JP6070297B2 - 周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、ガリウム化合物を含む第一ガス及び窒素化合物を含む第二ガスを成長室内へ供給している期間の少なくとも一部において、各成長段階におけるGa含有窒化物半導体の成長速度がある所定の条件を満たすように、HClガスを含む第三ガスを第一ガスの供給口とは別の供給口から成長室内へ供給することを特徴とするGa含有窒化物半導体の製造方法が開示されている。
特許文献2には、2種類の特定の結晶成長面を有する下地基板上にIII族窒化物半導体形成用ガスを供給することにより、当該下地基板上にIII族窒化物半導体を結晶成長させる工程を含むことを特徴とするIII族窒化物半導体の成長方法が開示されている。
本願発明は、多結晶の発生を抑制して、高品質なバルク結晶を製造できる、周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法を提供することを目的とする。
(2)前記リザーバーが前記リアクター内に配置されることを特徴とする(1)に記載の製造方法。
(3)前記加熱工程において、前記リザーバーにキャリアガス含有ガスを導入することを特徴とする(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)前記キャリアガス含有ガスがハロゲン含有ガスを含有することを特徴とする(3)に記載の製造方法。
(5)前記加熱工程において、前記リザーバーにおける周期表第13族金属の充填率が、当該リザーバーの最大保持容量の75%以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項に記載の製造方法。
(6)前記加熱工程において、前記リアクターにハロゲン含有ガスを供給することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載の製造方法。
(7)前記加熱工程における加熱温度と、前記成長工程における成長温度との温度差が100℃以内であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか一項に記載の製造方法。
(8)前記周期表第13族金属がガリウムであり、前記ハロゲン含有ガスがHClガスであり、前記周期表第13族金属ハライド含有ガスがGaCl含有ガスであり、前記含窒素化合物ガスがNH 3 ガスであり、前記周期表第13族金属窒化物半導体結晶がGaN結晶である、(1)〜(7)のいずれか一項に記載の製造方法。
GaxAlyIn1−x−yN 組成式(1)
(上記組成式(1)中、0≦x≦1、且つ0≦y≦1である。)
本発明において、周期表第13族金属窒化物半導体結晶とは、具体的には窒化ガリウム結晶、窒化アルミニウム結晶、窒化インジウム結晶、又は、混晶である窒化アルミニウムガリウム結晶、窒化インジウムガリウム結晶、窒化アルミニウムインジウムガリウム結晶等が挙げられる。好ましくは少なくともガリウムを含む窒化物半導体結晶であり、より好ましくは窒化ガリウム半導体結晶である。
本明細書においては、加工途中のものを周期表第13族金属窒化物半導体結晶と称し、加工後の製品を周期表第13族金属窒化物半導体基板と称する。また、以下、周期表第13族金属窒化物半導体結晶を単に結晶と称し、周期表第13族金属窒化物半導体基板を単に基板と称する場合がある。
本工程は、周期表第13族金属原料を格納するリザーバーを、150℃以上の温度で加熱する工程である。
本工程において、周期表第13族金属原料を150℃以上の温度で予め加熱することにより、熱膨張して粘度の下がった液状の周期表第13族金属原料から、余剰な周期表第13族金属原料や、ハロゲン含有ガスのガス流等により飛沫化するおそれのある周期表第13族金属原料や、周期表第13族金属原料の酸化膜や、リザーバー内に残留している不純物を予めリザーバー内から除去できる。加熱工程における温度が150℃未満であるとすると、周期表第13族金属原料の粘度が十分下がらないため、上述した余剰な周期表第13族金属原料を除去する効果を十分享受できないおそれがある。
本工程における加熱温度は、500℃以上であることが好ましく、800℃以上であることがより好ましく、850℃以上であることがさらに好ましく、900℃以上であることが特に好ましい。また、本工程における加熱温度は、1,200℃以下であってもよい。
昇温に要する時間は、製造スケールにもよるが、30分間〜3時間とすることができる。また、リザーバー内の温度が均一になる時間は、製造スケールにもよるが、15分間〜5時間としてもよい。
なお、本明細書で説明する固体、液体、及び気体(ガス)は、温度や圧力等の断りがない限りは1気圧25℃における状態が固体、液体、気体であるものを意味する。
本発明に使用されるリザーバーは、このような直方体、立方体又は円柱の容器を1つのみ備えるものであってもよいし、2つ以上備えるものであってもよい。2つ以上の容器を用いる場合は、容器を直列に接続してもよいし、並列に接続してもよいし、直列と並列を組み合わせて接続してもよい。2つ以上の容器の少なくとも一部が直列に接続されている態様が好ましく、全ての容器が直列に接続されている態様がより好ましい。2つ以上の容器を接続する場合は、空間使用効率を上げるために、容器を鉛直方向に配置して、各容器間を配管により連結することが好ましい。また、容器を鉛直方向に並べて配置する場合、鉛直方向には3〜20個の容器を並べて配置することもでき、例えば4〜12個を並べて配置することができる。
なお、複数の容器が連結してなるリザーバーを用いる場合、1回の操業後における周期表第13族金属原料の残量は、各容器の固体差、すなわち、容量の差、構造の違い、ハロゲン含有ガスの吹込口の位置の違い等に依存する。
本発明に使用されるリザーバーの材質に含まれる不純物の濃度は、10ppm以下であることが好ましく、1ppm以下であることがより好ましく、0.1ppm以下であることがさらに好ましい。本発明に使用されるリザーバーの材質に含まれる不純物の濃度は、通常0.005ppm以上であり、例えば0.01ppm以上であってもよい。このようにリザーバーの材質に含まれる不純物の濃度を極めて少なくすることにより、優れた耐久性を維持でき、さらに、製造される周期表第13族金属窒化物半導体結晶中に混入する不純物を極めて少なくすることができる。
合成石英ガラスを材質とするリザーバーについては、特開2011−201766号公報に開示された態様を、本発明にて採用することができる。
なお、本発明において、リザーバーの最大保持容量Vとは、1気圧の圧力条件下且つ25℃の温度条件下においてリザーバー内に保持可能な周期表第13族金属原料の最大容量を意味する。また、本発明におけるリザーバーの最大保持容量Vは、周期表第13族金属原料の表面張力によって保持可能な容量をも含む概念とする。
本工程においては、上記充填率をリザーバーの最大保持容量の78%以上とすることがより好ましく、80%以上とすることがさらに好ましく、85%以上とすることがよりさらに好ましく、90%以上とすることが特に好ましい。また、本工程においては、上記充填率をリザーバーの最大保持容量の100%以下としてもよい。なお、周期表第13族金属原料の充填率は、30℃における周期表第13族金属原料の体積を用いて算出することができる。
周期表第13族金属原料の融液の表面積Sは、リザーバーの構造を工夫することによって適宜調整できる。例えば、等しい容積のリザーバーに等しい体積の周期表第13族金属原料を入れる場合であっても、底が深くて鉛直方向に長いリザーバーを使用した場合には、ハロゲン含有ガスと接触できる表面積Sは小さくなるが、底が浅くて水平方向に長いリザーバーを使用した場合には、ハロゲン含有ガスと接触できる表面積Sは大きくなる。特に、底が浅くて水平方向に長い容器を複数個連結してなるリザーバーは、限られた反応装置のスペースの中で、比較的大きな表面積Sを保持できる。
例えば、リザーバーにおける周期表第13族金属原料の最終露出部から、下地基板までの距離は10cm以上としてもよく、20cm以上である事が好ましく、30cm以上である事がより好ましい。リザーバーにおける周期表第13族金属原料の最終露出部から、下地基板までの距離は200cm以下としてもよく、100cm以下であることが好ましい。
トラップの具体的態様としては、例えば、リザーバーに対してハロゲン含有ガス流れ方向下流に位置し、且つ、リザーバーとは異なる空間を占める装置が挙げられる。この場合、リザーバーは、トラップを介して反応装置内部とつながることとなる。
図1(a)中の製造装置の典型例100は、リアクター(成長室)1、及び加熱装置2を備える。図1(a)に示す製造装置の典型例100はいわゆる縦型の構造を有しているが、横型の構造を有していてもよい。
リアクター1は、下地基板(シード)を載置するためのサセプター3、及び周期表第13族金属原料を格納するリザーバー4を備える。リザーバー4内の周期表第13族金属原料を斜線で示す。なお、図1(a)中のリザーバー4内の周期表第13族金属原料の充填量は、必ずしも上述した充填率を反映させたものとは限らない。
また、リアクター1は、ガス導入管5〜ガス導入管8を備える。これらの導入管のうち、ガス導入管8はリザーバー4から延びる管である。リザーバー4はガス導入管9を備える。
リアクター1は、さらに排気管10を備える。なお、図中の矢印は、導入管内又は排気管内の気体の導通方向を示す。
リアクター1内の圧力は、例えば、5.0×104〜3.0×105Paとすることができる。
リザーバー4から導入管8にかけては、周期表第13族金属ハライドが凝集しないように、数百℃程度の温度に維持されることが好ましい。したがって、リザーバー4から導入管8までの部分については、材質を上述した石英やセラミックス等とし、適度の冷却及び温度計測を行うことが好ましい。導入管8の外側に、部分的に冷却装置を設けてもよい。
導入管9からのキャリアガスの線速度としては、例えば、キャリアガスとしてH2ガスを選択した場合、0.5〜50.0m/minであることが好ましい。
なお、加熱工程においては、導入管9からハロゲン含有ガスは導入しないことが好ましい。ハロゲン含有ガスを導入した場合には、リザーバー4中の周期表第13族金属原料とハロゲン含有ガスとが反応してしまい、リザーバー4中の周期表第13族金属原料が消費されてしまうおそれがある。
本発明において下地基板の主面とは、下地基板の表面のうち、周期表第13族金属窒化物半導体結晶の成長に供される面積が最大のものを意味する。例えば、後述する図1(b)に示されるように、下地基板11がサセプター3上に載置される場合には、下地基板の主面とは、サセプター3と接する面の反対側に位置する面を指す。
本発明において結晶成長領域とは、当該領域に下地基板の主面を曝した場合、周期表第13族金属窒化物半導体結晶が成長できる状態となる領域を指す。下地基板の主面を結晶成長領域に配置しない態様としては、例えば、リアクター1内に下地基板を設置しない態様や、リアクター1内のガス流路上に主面が乗らないように下地基板を設置する態様、リアクター1内のガス流路と下地基板の主面との間が遮断され、リアクター1内に供給されるガスが下地基板の主面まで到達しない態様等が挙げられる。
このように、加熱工程において、下地基板の主面を結晶成長領域に配置しないことにより、下地基板表面に周期表第13族金属原料が落ちることを防止できる。
本発明に使用される下地基板の詳細については、成長工程の項において説明する。
図2は、本発明の製造方法に使用される周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造装置の変形例を模式的に示した断面図である。図2(a)は加熱工程時の様子を示し、図2(b)は成長工程時の様子を示す。図2(b)は図1(b)と同様の図であり、図2(a)の状態から蓋12を除いた後の様子を示す。
図2(a)中の製造装置の変形例200は、サセプター3上に下地基板11が載置され、さらに下地基板11を覆うように蓋12が設けられていること以外は、上述した製造装置の典型例100と同様である。このように、蓋12によって下地基板11の主面が覆われることにより、リアクター1内に供給されるガスが下地基板の主面まで到達することを防止できる。
蓋12の材質は、リアクター1の材質と同様でもよい。また、蓋12は、図2(a)に示されるような、サセプター3上に載置する態様に必ずしも限定されるものではなく、例えば、サセプター3以外の他の部材により支持される結果、下地基板11を覆うものであってもよい。したがって、蓋12の大きさは、下地基板11を十分覆うことができるものであれば、サセプター3の支持面の大きさ等によって特に限定されることはない。
加熱工程後の冷却の具体的態様としては、例えば、リアクター1を覆う断熱材の一部又は全部を外す態様等が挙げられる。設置工程を実施する際のリアクター内の温度は、リアクターを開放せずに設置工程を実施する場合には成長工程における温度と同じ温度であってもよく、リアクターを開放して設置工程を実施する場合には、200℃以下、好ましくは100℃以下の温度にすればよい。
本工程は、リザーバーにハロゲン含有ガスを導入し、且つ、少なくとも当該リザーバーを150℃以上の温度で加熱することにより、下地基板上に周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させる工程である。本工程における加熱温度は、500℃以上であることが好ましく、800℃以上であることがより好ましく、850℃以上であることがさらに好ましく、900℃以上であることが特に好ましい。また、本工程における加熱温度は、1,200℃以下であってもよい。
加熱工程における加熱温度の方が、後述する成長工程における加熱温度以上であることが好ましい。このように、加熱工程の加熱条件を成長工程よりも厳しくすることによって、加熱工程において、余剰な周期表第13族金属原料や、ハロゲン含有ガス等のガス流により飛沫化するおそれのある周期表第13族金属原料や、周期表第13族金属原料の酸化膜や、リザーバー内に残留している不純物をより多くリザーバー内から除去できる。
加熱工程における加熱温度は、成長工程における成長温度よりも0℃以上50℃以下の範囲内で高いことがより好ましく、0℃以上30℃以下の範囲内で高いことがさらに好ましい。
また、加熱工程における昇温速度と、成長工程における昇温速度との速度差が10℃/分以内であることが好ましく、5℃/分以内であることがより好ましく、0℃/分であることが特に好ましい。さらに、加熱工程における昇温ステップと、成長工程における昇温ステップとが同じであることが好ましい。このように、加熱工程における昇温条件を、成長工程における昇温条件に近づけることによって、加熱工程において、成長工程時の周期表第13族金属原料の状態を予め模擬でき、余剰な周期表第13族金属原料や、ハロゲン含有ガス等のガス流により飛沫化するおそれのある周期表第13族金属原料や、周期表第13族金属原料の酸化膜や、リザーバー内に残留している不純物を、加熱工程の段階で速やかにリザーバー内から除去できる。
成長工程におけるリアクター1内の圧力は、加熱工程におけるリアクター1内の圧力以上とすることができる。
特に、図1(b)に示すような縦型の反応装置を用いる場合、下地基板11への不純物の混入を減らすため、下地基板11の主面の法線に対して、リアクター1に供給されるガス流れ方向が90°〜45°程度の向きになるように、サセプター3上に下地基板11を設置することが好ましい。
図1(b)に示すように、下地基板11上に均一に周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させるため、サセプター3を回転させてもよい。
なお、上述した加熱工程において導入管6から供給されるキャリアガスの分圧は、成長工程における導入管6から供給されるキャリアガスの分圧以上であることが好ましい。
また、導入管6からは、ドーパントガスを供給することもできる。ドーパントガスとしては、例えば、SiH4やSiH2Cl2、H2S等のn型のドーパントガスが挙げられる。
導入管7からは、エッチングガスを供給することもできる。エッチングガスとしては、前述のハロゲン含有ガスを挙げることができ、HClガスを用いることが好ましい。エッチングガスの流量を総流量に対して0.1%〜3%程度とすることによりエッチングを行うことができる。好ましい流量は総流量に対して1%程度である。ガスの流量はマスフローコントロラー(MFC)等により制御でき、個別のガスの流量は常にMFCで監視することが好ましい。
なお、上述した加熱工程において導入管9から供給されるキャリアガスの分圧は、成長工程における導入管9から供給されるキャリアガスの分圧以上であることが好ましい。成長工程におけるキャリアガスの分圧が、加熱工程におけるキャリアガスの分圧よりも小さい場合には、成長工程において周期表第13族金属原料の滴下が発生するおそれがある。
導入管9からのキャリアガスの線速度としては、例えば、キャリアガスとしてH2ガスを選択した場合、0.5〜50.0m/minあることが好ましい。
なお、上述した加熱工程において導入管9から供給されるキャリアガスの線速度は、成長工程における導入管9から供給されるキャリアガスの線速度以上であることが好ましい。成長工程におけるキャリアガスの線速度が、加熱工程におけるキャリアガスの線速度よりも小さいと、成長工程において周期表第13族金属原料の滴下が発生するおそれがある。
本工程においては、周期表第13族金属窒化物半導体結晶を1mm以上の厚みで成長させることが好ましく、2mm以上の厚みで成長させることがより好ましい。また、本工程においては、成長時間を調節することにより、周期表第13族金属窒化物半導体結晶を10mmの厚みまで成長させることができる。
室温まで降温した後に、サセプター3をリアクター1内から取り外し、更に下地基板11をサセプター3から取り外すことにより、下地基板11の主面に成長させた周期表第13族金属窒化物半導体結晶が得られる。
スライス工程は、周期表第13族金属窒化物半導体結晶のインゴットから、目的とする厚さの周期表第13族金属窒化物半導体結晶を切り出す工程である。スライスは、例えばワイヤー等を用いて周期表第13族金属窒化物半導体結晶のインゴットを切断することにより実施される。
外形加工工程は、目的とする形状に合わせて、周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成型する工程である。外形加工の例としては、例えば、ダイシング、外周研磨、ワイヤーの切断等が挙げられる。
表面研磨工程は、成型した周期表第13族金属窒化物半導体結晶の表面を研磨する工程である。表面研磨の例として、ダイヤモンド砥粒などの砥粒を用いた研磨、CMP(chemical mechanical polishing)、機械研磨後のRIEでのダメージ層エッチング等が挙げられる。
HVPE装置のGaリザーバー(最大保持容量:500cm3以上)内にGa金属を充填率が82%となるようにチャージした。その後、リアクター内に下地基板を入れなかったことの他は、成長工程時と同様のセッティングとした。Gaリザーバーを含むリアクター内温度を45分間で1,020℃まで上げ(昇温速度:約22℃/分)、リアクター内圧力を1.01×105Paとした。また、Gaリザーバーを介さずに直接リアクター内に供給されるHClガスの分圧を1.01×104Pa、H2ガスの分圧を8.71×104Paとした。また、Gaリザーバーを介してリアクター内に供給されるH2ガスの分圧を3.87×103Paとした。以上の温度条件、圧力条件、及びガス分圧条件の下で、2時間30分の温度保持を実施した後、室温まで冷却した(加熱工程)。
その後、同じ部材セッティングのままで基板ホルダーに下地基板をセットした。Gaリザーバーを含むリアクター内温度を45分間で1,015℃まで上げ(昇温速度:約22℃/分)、リアクター内圧力を1.01×105Paとした。また、Gaリザーバーを介さずにリアクター内に供給されるNH3ガスの分圧を6.52×103Pa、N2ガスの分圧を2.58×104Pa、H2ガス分圧を6.52×104Paとした。また、Gaリザーバーを介してリアクター内に供給されるH2ガスの分圧を2.41×103Pa、GaClガスの分圧を1.06×103Paとした。以上の温度条件、圧力条件、及びガス分圧条件の下で、下地基板の主面上に、GaN結晶を50時間にわたって成長させた(成長工程)。成長終了後、室温まで降温した結果、6.2mm厚みのGaN単結晶が得られた。また、降温後のリアクター内にはGa金属が飛散した形跡は見られなかった。
HVPE装置のGaリザーバー(最大保持容量:500cm3以上)内にGa金属をチャージしなかったこと、及び、リアクター内に下地基板を入れなかったことの他は、成長工程時と同様のセッティングとした。Gaリザーバーを含むリアクター内温度を45分間で1,020℃まで上げ(昇温速度:約22℃/分)、リアクター内圧力を1.01×105Paとした。また、Gaリザーバーを介さずに直接リアクター内に供給されるHClガスの分圧を1.01×104Pa、H2ガスの分圧を8.71×104Paとした。また、Gaリザーバーを介してリアクター内に供給されるH2ガスの分圧を3.87×103Paとした。以上の温度条件、圧力条件、及びガス分圧条件の下で、2時間30分の温度保持を実施した後、室温まで冷却した(加熱工程)。
その後、同じ部材セッティングのままで基板ホルダーに下地基板をセットした。Gaリザーバー内にGaを充填率が82%となるようにチャージした後、Gaリザーバーを含むリアクター内温度を45分間で1,015℃まで上げ(昇温速度:約22℃/分)、リアクター内圧力を1.01×105Paとした。Gaリザーバーを介さずにリアクター内に供給されるNH3ガスの分圧を7.02×103Pa、N2ガスの分圧を3.30×104Pa、H2ガス分圧を5.59×104とした。また、Gaリザーバーを介してリアクター内に供給されるH2ガスの分圧を3.90×103Pa、GaClガスの分圧を1.15×103Paとした。以上の温度条件、圧力条件、及びガス分圧条件の下で、下地基板の主面上に、GaN結晶を50時間にわたって成長させた。成長終了後、室温まで降温した結果、GaN結晶は成長開始直後から多結晶化していたため、GaN単結晶は得られなかった。また、降温後のリアクター内にはGa金属が飛散していた。
2 加熱装置
3 サセプター
4 リザーバー
5,6,7,8,9 ガス導入管
10 排気管
11 下地基板
12 蓋
100 製造装置の典型例
200 製造装置の変形例
Claims (8)
- 周期表第13族金属をリザーバーに入れるチャージ工程、
該チャージ工程後にリアクター内に設置される最初の下地基板が該リアクター内に設置されるよりも前に、該チャージ工程で入れられた周期表第13族金属が入った該リザーバーを、150℃以上の温度で加熱する加熱工程、
該加熱工程の後、該リアクター内に該最初の下地基板を設置する下地基板設置工程、及び、
該下地基板設置工程の後、該チャージ工程で入れられた周期表第13族金属が入った該リザーバーを150℃以上の温度で加熱するとともに該リザーバーにハロゲン含有ガスを導入することにより周期表第13族金属ハライド含有ガスを発生させ、更に、その周期表第13族金属ハライド含有ガスを該リアクター内に供給し、該リアクター内で含窒素化合物ガスと反応させて、該リアクター内に設置された該最初の下地基板上に周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させる成長工程を備えることを特徴とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。 - 前記リザーバーが前記リアクター内に配置されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記加熱工程において、前記リザーバーにキャリアガス含有ガスを導入することを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記キャリアガス含有ガスがハロゲン含有ガスを含有することを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
- 前記加熱工程において、前記リザーバーにおける周期表第13族金属の充填率が、当該リザーバーの最大保持容量の75%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記加熱工程において、前記リアクターにハロゲン含有ガスを供給することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記加熱工程における加熱温度と、前記成長工程における成長温度との温度差が100℃以内であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記周期表第13族金属がガリウムであり、前記ハロゲン含有ガスがHClガスであり、前記周期表第13族金属ハライド含有ガスがGaCl含有ガスであり、前記含窒素化合物ガスがNH 3 ガスであり、前記周期表第13族金属窒化物半導体結晶がGaN結晶である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
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