JP6065998B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
本発明は、電流指令値に基づいてインバータにより3相モータをPWM制御すると共に、3相モータの電流を検出してフィードバックすることにより操舵系をアシスト制御するようになっている電動パワーステアリング装置に関し、特にインバータの下流3シャントに基づく3相電流検出値により3シャントPWM制御を行う3シャント制御機能と、下流1シャントに基づく3相電流検出値により1シャントPWM制御を行う1シャント制御機能とを有し、電流検出回路系の異常が検出されたときに、3シャント制御機能から1シャント制御機能に切替える機能を備えた、信頼性の高い電動パワーステアリング装置に関する。
車両のステアリング機構にモータの回転力で操舵補助力(アシスト力)を付与する電動パワーステアリング装置は、モータの駆動力を減速機構を介してギア又はベルト等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に操舵補助力を付与するようになっている。かかる従来の電動パワーステアリング装置(EPS)は、操舵補助力のトルクを正確に発生させるため、モータ電流のフィードバック制御を行っている。フィードバック制御は、操舵補助指令値(電流指令値)とモータ電流検出値との差が小さくなるようにモータ印加電圧を調整するものであり、モータ印加電圧の調整は、一般的にPWM(パルス幅変調)制御のデューティの調整で行っている。
電動パワーステアリング装置の一般的な構成を図1に示して説明すると、ハンドル1のコラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)2は減速ギア3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5、タイロッド6a,6bを経て、更にハブユニット7a,7bを介して操向車輪8L,8Rに連結されている。また、コラム軸2には、ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ10及び操舵角θを検出する舵角センサ14が設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。電動パワーステアリング装置を制御するコントロールユニット(ECU)30には、バッテリ13から電力が供給されると共に、イグニションキー11を経てイグニションキー信号が入力される。コントロールユニット30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThと車速センサ12で検出された車速Velとに基づいてアシスト(操舵補助)指令の電流指令値の演算を行い、電流指令値に補償等を施した電圧制御指令値Vrefによってモータ20に供給する電流を制御する。舵角センサ14は必須のものではなく、配設されていなくても良い。
コントロールユニット30には、車両の各種情報を授受するCAN(Controller Area Network)50が接続されており、車速VelはCAN50から受信することも可能である。また、コントロールユニット30には、CAN50以外の通信、アナログ/ディジタル信号、電波等を授受する非CAN51も接続されている。
コントロールユニット30は主としてMCU(MPU等も含む)で構成されるが、そのMCU内部においてプログラムで実行される一般的な機能を示すと図2のようになる。
図2を参照してコントロールユニット30の機能及び動作を説明すると、トルクセンサ10で検出された操舵トルクTh及び車速センサ12で検出された(若しくはCAN50からの)車速Velは、電流指令値Iref1を演算する電流指令値演算部31に入力される。電流指令値演算部31は、入力された操舵トルクTh及び車速Velに基づいてアシストマップ等を用いて、モータ20に供給する電流の制御目標値である電流指令値Iref1を演算する。電流指令値Iref1は加算部32Aを経て電流制限部33に入力され、最大電流を制限された電流指令値Irefmが減算部32Bに入力され、フィードバックされているモータ電流値Imとの偏差I(Irefm−Im)が演算され、その偏差Iが操舵動作の特性改善のためのPI制御部35に入力される。PI制御部35で特性改善された電圧制御指令値VrefがPWM制御部36に入力され、更に駆動部としてのインバータ37を介してモータ20がPWM駆動される。モータ20の電流値Imはモータ電流検出器38で検出され、減算部32Bにフィードバックされる。インバータ回路37は駆動素子としてFETが用いられ、FETのブリッジ回路で構成されている。
また、加算部32Aには補償信号生成部34からの補償信号CMが加算されており、補償信号CMの加算によって操舵システム系の特性補償を行い、収れん性や慣性特性等を改善するようになっている。補償信号生成部34は、セルフアライニングトルク(SAT)343と慣性342を加算部344で加算し、その加算結果に更に収れん性341を加算部345で加算し、加算部345の加算結果を補償信号CMとしている。
モータ20が3相ブラシレスモータの場合、PWM制御部36及びインバータ37の詳細は例えば図3に示すような構成となっており、PWM制御部36は、電圧制御指令値Vrefを所定式に従って、PWMキャリアに同期して3相分のPWMデューティ値D1〜D6を演算するデューティ演算部36Aと、PWMデューティ値D1〜D6で駆動素子としてのFETのゲートを駆動すると共に、デッドタイムの補償をしてON/OFFするゲート駆動部36Bとで構成されている。また、インバータ37は、U相の上段FET1及び下段FET4で成る上下アームと、V相の上段FET2及び下段FET5で成る上下アームと、W相の上段FET3及び下段FET6で成る上下アームとで成る3相ブリッジで構成されており、PWMデューティ値D1〜D6でON/OFFされることによってモータ20を駆動する。
このような電動パワーステアリング装置では、モータ20の各相電流を検出してフィードバックする必要があるが、コントロールユニットのコンパクト化、軽量化、コストダウンの要求項目の1つとして、電流検出回路の単一化(1シャント式電流検出回路)がる。電流検出回路の単一化として1シャント式電流検出回路が知られており、例えば特開2009−131064号公報(特許文献1)やWO 2013/077241(特許文献2)に開示されている。
一方で、電動パワーステアリング装置では、コストアップを生じてでも装置の信頼性を高めると共にフェールセーフや安定性のために、多重系が要求される車種もある。モータの各相電流を検出する電流検出系においても同様である。
特許文献1及び2に記載の制御装置は、FETブリッジの底部(GND)と接地との間にシャント抵抗を備えた単一の電流検出手段を用いて、制御周期毎に精度良く各相の電流値を検出することができる。しかし、いずれも各アーム電流検出器を持たず、信頼性や安定性が要求される多重系に対応できない問題がある。また、特開2007−112416号公報(特許文献3)にも単一の電流センサによって、3相のモータ電流を検出することが開示されている。しかしながら、特許文献3に開示された操舵装置も各アーム電流検出器を持たず、常に1シャント電流制御を実行している。
また、3シャント電流検出方式の場合、検出電流の3相和による異常検出手段が広く用いられているが、どの相が異常であるかを判定できない。そのため、電動パワーステアリング装置の場合、異常が検出されたときにアシスト制御を停止するなどの処置がとられ、運転者に負担がかかるという問題があった。
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、装置の信頼性を高めると共に安定性を図った3シャントPWM制御を行う3シャント制御機能と、3シャント制御機能が損なわれたときにもアシスト制御を継続できるように、1シャントPWM制御を行う1シャント制御機能を具備した高機能な電動パワーステアリング装置を提供することにある。
本発明は、少なくとも操舵トルクに基づいて電流指令値を演算し、前記電流指令値に基づいて、U相アーム、V相アーム及びW相アームで成るインバータにより3相モータをPWM制御すると共に、前記3相モータの電流を検出してフィードバックすることにより操舵系をアシスト制御するようになっている電動パワーステアリング装置に関し、本発明の上記目的は、前記インバータの下流3シャントに基づく3相電流検出値Iu、Iv、Iwにより3シャントPWM制御を行う3シャント制御機能と、前記インバータの下流1シャントに基づく3相電流検出値Iu’、Iv’、Iw’により1シャントPWM制御を行う1シャント制御機能と、前記3シャント制御機能と前記1シャント制御機能を切替える切替機能と、を具備し、|Iu+Iv+Iw|<閾値Aである場合には正常として前記3シャントPWM制御を行い、|Iu+Iv+Iw|≧閾値Aである場合は異常として前記切替機能により、前記3シャントPWM制御から前記1シャントPWM制御に切替えることにより達成される。
本発明の上記目的は、前記3シャントPWM制御から前記1シャントPWM制御に切替えられたときに、|Iu−Iu’|<閾値BならばU相アーム電流検出系は正常、|Iv−Iv’|<閾値BならばV相アーム電流検出系は正常、|Iw−Iw’|<閾値BならばW相アーム電流検出系は正常の判定を実施する正常判定と、|Iu−Iu’|≧閾値BならばU相アーム電流検出系は異常、|Iv−Iv’|≧閾値BならばV相アーム電流検出系は異常、|Iw−Iw’|≧閾値BならばW相アーム電流検出系は異常の判定を実施する異常判定とを行い、前記正常判定と前記異常判定により、異常相が無いと判定された場合に、前記切替機能により前記1シャントPWM制御から前記3シャントPWMに切替えることにより、或いは前記異常判定により異常相有りと判定され、異常相数が1相のみの場合には前記1シャントPWM制御を継続し、異常相数が2以上の場合にはアシスト制御停止とすることにより、より効果的に達成される。
本発明に係る電動パワーステアリング装置によれば、インバータの下流3シャントに基づく3相電流検出値により3シャントPWM制御を行う3シャント制御機能と、インバータの下流1シャントに基づく3相電流検出値により1シャントPWM制御を行う1シャント制御機能とを具備し、3相電流の電流検出回路系の異常(故障を含む)を検出したときに、3シャント制御機能から1シャント制御機能に切替えるようになっている。このため、コストアップになるにも拘わらず、それ以上の効果として装置の信頼性を高めると共に安定性を図ることができ、アシスト制御の継続機能においても優れている。
また、電動パワーステアリング装置の場合、異常(故障を含む)を検出したとき、アシスト制御を停止するか、フィードバック制御からオープンループ制御に切替えることでアシスト制御を継続していたため、運転者の操舵操作の負荷が軽減されないとか、或いは運転者に違和感を与えかねなかった。しかし、本発明に係る電動パワーステアリング装置によれば、電流検出回路系の異常を検出した場合であっても、継続して信頼性の高い操舵アシストを付与できる利点がある。
本発明は、電動パワーステアリング装置の信頼性を高めると共に安定性を図った3シャントPWM制御を行う3シャント制御機能と、3シャント制御機能が損なわれたときにもアシスト制御を継続できるように、1シャントPWM制御を行う1シャント制御機能とを具備し、両機能を所定条件で切替えるようにし、3シャント制御機能特長と1シャント制御機能の特長とを融合し、信頼性の高い操舵性能を実現している。
本発明では、電流検出の信頼性を高めるため、各FETブリッジ下段の3シャント抵抗に加え、インバータ底部と接地(GND)の間に1シャント抵抗を設け、FETブリッジの合成電流を検出できる構成にする。かかる構成で、全ての電流検出回路系が正常と判定された場合は、各アーム電流検出回路の検出電流に従って3相PWM制御を実行する。アーム電流検出回路の異常診断はアーム電流検出値の総和がおよそゼロ付近を示すことから、所定の閾値と比較することによって判定する。アーム電流(3相電流)のいずれかの電流検出回路系に異常が発生したと判定された場合は、1シャントPWM制御に切替え、インバータ底部と接地(GND)の間に接続された1シャント抵抗による検出電流に基づいた電流制御を実行することで、アシスト制御(モータ駆動制御)を継続する。アーム電流検出回路が異常となった場合に、1シャントPWM制御に切替えることでアシスト制御を継続することが可能となる。
また、1シャント電流制御に切替えた後に、1シャント電流検出方式で検出した各アーム電流値と実際にアーム電流検出回路で検出した検出電流値とを比較し、異常なアーム電流検出回路を判別する。異常なアーム電流検出回路の判別後、1シャント電流検出方式による各アームの電流値と、正常なアーム電流検出値とを比較することにより、信頼性の高いアシスト制御(モータ駆動制御)を継続することが可能となる。
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
本発明では、インバータの各アーム下段に3シャント抵抗RSU〜RSWが接続され、これら3シャント抵抗RSU〜RSWに流れる電流により発生するシャント抵抗両端の電圧差(降下電圧)を増幅する3相の電流検出回路と、インバータ37の底部と接地(GND)との間に1シャント抵抗RS1が接続され、そのシャント抵抗RS1に流れる電流により発生するシャント抵抗両端の電圧差(降下電圧)を増幅する1相の電流検出回路とを具備している。3相の電流検出回路及び1相の電流検出回路からの電流検出信号はいずれも電流検出信号処理部100に入力されて処理される。
図4は本発明の構成例を図3に対応させて示しており、インバータ37の3相下流側に3相のシャント抵抗RSU〜RSWが接続され、これらシャント抵抗RSU〜RSWにそれぞれ電流検出回路が接続されている。また、3相のシャント抵抗RSU〜RSWの接地側接続点(インバータ37の底部)と接地(GND)との間に1シャントのシャント抵抗RS1が接続されている。シャント抵抗RS1にも電流検出回路が接続されている。
シャント抵抗RSU、RSV、RSWの各両端部に、流れる電流によって降下する降下電圧を電流値に換算して検出する演算増幅器(差動増幅器)OP1、OP2、OP3がそれぞれ入力抵抗R1,R2と、R3,R4と、R5,R6とを経て接続されている。また、演算増幅器OP1、OP2、OP3にはそれぞれフィードバック抵抗R10、R11,R12が接続され、入力端子にはそれぞれ電源(+2.5V)に接続されたバランス抵抗R7、R8、R9が接続されている。演算増幅器OP1、OP2、OP3と接続抵抗の演算動作によって、シャント抵抗RSU〜RSWを流れる電流Iu,Iv,Iwが検出される。
また、シャント抵抗RS1の両端部に、流れる電流によって降下する降下電圧を電流値に換算して検出する演算増幅器(差動増幅器)OP10が入力抵抗R21,R22を経て接続されおり、演算増幅器OP10にはフィードバック抵抗R24が接続され、入力端子にはそれぞれ電源(+2.5V)に接続されたバランス抵抗R23が接続されている。演算増幅器OP10と接続抵抗の演算動作によって、シャント抵抗RS1を流れる電流が検出される。
各電流検出回路の出力部には、それぞれ抵抗R11及びコンデンサC1、抵抗R13及びコンデンサC2、抵抗R15及びコンデンサC3、抵抗R25及びコンデンサC10で成るLPFが配設されており、各電流検出回路から出力される電流検出信号Iu,Iv,Iw及びIsは各LPFを経て電流検出信号処理部100に入力される。ノイズの除去された電流検出信号Iu,Iv,Iw及びIsが電流検出信号処理部100に入力される。
電流検出信号処理部100は図5に示すような構成(機能)となっており、全体を制御するCPU(又はMCU)110が設けられており、CPU110には、3シャント抵抗RSU〜RSWを流れる電流Iu,Iv,Iw及び1シャント抵抗RS1を流れる電流Isを入力(A/Dを含めて)する入力部111と、電流Iu,Iv,Iwの総和値等の絶対値を求める絶対値部112と、以下に説明する比較を行う比較部113と、モータ相及び電流検出系の異常(故障を含めて)を検出する異常検出部114と、1シャント抵抗RS1を流れる電流Isに基づいて3相電流Iu’、Iv’,Iw’を演算する電流演算部115とが相互に接続されている。
また、CPU110には、後述する閾値A及びB等のパラメータを格納すると共に、演算や処理に必要な記憶機能を有するメモリ101と、3シャント制御機能と1シャント制御機能を切替える切替部120と、異常が検出されたときに、その異常相数を検出する異常相数判定部121と、アシスト制御を停止するための処理を行うアシスト停止部122と、PI制御部、PWM制御部、インバータ等の駆動制御部131を介して、モータ20を駆動制御する電流制御部130とが接続されている。
このような構成において、その動作例を図6のフローチャートを参照して説明する。
本発明は、インバータ37の下流3シャント(シャント抵抗RSU〜RSW)に基づく3相電流検出値Iu,Iv,Iwにより3シャントPWM制御を行う3シャント制御機能と、インバータ37の下流1シャント(シャント抵抗RS1)に基づく3相電流検出値により1シャントPWM制御を行う1シャント制御機能とを具備しているが、通常時は3シャント制御機能の3シャントPWM制御を行う。3シャントPWM制御でインバータ37が駆動されると(ステップS1)、インバータ37の下流側に接続されたシャント抵抗RSU〜RSWに電流が流れるので、各相電流検出回路で電流検出信号Iu,Iv,Iwが検出され、入力部111を経て電流検出信号処理部100に入力される。電流検出信号処理部100内の絶対値部112は、3相電流検出回路の異常を検出するために、入力された電流検出信号Iu,Iv,Iwの総和の絶対値|Iu+Iv+Iw|を求める(ステップS2)。
比較部113は、絶対値部112で求められた電流検出信号Iu,Iv,Iwの総和の絶対値|Iu+Iv+Iw|をメモリ101に予め格納されている閾値A(≒0)と比較し、|Iu+Iv+Iw|<Aであるか否かを判定する(ステップS3)。通常、3相電流和の絶対値|Iu+Iv+Iw|はゼロ付近を示して閾値Aを超えないが、異常の場合はゼロ付近を示さずに閾値Aを超える。従って、比較部113は、下記数1によって異常の有無を判定する。
(数1)
|Iu+Iv+Iw|<Aである場合には正常
|Iu+Iv+Iw|≧Aである場合は異常
正常と判定された場合には、3シャントPWM制御を継続し、シャント抵抗RSU〜RSWにより検出された電流検出信号Iu,Iv,Iwを基に電流制御を実行し、アシスト制御を継続する。
(数1)
|Iu+Iv+Iw|<Aである場合には正常
|Iu+Iv+Iw|≧Aである場合は異常
正常と判定された場合には、3シャントPWM制御を継続し、シャント抵抗RSU〜RSWにより検出された電流検出信号Iu,Iv,Iwを基に電流制御を実行し、アシスト制御を継続する。
また、|Iu+Iv+Iw|≧Aであり、比較部113で異常と判定された場合には、切替部120を介して制御機能を切替え(ステップS10)、3シャント制御機能の3シャントPWM制御から1シャント制御機能の1シャントPWM制御に切替える(ステップS11)。1シャントPWM制御ではシャント抵抗RS1による電流検出回路で検出された電流検出信号Isを入力部110より入力し、特開2009−131064号公報(特許文献1)やWO 2013/077241(特許文献2)に開示されている手法(2相検出・1相推定方式、PWMモードは鋸波PWM)で3相電流Iu’、Iv’、Iw’を検出する。
1シャントPWM制御に切替え後、異常相判定部114は、異常を示すアーム電流検出回路を判定する(ステップS12)。即ち、先ず絶対値部112は、1シャント電流検出方式により検出された電流検出信号Iu’、Iv’、Iw’と3シャント電流検出方式により検出された電流検出信号Iu、Iv、Iwとの差の絶対値を求め、次いで異常相判定部114は、それら絶対値とメモリ101に予め格納されている閾値Bとを比較して正常、異常を判定する。正常判定条件は下記数2であり、異常判定条件は数3である。
(数2)
|Iu−Iu’|<BならばU相アーム電流検出系は正常
|Iv−Iv’|<BならばV相アーム電流検出系は正常
|Iw−Iw’|<BならばW相アーム電流検出系は正常
(数3)
|Iu−Iu’|≧BならばU相アーム電流検出系は異常
|Iv−Iv’|≧BならばV相アーム電流検出系は異常
|Iw−Iw’|≧BならばW相アーム電流検出系は異常
上記数2及び数3によって異常相が無いと判定された場合(ステップS13)、切替部120は制御機能を切替え(ステップS5)、1シャント制御機能の1シャントPWM制御から3シャント制御機能の3シャントPWM制御に切替える。つまり、通常の3相PWM制御に変更し、電流検出信号Iu、Iv、Iwを基に電流制御を実行し、アシスト制御を実行する。
(数2)
|Iu−Iu’|<BならばU相アーム電流検出系は正常
|Iv−Iv’|<BならばV相アーム電流検出系は正常
|Iw−Iw’|<BならばW相アーム電流検出系は正常
(数3)
|Iu−Iu’|≧BならばU相アーム電流検出系は異常
|Iv−Iv’|≧BならばV相アーム電流検出系は異常
|Iw−Iw’|≧BならばW相アーム電流検出系は異常
上記数2及び数3によって異常相が無いと判定された場合(ステップS13)、切替部120は制御機能を切替え(ステップS5)、1シャント制御機能の1シャントPWM制御から3シャント制御機能の3シャントPWM制御に切替える。つまり、通常の3相PWM制御に変更し、電流検出信号Iu、Iv、Iwを基に電流制御を実行し、アシスト制御を実行する。
ここで、上記ステップS13で異常相有りと判断された場合は、異常相数判定部121は異常相の数を判定し(ステップS14)、1相のみの異常である場合は他の2相の電流検出が可能であり(ステップS16)、1シャントPWM制御の電流検出方式にてアシスト制御を継続する(ステップS17)。また、異常相の数が2以上の場合には電流を検出することができないので、アシスト制御停止となる(ステップS20)。
1シャントPWM制御の電流検出方式にてアシスト制御を継続中の場合は、1シャント電流検出回路の異常判定のために正常と判定されたアーム電流検出回路によって検出された電流、U相の電流検出信号Iu及びV相の電流検出信号Ivが正常と判定された場合、1シャント電流検出方式によって得られた電流値Iu’,Iv’を周期的に比較することで、1シャント電流検出回路、U相及びV相のアーム電流検出回路のいずれかが異常となった場合に瞬間に判断でき、信頼性を保ったままアシスト制御を継続することができる。
なお、下流3シャントの電流検出方式では、LowサイドFETがONしているタイミングで、少なくとも2相の電流を同時サンプリングで検出する必要がある。2相の電流を検出できれば、Iu+Iv+Iw=0の関係から残り1相の電流を検出することができる。また、デューティ飽和時(LowサイドFETのON時間が極小)の場合には、Lowサイドのシャント抵抗に電流が流れないことにより、その相の電流検出が不可能になる可能性があるため、デューティ飽和時の検出性を考慮し、3相のうち、モータ回転中に変化するデューティが飽和している相を判断して、デューティが飽和していない少なくとも2相の電流を検出する必要がある。
1 ハンドル
2 コラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)
10 トルクセンサ
12 車速センサ
14 舵角センサ
20 モータ
30 コントロールユニット(ECU)
31 電流指令値演算部
33 電流制限部
34 補償信号生成部
35 PI制御部
36 PWM制御部
37 インバータ
50 CAN
100 電流検出信号処理部
101 メモリ
110 CPU(MCU)
111 入力部
112 絶対値部
113 比較部
114 異常判定部
115 電流演算部
120 切替部
121 異常相数判定部
122 アシスト停止部
130 電流制御部
131 駆動制御部
2 コラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)
10 トルクセンサ
12 車速センサ
14 舵角センサ
20 モータ
30 コントロールユニット(ECU)
31 電流指令値演算部
33 電流制限部
34 補償信号生成部
35 PI制御部
36 PWM制御部
37 インバータ
50 CAN
100 電流検出信号処理部
101 メモリ
110 CPU(MCU)
111 入力部
112 絶対値部
113 比較部
114 異常判定部
115 電流演算部
120 切替部
121 異常相数判定部
122 アシスト停止部
130 電流制御部
131 駆動制御部
Claims (3)
- 少なくとも操舵トルクに基づいて電流指令値を演算し、前記電流指令値に基づいて、U相アーム、V相アーム及びW相アームで成るインバータにより3相モータをPWM制御すると共に、前記3相モータの電流を検出してフィードバックすることにより操舵系をアシスト制御するようになっている電動パワーステアリング装置において、
前記インバータの下流3シャントに基づく3相電流検出値Iu、Iv、Iwにより3シャントPWM制御を行う3シャント制御機能と、
前記インバータの下流1シャントに基づく3相電流検出値Iu’、Iv’、Iw’により1シャントPWM制御を行う1シャント制御機能と、
前記3シャント制御機能と前記1シャント制御機能を切替える切替機能と、
を具備し、
|Iu+Iv+Iw|<閾値Aである場合には正常として前記3シャントPWM制御を行い、|Iu+Iv+Iw|≧閾値Aである場合は異常として前記切替機能により、前記3シャントPWM制御から前記1シャントPWM制御に切替えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記3シャントPWM制御から前記1シャントPWM制御に切替えられたときに、
|Iu−Iu’|<閾値BならばU相アーム電流検出系は正常
|Iv−Iv’|<閾値BならばV相アーム電流検出系は正常
|Iw−Iw’|<閾値BならばW相アーム電流検出系は正常
の判定を実施する正常判定と、
|Iu−Iu’|≧閾値BならばU相アーム電流検出系は異常
|Iv−Iv’|≧閾値BならばV相アーム電流検出系は異常
|Iw−Iw’|≧閾値BならばW相アーム電流検出系は異常
の判定を実施する異常判定とを行い、
前記正常判定と前記異常判定により、異常相が無いと判定された場合に、前記切替機能により前記1シャントPWM制御から前記3シャントPWMに切替える請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記異常判定により異常相有りと判定され、異常相数が1相のみの場合には前記1シャントPWM制御を継続し、異常相数が2以上の場合にはアシスト制御停止とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016029791A JP6065998B2 (ja) | 2016-02-19 | 2016-02-19 | 電動パワーステアリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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