JP6069092B2 - 床用防滑剤 - Google Patents

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本発明は、床用防滑剤に関し、更に詳しくは、鏡面仕上げの床材、例えば、ホテル等の高級浴室及びエントランスフロア、コンビニエンスストア、駅舎等の鏡面仕上げの石製床及びタイル製床の防滑処理に使用される床用防滑剤に関する。
従来、水が掛かることが想定される床面は、そこを歩く人が滑ったり、また、滑って転倒したりすることを防止するために、表面に細かい凹凸を施したザラザラした形状の床材を使用していた。しかし、近年、意匠性を高めるため、又は、メンテナンスコストの削減のために、光沢を重視した鏡面仕上げの床材、例えば、鏡面仕上げをした石材及びタイルを使用する傾向が見られるようになってきた。とりわけ、高級ホテルの浴室の床及びエントランスフロア、コンビニエンスストアの床、駅舎の床等では、その傾向が強い。これらの鏡面仕上げの床材は、水に濡れると滑り易く、水掛かり時、雨天時等にそこを歩く人が滑って転倒するという事故も発生している。
鏡面仕上げの床での人の転倒を防止するために、床材の表面を薬剤で処理して微細な凹凸を形成して、水に濡れた際の滑り抵抗値を増加せしめる方法が主として採用されている。この方法は、鏡面仕上げの床材、例えば、鏡面仕上げをした石材及びタイルの表面を、酸性薬剤、例えば、フッ化水素又はその無機塩等でエッチングするものである。例えば、フッ化水素酸等のフッ素化合液とアルカリを加えた澱粉等の有機高分子水溶液との腐食液で腐食された直径50〜150μ程度の微細な凹部を多数有する吸水性のない表面からなる陶磁製タイルを使用する方法(特許文献1)、施釉タイルの釉薬層表面に、0.2〜2重量%の有機高分子、1〜7重量%のフッ素化合物及び微量のアルカリを含む腐食液を塗布し、2〜30分保持した後、該表面を水洗することにより、直径50〜150μmの微細な凹部を釉薬層表面に形成するタイルのスベリ止め処理方法(特許文献2)、タイル張りの床面に、少なくともフッ化水素酸を混入してなる溶液を塗布して、タイル床面の表面を凹凸状に加工するタイル床面等の滑り止め施工方法(特許文献3)、及び、天然石、人工石、コンクリートなど炭酸塩鉱物やカルシウム組成物を含有する床面の滑り止め施工方法であり、前記床面を所定の時間酸性溶液と接触させることによって前記炭酸塩鉱物やカルシウム組成物と酸性溶液との反応生成物を得た後に、前記反応生成物を洗浄液を用いて除去することによって前記床面を多孔質化させ、その結果前記床面が滑りにくくなる、床面の滑り止め施工方法(特許文献4)等が知られている。しかし、これらの薬剤は、毒物及び劇物取締法の対象であり得、人の皮膚を侵し、かつ、ガラスを腐食させる等の性質を持つ非常に危険な薬剤であり得る。また、水域への環境負荷も大きい薬剤である。従って、これらの薬剤を使用するためには、その性質及び取り扱いを熟知した者が施工しなければならず、加えて、使用した後の廃液の無害化処理も必要である。また、鏡面仕上げの床材の場合、その表面に凹凸加工を施す故、必然的に光沢の減少を招く。更には、凹部に汚れが入り込むことから、靴底との摩擦で床面が汚れやすく、掃除を頻繁にする必要が生じ、かつ、掃除が困難になってしまう等の問題が生じた。加えて、床面の光沢が減少した場合には、光沢は復元不可能である故、床材を取り換えなくてはならなくなると言う問題もある。
鏡面仕上げの床材の防滑処理としては、上記のほか、例えば、有機酸と酸性フッ化アンモニウムとマグネシウムイソプロピルアルコールと重曹との混合水溶液からなるタイル床の防滑洗浄剤により処理する方法(特許文献5)、鉱物性の床材の表面粗さを促進する防滑処理剤であって、無機鉱酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸を主剤とし、更に無機粉末、例えば、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酸性フッ化アンモニウム、オルガノポリシロキサン並びに界面活性剤を含む防滑処理剤で処理する方法(特許文献6)、大理石又はガラスからなる床と、該床の表面に形成された、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、その加水分解物、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びその加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含むプライマーを硬化させてなるプライマー層と、該プライマー層上に形成された、硬化性樹脂によって骨材を固着してなる防滑層とを有する防滑性床による方法(特許文献7)、石材の表面を粗面化加工し、次にこの表面をカップリング剤で処理すると共に表面処理樹脂を塗布する石材の表面処理方法(特許文献8)等が知られている。上記方法によれば、ある程度の防滑性は得られるものの、防滑処理が煩雑となる。また、使用した後の廃液の無害化処理が必要であることもあり、加えて、コスト高になるという問題があった。
一方、フルオロアルキルシランは撥水性に優れていることから、これをガラス表面に処理して優れた水滴滑落性を付与し得ることが知られている。例えば、フルオロアルキルシラン、強酸又は強アルカリ触媒、アルコール類を主成分とする溶剤、不溶性微粉末を含有する長期持続型ガラス用撥水処理剤(特許文献9)、フルオロアルキルシラン、アミノ変性ポリシロキサン、上記成分を溶解するアルコール類を主成分とする溶剤、低級カルボン酸又は一塩基性鉱酸、水を含有する長期持続型ガラス用撥水処理剤(特許文献10)等が知られている。これらは、いずれも、ガラス、例えば、車両用ガラス、建築用ガラス等の表面に処理して、ガラスに優れた水滴滑落性を付与して、ガラスの透明性を確保するものである。このように、フルオロアルキルシランは、その撥水性を利用してガラスへの水滴滑落性付与のための剤としては知られているものの、床用防滑剤としては知られていない。
その他、フルオロアルキルシランを利用した発明として、例えば、光学機能性積層体上に防汚性被膜を形成するための処理剤であり、少なくとも1つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有し、かつジメチルシロキサンユニットの数が30〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン、及び加水分解可能な官能基を有し、かつフルオロカーボンユニットの数が6〜12であるフルオロアルキルシラン、そして、有機溶媒、酸、及び水を有する溶液を混合してなる処理剤(特許文献11)、多官能アクリレート、アミノ有機官能性シラン、フルオロアルキルシラン、コロイダルシリカ及び平均粒径50nm〜10μmの微粒子を含有する活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物(特許文献12)、表面上に撥水撥油性被膜として、アルキルシラン化合物、好ましくは、パーフルオロアルキルシラン化合物の反応生成物を形成させた防汚性ガラス(特許文献13)、金属アルコキシドの重縮合物、金属酸化物微粒子、及び、フルオロアルキルシランを含む処理液を、基材の表面に塗布し、乾燥させ、加熱して、フルオロアルキル基が露出した微細な凹凸構造を表面に有する多孔質の金属酸化物層を基材の表面に形成する、基材の表面改質方法(特許文献14)等が知られている。これらは、防汚性、防眩性、耐擦傷性、撥水性、撥油性、汚れ低減及び汚れ落ち易さ効果、低流体抵抗性、防錆性、低摩擦抵抗性を付与するものであり、床に防滑性を付与することとは何の関係もない。
実開昭58−135440号公報 特開昭63−159278号公報 特開平1−203562号公報 特開2002−227392号公報 特開2005−290338号公報 特開2005−220332号公報 特開2006−291493号公報 特開平7−24405号公報 特開平8−277388号公報 特開平10−36821号公報 特開2009−67958号公報 特開2003−34761号公報 特開2002−326841号公報 特開平11−172455号公報
本発明は、簡便な作業で床材に防滑性を付与し得るばかりではなく、取り扱い時の危険性及び環境への悪影響も少なく、かつ、床材の意匠性を損なうことがないのみならず、経済性にも優れた床用防滑剤を提供するものである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく、床面、とりわけ、鏡面仕上げをした石又はタイル製の床面が水に濡れたときに滑り易くなる原因を追究した。その結果、とりわけ、鏡面仕上げをした床面においては、素足の裏や靴の底面と床面との間に均一な水膜が形成され易く、従って、滑り抵抗値が極端に低下して滑り易くなるのではないかとの知見を得た。そこで、床面に撥水被膜を形成すれば、均一な水膜が形成され難くなり、そして、従って、滑り抵抗値が高くなって滑り難くなるのではないかと考えた。その一方、形成された被膜自体が滑り易いものであっては何の役にも立たない。また、形成された撥水被膜が剥がれ易く、とりわけ、人が歩いただけで剥がれ易く、また、施与時の塗り目や刷毛目等が付くものであっては、撥水被膜を均一に施与することができず、滑り抵抗値を高くするという目的を達成し得ない。そこで、本発明者は、更に検討を重ねたところ、下記所定の床用防滑剤を使用すれば、上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
(1)(a)フルオロアルキルシラン 0.48〜10.00質量部、
(b)無機酸 0.01〜5.00質量部、
(c)有機溶媒 75.00〜99.50質量部、及び
(d)水 0.01〜10.00質量部、
の合計100質量部を含む床用防滑剤である。
好ましい態様として、
(2)上記成分(a)が0.50〜5.00質量部であり、上記成分(b)が0.05〜3.00質量部であり、上記成分(c)が87.00〜99.35質量部であり、かつ、上記成分(d)が0.10〜5.00質量部である、上記(1)記載の床用防滑剤、
(3)上記成分(a)が0.60〜3.00質量部であり、上記成分(b)が0.10〜2.00質量部であり、上記成分(c)が93.00〜99.10質量部であり、かつ、上記成分(d)が0.20〜2.00質量部である、上記(1)記載の床用防滑剤、
(4)上記成分(a)が1.00〜2.00質量部であり、上記成分(b)が0.10〜0.20質量部であり、上記成分(c)が97.40〜98.70質量部であり、かつ、上記成分(d)が0.20〜0.40質量部である、上記(1)記載の床用防滑剤、
(5)上記成分(a)が、下記式(I)
Figure 0006069092
(式(I)中、R及びRは、夫々独立して、炭素数1〜3のアルキル基であり、mは1〜10の整数であり、nは1〜5の整数であり、かつ、rは1〜3の整数である。)
で示される、上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の床用防滑剤、
(6)式(I)中、R及びRがメチル基及びエチル基から選ばれ、mが5〜8の整数であり、nが2であり、かつ、rが2又は3である、上記(5)記載の床用防滑剤、
(7)式(I)中、R及びRがメチル基であり、mが5〜7の整数であり、nが2であり、かつ、rが2又は3である、上記(5)記載の床用防滑剤、
(8)成分(a)が、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、及び、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシランより成る群から選ばれる、上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の床用防滑剤、
(9)上記成分(b)が、硝酸、塩酸、硫酸及びリン酸より成る群から選ばれる、上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載の床用防滑剤、
(10)上記成分(c)が、メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、イソブチルアルコール、ヘキサン、ヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ミネラルスピリット、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、及び、エチレングリコールモノエチルエーテルより成る群から選ばれる、上記(1)〜(9)のいずれか一つに記載の床用防滑剤、
(11)上記成分(c)が、炭素数1〜4のアルコールより成る群から選ばれる、上記(1)〜(9)のいずれか一つに記載の床用防滑剤、
(12)上記成分(c)がエチルアルコールである、上記(1)〜(9)のいずれか一つに記載の床用防滑剤、
(13)上記床が石又はタイル製である、上記(1)〜(12)のいずれか一つに記載の床用防滑剤、
(14)上記床が、表面が鏡面仕上げされている石又はタイル製である、上記(1)〜(12)のいずれか一つに記載の床用防滑剤
を挙げることができる。
本発明の床用防滑剤は、簡便な作業で床材に防滑性を付与し得るばかりではなく、取り扱い時の危険性も少ない。従って、作業において特別な知識、技能及び資格等が不要であり、従って、何人でも簡単に床材に塗布することができる。また、環境への悪影響も少ないことから、使用した後の廃液の無害化処理の必要もない。加えて、従来のように、床材の表面に凹凸加工を施すものではないことから、床材の意匠性を損なうこともない。更に、特殊作業及び後処理等が不要なことから、経済性にも優れている。また、塗布後に汚れが付着しても容易に除去することができ、塗布後の乾燥時間も1時間以内と極めて速い。
本発明の床用防滑剤は、(a)フルオロアルキルシラン、(b)無機酸、(c)有機溶媒、及び、(d)水を含む。成分(a)フルオロアルキルシランは、好ましくは下記式(I)
Figure 0006069092
で示される。ここで、式(I)中、R及びRは、夫々独立して、炭素数1〜3のアルキル基から選ばれ、好ましくはメチル基及びエチル基から選ばれ、より好ましくはメチル基である。mは1〜10の整数であり、好ましくは5〜8の整数であり、より好ましくは5〜7の整数である。nは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは2である。また、rは1〜3の整数であり、好ましくは2又は3である。成分(a)フルオロアルキルシランとしては、好ましくは、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(式(I)中、Rがメチル基であり、mが5であり、nが2であり、かつ、rが3である。従って、Rは存在しない。)、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン(式(I)中、Rがメチル基であり、mが7であり、nが2であり、かつ、rが3である。従って、Rは存在しない。)、及び、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン(式(I)中、R及びRがメチル基であり、mが7であり、nが2であり、かつ、rが2である。)が挙げられる。成分(a)フルオロアルキルシランとして、より好ましくは、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシランが使用される。また、成分(b)無機酸としては、好ましくは、硝酸、塩酸、硫酸及びリン酸より成る群から選ばれる。より好ましくは、硝酸が使用される。成分(c)有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール;ヘキサン、ヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン等の脂肪族炭化水素;ミネラルスピリット等の石油系混合物;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサノール等の脂環式炭化水素;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコール誘導体等を挙げることができる。好ましくは、炭素数1〜4のアルコールより成る群から選ばれ、より好ましくは、エチルアルコールが使用される。
上記の成分(a)フルオロアルキルシラン、成分(b)無機酸、成分(c)有機溶媒、及び、成分(d)水の配合量は、成分(a)が0.48〜10.00質量部であり、成分(b)が0.01〜5.00質量部であり、成分(c)が75.00〜99.50質量部であり、かつ、成分(d)が0.01〜10.00質量部であり、これらの合計が100質量部である。好ましくは、成分(a)が0.50〜5.00質量部であり、成分(b)が0.05〜3.00質量部であり、成分(c)が87.00〜99.35質量部であり、かつ、成分(d)が0.10〜5.00でありこれらの合計が100質量部であり、より好ましくは、成分(a)が0.60〜3.00質量部であり、成分(b)が0.10〜2.00質量部であり、成分(c)が93.00〜99.10質量部であり、かつ、成分(d)が0.20〜2.00であり、これらの合計100質量部であり、更により好ましくは、成分(a)が1.00〜2.00質量部であり、成分(b)が0.10〜0.20質量部であり、成分(c)が97.40〜98.70質量部であり、かつ、成分(d)が0.20〜0.40質量部である。成分(a)が、上記下限未満では、床に十分な防滑性を付与することができず、一方、上記上限を超えては、余分なフルオロアルキルシランが石材、タイル等の表面に残り、塗布後に床材の意匠性を損なうことがある。また、成分(b)が、上記下限未満では、上記と同様に、床に十分な防滑性を付与することができず、一方、上記上限を超えては、酸の臭気が強くなり、また、石材、タイル等の表面を侵すことがある。また、成分(d)が、上記下限未満では、十分な防滑性を付与することができず、一方、上記上限を超えては、防滑剤の保存安定性を損なうことがある。
本発明の床用防滑剤は、好ましくは、石又はタイル製の床に使用される。とりわけ、表面が鏡面仕上げされている石又はタイル製の床に使用される。石材としては、天然石及び人工石を問わない。天然石としては、例えば、御影石、石灰石、大理石等が挙げられる。人工石としては、例えば、大理石や花崗岩等の砕石を、混和粘着剤としてセメントを使用して成形したもの、コンクリート等が挙げられる。また、タイルとしては、例えば、表面に釉薬が施されているものが挙げられる。
本発明の床用防滑剤には、上記の成分(a)、(b)、(c)及び(d)に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、アルコキシシラン化合物、シリコーンオリゴマー、変性シリコーンオイル、ストレートシリコーンオイル、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、金属アルコキシド、キレート化合物、シュウ酸、酢酸、蟻酸、及び、酸化アルミニウム、珪藻土、酸化セリウム、タルク等の研磨用微粉末、抗菌剤、防カビ剤、帯電防止剤等を含めることができる。
以下の実施例において、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
実施例において使用した各成分は、下記の通りである。
<成分(a):フルオロアルキルシラン>
トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン[モメンティプ・パフォーマンス・マテリアルズ株式会社製TSL8257(商標)]
<成分(b):無機酸>
硝酸(60重量%、和光純薬株式会社製)
<成分(c):有機溶媒>
エチルアルコール
実施例で使用した床用防滑剤は、上記の成分(a)、(b)及び(c)、並びに、成分(d)水を、下記の配合量で混合したものである。該床用防滑剤は、無色透明の液体であり、その比重(15/4℃)は0.789であった。また、温度25℃及び湿度65%における指触乾燥時間は1時間であった。
成分(a):トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン 1.60質量部
成分(b):硝酸(60重量%) 0.14質量部
成分(c):エチルアルコール 97.96質量部
成分(d):水 0.30質量部
(実施例1)
ホテルAのエントランスフロアの、鏡面仕上げされた御影石製床(縦:約5メートル、横:約5メートル)を、まず、一般の中性洗剤を使用して洗浄し、泥、垢及び油汚れ等を除去した。洗浄終了後、数時間放置して該床面を乾燥させた。次いで、上記の床用防滑剤を、布を使用して床面全体に万遍なく塗布した。床用防滑剤の塗布量は、床面1平方メートル当たり約10ミリリットルとした。床用防滑剤を塗布した後、約1時間放置して塗面に指を触れることにより乾燥状態を調べたところ、既に十分に乾燥していた。
次いで、上記のようにして床用防滑剤を塗布した御影石製床の滑り易さ試験を実施した。被験者として、靴底に凹凸を有していない一般的な革靴(ハイヒールを含む)を着用した男女各々10人の合計20人を任意に選び出した。そして、床用防滑剤を塗布する前後において、ホテルAのエントランスフロアの上記の御影石製床に水を撒き、各被験者に、その上を歩行させることにより、滑り易さを評価した。被験者20人の全てが、床用防滑剤を塗布した後に、床が著しく滑り難くなったと回答した。
(実施例2)
ホテルAの浴室入口の鏡面仕上げされた磁性タイル製床(縦:約3メートル、横:約2メートル、1枚のタイル(正方形)の1辺の長さは約30センチメートルであった)を使用した以外は、実施例1と同一にして上記の床用防滑剤を塗布した。
床用防滑剤を塗布する前後において、上記の磁性タイル製床に水を撒き、実施例1と同一の被験者20人に、素足で、その上を歩行させることにより、滑り易さを評価した。被験者20人の全てが、床用防滑剤を塗布した後に、床が著しく滑り難くなったと回答した。
(実施例3)
実施例2と同様にして、ホテルAの浴室入口の鏡面仕上げされた磁性タイル製床(縦:約3メートル、横:約2メートル、1枚のタイル(正方形)の1辺の長さは約30センチメートルであった)に、上記の床用防滑剤を塗布した。
次いで、下記の表1に示した各試験物質(薬品)を、床用防滑剤を塗布した磁性タイル製床に、タイル1枚当たり5ミリリットル滴下して1時間放置した後、水洗及び乾燥した。その後、該タイル製床に水を撒き、実施例1と同一の被験者20人に、素足で、その上を歩行させることにより滑り易さを評価した。被験者20人の全てが、滑り易さは、これらの試験物質を滴下する前と殆ど変わるところがないと回答した。また、目視観察の結果、磁性タイル製床面に変化は認められなかった。このように本発明の床用防滑剤は、これらの試験物質(薬品)に対して良好な耐性を有していることが分かった。
Figure 0006069092
(実施例4)
実施例2と同様にして、ホテルAの浴室入口の鏡面仕上げされた磁性タイル製床(縦:約3メートル、横:約2メートル、1枚のタイル(正方形)の1辺の長さは約30センチメートルであった)に、上記の床用防滑剤を塗布した。
次いで、下記の表2に示した各試験物質(汚染物質)を、床用防滑剤を塗布した磁性タイル製床に、タイル1枚当たり5ミリリットル滴下して1時間放置した後、水洗及び乾燥し、汚れの程度を目視観察した。その結果、毛染め剤に関しては、床面に若干の着色が見られたが、外観を損なうようなものではなかった。また、その他の試験物質では着色等の変化は認められなかった。このように本発明の床用防滑剤は、これらの試験物質(汚染物質)に対しての良好な汚染防止性を有していることが分かった。別途、床用防滑剤を塗布した磁性タイル製床に関して、サンシャインウェザーメーター[スガ試験機株式会社製WEL−SUN−DC型(商標)]を使用して300時間の耐候性試験を実施したところ、外観の変化は認められなかった。
Figure 0006069092
本発明の床用防滑剤は、簡便な作業で床材に防滑性を付与し得るばかりではなく、取り扱い時の危険性及び環境への悪影響も少なく、かつ、床材の意匠性を損なうことがないのみならず、経済性にも優れていることから、今後、鏡面仕上げの床材、例えば、ホテル等の高級浴室及びエントランスフロア、コンビニエンスストアの石製床及びタイル製床、並びに、駅舎の石製床等の防滑処理に、大いに使用されることが期待される。

Claims (7)

  1. (a)フルオロアルキルシラン 0.48〜10.00質量部、
    (b)無機酸 0.01〜5.00質量部、
    (c)有機溶媒 75.00〜99.50質量部、及び
    (d)水 0.01〜10.00質量部、
    の合計100質量部を含む床用防滑剤。
  2. 上記成分(a)が0.60〜3.00質量部であり、上記成分(b)が0.10〜2.00質量部であり、上記成分(c)が93.00〜99.10質量部であり、かつ、上記成分(d)が0.20〜2.00質量部である、請求項1記載の床用防滑剤。
  3. 上記成分(a)が、下記式(I)
    Figure 0006069092
    (式(I)中、R及びRは、夫々独立して、炭素数1〜3のアルキル基から選ばれ、mは1〜10の整数であり、nは1〜5の整数であり、かつ、rは1〜3の整数である。)
    で示される、請求項1又は2記載の床用防滑剤。
  4. 式(I)中、R及びRがメチル基であり、mが5〜7の整数であり、nが2であり、かつ、rが2又は3である、請求項3記載の床用防滑剤。
  5. 上記成分(b)が、硝酸、塩酸、硫酸及びリン酸より成る群から選ばれる、請求項1〜4のいずれか一つに記載の床用防滑剤。
  6. 上記成分(c)が、炭素数1〜4のアルコールより成る群から選ばれる、請求項1〜5のいずれか一つに記載の床用防滑剤。
  7. 上記床が石又はタイル製である、請求項1〜6のいずれか一つに記載の床用防滑剤。
JP2013098981A 2013-05-09 2013-05-09 床用防滑剤 Active JP6069092B2 (ja)

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