JP6061782B2 - 異音検知装置及びプログラム - Google Patents

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本発明は、鉄道車両の走行音データに基づいて異音を検知する異音検知装置等に関する。
鉄道車両は、安全性の維持のために定期検査等が行われる。また、運行中の異常を速やかに検知し事故を未然に防ぐことを目的として、搭載されている各種機器や部品の状態を監視する技術が開発・実用化されている。状態監視の手法としては、監視対象の機器や部品それぞれに、温度センサや加速度センサといったセンサを取り付ける方法が一般的である。しかし、鉄道車両には多数の機器や部品が搭載されているため、機器や部品それぞれにセンサを取り付けるとなると、高コストになるとともに、センサ自体の故障が問題になる場合もある。
ところで、機器や部品の異常は音として表れることが多い。このため、走行中の鉄道車両の音(音響)を利用した状態監視として、特許文献1のような技術が知られている。すなわち、検出した音(音響データ)に対してフーリエ変換による周波数解析を行って、鉄道車両が走行した軌道のレールの波状摩耗を検出する技術である。
特許第4521524号公報
上述の特許文献1の技術は、レールの波状摩耗といった特定の状態を、その状態に固有の音響が生じているかで検出するものである。従って、この技術を車両に搭載されている各種機器の状態監視に適用しようした場合、監視対象となる機器や部品の種類や数は多数に上るため、実用化の点で無理がある。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両の走行音に基づいて、容易且つ安価に機器等の異常を検知可能とすることである。
上記課題を解決するための第1の発明は、
鉄道車両の所定位置に備えた集音装置によって集音された走行音データに基づいて、当該鉄道車両の各種機器の異音或いは走行した線路の異音を検知する異音検知装置(例えば、図6の異音検知装置10)であって、
前記走行音データを1/Mオクターブバンド(M≧4)で分析する分析手段(例えば、図6のオクターブ分析部210)と、
前記分析手段により分析された各周波数帯域の音圧データを2.5秒以上5秒以下の所定の平滑化時間で移動平均処理する移動平均処理手段(例えば、図6の特徴ベクトル算出部220)と、
前記移動平均処理された各周波数帯域のデータである特徴ベクトルが、正常時の走行音データを前記分析手段及び前記移動平均処理手段で処理した場合の特徴ベクトルに相当するか否かを評価する評価処理手段(例えば、図6の異音判定部230)と、
を備えた異音検知装置である。
また、他の発明として、
鉄道車両の所定位置に備えた集音装置によって集音された走行音データに基づいて、当該鉄道車両の各種機器の異音或いは走行した線路の異音を検知する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
前記走行音データを1/Mオクターブバンド(M≧4)で分析する分析手段、
前記分析手段により分析された各周波数帯域の音圧データを2.5秒以上5秒以下の所定の平滑化時間で移動平均処理する移動平均処理手段、
前記移動平均処理された各周波数帯域のデータである特徴ベクトルが、正常時の走行音データを前記分析手段及び前記移動平均処理手段で処理した場合の特徴ベクトルに相当するか否かを評価する評価処理手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムを構成しても良い。
この第1の発明等によれば、鉄道車両の走行音データに基づいて、当該鉄道車両の各種機器の異音或いは走行した線路の異音が検知される。すなわち、走行音データを1/Mオクターブバンドで分析し、分析した各周波数帯域のデータである特徴ベクトルが、正常時の走行音データの特徴ベクトルに相当するか否かを評価する。これにより、状態監視の対象としたい機器や部品それぞれにセンサを設置しなくとも、複数の機器や部品の状態監視が一元的に可能となり、容易且つ安価な異常検知が可能となる。
また、第2の発明として、第1の発明の異音検知装置であって、
前記分析手段は、1/4オクターブバンドで分析を行う、
異音検知装置を構成しても良い。
この第2の発明によれば、走行音データは、1/4オクターブバンドで分析される。従って、演算対象のデータ量を削減して、演算量を低減することができる。
また、第3の発明として、第1又は第2の発明の異音検知装置であって、
前記評価処理手段は、正常時の走行音データに係る特徴ベクトルに基づいてパラメータが定められた1クラスサポートベクターマシンによる評価演算を行って前記評価を行う、
異音検知装置を構成しても良い。
この第3の発明によれば、走行音の特徴ベクトルが正常時の走行音の特徴ベクトルに相当するか否かの評価は、正常時の走行音に係る特徴ベクトルに基づいてパラメータが定められた1クラスサポートベクターマシンによる評価演算によって行われる。従って、比較的少ない演算量で評価を行うことができる。
また、第4の発明として、第3の発明の異音検知装置であって、
前記評価処理手段は、
前記1クラスサポートベクターマシンによる評価値を正規化する正規化手段(例えば、図6の異音判定部230)と、
当該正規化された値が、異音であると決定するための所定の閾値条件を満たすか否かを判定する手段と、
を有する、
異音検知装置を構成しても良い。
この第4の発明によれば、1クラスサポートベクターマシンによる評価値が正規化され、この正規化された値が閾値条件を満たすか否かによって、異音であるか否かが判定される。
また、第5の発明として、第1〜第4の何れかの発明の異音検知装置であって、
前記走行音データの集音時の前記鉄道車両の走行状態を取得する取得手段を更に備え、
前記評価処理手段は、正常時であり且つ前記取得された走行状態での走行音データに係る特徴ベクトルに基づいてパラメータを定めた評価演算を実行して前記評価を行う、
異音検知装置を構成しても良い。
この第5の発明によれば、走行音の特徴ベクトルが正常時の走行音の特徴ベクトルに相当するか否かの評価は、正常時であり且つ、評価時と同じ走行状態の時の走行音の特徴ベクトルに基づいてパラメータを定めた評価演算によってなされる。例えばモータの動作音などは、正常時であっても、鉄道車両の走行状態(例えば、力行か回生ブレーキか)が異なれば異なる音になる。このため、走行状態毎に正常時の走行音の特徴ベクトルを用意しておき、異音検知を行う時の走行状態に対応する特徴ベクトルの評価演算を実行することで、異音検知の精度を向上させることができる。
また、第6の発明として、第5の発明の異音検知装置であって、
前記走行音データの集音時の走行状態が前記平滑化時間以上継続していない時の前記走行音データについては前記評価処理手段による評価を抑止し、前記平滑化時間以上継続した時の前記走行音データについて前記評価処理手段に評価を行わせる、
異音検知装置を構成しても良い。
この第6の発明によれば、走行音の特徴ベクトルが正常時の走行音の特徴ベクトルに相当するか否かの評価を、走行音の集音時の走行状態が平滑化時間以上継続していない時の走行音については抑止し、平滑化時間以上継続した時の走行音についてのみ行う。これにより、走行状態が途中で変化した走行音については異音検知の対象としないので、異音検知の精度の低下を防止できる。
異音検知装置の概要図。 特徴ベクトルに対する異常度の算出例。 特徴ベクトルに対する階層的クラスタリングの結果の一例。 平均時間と異音判別性能との関係の一例。 1オクターブ中の音の数と異音判別性能との関係の一例。 異音検知装置の構成図。 異音検知処理のフローチャート。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、本発明の適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
[概要]
図1は、本実施形態の異音検知装置10の概要図である。この異音検知装置10は、鉄道車両20に設置され、マイク12で集音した走行音に対する音声解析処理を行うことで、モータ等の各種機器や、走行した線路の異常によって生じる走行音に含まれる異音を検知する。異音検知装置10は、マイク12で集音した車内の走行音を、予め集音した正常時の走行音と比較することで、走行音に含まれる異音を検知する。このため、両者の走行音の集音条件が近くなるよう、異音検知装置10は、例えば乗客の話し声が集音されにくい運転台に設置されることが望ましい。なお、マイク12と本体装置とを有線或いは無線で接続した分離型とし、マイク12を運転台の床近傍に設置する等の構成としてもよい。
本実施形態における異音検知について説明する。
(A)特徴ベクトルの算出
先ず、マイク12から入力された走行音データから特徴ベクトルを算出する。具体的には、走行音データに対して1/M(M≧4)オクターブ分析を行い、各オクターブバンド(周波数帯域)について、2.5秒以上5秒以下の所定の平均時間(平滑化時間)Tsで移動平均処理した音圧を算出する。そして、各オクターブバンドの音圧を要素とする特徴ベクトルxを算出する。
(B)異音判定
続いて、1クラスサポートベクターマシンを利用して、算出した特徴ベクトルと、正常時の走行音の特徴ベクトルとを比較することで、走行音に異音が含まれるかを判定する。
(B−1)1クラスサポートベクターマシン
1クラスサポートベクターマシンは、特徴ベクトルを2つのクラス(集団)に分類する学習モデルであるサポートベクターマシンを応用した手法である。サポートベクターマシンは、2クラスのデータ間の距離(マージン)が最大となるようにクラスが定められた学習データを分類する超平面を求め、この超平面を利用して、判定対象の特徴ベクトルをどちらかのクラスに分類する。
そして、1クラスサポートベクターマシンは、学習データとして正常データの1クラスのみを用い、正常データとそれ以外のデータとを分類する超平面を求め、この超平面を利用して、判定対象の特徴ベクトルを正常か異常のどちらかに分類する。
1クラスサポートベクターマシンにおいて、特徴ベクトルxの正常/異常の判別に用いる判別関数f(x)は、次式(1)で定められる。
Figure 0006061782
この判別関数f(x)が正値の場合には特徴ベクトルxは正常、負値の場合には特徴ベクトルxは異常と判別する。
式(1)において、ベクトルxiは、サポートベクターである。サポートベクターとは、正常データの特徴ベクトルxのうち、対応する係数aが「0」でない特徴ベクトルのことである。サポートベクターxiの係数aiは、次式(2)の最小化問題の解として算出される。
Figure 0006061782
式(2)において、パラメータνは、例えば0.1に設定される。また、関数k(x,y)はカーネル関数であり、ガウシアンカーネルを用いると、次式(3)で定められる。
Figure 0006061782
式(3)において、パラメータσは、例えば、特徴ベクトル間の距離の最大値として定められる。そして、パラメータρは、次式(4)で与えられる。
Figure 0006061782
(B−2)異音検知
本実施形態では、1クラスサポートベクターマシンの判別関数f(x)を用いて、検知対象の走行音データの特徴ベクトルxについての異常度gを、次式(5)の異常度算出関数g(x)として定める。
Figure 0006061782
この異常度算出関数g(x)は、判別関数f(x)で求めた値をパラメータρで正規化した値となる。1クラスサポートベクターマシンによる評価値の正規化とも言える。従って、異常度gが正値である場合には、走行音に異音が含まれていると判定し、負値である場合には異音が含まれていないと判定する。また、異常度gは、「−1.0〜+1.0」の範囲の値となり、正値且つ絶対値が大きいほど、検知対象の走行音データに異音が含まれている可能性が高いといえる。
図2は、異常度gの算出結果の一例である。図2では、19種類の走行音データそれぞれの特徴ベクトルn1〜n10,a1〜a9についての異常度gを示している。これらのうち、特徴ベクトルn1〜n10は、正常時の走行音データの特徴ベクトルである、特に、異常度が0となっている特徴ベクトルn2,n4,n6,n10は、サポートベクターである。また、特徴ベクトルa1〜a9は、異音が含まれる走行音の特徴ベクトルである。特に、特徴ベクトルa9は、人間が聴いて明らかに異音が含まれていると判別できる走行音の特徴ベクトルであり、これ以外の特徴ベクトルa1〜a8は、人間が聴いて判別できない程度の異音を含む走行音の特徴ベクトルである。
図2に示すように、正常データの特徴ベクトルn1〜n10の異常度は、何れも、0又は負値となっている。また、検知対象の走行音データの特徴ベクトルa1〜a9の異常度は、何れも正値となっており、異音が含まれることを表している。特に、特徴ベクトルa9の異常度が、これ以外の特徴ベクトルa1〜a8に比較して突出している。
(C)特徴ベクトルの算出の際のパラメータ
特徴ベクトルを算出する際のパラメータの違いによって、算出される特徴ベクトルが異なる。そのため、走行音に異音が含まれるか否かの判別性能が、特徴ベクトルを算出する際に用いたパラメータによって左右されることになる。ここでは、特徴ベクトルの算出の際のパラメータである、平均時間Ts、及び、オクターブ分析の1/Nの値それぞれが異なる場合の、異音判別性能の違いについて説明する。
異音判別性能は、階層的クラスタリングによって判定した。この階層的クラスタリングで生成されるデンドログラムでは、特徴ベクトルの枝の長さが、当該特徴ベクトルと、当該特徴ベクトルに最も近い他の特徴ベクトルとの類似度合いを表している。
図3は、階層的クラスタリングにより生成されたデンドログラムの一例である。図3(a),(b)は、何れも、図2で用いた19種類の走行音データと同一の走行音データを用い、オクターブ分析結果に対する平均時間Tsのみを変えて移動平均した特徴ベクトルに対して階層的クラスタリングを行った結果である。具体的には、図3(a)は、平均時間Tsが約0.2秒であり、図3(b)は、平均時間Tsが約3.0秒である。
上述した通り、特徴ベクトルn1〜n10,a1〜a9のうち、特徴ベクトルn1〜n10は、正常時の走行音データの特徴ベクトルである。また、特徴ベクトルa1〜a9は、異音を含む走行音データの特徴ベクトルであり、特に、特徴ベクトルa9は、人間が聴いて判別できる明らかな異音を含む走行音データの特徴ベクトルである。
図3に示すように、同じ走行音データであっても、特徴ベクトルの算出に係るパラメータ(ここでは平均時間Ts)の違いによって、異音の検知性能が異なることがわかる。つまり、図3(a)では、特徴ベクトルa2の枝が最も長く、異音が正しく判別できていないといえる。一方、図3(b)では、異音である特徴ベクトルa9の枝の長さが一番長く、且つ、その長さが他の特徴ベクトルよりも突出しており、異音が判別できているといえる。
そして、階層的クラスタリングによる異音判別性能の指標として、異音の特徴ベクトルに対応する枝の長さを、それ以外の特徴ベクトルのうち、最も長い枝の長さで割った値を用いる。つまり、この異音判別性能の指標は、異音の特徴ベクトルの枝の長さが最も長い場合に1以上の値となり、また、この値が大きいほど、明確に異音が判別されたことを示す。この指標は後述する図4,5で使用する。
なお、この階層的クラスタリングでは、全ての特徴ベクトル間の距離を算出する必要があるため、特徴ベクトルの数が多いほど、計算量が増加するという短所がある。そのため、異音検知の手法として階層的クラスタリングを用いる手法も可能ではあるが、異音検知装置を走行中の鉄道車両に設置してリアルタイム且つ継続的に異音検知を行う場合、できる限り計算量を抑える必要がある。そのため、本実施形態では1クラスサポートベクターマシンを用いることとした。1クラスサポートベクターマシンには、特徴ベクトルの評価に要する計算量が少ないという長所がある。
(C−1)平均時間Ts
図4は、オクターブ分析における平均時間Tsと、異音判別性能との関係の一例を示す図である。人間が聴いて判別できる明らかな異音を含む走行音データを含んだ、複数の走行音データを用意し、階層的クラスタリングを用いた上述の方法で異音判別性能の指標を算出した。
図4は、特徴ベクトルの算出に当たり、当該算出に係るパラメータである平均時間Tsを「2.0〜6.0秒」の範囲で変化させて、異音判別性能の指標を求めた結果を示している。なお、図4では、1/4オクターブ分析(つまり、1オクターブ中の音の数が「4」)とした場合を示しているが、1/6オクターブ分析(つまり、1オクターブ中の音の数が「6」)とした場合もほぼ同一の波形となった。
図4によれば、平均時間Tsが2.0〜2.7秒では、平均時間Tsの増加に伴って異音判別性能がほぼ直線的に増加(向上)したが、それ以降では大きな変化は見られなかった。また、平均時間Tsが4.0〜5.0秒の間においては、異音判別性能が増減したが、総じて高い値を示した。また、平均時間Tsが5.0秒超の場合は、ゆるやかに異音判別性能低下が見られた。平均時間Tsが長くなるに従って演算量の増加や処理遅れが生じる。このため、データ処理の容易さや状態変化への追従性から、平均時間Tsは2.5〜5.0秒程度が望ましく、2.5〜3.0秒程度がより好ましいと考えられる。
(C−2)1オクターブ中の音の数
図5は、1/Nオクターブ分析におけるNの数と、異音判別性能との関係の一例を示す図である。人間が聴いて判別できる明らかな異音を含む走行音データを含んだ、複数の走行音データを用意し、階層的クラスタリングを用いた上述の方法で異音判別性能の指標を算出した。
図5は、特徴ベクトルの算出に当たり、当該算出に係るパラメータである1オクターブ中の音の数Nを、0,1,・・・,15に変化させて、異音判別性能の指標を求めた結果を示している。なお、平均時間Tsを3秒とした。図5によれば、異音判別性能は、Nが「1」より「2」の方が低くなった。また、「3」以上においては、「1」の場合よりも異音判別性能が高くなった。また、Nが「2」から「4」になるに従って異音判別性能が増加(向上)したが、「4」で最大となり、「5以上」では殆ど変化しなかった。これにより、Nは「4」以上であることが望ましいといえる。すなわち1/M(M≧4)オクターブであることが望まれる。また、Mの数値が大きいほど、演算量が増加し、異音判別性能は「4」で最大となる。このため、1オクターブ中の音の数は「4」、つまり1/4オクターブバンドのオクターブ分析がより好適であると考えられる。
[機能構成]
図6は、異音検知装置10の構成図である。図6によれば、異音検知装置10は、音声入力部110と、操作入力部120と、表示部130と、音声出力部140と、処理部200と、記憶部300とを備えて構成される。
音声入力部110は、例えばマイク等で実現される集音装置であり、集音した音声データを処理部200に出力する。音声入力部110より入力された音声データは、集音時の時刻と対応付けて走行音データ330として蓄積記憶される。
操作入力部120は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等で実現される入力装置であり、操作入力に応じた入力信号を処理部200に出力する。表示部130は、例えばLCD(liquid crystal display)やELD(electroluminescent display)等で実現される表示装置であり、処理部200からの表示信号に基づく各種画面表示を行う。音声出力部140は、例えばスピーカ等で実現される音出力装置であり、処理部200からの音声信号に基づく各種音声出力を行う。
処理部200は、例えばCPU等の演算装置で実現され、記憶部300に記憶されたプログラムやデータ等に基づいて、異音検知装置10の全体制御を行う。また、処理部200は、オクターブ分析部210と、特徴ベクトル算出部220と、異音判定部230とを有し、異音検知プログラム310に従った異音検知処理(図7参照)を行う。
オクターブ分析部210は、音声入力部110から入力される走行音に対するオクターブ分析を行って、各周波数帯域(オクターブバンド)の音圧を算出する。本実施形態では、1/4オクターブバンドのオクターブ分析を行うこととする。
特徴ベクトル算出部220は、オクターブ分析によって算出された各周波数帯域の音圧の実効値の大きさを所定の平均時間Tsで平均し、各周波数帯域の平均した音圧を要素とした特徴ベクトルxを算出する。算出された特徴ベクトルxは、対応する走行音データの集音時刻と対応付けて、特徴ベクトルデータ340として蓄積記憶される。
異音判定部230は、特徴ベクトル算出部によって算出された特徴ベクトルxを、正常時の走行音データの特徴ベクトルxi(i=1,2,・・・,l)と比較することで、走行音に異音が含まれるか否かを判定する。具体的には、1クラスサポートベクターマシンを利用した式(5)に従って、特徴ベクトルxの異常度gを算出する。そして、算出した異常度gが正値であるならば異音が含まれると判定し、そうでないならば異音が含まれていないと判定する。移動平均処理された特徴ベクトルが、正常時の走行音データに係る特徴ベクトルに相当するか否かを評価することに相当する。
ここで、正常時の走行音データの特徴ベクトルxiは、正常時特徴ベクトルデータ320として記憶されている。また、算出された異常度gは、対応する走行音データの集音時刻と対応付けて、異音検知結果データ350として蓄積記憶される。
記憶部300は、処理部が異音検知装置を統合的に制御するための諸機能を実現するためのシステムプログラムや、本実施形態を実現するためのプログラムやデータ等を記憶するとともに、処理部の作業領域として用いられ、操作入力部からの操作データ、音声入力部からの音声データ等が一時的に格納される。本実施形態では、異音検知プログラム310と、正常時特徴ベクトルデータ320と、走行音データ330と、特徴ベクトルデータ340と、異音検知結果データ350とが記憶される。
[処理の流れ]
図7は、異音検知処理の流れを説明するフローチャートである。図7によれば、先ず、予め定められた検知タイミングとなったならば(ステップS1:YES)、オクターブ分析部210が、入力される走行音データに対するオクターブ分析を行って、各周波数帯域の音圧を算出する(ステップS3)。ステップS1の検知タイミングは、例えば、停車駅から出発進行した後の所定時間(例えば5秒)経過後であったり、ノッチ(力行ノッチ及び/又はブレーキノッチ)が所定ノッチとなった時であったり、だ行走行時であるといった、運転操作が所定の運転操作条件を満たしたタイミングとすることができる。また、走行位置の算出装置を車上に具備しておき、所定の位置条件(例えば、予め定められたキロ程位置)を満たす位置を通過したタイミングを検知タイミングとすることもできる。
次いで、特徴ベクトル算出部220が、算出された各周波数帯域の音圧を所定の平均時間Tsで移動平均処理し(ステップS5)、平均した音圧を要素とした走行音の特徴ベクトルxを算出する(ステップS7)。
続いて、異音判定部230が、算出された特徴ベクトルxの異常度gを算出し、算出した異常度gの正負に応じて、走行音に異音が含まれるか否かを判定する。すなわち、異常度gが正値ならば走行音に異音が含まれると判定し、正値でないならば異音が含まれない(正常)と判定する(ステップS9)。そして、例えば、表示部130への所定の表示出力や、音声出力部140への所定の音声出力等によって、異音判定結果を出力する(ステップS11)。
その後、終着駅の到着等といった終了条件を満たすことで異音検知処理を終了するか否かを判断し、終了しないならば(ステップS13:NO)、ステップS1に戻り、同様の処理を行う。終了するならば(ステップS13:YES)、本処理を終了する。
[作用効果]
このように、本実施形態の異音検知装置10は、鉄道車両の走行音に基づいて、鉄道車両20に搭載されている各種機器等の異常によって発生する異音を、容易且つ安価に検知することができる。つまり、走行音に対する1/4オクターブ分析を行い、各周波数帯域(オクターブバンド)について所定の平均時間Tsで移動平均処理した音圧を要素とする特徴ベクトルを生成する、そして、1クラスサポートベクターマシンによって、生成した特徴ベクトルを正常時の走行音の特徴ベクトルと比較することで、走行音に異音が含まれるか否かを判定する。これにより、鉄道車両に搭載されている複数の機器や部品を対象とした異音検知が可能となる。
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
(A)異常度g
上述の実施形態では、異常度gが正値である場合に、走行音に異音が含まれると判定したが、異音が含まれると判定するための異常度gの閾値を定め、算出した異常度gが正値であり、且つ、この閾値以上である場合に、走行音に異音が含まれると判定しても良い。
(B)鉄道車両の走行状態
また、鉄道車両の走行状態に応じて、正常時の走行音の特徴ベクトルを選択して異常度gを求めることにしても良い。具体的には、力行、だ行及び制動(回生)といった複数種類の走行状態それぞれについて、正常時の走行音の特徴ベクトルを用意しておく。そして、異音検知処理を実行する際には、集音時の走行状態を取得し、取得した走行状態に対応する正常時の走行音の特徴ベクトルを用いて、式(5)の異常度算出関数g(x)から異常度gを算出する。走行状態が異なると、モータの動作音が異なるため、集音される走行音が異なる。このため、走行状態に応じて、異常度gの算出に用いる正常時の特別ベクトルを選択・切り替えることで、異音検知の精度を向上させることが可能となる。
またこの場合、走行音の集音時の走行状態が、移動平均処理を行う平均時間Ts以上継続していない場合、すなわち、走行音の集音の途中で鉄道車両の走行状態が変化した場合には、集音した走行音に基づく異音検知を行わない(抑止する)ようにしても良い。
10 異音検知装置、12 マイク
110 音声入力部、120 操作入力部
130 表示部、140 音声出力部
200 処理部
210 オクターブ分析部、220 特徴ベクトル算出部、230 異音判定部
300 記憶部
310 異音検知プログラム
320 正常時特徴ベクトルデータ、330 走行音データ
340 特徴ベクトルデータ、350 異音検知結果データ

Claims (7)

  1. 鉄道車両の所定位置に備えた集音装置によって集音された走行音データに基づいて、当該鉄道車両の各種機器の異音或いは走行した線路の異音を検知する異音検知装置であって、
    前記走行音データを1/Mオクターブバンド(M≧4)でオクターブ分析する分析手段と、
    前記分析手段によりオクターブ分析された各周波数帯域の音圧データを2.5秒以上5秒以下の所定の平滑化時間で移動平均処理する移動平均処理手段と、
    前記移動平均処理された各周波数帯域のデータである特徴ベクトルが、正常時の走行音データを前記分析手段及び前記移動平均処理手段で処理した場合の特徴ベクトルに相当するか否かを評価する評価処理手段と、
    を備えた異音検知装置。
  2. 前記分析手段は、1/4オクターブバンドでオクターブ分析を行う、
    請求項1に記載の異音検知装置。
  3. 前記評価処理手段は、正常時の走行音データに係る特徴ベクトルに基づいてパラメータが定められた1クラスサポートベクターマシンによる評価演算を行って前記評価を行う、
    請求項1又は2に記載の異音検知装置。
  4. 前記評価処理手段は、
    前記1クラスサポートベクターマシンによる評価値を正規化する正規化手段と、
    当該正規化された値が、異音であると決定するための所定の閾値条件を満たすか否かを判定する手段と、
    を有する、
    請求項3に記載の異音検知装置。
  5. 前記走行音データの集音時の前記鉄道車両の走行状態を取得する取得手段を更に備え、
    前記評価処理手段は、正常時であり且つ前記取得された走行状態での走行音データに係る特徴ベクトルに基づいてパラメータを定めた評価演算を実行して前記評価を行う、
    請求項1〜4の何れか一項に記載の異音検知装置。
  6. 前記走行音データの集音時の走行状態が前記平滑化時間以上継続していない時の前記走行音データについては前記評価処理手段による評価を抑止し、前記平滑化時間以上継続した時の前記走行音データについて前記評価処理手段に評価を行わせる、
    請求項5に記載の異音検知装置。
  7. 鉄道車両の所定位置に備えた集音装置によって集音された走行音データに基づいて、当該鉄道車両の各種機器の異音或いは走行した線路の異音を検知する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
    前記走行音データを1/Mオクターブバンド(M≧4)でオクターブ分析する分析手段、
    前記分析手段によりオクターブ分析された各周波数帯域の音圧データを2.5秒以上5秒以下の所定の平滑化時間で移動平均処理する移動平均処理手段、
    前記移動平均処理された各周波数帯域のデータである特徴ベクトルが、正常時の走行音データを前記分析手段及び前記移動平均処理手段で処理した場合の特徴ベクトルに相当するか否かを評価する評価処理手段、
    として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
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