以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
以下の実施の形態の画像形成システムは、複数のユーザーインターフェースと、複数のユーザーインターフェースの各々からの操作を受け付け可能な画像形成装置とを備えている。本実施の形態において、画像形成装置はMFPであり、ユーザーインターフェースは、MFPに固定された操作パネル、またはMFPと無線通信もしくは有線通信が可能なリモートパネルである。リモートパネルは、典型的には携帯端末(スマートフォンやタブレット端末)である。
画像形成装置は、MFPである場合の他、たとえばファクシミリ装置、複写機、プリンターなどであってもよい。ユーザーインターフェースは、入力部と出力部とを含むものであればよく、PC(Personal Computer)などであってもよい。
なお、本明細書において、「カスタマイズ仕様」とは、そのユーザーのユーザーインターフェースの利用環境である。「カスタマイズ仕様」には、MFPの機能(カラーコピー機能、ステープル機能、メール送信機能、MFPに関するアプリなど)に関するそのユーザーの利用権限の有無、ファイルの利用権限(アクセス権限)の有無、ユーザーインターフェースへの操作ボタンの表示の有無、またはユーザーインターフェースで行われた設定の内容などが含まれる。「カスタマイズ仕様」には、そのユーザーが設定したものと、MFPの管理者などが設定したものとの両方が含まれる。
また、MFPを用いた作業を支援する依頼を「支援依頼」と呼ぶことがある。さらに、この依頼の依頼元のユーザーを「依頼者」と呼び、支援を依頼する相手となるユーザーを「支援者」と呼ぶことがある。
[第1の実施の形態]
始めに、画像形成システムの概略的な構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成システムの概略的な構成を示す図である。
図1を参照して、画像形成システムは、本体パネルである操作パネル150(ユーザーインターフェースの一例)を含むMFP100(画像形成装置の一例)と、リモートパネル(外部端末パネル)200aおよび200b(ユーザーインターフェースの一例)とを備えている。MFP100と、リモートパネル200aおよび200bの各々とは、ネットワーク(通信網)300により相互に接続されている。
以下、画像形成システムが備えるリモートパネル(図1ではリモートパネル200aおよび200b)のうち任意のものをリモートパネル200と記すことがある。
ネットワーク300は、有線または無線のLAN(Local Area Network)である。ネットワーク300は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)のプロトコルを用いて各種機器を接続する。ネットワーク300に接続された機器は、お互いに各種データのやり取りが可能(通信可能)となっている。なお、ネットワーク300に代えて、インターネット・専用線などの広域ネットワークを用いて各機器を接続してもよい。
画像形成システムは、MFP100に関する操作を受け付け可能なユーザーインターフェースとして、操作パネル150、ならびにリモートパネル200aおよび200bを含んでいる。操作パネル150はMFP100に固定されている。リモートパネル200aおよび200bは、ネットワーク300に有線接続された無線アクセスポイント310を通じてMFP100と無線接続されている。MFP100とユーザーインターフェースとの接続形態は、有線接続であっても無線接続であってもよい。
以降の説明において、リモートパネル200aのユーザーをユーザーAと記し、リモートパネル200bのユーザーをユーザーBと記し、操作パネル150を操作中のユーザーをユーザーCと記すことがある。リモートパネル200aおよびリモートパネル200bの各々は、それぞれユーザーAおよびBの各々が所有する個人のユーザーインターフェースであるのに対して、操作パネル150は、複数のユーザーによって立ち代り操作されるユーザーインターフェースである。
MFP100は、たとえば電子写真方式や静電記録方式などによって画像形成を行うものであり、スキャナー機能、ファクシミリ機能、コピー機能、プリンターとしての機能、データ通信機能、およびサーバー機能を備えている。
MFP100は、たとえば、読み込んだ原稿の画像や、リモートパネル200などから受信したプリントデータに基づいて生成した画像の印刷物を、用紙上に形成する。プリントデータとは、たとえば、リモートパネル200のオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムが発行する描画命令を、プリンタドライバによってMFP100が処理可能なページ記述言語に変換したものである。プリントデータは、PDF、TIFF、JPEG、またはXPSなどのファイルフォーマットで記述された文書データなどであってもよい。
MFP100は、ネットワーク300を介して、リモートパネル200に原稿画像を送信することも可能である。さらにMFP100は、リモートパネル200から受信した文書データを、MFP100内のメモリ部170(図2)に蓄積することも可能である。
MFP100は、リモートパネル200のパネル描画部240(図2)へ画像を描画する画像描画処理を行うことが可能である。具体的には、MFP100は、リモートパネル200から受信した指示に基づく画面の画像データをメモリ部170内から取り出し、リモートパネル200へ送信する。
なお、画像形成システムは、MFP100、ならびにリモートパネル200aおよび200b以外の外部機器(他のMFP、リモートパネル、またはPCなど)をさらに備えていてもよい。MFP100とリモートパネル200とは、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を用いて相互に通信が可能であってもよい。
続いて、MFP100およびリモートパネル200の構成について説明する。
図2は、画像形成システムの構成を示すブロック図である。
図2を参照して、MFP100は、全体制御部110と、外部I/F部120と、パネル制御部130と、プリンター部141と、スキャナー部142と、操作パネル表示部150aと、操作タッチパネル150bと、ハードキー(ハードウェアキー)150cと、外付けキーボード160とを主に含んでいる。全体制御部110には、外部I/F部120、パネル制御部130、プリンター部141、スキャナー部142、およびメモリ部170の各々が接続されている。パネル制御部130には、操作パネル表示部150a、操作タッチパネル150b、ハードキー150c、および外付けキーボード160の各々が接続されている。
全体制御部110は、スキャンジョブ、コピージョブ、メール送信ジョブ、およびプリントジョブなどの各種ジョブについて、MFP100全体の制御を行う。全体制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Static Random Access Memory)などを含んでいる。CPUは、ROMに記憶された制御プログラムを実行する。RAMはCPUの作業用のメモリである。
外部I/F部120は、ネットワークケーブルを介してMFP100をネットワーク300に接続する。外部I/F部120は、リモートパネル200や他のMFPとの間で、各種の情報を送受信する。
パネル制御部130は、操作パネル表示部150aに各種情報を表示する。またパネル制御部130は、操作タッチパネル150b、ハードキー150c、または外付けキーボード160を通じて操作を受け付ける。
プリンター部141は、画像データに基づいて用紙などに画像をプリントする。プリンター部141は、おおまかに、トナー像形成部、定着装置、および用紙搬送部などで構成される。トナー像形成部は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色について設けられた感光体と、感光体からトナー像が転写(1次転写)される中間転写ベルトと、中間転写ベルトから用紙に画像を転写(2次転写)する転写部などで構成される。定着装置は、加熱ローラーおよび加圧ローラーを有する。定着装置は、加熱ローラーと加圧ローラーとでトナー像が形成された用紙を挟みながら搬送し、その用紙に加熱および加圧を行なう。これにより、定着装置は、用紙に付着したトナーを溶融させて用紙に定着させ、用紙に画像を形成する。用紙搬送部は、給紙ローラー、搬送ローラー、およびそれらを駆動するモーターなどで構成されている。用紙搬送部は、用紙を給紙カセットから給紙して、MFP100の筐体の内部で搬送する。また、用紙搬送部は、画像が形成された用紙をMFP100の筐体から排紙トレイなどに排出する。
スキャナー部142は原稿の画像を読み取る。
メモリ部170は、ユーザー情報テーブル(図3)、ヘルプ作業リスト(図7)、ログ情報テーブル(図14)、加速度情報比較テーブル(図18(c)または図19(c))、または画像データなどの各種情報を記憶する。
リモートパネル200は、制御部210と、外部I/F部220と、メモリ部230と、パネル描画部240と、タッチパネル入力部250と、加速度センサー260とを主に含んでいる。制御部210には、外部I/F部220、メモリ部230、パネル描画部240、タッチパネル入力部250、および加速度センサー260の各々が接続されている。
制御部210は、リモートパネル200全体の制御を行う。制御部210は、リモートパネル200の制御プログラムを実行するCPUと、制御プログラムなどを記憶するROMと、CPUの作業用のメモリであるRAMなどを含んでいる。
外部I/F部220は、リモートパネル200をネットワーク300に接続する。外部I/F部220は、MFP100との間で各種の情報を送受信する。
メモリ部230は、リモートパネル200の稼動や使用をサポートするためのオペレーティングシステムのプログラムと、MFP100を操作するためのリモートパネルアプリのプログラムなどを記憶している。
パネル描画部240は、制御部210の制御により各種情報をリモートパネル200の画面に表示する。
タッチパネル入力部250は、リモートパネル200に表示した画面の操作を受け付ける。
加速度センサー260は、リモートパネル200の加速度を計測する。
リモートパネル200には、リモートパネルアプリがインストールされている。リモートパネルアプリが起動されると、MFP100は、リモートパネルアプリが起動された旨の通知をリモートパネル200から受け付け、リモートパネル200のユーザーの認証処理を行う。MFP100は、リモートパネル200のユーザーの認証に成功した場合、リモートパネル200のユーザーのログイン処理を行ない、MFP100の所定の機能の利用を許可する。リモートパネル200は、リモートパネルアプリが起動されている場合、ユーザーから受け付けた操作をMFP100に通知する。
図3は、メモリ部170に記憶されているユーザー情報テーブルを模式的に示す図である。
図3を参照して、ユーザー情報テーブルには、MFP100を利用可能なユーザーの情報が記録されている。ユーザー情報テーブルの横方向(行方向)には、一人のユーザーの各種情報が並べられている。具体的には、一人のユーザーに関する「ID」、「パスワード」、「ユーザー名」、「支援の可否」、「利用可能な機能」、および「追加する操作ボタン」の各項目が並べられている。これらの項目のうち、「利用可能な機能」および「追加する操作ボタン」の各項目は、そのユーザーのカスタマイズ仕様が記載された項目である。
「支援の可否」の項目には、自分以外のユーザーから支援依頼を受け付けるか否か(支援候補者として登録されているか否か)が記載されている。MFP100は、任意のユーザーインターフェースを通じてそのユーザーからの支援候補者としての登録を受け付けた場合に、そのユーザーの「支援の可否」の欄を「不可」から「可」に書き換え、そのユーザーを支援候補者として登録する。
「利用可能な機能」の項目には、そのユーザーが利用権限を有しているMFP100の機能(カラーコピー機能、ステープル機能、メール送信機能、アプリなど)が記載されている。なお、モノクロコピーなどの、全てのユーザーが利用権限を有している標準的な機能は、「利用可能な機能」の項目への記載を省略されてもよい。
「追加する操作ボタン」の項目には、そのユーザーのユーザーインターフェースの画面に追加されている操作ボタンが記載されている。操作ボタンとは、MFPの機能や設定を行うためのボタンであり、たとえばショートカットキー(呼出し簡略化ボタン)などである。
図3のユーザー情報テーブルから、たとえば「3」というIDを持つユーザーは、「zwOj34」というパスワードを有し、「ユーザーC」というユーザー名(名前)を持つことが分かる。またこのユーザーは、支援候補者として登録されておらず、カラーコピー、OCR(Optical Character Recognition)、ステープル、およびA3サイズの用紙へのプリントの機能の利用を許可されており、カラーコピーおよびステープルに関する操作ボタンを自らのユーザーインターフェースの画面に追加していることが分かる。
たとえば、リモートパネル200でリモートパネルアプリケーションが起動されると、MFP100は、リモートパネルアプリケーションが起動された旨の通知をリモートパネル200から受け付け、リモートパネル200から受け付けたIDおよびパスワードに基づいて、ユーザーの認証処理を行う。MFP100は、ユーザーの認証に成功した場合、そのユーザーのログイン処理を行ない、そのユーザーが利用権限を有する機能をリモートパネル200で利用可能とする。また、操作パネル150からのユーザーログイン時には、MFP100は、操作パネル150から受け付けたIDおよびパスワードに基づいて、ユーザーの認証処理を行う。MFP100は、ユーザーの認証に成功した場合、そのユーザーのログイン処理を行ない、そのユーザーが利用権限を有する機能を操作パネル150で利用可能とする。
なお、ユーザー情報テーブルには、IDの代わりに、各ユーザーが使用するユーザーインターフェースの製品番号やIPアドレスなどが記録されていてもよい。
ユーザー情報テーブルにおけるID、ユーザー名、および利用可能な機能の項目などの記載事項は、たとえばMFP100の管理者のみが変更可能であってもよい。一方、ユーザー情報テーブルにおけるパスワード、支援の可否、および追加する操作ボタンの項目などの記載事項は、たとえば各ユーザーが変更可能であってもよい。
次に、MFP100の動作について説明する。
MFP100は、MFP100の操作が可能な複数のユーザーインターフェースのうち任意の依頼者のユーザーインターフェースから、MFP100を用いた作業を支援する依頼を受け付けた場合に、複数のユーザーインターフェースのうち支援者のカスタマイズ仕様を、依頼者の作業に関するカスタマイズ仕様に基づいて変更する。MFP100は、カスタマイズ仕様を変更した後で、支援者のユーザーインターフェースから作業の支援を受け付ける。
本実施の形態の以降の説明では、操作パネル150を操作中のユーザーCが依頼者であり、リモートパネル200aの所有者であるユーザーAが支援者である場合を想定する。
始めに、操作パネル150を通じてユーザーCからの支援依頼を受け付ける際の、MFP100の動作について説明する。
図4は、操作パネル150の表示画面を模式的に示す図である。
図4を参照して、操作パネル150は、操作パネル表示部150aと、操作タッチパネル150bと、ハードキー150cとを含んでいる。操作パネル表示部150aは、操作パネル150における図4中左上部に設けられている。操作タッチパネル150bは、操作パネル表示部150aに重ねられており、操作パネル表示部150aへのユーザーからの入力(タッチ)を検出する。ハードキー150cは、操作パネル表示部150aの右側および下側に設けられている。ハードキー150cには、MFP100を用いた作業の支援依頼を行うためのキー151を始めとする各種キーが含まれている。
図4では、ユーザーCは、MFP100を用いてコピージョブに関する作業を行っており、操作パネル表示部150aにはコピージョブの設定を受け付ける画面が表示されている。この画面には、カラーコピーの設定を受け付けるキーK1と、ステープル処理の設定を受け付けるキーK2とが含まれている。MFP100は、キーK1を通じてカラーコピーの設定を既に受け付けており、キーK1には、カラーコピーの設定が有効であることを示す「カラー」という文字が表示されている。またMFP100は、キーK2を通じてステープル処理の設定を既に受け付けており、キーK2には、ステープル処理が有効であることを示す「ステープルする」という文字が表示されている。さらに、コピージョブのコピー元となるファイルとして、「4345.doc」という名前のファイルが選択されている。さらに、コピーする部数として10部が設定されている。このように、操作パネル表示部150aにキーK1およびK2が表示されるのは、ログインユーザーであるユーザーCに対してカラーコピーおよびステープルの操作ボタンを追加することが、ユーザー情報テーブル(図3)に記録されているからである。
MFP100は、図4に示す状態でユーザーCによってキー151が押下されると、支援依頼を受け付け、操作パネル150に図5の画面を表示する。MFP100は、原稿の読み込み中やコピーなどの動作開始後においても、キー151が押下された場合には、支援依頼を受け付けてよい。
図5は、支援依頼を受け付けた場合の操作パネル150の表示画面を模式的に示す図である。
図5を参照して、MFP100は、支援依頼を受け付けると、ポップアップPD1を操作パネル150に表示する。ポップアップPD1は、たとえば「ヘルプの依頼先を選択して下さい。」という、支援者の選択をユーザーCに対して要求するメッセージと、支援候補者としての登録されているユーザーのリストである支援候補者リストとを含んでいる。支援候補者リストは、ユーザー情報テーブルの「支援の可否」の欄の記載事項に基づいて作成される。
支援候補者リストは、支援候補者としての登録されている3人のユーザーのIDおよび名前と、それぞれのユーザーに対して依頼を行うためのキーK3〜K5と、支援依頼をキャンセルするためのキーK6とを含んでいる。
MFP100は、キーK3〜K5のいずれかが押下された場合には、そのキーに対応するユーザーを支援者として決定する。一方、MFP100は、キーK6が押下された場合には、ポップアップPD1を画面から消去する。ここでは、ユーザーAが支援者である場合を想定しているので、キーK5が押下される。
なお、MFP100は、上述のように、依頼者による選択に従って支援者を決定する場合の他、依頼者による選択を受け付けずに支援者を決定してもよい。この場合、MFP100は、たとえばログインの有無等に基づいて支援者を決定してもよいし、ユーザー情報テーブルに支援候補者の専門分野(コピー、OCR、またはジャム解除など)を予め登録しておき、この専門分野に応じて支援者を決定してもよい。さらにMFP100は、第2の実施の形態で説明するように、ユーザーインターフェースの物理的な状態に基づいて支援者を決定してもよい。
図6は、支援者のユーザーインターフェースを決定した場合の操作パネル150の表示画面を模式的に示す図である。
図6を参照して、MFP100は、支援者を決定すると、ポップアップPD2を操作パネル150に表示する。ポップアップPD2は、たとえば「以下の内容でヘルプの依頼をします。」という、支援依頼の内容の確認をユーザーCに対して要求するメッセージと、支援依頼の内容と、支援依頼の内容を承認するためのキーK7と、支援依頼をキャンセルするためのキーK8とを含んでいる。支援依頼の内容には、たとえば作業開始時刻(支援依頼を行った時刻)と、支援依頼を行う作業に関して既に行われている設定の内容と、支援依頼を行う作業に関するファイルの名前(ドキュメント識別子)と、支援者(依頼先)の名前とが含まれる。
MFP100は、キーK8が押下された場合には、ポップアップPD2を画面から消去する。一方、MFP100は、キーK7が押下された場合には、支援依頼の内容の承認を受け付ける。そしてMFP100は、ユーザーCのカスタマイズ仕様のうち、少なくとも支援依頼を行った作業に関するカスタマイズ仕様を、ヘルプ作業リストに記憶する。
図7は、メモリ部170に記憶されているヘルプ作業リストを模式的に示す図である。
図7を参照して、ヘルプ作業リストには、支援依頼中の作業の内容が記録されている。ヘルプ作業リストの横方向(行方向)には、一つの作業に関する各種情報が並べられている。具体的には、一つの作業に関する「ジョブID」、「依頼者」、「支援者」、「作業開始時刻」、「設定内容」、「必要な機能」、「追加する操作ボタン」、および「使用するファイル」の各項目が並べられている。
これらの項目のうち「設定内容」、「必要な機能」、「追加する操作ボタン」、および「使用するファイル」の各項目は、依頼者のユーザーインターフェースにおけるその作業に関するカスタマイズ仕様である。
「ジョブID」の項目には、その作業に関するジョブに対してMFP100によって付されたID(ジョブ識別子)が記載されている。ジョブIDはMFP100によって自動的に決定される。「作業開始時刻」の項目には、MFP100が依頼者から支援依頼を受け付けた時刻が記載されている。「設定の内容」の項目には、支援依頼を行う際に依頼者によって既に行われた、作業に関する設定の内容が記載されている。「必要な機能」の項目には、「設定の内容」の項目に記載された設定の内容を実行するために必要な機能のうち、操作権限が必要な機能が記載されている(設定の内容とは関係の無い機能であるOCRについては記載されない)。「追加する操作ボタン」の項目には、ユーザー情報テーブルにおける依頼者の「追加する操作ボタン」の項目の記載事項のうち、支援依頼を行う作業に関係するものが記載されている。「使用するファイル」の項目には、その作業に関するファイルの名前が記載されている。
ヘルプ作業リストの記録内容は、支援依頼中の作業の内容に関するものであればよく、少なくともジョブIDと設定の内容とを含んでいることが好ましい。
図7に示すヘルプ作業リストから、たとえば「ユーザーB」という名前のユーザーは、「ユーザーA」という名前のユーザーに対して「10月売上高.pdf」というファイルを用いた作業の支援依頼を行っていることが分かる。この支援依頼の作業について、ユーザーBは拡大率が141%、部数が3部、およびステープルありの設定を既に行っており、この設定を実行する際には、A3サイズの用紙へのプリントについての操作権限が必要であることが分かる。さらに、ユーザーAは、ステープルの操作ボタンをユーザーインターフェースに表示させていることが分かる。
なお、ユーザーAからの操作と、ユーザーCからの操作とが重複して行われることを回避するために、MFP100は、ユーザーAによる支援依頼中、作業に関するユーザーCからの操作を禁止(破棄)してもよい。この場合、MFP100は、図8に示す画面を操作パネル150に表示することにより、支援依頼中は操作パネル150を操作できないことをユーザーCに通知してもよい。
図8は、支援依頼の内容の承認を受け付けた場合の操作パネル150表示画面を模式的に示す図である。
図8を参照して、MFP100は、支援依頼の内容の承認をユーザーCから受け付けると、ポップアップPD3を操作パネル150に表示する。ポップアップPD3は、たとえば「ヘルプの依頼を受け付けました。」という、支援依頼を受け付けたことを通知するメッセージと、「依頼中は設定を行うことができません。」という、支援依頼中は操作パネル150を操作できないことを通知するメッセージとを含んでいる。MFP100は、支援依頼中は、操作パネル150からの設定などを原則禁止するが、操作パネル150からの操作が、支援依頼とは無関係の操作(たとえばコピージョブ以外のジョブに関する操作や、操作パネル150の文字サイズの変更など)である場合、設定がリセットされた場合、またはユーザーCのログオフを受け付けた場合などには、支援依頼中であっても操作パネル150からの操作を受け付けてもよい。
さらに、一人のユーザーが同時に行うことのできる支援依頼の数に上限が設けられてもよい。MFP100は、ユーザーCから支援依頼を受け付けた場合に、ヘルプ作業リストを参照し、ユーザーCから既に受け付けている支援依頼の数が上限に達しているか否かを判別し、上限に達していると判別したときは、既に受け付けている支援依頼をキャンセルするか否かを操作パネル150に問い合せてもよい。
図9は、ユーザーCから既に受け付けている支援依頼の数が上限に達している場合の、操作パネル150の表示画面を模式的に示す図である。
図9を参照して、ここでは、一人のユーザーが同時に行うことのできる支援依頼の数の上限は1回であるものとする。たとえば、図4に示す画面を通じて新たな支援依頼を受け付けた場合において、ユーザーCから既に受け付けている支援依頼があるときは(ユーザーCから既に受け付けている支援依頼の数が上限に達しているときは)、MFP100は、ポップアップPD4を操作パネル150に表示する。ポップアップPD4は、たとえば「以下のヘルプを依頼中です。」という、支援依頼の数が上限に達していることをユーザーCに通知するメッセージと、既に受け付けている支援依頼の内容と、既に受け付けている支援依頼を承認するためのキーK9と、既に受け付けている支援依頼をキャンセルするためのキーK10とを含んでいる。支援依頼の内容には、たとえば作業開始時刻と、支援依頼を行う作業に関して既に行われている設定の内容と、支援依頼を行う作業に関するファイルの名前と、支援者の名前とが含まれる。
MFP100は、キーK9が押下された場合には、既に受け付けている支援依頼の承認を受け付け、新たな支援依頼をキャンセルする。一方、MFP100は、キーK10が押下された場合には、既に受け付けている支援依頼をキャンセルし、既に受け付けている支援依頼の内容をヘルプ作業リストから削除し、新たな支援依頼を受け付ける。
なお、ユーザーCがユーザーAに対して支援を依頼する作業の具体的な内容については、ユーザーCは口頭や電話などでユーザーAに伝えてもよいし、ネットワーク300を通じた通信(たとえば電子メールなど)により伝えてもよい。
次に、リモートパネル200aが作業の支援を行う際の、MFP100の動作について説明する。
図10は、リモートパネルアプリが起動された場合のリモートパネル200aの表示画面を模式的に示す図である。
図10を参照して、ユーザーAへの支援依頼がある状態で、ユーザーAがリモートパネル200aでログインし、リモートパネルアプリが起動されると、MFP100は、操作パネル150の操作画面に類似した画面をリモートパネル200aに表示する。この画面には、操作パネル150のソフトウェアキーに対応するキーと、ハードウェアキーに対応するキーとが含まれている。さらにMFP100は、ポップアップPD5をリモートパネル200aに表示する。ポップアップPD5は、たとえば「ユーザーCからのヘルプの依頼があります!」という、支援依頼があることを通知するメッセージ(依頼メッセージ)を含んでいる。MFP100は、依頼メッセージへのタッチを受け付けると、図11に示す画面をリモートパネル200aに表示する。
図11は、依頼メッセージへのタッチを受け付けた場合のリモートパネル200aの表示画面を模式的に示す図である。
図11を参照して、依頼メッセージへのタッチを受け付けると、MFP100は、ポップアップPD5をリモートパネル200aから消去し、ポップアップPD6をリモートパネル200aに表示する。ポップアップPD6は、たとえば「以下のヘルプを引き受けますか?」という、支援依頼を引き受けるか否かの回答を求めるメッセージと、支援依頼の内容と、支援依頼を引き受けるためのキーK11と、支援依頼を拒否するためのキーK12とを含んでいる。支援依頼の内容には、たとえば作業開始時刻と、支援依頼を行う作業に関して既に行われている設定の内容と、支援依頼を行う作業に関するファイルの名前(文書ID)と、依頼者の名前などが含まれる。
MFP100は、キーK12が押下された場合には、ユーザーCから受け付けた支援依頼をヘルプ作業リストから削除し、支援依頼が拒否された旨を操作パネル150に通知する。一方、MFP100は、キーK11が押下された場合には、ユーザーAのカスタマイズ仕様を、ユーザーCの支援依頼の作業に関するカスタマイズ仕様に基づいて変更する。
変更するカスタマイズ仕様は、MFP100の機能を行うための操作ボタンの表示の有無、MFP100の機能に関する利用権限の有無、およびファイルの利用権限の有無のうち少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。
図12は、カスタマイズ仕様を変更した後のリモートパネル200aの表示画面を模式的に示す図である。
図12を参照して、MFP100は、ヘルプ作業リストから、ユーザーCの支援依頼の作業に関するカスタマイズ仕様を入手し、ユーザー情報テーブルから、リモートパネル200aのカスタマイズ仕様を入手する。そしてMFP100は、2つのカスタマイズ仕様を比較することにより、ユーザーAが作業を支援するのに必要なカスタマイズ仕様を決定し、決定したカスタマイズ仕様をユーザーAのカスタマイズ仕様に追加する。
具体的には、MFP100は、図7に示すヘルプ作業リストから、ユーザーCの作業((ユーザーCが依頼者となっている作業)に関する「必要な機能」の項目の記載事項を入手し、図3に示すユーザー情報テーブルから、ユーザーAの「利用可能な機能」の項目の記載事項を入手する。そしてMFP100は、ユーザーCの作業に関する「必要な機能」の項目に含まれており、かつユーザーAの「利用可能な機能」の項目に含まれていない機能を、ユーザーAの「利用可能な機能」の項目に追加する。ここでは、カラーコピーおよびステープルの機能が追加される。これにより、ユーザーAは、カラーコピーおよびステープルの機能が一時的に利用可能になる。
またMFP100は、図7に示すヘルプ作業リストから、ユーザーCの作業に関する「使用するファイル」の項目の記載事項を入手し、そのファイル(ここでは「4345.doc」というファイル)の利用権限を確認する。その結果、そのファイルの利用権限をユーザーAが有していない場合には、そのファイルの利用権限をユーザーAに付与する。これにより、ユーザーAは、作業の支援に必要なファイル(文書データなど)へのアクセスが可能になる。
またMFP100は、図7に示すヘルプ作業リストから、ユーザーCの作業に関する「追加する操作ボタン」の項目の記載事項を入手し、図3に示すユーザー情報テーブルから、ユーザーAの「追加する操作ボタン」の項目の記載事項を入手する。そしてMFP100は、ユーザーCの作業に関する「追加する操作ボタン」の項目に含まれており、かつユーザーAの「追加する操作ボタン」の項目に含まれていない操作ボタンを、ユーザーAの「追加する操作ボタン」の項目に追加する。ここでは、カラーコピーおよびステープルが追加される。これにより、カラーコピーの操作ボタンであるキーK13と、ステープルの操作ボタンであるキーK14とがリモートパネル200aに表示される。
さらにMFP100は、図7に示すヘルプ作業リストから、ユーザーCの作業に関する「設定の内容」の項目の記載事項を入手し、その記載事項をリモートパネル200aの設定に反映させる。ここでは、リモートパネル200aにおいて、カラーコピーおよびステープルの設定がオンにされ、コピーの部数が10枚にセットされる。
さらにMFP100は、作業の支援の完了を通知するためのキーK15をリモートパネル200aに表示する。
ユーザーAは、自身の個人化されたパネルであるリモートパネル200aを操作することにより、ユーザーCから依頼された作業を支援する(他者支援操作を行う)。ユーザーAは、具体的には、ジョブの開始、ジョブの中断、ジャム処理、またはエラー対応などの作業を行う。MFP100は、リモートパネル200aから作業の支援を受け付ける。
このときユーザーAは、作業に必要な機能(カラーコピーおよびステープル)の利用権限を有しているので、ユーザーCが本来利用権限を有していない機能が作業に必要な場合にも、この作業を支援することができる。
またリモートパネル200aには、ユーザーCのユーザーインターフェースの画面に追加されている操作ボタンが追加されるので、ユーザーAは、ユーザーCの操作環境に近い操作環境で作業を支援することができる。
さらにリモートパネル200aには、ユーザーCが既に行った設定の内容が反映されるので、ユーザーAは、ユーザーCが既に行った設定の内容を引き継いで作業を支援することができる。
ユーザーAは、ユーザーCが既に行った設定の内容に誤りがあった場合などには、その設定の内容(たとえば変倍率など)を修正する必要がある。またユーザーAが、ユーザーA自身の操作ボタンの表示状態で作業の支援を行うことを望む場合もある。このためMFP100は、変更後のリモートパネル200aのカスタマイズ仕様のうち少なくとも一部(特に設定の内容)の変更を、リモートパネル200aから受け付けるようにしてもよい。
ユーザーAは、作業の支援を完了した場合にはキーK15を押下する。MFP100は、キーK15の押下を受け付けた場合に、ユーザーAによる作業の支援が完了したと判別する。MFP100は、リモートパネル200aから作業の支援が完了した旨の通知を受け付けた場合の他、操作パネル150からユーザーAがログオフした旨の通知を受け付けた場合、操作パネル150から依頼を中止する旨の通知を受け付けた場合、またはリモートパネル200aから依頼を拒否する旨の通知を受け付けた場合などに、作業の支援が完了したと判別してもよい。
MFP100は、ユーザーAによる作業の支援が完了したと判別すると、ユーザーAのカスタマイズ仕様を変更する前の状態に戻す。具体的には、MFP100は、図3に示すユーザー情報テーブルにおけるユーザーAの「利用可能な機能」の項目から、カラーコピーおよびステープルの機能を削除し、ユーザーAの「追加する操作ボタン」の項目からカラーコピーおよびステープルを削除し、リモートパネル200aの設定の内容を初期状態に戻す。さらにMFP100は、ファイルの利用権限を付与した場合には、その利用権限を取り消す。
またMFP100は、ユーザーAによる作業の支援が完了したと判別すると、作業の支援が完了したことをユーザーCに通知する。
図13は、作業の支援が完了した場合の操作パネル150の表示画面を模式的に示す図である。
図13を参照して、MFP100は、作業の支援が完了すると、ポップアップPD7を操作パネル150に表示する。ポップアップPD7は、たとえば「ヘルプ作業が完了しました。」という、作業の支援が完了したことを通知するメッセージを含む。
さらにMFP100は、ユーザーAによる作業の支援が完了したと判別すると、作業の支援の際に実行したジョブの情報(作業ログ)をログ情報テーブルに保存し、課金情報を更新する。
図14は、メモリ部170に記憶されているログ情報テーブルを模式的に示す図である。
図14を参照して、ログ情報テーブルには、MFP100で実行されたジョブの情報が記載されている。ログ情報テーブルの横方向(行方向)には、一つのジョブに関する各種情報が並べられている。具体的には、一つのジョブに関する「ユーザーID」、「ジョブ実行時間」、「ジョブ内容」、および「利用料金」の各項目が並べられている。ログ情報テーブルの縦方向(列方向)には、各ジョブの情報が、ジョブ実行時間が新しい順に並べられている。
「ユーザーID」の項目には、そのジョブを実行したユーザーのIDが記載されている。「ジョブ実行時刻」の項目には、そのジョブを実行した時刻が記載されている。「ジョブ内容」の項目には、ジョブの種類や設定の内容などが記載されている。「利用料金」の項目には、ジョブに関して課金した金額が記載されている。「利用料金」に記載された金額の課金対象は、「ユーザーID」の項目にIDが記載されたユーザーとなる。
保存するジョブが、作業の支援の際に実行したジョブである場合、MFP100は、依頼者に対して課金を行ってもよい。この場合MFP100は、保存するジョブの「ユーザーID」の項目に、依頼者であるユーザーのIDを記入する。
また、保存するジョブが、作業の支援の際に実行したジョブである場合、MFP100は、依頼者に対して課金を行うか支援者に対して課金を行うかの選択を、依頼者または支援者から受け付けてもよい。この場合MFP100は、保存するジョブの「ユーザーID」の項目に、選択されたユーザーのIDを記入する。
図14では、ユーザーCがユーザーAに依頼した作業に関するジョブの情報が最上段に記録されている。このジョブの情報では、依頼者であるユーザーCが課金対象となっており、「ユーザーID」の項目には、ユーザーCのIDである「3」という数字が記録されている。
続いて、MFP100の動作のフローチャートについて説明する。
図15は、依頼者からの支援依頼を受け付けた場合のMFP100の動作を示すフローチャートである。
図15を参照して、MFP100の全体制御部110は、依頼者のログオン処理を行った後で、MFP100を用いた作業に関する依頼者からの設定を受け付ける(S1)。次に全体制御部110は、依頼者からの支援依頼(ヘルプの依頼)を受け付けたか否かを判別する(S3)。
ステップS3において、支援依頼を受け付けたと判別した場合(S3でYes)、全体制御部110は、ヘルプ作業リストを参照し、依頼者から既に受け付けている支援依頼中の作業があるか否か(依頼者から既に受け付けている支援依頼の数が上限に達しているか否か)を判別する(S5)。
ステップS5において、支援依頼中の作業が無い(支援依頼の数が上限に達していない)と判別した場合(S5でNo)、全体制御部110は、支援候補者リストを支援者のユーザーインターフェース(パネル)に表示し(S7)、支援候補者リストからの支援者の選択を依頼者から受け付ける(S9)。続いて全体制御部110は、支援依頼の内容(ヘルプの内容)を依頼者のユーザーインターフェースに表示し、支援依頼の内容の確認を依頼者に要求する(S11)。次に全体制御部110は、支援依頼の内容の承認を受け付けたか否かを判別する(S13)。
ステップS13において、承認を受け付けたと判別した場合(S13でYes)、全体制御部110は、支援依頼の内容をヘルプ作業リストに追加し(S15)、依頼者による新たな設定を禁止し(S17)、処理を終了する。
ステップS3において、支援依頼を受け付けないと判別した場合(S3でNo)、またはステップS13において、支援依頼の内容の承認を受け付けないと判別した場合(S13でNo)、全体制御部110は、支援依頼をキャンセルし、ステップS1の処理へ進む。
ステップS5において、支援依頼中の作業がある(支援依頼の数が上限に達している)と判別した場合(S5でYes)、全体制御部110は、既に受け付けている支援依頼の内容(依頼中のヘルプの内容)を依頼者のユーザーインターフェースに表示する(S21)。続いて全体制御部110は、既に受け付けている支援依頼をキャンセルする指示を受け付けたか否かを判別する(S23)。
ステップS23において、キャンセルする指示を受け付けたと判別した場合(S23でYes)、全体制御部110は、既に受け付けている支援依頼の内容をヘルプ作業リストから削除し(S25)、ステップS7の処理へ進む。
ステップS23において、キャンセルする指示を受け付けないと判別した場合(S23でNo)、全体制御部110は、支援依頼をキャンセルし、ステップS1の処理へ進む。
図16および図17は、支援者がログインした場合のMFP100の動作を示すフローチャートである。
図16を参照して、全体制御部110は、支援者がログインした場合、支援者のログイン処理を行ない(S101)、その支援者に対する支援依頼がヘルプ作業リストにあるか否かを判別する(S103)。
ステップS103において、支援依頼があると判別した場合(S103でYes)、全体制御部110は、支援依頼があった旨のメッセージ(依頼メッセージ)を支援者のユーザーインターフェースに表示する(S105)。次に全体制御部110は、依頼メッセージが選択(タッチ)されたか否かを判別する(S107)。選択されたと判別するまで、全体制御部110はステップS107の処理を繰り返す。
ステップS107において、選択されたと判別した場合(S107でYes)、全体制御部110は、支援依頼の内容を支援者のユーザーインターフェースに表示し、支援依頼を引き受けるか否かの回答を求める(S109)。次に全体制御部110は、支援依頼を引き受ける旨の回答を受け付けたか否かを判別する(S111)。
ステップS111において、支援依頼を引き受ける旨の回答を受け付けたと判別した場合(S111でYes)、全体制御部110は、図17のステップS121の処理へ進む。
ステップS111において、支援依頼を拒否する旨の回答を受け付けたと判別した場合(S111でNo)、全体制御部110は、支援メッセージを支援者のユーザーインターフェースから削除し(S151)、支援依頼が拒否された旨を依頼者へ通知する(S153)。その後全体制御部110は、支援依頼の内容をヘルプ作業リストから削除し(S155)、処理を終了する。
ステップS103において、支援依頼が無いと判別した場合(S103でNo)、全体制御部110は、支援者からの操作を受け付け(S161)、処理を終了する。
図17を参照して、ステップS121において、全体制御部110は、依頼者のカスタマイズ仕様と、支援者のカスタマイズ仕様とを比較し(S121)、作業の支援に必要な機能の利用権限および作業に関するファイルの利用権限のうち、支援者が有していないものを支援者に付与する(S123)。次に全体制御部110は、依頼者の操作ボタンのうち、支援者が有していない操作ボタンを、支援者のユーザーインターフェースに追加し(S125)、依頼者の設定の内容を支援者に引き継ぐ(S127)。続いて全体制御部110は、支援者による作業の支援を受け付け(S129)、作業の支援が完了したか否かを判別する(S131)。
ステップS131において、作業の支援が完了しないと判別した場合(S131でNo)、全体制御部110は、ステップS129の処理へ進み、支援者から作業の支援を受ける(S129)。
ステップS131において、作業の支援が完了したと判別した場合(S131でYes)、全体制御部110は、作業ログをログ情報テーブルに保存し(S133)、支援者に付与した利用権限を解除し(S135)、支援者のユーザーインターフェースに追加した操作ボタンを削除し(S137)、設定の内容を初期状態に戻す(S139)。続いて全体制御部110は、支援メッセージを支援者のユーザーインターフェースから削除し(S141)、作業の支援が完了したことを依頼者に通知する(S143)。その後全体制御部110は、支援依頼の内容をヘルプ作業リストから削除し(S145)、処理を終了する。
[第2の実施の形態]
本実施の形態では、支援依頼を受け付けた場合に、MFP100が、複数のユーザーインターフェースの各々の物理的な状態を示す情報を入手し、入手した情報に基づいて支援者を決定する例について説明する。
MFP100が入手するユーザーインターフェースの物理的な状態には、たとえばユーザーインターフェースの加速度の情報がある。つまり、MFP100は、依頼者のユーザーインターフェースの加速度の情報と相関性のある加速度の情報を持つユーザーインターフェースのユーザーを、支援者として決定する。ここでは、ユーザーインターフェースの加速度の情報を用いて支援者を決定する2つの方法について順に説明する。
本実施の形態の以降の説明では、リモートパネル200aからログインしたユーザーAが依頼者であり、リモートパネル200bからログインしたユーザーBが支援者である場合を想定する。ユーザーBは支援候補者として登録されているものとする。
図18は、本発明の第2の実施の形態において、支援者を決定する第1の方法を説明する図である。なお図18(c)、図19(c)、図20、および図21では、リモートパネル200aをリモートパネルAまたはパネルAと記しており、リモートパネル200bをリモートパネルBまたはパネルBと記しており、リモートパネル200aおよび200b以外の画像形成システムのリモートパネルのうち任意のものをリモートパネルCと記している。
図18を参照して、第1の方法では、ユーザーAがユーザーBに対して支援依頼を行う場合に、(a)に示すように、ユーザーAおよびBは、リモートパネル200aとリモートパネル200bとを軽く接触させる(軽く当てる)。
リモートパネル200aとリモートパネル200bとを接触させた場合、リモートパネル200aには、典型的には(b)に示すような加速度が発生する。具体的には、リモートパネル200aがリモートパネル200bに接近する時刻t0〜時刻t1においては、リモートパネル200aはリモートパネル200bに向かって速度を上げながら接近するので、リモートパネル200aには緩やかな正の加速度が発生する。リモートパネル200aがリモートパネル200bと接触する時刻t1においては、リモートパネル200bとの衝突によりリモートパネル200aの速度がゼロになるので、リモートパネル200aには急激な負の加速度が発生する。
リモートパネル200aとリモートパネル200bとを接触させた場合、リモートパネル200bの加速度変化も、リモートパネル200aの加速度変化と同様のものとなる。つまり、リモートパネル200aおよび200bの各々には相関性のある加速度が同時に発生する。
各リモートパネル200の加速度センサー260は、計測した加速度の情報をMFP100に送信する。MFP100は、現在から一定時間(300秒)過去までの時間の加速度の情報をRAMなどに記録し、この時間における加速度の発生時刻、加速度の大きさ(最大値)、または加速度変化の周期などを算出し、これらの情報を記載した加速度情報比較テーブルを作成する。なお、加速度の相関性を判定するための属性値であれば、これら以外の属性値であってもよい。MFP100は、加速度情報比較テーブルを参照して、依頼者のユーザーインターフェースと一定以上の相関性があるユーザーインターフェースのユーザーを支援者に決定する。
リモートパネル200aとリモートパネル200bとを接触させた場合、加速度情報比較テーブルのリモートパネル200aおよび200bの欄には、(c)に示すように、ほぼ同時刻の発生時刻およびほぼ同程度の加速度の最大値が記録される。したがって、MFP100は、リモートパネル200aとリモートパネル200bとの間には一定以上の相関性があると判断し、リモートパネル200bのユーザーBを支援者に決定する。
図19は、本発明の第2の実施の形態において、支援者を決定する第2の方法を説明する図である。
図19を参照して、第2の方法では、ユーザーAがユーザーBに対して支援依頼を行う場合に、(b)に示すように、ユーザーAおよびBは、リモートパネル200aとリモートパネル200bとを互いに重ね合わせた状態で、左右に振る。
リモートパネル200aとリモートパネル200bとを互いに重ね合わせた状態で、左右に振った場合、リモートパネル200aおよび200bには、典型的には(b)に示すような加速度が発生する。具体的には、リモートパネル200aおよび200bが振動の往復運動の一方の端部から他方の端部へ向かう時刻t0〜時刻t1においては、リモートパネル200aおよび200bは他方の端部に向かって速度を上げながら接近し、他方の端部に接近すると減速し、他方の端部に到達すると静止する。したがって、リモートパネル200aおよび200bには緩やかな正の加速度が発生した後、緩やかな負の加速度が発生する。次に、リモートパネル200aおよび200bが他方の端部から一方の端部へ向かう時刻t1〜時刻t2においては、リモートパネル200aおよび200bは一方の端部に向かって速度を上げながら接近し、一方の端部に接近すると減速し、一方の端部に到達すると静止する。したがって、リモートパネル200aおよび200bには緩やかな正の加速度が発生した後、緩やかな負の加速度が発生する。その結果、リモートパネル200aおよび200bの各々には、ほぼ同じ周期CY1の加速度が発生する。
リモートパネル200aとリモートパネル200bとを重ねた状態で、左右に振った場合、加速度情報比較テーブルのリモートパネル200aおよび200bの欄には、(c)に示すように、ほぼ同じ大きさおよび周期CY1の加速度が記録される。したがって、MFP100は、リモートパネル200aとリモートパネル200bとの間には一定以上の相関性があると判断し、リモートパネル200bのユーザーBを支援者に決定する。
図20および図21は、本発明の第2の実施の形態において、支援者を決定する際の画像形成システムの動作を示すフローチャートである。
図20を参照して、リモートパネル200aの制御部210は、ユーザーAのログインを受け付けると(S201)、MFP100を用いた作業に関するユーザーAからの設定を受け付ける(S203)。次にリモートパネル200aの制御部210は、支援依頼を受け付けたか否かを判別する(S205)。
ステップS205において、支援依頼を受け付けたと判別した場合(S205でYes)、リモートパネル200aの制御部210は、支援依頼があったことをMFP100の全体制御部110に通知し(S206)、支援者のリモートパネルをリモートパネル200aに接触させることを要求するメッセージをリモートパネル200aに表示する(S207)。次にリモートパネル200aの制御部210は、加速度センサー260による加速度の計測を開始し(S209)、一定値以上の加速度を検知したか否かを判別する(S211)。リモートパネル200aの制御部210は、一定値以上の加速度を検知するか、支援者を決定した旨の通知を受信するまで、ステップS211の処理を繰り返す。
ステップS211において、検知したと判別した場合(S211でYes)、リモートパネル200aの制御部210は、加速度の情報をMFP100へ送信し(S213)、ステップS211の処理へ進む。
全体制御部110は、支援依頼があったことの通知をリモートパネル200aから受信すると(S241)、リモートパネルの探索状態に遷移し(加速度情報比較テーブルの更新を開始し)、リモートパネルの探索状態に遷移したことを各リモートパネルに通知する(S243)。続いて全体制御部110は、各リモートパネルから加速度の情報を受信し(S244)、図21のステップS245の処理へ進む。
リモートパネル200bの制御部210は、ユーザーBのログインを受け付け(S271)、リモートパネルの探索状態に遷移したことの通知をMFP100から受信すると(S273)、依頼者のリモートパネルをリモートパネル200bに接触させることを要求するメッセージをリモートパネル200bに表示する(S277)。続いてリモートパネル200bの制御部210は、加速度センサー260による加速度の計測を開始し(S279)、一定値以上の加速度を検知したか否かを判別する(S281)。リモートパネル200bの制御部210は、一定値以上の加速度を検知するか、支援者を決定した旨の通知を受信するまで、ステップS281の処理を繰り返す。
ステップS281において、検知したと判別した場合(S281でYes)、リモートパネル200bの制御部210は、加速度の情報をMFP100へ送信し(S283)、ステップS281の処理へ進む。
図21を参照して、ステップS245において、全体制御部110は、リモートパネル200aから加速度の情報を受信したか否かを判別する(S245)。全体制御部110は、リモートパネル200aから加速度の情報を受信するまで、ステップS245の処理を繰り返す。
ステップS245において、加速度の情報を受信したと判別した場合(S245でYes)、加速度情報比較テーブルを参照し(S247)、リモートパネル200a以外のリモートパネルの中でリモートパネル200aと相関性のある加速度の情報を持つものがあるか否かを判別する(S249)。
ステップS249において、相関性のある加速度情報を持つリモートパネルがあると判別した場合(S249でYes)、全体制御部110はそのリモートパネルのユーザーを支援者に決定し(S251)、各リモートパネルに通知する(S253)。リモートパネル200aおよび200bの各々の制御部210は、この通知を受信すると(S215およびS285)、処理を終了する。
本実施の形態において支援者を決定する際に用いる、ユーザーインターフェースの物理的な状態としては、上述の加速度の情報の他、磁気的または電気的な状態(たとえば依頼者のユーザーインターフェースとの導通の有無など)、またはGPS(Global Positioning System)などを用いて検出されたユーザーインターフェースの位置などであってもよい。
なお、本実施の形態における画像形成システムの構成、および画像形成システムが実行する上述以外の処理などについては、第1の実施の形態の場合と同様であるので、その説明は繰り返さない。
[実施の形態の効果]
上述の実施の形態によれば、依頼者と同じMFPを操作可能な支援者が、いわゆる「マイパネル」や、自分が使い慣れた端末(たとえばAndroid(登録商標)端末など)からのリモート接続を使って、依頼者によるMFPの操作を支援する状況において、支援者のカスタマイズ仕様が、支援に必要なカスタマイズ仕様に一時的に変更される。具体的には、操作に必要なファイル(データ)または機能(アプリを含む)の利用権限が一時的に支援者に付与され、パネルへの操作ボタンの表示の有無や設定などの情報が支援者へ受け渡される。これにより支援者は、自身の個人化されたパネルのカスタマイズ仕様を変更する手間を省きつつ、自身の個人化されたパネルを使っての作業の支援が可能になる。その結果、支援者は依頼者の支援を容易に行うことができる。
第2の実施の形態によれば、支援者のリモートパネルに依頼者のリモートパネルと関連性のある振動を与えることで支援者を決定することができるので、支援者を容易に決定することができる。また依頼者は、支援者を明示的に選択すること無く、直感的な動作で支援者を決定することができる。さらに、物理的に近くにあるリモートパネル同士の動作で支援依頼が可能であるため、依頼者のリモートパネルが遠隔から不正にアクセスされることを防止することができる。
[その他]
支援者のカスタマイズ仕様を変更する際には、ヘルプ作業リストに基づかず、依頼者のカスタマイズ仕様と支援者のカスタマイズ仕様とを直接比較して、支援者が必要なカスタマイズ仕様を決定してもよい。
上述の実施の形態は適宜組み合わせることができる。たとえば、ユーザーインターフェースの物理的な状態を示す情報に基づいて支援者を決定し、ヘルプ作業リストに基づいて支援者のカスタマイズ仕様を変更してもよい。ユーザーインターフェースの物理的な状態を示す情報に基づいて支援者を決定した場合には、依頼を引き受けるか否かの回答を支援者から受け付けてもいいし、受け付けなくてもよい。
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアにより行なっても、ハードウェア回路を用いて行なってもよい。また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザーに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピューターにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。