図1は、サンバイザ10の正面図である。サンバイザ10は、車両の運転席および助手席の天井の車体パネルに固定され、日光や対向車のライトによる眩惑や目くらみを抑えるために用いられる。サンバイザ10は、位置を調整できるように回動可能に設けられる。
サンバイザ10は、取付部12、シャフト14、遮蔽体16、トルク付加部18および支持ユニット20を備える。取付部12はサンバイザ10を車体に回動可能に取り付ける。シャフト14は、棒状に形成され、一部が遮蔽体16の収容空間17に挿入される。遮蔽体16は、シャフト14に回動可能に軸支される。
遮蔽体16は、2枚の平板を合わせて形成され、内部に支持ユニット20を収容する収容空間17が形成される。遮蔽体16は、シャフト14および支持ユニット20に対して軸方向にスライド可能である。ガイド突部19は収容空間17の内壁面に形成され、スライド方向に延在する。
トルク付加部18は、遮蔽体16を回転させた場合にトルクを付加する。支持ユニット20はシャフト14に固定される。支持ユニット20は、収容空間17に配設され、遮蔽体16をシャフト14にスライド可能に支持する。また、支持ユニット20は、遮蔽体16のシャフト14に対するガタツキを抑える。
ところで遮蔽体16は、日よけ機能だけでなく、鏡やライトが取り付けられて重くなっている。これに対し実施形態の支持ユニット20は、遮蔽体16のガタツキの吸収性を向上するように金属板材を用いて構成されており、以下に詳細に説明する。なお以下の各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
図2は、シャフト14に固定されたトルク付加部18および支持ユニット20の斜視図である。トルク付加部18は、シャフト14の外周を囲むように屈曲された板バネであり、支持ユニット20に固定され、シャフト14を挟持する。トルク付加部18の両端は本体部22の空隙部にて連結する。遮蔽体16をシャフト14に対して回転させると、トルク付加部18および支持ユニット20も回転する。シャフト14の先端には軸孔26からの抜け止め部14aが設けられる。
支持ユニット20は、樹脂材で形成された本体部22と、金属板材で形成されたバネ部24とを備える。バネ部24は、保持部の開口30aから挿入されて取り付けられる。本体部22について以下の部品図を参照して詳細に説明する。
図3(a)および(b)は、互いに異なる方向から見た本体部22の斜視図である。また、図4(a)は、本体部22の正面図であり、図4(b)は、本体部22の下面図である。図5は、図4(b)に示す本体部22の線分A−Aの断面図である。図6(a)は、図4(a)に示す本体部22の線分B−Bの断面図であり、図6(b)は、図4(a)に示す本体部22の線分C−Cの断面図である。
本体部22は、軸孔26、空隙部27、ガイド部28、保持部30、第1カバー弾性舌片32、第2カバー弾性舌片34、係合爪36および係止受け部38を備える。本体部22は中心から対称に形成され、空隙部27以外の上記構成を一対で有する。
一対の軸孔26は、シャフト14が挿通される。図4(a)に示すように軸孔26の間にトルク付加部18が取り付けられる空間があり、その空間に向かって軸方向に延びる張り出し部29が形成される。張り出し部29は軸孔26の縁の外側に位置し、トルク付加部18を係止する。図3(a)および図6(a)に示すように、本体部22の第1側面33に、一対のガイド部28が形成される。ガイド部28は、収容空間17の内壁面に設けられた被係合部(ガイド突部19)に係合して、遮蔽体16の軸方向のスライドをガイドする。ガイド部28が係合する収容空間17の内壁面とは、本体部22のスライドの精度を決める際の基準となる第1内壁面17a側の面(スライド基準面)である。一対のガイド部28は、溝状に形成され、軸方向に延在する。ガイド突部19は収容空間17の内壁面の一部である。
一対の保持部30は、開口30aを有する中空部30b、第1カバー弾性舌片32、第2カバー弾性舌片34、係止受け部38および中空部30bを形成する内壁面により構成される。開口30aから中空部30bにバネ部24が挿入されて取り付けられる。図6(a)に示すように第1カバー弾性舌片32および第2カバー弾性舌片34の撓み方向は直交する。第1側面33の反対側の第2側面31は、第1側面33に平行であり、第1カバー弾性舌片32は第2側面31に設けられる。
一対の突出部35および一対の係合爪36は、本体部22の軸方向端部にそれぞれ設けられる。本体部22の軸方向端部に軸方向に突出するように突出部35が設けられ、軸方向に直交する方向に撓み可能な係合爪36が突出部35の端部に設けられる。遮蔽体16をスライドさせて本体部22が収容空間17の軸方向端部に当接した場合に、係合爪36が収容空間17の軸方向端部に係合する。
係止受け部38は、第1側面33に形成され、中空部30bに連通する。係止受け部38にはバネ部24の係止部60が係止される。
図7は、バネ部24の斜視図である。図7(a)、図7(b)および図7(c)は異なる位置を見た図である。バネ部24は、基部50、第1弾性舌片52、第2弾性舌片54、第3弾性舌片56、第4弾性舌片58および係止部60を備える。バネ部24は金属板材を切り抜き、折り曲げて形成される。これにより、バネ部24を容易に形成でき、製造コストを抑えることができる。
基部50は、正方形状に形成され、各辺からそれぞれ第1弾性舌片52、第2弾性舌片54、第3弾性舌片56および第4弾性舌片58の一端が連結される。第1弾性舌片52、第2弾性舌片54、第3弾性舌片56および第4弾性舌片58は平板状であり、基部50の各辺から略同方向に延出する。
第1弾性舌片52および第3弾性舌片56は対向し、第2弾性舌片54および第4弾性舌片58は対向し、第1弾性舌片52および第2弾性舌片54の撓み方向は直交する。第4弾性舌片58には、外側に反り返る係止部60が形成される。
基部50には所定の治具を係合可能な孔部50aが形成される。所定の治具を孔部50aに係合させて、所定の治具とともにバネ部24を移動させることができる。バネ部24を本体部22の保持部30に取り付ける場合、所定の治具を孔部50aに係合させて図2に示す保持部30の開口30aへ各弾性舌片の先端側からバネ部24が押し込まれる。これによりバネ部24の本体部22への取付が容易となる。バネ部24の弾性力は容易に変更でき、ガタツキを吸収する幅を調整できる。
図8および図9は、収容空間17に配設した状態の支持ユニット20を説明するための図である。図8(a)は、図9(b)に示す遮蔽体16および支持ユニット20の線分D−Dの断面図であり、図8(b)は、図9(b)に示す遮蔽体16および支持ユニット20の線分E−Eの断面図である。図9(a)は、図8(b)に示す遮蔽体16および支持ユニット20の線分F−Fの断面図であり、図9(b)は、図8(b)に示す遮蔽体16および支持ユニット20の線分G−Gの断面図である。図8および図9においてシャフト14およびトルク付加部18は除いている。
図8(b)に示すように収容空間17は、第1内壁面17a、第2内壁面17bおよび第3内壁面17cにより画成される。第1内壁面17aおよび第2内壁面17bの連結部分は湾曲する。第1内壁面17aにガイド突部19が設けられる。ガイド突部19は、ガイド部28に係合される被係合部として機能する。また、第1内壁面17aおよび第2内壁面17bにガイド突部19より小さい突部17d、突部17e、突部17g、突部17hが形成され、スライド方向に延在する。突部17d、突部17e、突部17g、突部17hは収容空間17の内壁面の一部である。また、本体部22の外周面に角張るように形成される角部37aおよび角部37bは、第1内壁面17aおよび第2内壁面17bに付勢され、支持ユニット20のスライドを安定させることができる。
図8(a)に示すように第2弾性舌片54は、第1カバー弾性舌片32を介して第2内壁面17bの突部17dに弾接する。第2弾性舌片54は、収容空間17の内壁面のうちガイド突部19が形成されたスライド基準面に対して本体部22を付勢する。これにより、ガイド部28が形成された第1側面33を第1内壁面17aに押し当てることができ、ガイド突部19とガイド部28を確実に係合させることができる。そのため遮蔽体16のスライドが安定する。
図8(b)に示すように、収容空間17の2つの隣り合う内壁面、すなわち第2内壁面17bおよび第3内壁面17cに、第1弾性舌片52および第2弾性舌片54が間接的に弾接する。つまり第1弾性舌片52および第2弾性舌片54は、直交する方向に付勢する。これにより、遮蔽体16と支持ユニット20との2方向のガタツキを1つのバネ部24により抑えることができ、支持ユニット20のコストを抑えることができる。また、金属製のバネ部24を用いることで付勢力を高め、異なる2つの方向のガタツキを抑えることができる。
第1カバー弾性舌片32および第2カバー弾性舌片34は、第1弾性舌片52および第2弾性舌片54を覆い部材として機能する。第1弾性舌片52および第2弾性舌片54を間接的に弾接させることで、遮蔽体16のスライド時に第1弾性舌片52または第2弾性舌片54の先端が収容空間17の内壁面に引っかかることを防ぐことができる。また、支持ユニット20および収容空間17の内壁面はともに樹脂材により形成され、スライドさせやすくできる。
図9(a)に示すように、第4弾性舌片58に形成された係止部60は、係止受け部38に係止する。第1側面33に開口を有する係止受け部38から係止部60を押して係止を解除でき、本体部22からバネ部24を容易に取り外すことができる。
図9(b)に示すように、係合爪36が収容空間17の軸方向端面に形成された係合孔縁17fに係合する。これにより、遮蔽体16のスライドが限界位置に達すると、係合爪36が係合孔縁17fに係合して、ガタツキを抑えつつその位置を維持することができる。また使用者には係合爪36が係合したときに、スライドの限界位置に達したことを伝達することができる。
図9(b)に示すように、ガイド突部19が軸方向に延在し、ガイド突部19とガイド部28が係合している。また突部17dおよび突部17hもガイド突部19と同様に軸方向に延在する。
本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。また各変形例を組み合わせることも可能である。
実施形態では、第1弾性舌片52および第2弾性舌片54が間接的に収容空間17の内壁面に弾接する態様を示したがこれに限られない。例えば、本体部22に第1カバー弾性舌片32および第2カバー弾性舌片34を設けた部分を開口にして第1弾性舌片52および第2弾性舌片54が直接的に収容空間17の内壁面に弾接してよい。
実施形態では、本体部22のガイド部28が、遮蔽体16のガイド突部19をガイドする態様を示したが、この態様に限られない。例えば、溝状のガイド部28およびガイド突部19を設けず、本体部22の表面と収容空間17の内壁面とが係合し、本体部22の表面がガイド部として遮蔽体16のスライドをガイドしてよい。