JP6071631B2 - 粘着性組成物、粘着剤および粘着シート - Google Patents

粘着性組成物、粘着剤および粘着シート Download PDF

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Description

本発明は、粘着性組成物、粘着剤(粘着性組成物を架橋させた材料)および粘着シートに関するものであり、特に、偏光板等の光学部材用としても好適な粘着性組成物、粘着剤および粘着シートに関するものである。
一般的に、液晶パネルにおいては、偏光板や位相差板を液晶セルのガラス基板等に接着するのに粘着剤組成物から形成された粘着剤層が使用されることが多い。しかし、偏光板や位相差板等の光学部材は熱等により収縮し易いため、熱履歴により収縮が生じ、その結果、当該光学部材に積層されている粘着剤層がその収縮に追従できずに、界面で剥がれ(いわゆる浮き、剥がれ)を生じたり、光学部材の収縮時の応力に起因して光学部材の光学軸がずれることによる光漏れ(いわゆる白抜け)が生じるといった問題が指摘されている。
これを防止するための方法としては、(1)粘着力が高く、かつ、形態安定性に優れた粘着剤層を偏光板等の光学部材に貼り合せることにより光学部材の収縮自体を抑えこむ方法、あるいは、(2)光学部材の収縮時の応力が小さい粘着剤層を用いる方法、が挙げられる。(1)の方法としては、特許文献1に示されているように貯蔵弾性率の高い粘着剤層を用いることが有効である。一方、(2)の方法としては、光学部材の変形に柔軟に対応できる応力緩和性に優れた粘着剤層を用いることが有効である。しかし、従来、このような応力緩和性に優れた粘着剤層を形成しようとした場合、当該粘着剤層中の架橋密度を低く設計する必要があった。そうすると粘着剤層自体の強度が低下し、耐久性が悪化するといった問題があった。
そこで、特許文献2〜4では、粘着剤層の架橋密度を低くする代わりに可塑剤、流動パラフィン、ウレタンエラストマー等をアクリル系粘着剤に添加することにより、得られる粘着剤組成物を適度に柔らかくして粘着剤層に応力緩和性を付与し、それによって耐光漏れ性および耐久性を得ようとしている。
特開2006−235568号公報 特開平5−45517号公報 特開平9−137143号公報 特開2005−194366号公報
しかしながら、可塑剤または流動パラフィンを添加した粘着剤組成物は、形成される粘着剤層が、経時により可塑剤や流動パラフィンをブリードアウトするという難点を有していた。そして、これにより、接着耐久性が低下したり、被着体となる液晶セルが汚染されるなど、様々な問題が懸念されていた。また、ウレタンエラストマーを添加した粘着剤組成物は、相溶性を維持しようとするとウレタンエラストマーの添加量の上限が限られるため、応力緩和性の改善は不十分となる傾向がみられた。さらに、応力緩和性を向上させるためにウレタンエラストマーの添加量を多くすると、アクリル系粘着剤との相溶性が低下し、白濁等の問題が生じていた。このように、従来の技術では、光学部材用の粘着剤組成物から形成される粘着剤層の耐光漏れ性および耐久性を根本的に改善することは困難であった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、偏光板等の光学部材に適用したときにも、耐光漏れ性および耐久性の両方に優れる粘着性組成物、粘着剤および粘着シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、反応性基として水酸基のみを有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、分子内に珪素原子を1個以上有し、かつ珪素原子と結合するアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物(B)と、キレート化合物(C)とを含有する粘着性組成物であって、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーを0.1〜35質量%含有し、前記シラン化合物(B)の含有量が、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部であり、前記キレート化合物(C)の含有量が、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.001〜3質量部であることを特徴とする粘着性組成物を提供する(発明1)。
上記発明(発明1)に係る粘着性組成物を架橋させると、キレート化合物(C)が触媒となって、シラン化合物(B)が加水分解反応後の縮合反応により三次元網目構造を形成し、その三次元網目構造に複数の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が絡まる構造(物理的な架橋構造)、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の水酸基と上記三次元網目構造における加水分解反応由来のシラノール基との化学結合による上記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)同士の架橋構造(化学的な架橋構造)、および一の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が上記三次元網目構造に絡まり、他の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が上記一の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が絡まっている三次元網目構造と前述の化学結合を形成している構造(物理的な架橋構造)が形成されるものと推定される。当該粘着性組成物を架橋して得られる粘着剤は、偏光板等の光学部材に適用したときにも、耐光漏れ性および耐久性の両方に優れる。
上記発明(発明1)において、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は、20万〜250万であることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)において、前記シラン化合物(B)は、前記アルコキシ基として、メトキシ基および/またはエトキシ基を有することが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1〜3)において、前記キレート化合物(C)は、アルミニウムキレート化合物であることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1〜4)において、前記キレート化合物(C)は、アセチルアセトン錯体であることが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1〜5)においては、さらにポリイソシアネート化合物(D)を含有することが好ましい(発明6)。
上記発明(発明6)において、前記ポリイソシアネート化合物(D)の含有量は、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01〜1質量部であることが好ましい(発明7)。
第2に本発明は、前記粘着性組成物(発明1〜7)を架橋してなる粘着剤を提供する(発明8)。
上記発明(発明8)においては、ゲル分率が10〜95%であることが好ましい(発明9)。
第3に本発明は、基材と、粘着剤層とを備えた粘着シートであって、前記粘着剤層が、前記粘着剤(発明8,9)からなることを特徴とする粘着シートを提供する(発明10)。
第4に本発明は、2枚の剥離シートと、前記2枚の剥離シートの剥離面と接するように前記剥離シートに挟持された粘着剤層とを備えた粘着シートであって、前記粘着剤層が、前記粘着剤(発明8,9)からなることを特徴とする粘着シートを提供する(発明11)。
本発明に係る粘着性組成物を架橋させて得られる粘着剤は、偏光板等の光学部材に適用したときにも、耐光漏れ性および耐久性の両方に優れる。
本発明の第1の実施形態に係る粘着シートの断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る粘着シートの断面図である。 粘着剤層付き偏光板における光漏れ性試験の測定領域を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔粘着性組成物〕
本実施形態に係る粘着性組成物(以下「粘着性組成物P」という。)は、反応性基として実質的に水酸基のみを有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、分子内に珪素原子を1個以上有し、かつ珪素原子に結合するアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物(B)と、キレート化合物(C)とを含有する。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの両方を意味する。他の類似用語も同様である。また、「重合体」には「共重合体」の概念も含まれるものとする。
上記の成分(A)〜(C)を含有する粘着性組成物P(後述する成分(D)は含まない)を架橋させると、第1に、キレート化合物(C)が触媒となって、シラン化合物(B)が加水分解反応後に縮合し、三次元網目構造を形成するものと考えられる。複数の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、その三次元網目構造に絡まり、したがって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)同士は、ある程度の自由度を有する状態で拘束された、擬似的な架橋構造(物理的な架橋構造)を形成しているものと推定される。第2に、上記三次元網目構造には、シラン化合物(B)の加水分解反応由来のシラノール基が複数存在するが、この三次元網目構造における複数のシラノール基と、複数の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の水酸基とがそれぞれ化学結合することにより、シラノール基を有する三次元網目構造を介した(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)同士の架橋構造(化学的な架橋構造)が形成されるものと推定される。第3に、一の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が上記三次元網目構造に絡まり、他の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が、上記一の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が絡まっている三次元網目構造と前述の化学結合を形成することにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)同士は、擬似的な架橋構造(物理的な架橋構造)を形成しているものと推定される(このように推定される上記の架橋構造を包括して、「構造X」という場合がある)。この構造Xを有する粘着剤は、所定のゲル分率を有し、これにより、適切な凝集力と優れた応力緩和性を発揮するものと推定される。かかる粘着剤は、偏光板等の光学部材に適用したときにも、耐光漏れ性および耐久性の両方に優れる。
(1)(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、反応性基として水酸基のみを有する。すなわち、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、カルボキシル基、アミノ基等の水酸基以外の反応性基を実質的に有しない。これらの反応性基を有すると、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、キレート化合物(C)と優先的に反応してしまい、上記の構造Xおよび所望の物性が得られなくなる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、水酸基含有モノマーを0.1〜35質量%含有し、好ましくは0.5〜30質量%含有し、特に好ましくは1〜25質量%含有する。かかる範囲で水酸基含有モノマーを含有することで、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、シラン化合物(B)による三次元網目構造に良好に拘束されるものと推定される。水酸基含有モノマーの含有量が0.1質量%未満であるか、35質量%を超えると、上記の構造Xが形成され難くなる。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられ、中でも、シラン化合物(B)により形成される三次元網目構造と、得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)との親和性の点から(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することが好ましく、特に主成分として含有することが好ましい。これにより、得られる粘着剤は、好ましい粘着性を発現することができる。
アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。中でも、粘着性をより向上させる観点から、アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルおよび(メタ)アクリル酸n−ブチルが特に好ましい。なお、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50〜99.9質量%含有することが好ましく、特に65〜99.5質量%含有することが好ましく、さらには70〜99質量%含有することが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、所望により、当該重合体を構成するモノマー単位として、他の反応性基を有しないモノマーを含有してもよい。
かかる他の反応性基を有しないモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド等の非架橋性のアクリルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合態様は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は20万〜250万であることが好ましく、特に30万〜220万であることが好ましく、さらには50万〜200万であることが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量が上記の範囲にあることで、上記の構造Xが良好に形成され、得られる粘着剤の応力緩和性がより優れたものとなるものと推定され、その結果、耐光漏れ性および耐久性がより優れたものとなる。
なお、粘着性組成物Pにおいて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(2)シラン化合物(B)
本実施形態におけるシラン化合物(B)は、分子内に珪素原子を1個以上有し、かつ珪素原子に結合するアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物である。このシラン化合物(B)は、効率的に三次元網目構造を形成する観点から、珪素原子に結合するアルコキシ基を分子内に3個以上有することが好ましい。なお、シラン化合物(B)は、珪素原子を2個以上有する場合、同一の珪素原子上に2個以上のアルコキシ基を有していてもよいし、例えば、2個の珪素原子それぞれに1個のアルコキシ基を有していてもよい。すなわち、総量として分子内に珪素原子に結合するアルコキシ基を2個以上含有すればよい。
本実施形態におけるシラン化合物(B)は、上記の構造を有することにより、加水分解の後、シラノール基を介して縮合し、前述した三次元網目構造を形成することが可能である。このシラン化合物(B)は、上記の構造Xを形成して(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を架橋するだけでなく、得られた三次元網目構造自体がシランカップリング剤としての効果も発揮するため、得られる粘着剤のガラス基板等に対する接着力を向上させることもできる。
また、シラン化合物(B)は、分子内に珪素原子を2個以上有することが好ましい。分子内に珪素原子を2個以上有するシラン化合物であれば、縮合により形成される三次元網目構造の網目を大きくすることができ、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を効率的に絡めることができるからである。分子内に珪素原子を2個以上有するシラン化合物(B)におけるアルコキシ基の数は、2〜12個であることが好ましく、特に2〜9個であることが好ましく、さらには3〜6個であることが好ましい。
分子内に珪素原子を2個有し、珪素原子と結合するアルコキシ基を2〜6個有するシラン化合物(B)としては、下記一般式(I)で表されるシラン化合物が好ましく、下記一般式(II)および(III)で表されるものが特に好ましい。
Figure 0006071631
上記一般式(I)で表されるシラン化合物としては、例えば、ビス(ジメトキシエチルシリル)ヘキサン、ビス(ジエトキシエチルシリル)ヘキサン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]尿素、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素、ビス(トリメトキシシリル)エチレン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、ビス(トリメトキシシリル)−1,7−オクタジエン、ビス(トリエトキシシリル)−1,7−オクタジエン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 0006071631
上記一般式(II)で表されるシラン化合物としては、例えば、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリメトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン等が挙げられ、中でもビス(トリメトキシシリル)エタンが特に好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 0006071631
上記一般式(III)で表されるシラン化合物としては、例えば、1,4−ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリルエチル)ベンゼン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分子内に珪素原子を3個有し、かつ分子内に珪素原子と結合するアルコキシ基を3〜9個有するシラン化合物としては、例えば、下記一般式(IV)で表されるものが挙げられる。
Figure 0006071631
上記一般式(IV)で表されるシラン化合物の代表例として、例えば、下記一般式(V)で表されるイソシアヌル酸エステルのシラン化合物等が挙げられる。
Figure 0006071631
上記一般式(V)で表されるシラン化合物としては、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上記の分子内に珪素原子を2個以上有するシラン化合物(B)は、アルコキシオリゴマーであってもよい。
また、シラン化合物(B)は、分子内に珪素原子を1個有し、かつ珪素原子に結合するアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物であってもよい。前述した縮合反応と同様の縮合反応により、三次元網目構造を形成することができ、本発明の効果を得ることができるからである。しかし、シラン化合物(B)が分子内に珪素原子を1個のみ含有する場合、縮合反応により形成される三次元網目構造が小さくなる傾向にあるものと考えられ、その網目内に(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を捉える割合が減少するものと推定される。このような場合、シラン化合物(B)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の水酸基と化学的に作用する反応性基を有することが好ましい。三次元網目構造の網目内に捉えられなかった(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)についても、上記反応性基と(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の水酸基とが反応することで、三次元網目構造に捉えることができるからである。
上記反応性基としては、例えば、イソシアネート基、アミノ基、グリシドキシ基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、メルカプト基等が挙げられ、中でもイソシアネート基、アミノ基およびグリシドキシ基が好ましい。
分子内に珪素原子を1個およびアルコキシ基を2個以上有するとともに、上記反応性基を有するシラン化合物(B)としては、例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルアミン等が挙げられ、中でも、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよび3−(トリメトキシシリル)プロピルアミンが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以上、分子内に珪素原子を1個のみ有するシラン化合物(B)が反応性基を含有する場合について説明したが、分子内に珪素原子を2個以上有するシラン化合物(B)であっても、本発明の効果を損なわない範囲で反応性基を有していてもよい。かかるシラン化合物(B)としては、例えば、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどが挙げられる。
粘着性組成物Pにおけるシラン化合物(B)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して0.01〜10質量部であり、好ましくは0.05〜5質量部であり、特に好ましくは0.1〜3質量部であり、さらに好ましくは0.15〜1.5質量部である。シラン化合物(B)の含有量が上記の範囲にあることで、上記の構造Xが形成され、得られる粘着剤の応力緩和性が優れたものになると推定され、その結果、耐光漏れ性および耐久性に優れたものとなる。シラン化合物(B)の含有量が0.01質量部未満では、十分な三次元網目構造を形成することができないものと推定され、耐久性が悪化する。シラン化合物(B)の含有量が10質量部を超えると、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と上記三次元網目構造との相溶性が悪化して絡み付きが不十分になるものと推定され、耐久性および/または耐光漏れ性が悪化する。
(3)キレート化合物(C)
粘着性組成物Pにおいて、キレート化合物(C)は、シラン化合物(B)が加水分解反応後に縮合し、三次元網目構造を形成するための触媒として機能するものと推定される。
キレート化合物(C)としては、金属原子がアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉄、スズ等の金属キレート化合物があるが、性能の点からアルミニウムキレート化合物およびジルコニウムキレート化合物が好ましく、特にアルミニウムキレート化合物が好ましい。また、これらの金属キレート化合物は、アセチルアセトン錯体であることが好ましい。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、ジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノ−N−ラウロイル−β−アラネートモノラウリルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(イソブチルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(2−エチルヘキシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(ドデシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(オレイルアセトアセテート)キレート等が挙げられ、中でもアルミニウムトリスアセチルアセトネートが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)等が挙げられ、中でもジルコニウムテトラアセチルアセトネートが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着性組成物Pにおけるキレート化合物(C)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して0.001〜3質量部であり、好ましくは0.01〜2質量部であり、特に好ましくは0.05〜1質量部である。キレート化合物(C)の含有量が上記の範囲にあることで、前述した触媒効果が発揮され、シラン化合物(B)が加水分解反応後に縮合される。キレート化合物(C)の含有量が多過ぎると、キレート化合物(C)自体による架橋構造が支配的となり、得られる粘着剤の応力緩和性が低下するおそれがある。また、剥離シートの剥離剤と反応し、剥離不良を起こす可能性がある。
(4)ポリイソシアネート化合物(D)
粘着性組成物Pは、ポリイソシアネート化合物(D)を含有してもよい。ポリイソシアネート化合物(D)は水酸基と反応性が高いため、ポリイソシアネート化合物(D)を含有する粘着性組成物Pを架橋させると、ポリイソシアネート化合物(D)は、主として(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の水酸基と反応する。前述した通り、シラン化合物(B)は、縮合反応によって三次元網目構造(第1の三次元網目構造)を形成するが、上記の反応により、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、ポリイソシアネート化合物(D)によって架橋され、第2の三次元網目構造を形成する。これら第1の三次元網目構造および第2の三次元網目構造は、互いに絡み合った構造を形成するものと推定される(このように推定される構造を、以下「構造Y」という場合がある。)。なお、シラン化合物(B)が反応性基としてイソシアネート基と反応する基(例えば活性水素基)を有する場合には、ポリイソシアネート化合物(D)は、当該シラン化合物(B)とも反応する。この場合、上記構造Yにおいて、第1の三次元網目構造と第2の三次元網目構造とは、部分的に相互に架橋し合うものと推定される。
上記のような構造Yを有する粘着剤は、所定のゲル分率を有し、これにより、適切な凝集力と優れた応力緩和性を発揮すると推定される。かかる粘着剤は、偏光板等の光学部材に適用したときにも、耐光漏れ性および耐久性の両方に優れる。
ポリイソシアネート化合物(D)としては、アクリル系粘着剤におけるポリイソシアネート化合物として公知の化合物の中から任意のものを適宜選択することができ、脂環式ポリイソシアネート系化合物、脂肪族ポリイソシアネート系化合物、芳香族ポリイソシアネート系化合物等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネート系化合物・脂肪族ポリイソシアネート系化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等、およびそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ポリイソシアネート系化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等、およびそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の中でも、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)中の反応性基との反応性の点から、トリメチロールプロパン変性の芳香族ポリイソシアネート、特にトリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネートおよびトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートが好ましい。
粘着性組成物Pにおけるポリイソシアネート化合物(D)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましく、特に0.02〜0.5質量部であることが好ましく、さらには0.05〜0.3質量部であることが好ましい。ポリイソシアネート化合物(D)の含有量が上記範囲にあると、上記の構造Yが良好に形成されると推定され、得られる粘着剤は耐久性および耐光漏れ性に優れたものとなる。ポリイソシアネート化合物(D)の含有量が多過ぎると、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の架橋の度合いが過度になり、得られる粘着剤の粘着力が低下するおそれがある。
(5)各種添加剤
粘着性組成物Pには、所望により、アクリル系粘着剤に通常使用されている各種添加剤、例えば帯電防止剤、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、屈折率調整剤などを添加することができる。
なお、粘着性組成物Pにおいては、シラン化合物(B)がシランカップリング剤としての効果も発揮するため、別途シランカップリング剤を添加する必要がない。
〔粘着性組成物の製造方法〕
粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を製造し、得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、シラン化合物(B)と、キレート化合物(C)とを混合するとともに、所望により、ポリイソシアネート化合物(D)および/または添加剤を加えることで製造することができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、重合体を構成するモノマーの混合物を通常のラジカル重合法で重合することにより製造することができる。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合は、所望により重合開始剤を使用して、溶液重合法等により行うことができる。重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。アゾ系化合物としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエート、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
なお、上記重合工程において、2−メルカプトエタノール等の連鎖移動剤を配合することにより、得られる重合体の重量平均分子量を調節することができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が得られたら、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の溶液に、シラン化合物(B)、キレート化合物(C)、希釈溶剤、および所望によりポリイソシアネート化合物(D)、添加剤を添加し、十分に混合することにより、溶剤で希釈された粘着性組成物P(塗布溶液)を得る。
粘着性組成物Pを希釈して塗布溶液とするための希釈溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤などが用いられる。
このようにして調製された塗布溶液の濃度・粘度としては、コーティング可能な範囲であればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。例えば、粘着性組成物Pの濃度が10〜40質量%となるように希釈する。なお、塗布溶液を得るに際して、希釈溶剤等の添加は必要条件ではなく、粘着性組成物Pがコーティング可能な粘度等であれば、希釈溶剤を添加しなくてもよい。この場合、粘着性組成物Pがそのまま塗布溶液となる。
〔粘着剤〕
本実施形態に係る粘着剤は、粘着性組成物Pを架橋してなるものである。粘着性組成物Pの架橋は、加熱処理により行うことができる。なお、この加熱処理は、粘着性組成物Pの希釈溶剤等を揮発させる際の乾燥処理で兼ねることもできる。
加熱処理を行う場合、加熱温度は、50〜150℃であることが好ましく、特に70〜120℃であることが好ましい。また、加熱時間は、10秒〜10分であることが好ましく、特に50秒〜2分であることが好ましい。さらに、加熱処理後、常温(例えば、23℃、50%RH)で1〜2週間程度の養生期間を設けることが特に好ましい。
上記の加熱処理(及び養生)により、粘着性組成物Pは架橋して、前述した構造Xを形成するものと推定される。また、粘着性組成物Pがポリイソシアネート化合物(D)を含有する場合には、当該粘着性組成物Pは、前述した構造Yを形成するものと推定される。この構造Xまたは構造Yを有する粘着剤は、所定のゲル分率を有し、優れた応力緩和性を発揮するものと推定される。これにより、当該粘着剤は、偏光板等の光学部材に適用したときにも、耐光漏れ性および耐久性の両方に優れる。例えば、80℃の高温条件下に250時間おいたときにも、光漏れが生じることが防止・抑制され、また、80℃の高温条件下や60℃・90%RHの湿熱条件下に500時間おいたときにも、浮き、剥がれ、気泡等が発生することが防止・抑制される。
本実施形態に係る粘着剤のゲル分率は、10〜95%であることが好ましく、特に30〜90%であることが好ましく、さらには40〜85%であることが好ましく、65〜82%であることが最も好ましい。ゲル分率が10%未満であると、粘着剤の凝集力が不足して、耐久性およびリワーク性が低下する場合がある。一方、ゲル分率が95%を超えると、粘着力が低くなり過ぎて耐久性が低下する場合がある。なお、上記ゲル分率は、養生期間が経過して(例えば、23℃、50%RH環境下にて7日間保管後)形成された粘着剤についての値である。養生期間が経過しているかどうか不明の場合、改めて、23℃、50%RHの環境下にて7日間保管した後、ゲル分率が上記範囲内となっていればよい。
以上説明した粘着剤は、種々の用途に用いることができ、特に応力緩和性が要求される用途に好ましく用いることができる。中でも、光学部材用として好ましく用いることができ、例えば、偏光板(偏光フィルム)と位相差板(位相差フィルム)などの光学部材同士の接着、あるいは偏光板(偏光フィルム)や位相差板(位相差フィルム)とガラス基板との接着に好適である。本実施形態に係る粘着剤によって形成される粘着剤層は、応力緩和性に優れると推定されるため、被着体の寸法変化が大きい場合であっても、その寸法変化によって生じ得る応力を粘着剤層で吸収・緩和することができ、したがって長期にわたって被着体から剥がれ難いものとなるとともに、上記のような光学部材に使用したときに光漏れを効果的に防止することができる。すなわち、本実施形態に係る粘着剤は、耐光漏れ性と耐久性との両立を達成するものである。また、本実施形態に係る粘着剤は、酸フリーであるため、被着体が金属からなる場合または金属を含む場合に耐腐食性に優れる。
〔粘着シート〕
図1に示すように、第1の実施形態に係る粘着シート1Aは、下から順に、剥離シート12と、剥離シート12の剥離面に積層された粘着剤層11と、粘着剤層11に積層された基材13とから構成される。
また、図2に示すように、第2の実施形態に係る粘着シート1Bは、2枚の剥離シート12a,12bと、それら2枚の剥離シート12a,12bの剥離面と接するように当該2枚の剥離シート12a,12bに挟持された粘着剤層11とから構成される。なお、本明細書における剥離シートの剥離面とは、剥離シートにおいて剥離性を有する面をいい、剥離処理を施した面および剥離処理を施さなくても剥離性を示す面のいずれをも含むものである。
いずれの粘着シート1A,1Bにおいても、粘着剤層11は、前述した粘着性組成物Pを架橋してなる粘着剤からなる。
粘着剤層11の厚さは、粘着シート1A,1Bの使用目的に応じて適宜決定されるが、通常5〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲であり、例えば、光学部材、特に偏光板用の粘着剤層として使用する場合には、10〜50μm、特に10〜30μmであることが好ましい。
基材13としては、特に制限は無く、通常の粘着シートの基材シートとして用いられているものは全て使用できる。例えば、所望の光学部材の他、レーヨン、アクリル、ポリエステル等の繊維を用いた織布または不織布;上質紙、グラシン紙、含浸紙、コート紙等の紙類;アルミ、銅等の金属箔;ウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体等の発泡体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、トリアセチルセルロース等のセルロースフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム;これらの2種以上の積層体などを挙げることができる。プラスチックフィルムは、一軸延伸または二軸延伸されたものでもよい。
光学部材としては、例えば、偏光板(偏光フィルム)、偏光子、位相差板(位相差フィルム)、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、コントラスト向上フィルム、液晶ポリマーフィルム、拡散フィルム、半透過反射フィルム等が挙げられる。中でも偏光板(偏光フィルム)は、収縮し易く、寸法変化が大きいため、耐光漏れ性の観点から、本実施形態の粘着剤(上記粘着剤層11)を形成する対象として好適である。
基材13の厚さは、その種類によっても異なるが、例えば光学部材の場合には、通常10μm〜500μmであり、好ましくは50μm〜300μmである。
剥離シート12,12a,12bとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
上記剥離シートの剥離面(特に粘着剤層11と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。
剥離シート12,12a,12bの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
上記粘着シート1Aを製造するには、剥離シート12の剥離面に、上記粘着性組成物Pを含む溶液(塗布溶液)を塗布し、加熱処理を行って塗布層を形成した後、その塗布層に基材13を積層する。養生期間が必要な場合は養生期間をおくことにより、養生期間が不要な場合はそのまま、上記塗布層が粘着剤層11となる。これにより、上記粘着シート1Aが得られる。なお、加熱処理および養生の条件については、前述した通りである。
また、上記粘着シート1Bを製造するには、一方の剥離シート12a(または12b)の剥離面に、上記粘着性組成物Pを含む塗布溶液を塗布し、加熱処理を行って塗布層を形成した後、その塗布層に他方の剥離シート12b(または12a)の剥離面を重ね合わせる。養生期間が必要な場合は養生期間をおくことにより、養生期間が不要な場合はそのまま、上記塗布層が粘着剤層11となる。これにより、上記粘着シート1Bが得られる。
上記塗布溶液を塗布する方法としては、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を利用することができる。
ここで、例えば、液晶セルと偏光板とから構成される液晶表示装置を製造するには、粘着シート1Aの基材13として偏光板を使用し、当該粘着シート1Aの剥離シート12を剥離して、露出した粘着剤層11と液晶セルとを貼合すればよい。
また、例えば、液晶セルと偏光板との間に位相差板が配置される液晶表示装置を製造するには、一例として、まず、粘着シート1Bの一方の剥離シート12a(または12b)を剥離して、粘着シート1Bの露出した粘着剤層11と位相差板とを貼合する。次いで、基材13として偏光板を使用した粘着シート1Aの剥離シート12を剥離して、粘着シート1Aの露出した粘着剤層11と上記位相差板とを貼合する。さらに、上記粘着シートBの粘着剤層11から他方の剥離シート12b(または12a)を剥離して、粘着シートBの露出した粘着剤層11と液晶セルとを貼合する。
なお、粘着シート1A,1Bにおける粘着剤層11は、ヘイズ値(JIS K7136:2000に準じて測定した値)が、1.0%以下であることが好ましく、特に0.9%以下であることが好ましく、さらには0.8%以下であることが好ましい。ヘイズ値が1.0%以下であると、透明性が非常に高く、光学用途として好適なものとなる。
また、本実施形態に係る、基材13を偏光板とする粘着シート1A(以下、「粘着剤層付き偏光板」と称する場合がある。)は、無アルカリガラスに対する粘着力が、0.1〜30N/25mmであることが好ましく、特に1〜20N/25mmであることが好ましい。なお、ここでいう粘着力は、基本的にはJIS Z0237:2009に準じた180°引き剥がし法により測定した粘着力をいうが、測定サンプルは25mm幅、100mm長とし、当該測定サンプルを被着体に対し0.5MPa、50℃で20分加圧して貼付した後、常圧、23℃、50%RHの条件下で24時間放置してから、剥離速度300mm/minにて測定するものとする。
以上の粘着シート1A,1Bによれば、粘着剤層11が応力緩和性に優れると推定されるため、例えば偏光板の接着に適用した場合でも、偏光板の変形によって生じ得る応力を粘着剤層11で吸収・緩和することができ、それにより、優れた耐光漏れ性および高い耐久性が発揮される。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、粘着シート1Aの剥離シート12は省略されてもよいし、粘着シート1Bにおける剥離シート12a,12bのいずれか一方は省略されてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
1.(メタ)アクリル酸エステル重合体の調製
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置および窒素導入管を備えた反応容器に、アクリル酸n−ブチル98.5質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル1.5質量部、酢酸エチル200質量部、および2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.08質量部を仕込み、上記反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。この窒素雰囲気下中で攪拌しながら、反応溶液を60℃に昇温し、16時間反応させた後、室温まで冷却した。ここで、得られた溶液の一部を後述する方法で分子量を測定し、重量平均分子量(Mw)140万の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の生成を確認した。
2.粘着性組成物の調製
上記工程(1)で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、シラン化合物(B)として1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン(東京化成社製)0.1質量部と、キレート化合物(C)としてアルミニウムトリスアセチルアセトネート(綜研化学社製,商品名「M−5A」)0.5質量部とを混合し、十分に撹拌して、酢酸エチルで希釈することにより、粘着性組成物の塗布溶液を得た。
ここで、当該粘着性組成物の配合を表1に示す。なお、表1に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
[(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)]
BA:アクリル酸n−ブチル
HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル
MMA:メタクリル酸メチル
[シラン化合物(B)]
KBE9007:3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製,商品名「KBE9007」)
KBM403:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製,商品名「KBM403」)
KBM666P:3−(トリメトキシシリル)プロピルアミン(信越化学工業社製,商品名「KBM666P」)
[キレート化合物(C)]
Alキレート:アルミニウムトリスアセチルアセトネート(綜研化学社製,商品名「M−5A」)
ZC−150:ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(マツモトファインケミカル社製,商品名「オルガチックスZC−150」)
[ポリイソシアネート化合物(D)]
TDI:トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(綜研化学社製,商品名「L−45」)
XDI:トリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネート(綜研化学社製,商品名「TD−75」)
3.粘着剤層付き偏光板の製造
得られた粘着性組成物の塗布溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(リンテック社製,SP−PET3811,厚さ:38μm)の剥離処理面に、乾燥後の厚さが25μmになるようにナイフコーターで塗布したのち、90℃で1分間加熱処理して塗布層を形成した。
次いで、ディスコティック液晶層付偏光フィルムからなる、偏光フィルムと視野角拡大フィルムとが一体化した偏光板を、上記塗布層の露出面とディスコティック液晶層の表面とが接するように、上記塗布層と貼合し、23℃、50%RHで7日間養生することにより、粘着剤層付き偏光板を得た。
〔実施例2〜25,比較例1〜4〕
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を構成する各モノマーの種類および割合、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量、シラン化合物(B)ならびにキレート化合物(C)の配合量を表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にして粘着剤層付き偏光板を製造した。なお、実施例21および22では、ポリイソシアネート化合物(D)としてトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(綜研化学社製,商品名「L−45」)をさらに配合した粘着性組成物を使用した。また、比較例1では、シラン化合物(B)およびキレート化合物(C)を配合せず、比較例2では、シラン化合物(B)を配合せず、比較例3では、キレート化合物(C)を配合せず、それぞれトリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネート(綜研化学社製,商品名「TD−75」)を配合した粘着性組成物を使用した。比較例4では、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)に対し、キレート化合物(C)(Alキレート)のみ配合した。
ここで、前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・GPC測定装置:東ソー社製,HLC−8020
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
〔試験例1〕(ゲル分率の測定)
実施例または比較例にて粘着剤層付き偏光板の作製に使用した偏光板に替えて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(リンテック社製,SP−PET3801,厚さ:38μm)を使用し、粘着シートを作製した。具体的には、実施例または比較例の製造過程で得られた剥離シート/塗布層(厚さ:25μm)からなる構成体の露出している塗布層上に、上記剥離シートを剥離処理面側が接するように積層した。その後、23℃、50%RHの条件下で7日間養生することにより、剥離シート/粘着剤層/剥離シートの構成からなる粘着シートを作製した。
得られた粘着シートを80mm×80mmのサイズにサンプリングして、その粘着剤層をポリエステル製メッシュ(メッシュサイズ200)に包み、粘着剤のみの質量を精密天秤にて秤量した。このときの質量をM1とする。
次に、上記ポリエステル製メッシュに包まれた粘着剤を、室温下(23℃)で酢酸エチルに24時間浸漬させた。その後粘着剤を取り出し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、24時間風乾させ、さらに80℃のオーブン中にて12時間乾燥させた。乾燥後の粘着剤のみの質量を、精密天秤にて秤量した。このときの質量をM2とする。ゲル分率(%)は、(M2/M1)×100で表される。結果を表2に示す。
〔試験例2〕(ヘイズ値の測定)
測定サンプルとして、ゲル分率の測定に用いた粘着シートと同様の粘着シート(7日間養生済み)を用意した。当該粘着シートの粘着剤層(厚さ:25μm)について、ヘイズメーター(日本電色工業社製,NDH2000)を用いて、JIS K7136:2000に準じてヘイズ値(%)を測定した。結果を表2に示す。
〔試験例3〕(粘着力の測定)
実施例または比較例で得られた粘着剤層付き偏光板を裁断し、25mm幅、100mm長のサンプルを作製した。このサンプルから剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を介して無アルカリガラス(コーニング社製,イーグルXG)に当該サンプルを貼付したのち、栗原製作所社製オートクレーブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧した。その後、常圧、23℃、50%RHの条件下で24時間放置してから、引張試験機(オリエンテック社製,テンシロン)を用い、JIS Z0237:2009に準じて、剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で粘着力(N/25mm)を測定した。結果を表2に示す。
〔試験例4〕(光漏れ性試験)
実施例または比較例で得られた粘着剤層付き偏光板を、裁断装置(荻野製作所社製スーパーカッター,PN1−600)を用いて233mm×309mmサイズに調整した。剥離シートを剥がして、露出した粘着剤層を介して無アルカリガラス(コーニング社製,イーグルXG)に貼付したのち、栗原製作所製オートクレーブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧した。なお、上記貼合は、無アルカリガラスの表裏に、粘着剤層付き偏光板を偏光軸がクロスニコル状態(偏光軸:∠45°,∠135°)になるように行った。この状態で、80℃dry環境下にて250時間放置した後、23℃、50%RHの環境下で2時間放置し、これをサンプルとして、以下に示す方法で光漏れ性を評価した。結果を表2に示す。
<光漏れ性評価>
大塚電子社製のMCPD−2000を用い、上記サンプルにおける図3に示す各領域の明度L*を測定し、以下の式により、明度差ΔL*を算出した。
ΔL*={(b+c+d+e)/4}−a
(aは、図3に示すA領域の中心点での明度の値を示し、また、b、c、d及びeは、それぞれ図3に示すB領域、C領域、D領域及びE領域のそれぞれの領域の明度の最も高い位置での明度を表す。図3において、A領域は光漏れが生じない部分であり、B〜E領域は光漏れが生じる可能性のある部分である。)
ΔL*の値が小さいほど、耐光漏れ性に優れていることを示し、通常、ΔL*が2.0未満であれば、液晶表示装置用として優れている。なお、表2に示すL*maxは、B〜D領域の中で最も明度が高くなった値からaを差し引いた値である。
〔試験例5〕(耐久性評価)
実施例または比較例で得られた粘着剤層付き偏光板を、裁断装置(荻野製作所社製スーパーカッター,PN1−600)を用いて233mm×309mmサイズに調整した。剥離シートを剥がして、露出した粘着剤層を介して無アルカリガラス(コーニング社製,イーグルXG)に貼付したのち、栗原製作所製オートクレーブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧した。
その後、下記の耐久条件の環境下に投入し、500時間後に10倍ルーペを用いて観察を行った。外観変化は以下を基準とした。結果を表2に示す。
◎:4辺において、欠点が無いもの
○:4辺において、外周端部から0.6mm以上の部位に欠点が無いもの
×:4辺の少なくとも1辺において、外周端部から0.6mm以上の部位に、浮き、剥がれ、発泡、スジなどの0.1mm以上の粘着剤の外観異常欠点があるもの
<耐久条件>
・60℃,相対湿度90%RH
・80℃dry
Figure 0006071631
Figure 0006071631
表2から明らかなように、実施例で得られた粘着剤層付き偏光板においては、耐光漏れ性および耐久性のいずれも優れていた。
本発明の粘着性組成物および粘着剤は、一例として、光学部材、具体的には偏光板や位相差板の接着に好適であり、また、本発明の粘着シートは、例えば、偏光板や位相差板等の光学部材用の粘着シートとして好適である。
1A,1B…粘着シート
11…粘着剤層
12,12a,12b…剥離シート
13…基材

Claims (12)

  1. 反応性基として水酸基のみを有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、
    分子内に珪素原子を個以上有し、かつ珪素原子に結合するアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物(B)(重合体を除く)と、
    キレート化合物(C)と
    を含有する粘着性組成物であって、
    前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーを0.1〜35質量%含有し、
    前記シラン化合物(B)の含有量は、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部であり、
    前記キレート化合物(C)の含有量は、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.001〜3質量部である
    ことを特徴とする粘着性組成物。
  2. 反応性基として水酸基のみを有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、
    分子内に珪素原子を1個以上有し、かつ珪素原子に結合するアルコキシ基を2個以上有するシラン化合物(B)と、
    キレート化合物(C)と
    を含有し、ポリイソシアネート化合物(D)を含有しない粘着性組成物であって、
    前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーを0.1〜35質量%含有し、
    前記シラン化合物(B)の含有量は、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.15〜10質量部であり、
    前記キレート化合物(C)の含有量は、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.001〜3質量部である
    ことを特徴とする粘着性組成物。
  3. 前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は、20万〜250万であることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着性組成物。
  4. 前記シラン化合物(B)は、前記アルコキシ基として、メトキシ基および/またはエトキシ基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着性組成物。
  5. 前記キレート化合物(C)は、アルミニウムキレート化合物であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の粘着性組成物。
  6. 前記キレート化合物(C)は、アセチルアセトン錯体であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の粘着性組成物。
  7. さらにポリイソシアネート化合物(D)を含有することを特徴とする請求項1に記載の粘着性組成物。
  8. 前記ポリイソシアネート化合物(D)の含有量は、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01〜1質量部であることを特徴とする請求項に記載の粘着性組成物。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の粘着性組成物を架橋してなる粘着剤。
  10. ゲル分率が10〜95%であることを特徴とする請求項に記載の粘着剤。
  11. 基材と、粘着剤層とを備えた粘着シートであって、
    前記粘着剤層は、請求項9または10に記載の粘着剤からなる
    ことを特徴とする粘着シート。
  12. 2枚の剥離シートと、
    前記2枚の剥離シートの剥離面と接するように前記剥離シートに挟持された粘着剤層と
    を備えた粘着シートであって、
    前記粘着剤層は、請求項9または10に記載の粘着剤からなる
    ことを特徴とする粘着シート。
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