次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
[実施形態1]
本発明のパンツ型使い捨ておむつの実施形態1は、前身頃、股下部及び後身頃の各部から構成され、前身頃を構成する前身頃シート、後身頃を構成する後身頃シート、及び吸収性本体を備えたパンツ型使い捨ておむつである。なお、本明細書において「パンツ型使い捨ておむつ」というときは、おむつを構成する前身頃と後身頃の対応する側縁部同士を接合することによって、一つのウエスト周り開口部及び一対の脚周り開口部が形成され、予めパンツ型に構成されたおむつを意味するものとする。特に、実施形態1のパンツ型使い捨ておむつは、前身頃シートと後身頃シートの側縁部同士、及び前身頃シートと後身頃シートの股下下端部の一部同士が、それぞれ接合されることによって、一つのウエスト周り開口部、及び一対の脚周り開口部が形成されたものである。
また、本明細書において、「前身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の腹側(身体前方)を覆う部分、「股下部」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の股下を覆う部分、「後身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の背側(身体後方)を覆う部分を意味するものとする。また、本明細書において、パンツ型使い捨ておむつの一対の脚周り開口部が形成された側を、「股下側」といい、パンツ型使い捨ておむつの一つのウエスト周り開口部が形成された側を、「股上側」ということがある。
実施形態1のパンツ型使い捨ておむつにおいて、吸収性本体は、当該吸収性本体の股下相当部が、前身頃シートと後身頃シートの股下下端部同士の接合部位よりもウエスト周り開口部寄り(即ち、股上側)に位置し、吸収性本体の股下相当部と、股下下端部同士の接合部位とが接触しないように配置されている。そして、この吸収性本体は、吸収性本体の前身頃側の一部が、前身頃シートの肌当接面側に接合され、且つ、吸収性本体の後身頃側の一部が、後身頃シートの肌当接面側に接合されている。
このため、実施形態1のパンツ型使い捨ておむつは、着用者が着用した際に、吸収性本体の股下相当部が、着用者の股下部位に当接した状態で、前身頃シートと後身頃シートの股下側に形成される一対の脚周り開口部が、着用者の太もも部位に配置されることとなる。したがって、着用者が、歩行や脚の曲げ伸ばしなどの、股関節が大きく動く動作を行った場合においても、着用者の鼠蹊部に隙間ができにくく、股下部からの漏れを有効に防止することができる。また、車椅子などを使用して座位姿勢が長時間続く場合などには、着用者の身体がずり下がる(不良な座位姿勢となる)ことで、おむつが腹側に逆にずり上がってしまうことがある。ただし、実施形態1のパンツ型使い捨ておむつは、前身頃シートと後身頃シートの股下側に、着用者の脚周りを覆う部分が形成されるため、おむつがずり上がってしまうことがあっても、着用者の下側臀部が露出してしまうような事態が生じ難い。このため、座位姿勢が長時間続くような着用者においても、股下部からの漏れを有効に防止することができる。更に、実施形態1のパンツ型使い捨ておむつは、太ももの裏側を覆う部位が捲れ上がり難いため、良好な着用感を実現することができる。
以下、実施形態1のパンツ型使い捨ておむつについて、図面を用いて更に詳細に説明する。図1は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの実施形態1を模式的に示す平面図である。図2は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの実施形態1を模式的に示す斜視図である。図3は、図2のA−A’断面を模式的に示す断面図である。
図1〜図3に示すように、パンツ型使い捨ておむつ100は、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成され、前身頃2を構成する前身頃シート32、後身頃6を構成する後身頃シート36、及び吸収性本体14を備えたものである。前身頃シート32及び後身頃シート36は、パンツ型使い捨ておむつ100において、着用者の身体を被包する機能(装着機能)を担う外装部材16を構成するものである。パンツ型使い捨ておむつ100においては、この外装部材16(前身頃シート32及び後身頃シート36)の内側に吸収性本体14が配置されたものである。
吸収性本体14は、排泄物吸収用の吸収体22と、吸収体22の表面を被覆するように配置された、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体22の裏面を被覆するように配置された、液不透過性材料からなるバックシート20とを有するものである。
パンツ型使い捨ておむつ100は、前身頃シート32と後身頃シート36の側縁部同士が接合されて、パンツ型使い捨ておむつ100の両側縁に、側縁接合部8a,8aが形成されている。また、このパンツ型使い捨ておむつ100は、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部の一部同士が接合されて、パンツ型使い捨ておむつ100の股下部4に、股下接合部8bが形成されている。そして、上述したように、前身頃シート32と後身頃シート36の側縁部同士及び股下下端部の一部同士が、それぞれ接合されることによって、一つのウエスト周り開口部10、及び一対の脚周り開口部12(12a,12b)が形成されている。
なお、前身頃シート32及び後身頃シート36の股下下端部とは、パンツ型使い捨ておむつ100を着用した状態において、少なくとも着用者の股下を覆う部分を構成する前身頃シート32及び後身頃シート36の端部のことである。また、上述したように、前身頃シート32及び後身頃シート36のウエスト周り開口部10が形成される端部については、股上上端部ということがある。
吸収性本体14は、当該吸収性本体14の股下相当部が、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部同士の接合部位(即ち、股下接合部8b)よりも、ウエスト周り開口部10寄り(即ち、股上側)に位置し、吸収性本体14の股下相当部と、股下下端部同士の接合部位(股下接合部8b)とが接触しないように配置されている。吸収性本体14の股下相当部とは、図1に示すように、パンツ型使い捨ておむつ100を平置きにした場合、及びパンツ型使い捨ておむつ100を着用した場合において、着用者の股下と接触する部位のことをいう。この吸収性本体14の股下相当部は、パンツ型使い捨ておむつ100を着用し、着用者が起立した状態において、最も股下側に位置する部位であることが好ましい。吸収性本体14は、吸収性本体14の前身頃側の一部が、前身頃シート32の肌当接面側に接合され、且つ、吸収性本体14の後身頃側の一部が、後身頃シート36の肌当接面側に接合されている。このため、実施形態1のパンツ型使い捨ておむつ100においては、吸収性本体14の股下相当部よりも更に股下側に、前身頃シート32と後身頃シート36が存在することとなり、この吸収性本体14の股下相当部よりも更に股下側のシートによって、着用者の太ももの一部が覆われるようになる。したがって、着用者の鼠蹊部に隙間ができにくく、パンツ型使い捨ておむつ100の股下部4からの漏れを有効に防止することができる。更に、太ももの裏側を覆う部位が捲れ上がり難いため、良好な着用感を実現することができる。
前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部同士の接合部位には、股下下端部の端縁から股上側に向かってスリット又は切り欠き部が形成されていることが好ましい。図1及び図2に示すパンツ型使い捨ておむつ100においては、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部同士の接合部位に、スリット37が形成されている。そして、前身頃シート32及び後身頃シート36の下端が股下部4より下方まで延出されて、一対の脚周り被覆部24(24a,24b)が形成されている、別言すれば、パンツ型使い捨ておむつ100においては、上述したスリット37の周縁に沿って、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部同士が接合されることによって、一対の脚周り被覆部24(24a,24b)が形成されている。このように、スリット37の長さに相当する部分に、着用者の太ももを被覆する脚周り被覆部24が形成される。パンツ型使い捨ておむつ100は、股下部4よりも更に股下側に延設された脚周り被覆部24が形成されているため、股下部4に隙間ができ難く、股下部4からの漏れを有効に防止することができる。また、従来のパンツ型使い捨ておむつにおいては、脚周り開口部周辺のシートが、着用者の脚の付根側に捲れ上がってしまうと、捲れ上がった部位に段差ができて、太ももの裏側に違和感や痛みを生じることがある。実施形態1のパンツ型使い捨ておむつ100においては、着用者の太ももを被覆する脚周り被覆部24が形成されているため、従来のパンツ型使い捨ておむつに比して、脚周り開口部12周辺(即ち、脚周り被覆部24)が捲れ上がり難くなっている。
吸収性本体14は、吸収性本体14の股下相当部と、股下下端部同士の接合部位(股下接合部8b)とが接触しないように配置されていれば、その間隔については特に制限はない。すなわち、吸収性本体14の股下相当部と、股下接合部8bとが離間した状態であればよい。実施形態1のパンツ型使い捨ておむつ100においては、吸収性本体14の股下相当部と、股下下端部同士の接合部位(股下接合部8b)との間隔Tが、5mm以上であることが好ましい。間隔Tを5mm以上とすることで、脚周り開口部に隙間ができ難くなり、股下部からの漏れを有効に防止することができる。また、間隔Tが大きくなりすぎると、着用者の実際の股下位置から、パンツ型使い捨ておむつ100の股下接合部8bまでの距離が長くなり、着用感が低下することがある。したがって、上記間隔Tは、5〜150mmであることが更に好ましく、10〜50mmであることが特に好ましい。なお、間隔Tは、パンツ型使い捨ておむつ100を平置きにし、股下側から股上側に向かう方向における、吸収性本体14の股下相当部と、股下接合部8bとの最短距離とする。
前身頃シート32及び後身頃シート36の、吸収性本体14の股下相当部よりも股下側の領域には、複数の伸縮材(脚周り伸縮材40)が、前身頃シート32及び後身頃シート36の一方の側縁から他方の側縁に向かう方向に沿って伸張状態で配置されている。そして、一対の脚周り被覆部24a,24bが形成される領域に配置される伸縮材による伸縮力が、一対の脚周り被覆部24a,24bよりも股上側の領域に配置される伸縮材(ウエスト周り伸縮材42,腹周り伸縮材44)による伸縮力よりも大である。更に、一対の脚周り被覆部24a,24bが形成される領域に複数の伸縮材(脚周り伸縮材40)が配置されている場合には、一対の脚周り被覆部24a,24において、一対の脚周り開口部12a,12bに近い側の伸縮材(脚周り伸縮材40)の伸縮力がより大きいことが好ましい。
なお、特に限定されることはないが、例えば、腹周り伸縮材44による伸縮力を100%とした場合に、脚周り伸縮材40の伸縮力が、105〜200%であることが好ましく、105〜150%であることが更に好ましく、105〜120%であることが特に好ましい。このように構成することによって、一対の脚周り被覆部24a,24bのフィット性が向上し、股下部からの漏れがより生じにくくなる。また、一対の脚周り開口部12a,12bに遠い側の脚周り伸縮材40の伸縮力を100%とした場合に、一対の脚周り開口部12a,12bに近い側の脚周り伸縮材40の伸縮力が、105〜200%が好ましく、105〜150%が更に好ましく、105〜120%が特に好ましい。このように構成することによって、一対の脚周り被覆部24a,24bの各脚周り開口部12a,12b側が、より窄まった形状となり、フィット性が向上し、股下部からの漏れがより生じにくくなる。また、おむつのずれ落ちを有効に防止することが可能となる。
以下、実施形態1のパンツ型使い捨ておむつについて、各構成要素ごとに更に詳細に説明する。
(1−1)前身頃シート及び後身頃シート:
前身頃シート32及び後身頃シート36は、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部を形成するシート状の部材であり、実施形態1のパンツ型使い捨ておむつ100においては、着用者の身体を被包するための装着機能を担う外装部材16となる。
パンツ型使い捨ておむつ100においては、着用者の排泄物を吸収し、保持する吸収・保持機能については、専ら吸収性本体が果たすことになるので、前身頃シート32及び後身頃シート36を構成する材料として液不透過性材料を用いる必要はない。パンツ型使い捨ておむつ100においては、前身頃シート32及び後身頃シート36は不織布により構成することが好ましい。不織布の種類は特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、脂肪族ポリアミド(いわゆるナイロン)、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維によって構成された不織布等を挙げることができる。また、伸縮性不織布などを用いてもよい。
そして、前身頃シート32及び後身頃シート36は、伸縮材(例えば、脚周り伸縮材40、ウエスト周り伸縮材42、腹周り伸縮材44)を挟み込んだ状態で固定するために、2枚以上の不織布を貼り合わせて構成されていてもよい。例えば、図1〜図3に示すパンツ型使い捨ておむつ100は、外装部材16をインナーシート16a、アウターシート16bという2枚の不織布を貼り合わせて構成し、それらの不織布の間に脚周り伸縮材40、ウエスト周り伸縮材42及び腹周り伸縮材44を挟み込み固定した例である。この例では、アウターシート16bの一部が折り返され、その折り返し部分に挟み込まれた押さえシート28によって、吸収性本体14の前端及び後端を被覆する構成となっている。このような構成は、万が一、吸収性本体14の前端ないし後端から尿や軟便が染み出した場合であっても、おむつ外部への漏れを防止することができるため好ましい。
(1−1a)脚周り被覆部:
本明細書にいう「脚周り被覆部」とは、着用者の脚周りの一部を被覆する部分であって、おむつの股下部より下方に形成された部分を意味し、前身頃及び後身頃の下端が股下部より下方まで延出されて形成される。実施形態1のパンツ型使い捨ておむつにおいては、前身頃、股下部及び後身頃の各部は、不織布からなる外装部材(前身頃シート及び後身頃シート)によって形成されるので、脚周り被覆部もこの外装部材の一部によって形成される。
(1−2)吸収性本体:
吸収性本体14は、複数のシートが吸収体22を挟持した状態で積層されたものである。実施形態1のパンツ型使い捨ておむつ100においては、トップシート18とバックシート20とが吸収体22を挟持した状態で積層された吸収性本体14を備えている。すなわち、吸収体22は、着用者の肌に当接する面(肌当接面)側から液透過性のトップシート18によって被覆され、反対側の肌非当接面側から液不透過性のバックシート20によって被覆されている。したがって、尿などの液体は、トップシート18を透過して、吸収体22に吸収保持され、液透過性のバックシート20によって外部への漏出が阻止される。
(1−3)吸収体:
吸収体22は、着用者の尿を吸収し保持するための部材である。吸収体22は、着用者の尿や体液を吸収し保持するために、吸収性材料によって構成される。吸収性材料としては、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;「SAP」)、親水性シート等を採用することができる。フラッフパルプの例は、木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものである。高吸水性ポリマーの例は、ポリアクリル酸ナトリウムである。親水性シートとしては、例えば、ティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布を用いることができる。
吸収体22は、トップシート18とバックシート20の間に挟み込まれ、両シートの周縁部が封着されることによって、トップシート18とバックシート20との間に封入される。吸収体22の形状については特に制限はなく、例えば、矩形状、ひょうたん型、T字型とすることができる。
(1−4)トップシート:
トップシート18は、吸収体22の肌当接面側を被覆するように配置される液透過性のシートである。トップシート18は、尿などの液体を、その下面側に配置された吸収体22に浸透させる。
トップシート18を構成する液透過性材料として、例えば、織布、不織布、多孔性フィルを採用することができる。特に、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロンのような熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。トップシート18は、単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。
(1−5)バックシート:
バックシート20は、吸収体22を肌非当接面側から被覆するように配置される液不透過性のシートである。バックシート20は、吸収体22により保持されている液体が、吸収性本体の外部及びおむつの外部に漏洩してしまうことを防止する。
バックシート20を構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を採用することができる。特に、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1μm程度の微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するためおむつ内部の蒸れを防止することができるという点において好ましい。
(1−6)立体ギャザー:
実施形態1のパンツ型使い捨ておむつは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するため、立体ギャザーを有してもよい。立体ギャザーは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。このような立体ギャザーを形成することにより、トップシートの上に尿が排泄され、トップシートを伝って尿が拡散してしまった場合でも、立体ギャザーが防波堤となり、おむつの脚周り開口部等からの漏れ(いわゆる「横漏れ」)を有効に防止することができる。
立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、撥水性のシート材の一部に伸縮材(立体ギャザー伸縮材)を配置し、その立体ギャザー伸縮材によってシート材にギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。本発明のパンツ型使い捨ておむつの場合、外装部材に立体ギャザーを直接付設する構成であってもよいが、横漏れを確実に防止するという観点から、吸収性本体の両側縁部に少なくとも一対の立体ギャザーを付設することが好ましい。
(1−7)各種伸縮材:
パンツ型使い捨ておむつにおいては、脚周り伸縮材を配置し、ウエスト周り伸縮材を配置してもよい。更に腹周り伸縮材を配置してもよい。
脚周り伸縮材は、脚周り開口部に沿って配置される伸縮材である。なお、本発明においては、脚周り被覆部に配置される伸縮材についても、脚周り伸縮材という。この脚周り伸縮材を配置することによって、脚周り開口部及び脚周り被覆部に伸縮性に富むギャザー(レグギャザー)を形成することができる。したがって、脚周りに隙間が形成され難くなり、脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。
脚周り伸縮材は、1本のみ配置されていてもよいし、複数配置されていてもよい。3本以上の脚周り伸縮材を配置する場合には、これらを均等な間隔で配置してもよいし、異なる間隔で配置してもよい。また、複数の脚周り伸縮材同士の間隔が変化するように配置してもよい。
ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーにより、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる他、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりが防止される。
ウエスト周り伸縮材は、複数配置されていることが好ましいが、1本のみ配置されていてもよい。3本以上のウエスト周り伸縮材を配置する場合には、これらを均等な間隔で配置してもよいし、異なる間隔で配置してもよい。また、複数のウエスト周り伸縮材同士の間隔が変化するように配置してもよい。おむつの前身頃と後身頃で、本数、配置、伸長状態等が異なるようにウエスト周り伸縮材を配置してもよいが、均一な締め付け力を得るために、これらが概ね同じくなるようにウエスト周り伸縮材を配置することが好ましい。
腹周り伸縮材は、ウエスト周り開口部と脚周り開口部との間の部分(即ち、着用者の腹周りに相当する部分)に配置される伸縮材である。腹周り伸縮材を配置することによって、着用者の腹周りに伸縮性に富むギャザー(タミーギャザー)を形成することができる。このタミーギャザーは、ウエストギャザーと相俟って、おむつのフィット性やずり下がり防止効果を一層優れたものとすることができる。
腹周り伸縮材は、複数配置されていることが好ましいが、1本のみ配置されていてもよい。3本以上の腹周り伸縮材を配置する場合には、これらを均等な間隔で配置してもよいし、異なる間隔で配置してもよい。また、複数の腹周り伸縮材同士の間隔が変化するように配置してもよい。例えば、おむつの中央部から側縁側に向かって間隔が広がるように腹周り伸縮材を配置すると、おむつの股下部や内腿側にはウエスト側に向かって引き上げるような張力が働くので、おむつのずり落ちを防止することができる。
伸縮材としては、従来の使い捨ておむつで使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなる糸ゴム、平ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
伸縮材は、十分な伸縮力を作用させるため、伸長状態で固定することが好ましい。例えば、伸縮材が天然ゴムや合成ゴムである場合には、120〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、十分な伸縮力を作用させ、かつ、ウエスト周り開口部や脚周り開口部が必要以上に縮小されるのを防止することができる。
[実施形態2]
以下、本発明のパンツ型使い捨ておむつの実施形態2について、図4を参照しつつ説明する。図4は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの実施形態2を模式的に示す平面図である。実施形態2のパンツ型使い捨ておむつ200は、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部には、股下下端部の端縁から股上側に向かって切り欠き部38が形成され、この切り欠き部38の周縁に沿って、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部同士が接合されることによって、一対の脚周り被覆部24(24a,24b)が形成されている。実施形態2のパンツ型使い捨ておむつ200においては、上述した股下下端部同士の接合部位(股下接合部8b)に切り欠き部38が形成されていること以外は、これまでに説明した実施形態1の使い捨ておむつ100と同様に構成されている。図4においては、図1に示す使い捨ておむつ100と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略することがある。
図4に示す実施形態2のパンツ型使い捨ておむつ200は、前身頃シート32と後身頃シート36の側縁部同士が接合されて、パンツ型使い捨ておむつ200の両側縁に、側縁接合部8a,8aが形成されている。また、このパンツ型使い捨ておむつ200は、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部が、上記切り欠き部38の周縁に沿って接合されて、股下接合部8bが形成されている。前身頃シート32と後身頃シート36の側縁部同士及び股下下端部の一部同士が、それぞれ接合されることによって、一つのウエスト周り開口部10、及び一対の脚周り開口部12(12a,12b)が形成されている。
吸収性本体14は、当該吸収性本体14の股下相当部が、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部同士の接合部位(即ち、股下接合部8b)よりも、ウエスト周り開口部10寄り(即ち、股上側)に位置し、吸収性本体14の股下相当部と、股下下端部同士の接合部位(股下接合部8b)とが接触しないように配置されている。そして、この吸収性本体14は、吸収性本体14の前身頃側の一部が、前身頃シート32の肌当接面側に接合され、且つ、吸収性本体14の後身頃側の一部が、後身頃シート36の肌当接面側に接合されている。したがって、実施形態2のパンツ型使い捨ておむつ200においては、切り欠き部38の両側に位置する前身頃シート32及び後身頃シート36によって、着用者の太ももを被覆する脚周り被覆部24が形成される。したがって、股下部4に隙間ができ難く、股下部からの漏れを有効に防止することができる。
図4に示すパンツ型使い捨ておむつ200において、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部に形成された切り欠き部38は、股下下端部の端縁から股上側に向かう方向に、切り欠き部38の幅が狭くなるように形成されていることが好ましい。このように構成することによって、着用者の太ももを被覆する脚周り被覆部24が、一対の脚周り開口部12(12a,12b)側にて窄まる形状となり、太もも周りにおけるフィット感を向上させることができる。また、おむつの着用時において、脚周り被覆部24が捲れ上がり難くなり、股下部からの漏れを更に有効に防止することができる。また、脚周り被覆部24にて段差ができ難くなるため、太ももの裏側に違和感や痛みも生じ難い。更に、このパンツ型使い捨ておむつ200は、着用時におむつがずれ落ち難く、良好な着用状態を維持することができる。
[実施形態3]
以下、本発明のパンツ型使い捨ておむつの実施形態3について、図5を参照しつつ説明する。図5は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの実施形態3を模式的に示す平面図である。実施形態3のパンツ型使い捨ておむつ300は、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部同士の接合部位(股下接合部8b)には、股下下端部の端縁から股上側に向かって切り欠き部38aが形成されている。したがって、切り欠き部38aの周縁に沿って、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部同士が接合されることによって、一対の脚周り被覆部24(24a,24b)が形成されている。実施形態3のパンツ型使い捨ておむつ300においては、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部同士が半円形状に接合され、この半円形状の股下接合部8bに、矩形の切り欠き部38aが形成されている。すなわち、本発明において、「股下接合部8b」の形状と、「切り欠き部38a」の形状とが一致していなくともよい。別言すれば、本発明において、「切り欠き部38aの周縁に沿って、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部同士が接合される」という場合には、切り欠き部38aの周縁にて、前身頃シート32と後身頃シート36とが接合されていればよく、必ずしも、切り欠き部38aの形状と、股下接合部8bの形状が一致していなくともよい。実施形態3のパンツ型使い捨ておむつ300は、上述したように、半円形状の股下接合部8bに、矩形の切り欠き部38aが形成されていること以外は、これまでに説明した実施形態1の使い捨ておむつ100と同様に構成されている。図5においては、図1に示す使い捨ておむつ100と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略することがある。
吸収性本体14は、当該吸収性本体14の股下相当部が、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部同士の接合部位(即ち、股下接合部8b)よりも、ウエスト周り開口部10寄り(即ち、股上側)に位置し、吸収性本体14の股下相当部と、股下下端部同士の接合部位(股下接合部8b)とが接触しないように配置されている。そして、この吸収性本体14は、吸収性本体14の前身頃側の一部が、前身頃シート32の肌当接面側に接合され、且つ、吸収性本体14の後身頃側の一部が、後身頃シート36の肌当接面側に接合されている。したがって、実施形態3のパンツ型使い捨ておむつ300においては、切り欠き部38aの両側に位置する前身頃シート32及び後身頃シート36によって、着用者の太ももを被覆する脚周り被覆部24が形成される。このため、股下部4に隙間ができ難く、股下部からの漏れを有効に防止することができる。また、実施形態3のパンツ型使い捨ておむつ300においては、半円形状の股下接合部8bに、矩形の切り欠き部38aが形成されているため、特に、太もも内側における着用感に優れている。
[実施形態4]
以下、本発明のパンツ型使い捨ておむつの実施形態4について、図6を参照しつつ説明する。図6は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの実施形態4を模式的に示す平面図である。実施形態4のパンツ型使い捨ておむつ400は、これまでに説明したパンツ型使い捨ておむつよりも、前身頃シート32と後身頃シート36の股下側の丈が長くなっている。前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部同士の接合部位には、股下下端部の端縁から股上側に向かってスリット37aが形成されている。このスリット37aの周縁に沿って、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部同士が接合されることによって、一対の脚周り被覆部24L(24La,24Lb)が形成されている。実施形態4のパンツ型使い捨ておむつ400は、脚周り被覆部24L(24La,24Lb)の股下丈が長く、太もも部分をより広く覆うことができる。脚周り被覆部24L(24La,24Lb)の股下丈の長さについては特に制限はなく、適宜選択することができる。例えば、所謂、一分丈や三分丈のような脚周り被覆部24Lとしてもよいし、着用者の膝までを覆うような脚周り被覆部24Lとしてもよい。実施形態4のパンツ型使い捨ておむつ400は、上述したように、股下丈が長い脚周り被覆部24Lが形成されている以外は、これまでに説明した実施形態1の使い捨ておむつ100と同様に構成されている。図6においては、図1に示す使い捨ておむつ100と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略することがある。
実施形態4のパンツ型使い捨ておむつ400においても、吸収性本体14は、当該吸収性本体14の股下相当部が、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部同士の接合部位(即ち、股下接合部8b)よりも、ウエスト周り開口部10寄り(即ち、股上側)に位置し、吸収性本体14の股下相当部と、股下下端部同士の接合部位(股下接合部8b)とが接触しないように配置されている。そして、この吸収性本体14は、吸収性本体14の前身頃側の一部が、前身頃シート32の肌当接面側に接合され、且つ、吸収性本体14の後身頃側の一部が、後身頃シート36の肌当接面側に接合されている。
[実施形態5]
以下、本発明のパンツ型使い捨ておむつの実施形態5について、図7を参照しつつ説明する。図7は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの実施形態5を模式的に示す平面図である。実施形態5のパンツ型使い捨ておむつ500は、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部同士の接合部位には、股下下端部の端縁から股上側に向かって切り欠き部38が形成されている。この切り欠き部38の周縁に沿って、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部同士が接合されることによって、一対の脚周り被覆部24(24a,24b)が形成されている。また、このパンツ型使い捨ておむつ500においては、前身頃シート32と後身頃シート36の一対の脚周り被覆部24(24a,24b)が形成された部位の両側縁側に、側縁切り欠き部39が形成されている。そして、前身頃シート32と後身頃シート36の、上記側縁切り欠き部39の側縁を含む側縁部同士が接合されて、パンツ型使い捨ておむつ500の両側縁に、側縁接合部8a,8aが形成されている。実施形態5のパンツ型使い捨ておむつ500においては、側縁切り欠き部39が形成されていること以外は、これまでに説明した実施形態2の使い捨ておむつ200(図4参照)と同様に構成されている。図7においては、図4に示す使い捨ておむつ200と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略することがある。
吸収性本体14は、当該吸収性本体14の股下相当部が、前身頃シート32と後身頃シート36の股下下端部同士の接合部位(即ち、股下接合部8b)よりも、ウエスト周り開口部10寄り(即ち、股上側)に位置し、吸収性本体14の股下相当部と、股下下端部同士の接合部位(股下接合部8b)とが接触しないように配置されている。そして、この吸収性本体14は、吸収性本体14の前身頃側の一部が、前身頃シート32の肌当接面側に接合され、且つ、吸収性本体14の後身頃側の一部が、後身頃シート36の肌当接面側に接合されている。
パンツ型使い捨ておむつ500においては、パンツ型使い捨ておむつ500の両側縁に、側縁接合部8a,8aが形成されることによって、着用者の太ももを被覆する脚周り被覆部24が、一対の脚周り開口部12(12a,12b)側にて窄まる形状となり、太もも周りにおけるフィット感を向上させることができる。また、おむつの着用時において、脚周り被覆部24が捲れ上がり難くなり、股下部からの漏れを更に有効に防止することができる。また、脚周り被覆部24にて段差ができ難くなるため、太ももの裏側に違和感や痛みも生じ難い。更に、このパンツ型使い捨ておむつ500は、着用時におむつがずれ落ち難く、良好な着用状態を維持することができる。
[パンツ型使い捨ておむつの製造方法]
次に、本発明のパンツ型使い捨ておむつの製造方法について説明する。以下、これまでに説明した実施形態1のパンツ型使い捨ておむつの製造方法について説明する。図8は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの製造方法の一例を概念的に示した平面図である。
図8に示すように、ステップA1として、前身頃シートの連続体132と後身頃シートの連続体136とが、公知の方法により作製される。前身頃シートの連続体132は、個々の前身頃シート32が、個別のパンツ型使い捨ておむつ100になったときの幅方向に連続したものである。また、後身頃シートの連続体136は、個々の後身頃シート36が、個別のパンツ型使い捨ておむつ100になったときの幅方向に連続したものである。例えば、前身頃シートの連続体132は、パンツ型使い捨ておむつ100の外側の層を構成するアウターシートと、このアウターシートの内側に配置されるインナーシートとの間に、複数の弾性伸縮部材を伸長状態で固定することにより作製可能である。同様に、後身頃シートの連続体136は、パンツ型使い捨ておむつ100の外側の層を構成するアウターシートと、このアウターシートの内側に配置されるインナーシートとの間に、複数の弾性伸縮部材を伸長状態で固定することにより作製可能である。例えば、前身頃シートの連続体132及び後身頃シートの連続体136のそれぞれは、長尺の伸縮性不織布などを用いてもよい。
図8に示されるように、前身頃シートの連続体132と後身頃シートの連続体136は、その長尺方向(個別のパンツ型使い捨ておむつ100になったときの幅方向)を流れ方向として、公知の搬送装置によって搬送される。図8において、前身頃シートの連続体132と後身頃シートの連続体136の流れ方向は、矢印によって示されている。
他方、ステップA2として、前身頃シートの連続体132及び後身頃シートの連続体136の製造ラインとは別の製造ラインにおいて、吸収性本体14が製造される。吸収性本体14の製造ラインでは、まず、公知の方法に従って、吸収性本体の連続体114を作製する。図8に示されるように、吸収性本体14の連続体114は、個々の吸収性本体14が、個別のパンツ型使い捨ておむつ100になったときの長さ方向に連続した状態のものである。吸収性本体14の構成部材としては、公知のものを採用できる。例えば、吸収性本体14は、少なくとも、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートの間に、液体を吸収し保持することが可能な吸収体を介在させればよい。また、吸収性本体14は、その幅方向の左右両側に立体ギャザーを備えるものであってもよい。
図8に示されるように、吸収性本体の連続体114は、その長尺方向(個別のパンツ型使い捨ておむつになったときの長さ方向)を流れ方向として、公知の搬送装置によって搬送される。次に、吸収性本体の連続体114を切断し、個別の吸収性本体14に分離する。切断装置としては、公知のものを用いればよい。以上説明した吸収性本体14の作製方法については、従来公知のパンツ型使い捨ておむつの製造方法における吸収性本体14の作製方法に準じて行うことができる。
その後、個別の吸収性本体14の向きを約90度回転させる。これは、上述した前身頃シートの連続体132と後身頃シートの連続体136の流れ方向と、個別の吸収性本体14の流れ方向を揃えるためである。すなわち、吸収性本体14は、個別のパンツ型使い捨ておむつになったときの長さ方向を流れ方向として搬送されるものであったが、このようにして向きを変えることで、個別のパンツ型使い捨ておむつ100になったときの幅方向が流れ方向となる。これにより、個別の吸収性本体14の流れ方向が、前身頃シートの連続体132と後身頃シートの連続体136の流れ方向に一致する。
次に、ステップA3として、後身頃シートの連続体136の肌当接面と、吸収性本体14の一方の端部と、を重ね合わせて接合する。図8においては、吸収性本体14の裏面側に接着剤150を塗布し、後身頃シートの連続体136の肌当接面と、吸収性本体14の一方の端部と、を重ね合わせて接合している。接着剤150としては、例えば、ホットメルト接着剤や、その他流動性のある接着剤を用いることができる。なお、図8においては、ステップA3にて、吸収性本体14と後身頃シートの連続体136とを接合し、後述する、ステップA5にて、収性本体14と、前身頃シートの連続体132とを接合する場合の例を示しているが、例えば、ステップA3にて、前身頃シートの連続体132と吸収性本体14とを接合し、その後、ステップA5にて、収性本体14と、後身頃シートの連続体136とを接合してもよい。また、前身頃シートの連続体132及び後身頃シートの連続体136の肌当接面に接着剤を塗布して、吸収性本体14を接合してもよい。なお、このステップA3においては、後述するステップA4にて、吸収性本体14を折り畳んだ場合に、後身頃シートの連続体136から、折り畳んだ吸収性本体14がはみ出さないような位置に、吸収性本体14を配置して接合することが好ましい。
次に、ステップA4として、後身頃シートの連続体136に接合した吸収性本体14を、吸収性本体14の肌当接面が内側となるように、パンツ型使い捨ておむつ100の長さ方向に折り畳む。吸収性本体14を折り畳む位置(すなわち、折り目の位置)については、吸収性本体14の、パンツ型使い捨ておむつ100の長さ方向の中央部分であってもよいし、吸収性本体14の一方の端部側又は他方の端部側に折り目の位置をずらしてもよい。ただし、折り畳んだ吸収性本体14が、後身頃シートの連続体136からはみ出さないようにする。すなわち、吸収性本体14の折り目が、後身頃シートの連続体136の長手方向における側縁からはみ出さないようにする。
次に、ステップA5として、前身頃シートの連続体132の肌当接面と、折り畳んだ吸収性本体14の他方の端部と、を重ね合わせて接合する。このステップA5により、吸収性本体14の片側の端部が、前身頃シートの連続体132と接合され、吸収性本体14のもう片側の端部が、後身頃シートの連続体136と接合される。
次に、ステップA6として、前身頃シートの連続体132と後身頃シートの連続体136を重ね合わせた状態で、個別のパンツ型使い捨ておむつ100になったときの股下下端部に、股下接合部108bを形成する。股下接合部108bは、例えば、ヒートシール接合や、超音波シール接合によって形成することができる。
次に、ステップA7として、前身頃シートの連続体132と後身頃シートの連続体136との股下下端部同士を接合した股下接合部108bに、スリット137を形成する。これにより、スリット137に沿って、前身頃シートの連続体132と後身頃シートの連続体136との股下下端部同士が接合された状態となる。
次に、ステップA8として、前身頃シートの連続体132と後身頃シートの連続体136を重ね合わせた状態で、個別のパンツ型使い捨ておむつ100になったときの幅方向の左右両端部に相当する位置に、一対の側縁接合部108aを形成する。側縁接合部108aは、前身頃シートの連続体132と後身頃シートの連続体136の一部を接合するためのものであり、側縁接合部108aは、個別のパンツ型使い捨ておむつ100になったときの長さ方向に延びて形成される。このようにして、前身頃シート32(前身頃シートの連続体132)及び後身頃シート36(後身頃シートの連続体136)が、側縁接合部108aにおいて互いに接合されて環状に繋がる。側縁接合部108aを形成する手段としては、公知の接合方法を用いることができる。例えば、ヒートシール接合や、超音波シール接合によって、側縁接合部108aを形成すればよい。
次に、ステップA9として、重なった状態の前身頃シートの連続体132と後身頃シートの連続体136を流れ方向と直交する方向に切断する。このときの切断位置は、隣接する側縁接合部108aの間の位置である。これにより、個別の前身頃シート32と、個別の後身頃シート38と、個別の吸収性本体14を有するパンツ型使い捨ておむつ100が得られる。なお、図8に示すパンツ型使い捨ておむつの製造方法は、実施形態1のパンツ型使い捨ておむつ100を製造する方法の一例であり、これまでに説明した製造方法に限定されるものではない。
ここで、本発明のパンツ型使い捨ておむつの製造方法の他の例を、図9に示す。図9は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの製造方法の他の例を概念的に示した平面図である。図9においては、図7に示す実施形態5のパンツ型使い捨ておむつ500を製造する方法を示す。
図9に示すパンツ型使い捨ておむつの製造方法においては、まず、ステップB1として、前身頃シートの連続体132と後身頃シートの連続体136とが、公知の方法により作製される。次に、ステップB2として、前身頃シートの連続体132及び後身頃シートの連続体136の製造ラインとは別の製造ラインにおいて、吸収性本体14が製造される。
次に、ステップB3として、後身頃シートの連続体136の肌当接面と、吸収性本体14の一方の端部と、を重ね合わせて接合する。図9においては、吸収性本体14の裏面側に接着剤150を塗布し、後身頃シートの連続体136の肌当接面と、吸収性本体14の一方の端部と、を重ね合わせて接合している。次に、ステップB4として、後身頃シートの連続体136に接合した吸収性本体14を、吸収性本体14の肌当接面が内側となるように、パンツ型使い捨ておむつ500の長さ方向に折り畳む。吸収性本体14を折り畳む位置(すなわち、折り目の位置)については、吸収性本体14の、パンツ型使い捨ておむつ500の長さ方向の中央部分であってもよいし、吸収性本体14の一方の端部側又は他方の端部側に折り目の位置をずらしてもよい。ただし、折り畳んだ吸収性本体14が、後身頃シートの連続体136からはみ出さないようにする。すなわち、吸収性本体14の折り目が、後身頃シートの連続体136の長手方向における側縁からはみ出さないようにする。
次に、ステップB5として、前身頃シートの連続体132の肌当接面と、折り畳んだ吸収性本体14の他方の端部と、を重ね合わせて接合する。このステップB5により、吸収性本体14の片側の端部が、前身頃シートの連続体132と接合され、吸収性本体14のもう片側の端部が、後身頃シートの連続体136と接合される。ここまでに説明したステップB1からステップB5の工程は、上述したステップA1からステップA5と同様の方法によって行うことができる。
次に、ステップB6として、前身頃シートの連続体132と後身頃シートの連続体136を重ね合わせた状態で、個別のパンツ型使い捨ておむつ500になったときの股下下端部に、股下接合部208bを形成する。股下接合部208bは、例えば、ヒートシール接合や、超音波シール接合によって形成することができる。ステップB6では、股下接合部208bの形状が、後述するステップB7にて形成する切り欠き部238の形状に合わせて、三角形に形成している。
次に、ステップB7として、前身頃シートの連続体132と後身頃シートの連続体136との股下下端部同士を接合した股下接合部208bに、切り欠き部238を形成する。これにより、スリット137に沿って、前身頃シートの連続体132と後身頃シートの連続体136との股下下端部同士が接合された状態となる。また、このステップB7では、前身頃シートの連続体132と後身頃シートの連続体136を重ね合わせた状態で、個別のパンツ型使い捨ておむつ500になったときの幅方向の左右両端部に相当する位置に、側縁接合部208aを形成している。この側縁接合部208aは、隣接する個別のパンツ型使い捨ておむつ500の各側縁部分が一体化したものとなっている。また、この側縁接合部208aは、接合部分の幅が、おむつの股下側で広くなっている。これは、後述するステップB8にて、側縁切り欠き部239を形成するためである。側縁接合部208aを形成する手段としては、公知の接合方法を用いることができる。例えば、ヒートシール接合や、超音波シール接合によって、側縁接合部208aを形成すればよい。
次に、ステップB8として、側縁接合部208aの股下側を切り欠いて、側縁切り欠き部239を形成する。ステップB8においては、個別のパンツ型使い捨ておむつ500の各側縁部分に所定の幅を有する側縁接合部8a,8aが形成されるように、側縁接合部208aの形成された範囲内に、側縁切り欠き部239を形成することが好ましい。
次に、ステップB9として、重なった状態の前身頃シートの連続体132と後身頃シートの連続体136を流れ方向と直交する方向に切断する。このときの切断位置は、側縁接合部208aが形成されている位置とする。これにより、個別の前身頃シート32と、個別の後身頃シート38と、個別の吸収性本体14を有するパンツ型使い捨ておむつ500が得られる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。