本発明の走行路とは、移動装置が走行移動する工場、室内、倉庫等の床、或いは特定された走行用の搬送道路、トラックや貨車等の車両上荷台、屋上等々を言う。
ストッパの先端は、耐摩耗性が高く、摩擦抵抗の大きい材質を有する材料で形成されることが好ましい。また、ストッパは、その下部に交換可能で耐摩耗性が高く摩擦抵抗の大きい材質の材料で形成されるブレーキシューを履かせてもよい。或いは、ストッパの下端部に、走行路に対して面接触するように逆T字型の首振り足部を設けてもよい。このとき、逆T字型の首振り足部は、耐摩耗性が高く摩擦抵抗の大きい材質の材料で形成されてもよい。
本発明の固定装置において、固定装置のストッパの配置の各種例を紹介する。例として、四角配置の四点圧接固定方式と、三角配置の三点圧接固定方式と、ダイヤ配置の四点圧接固定方式とがある。ここで圧接固定とはストッパーの下端部が、走行路の路面に第二スプリング機構の所定の引っ張り力で圧接して当該路面から動かない状態を言います。
四角配置の四点圧接固定方式は、移動装置が操向車輪や不操向車輪などの移動手段を4つ備えている場合、移動装置の底部にこの4つの移動手段をその配置箇所をつなぐと四角形になるように配置して固定し、ストッパを移動手段の底部においてこの4つの移動手段の個々の固定位置に近接してストッパを配置する方式である。
三角配置の三点圧接固定方式は、移動装置が操向車輪や不操向車輪などの移動手段を4つ備えている場合、移動装置の底部にこの4つの移動手段をその配置箇所をつなぐと四角形になるように配置して固定し、4つの移動手段を2つで一組にして2組作り、2つのストッパを一組のストッパ間にこの2つのストッパの並ぶ方向に沿って配置して固定し、他方の1組の2つのストッパ間に1つのストッパを配置して固定する方式である。
ダイヤ配置の四点圧接固定方式は、移動装置が操向車輪や不操向車輪などの移動手段を4つ備えている場合、移動装置の底部にこの4つの移動手段をその配置箇所をつなぐと四角形になるように配置して固定し、4つの移動手段のうち互いに隣り合う2つの移動手段の間にストッパを1つずつ配置して固定する方式である。
ストッパの固定方式に上記3つの固定方式を用いることによって、複数のストッパが用いられるので、固定装置は安定して移動装置の走行路に対する固定機構を維持させることができる。なお、固定方式は、上記の3つに限定されるものではない。
本発明の固定装置において、ワイヤ式牽引・解除機構は、各ストッパが有するワイヤガイドに掛けられる領域と、その領域の両端部に設けられる第2のスプリング機構と、第2のスプリング機構に接続されるワイヤ牽引具とワイヤ牽引解除具を備えている。
ワイヤ式牽引・解除機構は、ワイヤ牽引具又はワイヤ牽引解除具を、作業者によるワンタッチ操作で全てのストッパを確実に走行路の路面に対して圧接し、かつ、その解除を行うものである。ワイヤの牽引具とその解除具は、以下に記載する第1〜5の実施形態に記載のペダル式や、クラッチレバーにより切り替える機構、ON-OFFラチエット機構など公知の各種切替機構を移動装置の規模、容量等に応じて適宜採用することができる
本発明の固定装置において、前記ワイヤガイドとして、フリー滑車またはフリー滑車にワイヤ外れ防止カバーを付設したもの、またガイド溝を対面させて円形ガイド穴を形成したツイン滑車、更に円弧状に湾曲させた横断面円形状のガイドパイプ又は横断面半円状の半割パイプ、湾曲配列ローラーガイドを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の固定装置において、ストッパの下部を走行路面から上昇回動させて離脱させる第1のスプリング機構の例を次に列記する。
1)、移動装置の底部とストッパの上面を連結するコイルスプリング。この構造は、第1の実施形態で説明される。
2)、ストッパの基部の軸支部に中央部のコイル巻部を挿通しその一端部をストッパ装置に掛け他端部を基部側に掛けた二腕コイルスプリング。この構造は、第10の実施形態で説明される。
3)、ストッパ装置の基部の軸支部に中央部の曲がり部を当てその一端部をストッパ装置の下面に掛け他端部を基部側に掛けた、への字形板バネ。この構造は、第11の実施形態で説明される。
4)、ストッパの基部をカム成形して軸支しカムの回転に抵抗を与える板バネを付設したカム式板バネ。こカム式板バネは通常(ストッパ解除状態)カムの板バネ圧接力を最小にしてストッパが跳上り状態で待機させ、ワイヤの牽引力によりカムでの板バネの圧接力を増しながらストッパが下降するようにする。この構造は、第12の実施形態で説明される。
本発明の移動装置の第1の実施形態に係る固定装置、移動装置、搬送装置を、図1〜15を用いて説明する。図1は、移動装置として台車10を一例として示し、この台車10に固定装置20を設けた側面図である。台車10は、例えば、荷物などを運ぶ際に用いられる。
図1に示す台車10は、走行路1上に走行可能に置かれる。図1に示すように、台車10は、荷役物の載置台11を有し、その底部に走行キャスター(車輪)を有する。走行キャスターは2つの固定(不操向)キャスター12と、2つの方向自在(操向)キャスター13と、手押しハンドル14とを備えている。
載置台11は、平面形状が略四角形であり、より具体的には、一方向に長い長方形状である。2つの固定キャスター12は、載置台11の長手方向Aに沿う一端部15において、長手方向Aを垂直に横切る幅方向Bに沿って両端部に一つずつ設けられている。これら2つの固定キャスター12は、長手方向Aに回転自由である。
2つの自在キャスター13は、載置台11の長手方向Aに沿う他端部16において幅方向Bに沿う両端部に1つずつ設けられている。各自在キャスター13は、その向きを、軸C1回りに回転自由である。軸C1は、図中1点鎖線で示している。
各自在キャスター13が軸C1回りに回転することによって、台車10は、移動する際の進行方向を変更することができる。ハンドル14は、載置台11の一端部15に設けられている。ハンドル14は、載置台11の上面から上方に突出している。作業者が台車10を移動する際に、作業者はハンドル14を掴み手押しすることができる。
固定装置20は、台車10に対して、本実施形態では、一例として後付けされて固定される。固定装置20は、台車10を固定する機能を有している。ここで言う固定とは、走行路1など、台車10が載置される走行路に対して台車10が移動しないように固定することである。固定装置20は、図1中2点鎖線で示されている。図に示すように、固定装置20は、載置台11に対して下方に位置している。
図2は、台車10の下部を示す斜視図である。図2は、台車10を上下ひっくり返して下部が上を向いている状態を、上方から見た状態を示している。図2に示すように、固定装置20は、載置台11に固定されている。
図3は、固定装置20を示す斜視図である。図3では、固定装置20のみを示している。図2,3に示すように、固定装置20は、フレーム30と、複数のストッパ装置と、ワイヤ式牽引・解除機構80と、ワイヤ部材110と、ワイヤ部材支持部100とを備えている。
フレーム30は、ストッパ装置支持部31と、ワイヤ式牽引・解除機構支持部32とを備えている。ストッパ装置支持部31は、載置台11において長手方向Aに両自在キャスター13と両固定キャスター12との間に配置される。ストッパ装置支持部31は、枠形状であり、例えば、中空で断面形状が四角形の棒部材を平面形状が四角形になるように形成したものである。ストッパ装置支持部31は、後述される複数のストッパ装置が固定される。図2に示すように、ストッパ装置支持部31は、載置台11の幅方向Bの一端から他端まで延びる長さを有している。
ワイヤ式牽引・解除機構支持部32は、ストッパ装置支持部31に連結されており、ストッパ装置支持部31に対して、一方向に突出している。本実施形態では、ワイヤ式牽引・解除機構支持部32は、固定装置20が載置台11に固定されたときに、ストッパ装置支持部31から載置台11の長手方向Aに沿う端部15、つまり両固定キャスター12が設けられる側の端部に向って突出している。ワイヤ式牽引・解除機構支持部32は、一例として、枠形状であり、中空で断面形状が四角形の棒部材を平面形状が四角形になるように形成したものである。
フレーム30は、載置台11に、一例として、しゃこ万力33を用いて固定されている。本実施形態では、台車10を図2に示すように上下をひっくり返した状態で固定装置20を載置台11の下面上に配置し、ストッパ装置支持部31と載置台11とをしゃこ万力33で挟持して固定している。
ここで、しゃこ万力33の位置を具体的に説明する。まず、台車10に対して前後方向を定義する。台車10の前後方向は、両固定キャスター12が回転する方向であって、本実施形態では、長手方向Aが前後方向となる。このため、以降、前後方向に符号Aを付す。しゃこ万力33は、ストッパ装置支持部31において前後方向Aに延びる両側部の各々と載置台11とを挟持して固定している。
なお、しゃこ万力33を用いた固定装置20の台車10への固定は、一例である。他の例としては、例えば、固定装置20を台車10に対して溶接して固定してもよい。または、接着剤で固定してもよい。または、ボルトとナットとを用いて固定してもよい。この場合、例えばフレーム30と載置台11との両方を貫通する貫通孔を設けて、この貫通孔にボルトを通してナットで締め付けることによって、固定する。
固定装置20が台車10に対して固定されると、ストッパ装置支持部31の下面は、台車10の上下方向に対して垂直な平面となる。台車10の上下方向Cは、載置台11の上面に対して垂直な方向である。この上面は、前後方向Aと幅方向Bとによって規定される平面と平行である。このため、前後方向Aと幅方向Bと上下方向Cとは互いに直交する。
なお、両固定キャスター12と両自在キャスター13の下端が位置する平面は、上下方向Cに対して垂直な平面である。
固定装置20の説明に戻る。以降、固定装置20の説明では、台車10に固定された状態に基づいて説明する。このため、固定装置20の前後方向と幅方向と上下方向とは、台車10の前後方向Aと幅方向Bと上下方向Cと同じとする。
ストッパ装置は、本実施形態では、一例として、4つ用いられる。これら4つのストッパ装置を第1〜4のストッパ装置40,50,60,70とする。第1のストッパ装置40は、ストッパ装置支持部31の後側の幅方向Bの一端部に固定されている。第2のストッパ装置50は、ストッパ装置支持部31の後側の幅方向Bの他端部に固定されている。第3のストッパ装置60は、ストッパ装置支持部31の前側の幅方向Bの一端部に固定されている。第4のストッパ装置70は、ストッパ装置支持部31の前側の幅方向Bの他端部に固定されている。
第1,3のストッパ装置40,60は、前後方向Aに並んでいる。第2,4のストッパ装置50,70は、前後方向Aに並んでいる。第1,2のストッパ装置40,50は、幅方向Bに並んでいる。第3,4のストッパ装置60,70は、幅方向Bに並んでいる。
第1〜4のストッパ装置40〜70の構造は、同じであるので、第1のストッパ装置40を代表して説明し、第2〜4のストッパ装置50〜70に対しては、同じ符号を付して説明を省略する。なお、ストッパ装置支持部31に対する第1〜4のストッパ装置40〜70の姿勢は、各々異なる。ストッパ装置支持部31に対する第1〜4のストッパ装置40〜70の姿勢については、後で具体的に説明する。
図4は、第1のストッパ装置40を示す斜視図である。図4に示すように、第1のストッパ装置40は、固定用壁部41と、ストッパ42と、コイルばね部材43と、回転ホイール44と、回転ホイール支持部45と、ワイヤ抜け止め用壁部48とを備えている。
固定用壁部41は、ストッパ装置支持部31から下方に突出している。ストッパ42は、一方向に長い板形状である。ストッパ42の一端部は、固定用壁部41に回転自由に連結されている。回転可自由に連結される構造の一例として、ボルト46が用いられている。
固定用壁部41とストッパ42の一端部とには、ボルト46が通る貫通孔が形成されている。ボルト46は、固定用壁部41とストッパ42に設けられる貫通孔を通る。ボルト46の中心線C2は、台車10の上下方向Cに対して垂直である。ボルト46は、例えばナットなどを用いた抜け止め構造によって、固定用壁部41とストッパ42とから抜けないように抜け止めされている。ストッパ42は、固定用壁部41に対して、ボルト46を回転軸として回転自由である。このため、ストッパ42は、ボルト46の中心線C2回りに回転自由である。ストッパ42の他端部は、一端部に対してストッパ装置支持部31の外側に位置する。
コイルばね部材43は、ストッパ42をストッパ装置支持部31側に付勢する付勢手段の一例である。コイルばね43の一端部は、ストッパ装置支持部31に連結されている。コイルばね43の他端部は、ストッパ42の中間部に連結されている。ストッパ42は、コイルばね43によって、ストッパ装置支持部31側に引っ張られる。
回転ホイール44は、回転ホイール支持部45を介して、ストッパ42に連結される。本実施形態では、回転ホイール支持部45は、一方向に長い形状である。例えば、板形状の部材の一端部を幅方向に折り曲げて互いに重ねる形状である。
回転ホイール支持部45の一端部は、例えばねじ47によってストッパ42の中間部に回転自由に連結されている。ねじ47の中心線C3は、台車10の上下方向Cに対して垂直であり、ボルト46の中心線C2と平行である。回転ホイール支持部45は、ねじ47の中心線C3回りに回転自由である。
回転ホイール44は、回転ホイール支持部45の他端部に回転自由に連結されている。回転ホイール支持部45の他端部は、上下方向Cに対して略垂直な方向に平行な平面形状である。回転ホイール44は、回転ホイール支持部45の他端部に対して垂直な方向回りに回転自由である。回転ホイール44は、ストッパ装置支持部31の内側に向いている。
第2〜4のストッパ装置50〜70は、上記第1のストッパ装置40と同じ構造を有する。そして、第2〜4のストッパ装置50〜70は、回転ホイール支持部45をストッパ装置支持部31の内側に向けた姿勢で、ストッパ装置支持部31に固定されている。
第1〜4のストッパ装置40〜70の回転ホイール44には、ワイヤ部材110が回しかけられている。第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42は、コイルばね部材43によって外側端部42aがフレーム30側に引っ張られるとともに、ワイヤ部材110によって、外側端部42aが下方に突出するように引っ張られており、これらコイルばね部材43による引っ張り力とワイヤ部材110による引っ張り力とが釣り合う位置に保持される。
図4に示すように、ワイヤ抜け止め用壁部48は、回転ホイール44との間にワイヤ部材110を位置するように、回転ホイール支持部45に設けられている。本実施形態ではワイヤ抜け止め用壁部48は、回転ホイール支持部45に対して別部材で形成されており、回転ホイール支持部45に固定されている。
回転ホイール44の周縁部は、断面形状が内側に凹む形状になっており、この凹みにワイヤ部材110が収容される。このことによって、ワイヤ部材110が、安定して回転ホイール44に回しかけられる。ワイヤ抜け止め用壁部48は、回転ホイール44の周縁部に対向するとともに、ワイヤ部材110に接触することがなく、かつ、回転ホイール44とワイヤ抜け止め用壁部48との間の隙間がワイヤ部材110の外径よりも小さくなるように配置されている。
回転ホイール44とワイヤ抜け止め用壁部48との相対位置が上記のように設定されることによって、ワイヤ部材110が回転ホイール44から外れそうなると、当該外れそうになったワイヤ部材110はワイヤ抜け止め用壁部48に接触することによって、回転ホイール44とワイヤ抜け止め用壁部48との間から出ることがない。このことによって、ワイヤ部材110が完全に外れることが抑制される。
図3に示すように、ワイヤ部材支持部100は、ストッパ装置支持部31において、ワイヤ式牽引・解除機構支持部32が連結される部位の近傍に設けられている。ワイヤ部材支持部100は、ストッパ装置支持部31から下方に突出する柱部101と、柱部101の先端に設けられる支持板部102と、支持板部102に設けられる2つの回転ホイール103とを備えている。支持板部102は、柱部101に垂直に延びている。回転ホイール103は、柱部101に垂直な中心軸周りに回転自由である。
ワイヤ式牽引・解除機構80は、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42の位置を切り替える機能を有している。ここで、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42の位置について説明する。第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42は、第1の位置P1と第2の位置P2との間で変位可能である。
図3は、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42が第1の位置P1にある状態を示している。第1の位置P1は、固定装置20が設けられた台車10が走行路1上に載置されたときに、ストッパ42が走行路1に接触しない位置である。より具体的には、第1の位置P1は、ストッパ42の外側端部42aが、両固定キャスター12の下端と両自在キャスター13の下端とが位置する仮想平面V1に接触しない位置である。仮想平面V1は、図7に2点鎖線で示しており、後で説明する。
図5は、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42が第1の位置P1にある状態を示す固定装置20の側面図である。図5では、台車10は、省略している。
図6は、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42が第2の位置P2にある状態を示す固定装置20の斜視図である。図6に示すように、第2の位置P2は、ストッパ42がフレーム30に対して立ち上がる状態である。図6は、台車10は省略している。
図7は、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42が第2の位置P2にある状態を示す固定装置20の側面図である。図7には、固定装置20が台車10に固定されたときの固定キャスター12と自在キャスター13とを2点鎖線で示すとともに、固定キャスター12の下端と自在キャスター13との下端とが位置する仮想平面V1を2点鎖線で示している。
図7に示すように、第2の位置P2は、ストッパ42の一端が仮想平面V1をこえて突出する位置である。なお、台車10が平面上に載置された場合、この平面が仮想平面V1と同じになる。
ワイヤ式牽引・解除機構80の説明に戻る。図3,6に示すように、ワイヤ式牽引・解除機構80は、フレーム30のワイヤ式牽引・解除機構支持部32の先端部に固定される。ワイヤ式牽引・解除機構80は、ワイヤ部材110と、第1,2の支持壁部81,82と、第1の回転軸部材83と、巻き取りドラム84と、オンペダル85と、第3,4の支持壁部86,87と、第2の回転軸部材90と、オフペダル88と、保持用係合部89と、付勢用ばね91とを備えている。
第1の支持壁部81は、ワイヤ式牽引・解除機構支持部32の幅方向Bの一端部に固定されており、ワイヤ式牽引・解除機構支持部32から下方に突出している。第2の支持壁部82は、ワイヤ式牽引・解除機構支持部32の幅方向Bの他端部に固定されており、ワイヤ式牽引・解除機構支持部32から下方突出している。第1,2の支持壁部81,82は、幅方向Bに互いに対向している。
第1の回転軸部材83は、第1,2の支持壁部81,82に設けられる貫通孔を通っており、第1,2の支持壁部81,82に回転自由に支持される。巻き取りドラム84は、第1の回転軸部材83において第1,2の支持壁部81,82間の部分に設けられている。巻き取りドラム84の中心軸は、第1の回転軸部材83の中心軸と同軸である。
ワイヤ部材110は、上記のように、第1〜4のストッパ装置40〜70の回転ホイール44に回し掛けられており、その両端が巻き取りドラム84に固定されている。ワイヤ部材110について、具体的に説明する。
ワイヤ部材110において両端間の部分は、第1〜4のストッパ装置40〜70の回転ホイール44に対して、平面形状が四角形になるように回し掛けられている。そして、ワイヤ部材110は、ワイヤ部材支持部100の両回転ホイール44に回し掛けられることによって、延びる方向が変更されて巻き取りドラム84に向かって延びる。ワイヤ部材110においてワイヤ部材支持部100と巻き取りドラム84との間の部分には、コイルばね部111が設けられている。
ここで、第1〜4のストッパ装置40〜70のコイルばね部材43によるストッパ42の引っ張り力と、ワイヤ部材110によるストッパ42の引っ張り力とについて、説明する。コイルばね部材43の引っ張り力と、ワイヤ部材110による引っ張り力とは、ストッパ42が第1の位置P1で保持されるように調整されている。
第1の回転軸部材83が回転すると、巻き取りドラム84が第1の回転軸部材83と一体に回転することによって、ワイヤ部材110が巻き取られる。ワイヤ部材110が巻き取られることによって、ワイヤ部材110のコイルばね部111が延びるので、ワイヤ部材110によるストッパ42の引っ張り力が強くなる。
上記のように、ストッパ42に作用するコイルばね部材43による引っ張り力とワイヤ部材110による引っ張り力とは、ストッパ42が第1の位置P1にあるときに釣り合うように調整されている。しかしながら、ワイヤ部材110のコイルばね部111による引っ張り力が強くなることによって、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42は、第1の位置P1から第2の位置P2に向かって立ち上がる。
オンペダル85は、第1の回転軸部材83において第1,2の支持壁部81,82間の部分に固定されており、第1の回転軸部材83と一体に回転する。オンペダル85は、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42が第1の位置P1にあるときに、台車10の載置台11から外側に出るように設けられている。これは、後述するように、作業者が操作を行いやすいようにするためである。
図5は、ワイヤ式牽引・解除機構80を、ハンドル14側から見た状態を示す側面図である。図5に示すように、本実施形態では、具体的には、オンペダル85は、L字形状に形成されている。ストッパ42が第1の位置P1にある状態では、オンペダル85は、先端の部分が上下方向Cに対して垂直、または、略垂直になるように設けられている。このため、オンペダル85を踏み込みやすくなる。
保持用係合部89は、第1の回転軸部材83において第1,2の支持壁部81,82間の部分以外の部分に固定されており、第1の回転軸部材83と一体に回転する。図8は、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42が第1の位置P1にある状態のワイヤ式牽引・解除機構80を示す側面図である。図8では、ワイヤ式牽引・解除機構80を、保持用係合部89が見えるよう第1の回転軸部材83に沿って見た状態を示している。図8に示すように、本実施形態では、保持用係合部89は、第1の回転軸部材83において第2の支持壁部82側の端部に設けられている。保持用係合部89には、切欠き部89aが形成されている。切欠き部89aは、保持用係合部89の外周側から内周側に向って切り欠かれる形状である。
第3,4の支持壁部86,87は、第1の回転軸部材83において保持用係合部89が設けられる部分と、前後方向Aに対向する位置に設けられている。
第2の回転軸部材90は、第3,4の支持壁部86,87に設けられる貫通孔を通っており、支持壁部86,87に回転自由に支持されている。オフペダル88は、第2の回転軸部材90に固定されており、第2の回転軸部材90と一体に回転する。第2の回転軸部材90は、L字形状に形成されており、保持用係合部89の下方を通っている。第2の回転軸部材90と第1の回転軸部材83とは、互いに平行である。
オフペダル88は、コイルばね部材91によってフレーム30側に付勢されている。コイルばね部材91の一端は、ワイヤ式牽引・解除機構支持部32に固定されており、他端は、オフペダル88に固定されている。このため、オフペダル88は、コイルばね部材91によって上方に引っ張られる。オフペダル88には、保持用係合部89の切欠き部89aに係合する突出部88aが設けられている。オフペダル88がコイルばね部材91によって上方に引っ張られることによって、突出部88aは保持用係合部89に接触する。
図8は、上記のように、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42が第1の位置P1にある状態のワイヤ式牽引・解除機構80を示している。図8に示すように、保持用係合部89の切欠き部89aは、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42が第1の位置P1にある状態では、突出部88aと係合しない位置にある。
保持用係合部89の切欠き部89a以外の箇所は、第1の回転軸部材83の中心線C4を中心とする円筒形状である。このため、突出部88aは、保持用係合部89の切欠き部89aに係合していない状態では、円筒形状の部分に接触するため第1の回転軸部材83の回転を妨げない。
図9は、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42が第2の位置P2にある状態のワイヤ式牽引・解除機構80を示す側面図である。図9に示すように、切欠き部89aは、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42が第2の位置P2に位置可能な状態のときに突出部88aに係合するように形成されている。
ここで言う、第2の位置P2に位置可能な状態について説明する。上記のように、第2の位置P2は、ストッパ42の先端が仮想平面V1をこえて突出する位置である。このため、固定装置20が台車10に固定された状態では、ストッパ42が第1の位置P1から第2の位置P2に向かって変位する際に、第2の位置P2に至る前に各ストッパ42は台車10が載置される走行路1に接触する。第2の位置P2に位置可能な状態とは、走行路1に接触することによって第2の位置P2に至らない場合であっても、これら走行路1に接触することがない場合、第2の位置P2まで変位できる状態である。
突出部88aは、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42が第2の位置P2にあるとき、または、第2の位置P2に位置可能な状態にあるとき、保持用係合部89の切欠き部89aに係合する。オフペダル88がコイルばね部材91によって上方に付勢されることによって、突出部88aが保持用係合部89の切欠き部89aに係合すると、突出部88aは切欠き部89a内に入り込む方向に付勢される。このため、突出部88aと切欠き部89aとの係合状態が保持される。
突出部88aが保持用係合部89の切欠き部89aに係合した状態でオフペダル88を踏み込むと、オフペダル88が保持用係合部89から離れる。このことによって、突出部88aが切欠き部89aから出る。突出部88aが切欠き部89aから出ることによって、突出部88aと保持用係合部89との係合状態が解除される。
第1の回転軸部材83は、ワイヤ部材110のコイルばね部111と第1〜4のストッパ装置40〜70のコイルばね部材43とによって、ストッパ42が第1の位置P1に戻るように付勢されている。このため、突出部88aと保持用係合部89との係合が解除されると、第1の回転軸部材83はコイルばね部111とコイルばね部材43の弾性力によって、各ストッパ42が第1の位置P1に戻るように回転する。
このように、突出部88aが保持用係合部89に係合していない状態では、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42は第1の位置P1にあり、オンペダル85が踏み込まれることによって突出部88aが保持用係合部89に係合してストッパ42が第2の位置P2に保持される。ストッパ42が第2の位置P2に保持されている状態でオフペダル88を踏み込むと、突出部88aと保持用係合部89との係合状態が解除されて、ストッパ42が第1の位置P1に戻る。
次に、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42の姿勢について説明する。図10は、フレーム30のストッパ装置支持部31に対する第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42の位置と姿勢とを示す概略図である。図10では、ワイヤ式牽引・解除機構80とワイヤ式牽引・解除機構支持部32とは、省略している。図10は、上下方向Cに沿って下から上に向って見た状態を示している。
図10に示すように、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42は、仮想四角形V2の4隅に1つずつ配置されている。仮想四角形V2は、四隅が各々90度であって、図中2点鎖線で示している。そして、各ボルト46は、対角線に対して垂直な方向に延びている。この点について具体的に説明する。
第1のストッパ装置40のストッパ42と、第4のストッパ装置70のストッパ42とは、互いに仮想四角形V2の対角となる位置に配置される。第1のストッパ装置40のストッパ42が配置される隅U1と、第4のストッパ装置70のストッパ42が配置される隅U4とを結ぶ対角線を、第1の対角線L1とする。第1の対角線L1は、図中、1点鎖線で示している。また、仮想四角形V2が位置する平面を仮想平面V3とする。仮想平面V3は、台車10が平面上に配置されたとき、この平面に平行な面である。
第1のストッパ装置40のボルト46の中心線C2は、隅U1を通るとともに、第1の対角線L1に垂直であってかつ仮想平面V3に平行である。第4のストッパ装置70のボルト46の中心線C2は、隅U4を通るとともに、第1の対角線L1に垂直であってかつ仮想平面V3に平行である。
第2のストッパ装置50のストッパ42と、第3のストッパ装置60のストッパ42とは、互いに仮想四角形V2において対角となる位置に配置される。第2のストッパ装置50のストッパ42が配置される隅U2と、第3のストッパ装置60のストッパ42が配置される隅U3とを結ぶ対角線を、第2の対角線L2とする。第2の対角線L2は、図中、1点鎖線で示している。
第2のストッパ装置50のボルト46の中心線C2は、隅U2を通るとともに、第2の対角線L2に垂直であってかつ仮想平面V3に平行である。第3のストッパ装置60のボルト46の中心線C2は、隅U3を通るとともに、第2の対角線L2に垂直であってかつ仮想平V3に平行である。
第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42が上記のように配置されることによって、固定装置20が台車10に固定された状態では、第1,2の対角線L1,L2は、ともに、前後方向Aに対して交差する。第1,4のストッパ装置40,70のストッパ42は、第1の対角線L1に沿って回転する。第1の対角線L1は、第1,4のストッパ装置40,70のストッパ42の回転面に平行である。第2,3のストッパ装置50,60のストッパ42は、第2の対角線L2に沿って回転する。第2の対角線L2は、第2,3のストッパ装置50,60のストッパ42の回転面に平行である。
第1,2の対角線L1,L2が、ともに、前後方向Aに対して交差することによって、固定装置20によって台車10が走行路1に対して固定された状態において台車10に外力が加わっても、固定装置20は、台車10に入力される外力をストッパ42と走行路1との間の摩擦力に変換することができる。この点について、具体的に説明する。
図11は、図10に示すF11−F11線に沿って示す断面図である。図11は、第2のストッパ装置50のストッパ42が走行路1に接触している状態を、ボルト46の中心線C2に垂直な平面で切断した状態を示している。
ここで、座標系Σ1と、座標系Σ2とを定義する。座標系Σ1=Σ(x1,y1,z1)とし、座標系Σ1は、x1軸と、y1軸と、z1軸とを備える。x1軸とy1軸とz1軸とは、互いに垂直である。x1軸とy1軸とによって規定される座標平面は、仮想平面V3に平行である。z1軸は、仮想平面V3に対して垂直である。そして、座標系Σ1は、仮想四角形V2の中心を原点としてx1軸が幅方向Bに平行であり、y1軸が前後方向Aに平行である。このため、x1軸と第2の対角線L2との間の角度を、角度φ2とする。
座標系Σ2は、x2軸とy2軸とz2軸とを備える。x2軸とy2軸とz2軸とは、互いに垂直である。x2軸は、仮想平面V3に平行である。z2軸は、仮想平面V3に対して垂直である。x2軸とy2軸とによって規定される平面は、仮想平面V3に平行である。x2z2軸座標系は、仮想四角形V2の4隅のうち、第2のストッパ装置50のストッパ42が設けられる隅U2を原点としている。
図11に示すように、第2のストッパ装置50の座標系Σ2の原点O2からストッパ42と走行路1との接触点P3までの位置ベクトルをベクトルeとすると、ベクトルeは、x2z2座標系では、式1として表せる。x2z2座標系とは、x2軸とz2軸とによって規定される座標系である。x2z2座標系の基底ベクトルは、(i2,k2)と表される。ベクトルeと走行路1との間のなす角度は、ξである。
なお、式1中、eは、ベクトルeの大きさである。
座標系Σ1の基底ベクトルと、座標系Σ2の基底ベクトルとの関係は、式4のように表せる。
次に、台車10に対して外力が作用することによって、第2の位置P2にある第2のストッパ装置50のストッパ42に対して外力が作用した場合、第2のストッパ装置50のストッパ42と走行路1との接触点P3に作用する、上記外力に対して反対向きの摩擦力を摩擦力ベクトルFとすると、摩擦力ベクトルFを式6で表す。
式6中のθは、摩擦力の作用する方向とx1軸との間の角度であり、図10中のその一例を図示している。ここで、座標系Σ2の原点O2に作用するモーメントMfのy2軸回りの成分をMy2とすると、My2は、式7のように表せる。
式7においてθ=φ2とすると、成分My2は、式8のように表せる。
式7は、式8にcos(θ−φ2)を乗じているので、式7の絶対値は式8の絶対値より小さくなる。このことは、ストッパ42を走行路1に押し付けるためのモーメントMy2が、式7は式8より小さくなることを示している。
摩擦力によるモーメントの作用する方向が正の場合(図11において点O2に関してモーメントが時計回りに作用する場合)、第2のストッパ装置50のストッパ42を走行路1から離脱させてしまう。このため、摩擦力が台車を固定するためのブレーキ力として作用するためには、成分My2は、負となる必要がある。このため、成分My2は、式9のように表せる
このため、モーメントMy2が、第2のストッパ装置50のストッパ42を走行路1に対して押し付けるモーメントであるためには、式11が成り立つ必要がある。
この場合、最大値は、cos(θ−φ2)=1であり、それゆえ、θ=φ2となる位置である。
上記の説明は、第2のストッパ装置50のストッパ42に作用するモーメントについて説明した。第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42に作用する摩擦モーメントが各ストッパ42を走行路1に対して押し付けるモーメントであるためのθの範囲が、ストッパ42がストッパとして機能する有効範囲となる。
ここで、図12を用いて説明する。図12中、2点鎖線は、仮想四角形V2を示している。図12において、仮想四角形V2のうち、隅U1,U2を結ぶ辺Q1と、隅U3,U4を結ぶ辺Q2の長さを、共にWとする。仮想四角形V2のうち、隅U1,U3を結ぶ辺Q3と、隅U2,U4を結ぶ辺Q4の長さを、共に、Vとする。
上記式1〜式11は、第2のストッパ装置50を代表して説明しており、ストッパ42の回転面とx1軸とのなす角度として角度φ2を用いて説明した。図12に示すように、上記式1〜11を、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42に対して適用する場合、各ストッパ42の回転面とx1軸とのなす角度は、φ1,φ3,φ4に変更される。
具体的には、第1のストッパ装置40のストッパ42に対しては、ストッパ42の回転面とx1軸とのなす角度として、角度φ1が用いられる。第3のストッパ装置60のストッパ42に対しては、ストッパ42の回転面とx1軸とのなす角度として、角度φ3が用いられる。第4のストッパ装置70のストッパ42に対しては、ストッパ42の回転面とx1軸とのなす角度として、角度φ4が用いられる。
図13は、v/w=0の場合と、v/w=1/3の場合と、v/w=2/3の場合と、v/w=1の場合とについての有効比の計算の結果を示すグラフである。有効比とは、vとwとの関係から、台車10に入力される外力が、全てのストッパ42による走行路1との間の摩擦力の合計をさらに大きくしようとする度合いを示す。摩擦力がストッパの法線力を増加しない状態は、有効比が零の状態である。ストッパ42と走行路との間に作用する摩擦力の作用方向が、ストッパ42の回転面内にあり,かつ摩擦力によるモ−メントMy2が負である場合、摩擦力はストッパ42の法線力を最も大きくすることができる。この状態が、有効比1の状態である。
ストッパ42の回転面とは、ストッパ42の回転軸に垂直な面である。
図13のグラフ中、v/w=1のグラフは、実線で示している。v/w=2/3の場合のグラフは、1点鎖線で示している。v/w=1/3のグラフは、2点鎖線で示している。v/w=0のグラフは、3点鎖線で示している。
図13に示すように、v/w=0では、θ=90度のときと、θ=270度のときに有効比=0となっており、摩擦力がストッパを路面に押しつけるモーメントに変換されない。これに対して、θが、有効比が1となる角度のとき、摩擦力は、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42を走行路1に対して押し付けるモーメントに最も大きく変換される。なお、v/w=0となる状態は、全てのストッパ42が平行になり、各ストッパ42の回転軸が互いに平行になる状態である。また、v/w=1/3の場合と、v/w=2/3の場合と、v/w=1の場合では、θ=90度とθ=270度のときに、有効比は、小さくなる。
このように、v/w=0の場合、各ストッパ42の回転軸が互いに平行、言い換えると各ストッパ42の回転方向が平行になると、θ=90度、または、θ=270度ときに有効比が零となるが、v/wが0ではない場合、θがいずれの値であっても有効比は零より大きくなる。このことは、外力が、ストッパ42と走行路との間の摩擦力を増加させていることを示す。
すなわち、本実施形態のように、4つのストッパ42を備えて各ストッパ42が仮想四角形V2の4隅U1〜U4に配置され、かつ、仮想四角形V2がv/w=0ではないように設定され、かつ、第1,4のストッパ装置40,70のストッパ42が対角線L1に沿って回転し、第2,3のストッパ装置50,60のストッパ42が対角線L2に沿って回転することによって、台車10に対して外力がいずれの方向に作用しても(θがどの値をとっても)、有効比が0より大きくなり、外力がストッパと走行路との間の摩擦力を増加させる。
この点をさらに別の言い方をすると、本実施形態のように4つのストッパ42を備える場合、この4つのストッパ42の回転面(各ストッパ42の回転軸に垂直な面)のうち、互いに平行でない組み合わせが少なくとも1つあることによって、外力が台車10に対していずれの方向に作用しても、有効比が0となることがない。本実施形態では、第1,4のストッパ装置40,70のストッパ42の回転面は、上方から見ると、対角線L1に重なっている。第2,3のストッパ装置50,60のストッパ42の回転面は、上方から見ると対角線L2に重なっている。
この点をさらに別の言い方をすると、複数のストッパ42を備える場合、その複数のうちのいずれか1対の組み合わせの各々の回転面が、八の字になるように配置されると、外力の作用する方向がいずれの方向に作用しても、有効比は0より大きくなる。
次に、固定装置20の動作を説明する。図14は、台車10を示す側面図である。図14に示すように、台車10を移動する際には、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42を第1の位置P1に移動する。台車10が固定装置20によって固定されている場合は、作業者はオフペダル88を踏み込む。オフペダル88が踏み込まれることによって、突出部88aと保持用係合部89との係合が解除されてストッパ42が第1の位置P1に戻る。ストッパ42が第1の位置P1にある状態では、ストッパ42は走行路1に接触しないので、作業者は台車10を移動することができる。
台車10に載置された荷物を降ろす場合、または、荷物を台車10に載せる場合には、作業者はオンペダル85を踏み込む。オンペダル85が踏み込まれることによって、第1の回転軸部材83と巻き取りドラム84が回転し、ワイヤ部材110が巻き取られる。
図15は、オンペダル85が踏み込まれた状態の台車10を示す側面図である。図15に示すように、ワイヤ部材110が巻き取られることによって、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42は、第1の位置P1から第2の位置P2に向かって立ち上がる。このとき、各ストッパ42は第2の位置P2に至る前に走行路1に接触する。
各ストッパ42は走行路1に接触した後も、ワイヤ部材110のコイルばね部111によって第2の位置P2に向かって付勢されているので、各ストッパ42は走行路1に向かって押し付けられる。このことによって、ストッパ42と走行路1との間に摩擦力が発生するので、台車10は走行路1に対して固定される。
また、走行路1が平面ではなく、例えば凸凹形状であっても、ストッパ42は、第1〜4のストッパ装置40〜70のコイルばね部材43が独立して撓むことによって、この凸凹に合わせて変位する。この点について、図24を用いて説明する。
図24は、走行路1において第1のストッパ装置40のストッパ42が接触する部分のみ、他の部分に対して突出する突出部200がある状態を示している。図24に示すように、例えば、走行路1において第1のストッパ装置40のストッパ42が接触する部分のみ他の部位に比較して突出する突出部200を有する場合、第1のストッパ装置40のストッパ42のみ突出部200に合わせて変位する。
また、固定装置20が複数のストッパ42を備えることによって、台車10は複数の点、言い換えると備えるストッパ42の数の点で走行路1に対して固定される。このため、台車10の移動、または、回転が防止される。
また、ストッパ42が4つ設けられるとともに、第1,4のストッパ装置40,70のボルト46が仮想四角形V2の第1の対角線L1に垂直であり、かつ、第2,3のストッパ装置50,60のボルト46が仮想四角形V2の第2の対角線L2に垂直であることによって、各ストッパ42が走行路1に接触している状態において台車10に外力が入力されると、この外力は、各ストッパ42と走行路1との間の摩擦力に変換されるので、固定装置20は、台車10をより一層強固に走行路1に対して固定することができる。
また、固定装置20は、台車10に対して後付けできる構造である。具体的には、しゃこ万力33によって固定される。このため、固定装置20を、既存の台車10に設けることができる。
また、ワイヤ式牽引・解除機構80は、巻き取りドラム84を備えており、オンペダル85を踏み込むことによって巻き取りドラム84が回転する構造である。また、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42が走行路1に接触している状態では、オフペダル88の突出部88aが保持用係合部89の切欠き部89aに係合することによって保持される。そして、オフペダル88を踏み込むことによって、突出部88aと保持用係合部89との係合を解除することができる。このように、台車10を走行路1に対して固定するための作業者の動作と、走行路1に対する台車10の固定を解除するための作業者の動作とを簡単に行うことができる。
また、固定装置20がフレーム30を備えており、第1〜4のストッパ装置40〜70とワイヤ式牽引・解除機構80とがフレーム30に固定されることによって、第1〜4のストッパ装置40〜70とワイヤ式牽引・解除機構80とを1つのユニットとして扱えるので、固定装置20を台車10に固定しやすくなる。
なお、本実施形態では、第1,4のストッパ装置40,70のストッパ42の各々の回転面は、第1の対角線L1に重なり、第2,3のストッパ装置50,60のストッパ42の各々の回転面は、第2の対角線L2に重なる。
つまり、第1,4のストッパ装置40,70のストッパ42の回転面が互いに平行になり、第2,3のストッパ装置50,60のストッパ42の回転面が互いに平行になり、第1,4のストッパ装置40,70のストッパ42の回転面が、第2,3のストッパ装置50,60のストッパ42の回転面に対して平行ではない。このことによって、第1のストッパ装置40のストッパ42と、第2のストッパ装置50のストッパ42とが互いに八の字に配置される。第1のストッパ装置40のストッパ42と第3のストッパ装置60のストッパ42とが互い八の字に配置される。第4のストッパ装置70のストッパ42と第2のストッパ装置50のストッパ42とが互いに八の字に配置される。第4のストッパ装置70のストッパ42と第3のストッパ装置60のストッパ42とが互いに八の字に配置される。
他の例としては、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42の回転面が互いに平行でなくてもよい。つまり、第1,4のストッパ装置40,70のストッパ42の回転面が互いに平行でなくてもよい。第2,3のストッパ装置50,60のストッパ42の回転面が互いに平行でなくてもよい。
または、第1,4のストッパ装置40,70のストッパ42の回転面が互いに平行であっても、第1,4のストッパ装置40,70のストッパ42の回転面が互いに同一平面上に配置されていなくてもよい。つまり、回転面が第1の対角線L1に重なっていなくてもよい。同様に、第2,3のストッパ装置50,60のストッパ42の回転面が平行であっても、第2,3のストッパ装置50,60のストッパ42の回転が互いに同一平面上に配置されていなくてもよい。つまり、回転面が第2の対角線L2に重なっていなくてもよい。
これらのような場合であっても、台車10に対する外力の作用する方向がいずれの方向であっても、言い換えるとθがいずれの値であっても、有効比を零よりも大きくすることができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る固定装置と移動装置と搬送装置とを、図16を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、固定装置20は、第1〜3のストッパ装置40〜60を備えており、第4のストッパ装置70は備えていない。本実施形態では、第1〜3のストッパ装置40〜60の配置が第1の実施形態と異なる。他の構造は第1の実施形態と同じである。上記異なる点について具体的に説明する。
図16は、本実施形態の固定装置20の一部を概略的に示す下面図である。本実施形態では、フレーム30とワイヤ式牽引・解除機構80とは第1の実施形態と同じである。また、第1〜3のストッパ装置40〜60の構造は、第1の実施形態と同じである。このため、図16では、ワイヤ式牽引・解除機構支持部32の一部と、ワイヤ式牽引・解除機構80とを省略するとともに、第1〜3のストッパ装置40〜60は、その位置を2点鎖線で示している。
第1〜3のストッパ装置40〜60は、上下方向Cに平行な中心線C5回りに等角度隔離間した径方向上に配置されている。中心線C5は、任意に設定することができる。本実施形態では、中心線C5は、一例として、ストッパ装置支持部31の中心と同じ位置である。
そして、第1〜3のストッパ装置40〜60のボルト46の中心線C2は、中心線C5に対する径方向に対して垂直であり、それゆえ、第1〜3のストッパ装置40〜60のストッパ42は、径方向に沿って回転する。
本実施形態であっても、第1〜3のストッパ装置40〜60のストッパ42の各々の回転面は、互いに平行ではない。このため、台車10に作用する外力がいずれの方向に沿って作用しても、言い換えると、θがいずれの値であっても、有効比は、零より大きくなる。このため、本実施形態では、固定装置20は、複数のストッパ42を備えることによって、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、固定装置20が3つのストッパ42を備える場合、3つのストッパ42のうち2つのストッパ42の回転面(ストッパ42の回転軸に垂直であってかつストッパ42の中心を通る面)が平行であり、これら2つのストッパ42の回転面に対して残りのストッパ42の回転面が平行でない構造であっても、台車10に対する外力がいずれの方向に沿って作用しても有効比は0より大きくなる。なお、本実施形態のように、3つのストッパ42の回転面が互いに平行でないことによって、台車10に対する外力の作用方向がいずれの方向であっても有効比を大きくすることができるので、本実施形態のように、3つのストッパ42の回転面を互いに平行ではないようにすることが好ましい。
次に、第3の実施形態に係る固定装置と搬送台車とを、図17〜21を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、固定装置20は、台車10に対して固定されておらず、台車10に対して独立して移動可能である。台車10は第1の実施形態と同じである。
図17は、本実施形態の固定装置20を示す側面図である。本実施形態では、固定装置20は、走行路1に対して移動できるように移動手段の一例である4つの固定キャスター120を備えている。また、固定装置20は、台車10を走行路1に固定する際に台車10に対して固定される固定手段の一例として押付装置130を備えている。
図17では、2つの固定キャスター120が示されているが、残りの2つの固定キャスター120は、図中奥側に配置されており、図示される固定キャスター120に幅方向Bに重なる。
固定装置20は、固定キャスター120によって走行路1に対して移動可能である。本実施形態では、第2の位置P2は、4つの固定キャスター120において走行路1と接触する部分が位置する仮想平面を超えて突出する位置である。
押付装置130は、フレーム30上に固定されている。押付装置130は、押付部131と、高さ調整部132とを備えている。高さ調整部132は、フレーム30上に複数固定されている。高さ調整部132は、フレーム30に対する押付部131の高さを調整する。
本実施形態では、高さ調整部132は、一例として、ねじ部133と、ねじ部133に螺合するナット部134とを備えている。ねじ部133は、フレーム30に固定されており、上下方向Cに延びている。ナット部134は、ねじ部133に対して回転することによって、フレーム30に対するナット部134の高さを調整することができる。押付部131は、板形状であって、ナット部134上に載せられている。ナット部134をボルト133に対して回転することによって、フレーム30に対する押付部131の高さを調整することができる。
固定装置20は、台車10を走行路1に対して固定する際に、台車10の下方に配置される。図18は、台車10の下方に固定装置20が配置された状態を概略的に示す台車10の下面図である。図18では、台車10に対する固定装置20の大きさを示すために、固定装置20は、フレーム30の外郭が示されている。図18に示すように、固定装置20のフレーム30は、台車10と走行路1との間に挿入可能になるように、台車10の幅方向Bに沿って、両固定キャスター12間に収容可能な大きさである。
図19は、固定装置20が台車10と走行路1との間に挿入された状態を示す側面図である。台車10によっては、固定装置20と走行路1との間に固定装置20を挿入しても、固定装置20と台車10との間に隙間があり、それゆえ、固定装置20が台車10に対して移動自由な状態である場合がある。この場合、高さ調整部132によって押付部131の高さを調整して、押付部131を台車10の載置台11の下面に押し付ける。
図19は、押付部131が載置台11の下面に押付られている状態を示している。作業者は、高さ調整部132を調整することによって、押付部131を台車10に押し付ける。押付部131が台車10に押付られることによって、固定装置20と押付部131との間に摩擦力が発生し、それゆえ、固定装置20と台車10とが互いに固定される。
固定装置20と台車10とが固定されると、作業者は、第1の実施形態で説明したように、オンペダル85を踏み込む。固定装置20が台車10に固定された状態では、固定装置20の固定キャスター120が接触する面と、台車10の固定キャスター12と自在キャスター13とが接触する面とが同じとなる。つまり、ストッパ42の第2の位置P2は、固定装置20の固定キャスター120の下端が位置する仮想平面よりも突出する位置であるが、固定装置20が台車10に上記のように固定されることによって、固定装置20の固定キャスター120の下端が位置する仮想平面と、台車10の固定キャスター12と自在キャスター13の下端が仮想平面V3とが一致する。
このことによって、台車10は、ストッパ42と走行路1との間に生じる摩擦力によって、走行路1に対して固定される。
台車10の走行路1に対する固定を解除する場合は、作業者は、高さ調整部132を調整して押付部131を台車10の載置台11に対して下げて押付部131が載置台11に対して押し付けられる状態を解除する。次に、作業者は、固定装置20を、台車10と走行路1との間から移動する。固定装置20が移動されると、台車10は、移動することができる。
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、固定装置20が、台車10を走行路1に対して固定する際、台車10と走行路1との間に挿入されて用いられるため、一つの固定装置20を複数の台車10などの移動装置、搬送装置に用いることができる。
なお、第2の実施形態の固定装置20が、本実施形態のように、固定キャスター120と押付装置130とを備えてもよい。
本実施形態では、固定装置20と台車10とを固定する固定手段の一例として、押付装置130を用いたが、他の固定手段が用いられてもよい。固定装置20が、台車10と走行路1との間に挿入可能な大きさを有して、かつ、固定装置20を台車10に対して固定する固定手段を備えることによって、本実施形態と同様の効果が得られる。
次に、本発明の第4の実施形態に係る固定装置を、図20〜22を用いて説明する。第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、フレーム30が第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる構造を、具体的に説明する。
図20は、本実施形態の固定装置20のフレーム30の下面図である。本実施形態では、フレーム30は、伸縮可能な構造を有している。具体的には、フレーム30のストッパ装置支持部31は、第1〜4の部分141,142,143,144を備えており、第1〜4の部分141〜144を組み合わせることによって構成される。
第1の実施形態で説明したように、ストッパ装置支持部31は、平面形状が四角形である。第1の部分141は、平面形状がL字形状であり、ストッパ装置支持部31のうち、第1のストッパ装置40が設けられる部分およびその近傍を構成する。第2の部分142は、平面形状がL字形状であり、第2のストッパ装置50が設けられる部分およびその近傍を構成する。第3の部分143は、平面形状がL字形状であり、第3のストッパ装置60が設けられる部分およびその近傍を構成する。第4の部分144は、平面形状がL字形状であり、第4のストッパ装置70が設けられる部分およびその近傍を構成する。
第1の部分141の一端部141aは、第3の部分143の一端部143a内に進退可能に収容されている。第4の部分144の一端部144aは、第3の部分143の他端部143b内に進退可能に収容されている。第2の部分142の一端部142aは、第4の部分144の他端部144b内に進退可能に収容されている。第2の部分142の他端部142bは、第1の部分141の他端部141b内に進退可能に収容されている。
進退可能な構成について、具体的に説明する。図21は、第1の部分141の一端部141aと第3の部分143の一端部143aとを拡大して示す平面図である。図21に示すように、第3の部分143は、中空形状の部材で形成されている。第1の部分141の一端部141aは、第3の部分143の一端部143a内に進退可能に収容されている。図22は、第1の部分141の一端部141aが第3の部分143の一端部143aに対してさらに押し込まれた状態を示している。第1〜4の部分141〜144において、進退可能に収容されている他の部分の構造は、図21,22と同じである。
図20に示すように、第3,4の部分143,144に対して第1,2の部分141,142がさらに押し込まれることによって、フレーム30のストッパ装置支持部31の前後方向Aに沿う長さを縮めることができる。また、第3,4の部分143,144に対して第1,2の部分141,142を引き抜く方向に移動することによって、ストッパ装置支持部31の前後方向Aに沿う長さを長くすることができる。
第1,3の部分141,143に対して第2,4の部分142,144を押し込めることによって、ストッパ装置支持部31を幅方向Bに縮めることができる。第1,3の部分141,143に対して第2,4の部分142,144を引き抜く方向に移動することによって、ストッパ装置支持部31を幅方向Bに長くすることができる。
フレーム30のワイヤ式牽引・解除機構支持部32は、第5〜8の部分145,146,147,148を備えており、第5〜8の部分145〜148が組み合わせることによってワイヤ式牽引・解除機構支持部32が構成される。
第5の部分145は、第1の部分141に固定されており、前後方向Aに沿って延びている。第6の部分146は、第2の部分142に固定されており、前後方向Aに沿って延びている。第7の部分147は、L字形状であり、一端部147aが第5の部分145の一端部145a内に進退可能に収容されている。第8の部分148は、L字形状であり、一端部148aが第6の部分146の一端部146a内に進退可能に収容されている。第8の部分148の他端部148bは、第7の部分147の他端部147b内に進退可能に収容されている。
進退可能に収容される構造は、図21,22を用いて説明した構造と同じである。第5,6の部分145,146に対して第7,8の部分147,148が前後方向Aに沿って押し込まれることによって、ワイヤ式牽引・解除機構支持部32が前後方向Aに沿って縮まる。第5,6の部分145,146に対して第7,8の部分147,148を引き抜く方向に移動することによって、ワイヤ式牽引・解除機構支持部32を前後方向Aに延ばすことができる。
第6の部分146が第2の部分142に固定されているので、ワイヤ式牽引・解除機構支持部32を幅方向Bに縮める場合は、第7の部分147に対して第8の部分148を押し込めるとともに、第1,3の部分141,143に対して第2,4の部分142,144を押し込める。このことによって、ワイヤ式牽引・解除機構支持部32とストッパ装置支持部31とを幅方向Bに縮めることができる。ワイヤ式牽引・解除機構支持部32を幅方向Bに長くする場合は、第7の部分147に対して第8の部分148を引き抜く方向に移動するとともに、第1,3の部分141,143に対して第2,4の部分142,144を引き抜く方向に移動する。このことによって、ワイヤ式牽引・解除機構支持部32とストッパ装置支持部31とを幅方向Bに長くすることができる。
フレーム30を伸縮した場合は、ワイヤ部材110を適切な長さを有するものに交換する。具体的には、オフペダル88に設けられる突出部88aと第2の回転軸部材90に設けられる保持用係合部89との係合が解除されている状態では、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパが42第1の位置P1にあるように、かつ、突出部88aと保持用係合部89の切欠き部89aとが係合している状態では、第1〜4のストッパ装置40〜70のストッパ42が第2の位置P2に位置可能な状態になるように、適切な長さを有するワイヤ部材110が用いられる。
本実施形態では、第1の実施形態の効果に加えて、フレーム30の大きさを調整することによって、固定装置20を、様々な大きさの台車10などの移動装置、搬送装置に用いることができる。
本実施形態のフレーム30は、第2,3の実施形態の固定装置20に用いられてもよい。この場合、第2,3の実施形態の効果に加えて、本実施形態の効果が得られる。
なお、本実施形態では、フレーム30を伸縮する構造の一例として、フレーム30を複数の部分に分割し、これら複数に分割されたものにおいて互いに隣接するもの一方を他方内に進退可能に収容することによって、フレーム全体を伸縮可能とした。他の例としては、フレーム30に伸縮可能な例えば蛇腹部を設けてもよい。この場合、蛇腹部を伸縮することによって、フレーム30の大きさを調整することができる。
次に、本発明の第5の実施形態の固定装置と搬送台車とを、図23を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、固定装置20は、フレーム30を備えていない。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点を具体的に説明する。
図23は、本実施形態の台車10を示す側面図である。図23に示すように、固定装置20は、フレーム30を備えておらず、第1〜4のストッパ装置40〜70と、ワイヤ式牽引・解除機構80と、ワイヤ部材支持部100とは、台車10の載置台11の下面に直接固定されている。本実施形態では、固定装置20は、台車10が製造されるさいに、一緒に製造されてもよい。言い換えると、固定装置20は、既存の台車10に設けられるのではなく、固定装置20を備える台車として製造されてもよい。このとき、各ストッパ装置と載置台11との平面視したときの相対位置は、第1〜5の実施形態と同じである。
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果がえられる。なお、第2の実施形態であっても、本実施形態のように、固定装置20がフレーム30を用いず、第1〜3のストッパ装置40〜60と、ワイヤ部材支持部100と、ワイヤ式牽引・解除機構80とが台車10の載置台11の下面に直接固定されてもよい。
次に、本発明の第6の実施形態に係る移動装置、搬送装置を、図25を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、第1〜4のストッパ装置40〜70のフレーム30に対する配置が、第1の実施形態と異なる。また、第1〜4のストッパ装置40〜70の配置の変化に伴い、フレーム30の形状が第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点について、具体的に説明する。
本実施形態の第1〜4のストッパ装置40〜70の配置、言い換えるとフレーム30への固定方式は、上記した四角配置の四点圧接固定方式である。図25は、台車10の載置台11の下面を示す概略図である。図25中では、固定装置20は、フレーム30と、第1〜4のストッパ装置40〜70を示しており、第1〜4のストッパ装置40〜70は、概略を、第2の実施形態の図16に示すように2点鎖線で示している。なお、第1〜4のストッパ装置40〜70の姿勢は、各ストッパ42の回転面が、互いに平行にならないように、言い換えると、八の字になる姿勢である。
図25に示すように、第1〜4のストッパ装置40〜70は、固定キャスター12または自在キャスター13の近傍に配置されて固定されている。具体的には、第1のストッパ装置40は、一方の固定キャスター12の近傍に配置されて固定されている。第2のストッパ装置50は、他方の固定キャスター12の近傍に配置されて固定されている。第3のストッパ装置60は、一方の自在キャスター13の近傍に配置されて固定されている。第4のストッパ装置70は、他方の自在キャスター13の近傍に配置されて固定されている。
本実施形態では、フレーム30のストッパ装置支持部31は、第1〜4のストッパ装置40〜70の上記配置に対応するために、両固定キャスター12と両自在キャスター13の近傍に位置する大きさを有している。
本実施形態は、第1の実施形態と同様の機能と効果とを得ることができる。なお、第5の実施形態においても、本実施形態と同様に、第1〜4のストッパ装置40〜70は、固定キャスター12と自在キャスター13の近傍に配置されて固定されてもよい。
次に、本発明の第7の実施形態に係る固定装置、移動装置、搬送装置を、図26,27を用いて説明する。なお、第2の実施形態と同様の機能を有する構成は、第2の実施形態と同一の符号を付して説明省略する。
本実施形態では、第1〜3のストッパ装置40〜60のフレーム30に対する配置が第2の実施形態に対して異なる。また、第1〜3のストッパ装置40〜60の配置の変化に伴い、ストッパ42の形状も第2の実施形態に対して異なる。他の構造は、第2の実施形態と同じである。上記異なる点について説明する。
図26は、台車10の載置台11の下面を示す概略図である。図26中では、固定装置20は、フレーム30と、第1〜3のストッパ装置40〜60を示しており、第1〜3のストッパ装置40〜60は、概略を、第2の実施形態の図16に示すように2点鎖線で示している。なお、第1〜3のストッパ装置40〜60の姿勢は、各ストッパ42の回転面が、互いに平行にならないように、言い換えると、八の字になる姿勢である。
図26に示すように、本実施形態では、第1〜3のストッパ装置40〜60のフレーム30に対する配置、言い換えるとフレーム30に対する固定方式は、上記した、三角配置の三点圧接固定方式である。
本実施形態では、第1,2のストッパ装置40,50は、両固定キャスター12間において、幅方向Bに並んで配置されている。第3のストッパ装置60は、自在キャスター13間に配置されている。フレーム30は、第1〜3のストッパ装置40〜60の配置が実現dえきるように、両固定キャスター12と両自在キャスター13との近傍に位置する大きさを有している。
本実施形態であっても、第2の実施形態と同様の効果が得られる。図27は、三角配置の三点圧接固定方式の他の例を示している。図27に示すように、三角配置の三点圧接固定方式の他の例としては、第1,2のストッパ装置40,50は、一方の固定キャスター12と一方の自在キャスター13との間に前後方向Aに沿って並んで配置される。第3のストッパ装置60は、他方の固定キャスター12と他方の自在キャスター13との間に配置される。
次に、本発明の第8の実施形態に係る固定装置、移動装置、搬送装置を、図28を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明省略する。本実施形態は、第1〜4のストッパ装置40〜70のフレーム30に対する配置が、第1の実施形態に対して異なる。また、第1〜4のストッパ装置40〜70の配置の変化に伴い、フレーム30の形状も第1の実施形態に対して異なる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。
図28は、台車10の載置台11の下面を示す概略図である。図28中では、固定装置20は、フレーム30と、第1〜4のストッパ装置40〜70を示しており、第1〜4のストッパ装置40〜70は、概略を、第2の実施形態の図16に示すように2点鎖線で示している。なお、第1〜4のストッパ装置40〜70の姿勢は、各ストッパ42の回転面が、互いに平行にならないように、言い換えると、八の字になる姿勢である。
図28に示すように、本実施形態の第1〜4のストッパ装置40〜70の配置、言い換えるとフレーム30に対する固定方式は、上記したダイヤ配置の四点圧接固定方式である。第2のストッパ装置50は、両固定キャスター12間に配置されている。第1のストッパ装置40は、一方の固定キャスター12と一方の自在キャスター13との間に配置されている。第3のストッパ装置60は、両自在キャスター13間に配置されている。第4のストッパ装置70は、他方の固定キャスター12と他方の自在キャスター13との間に配置されている。
フレーム30は、第1〜4のストッパ装置40〜70の上記配置を実現するために、両固定キャスター12間に入り込む部分と、一方の固定キャスター12と一方の自在キャスター13との間に入り込む部分と、両自在キャスター13間に入り込む部分と、他方の固定キャスター12と他方の自在キャスター13との間に入り込む部分とを有する形状である。本実施形態は、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、第9の実施形態に係る固定装置を、図29を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、ストッパ42が第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点について、具体的に説明する。
図29は、本実施形態の第1のストッパ装置40のストッパ42が走行路1に当接している状態を拡大して示す側面図である。図29に示すように、本実施形態では、ストッパ42は、その下部に交換可能で耐摩耗性が高く走行路1に対して摩擦抵抗の大きい材質のストッパーパッド300が設けられている。
ストッパーパッド300の下面301は、平面である。ストッパーパッド300は、走行路1に対して下面301が面接触するように、または、広い面積で走行路1に接触するように、逆T字型の首振り足部302によってストッパ42の下端部に取り付けられている。
ストッパ42の下端には、球面座軸受部303が形成されている。首振り足部302の上端部には、ボール軸304が設けられている。ボール軸304は、ストッパ42の球面座軸受け部303に連結される。この連結により、首振り足部302は、ストッパ42に対して、ボール軸304を中心として、首振り可能である、言い換えると、変位可能である。
首振り足部302がストッパ42に対して首振りすることによって、下面301が走行路1に対して、常に面接触することができる。ストッパーパッド300の下面301が走行路1に面接触することによって、しっかり固定することができる。
本実施形態では、第1の実施形態の効果に加えて、よりしっかり固定できるようになる。
次に、本発明の第10の実施形態に係る固定装置を、図30,31を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、コイルばね部材43に代えて、二腕コイルばね部材310が用いられる。また、本実施形態では、ストッパ42は、固定用壁部41が用いられず、フレーム30に回動自由に連結されている。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる構造を説明する。
図30は、本実施形態の第1のストッパ装置40においてストッパ42を、ストッパ42をフレーム30に回動自由に連結する回動軸311の中間部で切断した状態を示す断面図である。図31は、ストッパ42を下方から見た状態を示す下面図である。
図30,31に示すように、本実施形態では、ストッパ42は、断面形状が四角形である筒形状である。ストッパ42は、回動軸311によってフレーム30に回動自由に固定される。
本実施形態では、コイルばね部材43に代えて、二腕コイルばね部材310が用いられる。二腕コイルばね部材310は、第1の腕部315と、第2の腕部316と、コイル巻き部317とを備えている。第1,2の腕部315,316とコイル巻き部317とは一体に形成されている。二腕コイルばね部材310は、例えば、一本の線部材の中間部をコイル状に形成することによって、形成され、この中間部がコイル巻き部317となり、両端部が、第1,2の腕部315,316になる。
二腕コイルばね部材310は、コイル巻き部317回りに第1,2の腕部315,316を移動すると、コイル巻き部317が収縮したり、または、広がることによって、第1,2の腕部315,316を元の位置戻す弾性力が生じる。
回動軸311は、コイル巻き部317内を通る。第1の腕部315は、フレーム30に固定されている。第2の腕部316は、ストッパ42の内部に収容されており、ストッパ42の上壁部314の内面に当接している。二腕コイルばね部材310は、コイルばね部材43のように、ストッパ42を第1の位置P1に付勢する。
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、本発明の第11の実施形態に係る固定装置を、図32,33を用いて説明する。なお、本実施形態において第10の実施形態と同様の機能を有する構成は、第10の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。実施形態では、二腕コイルばね部材310に代えて、への字形板ばね部材320が用いられる。他の構造は、第10の実施形態と同じである。
図32は、ストッパ42を、回動軸311の中間部で切断した状態を示す断面図である。への字形板ばね部材320は、中間部に曲がり部321を有している。への字形板ばね部材320は、曲がり部321で曲がっており、側面形状が、への字形状である。への字形板ばね部材320は、ストッパ42を第1の位置P1に付勢する。
図33は、ストッパ42の内部が見えるように、ストッパ42の下端部を切断して下方から見た状態を示す下面図である。図32,33に示すように、への字形板ばね部材320の一端部322は、フレーム30に固定されている。曲がり部321は、回動軸311とストッパ42の上壁部314との間に配置されている。への字板ばね部材320の他端部323は、ストッパ42の上壁部314の内面に固定されている。への字板ばね部材320は、ストッパ42を第1の位置P1に付勢する。
本実施形態では、第10の実施形態と同様の効果が得られる。
次に、本発明の第12の実施形態に係る固定装置を、図34,35を用いて説明する。なお、第11の実施形態と同様の機能を有する構成は、第11の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、回動軸311が第11の実施形態に対して異なる。他の構造は、第11の実施形態と同じである。上記異なる構造を説明する。
図34は、ストッパ42を、回動軸311の中間部で切断した状態を示す断面図である。図34に示すように、回動軸311は、カム部330を有する。また、本実施形態では、回動軸311は、ストッパ42に対して固定されるとともに、フレーム30に対して回動自由に連結されている。このため、ストッパ42が第1,2の位置P1,P2間を変位しても、ストッパ42に対する回動軸311の姿勢は、変化しない。
ストッパ42が第1の位置P1にあるとき、回転軸311の短径部は、への字形板ばね部材320の曲がり部321に接触する。ストッパ42が第1の位置P1から第2の位置P2に向って回動すると、回動軸311のカム部321が曲がり部321に接触し始める。
このため、ストッパ42の第1,2の位置P1,P2間の回動の際の抵抗が大きくなる。さらに、ストッパ42が第2の位置P2に向って回動するにしたがってカム部321の先端部が、への字形板ばね部材320に当たるようになるので、への字板ばね部材320による圧接力が増大するようになる。
本実施形態では、第11の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、ストッパ42を第1の位置P1に保持しようとする保持力が大きくなる。
次に、本発明の第13の実施形態に係る固定装置を、図36を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、固定装置20は、台車10ではなく、貨物340に設けられる。
図36は、貨物340を示す側面図である。図36に示すように、固定装置20は、貨物340の下端面に設けられている。固定装置20は、貨物340に、例えば第1の実施形態と同様にしゃこ万力によって固定される。または、手段によって固定されてもよい。貨物340は、それ自体では自走できないものの一例である。貨物340は、一例として、直方体形状である。図36では、固定装置20は、2点鎖線で省略して示されているが、実際は、第1の実施形態と同じ構造を有している。
本実施形態では、貨物340を移動するために、複数のコロ341が用いられている。コロ341は、円柱形状である。貨物340は、コロ341の上に配置されている。走行路1と貨物340との間でコロ341が転がることによって、貨物340は走行路1上を移動する。コロ341は、本発明で言う、移動手段の一例である。
貨物340を移動中に、例えば貨物340を一旦走行路1に固定する場合は、固定装置20が第1の実施形態と同様に動作する。このことによって、固定装置20は、貨物340を走行路1に固定する。
第1〜12の実施形態では、固定装置20が固定された台車10は、本発明で言う移動装置の一例である。また、第1〜12の実施形態では、台車10は、本発明で言う、移動されるべき移動物の一例である。また、第1〜12の実施形態では、本発明で言う移動装置、移動物の一例として、台車10が用いられた。移動装置の他の例としては、車椅子、三輪車など、例えば車輪などの移動手段を有するものであってもよい。また、移動物の他の例としては、第13の実施形態で説明した貨物340以外に、スーツケース、底部の形状が球体のものなど、例えば車輪などの移動手段を有さないものであってもよい。
また、第1〜13の実施形態では、ストッパ42の外側端部42aには、走行路1などの走行路との間に生じる摩擦力を高めるために、第9の実施形態のように、ストッパーパッドが設けられてもよい。摩擦力を高める材料としては、走行路に応じて決定される。例えば、ゴムが用いられてもよい。
また、第1〜13の実施形態では、オフペダル88の突出部88aと、保持用係合部89の切欠き部89aとの係合が解除されると、ストッパ42は、コイルばね部材43の引っ張り力によって第1の位置P1に戻るが、その際の引っ張り力が強く、それゆえ、ストッパ42がフレーム30に接触する場合は、ストッパ42とフレーム30との間に例えばゴムなどの緩衝材が設けられてもよい。同様に、突出部88aと保持用係合部89との係合が解除されると、オンペダル85も踏み込み位置に戻る。このとき、オンペダル85がフレームまたは台車などの搬送台車に接触する場合は、オンペダル85に緩衝材を設けてもよい。
第1〜13の実施形態では、走行路の一例として、平面形状である走行路1が用いられた。走行路の他の例としては、傾斜面や、凸凹形状を有する板の上などであってもよい。要するに、走行路は、本発明で言う移動装置と移動物とが移動する部分である。
第1〜13の実施形態では、固定用壁部41と、ボルト46と、コイルばね部材43と、ワイヤ部材110とは、ストッパ42を、接触しない位置と接触する位置との間で移動可能に保持する保持手段の一例を構成している。
第1〜13の実施形態では、オンペダル85とオフペダル88とは、本発明で言う切替操作部の一例である。また、オンペダル85は、本発明で言うワイヤ牽引具の一例である。オフペダル88は、本発明で言う解除具の一例である。
第1〜5の実施形態では、ワイヤ部材110は、コイルばね部111有しており、本発明で言う付勢部材の一例である。また、コイルばね部111は、本発明で言う第2のスプリング機構の一例である。
第1〜12の実施形態では、台車10に設けられる固定キャスター12と自在キャスター13とは、本発明で言う移動手段の一例である。移動手段の他の例としては、例えば、車輪を有さず、滑ることによって移動可能する構造を有するものであってもよい。または、第13の実施形態のように、移動装置と移動物とに一体に設けられていない、コロなどであってもよい。また、固定キャスター12と自在キャスター13とは、本発明で言う走行キャリヤの一例である。
第3の実施形態では、固定キャスター120は、本発明で固定装置用移動手段の一例である。他の例としては、例えば、車輪を有さず、滑ることによって移動可能する構造を有するものであってもよい。第3の実施形態では、押付装置130は、本発明で言う固定手段の一例である。そして、押付装置130の高さ調整部132は、ねじ部133とナット部134とを備えている。高さ調整部132の変わりに、固定装置と台車との間挟みこませることによって固定装置上に台車が乗るようにする、例えば棒部材などの挿入部材を用いてもよい。または、空気圧で膨張することによって固定装置上に台車が乗る状態にしてもよい。
第1〜12の実施形態では、載置台11は、本発明で言う載置台の一例であるとともに、本体部の一例である。第1〜13の実施形態では、回転ホイール44は、本発明で言うワイヤガイドの一例である。第1〜13の実施形態では、第1〜4のストッパ装置40〜70は、本発明で言うストッパ装置の一例である。
第1,3〜6,8〜13の実施形態では、ワイヤ部材110において、第1〜4のストッパ装置40〜70の回転ホイール44に掛けられる領域が、本発明で言うワイヤ領域の一例となる。また、第2,7の実施形態では、ワイヤ部材110において第1〜3のストッパ装置40〜60の回転ホイール44に掛けられる領域が、本発明で言うワイヤ領域の一例となる。
第1〜4,6〜13の実施形態では、各ストッパ装置のストッパ42は、フレーム30を介して、台車10の載置台11に軸支されている。これは、本発明で言う間接的に軸支されることの一例である。第5の実施形態では、第1〜4のストッパ装置40〜70は、直接、載置台11に固定されている。具体的には、固定用壁部41が載置台11に固定されており、ストッパ42が固定用壁部41に軸支されている。このことは、本発明で言う直接軸支されることの一例である。
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態の構成を組み合わせてもよい。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
走行路に配置される移動装置に設けられて前記走行路に対して前記移動装置を固定する固定装置であって、
複数のストッパと、
前記移動装置に設けられ前記複数のストッパの下端部を前記走行路に接触しない位置と、前記複数のストッパの下端部が前記走行路に接触する位置との間で移動可能に前記複数のストッパの基部を保持する保持手段と、
前記複数のストッパの下端部位置を、前記接触しない位置と前記接触する位置とを切り替える切替操作部とを具備し、
前記保持手段は、前記複数のストッパの下端部が前記接触する位置にあるときに、前記走行路に対する前記複数のストッパの下端部位置を、前記移動装置が備える移動手段の外側に突出する位置に付勢する付勢部材を具備すると共に、前記複数のストッパを各々独立して回転可能に支持する
ことを特徴とする移動装置用の固定装置。
[2]
前記複数のストッパは、回転することによってその下端部を前記接触する位置と前記接触しない位置との間で移動し、前記複数のストッパのうち少なくとも1対のストッパの回転面は、互いに平行ではないことを特徴とする[1]に記載の移動装置用の固定装置。
[3]
荷役物の載置台を有し、前記載置台の底部に前記移動手段として走行キャリヤを有する移動装置に設けられる固定装置であって、
前記底部に複数設けられ、各々、ストッパと、ストッパに設けた第1のスプリング機構と、ストッパに設けたワイヤガイドとを具備するストッパ装置と、
前記載置台の底部に設けられ、前記複数のストッパ装置のストッパのワイヤガイドにワイヤを掛けて全てのストッパを操作するワイヤ式牽引・解除機構と
を具備し、
前記各ストッパの基部は、前記底部の中央部側に位置して前記底部に直接又はフレームを介して間接的に軸支接続され、
前記ストッパの下端部は、前記底部の周囲側にて前記走行路に対して着脱回動可能であり、
前記第1のスプリング機構は、前記当該ストッパの下端部を、前記走行路から上昇回動させて離脱させ、
前記ワイヤ式牽引・解除機構は、前記ワイヤガイドの全てに掛けられるワイヤの両端部に設けられる第2のスプリング機構と、前記第2のスプリング機構に接続されるワイヤ牽引具とその解除具とを具備する
ことを特徴とする移動装置用の固定装置。
[4]
前記ストッパは、少なくとも3つ以上設けられることを特徴とする[1]〜[3]のうちのいずれか1に記載の移動装置用の固定装置。
[5]
前記ストッパは、仮想四角形の4隅に1つずつ配置されることを特徴とする[1]〜[3]のうちのいずれか1に記載の移動装置用の固定装置。
[6]
走行路に配置される移動すべき移動物を、前記走行路に対して固定する固定装置であって、
複数のストッパと、
前記複数のストッパを前記走行路に接触しない位置と、前記複数のストッパが前記走行路に接触する位置との間で移動可能に前記複数のストッパを保持する保持手段と、
前記複数のストッパの位置を、前記接触しない位置と前記接触する位置とを切り替える切替操作部と
を具備することを特徴とする固定装置。
[7]
前記保持手段は、前記複数のストッパが前記接触する位置にあるときに、前記複数のストッパを、前記移動物に設けられて前記走行路に対して前記移動物を移動可能とする移動手段をこえて突出する位置に付勢する付勢部材を具備する
ことを特徴とする[6]に記載の固定装置。
[8]
前記保持手段は、前記複数のストッパを各々独立して回転可能に支持し、
前記複数のストッパは、回転することによって前記接触する位置と前記接触しない位置との間で移動し、
前記複数のストッパのうち少なくとも1対のストッパの回転面は、互いに平行ではない
ことを特徴とする[6]または[7]に記載の固定装置。
[9]
前記ストッパは、少なくとも3つ以上設けられる
ことを特徴とする[6]〜[8]のうちのいずれか1に記載の固定装置。
[10]
前記ストッパは、仮想四角形の4隅に1つずつ配置される
ことを特徴とする[9]に記載の固定装置。
[11]
前記保持手段は、前記ストッパが支持されるフレームを具備する
ことを特徴とする[6]〜[10]のうちのいずれか1に記載の固定装置。
[12]
前記フレームは、伸縮可能である
ことを特徴とする[11]に記載の固定装置。
[13]
前記フレームに設けられて前記フレームを前記走行路に対して移動可能にする固定装置用移動手段と、
前記フレームを前記移動装置に対して着脱可能に固定する固定手段と
を具備することを特徴とする[11]または[12]に記載の固定装置。
[14]
走行路上を移動する移動装置であって、
本体部と、
前記走行路に対して前記本体部を移動可能とする移動手段と、
前記本体部を前記走行路に対して固定する固定装置と
を具備し、
前記固定装置は、
複数のストッパと、
前記複数のストッパを前記走行路に接触しない位置と、前記複数のストッパが前記走行路に接触する位置との間で移動可能に前記複数のストッパを保持する保持手段と、
前記複数のストッパの位置を、前記接触しない位置と前記接触する位置とを切り替える切替操作部と
を具備することを特徴とする移動装置。
[15]
前記保持手段は、前記複数のストッパが前記接触する位置にあるときに、前記複数のストッパを、前記移動手段をこえて突出する位置に付勢する付勢部材を具備する
ことを特徴とする[14]に記載の移動装置。
[16]
前記保持手段は、前記複数のストッパを各々独立して回転可能に支持し、
前記複数のストッパは、回転することによって前記接触する位置と前記接触しない位置との間で移動し、
前記複数のストッパのうち少なくとも1対のストッパの回転面は、互いに平行ではない
ことを特徴とする[14]または[15]に記載の移動装置。
[17]
前記ストッパは、少なくとも3つ以上設けられる
ことを特徴とする[14]〜[16]のうちのいずれか1に記載の移動装置。
[18]
前記ストッパは、仮想四角形の4隅に1つずつ配置される
ことを特徴とする[17]に記載の移動装置。