JP5553195B2 - 吸着シート - Google Patents

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Description

本発明は、有機リン系化合物のような皮膚から吸収されて人体に悪影響を及ぼすガス状及び液状有機化学物質から作業者を有効に防護できるとともに、柔軟性、通気性、及び剥離強度を向上させた吸着シートに関する。本発明の吸着シートは、特にシェルター、衣服、手袋、靴下、靴、ヘルメット、カバー等の防護材料に好適に使用されるものである。
有害化学物質などから人体を保護する吸着シートとしては、従来から様々なものが提案されている。例えば、活性炭の脱落、飛散抑制の為に、織物や不織布等により活性炭を挟みこんだり又は包み込んだ吸着シートが提案されているが、積層方法について詳細に研究されておらず、また、ガス状及び液状有機化学物質に対する浸透抑制能を維持させつつ、柔軟性、通気性及び剥離強度に優れる吸着シートについても未だ提案されていない。
例えば、特許文献1には、吸着層が二つのキャリア層の間に挿入され、吸着層とキャリア層の接着が、密着しない接着ドットの形で接着剤を断続的に適用することによって達成される吸着フィルター材料が提案されている。この吸着フィルター材料は、生物及び化学有害物並びに毒物に対する保護機能に優れるが、柔軟性、通気性、及び剥離強度に劣り、防護衣服に使用した場合の着用感に問題がある。
また、特許文献2には、繊維状活性炭シートの両面に保護層を積層し、キルティング加工した後に、これを水分散系のバインダー樹脂加工浴中に浸漬し、乾燥・固着処理を施すことにより、繊維状活性炭シートにかかる機械的な力による繊維の破損あるいは粉末化から発生する活性炭粉塵の脱落、飛散を防止した吸着シートが提案されている。この吸着シートは、柔軟性、通気性に優れるが、キルティング加工によるミシン針による貫通孔により液状物質の浸透抑制能が弱いという問題がある。
特開2005−324025号公報 特開2003−10679号公報
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑み創案されたものであり、その目的は、ガス状及び液状有機化学物質に対して浸透抑制能があり、かつ柔軟性、通気性、及び剥離強度に優れる、ガス吸着層の両面に保護層を積層した吸着シートを提供することにある。
本発明者は、かかる目的を達成するためにガス吸着層の両面の保護層の積層方法について鋭意検討した結果、ガス吸着層の一方の面に無溶剤接着剤を塗布した部分接着で保護層を積層し、他方の面にキルティング加工で保護層を積層することにより、ガス状及び液状物質からの有効な保護と優れた使用感を達成できることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、ガス吸着層の一方の面に無溶剤接着剤を塗布した部分接着によるラミネート加工で保護層を積層し、他方の面にキルティング加工で保護層を積層した吸着シートであって、吸着シートの通気性が50cm /cm ・s以上300cm /cm ・s以下であること、部分接着に使用する無溶剤接着剤の質量が5g/m以上50g/m以下であること、及び保護層が織物、編物、不織布、又はこれらの複合材料であることを特徴とする吸着シートである。
本発明の吸着シートの好ましい態様では、ガス吸着層が織物、編物、不織布、またはフェルトのいずれかの形態を有し、無溶剤接着剤がウレタン系接着剤またはシリコーン系接着剤である。
また、本発明は、上記吸着シートを用いたことを特徴とする防護材料、特に防護衣服である。
本発明の吸着シートは、ガス吸着層の一方の面に無溶剤接着剤を塗布した部分接着によるラミネート加工で保護層を積層し、他方の面にキルティング加工で保護層を積層しているので、ガス状有機化学物質だけでなく液状の有機化学物質に対しても浸透抑制能を有し、しかも柔軟性、通気性、及び剥離強度に優れている。従って、防護衣服などの防護材料に使用するのに極めて好適である。
本発明の吸着シートの断面構造の概略図である。 耐ガス浸透性試験方法を示した概略図である。 耐液浸透性試験方法を示した概略図である。
以下、本発明の吸着シートを詳細に説明する。
本発明の吸着シートは、図1に示すように、ガス吸着層3の一方の面に無溶剤接着剤を塗布した部分接着層2によって保護層1を積層し、他方の面にキルティング糸5によって保護層4を積層したものである。
本発明の吸着シートに用いるガス吸着層としては、活性炭やカーボンブラックなどの炭素系吸着材、あるいは、シリカゲル、ゼオライト系吸着材、炭化ケイ素、活性アルミナなどの無機系吸着材等からなるガス吸着材が挙げられるが、対象とする被吸着物質に応じて適宜選択されることができる。その中でも広範囲なガスに対応できる活性炭が好ましく、特に吸着速度や吸着容量が大きく少量の使用で効果的なガス透過抑制能が得られる繊維状活性炭がより好ましい。
被吸着物質としてのガスには、炭素元素を1つ以上持つガス状化合物が含まれる。例えば、ガス状化合物には、50以上の比較的大きな分子量を持ち、活性炭等のガス吸着層が吸着可能なガス状化学物質が含まれる。具体的には、農薬、殺虫剤、除草剤に使用される有機リン系化合物や、塗装作業などに使用されるトルエン、塩化メチレン、クロロホルムなどの一般的な有機溶剤が挙げられる。
ガス吸着層に繊維状活性炭を用いる場合、そのBET比表面積は、700m/g以上3000m/g以下が好ましく、1000m/g以上2500m/g以下がさらに好ましい。BET比表面積が上記範囲未満であると、十分な防護性を得るために多くの活性炭が必要となり材料が重くなり、柔軟性が劣ることが懸念される。一方、上記範囲より大きくなると、吸着したガス状有機化学物質を脱離する問題が起こりうる。
繊維状活性炭の質量としては、10g/m以上300g/m以下が好ましく、さらに好ましくは20g/m以上200g/m以下である。質量が上記範囲未満であると、吸着できる容量が小さくなり使用時間が制限される。一方、上記範囲より大きくなると、シート材料の柔軟性が劣ることが懸念される。
繊維状活性炭の原料としては、綿、麻といった天然セルロース繊維の他、レーヨン、ポリノジック、溶剤紡糸法によるといった再生セルロース繊維、さらにはポリビニルアルコール繊維、アクリル系繊維、芳香族ポリアミド繊維、リグニン繊維、フェノール系繊維、石油ピッチ繊維等の合成繊維が挙げられるが、得られる繊維状活性炭の物性(強度等)や吸着性能から再生セルロース繊維、フェノール系繊維、アクリル系繊維が好ましい。繊維状活性炭は、従来公知の方法によって製造されることができるが、例えばこれらの原料繊維の短繊維あるいは長繊維を用いて製織、製編、不織布化した布帛に必要に応じて適当な耐炎化剤を含有させた後、450℃以下の温度で耐炎化処理を施し、次いで500℃以上1000℃以下の温度で炭化賦活することによって製造されることができる。
ガス吸着層の作成方法としては、従来公知の方法を採用することができ、例えばシート基材にガス吸着剤をバインダーにより接着する方法、あるいはガス吸着剤を適当なパルプおよびバインダーを含めスラリー状とし、湿式抄紙機により抄造する方法、あるいはガス吸着剤の原料繊維をあらかじめ製織、製編、不織布化し、必要に応じて耐炎化処理したのち炭化・賦活する方法を採用することができる。
ガス吸着層は、織物、編物、不織布、またはフェルトのいずれかの形態を有することが好ましい。これらのうち織物または編物の形態が通気性、積層の容易性、柔軟性などの面から好ましい。
本発明の吸着シートに用いる保護層としては、織物、編物、不織布、又はこれらの複合材料が挙げられるが、使用目的に応じて適宜選択されることができる。保護層の目的は、外部から与えられる機械的な力から吸着シートを保護すること、吸着シートの機械的強度を補うこと、液状物質の浸透抑制能を確保すること等である。
本発明の吸着シートは、ガス吸着層の両面にそれぞれ保護層を積層するが、各面において異なる保護層の積層方法を採用することを特徴とする。即ち、ガス吸着層の一方の面には無溶剤接着剤を塗布した部分接着によるラミネート加工で保護層を積層し、他方の面にはキルティング加工で保護層を積層することを特徴とする。両面ともに保護層を接着剤により接着したり、全面接着により接着すると、柔軟性、通気性、及び剥離強度が低下したり、接着剤によるガス吸着剤(活性炭)の細孔閉塞が生じ、一方、両面ともに保護層をキルティング加工により積層すると、ミシン針の貫通孔により液体物質の浸透が生じるおそれがある。本発明の吸着シートは、上記のような保護層の積層方法により、ガス状有機化物質だけでなく液状有機化学物質に対しても透過抑制能を持ちながら、高い柔軟性、通気性、及び剥離強度を達成することができる。
本発明の吸着シートは、ガス吸着層と保護層をキルティング加工により一体化して、ガス吸着層に保護層を積層した後、ガス吸着層の保護層が積層されていない面に予め無溶剤接着剤を塗布して部分的に接着した別の保護層の接着剤面を重ねて積層し、この積層体をロールで圧着した後、接着剤を硬化させることにより作成される。
キルティング加工は、従来公知の方法を採用することができ、ポリエステル、ナイロン、綿等のミシン糸が好ましく使用される。液状物質に対する防護性を考慮すると、撥油性ミシン糸を使用することが特に好ましい。
部分接着に用いる無溶剤接着剤としては、特に限定されないが、柔軟性、接着後の剥離強度、通気性、及び吸着性の点で、ウレタン系またはシリコーン系のホットメルトタイプの無溶剤接着剤が好ましい。
部分接着の方法としては、特に限定されないが、柔軟性、通気性等を考慮すると、グラビア方式やスクリーン方式等により非全面のドット状、格子状、スパイラル状、棒状に接着剤を均一に塗布して接着する方法が好ましい。なお、接着剤は、保護層面またはガス吸着層面のいずれでも塗布できるが、ガス吸着性能を考慮すると、保護層面へ塗布することが好ましい。
接着剤の塗工量としては、5g/m以上50g/m以下であることが好ましい。更に好ましくは、10g/m以上40g/m以下である。塗工量が上記範囲未満であると、接着強度の低下の問題が生じ、一方、上記範囲を越えると、柔軟性と通気性が低下する原因となる。
部分接着時の接着面積の割合(ガス吸着層の面積に対する接着剤塗布面積の割合)は5%以上80%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以上70%以下である。割合が上記範囲未満であると、接着強度が低下する問題が発生し、一方、上記範囲を越えると、接着剤の塗工量が大きくなり、部分接着にはなりにくく、柔軟性、通気性が低下する問題が発生する。
グラビア方式もしくはスクリーン方式により部分接着させる場合、使用するグラビアロールまたはスクリーンは、接着面積及び接着剤塗布重量に応じて適宜選択されることができる。グラビア方式の場合には、グラビアの線数により、スクリーン方式の場合には、メッシュ厚みと開口率等によりこれらを任意に設定することが可能である。
本発明の吸着シートにおいてガス吸着層と保護層との接着剤を介した接着界面での剥離強度は、材料の長さ方向と幅方向の両方において0.2N以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.3N以上である。剥離強度が低いと、ガス吸着層と保護層の剥離が生じ、保護層として機能しなくなる問題が発生する。剥離強度の上限は、現実的には10.0Nである。
上記のようにガス吸着層と2つの保護層からなる積層体の質量としては、500g/m以下が好ましく、さらに好ましくは450g/m以下である。積層体の質量が上記範囲を越えると、重量が重く柔軟性に乏しい材料にとなりやすい。質量の下限は、現実的には30g/mである。
ガス吸着層と2つの保護層からなる積層体の厚みとしては、5.0mm以下が好ましく、さらに好ましくは4.0mm以下である。厚みが上記範囲を越えると、積層体のごわつきが大きくなり、吸着シートの加工性が悪くなる。厚みの下限は、現実的には1.5mmである。
ガス吸着層と2つの保護層からなる積層体の柔軟性の指標となる剛軟性は、材料の長さ方向と幅方向の両方において0.05N・cm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.03N・cm以下である。剛軟性が上記範囲を越えると、材料が堅くなり、吸着シートとしての加工が困難になる。剛軟性の下限は、現実的には0.005N・cmである。
ガス吸着層と2つの保護層からなる積層体の通気性としては、50cm/cm・s以上300cm/cm・s以下であることが好ましく、さらに好ましくは100cm/cm・s以上250cm/cm・s以下である。通気性が上記範囲未満では、通気性が劣り、上記範囲を越えると接着が不充分な材料となり、剥離の問題が生じることがある。
ガス吸着層と2つの保護層からなる積層体のトルエン吸着性能(トルエンガス平衡吸着量)としては、20g/m以上であることが好ましい。さらに好ましくは25g/m以上である。トルエン吸着性能が上記範囲未満では、吸着性が劣りガスに対する防護性が劣る結果となる。トルエン吸着性能の上限は、現実的には200g/mである。
ガス吸着層とそれに積層される保護層の数は、ガス吸着層の両面でそれぞれ少なくとも1層必要であるが、機械的強度の大幅な向上を目的としたり、対象ガスが複数にわたるときなどは、ガス吸着層及び保護層をそれぞれ必要枚数重ね合わせて使用することは有効である。
さらには、吸着シートの液状化学物質に対する防護性をより向上させる為には、積層加工を行う前の吸着シートを構成する層の少なくとも1層以上に予め撥水撥油加工を施した材料を使用したり、または、後加工により積層後の吸着シートに撥水撥油加工を施すことが好ましい。撥水撥油加工は従来公知のいかなる方法でもよく、特に限定されるものでない。吸着シートを構成する材料の少なくとも1層が撥水性能2級以上、撥油度2以上であることが好ましい。
次に、実施例および比較例を用いて本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例に記載の評価方法は以下の通りである。
(1)耐ガス浸透性試験:この試験の説明図を図2に示す。内容積350ccの2つのガラスセル(上方セル6と下方セル11)で試験品9を挟み込み、周囲をパラフィン10により密閉する。この試験容器の上方セル6から酢酸3メトキシブチル20μLを試験品9の上に滴下する。これを25±2℃に設定した恒温ボックスに入れ、下方セル11側のガス濃度を所定時間ごと(4,8,12,24,48間経過後)にサンプリング口7からサンプリングし、ガスクロマトグラフィにより試験品9を透過したガス濃度を測定する。
(2)耐液浸透性試験:この試験の説明図を図3に示す。ガラスプレート16上に濾紙15を置き、更にその上に試験品14を置き、試験液13(赤色染料を溶解したサリチル酸メチル)20μLを滴下した。その後、底面積1cmのおもりを荷重1kgf/cmで加圧し、所定時間ごと(4,8,12,24,36,48時間経過後)に濾紙の呈色の程度により液の浸透性を判定した。呈色無しは○、わずかに呈色有りは△、呈色有りは×で表示した。
(3)接着剤の塗布面積の割合(接着剤面積率):接着剤を保護層に塗布して、いったんガス吸着層へ貼り合わせた後、両者を剥がし、画像処理機を用いて塗布後の布帛表面の観察を行った。接着剤が塗布された部分の面積の総和を、保護層とガス吸着層が積層されている領域の全面積で除して接着剤の塗布面積の割合とした。
(4)質量:JIS−L−1018.8.4及びJIS−L−1096.8.4に準拠して測定した。
(5)剛軟性(柔軟性):JIS−L−1096.8.19.2 B法(スライド法)に準拠して測定した。
(6)通気性:JIS−L−1096.8.27.1 A法(フラジール形法)に準拠して測定した。
(7)比表面積:窒素の吸着等温線を求め、これを基にしてBET法により算出した。
(8)ガス平衡吸着量:JIS−K−1477に準拠して測定した。
(9)剥離強度:JIS−L−1089.6.10に準拠し、保護層と接着層の界面での剥離強度を測定した。
ガス吸着層の作製
ガス吸着層として、編物の形態の繊維状活性炭を以下の方法で作製した。単糸繊度2.2dtex、20番手のノボラック系フェノール樹脂繊維紡績糸からなる質量220g/mの丸編物を410℃の不活性雰囲気中で30分間加熱し、次に不活性雰囲気中で880℃まで20分間加熱して炭化を進行させ、次に水蒸気を12容量%含有する雰囲気中で890℃の温度で2時間賦活した。得られたガス吸着層は、質量が125g/m、比表面積が1400m/g、厚さが0.80mm、通気性が水位計1.27cmの圧力差で200cm/cm・s、トルエン吸着性能(トルエンガス平衡吸着量)が53g/mであった。
保護層の作製
保護層として、トリコット編地を以下の方法で作製した。28ゲージ2枚筬トリコット機により、フロント筬にポリエステルフィラメント(82.5dtex、36フィラメント)を、またバック筬にポリエステルフィラメント(22dtex、モノフィラメント)を各々セットして、フロント1−2/1−0、バック1−0/2−3の組織で経編地を編成した後、定法により精練し、更に分散染料により染色した。得られた保護層は、厚さが0.28mm、質量が80g/m、通気性が水位計1.27cmの圧力差で500cm/cm・sであった。
(実施例1)
上記のガス吸着層の一方の面に上記保護層を重ね合わせた後、撥油性ポリエステル糸を用いて2inchピッチでダイヤ柄にキルティング縫合し、2層構造の積層体とした。一方、別の上記の保護層にウレタン系反応性ホットメルト(DIC(株)製、タイフォースH−1041)10g/mをグラビア方式により接着剤面積率が7%となるように塗布した後、上記の2層構造のガス吸着層の他方の面に保護層の接着剤面を重ね合わせて、全材料をロールにて圧着させた。その後、3層構造の積層体を30℃、65%RHの恒温恒湿チャンバーに24hr放置し、硬化処理を行った。そして、さらに積層体を3wt%のフッ素系撥水剤(明成化学工業(株)アサヒガードAG970)の加工浴に浸漬して乾燥した後、170℃で固着処理を施し、撥水剤をバインダー樹脂固形分で0.5wt%付着させた。得られた吸着シートの耐ガス浸透性試験結果、耐液浸透性試験結果、剛軟性(柔軟性)、通気性、及び剥離強度の評価結果をそれぞれ表1から表3に示す。
(実施例2)
保護層の接着剤の塗布においてウレタン系反応性ホットメルト(DIC(株)製、タイフォースH−1041)25g/mをグラビア方式により接着剤面積率が15%となるように変更した以外は、実施例1と同様の方法により吸着シートを作製した。得られた吸着シートの耐ガス浸透性試験結果、耐液浸透性試験結果、剛軟性(柔軟性)、通気性、及び剥離強度の評価結果をそれぞれ表1から表3に示す。
(実施例3)
保護層の接着剤の塗布においてウレタン系反応性ホットメルト(DIC(株)製、タイフォースH−1041)40g/mをグラビア方式により接着剤面積率が21%となるように変更した以外は、実施例1と同様の方法により吸着シートを作製した。得られた吸着シートの耐ガス浸透性試験結果、耐液浸透性試験結果、剛軟性(柔軟性)、通気性、及び剥離強度の評価結果をそれぞれ表1から表3に示す。
(実施例4)
保護層の接着剤の塗布においてウレタン系反応性ホットメルト(DIC(株)製、タイフォースH−1041)40g/mをグラビア方式により接着剤面積率が70%となるように変更した以外は、実施例1と同様の方法により吸着シートを作製した。得られた吸着シートの耐ガス浸透性試験結果、耐液浸透性試験結果、剛軟性(柔軟性)、通気性、及び剥離強度の評価結果をそれぞれ表1から表3に示す。
(実施例5)
保護層の接着剤の塗布においてウレタン系反応性ホットメルトの代わりにシリコーン系シーリング剤(信越化学工業(株)製、KE−45)を使用し、このシリコーン系シーリング剤25g/mをグラビア方式により接着剤面積率が15%となるように変更したこと、さらに硬化処理を30℃、65%RHの恒温恒湿チャンバーの代わりに180℃での2分間乾燥により行ったこと以外は、実施例1と同様の方法により吸着シートを作製した。得られた吸着シートの耐ガス浸透性試験結果、耐液浸透性試験結果、剛軟性(柔軟性)、通気性、及び剥離強度の評価結果をそれぞれ表1から表3に示す。
(実施例6)
保護層の接着剤の塗布においてウレタン系反応性ホットメルトの代わりに水分散ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製、バイロナールMD−1200)を使用し、この水分散ポリエステル樹脂25g/mをグラビア方式により接着剤面積率が15%となるように変更したこと、さらに硬化処理を30℃、65%RHの恒温恒湿チャンバーの代わりに150℃での5分間乾燥により行ったこと以外は、実施例1と同様の方法により吸着シートを作製した。得られた吸着シートの耐ガス浸透性試験結果、耐液浸透性試験結果、剛軟性(柔軟性)、通気性、及び剥離強度の評価結果をそれぞれ表1から表3に示す。
(比較例1)
保護層の接着剤の塗布においてウレタン系反応性ホットメルト(DIC(株)製、タイフォースH−1041)3g/mをグラビア方式により接着剤面積率が4%となるように変更した以外は、実施例1と同様の方法により吸着シートを作製した。得られた吸着シートの耐ガス浸透性試験結果、耐液浸透性試験結果、剛軟性(柔軟性)、通気性、及び剥離強度の評価結果をそれぞれ表1から表3に示す。
(比較例2)
保護層の接着剤の塗布においてウレタン系反応性ホットメルト(DIC(株)製、タイフォースH−1041)55g/mをグラビア方式により接着剤面積率が40%となるように変更した以外は、実施例1と同様の方法により吸着シートを作製した。得られた吸着シートの耐ガス浸透性試験結果、耐液浸透性試験結果、剛軟性(柔軟性)、通気性、及び剥離強度の評価結果をそれぞれ表1から表3に示す。
(比較例3)
保護層の接着剤の塗布においてウレタン系反応性ホットメルトの代わりに溶剤型接着用ウレタン樹脂(DIC(株)製、クリスボン)を使用し、この溶剤型接着用ウレタン樹脂25g/mをグラビア方式により接着剤面積率が15%となるように変更したこと、さらに硬化処理を30℃、65%RHの恒温恒湿チャンバーの代わりに150℃での5分間乾燥により行ったこと以外は、実施例1と同様の方法により吸着シートを作製した。得られた吸着シートの耐ガス浸透性試験結果、耐液浸透性試験結果、剛軟性(柔軟性)、通気性、及び剥離強度の評価結果をそれぞれ表1から表3に示す。
(比較例4)
保護層の接着剤の塗布においてウレタン系反応性ホットメルト(DIC(株)製、タイフォースH−1041)25g/mをコンマコーターにより接着剤面積率が100%(全面塗布)となるように変更した以外は、実施例1と同様の方法により吸着シートを作製した。得られた吸着シートの耐ガス浸透性試験結果、耐液浸透性試験結果、剛軟性(柔軟性)、通気性、及び剥離強度の評価結果をそれぞれ表1から表3に示す。
(比較例5)
上記の保護層にウレタン系反応性ホットメルト(DIC(株)製、タイフォースH−1041)25g/mをグラビア方式により接着剤面積率が15%となるように塗布したものを2枚用意し、上記のガス吸着層の両面にこれらの保護層の接着剤面をそれぞれ重ね合わせて全材料をロールにて圧着させて3層構造の積層体を作成した以外は、実施例1と同様の方法により吸着シートを作製した。得られた吸着シートの耐ガス浸透性試験結果、耐液浸透性試験結果、剛軟性(柔軟性)、通気性、及び剥離強度の評価結果をそれぞれ表1から表3に示す。
(比較例6)
上記のガス吸着層の両面に上記の保護層をそれぞれ重ね合わせた後、撥油性ポリエステル糸を用いて2inchピッチでダイヤ柄にキルティング縫合することによって3層構造の積層体を作成した以外は、実施例1と同様の方法により吸着シートを作製した。得られた吸着シートの耐ガス浸透性試験結果、耐液浸透性試験結果、剛軟性(柔軟性)、通気性、及び剥離強度の評価結果をそれぞれ表1から表3に示す。
表1〜3の結果から明らかなように、実施例1〜6の吸着シートは、耐ガス浸透性、耐液浸透性、剛軟性(柔軟性)、通気性、及び剥離強度の全てにおいて良好であるのに対して、比較例1の吸着シートは、剥離強度が低く、比較例2の吸着シートは、剛軟性、通気性が低く、比較例3の吸着シートは、耐ガス浸透性が低く、比較例4の吸着シートは、剛軟性、通気性が低く、比較例5の吸着シートは、剛軟性が低く、比較例6の吸着シートは、耐液浸透性が低く、比較例1〜6の吸着シートは、いずれかの評価項目で実施例のものよりも劣るものであった。
本発明の吸着シートは、ガス状有機化学物質だけでなく液状有機化学物質に対しての透過抑制能を維持しながら、柔軟性、通気性、及び剥離強度にも優れるので、防護衣料等の防護材料の業界に寄与することが大である。
1 :保護層
2 :部分接着層
3 :ガス吸着層
4 :保護層
5 :キルティング糸
6 :上方セル
7 :サンプリング口
8 :試験液
9 :試験品
10:パラフィン
11:下方セル
12:おもり
13:試験液
14:試験品
15:濾紙
16:ガラスプレート

Claims (5)

  1. ガス吸着層の一方の面に無溶剤接着剤を塗布した部分接着によるラミネート加工で保護層を積層し、他方の面にキルティング加工で保護層を積層した吸着シートであって、吸着シートの通気性が50cm /cm ・s以上300cm /cm ・s以下であること、部分接着に使用する無溶剤接着剤の質量が5g/m以上50g/m以下であること、及び保護層が織物、編物、不織布、又はこれらの複合材料であることを特徴とする吸着シート。
  2. ガス吸着層が織物、編物、不織布、またはフェルトのいずれかの形態を有することを特徴とする請求項1に記載の吸着シート。
  3. 無溶剤接着剤がウレタン系接着剤またはシリコーン系接着剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の吸着シート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の吸着シートを用いたことを特徴とする防護材料。
  5. 防護材料が防護衣服であることを特徴とする請求項4に記載の防護材料。
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