図1〜図7はこの発明の実施形態である給湯口アダプターを示す図である。これらの図に示すように、本実施形態の給湯口アダプターは、浴槽の側壁に設けられた取付孔に組み付けられる。この給湯口アダプターは、室外の給湯機から供給された湯水を浴槽内に供給する湯はり処理、浴槽内の湯水を吸い込んで室外の給湯機に送り、そこで再加熱して高温のお湯を浴槽内に戻す追い焚き処理の他に、浴槽内の湯水に、マイクロバブル(ナノバブルも含む)が混入された湯水であるマイクロバブル水を噴出して浴槽内にマイクロバブルを発生させるバブル発生処理を行うことができる。
本実施形態の給湯口アダプターは、槽外取付部材1と、雄ねじ部材2と、流路仕切部材3と、カバー部材としてのフィルター部材9とを基本的な構成要素として備えている。なお、本明細書においては、給湯口アダプターの軸心方向に沿って浴槽に対して内側(図4〜図7の左側)を「前側」または「正面側」とし、浴槽に対して外側(図4〜図7の右側)を「後側」または「裏面側」として説明する。
槽外取付部材1は、前面側が開放され、かつ後面側が閉塞された円筒形状を有している。この槽外取付部材1は、円筒状の外周壁11と、外周壁11の内側に同軸上に設けられた円筒状の中間仕切壁12と、中間仕切壁12の内側に同軸上に設けられた円筒状の内周壁13とを備えた三重管構造を有している。外周壁11および中間仕切壁12間には、環状の戻り回路1aの一部が形成されるとともに、中間仕切壁12および内周壁13間には、環状の往き回路1bの一部が形成され、さらに内周壁13の内側には、バブル回路1cの一部が形成されている。
なお、槽外取付部材1は、内周壁13の内側には、後に詳述するように同軸上にエアー回路用パイプ14が挿通配置され、そのパイプ14によってエアー回路1dが形成される。このように内周壁13の内側にエアー回路1dが形成されるため、槽外取付部材1は、組付状態では、実質的に四重管構造となる。
槽外取付部材1の後端部には、外周壁11および中間仕切壁12間における戻り回路1aに連通するパイプ状の戻り回路用外管接続部10aと、中間仕切壁12および内周壁13間における往き回路1bに連通するパイプ状の往き回路用外管接続部10bと、内周壁13内のバブル回路1cと連通するパイプ状のバブル回路用外管接続部10cとがそれぞれ一体に形成されている。
また内周壁13の内部(バブル回路1c)の後端は後方に開放されており、その後端開口部には、Lパイプ状のエアー回路用引出管部材10dの一端部が水密状態に連結固定されており、エアー回路用引出管部材10dの他端開口部が外部に開放されている。
また槽外取付部材1の前端開口縁部には、外側に突出するようにフランジ部15が一体に形成されている。
さらにフランジ部15には、そのフランジ部15と浴槽外壁面との間の水密を図るためのパッキン82が嵌め込まれている。
なお、槽外取付部材1における外周壁11の内面には、雌ねじ(図示省略)が刻設されている。
図4〜図7に示すように、雄ねじ部材2は、前端外周に外側に突出するフランジ部25を有する鍔付き円筒形状に形成されている。
この雄ねじ部材2の胴部外周には、上記槽外取付部材1の外周壁内面に設けられた雌ねじにねじ込み可能な雄ねじ(図示省略)が刻設されている。
そして、槽外取付部材1のフランジ部15が、浴槽外壁面における取付孔の周縁部に沿うように配置された状態で、雄ねじ部材2のフランジ部25が、パッキン83(図4参照)を介して浴槽内壁面における取付孔の周縁部に圧接されるようにして、雄ねじ部材2の胴部が浴槽壁の取付孔を通じて、槽外取付部材の外周壁内11にねじ込まれて固定される。これにより両部材1,2のフランジ部15,25によって、浴槽側壁における取付孔の周縁部が挟持されて、両部材1,2が浴槽側壁に貫通状態に組み付けられる。
図4〜図11に示すように、流路仕切部材3は、軸心方向(前後方向)に延びる円筒形状の円筒部30と、その円筒部30の前端部に設けられた略円盤状ないし略ドラム状の槽内配置部4とを有している。
円筒部30は、円筒状の外周壁31と、その内側に同軸上に設けられた内周壁32とを備えた二重管構造を有している。
そして後述するように、流路仕切部材3が雄ねじ部材2に組み付けられた状態では、外周壁31と雄ねじ部材2の胴部との間に管状の戻り回路1aの一部が形成されるとともに、外周壁31および内周壁32間に管状の往き回路1bの一部が形成され、さらに内周壁32の内側にバブル回路1cの一部が形成されるようになっている。
なお、円筒部30の内周壁32の内側には、後述するように同軸上にエアー回路用パイプ14が挿通配置される。従ってエアー回路用パイプ14の内部によって構成されるエアー回路1dが内周壁32の内側に形成される。
流路仕切部材3の槽内配置部4は、内部に複数の流路が設けられた中空構造を有している。槽内配置部4における前壁の中央には、後方に凹陥形成された円柱形状のノズル取付凹部43が形成されている。このノズル取付凹部43は、底壁(後壁)の貫通部を介して、上記円筒部30における内周壁32の内側のバブル回路1cに連通接続されている。
さらに槽内配置部4の前壁には、ノズル取付凹部43の上方に対応して、前方に開放された細長い孔によって構成されるエアー室44が形成されている。
エアー室44の底部中央と、円筒部30の内周壁32の前端部との間にはエアー供給路46が形成されている。このエアー供給路46は、その一端開口がエアー室44の底部に開放されるとともに、他端開口が円筒部30の内周壁32の内側における軸心上において開放されている。
また円筒部30の内周壁32の内側には、軸心上にエアー回路用パイプ14が配置されており、そのエアー回路用パイプ14の一端(前端)が上記エアー供給路46の他端開口に連通接続される。
エアー回路用パイプ14は、既述したようにその内部がエアー回路1dとして構成される。従って、流路仕切部材3のエアー供給路46は、エアー回路1dに連通接続されることとなる。
図10、図12Aおよび図12Bに示すようにエアー室44の内周側面には、上記ノズル取付凹部43の内周側面に連通するエアー供給孔45が形成されている。
また図6および図7等に示すように、槽内配置部4の内部における上側には吸込室41が形成されるとともに、下側には吐出室42が形成されている。
吸込室41は、槽内配置部4の後壁に設けられた貫通孔を介して、円筒部30の外周壁31の外側に形成される戻り回路1aに連通接続されている。さらに槽内配置部4の前壁には、吸込室41に対応して、多数の小孔からなる吸込口4aが形成されており、この吸込口4aを介して、槽内配置部4の前方(浴槽内)と吸込室41内とが連通接続されている。
吐出室42は、槽内配置部4の後壁に設けられた貫通孔を介して、円筒部30の外周壁31および内周壁32間の戻り回路1bに連通接続されている。さらに槽内配置部4の周側壁には、吐出室42に対応して吐出口4bが形成されており、この吐出口4bを介して、槽内配置部4の外側(浴槽内)と吐出室42とが連通接続されている。
また図8および図9に示すように、ノズル取付凹部43の開口縁部における略半周部分には、つまみ収容凹部431が形成されている。
さらにノズル取付凹部43の開口縁部には位置決め凹部432が形成されている。この位置決め凹部432は、後述するようにノズル取付凹部43内にバブル噴出ノズル5が取り付けられた際に、バブル噴出ノズル5の軸回り方向の位置決めを図るためのものである。
以上の構成の流路仕切部材3が、浴槽側壁に組み付けられた槽外取付部材1および雄ねじ部材2に組み付けられる。すなわち、流路仕切部材3の円筒部30が雄ねじ部材2の内部に挿入されるようにして、流路仕切部材3の槽内配置部4の後面が雄ねじ部材2のフランジ部25にパッキン(図示省略)を介して圧接した状態で、流路仕切部材3が雄ねじ部材2に周知の取付手段によって着脱自在に組み付けられる。
この組付状態においては、流路仕切部材3の外周壁31が槽外取付部材1の中間仕切壁12に水密状態に外嵌接続される。これにより図6および図14に示すように、流路仕切部材3の外周壁31および雄ねじ部材2間の環状空間が、槽外取付部材1の外周壁11および中間仕切壁12間の環状空間に連通接続される。ここで本実施形態においては、この両環状空間によって、上記の戻り回路1aが構成されている。従って本実施形態においては、流路仕切部材3の吸込口4aから吸い込まれた槽内の湯水が、吸込室41および戻り回路1aを通って、槽外取付部材1の戻り回路用外管接続部10aから流出されるようになっている。
さらに上記組付状態においては、流路仕切部材3の内周壁32が槽外取付部材1の内周壁13に水密状態に外嵌接続される。これにより、流路仕切部材3の内周壁32および槽外取付部材1の中間仕切壁12間の環状空間が、槽外取付部材1の内周壁11および中間仕切壁12間の環状空間に連通接続される。ここで本実施形態においては、この両環状空間によって、上記の往き回路1bが形成されている。従って本実施形態においては、槽外取付部材1の往き回路用外管接続部10bから往き回路1b内に導入された湯水が、流路仕切部材3内の吐出室42を通って吐出口4bから浴槽内に吐出されるようになっている。
さらに上記組付状態においては、流路仕切部材3の内周壁32の内部および槽外取付部材1の内周壁13の内部とが連通接続され、これらの内部によってバブル回路1cが構成されている。従って本実施形態においては、槽外取付部材1のバブル回路用外管接続部10cからバブル回路1c内に導入された湯水が、流路仕切部材3のノズル取付凹部43内に流入されるようになっている。
また既述したように、エアー回路用パイプ14からなるエアー回路1dによって、流路仕切部材3のエアー供給路46と、槽外取付部材1のエアー回路用引出管部材10dの一端開口とが連通接続されている。従って本実施形態においては、槽外取付部材1のエアー回路用引出管部材10dの他端開口から吸引された外気(エアー)が、エアー回路用引出管部材10dおよびエアー回路用パイプ14内のエアー回路1dを通って、エアー供給路46内に供給されるようになっている。さらにエアー供給路46内に供給されたエアーは、エアー供給路46、エアー室44およびエアー供給孔45を通ってノズル取付凹部43内に供給されるようになっている。
このように本実施形態の給湯口アダプターは、図14に示すように内側(軸心)から外側に向かって順に、エアー回路1d、バブル回路1c、往き回路1bおよび戻り回路1aが形成された四重管構造を有するものである。
ここで本実施形態においては、バブル回路1cおよびバブル回路用外管接続部10cによって、湯水供給手段が構成されている。さらにエアー供給路46、エアー室44、エアー回路1d、エアー回路用引出管部材10dによって、エアー供給手段が構成されている。
図8〜図12に示すようにバブル噴出ノズル5は、ハウジング51と、そのハウジング51内に収容される内装ブロック55とを備えている。
ハウジング51は、略円筒形状の胴部511と、その胴部511の先端(前端)に一体に形成され、かつ前方に向かうに従って径寸法が次第に小さくなる円錐台形状の先端部512とを備え、軸心方向の両端が共に開放されている。ここで、本実施形態において、先端部512の先端に設けられた開口が、バブル噴出ノズル5の噴出口50として構成されている。
胴部511の外周面には、前後方向に間隔をおいて、パッキン収容溝513,513が周方向に連続して形成されている。このパッキン収容溝513,513には、図示しないパッキンが収容されおり、後述するようにバブル噴出ノズル5を、流路仕切部材3のノズル取付凹部43内に組み付けた際に、当該パッキンによって、バブル噴出ノズル5とノズル取付凹部43の内周面との間の水密が図られるようになっている。
図8および図9に示すようにバブル噴出ノズル5の胴部511には、パッキン収容溝513,513間に対応して、エアー供給孔52が形成されている。このエアー供給孔52は、胴部511を貫通しており、このエアー供給孔52を介してハウジング51の外部から内部にエアーを導入できるようになっている。
胴部511の前端外周縁部には、上記ノズル取付凹部43の位置決め凹部432に対応して、位置決め突起514が外径方向に突出するように形成されている。
また胴部511の前端外周縁部には、回転自在につまみ53が取り付けられている。このつまみ53は、図10に示すように後方に押し倒した倒伏状態では、胴部511の前端外周縁部に沿うよう配置されるとともに、前方に引き起こした起立状態では、ハウジング51の先端部512の前方に配置される。換言すれば、つまみ53は、バブル噴出ノズル5に倒伏状態と起立状態との間で起倒自在に設けられている。
バブル噴出ノズル5のハウジング51内に収容される内装ブロック55は、ハウジング51の胴部511内に対応して配置される略円柱形状の円柱部551と、円柱部551の先端(前端)に一体に形成され、かつハウジング51の先端部512内に対応して配置されるテーパー部552とを備えている。テーパー部552は、ハウジング51における先端部512の内周面形状に倣って、前方に向かうに従って径寸法が次第に小さくなるように形成されている。
図示は省略するが、内装ブロック55の円柱部551の外周部には、換言すれば円柱部551とハウジング51の胴部511との間には、後端から前端にかけて螺旋状流路が形成されている。これにより、ハウジング51の後端開口部から導入された湯水は、上記螺旋状流路を通って螺旋流を形成し、その螺旋流を保ちつつ、ハウジング51の先端部512と内装ブロック55のテーパー部552との間を通って噴出口50から噴出されるようになっている。
内装ブロック55の内部にはエアー供給路57が形成されている。このエアー供給路57は、一端がテーパー部552の先端において開口し、軸心を通って途中で90°折れ曲がって、他端が円柱部551の外周側面に開口している。そしてこのエアー供給路57の他端開口部が、上記ハウジング51のエアー供給孔52に対応して配置されており、後述するように、エアー供給孔52から導入されたエアーが、内装ブロック55のエアー供給路57を通って、テーパー部552の先端から放出されるようになっている。
なお本実施形態においては、ハウジング51内における噴出口50と、内装ブロック55のエアー供給路57の先端開口部との間がエアー混入部58として構成されている。
以上のように構成されたバブル噴出ノズル5が、流路仕切部材3のノズル取付凹部43内に着脱自在に組み付けられる。
この組付時には、バブル噴出ノズル5の位置決め突起514を、流路仕切部材3におけるノズル取付凹部43の開口縁部に設けられた位置決め凹部432に嵌め込むことにより、流路仕切部材3に対し、バブル噴出ノズル5の軸回り方向の位置決めが図られるようになっている。
また組付状態においては、バブル噴出ノズル5におけるハウジング51のエアー供給孔52が、ノズル取付凹部43内のエアー供給孔45に対応して配置される。従ってノズルル取付凹部43のエアー供給孔45からバブル噴出ノズル5のエアー供給孔52に供給されたエアーは、バブル噴出ノズル5のエアー供給路57に供給されるようになっている。
さらにこの組付状態において、バブル噴出ノズル5のつまみ53を後方に押し倒して倒伏状態とすることにより、つまみ53が、流路仕切部材3のノズル取付凹部43における開口周縁部のつまみ収容凹部431内に適合状態に収容されるようになっている。
またこの組付状態においては、バブル噴出ノズル5の先端の噴出口50が、流路仕切部材3における槽内配置部4の前面よりも前方に突出するように配置されている。
一方図12Aおよび図12B等に示すように流量調整スイッチ6は、スイッチ本体61と、そのスイッチ本体61を支持する支持板62と、支持板62を固定するためのねじ63とを備えている。
スイッチ本体61は、前端(基端)に設けられ、かつ外周に雄ねじが刻設される頭部611と、その頭部611から後方に延びる軸型弁612とを備えている。
支持板62には、雌ねじが刻設されたねじ切り孔621が形成されており、このねじ切り孔621にその前方側から、スイッチ本体61の軸型弁612が挿入されて、頭部611が螺合されることにより、スイッチ本体61が支持板62に貫通状態に支持される。この状態において、スイッチ本体61は、軸回り方向に回転操作されることによって支持板62に対し軸方向にスライド移動するようになっている。
そしてスイッチ本体61付きの支持板62が、そのスイッチ本体61の軸型弁612を流路仕切部材3のエアー室44に挿入させた状態で、ねじ63によって流路仕切部材3の前壁に固定される。なお、スイッチ本体61の軸型弁612の外周には、エアー室44の前端開口縁部に対応してパッキン64が取り付けられており、このパッキン64によって、スイッチ本体61とエアー室44の内周面との間の水密が図られるようになっている。
この組付状態においては、スイッチ本体61の軸型弁612は、エアー室44の内周側面に設けられたエアー供給孔45に対応して配置されている。これにより図12Aに示すように、スイッチ本体61を回転操作して後方に押し込んだ際には、スイッチ本体61の軸型弁612によって、エアー供給孔45がその一部を残して閉塞された状態(小開状態)となり、図12Bに示すように、スイッチ本体61を回転操作して前方に引き込んだ際には、エアー供給孔45からスイッチ本体61の軸型弁612が退避して、エアー供給孔45の全域が開放された状態(全開状態)となる。小開状態では、適量のエアーがエアー室44からエアー供給孔45を通ってバブル噴出ノズル5側に供給されるとともに、全開状態では、多量のエアーがバブル噴出ノズル5側に供給されるようになっている。
ここで、本実施形態において、広義にはスイッチ本体61によってエアー流量制御弁が構成され、狭義にはスイッチ本体61の軸型弁612によってエアー流量制御弁が構成されている。さらにエアー室44の内周側面に設けられたエアー供給孔45によって、バブル噴出ノズル5に通じるエアー供給孔が構成されている。
なお流量調整スイッチ6を流路仕切部材3に組み付けた状態においては、図12Aおよび図12Bに示すように、流量調整スイッチ6の支持板62の一部622が、バブル噴出ノズル5のハウジング51における前端周縁部を前方側から抑圧しており、これによりバブル噴出ノズル5の前方への不用意な抜け出しが防止されるようになっている。
ここで本実施形態においては、槽外取付部材1、雄ねじ部材2、流路仕切部材3、バブル噴出ノズル5および流量調整スイッチ6によって、換言すれば、給湯口アダプターから後述するフィルター部材9を取り外したものによって、アダプター本体が構成されている。
図1〜図7に示すように、フィルター部材9は、後端が開放されたドラム状ないし円盤状の形状を有し、流路仕切部材3における円盤状の槽内配置部4の前面から外周側面を覆った状態で、流路仕切部材3に着脱自在に取り付けられている。
図1に示すように、フィルター部材9の前壁には、流路仕切部材3の前面に設けられた上記吸込口4aに対応して、多数の小孔からなる吸込口9aが形成されている。従って、浴槽内の湯水は、吸込口9a,4aを通って流路仕切部材3の吸込室41内に吸い込まれるようになっている。
図2に示すように、フィルター部材9の周側壁には、流路仕切部材3の周側面に設けられた上記吐出口4bに対応して、吐出口9bが形成されている。従って、流路仕切部材3の吐出室42内の湯水は、吐出口4b,9bを介して浴槽内に吐出されるようになっている。
フィルター部材9の中央には、前方に向かうに従って次第に縮径し、かつ内周形状がバブル噴出ノズル5の先端部512に対応する形状の円錐筒型の筒状ノズルカバー91が前方突出状に形成されおり、その筒状ノズルカバー91内に、上記バブル噴出ノズル5の先端部512が配置されている。
さらに筒状ノズルカバー91の先端は開口されており、この先端開口90を介して、バブル噴出ノズル5の噴出口50から噴出されるマイクロバブル水が浴槽内に噴出されるようになっている。
図13Aおよび図13Bに示すように、筒状ノズルカバー91の内周面における先端開口90の近傍には、周方向に所定間隔おきに4つの位置決め突起92が内側に突出するように構成されている。そしてフィルター部材9がアダプター本体に取り付けられた状態では、複数の位置決め突起92の各先端(内端)が、バブル噴出ノズル5の先端部512の外周面に対向して配置されるようになっている。これにより、筒状ノズルカバー91がバブル噴出ノズル5に対し位置ずれしようとした場合、例えば筒状ノズルカバー91の先端開口90の軸心が、バブル噴出ノズル5の噴出口50の軸心から逸脱しようとした場合には、複数の位置決め突起92のうちのいずれかの突起92が、バブル噴出ノズル5の先端部外周面に当接係止し、これによって、筒状ノズルカバー91およびバブル噴出ノズル5間の位置ずれが防止される。従って、筒状ノズルカバー91の内周面とバブル噴出ノズル5の先端部512の外周面との間隔を全周にわたって均一に調整できて、フィルター部材9の先端開口90をバブル噴出ノズル5の噴出口50に対し同軸上に配置でき、筒状ノズルカバー91およびバブル噴出ノズル5間の位置決めを図ることができる。
ここで、本実施形態において、より確実に噴出口50,90間の位置ずれを防止するには、位置決め突起92を複数形成するのが良く、より好ましくは、位置決め突起92を周方向に間隔をおいて少なくとも3つ以上形成するのが良く、より一層好ましくは、位置決め突起92を周方向に等間隔おきに形成するのが良い。もっとも、本発明においては、位置決め突起92を少なくとも1つ設けるようにすれば良い。すなわち位置決め突起92が1つあれば、少なくとも一方向の位置ずれを防止することができる。
また本実施形態では、位置決め突起92の各先端が、バブル噴出ノズル5の先端部外周面に当接係止することにより、筒状ノズルカバー91の内周面とバブル噴出ノズル5の先端部外周面との間に実質的に隙間が形成されている。
さらにフィルター部材9がアダプター本体に取り付けられた状態においては、フィルター部材9の内面と、槽内配置部4の外面との間に僅かに隙間が形成されている。ここで、フィルター部材9の内面は、フィルター部材9の前壁裏面と周壁内周面とで構成されるものであり、槽内配置部4の外面は、槽内配置部4の前面と外周側面とで構成されるものである。
またフィルター部材9がアダプター本体に取り付けられた状態においては、フィルター部材9における筒状ノズルカバー91の先端(先端開口90)が、バブル噴出ノズル5の先端(噴出口50)よりも前方に配置されるようになっている。このため、入浴者の身体の一部等によってフィルター部材9における筒状ノズルカバー先端の先端開口90が閉塞されたとしても、バブル噴出ノズル5の噴出口50が直接閉塞されないようになっている。
さらにフィルター部材9がアダプター本体に取り付けられた状態においては、フィルター部材9における筒状ノズルカバー91の基端側周縁部が、バブル噴出ノズル5におけるハウジング51の前端周縁部を前方側から抑圧するようになっている。これによりバブル噴出ノズル5の前方への不用意な抜け出しが、より一層確実に防止されるようになっている。
また図1〜図5に示すように、フィルター部材9の前壁における流量調整スイッチ6に対応する領域には、前方に突出するスイッチカバー95が形成されている。このスイッチカバー95内に流量調整スイッチ6の前方配置部が収容されることにより、流量調整スイッチ6がフィルター部材9の前壁内面に干渉するのが防止されている。
なお、本実施形態においては、フィルター部材9によって、カバー部材が構成されるものである。
以上のように構成された本実施形態の給湯口アダプターは、室外に配置された給湯機に配管接続されて使用される。室外の給湯機には、浴槽内に対し湯水の吸引または供給を行うための吸引/給湯管部と、浴槽内に湯水を供給する給湯管部と、浴槽内にマイクロバブル水を供給する際の湯水を供給するバブル用管部とを備えている。そして、給湯口アダプターにおける槽外取付部材1の戻り回路用外管接続部10aが、室外給湯機の上記吸引/給湯管部に配管接続され、往き回路用外管接続部10bが、室外給湯機の上記給湯管部に配管接続され、さらにバブル回路用外管接続部10cが、室外給湯機の上記バブル用管部に配管接続される。なお槽外取付部材1において、一端がエアー回路1dに連通接続されたエアー回路用引出管部材10dの他端開口は、既述したように外部に開放されている。
こうして室外給湯機に配管接続された本実施形態の給湯口アダプターにおいては、上述の湯はり処理、追い焚き処理およびバブル発生処理を行うことができる。
湯はり処理をダブル搬送で行う場合、図14に示すように、室外給湯機の吸引/給湯管部および給湯管部の双方から槽外取付部材1の戻り回路用外管接続部10aおよび往き回路用外管接続部10bにそれぞれお湯が供給される。戻り回路用外管接続部10aに供給されたお湯は、戻り回路1a、流路仕切部材3の吸込室41および吸込口4aを通って、フィルター部材9の吸込口9aから浴槽内に供給される。さらに往き回路用外管接続部10bに供給されたお湯は、往き回路1b、流路仕切部材3の吐出室42および吐出口4bを通って、フィルター部材9の吐出口9bから浴槽内に供給される。こうして2系統でお湯が供給される。
また給湯機の機種等によっては、シングル搬送で湯はり処理が行われる場合があるが、その場合には、室外給湯機から戻り回路1a側にはお湯が供給されず、往き回路1b側のみにお湯が供給されて、浴槽内にお湯が供給されることとなる。
追い焚き処理では、図14に示すように室外給湯機の吸引管部の吸引作用によって、フィルター部材9の吸込口9aから浴槽内の湯水が吸い込まれ、その湯水が流路仕切部材3の吸込口4aおよび吸込室41、戻り回路1aを通り、さらに戻り回路用外管接続部10aから流出されて室外給湯機に戻される。こうして室外給湯機に戻された湯水が再加熱されて、室外給湯機から往き回路用外管接続部10bに供給されて、上記と同様に、往き回路1b等を通って、フィルター部材9の吐出口9bから浴槽内に供給される。
バブル発生処理では、室外給湯機のバブル用管部から槽外取付部材1のバブル回路用外管接続部10cにお湯が供給され、そのお湯がバブル回路1cを通って、流路仕切部材3のノズル取付凹部43内に取り付けられたバブル噴出ノズル5のハウジング51内に後端開口から供給される。ハウジング51内に供給されたお湯は、既述したようにハウジング51および内装ブロック55間を螺旋状に流通していき、その螺旋流を形成しつつ、ハウジング51の先端部512と内装ブロック55の先端テーパー部552との間を流通して、ハウジング51内におけるエアー混入部58から噴出口50へと導かれていく。このとき、エアー混入部58において螺旋流の中心に負圧が発生し、その負圧によって、槽外取付部材1のエアー回路用引出管部材10dの他端開口からエアーが吸引され、そのエアーがエアー回路1dおよび流路仕切部材3のエアー供給路46を通ってエアー室44内に吸引される。さらにエアー室44内に吸引されたエアーは、エアー供給孔45を通ってバブル噴出ノズル5のエアー供給孔52およびエアー供給路57を通ってエアー混合部58に供給される。こうしてエアー混合部58に供給されたエアーは、上記螺旋状に流れる湯水に掻き乱されて、微細な気泡(マイクロバブル)となって湯水に混入される。こうしてマイクロバブルが混入された湯水であるマイクロバブル水が発生し、このマイクロバブル水がバブル噴出ノズル5の噴出口50から前方に噴出されて、フィルター部材9の先端開口90を通って浴槽内に供給されることにより、浴槽内にマイクロバブルが発生する。
また本実施形態の給湯口アダプターにおいては、流量調整スイッチ6を設けているため、マイクロバブルを発生させるに際して、入浴者(顧客)の好みに合わせて、エアー流量を調整することができて、より快適な入浴環境を得ることができる。
例えば、気泡が少ない目のマイクロバブル水を発生させるような場合には、流量調整スイッチ6におけるスイッチ本体61を図12Aに示すように、回転操作によって奥部まで押し込んで小開状態とする。これにより、エアー室44を通過するエアーのうち、エアー供給孔45を通ってバブル噴出ノズル5内に供給されるエアーを少なくでき、気泡が少ないマイクロバブル水を発生させることができる。
逆に気泡が多い目のマイクロバブル水を発生させるような場合には、流量調整スイッチ6におけるスイッチ本体61を図12Bに示すように、回転操作によって手前に引き込んで全開状態とする。これにより、エアー室44から通バブル噴出ノズル5内に供給されるエアーが多くなり、気泡が多いマイクロバブル水を発生させることができる。
また本実施形態の給湯口アダプターにおいては、顧客の好みに合わせてエアー流量を調整するだけに限られず、エアー流量の増大によってメンテナンス等を行うように使用することもできる。例えば、通常のバブル発生時には、適量の気泡が混入されるような状態(図12Aに示す小開状態等)としておき、バブル噴出ノズル5内の清掃する場合、例えば詰まったゴミを吹き飛ばすような場合には、大量の気泡が混入されるような状態(図12Bに示す全開状態等)とするようにしても良い。
なお本発明においては、エアー流量を全開状態と小開状態との2段階での調整にとどまらず、全開状態と小開状態との間で無段階で細かく調整することも可能である。
以上の構成の本実施形態の給湯口アダプターによれば、流路仕切部材3の前面にノズル取付凹部43を形成して、その凹部43内にバブル噴出ノズル5を着脱自在に取り付けているため、バブル噴出ノズル5をアダプター本体から簡単に取り外すことができる。このため、バブル噴出ノズル5の保守点検や清掃を簡単に行うことができる。さらにバブル噴出ノズル5を取り外した際には、流路仕切部材3のノズル取付凹部43内が露出されるため、ノズル取付凹部43内、つまりバブル噴出ノズル5の周辺部位に対しても保守点検や清掃を簡単に行うことができる。
さらにバブル噴出ノズル5に、起倒自在につまみ53を形成しているため、バブル噴出ノズル5をノズル取付凹部43内から取り外す際には、つまみ53を引き出して起立状態として前方に配置することにより、そのつまみ53を手で摘んで引き抜けば、バブル噴出ノズル5を簡単に取り外すことができ、保守点検作業等を一層簡単に行うことができる。
なお、バブル噴出ノズル5をノズル取付凹部43内に取り付けた状態では、つまみ53を押し込んで倒伏状態とし、ノズル取付凹部43の開口縁部におけるつまみ収容凹部431に収容することにより、つまみ53を収まり良く配置でき、つまみ53が他の部位に干渉する等の不具合を確実に防止することができる。
また本実施形態においては、流量調整スイッチ6の支持板62の一部622によって、バブル噴出ノズル5におけるハウジング51の前端外周縁部を前面側から抑圧して、バブル噴出ノズル5を抜け止め状態に固定している。つまり、支持板62は、スイッチ本体61を支持する部材と、バブル噴出ノズル5を固定する部材とを兼用しているため、バブル噴出ノズル固定専用の部材を削減でき、その分、構造の簡素化を図ることができるとともに、組付作業も容易に行うことができる。
さらに本実施形態の給湯口アダプターによれば、フィルター部材9をアダプター本体に装着した際に、フィルター部材9における筒状ノズルカバー91の周縁部によってバブル噴出ノズル5の外周縁部を前面側から抑圧して、バブル噴出ノズル5を抜け止め状態に固定しているため、バブル噴出ノズル固定専用の部材を用いずに、より一層、強固にバブル噴出ノズル5を固定することができる。
また本実施形態においては、フィルター部材9の筒状ノズルカバー91の先端開口90をバブル噴出ノズル5の先端噴出口50よりも前方に配置しているため、バブル噴出ノズル5の噴出口50が塞がれてしむのを防止することができる。
すなわち仮に、バブル噴出ノズル5の先端噴出口50が、フィルター部材9を貫通して前方に突出して配置されているような場合には、入浴者の身体の一部やタオル等によって先端噴出口50が塞がれてしまう場合があり、そうすると、バブル噴出ノズル5内のマイクロバブル水は、行き場がなくなり逆流してしまう。この逆流によって、エアー供給路46、エアー回路1d、バブル回路1c等の内圧が異常に上昇し、故障の原因になってしまう。
そこで、本実施形態においては、フィルター部材9に筒状ノズルカバー91を形成し、その筒状ノズルカバー91の先端開口90をバブル噴出ノズル5の先端噴出口50よりも前方に配置しているため、身体の一部等がバブル噴出ノズル5の先端噴出口50に直接触れることができず、バブル噴出ノズル5の先端噴出口50が直接塞がれるようなことはない。なお、バブル噴出ノズル5ではなく筒状ノズルカバー91の先端開口90が塞がれることはあるが、その場合でも、バブル噴出ノズルの5の噴出口50が直接塞がれる場合と比較して、バブル噴出ノズル5内のマイクロバブル水が逆流するのを抑制でき、内圧が異常に上昇するのを防止することができる。
特に本実施形態においては、フィルター部材9の内面と槽内配置部4の外面との間に隙間を形成しているため、筒状ノズルカバー91の先端開口90が塞がれた場合には、バブル噴出ノズル5の噴出口50から噴出されるマイクロバブル水は、フィルター部材9の内面と槽内配置部4の外面との間の隙間を通って周囲に広がって行き、最終的には、浴槽内に放出される。このため、バブル噴出ノズル5内で発生するマイクロバブル水が逆流するのをより確実に防止でき、エアー供給路46、エアー回路1d、バブル回路1c等の内圧が異常に上昇するのをより確実に防止することができる。このように故障原因を未然に取り除くことができ、耐久性を向上できて、給湯口アダプターとして高い品質を得ることができる。
また本実施形態においては、フィルター部材9における筒状ノズルカバー91の内周面に周方向に等間隔おきに複数の位置決め突起92を形成し、各突起92の先端(内端)をバブル噴出ノズル5の先端部512の外周面に当接させることによって、筒状ノズルカバー91およびバブル噴出ノズル5間の位置ずれを防止している。このため、筒状ノズルカバー91およびバブル噴出ノズル5を同軸上に正確に配置できて、バブル噴出ノズル5の噴出口50に対し筒状ノズルカバー91の先端開口90の位置決めを確実に図ることができ、浴槽内の全域にマイクロバブルを安定した状態で発生させることができる。
すなわち仮に、筒状ノズルカバー91の先端開口90が、バブル噴出ノズル5の噴出口50に対し同軸上に配置されず位置ずれしている場合には、バブル噴出ノズル5の噴出口50から噴出されるマイクロバブル水の一部が、筒状ノズルカバー91の内周面に衝突し、マイクロバブル水の流れが乱されて、マイクロバブル水を給湯口アダプターから設計通りの適切な状態で噴出させることができない。そのため例えば、浴槽内の一部にマイクロバブルが偏って発生してしまう等の不具合が発生し、浴槽内の全域にマイクロバブルを安定状態に発生させることが困難になってしまう。
そこで本実施形態においては、筒状ノズルカバー91の先端開口90が、バブル噴出ノズル5の噴出口50に対し位置ずれしないため、筒状ノズルカバー91および噴出口50が同軸上に正確に配置され、バブル噴出ノズル5の噴出口50から噴出されるマイクロバブル水が、筒状ノズルカバー91の内周面に衝突することなく、マイクロバブル水を設計通りの適切な状態で噴出させることができる。従って、マイクロバブルを浴槽内の全域に安定した状態に発生させることができ、快適な入浴環境を確実に得ることができる。
また本実施形態においては、バブル噴出ノズル5内で旋回する湯水にエアーを混入してマイクロバブル水を発生させて噴出口50から浴槽内に直接噴出するものであるため、例えばアダプター本体の上流側でマイクロバブル水を発生させる場合と比較して、浴槽内に効率良くマイクロバブル水を供給でき、ひいては浴槽内に効率良くマイクロバブルを発生させることができる。
なお、上記実施形態においては、追い焚き時に湯水を供給する往き回路1bと、バブル発生時に湯水を供給するバブル回路1cとを互いに独立した別々の回路として構成しているが、それだけに限られず、本発明においては、追い焚き時に湯水を供給する回路と、バブル発生時に湯水を供給する回路とを途中まで一つの回路とするようにしても良い。例えばその一つの回路をアダプター内部で分岐させて2つの分岐回路を形成し、追い焚き時と、バブル発生時とで適宜回路を切り替えるようにしても良い。
また上記実施形態においては、アダプター内部に4重管構造を形成し、内側から順に、エアー回路1d、バブル回路1c、往き回路1b、戻り回路1aを形成するようにしているが、各回路1a〜1dの位置は限定されるものではなく、本発明においては、どの回路がどの位置に配置されていても良い。例えば往き回路1bを最外側に配置し、戻り回路1aをその内側に配置するようにしても良いし、バブル回路1cの内側に往き回路1bや、戻り回路1aを配置するようにしても良い。
また上記実施形態においては、4つの回路を4重管構造によって形成する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、3重管と単管(1重管)とを併設したり、2重管と2重管とを併設したり、2重管と2本の単管を併設したり、あるいは4本の単管を併設して4つの回路を形成するようにしても良い。
さらに既述したように4つの回路のうちいずれか2つの回路を兼用して3つの回路を形成する場合には、必ずしも3重管構造を採用する必要はない。例えば、2重管と単管とを併設したり、3本の単管を併設して3つの回路を形成するようにしても良い。
また上記実施形態においては、フィルター部材9の筒状ノズルカバー91と、バブル噴出ノズル5との間の位置ずれを防止するための位置決め突起92を、筒状ノズルカバー91の内周面に形成するようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、位置決め突起をバブル噴出ノズル5の先端部外周面に形成するようにしても良いし、位置決め突起を筒状ノズルカバー91の内周面と、バブル噴出ノズル5の先端部外周面との双方の周面に形成するようにしても良い。