JP6069890B2 - 波長変換用無機成形体及び発光装置 - Google Patents

波長変換用無機成形体及び発光装置 Download PDF

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Description

本発明は、粒子状の無機材料を含有する波長変換用無機成形体及び波長変換用無機成形体を用いた発光装置に関する。
発光ダイオードや半導体レーザなどの半導体発光素子において、半導体発光素子が発光する光色の一部又は全部を、蛍光体を含有する色変換用成形体を用いて色変換し、発光色を変換して出力する発光装置がある。また、このような発光装置は、ヘッドライトやプロジェクタなどの高出力を要求される用途にも用いられるようになっている。
従来、このような発光装置に用いられる色変換用成形体として、比較的耐熱性・耐光性の良好なシリコーン樹脂に蛍光体を分散して成形した色変換用成形体が使用されている。しかし、近年の、LED(発光ダイオード)やLD(レーザダイオード)などの半導体発光素子を用いた光源の更なる高出力化・高負荷化に対応した過酷な用途では、色変換用成形体に用いた樹脂が劣化する場合が考えられる。
そこで、樹脂や有機物を含まず、無機蛍光体のみ、又は無機蛍光体と透明な無機材料とを焼結させ板状に成形した色変換用のセラミックス成形体を、高出力・高負荷となる用途の色変換用成形体として使用するLEDやLDが実用化されている。
また、無機材料のみからなる色変換用のセラミックス成形体の製造方法は、様々な方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、耐久性のよい発光変換体として、無機酸化物の希土類ガーネット系化合物、特にYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体を例に記載されている。製造方法は詳細には記載されていないが、セラミックスベース材料から多結晶セラミックス体を作製し、その後、発光中心となる賦活剤をドーピングする方法で発光変換体を作製するとしている。その後、この発光変換体である多結晶セラミックス体を半導体発光素子と組み合わせ使用する方法が記載されている。
特許文献2には、発光色変換部材として無機蛍光体入りガラスの構成と製造方法が記載されている。ここでも、酸化物系蛍光体のYAG系蛍光体が例として挙げられている。
特許文献3には、高温高圧で無機蛍光体を焼結させる、色変換体としての発光セラミックスを得る方法が記載されている。
また、特許文献4には、蛍光体粉末とガラス粉末でシートを作製し、これを高温の炉内に導入して無機色変換ガラスシートを製造する方法が開示されている。ここには、種々の化合物の蛍光体を無機色変換ガラスシートにする方法として、融点が400℃以下の低融点ガラスを利用する方法が記載されている。
更に、特許文献5には、光変換用セラミックス複合体の製造方法として、YAG系蛍光体をアルミナなどの融液から析出・成長させる方法が記載されている。
特開2004−146835号公報 特開2003−258308号公報 特開2006−5367号公報 特開2006−37097号公報 特開2006−169422号公報
しかしながら、特許文献1から特許文献5に記載されたセラミックス成形体は、何れも、無機材料を焼結又は溶融させて作製するものである。焼結や溶融で作製するセラミックス成形体は、バルク(塊)状のセラミックスからスライス、研磨などの加工をすることで所望の形状に成形することが一般的である。このため、例えば、板状に成形する場合に、厚さを薄くすることには限界があった。
更に、蛍光体と蛍光体以外の無機材料とを焼結してセラミックス体を成形する場合は、作製されたセラミックス成形体における蛍光体の含有率が低いため、十分な色変換を行うためには、相当の厚さが必要であった。
また、従来のセラミックス成形体は、バルク状のセラミックスから切出して所望の形状に成形する必要があるため、加工できる成形体の形状には制約があった。
また、無機の赤色蛍光体として、例えば、CaSiAlN:Euを基本組成とするCASNや、更にSrを多く含有するSCASNなどの窒化物蛍光体が知られているが、粒状物として得られ、バルク状のものはできていない。また、窒化物蛍光体は、熱に弱いものが多く、焼結時の熱により蛍光体が失活するため、焼結によりこれらの蛍光体を含有する優れた性能を有した成形体を作製することが困難であった。
さらに、例えば、演色性に優れた昼光色を得ようとする場合には、赤色と青色と緑色の3つの光成分を組み合わせることが望ましい。従来は、異なる色の複数の発光素子を併用したり、複数の色変換蛍光体を組み合わせる、という複雑な構成を取ることが必要であったが、高出力・高負荷用途のLEDでは、耐熱性や耐水性の面から使用出来る蛍光体が限られていた。
本発明はかかる問題に鑑み、成形体の形状及び用いる無機蛍光体の制約が少なく、波長変換効率に優れ、コンパクトな構造を有した波長変換用無機成形体及び波長変換用無機成形体を用いた発光装置を提供することを課題とする。
本発明は前記した課題を解決するために創案されたものであり、第1の発明に係る波長変換用無機成形体は、光を吸収し、吸収した光の波長とは異なる波長の光を発光する第1無機材料からなる波長変換部材を含有する透光性の基体と、前記基体上に設けられた、光を吸収し、吸収した光の波長とは異なる波長の光を発光する第2無機材料からなる波長変換部材の粒子を含有する無機粒子層と、を有し、前記無機粒子層は、凝集体と、被覆層と、空隙と、から構成されている。
かかる構成によれば、波長変換用無機成形体に入射した光の一部は、基体中に含有される第1無機材料からなる波長変換部材に吸収され、入射した光とは異なる波長の光に波長変換されて出射される。一方、波長変換用無機成形体に入射した光の他の一部は、無機粒子層に含有される第2無機材料からなる波長変換部材に吸収され、入射した光とは異なる波長の光に波長変換されて出射される。
このとき、波長変換用無機成形体への入射光は、無機粒子層内に存在する空隙によって散乱され、基体内あるいは無機粒子層内の波長変換部材に効率的に照射される。これによって、入射光は波長変換部材に効率的に吸収され、入射した光とは異なる波長の光に波長変換される。
無機粒子層に含有される第2無機材料からなる波長変換部材は、光を吸収し、吸収した光の波長とは異なる波長の光を発光するものであり、例えば、窒化物蛍光体やフッ化物蛍光体などの無機蛍光体である。また、無機粒子層において、波長変換部材の粒子は、当該粒子同士又は基体と接触することで連続的に繋がった凝集体となる。そして、基板の表面及び波長変換部材の粒子の表面は、無機材料からなる被覆層によって連続的に被覆される。すなわち、無機粒子層の厚さや形状は、波長変換部材の粒子の凝集体の厚さや形状によって定められる。また、無機粒子層の内部には、被覆層で被覆された粒子、又は、被覆層で被覆された粒子及び被覆層で被覆された基体によって取り囲まれた空隙が形成されている。
第2の発明に係る波長変換用無機成形体は、前記無機粒子層における前記空隙は、空隙率が1〜50%であることが好ましい。
かかる構成によれば、波長変換用無機成形体は、この範囲の空隙率の空隙によって、高い含有率で波長変換部材を含有すると共に、入射光を良好に散乱して無機粒子層内の波長変換部材に照射させ、効率的に入射光を波長変換する。また、この範囲の空隙率の空隙によって、波長変換用無機成形体は、基体の線膨張率と無機粒子層の線膨張率との間に差がある場合であっても、発熱時の熱膨張による歪を吸収してクラックの発生を防止する。
第3の発明に係る波長変換用無機成形体は、前記無機粒子層に含有される波長変換部材の粒子の平均粒径が0.1〜100μmであり、前記被覆層の平均厚さを10nm〜50μmとすることが好ましい。
この範囲の平均粒径の波長変換部材を用いることで、厚さの薄い無機粒子層とすることができる。また、被覆層の平均厚さをこの範囲とすることで、波長変換部材の粒子を良好に被覆することができる。
第4の発明に係る波長変換用無機成形体では、前記無機粒子層の表面は、前記無機粒子層に含有される波長変換部材の粒子の粒径に起因する凹凸形状が形成されていることが好ましい。
かかる構成によれば、波長変換用無機成形体は、無機粒子層内を伝搬する光の界面での全反射を低減させ、凹凸形状が形成された表面から効率的に外部に取り出すことができる。
第5の発明に係る波長変換用無機成形体は、前記被覆層が、原子層堆積法により形成されたことが好ましい。
かかる構成によれば、波長変換用無機成形体は、原子層堆積法によって形成された均一で緻密な被覆層により、無機粒子層に含有される粒子が被覆されると共に、粒子間の隙間に空隙が良好に形成される。
第6の発明に係る波長変換用無機成形体は、前記被覆層が、Al、SiO、ZrO、HfO、TiO、ZnO、Ta、Nb、In、SnO、TiN、及びAlNから構成される群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。
かかる構成によれば、波長変換用無機成形体は、好適な材料からなる被覆層で、波長変換部材の粒子を良好に被覆する。
第7の発明に係る波長変換用無機成形体は、前記無機粒子層に含有される波長変換部材が、硫化物系蛍光体、ハロゲンケイ酸塩系蛍光体、窒化物蛍光体、及び酸窒化物蛍光体から構成される群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することができる。
かかる構成によれば、波長変換用無機成形体は、熱により失活しやすいこれらの無機蛍光体を用いて、波長変換を行うことができる。
第8の発明に係る波長変換用無機成形体は、前記無機粒子層に含有される波長変換部材が、フッ化物蛍光体を含有することができる。
かかる構成によれば、波長変換用無機成形体は、水分により劣化しやすいフッ化物蛍光体を用いて、波長変換を行うことができる。
第9の発明に係る波長変換用無機成形体は、前記無機粒子層に含有される波長変換部材の粒子が、当該粒子同士及び前記基体と無機結着材により結着していることが好ましい。
かかる構成によれば、波長変換用無機成形体の無機粒子層は、無機結着材により波長変換部材の粒子の凝集体が散逸されることなく形成される。
第10の発明に係る波長変換用無機成形体は、前記基体が、無機材料からなることが好ましい。
かかる構成によれば、波長変換用無機成形体は、基体を無機材料で構成するため、使用時に基体が高輝度の光に照射され、また高温に晒されても、樹脂などの有機物と異なり、基体の変色などの劣化が防止される。
第11の発明に係る波長変換用無機成形体は、前記基体の熱伝導度が5W/m・K以上であることが好ましい。
かかる構成によれば、波長変換用無機成形体は、無機粒子層で波長変換の際に生じる熱を、熱伝導度の高い基体を介して放熱することができる。
第12の発明に係る波長変換用無機成形体は、前記基体と前記無機粒子層との間に、透光性を有する透光性層を設けることができる。
かかる構成によれば、波長変換用無機成形体は、入射光又は/及び波長変換された光が透光性層と基体とを透過する波長変換用無機成形体として用いることができる。また、波長変換用無機成形体は、波長変換部材の粒子が透光性層と被覆層とによって、連続的に被覆される。
第13の発明に係る波長変換用無機成形体は、前記透光性層と前記被覆層とが同じ材料で形成されていることが好ましい。
かかる構成によれば、波長変換用無機成形体は、無機粒子層に含有される波長変換部材の粒子が、同じ材料からなる透光性層と被覆層とによって、連続的に被覆される。
第14の発明に係る波長変換用無機成形体は、前記基体が、導電性を有する材料からなるようにすることができる。
かかる構成によれば、波長変換用無機成形体は、基体に導電体層を設けることなく、基体を一方の電極とした電気沈着法又は静電塗装法を用いて、基体上に直接に無機粒子層を形成することができる。
第15の発明に係る波長変換用無機成形体は、第1無機材料と第2無機材料とが異なる種類のものであることが好ましい。
かかる構成によれば、波長変換用無機成形体は、複数の種類の無機材料からなる波長変換部材を含有することとなり、入射光を入射光とは異なる2種以上の波長の光に波長変換させて、混色させて出射することが可能である。
第16の発明に係る発光装置は、光源と、前記の波長変換用無機成形体とを備えている。
かかる構成によれば、発光装置は、光源が発光する光を吸収して、波長変換用無機成形体によって吸収した光の波長とは異なる波長の光を出力光として出力する。これによって、発光装置は、光源の光の波長波長変換した出力光を出力する。
第17の発明に係る発光装置は、前記光源が発光する光の一部と、前記波長変換用無機成形体が発光する光、とを混色させた光を出力するように構成することができる。
かかる構成によれば、発光装置は、光源が発光する光の一部と、波長変換用無機成形体が発光する光であって、波長変換用無機成形体が光源の光を吸収して発光する光源の光の波長とは異なる波長の光、とを混色させた色の光を出力する。例えば、光源の色を青色、基体から発光する光の色を緑色および無機粒子層から発光する光の色を赤色として、これらを混色して白色光として出力することができる。
本発明の波長変換用無機成形体は、無機粒子層が波長変換部材の粒子の凝集体を被覆層で被覆した構造であるため、波長変換部材の含有率を高くすることができ、さらに空隙の光散乱効果によって、高い波長変換効率を得ることができる。また、本発明の波長変換用無機成形体は、成形体の形状や用いる波長変換部材の種類の制約が少ない。
さらに、本発明の波長変換用無機成形体は、第1無機材料と第2無機材料とからなる複数の種類の波長変換部材を、基体と無機粒子層に含有しているため、コンパクトな構造でありながら、入射光とは異なる複数の波長の光を混色させて出射することができる。
本発明の発光装置は、波長変換効率が高く、入射光とは異なる複数の波長の光を混色して出射することができる
第1実施形態に係る無機成形体の構成を示すものであり、(a)は模式的断面図、(b)は(a)の部分拡大図である。 第1実施形態に係る無機成形体の製造方法の流れを示すフローチャートである。 第1実施形態に係る無機成形体の製造工程を説明するための模式的断面図であり、(a)は導電体層を形成した様子、(b)は蛍光体粒子を積層した様子、(c)は導電体層を透明化した様子、(d)は被覆層を形成した様子、をそれぞれ示す。 第1実施形態に係る無機成形体の製造方法において、被覆層形成工程の詳細な処理の流れを示すフローチャートである。 第1実施形態の変形例に係る無機成形体の構成を示す模式的断面図であり、(a)はドーム型、(b)はチューブ型、(c)はレンズ型、に構成した例をそれぞれ示す。 第2実施形態に係る無機成形体の構成を示す模式的断面図である。 第2実施形態に係る無機成形体の製造方法の流れを示すフローチャートである。 第2実施形態に係る無機成形体の製造工程を説明するための模式的断面図であり、(a)はマスキングした様子、(b)は蛍光体粒子を積層した様子、(c)は被覆層を形成した様子、(d)はマスキングを除去した様子、をそれぞれ示す。 第3実施形態に係る無機成形体の構成を示す模式的断面図である。 (a)は第4実施形態に係る発光装置の構成を示す模式図であり、(b)は蛍光体層を内側に配置した例であり、(c)は蛍光体層を外側に配置した例である。 本発明の実施例に係る無機成形体の蛍光体層の断面を電子顕微鏡で撮影した写真画像である。 図11の領域Aにおいて、被覆層を塗りつぶした画像である。 図11の領域Aにおいて、被覆層及び蛍光体を塗りつぶした画像である。
以下、本発明における色変換用無機成形体(以下、「無機成形体」と略す)、この無機成形体の製造方法、この無機成形体を用いた発光装置について説明する。但し、本発明は、以下に説明する無機成形体の実施形態に限定されるものではない。
<第1実施形態>
[無機成形体の構成]
本発明の第1実施形態に係る無機成形体の構造を、図1を参照して説明する。
図1(a)に示すように、第1実施形態に係る無機成形体1は、透光性の基板2の上面に透光性層5を有し、透光性層5を介して基板2の上面に蛍光体層(無機粒子層)3が設けられている。透光性の基板2は、第1無機材料からなる無機蛍光体(波長変換部材)4を含有している(不図示)。また、蛍光体層3は、第2無機材料からなる粒状の無機蛍光体(波長変換部材)31と、無機蛍光体31を被覆する被覆層32とから形成されている。更に詳細には、図1(b)に示すように、蛍光体層3の内部には、空隙33が形成されている。
本実施形態に係る無機成形体1は、基板2及び透光性層5が透光性の材料を用いて構成されており、基板2及び透光性層5は、上方又は下方から照射された光および色変換部材によって色変換された光を透過することができる。
本実施形態に係る無機成形体1に蛍光体層3側から光が入射された場合は、入射光の一部は、蛍光体層3内の粒状の第2無機材料によって吸収され、入射光の色とは異なる色の光に変換され、入射光の他の一部は、基板2中に存在する第1無機材料によって吸収され、入射光の色とは異なる色の光に変換されて、いずれも入射光が入射した面と反対側の基板2側の面から出射される。
一方、本実施形態に係る無機成形体1に基板2側から光が入射された場合は、入射光の一部は、基板2中に存在する第1無機材料によって吸収され、入射光の色とは異なる色の光に変換され、入射光の他の一部は、蛍光体層3内の粒状の第2無機材料によって吸収され、入射光の色とは異なる色の光に変換されて、いずれも入射光が入射した面と反対側の蛍光体層3側の面から出射される。
従って、本実施形態に係る無機成形体1は、透過型の色変換用無機成形体として用いられるものである。
以下、無機成形体1の各部の構成について詳細に説明する。
なお、本明細書において「透光性を有する」とは、無機成形体1に入射する光及び無機成形体1内の色変換部材によって色変換された光に対して透光性を有することをいう。
(基板(基体))
基板2は、透光性を有し、第1無機材料からなる色変換部材4を含有し、蛍光体層3を支持する機能を有した部材である。さらに、光を制御する機能、熱を効率よく放熱させる機能などを有していてもよい。基板2として、種々の材料を目的・用途に応じて選択することができる。
基板2は、入射光、基板2内の第1無機材料によって色変換された光および蛍光体層3内の第2無機材料によって色変換された光に対して透光性を有している。透光性の尺度として、入射光量に対する透過光量の比率である光透過率は、50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上であることが望ましい。
基板2としては、例えばガラス、Al、SiOなどの酸化物や複合酸化物、AlN、GaNなどの窒化物や酸窒化物、SiCなどの炭化物や炭窒化物、ハロゲン化物、透光性カーボンなどの透明な無機材料を用いることができる。
基板2は、入射光とは異なる色の光を発光する第1無機材料からなる無機蛍光体4を含有している(不図示)。そのため、基板2は、上方又は下方から入射する光の一部又は全部を吸収し、入射した光とは異なる色の光を発光する色変換機能を有している。
基板2に入射した光は、基板2に含有される第1無機材料からなる無機蛍光体4に吸収されて、入射した光の色とは異なる色の光を発光する。
基板2に含有される第1無機材料からなる無機蛍光体4の存在形態は、種々のものが考えられる。第1無機材料からなる無機蛍光体4が、基板2の主原料となるものであってもよいし、基板2を構成する上記透光性の材料の一部として含有されていてもよいし、基板2の表面や内部に薄い層を形成していてもよい。
基板2の主要な構成態様を分類すると、以下のようになる。
(1)無機蛍光体のみを焼結して製造した多結晶蛍光体からなる基板;YAG系など酸化物系や非酸化物系の窒化物、硫化物などの結晶性の無機蛍光体粉末を焼結することにより得ることができる。
(2)融液成長などの方法で作成された無機蛍光体単結晶や無機蛍光体複合材料からなる基板。
(3)透明性無機材料中に蛍光体微粒子を分散させた材料からなる基板;ガラス、アルミナ、シリカなどの透明性無機材料と無機蛍光体微粒子とを混合して溶融させて得ることができる。
(4)発光ガラスからなる基板。
(5)透明基板の表面に蛍光体薄膜を有する基板;透明基板としては、焼結体板、単結晶板、ガラス板、フィルムなどを使うことができる。単結晶板としては、サファイア、ZnO、SiO、GaN、Gaなどの透明無機化合物を使うことができる。蛍光体薄膜を形成する方法としては、蒸着、溶射、スパッタリングなどの方法を用いることができる。
(6)透明無機化合物からなる層で無機蛍光体からなる層を挟み込んだ材料からなる基板。
これらの構成態様は、一例として記載したものである。これらの構成態様の中から、無機蛍光体4の特性や無機成形体1の目的・用途に応じて適切な構成態様を選択して使用することができる。例えば、耐熱性の低い無機蛍光体4であれば、製造時に加熱する工程を有する構成態様を用いることは好ましくない。
上記の基板2の主要な構成態様のそれぞれについて、製造方法の一例を以下に具体的に説明する。
(1)無機蛍光体のみを焼結して製造した多結晶蛍光体からなる基板
YAG系蛍光体粉末をプレス装置、冷間等方圧加圧装置(CIP:Cold IsostaticPressing)などを用いて押し固めて、焼結前の成形体を得る。この成形体を熱間等方圧加圧装置(HIP:Hot Isostatic Pressing)などに入れて、圧力をかけながら1500℃以上の温度で焼結させる。高温高圧とすることにより蛍光体粉末の表面が溶融し、粒子同士が融着して、バルクの蛍光体焼結体となる。この焼結体を所定の厚さに切り出し、切削、研磨し、続いて弱還元性雰囲気下でアニールすることにより、YAG系蛍光体焼結板の基板を得ることができる。YAG系蛍光体の組成を変えることにより種々の発光色を有した基板とすることができる。焼結方法としては、HIPの他、放電プラズマ焼結法(SPS:Spark Plasma Shintering)、真空焼結法、ホットプレス焼結法など種々の方法を使用できる。温度、雰囲気や圧力を変えることにより、酸化物系蛍光体やその他の組成の蛍光体基板を作成することができる。
(2)融液成長法で作成された無機蛍光体単結晶からなる基板
YAG系蛍光体の単結晶の作成方法としては、チョクラルスキー法、ブリッジマン法などが用いられる。まず、YAG系蛍光体の成分を含有する融液を作成し、種結晶を核として引き上げ法により単結晶を作成する。その後、結晶方位を考慮して、所望の形状・大きさに加工することにより、YAG系蛍光体単結晶からなる基板を得ることができる。融液にアルミナやシリカなどを過剰に加えることにより、YAG系蛍光体と過剰成分とが均一に混合して複合した結晶の基板とすることもできる。
(3)透明性無機材料中に蛍光体微粒子を分散させた材料からなる基板
YAG系蛍光体粉末とホウ珪酸ガラスや燐酸系低融点ガラスなどのガラス粉末を、プレス装置やCIP装置などを用いて押し固めて、焼結前の成形体を得る。この成形体を真空炉に入れて、減圧下でガラス材料の軟化点以上に加熱して焼結させる。減圧により粒子間の空隙が埋められた焼結体が得られる。これを所望の形状・大きさに加工することにより、基板を得ることができる。
(4)発光ガラスからなる基板
発光中心となる賦活剤の希土類元素と母体と成るガラス成分とを混合し、融液を作成して、冷却固化させることにより、ガラスを作成する。必要に応じて温度、雰囲気を制御しながら熱処理することにより発光ガラスを作成する。これを所望の形状・大きさに加工することにより、基板を得ることができる。
(5)透明基板の表面に蛍光体薄膜を有する基板
透明なアルミナ基板を蒸着装置内に入れて、蒸着用の原料として、SrS、Eu、Gaを用いて蒸着することにより、アルミナ基板の表面に、SrGaS:Euの蛍光体の蒸着層を作成する。蒸着後、所定の条件で熱処理して、蛍光体粒子を成長・結晶化させることにより、表面に、薄膜の蛍光体層が形成されたアルミナ基体を得る。薄膜の形成方法としては、蛍光体の種類により、スパッタリング法、溶射法、MBE法、CVD法などから選択することができる。
(6)透明無機化合物からなる層で無機蛍光体からなる層を挟み込んだ材料からなる基板
ナノサイズの蛍光体微粒子などのように、外部環境に対する耐久性が低い蛍光体材料の場合は、当該材料を無機接着剤などに拡散・混合させ、2枚のガラス板などの透明無機化合物板の間に挟み込み、密閉して封入することにより、基板とすることができる。
透光性の基板2には、光制御性を持たせることができる。即ち、光の選択透過性、光拡散性、光吸収性、光遮蔽性などの機能を付与することができる。例えば、光源として紫外線を出力するLD(レーザーダイオード)を用い、LDの上面に無機成形体1を、蛍光体層3が設けられた側をLDからの光の入射面として配置した発光装置において、LDから出射される光の漏れを低減させるための構成例について説明する。LDから出射された光が蛍光体層3に入射されると、蛍光体層3で色変換された光と、蛍光体層3で色変換されなかった光とが、共に基板2に入射される。このとき、蛍光体層3で色変換された光は基板2を透過させ、蛍光体層3で色変換されなかったLDから出射された光は基板2で遮蔽又は吸収させるように、光の透過性に波長選択性を有する機能を持たせるように基板2の材料を選択することができる。このような構成とすることで、LDから出射される光が、反対面(基板2側)から直接に出射されないようにすることができる。このような構成の具体例として、例えば、基板2の材料として、紫外線を透過しないパイレックス(登録商標)ガラスを用いたり、基板2の表面に紫外線を反射する誘電体反射膜を設けたりすることができる。
また、透光性を有する基板2の内部又は表面に、例えば、光を乱反射させる無機フィラー等を含有させて、光拡散性を持たせることもできる。このような構成にすることで、更に色変換の均一性を向上させることができる。ここで、光を乱反射させる無機フィラーとしては、基板2と屈折率差が大きく、透光性であり、粒子としてのサイズが小さいものが望ましい。具体的には、基板2として屈折率1.5程度のガラスを用いたときは、屈折率が2.5〜2.7のTi0などを挙げることができる。基板2としてSiOを用いたときは、TiO、Al、C(ダイヤモンド)などを挙げることができる。
透光性を有する材料は、一般に電気的に絶縁性であるが、基板2の表面に透光性の導電性材料からなる膜を設けたり、基板2を透光性を有する導電性材料から形成したり、基板2に透光性を有する導電性フィラーを含有させたりして、基板2に導電性を付与した場合には、後述する蛍光体層3の形成工程において、電気沈着法や静電塗装法などを利用することができる。
更に、基板2は、基板2の内部や蛍光体層3で色変換された光のストークスロスによる発熱を、基板2を介して効率よく放熱できるように、熱伝導度が高い材料を用いることが好ましい。具体的には、基板2に用いる材料の熱伝導度が5W/m・K以上であることが好ましく、100W/m・K以上であることがより好ましい。このような熱伝導度が高い透光性の材料としては、例えば、AlNを挙げることができる。また、熱伝導度の高い無機フィラー等を添加することにより、基板2の熱伝導性を高めてもよい。熱伝導度の高い無機フィラーの具体例としては、AlN、SiC、C(ダイヤモンド)などを挙げることができる。
更にまた、基板2の形状は板状に限定されず、構造部材として蛍光体層3を保持すると共に、発光装置の組み付け機能や集光機能を持たせるための立体構造を取ることもできる。例えば、ガラス製の基板2に加工を施してレンズ機能を持たせた上で、蛍光体層3を直接レンズ形状の基板2上に形成し、レンズと色変換部材である蛍光体層3とが一体となった構造の色変換用無機成形体1とすることもできる。このような構成にすることで、光制御がしやすくなる。
(蛍光体層(無機粒子層))
蛍光体層3は、第2無機材料からなる無機蛍光体31の粒子の凝集体を、無機材料からなる被覆層32で被覆した無機粒子層である。本実施形態では、蛍光体層3は、基板2の上面を被覆するように設けられている。蛍光体層3は、上方又は下方から入射する光の一部又は全部を吸収し、入射した光とは異なる色の光を発光する色変換機能を有する層である。
図1(b)に示したように、蛍光体層3は、粒状の無機蛍光体31の粒子が、無機材料からなる被覆層32によって被覆されていると共に、この被覆層32によって無機蛍光体31の粒子及び基板2、並びに粒子同士が固着され、粒状の無機蛍光体31が一体化した成形体を構成している。また、蛍光体層3の表面は、無機蛍光体31の粒径に起因した凹凸が形成されている。更に、蛍光体層3の内部において、無機蛍光体31の粒子間に空隙33が形成されている。
蛍光体層3に入射した光は、この空隙33によって散乱され、蛍光体層3に含有される無機蛍光体31に効率的に吸収されるため、空隙33を有さない場合に比べて高い色変換効率を得ることができる。このため、同じ色変換率を得るためには、空隙33を有さない場合よりも蛍光体層3の厚さを薄くすることができる。
また、蛍光体層3の表面に、無機蛍光体31の粒径に起因する凹凸を有するため、特に無機成形体1の基板2側から光を入射する場合は、界面での全反射を低減して蛍光体層3から効率的に光を取り出すことができる。このため、この無機成形体1を色変換用成形部材として用いて発光装置を構成すると、高い発光効率を得ることができる。
また、蛍光体層3は、透光性のアルカリ土類金属塩からなる無機結着材(不図示)が含まれていてもよい。無機結着材は、無機蛍光体31と基板2との間、及び/又は無機蛍光体31同士を結着するものである。この無機結着材は、無機蛍光体31を基板2上に積層する製造工程において添加されたものであり、無機材料からなる被覆層32によって、無機蛍光体31の粒子と基板2との間、及び無機蛍光体31の粒子同士を被覆する被覆層32が形成されるまで、無機蛍光体31の粒子が散逸しないように結着させる機能を有している。
また、蛍光体層3は、無機フィラーなどが含まれるようにしてもよい。例えば、無機フィラーの添加によって、蛍光体層3に入射した光を散乱、拡散させたり、前記したストークスロスによる発熱を効率的に基板2に伝導することで、放熱性を向上させたりすることができる。また、無機フィラーの添加によって、蛍光体層3における無機蛍光体31の含有率を調整することができる。また、添加する無機フィラーの粒径や形状によって、空隙33の形状、空隙率、蛍光体層3の表面の凹凸形状を調整することができる。
また、蛍光体層3は、金属粉などの導電性粒子などが含まれるようにしてもよい。導電性粒子の添加によって、前記したストークスロスによる発熱を効率的に基板2に伝導することで、放熱性を向上させることができる。
無機フィラーとしては、例えば、窒化アルミニウム、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、銀、シリカ(ヒュームシリカ、沈降性シリカ等)、チタン酸カリウム、ケイ酸バリウム、ガラスファイバー、カーボン、ダイヤモンド等及びこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。
また、酸化タンタル、酸化ニオブ、希土類酸化物など、光吸収の少ない透光性材料や、特定の波長の光を反射又は吸収する無機化合物を用いることができる。
なお、無機フィラーは、後記する無機蛍光体31の粒径と同程度のものを用いることができる。
また、蛍光体層3は、無機蛍光体31の粒子の凝集体を被覆層32で連続的に被覆して一体化した層であるが、保護層や反射防止層などを更に積層するようにしてもよい。この場合、基板2の上面から、保護層や反射防止層などを含めた蛍光体層3の上面までの膜厚である蛍光体層3の総膜厚は、10〜300μm程度とすることが好ましい。
また、蛍光体層3は、無機蛍光体31の粒子の凝集体であるため、それらの粒径によって膜厚は影響されるが、実質的に色変換に寄与する蛍光体層3の厚さが、1〜150μm程度のものを用いることができ、5〜70μmとすることが好ましく、10〜50μmとすることがより好ましい。なお、「実質的に色変換に寄与する蛍光体層」とは、前記した保護層や反射層を除き、無機蛍光体31の粒子の凝集体を被覆層32で連続的に被覆して一体化した層を指す。
この蛍光体層3の厚さ(実質的に色変換に寄与する蛍光体層の厚さ及び総膜厚)は、走査型電子顕微鏡を用いて測定することができる。
また、本発明の実施形態においては、従来の焼結セラミックスなどからなる蛍光体の成形体に比べ、蛍光体層3における無機蛍光体31の含有率を高くすることができ、また空隙33の存在によって、同じ色変換率を得るための蛍光体層3の膜厚を薄くすることができる。このため、蛍光体層3に含有される無機蛍光体31で生じたストークスロスによる発熱を、放熱機能を持つ基板2等へ迅速に伝導することができる。すなわち、放熱性の優れた無機成形体1とすることができる。
(無機蛍光体(波長変換部材))
基板2が含有する無機蛍光体4(不図示)および蛍光体層3が含有する無機蛍光体31は、それぞれ、光を吸収し、吸収した光の色とは異なる色の光を発光する第1無機材料あるいは第2無機材料からなる色変換部材である。
無機蛍光体31として使用される蛍光体材料は、励起光である入射光を吸収して、異なる色(波長)の光に色変換(波長変換)するものであればよい。
基板2が含有する無機蛍光体4と蛍光体層3が含有する無機蛍光体31とは、同一の種類のものであってもよいし、異なる種類のものであってもよい。
無機蛍光体が同一の種類の場合、無機成形体1は、基板2と蛍光体層3のいずれにも同一の種類の無機蛍光体を有することとなる。そのため、光源等から無機成形体1に入射した光は、基板2あるいは蛍光体層3のいずれかで無機蛍光体に照射される確率が高くなり、当該同一の種類の無機蛍光体による光の色の変換効率を高めることが可能となる。
一方、無機蛍光体が異なる種類の場合、無機成形体1は、基板2と蛍光体層3とにそれぞれ異なる種類の無機蛍光体を有することとなる。そのため、光源等から無機成形体1に入射した光のうち、一部の光は基板2が含有する無機蛍光体4に照射され、他の一部の光は蛍光体層3が含有する無機蛍光体31に照射されることとなる。そして、基板2が含有する無機蛍光体4から発光される光と蛍光体層3が含有する無機蛍光体31から発光される光の両方が混色されて、無機成形体1から出射されることとなる。また、場合によっては、基板2が含有する無機蛍光体4あるいは蛍光体層3が含有する無機蛍光体31のいずれかから発光された光の一部が、他の種類の無機蛍光体に照射されて、さらに異なる色の光を発光することもある。
従って、無機蛍光体が異なる種類の場合には、無機蛍光体に照射されずに出射される入射光の一部も含めて、無機成形体1からは複数の色の光が混色されて出射されることとなる。
基板2が含有する無機蛍光体4と蛍光体層3が含有する無機蛍光体31とは、それぞれ独立して変更することが可能であるため、両者それぞれの無機蛍光体の種類、粒子径、含有量、含有形態、等を変えた種々の組み合わせの無機成形体1を設計することができる。その結果、多様なスペクトルを有した光を自在に発色させることができる。目的や用途に応じて、それら種々の組み合わせの中から最適な組み合わせを選択して適用することが可能である。
例えば、光源光として、青色の光を使用し、基板2として、透明ガラス中に青色の光を緑色の光に変換させるLAG(ルテチウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体微粒子を分散させた材料からなる基板を用い、蛍光体層3が含有する無機蛍光体31が青色の光を赤色の光に変換させる無機蛍光体であれば、光源光を含めたこれら3色の光を混色して白色光とすることができる。
本実施形態の無機成形体1は、基板2が含有する無機蛍光体4および蛍光体層3が含有する無機蛍光体31として、それぞれ、複数の種類の蛍光体を併用することもできる。複数の種類の蛍光体を混合して使用することにより、特殊な色の発色をさせたり、簡便な構造としたりするときには有効である。
また、本実施形態の無機成形体1は、蛍光体層3を複数有する構成としてもよい。例えば、基板2の表側と裏側に2つの蛍光体層3を設けたり、基板2の片側に蛍光体層3を2層以上設けてもよい。このような構成とすることにより、基板2が含有する無機蛍光体4と合わせて、3種類以上の蛍光体を有した無機成形体1とすることができる。
本実施形態では、従来のように、異なる色の複数の発光素子を組み合わせたり、複数の色変換蛍光体を組み合わせたりして複雑な構成を取る必要もなく、コンパクトな構造でありながら、一つの無機成形体1によって、入射光とは異なる色の複数の色の光を混色して出射することが可能である。
また、従来は、複数の種類の色変換蛍光体を樹脂系の接着剤で貼り合わせたり、複数の種類の色変換蛍光体を樹脂中に分散させたりして用いていた。しかし、本実施形態では、無機材料が主体であって、熱伝導性、耐熱性および耐光性が劣る樹脂系材料を使用することが不要であるため、放熱性や耐久性を良好なものにすることが可能である。
ここで、一つの無機成形体1において、複数の種類の蛍光体を併用できることの利点について、発光効率、耐久性、混色性の3つの観点から、さらに説明する。
(発光効率)
従来の複数の蛍光体を含有した色変換用成形体においては、発光波長が短い蛍光体の光が、発光波長の長い蛍光体に吸収されて、発光波長が変換されることによって、徐々に光のエネルギーが失われ、実質的にLEDから出る光の総量が減り、LEDのエネルギー変換効率が下がる、という2次吸収によるロスの問題が存在していた。
この2次吸収によるロスの問題は、例えば、無機成形体の同一の蛍光体層中に、複数の種類の蛍光体を混合して用いた場合、あるいは、蛍光体の有する特性から、光源に近い側の蛍光体の層に発光波長の短い蛍光体、光源に遠い側の蛍光体の層に発光波長の長い蛍光体を配置した場合に発生していた。
ところが、本実施形態においては、光源に近い側の基板2あるいは蛍光体層3に、発光波長の長い(吸収波長の長い)蛍光体を配置し、光源に遠い側の基板2あるいは蛍光体層3に、発光波長の短い(吸収波長の短い)蛍光体を配置することができるので、上記2次吸収によるロスが低減されて、発光効率を改善することができる。一般に、色変換に使われる蛍光体の量は出来るだけ少なく、色変換される回数は出来るだけ少ない方がLEDの発光効率が改善されるためである。
(耐久性)
従来は、複数の蛍光体を含有した色変換用成形体の構成として、色変換機能を持った基体の両側あるいは片側に、基体が含有する蛍光体とは異なる種類の蛍光体を分散させた樹脂層を配した構成の色変換用成形体が存在していた。しかし、樹脂中に分散させた蛍光体には放熱経路が設けられているわけではなく、樹脂のガスバリア性も高くないため、蛍光体や樹脂が外部環境による劣化を受け易く、耐久性に問題があるものであった。
一方、本実施形態の構成では、色変換機能を持った基板2に、無機蛍光体31を含有する蛍光体層3が連続的に繋がっていることにより、無機蛍光体31の放熱が容易であり、耐久性に優れたものとなる。また、無機材料からなる均一でガスバリア性に優れた被覆層32によって、無機蛍光体31が保護されているため、無機蛍光体31が外部環境による劣化を受けにくく、耐久性に優れたものとなる。
さらに従来は、例えば、燐酸系の融点400℃付近の低融点ガラスは、潮解性があるために、色変換用成形体としては使用されていなかった。しかし、本実施形態においては、無機材料からなる被覆層32によって、無機蛍光体31だけでなく、基板2も外部環境から保護されるため、無機成形体1としての耐久性が改善され、従来は使用できなかった低融点ガラスや耐熱性の低い蛍光体も、無機成形体1の構成材料として使用可能となり、選択できる蛍光体の種類が増加している。
(混色性)
従来は、無機成形体1の混色の均一性を改良するために、基板となるガラス中に光拡散のためのフィラーなどを添加していたが、優れた混色性を確保するためには、ガラス中に添加する蛍光体やフィラーの種類の選択に制約があった。
しかし、本実施形態においては、色変換機能を持った基板2の表面に、空隙33を有した無機粒子層3を有しており、さらに無機粒子層3の表面が凹凸形状を有していることにより、発光効率を大きく減らすことなく、混色の均一性を向上させることが可能となっている。
また、無機粒子層3の構成として、空隙33の存在比率、層の厚み、無機蛍光体31の種類、粒子径、含有量、形状等を制御することにより、混色の均一性を向上させることが可能である。
さらに、基板2の発光素子からの入射光が入射する側とは反対側に、部分的もしくは全体に反射層を設けることにより、混色性を向上させることが可能である。
上記のことからわかるように、基板2が含有する無機蛍光体4と蛍光体層3が含有する無機蛍光体31、即ち、第1無機材料と第2無機材料とは、異なる種類のものであった方が、多様な優れた効果を発現させることが可能であり、好ましい。
蛍光体層3が含有する無機蛍光体31の粒子の平均粒径は、特に限定されないが、光の色変換効率の面から、0.1〜100μm程度のものを用いることができる。取り扱いやすさの観点から、好ましくは1〜50μm、より好ましくは2〜30μmのものを用いることができる。
なお、平均粒径の値は、空気透過法又はF.S.S.S.No(Fisher−SubSieve−Sizers−No.)によるものとする(いわゆるDバー(Dの上にバー)で表される値)。
また、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、島津製作所製のSALDシリーズなど)又は電気抵抗式粒度分布装置(例えば、コールター(BECKMAN COULTER)社製のコールターカウンターなど)で測定される中心粒径Dm(Median Diameter)と前記した平均粒径Dバーとの比である(Dm/Dバー)を、無機蛍光体31の粒子の分散性を示す指標とした場合に、この指標値が1に近いほど好ましい。すなわち、指標値が1に近いほど粒子の分散性が高く、粒子が凝集せず、応力の少ない蛍光体層3を形成することができる。これによって、蛍光体層3におけるクラックの発生を抑制することができる。
基板2が含有する無機蛍光体4および蛍光体層3が含有する無機蛍光体31は、1種類だけでなく、複数種類の無機蛍光体を混合して用いてもよい。蛍光体層3が含有する無機蛍光体31の場合は、複数種類の無機蛍光体31の粒子を混合して用いてもよいし、複数種類の無機蛍光体31の粒子層を順次積層するようにして作成してもよい。
基板2が含有する無機蛍光体4および蛍光体層3が含有する無機蛍光体31の具体例としては、以下のものを挙げることができる。
例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体・酸窒化物系蛍光体・サイアロン系蛍光体、Eu等のランタノイド系やMn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ハロゲンホウ酸塩蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類金属ケイ酸塩蛍光体、アルカリ土類金属硫化物蛍光体、アルカリ土類金属チオガレート蛍光体、チオケイ酸塩蛍光体、アルカリ土類金属窒化ケイ素蛍光体、ゲルマン酸塩蛍光体、アルカリ金属ハロゲンケイ酸塩蛍光体、アルカリ金属ゲルマン酸塩蛍光体、又は、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体、希土類ケイ酸塩蛍光体等から選ばれる少なくともいずれか1以上であることが好ましい。具体例として、下記の蛍光体を使用することができるが、これに限定されない。
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体は、MSi:Eu、MAlSiN:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などがある。また、MSi:EuのほかMSi10:Eu、M1.8Si0.2:Eu、M0.9Si0.110:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などもある。
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される酸窒化物系蛍光体は、MSi:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などがある。
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活されるサイアロン系蛍光体は、Mp/2Si12−p−qAlp+q16−p:Ce、M−Al−Si−O−N(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。qは0〜2.5、pは1.5〜3である。)などがある。
Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体には、M(POX:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれかである。)などがある。
アルカリ土類金属ハロゲンホウ酸塩蛍光体には、MX:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれかである。)などがある。
アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体には、SrAl:R、SrAl1425:R、CaAl:R、BaMgAl1627:R、BaMgAl1612:R、BaMgAl1017:R(Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれかである。)などがある。
アルカリ土類金属ケイ酸塩蛍光体には、MSiO:Eu(Mは、Ca、Sr、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などがある。
アルカリ土類金属硫化物蛍光体には、LaS:Eu、YS:Eu、GdS:Euなどがある。
アルカリ金属ハロゲンケイ酸塩蛍光体には、MSiX:Mn(Mは、Li、Na、Kから選ばれる1種以上であり、Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる1種以上であり、またSiの一部をGeで置換することができる)、LiSiF:Mn、K(SiGe)F:Mnの組成式で表される蛍光体がある。
Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体には、YAl12:Ce、(Y0.8Gd0.2Al12:Ce、Y(Al0.8Ga0.212:Ce、(Y,Gd)(Al,Ga)12:Ceの組成式で表されるYAG系蛍光体などがある。また、Yの一部若しくは全部をTb、Lu等で置換したTbAl12:Ce、LuAl12:Ceなどもある。
その他の蛍光体には、MS:Eu、ZnGeO:Mn、0.5MgF・3.5MgO・GeO、MGa:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などがある。これらの蛍光体は、所望に応じてEuに代えて、又は、Euに加えてTb、Cu、Ag、Au、Cr、Nd、Dy、Co、Ni、Tiから選択される1種以上を含有させることもできる。
また、前記した蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、効果を有する蛍光体も使用することができる。
これらの蛍光体は発光素子からの励起光により、黄色、赤色、緑色、青色の発光スペクトルを有するものを使用することができるほか、これらの中間色である黄色、青緑色、橙色などに発光スペクトルを有するものも使用することができる。これらの蛍光体を種々組み合わせて使用することにより、種々の発光色を有する発光装置を製造することができる。
例えば、光源として青色に発光するGaN系又はInGaN系化合物半導体発光素子を用いて、基板2が含有する無機蛍光体4および蛍光体層3が含有する無機蛍光体31として、YAl12:Ce若しくは(Y0.8Gd0.2Al12:Ceの青色の光を黄色に変換する蛍光体を用いて、色変換を行うようにし、発光素子からの光と、蛍光体からの光との混合色により白色に発光する発光装置を提供することができる。
例えば、基板2が含有する無機蛍光体4および蛍光体層3が含有する無機蛍光体31として、緑色から黄色に発光するCaSi:Eu又はSrSi:Euと、青色に発光する(Sr,Ca)(POCl:Eu、赤色に発光するCaSi:Eu又はCaAlSiN:Euと、からなる3種の蛍光体を使用することによって、演色性に優れた白色に発光する発光装置を提供することができる。さらに、この構成においては、光の三原色である赤・青・緑を使用しているため、蛍光体の配合比を変えることのみで、広範囲の色彩の可視光を出射させることができる。
なお、基板2が含有する無機蛍光体4および蛍光体層3が含有する無機蛍光体31の具体例として前記した蛍光体の中には、例えば、非酸化物系の蛍光体である硫化物系蛍光体、ハロゲンケイ酸塩系蛍光体、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体等のように、熱により母体が分解したり賦活剤が失活したりしやすいものがある。また、フッ化物蛍光体のように、水分により潮解するなど、雰囲気により劣化するものがある。
本実施形態では、蛍光体層3を形成する際に、焼結法やガラス封止による成形方法のように高温が負荷されることがないため、蛍光体層3が含有する無機蛍光体31として、熱により劣化しやすい、例えば、非酸化物系の蛍光体であるCASNやSCASNのような窒化物蛍光体を用いることができる。
また、本実施形態では、無機蛍光体31は、好ましくは後記する原子層堆積法により形成される被覆層32によって緻密に被覆されるため、水分により潮解しやすい、例えば、LiSiF:Mnのようなフッ化物蛍光体を用いることができる。
以上のことから、基板2が含有する蛍光体4としては、基板2を製造・加工する際に蛍光体の効率が低下しない蛍光体が好ましく、一般的には希土類アルミン酸塩蛍光体、希土類珪酸塩蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体など、比較的耐熱性に優れた酸化物系蛍光体が選択される場合が多い。一方、蛍光体層3が含有する無機蛍光体31としては、蛍光体層3の製造・加工をする際に熱がかかりにくく、製造後は被覆層32によって保護されるので、耐熱性や耐水性が劣る蛍光体も含めて、比較的広範囲の蛍光体から選択することが可能である。
(被覆層)
被覆層32は、粒状の無機蛍光体31の粒子を被覆すると共に、当該粒子及び基板2、並びに粒子同士を固着させる透光性の被膜である。すなわち、被覆層32は、無機蛍光体31の保護層としての機能と、バインダーとしての機能と、熱伝導経路としての機能とを有するものである。
被覆層32としては、Al、SiO、ZrO、HfO、TiO、ZnO、Ta、Nb、In、SnO、TiN、AlNなどから構成される群から選ばれる少なくとも1種の化合物を好適に用いることができる。
また、被覆層32は、ALD(Atomic Layer Deposition;原子層堆積)法やMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition;有機金属化学的気相成長)法、PECVD(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition;プラズマCVD)法、大気圧プラズマ成膜法などによって形成することができる。
特に、ALD法は、形成される被膜が緻密であり、段差(凹凸)を有する形状の被覆性が高く、均一な厚さの被膜を形成することができるため好ましい。また、ALD法により形成される被覆層32は、膜厚が薄くても、無機蛍光体31の粒子を良好に被覆するとともに、無機蛍光体31の粒子の凝集体を一体化することができ、蛍光体層3の膜厚を更に薄く形成することができる。このため、無機蛍光体31の粒子で生じたストークスロスによる発熱を、薄い被覆層32を介して放熱機能を持つ基板2へ迅速に伝導することができる。これによって、放熱性の優れた無機成形体1を形成することができる。なお、良好な放熱性を得るために、蛍光体層3の膜厚を前記した範囲とすることが好ましく、また、被覆層32の膜厚を後記する範囲とすることが好ましい。
また、ALD法により形成される被覆層32の原料には常温から300℃以下に蒸気圧を持つ有機金属材料、金属ハロゲン化物等が用いられる。特に、ALD法で形成したAlからなる被膜は、水分などの雰囲気に対するバリア性が高く、好ましい。Al膜を形成するための原料には、TMA(トリメチルアルミニウム)と水とが用いられる。
また、被覆層32の膜厚は、平均厚さで10nm〜50μmとすることができ、好ましくは50nm〜30μm、より好ましくは100nm〜10μmとすることができる。
なお、被覆層32の膜厚は、無機蛍光体31の粒子(無機フィラーなどを添加している場合は、無機蛍光体31及び無機フィラーなどの粒子)を均一に被覆している部分の厚さを指す。
なお、被覆層32は、前記した化合物による単一層として形成することも、異種材料による多層膜として形成することもできる。多層膜で形成する場合には、例えば、第1層(無機蛍光体31に接する層)としてALD法による緻密な層を形成し、次いで第2層として、PECVD法や大気圧プラズマ成膜法などの成膜速度の速い手法で成膜することもできる。
(空隙)
空隙33は、基板2上に積層された無機蛍光体31の粒子間の隙間として形成されるものである。すなわち、空隙33は、被覆層32で被覆された粒子、又は、被覆層32で被覆された粒子及び被覆層32で被覆された基板2によって取り囲まれた空間である。なお、蛍光体層3に、無機フィラーや導電性粒子などの、無機蛍光体31以外の粒子が含まれる場合は、空隙33は、無機蛍光体31を含めたこれらの粒子間の隙間として形成される。
空隙33は、蛍光体層3に入射した光を散乱させ、入射光を効率的に無機蛍光体31に吸収させることができる。空隙率は、1〜50%程度とすることが好ましく、より好ましくは5〜30%である。空隙率の最適値は、無機蛍光体31の粒径と被覆層32の膜厚とに依存するが、空隙率を1%以上とすることで、効果的に入射光を散乱させることができ、50%以下とすることで、蛍光体層3を薄肉化した場合でも、色変換に十分な無機蛍光体31の含有量とすることができる。
また、前記した空隙率の範囲で空隙33を設けることにより、基板2と蛍光体層3との間の線膨張係数の差が大きい場合でも、製造工程や製造後の使用時における温度上昇によって成形体に掛かる歪を吸収し、クラックの発生を防止することができる。
なお、蛍光体層3における空隙率は、無機蛍光体31の平均粒径と、被覆層32の膜厚とを、それぞれ前記した範囲で調整することにより制御することができる。すなわち、無機蛍光体31の平均粒径に応じて、被覆層32の膜厚を定めることで、所望の空隙率となる空隙33を形成することができる。また、蛍光体層3に無機フィラーを添加する場合は、無機蛍光体31の粒子と無機フィラーの粒子とを合わせた平均粒径と、被覆層3の膜厚とによって空隙率を制御することができる。また、空隙率の制御には、更に粒子の形状及び粒子の分散性を考慮することが好ましい。
(空隙の充填物)
また、空隙33を充填物で埋めるようにしてもよい。充填物としては、空気層(N、O、CO等の混合気体)などの気体が好ましい。但し、これに限定されず、無機化合物(例えば、AlOOH、SiOx等)、無機原料(例えば、ポリシラザン等)、ガラスやナノ無機粒子等の固体が、充填物の一部もしくは全部を占めるようにしてもよい。このような固体の充填物の原料として、液体ガラス材料、ゾルゲル材料などの、無機化合物を含有する液体を挙げることができる。また、前記したような無機化合物を含有する液体の溶媒として、水、有機溶媒、更にはシリコーンやフッ素樹脂などの無機物を主体とする樹脂を用いることもできる。
なお、空隙33に設けられるこれらの固体の充填物は、被覆層32を構成する材料と同じ材料を含むようにしてもよい。この場合には、被覆層32と空隙33の充填物とで、互いに屈折率や透過率などの物性が異なるようにすることが好ましい。このために、例えば、被覆層32がALD法で形成されたAlとし、空隙33の充填物がゾルゲル法で形成されたAlとすることができる。このように形成方法が異なることにより、結晶性や密度が異なり、前記した物性を異なるようにすることができる。
このように空隙33を、被覆層32とは物性の異なる材料で充填することにより、蛍光体層3に入射した光の拡散や取り出しを制御することができる。
(透光性層)
透光性層5は、後記する蛍光体層形成工程S11(図2参照)において、基板2上に電気沈着法又は静電塗装法により、無機蛍光体31の粒子層34を形成するための電極として用いるために形成された導電体層6(図3(b)参照)を透明化したもの、もしくは透明導電体層である。従って、透光性層5は、前記した製造工程において導電性を有し、その後に透明化が可能な材料か、導電性を有する透光性の材料を用いることができる。
導電性を有し、後に透明化が可能な材料としては、Al、Si、Zn、Sn、Mg、Inから選択された少なくとも一種を含む金属材料を挙げることができる。例えば、Alは、90℃程度の熱水に晒すことで酸化でき、透光性のAlに変化させることができる。また、このようにAlは比較的低温で酸化させて、透明化することができるため好ましい。この場合は、Al膜が透光性層5として形成される。更にまた、被覆層32としてAl膜を形成する場合は、同じ材料であるため、被覆層32と透光性層5とが良好に密着する。このため、無機蛍光体31を水分などの雰囲気から良好に保護すると共に、蛍光体層3の基板2からの剥離が防止される。Al以外の材料についても、透光性層5と被覆層32とが同じ材料となるようにすることで、透光性層5と被覆層32との間の良好な密着性が得られるため好ましい。
導電体層6を透光性層5に変換する他の方法として、アンモニア水による処理を用いることができる。例えば、導電体層6の材料としてAl又はZnを用いた場合は、アンモニア水で処理することにより、それぞれ透光性のAl(OH)(水酸化アルミニウム)、Zn(OH)(水酸化亜鉛)に変換することができる。また、これらはゲル状の物質として生成するため、無機蛍光体31の粒子同士の結着材としての効果も期待できる。
また、導電性を有する透光性の材料としては、例えば、Zn(亜鉛)、In(インジウム)、Sn(スズ)、Ga(ガリウム)及びMg(マグネシウム)からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含む導電性金属酸化物が挙げられる。具体的には、ZnO、AZO(AlドープZnO)、IZO(InドープZnO)、GZO(GaドープZnO)、In23、ITO(SnドープIn23)、IFO(FドープIn23)、SnO2、ATO(SbドープSnO2)、FTO(FドープSnO2)、CTO(CdドープSnO2)、MgOなどの導電性金属酸化物がある。
なお、導電性を有する透光性の材料を用いた場合は、後記する製造方法において、導電体層透明化工程S12(図2参照)を省略することができる。
[無機成形体の製造方法]
次に、本発明の第1実施形態に係る無機成形体の製造方法について、図2を参照して説明する。
図2に示すように、第1実施形態に係る無機成形体の製造方法は、導電体層形成工程S10と、蛍光体層形成工程S11と、導電体層透明化工程S12と、被覆層形成工程S13と、を含み、この順で行われる。
以下、図3を参照(適宜図1及び図2参照)して、各工程について詳細に説明する。
(導電体層形成工程)
まず、導電体層形成工程S10において、図3(a)に示すように、基板2において、蛍光体層3を形成する領域である上面に、導電体材料をからなる導電体層6を形成する。
ここで、基板2は、第1無機材料からなる無機蛍光体4を含有する透光性の基板である。
導電体層6としては、後工程である導電体層透明化工程S12で透明化できる材料として、例えば、Alを用いることができる。導電体層6は、例えば、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法などにより形成することができる。なお、導電体層6を成膜する前に、蛍光体層3を設ける領域以外は、テープやフォトレジストなどを用いてマスキングを施すものとする。
また、導電体材料として、ITO、ZnOなどの前記した透光性を有する材料を用いて、導電体層6を、例えば、スパッタリング法や蒸着法などの物理的方法、あるいはスプレー法やCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法などの化学的方法などにより形成することができる。なお、導電体層6を、透光性材料を用いて形成した場合は、導電体層透明化工程S12を省略することができる。
(蛍光体層形成工程(無機粒子層形成工程))
次に、蛍光体層形成工程S11において、図3(b)に示すように、基板2の上面に無機蛍光体31の粒子の凝集体である粒子層34を形成する。本実施形態では、電気沈着(電着)法により無機蛍光体31の粒子層34を形成する場合について説明する。
なお、蛍光体層3に無機フィラーや導電性粒子などの無機粒子を添加する場合は、粒子層34は、無機蛍光体31の粒子と、これらの粒子との凝集体となる。
電気沈着法によれば、室温下で、粒状の無機蛍光体31を懸濁させた溶液を入れた電着槽に、一方の電極となる導電体層6を設けた基板2と、他方の電極となる対電極とを浸漬させ、電極間に電圧を印加する。なお、基板2側には、無機蛍光体31が帯電する極性と異なる極性の電圧を印加する。これによって、無機蛍光体31の粒子が電気泳動して導電体層6を介して基板2に付着する。無機蛍光体31の粒子層34の厚さは、電極間に通電する電流及び時間で定められるクーロン量を調整することで制御することができる。
この電気沈着法に用いる溶媒は、特に限定されないが、IPA(イソプロピルアルコール)などのアルコール系溶媒を好適に用いることができる。
また、無機蛍光体31の粒子及び基板2、並びに無機蛍光体31の粒子同士を結着させるための無機結着材を溶液中に添加することが好ましい。無機結着材は、電気沈着法によって積層した無機蛍光体31の粒子を、後工程である被覆層形成工程S13で被覆層32が形成されるまで、散逸させないようにするためのものである。無機結着材としては、例えば、Mgイオン、Caイオン、Srイオンなどのアルカリ土類金属イオンを用いることができる。添加したアルカリ土類金属イオンは、水酸化物や炭酸塩として析出して結着力を発揮する。これらの水酸化物や炭酸塩は、無色透明であるため、製造後の蛍光体層3中に残存しても色変換効率を低下することがない。また、無機物であるため、経時変化により色変換効率を低下させることもない。
また、無機蛍光体31の電気泳動を効率的に行わせるために、溶液中に金属塩などの帯電制御剤を添加することが好ましい。また、帯電制御剤は、溶液中に添加せず、無機蛍光体31の粒子にコーティングするようにしてもよい。
なお、本実施形態では、蛍光体層形成工程S11において、電気沈着法により無機蛍光体31の粒子層34を形成するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、導電体層6を設けた基板2を一方の電極として、静電塗装法を用いることもできる。また、蛍光体層3を上面に形成する場合は、遠心沈降法を用いることもできる。その他に、パルススプレー法を用いることもできる。また、前記した方法を組み合わせて用いることもできる。
なお、遠心沈降法又はパルススプレー法を用いて無機蛍光体31の粒子層34を形成する場合は、導電体層6の形成は不要である。この場合は、導電体層形成工程S10及び導電体層透明化工程S12は省略することができる。この場合は、図1に示した無機成形体1において、透光性層5を有さずに、非導電性の透光性を有する基板2上に蛍光体層3が直接に設けられた構成の無機成形体が形成される。
(導電体層透明化工程)
次に、導電体層透明化工程S12において、図3(c)に示すように、導電体層6を透明化して、透光性層5に変化させる。導電体層6をAl膜で形成した場合は、例えば、90℃程度の熱水に晒すことでAlを酸化し、透光性のAl膜に変化させることができる。
また、導電体層6をAl膜で生成した場合は、アンモニア水で処理して、Alを透光性のAl(OH)に変化させることもできる。
また、導電体層6を形成する金属を溶解させ、除去するようにしてもよい。導電体層6を除去する方法としては、酸による溶解反応を用いることができる。酸としては、例えば、HCl(塩酸)、HSO(硫酸)、HNO(硝酸)、その他の無機酸又は有機酸の水溶液を用いることができる。例えば、導電体層6の材料としてAlを用いた場合は、酸水溶液に浸漬させることで、Al3+となり酸水溶液に溶解して除去される。
更に、導電体層6の材料としてAl、Zn又はSnなどの両性金属を用いた場合は、導電体層6を除去する方法として、NaOH(水酸化ナトリウム)、KOH(水酸化カリウム)又はその他のアルカリ水溶液による溶解反応を用いることができる。例えば、導電体層6の材料としてAl、Zn又はSnを用いた場合は、水酸化ナトリウム水溶液と反応させることで、それぞれNa[Al(OH)]、Na[Zn(OH)]]、Na[Sn(OH)]などの錯イオンを生成してアルカリ水溶液に溶解して除去される。
なお、導電体層6を除去する場合は、図1に示した無機成形体1において、透光性層5を有さずに、非導電性の透光性を有する基板2上に蛍光体層3が直接に設けられた構成の無機成形体が形成される。
(被覆層形成工程)
次に、被覆層形成工程S13において、図3(d)に示すように、無機蛍光体31の粒子を被覆する被覆層32を形成する。無機蛍光体31の粒子は被覆層32によって被覆されると共に、無機蛍光体31の粒子及び透光性層5、並びに無機蛍光体31の粒子同士が固着して、一体化した無機成形体1が得られる。被覆層形成工程S13において、被覆層32は、ALD法やMOCVD法などによって形成することができる。
また、透光性層5と被覆層32とを同じ材料で形成した場合は、蛍光体層3と透光性層5との密着性がよく、透光性層5に接する無機蛍光体31の水分などの雰囲気に対する良好なバリア性が得られると共に、蛍光体層3が基板2から剥離しにくくすることができる。
また、被覆層形成工程S13を行った後で、更に、蛍光体層3の表面にSiO膜などの無機材料からなる層を、保護層や無反射コーティング層として形成するようにしてもよい。この層は、例えば、スパッタリング法、CVD法、ALD法、大気圧プラズマ法などによって形成することができる。
また、空隙33に、空気層以外の充填物として固体を設ける場合は、被覆層形成工程S13の後に続いて、以下に説明するようにして行うことができる。なお、被覆層形成工程S13を行った後の空隙33には、空気が充填されている。
固体の充填物は、溶媒中に固体を分散させた溶液(固体含有液体)を空隙33内に充填し、溶媒を揮発させた後に、低温加熱して固体化することで設けることができる。例えば、液体ガラス、ゾルゲル材料などの固体含有液体を、蛍光体層3上に滴下又は塗布等によって付与し、真空にする。これにより、空隙33内を充填している空気を空隙33から除去するとともに、入れ替わりに固体含有液体を空隙33内に充填することができる。その後、固体含有液体の溶媒が揮発する温度とすることで、空隙33内に固体の充填物を設けることができる。なお、溶媒を揮発させるために加熱する温度は、300℃程度以下の比較的低温であることが好ましい。
(ALD法による被覆層形成工程)
ここで、図4を参照して、ALD法を用いた場合の被覆層形成工程S13について詳細に説明する。図4に示すように、本実施形態における被覆層形成工程S13は、プリベーク工程S131と、試料設置工程S132と、成膜前保管工程S133と、第1原料供給工程S134と、第1排気工程S135と、第2原料供給工程S136と、第2排気工程S137と、を含み、第1原料供給工程S134から第2排気工程S137は、所定回数繰り返し行われる。
(プリベーク工程)
まず、プリベーク工程S131において、基板2の上面及び側面に無機蛍光体31の粒子層34が形成された試料を、オーブンを用いて加熱するベーキング処理を行う。
本実施形態では、HO(水)を第1原料、TMA(トリメチルアルミニウム)を第2原料とし、Al膜を被覆層32として形成する。このため、良好に成膜を行うために、成膜前の試料に含まれる水分などを蒸発させることで可能な限り除去することが好ましい。
ベーキング処理は、例えば、試料を120℃のオーブンで2時間程度加熱することで行うことができる。
(試料設置工程)
次に、試料設置工程S132において、被覆層32の成膜を行うために、試料を反応容器(不図示)に投入する。この反応容器は、第1原料供給ライン、第2原料供給ライン、窒素ガス供給ライン及び真空ライン(何れも不図示)などに接続されている。
(成膜前保管工程)
次に、成膜前保管工程S133において、試料を保管した反応容器内を、例えばロータリーポンプが接続された真空ラインを介して低圧状態にし、反応容器内の状態を安定化させる。また、このときに、反応容器内に窒素ガスを導入し、空気などの不要物を反応容器から排気する。
反応容器内の圧力は、例えば、0.1〜10torr(133〜13332Pa)程度、窒素ガスの流量は20sccm(33×10−3Pa・m/s)程度、安定化のためにこの状態を維持する時間は10分間程度とすることができる。
また、反応容器内の温度は、例えば、100℃程度とすることができるが、成膜温度は50〜500℃の範囲内で自由に設定することができる。以降の成膜中は、この温度を維持するのが一般的であるが、これに限定されず、途中で温度を変更するようにしてもよい。
なお、成膜中の温度は、適宜に設定することができるが、用いる無機蛍光体31の耐熱性を考慮して50〜500℃程度の範囲で設定することが好ましく、100〜200℃とすることが更に好ましい。ALD法による成膜は、焼結法による成形や、MOCVD法による成膜と比較しても低温で行うことができる。このため、特に耐熱性の低いCASN、SCASNなどの赤色に発光する無機蛍光体31を用いた無機成形体1を作製することができる。
(第1原料供給工程)
次に、第1原料供給工程S134において、第1原料であるHOを反応容器に導入する。HOは、常温の蒸気として導入する。HOを導入後、導入したHOが試料の全面に行き渡るまで所定の時間待機して、試料の全面で反応させる。なお、HOの導入は、第1原料供給工程S134の所要時間に対して、HOの蒸気を、例えば0.001〜1秒などの短時間に反応容器に導入する。
但し、原料の導入時間は試料の表面積、装置の体積、単位時間当たりの原料供給量に応じて決めることができる。原料であるHOを導入後は、試料の全面の反応に必要な十分な時間をかける。
(第1排気工程)
次に、第1排気工程S135において、反応容器に真空ラインを接続すると共に、窒素ガスを導入し、反応に寄与しなかった過剰のHO及び副生成物を反応容器から排気する。なお、本工程における副生成物とは、メタンガスである。
(第2原料供給工程)
次に、第2原料供給工程S136において、第2原料であるTMAを反応容器に導入する。TMAは、常温の蒸気として導入する。TMAを導入後、導入したTMAが試料の全面に行き渡るまで、所定の時間待機する。なお、TMAの導入は、前記したHOの導入と同様に行うことができる。
但し、原料の導入時間は試料の表面積、装置の体積、単位時間当たりの原料供給量に応じて決めることができる。原料であるTMAを導入後は、試料の全面の反応に必要な十分な時間をかける。
(第2排気工程)
次に、第2排気工程S137において、反応容器に真空ラインを接続すると共に、窒素ガスを導入し、反応に寄与しなかった過剰のTMA及び副生成物を反応容器から排気する。
本実施形態における成膜工程は、第1原料供給工程S134から第2排気工程S137を成膜の基本サイクルとして、所定の回数のサイクルを繰り返すものである。そのために、第2排気工程S137終了後に、このサイクルを所定回数行ったか判定し(ステップS138)、所定回数終了していない場合は(ステップS138でNo)、第1原料供給工程S134に戻り、前記したサイクルを繰り返す。一方、所定回数終了した場合は(ステップS138でYes)、被覆層形成工程を終了する。
ALD法によれば、成膜の基本サイクルを1回行うことで、被覆層32が原子層レベルを単位として積層される。このため、実行するサイクル数に応じて、被覆層32の厚さを自在に制御することができる。
また、被覆層32は、原子層レベルを単位として積層されるため、凹凸形状などの段差の被覆性が高く、また、ピンホールの極めて少ない緻密で、かつ均一な厚さの膜を形成することができる。
また、適度な厚さの被覆層32を形成することで、無機蛍光体31の粒子間の隙間を完全に埋めることなく、蛍光体層3に空隙33(図1(b)参照)として残すことができる。
また、ALD法によれば、無機蛍光体31の粒子を緻密かつ均一に被覆するため、水分により劣化しやすいフッ化物蛍光体などを用いることができる。
なお、フッ化物蛍光体のように、水分により劣化しやすい蛍光体を無機成形体1に加工する場合は、次のようにすることが好ましい。まず、予め種々のコーティング法により無機蛍光体31の粒子の表面を耐水コートしておく。次に、耐水コートを施した無機蛍光体31を用いて短時間の内に、基板2の表面に電気沈着法や静電塗装法などにより、粒子層34を形成する。そして、ALD法により、被覆層32を形成することで、基板2及び粒子層34を一体化してバルク体に成形加工する。これによって、製造工程における水分の影響を防止しつつ無機成形体1を作製することができる。また、製造後において、被覆層32により水分などの雰囲気から保護された、劣化しにくい無機成形体1とすることができる。
<第1実施形態の変形例>
次に、図5を参照して、第1実施形態の変形例に係る無機成形体の構成について説明する。
図1に示した第1実施形態に係る無機成形体1は、平板状の基板2上に透光性層5を介して蛍光体層3を設けたものである。本発明では、蛍光体層3は、粒状の無機蛍光体31を透光性層5を介して基板2に付着させ、被覆層32によって固着させて成形するため、基板2の形状に大きな制約がない。
例えば、図5(a)に示す無機成形体1Aは、ドーム状(半球状)の基板2の表面に透光性層5を介して蛍光体層3を設けたものである。また、図5(b)に示す無機成形体1Aは、チューブ状の基板2の表面に透光性層5を介して蛍光体層3を設けたものである。また、図5(c)に示す無機成形体1Aは、凸レンズ形の基板2の凸面上に透光性層5を介して蛍光体層3を設けたものである。基板2の形状は、これらの例に限定されるものではなく、更に複雑な形状の基板2を用いることもできる。なお、図5に示した例では、空隙33の記載は省略している。ここで、基板2は、第1無機材料からなる無機蛍光体4を含有する透光性の基板である。
その他、針金状や網状の基板(基体)に蛍光体層3を形成することもできる。
また、本変形例に係る無機成形体1A〜1Aは、基板2の形状が異なること以外は、第1実施形態に係る無機成形体1と同様にして製造することができるため、製造方法については説明を省略する。
他の変形例として、基板2として、半導体発光素子が形成された基板を用いることもできる。例えば、LED素子の基板の、半導体層が設けられた面と反対側の面及び側面に、蛍光体層3を基板に接して形成することができる。これによって、接着剤を介することなく、蛍光体層を有する発光装置を形成することができる。ここで、基板は、第1無機材料からなる無機蛍光体4を含有する透光性の基板である。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る無機成形体について説明する。
[無機成形体の構成]
まず、図6を参照して、第2実施形態に係る無機成形体の構成について説明する。図6に示すように、第2実施形態に係る無機成形体1Bは、導電性を有する透光性の基板2Bの上面に蛍光体層3が設けられている。
第2実施形態に係る無機成形体1Bは、図1に示した第1実施形態に係る無機成形体1とは、透光性の基板2に代えて、導電性を有する透光性の基板2Bを用いることと、透光性層5がなく、基板2Bの上面に直接に蛍光体層3が設けられていることと、が異なる。第2実施形態に係る無機成形体1Bは、第1実施形態に係る無機成形体1と同様に、蛍光体層3側あるいは基板2B側から入射した光を色変換して、入射面とは反対側の面から出射する透過型の色変換用成形部材として用いられるものである。
(基板(基体))
基板2Bは、蛍光体層3を支持するための、透光性を有する板状の支持部材であり、入射光とは異なる色の光を発光する第1無機材料からなる無機蛍光体4を含有している(不図示)。基板2Bとして、透光性に加えて、導電性を有する材料を用いる。このような材料としては、例えば、Zn(亜鉛)、In(インジウム)、Sn(スズ)、Ga(ガリウム)及びMg(マグネシウム)からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含む導電性金属酸化物が挙げられる。具体的には、ZnO、AZO(AlドープZnO)、IZO(InドープZnO)、GZO(GaドープZnO)、In23、ITO(SnドープIn23)、IFO(FドープIn23)、SnO2、ATO(SbドープSnO2)、FTO(FドープSnO2)、CTO(CdドープSnO2)、MgOなどの導電性金属酸化物がある。
また、基板2Bは、基板2B全体が導電性を有していてもよいし、前記したように、上面にITO、ZnOなどの透光性を有した導電体層が設けられた基板2Bであってもよい。
また、基板2Bの形状は、平板状に限定されず、図5に示したように、任意の形状の基板を用いることができる。
なお、蛍光体層3の内部構成は、図1(b)に示した第1実施形態に係る無機成形体1の蛍光体層3と同様である。また、図6において、空隙33の記載は省略している。
[無機成形体の製造方法]
次に、第2実施形態に係る無機成形体の製造方法について、図7を参照して説明する。
図7に示すように、第2実施形態に係る無機成形体の製造方法は、マスキング工程S20と、蛍光体層形成工程S21と、被覆層形成工程S22と、マスキング除去工程S23と、を含み、この順で行われる。
以下、図8を参照(適宜図6及び図7参照)して、各工程について詳細に説明する。
(マスキング工程)
まず、マスキング工程S20において、図8(a)に示すように、基板2Bにおいて、蛍光体層3を形成する場所以外を、マスキング部材20を貼付することで被覆する。本実施形態では、基板2Bの下面及び側面を被覆している。
マスキング部材20としては、例えば、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィンなどの樹脂製の粘着テープや粘着シートを用いることができる。また、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂やエポキシ系樹脂などの樹脂材料を塗布してマスキングすることもできる。更にまた、樹脂系のマスキング部材20を、フォトレジストを用いてパターン形成するようにしてもよい。フォトリソグラフィ技術を用いたマスキングは、微細な形状に被覆する場合に有用である。これらのマスキング材料や工法は、使用する温度、雰囲気、目的に応じて選択することができる。
なお、本実施形態においては、蛍光体層3を、基板2Bの上面に設けるため、基板2Bの下面及び側面をマスキング部材20で被覆したが、マスキング部材20で被覆する領域を変えることで、任意の領域に蛍光体層3を設けるようにすることができる。
(蛍光体層形成工程)
次に、蛍光体層形成工程S21において、図8(b)に示すように、基板2Bの上面に無機蛍光体31の粒子を積層した粒子層34を形成する。蛍光体層形成工程S21は、第1実施形態における蛍光体層形成工程S11と同様にして行うことができるため、詳細な説明は省略する。
(被覆層形成工程)
次に、被覆層形成工程S22において、図8(c)に示すように、蛍光体層形成工程S21で形成した無機蛍光体31の粒子層34(図8(b)参照)を被覆し、粒子同士を固着させる被覆層32を形成する。被覆層形成工程S22は、第1実施形態における被覆層形成工程S13と同様にして行うことができるため、詳細な説明は省略する。
(マスキング除去工程)
最後に、マスキング除去工程S23において、図8(d)に示すように、マスキング部材20(図8(c)参照)を除去する。これによって、基板2Bの上面に蛍光体層3が形成された無機成形体1Bが得られる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る無機成形体について説明する。
[無機成形体の構成]
まず、図9を参照して、第3実施形態に係る無機成形体の構成について説明する。図9に示すように、第3実施形態に係る無機成形体1Cは、透光性の基板2Cの上面に蛍光体層3および透光性層5が設けられている。そして、透光性の基板2Cの下面には、反射層7が設けられている。
第3実施形態に係る無機成形体1Cは、図1に示した第1実施形態に係る無機成形体1とは、基板2Cの下面に反射層7が設けられていることが異なる。第3実施形態に係る無機成形体1Cは、第1実施形態に係る無機成形体1とは異なり、蛍光体層3側から入射した光を色変換して、入射面と同一側の面から出射する反射型の色変換用成形部材として用いられるものである。
本実施形態に係る無機成形体1Cにおいて、入射光の一部は、基板2C中に存在する第1無機材料によって入射光の色とは異なる色の光に変換され、入射光の他の一部は、蛍光体層3内の粒状の第2無機材料によって入射光の色とは異なる色の光に変換されて、基板2Cの入射光が照射される側とは反対側の面に存在する反射層7によって反射されて、入射光が入射した面と同一側の面から出射される。
従って、反射型の色変換用無機成形体として用いることができる。
また、反射層7は、基板2Cの入射光が照射される側と反対側の面の全体に存在してもよいし、その特定の一部分に存在していてもよい。
[無機成形体の製造方法]
反射層7は、基板2Cの蛍光体層3とは反対側の面に、入射光および蛍光体層3内と基板2C内の蛍光体によって色変換された色の光に対する反射率が高い金属層を設けることにより形成することができる。可視光領域での反射率が高い金属として、Al,Ag、もしくはこれらの金属を含有する合金を好適に用いることができる。
また、基板2Cと反射層7との間に、誘電体からなる層を設けてもよい。誘電体からなる層を配置することにより、より効率的に反射層7で反射され、無機成形体1Cからの光の取り出し効率を向上させることができる。誘電体としては、SiO、Al、Nb、ZrO、AlN、TiO、SiON、SiN等から選択される1以上の材料を用いることが好ましい。
反射層7は、AlやAgなどの金属材料を、スパッタリング法や蒸着法などにより、基板2C上に積層することにより形成することができる。
反射層7は、図2や図7に示された無機成形体の製造方法の流れを示すフローチャートにおいて、蛍光体層形成工程より前に、反射層形成工程を設けることにより製造することができる。また、マスキング工程や導電体層形成工程より前に製造することが望ましい。
反射層7は、反射面として機能するため、基板2Cの反射層7を形成する側の表面は、反射層7を形成する前に予め、平滑に加工されていることが好ましい。
本実施形態に係る無機成形体1Cは、基板2Cが反射層7を有すること以外は、第1実施形態に係る無機成形体1あるいは第2実施形態に係る無機成形体1Bと同様の構成を有しているため、反射層7以外の構成部材についての説明を省略する。
また、本実施形態に係る無機成形体1Cは、基板2Cが反射層7を形成すること以外は、第1実施形態に係る無機成形体1あるいは第2実施形態に係る無機成形体1Bと同様にして製造することができるため、製造方法についての説明も省略する。
本実施形態では、入射光は、基板2Cと無機粒子層3とを入射後と反射後の少なくとも2回通過することになる。そのため、混色の均一性においてより優れた混色光を得ることができる。また、無機蛍光体の利用効率が高められ、より薄い無機成形体1Cとすることができ、その結果、放熱性において優れたものとなる。さらに、反射層7を形成する面積を基板2Cの面積の一部分とすることにより、光の反射量を制御し、色調の微調整を図ることができる。
この第3実施形態の変形例としては、第2実施形態である透光性層5を有していない無機成形体1Bにおいて(図6)、基板2Bの蛍光体層3とは反対側の面に反射層を設けた構成とすることができる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る発光装置について説明する。
第4実施形態に係る発光装置は、第1実施形態に係る無機成形体1を色変換用成形部材として用いた発光装置である。
[発光装置の構成]
まず、図10(a)を参照(適宜図1参照)して、発光装置10の構成について説明する。図10(a)に示すように、発光装置10は、光源11と、色変換用成形部材12と、サブマウント15と、を備えて構成されている。発光装置10は、透過型の色変換用成形部材12として、第1実施形態に係る無機成形体1を用いて構成したものである。
(光源)
光源11は、例えば、半導体発光素子であるLD(レーザダイオード)やLED(発光ダイオード)を用いることができる。半導体発光素子に用いる半導体材料や素子構造は特に限定されるものではないが、窒化ガリウム系などの窒化物半導体を用いた半導体発光素子は、紫外光から青色光にかけての波長領域で高輝度に発光する素子が得られるため、好適に用いることができる。
また、光源11は、LDやLEDなどの発光素子の他に、発光素子が発光した光を適宜に集光、拡散、あるいは反射する光学系を含んで構成してもよい。また、高圧水銀ランプやキセノンランプなどの、他の方式の光源を用いることもできる。
本実施形態における光源11は、サブマウント15の凹部15a内に設けられ、凹部15aの上方の開口部に設けられた色変換用成形部材12に光(L1)を入射する。
(色変換用成形部材(波長変換用無機成形体))
色変換用成形部材12は、サブマウント15の凹部15aの開口部を塞ぐように設けられ、下面から入射される光源11からの入射光L1を、入射光L1とは異なる色の光に色変換した透過光L2を上面から出射する透過型の色変換用成形部材である。本実施形態では、図1に示した第1実施形態に係る無機成形体1を用いるものである。
また、色変換用成形部材12である透過型の無機成形体1は、蛍光体層3を設けられた面を、図10(b)に示すように下側(サブマウント15の内側)に向けて配置してもよいし、図10(c)に示すように上側(サブマウント15の外側)に向けて配置してもよい。
従来の、樹脂を用いた蛍光体の成形体では、図10(b)に示した例のように、蛍光体層3をサブマウント15の内側に向けて配置した場合には、蛍光体層3が密閉状態で光照射されるため、樹脂が着色劣化する場合がある。また、図10(c)に示した例のように、蛍光体層3をサブマウント15の外側に向けて配置した場合には、樹脂が外気による酸化や湿度により劣化し、色変換効率が低下する恐れがある。
本発明による色変換用成形部材12(無機成形体1)は、すべて無機材料で構成されているため、樹脂材料を用いた場合のような劣化の恐れがないため、発光装置10における色変換用成形部材12の配置は、発光装置10や基板2の機能に応じて自由に選択することができる。従って、使用目的に応じて、色変換効率のよい発光装置10を構成することができる。
例えば、無機蛍光体31の粒子に起因する凹凸形状を有する蛍光体層3を有する面を、光の出射側である上側とする、図10(c)に示した構成では、色変換用成形部材12からの光取り出し効率が向上するため好ましい。また、光源11である発光素子が紫外線LDの場合、図10(b)に示した構成として、発光装置10の光出射面である基板2の上面に、紫外線を反射する誘電体層を設けることで、光源11が発光する色の光の、発光装置10からの漏れを低減し、目に安全な発光装置10とすることができる。
また、色変換用成形部材12は、光源11から離間して配置してもよいし、色変換用成形部材12が放熱性に優れるため、光源11と密着して配置してもよい。
(サブマウント)
サブマウント15は、LDやLEDなどの光源11を実装するための実装基板である。サブマウント15は、光源11を実装する凹部15aを有し、凹部15aの上方が開口している。また、凹部15aの開口部には、当該開口部を塞ぐように色変換用成形部材12が設けられている。
[発光装置の動作]
次に、引き続き図10(a)を参照(適宜図6参照)して、発光装置10の動作について説明する。
なお、本実施形態では、光源11として、青色光を発光する半導体発光素子を用いた場合について説明する。また、色変換用成形部材12として、基板2が青色光を緑色光に変換する無機蛍光体を含有し、蛍光体層3が青色光を赤色光に変換する無機蛍光体31を含有する無機成形体1を用いるものとする。
光源11は、青色光を色変換用成形部材12(無機成形体1)の蛍光体層3が設けられた面に入射光L1として入射する。青色の入射光L1は、蛍光体層3の空隙33(図1(b)参照)によって散乱されつつ蛍光体層3内を伝搬し、また基材2内を伝搬して、上面から出射される透過光L2が発光装置10から出力光として出力される。
色変換用成形部材12に入射した青色光は、蛍光体層3と基板2とを透過して出射されるまでの間に、一部が蛍光体層3内の無機蛍光体31によって吸収される。また他の一部は、基板2内の無機蛍光体によって吸収される。無機蛍光体31は、吸収した青色光によって励起され、赤色光を放出(発光)する。すなわち、無機蛍光体31は、青色光を赤色光に色変換する。また、基板2内の無機蛍光体は、吸収した青色光によって励起され、緑色光を放出(発光)する。すなわち、基板2内の無機蛍光体は、青色光を緑色光に色変換する。
無機蛍光体31から発光する赤色光、基板2内の無機蛍光体から発光する緑色光、及びいずれの無機蛍光体にも吸収されずに蛍光体層3と基板2を透過した青色光は、入射光L1が入射した面と反対側の面から、透過光L2として出射される。このとき、透過光L2には、蛍光体層3で色変換された赤色光と、基板2内で色変換された緑色光と、色変換されなかった青色光とが含まれ、透過光L2は、これらの光が混色した色となる。青色光と緑色光と赤色光とが適切な割合となるように、蛍光体層3における無機蛍光体31の膜厚や空隙33(図1(b)参照)の割合や基板2内の無機蛍光体の含有量等を調整することで、発光装置10の出力光を白色光とすることができる。
なお、本発明は、白色光に限定されるものではなく、入射光L1の全部を黄色光に色変換し、黄色光として出力するように構成することもできる。また、例えば緑色や赤色などに色変換するように構成してもよい。
また、基板2と蛍光体層3に異なる種類の無機蛍光体を含有させたり、基板2と蛍光体層3にそれぞれ複数種類の無機蛍光体を積層したり、あるいは混合して含有させたりすることで、様々なスペクトルの光に変換して出力するように構成することができる。
なお、図10(a)に示した発光装置10において、色変換用成形部材12として、無機成形体1に代えて、図6に示した第2実施形態に係る無機成形体1Bを用いて構成することもできる。
次に、本発明の実施例について説明する。
<実施例1>
実施例1として、図1に示した第1実施形態に係る無機成形体1の作製例について説明する。
基板としてLAG蛍光体を含有したセラミックス焼結板を用いる。この基板は、LAG蛍光体粉末を高圧成形してバルク体とした後、HIP(ホット・アイソスタティック・プレス;熱間等方圧プレス)で高温高圧焼結させたバルク焼結体を、アニール、スライス、切削、研磨した約100μmの厚さの基板である。
(導電体層形成工程)
この基板の片面に導電性を持たせるため、スパッタリング法により、約0.1μmの厚さのAl層を形成する。
(蛍光体層形成工程)
その後、導電体層が形成された基板を、無機蛍光体としてF.S.S.S.No法による平均粒径が7μmのCASNの粒子を分散させた約25℃の電着槽に対極と共に浸漬させ、電気泳動による電気沈着法により無機蛍光体を基板の導電体層形成部に電着させる。電着槽には無機結着材としてMgイオンが添加されており、これが水酸化マグネシウム及び/又は炭酸マグネシウムとして析出することで結着力が得られる。なお、無機蛍光体の粒子層の厚さは、電極間に通電するクーロン量を制御することで30μmの厚さに制御する。
洗浄・乾燥後、導電体層であるAl層を介して無機蛍光体の粒子層が積層された基板を得る。
(導電体層透明化工程)
洗浄、乾燥後、Al層を90℃の熱水で処理し、導電体層であるAl層を酸化してAl層とすることにより、導電体層を透明化する。
(被覆層形成工程)
乾燥後、ALD法により、被覆層として約3μmの厚さのSiO層を形成する。
なお、ALD法による成膜の第1原料としてTTBS(Tris(tert-Buthoxy)Silanol)を用い、第2原料としてTMAを用いる。
[被覆層形成工程]
実施例1のALD法による被覆層形成工程について、更に詳細に説明する。
なお、本実施例におけるALD装置の反応容器の内径はφ300mmである。
(プリベーク工程)
まず、基板上に無機蛍光体の粒子層が形成された試料をオーブンに入れ、120℃で2時間加熱し、試料中の水分を蒸発させる。
(試料設置工程)
次に、ALD装置の反応容器内に試料を設置し、反応容器の蓋を閉める。
(成膜前保管工程)
次に、ロータリーポンプを用いて、反応容器内を低圧状態にする。反応容器内の圧力設定は、10torr(13332Pa)とする。また、反応容器内に窒素ガス流を導入する。窒素ガスの流量は20sccm(33×10−3Pa・m/s)とし、安定化及び最終的な水分除去のためにこの状態を約60分間維持する。
また、反応容器の温度は、150℃とし、以降の成膜中は、この温度を維持する。
(第1原料供給工程)
反応容器内に、第1原料として、TTBSを1秒間導入する。
試料とTTBSとを反応させるため、反応容器と真空ラインとを接続するバルブであるストップバルブを閉じ、試料をTTBSに15秒間暴露させる。
(第1排気工程)
ストップバルブを開け、窒素ガス流で反応容器内から未反応のTTBS及び副生成物を60秒間排気する。
(第2原料供給工程)
反応容器内に、第2原料として、TMAを1秒間導入する。
試料とTMAとを反応させるため、反応容器のストップバルブを閉じ、試料をTMAに15秒間暴露させる。
(第2排気工程)
ストップバルブを開け、窒素ガス流で反応容器内から未反応のTMA及び副生成物を60秒間排気する。
前記した第1原料供給工程から第2排気工程までを1サイクルとして、所望の厚さのSiO膜となるように、このサイクルを繰り返す。
成膜完了後に、ストップバルブを閉じ、窒素ガス流を流量100sccm(169×10−3Pa・m/s)とし、反応容器内の圧力を常圧にしてから試料を取り出す。
以上の手順により、被覆層としてSiO層で被覆されたCASN蛍光体の粒子層が積層されたLAG蛍光体板という構成の色変換無機成形体を得ることができる。本実施例の無機成形体は、LAG蛍光体板側及びCASN蛍光体側の、何れの面からもLED/LDに装着して色変換用成形部材として用いることができる。また、プロセス中の最高温度は150℃以下であるため、無機蛍光体としてCASNのように熱に弱い窒化物蛍光体も利用することができる。
本発明で得られた色変換用無機成形体を用いた発光装置は、高出力励起で使用しても、高効率で、かつ長寿命であり、照明用の光源として優れた性能を示す。
<実施例2>
実施例2として、図1に示した第1実施形態に係る無機成形体1の他の製造例について説明する。
基板として、無機蛍光体YAl12:Ceを80質量%含有した焼結体を用いる。
この焼結体は、以下の方法で製造することができる。まず、平均粒子径10μmの無機蛍光体YAGの粒子240gと平均粒子径2μmのアルミナ粒子60gとを均一に混合し、高圧プレス機で円柱状のバルク成形体とする。この成形体を放電プラズマ焼結炉で真空雰囲気下で1400℃〜2000℃で1〜60分焼成することによってバルク焼結体を得る。その後得られたバルク焼結体を、アニール、スライス、切削、研磨して、約100μmの厚さの基板とする。
この基板の片面にITOからなる導電体層を形成する。この基板に、実施例1と同様の方法で、あらかじめ耐水処理された平均粒子径約20μmのフッ化物蛍光体LiSiF:Mnの粒子層を積層する。洗浄、乾燥後、ALD法により、約1μmの厚さのAl層を形成する。
本実施例における導電体層は透光性を有するため、導電体層透明化工程を行うことなく、透過型の色変換用成形部材として使用する無機成形体を作製することができる。
<実施例3>
実施例3として、基板として、実施例1のLAG蛍光体を含有したセラミックス焼結板の代わりに、YAG系蛍光体を含有したセラミックス焼結板を用いた以外は実施例1と同様にして、被覆層としてALD法によりAl層を形成して無機成形体を作成した。この無機成形体について、蛍光体層の断面を撮影した写真画像から、画像解析手法により蛍光体層の空隙率を測定した。以下、空隙率を測定する手順について説明する。
なお、本実施例で用いた無機蛍光体の平均粒径は、F.S.S.S.No法による測定で3.6μmであった。また、コールターカウンターを用いて測定した粒度分布から求めた体積分布による中心粒径は6.2μmであった。
まず、図11に示すように、作製した無機成形体を分割して、蛍光体層の断面を走査型電子顕微鏡で撮影する。図11において、粒状の塊の薄い灰色部分が無機蛍光体31であり、粒状の塊の外縁部の濃い灰色部分が被覆層32である。
なお、図11の右下部に表示されている目盛りは、1目盛りが1μmを示し、被覆層32の膜厚は、約300nmである。
次に、図11に示した写真画像から測定対象とする領域Aを切出し、図12に示すように、被覆層32の部分を黒く塗りつぶす。
次に、粒子解析ソフトを用いて、黒く塗りつぶした被覆層32に囲まれた領域を、図13に示すように黒く塗りつぶし、この黒く塗りつぶした領域を、被覆層32を含む無機蛍光体の領域(31+32)とする。ここで、黒く塗りつぶした領域以外を空隙33とする。そして、黒く塗りつぶした領域の面積(画素数)を、領域Aの面積(画素数)で除することで、被覆層32を含む無機蛍光体(31+32)の含有率が求められ、その残余の部分として空隙率が求められる。
本実施例では、無機蛍光体の含有率が75.4%であった。従って、空隙率は24.6%であった。
<実施例4>
実施例4は、基板として、LAG蛍光体を含有したガラス基板を用いる。当該ガラス基板は、BaO、CaO、ZnO、SiO、BおよびAlを成分とするガラスを主成分とし、平均粒径が10μm程度のLAG蛍光体を10〜30wt%含有している。このガラス基板の製造方法は、以下のとおりである。LAG蛍光体とガラスの粉末粒子を混合成形し、真空中で焼結させて、平板状のLAG蛍光体入りガラスを作成した後、研磨して、厚さ100μmのガラス基板を得る。このガラス基板上に、実施例1と同様な方法を用いて、SCASN蛍光体の粒子層を形成し、その後、CVD法により透明SiOからなる被覆層を形成して、色変換用無機成形体とする。
導通配線したセラミックス基板上にフリップチップ実装したGaN系発光素子のサファイア面上に、無機粒子層側を上にし、LAG蛍光体入りガラス側を下にして、上記色変換用無機成形体を、ジメチルシリコーン系樹脂接着剤を用いて実装して、アンバー色の発光装置であるLEDを得る。
比較として、LAG蛍光体とSCASN蛍光体の2種類の蛍光体を、上記実施例4と同等の含有量で混合して焼結して、蛍光体入りガラス基板を作成する。その後、無機粒子層を形成することなく、上記と同様な方法を用いて、2種類の蛍光体入りガラス基板を実装したアンバー色の発光装置であるLEDを得る。
本発明の色変換用無機成形体を有するアンバー色LEDは、比較の蛍光体入りガラス基板を有するアンバー色LEDよりも、約10〜20%発光出力が高いものであった。このことは、本発明のアンバー色LEDは、空隙を有すること、SCASN蛍光体が熱による劣化を受けていないこと等が要因として考えられる。
1、1A、1A、1A、1B、1C 無機成形体(波長変換用無機成形体)
2、2B、2C 基板(基体)
3 蛍光体層(無機粒子層)
31 無機蛍光体(波長変換部材)
32 被覆層
33 空隙
34 粒子層(凝集体)
5 透光性層
6 導電体層
7 反射層
10 発光装置
11 光源
12 色変換用成形部材(波長変換用無機成形体)
15 サブマウント
15a 凹部
20 マスキング部材

Claims (15)

  1. 光を吸収し、吸収した光の波長とは異なる波長の光を発光する第1無機材料からなる波長変換部材を含有する透光性の基体と、
    前記基体上に設けられた、光を吸収し、吸収した光の波長とは異なる波長の光を発光する第2無機材料からなる波長変換部材の粒子を含有する無機粒子層と、を有し、
    前記無機粒子層は、
    前記粒子が、当該粒子同士又は前記基体と接触することで連続的に繋がった凝集体と、
    前記基体の表面及び前記粒子の表面を連続的に被覆する無機材料からなる被覆層と、
    前記被覆層で被覆された前記粒子、又は、前記被覆層で被覆された前記粒子及び前記被覆層で被覆された前記基体によって取り囲まれた空隙とを有し、
    前記無機粒子層に含有される波長変換部材の粒子は、当該粒子同士及び前記基体と無機結着材により結着しており、前記無機結着材は、アルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩であることを特徴とする波長変換用無機成形体。
  2. 前記無機粒子層における前記空隙は、空隙率が1〜50%であることを特徴とする請求項1に記載の波長変換用無機成形体。
  3. 前記無機粒子層に含有される波長変換部材の粒子の平均粒径は、0.1〜100μmであり、
    前記被覆層の平均厚さが10nm〜50μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の波長変換用無機成形体。
  4. 前記無機粒子層の表面は、前記無機粒子層に含有される波長変換部材の粒子の粒径に起因する凹凸形状が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の波長変換用無機成形体。
  5. 前記被覆層は、Al、SiO、ZrO、HfO、TiO、ZnO、Ta、Nb、In、SnO、TiN、及びAlNから構成される群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の波長変換用無機成形体。
  6. 前記無機粒子層に含有される波長変換部材は、硫化物系蛍光体、ハロゲンケイ酸塩系蛍光体、窒化物蛍光体、及び酸窒化物蛍光体から構成される群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の波長変換用無機成形体。
  7. 前記無機粒子層に含有される波長変換部材は、フッ化物蛍光体を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の波長変換用無機成形体。
  8. 前記基体は、無機材料からなることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の波長変換用無機成形体。
  9. 前記基体の熱伝導度が5W/m・K以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の波長変換用無機成形体。
  10. 前記基体と前記無機粒子層との間に、透光性を有する透光性層を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の波長変換用無機成形体。
  11. 前記透光性層と前記被覆層とが同じ材料で形成されていることを特徴とする請求項10に記載の波長変換用無機成形体。
  12. 前記基体が、導電性を有する材料からなることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の波長変換用無機成形体。
  13. 第1無機材料と第2無機材料とが異なる種類のものであることを特徴とする請求項1乃至請求項12の何れか一項に記載の波長変換用無機成形体。
  14. 光源と、請求項1乃至請求項13の何れか一項に記載の波長変換用無機成形体とを備えた発光装置。
  15. 前記光源が発光する光の一部と、前記波長変換用無機成形体が発光する光とを混色させた光を出力することを特徴とする請求項14に記載の発光装置。
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