JP6759681B2 - 防護シート、当該防護シート用いた防護衣材料、防護衣服、および防護用品 - Google Patents

防護シート、当該防護シート用いた防護衣材料、防護衣服、および防護用品 Download PDF

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Description

本発明は、はっ水はつ油性に優れ、加圧耐液浸透性に優れたシートに関する。さらに詳しくは、有機リン系化合物等のような皮膚から吸収されて人体に悪影響を及ぼす液状有機化学物質から作業者を有効に防護し得る防護シートに関する。
特許文献1には、はっ水性を有するミシン糸として、ミシン糸を構成する繊維糸の表面より外側に向かってはっ水、はつ油処理、ワックス処理、シリコン処理を施したミシン糸が提案されているが、液状有機化学物質の耐液防護性について詳細に言及されていない。
特許文献2には、シリコン系平滑剤が上糸に塗布されたはっ水はつ油性ミシン糸でキルティング加工したシート材料が例示されている。 しかし、テロメリゼーションによって炭素数が8以上のパーフルオロアルキル基を含有する化合物が、分解または代謝によりPerfluoro−octanoic acid(以下、PFOAと略す)を生成する可能性があると公表(EPA OPPT FACT SHEET April 14,2003)されている点を考慮し、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を有するはっ水はつ油剤を適用する場合に、シリコン系平滑剤によりはっ水はつ油性が低くなることが懸念される問題がある。
特開昭59−192739号公報 特開2005−262515号公報
本発明は従来技術の課題を背景になされたもので、その目的は、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を有するはっ水はつ油剤を使用した場合でもはっ水はつ油に優れ、耐液浸透性に優れた防護シートを提供することにある。さらに詳しくは、有機リン系化合物等のような皮膚から吸収されて人体に悪影響を及ぼす液状有機化学物質から作業者を有効に防護し得る防護シート等を提供することにある。
本発明は上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)ガス吸着層の少なくとも一方に保護層を縫製糸によりキルティング加工した防護シートであって、前記ガス吸着層および前記保護層には、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系はっ水はつ油剤が塗布されており、前記縫製糸表面のESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)測定での珪素検出量が10atom%以下であることを特徴とする防護シート。
(2)前記縫製糸には炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系はっ水はつ油剤が塗布されている請求項1に記載の防護シート。
(3)当該防護シートの表面のESCA測定での珪素検出量が5atom%以下である(1)または(2)に記載の防護シート。
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の防護シート用いた防護衣材料。
(5)(4)に記載の防護衣材料を用いた防護衣服。
(6)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の防護シート用いた防護用品。
本発明による防護シートは、初期及び経時のはっ水はつ油性に優れ、加圧耐液浸透性に優れる。そのため、有機リン系化合物等のような皮膚から吸収されて人体に悪影響を及ぼすガス状および液状有機化学物質から作業者を有効に防護し得る防護シートを提供することが可能となる。
本発明の一実施形態の防護シートの断面図である。 加圧耐液浸透性試験方法を示した概略図である。 実施例の縦編地の組織図である。
以下、本発明について実施形態を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態の防護シート5の断面図である。図1に示すように、防護シート5は、第1保護層1、ガス吸着層2、第2保護層3を備え、ガス吸着層2の一方の面に第1保護層1が、他方の面に第2保護層3が積層されている。このように保護シート5には、その両面に保護層を備えているが、片面にのみ保護層を備えていてもよい。また、保護層の層数も限定されない。
ガス吸着層2は、ガスを吸着する吸着材を含むあるいはガスを吸着する吸着材か成る層であり、ガス吸着層2に使用する吸着材としては、活性炭やカーボンブラックなどの炭素系吸着材、または、シリカゲル、ゼオライト系吸着材、炭化ケイ素、活性アルミナなどの無機系吸着材から対象とする被吸着物質に応じ適宜選定することができる。中でも広範囲な種類のガスに対応できる活性炭は好ましく、特に吸着速度や吸着容量が大きく少量の使用で効果的なガス透過抑制能が得られること、防護シート5を衣服材料として利用する場合の取り扱い性等から繊維状活性炭がより好ましい。ガス吸着層2の形状としては、織物、編物、不織布等のシート状が好ましい。
ここでいうガスとは炭素元素を1つ以上持つガス状化合物のことである。50以上の比較的大きな分子量をもち、活性炭等のガス吸着層が吸着可能なガス状化学物質である。一例を挙げると、農薬、殺虫剤、除草剤に使用される有機リン系化合物や塗装作業などに使用されるトルエン、塩化メチレン、クロロホルムなどの一般的な有機溶剤が挙げられる。
ガス吸着層2に繊維状活性炭を使用する場合、その繊維状活性炭のBET比表面積としては700m/g以上3000m/g以下であることが好ましく、少量の使用で十分なガス透過抑制能を得るためには、1000m/g以上2500m/g以下であることがより好ましい。BET比表面積が700m/g未満であると十分な防護性を得るために多くの活性炭が必要となり材料が重くなり、柔軟性が劣ることが懸念される。一方、3000m/gを超えると吸着したガス状有機化学物質を脱離する問題が起こる場合がある。
ガス吸着層2に繊維状活性炭を使用する場合、その繊維状活性炭の質量としては10g/m以上300g/m以下であることが好ましく、20g/m以上200g/m以下であることがより好ましい。10g/m未満であると、吸着できるガス容量が少なくなり使用時間が制限される。一方300g/mを超えると吸着シートの柔軟性が劣ることが懸念される。
少量の吸着材の使用で効果的なガス透過抑制能を得るために、繊維状の活性炭を使用する方法は有効な手段である。使用する繊維状活性炭の原料としては、綿、麻といった天然セルロース繊維の他、レーヨン、ポリノジック、溶剤紡糸法によるといった再生セルロース繊維、さらにはポリビニルアルコール繊維、アクリル系繊維、芳香族ポリアミド繊維、リグニン繊維、フェノール系繊維、石油ピッチ繊維等の合成繊維が挙げられるが、得られる繊維状活性炭の物性(強度等)や吸着性能から、再生セルロース繊維、フェノール系繊維、アクリル系繊維が好ましい。これらの原料繊維の短繊維または長繊維を用いて製織、製編、不織布化した布帛を必要に応じて適当な耐炎化剤を含有させた後、450℃以下の温度で耐炎化処理を施し、次いで500℃以上1000℃以下の温度で炭化賦活する公知の方法によって繊維状活性炭を製造することができる。
繊維状活性炭をシート化する方法としては、シート基材に繊維状活性炭をバインダーにより接着する方法、または繊維状活性炭を適当なパルプおよびバインダーを含めスラリー状とし、湿式抄紙機により抄造する方法、繊維状活性炭の原料繊維をあらかじめ製織、製編、不織布化し、必要に応じて耐炎化処理したのち炭化・賦活する公知の方法により繊維状活性炭シートを得ることができる。
繊維状活性炭の形態としては、織物状、編物状、不織布状、フェルト状等が挙げられるが、通気性、積層の容易性、柔軟性などの面から、織物状または編物状であることが好ましい。
第1保護層1および第2保護層3としては、織物、編物、不織布、多孔、開孔フィルムまたはこれらの複合材料等が挙げられるが、使用目的に応じて適宜選定することが可能である。第1保護層1および第2保護層3の目的は、外部から与えられる機械的な力からガス吸着層2を保護すること、またガス吸着層2の機械的強度を補うこと、活性炭をガス吸着層2に使用した際に生じる粉塵を抑制することである。よって、第1保護層1および第2保護層3の積層の枚数および積層箇所については、使用目的に応じてそれぞれ適宜選定することが可能である。
ガス吸着層2と第1保護層1および第2保護層3とは、耐液浸透性を付加するために、はっ水はつ油処理(はっ水はつ油剤加工)を施すことが必要である。はっ水はつ油処理は従来公知のいかなる方法でもよく、特に限定されるものでない。ガス吸着層2、第1保護層1および第2保護層3は、JIS L 1092(2009) 7.2に記載の方法によるはっ水度試験(スプレー試験)ではっ水度が2級以上、AATCC Test Method 118法によるはつ油度が3級以上であることが好ましい。
ガス吸着層2と第1保護層1および第2保護層3とに使用するはっ水はつ油剤は、はっ水性、はつ油性および経時的なはつ油性能の安定性を考慮すると、フッ素系のはっ水はつ油剤が好ましい。フッ素系はっ水はつ油剤については、これまで使用されてきたPFOA含有の炭素数が8のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系はっ水はつ油剤ではなく、PFOAフリー化された炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系はっ水はつ油剤を使用する。
ガス吸着層2と第1保護層1および第2保護層3との積層手段としては、粉体、流体または不織布状ホットメルト等の接着剤による貼り合わせ、全層をキルティング加工により積層、または接着剤とキルティング加工を併用する方法が挙げられる。本発明では、上記の積層手段の中でも、柔軟性、通気性、質量等を考慮し、ガス吸着層2と第1保護層1および第2保護層3とを少なくともキルティング加工により積層する方式が含まれていることが望ましい。なお、全層を接着剤によりラミネート加工した場合には、柔軟性および通気性が低下すること、接着剤による吸着材の細孔閉塞が懸念される。
ガス吸着層2と第1保護層1および第2保護層3とのキルティング加工に使用する縫製糸4の原糸原料は、特に限定されるものではないが、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂からなる繊維が好適に使用でき、中でも縫製性、コスト等を考慮するとポリエステルからなる繊維が好ましい。
縫製糸4は、以下ではミシン糸として説明するが、手縫い糸であってもよい。また、ミシン糸である場合、それを用いるミシンは特に限定されず、家庭用でも工業用でもよい。
原糸形態としては、スパン糸またはフィラメント糸が挙げられ、必要な強度等から適宜選定することが可能である。スパン糸は、ポリエステル短繊維を紡績して得られるミシン糸であって、ミシン糸表面に毛羽を有しており、この毛羽が縫製中の磨耗、解撚、熱を抑制するので高い可縫性が得られる。
一方で、フィラメント糸は、高強度でミシン糸外観が綺麗と言う長所があり、近年、ミシン糸はポリエステルフィラメント糸が主流になっている。また、フィラメント糸としては、モノフィラメントまたはマルチフィラメントのいずれも用いることが可能であるが、可縫性の観点よりマルチフィラメントを用いることが好ましい。
本発明に用いる原糸は、スパン糸、フィラメント糸いずれも好ましく使用できる。中でも、はっ水はつ油処理した後のはっ水はつ油性を考慮すると、フィラメント糸よりも含気率の高いスパン糸を好適に用いることができる。
本発明に用いるスパン糸は、30番手以上180番手以下が好ましく、50番手以上150番手以下がより好ましい。上記範囲を超えると強度が劣り、上記範囲未満であるとミシン目の品位が劣ることがある。
一方で、フィラメント糸の繊度については、マルチフィラメントを用いる場合には、フィラメント数は12以上100以下であることが好ましく、総繊度は、120dtex以上700dtex以下が好ましく、150dtex以上500dtex以下がより好ましい。スパン糸と同様に繊度が上記範囲未満では、強度が劣り、上記範囲を超えるとミシン目の品位が劣ることがある。
これらのミシン糸にははっ水はつ油処理を施すことが必要である。使用するはっ水はつ油剤としては、高いはっ水はつ油性を発現させるためには、フッ素系はっ水はつ油剤の使用が好ましい。なお、フッ素系はっ水はつ油剤については、これまで使用されてきたPFOA含有の炭素数が8のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系はっ水はつ油剤ではなく、PFOAフリー化された炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系はっ水はつ油剤の使用が好ましい。
ミシン糸のはっ水はつ油処理については、チーズやかせで前処理する方法またはキルティング加工後にスプレーやディップ加工する後加工等のいずれの方法で構わないが、はっ水はつ油処理剤の均一付与を考慮すると、あらかじめ糸へはっ水はつ油処理行う前処理法が好ましい。
ミシン糸のはっ水はつ油処理については、糸を所定濃度に調整したはっ水はつ油剤浴中へ浸漬後、所定の付着量となるようにディップ後、マングルによりニップする方法、または遠心脱水機により所定の付着量とする方法等が挙げられる。
はっ水はつ油剤を付与後には、50℃以上の温度で数分から数時間処理する加熱処理することが好ましく、70℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。加熱処理することでより高いはっ水はつ油性能を得ることができ、高い加圧耐液浸透性能が発現できる。
ミシン糸のはっ水はつ油剤の付着量としては、0.2%owf以上30%owf以下であることが好ましく、1%owf以上20%owf以下であることがより好ましい。はっ水はつ油剤の付着量が、0.2%owf未満では、十分なはっ水はつ油性能が得られず、30%owfを超えると、糸が硬くなり、柔軟性が劣りさらには可縫性が悪くなる原因となる。また、加工剤コストも高くなる。
ミシン糸は、はっ水はつ油処理後にキルティング加工性の面で平滑剤を付着させることが好ましい。平滑剤を付着させる場合には、かせでも、かせ繰り後の巻き上がりで付与しても構わない。使用する平滑剤としては、非シリコン系のポリエチレン系エマルジョン、ポリアルキレングリコール系化合物およびパラフィンワックス等が好ましい。その中でも、キルティング性とはっ水はつ油性の両面よりパラフィンワックスが好適に使用される。平滑剤の選定においては、はっ水はつ油性および加圧耐液性能発現メカニズムとの関係により、加熱により軟化または融解する物質が好ましい。
平滑剤の付着方法は、あや巻き時に行うローラーオイリングやチーズまたはかせで行う浸漬オイリングまたは両方法を併用する方法が挙げられる。一方、パラフィンワックスなどの固体状の平滑剤については、直接糸へ塗りつけることによりミシン糸へ平滑剤を付与することができる。
平滑剤のミシン糸への付着量は、0.1%owf以上3%owf以下であることが好ましく、0.3%owf以上2%owf以下であることがより好ましい。はっ水はつ油剤の付着量が、0.1%owf未満では、十分な滑り性が発現せず可縫性が劣る結果となり、3%owfを超えると、はっ水はつ油性の低下を招くことが懸念される。
上記のミシン糸を使用したガス吸着層2と第1保護層1および第2保護層3とのキルティング加工については、公知の方法により行うことができ、キルティングのパターンや柄、打ち込み密度等は任意に設定できるものである。
本発明のミシン糸表面のESCA分析測定での珪素検出量は10atom%以下であり、5atom%以下であることが好ましい。珪素検出量が10atom%を超えるミシン糸では、AATCC Test Method 118法によるはつ油度が3級未満となり、さらには、1ヶ月後のはつ油性が1級以下まで低下する懸念がある。
本発明のミシン糸表面のESCA測定での珪素検出量を上記範囲とする方法としては、かせやチーズなどの糸状の状態でバッチ法により精練する方法がある。精練には、通常使用される精練剤を使用する方法や熱水による方法などが使用可能である。いずれの方法によっても、ESCA測定での珪素検出量が10atom%以下となるように精練を実施することが必要である。
ガス吸着層2と第1保護層1および第2保護層3とをミシン糸によりキルティング加工した本発明の防護シート5は、ESCA測定での、珪素検出量は、5atom%以下であることが好ましく、3atom%以下であることがより好ましい。珪素検出量が5atom%を超える防護シートは、AATCC Test Method 118法によるはつ油度が2級以下となり、さらには、1ヶ月後のはつ油性が0級まで低下する懸念がある。
防護シート5のESCA測定での珪素検出量を上記範囲とする方法としては、縫製糸4に前記ミシン糸を使用し、ガス吸着層2と第1保護層1および第2保護層3とをバッチ法や連続法により精練する方法や各層をシート状の層構造にする以前の原料である繊維をカセやチーズなどの糸状の状態でバッチ法により精練する方法がある。精練には、通常使用される精練剤を使用する方法や熱水による方法などが使用可能である。いずれの方法によっても、防護シート5のESCA測定での珪素検出量が5atom%以下となるように精練を実施することが必要である。
本発明の防護シート5は、防護衣材料に用いることができ、その防護衣材料、その防護衣材料を用いた防護衣服も本発明の範囲に含まれる。また、本発明の防護シートは、シェルター、手袋、靴下、靴、ヘルメット、カバー、ミット等の防護用品に用いることができ、その防護用品も本発明の範囲に含まれる。
次に実施例および比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、実施例および比較例に記載の評価は以下に記す方法による。
(1)耐液浸透性
耐液浸透性についての試験の概略図を図2に示す。ガラスプレート8上に濾紙7を置き、さらにその上へ、防護シート5を重ね置き、液状化学物質(赤色染料を溶解したテトラデカン)10μLを縫製糸(ミシン糸)4上へ滴下した。その後、底面積1cmのおもり6を所定荷重1kgf/cmで加圧し、加圧後10hr後の濾紙7の着色により液の浸透性を判定した。加圧耐液浸透性能において濾紙への呈色が無いものを良好(○)と判定し、呈色したものを不良(×)と判定した。
(2)はつ油度
AATCC Test Method 118法により測定した。
(3)はつ油度の経時変化
はつ水はつ油処理後1ヶ月経過品をAATCC Test Method 118法により測定した。
(4)はっ水度
JIS L1092(2009)に記載の7.2スプレー試験により測定した。
(5)珪素検出量
アルバック・ファイESCA5801MCを用いて、全元素スキャンを行い、その後検出された元素と存在が予想される元素についてナロースキャンを行い、存在比(atom%)を評価した。
<ガス吸着層の作製>
ガス吸着層として編物状活性炭を以下の方法で作製した。単糸2.2dtex、20番手のノボラック系フェノール樹脂繊維紡績糸からなる質量220g/mの丸編物を410℃の不活性雰囲気中で30分間加熱し、次に880℃まで20分間、不活性雰囲気中で加熱し炭化を進行させ、次に水蒸気を12容量%含有する雰囲気中、890℃の温度で2時間賦活した。得られた編物状活性炭の質量は、125g/m、比表面積1400m/g、厚さ0.80mm、通気性は水位計1.27cmの圧力差で200cm/cm・s、トルエンガス平衡吸着量は53g/m、はっ水度は4級、はつ油度は5級であった。
<保護層Aの作製>
保護層Aとしてトリコット編地を以下の方法で作製した。28ゲージ2枚筬トリコット機により、フロント筬にポリエステルフィラメント(82.5dtex、36フィラメント)を、またバック筬にポリエステルフィラメント(22dtex、モノフィラメント)を各々セットして、フロント1−2/1−0、バック1−0/2−3の組織で経編地を編成後、定法により精練し、さらに分散染料により染色した。このようにして得られた編地は、厚さ0.28mm、質量40g/m、通気性は水位計1.27cmの圧力差で500cm/cm・s、はっ水度は4級、はつ油度は5級であった。
<保護層Bの作製>
保護層Bは、以下のように作製した。22ゲージ6枚筬ダブルラッセル機により、地糸としてポリエステルフィラメント糸(56dtex、24フィラメント)を、またパイル糸としてナイロンフィラメント(178dtex、モノフィラメント)をそれぞれ供給し、図3に示す組織および糸配列で経編地を編成後、半裁しカットパイルとした。該編地のパイル先端部を熱溶融し球状物を形成した後、フッ素はっ水はつ油処理を施し、樹脂固形分で2.0重量%付着させた。このようにして得られた編地は、無加圧時(7gf/cm)厚み1.30mm、加圧時(1kgf/cm)厚み0.73mm、目付166g/m、見掛比重0.13、剛軟度0.008N・cmで、通気性は水位計1.27cmの圧力差で400cm/cm・s、はっ水度は4級、はつ油度は5級であった。
<実施例1>
まず、実施例1ではミシン糸を以下のように作製した。原糸は、ポリエステルマルチフィラメント(265dtex、144フィラメント)をかせ繰り機により500gのかせとした。その後、黒色分散染料によりかせ染めを行い、精練、乾燥処理を行った。そのかせ糸のESCA測定での珪素検出率は、0.4atom%であった。次いで、そのかせを5wt%フッ素系はっ水はつ油剤(日華化学株式会社製 NKガードS−11 PFOAフリー)浴に浸漬後、100℃で乾燥処理を行い、さらに150℃まで温度を上げてキュアを施した。次いで、平滑剤として5wt%ポリアルキレングリコール系平滑剤(三洋化成工業社製 50HB−400)浴に浸漬後、ウエットピックアップ20wt%になるように絞り、その後100℃で2時間乾燥させた。その後、かせ繰りを行い、あや巻き機にてボビンに巻き上げてミシン上糸とした。さらに、ミシン糸を家庭用ミシン(ブラザー製)によりボビンに巻き上げて下糸とした。
前記のガス吸着層の両面に保護層Aおよび保護層Bを重ね合わせた後、2inchピッチで上記作製したミシン糸を用いて、家庭用ミシンにてストレート柄にキルティング縫合し、3層構造の防護シートを得た。この防護シートに精錬加工を行い、その後、5wt%フッ素系はっ水はつ油剤(日華化学株式会社製 NKガードS−11 PFOAフリー)の加工浴に防護シートを浸漬し、生地ウエットピックアップ80wt%となるように絞り、100℃で乾燥処理後、170℃でキュアリング処理を施した。つまり、ミシン糸は、糸の加工時点と、シートの加工時点との2回、はっ水はつ油剤で加工された。
得られたミシン糸のESCA測定での珪素検出率、加工初期はつ油度と加工1ヶ月経過後のはつ油度、および防護シートのESCA測定での珪素検出率と加圧耐液浸透性を表1に示す。なお、糸についての測定は、キルティング後の糸目を評価した。
<実施例2>
まず、実施例2ではミシン糸を以下のように作製した。原糸は、ポリエステル100%紡績糸(#120 80/2)をかせ繰り機により500gのかせとした。その後、黒色分散染料によりかせ染めを行い、精練、乾燥処理を行った。そのかせ糸のESCA測定での珪素検出率は、0.5atom%であった。次いで、5wt%フッ素系はっ水はつ油剤(日華化学株式会社製 NKガードS−11 PFOAフリー)の加工浴に浸漬後、100℃で乾燥処理を行い、さらに150℃まで温度を上げてキュアを施した。次いで、平滑剤としてパラフィン系ワックスをローラーオイリングで糸に対して1%owf固着させた。
その後、かせ繰りを行い、あや巻き機にてボビンに巻き上げてミシン上糸とした。さらに、上記ミシン糸を家庭用ミシン(ブラザー製)によりボビンに巻き上げて下糸とした。
上記のように作製したミシン糸を使用した以外は、実施例1と同様とし、防護シートを得た。
得られたミシン糸のESCA測定での珪素検出率、加工初期はつ油度と加工1ヶ月経過後のはつ油度、および防護シートのESCA測定での珪素検出率と加圧耐液浸透性とを表1に示す。
<実施例3>
まず、実施例3ではミシン糸を以下のように作製した。原糸は、ポリエステルマルチフィラメント(265dtex、144フィラメント)をかせ繰り機により500gのかせとした。その後、黒色分散染料によりかせ染めを行い、精練、乾燥処理を行った。そのかせ糸のESCA測定での珪素検出率は、5atom%であった。次いで、そのかせ糸に、はっ水はつ油処理および平滑剤処理を実施例1と同様にして、ミシン糸を得た。そして、この得られたミシン糸を使用した以外は、実施例1と同様とし、防護シートを得た。
得られたミシン糸のESCA測定での珪素検出率、加工初期はつ油度と加工1ヶ月経過後のはつ油度、および防護シートのESCA測定での珪素検出率と加圧耐液浸透性とを表1に示す。
<実施例4>
まず、実施例4ではミシン糸を以下のように作製した。原糸は、ポリエステル100%紡績糸(#120 80/2)をかせ繰り機により500gのかせとした。その後、黒色分散染料によりかせ染めを行い、精練、乾燥処理を行った。そのかせ糸のESCA測定での珪素検出率は、8atom%であった。次いで、そのかせ糸に、はっ水はつ油処理および平滑剤処理を、実施例2と同様にしてミシン糸を得た。そして、そして、この得られたミシン糸を使用した以外は、実施例2と同様とし、防護シートを得た。
得られたミシン糸のESCA測定での珪素検出率、加工初期はつ油度と加工1ヶ月経過後のはつ油度、および防護シートのESCA測定での珪素検出率と加圧耐液浸透性とを表1に示す。
<参考例>
参考例では、ミシン糸の製造に使用するはっ水はつ油剤及び防護シートへ処理するはっ水はつ油剤を、フッ素系はっ水はつ油剤である旭硝子株式会社製「AG−7105」(PFOA含有)を使用した以外は、実施例1と同様の方法でミシン糸および防護シートを作製した。得られたミシン糸のESCA測定での珪素検出率、加工初期はつ油度と加工1ヶ月経過後のはつ油度、および防護シートのESCA測定での珪素検出率と加圧耐液浸透性とを表1に示す。
<比較例1>
まず、比較例1ではミシン糸を以下のように作製した。原糸は、ポリエステルマルチフィラメント(265dtex、144フィラメント)をかせ繰り機により500gのかせとした。その後、黒色分散染料によりかせ染めを行い、精練、乾燥処理を行った。そのかせ糸のESCA測定での珪素検出率は、12atom%であった。次いで、そのかせ糸に、はっ水はつ油処理および平滑剤処理を、実施例1と同様にしてミシン糸を得た。そして、この得られたミシン糸を使用した以外は、実施例1と同様とし、防護シートを得た。
得られたミシン糸のESCA測定での珪素検出率、加工初期はつ油度と加工1ヶ月経過後のはつ油度、および防護シートのESCA測定での珪素検出率と加圧耐液浸透性とを表1に示す。
<比較例2>
ミシン糸のはっ水はつ油処理時にシリコン系はっ水はつ油剤(日華化学社製 ドライポン600E)を使用した以外は、実施例1と同様とし、ミシン糸および防護シートを得た。
得られたミシン糸のESCA測定での珪素検出率、加工初期はつ油度と加工1ヶ月経過後のはつ油度、および防護シートのESCA測定での珪素検出率と加圧耐液浸透性とを表1に示す。
<比較例3>
ミシン糸の平滑剤処理時にシリコン系はっ水はつ油剤(松本油脂製薬社製 TM−81)を使用した以外は、実施例1と同様とし、ミシン糸および防護シートを得た。
得られたミシン糸のESCA測定での珪素検出率、加工初期はつ油度と加工1ヶ月経過後のはつ油度、および防護シートのESCA測定での珪素検出率と加圧耐液浸透性とを表1に示す。
表1から、実施例1〜4の防護シートは、はつ油性の安定性に優れ、耐液浸透性に優れる好適な結果あるのに対し、比較例1〜3の防護シートは、実施例の防護シートよりもはつ油性も耐液浸透性も劣る結果であることがわかる。
本発明の防護シートは、液状の有機化学物質に対しての高い透過抑制能を有するものであり、シェルター、衣服、手袋、靴下、靴、ヘルメット、カバー等に使用される防護シートであり、産業界に寄与することが大である。
1:第1保護層
2:ガス吸着層
3:第2保護層
4:縫製糸(ミシン糸)
5:防護シート
6:おもり(1kg/cm
7:濾紙
8:ガラスプレート

Claims (5)

  1. ガス吸着層の少なくとも一方に保護層を縫製糸によりキルティング加工した防護シートであって、
    前記ガス吸着層前記保護層、および縫製糸には、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系はっ水はつ油剤が塗布されており、前記縫製糸表面のESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)測定での珪素検出量が10atom%以下であることを特徴とする防護シート
  2. 当該防護シート表面のESCA測定での珪素検出量が5atom%以下である請求項に記載の防護シート。
  3. 請求項1または2に記載の防護シート用いた防護衣材料。
  4. 請求項に記載の防護衣材料を用いた防護衣服。
  5. 請求項1または2に記載の防護シート用いた防護用品。
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