以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態に係るレンズ鏡筒1は、図1に示すように、第1鏡筒本体6および第2鏡筒本体7と、第1鏡筒本体6の内側に配置された有底筒状の筒状体8と、第1鏡筒本体6の外側を覆うように配置された外殻体9と、を備える。また、レンズ鏡筒1は、第1レンズ11と第2レンズ12と第3レンズ13と第1レンズ枠21と第2レンズ枠22と第3レンズ枠23とを備える。レンズ鏡筒1は、被写体から第1レンズ11に入射する光をレンズ鏡筒1における第1レンズ11側とは反対側に配置された撮像素子(図示せず)に結像させる。更に、レンズ鏡筒1は、第1鏡筒本体6および第2鏡筒本体7の内側に配置された主ガイド軸31と副ガイド軸32(図2参照)と、第2レンズ枠22を移動させるためのリードスクリュー(図示せず)と、リードスクリューを駆動する駆動ユニット(図示せず)と、を備える。また、レンズ鏡筒1は、第2鏡筒本体7の底部79に配置され、主ガイド軸31の端部に連結される連結プレート41を備える。連結プレート41は、タップ螺子42により底部79に固定されている。
また、レンズ鏡筒1は、図2に示すように、第2鏡筒本体7に設けられ、第2レンズ枠22の位置を検出するための位置検出装置51を備える。第1鏡筒本体6、第2鏡筒本体7および筒状体8の筒軸は、光軸AXに一致するように設定されている。
なお、以下本明細書において、「後方」とは図1に示す光軸AXに沿った方向における撮像素子側(図1の下方)を意味し、「前方」とは図2に示す光軸AXに沿った方向における被写体側(図1の上方)を意味するものとして説明する。
鏡筒本体5は、略有底円筒状であり、内側に第3レンズ枠23を保持する第1鏡筒本体6と、内側に第1レンズ枠21および第2レンズ枠22を保持する第2鏡筒本体7とから構成される。
第1鏡筒本体6は、略円筒状に形成され、内側に第3レンズ枠23を保持する筒状体8が配置され、外側に外殻体9が配置される。第1鏡筒本体6は、例えば非光透過性の樹脂材料等から形成される。第1鏡筒本体6の側壁には、光軸AXに沿って延長された細長のスリット61が設けられている。第1鏡筒本体6の前端部には、第2鏡筒本体7が取着される。第1鏡筒本体6の側壁の光軸AX方向における中央部よりも後側の一部には、筒状体8に当接して筒状体8の後方への移動を規制する段部62が設けられている。また、第1鏡筒本体6の内側には、駆動ユニットが配置されている。
駆動ユニットは、例えばリードスクリューをその長手方向に沿った軸を中心に回転させるための駆動力を提供するモータ(例えば、ステッピングモータ)と、歯車列(図示せず)とを組み合わせることにより構成される。
第2鏡筒本体7は、略有底円筒状であり、底部79に平面視略円形の開口部79aを有する。第1レンズ枠21、第2レンズ枠22は、第2鏡筒本体7における、開口部79aを覆う位置と、開口部79aよりも光軸AX方向における内側の位置とのそれぞれに配置される。側壁72には、図2に示すように、位置検出装置51を第2鏡筒本体7に取り付けるための窓部72aが形成されている。窓部72aの形状は、位置検出装置51の形状に適合した形状に設定されている。底部79の開口部79aの外周部における窓部72aの前面側に位置し且つ第2鏡筒本体7の筒軸方向に直交する方向に平行な平行面79dには、位置検出装置51の位置決め用の位置決め用リブ79bが設けられている。また、平行面79dには、タップ螺子(取付部材)518により螺子孔79c(図6参照)が穿孔される。また、底部79の開口部79aの外周部には、連結プレート41が配置される窪み部75が設けられている。第2鏡筒本体7は、例えば非光透過性の樹脂材料等から形成される。
図1に戻って、第2鏡筒本体7は、後方に延出する複数の延出片71を有する。各延出片71には、取付部材101の一部が挿通される挿通孔(図示せず)が設けられている。取付部材101は、例えばボルトとナットとから構成される。第2鏡筒本体7は、延出片71に設けられた挿通孔および第1鏡筒本体6のスリット61に一部が挿通された取付部材101により第1鏡筒本体6に取着されている。
リードスクリューは、光軸AXに沿って第1鏡筒本体6の内側から第2鏡筒本体7の内側に亘って延長する形で配置されている。リードスクリューは、第1鏡筒本体6の内側に配置された駆動モータに連結されている。
筒状体8は、略有底円筒状に形成され底部81aの略中央部に第3レンズ枠23を保持するための開口部81bが形成された枠保持部81と、略円筒状に形成され、その後端部が第1鏡筒本体6の段部62に当接した状態で第1鏡筒本体6に取り付けられる取付部82と、を備える。取付部82は枠保持部81の後方に位置し枠保持部81と一体に形成されている。枠保持部81におけるリードスクリューに対応する位置には、リードスクリューを後方から前方へ挿通させる挿通孔(図示せず)が貫設されている。筒状体8は、例えば非光透過性の樹脂材料等から形成される。
外殻体9は、略円筒状に形成されている。外殻体9の側壁には、図2に示すように、レンズ鏡筒1がカメラ本体(図示せず)に取り付けられた状態でレンズ鏡筒1全体のカメラに対する位置決めを行うためのカム溝91が設けられている。外殻体9は、例えば樹脂材料等から形成される。
図1に戻って、第1レンズ11は、主として画角を設定するためのレンズである。第1レンズ11は、例えば透光性を有するガラスから形成された球面レンズで構成される。また、第1レンズ11は、例えば前面が凸状に形成された凸型レンズで構成される。
第2レンズ12および第3レンズ13は、鏡筒本体5における、開口部79aよりも光軸AX方向における内側に配置される。第2レンズ12は、第2鏡筒本体7の内側に配置され、第3レンズ13は、第1鏡筒本体6の内側に配置される。第2レンズ12および第3レンズ13は、撮像画像の解像度を調整するためのレンズである。第2レンズ12および第3レンズ13は、例えば透光性を有するガラスから形成された球面レンズで構成される。また、第2レンズ12は、例えば被写体側表面が凸状に形成された凸型レンズで構成され、第3レンズ13は、例えば後面が窪んだ凹型レンズで構成される。
第1レンズ枠21は、第1レンズ11を保持する。第1レンズ枠21は、略円筒状の形状を有する枠本体211と、第1レンズ11を保持するレンズ保持部212と、第1レンズ枠21を鏡筒本体6に固定するための固定片(図示せず)と、を備える。枠本体211とレンズ保持部212と固定片とは、例えば樹脂材料やアルミダイカスト等により一体に形成される。
レンズ保持部212は、枠本体211の全周に亘って形成され、枠本体211の後端部から第1レンズ枠21の筒軸方向に直交し且つ第1レンズ枠21の筒軸に向かう方向に張り出している。第1レンズ11は、レンズ保持部212の前側に接着材により固定される。固定片は、第2鏡筒本体7の底部79に固定される。
第2レンズ枠22は、第2レンズ12を保持する。第2レンズ枠22は、主ガイド軸31、副ガイド軸32に沿って光軸AXに沿った方向に移動させることができる。これにより、ピント調整を行ったりズーム機能を実現したりすることができる。第2レンズ枠22は、図3に示すように、平面視円形の開口部221aを有する板状の枠本体221と、第2レンズ12を保持するレンズ保持部222と、第2レンズ枠22を主ガイド軸31、副ガイド軸32に沿って案内させるための主案内部223および副案内部224と、を備える。また、第2レンズ枠22は、リードスクリューに螺合するナット(図示せず)を保持するナット保持部225と、マグネット(被検出部)52を保持するマグネット保持部226と、を備える。第2レンズ枠22を構成する各要素は、例えば樹脂材料やアルミダイカスト等により一体に形成される。ここで、第1レンズ11の材料と第1レンズ枠21の材料とで線膨張係数等がある程度大きく異なる場合、接着剤として弾性接着剤を採用することもできる。弾性接着剤は、熱等による第1レンズ11の膨張や収縮を吸収することができるので、第1レンズ11の変形を抑制することができる。
枠本体221は、主案内部223と副案内部224とを介して、主ガイド軸31および副ガイド軸32により支持される。レンズ保持部222は、開口部221aの外周部全体に亘って形成され、枠本体221の後面側から開口部221aの中心に向かって突出している。第2レンズ12は、レンズ保持部222の前面側に接着材により固定される。主案内部223は、細長の略矩形箱状に形成され、枠本体221の開口部221a側とは反対側の周縁部の一部から後方に向かって延出している。主案内部223は、長手方向において対向する一対の周壁それぞれに主ガイド軸31が挿通される挿通孔223d,223eを有する。副案内部224は、枠本体221の開口部221a側とは反対側の周縁部における主案内部223と開口部221aの中心を挟んで対向する位置に設けられる。副案内部224は、枠本体221の周縁部から枠本体221の厚さ方向に直交し且つ開口部221aから離れる方向へ延出する2つの脚片224a、224bから構成される。2つの脚片224a、224bは、図2に示すように、副ガイド軸32を側方から挟むように配置される。
図3に戻って、ナット保持部225およびマグネット保持部226は、枠本体221の周部における主案内部223、副案内部224以外の一部に配設されている。マグネット保持部226は、略矩形板状であり、枠本体221の開口部221a側とは反対側の周縁部の一部から後方に向かって延出している。マグネット保持部226における第1鏡筒本体6の内周部に近接する面側には、マグネット52が嵌合される窪み部226aが形成されている。
第2レンズ枠22は、主案内部223の挿通孔223dに主ガイド軸31が挿通されるとともに、副案内部224が副ガイド軸を挟持した状態で、前後方向に移動可能となっている。駆動ユニットがリードスクリューを駆動すると、第2レンズ枠22が主ガイド軸31および副ガイド軸に案内されて前後方向に移動する。
図1に戻って、第3レンズ枠23は、第3レンズ13を保持する。第3レンズ枠23は、略円筒状の枠本体231と、第3レンズ枠23を筒状体8に固定するための固定片233と、を備える。枠本体231とレンズ保持部232と固定片233とは、例えば樹脂材料やアルミダイカスト等により一体に形成される。
枠本体231は、筒状体8の開口部81bに嵌合されて固定片233における被写体側の一面が筒状体8の底部81aに当接した状態で固定される。レンズ保持部232は、枠本体231の全周に亘って形成され、枠本体231の後端部から枠本体231の筒軸方向に直交し且つ枠本体231の筒軸に向かう方向に張り出している。第3レンズ13は、その周部がレンズ保持部232の前面側に接着材により固定される。固定片233は、螺子(図示せず)を挿通させるための挿通孔(図示せず)を有する。一方、筒状体8の枠保持部81の底部81aの前面における3つの固定片233それぞれに対応する位置には、螺子孔(図示せず)が穿設されている。
主ガイド軸31および副ガイド軸は、いずれも光軸AXに沿って延長された細長の棒状部材である。主ガイド軸31は、長手方向における一端部が第1鏡筒本体6の内側に設けられた第1支持部(図示せず)で支持され、他端部が連結プレート41に連結されている。ここで、第1支持部は、主ガイド軸31を光軸AXに直交する方向において移動可能に支持している。副ガイド軸32は、長手方向における一端部が第2鏡筒本体7の内側の第2支持部(図示せず)で保持されている。副ガイド軸32の他端部は、図2に示すように、第2鏡筒本体7の底部79における開口部79aの外周部に貫設された孔73に固定されている。第2支持部は、第1鏡筒本体6に固定されている。
図1に戻って、連結プレート41は、例えば樹脂材料等から形成される。連結プレート41は、第2鏡筒本体7の底部79にタップ螺子42により取着される。連結プレート41を移動させることにより主ガイド軸31を移動させると、図4に示すように、第2レンズ12および第2レンズ枠22は、副ガイド軸32を中心として回転するように移動する。このようにして、連結プレート41を移動させることにより第2レンズ枠22の光軸AXに直交する方向での位置調整を行うことができる。
位置検出装置51は、図2に示すように、センサユニット511と、センサユニット511を第2鏡筒本体7に連結するためのセンサ保持部材512と、を備える。センサ保持部材512は、螺子517によりセンサユニット511が固定され、タップ螺子518により第2鏡筒本体7に取り付けられている。
センサユニット511は、図5に示すように、磁気センサ513と、磁気センサ513を保持するセンサ保持枠514と、センサ保持枠514を第2鏡筒本体7に取り付けるための取付部515、516と、を備える。
磁気センサ513は、例えば4つの磁気抵抗効果素子を用いたブリッジ回路を有する矩形板状のチップであり、厚さ方向における一面側に4つの電極513aが配設されている。磁気センサ513は、図6に示すように、第2鏡筒本体7に取り付けられた状態において、その厚さ方向における他面側が第2レンズ枠22に取り付けられたマグネット52に対向するように配置される。
センサ保持枠514は、矩形枠状の第1枠体514aと、第1枠体514aと一体に形成され第1枠体514aをその厚さ方向から見たときの3辺を囲むように配置された第2枠体514bと、第2枠体514bと一体に形成されたリブ514cと、を備える。第1枠体514aは、その厚さ方向から見て、その内側の各辺に、対向する辺側に向かって突出する突出部514dを有する。第1枠体514aは、磁気センサ513の端面を、対向する2辺の突出部514dの先端部で挟持する形で磁気センサ513を保持する。第2枠体514bの厚さは、第1枠体514aの厚さに比べて厚い。第2枠体514bにおける、磁気センサ513の電極513aが配設される一面側とは反対側の他面側(図6のマグネット52側)の端面は、第1枠体514aの磁気センサ513の他面側の端面と面一となっている。第2枠体514bにおける、磁気センサ513の電極513aが配設される一面側(図6のマグネット52側とは反対側)の端面は、第1枠体514aの磁気センサ513の一面側の端面よりも突出している。リブ514cには、図6に示すように、センサ保持部材512をセンサユニット511に取り付けるための螺子517が螺合する螺子孔514eが貫設されている。
図5に戻って、取付部515、516は、センサ保持枠514から互いに離れる方向に突出している。取付部515、516は、センサ保持枠514の第2枠体514bと一体に形成されている。取付部515、516は、それぞれセンサ保持部材512に取着された状態でセンサ保持部材512に当接する当接面515a、516aに、略円柱状であり、センサ保持部材512がセンサユニット511に対して移動するのを規制するための突起部515b、516bを有する。取付部515は、取付部516に比べてセンサ保持枠514からの突出量が小さい。取付部515、516は、それぞれ先端部に近づくほど取付部515、516のセンサ保持枠514の厚さ方向における幅が小さくなるように傾斜した傾斜面515c、516cを有する。
センサ保持部材512は、センサユニット511が取り付けられる矩形板状の主片512aと、主片512aの一辺からこの一辺および厚さ方向に直交する方向に延出する矩形板状部材の先端部512cを厚さ方向に折り曲げてなる折曲片512bと、を備える。折曲片512bの先端部(固定部)512cは、センサ保持部材512における平行面79dに連結される部位に相当し、平行面79dに対向する面側で平行面79dに面接触している。主片512aにおける突起部516bに対応する位置には、平面視円形であり内径が突起部516bの外径と略同じ孔512eが貫設されている。一方、主片512aにおける突起部515bに対応する位置には、突起部515bの外径よりも横長の孔512dが貫設されている。これにより、センサユニット511の製造における突起部515bと516bとの間の寸法公差を吸収することができる。主片512aにおけるリブ514cに穿設された螺子孔に対応する位置には、主片512aを厚さ方向に貫通し螺子517が挿通される貫通孔512fが設けられている。折曲片512bの先端部512cには、先端部512cを厚さ方向に貫通しタップ螺子518が挿通される平面視円形状の貫通孔512gと、先端部512cを厚さ方向に貫通し位置決め用リブ79bが挿通される平面視矩形状の開口部(位置決め用開口部)512hと、が設けられている。貫通孔512gの内径は、予め設定された調整範囲を規定する大きさに設定されている。ここで、調整範囲を規定する大きさは、例えば貫通孔512gに挿通されるタップ螺子518の軸部の外径よりも数十μm程度長く設定される。
図2に戻って、タップ螺子518は、軸部と頭部518aとから構成される。軸部の外径は、センサ保持部材512の貫通孔512g(図5参照)の内径よりも小さく、頭部518aの外径は、貫通孔512gの内径よりも大きい。タップ螺子518を締め付けると、第2鏡筒本体7の平行面79dに螺子孔79c(図7参照)が形成される。そして、センサ保持部材512は、その貫通孔512gの外周部が第2鏡筒本体7の平行面79dと頭部518aの後面との間で挟持された状態で第2鏡筒本体7に固定される。一方、タップ螺子518を緩めると、センサ保持部材518は、第2鏡筒本体7の平行面79dに沿って移動可能となる。
<位置検出装置の取り付け方法>
次に、本実施の形態に係る位置検出装置51の第2鏡筒本体7への取り付け方法について図7および図8を参照しながら説明する。
まず、図7に示すように、磁気センサ513をセンサ保持枠514の第1枠体514aの内側に嵌入し、磁気センサ513を突出部514dにより挟持される形で第1枠体514aに固定する。次に、取付部515、516を、第2鏡筒本体7の窓部72aに挿入する(図7中の一点鎖線矢印参照)。このとき、センサユニット511は、取付部516の傾斜面516c側の一部が、第2鏡筒本体7の側壁72の内側に位置するように配置される。
続いて、図8に示すように、センサ保持部材512を、開口部512hの内側に位置決め用リブ79bが嵌入され、孔512d、512eそれぞれに突出部515b、516bが嵌入される形で配置する(図8中の一点鎖線参照)。これにより、センサ保持部材512は、第2鏡筒本体7の側壁72の窓部72aに配置されたセンサユニット511を第2鏡筒本体7の側方から覆うように配置される。
その後、センサ保持部材512の貫通孔512fに挿通された螺子517をセンサユニット511の螺子孔514eに螺合させることにより、センサ保持部材512にセンサユニット511を固定する。次に、磁気センサ513とマグネット52との間の距離が予め設定された距離となるように磁気センサ513の位置を微調整する。
最後に、貫通孔512gに挿通させたタップ螺子518により、センサ保持部材512を第2鏡筒本体7に固定する。
<磁気センサの位置調整方法>
次に、磁気センサ513の位置調整方法について説明する。磁気センサ513の位置調整は、センサ保持部材512がセンサユニット511に固定された状態で行われる。
本実施の形態に係るレンズ鏡筒1では、磁気センサ513とマグネット52との間の間隔を調整できる。例えば図9(A)に示すように、位置決め用リブ79bがセンサ保持部材512の開口部512hの中央部に位置している場合、磁気センサ513とマグネット52との間の間隔が距離G1に設定されているとする。そして、位置検出装置51全体を、マグネット52から離れる方向に移動させると(図9(A)の矢印参照)、例えば図9(B)に示すように、磁気センサ513とマグネット52との間の間隔を距離G1よりも長い距離G2に設定できる。このようにして、磁気センサ513とマグネット52との間の間隔を、最適な間隔に調整する。なお、最適な間隔は、例えば0.05mmから0.15mmまでの範囲内の間隔に設定されている。
また、位置検出装置51は、第2鏡筒本体7の位置決め用リブ79bがセンサ保持部材512の開口部512hの内周部に当接した状態(例えば図9(B)参照)になるまで、マグネット52から遠ざかる方向または近づく方向へ移動できる。このように、位置検出装置51の移動可能幅は、センサ保持部材512の開口部512hの形状および大きさと位置決め用リブ79bの形状および大きさとにより制限される。そこで、本実施の形態では、マグネット52の位置の組立誤差に基づいて、開口部512hおよび位置決め用リブ79bの形状および大きさを設定することが好ましい。
以上説明したように、本実施の形態に係るレンズ鏡筒1では、第2鏡筒本体7が、周壁におけるマグネット52に対応する位置に設けられた窓部72aを有する。また、位置検出装置51が、第2鏡筒本体7の外側から窓部72aを介してマグネット52を検出するように配置されたセンサユニット511と、センサユニット511を保持しており、底部79の外面にタップ螺子518により固定されるセンサ保持部材512と、を有する。これにより、第2鏡筒本体7の外側から底部79の外面におけるタップ螺子518により固定される位置を変えることにより、センサユニット511の位置を変更することができる。従って、第2レンズ12および第2レンズ枠22が第2鏡筒本体7に取り付けられた状態で、マグネット52とセンサユニット511との相対的な位置関係の調節ができる。ここで、第2レンズ枠22を第2鏡筒本体7の内側に取り付けた後、マグネット52とセンサユニット511との相対的な位置関係のずれが判明したとする。この場合でも、レンズ鏡筒1を解体することなく、マグネット52とセンサユニット511との相対的な位置関係の調整を行うことができるので、組立作業の効率化を図ることができる。
ところで、第2レンズ枠22が第2鏡筒本体7の内側に取り付けられた状態で、連結プレート41を移動させることにより第2レンズ枠22の位置調整を行ったとする。この場合、図4に示すように、第2レンズ枠22に保持されたマグネット52と、センサユニット511の磁気センサ513との間の間隔も変化してしまう。例えば、第2レンズ枠22の位置調整前にマグネット52と磁気センサ513との間の間隔を最適な間隔G11に設定したとしても、第2レンズ枠22の位置調整を行うと、その間隔が最適な間隔G11からずれた間隔G12に変化してしまう。
これに対して、本実施の形態に係るレンズ鏡筒1では、第2レンズ枠22を第2鏡筒本体7の内側に取り付けられた状態で、センサユニット511の位置を変更できる。従って、第2レンズ枠22の位置調整によりマグネット52と磁気センサ513との間の間隔が最適な間隔G11からずれたとしても、第2レンズ枠22を位置調整後の位置で維持したままその間隔を最適な間隔G11に修正することができる。
本実施の形態に係るレンズ鏡筒1では、第2鏡筒本体7が、第2鏡筒本体7の筒軸方向に直交する方向に平行な平行面79dを有する。そして、センサ保持部材512における底部79の外面に連結される先端部512cは、平行面79dに面接触する。これにより、先端部512cを平行面79dに沿って摺動させることができるので、マグネット52とセンサユニット511との間の筒軸方向に直交する方向における距離を変化させることができる。従って、マグネット52と磁気センサ513との間の筒軸方向に直交する方向における距離の調整ができる。
本実施の形態に係るレンズ鏡筒1では、第2鏡筒本体7が、底部79における開口部79aの外周部に位置検出装置51の位置決めを行うための位置決め用リブが79b設けられている。そして、センサ保持部材512における、第2鏡筒本体7の底部79における開口部79aの外周部に配置される部位には、位置決め用リブ79bが嵌入される開口部(位置決め用開口部)512hが設けられている。これにより、センサ保持部材512にセンサユニット511が固定された状態で、位置決め用リブ79bが開口部512hに嵌入される形でセンサ保持部材512を配置するだけで、センサユニット511が略適正な位置に配置される。従って、位置決め用リブ79bを備えない構成に比べて、センサユニット511の位置決め作業が容易になるという利点がある。
本実施の形態では、タップ螺子518の軸部が挿通される貫通孔512gの内径が、予め定められた調整範囲を規定する大きさに設定されている。これにより、タップ螺子518の先端部を第2鏡筒本体7の底部79に螺子止めした状態で位置検出装置51を移動させることができる。従って、例えば一度タップ螺子518を締め付けて位置検出装置51を第2鏡筒本体7に固定した後に、マグネット52の位置ずれが生じたとする。この場合でもタップ螺子518を緩めて位置検出装置51を動かすことで、比較的容易に磁気センサ513の位置をマグネット52の位置に適合するように修正できるという利点がある。
また、本実施の形態では、位置検出装置51のセンサ保持部材512がタップ螺子42を用いて第2鏡筒本体7に固定される。これにより、予め第2鏡筒本体7に螺子孔等を穿設しておく必要がないので、第2鏡筒本体7の製造方法の簡略化を図ることができる。また、位置検出装置51の移動可能幅が、センサ保持部材512を螺子止めするための螺子孔の位置に制限されることがないので、磁気センサ513の位置調整の自由度を広げることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態または変形例に係る光学機器は、図10に示すように、実施の形態1で説明したレンズ鏡筒1と、レンズ鏡筒1が取り付けられたデジタルカメラ3000と、を備える。デジタルカメラ3000は、撮像素子3001と、レンズ鏡筒1が取り付けられる取付部3002とを備える。レンズ鏡筒1は、その光軸AXが、撮像素子3001の略中央部を通るように、デジタルカメラ3000に取り付けられる。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。
[変形例]
実施の形態1では、磁気センサ513とマグネット52との間の間隔のみを調整できる例について説明した。但し、例えば、磁気センサ513の厚さ方向における、磁気センサ513とマグネット52との重なり度合や磁気センサ513のマグネット52に対する傾きを調整することができる構成であってもよい。
本変形例に係るレンズ鏡筒1では、図11(A)に示すように、センサ保持部材2512の平面視長方形状の開口部(位置決め用開口部)2512hの短手方向の幅L1が、平面視長方形状の位置決め用リブ79bの短手方向の幅L2に比べて広い。これにより、位置検出装置2051を、有底円筒状の第2鏡筒本体7の周方向に移動させると(図11(A)の矢印参照)、例えば図11(B)に示すように、磁気センサ513が、マグネット52に対して第2鏡筒本体7の周方向に幅W1だけずれた位置に移動する。ここで、位置検出装置51は、第2鏡筒本体7の位置決め用リブ79bがセンサ保持部材512の開口部512hの内周部に当接した状態(例えば図11(B)参照)になるまで、第2鏡筒本体7の周方向へ移動できる。
また、本変形例に係るレンズ鏡筒1では、図12に示すように、位置検出装置2051を、センサ保持部材2512の貫通孔512gの中心を軸として旋回するように移動させて、磁気センサ513をマグネット52に対して角度θ1だけ傾けることができる。ここで、位置検出装置51は、位置決め用リブ79bが開口部2512hの内周部に当接した状態になるまで、センサ保持部材512の貫通孔512gの中心を軸として旋回できる。
本変形例においても、位置検出装置51の移動可能幅および傾き角度は、センサ保持部材2512の開口部2512hの形状および大きさと位置決め用リブ79bの形状および大きさとにより制限される。そこで、本変形例においても、マグネット52の位置の組立誤差に基づいて、開口部2512hおよび位置決め用リブ79bの形状および大きさを設定することが好ましい。
本構成によれば、磁気センサ513とマグネット52との間の間隔のみならず、磁気センサ513の厚さ方向における、磁気センサ513とマグネット52との重なり度合や磁気センサ513のマグネット52に対する傾きを調整することができる。従って、磁気センサ513のマグネット52に対する相対的な位置をより最適な位置に設定することができる。
実施の形態1では、位置検出装置51のセンサ保持部材512の先端部512cが、第2鏡筒本体7の側壁72に形成された窓部72aの前面側に位置する平行面79dに取り付けられる例について説明した。但し、センサ保持部材512の第2鏡筒本体7への取り付け構造はこれに限定されるものではない。例えば、第2鏡筒本体7の底部79に窪み部が設けられた構成であれば、センサ保持部材512の一部が、窪み部における、第2鏡筒本体7の筒軸方向に直交する方向に平行な側面(平行面)に螺子により取り付けられる構成であってもよい。
例えば図13に示すように、本変形例に係るレンズ鏡筒1001では、第2鏡筒本体1007の窪み部75の側面75aに、位置検出装置1051のセンサ保持部材1512が螺子1518で取り付けられている。なお、図13において、実施の形態と同様の構成については図2と同一の符号を付している。
センサ保持部材1512は、主片512aと、主片512aの一辺からこの一辺および厚さ方向に直交する方向に延出する細長の延出片1512bと、延出片1512bの先端部から主片512aの厚さ方向に突出する突出片1512cと、を備える。突出片1512cは、センサ保持部材1512における窪み部75の側面75aに連結される部位に相当し、側面75aに対向する面側で側面75aに面接触している。突出片1512cには、突出片1512cを厚さ方向に貫通しタップ螺子518が挿通される貫通孔1512g(図14参照)と、突出片1512cを厚さ方向に貫通し位置決め用リブ1079bが挿通される平面視矩形状の開口部(位置決め用開口部)1512hと、が設けられている。
本変形例に係るレンズ鏡筒1001では、磁気センサ513の光軸AXに沿った方向(マグネット52の長手方向)に対する傾きを調整することができる。図14に示すように、位置検出装置51全体を、センサ保持部材1512の貫通孔1512gの中心を軸として旋回するように移動させて、磁気センサ513をマグネット52の長手方向に対して角度θ2だけ傾けることができる。ここで、位置検出装置1051は、位置決め用リブ1079bが開口部1512hの内周部に当接した状態になるまで、センサ保持部材512の貫通孔1512gの中心を軸として旋回できる。
本構成によれば、磁気センサ513の光軸AXに沿った方向(マグネット52の長手方向)に対する傾きを調整することができるので、マグネット52が光軸AXに沿った方向に対して傾いている場合でも磁気センサ513の位置調整を適切に実施できる。
実施の形態1では、センサ保持部材512がタップ螺子518により第2鏡筒本体7の底部79(平行面79d)に螺子止めされる例について説明したが、センサ保持部材512の第2鏡筒本体7への取り付け方法はこれに限定されない。例えば、第2鏡筒本体に予め螺子孔を穿設しておき、センサ保持部材512の貫通孔512gを螺子孔の位置に合わせてから螺子孔に螺子を螺合させて固定する方法であってもよい。或いは、センサ保持部材512の先端部512cを接着剤により第2鏡筒本体7に固着する方法であってもよい。
実施の形態1では、第1レンズ枠21を取り付ける第2鏡筒本体が有底円筒状である構成について説明したが、第2鏡筒本体の形状は、これに限定されるものではない。例えば、第2鏡筒本体が、底部のない筒状であってもよい。この場合、第2鏡筒本体は、例えばその側壁に、筒軸方向に直交する方向に平行な平行面を有する板状の外鍔部(図示せず)を備える構成とすればよい。ここで、センサ保持部材512の一部が、外鍔部の平行面に取り付けられる。
実施の形態1では、センサユニット511が磁気センサ513を備え、第2レンズ枠22がマグネット52を保持する例について説明したが、センサユニット511が備えるセンサの種類は磁気センサに限定されるものではない。例えば、センサユニット511が、フォトカプラを備え、第2レンズ枠22が例えば光軸AX方向の位置に応じてフォトカプラの出力信号を変化させることができるような構造を備える構成であってもよい。
また、磁気センサ513とマグネット52との間の距離の微調整は、例えば磁気センサ513で検出される信号強度を出力する信号強度計測装置(図示せず)を用いて行ってもよい。例えば信号強度計測装置を磁気センサ513に接続した状態で、信号強度が予め定められた大きさ以上となるように、磁気センサ513の位置を微調整すればよい。なお、磁気センサ513の位置は、磁気センサ513で出力される信号強度が最大信号となるように、調整されてもよい。
実施の形態1に係るレンズ鏡筒1では、使用するレンズの枚数が3枚である例について説明したが、レンズの枚数は3枚に限定されるものではなく、2枚であってもよいし4枚以上であってもよい。
実施の形態1では、第1レンズ11、第2レンズ12および第3レンズ13が、それぞれ第1レンズ枠21、第2レンズ枠22および第3レンズ枠23に接着剤により固定される例について説明した。但し、レンズのレンズ枠への固定方法は、これに限定されるものではなく、例えば、熱かしめによりレンズをレンズ枠に固定させてもよい。この場合、レンズ枠21、22、23の材料としては、熱かしめに適した樹脂材料が好ましい。具体的には、ポリカーボネート(PC:Poly Carbonate)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリアミド樹脂(PA)等が挙げられる。熱かしめは、レンズ11、12、13を形成する材料と、レンズ枠21、22、23を形成する材料とで、線膨張係数の差が比較的小さい場合に採用するのが好ましい。
また、実施の形態1に係る第1レンズ11、第2レンズ12および第3レンズ13は、球面レンズやフレネルレンズ、非球面レンズのいずれであってもよい。球面レンズやフレネルレンズの場合、レンズの加工や組立調整が容易であるため、加工や組立調整における誤差によるレンズ鏡筒の光学性能の変化を抑制できる。非球面レンズは、研削加工により形成された非球面レンズ、ガラスを型に流し込むことにより形成されたガラスモールド非球面レンズ、ガラスレンズの表面に非球面形状に形成された樹脂を設けた複合型非球面レンズのいずれであってもよい。或いは、屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)等であってもよい。
実施の形態1では、レンズ11、12、13がガラスから形成される例について説明したが、レンズ11、12、13の材料はガラスに限定されるものでない。レンズ11、12、13の材料としては、屈折率、アッベ数、部分分散比および線膨張係数等の物理的性能や耐久性能等が適当なものであればガラス以外の透光性材料であってもよい。
なお、実施の形態1に係るレンズ鏡筒では、必要に応じて、レンズ体の表面に、様々な加工を施すことも可能である。この加工の例として、レンズ体の曇り防止や水滴形成防止のために表面部を光触媒などにより親水化することが挙げられる。例えば、カメラモジュールや光学機器や電子機器などでの使用時等に外部に晒される可能性がある部位に対して、レンズ本体の曇り防止や水滴形成防止のために、光触媒等により親水化する加工等が挙げられる。
実施の形態1に係る第1レンズ枠21、第2レンズ枠22および第3レンズ枠23は、外部からの衝撃等により回転しないような形状であればその形状は特に限定されるものではない。
実施の形態1では、レンズ鏡筒1が、レンズ11、12、13やレンズ枠21、22、23等を備える例について説明したが、レンズ鏡筒1が備える部材は実施の形態1で説明した部材に限定されるものではない。例えば、撮像素子により撮影された画像に発生するゴースト画像を抑制するための遮光部材やレンズ11、12、13それぞれの収差を吸収するための光学部材、防水のための防水部材、IRカットフィルタ、その他部材を備えるものであってもよい。
実施の形態2では、レンズ鏡筒1がデジタルカメラ3000に取り付けられた光学機器の例について説明したが、レンズ鏡筒1が用いられる機器は光学機器に限定されるものではない。例えば、レンズ鏡筒1がデジタルカメラ以外の機器(例えば携帯電話等)に取り付けられズーム撮影機能を備えた電子機器を構成するものであってもよい。