、実際に回収された紙幣の枚数を表す情報である。その回収枚数は結果として制御部51に送信される。そのような結果を送信した後、回収処理が終了する。
制御部51は、「自動精査」ボタン83が操作された場合、紙幣処理部53に自動精査の実行を指示する。
紙幣処理部53のシステム管理部62は、制御部51からの自動精査の実行の指示を契機に、図13、及び図14にフローチャートを表す自動精査処理を実行する。最後に、システム管理部62が実行する自動精査処理について、図13、及び図14を参照して詳細に説明する。カセット21から管理カセット21−1への紙幣の移動は、図4に表すように行われ、管理カセット21−1からカセット21への紙幣の移動は、図3に表すように行われる。
先ず、システム管理部62は、管理カセット21−1からの紙幣の繰り出し、及び繰り出された紙幣をカセット21に収納させるうえでの準備を行い、カセット21に収納されている紙幣の総枚数を計数するための変数kに0を代入する(S71)。次にシステム管理部62は、紙幣の繰出元、及び紙幣の収納先を決定して、決定した繰出元、及び収納先の準備を行い、紙幣の枚数を計数するための変数iに0を代入する(S72)。
最初に決定される繰出元は何れかのカセット21であり、収納先として決定されるのは管理カセット21−1である。決定された繰出元、及び収納先では、繰り出し、或いは収納のために、ステージの上昇が行われる。
次に、システム管理部62は、繰出元に紙幣が存在するか否か判定する(S73)。繰出元に紙幣が存在しない場合、S73の判定はNOとなってS76に移行する。繰出元に紙幣が存在する場合、S73の判定はYESとなってS74に移行する。
S74では、システム管理部62は、紙幣の繰出タイミングとなったか否か判定する。次に紙幣を繰り出すべきタイミングが到来した場合、S74の判定はYESとなってS75に移行する。そのタイミングが到来していない場合、S74の判定はNOとなってS76に移行する。
S75では、システム管理部62は、メカ制御部64、或いは搬送制御部63に指示して、繰出元から紙幣を繰り出させ、変数iの値をインクリメントする。次にシステム管理部62は、現在の収納先が一時保留部23か否か判定する(S76)。現在、一時保留部23が収納先に決定されていた場合、S76の判定はYESとなってS77に移行する。一時保留部23が収納先に決定されていない場合、S76の判定はNOとなって図14のS79に移行する。
S77では、システム管理部62は、変数iの値が上限値と等しいか否か判定する。それらが等しい場合、S77の判定はYESとなり、システム管理部62は、S78で紙幣の繰り出しを停止させた後、図14のS79に移行する。それらが等しくない場合、つまり変数iの値が上限値未満であった場合、S77の判定はNOとなって図14のS79に移行する。
S79では、システム管理部62は、鑑別部22から鑑別結果を取得したか否か判定する。鑑別部22から鑑別結果を新たに入力した場合、S79の判定はYESとなってS80に移行する。鑑別部22から鑑別結果を新たに入力できなかった場合、S79の判定はNOとなってS83に移行する。
S80では、システム管理部62は、鑑別結果が正常券であることを表しているか否か判定する。その鑑別結果が正常券であることを表していた場合、S80の判定はYESとなり、システム管理部62は、紙幣を、現在、決定している収納先に搬送させる(S81)。その後、S83に移行する。鑑別結果が正常券であることを表していない場合、S80の判定はNOとなり、システム管理部62は、紙幣を、リジェクトボックス26、或いは27に搬送させる(S82)。その後、S83に移行する。紙幣の搬送先の切り換えは、搬送制御部63に指示して、ソレノイドの駆動による切換爪の位置の切り換えさせることで行われる。
S83では、システム管理部62は、収納先に紙幣を収納可能な収納スペースが存在するか否か判定する。収納先にその収納スペースが存在しない場合、S83の判定はNOとなって、図13のS78に戻る。それにより、紙幣の繰り出しを停止させる。一方、収納先に収納スペースが存在する場合、S83の判定はYESとなってS84に移行する。収納先に収納スペースが存在するか否かの判定は、収納先がカセット21であればメカ制御部64から入力するセンサの検出結果を用いて行われ、収納先が一時保留部23であれば搬送制御部63から入力するセンサの検出結果を用いて行われる。
カセット21に、管理カセット21−1に収納できない枚数の紙幣が収納されている場合、そのカセット21の紙幣を全て計数することができない。その場合、収納先を管理カセット21−1としている状況で、S83の判定がNOとなって、図13のS78に戻る。
S84では、システム管理部62は、紙幣の搬送が終了したか否か判定する。紙幣の搬送は、繰り出しが終了し、最後に繰り出された紙幣が収納先に収納することで終了する。繰り出し自体は、繰り出しの停止、或いは繰出元の紙幣が無くなることで終了する。このことから、搬送が終了した場合、搬送路31〜33で紙幣が検出されない状態となる。そのため、紙幣の繰り出しが終了し、且つ紙幣が搬送路31〜33の何れにも検出できない状態となった場合、S84の判定はYESとなってS85に移行する。紙幣の繰り出しが終了していない、或いは搬送路31〜33で紙幣が検出されている状態であった場合、S84の判定はNOとなって図13のS73に戻る。
S85では、システム管理部62は、元のカセット21、つまり自動精査の対象としているカセット21が収納先か否か判定する。現在、元のカセット21が収納先に決定されている場合、S85の判定はYESとなってS86に移行する。現在、収納先として決定されているのが一時保留部23、或いは管理カセット21−1であった場合、S85の判定はNOとなって図13のS72に戻る。
S86では、システム管理部62は、変数kに、それまでの値に変数iの値を加算した値を代入する。次にシステム管理部62は、対象とするカセット21の精査が完了したか否か判定する(S87)。元のカセット21に戻すことが可能な紙幣を全て収納したような場合、S87の判定はYESとなってS88に移行する。元のカセット21に戻すことが可能な紙幣を全て収納していないような場合、S87の判定はNOとなって図13のS72に戻る。
S88では、システム管理部62は、変数kの値を、精査の対象としていたカセット21に収納されている紙幣の枚数を表す情報として保存する。次にシステム管理部62は、精査が完了したカセット21がその精査の対象として最後のカセット21か否か判定する(S89)。精査の対象となるカセット21が残っていない場合、S89の判定はYESとなってS90に移行する。精査の対象となるカセット21が残っている場合、S89の判定はNOとなって図13のS72に戻る。
S90では、システム管理部62は、通信制御部61を介して、精査を行った結果を制御部51に送信する。カセット21別にS88で保存した変数kの値、つまり収納されている紙幣の枚数は、結果として制御部51に送信される。そのような結果を送信した後、自動精査処理が終了する。
なお、本実施形態では、紙幣補充、回収、及び自動精査のなかから係員が行わせる処理を選択できるようにしているが、選択可能な処理は2種類以下としても良い。処理が1種類のみとした場合、事実上、係員に処理を選択させる必要はない。
また、本実施形態では、管理カセット21−1に1金種の紙幣のみが収納されると想定しているが、管理カセット21−1に複種類の金種の紙幣を収納可能にしても良い。管理カセット21−1に複種類の金種の紙幣を収納させるようにした場合には、管理カセット21−1を交換することなく、複数のカセット21への紙幣補充、及び紙幣の回収を行うことができる。
また、本実施形態では、管理カセット21−1の装着位置を予め決定しているが、管理カセット21−1の装着位置は任意に変更できるようにしても良い。その場合、システム管理部62に、管理カセット21−1とカセット21間の紙幣の移動に一時保留部23を用いるか否かを確認させ、その確認結果を制御に反映させれば良い。
本実施形態は、既存の自動機にも適用可能である。既存の自動機への適用は、例えば上記補充処理、回収処理、或いは自動精査処理のような処理を実現可能なプログラムを実行可能にすることで行うことができる。