JP6066134B2 - 磁気センサシステム - Google Patents
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Description
本発明は、被検出磁界を発生する磁界発生部と、被検出磁界を検出する磁気センサとを備えた磁気センサシステムに関する。
近年、自動車のステアリングの回転位置の検出等の種々の用途で、対象物の回転位置を検出するために、磁気センサが広く利用されている。磁気センサは、対象物の回転位置を検出する場合に限らず、対象物の直線的な変位を検出する場合にも利用されている。磁気センサが用いられるシステムでは、一般的に、対象物の回転や直線的な運動に連動して方向が回転する被検出磁界を発生する磁界発生部が設けられる。磁界発生部は、例えば磁石である。磁気センサは、磁気検出素子を用いて、基準位置における被検出磁界の方向が基準方向に対してなす角度を検出する。これにより、対象物の回転位置や直線的な変位が検出される。
磁気センサとしては、特許文献1および2に記載されているように、2つのブリッジ回路(ホイートストンブリッジ回路)を有するものが知られている。この磁気センサにおいて、2つのブリッジ回路は、それぞれ、4つの磁気検出素子を含み、被検出磁界の方向に対応した信号を出力する。磁気検出素子は、磁気抵抗効果素子(以下、MR素子とも記す。)を含む。2つのブリッジ回路の出力信号の位相は、各ブリッジ回路の出力信号の周期の1/4だけ異なっている。被検出磁界の方向が基準方向に対してなす角度は、2つのブリッジ回路の出力信号に基づいて算出される。
MR素子を用いた磁気センサでは、被検出磁界の方向の回転に伴って、MR素子の抵抗値に対応するMR素子の出力信号の波形は、理想的には正弦曲線(サイン(Sine)波形とコサイン(Cosine)波形を含む)となる。しかし、特許文献1に記載されているように、MR素子の出力信号波形は正弦曲線から歪む場合があることが知られている。MR素子の出力信号波形が正弦曲線から歪むということは、MR素子の出力信号が、正弦曲線の基本波以外の高調波成分を含むということである。MR素子の出力信号が高調波成分を含んでいると、磁気センサによる検出角度に誤差が生じる場合がある。
以下、MR素子が、磁化方向が固定された磁化固定層と、被検出磁界の方向に応じて磁化の方向が変化する自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置された非磁性層とを有するスピンバルブ型MR素子である場合を例にとって、MR素子の出力信号波形が歪む場合の例について説明する。スピンバルブ型MR素子としては、例えばGMR(巨大磁気抵抗効果)素子やTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子がある。MR素子の出力信号波形が歪む場合の例としては、磁化固定層の磁化方向が被検出磁界等の影響によって変動する場合や、自由層の磁化方向が、自由層の形状異方性等の影響によって、被検出磁界の方向と一致しない場合が挙げられる。
特許文献1には、以下のようにして検出角度の誤差を低減する技術が記載されている。この技術では、従来のブリッジ回路を構成するスピンバルブ型MR素子を、直列に接続された複数のスピンバルブ型MR素子よりなるMR素子列に置き換えて、ブリッジ回路を構成する。MR素子列は、MR素子の対を1つ以上含む。対を構成する2つのMR素子における磁化固定層の磁化方向は、従来のブリッジ回路を構成するMR素子における磁化固定層の磁化方向を基準として、互いに反対方向に同じ角度だけ回転させた方向である。
特許文献2には、主参照磁化軸を持つ主検出素子に、それぞれ主参照磁化軸に対して傾いた参照磁化軸を有する2つの補正検出素子を電気的に接続して、検出角度を補正する技術が記載されている。
ところで、本願の発明者による研究の課程で、磁気センサでは、検出角度の誤差が被検出磁界の強度に応じて変化することが分かった。以下、検出角度の誤差を角度誤差と言い、角度誤差が被検出磁界の強度に応じて変化することを角度誤差の磁界強度依存と言う。この角度誤差の磁界強度依存は、検出角度の誤差を低減する手段を講じた磁気センサにも存在していた。しかし、従来は、実際の被検出磁界の強度において検出角度の誤差が極めて小さくなるように、角度誤差の磁界強度依存を考慮して、実際の使用状態に即して検出角度の誤差を低減する手段を講じることはなされていないという問題点があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、被検出磁界の方向が基準方向に対してなす角度を検出するための磁気センサシステムであって、検出角度の誤差の磁界強度依存を考慮して、実際の使用状態に即して検出角度の誤差を効果的に低減できるようにした磁気センサシステムを提供することにある。
本発明の磁気センサシステムは、被検出磁界を発生する磁界発生部と、基準位置における被検出磁界の方向が基準方向に対してなす角度と対応関係を有する角度検出値を生成する磁気センサとを備えている。磁気センサは、磁界検出部と演算部とを備えている。磁界検出部は、被検出磁界を検出する複数の磁気検出素子を含み、被検出磁界の方向が第1の方向に対してなす角度と対応関係を有する第1の信号と被検出磁界の方向が第2の方向に対してなす角度と対応関係を有する第2の信号とを出力する。演算部は、第1および第2の信号に基づいて角度検出値を算出する。
本発明の磁気センサシステムにおいて、被検出磁界の方向が所定の周期で回転する場合、角度検出値は、所定の周期の1/4の周期で変化する角度誤差成分を含む。磁気センサは、磁界検出部における被検出磁界の強度を変化させると、角度誤差成分の絶対値の最大値が、磁界検出部における被検出磁界の強度が第1の強度値のときに極小値をとるように変化する特性を有している。本発明の磁気センサシステムは、磁気センサシステムの使用時において、磁界検出部における被検出磁界の実際の強度を第2の強度値としたとき、第1の強度値と第2の強度値の差が第1の強度値の20%以下であるものである。本発明の磁気センサシステムにおいて、角度誤差成分の絶対値の最大値は、0.1°以下であってもよい。
また、本発明の磁気センサシステムにおいて、被検出磁界の方向が所定の周期で回転する場合、第1の信号は、理想的な正弦曲線を描くように周期的に変化する第1の理想成分と、第1の理想成分に対する第3高調波に相当する誤差成分である第1の第3高調波成分と、第1の理想成分に対する第5高調波に相当する誤差成分である第1の第5高調波成分とを含んでいてもよく、第2の信号は、理想的な正弦曲線を描くように周期的に変化する第2の理想成分と、第2の理想成分に対する第3高調波に相当する誤差成分である第2の第3高調波成分と、第2の理想成分に対する第5高調波に相当する誤差成分である第2の第5高調波成分とを含んでいてもよい。
また、第1の理想成分が最大値をとるときの第1の理想成分に対する第1の第3高調波成分の比率を第1の比率とし、第1の理想成分が最大値をとるときの第1の理想成分に対する第1の第5高調波成分の比率を第2の比率とし、第2の理想成分が最大値をとるときの第2の理想成分に対する第2の第3高調波成分の比率を第3の比率とし、第2の理想成分が最大値をとるときの第2の理想成分に対する第2の第5高調波成分の比率を第4の比率としたときに、第1の比率と第3の比率の平均値と第2の比率と第4の比率の平均値との差の絶対値は、0.18%以下であってもよい。この場合、磁界検出部の温度が20℃のときにおいて、第1の比率と第3の比率の平均値は、第2の比率と第4の比率の平均値よりも小さくてもよい。
また、本発明の磁気センサシステムにおいて、第1の強度値と第2の強度値の差は、第1の強度値の10%以下であってもよい。また、角度誤差成分の絶対値の最大値は、0.05°以下であってもよい。また、上記第1の比率と第3の比率の平均値と第2の比率と第4の比率の平均値との差の絶対値は、0.09%以下であってもよい。この場合、磁界検出部の温度が20℃のときにおいて、第1の比率と第3の比率の平均値は、第2の比率と第4の比率の平均値よりも小さくてもよい。
また、本発明の磁気センサシステムにおいて、第2の方向は、第1の方向に直交していてもよい。
また、本発明の磁気センサシステムにおいて、複数の磁気検出素子の各々は、磁化方向が固定された磁化固定層と、被検出磁界の方向に応じて磁化の方向が変化する自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置された非磁性層とを有する磁気抵抗効果素子を含んでいてもよい。この場合、自由層は、非磁性層に接する第1の面と、その反対側の第2の面とを有し、第2の面は、5回以上の回転対称とはならない4回対称の回転対称形状を有していてもよい。
本発明の磁気センサシステムによれば、検出角度の誤差の磁界強度依存を考慮して、実際の使用状態に即して検出角度の誤差を効果的に低減することが可能になるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1および図2を参照して、本発明の一実施の形態に係る磁気センサシステムの概略の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る磁気センサシステムの概略の構成を示す斜視図である。図2は、本実施の形態における方向と角度の定義を示す説明図である。
図1に示したように、本実施の形態に係る磁気センサシステムは、磁気センサ1と磁界発生部2とを備えている。磁界発生部2は、被検出磁界MFを発生する。図1に示した例では、磁界発生部2は円柱状の磁石である。この磁界発生部2は、円柱の中心軸を含む仮想の平面を中心として対称に配置されたN極とS極とを有している。この磁界発生部2は、円柱の中心軸を中心として回転する。これにより、磁界発生部2が発生する被検出磁界MFの方向は、円柱の中心軸を含む回転中心Cを中心として回転する。
磁気センサ1は、基準位置における被検出磁界MFの方向が基準方向に対してなす角度を検出するものである。具体的には、磁気センサ1は、基準位置における被検出磁界MFの方向が基準方向に対してなす角度と対応関係を有する角度検出値を生成する。
基準位置は、磁界発生部2の一方の端面に平行な仮想の平面(以下、基準平面と言う。)内に位置する。この基準平面内において、磁界発生部2が発生する被検出磁界MFの方向は、基準位置を中心として回転する。基準方向は、基準平面内に位置して、基準位置と交差する。以下の説明において、基準位置における被検出磁界MFの方向とは、基準平面内に位置する方向を指す。また、単に被検出磁界MFの方向と言うときは、基準位置における被検出磁界MFの方向を指すものとする。磁気センサ1は、磁界発生部2の上記一方の端面に対向するように配置される。
なお、磁気センサ1と磁界発生部2の構成は、図1に示した例に限られない。磁気センサ1と磁界発生部2は、被検出磁界MFの方向が磁気センサ1から見て回転するように、磁気センサ1と磁界発生部2の相対的位置関係が変化するものであればよい。例えば、図1に示したように配置された磁気センサ1と磁界発生部2において、磁界発生部2が固定されて磁気センサ1が回転してもよいし、磁気センサ1と磁界発生部2が互いに反対方向に回転してもよいし、磁気センサ1と磁界発生部2が同じ方向に互いに異なる角速度で回転してもよい。
また、磁界発生部2として、図1に示した磁石の代わりに、1組以上のN極とS極が交互にリング状に配列された磁石を用い、この磁石の外周の近傍に磁気センサ1が配置されていてもよい。この場合には、磁石と磁気センサ1の少なくとも一方が回転すればよい。
また、磁界発生部2として、図1に示した磁石の代わりに、複数組のN極とS極が交互に直線状に配列された磁気スケールを用い、この磁気スケールの外周の近傍に磁気センサ1が配置されていてもよい。この場合には、磁気スケールと磁気センサ1の少なくとも一方が、磁気スケールのN極とS極が並ぶ方向に直線的に移動すればよい。
上述の種々の磁気センサ1と磁界発生部2の構成においても、磁気センサ1と所定の位置関係を有する基準平面が存在し、この基準平面内において、被検出磁界MFの方向は、磁気センサ1から見て、基準位置を中心として回転する。
磁気センサ1は、磁界検出部3を備えている。磁界検出部3は、被検出磁界MFを検出する複数の磁気検出素子を含み、被検出磁界MFの方向が第1の方向に対してなす角度と対応関係を有する第1の信号S1と被検出磁界MFの方向が第2の方向に対してなす角度と対応関係を有する第2の信号S2とを出力する。
磁界検出部3は、第1の検出回路10と第2の検出回路20を有している。図1では、理解を容易にするために、第1および第2の検出回路10,20を別体として描いているが、第1および第2の検出回路10,20は一体化されていてもよい。また、図1では、第1および第2の検出回路10,20が回転中心Cに平行な方向に積層されているが、その積層順序は図1に示した例に限られない。
ここで、図1および図2を参照して、本実施の形態における方向と角度の定義について説明する。まず、図1に示した回転中心Cに平行で、図1における下から上に向かう方向をZ方向と定義する。図2では、Z方向を図2における奥から手前に向かう方向として表している。次に、Z方向に垂直な2方向であって、互いに直交する2つの方向をX方向とY方向と定義する。図2では、X方向を右側に向かう方向として表し、Y方向を上側に向かう方向として表している。また、X方向とは反対の方向を−X方向と定義し、Y方向とは反対の方向を−Y方向と定義する。
基準位置PRは、磁気センサ1が被検出磁界MFを検出する位置である。基準方向DRは、X方向とする。被検出磁界MFの方向DMが基準方向DRに対してなす角度を記号θで表す。被検出磁界MFの方向DMは、図2において反時計回り方向に回転するものとする。角度θは、基準方向DRから反時計回り方向に見たときに正の値で表し、基準方向DRから時計回り方向に見たときに負の値で表す。
次に、図3を参照して、磁気センサ1の構成について詳しく説明する。図3は、磁気センサ1の構成を示す回路図である。磁気センサ1は、前述の磁界検出部3の他に、演算部30を備えている。前述の通り、磁界検出部3は、第1の検出回路10と第2の検出回路20を有している。
第1の検出回路10は、被検出磁界MFの方向DMが第1の方向に対してなす角度と対応関係を有する第1の信号S1を生成する。第2の検出回路20は、被検出磁界MFの方向DMが第2の方向に対してなす角度と対応関係を有する第2の信号S2を生成する。本実施の形態では、第1の方向はX方向であり、第2の方向はY方向である。従って、第2の方向は、第1の方向に直交している。図2において、符号D1を付した矢印は第1の方向を表し、符号D2を付した矢印は第2の方向を表している。第1の信号S1は、例えば、基準位置PRにおける被検出磁界MFの、第1の方向D1(X方向)の成分の強度に対応した信号である。第2の信号S2は、例えば、基準位置PRにおける被検出磁界MFの、第2の方向D2(Y方向)の成分の強度に対応した信号である。
被検出磁界MFの方向DMが所定の周期で回転する場合、第1および第2の信号S1,S2は、いずれも、上記所定の周期と等しい信号周期Tで周期的に変化する。第2の信号S2の位相は、第1の信号S1の位相と異なっている。本実施の形態では、第2の信号S2の位相は、第1の信号S1の位相に対して、信号周期Tの1/4の奇数倍だけ異なっていることが好ましい。ただし、磁気検出素子の作製の精度等の観点から、第1の信号S1と第2の信号S2の位相差は、信号周期Tの1/4の奇数倍から、わずかにずれていてもよい。以下の説明では、第1の信号S1の位相と第2の信号S2の位相の関係が上記の好ましい関係になっているものとする。
第1の検出回路10は、第1の信号S1を出力する出力端を有している。第2の検出回路20は、第2の信号S2を出力する出力端を有している。演算部30は、2つの入力端と1つの出力端とを有している。演算部30の2つの入力端は、それぞれ、第1および第2の検出回路10,20の各出力端に接続されている。
演算部30は、角度θと対応関係を有する角度検出値θsを算出する。本実施の形態では、角度検出値θsは、磁気センサ1によって検出された角度θの値である。演算部30は、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)またはマイクロコンピュータによって実現することができる。角度検出値θsの算出方法については、後で詳しく説明する。
第1の検出回路10は、ホイートストンブリッジ回路14と、差分検出器15とを有している。ホイートストンブリッジ回路14は、電源ポートV1と、グランドポートG1と、2つの出力ポートE11,E12と、直列に接続された第1の対の磁気検出素子R11,R12と、直列に接続された第2の対の磁気検出素子R13,R14とを含んでいる。磁気検出素子R11,R13の各一端は、電源ポートV1に接続されている。磁気検出素子R11の他端は、磁気検出素子R12の一端と出力ポートE11に接続されている。磁気検出素子R13の他端は、磁気検出素子R14の一端と出力ポートE12に接続されている。磁気検出素子R12,R14の各他端は、グランドポートG1に接続されている。電源ポートV1には、所定の大きさの電源電圧が印加される。グランドポートG1はグランドに接続される。差分検出器15は、出力ポートE11,E12の電位差に対応する信号の値を第1の信号S1として演算部30に出力する。
第2の検出回路20の回路構成は、第1の検出回路10と同様である。すなわち、第2の検出回路20は、ホイートストンブリッジ回路24と、差分検出器25とを有している。ホイートストンブリッジ回路24は、電源ポートV2と、グランドポートG2と、2つの出力ポートE21,E22と、直列に接続された第1の対の磁気検出素子R21,R22と、直列に接続された第2の対の磁気検出素子R23,R24とを含んでいる。磁気検出素子R21,R23の各一端は、電源ポートV2に接続されている。磁気検出素子R21の他端は、磁気検出素子R22の一端と出力ポートE21に接続されている。磁気検出素子R23の他端は、磁気検出素子R24の一端と出力ポートE22に接続されている。磁気検出素子R22,R24の各他端は、グランドポートG2に接続されている。電源ポートV2には、所定の大きさの電源電圧が印加される。グランドポートG2はグランドに接続される。差分検出器25は、出力ポートE21,E22の電位差に対応する信号の値を第2の信号S2として演算部30に出力する。
本実施の形態では、ホイートストンブリッジ回路(以下、ブリッジ回路と記す。)14,24に含まれる複数の磁気検出素子の各々は、少なくとも1つのスピンバルブ型MR素子、特にTMR素子を含んでいる。なお、TMR素子の代わりにGMR素子を用いてもよい。スピンバルブ型MR素子は、磁化方向が固定された磁化固定層と、被検出磁界MFの方向DMに応じて磁化の方向が変化する磁性層である自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置された非磁性層とを有している。TMR素子では、非磁性層はトンネルバリア層である。GMR素子では、非磁性層は非磁性導電層である。スピンバルブ型MR素子では、自由層の磁化の方向が磁化固定層の磁化の方向に対してなす角度に応じて抵抗値が変化し、この角度が0°のときに抵抗値は最小値となり、角度が180°のときに抵抗値は最大値となる。図3において、塗りつぶした矢印は、MR素子における磁化固定層の磁化の方向を表し、白抜きの矢印は、MR素子における自由層の磁化の方向を表している。
第1の検出回路10では、磁気検出素子R11,R14におけるMR素子の磁化固定層の磁化の方向は、X方向(第1の方向)であり、磁気検出素子R12,R13におけるMR素子の磁化固定層の磁化の方向は、−X方向である。この場合、被検出磁界MFの方向DMが第1の方向D1(X方向)に対してなす角度に応じて、出力ポートE11,E12の電位差が変化する。従って、第1の検出回路10は、被検出磁界MFの方向DMが第1の方向D1(X方向)に対してなす角度と対応関係を有する第1の信号S1を生成する。
第2の検出回路20では、磁気検出素子R21,R24におけるMR素子の磁化固定層の磁化の方向は、Y方向(第2の方向)であり、磁気検出素子R22,R23におけるMR素子の磁化固定層の磁化の方向は、−Y方向である。この場合、被検出磁界MFの方向DMが第2の方向D2(Y方向)に対してなす角度に応じて、出力ポートE21,E22の電位差が変化する。従って、第2の検出回路20は、被検出磁界MFの方向DMが第2の方向D2(Y方向)に対してなす角度と対応関係を有する第2の信号S2を生成する。
なお、検出回路10,20内の複数のMR素子における磁化固定層の磁化の方向は、MR素子の作製の精度等の観点から、上述の方向からわずかにずれていてもよい。
次に、図4および図5を参照して、ブリッジ回路と磁気検出素子の構成の一例について説明する。図4は、図3に示したブリッジ回路14を示す平面図である。図5は、図4における1つの磁気検出素子の一部を示す斜視図である。図4に示した例では、ブリッジ回路14の磁気検出素子R11,R12,R13,R14の各々は、MR素子列によって構成されている。MR素子列は、直列に接続された複数のMR素子50を含んでいる。図4に示した例では、MR素子列は、8個のMR素子50と、この8個のMR素子50を直列に接続する複数の下部電極41および複数の上部電極42によって構成されている。MR素子50は、下端面と上端面を有している。ブリッジ回路24の構成は、図4に示したブリッジ回路14と同様である。
複数の下部電極41は図示しない基板上に配置されている。個々の下部電極41は細長い形状を有している。隣接する2つの下部電極41の間には、間隙が形成されている。図5に示したように、下部電極41の上面上において、長手方向の両端の近傍に、隣接する2つのMR素子50が配置されている。個々の上部電極42は細長い形状を有し、隣接する2つの下部電極41上に配置されて隣接する2つのMR素子50を電気的に接続している。
図5に示したように、MR素子50は、下部電極41側から順に積層された反強磁性層54、磁化固定層53、非磁性層52および自由層51を含んでいる。反強磁性層54は、反強磁性材料よりなり、磁化固定層53との間で交換結合を生じさせて、磁化固定層53の磁化の方向を固定する。なお、MR素子50における層51〜54の配置は、図5に示した配置とは上下が反対でもよい。
自由層51は、非磁性層に接する第1の面と、その反対側の第2の面とを有している。図5に示した例では、自由層51の第2の面が、MR素子50の上端面を構成している。図2において、符号11は、第1の検出回路10内のMR素子50における自由層51の第2の面の形状を表し、符号21は、第2の検出回路20内のMR素子50における自由層51の第2の面の形状を表している。
図4に示したブリッジ回路14は、2つの磁気検出素子を電気的に接続する4つの接続電極431,432,433,434を有している。接続電極431〜434は、図示しない基板上に配置されている。
接続電極431は、磁気検出素子R11の一端に位置するMR素子50と磁気検出素子R13の一端に位置するMR素子50とを電気的に接続していると共に、電源ポートV1に電気的に接続されている。接続電極432は、磁気検出素子R11の他端に位置するMR素子50と磁気検出素子R12の一端に位置するMR素子50とを電気的に接続していると共に、出力ポートE11に電気的に接続されている。接続電極433は、磁気検出素子R13の他端に位置するMR素子50と磁気検出素子R14の一端に位置するMR素子50とを電気的に接続していると共に、出力ポートE12に電気的に接続されている。接続電極434は、磁気検出素子R12の他端に位置するMR素子50と磁気検出素子R14の他端に位置するMR素子50とを電気的に接続していると共に、グランドポートG1に電気的に接続されている。
次に、図3を参照して、角度検出値θsの算出方法について説明する。図3に示した例では、理想的には、第1の信号S1の波形は、角度θに依存したコサイン(Cosine)波形になり、第2の信号S2の波形は、角度θに依存したサイン(Sine)波形になる。この場合、第2の信号S2の位相は、第1の信号S1の位相に対して、信号周期Tの1/4すなわちπ/2(90°)だけ異なっている。
角度θが0°以上90°未満のとき、および270°より大きく360°以下のときは、第1の信号S1は正の値であり、角度θが90°よりも大きく270°よりも小さいときは、第1の信号S1は負の値である。また、角度θが0°よりも大きく180°よりも小さいときは、第2の信号S2は正の値であり、角度θが180°よりも大きく360°よりも小さいときは、第2の信号S2は負の値である。
演算部30は、第1および第2の信号S1,S2に基づいて、角度θと対応関係を有する角度検出値θsを算出する。具体的には、例えば、演算部30は、下記の式(1)によって、θsを算出する。なお、“atan”は、アークタンジェントを表す。
θs=atan(S2/S1) …(1)
式(1)におけるatan(S2/S1)は、θsを求めるアークタンジェント計算を表している。なお、θsが0°以上360°未満の範囲内では、式(1)におけるθsの解には、180°異なる2つの値がある。しかし、S1,S2の正負の組み合わせにより、θsの真の値が、式(1)におけるθsの2つの解のいずれであるかを判別することができる。すなわち、S1が正の値のときは、θsは、0°以上90゜未満、および270°より大きく360°以下の範囲内である。S1が負の値のときは、θsは90°よりも大きく270°よりも小さい。S2が正の値のときは、θsは0°よりも大きく180°よりも小さい。S2が負の値のときは、θsは180°よりも大きく360°よりも小さい。演算部30は、式(1)と、上記のS1,S2の正負の組み合わせの判定により、0°以上360°未満の範囲内でθsを求める。
前述の通り、被検出磁界MFの方向DMが前記所定の周期で回転する場合、第1および第2の信号S1,S2は、いずれも、前記所定の周期と等しい信号周期Tで周期的に変化する。信号S1,S2の各々の波形は、理想的には正弦曲線(サイン(Sine)波形とコサイン(Cosine)波形を含む)となる。しかし、実際には、例えば、MR素子50の磁化固定層53の磁化方向が被検出磁界MF等の影響によって変動したり、MR素子50の自由層51の磁化方向が、自由層51の形状異方性等の影響によって、被検出磁界MFの方向DMと一致しなかったりすることに起因して、信号S1,S2の各々の波形は、正弦曲線から歪む。
信号S1,S2の各々の波形が正弦曲線から歪むということは、信号S1,S2の各々は、理想的な正弦曲線を描くように周期的に変化する理想成分と、この理想成分に対する1つ以上の高調波に相当する1つ以上の誤差成分とを含むということである。信号S1,S2の各々が1つ以上の誤差成分を含むことによって、角度検出値θsは、誤差を含むことになる。以下、角度検出値θsの誤差を角度誤差と言う。被検出磁界MFの方向DMが前記所定の周期で回転する場合、角度誤差は、前記所定の周期とは異なる1つ以上の周期で周期的に変化する1つ以上の角度誤差成分を含み得る。
本願の発明者による研究の課程で、本実施の形態における磁気センサ1に限らず、一般的に、磁気センサでは、角度誤差が被検出磁界の強度に応じて変化すること、すなわち角度誤差の磁界強度依存が存在することが分かった。本実施の形態における磁気センサ1は、磁界検出部3における被検出磁界MFの強度(以下、印加磁界強度と言う。)を変化させると、角度誤差の絶対値の最大値が、印加磁界強度が第1の強度値のときに極小値をとるように変化する特性を有している。このような特性は、本実施の形態における磁気センサ1に限らず、磁気センサ1と同様の回路構成を有する磁気センサが有している。
また、本願の発明者による研究の課程で、角度誤差の磁界強度依存は、主に、前述の1つ以上の角度誤差成分のうちの、前記所定の周期の1/4の周期で変化する角度誤差成分(以下、角度誤差4次成分と言う。)に起因するものであることが分かった。すなわち、印加磁界強度の変化に対する角度誤差4次成分の変化の仕方は、印加磁界強度の変化に対する角度誤差全体の変化の仕方と同様であった。
ここで、被検出磁界MFの方向DMが前記所定の周期で回転する場合における角度誤差4次成分の絶対値の最大値を、記号E4で表す。本実施の形態における磁気センサ1は、印加磁界強度を変化させると、角度誤差4次成分の絶対値の最大値E4が、印加磁界強度が前記第1の強度値のときに極小値をとるように変化する特性を有している。
本実施の形態に係る磁気センサシステムでは、磁気センサシステムの使用時において、実際の印加磁界強度を第2の強度値としたとき、第1の強度値と第2の強度値の差が第1の強度値の20%以下になるようにしている。これは、磁気センサシステムの使用時において、角度誤差4次成分の絶対値の最大値E4が、極小値、または極小値に近い値であることを意味する。これにより、磁気センサシステムでは、角度誤差の絶対値の最大値も、極小値、または極小値に近い値になる。第1の強度値と第2の強度値の差は、第1の強度値の10%以下であることが好ましい。
第1の強度値は磁気センサ1の特性に依存し、第2の強度値は磁界発生部2の特性に依存する。第1の強度値と第2の強度値の差を第1の強度値の20%以下にする方法としては、第1の強度値に合わせて第2の強度値を調整する方法と、決められた第2の強度値に合わせて第1の強度値を調整する方法がある。第1の強度値に合わせて第2の強度値を調整することは、例えば、磁界発生部2として用いられる磁石の特性の調整や、磁界発生部2と磁界検出部3の間の距離の調整によって実現することができる。
決められた第2の強度値に合わせて第1の強度値を調整するには、磁気センサ1の特性を調整する必要がある。磁気センサ1の特性は、例えば、MR素子50の形状を変えることによって変えることが可能である。本実施の形態では、MR素子50の形状、特に自由層51の形状を制御することによって、第1の強度値を制御する。以下、その原理について詳しく説明する。
本願の発明者による研究により、角度誤差4次成分は、信号S1,S2の各々に含まれる2つの誤差成分に依存することが分かった。始めに、これについて説明する。被検出磁界MFの方向DMが前記所定の周期で回転する場合、第1の信号S1は、理想的な正弦曲線を描くように周期的に変化する第1の理想成分V11と、第1の理想成分V11に対する第3高調波に相当する誤差成分である第1の第3高調波成分V13と、第1の理想成分V11に対する第5高調波に相当する誤差成分である第1の第5高調波成分V15とを含み、第2の信号S2は、理想的な正弦曲線を描くように周期的に変化する第2の理想成分V21と、第2の理想成分V21に対する第3高調波に相当する誤差成分である第2の第3高調波成分V23と、第2の理想成分V21に対する第5高調波に相当する誤差成分である第2の第5高調波成分V25とを含んでいる。
ここで、第1の理想成分V11が最大値をとるときの第1の理想成分V11に対する第1の第3高調波成分V13の比率を第1の比率V13rと定義し、第1の理想成分V11が最大値をとるときの第1の理想成分V11に対する第1の第5高調波成分V15の比率を第2の比率V15rと定義し、第2の理想成分V21が最大値をとるときの第2の理想成分V21に対する第2の第3高調波成分V23の比率を第3の比率V23rと定義し、第2の理想成分V21が最大値をとるときの第2の理想成分V21に対する第2の第5高調波成分V25の比率を第4の比率V25rと定義する。また、第1の比率V13rと第3の比率V23rの平均値を、第3高調波成分比率と定義し、記号V3rで表す。また、第2の比率V15rと第4の比率V25rの平均値を、第5高調波成分比率と定義し、記号V5rで表す。
本願の発明者による研究により、角度誤差4次成分の絶対値の最大値E4は、第3高調波成分比率V3rと第5高調波成分比率V5rの差の絶対値に比例することが分かった。E4は、近似的に次の式(2)で表される。なお、式(2)において、E4の単位は度であり、V3r,V5rの単位は%である。
E4=|V3r−V5r|×0.56 …(2)
式(2)から、原理的に、V3rとV5rが等しいときにE4はゼロになる。また、式(2)から、V3rとV5rの差の絶対値が0.18%のときにE4は0.1°になり、V3rとV5rの差の絶対値が0.09%のときにE4は0.05°になる。
ここで、図6ないし図9を参照して、シミュレーションによって求めた複数の誤差成分と角度誤差4次成分との関係の第1ないし第4の例について説明する。
図6ないし図9において、(a)はV11,V13r,V15rの各波形を示し、(b)はV21,V23r,V25rの各波形を示し、(c)は角度誤差4次成分の波形を示している。(a)、(b)、(c)のいずれにおいても、横軸は角度θを示している。(a)における縦軸はV11,V13r,V15rの各値を示している。V11は、その最大値を100%として表している。(b)における縦軸はV21,V23r,V25rの各値を示している。V21は、その最大値を100%として表している。(c)における縦軸は、角度誤差4次成分の値(単位は度)を示している。
図6に示した第1の例では、V13r,V15r,V23r,V25rがいずれも0.1%である。この場合、V3r,V5rはいずれも0.1%である。この場合は、V3rとV5rが等しいことから、角度誤差4次成分は、角度θに関わらずにゼロであり、E4はゼロである。
図7に示した第2の例では、V13r,V23rがいずれもゼロであり、V15r,V25rがいずれも0.1%である。この場合、V3rはゼロであり、V5rは0.1%である。この場合は、V3rとV5rの差の絶対値は0.1%であり、E4は0.056°である。
図8に示した第3の例では、V13r,V23rがいずれも0.1%であり、V15r,V25rがいずれもゼロである。この場合、V3rは0.1%であり、V5rはゼロである。この場合は、V3rとV5rの差の絶対値は0.1%であり、E4は0.056°である。
図9に示した第4の例では、V13r,V23rがいずれも−0.1%であり、V15r,V25rがいずれも0.1%である。この場合、V3rは−0.1%であり、V5rは0.1%である。この場合は、V3rとV5rの差の絶対値は0.2%であり、E4は0.11°である。
次に、図10を参照して、式(2)で表されるV3rとV5rの差の絶対値とE4との関係を求めたシミュレーションの結果について説明する。このシミュレーションでは、V3rとV5rの値の種々の組み合わせについて、V3rとV5rの差の絶対値とE4との関係を求めた。その結果を図10に示す。図10において、横軸はV3rとV5rの差の絶対値を示し、縦軸はE4を示している。また、図10において、複数の四角の点は、それぞれシミュレーションで求めたV3rとV5rの差の絶対値とE4の値の組み合わせを示し、直線は、V3rとV5rの差の絶対値とE4の関係を表す近似直線である。式(2)は、この近似直線を表している。
図11は、印加磁界強度を変化させたときのV3r,V5r,E4の変化の仕方の一例を示している。以下、印加磁界強度を変化させたときのV3r,V5r,E4の変化の仕方を、それぞれ、V3r,V5r,E4の磁界強度依存性と言う。図11おいて、横軸は印加磁界強度を示し、縦軸はV3r,V5r,E4の各値を示している。一般的に、V3rとV5rの磁界強度依存性は、互いに異なっている。そのため、印加磁界強度を変化させると、V3rとV5rの差の絶対値が変化し、その結果、E4も変化する。図11に示した例のように、印加磁界強度がある強度値のときにV3rとV5rが等しくなる場合、その強度値においてE4はゼロとなる。この場合には、E4の極小値はゼロであり、E4がゼロとなるときの強度値が第1の強度値である。
なお、印加磁界強度を変化させたときに、V3rとV5rが等しくなる強度値が存在するとは限らない。V3rとV5rが等しくなる強度値が存在しない場合には、V3rとV5rの差の絶対値が最も小さくなるときに、E4は、ゼロ以外の極小値をとる。この場合も、E4が極小値をとるときの強度値が第1の強度値である。
V3rの磁界強度依存性とV5rの磁界強度依存性は、磁気センサ1の特性によって変化し得る。これは、磁気センサ1の特性によって第1の強度値が変化し得ること意味する。前述のように、磁気センサ1の特性は、例えば、MR素子50の形状を変えることによって変えることが可能である。これを利用して、本実施の形態では、MR素子50の形状、特に自由層51の形状を制御することによって、V3rの磁界強度依存性とV5rの磁界強度依存性を制御して、第1の強度値を制御する。
次に、自由層51の形状を制御することによって、V3rの磁界強度依存性とV5rの磁界強度依存性を制御することができることについて説明する。
始めに、図12ないし図14を参照して、本実施の形態における自由層51の形状の制御の方法について説明する。本実施の形態では、自由層51の形状を、自由層51の第2の面の形状によって規定する。MR素子50は、例えば、MR素子50を構成する複数の層となる複数の膜の積層体を形成した後、所望の形状のエッチングマスクを用いて、積層体をエッチングすることによって作製される。自由層51の第2の面の形状は、エッチングマスクの形状によって規定される。自由層51の第1の面、ならびにMR素子50を構成する自由層51以外の複数の層のそれぞれの上面および下面の形状は、自由層51の第2の面の形状と同一であるか相似形である。
図12は、自由層51の第2の面の形状を説明するための説明図である。図12において、符号51aは、自由層51の第2の面の外縁を示している。なお、図12では、理解を容易にするために、第2の面の外縁51aの形状を、誇張して描いている。また、符号51Cは、自由層51の第2の面の形状を定義するために使用する基準円を示している。基準円51Cは、真円である。
ここで、自由層51の第2の面の面重心を、第2の面の中心と定義する。また、第2の面の外縁51a上の任意の点と第2の面の中心とを結ぶ直線が、X方向(図2参照)に対してなす角度を記号θaで表す。角度θaは、X方向から反時計回り方向に見たときの値で表す。角度θaの範囲は、0°以上360°未満である。また、第2の面の中心から、第2の面の外縁51a上の任意の点までの距離をR(θa)と定義する。
本実施の形態では、第1の強度値と第2の強度値の差が第1の強度値の20%以下になるように、決められた第2の強度値に合わせて第1の強度値を制御する場合には、MR素子50の作製段階で、第2の面の形状を制御する。決められた第2の強度値に対して、第1の強度値と第2の強度値の差が第1の強度値の20%以下になるならば、第2の面の外縁51aの形状は真円であってもよい。
第2の面の外縁51aの形状を真円にすると、決められた第2の強度値に対して、第1の強度値と第2の強度値の差が第1の強度値の20%以下にならない場合には、本実施の形態では、第2の面の形状を以下のように制御する。すなわち、本実施の形態では、第2の面の形状を、5回以上の回転対称とはならない4回対称の回転対称形状にすると共に、後で説明する歪み比率と歪み方向を制御する。5回以上の回転対称とはならない4回対称の回転対称形状は、nを2以上の整数としたときに、4×n回の回転対称となる形状を含まない。以下、5回以上の回転対称とはならない4回対称の回転対称形状を、4回対称形状と言う。
第2の面の形状が4回対称形状である場合には、角度θaを0°以上360°未満の範囲内で変化させると、R(θa)は、角度θaが90°ずつ異なる4つの値のときに最大値をとり、角度θaが90°ずつ異なる他の4つの値のときに最小値をとるように変化する。
ここで、R(θa)の最大値とR(θa)の最小値の平均値を基準円51Cの半径Rcとして、基準円51Cを定義する。基準円51Cの中心は、第2の面の中心と一致している。また、R(θa)の最大値から基準円51Cの半径Rcを引いた値を歪み長dと定義する。また、Rcに対する歪み長dの比率を百分率で表したものを歪み比率drと定義し、Rcに対するR(θa)の比率を百分率で表したものをr(θa)と定義する。また、角度θaが0°以上90°未満の範囲内でR(θa)が最大値をとるときの角度θaを、歪み方向αと定義する。本実施の形態では、r(θa)は、例えば次の式(3)で表される。
r(θa)=100+dr・cos(4(θa−α)) …(3)
図13は、角度θaとr(θa)の関係の一例を示している。この例では、歪み比率drは1%であり、歪み方向αは0°である。
図14は、角度θaとr(θa)が図13に示した関係を有する場合について、角度θaが0°から90°の範囲における基準円51Cと第2の面の外縁51aのそれぞれの一部を示している。図14において、横軸はX方向の位置を示し、縦軸はY方向の位置を示している。このX方向の位置とY方向の位置は、基準円51Cの中心を原点として、基準円51Cの半径Rcを100としたときの相対値で表されている。
本実施の形態において、第1の強度値を調整するための歪み比率drの調整範囲は、0〜10%であることが好ましい。もし第2の面の外縁51aの形状を正方形にすると、歪み比率drは10%を超える。本実施の形態では、第2の面の外縁51aの形状は、正方形を含まない。なお、第2の面の外縁51aの形状が真円である場合に比べて、第1の強度値を10mT程度変化させるのに要する歪み比率drは、せいぜい1%程度である。歪み比率drを1%程度としたときの第2の面の外縁51aの形状は、図12に示したように真円から大きく歪んだものではなく、図14に示したように真円に近いものとなる。
次に、実験の結果を参照して、自由層51の第2の面の形状を変えることによって、V3r,V5r,E4のそれぞれの磁界強度依存性を変えることができることについて説明する。実験では、自由層51の第2の面の形状を、第1ないし第3の形状の3通りに変えて、V3r,V5r,E4のそれぞれの磁界強度依存性を調べた。図15は、自由層51の第2の面の形状を変えたときのV3r,V5rのそれぞれの磁界強度依存性の変化を示す特性図である。図16は、自由層51の第2の面の形状を変えたときのE4の磁界強度依存性の変化を示す特性図である。
自由層51の第2の面の形状は、歪み比率drと歪み方向αで規定される。第2の面の第1の形状は、drがゼロである形状である。第2の面の第2の形状は、drがゼロより大きいある値dx%であり、αが0°である形状である。第2の面の第3の形状は、drがdx%であり、αが45°である形状である。図15では、第1の形状に対応するV3r,V5rをV3r(dr=0),V5r(dr=0)と表記し、第2の形状に対応するV3r,V5rをV3r(dr=dx%,α=0°),V5r(dr=dx%,α=0°)と表記し、第3の形状に対応するV3r,V5rをV3r(dr=dx%,α=45°),V5r(dr=dx%,α=45°)と表記している。また、図16では、第1の形状に対応するE4をE4(dr=0)と表記し、第2の形状に対応するE4をE4(dr=dx%,α=0°)と表記し、第3の形状に対応するE4をE4(dr=dx%,α=45°)と表記している。
なお、図15および図16は、歪み比率drと歪み方向αの少なくとも一方を変えたときのV3r,V5r,E4の磁界強度依存性の変化の仕方の傾向を説明するために示した一例である。図15および図16は、dxが0.5の場合の例を示している。図15および図16には示していないが、αを一定にしてdxを変化させると、dxが大きくなるほど、以下で説明する傾向のV3r,V5r,E4の磁界強度依存性の変化が顕著に現れ、dxが小さくなるほど、V3r,V5r,E4の磁界強度依存性は、それぞれdrがゼロである場合におけるV3r,V5r,E4の磁界強度依存性に近づく。
図15から、V3r,V5rの磁界強度依存性の変化の仕方の傾向として、以下のようなことが分かる。まず、歪み比率drをゼロより大きい値にすると、歪み比率drがゼロである場合に比べて、V3rの磁界強度依存性とV5rの磁界強度依存性が変化する。また、V3rの磁界強度依存性とV5rの磁界強度依存性は、歪み方向αによっても変化する。また、歪み比率drと歪み方向αの少なくとも一方を変えたときのV3rの磁界強度依存性の変化の仕方とV5rの磁界強度依存性の変化の仕方は、互いに異なる。図15に示した例では、drがゼロである場合に比べて、drをdx%、αを0°にすると、V3rの磁界強度依存性は、V3rが増加するように変化するのに対し、V5rの磁界強度依存性は、V5rが減少するように変化する。また、drがゼロである場合に比べて、drをdx%、αを45°にすると、V3rの磁界強度依存性は、V3rが減少するように変化するのに対し、V5rの磁界強度依存性は、V5rが増加するように変化する。
上述のように、歪み比率drと歪み方向αの少なくとも一方を変えたときのV3rの磁界強度依存性の変化の仕方とV5rの磁界強度依存性の変化の仕方が互いに異なることにより、歪み比率drと歪み方向αの少なくとも一方を変えることによって、E4の磁界強度依存性を変えることができる。図16に示した例では、drがゼロである場合に比べて、drをdx%、αを0°にすると、E4の磁界強度依存性は、第1の強度値が小さくなるように変化する。また、drがゼロである場合に比べて、drをdx%、αを45°にすると、E4の磁界強度依存性は、第1の強度値が大きくなるように変化する。
このように、歪み比率drと歪み方向αの少なくとも一方を変えることによって、第1の強度値を変えることができる。これを利用して、本実施の形態によれば、第2の強度値が決められている場合に、第1の強度値を調整して、第1の強度値と第2の強度値の差が第1の強度値の20%以下になるようにすることができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、磁気センサシステムの使用時において、第1の強度値と第2の強度値の差が第1の強度値の20%以下になるようにしたことにより、角度誤差の磁界強度依存を考慮して、実際の使用状態に即して検出角度の誤差を効果的に低減することが可能になる。
角度誤差4次成分の絶対値の最大値E4は、小さいほどよく、具体的には、0.1°以下であることが好ましく、0.05°以下であることがより好ましい。図16から分かるように、第1の強度値と第2の強度値の差を第1の強度値の20%以下にすることにより、E4を0.1°以下にすることができる。前出の式(2)から、V3rとV5rの差の絶対値を0.18%以下にすることにより、E4は0.1°以下になる。そのため、V3rとV5rの差の絶対値は0.18%以下であることが好ましい。
また、図16からわかるように、第1の強度値と第2の強度値の差を第1の強度値の10%以下にすることにより、E4を0.05°以下にすることができる。式(2)から、V3rとV5rの差の絶対値を0.09%以下にすることにより、E4は0.05°以下になる。そのため、V3rとV5rの差の絶対値は0.09%以下であることがより好ましい。
ところで、磁気センサは、自動車等、磁気センサの周囲の温度が大きく変化する環境で使用される場合がある。このように場合において、従来の磁気センサでは、磁気センサの温度の上昇に伴って角度誤差が大きくなり、磁気センサの温度変化に伴う角度誤差の変動幅が大きいという問題が発生することがあった。本願の発明者は、自由層51の形状を制御することによって、磁気センサ1の温度変化に伴う角度誤差の変動幅を抑制する方法を見出した。以下、その方法について、実験の結果を参照して説明する。
実験では、比較例の磁気センサシステムと実施例の磁気センサシステムについて、磁気センサ1の磁界検出部3の温度を変化させたときのV3r,V5r,E4のそれぞれの変化の仕方(以下、温度依存性と言う。)を調べた。実験では、磁気センサシステムの使用時における磁界検出部3の温度変化範囲を20℃〜120℃と想定して、磁界検出部3の温度を20℃から120℃まで変化させた。また、印加磁界強度は40mTとした。
図17は、比較例の磁気センサシステムにおけるV3r,V5r,E4のそれぞれの温度依存性を示す特性図である。図18は、実施例の磁気センサシステムにおけるV3r,V5r,E4のそれぞれの温度依存性を示す特性図である。図17および図18において、横軸は磁気センサ1の磁界検出部3の温度を示し、縦軸はV3r,V5r,E4の各値を示している。
比較例の磁気センサシステムでは、自由層51の第2の面の形状は、歪み比率drがゼロである形状である。図17に示したように、一般的に、V5rは、磁界検出部3の温度が変化しても変化しないが、V3rは、磁界検出部3の温度の上昇に伴って大きくなる。比較例では、磁界検出部3の温度が20℃のときに、V3rがV5rよりも大きい。この場合、磁界検出部3の温度が20℃から120℃まで上昇する過程で、V3rとV5rの差の絶対値およびE4は、大きくなり続ける。これにより、磁気センサの温度変化に伴う角度誤差の変動幅が大きくなる。
実施例の磁気センサシステムでは、自由層51の第2の面の形状を4回対称形状とすることにより、磁界検出部3の温度が20℃のときにおけるV3rをV5rよりも小さくしている。また、磁界検出部3の温度が20℃〜120℃の範囲内であるときにおいて、V3rとV5rの差の絶対値は、0.18%以下、特に0.09%以下である。図18に示したように、実施例では、磁界検出部3の温度が20℃から120℃まで上昇する過程で、V3rが増加することによって、V3rとV5rの大小関係が逆転する。これにより、実施例では、磁界検出部3の温度が20℃から120℃まで上昇する過程で、V3rとV5rの差の絶対値およびE4は、始めに減少して、一旦ゼロになった後に増加する。そのため、実施例では、比較例に比べて、20℃から120℃の磁界検出部3の温度範囲において、E4が全体的に小さくなっていると共に、E4の変動幅が小さくなっている。
図17および図18に示した結果から理解されるように、自由層51の形状を制御することによって、磁界検出部3の温度が、想定される磁界検出部3の温度変化範囲の下限の温度である20℃のときにおいて、V3rがV5rよりも小さくなるようにし、且つ想定される磁界検出部3の温度変化範囲の全域において、V3rとV5rの差の絶対値が本実施の形態における要件を満たすようにすることにより、磁気センサ1の温度変化に伴う角度誤差の変動幅を抑制することが可能になる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、自由層51の第2の面の形状を4回対称形状とする場合、第2の面の外縁51aの形状は、r(θa)が式(3)で表される形状に限らない。例えば、第2の面の外縁51aの形状は、r(θa)が三角波形状に変化する形状であってもよい。
1…磁気センサ、2…磁界発生部、3…磁界検出部、10,20…検出回路、14,24…ブリッジ回路、30…演算部、50…MR素子、51…自由層、52…非磁性層、53…固定層。
Claims (11)
- 被検出磁界を発生する磁界発生部と、
基準位置における前記被検出磁界の方向が基準方向に対してなす角度と対応関係を有する角度検出値を生成する磁気センサとを備えた磁気センサシステムであって、
前記磁気センサは、磁界検出部と演算部とを備え、
前記磁界検出部は、前記被検出磁界を検出する複数の磁気検出素子を含み、前記被検出磁界の方向が第1の方向に対してなす角度と対応関係を有する第1の信号と前記被検出磁界の方向が第2の方向に対してなす角度と対応関係を有する第2の信号とを出力し、
前記演算部は、前記第1および第2の信号に基づいて前記角度検出値を算出し、
前記被検出磁界の方向が所定の周期で回転する場合、前記角度検出値は、前記所定の周期の1/4の周期で変化する角度誤差成分を含み、
前記磁気センサは、前記磁界検出部における前記被検出磁界の強度を変化させると、前記角度誤差成分の絶対値の最大値が、前記磁界検出部における前記被検出磁界の強度が第1の強度値のときに極小値をとるように変化する特性を有し、
前記磁気センサシステムの使用時において、前記磁界検出部における前記被検出磁界の実際の強度を第2の強度値としたとき、前記第1の強度値と前記第2の強度値の差が前記第1の強度値の20%以下であることを特徴とする磁気センサシステム。 - 前記角度誤差成分の絶対値の最大値は、0.1°以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気センサシステム。
- 前記被検出磁界の方向が前記所定の周期で回転する場合、前記第1の信号は、理想的な正弦曲線を描くように周期的に変化する第1の理想成分と、前記第1の理想成分に対する第3高調波に相当する誤差成分である第1の第3高調波成分と、前記第1の理想成分に対する第5高調波に相当する誤差成分である第1の第5高調波成分とを含み、前記第2の信号は、理想的な正弦曲線を描くように周期的に変化する第2の理想成分と、前記第2の理想成分に対する第3高調波に相当する誤差成分である第2の第3高調波成分と、前記第2の理想成分に対する第5高調波に相当する誤差成分である第2の第5高調波成分とを含み、
前記第1の理想成分が最大値をとるときの前記第1の理想成分に対する前記第1の第3高調波成分の比率を第1の比率とし、前記第1の理想成分が最大値をとるときの前記第1の理想成分に対する前記第1の第5高調波成分の比率を第2の比率とし、前記第2の理想成分が最大値をとるときの前記第2の理想成分に対する前記第2の第3高調波成分の比率を第3の比率とし、前記第2の理想成分が最大値をとるときの前記第2の理想成分に対する前記第2の第5高調波成分の比率を第4の比率としたときに、前記第1の比率と前記第3の比率の平均値と前記第2の比率と前記第4の比率の平均値との差の絶対値が0.18%以下であることを特徴とする請求項2記載の磁気センサシステム。 - 前記磁界検出部の温度が20℃のときにおいて、前記第1の比率と前記第3の比率の平均値は、前記第2の比率と前記第4の比率の平均値よりも小さいことを特徴とする請求項3記載の磁気センサシステム。
- 前記第1の強度値と前記第2の強度値の差は、前記第1の強度値の10%以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気センサシステム。
- 前記角度誤差成分の絶対値の最大値は、0.05°以下であることを特徴とする請求項5記載の磁気センサシステム。
- 前記被検出磁界の方向が前記所定の周期で回転する場合、前記第1の信号は、理想的な正弦曲線を描くように周期的に変化する第1の理想成分と、前記第1の理想成分に対する第3高調波に相当する誤差成分である第1の第3高調波成分と、前記第1の理想成分に対する第5高調波に相当する誤差成分である第1の第5高調波成分とを含み、前記第2の信号は、理想的な正弦曲線を描くように周期的に変化する第2の理想成分と、前記第2の理想成分に対する第3高調波に相当する誤差成分である第2の第3高調波成分と、前記第2の理想成分に対する第5高調波に相当する誤差成分である第2の第5高調波成分とを含み、
前記第1の理想成分が最大値をとるときの前記第1の理想成分に対する前記第1の第3高調波成分の比率を第1の比率とし、前記第1の理想成分が最大値をとるときの前記第1の理想成分に対する前記第1の第5高調波成分の比率を第2の比率とし、前記第2の理想成分が最大値をとるときの前記第2の理想成分に対する前記第2の第3高調波成分の比率を第3の比率とし、前記第2の理想成分が最大値をとるときの前記第2の理想成分に対する前記第2の第5高調波成分の比率を第4の比率としたときに、前記第1の比率と前記第3の比率の平均値と前記第2の比率と前記第4の比率の平均値との差の絶対値が0.09%以下であることを特徴とする請求項6記載の磁気センサシステム。 - 前記磁界検出部の温度が20℃のときにおいて、前記第1の比率と前記第3の比率の平均値は、前記第2の比率と前記第4の比率の平均値よりも小さいことを特徴とする請求項7記載の磁気センサシステム。
- 前記第2の方向は、前記第1の方向に直交していることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の磁気センサシステム。
- 前記複数の磁気検出素子の各々は、磁化方向が固定された磁化固定層と、前記被検出磁界の方向に応じて磁化の方向が変化する自由層と、前記磁化固定層と自由層の間に配置された非磁性層とを有する磁気抵抗効果素子を含むことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の磁気センサシステム。
- 前記自由層は、前記非磁性層に接する第1の面と、その反対側の第2の面とを有し、前記第2の面は、5回以上の回転対称とはならない4回対称の回転対称形状を有していることを特徴とする請求項10記載の磁気センサシステム。
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