(実施形態1)
上述したように、国内で生産される林檎や外国から輸入されるバナナなどの果物の多くが、たとえば外観上の理由から利用されることなく、そのまま廃棄されているのが現状である。このような果物には、糖質やビタミンCやビタミンB1を多く含有していることがわかっている。
そこで、本発明者は、まずは飼料の原料としてかかる果物に着目するとともに、上記第一の基礎発明での問題点を解決すべく、上記第二の基礎発明で、牛に与える飼料に果物の果汁を含めるとともに、その果汁に含まれる糖質の量を、牛の月齢に応じて調整することとした。
すなわち、牛の導入時から60日に相当する月齢8〜10月程度(以下、前半という。)では、その牛に与える飼料に含める糖質が多いほど、嗜好性がよくなり、牛の食欲が増進するといったプラス面と、牛に大量の糖質を与えつづけると、やがて第一胃壁などに異常をきたし、その糖質が毛細血管から吸収されにくくなるといったマイナス面との両方から、飼料を評価するとともに、月齢22月後(以下、後半という。)では、主として肉質への影響具合から、飼料を評価することとした。
図4は飼料の糖質含有量と評価との関係を示す説明図である。図4中の○印は、前半の90頭を超える牛に対して、それぞれ生体重の1.75%程度の餌量を与えた場合であり、●印は、後半に同様の餌量を与えた場合である。図4中の横軸は飼料に含まれる糖質(重量%)であり、縦軸は飼料の評価である。図4の○印で示すように、前半の飼料の糖質含有量が1.5重量%未満では、嗜好性が悪いため完食まで40分程度かかり、悪い評価となっている。飼料の糖質含有量が1.5重量%では、完食まで30〜40分程度かかり、普通の評価となっている。飼料の糖質含有量が2.0重量%では、嗜好性が良いため、15〜20分で完食し、良い評価となっている。飼料の糖質含有量が3.0重量%では、普通の評価となっており、飼料の糖質含有量が4.5重量%では、第一胃壁に異常をきたすため、悪い評価となっている。
後半の飼料の糖質含有量が1.5重量%未満では、悪い評価となっているが、飼料の糖質含有量が1.5重量%では、いわゆる霜降りの良好な肉質が得られるため、良い評価となっている。飼料の糖質含有量が2.5重量%では、普通の評価となっており、飼料の糖質含有量が4.5重量%では、肉質への影響がでてくるため、悪い評価となっている。なお、厳しい暑さの夏季や、厳しい寒さの冬季においては、嗜好性などが悪くなるものの、上記と同様、前半では飼料の糖質含有量が2.0重量%で最も良い評価となり、後半では飼料の糖質含有量が1.5重量%で最も良い評価となった。
図5は牛の月齢と飼料中の糖質の含有量との関係を示す説明図である。図5中の縦軸は飼料に含まれる糖質の量(重量%)、横軸は牛の月齢である。ここでは、上記図4の評価結果を踏まえて、図5中の太線で示すように、前半は糖質の含有量が2重量%の飼料をほぼ毎日与えて、牛の食欲増進による増体重を優先する一方、後半は、糖質の含有量が1.5重量%の飼料を月に4〜6日程度与えて、いわゆる霜降りの良質の肉を得ることを優先することとした。なお、前半と後半との間では、糖質の含有量が0重量%の飼料(従来の飼料)を与えるから、それらの時点で、飼料の切替が行われる。
果物のうち、例えば皮付きバナナ、パイナップルなどには糖質だけが多く含まれており、例えばパパイヤ、マンゴー、みかん、林檎などには糖質に加えてビタミンB1が多く含まれており、例えば柚子(ゆず)、キウイフルーツ、レモンなどには糖質に加えてビタミンCが多く含まれていることが知られている。野菜についても同様である。例えばにんにく、アスパラガスなどにはビタミンB1とビタミンCとが多く含まれていることが知られている。表1は文部科学省発行・五訂日本食品標準成分表による野菜・果物の成分を抜粋したものである。
表1では、いずれも生の野菜・果物(食用となる部位のみ)についての値を示しているので、本発明の製品である飼料に含まれる野菜・果物については、必ずしもあてはまらない。廃棄物とされる野菜や果物は、本来食用とならない部位が多く含まれており、後述する生産過程で機械乾燥を採用するなど、その条件が大幅に相違するからである。そこで、本発明者は、一般財団法人日本食品分析センターに、その条件をかえて試作した乾燥野菜・乾燥果物の成分分析を依頼し、その乾燥野菜・乾燥果物の成分分析結果を表2にまとめた。
表2では、柚子の皮は、ビタミンB1が0.09(mg/100g)(360(IU)相当)、ビタミンCが229(mg/100g)(916,000(IU)相当)である。この柚子の皮を、機械乾燥(後述する乾燥機で温風乾燥)した乾燥柚子では、ビタミンCが300(mg/100g)(1200,000(IU)相当)となって、ビタミンCについては抜群に高い数値を示している。また、にんにくの芽を、機械乾燥したときに、ビタミンB1が0.65(mg/100g)(2,600(IU)相当)、ビタミンCが54(mg/100g)(216,000(IU)相当)となって、ビタミンB1とビタミンCのいずれについても高い数値を示している。また、にんにくの芽を、天日乾燥したときに、ビタミンB1が0.59(mg/100g)(2,360(IU)相当)、ビタミンCが1(mg/100g)(4,000(IU)相当)となって、ビタミンB1については、つぎに高い数値を示し、ビタミンCは低い数値を示しているものの、製造コストは機械乾燥よりも低くおさえることができる。その分析方法は、高速液体クロマトグラフ法で、ビタミンB1はチアミン塩酸塩として測定し、(総)ビタミンCはヒドラジンで誘導体化した後の総アスコルビン酸を測定したものである。
ビタミンB1は食欲増進、ビタミンCは肉質にそれぞれ影響する。そこで、図5における糖質の含有量が2.0重量%のときには、ビタミンB1とビタミンCとの含有比率を4:1として、牛のさらなる食欲増進を図るとともに、糖質の含有量が1.5重量%のときには、ビタミンB1とビタミンCとの含有比率を3:7として、さらに良質の肉を得ることとした。ビタミンB1とビタミンCとの含有比率の調整は、使用する野菜・果物2の種類と量とにより行う。そのために、種類の異なる野菜・果物からつくった乾燥物(後述。)同士を適宜混合するようにした。このようにして、野菜・果物2の汁に含まれるビタミンB1とビタミンCとの比率についても、牛の月齢に応じて変化させることとした。
以下、第二の基礎発明の実施形態(以下、実施形態1という。)に係る飼料と従来の飼料との比較試験を行った。表3は従来の飼料を用いた対照区で牛を育成したときの血液検査結果、表4は本実施形態1に係る飼料を用いた試験区で牛を育成したときの血液検査結果である。ここでは、牛に与える飼料の総重量は同じとしている。また、血液検査結果は、いずれも北海道足寄町農業協同組合の動物医学研究室で、膨大な頭数の牛を対象に行ったものの中から任意にプロットしている。
表3において、例えば、「対1」は、対照区に導入したばかり(導入時)の牛であって、月齢が9.8であり、体重は360(kg)である。そして、血液検査によると、ビタミンAが68.02(IU)であり、βカロチンが302.63(IU)である。また、「対2」は、導入時から60日を経過する前(切替前)の牛であって、月齢が10.8であり、体重は388(kg)である。そして、血液検査によると、ビタミンAが53.79(IU)であり、βカロチンが297.85(IU)である。
すなわち、牛の導入時から切替前までに、体重は28(kg)だけ増加し、ビタミンAは14.23(IU)だけ減少し、牛の体内でビタミンAとして作用するβカロチンも4.78(IU)だけ減少していることがわかった(βカロチンは、牛の血中濃度で把握される)。このβカロチンが減少した場合には、特に牛の育成時においては、ビタミンA不足となって、増体減少等の不具合を引き起こすおそれがある。なお、ビタミンAの減少は、牛の導入時におけるストレスが原因と考えられる。以下、「対3」と「対4」との関係、「対5」と「対6」との関係、・・・「対15」と「対16」との関係でもほぼ同様である。
表4において、例えば、「試1」は、試験区に導入したばかり(導入時)の牛であって、月齢が8.7であり、体重は331(kg)である。そして、血液検査によると、ビタミンAが99.81(IU)であり、βカロチンが76.39(IU)である。また、「試2」は、導入時から60日経過する前(切替前)の牛であって、月齢が10.7であり、体重は416(kg)である。そして、血液検査によると、ビタミンAが43.67(IU)であり、βカロチンが318.82(IU)である。
すなわち、牛の導入時から切替前までに、体重は85(kg)だけ増加し、ビタミンAは56.14(IU)だけ減少しているものの、牛の体内でビタミンAとして作用するβカロチンが242.43(IU)だけ増加しているから、特に牛の育成時においては、ビタミンA不足とはならず、増体減少等の不具合を引き起こすおそれがないことがわかる。なお、ビタミンAの減少は、牛の導入時におけるストレスが原因と考えられる。以下、「試3」と「試4」との関係、「試5」と「試6」との関係、・・・「試15」と「試16」との関係でもほぼ同様である。
これにより、本実施形態1に係る飼料では、野菜・果物からつくった汁の糖質と、ビタミンCあるいはビタミンB1とを含有させるとともに、それらの含有量を牛の月齢に応じて調整するので、牛に大量の糖質を与えつづけると、やがて第一胃壁に異常をきたし、その糖質が毛細血管から吸収されにくくなるという問題を解決し、牛の食欲不振を継続的に解消して、順調な増体重を実現できるとともに、食欲増進や肉質への影響が少なくなる。しかも、本来廃棄されている野菜・果物を使用することで、きわめて安価なものとなる。特にビタミンCやビタミンB1については、人工的につくられたものは非常に高額であるので、コスト低減の効果が大きい。
図1は本実施形態1に係る飼料生産装置1の全体構成図である。また、図2は乾燥機7の説明図であって、(a)は全体構成図、(b)は部分構成図である。以下、本実施形態1に係る飼料の生産方法を適用可能な装置1について詳述する。
図1に示すように、この飼料生産装置1は、本実施形態1に係る飼料としての製品9を生産するものであって、複数種類の野菜・果物(原料A,B,C)2から汁をつくり出すジューサミキサ3a又は搾り機3bと、ジューサミキサ3a又は搾り機3bでつくり出した汁をそれぞれ貯留しておくための複数の専用タンク(タンクA,B,C)4と、各専用タンク4にそれぞれ貯留された汁を、牛の月齢に応じた糖質、ビタミンCあるいはビタミンB1の含有量となるように調整した状態で、吸着材6に吸着させる手段としての糖度計5や図示しない撹拌機と、この汁を吸着させた吸着材6を温風乾燥させて乾燥物8をつくり出す乾燥機7とを備えている。各要素間は、搬送対象に応じて搬送コンベアや配管ラインなどで適宜連結されている。
野菜・果物2のうちの原料Aとしては、例えば皮付きバナナ、パイナップルなど糖質だけ多いもの、原料Bとしては、例えばにんにく、アスパラガス、パパイヤ、マンゴー、みかん、林檎などビタミンB1が多いもの、原料Cとしては、例えばキウイフルーツ、レモンなどビタミンCが多いもののうちの、商品として流通させるための規格を外れているものが利用される。これらの野菜・果物2は、いずれも牛に必要とされる量の糖質を含有しているので、砂糖のように嗜好性がよい。
したがって、牛の食欲不振時に野菜・果物2からつくった汁を含む飼料を与えた場合に、その飼料を牛はよろこんで食べるから、食欲不振を容易に解消することができる。しかも、本来廃棄されている規格外の野菜・果物2を使用することで、きわめて安価なものとなる。嗜好性の良し悪しの判断材料として、上記表1,表2での比較結果では、月齢8〜10月程度の牛に対して生体重の1.75%程度の餌量を与えたが、既述のように、嗜好性が悪い場合は40分程度かかり、普通の場合は30〜40分程度かかるところ、嗜好性が良い場合は15〜20分程度で完食することがわかった。ただし、厳しい暑さの夏季や、厳しい寒さの冬季においては、さらに長時間かかるものの、その傾向はほぼ同じである。
ジューサミキサ3aとしては、円筒状の蓋付容器内に多段の回転刃を交換可能に備えたものを使用する。例えば皮付きバナナでは、4段の普通の回転刃を使用し、パイナップルでは6段のしっかりした回転刃を使用する。搾り機3bとしては、逆円錐台形状の蓋付容器内に多段のローラ対を備え、野菜・果物2の品種やサイズに応じて、各ローラ間隙を独立に調整可能なものを使用する。
専用タンク4は、それぞれ円筒状等の蓋付容器を備えた3つのサブタンク(第一、第二、第三サブタンク4a〜4c)を備えており、そのうちの第一、第二サブタンク4a,4bは汁を冷蔵保存できるものである。保存温度が変化すると変質のおそれがあるからである。第一サブタンク4aは、ジューサミキサ3a等でつくった汁をもっぱら貯留するものである。第二サブタンク4bには、糖度計5を備えており、その容器内に第一サブタンク4aから導入した汁に1/3程度の水を加えることにより、糖度調整を行えるようになっている。第三サブタンク4cには、図示しない撹拌機を備えており、その容器内に、吸着材6を入れて撹拌しながら、第二サブタンク4bから導入した汁を適宜シャワーリングすることで、その汁を吸着材6に吸着させるようになっている。
吸着材6としては、米ぬかや小麦フスマなどが利用される。これらは小麦などから除かれる皮の部分(外皮部と胚芽)で、日本では主に牛の飼料として利用されてきたものであるが、デンプン、タンパクのほか繊維質やミネラルが豊富に含まれていることが知られている。
乾燥機7としては、温度制御された空気のみで乾燥させる方式のものが使用される。この乾燥機7は、詳しくは図2(a)において、箱体71の右上にある入口711から左下にある出口712に向かって、半円筒状の搬送路72がいわゆる「じぐざく」となるように配置されている、いわゆるコンベア方式を採用している。そして、前記吸着材6が入口711から投入されると、搬送路72を通ってから、図示しないタイマーによる設定時間だけ繰り返しもとの入口711に戻り、その後に出口712から順次に出て行くようになっている。搬送路72を通る吸着材6は、その端部の折り返し部で搬送路72外に落下することを防止するために、箱体71内の適所に邪魔板76が配置されている。
搬送路72は、図2(b)に示すように、メッシュ状かつ断面半円状の本体721と、メッシュ状かつ平板状の蓋722とからなっており、一番上の段における入口711付近では、本体721の凸面が下向きになり、蓋722が直立することで、本体721の上側が開放状態となっている。したがって、本体721の上側から吸着材6が投入される。次の段に本体721が落とし込まれるときに、蓋722が本体721の開放部分に倒れ込んで、そこを閉止して図示しないロックがかかる。したがって、本体721の凸面が上向きになっても、吸着材6が本体721から飛び出すことなく、その内部で上下反転を繰り返す。そして、一番下の段における出口712付近では、本体721の凸面が上向きになり、前記ロックが外れて蓋722が垂下することで、本体721の下側が開放状態となって、吸着材6が払い出されるようになっている。本体721と蓋722とのメッシュは、吸着材6のサイズよりやや小さめに設定されている。
箱体71外には、温風を発生させる加熱部73が配置されている。加熱部73は、電気ヒータ731と、ブロア732とからなっている。そして、ダクト79から吸い込んだ外気を、電気ヒータ731で加熱して温風となし、この温風を、ブロア732で圧送することにより、ダクト77を介して箱体71内に送り込むようになっている。この箱体71内に送り込まれた温風で搬送路72を通る吸着材6を加熱し、その温風を、さらにダクト78を介して箱体71から加熱部73に戻すことにより循環させるようになっている。
この循環中の温風を、箱体71内などの適宜箇所に配置したファン74で攪拌させるとともに、温度センサ75からの温度検出信号に基づいて、図示しないコントローラにて、加熱部73の電気ヒータ731とブロア732とともに、ファン74を温度制御することにより、箱体71内の温度を80℃〜90℃の範囲に保持可能となっている。かかる種々の工夫により、乾燥機7を乾燥効率に優れかつコンパクトな構成とすることができた。
ここで、乾燥用の空気の温度を80℃以上としたのは、その温度より低くすると、吸着材6の乾燥時間が長くなり、生産効率を低下させるとともに、さらに温度を低くすると、殺菌作用をほとんど期待できなくなり、製品9の保存性が極端に悪くなるからである。
また、乾燥用の空気の温度を90℃以下としたのは、その温度より高くすると、吸着材6に含まれるビタミンCあるいはビタミンB1が壊れやすくなり、製品9の歩留まりが低下するからである。
したがって、乾燥用の空気の温度を略一定に保持することで、吸着材6の乾燥時間を短縮化して、生産効率を向上させることができるとともに、その殺菌を十分に行うことができる。また、吸着材6に含まれるビタミンCあるいはビタミンB1を壊れにくくして、その歩留まりを高めることができる。その結果、飼料の生産コストを大幅に低減するとともに、この汁を吸着させた吸着材6から水分を11重量%くらいになるまで除去することで、その吸着材6の保存性が良好なものとなる。
引き続いて、この飼料生産装置1の概略動作を説明する。なお、この動作を通じて本生産方法が具現化される。図3はその工程図である。
図3において、まず野菜・果物2のうち、皮つきバナナ、パイナップルなどの原料Aをジューサミキサ3aにかけることで、糖質だけ多く含有する汁が得られる。また、にんにく、アスパラガス、パパイヤ、マンゴー、みかん、林檎などの原料Bを搾り機3bにかけることで、糖質に加えてビタミンB1を多く含有する汁が得られる。さらに、キウイフルーツ、レモンなどの原料Cを水洗いした搾り機3bにかけることで、糖質に加えてビタミンCが多い含有する汁が得られる(ステップS1)。ここで、原料Aのカスとなるパイナップルの皮は汁から分離して廃棄処分とするが、原料B,Cの搾りカスは別途利用するために、図示しない収納容器に集められるものとする。
ステップS1で得られた汁を専用タンク4の第一サブタンク4aにそれぞれ貯留しておく(ステップS2)。ただし、この汁を長期間にわたり貯留するときは、その変質を防ぐために冷蔵保存することが好ましい。ステップS2で各専用タンク4の第一サブタンク4a内に貯留された汁については、その後第二サブタンク4bに移して、牛の月齢に応じた糖質の含有量となるように、糖度計5を見ながら加水することで、糖度調整を行う(ステップS3)。この糖度調整した汁を、さらに第三サブタンク4cに移し、図示しない撹拌機で撹拌しながら、別途用意しておいた粉末状の吸着材6と混合することで、その吸着材6に吸着させる(ステップS4)。
ステップS4で汁を吸着させた吸着材6は、乾燥機7に入れて温風乾燥させることで、乾燥物8をつくる(ステップS5)。ここで、収納容器に集められた搾りカスについても、図示しない糖度計を見ながら加水して糖度調整を行った上で、乾燥機7に入れて温風乾燥することで乾燥物8をつくるものとする。これらの乾燥物8を適宜混合することにより、最終の製品(飼料)9となす(ステップS6)。
本実施形態1に係る飼料生産装置1によれば、糖質と、ビタミンCあるいはビタミンB1とを含有する野菜・果物2の汁がつくり出され、つくり出された汁が専用タンク4に貯留され、専用タンク4に貯留された汁が、牛の月齢に応じた糖質の含有量となるように調整された状態で、別途用意された吸着材6に吸着され、この汁が吸着された吸着材6が温度制御された空気だけで乾燥される。これにより、本来廃棄されている野菜や果物を使用することで、きわめて安価な飼料が得られ、この飼料を牛に与えることで、上述したように、牛の食欲不振を継続的に解消して、順調な増体重を実現することができるとともに、良好な肉質が得られるようになる。
(実施形態2)
ところで、上記実施形態1では、糖質、ビタミンB1及びビタミンCなどについて幅広く言及しているが、本発明者は、柚子に含まれている、顕著なビタミンCの量に着目して、牛の飼料についての研究をさらにすすめ、その成果を本発明の実施形態(以下、実施形態2という。)としてここに記した。
ここで、牛などの反芻動物に給与されたビタミンCのほとんどは反芻胃内で分解されて排泄されることが知られている。すなわち、肝臓に蓄積される以上に給与されたビタミンCはまったく無駄になっている。そして、種々の化学製剤を用いて実験した結果、牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンC給与量が略10〜30mgまではその排泄量があまり変化しないが、牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンC給与量が60mgになるとその排泄量が急に増加するとされている。しかしながら、化学製剤に代えて、天然のビタミンCを含む果物や野菜(特に規格外で本来廃棄物などとされる柚子である。)を使用した場合や、実際の牛の肉質への影響については知られていない。
そこで、本発明者は、果物の柚子(表2の乾燥柚子:ビタミンCの含有量が300mg/100gである。)を使用した場合について、牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンC給与量をそれぞれ10mg、20mg、30mg、・・・として、それらの牛に週2〜3日間のペースで断続的に給与した予備調査を行うとともに、比較のために、化学製剤を使用した場合についても、同様の予備調査を行い、それらの結果を踏まえて、牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンC給与量を、ビタミンCをまったく給与しない0mgと、その排泄量が変化し始めると考えられる30mgと、その排泄量がピークとなると考えられる60mgとの3段階に設定するとともに、化学製剤に代えて、果物の柚子を含む飼料を、牛の肥育期(後期)に相当する月齢17〜27月程度において週3日間のペースで断続的に給与して、実際の牛の肉質への影響について調査した。
表5〜表8は、それぞれ個体番号1〜3,4〜6,7〜9,10〜12における牛の飼料に含まれるビタミンCと肉質との関係を示す(ここでいう固体番号は、本発明をまとめるときに改めて付番したものであり、試験中の固体番号とは異なる)。数十万頭にも及ぶ牛について、公益社団法人 日本食肉格付協会 加古川事業所で格付を行うとともに、株式会社帯広臨床検査センターにて血液検査を実施したときの膨大な報告書等の中で、最大値と最小値とを示すもの以外から、適宜に抽出してまとめたものである。等級(格付)は、歩留等級と、肉質等級との組み合わせで示されている(以下、公益社団法人 日本食肉格付協会の規格による)。
歩留等級Aは、部分肉歩留が標準より良いもの、歩留等級Bは、部分肉歩留の標準のもの、歩留等級Cは部分肉歩留が標準より劣るものである。
肉質等級5は、胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑がかなり多いもの、肉色及び光沢がかなり良いもの、締まりはかなり良く、きめがかなり細かいもの、脂肪の色、光沢及び質がかなり良いものである。肉質等級4は、胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑がやや多いもの、肉色及び光沢がやや良いもの、締まりはやや良く、きめがやや細かいもの、脂肪の色、光沢及び質がやや良いものである。肉質等級3は、胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑が標準のもの、肉色及び光沢が標準のもの、締まり及びきめが標準のもの、脂肪の色、光沢及び質が標準のものである。肉質等級2は、胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑がやや少ないもの、肉色及び光沢が標準に準ずるもの、締まり及びきめが標準に準ずるもの、脂肪の色、光沢及び質が標準に準ずるものである。肉質等級1は、胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑がほとんどないもの、肉色及び光沢が劣るもの、締まりが劣り又はきめが粗いもの、脂肪の色、光沢及び質が劣るものである。
表5では、個体番号1の種別は交雑種、性別は去勢、等級の格付はB−3である。詳しくは、歩留の枝肉重量は498kg、胸最長筋面積は57cm
2、ばらの厚さは8.8cm、皮下脂肪の厚さは3.0cm、歩留基準値は71.7である。また、肉質のBMS(いわゆる「霜降り」を示す牛脂肪交雑基準)は4、脂肪交雑等級は3であり、BCS(牛肉色基準)は4、光沢は4で、その等級は4であり、締まりは4、きめは3で、その等級は3であり、BFS(牛脂肪色基準)は3、光沢と質は4で、その等級は4である。牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンCの供給量は0mgであるが、ここでは、にんにくを使用した場合の値(ビタミンCの供給量は実質0mgである。)を示している。血液検査をしたときの牛の月齢24.7で、ビタミンCは0.04mg/dl、・・・であり、月齢26で、ビタミンCは0.05mg/dl、・・・である。
個体番号2の種別は交雑種、性別は去勢、等級の格付はB−3である。詳しくは、歩留の枝肉重量は526kg、胸最長筋面積は47cm2、ばらの厚さは7.0cm、皮下脂肪の厚さは1.8cm、歩留基準値は70.0である。また、肉質のBMSは3、脂肪交雑等級は3であり、BCSは4、光沢は3で、その等級は3であり、締まりは3、きめは3で、その等級は3であり、BFSは3、光沢と質は4で、その等級は4である。牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンCの供給量は0mgである。血液検査をしたときの牛の月齢24.2で、ビタミンCは0.04mg/dl、・・・であり、月齢25で、ビタミンCは0.05mg/dl、・・・である。
個体番号3の種別は交雑種、性別は去勢、等級の格付はC−3である。詳しくは、歩留の枝肉重量は534kg、胸最長筋面積は47cm2、ばらの厚さは7.5cm、皮下脂肪の厚さは3.4cm、歩留基準値は68.7である。また、肉質のBMSは4、脂肪交雑等級は3であり、BCSは4、光沢は3で、その等級は3であり、締まりは3、きめは3で、その等級は3であり、BFSは3、光沢と質は5で、その等級は5である。牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンCの供給量は0mgである。血液検査をしたときの牛の月齢25で、ビタミンCは0.07mg/dl、・・・であり、月齢26で、ビタミンCは0.05mg/dl、・・・である。仕切単価と1頭売上高とを参考までに示している。
図9は牛1頭当たりへの1日当たり給与量が0mgの場合の血液中のビタミンCの量を示すグラフである。ここで、横軸は牛の月齢、縦軸はビタミンCの量であって、図中の○印は個体番号1、△印は個体番号2、×印は個体番号3の場合を示している。ここで、月齢17〜27としているのは、牛の赤身部分の中に脂肪部分が分散したサシが入る時期を考慮したものである。このサシは、ビタミンCの存在下で、カロリーを上げると小さくなり、霜降り部分が形成される。図9より、各牛への1日当たり給与量が0mgの場合でも、血液中のビタミンCは0mg/dlとなってはいない。これは牛の体内で生成されたビタミンCによるものと考えられる。ただし、それだけではビタミンC不足が明らかである。
図13〜図18は牛1頭当たりへの1日当たり給与量が0mgの場合の肉質への影響を示す写真であるが、いずれも牛の第6・7肋骨間切開面を示している(以下の写真についても同様である)。ここで、白色が脂肪部分、黒色が赤身部分、白黒が混じっているのが霜降り部分に相当する。上記表5では、等級格付がB−3、B−3、C−3となっているが、これらに対応した歩留と肉質とが表れている。
表6では、個体番号4の種別は交雑種、性別は去勢、等級の格付はB−3である。詳しくは、歩留の枝肉重量は565kg、胸最長筋面積は57cm
2、ばらの厚さは7.7cm、皮下脂肪の厚さは3.0cm、歩留基準値は70.2である。また、肉質のBMSは3、脂肪交雑等級は3であり、BCSは4、光沢は3で、その等級は3であり、締まりは3、きめは3で、その等級は3であり、BFSは3、光沢と質は4で、その等級は4である。牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンCの供給量は30mgである。血液検査をしたときの牛の月齢24.4で、ビタミンCは0.22mg/dl、・・・であり、月齢25で、ビタミンCは0.16mg/dl、・・・である。
個体番号5の種別は交雑種、性別は去勢、等級の格付はB−3である。詳しくは、歩留の枝肉重量は550kg、胸最長筋面積は52cm2、ばらの厚さは8.3cm、皮下脂肪の厚さは3.8cm、歩留基準値は69.4である。また、肉質のBMSは3、脂肪交雑等級は3であり、BCSは4、光沢は3で、その等級は3であり、締まりは3、きめは3で、その等級は3であり、BFSは3、光沢と質は4で、その等級は4である。牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンCの供給量は30mgである。血液検査をしたときの牛の月齢23.3で、ビタミンCは0.27mg/dl、・・・であり、月齢24で、ビタミンCは0.13mg/dl、・・・である。
個体番号6の種別は交雑種、性別は去勢、等級の格付はB−3である。詳しくは、歩留の枝肉重量は528kg、胸最長筋面積は57cm2、ばらの厚さは8.1cm、皮下脂肪の厚さは3.0cm、歩留基準値は70.9である。また、肉質のBMSは4、脂肪交雑等級は3であり、BCSは3、光沢は4で、その等級は4であり、締まりは3、きめは3で、その等級は3であり、BFSは3、光沢と質は4で、その等級は4である牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンCの供給量は30mgである。血液検査をしたときの牛の月齢23.6で、ビタミンCは0.2mg/dl、・・・であり、月齢25で、ビタミンCは0.12mg/dl、・・・である。仕切単価と1頭売上高とを参考までに示している。
図10は牛1頭当たりへの1日当たり給与量が30mgの場合の血液中のビタミンCの量を示すグラフである。ここで、横軸は牛の月齢、縦軸はビタミンCの量であって、図中の○印は個体番号4、△印は個体番号5、×印は個体番号6の場合を示している。図10より、牛1頭当たりへの1日当たり給与量が30mgの場合は、月齢が大きくなると、血液中のビタミンCの量が降下しているが、これは一番大きい変動値をとらえたものであって、それまでは、多少は上下するものの、ほぼ変動前の値となっている。
図19〜図22は牛1頭当たりへの1日当たり給与量が30mgの場合の肉質への影響を示す写真である。上記表6では、等級格付がB−3、B−3、B−3となっているが、これらに対応した歩留と肉質とが表れている。
表7では、個体番号7の種別は交雑種、性別はめす、等級の格付はA−3である。詳しくは、歩留の枝肉重量は487kg、胸最長筋面積は68cm
2、ばらの厚さは8.5cm、皮下脂肪の厚さは3.5cm、歩留基準値は72.6である。また、肉質のBMSは4、脂肪交雑等級は3であり、BCSは4、光沢は4で、その等級は4であり、締まりは4、きめは3で、その等級は3であり、BFSは3、光沢と質は5で、その等級は5である。牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンCの供給量は60mgである。血液検査をしたときの牛の月齢24.7で、ビタミンCは0.14mg/dl、・・・であり、月齢26で、ビタミンCは0.12mg/dl、・・・である。
個体番号8の種別は交雑種、性別はめす、等級の格付はB−3である。詳しくは、歩留の枝肉重量は487kg、胸最長筋面積は58cm2、ばらの厚さは8.0cm、皮下脂肪の厚さは3.2cm、歩留基準値は71.3である。また、肉質のBMSは4、脂肪交雑等級は3であり、BCSは4、光沢は4で、その等級は4であり、締まりは3、きめは4で、その等級は3であり、BFSは3、光沢と質は4で、その等級は4である。牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンCの供給量は60mgである。血液検査をしたときの牛の月齢25.6で、ビタミンCは0.28mg/dl、・・・であり、月齢27で、ビタミンCは0.08mg/dl、・・・である。仕切単価と1頭売上高とを参考までに示している。
個体番号9の種別は交雑種、性別はめす、等級の格付はC−3である。詳しくは、歩留の枝肉重量は631kg、胸最長筋面積は52cm2、ばらの厚さは8.5cm、皮下脂肪の厚さは3.6cm、歩留基準値は68.6である。また、肉質のBMSは3、脂肪交雑等級は3であり、BCSは4、光沢は3で、その等級は3であり、締まりは3、きめは3で、その等級は3であり、BFSは3、光沢と質は4で、その等級は4である。牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンCの供給量は60mgである。血液検査をしたときの牛の月齢24.2で、ビタミンCは0.14mg/dl、・・・であり、月齢25で、ビタミンCは0.05mg/dl、・・・である。仕切単価と1頭売上高とを参考までに示している。
図11は各牛への1日当たり給与量が60mgの場合の血液中のビタミンCの量を示すグラフである。ここで、横軸は牛の月齢、縦軸はビタミンCの量であって、図中の○印は個体番号7、△印は個体番号8、×印は個体番号9の場合を示している。図11より、牛1頭当たりへの1日当たり給与量が60mgの場合も、月齢が大きくなると、血液中のビタミンCの量が降下しているが、これは一番大きい変動値をとらえたものであって、それまでは、多少は上下するものの、ほぼ変動前の値となっている。
図23〜図28は牛1頭当たりへの1日当たり給与量が60mgの場合の肉質への影響を示す写真である。上記表7では、等級格付がA−3、B−3、C−3となっているが、これらに対応した歩留と肉質とが表れている。
表8では、個体番号10の種別は交雑種、性別は去勢、等級の格付はB−3である。詳しくは、歩留の枝肉重量は532kg、胸最長筋面積は55cm
2、ばらの厚さは8.0cm、皮下脂肪の厚さは3.0cm、歩留基準値は70.5である。また、肉質のBMSは4、脂肪交雑等級は3であり、BCSは3、光沢は4で、その等級は4であり、締まりは3、きめは4で、その等級は3であり、BFSは3、光沢と質は5で、その等級は5である。牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンCの供給量は60mgである。血液検査をしたときの牛の月齢23.2で、ビタミンCは0.22mg/dl、・・・であり、月齢24で、ビタミンCは0.08mg/dl、・・・である。
個体番号11の種別は交雑種、性別は去勢、等級の格付はB−4である。詳しくは、歩留の枝肉重量は572kg、胸最長筋面積は60cm2、ばらの厚さは8.8cm、皮下脂肪の厚さは2.5cm、歩留基準値は71.6である。また、肉質のBMSは5、脂肪交雑等級は4であり、BCSは4、光沢は4で、その等級は4であり、締まりは4、きめは4で、その等級は4であり、BFSは3、光沢と質は4で、その等級は4である。牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンCの供給量は60mgである。血液検査をしたときの牛の月齢23.1で、ビタミンCは0.2mg/dl、・・・であり、月齢24で、ビタミンCは0.04mg/dl、・・・である。
個体番号12の種別は交雑種、性別は去勢、等級の格付はB−4である。詳しくは、歩留の枝肉重量は532kg、胸最長筋面積は62cm2、ばらの厚さは8.2cm、皮下脂肪の厚さは3.5cm、歩留基準値は71.1である。また、肉質のBMSは6、脂肪交雑等級は4であり、BCSは4、光沢は5で、その等級は5であり、締まりは4、きめは4で、その等級は4であり、BFSは3、光沢と質は5で、その等級は5である。牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンCの供給量は60mgである。血液検査をしたときの牛の月齢22.8で、ビタミンCは0.11mg/dl、・・・であり、月齢24で、ビタミンCは0.06mg/dl、・・・であり、月齢25で、ビタミンCは0.05mg/dl、・・・である。
図12は牛1頭当たりへの1日当たり給与量が60mgの場合の血液中のビタミンCの量を示すグラフである。ここで、横軸は牛の月齢、縦軸はビタミンCの量であって、図中の○印は個体番号10、△印は個体番号11、×印は個体番号12の場合を示している。図12より、牛1頭当たりへの1日当たり給与量が60mgの場合も、月齢が大きくなると、血液中のビタミンCの量が降下しているが、これは一番大きい変動値をとらえたものであって、それまでは、多少は上下するものの、ほぼ変動前の値となっている。
図29〜図32は牛1頭当たりへの1日当たり給与量が60mgの場合の肉質への影響を示す写真である。上記表8では、等級格付がB−3、B−4、B−4となっているが、これらに対応した歩留と肉質とが表れている。
表9は各牛への1日当たりの給与量の評価を示す。ここで、牛1頭当たりへの1日当たりの給与量が0mgの場合、固体番号が1〜3、種別/性別が交雑種/去勢、等級/格付がC−3〜B−3、血液中のVC量が0.04〜0.07mg/dl、肉質(写真)が図13〜18、仕切単価が1.55〜1.65k¥であるから、評価は「普通」となっている。なお、公益社団法人 日本食肉格付協会での評価である等級/格付は、牛の第6・7肋骨間切開面のみを基準としており、ここでいう牛全体での評価とは異なることがある(以下、同様である)。
牛1頭当たりへの1日当たりの給与量が30mgの場合、固体番号が4〜6、種別/性別が交雑種/去勢、等級/格付がすべてB−3、血液中のVC量が0.12〜0.27mg/dl、肉質(写真)が図19〜22、仕切単価が1.60〜1.65k¥であるから、評価は「良好」となっている。
牛1頭当たりへの1日当たりの給与量が60mgの場合、固体番号が7〜9、種別/性別が交雑種/めす、等級/格付がC−3〜A−3、血液中のVC量が0.05〜0.28mg/dl、肉質(写真)が図23〜28、仕切単価が1.55〜1.65k¥であるから、評価は「普通」となっている。
牛1頭当たりへの1日当たりの給与量が60mgの場合、固体番号が10〜12、種別/性別が交雑種/去勢、等級/格付がB−3〜B−4、血液中のVC量が0.04〜0.22mg/dl、肉質(写真)が図29〜32、仕切単価が1.65〜1.83k¥であるから、評価は「最良」となっている。
図6は本実施形態2に係る飼料生産装置1aの全体構成図である。また、図7は混練機10の説明図であって、(a)は全体構成図、(b)は部分構成図である。以下、本実施形態2に係る飼料の生産方法を適用可能な装置1aについて詳述する。
図6に示すように、この飼料生産装置1aは、本実施形態2に係る飼料としての製品9を生産するものであって、果物の柚子(原料C)を搾り機3bにかけたときの搾りカスを、上記実施形態1の場合と同様に、80℃〜90℃の温度範囲内に制御した温風で乾燥させて乾燥物8をつくり出す乾燥機7と、この乾燥物8に主材8aとしての米ぬかや小麦フスマ(上記実施形態1の吸着材6と同じものである。)を混ぜて、減圧下で練りながら、この混練物に油脂8bとしての大豆白絞油(だいずしらしめ)を浸み込ませる混練機10とを備えている。なお、大豆白絞油とは、大豆油を精製したものをいい、牛に与えたときに良い効果が期待できる。
混練機10は、図7(a)に示すように、全体視で略直方体状の真空容器101と、真空容器101の天井部を密閉可能に開閉して、その中に乾燥物8と主材8aとを投入可能とするための蓋102と、真空容器101内に投入された乾燥物8と主材8aとを混ぜて練るためのスクリュー式の撹拌機103と、撹拌機103を回転駆動するためのモーター104と、真空容器101内を減圧するための真空ポンプ105と、粘性液体状の油脂8bを充填した油脂容器106と、油脂容器106から油脂8bを吸引して加圧する油脂ポンプ107と、真空容器10内の左右側面にあって、油脂ポンプ107で吸引して加圧した油脂8bを間欠的に噴霧する油脂噴霧ノズル108と、真空容器101の底部奥側にあって、この真空容器101を蓋102などとともに回転可能とする回転軸109とを備えている。
そして、この混練機10では、図7(b)に示すように、混練開始前は、蓋102が真空容器101の天井部側にあって、蓋102を開けて、真空容器101内に、乾燥物8と主材8aとを投入可能となっている。
また、乾燥物8と主材8aとを真空容器101内に投入した状態で、蓋102を閉めてから、撹拌機103のモーター104と、真空ポンプ105と、油脂ポンプ107とを、図示しないスイッチを操作してそれぞれ通電することにより、真空容器101内が減圧されてから、乾燥物8と主材8aとを混練を開始し、その混練中に油脂噴霧ノズル108から油脂8bを間欠的に噴霧するようになっている。ここで、減圧下での混練中に油脂8bを噴霧するのは、空気の介在により、混練物に噴霧される油脂8bが、その混練物に均一に浸み込むのを妨害しないようにしたものである。また、油脂8bを間欠的に噴霧するのは、その油脂8bの粘性を考慮して、油脂ポンプ107の負荷低減と、油脂噴霧ノズル108の閉塞防止等を図ったものである。
混練終了後は、真空容器101を回転軸109を中心として図7(b)中の時計まわりに回転させて、蓋102が真空容器101の底部側にくるようにし、蓋102を開けると、乾燥物8と主材8aと油脂8bとの混練物である製品9が重力落下し、真空容器101内から取り出せるようになっている。
さらに、製品9が取り出された真空容器101は、回転軸109を中心として図7(b)中の反時計まわりに回転させて、蓋102が再び真空容器101の天井部側にくるようにし、混練開始前の状態に戻すことで、繰り返し作業ができるようになっている。
各要素間は、搬送対象に応じて搬送コンベアや配管ラインやフレキシブルチューブなどで適宜連結されている。果物2の原料Cとしては、ビタミンCが多い柚子のうちの、商品として流通させるための規格を外れているものが利用される。その他は上記とまったく同様であるから、詳細説明は割愛する。
引き続いて、この飼料生産装置1aの概略動作を説明する。なお、この動作を通じて本生産方法が具現化される。図8はその工程図である。
図8において、まず果物2の柚子である原料Cを搾り機3bにかけることで、有用な汁(それ自体がジュースとして商品価値がある。)に加えて、本来は不用となる搾りカスが得られる(ステップS11)。ここで、ビタミンCを多く含有する汁は有用であるが、その余りがあれば、図示しない専用タンクに集められて、これからも上記実施形態1と同様にして、乾燥物8をつくることができる。
ステップS11で得られた搾りカスは、有用な汁と分離されて収納容器4dに集められる(ステップS12)。ここで集められた搾りカスは、乾燥機7に入れて温風乾燥させることで、乾燥物8をつくる(ステップS13)。前記表2に示したように、柚子の搾りカスからつくられた乾燥物8に含まれるビタミンCの量は、300mg/100gとなる。
混練機10は、図7(b)に示すように、混練開始前には、蓋102が真空容器101の天井部側にあるが、その蓋102を開けて、真空容器101内に、乾燥物8と主材8aとを投入する。このとき、両者の投入量を調整することで、ビタミンCの含有量の調整を行う(ステップS14)。
例えば、牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンCの給与量が30mgである場合、乾燥物8に含まれるビタミンCの量は、300mg/100gとなるから、必要となる乾燥物8の量は計算できる。この計算された乾燥物8の量に、牛1頭当たりへの1日当たりの飼料の給与量となるように、主材8aを加えるとよい。牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンCの給与量が60mgである場合についても、同様にして、必要となる乾燥物8の量と、それに加えるべき主材8aの量とが決定される。
ついで、真空容器101の蓋102を密閉してから、前記スイッチをオン操作する。このスイッチは、最初はオフとなっているので、それをオン操作すると、真空ポンプ105が駆動され、撹拌機103のモーター104が駆動され、油脂ポンプ107が駆動される。各駆動時間は図示しないタイマーで予め設定しておくものとする。すると、真空容器101内では、所定の真空度になるまで徐々に減圧されていき、ビタミンCの含有量の調整された乾燥物8と主材8aとの混合体が、その減圧下で撹拌されながら、その混練物に油脂8bとしての大豆白絞油が間欠的に噴霧されて吸収される(ステップS15)。このようにして、乾燥物8と主材8aとの混練物に油脂8bを安定的に吸収させることができる。
前記タイマーのタイムアップで、油脂ポンプ107の駆動と、真空ポンプ105の駆動とが、それぞれ自動停止されるが、撹拌機103のモーター104の駆動だけは停止されない。このときには、乾燥物8と主材8aとの混合体に、油脂8bを噴霧されながらの混練作業が終了し、真空容器101内には、最終の製品(飼料)9がつくられている(ステップS16)。
混練終了後に、真空容器101を、回転軸109を中心として、図7(b)中の時計まわりに回転させて、蓋102が真空容器101の底部側にくるようにしてから、その蓋102を開ける。すると、まだ撹拌機103のモーター104の駆動だけが続行しており、その撹拌機103で押し出されるようにして、その表面が油脂9bでぬれたようになっている製品9が重力落下する。そして、図示しない容器等で受けることにより、その製品9を真空容器101内から容易に取り出すことができる。
さらに、製品9が取り出された真空容器101は、回転軸109を中心として図7(b)中の反時計まわりに回転させて、蓋102が再び真空容器101の天井部側にくるようにし、混練開始前の状態に戻す。このようにして、製品9を繰り返しつくることができる。すべての作業を終了するときには、前記スイッチをオフ操作することで、撹拌機103のモーター104の駆動も停止されるようになっている。
本実施形態2に係る飼料生産装置1aによれば、ビタミンCを含有する果物2としての柚子の搾りカスが温度制御した空気だけで乾燥されることにより、乾燥物8となし、この乾燥物8が主材8aに混ぜられたものが牛に与えられるので、熱に弱いビタミンCがほとんど壊れることなく乾燥されて、牛に与えられる結果、砂糖だけを与えたときのような肉質への影響が少なくなる。しかも、本製品9は、本来廃棄されている柚子の搾りカスを使用することで、きわめて安価なものとなる。特にビタミンCについては、人工的につくられたもの(化学製剤)は高価であるので、そのコスト低減の効果が大きい。
また、乾燥物8が主材8aに混ぜられたものに、減圧下で油脂8bが浸み込まされるので、ビタミンCが製品9である飼料中にほぼ均一に分散され、その飼料を牛に与えるだけでよくなる結果、化学製剤を飼料とは別個に、牛ごとに経口投与等することに比べて、多数の牛を飼っている農家の負担を大幅に軽減することができる。しかも、水溶性のビタミンCが牛の反芻胃内で分解されず、そのほとんどが腸で吸収されて、肝臓に蓄積されやすくなる結果、砂糖だけを与えたときのような肉質への影響がより少なくなる。
さらに、乾燥物8は、牛1頭当たりへの1日当たりのビタミンCの給与量が、略30〜60mgとなるように、主材8aに混ぜるので、さらに肉質への影響がより一層少なくなる。
なお、上記実施形態1では、野菜・果物2として、3種類の原料A,B,Cを例示しているが、2又は4種類以上であってもよい。ただし、その場合には、野菜・果物2の種類ごとに専用タンク4を設ける必要がある。
また、上記実施形態1では、専用タンク4の3つのサブタンクには、貯留された汁を、牛の月齢に応じた糖質の量となるように調整した状態で、別途用意された吸着材6に吸着させる手段としての糖度計5や図示しない撹拌機を適宜装備しているが、かかる手段を、専用タンク4とは別個に設けてもよい。
また、上記実施形態1では、複数種類の野菜・果物2に対して、1台の搾り機3bを使用することとしているが、野菜・果物2の種類ごとに搾り機3bを設けてもよい。
また、上記実施形態1で、野菜・果物2の汁におけるビタミンCあるいはビタミンB1と記述しているところについては、それらの一方だけでなく、それらの両方と読み替えてもよいのはもちろんである。
また、上記実施形態2では、ビタミンCを含む果実として、柚子だけを例示したが、その他の果実であってもよいし、さらには野菜であってもよい。
また、上記実施形態2では、牛の肥育期(後半)にビタミンCを給与しているが、上記実施形態1における同時期の牛に与える糖質(1.5重量%)とともに給与してもよいし、さらにはビタミンB1などとともに給与してもよい。また、上記実施形態1におけるように、導入から60日(前半)までの牛に与える糖質(2重量%)とともに給与してもよいし、さらにはビタミンB1などとともに給与してもよい。
また、上記実施形態2では、ビタミンCを含有する果物2としての柚子の搾りカスを乾燥し、この乾燥物8を主材とともに、減圧下で撹拌しながら油脂8bを浸み込ませて最終の製品9となしているが、その乾燥物8を中間製品として、別途販売等することとしてもよい。
また、上記実施形態1では、その生産過程において、空気だけで乾燥する機械乾燥を採用しているが、コスト低減を目的として、天日乾燥を採用してもよい。ただし、上記実施形態2では、ビタミンCが極端に少なくなるので、天日乾燥は採用しなかった。