JP6065273B2 - 単独運転検出装置、及び検出方法 - Google Patents
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Description
分散型電源が連系している電力系統において事故や停電等の問題が発生した場合には、人身や設備に対する安全性の観点から分散型電源を当該電力系統から切り離す(解列する)必要がある。
ところで、注入する無効電力の程度に応じた偏差の上昇又は下降の度合の変化は1パターンではなく多数のパターンがある。
単独運転の判定においては、偏差の上昇又は下降の度合に沿った閾値を用いなければならないが、予め記憶している閾値を用いた判定方法において、偏差の上昇又は下降の度合に沿った閾値が予め記憶されていない場合には、判定が有効にできない可能性がある。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
1.1 構成
図1は、本実施の形態に係る分散型電源システムの構成を示す図である。
分散型電源システムは、図1に示すように、分散型電源10及びパワーコンディショナ(PCS)20を備えている。
PCS20は、端子Ta、Tbを有している。分散型電源10は、端子Taと、電力系統30及び負荷40は、端子Tbと、それぞれ接続されている。PCS20は、電力系統30に連系した形態で使用され、分散型電源10が発電した電力を電力系統30及び負荷40へ出力する。
負荷40は、電力系統30に接続された家庭内、商業施設、又は工場内に存在する電気機器である。
PCS20は、図1に示すように、DC/ACインバータ21、連系リレー22及び単独運転検出装置23を備える。
連系リレー22は、DC/ACインバータ21と端子Tbとを繋ぐラインに挿入されている。連系リレー22は、通常閉じて、分散型電源10と電力系統30とを接続している。連系リレー22は、単独運転検出装置23から解列信号を受けるとずっと開いて、分散型電源10を電力系統30から解列する。
単独運転検出装置23は、図1に示すように、計測部101、無効電力算出部102、注入部103、周波数閾値算出部104及び判定部105から構成されている。
また、単独運転検出装置23は、プロセッサ及びメモリ(図示せず)を含んで構成されており、無効電力算出部102、周波数閾値算出部104及び判定部105それぞれの機能は、メモリに記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。
計測部101は、電力系統30の電圧、電圧波形の周波数(周期)、及び電力系統30に流れる電流値を、例えば5ミリ秒毎に計測するものであり、例えば周波数計測回路である。
計測部101は、電圧の計測において、電圧の立ち下がりと立ち上がりとの中間値と、次の立ち下がりと立ち上がりとの中間値との時間差を電圧波形の周期として計測し、計測した周期から周波数を算出し、その結果を無効電力算出部102へ出力する。なお、以下において、計測部101で計測された周期を系統周期といい、算出された周波数を系統周波数という。また、以下において、系統周波数を計測するとは、系統周期を計測し、計測した系統周期から系統周波数を算出することをいう。
(2)無効電力算出部102
無効電力算出部102は、計測部101で系統周波数が計測される度に、計測された直近の系統周波数と、直近の計測よりも過去に計測された系統周波数とを用いて得られる周波数偏差に基づいて、電力系統30へ注入すべき無効電力を算出するものである。
無効電力算出部102は、図2に示すように、計測部101で計測された直近の系統周波数f[1]から連続する系統周波数f[2]、f[3]、f[4]の4個の系統周波数(f[1]、f[2]、f[3]、f[4])を用いて、これら系統周波数の平均値(Fnew_ave)を算出する。また、無効電力算出部102は、図2に示すように、計測部101で計測された直近の系統周波数f[1]から200ミリ秒過去に計測された系統周波数f[n−9]から連続する計10個の系統周波数(f[n]、f[n−1]、・・・、f[n−9])を用いて、これら系統周波数の平均値(Fold_ave)を算出する。
無効電力算出部102は、図3に示す周波数偏差と無効電力との関係(無効電力特性)に基づいて、算出した周波数偏差(ΔF)に対応し、注入すべき無効電力Qを算出し、算出した無効電力を注入部103及び周波数閾値算出部104へ出力する。
ここで、無効電力特性とは、周波数偏差の絶対値が小さいときには、周波数偏差に対応する無効電力は小さく、周波数偏差の絶対値が大きいときには、周波数偏差に対応する無効電力は大きくなるという特性である。無効電力特性は、ある値を境に周波数偏差と無効電力との関係を示す演算式が異なる。本実施の形態では、その値の絶対値を値“a”とし、“−a”より大きく“a”より小さい範囲を1段目ゲインといい、“−a”以下の範囲及び“a”以上の範囲を2段目ゲインという。
(3)注入部103
注入部103は、電力系統30に電力変動を起こさせるために、無効電力算出部102で算出された無効電力を、電力系統30に注入するものであり、例えばPWM(Pulse Width Modulation)駆動回路である。
(4)周波数閾値算出部104
周波数閾値算出部104は、分散型電源10が単独運転しているか否かを判定する基準となる周波数閾値Fcompを、計測部101で系統周波数が計測される度に算出するものである。周波数閾値算出部104は、算出した周波数閾値Fcompを、判定部105へ出力する。
周波数閾値算出部104は、無効電力算出部102から取得した無効電力Qと、計測部101から出力された電圧値V及び電流値Iとから、電力系統の電圧の位相θを算出する。具体的には、図4に示すように、無効電力Qと、皮相電力S(=V×I)との関係は、sinθ=Q/Sで表される。この関係式から、周波数閾値算出部104は、θ(=asin(Q/S))を算出する。この場合のθの単位は、ラジアン(rad)である。
周波数閾値算出部104は、角度Xから時間ΔT[ms](=Tconst×X/360)を算出する。ここで、Tconstは、通常の電圧周波数(例えば60Hz又は50Hz)の周期である。周波数閾値算出部104は、算出したΔTを無効電力が注入された際に生じる系統周期の増減値とみなして、ΔTと、周期Tconstとの差分からなる値Tx(=Tconst−ΔT)を算出する。
さらに、周波数閾値算出部104は、算出したΔfxに係数(1/m)を乗算することで、周波数変化期待値Δf(=Δfx/m)を算出する。
なお、係数(1/m)は、電力を消費する負荷40によって異なる値であり、例えば設計時に定められるものである。具体的には、設計時において、想定される負荷をPCS20に接続して、単独運転時の周波数変化についての実験を行う。通常、無効電力の注入量を変化させることに対して、周波数変化量は接続される負荷に依存している。そのため、無効電力の注入する量を同一のものとしても、接続される負荷によっては、周波数変化量が大きい場合もあれば、小さい場合もある。そこで、実験において、接続される負荷の種別及び個数を変化させて、ある無効電力の量において得られる周波数変化が最小となる系統周波数を基準として係数を設定する。
判定部105は、計測部101で繰り返し計測された系統周波数と、計測部101で系統周波数が繰り返し計測される度に周波数閾値算出部104で算出された周波数閾値とを用いて、分散型電源10が単独運転を行っているか否かを判定するものである。
判定部105は、無効電力算出部102で算出された周波数偏差(ΔF)が、図3に示す1段目ゲインの範囲外、つまり周波数偏差が2段目ゲインの範囲内である場合には、分散型電源10が単独運転を行っているか否かを判定する。逆に言うと、判定部105は、周波数偏差が1段目ゲインの範囲内、つまりは周波数偏差の絶対値が値“a”より小さい場合には分散型電源10が単独運転を行っているか否かの判定は行わない。
判定部105は、周波数偏差が値“a”以上である場合には、周波数上昇判定を、周波数偏差が値“−a”以下である場合には、周波数下降判定を用いた単独運転の判定を行う。
ここでは、単独運転検出装置23の動作について、図5に示す流れ図を用いて説明する。
単独運転検出装置23の判定部105は、カウンタnの値を初期化(n=0)する(ステップS5)。
無効電力算出部102は、ステップS10で計測された直近の系統周波数と、当該計測より過去に計測された系統周波数とから周波数偏差を算出する(ステップS15)。具体的には、上述したように、ステップS10で計測された系統周波数を含む直近に計測された4個の連続する系統周波数の平均値(Fnew_ave)と、ステップS10で計測された系統周波数よりも200ミリ秒以前に計測された10個の連続する系統周波数の平均値(Fold_ave)とを算出し、算出したFnew_aveとFold_aveとから周波数偏差ΔF(=Fold_ave − Fnew_ave)する(図2参照)。
周波数閾値算出部104は、ステップS20で算出された無効電力Qが注入されたことにより得られるべき系統周波数に対する周波数閾値Δfを算出する(ステップS25)。具体的には、周波数閾値算出部104は、ステップS20で算出された無効電力Qと、計測部101で計測された電圧値V及び電流値Iとから、電力系統の電圧の位相θを算出する。周波数閾値算出部104は、算出した位相θ、通常の電圧周波数の周期Tconst及び通常の電圧周波数fconst等を用いて、上述した算出手順で、周波数変化期待値Δfを算出する。周波数閾値算出部104は、算出した周波数変化期待値Δfを無効電力算出部102で算出されたFold_aveに加算することで周波数閾値Fcompを算出する。
判定部105は、ステップS15で算出された周波数偏差が所定範囲内であるか否かを判断する(ステップS35)。
ステップS15で算出された周波数偏差が所定範囲内であると判断する場合には(ステップS35における「Yes」)、判定部105は、分散型電源10が単独運転を行っているとみなすか否かを判定する(ステップS40)。具体的には、判定部105は、ステップS15で算出された周波数偏差が値“a”以上である場合には、ステップS30で計測された系統周波数に応じた周波数がステップS25で算出された周波数閾値を上回っているか否かの判定を行い、上回っていると判定する場合に単独運転を行っているとみなす。また、判定部105は、ステップS15で算出された周波数偏差が値“−a”以下である場合には、ステップS30で計測された系統周波数に応じた周波数がステップS25で算出された周波数閾値を下回っているか否かの判定を行い、下回っていると判定する場合に単独運転を行っているとみなす。
カウンタnの値が所定値以上でないと判断する場合には(ステップS50における「No」)、処理はステップS15へ戻る。
以上、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限られない。例えば、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態において、判定部105が行う単独運転の判定の回数を一例として4回としたが、これに限定されない。
(2)上記実施の形態において、周波数閾値算出部104が周波数変化期待値を算出する際に用いた係数(1/m)は固定値であるとしているが、これに限定されない。
係数(1/m)は単独運転の判定処理中において、ステップS40による判定の回数が増えるにつれ、係数を増加させてもよい。例えば、判定の回数が増えるにつれて、係数(1/m)の値を一律5%ずつ増加させてもよいし、判定の回数ごとに係数に対して増加させる割合を実験により決定してもよい。
そこで、判定の回数が増えるにつれ、係数を徐々に増加させることで、負荷が回転機である場合において、単独運転検出装置23は、分散型電源10の単独運転の判定の精度を上げることができる。
判定部105は、無効電力算出部102で算出された無効電力Qが注入された際に計測された系統周波数と、当該無効電力Qの算出よりも過去に算出された無効電力Q’に基づいて周波数閾値算出部104で算出された周波数閾値とを比較して単独運転の判定を行ってもよい。
具体例を図6に示す。図6において、系統周波数が、f[16]、f[15]、・・・、f[3]、f[2]、f[1]の順に計測されており、これらの計測結果から無効電力Q[16]、Q[15]、・・・、Q[3]、Q[2]、Q[1]の順に算出される。ここで、上記実施の形態では、系統周波数f[1]と、当該系統周波数f[1]に基づいて算出された無効電力Q[1]とから周波数閾値F[1]を算出していた。しかしながら、本変形例では、周波数閾値算出部104は、無効電力が注入されてから、実際の周波数に反映されるまでのタイムラグ(遅延時間T)を考慮して周波数閾値を算出する。例えば、系統周波数f[1]に対する周波数閾値F[1]は、当該系統周波数f[1]に基づいて算出された無効電力Q[1]より過去に算出された無効電力Q[5]から算出される。なお、遅延時間Tは、例えば無効電力算出手段102で行われる無効電力の算出についての処理時間による処理遅延を考慮して設計時に定められる値である。
上記判定を行うか否かを、周波数閾値算出部104で算出された周波数閾値を用いて判断してもよい。
一般に、周波数偏差が0である場合には、その値から得られる周波数閾値は通常の電圧周波数(50Hz又は60Hz)である。そして、1段目ゲインに対応する周波数閾値の範囲、及び2段目ゲインに対応する周波数閾値の範囲それぞれの範囲を、図7に示す。具体的には、1段目ゲインの範囲に対応する周波数閾値の範囲は、通常の周波数を基準として、周波数閾値F’より大きく周波数閾値Fより小さい範囲となる。また、2段目ゲインの範囲に対応する周波数閾値の範囲は、周波数閾値F以上の範囲と、周波数閾値F’以下の範囲とからなる。
(5)2段目ゲインの範囲に対応する周波数閾値の範囲を予め記憶している場合において、単独運転検出装置23は、以下のように分散型電源10が単独運転しているか否かの判定を行ってもよい。
この場合、判定部105は、周波数閾値算出部104で算出された周波数閾値が、図7に示す周波数閾値F’より大きく周波数閾値Fより小さい範囲内にあり、且つ基準値(通常の電圧周波数)以上である場合には、算出された周波数閾値の代わりに周波数閾値Fを用いて上記判定を行う。また、判定部105は、周波数閾値算出部104で算出された周波数閾値が、図7に示す周波数閾値F’より大きく周波数閾値Fより小さい範囲内にあり、且つ基準値(通常の電圧周波数)より小さい場合には、算出された周波数閾値の代わりに周波数閾値F’を用いて上記判定を行う。
(6)判定部105が用いる、単特運転の判定の回数は、無効電力算出部102で算出された周波数偏差に応じて変動するものであってもよい。
以下、判定の回数の決定方法について説明する。
(6−1)周波数偏差と値“b”とを比較する場合
判定部105は、m−1回目(mは2以上)に計測された系統周波数に対する周波数偏差が図3に示す1段目ゲインに属し、m回目に計測された系統周波数に対する周波数偏差が値“a”以上である場合に、m回目に計測された系統周波数についての周波数偏差に応じた判定の回数を次のようにして決定する。
(6−2)周波数偏差と値“−b”とを比較する場合
判定部105は、m−1回目(mは2以上)に計測した系統周波数に対する周波数偏差が図3に示す1段目ゲインに属し、m回目に計測した系統周波数に対する周波数偏差が値“−a”以下である場合に、m回目に計測された系統周波数についての周波数偏差に応じた所定回数を次のようにして決定する。
なお、第1の回数と第3の回数とを、第2の回数と第4の回数とを、それぞれ同値としてもよい。
例えば、周波数閾値が所定値(例えば値“c”)以上である場合における単独運転の判定の回数を、周波数偏差が所定値(“c”)よりも小さい場合の回数よりも少なくする。また、周波数偏差が所定値(例えば値“d”)以下である場合における単独運転の判定の回数を、周波数偏差が所定値(“d”)よりも大きい場合の回数よりも少なくする。なお、値“c”は、値“F”より大きいものとし、値“d”は、値“F’”より小さいものとする。
以下、判定の回数の決定方法について説明する。
(7−1)周波数閾値と値“c”とを比較する場合
判定部105は、m−1回目に計測された系統周波数を用いて得られた周波数閾値が図7に示す値“F’”より大きく値“F”より小さい範囲に属し、m回目に計測された系統周波数を用いて得られた周波数閾値が値“F”以上、又は値“F’”以下である場合に、m回目の計測で算出された周波数閾値に応じた判定の回数を以下のようにして決定する。
(7−2)周波数閾値と値“d”とを比較する場合
判定部105は、m回目に算出された周波数閾値が値“F’”以下であり、且つ予め定められた閾値“d”以上である場合には所定回数を第3の回数と決定し、閾値“d”以下である場合には所定回数を第3の回数よりも小さい第4の回数と決定する。
(8)上記実施の形態において、周波数閾値算出部104は、無効電力算出部102で算出された直近の無効電力のみを用いて周波数閾値を算出したが、これに限定されない。
周波数閾値の算出は、直近に算出された無効電力を用いた平均値を利用するものであってもよい。例えば、周波数閾値算出部104は、図8(a)に示すように、無効電力算出部102で算出された無効電力を逐次格納するバッファ200を含んでおり、直近に算出された無効電力Q[1]から連続する所定数(例えば、4)の無効電力(Q[1]、Q[2]、Q[3]、Q[4])の平均値Qave[1]を周波数閾値の算出に利用する。
単独運転の判定は、直近に算出された周波数閾値を用いた平均値を利用するものであってもよい。例えば、判定部105は、図8(b)に示すように、周波数閾値算出部104で算出された周波数閾値を逐次格納するバッファ210を含んでおり、直近に算出された周波数閾値Fc[1]から連続する所定数(例えば、4)の周波数閾値(Fc[1]、Fc[2]、Fc[3]、Fc[4])の平均値Fave[1]を周波数閾値の算出に利用する。
1つ目は、直近の系統周波数f[1]と、系統周波数f[1]から200ミリ秒過去に計測された、連続する計10個の系統周波数(f[n]、f[n−1]、・・・、f[n−9])の平均値(Fold_ave)とから周波数偏差を算出する方法である。
3つ目は、直近の系統周波数f[1]と、系統周波数f[1]より過去に計測された系統周波数(f[2]、f[3]、・・・、f[n])のうち何れかの系統周波数とから周波数偏差を算出する方法である。
上述したように、周波数閾値は、周波数変化期待値(Δf)に過去の系統周波数の平均値(Fold_ave)を加算したものである。そのため、周波数変化期待値(Δf)と周波数偏差との比較を行うことと、周波数閾値と系統周波数との比較を行うこととは、同等の処理である。
(12)上記実施の形態において、単独運転検出装置は、ステップ注入付周波数フィードバック方式により、5ミリ秒毎に常に無効電力を注入するものとしたが、これに限定されない。
(13)上記実施の形態で示す各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個の集積回路から構成されているとしてもよい。
(14)上記実施の形態及び変形例を組み合わせるとしてもよい。
以下、無効電力特性についての補足説明を行う。
無効電力特性は、上述したように、1段目ゲインと、2段目ゲインとにおいては、無効電力の算出の演算式が異なっている。
通常、PCS20で計測される系統周波数は、注入される無効電力の影響をほとんど受けることなく、5ミリ秒毎に算出される周波数偏差は、1段目ゲインの範囲内に存在する。
以下、更に本発明の一実施形態としての単独運転検出装置の構成及びその変形例と効果について説明する。
(1)本発明の一態様である、電力系統と系統連系された分散型電源の単独運転を検出する単独運転検出装置は、前記電力系統に無効電力を注入する注入手段と、前記電力系統の系統周波数を繰り返し計測する計測手段と、前記計測手段で計測された系統周波数と、当該計測より過去に計測された系統周波数との周波数偏差に応じて、前記注入手段が注入すべき無効電力を算出する第1算出手段と、前記第1算出手段で算出された前記無効電力と、前記計測手段で計測された系統周波数とを用いて、周波数閾値を算出する第2算出手段と、前記第1算出手段で算出された前記無効電力が注入された後に前記計測手段で計測された系統周波数と、前記周波数閾値とに基づいて、前記分散型電源が単独運転しているか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
(2)ここで、前記第2算出手段で用いられる前記系統周波数は、前記第1算出手段における前記無効電力の算出に用いられた、前記計測より過去に計測された系統周波数であるとしてもよい。
(3)ここで、前記第2算出手段は、前記第1算出手段で算出された前記無効電力を注入した際に得られるべき周波数偏差についての期待値を算出し、算出した期待値に前記系統周波数を加算した結果を前記周波数閾値とするとしてもよい。
(4)ここで、前記判定手段で行われる前記判定は、前記計測手段で計測された系統周波数と、前記周波数閾値とを複数回比較して前記分散型電源が単独運転しているか否かを判定するものであり、前記判定手段は、前記計測手段において繰り返し計測された系統周波数それぞれについて、当該系統周波数と、当該系統周波数についての周波数閾値とによる前記比較を行い、比較により前記分散型電源が単独運転しているとみなされる結果が所定回数連続して得られた場合に、前記分散型電源が単独運転していると判定するとしてもよい。
(5)ここで、前記計測手段は、前記電力系統の電圧及び当該電力系統に流れる電流を計測し、前記第2算出手段は、前記第1算出手段で算出された無効電力それぞれから得られるべき各周波数偏差についての期待値を、当該周波数偏差に対する無効電力と、前記計測手段で計測された前記電圧及び前記電流とを用いて算出された周波数のずれ量に係数を乗じて算出するとしてもよい。
(6)ここで、前記第2算出手段は、前記判定手段による判定の回数が増えるにつれ、前記係数を増加させて乗算するとしてもよい。
この構成によると、単独運転検出装置は、負荷が回転機であるような場合であっても、単独運転の判定の精度を上げることができる。
(8)ここで、前記第2算出手段は、前記第1算出手段で算出された第1の無効電力が注入された際に得られるべき系統周波数についての期待値を、当該第1の無効電力の算出より所定時間分過去に算出された第2の無効電力に基づいて算出するとしてもよい。
または、前記判定手段は、前記第2算出手段で算出された周波数閾値が、第1の所定値以上であるか、又は前記第1の所定値より小さい値である第2の所定値以下であるかを判断し、前記周波数閾値が、前記第1の所定値以上でなく、かつ前記第2の所定値以下でもないと判断する場合には、前記判定を行わないとしてもよい。
そこで、この構成によると、単独運転検出装置は、周波数偏差(または周波数閾値)が微小である場合には、つまり系統電源の擾乱等による誤動作時には単独運転の判定を行わないので、冗長な判定を回避することができる。
20 パワーコンディショナ(PCS)
21 DC/ACインバータ
22 連系リレー
23 単独運転検出装置
30 電力系統
40 負荷
101 計測部(計測手段)
102 無効電力算出部(第1算出手段)
103 注入部(注入手段)
104 周波数閾値算出部(第2算出手段)
105 判定部(判定手段)
Claims (11)
- 電力系統と系統連系された分散型電源の単独運転を検出する単独運転検出装置であって、
前記電力系統に無効電力を注入する注入手段と、
前記電力系統の系統周波数を繰り返し計測する計測手段と、
前記計測手段で計測された系統周波数と、当該計測より過去に計測された系統周波数との周波数偏差に応じて、前記注入手段が注入すべき無効電力を算出する第1算出手段と、
前記第1算出手段で算出された前記無効電力と、前記計測手段で計測された系統周波数とを用いて、周波数閾値を算出する第2算出手段と、
前記第1算出手段で算出された前記無効電力が注入された後に前記計測手段で計測された系統周波数と、前記周波数閾値とに基づいて、前記分散型電源が単独運転しているか否かを判定する判定手段と
を備えることを特徴とする単独運転検出装置。 - 前記第2算出手段で用いられる前記系統周波数は、前記第1算出手段における前記無効電力の算出に用いられた、前記計測より過去に計測された系統周波数である
ことを特徴とする請求項1に記載の単独運転検出装置。 - 前記第2算出手段は、
前記第1算出手段で算出された前記無効電力を注入した際に得られるべき周波数偏差についての期待値を算出し、算出した期待値に前記系統周波数を加算した結果を前記周波数閾値とする
ことを特徴とする請求項2に記載の単独運転検出装置。 - 前記判定手段で行われる前記判定は、前記計測手段で計測された系統周波数と、前記周波数閾値とを複数回比較して前記分散型電源が単独運転しているか否かを判定するものであり、
前記判定手段は、
前記計測手段において繰り返し計測された系統周波数それぞれについて、当該系統周波数と、当該系統周波数についての周波数閾値とによる前記比較を行い、
比較により前記分散型電源が単独運転しているとみなされる結果が所定回数連続して得られた場合に、前記分散型電源が単独運転していると判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の単独運転検出装置。 - 前記計測手段は、前記電力系統の電圧及び当該電力系統に流れる電流を計測し、
前記第2算出手段は、
前記第1算出手段で算出された無効電力それぞれから得られるべき各周波数偏差についての期待値を、当該周波数偏差に対する無効電力と、前記計測手段で計測された前記電圧及び前記電流とを用いて算出された周波数のずれ量に係数を乗じて算出する
ことを特徴とする請求項4に記載の単独運転検出装置。 - 前記第2算出手段は、
前記判定手段による判定の回数が増えるにつれ、前記係数を増加させて乗算する
ことを特徴とする請求項5に記載の単独運転検出装置。 - 前記第2算出手段でm−1(mは2以上)回目に算出された周波数閾値が第1の閾値より大きく第2の閾値より小さい範囲に属し、m回目に算出された周波数閾値が当該範囲外となった場合において、
前記判定手段は、
前記第2算出手段で前記m回目に算出された前記周波数閾値が、第2の閾値以上であり、且つ第3の閾値以上でない場合には、前記判定を第1の回数分行うと決定し、当該周波数閾値が前記第3の閾値以上である場合には、前記判定を前記第1の回数より少ない第2の回数分行う決定し、
前記第2算出手段で前記m回目に算出された前記周波数閾値が、前記第1の閾値以下であり、且つ第4の閾値以下でない場合には、前記判定を第3の回数分行うと決定し、当該周波数閾値が第4の閾値以下である場合には、前記判定を前記第3の回数より少ない第4の回数分行うと決定し、
前記第2算出手段は、
前記m回目に算出された前記周波数閾値が前記第2の閾値以上である場合には、m+1回目以降では徐々に増加するように、前記m回目に算出された前記周波数閾値が前記第1の閾値以下である場合には、m+1回目以降では減少するように、周波数閾値を算出する
ことを特徴とする請求項4に記載の単独運転検出装置。 - 前記第2算出手段は、
前記第1算出手段で算出された第1の無効電力が注入された際に得られるべき系統周波数についての期待値を、当該第1の無効電力の算出より所定時間分過去に算出された第2の無効電力に基づいて算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の単独運転検出装置。 - 前記判定手段は、
前記第1算出手段における無効電力の算出に用いられる周波数偏差の絶対値が所定値より小さい場合には、前記判定を行わない
ことを特徴する請求項1に記載の単独運転検出装置。 - 前記判定手段は、
前記第2算出手段で算出された周波数閾値が、第1の所定値以上であるか、又は前記第1の所定値より小さい値である第2の所定値以下であるかを判断し、前記周波数閾値が、前記第1の所定値以上でなく、かつ前記第2の所定値以下でもないと判断する場合には、前記判定を行わない
ことを特徴する請求項1に記載の単独運転検出装置。 - 電力系統と系統連系された分散型電源の単独運転を検出する単独運転検出装置で用いられる検出方法であって、
前記電力系統に無効電力を注入する注入ステップと、
前記電力系統の系統周波数を繰り返し計測する計測ステップと、
前記計測ステップで計測された系統周波数と、当該計測より過去に計測された系統周波数との周波数偏差に応じて、前記注入ステップが注入すべき無効電力を算出する第1算出ステップと、
前記第1算出ステップで算出された前記無効電力と、前記計測ステップで計測された系統周波数とを用いて、周波数閾値を算出する第2算出ステップと、
前記第1算出ステップで算出された前記無効電力が注入された後に前記計測ステップで計測された系統周波数と、前記周波数閾値とに基づいて、前記分散型電源が単独運転しているか否かを判定する判定ステップと
を含むことを特徴とする検出方法。
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