以下、実施形態に係るシート取付装置、電線加工装置及びスプライス部を含む電線モジュールの製造方法について説明する。
<電線の止水中間スプライス部>
スプライス部20を含む電線モジュール10について説明する。図1はスプライス部20を含む電線モジュール10を示す概略斜視図である。
この電線モジュール10は、複数の電線22と、スプライス部20と、止水剤40と、シート30とを備える。
電線22は、芯線部26と、被覆部24の周囲を覆う被覆部24とを備える。被覆部24は、芯線部26の周囲に絶縁樹脂を押出被覆することによって形成されている。
スプライス部20は、電線22の長手方向中間部において部分的に被覆部24を除去して芯線部26を露出させ、この芯線部26に他の電線22の芯線部26を接合したものである。他の電線22の芯線部26は、当該電線22の長手方向中間部において露出しているものであってもよいし、当該電線22の端部に露出しているものであってもよい。ここでは、後者の例で説明する。また、電線22は複数本であればよい。芯線部26同士の接合は、抵抗溶接、超音波溶接、レーザ溶接等により、又は、中間圧着端子を圧着すること等により行われる。本実施形態では、スプライス部20が加工対象箇所である。
止水剤40は、上記スプライス部20周り、特に、スプライス部20に露出する芯線部26の外周表面と、電線22の長手方向において芯線部26の両側の被覆部24の外周表面に行渡るように存在している。特に、止水剤40は、露出した芯線部26の長手方向において両側で、複数の電線22の被覆部24間に充填状に行渡るように存在していることが好ましい。この止水剤40は、スプライス部20に供給される段階では、上記のようにスプライス部20の各部に行渡ることができる程度の流動性を有する液状である。そして、止水剤40がスプライス部20に供給された後、硬化する。
この止水剤40としては、上記のような流動性を有する液状で塗布した後に、光の照射によって硬化可能な光硬化剤が用いられる。より具体的には、光硬化剤として、光硬化樹脂、例えば、光重合開始剤を含む紫外線(ultraviolet)硬化性樹脂等が用いられる。
もっとも、後に説明する硬化用光照射装置を用いない構成を前提とすると、止水剤40としては、その他、熱により硬化する樹脂等が用いられてもよい。
シート30は、スプライス部20に供給されて硬化した止水剤40の表面に密着した状態で、少なくとも当該止水剤40を覆っている。
すなわち、スプライス部20に硬化前の止水剤40が付着した状態で、その止水剤40を封止するように、封止部材としてのシート30がスプライス部20に巻付けられている。ここでは、シート30は、スプライス部20に付着する止水剤40を覆うように二つ折り状に巻付けられ、さらに、スプライス部20から延出する部分がスプライス部20周りに巻付けられている。これにより、硬化前の状態で、止水剤40は、スプライス部20を覆うように封止される。
また、止水剤40が硬化した状態では、シート30は、当該硬化した止水剤40の表面の凹凸形状に追随して変形し、硬化した止水剤40の表面に密着している。
なお、シート30は、スプライス部20及び止水剤40周りに巻付けられる途中及び巻付けた後の状態で、当該巻付状態を維持できるように、自己密着性を有していることが好ましい。具体的には、シート30としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン及びポリフッ化ビニリデンなどのオレフィン系樹脂のラップシート、或は、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどの汎用樹脂のラップシートを用いることができる。
また、シート30としては、止水剤40を硬化させる光を透過可能なものが用いられる。つまり、止水剤40としてUV硬化性樹脂を用いる場合、シート30は高いUV透過率を有していることが好ましく、また、薄膜のものであることが好ましい。
<電線加工装置>
電線加工装置50の全体構成について説明する。図2及び図3は電線加工装置50を示す概略側面図であり、図4は電線加工装置50を示す概略平面図である。なお、説明の便宜上、図2及び図4では、電線搬送機構70が省略されており、図3では電線搬送機構70が示されている。
電線加工装置50は、支持フレーム52と、シート取付装置300と、シート巻付装置200と、硬化用光照射装置100と、電線搬送機構70を備える。
<シート取付装置、シート巻付装置及び硬化用光照射装置の全体配置構成>
本シート取付装置、シート巻付装置及び硬化用光照射装置の全体配置構成について説明する。
本電線加工装置50において、作業者は、支持フレーム52の外周周りの一方側の位置(図2〜図4において右側)に立った状態で、スプライス部20を含む電線22群をセットし、また、スプライス部20を含む電線モジュール10を取出す。
以下の説明では、作業者が位置する側を前方(図2〜図4において右側)、その反対側を後方(図2〜図4において左側)として説明することがある。また、前記位置に立った作業者が本電線加工装置50を見た場合を基準として、右側(図4において上側)及び左側(図4において下側)として説明することがある。
支持フレーム52は、複数の棒状部材及び板状部材等が組合わされた構成とされており、下側水平支持部53と、前側鉛直支持部55と、中間鉛直支持部56と、後側鉛直支持部57とを備える。
下側水平支持部53に対して前側鉛直支持部55と、中間鉛直支持部56と、後側鉛直支持部57とが立設状に支持されている。前側鉛直支持部55と、中間鉛直支持部56と、後側鉛直支持部57とは、この順で間隔をあけて立設されている。作業者は、前側鉛直支持部55の外側位置(図2〜図4の左側の位置)に立って諸作業を行うことになる。
また、前側鉛直支持部55の上端部には、電線待機用ベース部58が中間鉛直支持部56に向けて突出する姿勢で支持されている。電線待機用ベース部58の上部には、板状の電線止め片58aが立設されている。そして、複数のスプライス部20が束ねられた状態で、電線待機用ベース部58の上面であって電線止め片58aの前側位置に載置支持されるようなっている。なお、スプライス部20の両側に延出する電線22の群は、電線待機用ベース部58の両側外方で束ねられた状態で延出している。
また、前側鉛直支持部55の中間部には、払出用支持部59が中間鉛直支持部56に向けて突出する姿勢で支持されている。そして、スプライス部20に対して止水剤40の供給、シート30の取付、巻付、さらに止水剤40の硬化工程が実施された後、当該スプライス部20が払出用支持部59に払い出される。
後に説明するように、スプライス部20は、電線待機用ベース部58から、比較的短い移動距離で移動しつつ、また、大きく回転されることなく、止水剤40の供給、シート30の取付、巻付、さらに止水剤40の硬化工程が実施され、最後に、電線待機用ベース部58の下方の払出用支持部59に払い出される。このため、スプライス部20の両側に延出する電線22の群を、電線待機用ベース部58の両側外方で束ねた状態で維持しつつ、それらの各工程を実施できるため、複数のスプライス部20に対する連続的な作業を効率よく実施できる。
シート取付装置300は、電線待機用ベース部58の後方側に設けられており、加工対象箇所であるスプライス部20に止水剤40を供給すると共に封止用シートであるシート30を取付可能に構成されている。本シート取付装置300では、シート30を二つ折りした状態で、スプライス部20に取付ける。
ここでは、シート取付装置300は、概略的には、シート供給機構310と、シート引出機構350と、止水剤供給機構400とを備える。
シート供給機構310は、中間鉛直支持部56の上端部に片持ち状に支持されており、長尺状の帯状シート30Bを連続的に供給可能に構成されている。なお、シート供給機構310から連続的に供給される長尺状の帯状シート30Bは、本シート供給機構310において、スプライス部20への取付に適した長さのシート30に切断される。
シート引出機構350は、前側鉛直支持部55の上端部に支持されており、シート供給機構310より帯状シート30Bを引出可能に構成されている。
また、止水剤供給機構400は、シート供給機構310より引出される帯状シート30B及びシート引出機構350によって引出されて切断されたシート30に対して止水剤40を供給可能に構成されている。また、シート供給機構310とシート引出機構350とによって、スプライス部20に対してシート30が取付けられる。
このシート取付装置300については、後に詳述する。
シート巻付装置200は、スプライス部20に二つ折り状に取付けられたシート30を、スプライス部20周りに巻付可能に構成されている。
ここでは、シート巻付装置200は、シート取付装置300の下方位置で、シート取付装置300の下方の次加工位置P5に向けて進退移動可能に支持されている。より具体的には、中間鉛直支持部56の延在方向中間部に進退駆動部60が設けられており、この進退駆動部60によって、シート巻付装置200が、中間鉛直支持部56から前方の次加工位置P5に向けて進退駆動される。進退駆動部60は、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータによって構成されている。そして、本シート巻付装置200は、次加工位置P5から側方に待機移動した待機位置(図2参照)から次加工位置P5側の進出位置に移動した状態で、スプライス部20に二つ折り状に取付けられたシート30を当該スプライス部20に巻付ける。
このシート巻付装置200自体の構成については、後に詳述する。
硬化用光照射装置100は、スプライス部20周りに付着する止水剤40を硬化させるための光を照射可能に構成されている。
ここでは、硬化用光照射装置100は、シート取付装置300の下方位置で、シート巻付装置200とは異なる方向から次加工位置P5に向けて進退移動可能に支持されている。より具体的には、下側水平支持部53に、進退駆動部62が設けられており、この進退駆動部62によって、硬化用光照射装置100が上方の次加工位置P5に向けて進退駆動される。この進退駆動部62は、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータによって構成されている。そして、本硬化用光照射装置100は、次加工位置P5から下方に待機移動した待機位置(図2参照)から次加工位置P5側の進出位置に移動した状態で、スプライス部20周りに付着する止水剤40を硬化させるための光を照射する。
このシート巻付装置200自体の構成については、後に詳述する。
このように、シート巻付装置200と硬化用光照射装置100とは、次加工位置P5に対して異なる方向、即ち、側方と下方とに退避移動する。このため、硬化用光照射装置100を下方に退避移動させた状態で、シート巻付装置200を次加工位置P5に向けて進出移動させて、シート30巻付けを行うことができる。また、逆に、シート巻付装置200を側方に退避移動させた状態で、硬化用光照射装置100を次加工位置P5に向けて進出移動させて、硬化用光を照射させることができる。これにより、スプライス部20を次加工位置P5に支持した状態で、シート30の巻付け及び止水剤40の硬化を行うことができることになり、それらの作業中におけるスプライス部20の移動距離を少なくすることができる。
<電線加工装置におけるスプライス部の移動経路及び電線搬送機構について>
ここで、本電線加工装置におけるスプライス部20の移動経路及び当該スプライス部20を移動させるための電線搬送機構70について説明する。
まず、スプライス部20は、電線待機用ベース部58上の待機位置P1に配設される。
この後、作業者によって、スプライス部20は、シート取付装置300上の把持位置P2に向けて移動する。この把持位置P2で、スプライス部20の両端に延出する電線22が電線搬送機構70によって把持される。
この後、電線搬送機構70が電線22を搬送することによって、スプライス部20は、位置P2からP3〜P7を経て、払出し位置P8に向けて搬送される。
位置P3では、スプライス部20は、シート30上に配設される。そして、スプライス部20が位置P3から位置P4に移動する際に、シート30が二つ折り状にスプライス部20に取付けられる。
この後、スプライス部20は、位置P4から次加工位置P5に移動し、当該次加工位置P5で、シート30の巻付工程及び硬化用光の照射工程が実施される。
この後、スプライス部20は、位置P6〜P7を経て、払出し位置P8に払い出される。
電線搬送機構70は、スプライス部20の両端に延出する電線22を支持することによって、スプライス部20を位置P2から位置P8に向けて搬送するように構成されている。
ここでは、図3に示すように、電線搬送機構70は、第1搬送機構72と、第2搬送機構82と、第3搬送機構92とを備える。なお、図3では、電線加工装置50の一方側に設けられた構成部分のみを図示しているが、本電線加工装置50の他方側にも同様構成の部分が配設されている。
第1搬送機構72は、スプライス部20の両端部に延出する電線22を把持することで、スプライス部20を位置P2から位置P5まで搬送するように構成されている。
より具体的には、第1搬送機構72は、把持機構74と、昇降駆動機構76と、水平駆動機構78とを備える。
水平駆動機構78は、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータによって構成されており、中間鉛直支持部56の中間部であってシート巻付装置200の上方位置で片持ち状に支持されている。この水平駆動機構78によって、可動部79を介して昇降駆動機構76が前後方向に水平往復駆動可能に支持されている。
昇降駆動機構76は、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータによって構成されており、把持機構74を上下方向に往復駆動可能に支持している。
また、把持機構74は、電磁チャック、油圧シリンダ又はリニアモータ等のアクチュエータによって構成された駆動本体部74aによって、一対の把持部74bを開閉駆動するように構成されている。一対の把持部74bは、前方に開いており、その前方から電線22を一対の把持部74b間に配設することができる。そして、一対の把持部74b間に電線22を配設した状態で、一対の把持部74bを閉じることで、電線22を把持することができ、一対の把持部74bを開くことで、電線22の把持を解除できる。
そして、位置P2にて、把持機構74によって電線22を把持し、この後、昇降駆動機構76の駆動によって把持機構74を下降させることで、スプライス部20を位置P2から位置P3に移動させることができる。また、この後、昇降駆動機構76及び水平駆動機構78の駆動によって、把持機構74を下降させつつ前方に移動させることで、スプライス部20を位置P3から位置P4に移動させることができる。さらに、この後、昇降駆動機構76の駆動によって把持機構74を下降させることで、スプライス部20を位置P4から位置P5に移動させることができる。この状態で、一対の把持部74bを開くことで、把持された電線22を第2搬送機構82に受渡すことができる。
このように、第1搬送機構72がスプライス部20を位置P2から位置P5に向けて移動させた後、第1搬送機構72は位置P2にて電線22を把持可能な初期位置に戻り、上記動作を繰返す。この第1搬送機構72は、シート取付装置によってシートが取付けられた電線22を、次加工位置P5に向けて搬送する次工程電線搬送機構でもある。また、第1搬送機構72は、スプライス部20を位置P2からP3に移動させることで、帯状シート30Bのうち後述する第2シート位置に引出された部分に、スプライス部20をセットする電線セット機構でもある。これらの次工程電線搬送機構と電線セット機構とは別々の構成によって実現されていてもよい。
第2搬送機構82は、スプライス部20の両端部に延出する電線22を把持することで、スプライス部20を位置P5から位置P6まで搬送するように構成されている。
より具体的には、第2搬送機構82は、把持機構84と、水平駆動機構88とを備える。
水平駆動機構88は、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータによって構成されており、前側鉛直支持部55の中間部であって待機位置にある光照射装置100の上方位置で片持ち状に支持されている。この水平駆動機構88によって、可動部89を介して把持機構84が前後方向に水平往復駆動可能に支持されている。
把持機構84は、電磁チャック、油圧シリンダ又はリニアモータ等のアクチュエータによって構成された駆動本体部84aによって、一対の把持部84bを開閉駆動するように構成されている。一対の把持部84bは、後方に開いており、その後方から電線22を一対の把持部84b間に配設することができる。ここでは、スプライス部20が次加工位置P5に位置するように、第1搬送機構72が電線22を支持した状態で、把持機構84が位置P5から前方に位置する位置から位置P5に向けて後方に移動することで、一対の把持部84b間に電線22を配設することができる。この状態で、一対の把持部84bを閉じることで、電線22を把持することができる。
そして、この後、第1搬送機構72による電線22の把持を解除し、水平駆動機構88により、把持機構84を前方に向けて移動させることで、スプライス部20を位置P5から位置P6に移動させることができる。この状態で、一対の把持部84bを開くことで、把持された電線22を第3搬送機構92に受渡すことができる。
このように、第2搬送機構82がスプライス部20を位置P5から位置P6に向けて移動させた後、上記動作を繰返す。
第3搬送機構92は、スプライス部20の両端部に延出する電線22を支持することで、スプライス部20を位置P6から位置P8まで搬送するように構成されている。
より具体的には、第3搬送機構92は、載置支持部94と、回転駆動機構96と、昇降駆動機構98とを備える。
昇降駆動機構98は、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータによって構成されており、前側鉛直支持部55の中間部であって光照射装置100よりも上側で支持されている。この昇降駆動機構98によって、可動部99を介して載置支持部94が昇降駆動可能に支持されている。
可動部99は、前側鉛直支持部55よりも後方側に延出するように片持ち状に支持されており、この可動部99の後端側先端部に、載置支持部94が回転可能に支持されている。載置支持部94は、電線22を載置支持可能な支持面に対して後側に電線支持突部が突設された構成とされている。
回転駆動機構96は、モータ、若しくは、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータと直線運動を回転運動に変換する伝達機構等によって構成されており、上記載置支持部94を回転駆動するように構成されている。載置支持部94は、電線22を支持する状態では、支持面を水平方向に沿わせた回転姿勢とされ、当該電線22を位置P8に払出す際には、電線支持突部を位置P8側に移動させるように、回転される。
そして、載置支持部94を位置P6の下方に移動させた状態で、第2搬送機構82の把持機構84が位置P6に移動し、この状態で、昇降駆動機構98の駆動によって載置支持部94を位置P6に向けて移動させることによって、位置P6に位置するスプライス部20の両端側に延出する電線22が載置支持部94上に載置支持される。
この後、把持機構84がさらに前側に退避移動し、この後、昇降駆動機構98の駆動によって載置支持部94を位置P6から位置P7に向けて移動させることで、スプライス部20が位置P6から位置P7に向けて移動する。
この後、回転駆動機構96の駆動により載置支持部94がその電線支持突部を前側に傾けるように回転することで、電線22が位置P8に向けて払出され、スプライス部20が位置P7から位置P8に移動する。
このように、第3搬送機構92がスプライス部20を位置P6から位置P8に向けて移動させた後、第3搬送機構92は位置P6よりも下方の初期位置に戻り、上記動作を繰返す。
以下の説明では、上記電線搬送機構70によってスプライス部20の両端側に延出する電線22が搬送され、もって、スプライス部20が位置P2から位置P8に向けて移動する前提で説明する。従って、電線搬送機構70による搬送動作についての説明は省略することがある。
なお、電線加工装置50の各部の動作制御は、制御ユニット68によってなされる。制御ユニット68は、マイクロプロセッサと、マイクロプロセッサと結合された主記憶部と、補助記憶部とを備える。主記憶部は、RAM(Random Access Memory)等によって構成され、補助記憶部は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスク装置等の非一時的な記憶装置によって構成されている。補助記憶部には、マイクロプロセッサに対する指示を記述したプログラムが格納されており、マイクロプロセッサは、当該プログラムを読込んで後述する各処理ステップを実行する。なお、制御ユニット68が実行する各種処理の一部又は全部がハードウェアによって実現されてもよい。ここでは、プログラムに、上記各駆動部の駆動タイミング(条件)、動作内容(移動位置、移動方向、回転方向、回転量)等が記述されており、本装置の各部は、そのプログラムの記述に従って、後で説明する動作を実行する。
本電線加工装置50によると、電線22のスプライス部20を、シート取付装置300から次加工位置P5に搬送した状態で、シート30の巻付工程と、止水剤40の硬化工程とを実施できる。このため、電線22の移動量を少なくして、止水剤40の供給、シート30の巻付工程と、止水剤40の硬化工程とを実施できる。例えば、複数のスプライス部20の外側に延出する電線22が、スプライス部20からある程度離れた位置で結束された状態のままでも、上記作業を実施できる。このため、複数のスプライス部20に対する連続した作業を効率よく実施することができる。
<シート取付装置>
シート取付装置300について説明する。シート取付装置300は、スプライス部20に止水剤40を供給すると共にシート30を取付可能に構成されている。
シート取付装置300は、シート供給機構310と、シート引出機構350と、電線セット機構と、止水剤供給機構400と、シート切断機構330と、シート取付機構340とを備える。
シート供給機構310と、シート切断機構330と、シート取付機構340とは、中間鉛直支持部56の上端部に支持されている。これらの前方位置で、シート引出機構350が、前側鉛直支持部55の上端部に支持されている。止水剤供給機構400は、シート供給機構310等の上方位置で、後側鉛直支持部57によって支持されている。また、上記したように、電線セット機構は、第1搬送機構72によって実現されている。
<止水剤供給機構について>
止水剤供給機構400は、帯状シート30Bのうち後述する第1シート位置Q1に引出された部分に止水剤40を供給すると共に、帯状シート30Bのうち後述する第2シート位置Q2に引出された部分上であってセットされたスプライス部20上に止水剤40を供給可能に構成されている。帯状シート30Bのうち後述する第2シート位置Q2に引出された部分は、当該部分に止水剤40を供給する時点において、第1シート位置Q1側の帯状シート30Bと繋がったままであってもよいし、切離されていてもよい。
すなわち、止水剤供給機構400は、止水剤供給ヘッド402と、止水剤貯留部404と、昇降駆動部406と、左右駆動部408と、前後駆動部410とを備える。
前後駆動部410は、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータによって構成されており、後側鉛直支持部57から前方に延出するように片持ち状に支持されている。この前後駆動部410によって、中間支持部411を介して左右駆動部408が前後方向に移動可能に支持されている。
左右駆動部408は、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータによって構成されており、中間支持部411の前端部に左右方向に沿った姿勢で支持されている。この左右駆動部408によって、昇降駆動部406が左右方向に移動可能に支持されている。
昇降駆動部406は、左右駆動部408に対して鉛直方向に沿った姿勢で左右方向に移動可能に支持されている。昇降駆動部406は、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータによって構成されており、中間支持部407を介して止水剤貯留部404を昇降移動可能に支持されている。
止水剤貯留部404は、止水剤40を貯留可能に構成されており、中間支持部407に対して鉛直姿勢で支持されている。止水剤貯留部404の下端部に止水剤供給ヘッド402が垂下状に支持されている。そして、止水剤貯留部404より断続的又は連続的に供給される止水剤40が本止水剤供給ヘッド402のノズル403より連続的に又は断続的に吐出され供給されるようになっている。
本止水剤供給ヘッド402は、昇降駆動部406と、左右駆動部408と、前後駆動部410との駆動によって、前後方向、左右方向及び上下方向に移動駆動される。これにより、止水剤供給ヘッド402を、後述する第1シート位置Q1と第2シート位置Q2との間で移動させることができ、さらにこれらの位置Q1、Q2から退避する退避位置にも移動させることができる。
つまり、止水剤供給機構400は、1つのノズル403と、このノズル403を、第1シート位置Q1の上方で止水剤40を供給可能な第1供給位置R1(図7参照)と、第2シート位置Q2の上方で止水剤40を供給可能な第2供給位置R2(図11参照)との間で移動させるノズル移動機構としての昇降駆動部406と前後駆動部410とを含む。
<シート供給機構、シート引出機構、シート切断機構及びシート取付機構について>
図5はシート供給機構310、シート引出機構350、シート切断機構330及びシート取付機構340を示す概略斜視図である。
シート供給機構310,シート切断機構330及びシート取付機構340は、中間鉛直支持部56に図示省略の支持フレーム等を介して取付けられる部分であり、シート引出機構350は、前側鉛直支持部55により支持される部分である。上述したように、この上方に止水剤供給機構400が配設される。図5では、止水剤供給機構400に関して止水剤供給ヘッド402のみ図示している。また、既に説明したように、これらの両側方に、電線セット機構としての電線搬送機構70が設けられている。
シート供給機構310は、帯状シート30Bを連続的に供給可能に構成されている。ここでは、シート供給機構310は、シート巻回部30Cと、シート支持部312とを備える。
シート巻回部30Cは、帯状シート30Bが巻回収容された構成とされ、その中心軸を通るように挿通孔が形成されている。
シート支持部312は、丸棒状に形成されており、その一端部又は両端部が図示省略の支持フレーム等を介して中間鉛直支持部56によって、左右方向に沿った水平姿勢で支持されている。シート支持部312は、シート巻回部30Cの挿通孔に挿通されており、シート巻回部30Cがシート支持部312に対して回転可能に支持されている。
そして、シート巻回部30Cを回転させることで、シート巻回部30Cに巻回収容された帯状シート30Bを、水平方向に沿って後方から前方へ連続的に引出すことができる。
シート供給機構310から帯状シート30Bが引出される引出方向側には、シート支持ステージ320が設けられている。
シート支持ステージ320は、方形板状に形成されており、水平方向に沿った姿勢で、図示省略の支持フレーム等を介して中間鉛直支持部56に支持されている。シート支持ステージ320の幅寸法は、帯状シート30Bの幅寸法と同じかこれよりも大きい寸法である。また、帯状シート30Bの引出方向における、シート支持ステージ320の長さ寸法は、スプライス部20に取付けられるシート30と同じかこれよりも大きい寸法である。
シート支持ステージ320のうち帯状シート30Bの引出方向側の端部の両端部には、一対のシート挟持部324が設けられている。シート挟持部324は、電磁チャック、油圧シリンダ又はリニアモータ等のアクチュエータによって構成された駆動本体部324aによって、挟持部324bをシート支持ステージ320に向けて進退駆動するように構成されている。
そして、挟持部324bをシート支持ステージ320のコーナー部から上方に移動駆動させることで、帯状シート30Bを、シート支持ステージ320上であって挟持部324bの下方の通って引出すことができる。また、挟持部324bをシート支持ステージ320にコーナー部に向けて下方に移動駆動させることで、シート支持ステージ320上に配設された帯状シート30Bの側部(引出方向側の角部)を挟持できるようになっている。
なお、シート支持ステージ320のうち帯状シート30Bの引出方向側の端部であって挟持部324bの内側よりの位置に一対の凹部321が形成されている。この凹部321を利用して、後で説明する引出用シート挟持部356による帯状シート30Bの引出方向側端部の挟持がなされる。
シート引出機構350は、シート供給機構310から供給される帯状シート30Bを、第1シート位置Q1を経由して第2シート位置Q2に引出可能に構成されている。ここで、第1シート位置Q1は、シート支持ステージ320上の位置であり、第2シート位置Q2は、シート支持ステージ320に対して帯状シート30Bの引出方向側の位置である。
ここでは、シート引出機構350は、進退駆動部352と、中間支持部354と、引出用シート挟持部356とを備える。
進退駆動部352は、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータ等によって構成されており前側鉛直支持部55によって支持されている。この進退駆動部352によって一方向に長い方形板状の中間支持部354が、帯状シート30Bの引出方向である前後水平方向に沿って、シート供給機構310(或はシート支持ステージ320)に向けて進退駆動される。
中間支持部354が退避移動した状態では、中間支持部354とシート支持ステージ320との間に、スプライス部20に取付けられるシート30の長さ寸法と同程度の距離が隔てられる。また、中間支持部354が進出移動した状態では、中間支持部354のうちシート供給機構310(或はシート支持ステージ320)側の端部が、シート支持ステージ320に近接して配設される。
中間支持部354のうちシート供給機構310(或はシート支持ステージ320)側の端部に引出用シート挟持部356が設けられている。
引出用シート挟持部356は、電磁チャック、油圧シリンダ又はリニアモータ等のアクチュエータによって構成された駆動本体部356aと、一対の下側挟持部356bと、一対の上側挟持部356cとを備える。
下側挟持部356bは、細長板状に形成されており、中間支持部354の後側端部の両端部にその後方に延在するように取付けられている。
駆動本体部356aは、中間支持部354の後側端部に取付けられている。
上側挟持部356cは、駆動本体部356aの両端側であって上記一対の下側挟持部356bの上方位置で、その後方に延在するように取付けられている。上側挟持部356cは、駆動本体部356aから後方に延在する部分と、その後端部から下方に屈曲して下側挟持部356bの先端部に向けて延在する部分とを含む、L字棒状部材に形成されている。
そして、駆動本体部356aの駆動によって、一対の上側挟持部356cを下降駆動することで、帯状シート30B又はシート30の先端部の両端部を、一対の下側挟持部356bと一対の上側挟持部356cとの間で挟持できるようになっている。
上記一対の下側挟持部356bの先端部は、シート支持ステージ320に形成された一対の凹部321内に配設可能に構成されている。そして、中間支持部354を進出移動させた状態で、一対の下側挟持部356bの先端部をシート支持ステージ320に形成された一対の凹部321内に配設することができる。この状態で、一対の上側挟持部356cを下降駆動させることで、シート支持ステージ320上の帯状シート30Bの先端部を挟持することができる。この状態から中間支持部354を退避移動させることで、シート支持ステージ320の前方に、帯状シート30Bを引出すことができる。中間支持部354を退避移動させた状態では、シート支持ステージ320と引出用シート挟持部356との間に、スプライス部20への取付に適した長さ寸法の帯状シート30Bが引出された状態となる。
なお、中間支持部354の後端部から下方に向けて延在するようにしてシート受部358が設けられている。
シート切断機構330は、第1シート位置Q1と第2シート位置Q2との間で、帯状シート30Bを切断して、スプライス部20への取付に適した長さ寸法の封止用シート30を形成可能に構成されている。
すなわち、シート切断機構330は、切断駆動部332と、切断刃334とを備える。切断駆動部332は、エアシリンダ、油圧シリンダ又はリニアモータ等のリニアアクチュエータによって構成されており、シート支持ステージ320の前側縁部に沿った姿勢で、中間鉛直支持部56に図示省略の支持フレーム等を介して支持されている。
切断刃334は、一側部に帯状シート30Bを切断可能な刃先が形成された細長板状の切断刃であり、切断駆動部332より垂下状態で支持されている。切断刃334は、シート支持ステージ320の前側縁部の前方位置で、当該前端縁部に沿って駆動可能に支持されている。
シート支持ステージ320から帯状シート30Bを引出す際等には、上記切断刃334は、帯状シート30Bから側方に離れた位置に待機している。そして、上記シート引出機構350によって、シート支持ステージ320から帯状シート30Bを引出した状態で、切断駆動部332によって、切断刃334を、シート支持ステージ320の前方位置で帯状シート30Bを横切る方向に移動させることで、帯状シート30Bが、シート支持ステージ320上(つまり、第1シート位置Q1)の部分と、シート支持ステージ320より前方側(つまり、第2シート位置Q2)の部分とに切断され、もって、シート30が形成される。
シート取付機構340は、シート30でスプライス部20に供給された止水剤40を封止するように、シート30をスプライス部20に取付けるように構成されている。
ここでは、シート取付機構340は、取付用駆動部342と、シートチャック部346とを備える。
取付用駆動部342は、電磁チャック、油圧シリンダ又はリニアモータ等のアクチュエータによって構成されており、シート支持ステージ320の下方部分に支持されている。この取付用駆動部342より前方に向けて中間支持部345が進退駆動可能に支持されている。
シートチャック部346は、シート支持ステージ320の前方位置で、切断されたシート30の後端部を支持可能に構成されている。ここでは、シートチャック部346は、上部に吸引孔346hが形成された構成とされ、シートチャック部346上にシート30が配設された状態で、吸引装置によって吸引孔346hから吸引することによって、当該シート30を吸引保持する構成とされている。
中間支持部345が退避した状態では、シートチャック部346は、シート支持ステージ320の前方縁部に対して隙間(ここでは、切断刃334が通過可能な隙間)を隔てた状態で、シート支持ステージ320の前方に位置している。このため、切断刃334によって切断されたシート30の後端部は、本シートチャック部346によって吸引保持される。この状態で、中間支持部345をシート受部358に向けて進出駆動させると、シートチャック部346の前側面とシート受部358との間に、スプライス部20をシート30によって二つ折りに挟むことが可能な隙間が形成される。
なお、シート受部358には、棒状部材等を、二つ折りにされたシート30の端部から折目に向けて移動させること等で、止水剤40をスプライス部20に向けて絞り込み可能な機構が組込まれていることが好ましい。
<シート取付装置の動作について>
上記シート取付装置300の動作について説明する。なお、シート取付装置300の下記動作は、制御ユニット68の指示に基づいて行われる。
まず、初期状態では、図6に示すように、シート供給機構310から引出された帯状シート30Bがシート支持ステージ320上の第1シート位置Q1に引出されている。帯状シート30Bの先端部は、シート支持ステージ320の前側端部とシートチャック部346との間に位置している。
この状態では、一対のシート挟持部324は、シート支持ステージ320の前方位置で帯状シート30Bの前側部分を挟持している。また、止水剤供給ヘッド402は第1シート位置Q1の上方位置に待機しており、切断刃334は、帯状シート30Bの側方位置に待機しており、引出用シート挟持部356は、シート支持ステージ320から前方に離れた位置に待機している。
そして、図7に示すように、止水剤供給ヘッド402が降下移動し、前後方向に往復移動しながら帯状シート30Bの幅方向中間部においてその幅方向に沿って移動する。これにより、帯状シート30Bのうち第1シート位置Q1に配設された部分の中央部に、ジグザグ状に止水剤40が供給される。
次に、図8に示すように、止水剤供給ヘッド402が上方に退避移動すると共に、引出用シート挟持部356が第1シート位置Q1に向けて進出移動する。そして、引出用シート挟持部356の上側挟持部356cが下降移動して、帯状シート30Bの前側部分の両端部を、一対の下側挟持部356bと一対の上側挟持部356cとの間で挟持する。
次に、図9に示すように、一対のシート挟持部324による帯状シート30Bの挟持を解除し、引出用シート挟持部356を第1シート位置Q1から第2シート位置Q2を経て前方に引出す。これにより、帯状シート30Bがシート支持ステージ320上の第1シート位置Q1を経由して、シート支持ステージ320の前方の第2シート位置Q2に引出される。この状態で、帯状シート30Bのうち第1シート位置Q1で止水剤40が供給された部分は、第2シート位置Q2に配設される。また、帯状シート30Bを引出した後、シートチャック部346によって、第2シート位置Q2の後端側位置(シート支持ステージ320の前方位置)で帯状シート30Bを吸引保持する。
この状態で、切断刃334を、第1シート位置Q1と第2シート位置Q2との間で、帯状シート30Bの幅方向に沿って移動させる。これにより、帯状シート30Bが切断され、第1シート位置Q1に帯状シート30Bの引出側端部が残存すると共に、切断されたシート30が引出用シート挟持部356とシートチャック部346とで保持された状態で第2シート位置Q2に保持される。
次に、図10に示すように、電線搬送機構70によって、作業者によって位置P2に移動されたスプライス部20が、位置P2、即ち、第2シート位置Q2に支持されたシート30の前後方向中間部にセットされる。これにより、スプライス部20が、シート30上であって供給された止水剤40上にセットされる。なお、スプライス部20のセットは、帯状シート30Bが切断される前の状態でなされてもよい。すなわち、帯状シート30Bのうち第2シート位置Q2に引出された部分にスプライス部20がセットされる構成であればよく、帯状シート30Bのうち第2シート位置Q2に引出された部分が、第1シート位置Q1にある部分に対して切断されていても、繋がってままであってもよい。
この後、図11に示すように、止水剤供給ヘッド402が第2シート位置Q2に位置するシート30上に移動し、前後方向に往復移動しながらシート30の幅方向中間部においてその幅方向に沿って移動する。これにより、第2シート位置Q2に配設されたシート30のうち既に供給済の止水剤40上であってスプライス部20上に、止水剤40が供給される。このように、シート30上に止水剤40を供給し,この上に、スプライス部20をセットし、この上に、さらに止水剤40を供給するため、スプライス部20の周りになるべくまんべんなく止水剤40を供給することができる。
続いて、図12に示すように、止水剤供給ヘッド402が第1シート位置Q1の上方の待機位置に移動する。また、シートチャック部346が前方に向けて移動すると共に、これに合わせて、電線搬送機構70がスプライス部20を下方斜め前方、即ち、位置P3からP4に向けて移動させる。これにより、前端部が引出用シート挟持部356により保持されると共に後端部がシートチャック部346によって支持されたシート30が、スプライス部20のセット位置を折目として、二つ折りに折られつつ、スプライス部20に取付けられる。この際、スプライス部20に供給された止水剤40は、二つ折りされたシート30によって封止された状態となる。
また、この際、止水剤供給ヘッド402が第1シート位置Q1の帯状シート30Bに向けて降下移動し、前後方向に往復移動しながら帯状シート30Bの幅方向中間部においてその幅方向に沿って移動する。これにより、帯状シート30Bのうち第1シート位置Q1に配設された部分の中央部に、ジグザグ状に止水剤40が供給される。
つまり、止水剤供給ヘッド402のノズル403を、第2シート位置Q2上の第2供給位置R2から退避させた状態で、第1シート位置Q1上の第1供給位置R1でノズル403から止水剤40を供給すると共に、シート取付装置300によりシート30をスプライス部20に取付ける。
そして、図13に示すように、引出用シート挟持部356及びシートチャック部346によるシート30の支持を解除して、シート30が取付けられたスプライス部20を、電線搬送機構70により下降移動、即ち、位置P4から位置P5に向けて移動させる。なお、位置P5では、シート30の巻付及び止水剤40の硬化がなされる。また、シートチャック部346が退避移動すると共に止水剤供給ヘッド402が上方に退避移動する。
この後、図8以降の動作を繰返すことで、複数のスプライス部20に対して順次、止水剤40の供給及びシート30の取付作業を実施することができる。
これにより、スプライス部20に止水剤40が供給されると共に、これを封止するようにスプライス部20にシート30が取付けられたスプライス部20を含む電線モジュール10を製造することができる。この後、必要に応じてシート30がスプライス部20にさらに巻付けられ、また、止水剤40が硬化される。
<シート取付装置及びスプライス部を含む電線モジュールの製造方法による効果等について>
上記シート取付装置300及び電線モジュール10の製造方法によると、第1シート位置Q1で帯状シート30Bに止水剤40を供給し、これを第2シート位置Q2に引出してスプライス部20をセットし、この上に止水剤40を供給することができる。このため、帯状シート30Bに対して事前供給される止水剤40と、シート30上のスプライス部20に対して事後供給される止水剤40とを別々の箇所で効率よく供給しつつ、シート30をスプライス部20に取付けることができる。
また、1つのノズル403をノズル移動機構である昇降駆動部406と前後駆動部410とによって、第1供給位置R1と第2供給位置R2との間で移動させて、それらの各箇所で止水剤40の供給を行っているため、1つのノズル403を効率よく稼働させて、止水剤40の供給を行うことができる。これにより、装置の低コスト化等が可能となる。
<シート巻付装置>
上記シート取付装置300によると、シート30は、スプライス部20に対して二つ折り状に取付けられている。このシート巻付装置200は、シート30をスプライス部20の周りに巻付けるための装置である。
図14はシート巻付装置200を示す正面図であり、図15は同シート巻付装置200を示す平面図であり、図16はシート巻付装置200の回転支持機構230が回転した状態を示す正面図である。
シート巻付装置200は、電線22の加工対象箇所であるスプライス部20周りに付着する止水剤40に二つ折り状にシート30が取付けられている状態において、このシート30をスプライス部20周りに巻付けるための装置であり、押圧部210と、回転支持機構230と、回転駆動機構250とを備える。
押圧部210は、シート30を、所定の次加工位置P5に支持された電線22のスプライス部20に向けて押圧可能に構成されている。
回転支持機構230は、押圧部210によりシート30をスプライス部20に向けて押圧した状態で、当該押圧部210をスプライス部20周りに回転可能に支持するように構成されている。
また、回転駆動機構250は、回転支持機構230を回転駆動可能に構成されている。
そして、電線22が次加工位置P5に支持された状態で、押圧部210により、スプライス部20に取付けられたシート30を押圧した状態で、当該押圧部210がスプライス部20回りに回転する。これにより、シート30がスプライス部20周りの止水剤40を覆った状態で、当該スプライス部20に巻付けられるようになっている。
以下、各部についてより具体的に説明する。
<回転支持機構>
図17は押圧部210及び回転支持機構230を示す正面図であり、図18は図17のXVIII−XVIII線断面図であり、図19は押圧部210をスプライス部20周りのシート30に押付けた状態を示す説明図である。図14〜図19に示すように、回転支持機構230は、回転支持本体部232と、歯車部238とを備える。
回転支持本体部232は、円柱形状に形成された部分の外周の一部から中心に向けて凹部234が形成された構成とされている。凹部234は、回転支持本体部232の外周の一部から中央に向う所定幅の部分234aと、回転支持本体部232の中心位置で幅広となる幅広部分234bとを備える。幅広部分234bの底面は、前記部分234aの延在方向に対して直交する方向に延在している。また、凹部234は、回転支持本体部232の両端面で開口している。
そして、スプライス部20を含む電線22を、凹部234の部分234aを通ってその幅広部分234b内に配設できるようになっている。この回転支持本体部232の中心軸に沿った位置が次加工位置P5である。
また、歯車部238は、回転支持本体部232の一方側の端面にネジ止等によって固定されている。ここでは、歯車部238の外径は、回転支持本体部232の外径よりも小さい(ここでは僅かに小さい)が、歯車部238の外径は、回転支持本体部232の外径よりも大きくてもよいし、同じであってもよい。
歯車部238の外周には、歯が形成されており、後述する中継歯車254が噛合可能とされている。また、歯車部238には、上記凹部234の一端側開口を外方向に開口させるべく、凹部239が形成されている。
この回転支持機構230は、装置ベース部240によって回転可能に支持されている。
すなわち、装置ベース部240は、フレーム242と、フレーム242により間隔をあけた平行状態で支持された一対のベース側板部244a、244bとを備える。
一対のベース側板部244a、244bの間隔寸法は、上記回転支持機構230の長さ寸法よりも小さく(ここでは僅かに小さく)に設定されている。
一方のべース側板部244aには、歯車部238の外径よりも小さい(ここでは僅かに小さい)外径の弧状開口245aが形成されている。この弧状開口245aの内面側周縁部には、歯車部238を回転可能に収容可能な弧状凹部245a1が形成されている。
また、他方のベース側板部244bには、回転支持本体部232の外径よりも(ここでは僅かに小さい)小さい外径の弧状開口245bが形成されている。この弧状開口245bの内面側周縁部には、回転支持本体部232のうち歯車部238とは反対側の端部を回転可能に収容可能な弧状凹部245b1が形成されている。
また、上記弧状開口245a、245bは、装置ベース部240の上方及び一側方に開口しているが、3/4弧状形状よりも長く延在するように形成されている。
そして、回転支持機構230を一対のベース側板部244a、244b間に配設し、歯車部238を弧状凹部245a1に収容すると共に、回転支持本体部232の他端部を弧状凹部245b1内に収容することで、回転支持機構230が一対のベース側板部244a、244b間で回転可能に支持されることになる。
また、回転支持機構230の凹部234を上方に向けた姿勢では、上方から凹部234内に向けて又はその逆に電線22のスプライス部20を移動させることができ、回転支持機構230の凹部234を外側方に向けた姿勢では、外側方から凹部234内に向けて又はその逆に電線22のスプライス部20を移動させることができるようになっている。
なお、一方のベース側板部244aの内面には、2つの中継歯車配設用凹部246aと、駆動歯車配設用凹部246bが形成されている。
本回転支持機構230は、押圧部210を次加工位置P5周りで回転可能に支持している。
より具体的には、押圧部210は、回転支持機構230の凹部234の幅広部分234b内で、その底面より突出する状態で支持されている。
この押圧部210は、一対のローラ212と、環状帯部材214とを備える。
一対のローラ212は、円柱状に形成されており、幅広部分234bの幅方向両側の位置で回転可能に支持されている。より具体的には、幅広部分234bの両側部のそれぞれに、回転支持機構230の軸方向に間隔をあけて一対の支軸部218が突設されている。そして、幅広部分234bの両側部のそれぞれにおいて、ローラ212が一対の支軸部218によって回転可能に支持されている。
環状帯部材214は、一対のローラ212に巻掛けられた状態で周回可能に構成されている。環状帯部材214は、例えば、ゴム等の弾性材料によって形成された幅広な環状部材である。環状帯部材214の幅寸法は、ローラ212の長さ寸法と同程度又はこれよりも小さく(好ましくは僅かに小さく)設定されている。また、環状帯部材214の周回方向の長さ寸法は、環状帯部材214を一対のローラ212に巻掛けることができ、かつ、環状帯部材214のうち一対のローラ212間の部分にスプライス部20を押付けた状態で、当該環状帯部材214が一対のローラ212間に向けて凹むように変形可能(図19参照)な程度の寸法に設定されている。
また、環状帯部材214の幅方向中間部は、その両側部よりも凹む凹部215aに形成されている。ここでは、環状帯部材214は、幅広環状に形成された部材214aの両側部に、幅狭環状に形成された一対の部材214bを装着することで、部材214aの外面と、一対の部材214bとの間に凹部215aを形成している。部材214aと2147bとは接着剤等で接合されていることが好ましい。勿論、部材214aと部材214bとは一体形成されていてもよい。
なお、この環状帯部材214が電線22のスプライス部20周りの止水剤40に取付けられたシート30に押付けた状態で、両側部の部材214bがシート30のうち電線22の被覆部24に対応する位置に配設され、凹部215aがスプライス部20に対応する位置に配設されることが好ましい。
そのためには、例えば、凹部215aの幅寸法が、スプライス部20の長さ寸法と同程度に設定され、環状帯部材214の幅寸法が、シート30の幅寸法と同程度に設定されることが好ましい。
<回転駆動機構>
図14〜図16を参照して回転駆動機構250について説明する。
回転駆動機構250は、回転支持機構230を回転駆動可能に構成されている。より具体的には、回転駆動機構250は、回転駆動部252と、中継伝達部としての複数(ここでは2つ)の中継歯車254とを備える。
回転駆動部252は、モータ等によって構成されており、一対のベース側板部244a、244b間であって回転支持機構230の斜め下方の一定位置に固定されている。この回転駆動部252の駆動軸部252aの延在方向は、回転支持機構230の回転軸の方向と一致している。この駆動軸部252aに駆動用歯車253が連結されている。本駆動用歯車253は、一方のベース側板部244aの内面側の駆動歯車配設用凹部246b内に回転可能に配設されており、駆動用歯車253はこの駆動歯車配設用凹部246b内で回転する。
一対の中継歯車254のそれぞれは、一方のベース側板部244aの内面側の中継歯車配設用凹部246a内に回転可能に配設されており、歯車部238と駆動用歯車253との双方に噛合可能とされている。
一対の中継歯車254は、駆動用歯車253に対してその外周りで異なる位置で噛合すると共に、歯車部238に対してその外周りで異なる位置で噛合する。そして、回転駆動部253の回転駆動力が、一対の中継歯車254を介して歯車部238に伝達され、回転駆動部252の回転方向、回転速度及び回転量に応じて、回転支持機構230が回転するようになっている。
なお、歯車部238には凹部239が形成されているため、回転支持機構230を1周回転させると、歯車部238といずれか一方の中継歯車254とが噛合わない状態が生じ得る。しかしながら、その場合であっても、他方の中継歯車254が歯車部238に噛合している。すなわち、一対の中継歯車254は、歯車部238に対してその周方向において異なる位置で噛合しているため、一対の中継歯車254の少なくとも一方は歯車部238に噛合した状態となる。このため、凹部239の有無に拘らず、回転支持機構230を1周以上回転させることができる。なお、上記回転駆動部252は、制御ユニット68によって動作制御される。
<動作>
シート巻付装置200の動作について説明する。
まず、初期状態では、図14に示すように、回転支持機構230は、凹部234の外周側開口を上方に向けた状態とされる。
この状態で、シート巻付装置200が進退駆動部60の駆動によって位置P5に向けて進出移動する(図2参照)。この状態で、電線搬送機構70によって、電線22のスプライス部20が、位置P4から、凹部234を通り、凹部234の外側位置から奥側の位置、即ち、回転支持機構230の回転中心にある次加工位置P5に向けて移動する。
これにより、押圧部210がスプライス部20周りのシート30に押付けられた状態となる。より具体的には、環状帯部材214のうち一対のローラ212間の部分が、スプライス部20周りのシート30に押付けられた状態となる(図14、図19及び図20参照)。
次に、制御ユニット68が、一対の回転駆動部252に回転指令を与え、回転支持機構230を回転させる。これにより、押圧部210が、スプライス部20周りのシート30に押付けられた状態のままで、スプライス部20周りを回転する。
この際、電線22のうちスプライス部20の両端外方部分は、一対の把持部80aによって把持されているため、次加工位置P5において非回転状態で支持されている。このため、押圧部210がスプライス部20周りに回転すると、図21及び図22に示すように、シート30のうち重ねられて外方に延出する部分が、シート30のうち既に巻付け済の部分にその基端側から順次押付けられていく。これにより、シート30の全体がスプライス部20周りに巻付けられていくことになる。
この際、環状帯部材214は、一対のローラ212に対して周回可能に巻付けられているため、押圧部210は、環状帯部材214を周回させつつ、スプライス部20周りを回転することができる。
すなわち、仮に、押圧部とシート30との間で滑りが生じないとすると、押圧部はスプライス部20周りでシート30を回転させてしまうことになる。そこで、押圧部210の回転に伴い、環状帯部材214を、シート30周りの表面に対する押圧位置に応じて従動して周回させることで、シート30の回転を抑制するようにしている。
また、押圧部210がスプライス部20周りのシート30に押付けられた状態では、環状帯部材214のうち一対のローラ212間の部分が凹んでいる。これにより、スプライス部20周りのシート30が押圧部210から一対のローラ212の外側方に逃げ難くなり、シート30を安定して押圧できるようになっている(図19参照)。
さらに、環状帯部材214がスプライス部20周りのシート30を押付けた状態では、主として、環状帯部材214の両側部の部材214bがシート30のうち電線22の被覆部24周りの部分を押圧する(図23参照)。そして、シート30のうちスプライス部20に対応する部分には、凹部215aが配設され、その部分では、シート30をほとんど押圧しない。これにより、シート30の両側部が電線22の被覆部24に対してより確実に押圧され、より確実に巻付けられる。これに対して、シート30の中央部はほとんど押圧されず、従って、この部分で止水剤40が貯留した状態がより確実に維持される。
回転支持機構230は、シート30の全体を巻付け可能な程度に回転された後、凹部234の外周側開口を外側方に向けた状態で回転停止する(図16参照)。なお、回転支持機構230の回転量は、シート30の長さ寸法によって決定される。スプライス部20から延出するシート30の長さ寸法が長ければ、回転支持機構230をより多く回転させる必要があるし、スプライス部20から延出するシート30の長さ寸法が短ければ、回転支持機構230の回転量は少なくてもよい。いずれにせよ、少なくともシート30の全体がスプライス部20周りに巻付が完了するまで、回転支持機構230が回転する。
この状態で、進退駆動部60の駆動によりシート巻付装置200が位置P5から外側方に向けて移動する。そして、シート巻付装置200が位置P5から側方に離れる位置に移動し、電線22のスプライス部20が、凹部234を通り、凹部234の奥側の位置から外側方位置向けて相対移動する(図16参照)。
これにより、シート30の巻付工程が実施され、スプライス部20周りの止水剤40にシート30が巻付けられた電線モジュール10を得ることができる。
このシート巻付装置200及びスプライス部20を含む電線モジュール10の製造方法によると、押圧部210によりスプライス部20周りのシート30を電線22のスプライス部20に向けて押圧した状態で、押圧部210をスプライス部20周りに回転させることにより、スプライス部20に付着した止水剤40の周りに効率よくシート30を巻付けることができる。
また、電線22を回転させないで、押圧部210を回転させるため、電線22の損傷及び止水性能の安定化を図ることができる。すなわち、電線22を回転させる構成としては、電線22を挟込む部分を互いに異なる方向に相対移動させて、その間の電線22を回転させる構成等が想定される。ところがその場合、電線22が損傷する可能性があるし、また、電線22の回転によりスプライス部20及びその周辺部分が乱れる可能性がある。これに対して、押圧部210を回転させることで、上記のような、電線22の損傷、スプライス部20及びその周辺部分の乱れが抑制され、その止水性能を安定化させることができる。
また、押圧部210は、一対のローラ212と、一対のローラ212に周回可能に巻掛けられた環状帯部材214とを備えるため、環状帯部材214のうち一対のローラ212間の部分がシート30に押付けられた状態で、押圧部210が回転すると、その回転に伴って、環状帯部材214はシート30の表面に対して従動するように、周回する。このため、スプライス部20におけるシート30の回転が抑制される。これにより、シート30の巻付状態が安定する。また、シート30から止水剤40が漏れ難くなる。また、環状帯部材214の部分的な摩耗が抑制され、環状帯部材214の長寿命化を図ることも可能となる。
また、環状帯部材214の幅方向両側の部材214bがスプライス部20の両端側外方で被覆部24周りのシート30に押付けられるため、当該シート30を被覆部24にしっかりと巻付けることができる。また、環状帯部材214の幅方向中央部に凹部215aが形成されているため、シート30はスプライス部20に対しては強く押付けられない。これにより、スプライス部20とシート30との間の止水剤40が外方に漏れ出難くなり、所定量の止水剤40をより確実に封止することができ、また、周囲の汚染等も抑制される。
また、環状帯部材214がスプライス部20周りのシート30に押付けられた状態で、環状帯部材214のうち一対のローラ212間の部分が凹むため、スプライス部20周りのシート30が環状帯部材214から逃げ難くなり、シート30をより確実に押圧し続けることができ、シート30の巻付作業をより確実に行うことができる。
なお、押圧部210が一対のローラ212及び環状帯部材214を備えていることは必須ではない。回転支持機構の凹部の底部分がシートの押付に適した押圧面形状に形成されていてもよい。この場合でも、シートの逃げを抑制するため、押圧面は、シートを押付ける部分で、スプライス部の延在方向(回転軸方向)に沿って凹む形状に形成されていることが好ましい。また、シートの幅方向中央に止水剤を貯留し、シートの幅方向両側を被覆部により確実に押圧するため、押圧面は、その幅方向中央(即ち、回転軸方向の中央)で凹む形状に形成されていることが好ましい。
<硬化用光照射装置>
図24は硬化用光照射装置100を示す正面図であり、図25は同硬化用光照射装置100を示す平面図である。
硬化用光照射装置100は、電線22の加工対象箇所であるスプライス部20周りに付着する止水剤40を硬化させるための装置であり、光照射部110と、回転支持機構120と、回転駆動機構130とを備える。
光照射部110は、止水剤40を硬化させるための光、ここでは、UV光を照射可能に構成されている。
回転支持機構120は、光照射部110からの光を、所定の次加工位置P5に支持された電線22のスプライス部20に向けて照射させる状態で、光照射部110をスプライス部20周りに回転可能に支持するように構成されている。
回転駆動機構130は、回転支持機構120を回転駆動させるように構成されている。
そして、電線22が次加工位置P5に支持された状態で、光照射部110からの光をスプライス部20に照射させつつ、光照射部110がスプライス部20周りに回転する。これにより、スプライス部20に付着する止水剤40周りのほぼ全体に光が照射されるようになっている。
以下、各部についてより具体的に説明する。
<光照射部>
本実施形態に係る硬化用光照射装置100は、光照射部110を複数、より具体的には、3つ備える。もっとも、光照射部110は、少なくとも1つ設けられていればよい。
光照射部110は、ベース部112と、発光部114とを備える(図26及び図27参照)。
発光部114は、スプライス部20の延在方向全体に亘って光を照射可能に構成されている。ここでは、発光部114は、直線状に並べられた複数の紫外線発光ダイオードを含む。なお、発光部114は、紫外線ランプによって構成されていてもよい。
ベース部112は、長尺状、ここでは、細長板状に形成されている。このベース部112の一主面に、発光部114が取付けられている。
<回転支持機構>
回転支持機構120は、一対の回転支持プレート122と、介在支持棒部128とを備える。
各回転支持プレート122は、円板状に形成されている。そして、一対の回転支持プレート122が、介在支持棒部128及び上記ベース部112によって、次加工位置P5に支持された電線22の延在方向において、所定の間隔をあけた状態で支持されている。
より具体的には、回転支持プレート122には、その外周の一部から中央(回転中心)に向けてU字状に開口する電線配設用凹部124が形成されている。この電線配設用凹部124を利用することによって、電線22のスプライス部20を、本回転支持プレート122外周側から中央に配設することができる。なお、一方の回転支持プレート122の外周部は、歯車形状の外周歯車部122tに形成されている。
また、上記3つのベース部112のうちの1つが一対の回転支持プレート122間であって電線配設用凹部124の底に対向する位置に設けられると共に、2つの介在支持棒部128が一対の回転支持プレート122間であって電線配設用凹部124の外側開口の両側近くの位置に設けられている。ベース部112及び2つの介在支持棒部128の両端部は、それぞれ回転支持プレート122にねじ等で連結されており、これにより、一対の回転支持プレート122が間隔をあけた状態で支持されている。
この回転支持機構120は、装置ベース部140によって回転可能に支持されている。
すなわち、装置ベース部140は、ベース基部142と、ベース基部142により間隔をあけた平行状態で支持された一対のベース側板部144とを備える。
一対のベース側板部144の間隔寸法は、上記一対の回転支持プレート122の間隔寸法と同程度に設定されている。
また、ベース側板部144には、回転支持プレート122を回転可能に配設可能な、円形状の開口145が形成されている。開口145は、ベース側板部144の上方の連通部145aで外部空間に向けて開放されており、また、ベース側板部144の下部で後述する歯車配設用開口147aに連なっている。これらの部分以外では、開口145は、回転支持プレート122を囲む円形状をなしている。そして、一対の回転支持プレート122を、一対のベース側板部144の各開口145内に配設し、各ベース側板部144の外面に押え板146を取付けて、当該押え板146によって回転支持プレート122の外面を内側に向けて押え付けることで、一対の回転支持プレート122が、それぞれ開口145内にて回転可能に支持され、もって、回転支持機構120が装置ベース部140によって回転可能に支持される。
また、本回転支持機構120は、複数の光照射部110を、次加工位置P5周りで回転可能に支持している。
より具体的には、回転支持機構120は、3つの光照射部110のうちの1つを電線配設用凹部124の底部側で一定位置にて支持している。また、回転支持機構120は、3つの光照射部110のうちの2つを、電線配設用凹部124に向けて突出させる突出位置と電線配設用凹部124から退避させる退避位置との間で移動可能に支持している。
すなわち、次加工位置P5に配設された電線22のスプライス部20に付着する止水剤40の周囲全体にまんべんなく光を照射するためには、複数(ここでは3つ)の光照射部110を、次加工位置P5周りになるべく密に、かつ、均等間隔で配設することが好ましい。
ここで、電線配設用凹部124内にスプライス部20を配設する方法としては、電線22を回転支持機構120の回転中心に沿って移動させる方法と、電線22を回転支持機構120の外周側から中心に向けて移動させる方法とが考えられる。
しかしながら、前者の方法では、電線22は長尺物であるため、その取扱が困難である。後者の方法では、上記のように、回転支持機構120に電線配設用凹部124を形成する必要がある。電線22を、当該電線配設用凹部124内に配設するためには、光照射部110が電線配設用凹部124内に存在していると、電線22の配設作業の障害となってしまう。
そこで、次の構成によって、複数の光照射部110のうちの一部(ここでは2つ)を、電線配設用凹部124に向けて突出させる位置と、電線配設用凹部124から退避させる位置との間で移動可能に支持している。
すなわち、図24〜図29に示すように、一対の回転支持プレート122の内向き部分のうち電線配設用凹部124の両側外方部分に、ガイド溝126が形成されている。ガイド溝126は、電線配設用凹部124の延在方向に沿って直交する方向で、電線配設用凹部124の両側部から回転支持プレート122の外方に向けて延びる浅溝状に形成されている。なお、一対の回転支持プレート122の厚み寸法は、ベース側板部144の厚み寸法よりも大きく設定され、ガイド溝126の底面がベース側板部144の内面と面一状となるように設定されている。一対のガイド溝126は、一対の回転支持プレート122のそれぞれに形成されている。
このガイド溝126内で、可動体116が、電線配設用凹部124に向けて近づく位置と、電線配設用凹部124から遠ざかる位置との間で移動可能に支持されている。
可動体116は、平板状に形成され、その上下部分は、電線配設用凹部124の上下縁部の延在方向に沿って直線状に延在する形状に形成されている。
光照射部110のベース部112の両端部は、対向する可動体116のうち電線配設用凹部124側の部分にネジ止等によって連結固定されている。これにより、対向する可動体116が平行状態で連結支持される。そして、対向する可動体116が一対の回転支持プレート122で対向するガイド溝126内に配設されることで、電線配設用凹部124に向けて近づく位置(以下、進出位置という)と、電線配設用凹部124から遠ざかる位置(以下、退避位置)との間で移動可能に支持される。
可動体116のうち電線配設用凹部124から遠い側の部分には、受溝118が形成されている。ここでは、受溝118は、可動体116の内向き部分に形成されている。受溝118は、回転支持プレート122の周方向に沿って延びる弧状溝に形成されており、その両端部は外方に開口している。受溝118の内周壁部分及び外周壁部分は、厳密に回転支持プレート122の曲率半径と同じ曲率半径に仕上げられている必要はない。受溝は、回転支持プレート122の回転時において、後述する進退用ピン158を配設可能な弧状の空間を形成するものであればよい。
そして、可動体116が電線配設用凹部124側に近づいた状態では、光照射部110が電線配設用凹部124側に突出した状態となる。また、可動体116のうち電線配設用凹部124から遠い側の部分が回転支持プレート122の周縁部に沿って配設され、回転支持プレート122の周縁部内に収った状態となる。
また、可動体116が電線配設用凹部124から遠ざかった状態では、光照射部110が電線配設用凹部124から退避した状態となる。また、可動体116のうち電線配設用凹部124から遠い側の部分が回転支持プレート122の周縁部から突出して配設された状態となる。
上記可動体116は次の進退駆動機構150によって移動駆動される。
すなわち、進退駆動機構150は、駆動部152と、進退用可動部154と、進退用ピン158とを備える。
進退用可動部154は、一対の進退用板部154aと、一対の進退用板部154aを連結する連結部154bとを備える。連結部154bの両端部に一対の進退用板部154aが平行状態で連結されており、一対の進退用板部154aが、一対の受溝118に対向する位置に支持される。
駆動部152は、エアシリンダ、油圧シリンダ若しくはリニアモータ等のアクチュエータと、ギヤ、リンク機構等の伝達機構とにより構成されており、上記進退用可動部154を回転支持プレート122に対して進退駆動可能に支持している。
また、進退用ピン158は、進退用板部154aの外向き部分に突設されており、この進退用ピン158が可動体116の受溝118に挿入されている。
そして、進退用可動部154を退避移動させると、進退用ピン158が受溝118の外周側の面に当接する。これにより、可動体116がガイド溝126によってガイドされつつ、退避位置に移動する(図26参照)。
また、進退用ピン158を進出移動させることで、進退用ピン158が受溝118の内周側の面に当接する。これにより、可動体116がガイド溝126によってガイドされつつ、進出位置に移動する(図27参照)。なお、一対の可動体116が進出した状態では、配設用凹部124でそれぞれの先端部が当接しあった状態となる。
また、可動体116が進出位置に移動した状態で、受溝118は回転支持機構120の回転中心を中心とする弧の方向に沿って延在している。このため、可動体116を進出位置に移動させた状態のままで、回転支持機構120を回転させることができる(図28及び図29)。
また、受溝118の両端部は開口しているため、進退用ピン158を受溝118から脱出させる程度まで、回転支持機構120を回転させることが可能である(図28参照)。
なお、可動体116が上側に位置する状態で、進退用ピン158が受溝118から脱した状態となっても、当該可動体116を、反対側の可動体116又は回転支持プレート122に設けられた受け部分等で受止めることで、一定位置に保つことが可能である。
また、ここでは、可動体116が下側に位置する状態では、進退用ピン158が受溝118内に位置する状態で維持され、もって、可動体が一定位置に保たれている。
<回転駆動機構>
図24及び図25を参照して回転駆動機構130について説明する。
回転駆動機構130は、回転支持機構120を回転駆動可能に構成されている。より具体的には、回転駆動機構130は、回転駆動部132と、中継伝達部としての複数(ここでは2つ)の中継歯車134とを備える。
回転駆動部132は、モータ等によって構成されており、一対のベース側板部144間であって回転支持機構120の下方の一定位置に固定されている。この回転駆動部132の駆動軸部132aの延在方向は、回転支持機構120の回転軸の方向と一致している。この駆動軸部132aに駆動用歯車133が連結されている。一方のベース側板部144には、駆動用歯車133を配設可能な歯車配設用開口147aが形成されており、駆動用歯車133はこの歯車配設用開口147a内で回転する。
一対の中継歯車134は、一方のベース側板部144側に設けられている。この一対の中継歯車134は、駆動用歯車133及び一方の回転支持プレート122の外周歯車部122tに噛合可能な状態で、回転可能に支持されている。
すなわち、一方のベース側板部144のうち開口145と回転駆動部132とを結ぶ部分の両側部に、歯車配設用開口147bが形成されている。また、一方のベース側板部144の外面に補助側板144aが取付けられている。そして、一対の中継歯車134が、歯車配設用開口147b内で、補助側板144aによって軸部を介して回転可能に支持されている。
一対の中継歯車134は、駆動用歯車133に対してその外周りで異なる位置で噛合すると共に、一方のベース側板部144の外周歯車部122tに対してもその外周りで異なる位置で下方から噛合する。そして、回転駆動部132の回転駆動力が、一対の中継歯車134を介して一方のベース側板部144に伝達され、回転駆動部132の回転方向、回転速度及び回転量に応じて、回転支持機構120が回転するようになっている。なお、上記駆動部152及び回転駆動部132は、制御ユニット68によって動作制御される。
<動作>
硬化用光照射装置100の動作について、図30〜図34を参照して説明する。
まず、初期状態では、図30に示すように、回転支持機構120は、配設用凹部124の外周側開口を上方に向けた状態とされる。また、一対の可動体116は、退避位置に位置し、一対の光照射部110は、配設用凹部124から退避した位置に配設されている。なお、光照射部110からの光は、継続して照射されていてもよいし、回転支持機構120の回転中のみ照射されてもよい。
この状態で、進退駆動部62の駆動によって、硬化用光照射装置100が下方位置から次加工位置P5に向けて上昇する(図2参照)。これにより、位置P5で支持された電線22のスプライス部20が、配設用凹部124を通り、配設用凹部124の外側位置から回転支持機構120の回転中心に移動する。この際、一対の光照射部110は、配設用凹部124から退避した位置にあるため、電線22のスプライス部20を円滑に配設用凹部124の奥側に移動させることができる。
次に、図31に示すように、一対の可動体116が退避位置から進出位置に移動する。これにより、一対の光照射部110が配設用凹部124内に進出移動する。
この状態では、複数(ここでは3つ)の光照射部110が、次加工位置P5周りを均等間隔で囲む状態となる。より具体的には、3つの光照射部110が次加工位置P5周りを120度間隔で囲む状態となる。このため、複数の光照射部110によって、スプライス部20に付着する止水剤40の周りになるべくまんべんなく光を照射することができる。
次に、図22及び図23に示すように、回転駆動部132が回転する。ここでは、3つの光照射部110が設けられているため、それぞれの光照射部110が120度回転すれば、スプライス部20に付着する止水剤40の周り全体に光を照射することができる。このため、制御ユニット68は、回転駆動部132に対して120度回転するように指示を与える。より具体的には、回転駆動部132が、初期位置を基準に±方向に60度回転することによって、光照射部110が120度の範囲で回転することになる。即ち、制御ユニット68が、回転駆動部132に対して所定方向(図32では右回り方向)に60度回転するように指令を与える。これにより、図32に示すように、回転支持機構120及び光照射部110は、次加工位置P5周りに所定方向に60度回転する。次に、すなわち、制御ユニット68は、回転駆動部132に対して所定方向とは逆方向(図33では左回り方向)に120度回転するように指令を与える。これにより、図33に示すように、回転支持機構120及び光照射部110は、次加工位置P5周りに所定方向とは逆方向に120度回転する。そして、制御ユニット68は、回転駆動部132に対して初期位置に戻るように(即ち、所定方向に60度回転するように)指令を与える。これにより、3つの光照射部110が120度回転し、次加工位置P5周りの360度の範囲に光が照射されることになる。
なお、回転支持機構120を所定の初期位置を基準に±60度回転させて、初期位置に戻しているのは、回転支持機構120の回転範囲をなるべく小さくするためである。これにより、光照射部110への配線部材の簡素化が容易になるという利点がある。
また、回転支持機構120の回転範囲は、光照射部110の数等によって異なる。一般的には、n個の光照射部110が、次加工位置P5周りに均等間隔で設けられている場合には、回転支持機構120を、(360/n)度の範囲で回転させれば、スプライス部20の外周り全体に光を照射することが可能となる。
そして、図34に示すように、回転支持機構120が初期姿勢に戻った状態で、一対の駆動部152が進出位置から退避位置に移動する駆動する。これにより、一対の光照射部110が配設用凹部124から退避移動する。
この状態で、進退駆動部62の駆動によって、硬化用光照射装置100が次加工位置P5から下方に向けて移動する。これにより、電線22のスプライス部20が、配設用凹部124を通り、配設用凹部124の外側に向けて相対移動する。この際、一対の光照射部110は、配設用凹部124から退避した位置にあるため、電線22のスプライス部20を円滑に配設用凹部124の奥側から取出すことができる。
これにより、止水剤40の硬化工程が実施され、止水剤40がより確実に硬化した電線モジュール10を得ることができる。
この硬化用光照射装置100及びその硬化用光照射装置100を用いた電線モジュール10の製造方法によると、光照射部110は、その光を次加工位置P5に支持された電線22のスプライス部20に向けて照射させる姿勢で、そのスプライス部20周りに回転する。このため、光照射部110からの光を、スプライス部20に付着する止水剤40周りによりまんべんなく照射させることができる。これにより、その止水剤40をより確実に硬化させることができ、スプライス部20の止水剤40の部分的な硬化不足を抑制して、その止水性能を安定化させることができる。
また、電線22を回転させないで、光照射部110を回転させるため、電線22の損傷及び止水性能の安定化を図ることができる。すなわち、電線22を回転させる構成としては、電線22を挟込む部分を互いに異なる方向に相対移動させて、その間の電線22を回転させる構成等が想定される。ところがその場合、電線22が損傷する可能性があるし、また、電線22の回転によりスプライス部20及びその周辺部分が乱れる可能性がある。これに対して、光照射部110を回転させることで、上記のような、電線22の損傷、スプライス部20及びその周辺部分の乱れが抑制され、その止水性能を安定化させることができる。
なお、上記止水剤40を封止する部材は、シートの他、熱収縮チューブ等でもよい。また、止水剤40を封止する部材は、必須ではない。
また、光照射部110がスプライス部20周りに複数設けられて、当該スプライス部20周りに回転するため、複数方向からの光をスプライス部20に付着する止水剤40に照射することができる。これにより、スプライス部20周りに付着する止水剤40をより確実に硬化させることができる。
なお、複数の光照射部110が設けられていることは必須ではない。一つの光照射部がスプライス部20周りに回転する構成であってもよい。
もっとも、複数の光照射部110が設けられている場合には、回転支持機構120を1回転させなくても、スプライス部20周りに付着する止水剤40の周囲全体に光を照射させることができるというメリットがある。
ここでは、3つの光照射部110を、それぞれ120度の範囲で回転させることで、スプライス部20周りに付着する止水剤40の周囲全体に光を照射させることができる。これにより、比較的簡易な構成で、かつ、迅速に、止水剤40の周囲全体に光を照射させることができ、止水性能を安定化させることもできる。
また、一部の光照射部110が電線配設用凹部124から進退移動可能とされているため、光照射部110を電線配設用凹部124から退避させる位置に移動させることで、スプライス部20を、電線配設用凹部124を通じて内部に容易に配設することができる。また、光照射部110を電線配設用凹部124に突出させるように配設することで、その電線配設用凹部124からも光照射部110からの光を照射させることができる。これにより、複数の光照射部110からの光を、スプライス部20周りの止水剤40周りにより全体的に照射することができ、スプライス部20周りに付着する止水剤40をより確実に硬化させることができる。
もっとも、一部の光照射部110が上記のように進退移動可能に配設されていることは必須ではない。
<全体動作>
帯状シート30B、シート30及びスプライス部20に着目して、本電線加工装置50の全体動作及びスプライス部20を含む電線モジュール10の製造方法について説明する。
まず、図35に示すように、帯状シート30Bのうち第1シート位置Q1に引出された部分にノズル403から止水剤40を供給する。
次に、図36に示すように、帯状シート30Bを、第1シート位置Q1を経て第2シート位置Q2に引出し、第1シート位置Q1と第2シート位置Q2との間で、切断刃334により帯状シート30Bを切断し、スプライス部20への取付に適した長さ寸法のシート30を形成する。
そして、図37に示すように、電線搬送機構70によりスプライス部20が位置P3に移動し、これにより、スプライス部20が第2シート位置Q2にあるシート30上の止水剤40上にセットされる。
この後、図38に示すように、スプライス部20のさらに上に、ノズル403から止水剤40を供給する。これにより、電線22のスプライス部20の上側及び下側に止水剤40が供給された状態となる。
次に、図39に示すように、電線搬送機構70によりスプライス部20が位置P3から位置P5に移動させつつ、シートチャック部346によりシート30の後端部を前端部に向けて移動させることで、シート30を二つ折りにして、シート30の中間部がスプライス部20及び止水剤40に巻付けられると共に両端部が外方に向けて重ね合された状態で引出されるようにする。なお、シート30の重ね合せ部分は、自己密着性によって重ね合せ状態に維持されている。止水剤40は、スプライス部20と共に、シート30の間に封止された状態となる。
なお、シート取付装置300では、この工程が実施される間に、図35に示すように、帯状シート30Bに事前に止水剤40を供給する工程が実施される。
この後、電線搬送機構70により、スプライス部20が位置P4から位置P5に向けて搬送される。
位置P5では、図40に示すように、シート巻付装置200によって、シート30の重ね合せ部分をスプライス部20及び止水剤40周りに巻付ける。シート30の巻付状態は、シート30の自己密着性によって維持される。
上記のように、シート30がスプライス部20に取付けられた状態で、シート30の両側部は、スプライス部20の両側部で複数の電線22の被覆部24に密着している。このため、止水剤40は、スプライス部20と巻付けられたシート30との間に封止され、スプライス部20の外周部とシート30との間に行渡り、スプライス部20の外周囲全体を覆うようになると共に、止水剤40が芯線部26間及び電線22間にも押出されてそれらの隙間を埋めるようになる。
次に、位置P5において、図41に示すように、硬化用光照射装置100によって、光照射部110(図41では1つのみ図示)からの光を、シート30を透過させて止水剤40に照射する。これにより、光照射部110からの光がスプライス部20に付着する止水剤40周りによりまんべんなく照射され、止水剤40がより確実に硬化した電線モジュール10を得ることができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。