以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形が行われてもよい。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
§1 真空包装装置
ここでは、図1A〜1Eを用いて、本実施形態に係るベルトコンベア装置2が利用される真空包装装置1について説明する。本実施形態に係る真空包装装置1は、図1A〜1Eに例示されるように、ベルトコンベア装置2、加圧板3、穴開け機構5、真空エジェクタ6、脱気シール機構7、シール供給機構8、及び回転機構9を備えることで、例えば、米、豆、コーヒー等の粒子物を封入した包装体Fを脱気密封する装置である。図1A〜1Eでは、当該真空包装装置1が当該包装体Fを脱気密封する際の動作が例示されている。以下では、真空包装装置1が包装体Fを脱気密封する一連の動作について説明しつつ、真空包装装置1が備える各構成要素と当該動作との関係を説明する。
(第1のステップ)
第1のステップでは、真空包装装置1は、入口に供給された包装体Fを作業位置Pにセットする動作を実行する。図1Aは、包装体Fが入口から進入した時における真空包装装置1の状態を例示する。なお、脱気密封する対象となる包装体Fは、例えば、他のベルトコンベア装置又は利用者によって、真空包装装置1の入り口に供給される。
図1Aで例示されるように包装体Fが入口に供給されると、真空包装装置1は、後述するベルトコンベア装置2によって、包装体Fを作業位置Pにセットする。具体的には、真空包装装置1は、ベルトコンベア装置2の搬送ベルト20を駆動して、包装体Fを搬送する。そして、真空包装装置1は、作業位置Pまで包装体Fを搬送したことをセンサ(不図示)で検知すると、搬送ベルト20の駆動を停止する。これにより、真空包装装置1は、包装体Fを作業位置Pにセットすることができる。
なお、搬送ベルト20の駆動を開始させるタイミングは、実施の形態に応じて、適宜、設定されてよい。例えば、真空包装装置1は、脱気密封に係る一連の作業を行っている間、包装体Fを作業位置Pで停止させる場面を除いて、ベルトコンベア装置2の搬送ベルト20を常に駆動させ続けてもよい。また、真空包装装置1は、入口に包装体Fが供給されたことをセンサ(不図示)で検知して、ベルトコンベア装置2の搬送ベルト20の駆動を開始させてもよい。
(第2のステップ)
包装体Fを作業位置Pにセットする動作を完了すると、真空包装装置1は、次の第2のステップの動作を実行する。第2のステップでは、真空包装装置1は、包装体F内から気体を抜き取るため、穴開け機構5によって包装体Fに穴を開ける動作を実行する。図1Bは、包装体Fに穴を開ける際における真空包装装置1の状態を例示する。
真空包装装置1は、包装体Fが作業位置Pにセットされると、ベルトコンベア装置2の備える振動装置25の動作を開始し、包装体Fに振動を与える。そして、当該動作に並行して、真空包装装置1は、図1Bに例示されるように、加圧板3で包装体Fに圧力を加える。すなわち、真空包装装置1は、振動装置25により包装体Fに振動が与えられている際に、ベルトコンベア装置2の上方から包装体Fに加圧板3で圧力を加える。
これによって、真空包装装置1は、包装体F内の粒状物をほぼ均一にならし、包装体F内で粒状物が偏ることを防止する。また、包装体Fに加圧板3で圧力を加えながら振動を与えることで、先端の尖った粒状物(例えば、米)を寝かした状態にし、後述する脱気密封した際に先端の尖った粒状物で包装体Fが破けてしまうことを防止する。
そして、本実施形態に係る真空包装装置1は、このように加圧板3で包装体Fに圧力を加える時に、当該包装体Fに穴を開ける機構である穴開け機構5で包装体Fに穴を開ける。具体的には、以下のようにして、包装体Fに穴を開ける。
包装体Fに圧力を加える加圧板3は、加圧装置33に接続する保持部材32により保持されている。そして、加圧板3には、包装体Fに圧力を加える際に包装体Fが存在する範囲内、すなわち、作業位置P付近に、開口30が設けられている(図1A及び図1C)。また、穴開け機構5側の加圧板3の面には、開口30を囲むように台座31が設けられている。
本実施形態に係る真空包装装置1は、加圧板3で包装体Fに圧力を加える前に、当該包装体Fに穴を開ける機構である穴開け機構5を開口30に挿入して、当該穴開け機構5を加圧板3にセットする。具体的には、真空包装装置1は、穴開け機構5を加圧板3に向けて降下させ、穴開け機構5の蓋部56が台座31と接触するまで、当該穴開け機構5を加圧板3の開口30に挿入することで、穴開け機構5を加圧板3にセットする。なお、穴開け機構5の詳細は後述する。
穴開け機構5を加圧板3にセットした状態では、図1Bで例示されるように、穴開け機構5の丸刃50は、加圧板3の開口30から包装体F側に突出した状態になる。また、当該状態では、加圧板3の開口30は蓋部56により閉じた状態となっている。この状態で、真空包装装置1は、加圧装置33を動作させ、保持部材32を下方に移動させることで、加圧板3で包装体Fに圧力を加える。そうすると、穴開け機構5の丸刃50は、振動装置25により振動を与えられている包装体Fに押し付けられることになる。真空包装装置1は、この丸刃50と振動との作用によって、包装体Fに穴を開ける。
なお、本実施形態に係る真空包装装置1は、包装体Fを予備的に真空状態にする真空エジェクタ6を備える。本実施形態に係る真空エジェクタ6は、後述するとおり、台座31に設けられた通気路34と接続チューブ61で接続しており、包装体Fに開けられた穴から当該包装体F内の気体を抜き取ることができる。真空包装装置1は、穴開け機構5が包装体Fに接近している間に、換言すると、穴開け機構5の蓋部56が開口30を塞いでいる間に、当該真空エジェクタ6によって、包装体Fを予備的な真空状態にする。真空エジェクタ6については後述する。
(第3のステップ)
穴開け機構5による作業を完了すると、真空包装装置1は、次の第3のステップの動作を実行する。第3のステップでは、真空包装装置1は、脱気シール機構7による脱気密封の作業を開始するために、穴開け機構5から脱気シール機構7に作業する機構を入れ替える動作を実行する。図1Cは、穴開け機構5による作業が完了した後における真空包装装置1の状態を例示する。
本実施形態では、図1Cで例示されるように、穴開け機構5と脱気シール機構7とは、L字状に連結されており、一体の作業機構Wとして形成されている。そして、本実施形態に係る真空包装装置1は、当該作業機構Wを回転させる回転機構9を備えている。
そこで、本実施形態に係る真空包装装置1は、穴開け機構5による穴開け作業と真空エジェクタ6による予備的な真空作業とが完了した後に、まずは、図1Cで例示されるように、加圧板3の状態はそのままで、振動装置25の動作を停止し、穴開け機構5を開口30から引き上げる。そして、真空包装装置1は、作業機構Wを回転機構9により回転させて、穴開け機構5の丸刃50が開口30に向いている状態(図1A〜図1Cの状態)から脱気シール機構7の真空チャンバ72が開口30に向いている状態(図1D及び図1Eの状態)に作業機構Wの状態を変更する。これにより、真空包装装置1は、穴開け機構5から脱気シール機構7に作業する機構を入れ替える動作を完了する。
(第4のステップ)
穴開け機構5から脱気シール機構7に作業する機構を入れ替える動作を完了すると、真空包装装置1は、次の第4のステップの動作を実行する。第4のステップでは、真空包装装置1は、脱気シール機構7によって、包装体F内の気体を抜き取る動作を実行する。図1Dは、脱気シール機構7により包装体F内の気体を抜き取る際における真空包装装置1の状態を例示する。
後に詳細に説明するが、本実施形態に係る脱気シール機構7は、パイプ77の先端にシールを吸着するためのシール吸着ヘッド70が設けられており、当該シール吸着ヘッド70を覆うように真空チャンバ72が設けられている。図1Dの状態では真空チャンバ72の内部に存在するシール吸着ヘッド70は、接続チューブ74を介して、真空ポンプ76と接続している。そのため、シール吸着ヘッド70の面は、真空ポンプ76の作用により、シール供給機構8から供給されるシール部材を吸着保持することができる。
なお、本実施形態では、シール供給機構8は、加圧板3が上がっている状態で穴開け機構5が開口30に向いている時に、脱気シール機構7のシール吸着ヘッド70の延長線上に存在する。そのため、本実施形態では、真空包装装置1は、上記第1のステップの動作の際に、真空ポンプ76を動作させることで、シール部材Sをシール吸着ヘッド70に吸着保持させることができる。
また、本実施形態では、後述するとおり、シール部材Sを吸着保持するシール吸着ヘッド70と真空チャンバ72との間には隙間73が設けられており、真空ポンプ76は、接続チューブ75を介して、当該隙間73にも接続している。本実施形態では、当該隙間73が利用されて、包装体F内の気体が抜き取られる。
具体的には、真空包装装置1は、図1Dで例示されるように、脱気シール機構7を降下させて、真空チャンバ72を加圧板3の台座31に密着させる。この状態では、シール吸着ヘッド70は包装体Fに接触しておらず、開口30は真空チャンバ72で塞がれた状態になる。
この状態で、真空包装装置1は、真空ポンプ76によって、シール吸着ヘッド70と真空チャンバ72との間の隙間73から吸気することで、包装体F内の気体を抜き取る。そして、真空ポンプ76が設定された分の気体を抜き取ると、包装体F内の気体を抜き取る動作は完了する。なお、本実施形態では、上述のとおり、当該動作が実行される前に、真空エジェクタ6によって、包装体Fは予備的な真空状態になっている。本動作では、真空包装装置1は、その予備的な真空状態の包装体F内から更に気体を抜き取ることで、本装置の利用者の所望する包装体Fの真空状態を達成する。
なお、真空包装装置1は、脱気シール機構7が包装体F内の気体を抜き取った後に、包装体F内に不活性ガスを注入するガス注入機構を備えてもよい。図1A〜図1Eで例示される接続チューブ61は、三方弁62によって、真空エジェクタ6への経路とガス注入機構のガスボンベへの経路に分けられている。三方弁62は、例えば、電磁弁であり、真空エジェクタ6の経路とガス注入機構の経路との間で開通する経路を切り替えることができる。そのため、本実施形態では、ガス注入機構は、脱気シール機構7による包装体Fの真空作業が完了した後、後述する第5のステップで包装体Fの穴にシール部材Sが張り付けられるまでの間に、接続チューブ61を介して、包装体F内に不活性ガスを注入することができる。なお、不活性ガスは、例えば、炭酸ガス、窒素ガス等である。
(第5のステップ)
包装体F内の気体を抜き取る動作を完了すると、真空包装装置1は、次の第5のステップの動作を実行する。第5のステップでは、真空包装装置1は、気体を抜き取った包装体Fの穴にシール部材Sを貼り付ける動作を実行する。図1Eは、脱気シール機構7が包装体Fの穴にシール部材Sを貼り付ける際における真空包装装置1の状態を例示する。
上述のとおり、脱気シール機構7のシール吸着ヘッド70にはシール部材Sが吸着保持されている。そこで、真空包装装置1は、真空チャンバ72を台座31に密着させた状態を維持しつつ、シール吸着ヘッド70を降下させて、シール部材Sを保持するシール吸着ヘッド70の面を包装体Fの穴が開けられた部分に押し付ける。この際に、真空包装装置1は、真空ポンプ76によるシール吸着ヘッド70の面からの吸気を停止する。これにより、シール部材Sは、シール吸着ヘッド70に吸着保持されなくなる。一方で、シール部材Sは、当該シール吸着ヘッド70によって包装体Fの穴が開けられた部分に押し付けられて、シール部材Sの包装体F側の面に付された粘着剤によって、包装体Fの穴が設けられた部分に貼り付けられる。これにより、包装体Fの穴にシール部材Sを貼り付ける動作は完了する。
当該動作の後、真空包装装置1は、加圧板3により包装体Fに圧力をかけた状態を解除する。すなわち、真空包装装置1は、加圧装置33による加圧動作を停止し、加圧板3を上昇させる。なお、加圧板3を上昇させる際、真空包装装置1は、次の包装体Fに備えて、回転機構9を駆動させて、穴開け機構5を開口30に向けてもよい。すなわち、真空包装装置1は、穴開け機構5と脱気シール機構7との状態を包装体Fの脱気密封作業前の状態に戻してもよい。
また、真空包装装置1は、例えば、ベルトコンベア装置2の搬送ベルト20を駆動させて、脱気密封の作業の完了した包装体Fを出口から排出する。これにより、本実施形態に係る真空包装装置1は、包装体Fを脱気密封する一連の動作を完了する。なお、ベルトコンベア装置2は、出口から包装体Fが排出されたことをセンサ(不図示)で検知して、搬送ベルト20の駆動を終了させてもよい。
以上のように、本実施形態に係る真空包装装置1は、ベルトコンベア装置2、加圧板3、穴開け機構5、真空エジェクタ6、脱気シール機構7、シール供給機構8、及び回転機構9を備えることで、包装体Fを脱気密封する。なお、本実施形態に係る真空包装装置1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含む制御装置10を備えることで、各構成要素の動作を制御する。
ここで、真空包装装置1の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換、及び、追加が可能である。例えば、本実施形態に係る真空包装装置1では、真空エジェクタ6が省略されてもよいし、穴開け機構5が一般的な穴開け機構に置換されてもよい。また、本実施形態に係る真空包装装置1は、図1A〜図1Eで例示されるように、包装体F内に不活性ガスを注入するガス注入機構を有してもよい。
なお、本実施形態では、包装体F内の真空状態を達成する真空発生装置が2種類存在する。当該2種類の真空発生装置が達成する「真空」は、いわゆる絶対真空でなくてもよい。すなわち、本明細書における「真空」は、標準大気圧より圧力が低い状態を示す「負圧」と読み替えられてもよい。
§2 ベルトコンベア装置
ここでは、図2及び図3を用いて、本実施形態に係るベルトコンベア装置2を詳細に説明する。ベルトコンベア装置2は、図1Aを用いて説明したとおり、包装体Fを移送しつつ、包装体Fに振動を与えることのできる装置である。
まずは、図2を用いて、ベルトコンベア装置2の構成を説明する。図2は、ベルトコンベア装置2の構成を例示する。図2で例示されるように、ベルトコンベア装置2は、物品(例えば、包装体F)を搬送するための無端状の搬送ベルト20と、搬送ベルト20を駆動させるための駆動部21と、駆動部21が設置される第1のフレーム部材22と、当該第1のフレーム部材22から離されて支持される第2のフレーム部材24と、を備える。
搬送ベルト20は、搬送ベルト20が包装体Fを搬送する際に当該搬送ベルト20を隔てて第2のフレーム部材24が当該包装体Fを支持するように、少なくとも前記第1のフレーム部材22に設けられた複数の支持ローラ26から張力を付与される。当該複数の支持ローラ26は、本発明における複数のローラの一例である。当該複数の支持ローラ26は、搬送ベルト20の内面を支持し、当該搬送ベルト20の経路を確定する。
なお、搬送ベルト20を支持する支持ローラ26の数は、実施の形態に応じて、適宜、決定されてよい。また、支持ローラ26が設置される場所も、実施の形態に応じて、適宜、決定されてよい。例えば、支持ローラ26は第2のフレーム部材24に設けられてもよい。ただし、後述する理由により、支持ローラ26は、第2のフレーム部材24ではなく、第1のフレーム部材22に設けられたほうがよい。本実施形態では、第1のフレーム部材22に設けられた4つの支持ローラ26が搬送ベルト20の経路を確定する。
具体的には、本実施形態では、2つの支持ローラ26が、第1のフレーム部材22の両端に設けられている。そして、残り2つの支持ローラ26が、第2のフレーム部材24の外側に位置するように、第1のフレーム部材22の両端付近に連結されたローラ支持部材27により支持されて設けられている。搬送ベルト20は、このように設けられた4つの支持ローラ26により支持されることで、第1のフレーム部材22と第2のフレーム部材24とを囲むように、架け渡されている。
このとき、搬送ベルト20は、第1のフレーム部材22の下側を通っている。本実施形態では、第1のフレーム部材22の下側に、搬送ベルト20を駆動するための駆動部21が存在する。
駆動部21は、搬送ベルト20を駆動させることができる構成であればよく、例えば、図2で例示されるように、2つのガイドローラ211、駆動ローラ212、及び駆動モータ213を備えてもよい。搬送ベルト20は、2つのガイドローラ211に掛かることで、駆動ローラ212側に延びて、駆動ローラ212に掛けられている。駆動ローラ212は、駆動モータ213によって回転させられ、搬送ベルト20を周回(駆動)させる。なお、搬送ベルト20の周回方向は、実施の形態に応じて、適宜、決定されてよい。本実施形態では、駆動部21は、搬送ベルト20を時計回りに周回させる。
また、搬送ベルト20は、図2で例示されるように、第2のフレーム部材24の上側を通っている。そのため、搬送ベルト20が包装体Fを搬送する際には、包装体Fは、搬送ベルト20を隔てて、第2のフレーム部材24に支持される。換言すると、第2のフレーム部材24は、搬送ベルト20を通過する包装体Fを、当該搬送ベルト20の内面側から支持する。
そして、搬送ベルト20により搬送される包装体Fを支持する第2のフレーム部材24には、当該包装体Fに振動を与えるための振動装置25が設置されている。振動装置25は、振動モータ等により振動を発生させる装置である。振動装置25は、いずれの方向の振動を発生させてもよく、例えば、搬送ベルト20の周回方向に沿った振動を発生させる。
ここで、振動装置25は第2のフレーム部材24に直接設置されているため、振動装置25から与えられる振動は第2のフレーム部材24にそのまま伝達する。そのため、振動装置25から与えられる振動に応じて、第2のフレーム部材24は振動する。上述した第2のステップでは、第2のフレーム部材24により支持される包装体Fに当該第2のフレーム部材24の振動が伝達することで、包装体Fに振動が与えられる。
一方で、第1のフレーム部材22は、振動装置25の設けられている第2のフレーム部材24から離れている。そのため、振動装置25から与えられた振動は、すなわち、振動装置25に基づく第2のフレーム部材24の振動は、第1のフレーム部材22に直接伝達されることはない。
第1のフレーム部材22には、搬送ベルト20を駆動させるための駆動部21等の構成要素が設置されている。このような第1のフレーム部材22に大きな振動が伝わり続けると、第1のフレーム部材22に設置された構成要素の脱落、破損等が生じる可能性が高まり、ベルトコンベア装置2の寿命が短くなってしまう。
そこで、本実施形態に係るベルトコンベア装置2は、ベルトコンベア装置の基本的な構成から、振動装置から振動が与えられる構成(第2のフレーム部材24)を切り離すことで、当該ベルトコンベア装置2の基本的な構成に対する振動の影響を軽減する。すなわち、ベルトコンベア装置2は、第2のフレーム部材24から第1のフレーム部材22にそのまま振動が伝わらないようにすることで、ベルトコンベア装置2の耐久性を向上させることが可能になる。
なお、第2のフレーム部材24は、駆動部21等を備える第1のフレーム部材22から離されて支持されればよく、例えば、真空包装装置1の筺体等で支持されてもよい。ただし、当該第2のフレーム部材24が他の装置に支持される場合であっても、第2のフレーム部材24の振動による影響を低減するため、当該第2のフレーム部材24は後述する支持機構23のように振動を低減する機構で支持されるのが好ましい。
本実施形態では、当該第2のフレーム部材24は、第1のフレーム部材22に設置されて、当該第2のフレーム部材24の振動を低減する構成を有する支持機構23によって支持される。支持機構23は、振動装置25に基づく第2のフレーム部材24の振動が第1のフレーム部材22に伝達するのを低減する。そのため、第2のフレーム部材24から支持機構23を介して第1のフレーム部材22に伝達される振動は減衰し、これによって、ベルトコンベア装置2の耐久性を向上させることが可能になる。
なお、第2のフレーム部材24から第1のフレーム部材22に伝わる振動を減衰させる支持機構23は、例えば、図3で例示される。図3は、図2の方向Aから見た支持機構23の構成を例示する。本実施形態に係る支持機構23は、図3で例示されるように、第1のフレーム部材22の両側に固定される2つの脚部231と、2つの脚部231それぞれの両側に配置され、脚部231と第2のフレーム部材24との間に介在する4つの支持部材232と、を備える。
振動装置25に基づく第2のフレーム部材24の振動が第1のフレーム部材22に伝達するのを支持機構23が低減するほど、第1のフレーム部材22に設置される各構成要素に対する振動の影響は軽減される。そのため、第2のフレーム部材24を支持する支持機構23は、第2のフレーム部材24の振動を第1のフレーム部材22に伝達させない仕組みを有するのが好ましい。例えば、支持機構23は、第2のフレーム部材24から第1のフレーム部材22に伝わる振動の減衰率を高めるため、支持部材232が可動して、第2のフレーム部材24の振動を吸収する仕組みを有してもよい。また、例えば、支持部材232は、防振ゴム等で構成されてよい。
なお、本実施形態では、ベルトコンベア装置2は、真空包装装置1の包装体Fを搬送するベルトコンベア装置として、利用されている。しかしながら、ベルトコンベア装置2は、当該真空包装装置1で利用する場面に限られず、物品を搬送する場面で広く利用可能である。また、ベルトコンベア装置2は、穴開け機構5が一般的な穴開け機構に置き換えられた真空包装装置1で利用されてもよいし、後述する2種類の真空発生装置を備えない真空包装装置1で利用されてもよい。
§3 穴開け機構
ここでは、図4及び図5を用いて、本実施形態に係る穴開け機構5を詳細に説明する。図4は、本実施形態に係る穴開け機構5の構成を例示する。また、図5は、本実施形態に係る穴開け機構5の断面構造を例示する。穴開け機構5は、図1Bを用いて説明したとおり、加圧板3の開口30を通して包装体Fに接近して、包装体Fに穴を開ける機構である。
本実施形態に係る穴開け機構5は、包装体Fに穴を開けるために、円環状の丸刃50を備えている。図4で例示されるように、円環状の丸刃50は、中央付近にねじ55が通るねじ穴を有する。当該ねじ穴は、本体部54を形成する第1本体部54a及び第2本体部54bにも設けられている。第1本体部54a、丸刃50、及び第2本体部54bは、この順序で、ねじ55によって締結される。これにより、丸刃50は、第1本体部54aと第2本体部54bとに挟まれた状態になり、丸刃50の一部が本体部54の押圧面51から突き出している状態となる。
穴開け機構5は、押圧面51を包装体Fに接触するように、包装体Fの上方から当該状態の丸刃50を包装体Fの表面に押圧することで、包装体Fの表面に穴を開ける。本実施形態では、包装体Fに穴を開けるための部材として、従来の真空包装装置で一般的に利用されてきた針ではなく、このような丸刃50が利用される。そのため、本実施形態では、針が利用される場合に比べて、包装体Fに穴を開けるための部材の耐久性を高めることができる。なお、丸刃50は尖った部分を有さないため、針以外の尖った形状の刃物が利用される場合と比較しても、丸刃50を利用される本実施形態の方が、包装体Fに穴を開けるための部材の耐久性を高めることができる。
ただし、丸刃50と包装体Fとの接触面は、針と包装体Fとの接触面よりも、広くなってしまう。そのため、丸刃50は針よりも包装体Fに穴を開けにくいという問題点が存在する。
そこで、本実施形態では、丸刃50は、包装体Fの振動方向に沿って刃先が向くように配置される。すなわち、本実施形態では、搬送ベルト20の周回方向に沿って包装体Fは振動するため、搬送ベルト20の周回方向に沿って刃先が向くように丸刃50は配置される。そして、上述の第2のステップで説明したとおり、穴開け機構5は、包装体Fに振動が与えられている際に、丸刃50を包装体Fの表面に押圧する。
このように、包装体Fが振動している間に丸刃50を当該包装体Fに押圧すると、丸刃50の刃先と包装体Fとの間には、包装体Fに与えられた振動によって、摩擦が生じる。このような摩擦が生じる状態で丸刃50の刃先が包装体Fの振動方向に向いているため、丸刃50の刃を前後に引いて包装体Fを切るような状態になる。そのため、本実施形態のような方法では、丸刃50の刃先を包装体Fに垂直に押し付ける方法に比べて、飛躍的に、包装体Fが切れやすくなる。したがって、本実施形態に係る穴開け機構5は、包装体Fに穴を開けるのに当該摩擦を利用することで、丸刃50では包装体Fに穴を開けにくいという問題点を解消している。
なお、本実施形態に係る真空包装装置1は、穴開け機構5が包装体Fに接近している間に、換言すると、穴開け機構5の蓋部56が開口30を塞いでいる間に、包装体Fを予備的な真空状態にする真空エジェクタ6を備えてもよい。真空エジェクタ6は、図5で例示されるように、台座31に設けられた通気路34と接続チューブ61で接続しており、包装体Fに開けられた穴から当該包装体F内の気体を抜き取ることができる。
このような真空エジェクタ6による脱気が行われない場合、蓋部56は省略されてもよい。この場合、加圧板3の圧力により自然換気が生じる。つまり、包装体Fは加圧板3から圧迫され、包装体F内の気体は、包装体Fに開けられた穴から放出される。したがって、真空エジェクタによる予備的な真空作業が行われない場合であっても、後述する脱気シール機構7によって包装体Fを真空にする前には、包装体Fは、ある程度の量の気体が抜けた状態となっている。
ここで、真空エジェクタ6について説明する。真空エジェクタ6は、包装体Fを予備的な真空状態にする装置であり、少なくとも第1の真空度までの真空を発生させることができる第1の真空発生装置の一例である。穴開け機構5を加圧板3にセットして、加圧板3を包装体Fに密着させると、加圧板3の開口は、穴開け機構5に設けられた蓋部56と包装体Fとによって、密封された状態になる。そこで、本実施形態に係る真空エジェクタ6は、穴開け機構5のセットされた加圧板3が包装体Fに密着している間、換言すると、穴開け機構5が包装体Fに接近している間に、当該真空エジェクタ6により第1の真空度まで包装体F内の気体を抜き取る。
なお、第1の真空発生装置(本実施形態では、真空エジェクタ6)の能力を示す第1の真空度は、後述する第2の真空度との相対的な関係を示すに過ぎず、絶対的な能力値(真空度)を示さなくてもよい。すなわち、脱気密封する包装体F毎に第1の真空度は異なってもよく、例えば、第1の真空度は、真空エジェクタ6が包装体F内から気体を抜き取る時間に関連してもよい。
また、第1の真空発生装置は、真空エジェクタ6に限定されず、実施の形態に応じて、適宜、選択されてよい。第1の真空発生装置も、同様に、後述する第2の真空発生装置との相対的な関係を示すに過ぎない。第1の真空発生装置は、後述する第2の真空発生装置よりも低い真空度の真空しか発生させられないものの、後述する第2の真空発生装置よりも動作が速く、包装体F内の気体を抜き取るのが早い真空発生装置であればよい。
なお、本実施形態では、真空エジェクタ6は、台座31に設けられた通気路34に接続して、包装体F内の気体を抜き取る。ただし、真空エジェクタ6が接続する場所はこのような台座31に設けられた通気路34に限定されず、包装体F内の気体を抜き取ることができれば、真空エジェクタ6はいずれの場所に接続してもよい。
以上により、真空エジェクタ6の説明を終了し、穴開け機構5の説明に戻る。穴開け機構5は、図4及び5に例示されるように、穴開け機構5の押圧面51には、包装体Fに開けられた穴を広げるために、凸部53が設けられてもよい。本実施形態では、図4で例示されるように、凸部53は、第1本体部54aの部分53aと第2本体部54bの部分53bとで形成される。
真空エジェクタ6によって包装体F内の気体を抜き取る場合であっても、真空エジェクタ6を用いずに加圧板3の圧力によって包装体Fに開けられた穴から包装体F内の気体を自然に放出させる場合であっても、当該加圧板3の圧力により、包装体Fに開けられた穴が閉じてしまう可能性がある。これに対して、本実施形態では、包装体F側に突出する凸部53を有する押圧面51が包装体Fの表面を押圧しているため、スリット上に開けられた包装体Fの穴は当該凸部53によって広げられる。そのため、本実施形態では、上記いずれの場合であっても、包装体F内の気体をスムーズに抜き取ることができる。
なお、凸部53の形状は、実施の形態に応じて、適宜、設計されてよい。例えば、凸部53は、円錐状に形成される。ただし、丸刃50の刃先が包装体Fに接触するように、凸部53の高さは、押圧面51から突出している丸刃50の部分よりも、低いほうがよい。
また、図4及び5で例示されるように、凸部53は、包装体F内の気体を排気するための排気路52を備えていてもよい。上述のとおり、凸部53は、スリット上に開けられた包装体Fの穴を広げる。このとき、凸部53は、当該穴から包装体F内に入り込む。そこで、このような凸部53に排気路52を設けることで、包装体F内から更にスムーズに気体を抜くことが可能になる。
ここで、当該排気路52は、真空エジェクタ6によって予備的な脱気が行われる本実施形態では、当該真空エジェクタ6に接続するように、構成されてもよい。また、当該排気路52は、真空エジェクタ6を用いずに加圧板3の圧力によって包装体Fに開けられた穴から包装体F内の気体を自然に放出させる場合、穴開け機構5の外に気体を放出できるように、構成される。
なお、本実施形態では、排気路52は凸部53の略中央に設けられている。当該排気路52が設けられる位置は、実施の形態に応じて、適宜、決定されてよい。ただし、排気路52は、包装体F内に入り込む凸部53の領域に設けられるのが好ましい。
また、図4で例示されるように、本実施形態に係る穴開け機構5は、押圧面51の丸刃50の周囲に、当該丸刃50が欠けたとき又は折れたときに当該丸刃50の欠けた部分又は折れた部分を捕まえるための磁石部57を備えてもよい。磁石部57は、例えば、本体部54に設けられた穴に磁石が埋め込まれることで、形成される。
なお、磁石部57の数及び設置位置は、実施の形態に応じて、適宜、決定されてよい。磁石部57は、例えば、当該丸刃50が欠けたとき又は折れたときに当該丸刃50の欠けた部分又は折れた部分を回収できる範囲を考慮して、設置される。
また、丸刃50の材料は、実施の形態に応じて、適宜、選択されてよい。ただし、磁石部57により丸刃50の欠けた部分又は折れた部分を回収できるようにするためには、丸刃50は、磁石に引き寄せられる材料で形成されるのが好ましい。
なお、本実施形態では、穴開け機構5は、真空包装装置1の包装体Fに穴を開ける機構として、利用されている。しかしながら、穴開け機構5は、当該真空包装装置1で利用する場面に限られず、振動する包装体に穴を開ける場面で広く利用が可能である。また、穴開け機構5は、ベルトコンベア装置2が一般的なベルトコンベア装置に置き換えられた真空包装装置1で利用されてもよいし、後述する2種類の真空発生装置を備えない真空包装装置1で利用されてもよい。
§4 脱気シール機構
ここでは、図6、及び図7A〜図7Cを用いて、本実施形態に係る脱気シール機構7を詳細に説明する。脱気シール機構7は、図1D及び図1Eを用いて説明したとおり、加圧板3の開口30を通して包装体Fに接近して、穴開け機構5が開けた穴から包装体F内の気体を抜き取り、当該包装体F内の気体を抜き取った後にシール部材Sを包装体Fに貼りつけることで、穴開け機構5が開けた穴を塞ぐ機構である。
まず、図6を用いて、脱気シール機構7の構成を説明する。図6は、本実施形態に係る脱気シール機構7の構成を例示する。本実施形態に係る脱気シール機構7は、図6で例示されるように、パイプ77の先端にシールを吸着するためのシール吸着ヘッド70が設けられており、当該シール吸着ヘッド70を覆うように真空チャンバ72が設けられている。
シール吸着ヘッド70の先端には、フィルム状のシールを吸着しやすいように、また、包装体Fに傷をつけないように、シリコンパッド78が埋め込まれている。そして、シール吸着ヘッド70の先端には、シール吸着ヘッド70の面とシリコンパッド78とを貫通するシール吸着穴71が複数設けられている。真空ポンプ76は、当該シール吸着穴71から吸気できるように、接続チューブ74を介してシール吸着ヘッド70と接続している。これにより、シール吸着ヘッド70は、真空ポンプ76を動作させることで、シール供給機構8から供給されるシール部材Sを吸着保持することができる。
また、本実施形態では、シール吸着ヘッド70と真空チャンバ72との間には隙間73が設けられており、真空ポンプ76は、当該隙間73から吸気できるように、接続チューブ75を介して真空チャンバ72と接続している。シール吸着ヘッド70がシール部材Sを吸着保持している間、シール吸着ヘッド70のシール吸着穴71からはほぼ吸気できないため、真空ポンプ76は、当該隙間73を利用して、包装体F内の気体を抜き取ることができる。
なお、本実施形態では、脱気シール機構7により包装体F内の気体を抜き取る前に、真空エジェクタ6が包装体Fを予備的な真空状態にする。具体的には、第1の真空発生装置としての真空エジェクタ6は、第1の真空度まで包装体F内の気体を抜き取る。
これに対して、脱気シール機構7は、第1の真空発生装置よりも包装体F内の気体を抜き取るのが遅いものの、少なくとも第1の真空度よりも高い第2の真空度までの真空を発生させることができる第2の真空発生装置により、包装体F内の気体を抜き取る。本実施形態では、当該第2の真空発生装置の一例として、真空ポンプ76が利用されている。本実施形態に係る脱気シール機構7は、真空エジェクタ6が第1の真空度まで包装体F内の気体を抜き取った後に、当該真空ポンプ76により、第1の真空度から第2の真空度まで包装体F内の気体を抜き取る。
なお、第2の真空発生装置の能力を示す第2の真空度は、上述のとおり、第1の真空度との相対的な関係を示すに過ぎず、絶対的な能力値(真空度)を示さなくてもよい。すなわち、脱気密封する包装体F毎に第2の真空度は異なってもよく、例えば、第2の真空度は、真空ポンプ76が包装体F内から気体を抜き取る時間と関連してもよい。また、真空ポンプ76の動作により包装体Fの真空化が完了するため、真空包装装置1の利用者の所望する真空度が第2の真空度として設定されてもよい。
また、第2の真空発生装置は、真空ポンプ76に限定されず、実施の形態に応じて、適宜、選択されてもよい。第2の真空発生装置も、同様に、上述の第1の真空発生装置との相対的な関係を示すに過ぎない。第2の真空発生装置は、第1の真空発生装置よりも包装体F内の気体を抜き取るのが遅いものの、高い真空度を達成することのできる真空発生装置であればよい。
このように、本実施形態に係る真空包装装置1は、包装体Fの真空化を行う真空発生装置として、真空エジェクタ6(第1の真空発生装置)及び真空ポンプ76(第2の真空発生装置)を備える。すなわち、本実施形態に係る真空包装装置1では、性能の異なる2種類の真空発生装置により、包装体の真空化が行われる。
より具体的には、本実施形態に係る真空包装装置1は、高速に動作する真空エジェクタ6により、包装体Fを一度予備的な真空状態にする。そして、真空包装装置1は、真空エジェクタ6よりも高い真空度の真空を発生させることができる真空ポンプ76により、予備的な真空状態の包装体F内から更に気体を抜き取って、包装体Fの真空化を完成させる。つまり、本実施形態によれば、高速で動作する真空エジェクタ6と高い真空度の真空を発生させることのできる真空ポンプ76とで分担させて、包装体Fの真空化を行うことができるようになる。
本実施形態に係る真空包装装置1は、このように包装体Fの脱気密封(真空化)を行うことで、包装体Fを、真空エジェクタ6が達成できないような高い真空度の真空状態にすることができる。また、真空ポンプ76単独で包装体Fの真空化を行う場合よりも、高速に、包装体Fの真空化を完成することができる。よって、本実施形態によれば、比較的に大容量の包装体であっても、高速で、高い真空度の真空状態にすることができる。例えば、第1の真空発生装置としてCKD製の真空エジェクタ(型番:VSC-L20-10A-8S)を利用し、第2の真空発生装置として日東工機製の真空ポンプ(型番:VP0940)を利用した場合に、2kgの米を封入した包装体Fであっても、10秒程度で、包装体Fの真空化を完成させることができる。また、これらの真空発生装置を利用した真空包装装置1では、10kgの米を封入した包装体Fであっても脱気密封することができる。
次に、図7A〜図7Cを用いて、図1D及び図1Eを用いて説明した動作の際の脱気シール機構7の具体的な状態を説明する。
図7Aは、包装体F内の気体を抜き取る前における脱気シール機構7の状態を例示する。脱気シール機構7は、図7Aで例示されるように、真空ポンプ76によってシール吸着ヘッド70の面(シール吸着穴71)から吸気することで、シール供給機構8から供給されるシール部材Sをシール吸着ヘッド70に吸着保持させる。
次に、図7Bは、包装体F内の気体を抜き取る際における脱気シール機構7の状態を例示する。脱気シール機構7は、真空チャンバ72を加圧板3の台座31に密着させて、開口30を塞ぐ。ここで、シール吸着ヘッド70のシール吸着穴71は、シール吸着ヘッド70が吸着保持するシール部材Sによって、塞がれている。一方、シール吸着ヘッド70と真空チャンバ72との間の隙間73は、図7Bで例示されるように、真空チャンバ72により塞がれた空間内において、開口30の上方に位置する。そこで、脱気シール機構7は、真空ポンプ76によって当該隙間73から吸気することで、包装体F内の気体を抜き取る。
なお、真空包装装置1は、真空ポンプ76によって包装体Fの脱気を行った後、包装体Fの穴にシール部材Sを貼り付ける前に、ガス注入機構を動作させて、包装体F内に不活性ガスを充填してもよい。上述のとおり、ガス注入機構は、接続チューブ61と繋がっている。そのため、ガス注入機構は、接続チューブ61が接続する通気路34を介して、包装体F内に不活性ガスを注入することができる。
ここで、加圧板3の開口30は、真空チャンバ72によって、密封されている。そして、ガス注入機構が包装体Fに不活性ガスを注入する前には、真空ポンプ76による包装体Fの脱気が完了しているため、真空チャンバ72により密封された開口30の領域及び包装体F内は、気圧が低い状態になっている。そのため、ガス注入機構のガスボンベから当該開口30の領域に不活性ガスが供給されると、供給された不活性ガスは、包装体Fに設けられた穴から包装体F内に引き込まれ、包装体F内に充填される。よって、この段階でガス注入機構を動作させることで、包装体F内に不活性ガスを注入することができる。なお、本実施形態では、このように包装体F内に不活性ガスを充填することで、包装体Fの内容物の鮮度を保つことが可能になる。
次に、図7Cは、包装体Fの穴にシール部材Sを貼り付ける際における脱気シール機構7の状態を例示する。脱気シール機構7は、真空チャンバ72を台座31に密着させた状態を維持しつつ、シール吸着ヘッド70を降下させて、シール部材Sを保持するシール吸着ヘッド70の面を包装体Fの穴が開けられた部分に押し付ける。この際、脱気シール機構7は、真空ポンプ76によるシール吸着ヘッド70の面からの吸気を停止する。これにより、シール部材Sは、シール吸着ヘッド70に吸着保持されなくなる。一方で、シール部材Sは、当該シール吸着ヘッド70によって包装体Fの穴が開けられた部分に押し付けられて、シール部材Sの包装体F側の面に付された粘着剤によって、包装体Fの穴が設けられた部分に貼り付けられる。
なお、本実施形態では、包装体Fに穴を開ける部材として、針ではなく、丸刃50が利用される。包装体Fに針で穴を開けた場合、針によって切れた包装体Fの蓋は、穴の周囲から包装体F内に入り込んでしまう可能性が高い。そのため、針で開けた穴は包装体Fの蓋で閉じることができない可能性が高く、当該穴の部分で、包装体Fの内容物がシール部材Sに付着してしまう可能性が高い。
一方、本実施形態のように、丸刃50で包装体Fに穴を開けた場合、包装体Fにはスリット状の穴が開く。当該スリット状の穴は、当該スリットの方向に包装体Fをしめることで、閉じることができる。そのため、本実施形態では、包装体Fの穴を開けた部分で内容物がシール部材Sに付着してしまうことを防止することができる。
なお、このように2種類の真空発生装置により包装体の真空状態を完成させる真空発生機構は、真空包装装置1で利用する場面に限られず、対象物の中身を真空にする場面で広く利用が可能である。また、当該真空発生機構は、ベルトコンベア装置2が一般的なベルトコンベア装置に置き換えられた真空包装装置1で利用されてもよいし、穴開け機構5が一般的な穴開け機構に置き換えられた真空包装装置1で利用されてもよい。
§5 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
例えば、押圧面51は、加圧板3が包装体Fに圧力を加える際に加圧板3の開口30で生じる可能性のある包装体F表面の盛り上がりを抑えるように、開口30に合わせた大きさを有してもよい。この点について、図8を用いて説明する。
図8は、開口30で生じる包装体Fの盛り上がりを例示する。加圧板3で包装体Fに圧力を加える場合、加圧板3で圧力が加えられている部分の包装体Fの内容物及び気体は、加圧板3による圧力の影響を受けない開口30の部分に移動して偏ってしまう可能性がある。これによって、包装体Fの表面は、図8で例示されるように、開口30で盛り上がってしまう可能性がある。
そこで、押圧面51は、このような盛り上がりを抑えるように、開口30に合わせた大きさに形成されてもよい。なお、穴開け機構5の押圧面の形状及び大きさは、開口30で生じる可能性のある包装体F表面の盛り上がりを抑えることができればよく、例えば、開口30をほぼ占める形状及び大きさに形成される。例えば、開口30の形状が円形である場合、穴開け機構5の押圧面51は、図4で例示されるように、開口30とほぼ同じ大きさの円形に形成されてよい。