JP6070886B1 - 除染用シートおよびそれを備えた除染用品 - Google Patents

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Abstract

【課題】除染対象から液状の化合物を除去できるとともに、除去した有害化合物が飛散しない、二次汚染リスクの低い除染用シートを提供する。【解決手段】本発明の除染用シートは、液状の有害化合物を吸収する液吸収層と、ガス状の有害化合物を吸着するガス吸着層とがそれぞれ1層以上積層され、液吸収層は、平均繊維径が0.3μm以上5.0μm以下の繊維による繊維状材料から成り、該液吸収層の嵩密度は、0.05g/cm3以上0.15/cm3以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば有機リン系化合物のような皮膚から吸収されて人体に悪影響を及ぼす液状の有害化合物に汚染された例えば作業着等から液状の化合物を除去できるとともに、除去した有害化合物が飛散しない、二次汚染リスクの低い除染用シートに関する。本発明の除染用シートは、例えば、衣服、手袋、靴、カバー、シェルター等の除染に使用するものである。
一般に、作業着等に付着した有害化合物を除染する際、活性白土などの粉体の除染剤やさらし粉溶液といった液状の除染剤を吹き付けるあるいは洗い流す除染作業が知られている。
しかし、有害化合物を粉体あるいは液体を用いて除染した場合、除染後に使用し汚染された粉体や液体状の除染剤を周囲にまき散らすことが想定され、二次汚染リスクが懸念されたり、多量の除染剤を持ち運びする必要があったりする。
このような除染に関し、例えば特許文献1には、水及び粉体を通さない生地と粉体は通すが水は通さない非透水性生地の間に活性白土などの粉体状の除染材を封入した除染用具が提案されている。この除染用具は、汚染された作業着等をはたくことで、内部から排出された除染材により除染対象の有害毒物資を吸着したり、中和や抑制したりすることで除染するものである。しかし、粉体状の除染材を使用するため、除染後に有害化合物で汚染された粉体が飛散する、あるいは、粉体に付着または吸着した有害化合物がガス化して再飛散するといった二次汚染のリスクが想定される。
また、例えば特許文献2には、洗浄処置を行わずに、皮膚に付着した有害化合物を除染するためのテキスタイル複合材料が提案されている。このテキスタイル複合材料は、水や他の流体を吸収し、液滴により膨潤するポリマー材料である超吸収剤と、ナノ繊維不織布とから成り、さらには、複合材料に汗の蒸散に寄与する薬剤を含んでいるものである。なお、この複合材料は、皮膚上の有害化合物を取り除くためのものである。
また、例えば特許文献3には、汚染水を吸収する脱脂綿を含む不織布と汚染水中の油を吸収する羊毛を含む不織布で活性炭を挟み込んだハイブリット吸着体が例示されており、油及び汚染水中のヨウ素およびセシウムを吸着できるものである。このハイブリッド吸着体に使用される不織布は、汚染水の効率的な吸収のために脱脂綿が使用され、さらに、油の吸収性に富む羊毛を使用される。そのため、大気中あるいは水中に浮遊している油や液をある一定時間を経ての処理は可能と推測されるが、作業着等に付着した有害化合物を瞬時に取り除くことは困難であり、除染処理する場合には不向きである。
特許第3436886号 特許第5456163号 特許第5759265号
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、有機リン系化合物のような皮膚から吸収されて人体に悪影響を及ぼす液状の有害化合物に汚染された除染対象から液状の化合物を迅速かつ高効率で除去できるとともに、除去した有害化合物がガス化した場合にも吸着可能であり、二次汚染リスクの低い除染用シートを提供することにある。除染用シートの除染対象としては、例えば、作業着、手袋、靴、カバー、シェルターや、機器類などが挙げられるが、例えば、身体などであっても構わない。もちろん、除染対象はこれらに限定はされない。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
1.液状の有害化合物を吸収する液吸収層とガス状の有害化合物を吸着するガス吸着層とがそれぞれ1層以上積層された除染用シートであって、
前記液吸収層は、平均繊維径が0.05μm以上5.0μm以下の繊維状材料から成り、
該液吸収層の嵩密度は、0.05g/cm以上0.15g/cm以下であることを特徴とする除染用シート。
2.前記繊維状材料は、織物、編物、不織布、又はこれらの複合材料であることを特徴とする上記1に記載の除染用シート。
3.前記液吸収層の厚さは、0.1mm以上5.0mm未満であることを特徴とする上記1または2に記載の除染用シート。
4.前記液吸収層の重さは、30g/m以上600g/m未満であることを特徴とする上記1から3のいずれか1つに記載の除染用シート。
5.内布、前記ガス吸着層、前記液吸収層が記載順に積層されていることを特徴とする上記1から4のいずれか1つに記載の除染用シート。
6.上記1から5のいずれか1つに記載の除染用シートを用いたことを特徴とする除染用品。
また、本発明の除染用シートを、ロール状に形成し、切り取り可能にミシン目を入れたり、複数の除染用シートを1枚ずつ取り出し可能に箱に収容したりしてもよい。また、除染用シートに、切断、縫い合わせ、他の材料への張り付け、などの加工を施してもよい。そのような加工をした除染用品も本発明の範囲に含まれる。また、本発明の除染用シートを備えた除染用品として、例えば、除染用の、手袋(クローブ、ミットなどを含み、指に沿った形状であってもなくてもよい)、タオル、マット、ロールなどが挙げられるが、これらには限定されない。
本発明は、上記構成により、有機リン系化合物のような皮膚から吸収されて人体に悪影響を及ぼす液状の有害化合物に汚染された除染対象から有害化合物を迅速に高効率で除去できるとともに、ガス化した有害化合物を飛散させず、二次汚染リスクの少ない、除染用シートを提供できる。また本発明の除染用シートは、持ち運びにも便利である。これらから分かるように、本発明の除染用シートは、液状およびガス状の有害化合物の除染に使用するのに極めて好適である。
本発明の実施形態に係る除染用シートの構成の一例を示す図である。 ガス飛散抑制性の試験に用いる容器を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳述する。図1に示すように、本発明の除染用シート3は、液状の有害化合物を吸収する液吸収層1と、ガス状の有害化合物を吸着するガス吸着層2とを、それぞれ1層以上備えて構成される。
液吸収層1は、織物、編物、不織布等の材料から適宜選定可能であるが、その中でも、液の拭き取り性及び柔軟性等の操用性の観点から不織布が好ましい。
液吸収層1に使用する材料としては、特に限定されるものではなく、綿、麻、毛、絹等の天然繊維;レーヨン、ポリノジック、キュプラ、レヨセル等の再生繊維;アセテート繊維、トリアセテート繊維等の半合成繊維;ナイロン6、ナイロン66、アラミド繊維等のポリアミド繊維;ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリ乳酸繊維、ポリアリレート等のポリエステル繊維;ポリアクリロニトリル繊維、ポリアクリロニトリル−塩化ビニル共重合体繊維、モダクリル繊維等のアクリル繊維;ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維;ビニロン繊維、ポリビニルアルコール繊維等のポリビニルアルコール系繊維;ポリ塩化ビニル繊維、ビニリデン繊維、ポリクラール繊維等のポリ塩化ビニル系繊維;ポリウレタン繊維等の合成繊維;ポリフェニレンスルフィド繊維;ポリベンザゾール繊維(PBZ)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)繊維、ポリイミド繊維等の複素環高分子繊維;ポリカーボネート繊維;ポリスルホン繊維;ポリエチレンオキサイド繊維、ポリプロピレンオキサイド繊維等のポリエーテル系繊維;等が例示できる。これらの繊維は、併用してもよい。
液吸収層1の繊維径は、0.05μm以上5.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.15μm以上4.5μm以下である。繊維直径が0.05μm未満であると、機械的強度に劣る。また、液吸収層1の繊維径が5.0μmを超えると有害化合物の液滴が除染対象に残留することになる。
液吸収層1の質量は、30g/m以上600g/m以下が好ましく、より好ましくは50g/m以上400g/m以下である。液吸収層1の質量が、30g/m未満であると液の吸収性が下がり、満足な有害化合物の除染性能が得られない。また、液吸収層1の質量が、600g/mを超えると、柔軟性や使用時の操作性が低下するため好ましくない。
液吸収層1の厚さは、0.1mm以上5.0mm以下であることが好ましく、0.2mm以上2.0mm以下であることがより好ましい。液吸収層1の厚さが0.1mm未満では機械的強度に劣る。また、液吸収層1の厚さが5.0mmを超えると使用時の操作性が低下するため好ましくない。
液吸収層1の嵩密度は、0.05g/cm以上0.15g/cm以下であることが好ましい。液吸収層1の嵩密度が0.05g/cm未満であると疎な材料となり、材料が脆くなる。また、液吸収層1の嵩密度が0.15g/cmを超えると、液吸収層の空隙率が小さくなり、十分な保液量が得られない。
液吸収層1に使用する繊維は、その形状が丸断面の繊維だけでなく、液との接触面積を上げるために、三角形や多角形その他複雑な形状の異形断面繊維を適用することや、繊維の一部あるいは全体がフィブリル化した分割繊維等を適用することも有効である。
除染用シート3は、液吸収層1にガス吸着層2を積層することで、ガス化した有害化合物の飛散を抑制できるものとなる。なお、使用の際には、液吸収層1側を除染対象に向ける。
ガス吸着層2に使用するガス吸着材としては、活性炭やカーボンブラックなどの炭素系吸着材、シリカゲル、ゼオライト系吸着材、炭化ケイ素、または活性アルミナなどの無機系吸着材等からなるガス吸着材が挙げられる。しかしこれらに限定されず、吸着対象とする被吸着物質に応じて適宜選択することができる。その中でも広範囲なガスに対応できる活性炭が好ましく、特に吸着速度や吸着容量が大きく少量の使用で効果的なガス透過抑制能が得られる繊維状活性炭がより好ましい。
ガス吸着層2が吸着対象とする被吸着物質であるガスは、炭素元素を1つ以上持つガス状化合物であってもよい。そのようなガス状化合物には、例えば、50以上の比較的大きな分子量を持ち、ガス吸着層2が吸着可能なガス状化学物質が含まれる。具体的には、農薬、殺虫剤、除草剤に使用される有機リン系化合物や、塗装作業などに使用されるトルエン、塩化メチレン、クロロホルムなどの一般的な有機溶剤が挙げられる。
ここで、ガス吸着層2のガス吸着材に繊維状活性炭を用いる場合、そのBET比表面積は、700m/g以上3000m/g以下が好ましく、1000m/g以上2500m/g以下がより好ましい。BET比表面積が上記範囲未満であると、ガス状化合物に対しての十分な吸着量を得るために多くの活性炭が必要となり材料が重くなり、柔軟性が劣ることが懸念される。一方、上記範囲を超えると、ガス吸着材が脆くなるといった問題が起こりうる。
ガス吸着層2に含有される繊維状活性炭の質量(絶乾質量)としては、50g/m以上300g/m以下が好ましく、70g/m以上250g/m以下がより好ましい。質量が上記範囲未満であると、吸着できる容量が小さくなりガス状化合物の飛散抑制性能が低くなることが懸念される。他方、上記範囲を超えると、材料の柔軟性が劣ることが懸念される。
ガス吸収層2に含有される繊維状活性炭の厚さは、例えば、0.1mm以上3.0mm以下が好ましく、より好適には0.5mm以上2.0mm以下であり、さらに好適には0.7mm以上1.5mm以下である。繊維状活性炭の厚さが0.1mmを下回ると、ガス状有害化合物の吸着量が低下することが懸念される。一方、繊維状活性炭の厚さが3.0mmを上回ると、使用時の操作性が低下するおそれがある。
繊維状活性炭の原料としては、綿、麻といった天然セルロース繊維の他、レーヨン、ポリノジック、溶剤紡糸法によるといった再生セルロース繊維、さらにはポリビニルアルコール繊維、アクリル系繊維、芳香族ポリアミド繊維、リグニン繊維、フェノール系繊維、石油ピッチ繊維等の合成繊維が挙げられる。得られる繊維状活性炭の物性(強度等)や吸着性能から再生セルロース繊維、フェノール系繊維、アクリル系繊維が好ましい。
繊維状活性炭は、従来公知の方法によって製造することができる。例えば、上記の原料繊維の短繊維あるいは長繊維を用いて製織、製編、不織布化した布帛に必要に応じて適当な耐炎化剤を含有させた後、450℃以下の温度で耐炎化処理を施し、次いで500℃以上1000℃以下の温度で炭化賦活することによって製造することができる。
ガス吸着層2の製造方法としては、従来公知の方法を採用することができる。例えば、シート基材にガス吸着材をバインダーにより接着する方法、ガス吸着材を適当なパルプおよびバインダーを含めスラリー状とし、湿式抄紙機により抄造する方法、またはガス吸着材の原料繊維をあらかじめ製織、製編、不織布化し、必要に応じて耐炎化処理したのち炭化および賦活する方法を採用することができる。
ガス吸着層2は、織物、編物、不織布、またはフェルトのいずれかの形態を有することが好ましい。これらのうち織物または編物の形態が通気性、積層の容易性、柔軟性などの面からより好ましい。
液吸収層1とガス吸着層2との積層方法としては、例えば、公知の加工処方であるニードルパンチ、ウォーターパンチ、キルティング、ボンディング、熱融着不織布等を使用した積層方法などが挙げられる。
液吸収層1とガス吸着層2の積層体の質量としては、900g/m以下が好ましく、650g/m以下がより好ましい。積層体の質量が上記範囲を越えると、重量が重く柔軟性に乏しい材料にとなり、種々の使用において装用性等が満足できないといった問題となる。質量の下限は、現実的には80g/mである。
除染用シート3の厚みとしては、8.0mm以下が好ましく、5.0mm以下がより好ましい。厚みが上記範囲を越えると、除染用シート3のごわつきが大きくなり、加工性等が悪くなる。厚みの下限は、現実的には0.2mmである。
除染用シート3に、機械的強度の大幅な向上を目的とする場合や、対象ガスが複数にわたる場合などは、液吸収層1およびガス吸着層2をそれぞれ必要枚数重ね合わせて使用することは有効である。さらに、除染用シート3の両面での使用を考慮すると、ガス吸着層2の両面に液吸収層1を設けることも有効な手段となる。
除染用シート3の最表面に内布を、少なくとも1層以上必要に応じて積層してもよい。内布の目的としては、外部から与えられる機械的な力から液吸収層1およびガス吸着層2を保護する役割、除染用シートを加工しミット等にした場合の汗によるべたつき感を抑制する役割等である。
内布としては、各種材料から構成される織物、編物、不織布、または開孔・無孔フィルム等の材料が挙げられる。中でも、通気性、柔軟性等の観点から、粗い密度で製織または製編された織物もしくは編物及び不織布が好ましい。液吸収層1およびガス吸着層2の積層体と内布とは、あらかじめ接着剤により接着する形態でもよいし、柔軟性を考慮し、接着せずに重ね合わせた状態で縫製加工してもよい。または、あらかじめ内布とガス吸着層2とを積層加工した後、ガス吸着層2側に液吸収層1を積層してもよい。
内布の厚さは、例えば、0.05mm以上0.5mm以下が好ましく、より好ましくは0.1mm以上0.4mm以下である。内布の厚さが0.05mmを下回ると、カバー層の厚さが十分でないため、内布が破れやすくなるといった不具合が生じるおそれがある。また、内布の厚さが0.5mmを上回ると、使用時の操作性が低下するため、好ましくない。
内布の質量は、例えば、15g/m以上100g/m以下が好ましく、より好ましくは20g/m以上80g/m以下である。内布の質量が15g/m未満では、内布が破れやすくなるといった不具合が生じるおそれがある。また、内布の重量が100g/mを上回ると、使用時の操作性が低下するため、好ましくない。
液吸収層1、ガス吸着層2および内布を積層した除染用シート3の質量としては、1000g/m以下が好ましく、730g/m以下がより好ましい。質量が1000g/mを超えると除染用シート3の重量が大きくなり装着性や操作性の悪化の原因となる。
次に実施例および比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
初めに、後述の実施例および比較例に記載の物性の評価方法について説明する。評価方法は次の通りである。
(1)質量
JIS L 1096.8.3により測定した。
(2)厚さ
JIS L 1096.8.4により測定した。ただし、すべての材料について0.7kPaの圧力で測定した。
(3)嵩密度
(1)により測定した生地の質量/生地の厚さにより算出した。
(4)繊維径
液吸収層の表面を電子顕微鏡により観察し、20点の繊維径の平均を算出した。
(5)液拭き取り性
下記方法により作製した布帛に、顔料で着色したジプロピルフタレートの液滴を25μL滴下した。その布帛上へ除染用シートの液吸収層側を当てて荷重80g/cmを20秒間かけて液滴を拭き取った。その後、布帛に残留した液滴を顕微鏡観察し判定した。顕微鏡観察の結果、液滴の残留がないものを良好(○)と判定し、液滴の残留があるものを不良(×)と判定した。
<布帛の作製方法>
ナイロン66フィラメント糸と綿とを5対95の混率で混紡し、電気開繊方式により40番手の混紡糸を作製した。次いで常法により、エアージェット織機を用いて製織し、経糸密度140本/インチ、緯糸密度108本/インチの2/1綾織物を作製した。常法によりこれに毛焼、糊抜、精錬、漂白、シルケット、染色、ソーピング処理を行った。その後、得られた防護材料に、水を分散媒として5wt%に調整したNUVA 2114(クラリアント社製)を含有する加工浴に浸漬し、ピックアップが50%となるように絞り、100℃で乾燥後、180℃でキュアリング処理を施して布帛を作製した。
(6)ガス飛散抑制性
ガス飛散抑制性の試験容器Gの断面図を図2に示す。内容積300ccの2つのガラスセル(上方セル5および下方セル10)で除染用シート3を挟み込み、周囲をパラフィン9により密閉する。なお、除染用シート3は液吸収層1を上にして試験容器Gに設置する。試験容器Gの上方セル5から試験液7(2−クロロエチルエチルスルフィド)を30μL、除染用シート3の液吸収層1に滴下する。そして試験容器Gを25±2℃に設定した恒温ボックスに入れ、30分後に上方セル5のガス濃度と下方セル10のガス濃度とをサンプリング口6a,6bからサンプリングし測定した。なお、上方セル5のガス濃度は、試験液7を拭き取った後、除染用シート3の液吸収層1から飛散するガスの濃度であり、下方セル10のガス濃度とは、試験液7を拭き取った後、除染用シート3のガス吸着層2を浸透(貫通)してくるガスの濃度である。後段に示す表1では、ガス飛散抑制性の欄には、ガス濃度を記載する。ガス濃度(ガス飛散性)の数値が低いほうが、ガス抑制性が高いということになる。
(実施例1)
<液吸収層の作製>
質量22g/m、厚さ0.33mm、嵩密度0.067g/cm、繊維径1.1μmのポリプロピレン不織布(タピルス株式会社製)を5枚重ね合わせて実施例1の液吸収層を作製した。
<ガス吸着層の作製>
実施例1のガス吸着層として、編物の形態の繊維状活性炭を以下の方法で作製した。単糸繊度2.2dtex、20番手のノボラック系フェノール樹脂繊維紡績糸からなる目付220g/m2の丸編物を、410℃の不活性雰囲気中で30分間加熱し、次に水蒸気を12容量%含有する雰囲気中で890℃の温度で2時間賦活した。得られたガス吸着層の、絶乾質量は103g/m、BET比表面積は1421m/g、厚さは0.98mm、密度は0.11g/cm、通気性は水位計1.27cmの圧力差で355cm/cm・s、トルエン吸着性能(トルエンガス平衡吸着量)は52g/mであった。
<内布>
質量30g/m、厚さ0.17mm、嵩密度0.18g/cmのポリエステル製不織布(東洋紡株式会社製、3301A)1枚を実施例1の内布として使用した。
<除染用シート>
上記の液吸収層、ガス吸着層、および内布を順に重ね合わせて周囲を縫い合わせ、除染用シートを作製した。なお、層の重ね合わせが固定されれば、固定方法は縫製に限定されない。このようにして得られた除染用シートの液拭き取り性およびガス飛散抑制性について試験した結果を後段の表1に示す。
(実施例2)
<液吸収層>
質量200g/m、厚さ1.34mm、嵩密度0.15g/cm、繊維径4.7μmのポリプロピレン製不織布(タピルス株式会社製 P200SW−00X)を、実施例2の液吸収層とした。
<除染用シート>
実施例2の液吸収層、実施例1のガス吸着層、および実施例1の内布を用いて、実施例1と同様の方法で除染用シートを作製した。このようにして得られた除染用シートの液拭き取り性、ガス飛散抑制性の結果を後段の表1に示す。
(実施例3)
<液吸収層>
質量30g/m、厚さ0.42mm、嵩密度0.07g/cm、繊維径2.8μmのポリプロピレン製不織布(タピルス株式会社製 P030SB−00X)を3枚重ね合わせて、実施例3の液吸収層を作製した。
<除染用シート>
実施例3の液吸収層、実施例1のガス吸着層、および実施例1の内布を用いて、実施例1と同様の方法で除染用シートを作製した。このようにして得られた除染用シートの液拭き取り性、ガス飛散抑制性の結果を後段の表1に示す。
(実施例4)
<液吸収層>
質量22g/m、厚さ0.17mm、嵩密度0.13g/cm、繊維径2.8μmのポリエステル製不織布(タピルス株式会社製)を5枚重ね合わせて、実施例4の液吸収層を作製した。
<除染用シート>
実施例4の液吸収層、実施例1のガス吸着層、および実施例1の内布を用いて、実施例1と同様の方法で除染用シートを作製した。このようにして得られた除染用シートの液拭き取り性、ガス飛散抑制性の結果を後段の表1に示す。
(実施例5)
<液吸収層>
質量30g/m、厚さ0.24mm、密度0.13g/cm、繊維径が3.4μmの繊維と0.3μmの繊維とが交絡しているアクリル製不織布(三菱製紙株式会社製 ナノワイパーNano H130)を3枚重ね合わせて、実施例5の液吸収層を作製した。
<除染用シート>
実施例5の液吸収層、実施例1のガス吸着層、および実施例1の内布を用いて、実施例1と同様の方法で除染用シートを作製した。このようにして得られた除染用シートの液拭き取り性、ガス飛散抑制性の結果を後段の表1に示す。
(比較例1)
<液吸収層>
質量234g/m、厚さ1.18mm、嵩密度0.20g/cm、繊維径が0.66μmの繊維と6.5μmの繊維とが交絡しているポリエステル製織布(帝人フロンティア株式会社製 あっちこっちふきんナノ)を、比較例1の液吸収層とした。
<除染用シート>
比較例1の液吸収層、実施例1のガス吸着層、および実施例1の内布を用いて、実施例1と同様の方法で除染用シートを作製した。このようにして得られた除染用シートの液拭き取り性、ガス飛散抑制性の結果を後段の表1に示す。
(比較例2)
<液吸収層>
質量22g/m、厚さ0.12mm、嵩密度0.18g/cm、繊維径1.34μmのナイロン製不織布(タピルス株式会社製)を3枚重ね合わせて、比較例2の液吸収層を作製した。
<除染用シート>
比較例2の液吸収層、実施例1のガス吸着層、および実施例1の内布を用いて、実施例1と同様の方法で除染用シートを作製した。このようにして得られた除染用シートの液拭き取り性、ガス飛散抑制性の結果を後段の表1に示す。
(比較例3)
<液吸収層>
質量67g/m、厚さ0.18mm、嵩密度0.37g/cm、繊維径2.2μmのポリエステル製織布(東レ株式会社製 トレシー)を2枚重ね合わせて、比較例3の液吸収層を作製した。
<除染用シート>
比較例3の液吸収層、実施例1のガス吸着層、および実施例1の内布を用いて、実施例1と同様の方法で除染用シートを作製した。このようにして得られた除染用シートの液拭き取り性、ガス飛散抑制性の結果を後段の表1に示す。
(比較例4)
<液吸収層>
質量30g/m、厚さ0.37mm、嵩密度0.08g/cm、繊維径5.2μmのポリプロピレン製不織布(タピルス株式会社製 P030LW−00X)を3枚重ね合わせて、比較例4の液吸収層を作製した。
<除染用シート>
比較例4の液吸収層、実施例1のガス吸着層、および実施例1の内布を用いて、実施例1と同様の方法で除染用シートを作製した。このようにして得られた除染用シートの液拭き取り性、ガス飛散抑制性の結果を後段の表1に示す。
(比較例5)
<液吸収層>
質量30g/m、厚さ0.22mm、嵩密度0.14g/cm、繊維径8.8μmの再生セルロース(キュプラ)製不織布(旭化成せんい株式会社製 ベンリーゼSD30G)を3枚重ね合わせて、比較例5の液吸収層を作製した。
<除染用シート>
比較例5の液吸収層、実施例1のガス吸着層、および実施例1の内布を用いて、実施例1と同様の方法で除染用シートを作製した。このようにして得られた除染用シートの液拭き取り性、ガス飛散抑制性の結果を後段の表1に示す。
(比較例6)
<液吸収層>
質量30g/m、厚さ0.25mm、嵩密度0.12g/cm、繊維径12.0μmのコットン不織布(ユニチカ株式会社製 コットエースC030S/A01)を3枚重ね合わせて、比較例6の液吸収層を作製した。
<除染用シート>
比較例6の液吸収層、実施例1のガス吸着層、および実施例1の内布を用いて、実施例1と同様の方法で除染用シートを作製した。このようにして得られた除染用シートの液拭き取り性、ガス飛散抑制性の結果を後段の表1に示す。
(比較例7)
<除染用シート>
実施例1の液吸収層のみで除染用シートを作製した。このようにして得られた除染用シートの液拭き取り性、ガス飛散抑制性の結果を後段の表1に示す。
(比較例8)
<除染用シート>
実施例1のガス吸着層のみで除染用シートを作製した。このようにして得られた除染用シートの液拭き取り性、ガス飛散抑制性の結果を後段の表1に示す。
表1から分かるように、実施例1〜5の除染用シートは、液拭き取り性およびガス飛散抑制性に優れているのに対して、比較例1〜9の除染用シートはいずれかの評価項目で実施例に劣るものであった。
本発明に係る除染用シートは、有機リン系化合物のような皮膚から吸収されて人体に悪影響を及ぼす液状の有害化合物に汚染された除染対象から有害化合物を迅速に高効率で除去できるとともに、ガス化した有害化合物を飛散させず二次汚染リスクが少ないため、除染用シートとして好適に利用可能である。また、本発明に係る除染用シートは、除染用品として、例えば、除染用の、手袋(クローブ)、タオル、マット、ロールなどの除染用品の利用に好適である。このように、本発明は、産業の発展に大きく貢献することができる。
1:液吸収層
2:ガス吸着層
3:除染用シート
5:上方セル(150cc)
6a,6b:サンプリング口
7:試験液
9:パラフィン
10:下方セル(150cc)
G:試験容器

Claims (7)

  1. 液状の有害化合物を吸収する液吸収層とガス状の有害化合物を吸着するガス吸着層とがそれぞれ1層以上積層された除染用シートであって、
    前記液吸収層は、平均繊維径が0.05μm以上5.0μm以下の繊維による繊維状材料から成り、該液吸収層の嵩密度は、0.05g/cm以上0.15g/cm以下であることを特徴とする除染用シート。
  2. 前記繊維状材料は、織物、編物、不織布、又はこれらの複合材料であることを特徴とする請求項1に記載の除染用シート。
  3. 前記液吸収層の厚さは、0.1mm以上5.0mm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の除染用シート。
  4. 前記液吸収層の重さは、30g/m以上600g/m未満であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の除染用シート。
  5. 内布、前記ガス吸着層、前記液吸収層が記載順に積層されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の除染用シート。
  6. 前記ガス吸着層の両面にそれぞれ前記液吸収層が積層されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の除染用シート。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の除染用シートを備えたことを特徴とする除染用品。
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