以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係わる撮像システムの構成を示すブロック図である。本実施形態に係わる撮像システムは、撮像装置であるカメラ本体100、カメラ本体100に着脱可能なレンズユニット200、撮像装置に着脱可能な照明装置であるストロボ装置300を有している。なお、ストロボ装置300は、後述する光学アクセサリであるフィルタホルダ10が着脱可能であって、ストロボ装置300にフィルタホルダ10を装着したものを以下では照明システムとする。
まず、カメラ本体100内の構成について説明する。カメラマイコン(CCPU)101は、カメラ本体100の各部を制御する。カメラマイコン101は、例えば、CPU、ROM、RAM、入出力制御回路(I/Oコントロール回路)、マルチプレクサ、タイマ回路、EEPROM、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ等を含むマイコン内蔵ワンチップIC回路構成となっている。
撮像素子102は、赤外カットフィルタやローパスフィルタ等を含むCCDやCMOS等の撮像素子である。シャッタ103は、非撮影時には撮像素子102を遮光し、撮影時には撮像素子102へ光束を導くように駆動する。
主ミラー(ハーフミラー)104は、非撮影時に後述するレンズ群202より入射する光の一部を反射しピント板105に結像させる。ピント板105上の像は、ペンタプリズム114を介して光学ファインダー116等に導かれ被写体の合焦状態を確認するために用いられる。
測光回路106は、撮影画面内を複数の測光領域に分割しそれぞれの測光領域で測光を行う測光センサ(AEセンサ)を有している。焦点検出回路107は、撮影画面内に複数の測距点を備えた焦点検出センサ(AFセンサ)を有している。
ゲイン切換え回路108は、撮像素子102からの信号の増幅ゲインを切換えるものであって、撮影条件や後述する充電電圧条件によるレベル設定、撮影者の入力等によりカメラマイコン101がゲインの切換えを行う。
A/Dコンバータ109は、増幅された撮像素子102からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。タイミングジェネレータ(TG)110は、撮像素子102からの信号とA/Dコンバータ109の変換タイミングを同期させるために用いられる。
デジタル信号処理回路111は、A/Dコンバータ109でデジタル信号に変換された画像データに対し、ホワイトバランス制御を含む画像処理を行う。
信号ラインSCは、カメラ本体100とレンズユニット200及びストロボ装置300とのインタフェースの信号ラインである。例えば、カメラマイコン101をホストとしてデータの交換やコマンドの伝達を相互に行う。
入力部112は、撮影動作を開始させるためのレリーズスイッチなどの各種操作部が含まれる。例えば液晶装置や発光素子などからなる表示部113は、各種設定や撮影情報などを表示する。
ペンタプリズム114は、レンズ群202より入射し主ミラー104によって反射された光束を測光回路106内のAEセンサ及び光学ファインダー116に導く。
サブミラー115は、レンズ群202より入射し主ミラー104の中央の半透明部を透過した光束を焦点検出回路107のAFセンサへ導く。
次に、レンズユニット200内の構成と動作について説明する。レンズマイコン(LPU)201は、レンズユニット200の各部の動作を制御する。レンズマイコン201は、例えばCPU、ROM、RAM、入出力制御回路(I/Oコントロール回路)、マルチプレクサ、タイマ回路、EEPROM、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ等を含むマイコン内蔵ワンチップIC回路構成となっている。
レンズ群202は、複数枚のレンズで構成されていて、レンズ駆動部203は、レンズマイコン201からの焦点調節、焦点距離の変更などの指示に応じてレンズ群202を移動させる。
エンコーダ204は、レンズ群202の位置あるいはレンズ群202の駆動量を検出する。エンコーダ204の位置情報あるいは駆動情報をレンズマイコン201からカメラマイコン101に送信することにより、カメラマイコン101は、撮影時の被写体距離に関する情報を取得できる。絞り205は、開口径を変更して撮像素子102に入射する光量を調節するものであって、絞り制御回路206を介してレンズマイコン201により制御される。
次に、照明装置としてのストロボ装置300の構成について説明する。電池301は、ストロボ装置の電源(VBAT)を供給するためのものであり、昇圧回路302は電池301の電圧を数百Vに昇圧し主コンデンサ303の充電を行う。主コンデンサ303の充電電圧は、電圧検出回路313において抵抗304、抵抗305により分圧され、分圧された電圧はストロボマイコン310に入力される。すなわち、電圧検出回路313は、主コンデンサ303の両端に接続され主コンデンサの電圧を検出する。
トリガ回路306は、ストロボマイコン310に接続され、放電管307発光時にストロボマイコン310よりトリガ信号を受けるとトリガ電圧を出力する。放電管307は、トリガ回路306から印加される数KVのトリガ電圧を受け励起することで主コンデンサ303に充電されたエネルギーを用いて発光する主光源である。
発光制御回路308は、トリガ回路306からのトリガ電圧により放電管307の発光の開始を制御し、後述のANDゲート311の出力により発光の停止を制御する。積分回路309は、フォトダイオード323が放電管307の照射光を受光して生じる電流を積分する積分回路であり、積分回路309の出力は、コンパレータ312の反転入力端子とストロボマイコン310に入力される。
ストロボマイコン(FPU)310は、ストロボ装置300の各部の動作を制御する。ストロボマイコン310は、例えばCPU、ROM、RAM、入出力制御回路(I/Oコントロール回路)、マルチプレクサ、タイマ回路、EEPROM、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ等を含むマイコン内蔵ワンチップIC回路構成となっている。また、ストロボマイコン310は、後述するようにしてフィルタホルダ10の装着の有無の判別及びカラーフィルタ16の色特性の判別を行う。
コンパレータ312は、非反転入力がストロボマイコン310に接続され、出力がANDゲート311に接続されている。ANDゲート311は、コンパレータに接続されていない入力がストロボマイコン310に接続され、出力が発光制御回路308に接続されている。このようにして、積分回路309の積分レベルとストロボマイコン310により設定された基準レベルとを比較して、積分回路309の積分レベルが基準レベルに達すると発光の停止を制御する。
反射傘315は、放電管307から照射された光を発光部350の照射方向へと反射する。光学系316は、放電管307から照射された光のムラを軽減するとともに放電管307から照射された光の照射範囲を広げる照射部である。入力部320は、ストロボ装置300の設定などを入力するための各種操作部を含んでいる。表示部321は、ストロボ装置300の各種状態などを表示する。
ホルダ判別部322は、発光部350に対して着脱可能なフィルタホルダ10が装着されているか否かを判別するためのものであり、ホルダ判別部322の検出結果に基づいて、ストロボマイコン310がフィルタホルダ10の装着の有無の判別を行う。フィルタホルダ10の詳細な構造及び判別方法については後述する。
フォトダイオード323は、前述したように放電管307の照射光を受光するセンサであり、直接またはグラスファイバーなどを介して放電管307の照射光を受光する。フォトダイオード323が出力する電流は前述したように積分回路309にて積分される。
フィルタ判別部324は、フィルタホルダ10に図2、図3のように保持されたカラーフィルタ16の色特性を判別するためのものであり、フィルタ判別部324の検出結果に基づいて、ストロボマイコン310がカラーフィルタの色特性の判別を行う。フィルタ判別部324の詳細な構造及び判別方法については後述する。
発光部350は、主に放電管307、反射傘315、光学系316、ホルダ判別部322の検出系、フィルタ判別部324の検出系を含んだブロックであり、バウンス撮影のためにストロボ装置本体と不図示のヒンジ機構で結合しており上下方向に回動可能である。
図2(a)〜(c)は、フィルタホルダ10の詳細を示している。図2(a)は、フィルタホルダ10を発光部350側(裏側)から見た斜視図、図2(b)は、フィルタホルダ10にカラーフィルタ16またはカラーフィルタ16’を装着した状態を示す図である。また、図2(c)は、図2(b)の状態におけるフィルタホルダ10を前側(被写体側)から見た図である。
フィルタホルダ10の下面には、遮光ブロック19が設けられている。遮光ブロック19には、発光部350からのフィルタ判別用の光を反射させるためのプリズム18と、発光部350にフィルタホルダ10が装着されているか否かを後述する磁気センサを用いてストロボマイコン310が判別するための磁石17が組み込まれている。
また、遮光ブロック19には、発光部350にフィルタホルダ10を装着するときに、フィルタホルダ10を発光部350の固定部である凹部350a(図5に記載)に嵌め込み固定するための固定部である2つの突起部29を有している。この突起部29は、フック形状になっていて、図2(b)のようにフィルタホルダ10がカラーフィルタ16を保持するための保持部としても利用される。カラーフィルタ16をフィルタホルダ10に取り付ける際は、図2(c)に示すようにカラーフィルタ16の一方の端をフィルタホルダ10上部に設けられたスリット32に挿入するとともに、他方の端を突起部29のフック形状部分で挟み込む。このようにしてフィルタホルダ10にカラーフィルタ16が保持される。なお、カラーフィルタの形状は、スリット32に挿入でき突起部29で挟みこめる形状であればよく、図2(b)及び(c)で実線で示した16のような形状であってよいし、点線で示した16’のようなフィルタホルダ10から突出した形状であってもよい。
本実施形態のホルダ判別部322は、後述する磁気センサ25を用いてフィルタホルダ10側の磁石17を検出する。その検出結果に基づいてストロボマイコン310は、フィルタホルダ10が発光部350に装着されているか否かを判別する。したがって、ホルダ判別部322をフィルタホルダ10や発光部350の外側に突出させる必要がなく、磁石17をカラーフィルタ16に覆われる位置に配置しているもののホルダ装着の有無が判別可能である。また、磁石17を2つの突起部29の間であって、かつ、2つの突起部29よりも照射面側に配置することで、フィルタホルダ10を小型化できる。
図3は、フィルタホルダ10を装着した状態の発光部350を正面から見た模式図であって、カラーフィルタ16を含むフィルタホルダ10とフィルタ判別部324の検出系の断面構造を示している。カラーフィルタ16は、透過した光の色特性を変化させるものであって、カラーフィルタ16を保持したフィルタホルダ10を発光部350に装着することで、発光部350の照射光の色特性を変化させることができる。なお、フィルタホルダ10には、カラーフィルタ16として様々な色のフィルタが取り付け可能であり、フィルタホルダ10に取り付けるフィルタを変えることで、発光部350の照射光の色特性を様々に変化させることができる。
図3において光源26は、例えば白色LED等の光源であってカラーフィルタ判別用の光を発する。カラーセンサ27は、例えば複数のフォトダイオードにそれぞれ分光特性が異なるカラーフィルタを付けた受光部である。プリズム18は、光源26が発した光をカラーセンサ27に入射させるためのプリズムであり、光源26が発した光をカラーセンサ27に導く導光部として機能する。
図3に示すように、光源26からの光は、カラーフィルタ16を透過してフィルタホルダ10のプリズム18によって2回反射されて再びカラーフィルタ16を透過したのち、カラーセンサ27に入射する。このように、光源26とカラーセンサ27を用いてフィルタホルダ10が保持しているカラーフィルタ16の色特性を判別するので、カラーフィルタ16の取り付け向き(どちらの面を発光部350側にするか等)に関わらず、カラーフィルタの色特性を判別できる。
図4は、ストロボ装置300の発光部350の下側の内部構造を示した図であり、主にホルダ判別部322の検出系、フィルタ判別部324の検出系に関する部分を示している。なお、図4(a)は発光部350の下面を上に向けた図であり、図4(b)は発光部350の下カバー21の内部を上に向けた図である。
発光部350の内部に設けられた基板24には、ホルダ側の磁石17を検出するための磁気センサ25、光源26、カラーセンサ27、カラーセンサ27に不要な光が入射することを抑える遮光部材としてのマイクロセルポリマーシート28が配置されている。
磁気センサ25、光源26、カラーセンサ27を発光部350の照射光の光軸と略直交する方向に並べることで、フィルタホルダ10の磁石17、プリズム18も発光部350の照射光の光軸と略直交する方向に並べることができる。それにより、フィルタホルダ10の遮光ブロック19の発光部350の照射光の光軸と平行な方向の長さを抑えることができ、フィルタホルダ10が小型化できる。
発光部350の下面(図4では上面)の外装であるカバー部材の下カバー21には、光源26からの光を発光部350の外部に照射するための照射用窓部22と、プリズム18からの反射光をカラーセンサ27に入射させるための入射用窓部23が設けられている。フィルタホルダ10のプリズム18の形状は、照射用窓部22から照射された光が入射用窓部23に効率良く入射するような形状にしている。例えば、本実施形態では、プリズム18が照射用窓部22から照射された光を図3の第1の反射面18aで反射し、第1の反射面で反射された光を第2の反射面18bで入射用窓部23の方向に反射する形状となっている。
ここで、照射用窓部22と入射用窓部23とをそれぞれ独立させているので、光源26からの光がカラーフィルタ16を透過せずにカラーセンサ27に漏れこむことを防いでいる。また、図4(b)のように、下カバー21の内面には照射用窓部22と入射用窓部23との間を遮るようにそれぞれを囲むリブ22a、23aが設けられており、光源26からの光がカラーフィルタ16を透過せずにカラーセンサ27に漏れこむことを防いでいる。
また、照射用窓部22及び入射用窓部23は、梨地等の光を拡散させる表面処理が施された透光部材を開口部分に有する構成となっている。これは、光源26にLED等の指向性の強い光源を用いた場合、光源26から照射される光束の中心と周辺とで色に差が生じてしまうからである。光源26から照射される光束の中心と周辺とで色特性に差が生じていると、フィルタホルダ10の装着時のわずかなズレに応じてカラーセンサ27が受光する光の色が変化してしまい、同じカラーフィルタを透過しても異なる判別結果となるおそれがある。そこで、照射用窓部22及び入射用窓部23で光を拡散させることで、光源26から照射される光束の色特性を平均化することができ、精度よくフィルタ判別を行うことができる。なお、光を拡散させる表面処理は、照射用窓部22及び入射用窓部23の内面側に施されていても外面側に施されていてもよいし、一方だけ拡散作用を有するようにしてもよい。また、光源26から照射される光束をカラーセンサ27に入射するまでに拡散してもよく、照射用窓部22及び入射用窓部23が拡散作用を有さずにフィルタホルダ10側の例えばプリズム18が拡散作用を有していてもよい。あるいは、照射用窓部22及び入射用窓部23が拡散作用を有さずに、光源26と照射用窓部22との間やカラーセンサ27と入射用窓部23との間に拡散フィルタを入れる構成であってもよい。
図4、図5のフード20は、反射傘315で発光部350の照射方向へと反射されなかった光を発光部350の照射方向へと反射する。そのため、フード20は、効率よく光を発光部350の照射方向へと反射できるように、発光部350の照射光の光軸に直交する平面における開口が光学系316に近づくほど大きくなる形状になっている。
図5は、フィルタホルダ10を装着した状態の発光部350を側面から見た図であって、カラーフィルタ16を含むフィルタホルダ10と発光部350の断面構造を示している。発光部350の上面側には、照射光を通過させることで照射範囲を拡大できるワイドパネル30とバウンス撮影時に照射光を被写体に向けて反射してキャッチライト効果を得ることができるキャッチライトシート31が出し入れ可能に収納されている。そのため、発光部350の上面側にホルダ判別用の磁気センサ25、フィルタ判別用の光源26及びカラーセンサ27を配置しようとすると、ワイドパネル30とキャッチライトシート31よりも外側に配置する必要があり、発光部350が大型化してしまう。そこで、本実施形態のように発光部350の下側に磁気センサ25、光源26、カラーセンサ27を配置することで、発光部350を小型化することができる。
また、ホルダ判別及びフィルタ判別のためにメカスイッチを用いていないので、ホルダ判別部322の検出系及びフィルタ判別部324の検出系を小さなスペースにも配置することが可能である。そのため、下カバー21とフード20との間の空間においてメカスイッチを配置する場合よりも磁気センサ25やカラーセンサ27を照射面側に近付けて配置することができ、フィルタホルダ10の照射光の光軸と平行な方向の長さを抑えることができ小型化できる。
以上、光源26から発せられカラーフィルタ16を透過した光をカラーセンサ27により受光した結果に基づいてカラーフィルタ16の色特性を判別する構成の一例について説明したが、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、光源26が発した光をカラーセンサ27に導く導光部としてプリズム18を用いたが、プリズム18の代わりにミラーや光ファイバーなどを用いてもよい。
また、上記のような導光部を発光部350側に設けてもよい。例えば、発光部350にフィルタホルダ10を装着するのに伴って、フィルタホルダ10に保持されたカラーフィルタ16が発光部350側の導光部と照射用窓部22及び入射用窓部23の間に挿入されるようにしてもよい。
また、導光部としてのプリズム18は、光源26からの光がカラーフィルタ16を2回透過するように導光しているが、光源26からの光がカラーフィルタ16を3回以上の複数回透過するように導光する形状の導光部であっても構わない。カラーフィルタ16を透過する回数が増えるほど光源26からの光の色特性の変化が大きくなるためカラーフィルタの色特性の判別精度が向上し、色特性が類似するカラーフィルタであっても精度よくカラーフィルタの色特性を判別できる。
カラーフィルタを透過する回数と判別精度の関係について図6を用いて説明する。図6(a)は光源26から発せられカラーフィルタ16を1回透過した光をカラーセンサ27により受光した結果を示した図であり、図6(b)は光源26から発せられカラーフィルタ16を2回透過した光をカラーセンサ27により受光した結果を示した図である。
カラーフィルタ16を1回透過させた場合、光源26が発する光の色度とカラーセンサ27が受光する光の色度との差が小さい。そのため、色特性の類似するカラーフィルタA、B、Cを1回透過させた場合のカラーセンサ27の検出結果はそれぞれ図6(a)に示すようになり、検出結果の差は小さい。カラーセンサ27の分光感度特性は環境温度により変化するため、カラーセンサ27の検出結果とカラーフィルタ16の色特性とを対応付けする際には、分光感度特性の変化を考慮して、検出結果が所定の範囲に含まれる場合は同一の色特性に対応付けする必要がある。LEDを光源26に用いる場合、LEDの分光特性も環境温度により変化するため、同一の色特性に対応付けする検出結果の範囲を更に大きくする必要がある。したがって、カラーフィルタA、B、Cのように色特性の類似するカラーフィルタは、1回透過させただけではカラーセンサ27の検出結果の差が小さく同一の色特性と判別してしまう場合がある。
一方、図6(b)に示すように、カラーフィルタ16を2回透過させた場合、光源26が発する光の色度が2回変化するため、色特性の類似するカラーフィルタA、B、Cであってもカラーセンサ27の検出結果の差は大きくなる。そのため、分光感度特性の変化を考慮して、カラーセンサ27の検出結果にある程度の幅を持たせてカラーフィルタ16の色特性と対応付けしても、カラーフィルタA、B、Cをそれぞれ異なる色特性である判別することができる。なお、カラーフィルタ16を透過させる回数が3回以上であっても同様の効果が得られる。
次に、図7〜9を用いてカラーフィルタ16の色特性の判別処理を説明する。図7はカラーフィルタ16の色特性の判別処理のフローチャートを示す図であり、図8はカラーセンサ27の検出結果において、同一のカラーフィルタを透過した結果と見なす範囲を示す図である。また、図9はカラーセンサ27の検出結果とカラーフィルタ16の色特性を対応付けしたテーブルを示す図である。本実施形態では、ストロボマイコン310のROMなどに記憶されたカラーセンサ27の検出結果とカラーフィルタ16の色特性を対応付けしたテーブルを用いてカラーフィルタ16の色特性を判別する方法について説明する。
図7に示すフローチャートは、例えば、ストロボ装置300の電源がオンされた場合や、ストロボ装置300の発光部350にフィルタホルダ10が装着されたとストロボマイコン310が判別した場合に開始される。
ステップS101において、ストロボマイコン310は光源26を発光させていない状態でカラーセンサ27を用いて検出を行う。カラーセンサ27は検出結果(受光結果)としてR、G、Bの3原色に対応した信号を出力するものとし、光源26を発光させていない状態での検出結果は(rn、gn、bn)とする。
ステップS102において、ストロボマイコン310は光源26を発光させ、カラーセンサ27にカラーフィルタ16を透過した光を入射させる。そして、ステップS103において、ストロボマイコン310はカラーセンサ27を用いて光源26を発光させた状態での検出を行う。光源26を発光させた状態での検出結果は(rs、gs、bs)とする。
ステップS104において、ストロボマイコン310は光源26を発光させていない状態での検出結果である(rn、gn、bn)をノイズ成分として、光源26を発光させた状態での検出結果から除去する演算を行う。(rs、gs、bs)から(rn、gn、bn)を除去した結果を(rc、gc、bc)とすると、式(1)〜式(3)からそれぞれ
rc=rs−rn ・・・(1)
gc=gs−gn ・・・(2)
bc=bs−bn ・・・(3)
となる。
ステップS105において、ストロボマイコン310は、ステップS104で得られた演算結果(rc、gc、bc)に基づいて、カラーフィルタ16を透過した光の色特性に関する情報を式(4)を用いて演算する。
式(4)におけるM11〜M33のマトリクス係数を適切に選択することにより、カラーセンサ27の検出結果は、光の明るさを表す値Brと受光した光の色度を2軸で表す値Cx、Cyとに変換することができる。以下では、光の色度を2軸で表す値Cx、Cyのことを色度情報とする。
ステップS106〜S112において、ストロボマイコン310は、ステップS105で得られた色度情報及び図9に示すテーブルに基づいて、カラーフィルタ16の色特性を判別する。
ステップS106において、ストロボマイコン310は、ステップS105で得られた色度情報が図8に示す第1の範囲に含まれるか否かを判断する。ステップS105で得られた色度情報が第1の範囲に含まれる場合はステップS107へ移行し、ストロボマイコン310は、図9のテーブルに基づいて、カラーフィルタ16の色温度Hを5000Kと決定する。なお、図9のテーブルに示す色温度Hは、放電管307から発せられカラーフィルタ16を1回透過した光の色温度を表しており、以下では、放電管307から発せられカラーフィルタ16を1回透過した光の色温度Hを、カラーフィルタ16の色温度Hと表現する。すなわち、色温度Hのカラーフィルタとは、放電管307から発せられた光を1回透過させることで色温度Hの光に変換する色特性を有するカラーフィルタのことである。
ステップS105で得られた色度情報が第1の範囲に含まれない場合はステップS108へ移行し、ストロボマイコン310は、ステップS105で得られた色度情報が図8に示す第2の範囲に含まれるか否かを判断する。ステップS105で得られた色度情報が第2の範囲に含まれる場合はステップS109へ移行し、ストロボマイコン310は、図9のテーブルに基づいて、カラーフィルタ16の色温度Hを3500Kと決定する。
ステップS105で得られた色度情報が第2の範囲に含まれない場合はステップS110へ移行し、ストロボマイコン310は、ステップS105で得られた色度情報が図8に示す第3の範囲に含まれるか否かを判断する。ステップS105で得られた色度情報が第3の範囲に含まれる場合はステップS111へ移行し、ストロボマイコン310は、図9のテーブルに基づいて、カラーフィルタ16の色温度Hを2000Kと決定する。
ステップS105で得られた色度情報が第3の範囲にも含まれない場合、ストロボマイコン310は、カラーセンサ27の検出結果が正確でない、あるいは光源26からの光がカラーフィルタ16を透過していないとして、判別不可とする。
ステップS106〜S112により得られたカラーフィルタ16の色特性に関する情報は、表示部321に表示する。あるいは、信号ラインSCを介してストロボマイコン310からカメラマイコン101に送信する。カメラマイコン101は、ストロボマイコン310から受信したカラーフィルタ16の色特性に関する情報に基づいてホワイトバランス補正を行うことにより、ストロボ装置300の照射光に適したホワイトバランス調整を行う。なお、ストロボマイコン310からカメラマイコン101に送信するカラーフィルタ16の色特性に関する情報は、放電管307から発せられカラーフィルタ16を1回透過した光の色温度Hでもカラーフィルタ16の色特性でもよい。
以上のように、光源26から発せられカラーフィルタ16を透過した光をカラーセンサ27により受光した結果に基づいてカラーフィルタ16の色特性を判別することにより、カラーフィルタ16の取り付け向きにかかわらず、正確に色特性を判別することができる。
なお、光源26を発光させた状態でのカラーセンサ27の検出結果からノイズ成分を除去することでカラーフィルタ16の色特性を判別する精度を向上させているが、ノイズ成分を除去しなくてもカラーフィルタ16の色特性を判別することは可能である。
(第2の実施形態)
本実施形態に係る撮像システムの構成は第1の実施形態と同様であるが、カラーフィルタ16の色特性の判別処理の方法が第1の実施形態と異なる。本実施形態におけるカラーフィルタ16の色特性の判別処理については、図10、11を用いて説明する。図10はカラーフィルタ16の色特性の判別処理のフローチャートを示す図であり、図11は、光源26、放電管307の分光特性及びカラーセンサ27の分光感度特性を示す図である。
図10に示すフローチャートは、例えば、ストロボ装置300の電源がオンされた場合や、ストロボマイコン310が発光部350にフィルタホルダ10が装着されたとストロボマイコン310が判別した場合に開始される。
ステップS201〜S204は、それぞれステップS101〜S104と同様の処理を行うため詳細な説明は省略する。
ステップS205において、ストロボマイコン310は、ステップS104で得られた演算結果(rc、gc、bc)の温度補正処理を行う。これは、前述したように、カラーセンサ27の分光感度特性及び光源26の分光特性が環境温度により変化するためである。
(rc、gc、bc)に温度補正処理を施した結果である(rp、gp、bp)は、式(5)〜式(7)からそれぞれ以下のようになる。
rp=rc×LR(t)×CR(t) ・・・(5)
gp=gc×LG(t)×CG(t) ・・・(6)
bp=bc×LB(t)×CB(t) ・・・(7)
ここで、tは環境温度、(LR、LG、LB)は光源26の分光特性の変化を補償するための温度補正係数で環境温度に応じて変化する。また、(CR、CG、CB)はカラーセンサ27の分光感度特性の変化を補償するための温度補正係数で環境温度に応じて変化する。これらの係数は、環境温度と係数とを対応付けしたテーブルとしてストロボマイコン310のROMなどに記憶しておく。以上の温度変化に対する補正処理を行うことで、(rp、gp、bp)は、予め決められた基準温度における(rc、gc、bc)に相当する値となる。
なお、環境温度は、ストロボ装置300に温度センサを設けて測定しても構わないし、ストロボ装置300に接続されたカメラ本体100に設けられた温度センサで測定し、測定結果をカメラ本体100から受け取るようにしてもよい。
また、光源26は発光することによる自身の発熱によって分光特性が変わることもあり得るので、光源26の温度補正係数を決定するための温度センサとカラーセンサ27の温度補正係数を決定するための温度センサとをそれぞれ設けるようにしてもよい。その場合、複数の温度センサをそれぞれ光源26、カラーセンサ27の近傍に設けると、より適切な温度補正係数を決定することができる。あるいは、光源26の温度補正係数を決定するための環境温度とカラーセンサ27の温度補正係数を決定するための環境温度とを別々のタイミングで測定するようにしてもよい。
ステップS206において、ストロボマイコン310は、ROMなどに予め記憶しておいた基準値(r0、g0、b0)を読み込む。基準値(r0、g0、b0)は、予め決められた基準温度においてカラーフィルタ16を装着しない状態でステップS201〜S204を行って得られた値である。
ステップS207において、ストロボマイコン310は、ステップS205で得られた補正結果(rp、gp、bp)に基づいて、カラーフィルタ16を透過させた回数が1回だった場合の値を演算する(透過回数補正)。カラーフィルタ16をn回透過させる構成におけるカラーフィルタ16を透過させた回数が1回だった場合の値(rw、gw、bw)は、式(8)〜式(10)からそれぞれ以下のようになる。
rw=r0−(r0−rp)/n ・・・(8)
gw=g0−(g0−gp)/n ・・・(9)
bw=b0−(b0−bp)/n ・・・(10)
なお、カラーフィルタ16を1回透過させる構成であれば、本ステップを省略しても構わない。
ステップS208において、ストロボマイコン310は、値(rw、gw、bw)に基づいて、放電管307から発せられカラーフィルタ16を1回透過した光をカラーセンサ27により受光した場合の値(rx、gx、bx)を演算する(分光特性補正)。図11に示すように、光源26の分光特性と放電管307の分光特性とは異なっており、カラーフィルタ16を透過後のストロボ装置300の照射光の色特性を判別するためには、光源26の分光特性と放電管307の分光特性との差を考慮する必要がある。
放電管307の分光係数をXe、光源26の分光係数をWL、カラーセンサ27の分光係数を三原色それぞれ(CsR、CsG、CsB)、波長をλとすると、(rx、gx、bx)は式(11)〜(13)からそれぞれ以下のようになる。
ステップS209において、ストロボマイコン310は、ステップS208で得られた演算結果(rx、gx、bx)に基づいて、カラーフィルタ16の色特性に関する情報を式(14)を用いて演算する(色温度演算)。
m11〜m33のマトリクス係数を適切に選択することにより、放電管307から発せられカラーフィルタ16を1回透過した光の色特性に関する情報(rx、gx、bx)に基づいて色の三刺激値(X、Y、Z)を演算できる。そして、演算された三刺激値(X、Y、Z)に基づいて、カラーフィルタ16の色温度Hを演算することで、カラーフィルタ16の色特性を判別できる。三刺激値(X、Y、Z)から色温度Hを演算する方法については公知の方法を用いればよく詳細は省略する。
以上のように、光源26から発せられカラーフィルタ16を透過した光をカラーセンサ27により受光した結果に基づいてカラーフィルタ16の色特性を判別することにより、カラーフィルタ16の取り付け向きにかかわらず、正確に色特性を判別することができる。
また、カラーセンサ27の検出結果とカラーフィルタの色特性とを対応付けしたテーブルを用いずに、演算によりカラーフィルタの色特性を判別しているので、テーブルを用いる場合よりもより細かくカラーフィルタの色特性を判別することができる。
なお、上記の判別処理では、ノイズ補正、温度補正、透過回数補正、分光特性補正の順にそれぞれ前の処理で得られた値に対して補正を行っているが、カラーセンサ27の検出結果に基づく情報に対して各補正を行っていると言える。
また、環境温度、透過回数、光源の分光特性など各種の条件により上記の判別処理の各補正の一部は省略してもよく、すべての補正処理を行わなくてもよい。
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態では、白色LEDである光源26とカラーセンサ27とを用いてカラーフィルタ16の色特性を判別する構成について説明したが、本実施形態は、第1及び第2の実施形態と光源26とカラーセンサ27の構成が異なる。具体的には、光源26として白色LEDの代わりに赤LED、緑LED、青LEDの3原色を有するRGBLEDを用い、受光部としてカラーセンサ27の代わりにフォトダイオードを用いている。
本実施形態に係る撮像システムの構成は第1及び第2の実施形態に係る撮像システムの構成と光源26、カラーセンサ27が上記のように異なるのみであり、構成の詳細な説明は省略する。以下では、第1及び第2の実施形態の光源26、カラーセンサ27と対応させて、それぞれRGBLED26’、フォトダイオード27’とする。
本実施形態におけるカラーフィルタ16の色特性の判別処理について、図12を用いて説明する。図12はカラーフィルタ16の色特性の判別処理のフローチャートを示す図であり、ステップS308の後は、図7のステップS105あるいは図10のステップS205に移行する。
ステップS301において、ストロボマイコン310はフォトダイオード27’を用いてRGBLED26’を発光させていない状態での検出を行う。このときのフォトダイオード27’の検出結果を(An)とする。
S302において、ストロボマイコン310はRGBLED26’の赤LEDを発光させ、フォトダイオード27’にカラーフィルタ16を透過した光を入射させる。そして、ステップS303において、ストロボマイコン310はフォトダイオード27’を用いて赤LEDを発光させた状態での検出を行う。赤LEDを発光させた状態での検出結果は(rs’)とする。
S304において、ストロボマイコン310はRGBLED26’の緑LEDを発光させ、フォトダイオード27’にカラーフィルタ16を透過した光を入射させる。そして、ステップS305において、ストロボマイコン310はフォトダイオード27’を用いて緑LEDを発光させた状態での検出を行う。緑LEDを発光させた状態での検出結果は(gs’)とする。
S306において、ストロボマイコン310はRGBLED26’の青LEDを発光させ、フォトダイオード27’にカラーフィルタ16を透過した光を入射させる。そして、ステップS307において、ストロボマイコン310はフォトダイオード27’を用いて青LEDを発光させた状態での検出を行う。青LEDを発光させた状態での検出結果は(bs’)とする。
ステップS308において、ストロボマイコン310はRGBLED26’を発光させていない状態での検出結果である(An)をノイズ成分として、RGBLED26’を発光させた状態での検出結果から除去する演算を行う。(rs’、gs’、bs’)のそれぞれから(An)を除去した結果を(rc’、gc’、bc’)とすると、式(15)〜式(17)からそれぞれ
rc’=rs’−An ・・・(15)
gc’=gs’−An ・・・(16)
bc’=bs’−An ・・・(17)
となる。
以後は、図7のステップS105あるいは図10のステップS205に移行し、第1及び第2の実施形態における(rc、gc、bc)の代わりに(rc’、gc’、bc’)を用いて、カラーフィルタ16の色特性を判別する。
以上のように、本実施形態においても、第1及び第2の実施形態と同様に、カラーフィルタ16の取り付け向きにかかわらず、正確に色特性を判別することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、ストロボ装置300の主光源として放電管307を用いた構成を説明したが、主光源にカラーフィルタ判別用の光源と同種の光源、例えばLEDを用いた構成であっても構わない。
また、上記の実施形態では、カラーフィルタ16をフィルタホルダ10に取り付け、フィルタホルダ10を発光部350に装着させる構成について説明したが、発光部350がカラーフィルタの保持部を有する構成であれば、フィルタホルダがなくても構わない。その場合、上記の実施形態におけるプリズム18のような導光部を発光部350側に設け、カラーフィルタ16が導光部と照射用窓部22及び入射用窓部23の間に挿入された状態でカラーフィルタを保持できるような構成が望ましい。
また、撮像装置に着脱可能なストロボ装置300ではなく、撮像装置に内蔵されたストロボの照射部の前方にカラーフィルタが取り付け可能な構成であっても、本発明のカラーフィルタの色特性判別処理は適用可能である。